(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】断層画像撮影システムにおけるゲーティング方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20240301BHJP
【FI】
A61B6/03 530Z
A61B6/03 570B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023002545
(22)【出願日】2023-01-11
(62)【分割の表示】P 2021067402の分割
【原出願日】2021-04-12
【審査請求日】2023-01-13
(32)【優先日】2020-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】202110372485.7
(32)【優先日】2021-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】505326623
【氏名又は名称】台達電子工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】DELTA ELECTRONICS, INC.
【住所又は居所原語表記】31-1 Xingbang Road, Guishan Industrial Zone, Taoyuan City 33370, Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】陳思▲ウィ▼
(72)【発明者】
【氏名】李致賢
【審査官】佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0120586(US,A1)
【文献】国際公開第2010/025946(WO,A1)
【文献】特開2012-187350(JP,A)
【文献】特開2016-187528(JP,A)
【文献】特開2012-239796(JP,A)
【文献】特表2014-524017(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0243070(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108324303(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110547822(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0121183(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0055920(US,A1)
【文献】JOHNSTON S. M., PEREZ B. A., KIRSCH D. G., and BADEA C. T.,Phase-selective image reconstruction of the lungs in small animals using Micro-CT,Proc SPIE Int Soc Opt Eng. Author manuscript; available in PMC 2011 Feb 15.,2011年,p. 1-19,[検索日:令和4年3月28日], <DOI: 10.1117/12.844359>, <https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3018736/ からダウンロード可能>
【文献】PARK, S. et al.,A Novel Method of Cone Beam CT Projection Binning Based on Image Registration,IEEE TRANSACTIONS ON MEDICAL IMAGING,2017年,VOL. 36, NO. 8,p.1733-1745,[検索日:令和4年3月28日], <https://ieeexplore.ieee.org/document/7891041 からダウンロード可能>
【文献】SEIFARTH, H., et al.,Electrocardiogram-Independent Image Reconstruction in Cardiac Multidetector Computed Tomography Usin,Investigative Radiology,2006年,Vol. 41, No. 12,p. 898-903,<DOI: 10.1097/01.rli.0000246123.15947.fc>
【文献】HUGO, G. D. et al.,Advances in 4D Radiation Therapy for Managing Respiration: Part I - 4D Imaging,Z. Med. Phys.,2014年,p.1-25,[検索日:令和4年3月28日], <DOI:10.1016/j.zemedi.2012.06.009>, <https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4153750/ からダウンロード可能>
【文献】MARTIN, R. et al.,Evaluation of intrinsic respiratory signal determination methods for 4D CBCT adapted for mice,Med. Phys.,2015年,Vol. 42, No. 1,p. 154-164,[検索日:令和4年3月28日], <DOI:10.1118/1.4903264>, <https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5148174/ からダウンロード可能>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F A61B 6/00 - 6/58
インターネット
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)複数の投影画像を様々な投影角で取得するために、対象の断層画像撮影を行うステップと、
前記対象の標的は、周期的に移動し、
(b)前記投影画像の各々において前記標的の投影位置を取得し、前記投影画像の各々における前記投影位置の中心に設けられた標的ゾーンを決定するステップと、
(c)前記投影画像の各々において、前記標的ゾーン内の全ての画素値のパラメータ値を算出し、及び、前記投影画像の前記パラメータ値に応じて、前記標的の移動周期曲線を取得するステップと、
(d)前記標的の前記移動周期曲線に応じて、画像再構成のため
に移動周期内で同じ状態にある前記投影画像を選択するステップとを備え、
前記ステップ(b)は、
(b1)前記複数の投影画像のうちの2つの画像において、前記標的の前記投影位置を取得するサブステップと、
(b2)2つの前記投影画像における前記投影位置、及び、対応する前記投影角及び円錐角に応じて、前記標的の実際位置を算出するサブステップと、
(b3)前記実際位置、及び、対応する前記投影角及び前記円錐角に応じて、残りの前記投影画像において前記投影位置を算出するサブステップとを備える、
断層画像撮影システムにおけるゲーティング方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記断層画像撮影を実行するとき、前記投影画像を様々な前記投影角で取得するために、光源及び検出器が第1軸に対して規則的に回転する、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記第1軸は、第2軸に垂直であり、
前記円錐角は、前記第2軸と、接続線との間の包含角であり、
前記接続線は、前記光源と前記標的との接続線である、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
前記投影画像の各々に対応する前記実際位置、前記投影位置、前記投影角、及び、前記円錐角の関係は、以下の式を満たし、
(x,y,z)は、前記実際位置の座標であり、
(t,s)は、前記投影位置の座標であり、
θは、前記投影角であり、
γは前記円錐角である、方法。
[式1]
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記投影画像に基づいて、断層画像に要求される画質に応じて、前記投影画像の枚数を決定する、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記投影角において、最初の投影角と最後の投影角の差が180度よりも大きい、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記パラメータ値は、前記標的ゾーン内の前記画素値の最大値、最小値、平均値、中央値、総和、四分位値のいずれかである、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記標的の前記移動周期曲線は、前記パラメータ値と時間との関係を表すグラフ、又は前記パラメータ値と前記投影角の異なる前記投影画像のシリアル番号との関係を表すグラフである、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、断層画像撮影システムにおけるゲーティング方法に関する。より具体的には、断層画像撮影システムにおける画像に基づいたゲーティング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
断層画像撮影システムには、コンピュータ断層画像撮影(CT)、ポジトロン放出断層画像撮影(PET)、単一光子放射型コンピュータ断層画像撮影(SPECT)などが含まれる。CTスキャンを実行すると、投影画像をさまざまな角度で収集するように、X線を放射して180度(又はそれ以上、又はそれ以下)の画像データを取得するために、光源(X線など)と検出器は検出対象の周りを定期的に移動する。投影画像に基づいて、画像再構成をコンピュータによって実行し、検出対象の断面断層画像を形成する。また、検出対象の3次元画像は、複数の断層画像で構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
検出対象が生体の場合、検出対象の臓器(肺、心臓など)が呼吸や心拍により定期的に動くことがある。従って、様々な角度における投影画像内の検出対象の臓器は、静的なものではない。そのため、形成される断層画像は、臓器の動きによってぼやけてしまうことがある。
【0004】
臓器の周期的な動きによる画像のぼやけを防ぐために、ゲーティング技術が開発されている。従来ゲーティング技術は、プロスペクティブゲーティング技術であり、以下のように説明される。
【0005】
プロスペクティブゲーティング技術では、断層画像撮影システムは外部の生理学的モニタリング装置、例えば心電計(ECG)や圧電センサ等と接続する必要がある。断層画像撮影システムは、特定の期間の投影画像を取得するために、生理学的信号と同期する。
図1に、断層画像撮影におけるプロスペクティブゲーティングの一例を示す。破線で囲んだ期間中のみ、投影画像を取得することに注意されたい。従って、同じ生理学的期間の下で取得した様々な角度の投影画像は、画像再構成に利用される。これにより、特定の生理状態の断層画像が得られ、断層画像上の動きによるぼやけた画像を低減することができる。但し、このプロスペクティブゲーティング技術の欠点は、断層画像撮影システムを外部の生理学的モニタリング装置に接続する必要があるため、コストが大幅に増加することである。加えて、断層画像撮影システムと生理学的モニタリング装置を同期させることも技術的な課題である。
【0006】
従って、従来の欠点を解消するために、断層画像撮影システムにおけるゲーティング方法を提供することが求められている。
【0007】
本開示の目的は、断層画像撮影システムにおけるゲーティング方法を提供することである。断層画像撮影を実行すると、投影画像を連続的に取得する。投影画像を全て集めた後、その特性に応じて投影画像を処理する。特に、同じ生理状態での投影画像を選択する。従って、本開示の断層画像撮影システムにおけるゲーティング方法では、断層画像撮影システムを外部の生理学的モニタリング装置と接続する必要はない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様によれば、断層画像撮影システムにおけるゲーティング方法が提供される。その方法は、(a)複数の投影画像を様々な投影角で取得するために、対象の断層画像撮影を行うステップと、前記対象の標的は、周期的に移動し、(b)前記投影画像の各々において、前記標的の投影位置を取得するステップと、前記投影位置は、前記投影画像の各々において、標的ゾーンの中心であり、(c)前記投影画像の各々において、前記標的ゾーン内の画素値のパラメータ値を算出し、及び、前記投影画像の前記パラメータ値に応じて、前記標的の移動周期曲線を取得するステップと、(d)前記標的の前記移動周期曲線に応じて、画像再構成のために前記移動周期内で同じ状態にある前記投影画像を選択するステップとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】従来のプロスペクティブゲーティング方法において、断層画像撮影を実行するタイミングについて模式的に示している。
【
図2】本開示のゲーティング方法において、断層画像撮影を実行するタイミングについて模式的に示している。
【
図3】心臓、光源、及び検出器の実際位置と投影位置の位置関係を模式的に示している。
【
図5】各投影画像における心臓の投影角と投影位置の、曲線フィッティングによる処理を模式的に示している。
【
図6】心拍曲線を示す模式的なオシログラムである。
【
図7】本開示の一実施形態に係る断層画像撮影システムにおけるゲーティング方法を示す概略フローチャートである。
【
図8】
図7の断層画像撮影システムにおけるゲーティング方法の変形例を示す概略フローチャートである。
【
図9】
図7の断層画像撮影システムにおけるゲーティング方法の変形例を示す概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示について、以下の実施形態を参照してより具体的に説明する。本開示の好ましい実施形態に関する以下の説明は、全てを網羅している訳ではなく、また、以下の詳細な説明において開示されるそのままの形態に本発明を限定するものでもない。
【0011】
本開示の断層画像撮影システムにおけるゲーティング方法は、レトロスペクティブゲーティング方法を利用している。断層画像撮影を実行すると、
図2に示すように、破線で囲んだ期間中、投影画像を連続的に取得する。特に、本開示は、呼吸や心拍による臓器の周期的な動きによるぼやけた画像を回避するために、ゲーティングにレトロスペクティブゲート断層画像撮影システムを利用している。
【0012】
断層画像撮影を実行すると、様々な投影角度で投影画像を収集するように、X線などの光源と検出器は、検出対象物が配置されている第1軸に対し規則的に回転する。投影画像の数はN枚であり、正の整数であり、その数は投影画像に基づいて形成される断層画像に要求される画質に応じて決定する。例えば、Nが大きければ大きいほど、断層画像のS/N比が良くなる(つまり断層画像の画質が良くなる)。加えて、様々な投影角で投影画像を収集するために、光源と検出器が検出対象物の周囲を移動する間、最初の投影角と最後の投影角との差は、180度より大きいことが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0013】
検出対象が生体の場合、検出対象の臓器は、心拍により定期的に動くことがある。そのため、異なる投影角の投影画像は、静的ではない。従って、本開示では、心臓ゲーティングにおける断層画像撮影システムをさらに発展させている。全ての投影画像が対応する心臓周期を把握するためには、全ての投影画像上で心臓の動きに影響される臓器やゾーンの位置を検出する必要がある。検出対象物の中で周期的に移動する標的として心臓を例にとり、心臓の投影位置を算出する2つの実施形態を以下に説明する。
【0014】
本発明における心臓の投影位置を算出する第1実施形態について、3次元空間における心臓の実際位置、心臓の投影位置、光源、及び検出器の位置関係を、
図3及び下式(1)、(2)に示す。
図3では、(x,y,z)は、3次元空間における心臓の実際位置の座標、(t,s)は、投影画像上の心臓の投影位置の座標、θは投影画像を取得する際の投影角(光源と検出器の回転角度)、γは光源の円錐角である。光源と検出器の回転軸は、心臓が位置する第1軸である。また、第1軸に垂直な第2軸があり、円錐角γは、第2軸と光源と心臓の接続線との間の包含角である。
【0015】
【0016】
投影角θと円錐角γは、断層画像撮影システムは既知である。そのため、任意の2つの投影画像における心臓の投影位置を断層画像撮影システムに入力すると、他の投影画像における心臓の投影位置を把握することができる。例えば、これらの2つの投影画像における心臓の投影位置に応じて、心臓の実際位置の座標であるxとyが式(1)から計算できる。xおよびyが既知の場合、全ての投影画像における心臓の投影位置の座標tは、対応する投影角θを式(1)に代入することで得られる。さらに、取得したx、yと任意の投影画像に対応するs、θ、γを式(2)に代入することで、心臓の実際位置の座標zを割り出すことができる。心臓の高さ位置zが同じであると仮定すると、全ての投影画像における投影位置の座標のsは同じになる。その結果、全ての投影画像における心臓の投影位置の座標が取得できる。また、各投影画像において、心臓ゾーンは、投影位置を中心とした実線ブロックとして自動的に印がつけられ、心臓ゾーンに心臓が投影される。実線ブロックの大きさは、ユーザーが経験に基づいて設定してもよく、システムによって予め設定しておいてもよい。
【0017】
一例として、マウスに対して断層画像撮影を行い、
図4には、0度と90度を含む2つの異なる投影角θについて取得された2つの投影画像が模式的に示されている。ユーザーは、2つの投影画像における心臓の投影位置を手動で定義するために、実線ブロックを移動させることができ、実線ブロックの中心が心臓の投影位置となる。2つの投影画像における心臓の投影位置に応じて、他の全ての投影画像における心臓の投影位置は、式(1)によって計算することができる。
【0018】
本発明における心臓の投影位置を算出する第2実施形態について、まず、距離範囲を設定する。例えば、心臓の大きさに合わせて、距離の範囲を決定する。そして、1つの投影画像P0における投影位置(t0,s0)を基準点としてユーザーが入力または指定し、その投影位置(t0,s0)の画素値I0を基準値として設定する。そして、投影位置が不明の別の投影画像P1において、基準点(t0,s0)からの距離範囲内で基準値I0に最も近い画素値I1を有する位置(t1,s1)を、この投影画像P1における心臓の投影位置として設定する。その後、未知の投影位置を持たない別の投影画像P2について、位置(t1,s1)と画素値I1により、基準点と基準値がそれぞれ更新される。これにより、全ての投影画像における心臓の投影位置を把握することができる。好ましくは、投影画像P1は、投影画像P0に続いて異なる投影角度で撮影され、投影画像P2は、投影画像P1に続いて異なる投影角度で撮影される。心臓の投影位置とは、回転中の検出器に投影された3次元空間における心臓のことである。そして、
図5に示すように、不連続な領域を取り除くように、全ての投影画像において計算された心臓の投影位置を正弦曲線と余弦曲線でフィッティングすることができる。そのため、全ての投影画像における計算された心臓の投影位置を校正することができる。また、各投影画像では、投影位置を中心とした実線ブロックで心臓ゾーンが自動的にマークされ、心臓ゾーンには心臓が投影されている。実線ブロックの大きさは、ユーザーが経験に基づいて設定してもよいし、システムによって予め設定しておいてもよい。
【0019】
上述の2つの実施形態により、全ての投影画像における心臓の投影位置が取得され、心臓ゾーンは投影位置を中心とした実線ブロックでマークされる。別の実施形態では、心臓ゾーンは、破線のブロックまたは他のマーキング方法によってマークされてもよい。そして、投影画像における心臓ゾーンの画素値のパラメータ値(例えば、最大値、最小値、平均値、中央値、総和値、四分位値)を算出する。心臓ゾーンの画素値は、心臓の収縮期と拡張期によって変化するため、全ての投影画像のパラメータ値に応じて、心臓の移動周期曲線(心拍曲線)が得られる。例えば、心臓の移動周期曲線は、パラメータ値と時間との関係を表すグラフ、又はパラメータ値と投影画像のシリアル番号との関係を表すグラフである。
【0020】
図6に示すように、全ての投影画像のパラメータ値に応じて、心拍曲線を取得することができる。心臓周期内で同じ状態にある投影画像(心臓周期内で同じタイミングで撮影された投影画像)を画像再構成のために選択し、心臓断層画像の精細度を向上させている。例えば、白丸で示したタイミングにおける投影画像を画像再構成のために選択したり、黒丸で示したタイミングにおける投影画像を画像再構成のために選択したりする。
図6は、横軸は投影画像の時間、又はシリアル番号、縦軸は心臓ゾーン内の画素値のパラメータ値を表している。
【0021】
図7は、本開示の一実施形態に係る断層画像撮影システムにおけるゲーティング方法のフローチャートを模式的に示したものである。上述の説明に基づき、本開示の断層画像撮影システムにおけるゲーティング方法は、
図7に示すステップを含むように一般化することができる。
【0022】
初めに、ステップS1では、複数の投影画像を異なる投影角度で取得するために対象の断層画像撮影を行い、対象の標的が周期的に移動する。
【0023】
次に、ステップS2では、各投影画像における標的の投影位置を取得し、その投影位置を投影画像の各々における標的ゾーンの中心にする。
【0024】
その後、ステップS3では、各投影画像における標的ゾーンの画素値のパラメータ値を算出し、各投影画像のパラメータ値に応じて標的の移動周期曲線を取得する。
【0025】
最後に、ステップS4では、移動周期内で同じ状態にある投影画像を、標的の移動周期曲線に応じて画像再構成のために選択する。
【0026】
その結果、本開示の断層画像撮影システムにおけるゲーティング方法では、画像再構成のために心臓周期において同じ状態にある投影画像を選択する。その間、断層画像撮影システムを外部の生理学的モニタリング装置と接続する必要はない。
【0027】
一実施形態では、
図8に示すように、上述の式(1)および(2)に基づいて、ステップS2は、以下のサブステップを含む。まず、サブステップS21では、任意の2つの投影画像における標的の投影位置を取得する。そして、サブステップS22では、2つの投影画像における標的の投影位置と、それに対応する投影角(すなわち、光源と検出器の回転角)および円錐角に応じて、3次元空間における標的の実際位置を算出する。最後に、サブステップS23では、標的の実際位置と、それに対応する投影角および円錐角に応じて、他の投影画像における標的の投影位置を算出し、その投影位置を標的ゾーンの中心とする。
【0028】
別の実施形態では、
図9に示すように、ステップS2は以下のサブステップを含む。まず、サブステップS24では、距離範囲を設定する。そして、サブステップS25では、標的ゾーンの中心となる1枚の投影画像における投影位置を取得し、取得した投影位置とその画素値をそれぞれ基準点と基準値として設定する。その後、サブステップS26では、標的の投影位置が不明な別の投影画像において、基準点からの距離範囲内で基準値に最も近い画素値を有する位置を、この投影画像における標的の投影位置として設定する。その間、投影位置を標的ゾーンの中心とし、基準点及び基準値を、それぞれこの投影画像における投影位置とその画素値によって更新する。最後に、サブステップS27では、全ての投影画像において標的の投影位置が設定されているかどうかを判定する。判定結果が満足された場合は、ステップS3を実行する。判定結果が満たされていない場合は、サブステップS26を再度実行する。
【0029】
図9に示す実施形態では、全ての投影画像における標的の投影位置を取得すると、ステップS2は、全ての投影画像における投影位置を正弦曲線及び余弦曲線でフィッティングするサブステップを更に含み、これにより投影位置の校正が行われる。
【0030】
本開示のゲーティング方法は、
図2~6に示す実施形態に適用することができる。さらに、
図2~6に示す実施形態では、検出対象は生体であり、標的は、心拍により周期的に動く心臓である。また、別の実施形態では、本開示のゲーティング方法における標的は、呼吸により周期的に動く横隔膜であってもよい。
【0031】
以上の記述から、本開示は、断層画像撮影システムにおけるゲーティング方法を提供するものである。断層画像撮影を実行すると、様々な角度の投影画像を連続的に取得する。投影画像が全て集まったら、その特性に応じて投影画像を処理する。特に、同じ生理状態における投影画像を選び出す。従って、本開示の断層画像撮影システムにおけるゲーティング方法では、断層画像撮影システムを外部の生理学的モニタリング装置と接続する必要はない。
【0032】
本開示は、最も実用的で好ましい実施形態であると現在考えられているものについて説明してきたが、開示した実施形態に限定される必要はないことを理解されたい。