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特許7446497ソフトカーボン負極の予リチウム化方法及び非対称リチウムイオンスーパーキャパシタ
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  • 特許-ソフトカーボン負極の予リチウム化方法及び非対称リチウムイオンスーパーキャパシタ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】ソフトカーボン負極の予リチウム化方法及び非対称リチウムイオンスーパーキャパシタ
(51)【国際特許分類】
   H01G 11/86 20130101AFI20240301BHJP
   H01M 4/587 20100101ALI20240301BHJP
   H01M 4/1393 20100101ALI20240301BHJP
   H01M 4/133 20100101ALI20240301BHJP
   H01G 11/42 20130101ALI20240301BHJP
   H01G 11/50 20130101ALI20240301BHJP
   H01G 11/06 20130101ALI20240301BHJP
【FI】
H01G11/86
H01M4/587
H01M4/1393
H01M4/133
H01G11/42
H01G11/50
H01G11/06
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023004524
(22)【出願日】2023-01-16
【審査請求日】2023-01-16
(31)【優先権主張番号】111143226
(32)【優先日】2022-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】500447978
【氏名又は名称】台灣中油股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100217434
【弁理士】
【氏名又は名称】万野 秀人
(72)【発明者】
【氏名】チェン イェン シュイ
(72)【発明者】
【氏名】リュイ クオ シュイ
(72)【発明者】
【氏名】フー チー チャン
(72)【発明者】
【氏名】クー チー ユー
(72)【発明者】
【氏名】イー ティェン ユィ
【審査官】清水 稔
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-056528(JP,A)
【文献】特開2018-029200(JP,A)
【文献】特開2010-080123(JP,A)
【文献】特開2012-099346(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 11/86
H01M 4/587
H01M 4/1393
H01M 4/133
H01G 11/42
H01G 11/50
H01G 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソフトカーボン負極及びリチウム金属片を、互いに間隔を開けて、リチウム含有電解質が前記ソフトカーボン負極及び前記リチウム金属片の間に存在するように配置するステップAと、
前記ソフトカーボン負極の電圧が0.3V(vs.Li/Li)以下の第1の所定電圧に降下するまで、5C以下の第1の恒定Cレートで、前記ソフトカーボン負極を予リチウム化するステップBと、
前記ステップBの後に、前記ソフトカーボン負極の電圧が前記第1の所定電圧より小さい第2の所定電圧に降下するまで、前記第1の恒定Cレートより小さく且つ0.2C以下の第2の恒定Cレートで、前記ソフトカーボン負極を予リチウム化するステップCと、
前記ステップCの後に、前記第2の所定電圧以下の予リチウム化定電圧で、前記ソフトカーボン負極を予リチウム化して、前記ソフトカーボン負極の予リチウム化を完成するステップDと、を含むことを特徴とするソフトカーボン負極の予リチウム化方法。
【請求項2】
前記第1の恒定Cレートは、0.5C~5Cの範囲内にあり、
前記第1の所定電圧は、0.3V~0.1V(vs.Li/Li)の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載のソフトカーボン負極の予リチウム化方法。
【請求項3】
前記第2の恒定Cレートは、0.05C~0.2Cの範囲内にあり、
前記第2の所定電圧は、0.01V(vs.Li/Li)以上であることを特徴とする請求項1に記載のソフトカーボン負極の予リチウム化方法。
【請求項4】
前記ステップDは、0.5時間~24時間の範囲の期間で行うことを特徴とする請求項1に記載のソフトカーボン負極の予リチウム化方法。
【請求項5】
前記第2の所定電圧は、前記予リチウム化定電圧と同じであることを特徴とする請求項4に記載のソフトカーボン負極の予リチウム化方法。
【請求項6】
前記ステップBにおいて、前記ソフトカーボン負極を第1の定電流により予リチウム化し、
前記ステップCにおいて、前記ソフトカーボン負極を前記第1の定電流より小さい第2の定電流により予リチウム化し、
前記ステップDにおいて、前記ソフトカーボン負極を前記予リチウム化定電圧で第3のCレートにおける第3の電流により予リチウム化することを特徴とする請求項1に記載のソフトカーボン負極の予リチウム化方法。
【請求項7】
前記第2の恒定Cレートが0.1C以上であり、前記ステップDは、前記第3のCレートが0.05Cになる際に終了することを特徴とする請求項6に記載のソフトカーボン負極の予リチウム化方法。
【請求項8】
前記第2の恒定Cレートが0.1C未満であり、前記ステップDは、前記第3の電流が前記第2の恒定Cレートの50%未満になる際に終了することを特徴とする請求項6に記載のソフトカーボン負極の予リチウム化方法。
【請求項9】
前記第2の所定電圧は、前記予リチウム化定電圧と同じであることを特徴とする請求項6に記載のソフトカーボン負極の予リチウム化方法。
【請求項10】
請求項1~請求項9のいずれかの一項の方法により予リチウム化されたソフトカーボン負極と、
前記ソフトカーボン負極と間隔が開いている正極と、
前記ソフトカーボン負極と前記正極との間に配置されている電解質と、
前記電解質が通過できるように前記ソフトカーボン負極と前記正極との間に配置されている膜と、を備えることを特徴とする非対称リチウムイオンスーパーキャパシタ。
【請求項11】
前記正極は、活性炭及びアルカリ活性ソフトカーボンのいずれかを含むことを特徴とする請求項10に記載の非対称リチウムイオンスーパーキャパシタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予リチウム化方法に関し、特にソフトカーボン負極の予リチウム化方法及びそれを含む非対称リチウムイオンスーパーキャパシタ(asymmetrical lithium-ion supercapacitor)に関する。ソフトカーボン負極は、リチウムイオンスーパーキャパシタの他にリチウムイオン二次電池にも使用することができる。
【背景技術】
【0002】
電気二重層キャパシタ(electrical double-layer capacitor、EDLC、一種の対称型スーパーキャパシタとして知られている)は、その中に存在する電解質の分解の電位窓に応じた比較的に低い動作電圧とエネルギー密度を有する。
【0003】
一方、バイポーラ設計を採用するEDLCは、改善された動作電圧を有する非対称スーパーキャパシタになる。
【0004】
スーパーキャパシタの正極と負極を異種に配置することで、使用電圧が向上した非対称型スーパーキャパシタが形成される。
【0005】
E=CV/2(Eはスーパーキャパシタに貯蔵できるエネルギーで、Cはスーパーキャパシタのキャパシタンスで、Vはスーパーキャパシタの両端の槽電圧(cell voltage)である)によって、非対称電極材料の異なる多様な組成を使用して非対称セルを構成し、且つ、多様な電解質を使用することでセル電圧を更に向上させる可能性があり、結果的に、非対称スーパーキャパシタのエネルギー貯蔵性能及び動作電圧を向上させることができる。
【0006】
近年、リチウムイオンキャパシタ(Lithium-ion capacitor、LIC)などのハイブリッドキャパシタに非対称設計(ハイブリッドキャパシタの負極と正極にそれぞれ異なる電極材料を使用する)を採用することによりスーパーキャパシタのエネルギー密度を大幅に向上させることが提起されている。
【0007】
リチウムイオンキャパシタは、主に活性炭を正極材料として、且つ、リチウムイオンの差し込み/抽出(インターカレーション/デインターカレーション)ができる材料を負極材料として採用する。
【0008】
負極材料の例は、グラファイトと、ハードカーボンと、ソフトカーボンと、チタン酸リチウムとが挙げられる。
【0009】
EDLCとの比較において、正極における活性炭の非ファラデー電流反応(即ち、アニオンの吸着/脱着)及び負極におけるリチウムイオンのファラデー反応(即ち、0V vs.Li/Liに近い電圧を有するリチウムイオンのインターカレーション/デインターカレーション)の結果として、セル電圧が1Vよりかなり高い状態でリチウムイオンキャパシタに非対称な充放電曲線が示される。
【0010】
このような非対称電極により、EDLCの約2.7Vの動作電圧と比べて遥かに高い約4.0Vの動作電圧を有するリチウムイオンキャパシタを実現する。
【0011】
しかしながら、このような非対称構造の電力密度やサイクル寿命は、負極材料の特性に依存する。
【0012】
上記の負極におけるリチウムイオンのインターカレーション/デインターカレーションは、0V vs.Li/Liに近い電圧を有し、且つ、負極材料の表面に固体電解質界面(solid electrolyte interphase、SEI)膜を形成する。
【0013】
従って、負極材料は、リチウムイオンキャパシタの負極として使用する前に、予リチウム化プロセスを経る。
【0014】
炭素系材料は、リチウムイオンキャパシタの負極として使用する前に、通常予リチウム化する必要がある。例えば特許文献1に示される予リチウム化方法で予リチウム化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】米国特許第9705154号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従って、本発明は、先行技術の欠点の少なくとも1つを緩和することができ、且つ予リチウム化期間を短縮できるソフトカーボン負極の予リチウム化方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成すべく、本発明は、
ソフトカーボン負極及びリチウム金属片を、互いに間隔を開けて、リチウム含有電解質が前記ソフトカーボン負極及び前記リチウム金属片の間に存在するように配置するステップAと、
前記ソフトカーボン負極の電圧が0.3V(vs.Li/Li)以下の第1の所定電圧に降下するまで、5C以下の第1の恒定Cレートで、前記ソフトカーボン負極を予リチウム化するステップBと、
前記ステップBの後に、前記ソフトカーボン負極の電圧が前記第1の所定電圧より小さい第2の所定電圧に降下するまで、前記第1の恒定Cレートより小さく且つ0.2C以下の第2の恒定Cレートで、前記ソフトカーボン負極を予リチウム化するステップCと、
前記ステップCの後に、前記第2の所定電圧以下の予リチウム化定電圧で、前記ソフトカーボン負極を予リチウム化して、前記ソフトカーボン負極の予リチウム化を完成するステップDと、を含むことを特徴とするソフトカーボン負極の予リチウム化方法を提供する。
【0018】
また、本発明は、
上記の方法により予リチウム化されたソフトカーボン負極と、
前記ソフトカーボン負極と間隔が開いている正極と、
前記ソフトカーボン負極と前記正極との間に配置されている電解質と、
前記電解質が通過できるように前記ソフトカーボン負極と前記正極との間に配置されている膜と、を備えることを特徴とする非対称リチウムイオンスーパーキャパシタを提供する。
【発明の効果】
【0019】
上記の構成により、複数のステップでソフトカーボン負極を予リチウム化するので、予リチウム化に必要な期間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】定電流で予リチウム化されたソフトカーボン負極の比容量に対する電圧のグラフである。
図2】0.1CのCレート(C-rate)における定電流に続いて定電圧で予リチウム化された他のソフトカーボン負極の比容量に対する電圧のグラフである。
図3】0.5CのCレートにおける定電流に続いて定電圧で予リチウム化された更に他のソフトカーボン負極の比容量に対する電圧のグラフである。
図4】本発明の予リチウム化方法を実行するためのシステムを示す図である。
図5】本発明の方法により予リチウム化された負極を含む非対称リチウムイオンスーパーキャパシタの実施形態を示す図である。
図6】実施例2において予リチウム化されたソフトカーボン負極の比容量に対する電圧のグラフである。
図7】実施例2-1において予リチウム化されたソフトカーボン負極の比容量に対する電圧のグラフである。
図8】実施例2-2において予リチウム化されたソフトカーボン負極の比容量に対する電圧のグラフである。
図9】実施例2-2-2において予リチウム化されたソフトカーボン負極の比容量に対する電圧のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0022】
本明細書では、説明を明確にするために、図面に例示されるような用語を参照しながら、「頂」、「底」、「上」、「下」、「上側」、「下方」、「上方」などの空間的相対用語が本明細書を通じて使用されてよいことに注意されたい。機構は、異なる方向(例えば、90度回転したものや他の方向)でもよく、本明細書で使用される空間的に相対的な用語は、それに応じて解釈される場合がある。
【0023】
ソフトカーボン負極の予リチウム化において含まれる要素を評価するために、様々な予リチウム化プロセスについて説明する。
【0024】
図1及び図2は、2つの異なる予リチウム化プロセスによる2つの同一のソフトカーボン負極を示す。
【0025】
図1及び図2に示される各予リチウム化プロセスにおいて、先ず、ソフトカーボン負極及びリチウム金属片を間隔を開けて配置して、リチウム含有電解質が前記ソフトカーボン負極及び前記リチウム金属片の間に存在するようにする。
【0026】
そして、前記ソフトカーボン負極及び前記リチウム金属片(Li/Li参照電極とするもの)に対し、複数回の予リチウム化/非リチウム化(prelithiating/delithiating)プロセスのサイクルを行うことにより、それぞれの予リチウム化ソフトカーボン負極を得る。
【0027】
図1に対応する予リチウム化プロセスは、予リチウム化過程において、定電流(constant current、「CC」と表記される)で前記ソフトカーボン負極を予リチウム化することを含む。
【0028】
図2に対応する予リチウム化プロセスは、予リチウム化過程において、0.1Cの恒定Cレートにおける定電流に続いて定電圧(constant voltage、「CV」と表記される)で前記ソフトカーボン負極を予リチウム化することを含む。
【0029】
図2に示される予リチウム化プロセスはまた、式1で示すことができる。
【0030】
【数1】
【0031】
上記各予リチウム化プロセスにおいて、比容量に対するソフトカーボン負極の電圧(Y軸)(Li/Li参照電極を基準に測定)が示される。
【0032】
予リチウム化前に、ソフトカーボン負極は、1.5V(vs.Li/Li)より大きく且つ2V(vs.Li/Li)以下の初期電圧を有する。
【0033】
5回のサイクルの予リチウム化/非リチウム化は、図1及び図2に示される。
【0034】
前記2つのソフトカーボン負極の非リチウム化容量(Cs)及びクーロン効率は、表1に示される。
【0035】
表1及び図1に示されるように、ソフトカーボン負極に定電流予リチウム化のみを行う予リチウム化工程においては、第1サイクル及び第2サイクルにてソフトカーボン負極の不可逆容量損失が発見され、ソフトカーボン負極の非リチウム化容量は、サイクル数の増加と伴い減少し、且つ、ソフトカーボン負極のクーロン効率は、第5サイクルまで変化した。
【0036】
更に、5回のサイクルにおける非リチウム化曲線は重なり合わなく、特に、非リチウム化曲線の末端は、重なり合わない。
【0037】
これは、おおよそソフトカーボン負極の予リチウム化/非リチウム化の第4サイクル及び第5サイクル以前では、ソフトカーボン負極の表面における固体電解質界面(SEI)膜の形成が完成されていないことを示す。
【0038】
表1及び図2に示されるように、0.1Cの恒定Cレートにおける定電流に続いて定電圧(CV)でソフトカーボン負極を予リチウム化することを含む予リチウム化プロセスにおいては、ソフトカーボン負極の不可逆容量損失は、主に第1サイクルでのみ発見され、第2サイクル~第5サイクルではほぼ見られなかった。
【0039】
ソフトカーボン負極の非リチウム化容量は、5回のサイクルにおいて類似し、且つ、ソフトカーボン負極のクーロン効率は、第3サイクルから変化しない。
【0040】
また、5回のサイクルにおける非リチウム化曲線は、互いに重なり合い、安定している。
【0041】
従って、SEI膜の形成は、予リチウム化プロセスの第1サイクルの予リチウム化(即ち、定電流(CC)に続いての定電圧(CV)によるソフトカーボン負極の予リチウム化の方法)で完成し、それは、予リチウム化プロセス時間の短縮を促す。
【0042】
従って、定電圧(CV)でソフトカーボン負極を予リチウム化するステップは、以下の考察において、ソフトカーボン負極の予リチウム化方法に含まれる。
【0043】
図3には、定電流が0.5Cの恒定Cレートで印加されること以外、図2に類似している他の予リチウム化プロセスが示される。
【0044】
図3に示される予リチウム化プロセスは、式2で示される。
【0045】
【数2】
【0046】
図2に示される結果により、定電圧(CV)でソフトカーボン負極を予リチウム化することにより、SEI膜の形成が完成するがわかる。しかし、表1及び図3に示されるように、高い定電流でソフトカーボン負極を予リチウム化すること(即ち高いCレートでソフトカーボン負極を予リチウム化することに続いて定電圧でソフトカーボン負極を予リチウム化すること)は、短期間でソフトカーボン負極を予リチウム化できることに繋がらない。
【0047】
0.5Cで予リチウム化されたソフトカーボン負極のクーロン効率は数サイクルの間変動し続け、これはソフトカーボン負極の予リチウム化が完成していないことを示す。これは、恒定Cレートでのソフトカーボン負極の予リチウム化中(即ち、2Vから0.01Vに電圧が降下している間)に、電位範囲(potential range)が比較的に低い場合(例えば、0.3V~0.01V)、ソフトカーボンのリチウムイオンインターカレーション容量(lithium-ion intercalation capacity)が比較的に高く、リチウムイオンがソフトカーボン負極に移動する速度が比較的に低いことが原因と考える。
【0048】
従って、ソフトカーボン負極は、比較的高い電位範囲において比較的に高い恒定Cレートで予リチウム化し、続いて比較的低い電位範囲において比較的に低い恒定Cレートで予リチウム化すると、ソフトカーボン負極の予リチウム化が完成し、且つソフトカーボン負極の予リチウム化の期間を短くすることができる。
【0049】
【表1】
クーロン効率=(1回の非リチウム化プロセスにおける容量損失/1回の予リチウム化プロセスにおいて得られた容量)×100wt%
【0050】
上記の内容に基づいて、本発明の実施形態により、以下の段落では、短期間で完了できるソフトカーボン負極の予リチウム化方法を提供する。
【0051】
本発明のソフトカーボン負極の予リチウム化方法は、予リチウム化プロセスを備える。
【0052】
該予リチウム化プロセスは、以下に示すステップA~ステップDを含む。
【0053】
図4は、本発明の予リチウム化方法の一部の実施形態を実行するためのシステム1を示す図である。
【0054】
なお、システム1の各構成要件は、模式的に説明するためのものであり、縮尺通りに描かれてはいない。
【0055】
ステップAにおいて、システム1には、ソフトカーボン負極11及びリチウム金属片12を、互いに間隔を開けて、リチウム含有電解質(図示せず)がソフトカーボン負極11及びリチウム金属片12の間に存在するように配置する。
【0056】
リチウム金属片12は、同時にLi/Li参照電極ともし得る。
【0057】
システム1は、以下のステップでソフトカーボン負極11を予リチウム化するために外部電源(図示せず)と接続されている。
【0058】
図4に示されるように、システム1は、ソフトカーボン負極11と、リチウム金属片12と、リチウム含有電解質(図示せず)に浸っているセパレータ13と、パッド14と、スプリング15と、上蓋16と、下蓋17とを含む。
【0059】
ソフトカーボン負極11と、リチウム金属片12とは、セパレータ13により互いに間隔が開いている。
【0060】
セパレータ13は、リチウム含有電解質に浸っており、且つ、リチウム含有電解質が通過でき、且つ、ソフトカーボン負極11とリチウム金属片12との物理接触を防ぐことできる。
【0061】
一部の実施形態において、リチウム含有電解質は、溶媒に溶解されているヘキサフルオロリン酸リチウム(lithium hexafluorophosphate、LiPF)を含む。
【0062】
該溶媒として、エチレンカーボネート(ethylene carbonate、以下ECと略称する)、エチレンメチルカーボネート(ethylene methyl carbonate、以下、EMCと略称する)、ジメチルカーボネート(dimethyl carbonate、以下、DMCと略称する)、炭酸ジエチル(diethyl carbonate、以下、DECと略称する)及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0063】
また、リチウム含有電解質は、添加剤としてビニレンカーボネート(vinylene carbonate、以下、VCと略称する)を更に含むことができる。
【0064】
特定の実施形態において、リチウム含有電解質は、EC:EMC:DMCの体積比が1:1:1であり、且つ、リチウム含有電解質の総重量に基づいて1wt%のビニレンカーボネートを含む溶媒に溶解された濃度1MであるLiPFを含有する。
【0065】
他の実施形態において、リチウム含有電解質は、EC:DMCの体積比が1:1であるEC及びDMCを含む溶媒に溶解された濃度1MであるLiPFを含有する。
【0066】
他の実施形態において、リチウム含有電解質は、EC:DECの体積比が1:1であるEC及びDECを含む溶媒に溶解された濃度1MであるLiPFを含有する。
【0067】
パッド14とスプリング15と上蓋16と下蓋17とは、ソフトカーボン負極11の予リチウム化を容易にするための任意の適切な材料で作られてもよい。
【0068】
ステップBにおいて、ソフトカーボン負極11の電圧が0.3V(vs.Li/Li、本発明で言及する電圧は、Li/Li参照電極を基準にして測定したものであり、且つ、予リチウム化前において、ソフトカーボン負極11は、1.5V(vs.Li/Li)より大きく且つ2V(vs.Li/Li)以下の初期電圧を有する。)以下の第1の所定電圧に降下するまで、第1の恒定Cレートにおける第1の定電流で、ソフトカーボン負極11を予リチウム化する。
【0069】
一部の実施形態において、前記第1の恒定Cレートは5C以下である。他の実施形態において、前記第1の恒定Cレートは、0.5C~5Cの範囲にある。
【0070】
前記第1の恒定Cレートを0.5C以上とすることにより、ステップBを行うのにかかる時間を合理的な範囲内にすることができる。
【0071】
前記第1の恒定Cレートを5C以下とすることにより、ソフトカーボン負極11の予リチウム化の効果を確保することができる。
【0072】
特定の実施形態において、前記第1の所定電圧は、0.1V~0.3V(vs.Li/Li)の範囲にある。
【0073】
即ち、ステップBにおいては、ソフトカーボン負極11の電圧が0.1V~0.3V(vs.Li/Li)の範囲にある第1の所定電圧に降下するまで、0.5C~5Cの範囲にある第1の恒定Cレートで、ソフトカーボン負極11を予リチウム化することができる。
【0074】
ステップCにおいて、ステップBの後、ソフトカーボン負極11の電圧が前記第1の所定電圧より小さい第2の所定電圧に降下するまで、第2の恒定Cレートにおける第1の定電流より小さい第2の定電流で、ソフトカーボン負極11を予リチウム化する。
【0075】
一部の実施形態において、前記第2の恒定Cレートは、前記第1の恒定Cレートより小さく且つ0.2C以下である。他の実施形態において、前記第2の恒定Cレートは、0.05C~0.2Cの範囲にある。
【0076】
特定の実施形態において、前記第2の所定電圧は、0.01V(vs.Li/Li)以上である。
【0077】
ステップDにおいて、ステップCの後、前記第2の所定電圧以下の予リチウム化定電圧で、ソフトカーボン負極11を予リチウム化して、ソフトカーボン負極11の予リチウム化を完成する。
【0078】
特定の実施形態において、前記予リチウム化定電圧は、前記第2の所定電圧と同じである。
【0079】
一部の実施形態において、ステップDは、0.5時間~24時間の範囲の期間で行うことによりソフトカーボン負極11の予リチウム化を完成する。
【0080】
他の実施形態において、ソフトカーボン負極11は、前記予リチウム化定電圧で第3の(可変)Cレートにおける第3の(可変)電流により予リチウム化される。
【0081】
他の実施形態において、前記第2の恒定Cレートが0.1C以上の場合に、ステップDは、前記第3のCレートが0.05Cになる際に終了し、ソフトカーボン負極11の予リチウム化を完成する。
【0082】
更に他の実施形態において、前記第2の恒定Cレートが0.1未満の場合に、ステップDは、前記第3の電流が前記第2の恒定Cレートの50%未満になる際に終了し、ソフトカーボン負極11の予リチウム化を完成する。
【0083】
一部の実施形態において、必要があれば、本発明のソフトカーボン負極の予リチウム化方法は、予リチウム化プロセスの後に非リチウム化プロセスを更に備える。
【0084】
予リチウム化/非リチウム化プロセスは、必要があれば、希望のサイクル数を繰り返すことができる。
【0085】
その場合、繰り返すサイクル(1回目のサイクル以降のサイクル)の予リチウム化プロセスには、ステップA、即ちシステム1のセットアップが省略される。
【0086】
本発明のソフトカーボン負極の予リチウム化方法において、3つの異なるステージでソフトカーボン負極11を予リチウム化することにより、リチウムイオンをソフトカーボン負極11に移動させて、ソフトカーボン負極11の予リチウム化を完成する。
【0087】
該3つのステージは、それぞれ前述したステップB、ステップC、ステップDである。
【0088】
ステップB及びステップCにおいて、ソフトカーボン負極11は、高い定電流(高いCレート)で予リチウム化された後、低い定電流(低いCレート)で予リチウム化され、且つ、その後ステップDにおいて前記予リチウム化定電圧で予リチウム化される。
【0089】
予リチウム化を多段階のステージで行うことで、本発明のソフトカーボン負極の予リチウム化方法は、著しく短い期間で予リチウム化されたソフトカーボン負極が得られる。
【0090】
一部の実施形態において、ソフトカーボン負極11の予リチウム化は、一回の予リチウム化を3つのステージで行うことにより完成する。即ち、上記3つのステージを有する一回の予リチウム化を行うことにより、ソフトカーボン負極11の予リチウム化を完成する。
【0091】
上記予リチウム化されたソフトカーボン負極11は、リチウムイオン電池(図示せず)のソフトカーボン負極として使用でき、または、図5に示される非対称リチウムイオンスーパーキャパシタ2のソフトカーボン負極21として使用できる。図5に示されるように、本発明の非対称リチウムイオンスーパーキャパシタ2は、ソフトカーボン負極21と、ソフトカーボン負極21と間隔が開いている正極22と、膜23と、電解質24とを備える。
【0092】
電解質24は、ソフトカーボン負極21と正極22との間に配置されている。
【0093】
膜23は、電解質24が通過できるようにソフトカーボン負極21と正極22との間に配置されている。
【0094】
また、正極22は、活性炭及びアルカリ活性ソフトカーボンのいずれかを含む。
【0095】
予リチウム化されたソフトカーボン負極21と、活性炭を含む正極22とを備える非対称リチウムイオンスーパーキャパシタ2は、例えば約3.8Vの比較的に高い動作電圧で作動できる。
【0096】
一部の実施形態において、非対称リチウムイオンスーパーキャパシタ2は、対称キャパシタの少なくとも2倍のエネルギー密度を有することができる。
【0097】
以下、本発明の実施例について説明する。これらの実施例は、例示的かつ説明的なものであり、且つ、本発明を限定するものと解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0098】
<予リチウム化システムの製造>
予リチウム化システムは、図4を参照して説明したように製造されたものである。該予リチウム化システムは、ソフトカーボン負極と、リチウム金属片と、リチウム含有電解質に浸っているセパレータと、パッドと、スプリングと、上蓋と、下蓋とを含む。
【0099】
該ソフトカーボン負極は、ソフトカーボンと、カルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose)と、炭素系導電材料(carbon-based conductive material、Vulcan XC-72)とを含むスラリーを銅箔に、該ソフトカーボンの重量が平方センチメートルあたり2mgとなるようにコーティングすることにより製造された。
【0100】
該リチウム金属片は、リチウム金属シート(台湾Ubiq Technology Co., Ltd.社から購入)を直径10mmから12mmのディスク状にカットすることにより製造された。
【0101】
該セパレータは、膜を電解質に浸すことによりなったものである。
【0102】
該電解質は、ヘキサフルオロリン酸リチウムを濃度が1Mになるように、EC:EMC:DMCの体積比が1:1:1であり、且つ、該電解質の総重量に基づいて1wt%のビニレンカーボネートを含む溶媒に溶解することにより製造された。
【0103】
<実施例1>(E1)
予リチウム化システムに対し、0.01V~2Vの電圧で複数回のサイクルの予リチウム化/非リチウム化を行った。
【0104】
予リチウム化開始前において、ソフトカーボン負極は、2V(vs.Li/Li+)の電圧を有する。
【0105】
各非リチウム化期間において、ソフトカーボン負極は、0.1Cのレートで非リチウム化した。
【0106】
各予リチウム化期間において、ソフトカーボン負極は、ステージi(ステップB)において、0.3V(vs.Li/Li、電圧の値は、Li/Li参照電極を基準に測定された値)の第1の所定電圧に降下するまで、0.5Cの第1の恒定Cレートで予リチウム化し(即ち第1の定電流で予リチウム化した)、ステージii(ステップC)において、0.01V(vs.Li/Li)の第2の所定電圧に降下するまで、0.1Cの第2の恒定Cレートで予リチウム化し(即ち第2の定電流で予リチウム化し)、そして、ステージiii(ステップD)において、0.01V(vs.Li/Li)の予リチウム化定電圧で5時間予リチウム化して、前記ソフトカーボン負極の予リチウム化が完成した。
【0107】
ステージi~ステージiiiは、下式で示される。
【0108】
【数3】
【0109】
<実施例2>(E2)
ソフトカーボン負極の予リチウムのE2は、ステージiにおいて、第1の所定電圧が0.1V(vs.Li/Li)である以外、E1に類似している。
【0110】
ステージi~ステージiiiは、下式で示される。
【0111】
【数4】
【0112】
<比較例1>(CE1)
CE1は、予リチウム化を2つのステージのみで行う点でE1と異なる。
【0113】
具体的には、CE1では、E1における2つの異なる定電流で予リチウム化する2つのステージ(即ちE1のステージi及びステージii)を、1つの定電流で予リチウム化する1つのステージ(即ちCE1のステージi)に変えた。
【0114】
CE1のステージiiは、E1のステージiiiと同じである。
【0115】
CE1のステージi及びステージiiは、下式で示される。
【0116】
【数5】
【0117】
ソフトカーボン負極の第2サイクル~第5サイクルのクーロン効率が高く且つ変動が少ない場合、ソフトカーボン負極の第1サイクルの完成は、ソフトカーボン負極の予リチウム化が完了したものと見なす。
【0118】
E1、E2、CE1のソフトカーボン負極の第1サイクルの予リチウム化完了までの期間は、表2に示される。
【0119】
【表2】
N/A=不適用
【0120】
E1及びE2のソフトカーボン負極の第1サイクル予リチウム化は、CE1のソフトカーボン負極の第1サイクル予リチウム化より早く完成した。
【0121】
また、E2のソフトカーボン負極の第1サイクル予リチウム化は、E1のソフトカーボン負極の第1サイクル予リチウム化より早く完成した。
【0122】
E2のソフトカーボン負極の予リチウム化/非リチウム化曲線は、図6に示される。
【0123】
そして、E2のソフトカーボン負極を予リチウム化するために行った3つのステージに基づき、3つのステージのそれぞれのパラメーターを最適化するための研究を更に行った。詳細を、以下に示す。
【0124】
ステージiiiの期間の最適化
<実施例2-1>(E2-1)
ソフトカーボン負極の3つのサンプルのそれぞれは、予リチウム化のステージiiiの期間が異なる、即ちそれぞれ0.5時間、1時間、2時間とした以外、E2と類似している。
【0125】
E2及び該3つのサンプルにおける予リチウム化されたソフトカーボン負極の非リチウム化容量及びクーロン効率は、表3に示される。
【0126】
【表3】
【0127】
表3に示される各サンプルでは第2サイクル~第5サイクルのクーロン効率が高く且つ変動が少ないので、表3に示される各サンプルの第1サイクルの完成は、ソフトカーボン負極の予リチウム化が完了したものと見なす。
【0128】
表3に示されるように、ソフトカーボン負極の予リチウム化(E2及び3つのサンプル全部)は、ステージiiiを0.5時間~5時間の範囲の期間をかけて行うことで、完成した。
【0129】
更に、0.5時間~2時間の範囲の期間でも、ソフトカーボン負極の予リチウムのステージiiiを十分に完成できる。
【0130】
以下の説明では、ステージiiiを2時間(0.5時間、1時間、2時間及び5時間の中間的な値)行ったサンプルを実施例2-1(E2-1)とした。
【0131】
E2-1のソフトカーボン負極の予リチウム化/非リチウム化曲線は図7に示される。
【0132】
E2-1のソフトカーボン負極の予リチウムの予リチウム化におけるステージi~ステージiiiは、下式に示される。
【0133】
【数6】
【0134】
ステージiのCレートの最適化
<実施例2-2、2-3、2-4>(E2-2、E2-3、E2-4)
ソフトカーボン負極の予リチウムのE2-2、E2-3、E2-4のそれぞれは、ステージiにおいて異なるCレート、即ちそれぞれが1C、2C、5Cでソフトカーボン負極を予リチウム化した以外、E2-1と類似している。
【0135】
E2-1、E2-2、E2-3、E2-4における予リチウム化されたソフトカーボン負極の非リチウム化容量及びクーロン効率は、表4に示される。
【0136】
E2-1、E2-2、E2-3、E2-4及びCE1におけるソフトカーボン負極の第1サイクル予リチウム化の各ステージ(異なる電圧レベルでの予リチウム化)が完了するまでの期間は、表5に示される。
【0137】
【表4】
【0138】
【表5】
N/A=不適用
【0139】
表4及び表5に示されるように、E2-2のソフトカーボン負極の予リチウムは、ステージiにおいて、1Cでソフトカーボン負極を予リチウム化し、ステージiiにおいて、0.1Cでソフトカーボン負極を予リチウム化し、第1サイクル予リチウム化は、最も短い期間で完了し、且つ、2ステージ方法(即ち、CE1の予リチウムのように、1つの定電流の1つの予リチウム化ステージを使用し、その後の1つの定電圧で予リチウム化する方法)の約50%の期間で完成した。
【0140】
E2-2のソフトカーボン負極の予リチウム化/非リチウム化曲線は、図8に示される。
【0141】
ステージi~ステージiiiに示されるE2-2のソフトカーボン負極の予リチウムは、下式に示される。
【0142】
【数7】
【0143】
ステージiiのCレートの最適化
<実施例2-2-1、2-2-2>(E2-2-1、E2-2-2)
ソフトカーボン負極の予リチウムのE2-2-1、E2-2-2のそれぞれは、ステージiiにおいて異なるCレートで、即ちそれぞれが0.05C、0.2Cでソフトカーボン負極を予リチウム化した以外、E2-2と類似している。
【0144】
E2-2-1、E2-2-2における予リチウム化されたソフトカーボン負極の非リチウム化容量及びクーロン効率は、表6に示される。
【0145】
E2-2-1、E2-2-2におけるソフトカーボン負極の第1サイクル予リチウム化の各ステージ(異なる電圧レベルでの予リチウム化)が完了するまでの期間は、表7に示される。
【0146】
【表6】
【0147】
【表7】
【0148】
表6及び表7に示されるように、E2-2-2のソフトカーボン負極の予リチウムは、ステージiにおいて、1Cでソフトカーボン負極を予リチウム化し、ステージiiにおいて、0.2Cでソフトカーボン負極を予リチウム化したところ、第1サイクル予リチウム化が最も短い期間で完成した。
【0149】
E2-2-2のソフトカーボン負極の予リチウム化/非リチウム化曲線は、図9に示される。
【0150】
ステージi~ステージiiiに示されるE2-2-2のソフトカーボン負極の予リチウムは、下式に示される。
【0151】
【数8】
【0152】
上記の内容によれば、本発明のソフトカーボン負極の予リチウム化方法は、予リチウム化の程度を制御することができる電気化学的な方法が行われ、ソフトカーボン負極の予リチウム化が短時間で完了する。更に、該ソフトカーボン負極は、比較的高い動作電圧を有する非対称リチウムイオンスーパーキャパシタに応用できる。
【0153】
上記実施形態は例示的に本発明の原理及び効果を説明するものであり、本発明を制限するものではない。本技術を熟知する当業者であれば本発明の精神及び範囲から離れないという前提の下、上記の実施形態に対して若干の変更や修飾が可能である。従って、当業者が本発明の主旨から離れないという前提の下、行った全ての変更や修飾も本発明の保護範囲に含まれるものとされるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0154】
本発明のソフトカーボン負極の予リチウム化方法は、ソフトカーボン負極の予リチウム化に好適である。
【符号の説明】
【0155】
1 システム
11 ソフトカーボン負極
12 リチウム金属片
13 セパレータ
14 パッド
15 スプリング
16 上蓋
17 下蓋
2 非対称リチウムイオンスーパーキャパシタ
21 ソフトカーボン負極
22 正極
23 膜
24 電解質
【要約】
【課題】ソフトカーボン負極の予リチウム化方法を提供する。
【解決手段】ソフトカーボン負極及びリチウム金属片を、互いに間隔を開けてリチウム含有電解質がその間に存在するように配置するステップAと、前記ソフトカーボン負極の電圧が0.3V(vs.Li/Li)以下の第1の所定電圧に降下するまで、5C以下の第1の恒定Cレートで、前記ソフトカーボン負極を予リチウム化するステップBと、前記ソフトカーボン負極の電圧が前記第1の所定電圧より小さい第2の所定電圧に降下するまで、前記第1の恒定Cレートより小さく且つ0.2C以下の第2の恒定Cレートで、前記ソフトカーボン負極を予リチウム化するステップCと、前記第2の所定電圧以下の予リチウム化定電圧で、前記ソフトカーボン負極を予リチウム化するステップDと、を含む。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9