(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】エアデータプローブの動作検証装置及び動作検証方法
(51)【国際特許分類】
G01L 19/12 20060101AFI20240301BHJP
【FI】
G01L19/12 J
(21)【出願番号】P 2023080076
(22)【出願日】2023-05-15
(62)【分割の表示】P 2019037116の分割
【原出願日】2019-03-01
【審査請求日】2023-05-15
(32)【優先日】2018-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100138759
【氏名又は名称】大房 直樹
(72)【発明者】
【氏名】グラント・ゴードン
(72)【発明者】
【氏名】ラヴィプラカシュ・ソータダクムブリ
(72)【発明者】
【氏名】ユージーン・ジー・ランドリー
(72)【発明者】
【氏名】マール・エル・サンド
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0150122(US,A1)
【文献】特表2011-522245(JP,A)
【文献】国際公開第2011/155020(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0216879(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 7/00-23/32
G01L 27/00-27/02
G01D 3/00-3/10
G01D 18/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサに、プロセスを実行させるプログラムを格納した非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体であって、前記プロセスは、
車両上の各エアデータプローブから、周波数にわたって測定されたノイズレベルを含む測定された空気圧データを受信すること(554)と、
前記車両上の少なくとも1つのセンサシステムから第1データセットを受信すること(556)と、
ノイズモデリングシステム及び前記受信した第1データセットを使用して、各エアデータプローブに対する周波数にわたる予測されたノイズレベルを決定すること(558)であって、前記ノイズモデリングシステムは、エアデータプローブのデザイン、ノイズ源の特性、および他のセンサのタイプに基づくノイズモデルを含む、決定することと、
各エアデータプローブに対する前記予測されたノイズレベルと前記測定されたノイズレベルとの差を決定すること(560)と、
前記エアデータプローブのうちのいずれかの前記決定された差が第1の閾値よりも大きいか否かを決定することによって、いずれかのエアデータプローブが不良であるか否かを決定すること(562)であって、前記予測されたノイズレベルと前記測定されたノイズレベルとの差が前記第1の閾値よりも大きい場合には、エアデータプローブが不良とみなされる、決定すること(562)と、
前記エアデータプローブのうちのいずれかの前記予測されたノイズレベルと前記測定されたノイズレベルとの前記決定された差が前記第1の閾値よりも大きい場合に、(a)少なくとも1つのエアデータプローブが不良であることを、少なくとも1つの車両システムに警告するための信号の生成、(b)少なくとも1つのエアデータプローブが不良であることを、前記車両の乗員に警告するための信号の生成、及び(c)全てのエアデータプローブに対する加重平均空気圧の決定であって、いずれかの不良エアデータプローブの空気圧が、いずれかの非不良エアデータプローブの空気圧よりも小さい重みを有する、決定、のうちの少なくとも1つを行うこと(564)と、を含む、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項2】
いずれかのエアデータプローブが不良であるか否かを決定することは、
a.1つ以上の周波数における、及び/又は1つ以上の帯域(複数可)にわたる、1つ以上のエアデータプローブに対する前記予測されたノイズレベルと前記測定されたノイズレベルとの前記差、
b.任意の2つの周波数における、又は帯域(複数可)にわたる、エアデータプローブの前記予測されたノイズレベルと前記測定されたノイズレベルとの差、
c.任意の2つの周波数における、又は帯域(複数可)にわたる、エアデータプローブの測定されたノイズの差、
d.ある周波数又は帯域における2つ以上のエアデータプローブの測定されたノイズの差、のうちの少なくとも1つを分析することを更に含む、請求項1に記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項3】
システム(100)であって、
少なくとも2つのエアデータプローブ(112)と、
前記少なくとも2つのエアデータプローブに連結されたエアデータ監視システム(110)と、
ノイズ源(106)及び方向制御システム(108)のうちの少なくとも1つと、
前記ノイズ源及び方向制御システムのうちの前記少なくとも1つに連結されたセンサシステム(104)と、
少なくとも1つの入出力装置(I/O)(105)と、
ノイズモデリングシステム(102A)を備え、前記エアデータ監視システム、前記センサシステム、及び前記少なくとも1つのI/Oに連結された状態マシン(102)であって、
周波数にわたって測定されたノイズレベルを含む、各エアデータプローブによって測定された空気圧データを受信することと、
前記センサシステムによって測定された第1データセットを受信すること(556)と、
前記ノイズモデリングシステムにより、前記受信した第1データセットを使用して、前記少なくとも2つのエアデータプローブの各々に対する周波数にわたる予測されたノイズレベルを決定すること(558)であって、前記ノイズモデリングシステムは、エアデータプローブのデザイン、ノイズ源の特性、および他のセンサのタイプに基づくノイズモデルを含む、決定することと、
各エアデータプローブに対する前記予測されたノイズレベルと前記測定されたノイズレベルとの差を決定すること(560)と、
いずれかのエアデータプローブの前記決定された差が第1の閾値よりも大きいか否かを決定することによって、いずれかのエアデータプローブが不良であるか否かを決定することであって、前記予測されたノイズレベルと前記測定されたノイズレベルとの差が前記第1の閾値よりも大きい場合には、エアデータプローブが不良とみなされる、決定すること(562)と、
いずれかのエアデータプローブの前記予測されたノイズレベルと前記測定されたノイズレベルとの前記差が前記第1の閾値よりも大きい場合に、(a)少なくとも1つのエアデータプローブが不良であることを、少なくとも1つの車両システムに警告するための信号の生成、(b)前記少なくとも1つのI/Oにより、少なくとも1つのエアデータプローブが不良であることを、車両の乗員又は少なくとも1つの車両システムに警告するための信号の生成、及び(c)全てのエアデータプローブに対する加重平均空気圧の決定であって、いずれかの不良エアデータプローブの空気圧が、いずれかの非不良エアデータプローブの空気圧よりも小さい重みを有する、決定、のうちの少なくとも1つを行うこと(564)と、を行うように構成されている、状態マシン(102)と、を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
航空機の高度及び速度を測定するために、ピトープローブ(全圧を測定するか、又は動圧及び静圧の和)及び/又はピトー静圧管(静圧及び全圧を測定する)のエアデータプローブが使用されている。エアデータプローブは、誤測定値を生じさせる閉塞になりやすい。氷結、プローブからのカバーの取り外しの失敗、及び昆虫侵入に起因して閉塞が生じる可能性がある。エアデータプローブによる誤測定値は、航空機の墜落につながっている。このため、航空機の操作中にエアデータプローブの適切な動作を検証する必要がある。
【発明の概要】
【0002】
方法を提供する。本方法は、車両上の各エアデータプローブから測定された空気圧データを受信することと、車両上の少なくとも1つのセンサシステムから第1のデータセットを受信することと、ノイズモデリングシステム及び受信した第1のデータセットを使用して、各エアデータプローブに対する予測されたノイズレベルを決定することと、各エアデータプローブに対する伝送損失を決定することと、エアデータプローブのうちのいずれかの伝送損失が第1の閾値よりも大きいかどうかを決定することによって、いずれかのエアデータプローブが不良であるかどうかを決定することであって、その伝送損失が第1の閾値よりも大きい場合には、エアデータプローブが不良とみなされる、決定することと、エアデータプローブのうちのいずれかの伝送損失が第1の閾値よりも大きい場合に、(a)少なくとも1つのエアデータプローブが不良であることを、少なくとも1つの車両システムに警告するための信号の生成、(b)少なくとも1つのエアデータプローブが不良であることを、車両の乗員に警告するための信号の生成、及び(c)全てのエアデータプローブに対する加重平均空気圧の決定であって、不良エアデータプローブのいずれかの空気圧が、いずれかの非不良エアデータプローブの空気圧よりも小さい重みを有する、決定、のうちの少なくとも1つを行うことと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図面は例示的な実施形態のみを示し、したがって範囲を限定するものとみなされるべきではないことを理解した上で、例示的な実施形態を添付の図面を使用して更なる具体性及び詳細と共に説明する。
【0004】
【
図1】適切なエアデータプローブの動作を有効にするシステムを含む例示的な車両のブロック図を示す。
【0005】
【
図2】ノイズモデリングシステムの例示的なブロック図を示す。
【0006】
【
図3】対数伝送損失(デシベル)対対数周波数の例示的、チャートを示す。
【0007】
【
図4】圧力冗長システムの一実施形態のブロック図を示す。
【0008】
【
図5】エアデータプローブ測定値を検証する方法の例示的なフロー図を示す。
【0009】
慣例に従って、記載された様々な特徴は一定の縮尺で描かれているのではなく、例示的な実施形態に関連する特定の特徴を強調するように描かれている。参照文字は、図及び本文を通して同様の要素を示す。
【発明の詳細な説明】
【0010】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成する添付の図面を参照し、図面には特定の例示的な実施形態を例として示す。しかしながら、他の実施形態が利用されてもよく、構造的、機械的、及び電気的な変更がなされてもよいことが理解されるべきである。更に、図面及び明細書に提示された方法は、個々の工程が実行され得る順序を限定するものとして解釈されるべきではない。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0011】
車両の推進システムからの広帯域ノイズ(ノイズ)は、1つ以上のエアデータプローブ(エアデータプローブ(複数可))の、例えば圧力センサ(複数可)によって検出される。ノイズは、圧力センサにより検出することができる圧力波として伝搬する。
【0012】
本明細書では、ノイズという用語を使用する場合がある。本明細書で使用される、ノイズ及び音という用語は交換可能である。
【0013】
エアデータプローブは、圧力センサシステムの一種である。本発明は、例えば産業アプリケーション等の、任意のアプリケーションにおける圧力センサシステムに適用可能である。しかしながら、本発明は、教育的目的のために、車両で使用されるエアデータプローブ(複数可)と共に使用するために例示される。
【0014】
各エアデータプローブにより検出された対周波数のノイズレベルのモデルは、車両推進システム、制御システム、状態ベクトル、及び/又は環境のパラメータに基づいて生成される。一実施形態では、そのモデルは、例えば、車両部品の劣化及びエアデータプローブ(複数可)により検出されたそれによる対周波数のノイズレベルの変化を起因として、車両性能の経時変動を説明するために継続的に修正される。
【0015】
車両の動作中、エアデータプローブ間のノイズ測定値、及び/又は各エアデータプローブでのモデル化されたノイズレベルと測定されたノイズレベルとの間の差が、特徴付けられる。モデル化されたノイズと測定されたノイズ(及び任意に他の要因)との間の不一致は、エアデータプローブが誤動作する可能性があることを、車両システム(複数可)及び/又は乗員に警告するために使用される。
【0016】
図1は、適切なエアデータプローブの動作を有効にするシステムを含む例示的な車両(車両)100のブロック図を示す。車両100は、航空機、ヘリコプタ、宇宙船、又はエアデータプローブ(複数可)(エアデータプローブ(複数可))112を利用する任意の他のタイプの車両であってもよい。2つ以上のエアデータプローブ112は、同じ位置で又は車両100の外装の周りに異なる位置で位置してもよい。
【0017】
車両100は、エアデータ監視システム(ADM)110に連結された状態マシン(状態マシン)102を備える。ADM 110は、ピトー管(複数可)及び/又はピトー静圧管(複数可)等のエアデータプローブ(複数可)112に連結される。エアデータプローブ(複数可)は、環境特性(複数可)を表すパラメータ(複数可)、例えば空気圧を測定する。任意に、エアデータプローブ(複数可)112はまた、迎角、サイドスリップ、及び高度等の、車両100の性能に関する特性を表すパラメータ(複数可)を測定する。少なくとも1つの圧力センサが、各エアデータプローブ112及び/又はADM 110内に位置する。一実施形態では、空気圧管は、各エアデータプローブ112をADM 110に連結し、エアデータプローブ112毎の少なくとも1つの圧力センサが、ADM 110内に収容され、対応するエアデータプローブ112に連結された空気管に連結される。エアデータプローブ内の圧力センサは、そのプローブ内の圧力を測定する。このような圧力測定値は、DC又はゼロヘルツで又はその近傍である。圧力センサは、車両100の推進システム(推進システム)106から発生したより高い周波数でのノイズを検出することもできる。
【0018】
ADM 110は、そのようなパラメータを処理して、環境、及び/又は車両の他のシステムに連結された及び/又は車両100の乗員に通知される車両100の性能に関するデータを生成する。一実施形態では、ADM 110は、シグマデルタコンバータ等の、少なくとも1つのアナログ-デジタルコンバータ(データコンバータ(複数可))を含む。一実施形態では、固有のデータコンバータは、固有のエアデータプローブ、例えば、固有の圧力センサに連結される。別の実施形態では、単一のデータコンバータが使用され、それはマルチプレクサによって異なるエアデータプローブに順次に連結される。更なる実施形態では、データコンバータ(複数可)は、比較的短い捕捉期間、例えば、5マイクロ秒、及び比較的高いサンプリングレート、例えば、200kHzを有する。
【0019】
車両100はまた、例えば、ディスプレイ又はオーディオ警告システム(例えば、スピーカー、音声シンセサイザ、又はオーディオオシレータ)であり得る少なくとも1つの入出力装置105(I/O(複数可))を含む。I/O(複数可)105は状態マシン102に連結される。
【0020】
状態マシン102はまた、少なくとも1つのセンサシステム(センサシステム)104に連結される。センサシステム104は、推進システム106に、少なくとも1つの方向制御システム(方向制御システム(複数可))108に、環境センサ(複数可)に、及び/又は1つ以上の位置及び移動センサ(複数可)に連結される。推進システム106は、車両100の速度を制御するために使用される1つ以上のシステム、例えば、推進力の量を制御するためのスロットルシステム(複数可)に連結され得るジェットエンジン(複数可)、プロペラエンジン(複数可)、及び/又はロケット(複数可)を含む。方向制御システム(複数可)108は、車両100の走行方向を制御するための1つ以上のシステム、例えば、補助翼(複数可)の位置(複数可)、方向舵(複数可)の位置(複数可)、及び/又は車輪を含む。センサシステム104は、外部温度センサ(複数可)等の環境センサを含んでもよい。センサシステム104は、気圧高度計(複数可)、コンパス(複数可)、慣性ナビゲーションマネジメントユニット(複数可)、及び/又は地球衛星ナビゲーションシステム受信機(複数可)(例えば、GPS受信機(複数可))等の状態ベクトルセンサ(複数可)を含んでもよい。状態ベクトルセンサは、方向、位置、速度等の、車両100の状態ベクトルに関する情報を提供する。
【0021】
例示的な実施形態では、状態マシン102は、ノイズモデリングシステム(ノイズモデリングシステム)102Aと、信号処理システム(信号処理システム)102Bと、圧力冗長システム(圧力冗長システム)102Cと、を備える。状態マシン102は、それぞれが以下に説明する機能を実行する上記の構成要素と共に実施されることができるが、状態マシン102は、代替的に、例えば、同じ機能を実行する1つ以上の構成要素によって実施されることができる。よって、上記の構成要素は、例示的なものであり、かつ例示的な目的のために提供される。
【0022】
図示したノイズモデリングシステム102Aは、センサシステム104によって提供されるパラメータの値に基づいて、各エアデータプローブ(複数可)112によって測定される、例えばデシベルでノイズレベルを推測する。このようなパラメータとして、スロットルレベル(複数可)、ファン回転速度(N1)、芯(N2)の回転速度、タービン入口温度、燃料流量、ブリードエア圧力、車輪の重量、フラップ角、及び/又はスラスト反転状態(複数可)が含まれてもよい。代替的に、ノイズモデリングシステム102Aは、各エアデータプローブ(複数可)112によって測定されたノイズレベルを表す1つのノイズレベルを推測する。
【0023】
図2は、例示的なノイズモデリングシステム(ノイズモデリングシステム)202Aのブロック図を示す。図示したノイズモデリングシステム202Aは、少なくとも1つのセンサ推論器システム(センサ推論器システム(複数可))202A-1及びノイズモデリングサブシステム(ノイズモデリングサブシステム)202A-2を含む。ノイズモデリングサブシステム202A-2は、各エアデータプローブによって測定されたノイズレベルを推測するノイズモデルを含む。一実施形態では、ノイズモデルは、センサシステム104から受信したデータを使用して、例えば、センサ推論器システム(複数可)202A-1によって回帰分析によって係数が決定される1つ以上の多変数多項式である。全てのエアデータプローブに対して単一のノイズモデルが決定されてもよいし、又は各エアデータに対してノイズモデルが決定されてもよい。
【0024】
車両タイプ別に、及び同一車両タイプの車両別にノイズモデルを変えることができる。ノイズモデルは、エアデータプローブ(複数可)112のデザイン(例えば、管の寸法)、推進システム106のタイプ及び特性、並びに所与の車両のセンサシステム104のタイプに依存する。ノイズモデル及び初期係数は、車両100の動作をモデル化し、及び/又は例えば、エアデータプローブ(複数可)及び推進システムでのエンジンノイズ、制御システム、状態ベクトル、及び/又はセンサシステム104によって提供される環境パラメータデータ等の測定されたデータを使用して決定されてもよい。一実施形態では、センサシステム104は、このような推進システム、制御システム、状態ベクトル、及び/又は環境パラメータデータを測定するように及び/又は提供するように構成されている。
【0025】
ノイズモデリングサブシステム202A-2は、車両の推進システム106、方向制御システム(複数可)108、状態ベクトル、及び/又は環境のパラメータについて、センサシステム104からデータを受信するように、かつこのようなデータを使用して、1つ以上のノイズレベルの推測値を生成するように構成されている。センサ推論器システム(複数可)202A-1は、上記した回帰分析を、例えば、最小二乗分析を使用して行う。任意に、センサ推論器システム(複数可)202A-1は、経時的に、車両100の動作、新たに測定されたノイズデータ及び対応する推進システム、制御システム、状態ベクトル、及び/又は環境センサ104に提供されるパラメータデータを使用するノイズモデリングサブシステム202A-2によって使用される係数を修正するように構成されている。また、任意に、機械学習及び/又はファジィ論理を用いて、本明細書に記載の1つ以上の推論システムが実装される。例えば、センサ推論器システム(複数可)202A-1は、機械学習及び/又はファジィ論理を使用して、係数及び/又はノイズの方程式の対応する形式を修正してもよい。
【0026】
信号処理システム102Bは、デジタル信号処理機能を提供する。信号処理システム102Bは、各エアデータプローブでの、予測されたノイズレベルの差及び測定されたノイズを計算するように構成されている。任意の差分又は任意の有意な差分は、エアデータプローブ内の閉塞又は他の不良による伝送損失である。
【0027】
図3は、対数伝送損失(デシベル)対対数周波数300の例示的、チャートを示す。このような対数プロット上の一階に対して、ノイズ信号に対する伝送損失は周波数と共に単調に増加する。伝送損失は、周波数、例えばオクターブあたり6dBのスロープ、の関数として実質的に線形の領域を有する。実質的に線形の領域は、質量制御された領域帯域幅とも称される。ある質量がエアデータプローブの開口部内に又は開口部で挿入されると、一階に対する伝送損失が増加する。別の実施形態では、信号処理システム102Bは、1つ以上のエアデータプローブ(複数可)112に対して、例えば、線形回帰を使用して、測定されたデータを使用して質量制御された領域帯域幅を特定するように構成されている。次に、信号処理システム102Bは、質量制御された領域帯域幅の周波数範囲における、測定されたノイズレベルと予測されたノイズレベル(残留ノイズ)(すなわち、伝送損失(複数可))との間の差(複数可)を決定する。予測されたノイズレベルは、例えばノイズモデルサブシステム202Aのようなノイズモデルの独立した変数に、センサシステム104によって提供される測定されたデータを適用することによって決定される。例えば圧力推論器システム(圧力冗長推論器システム)402C-1が、エアデータプローブに対する質量制御された帯域幅における伝送損失が第1の閾値よりも大きいと決定した場合、そのエアデータプローブは不正確である可能性があるものということになる。
【0028】
第1の閾値は、状態マシン102のユーザ又は設計者によって定義されてもよい。ユーザによって定義された第1の閾値は、固定値であってもよい。システムによって定義された第1の閾値は、固定値であってもよく、又は一部の又は全てのエアデータプローブの伝送損失の平均値に依存した値であってもよい。
【0029】
質量制御された領域帯域幅は、広い帯域幅であってもよく、任意に、信号処理システム102Bは、例えば、スプリアス低周波成分を除去するための高域通過フィルタを用いて、及び/又は推進システム106の回転速度に対応する狭帯域ノイズピーク(複数可)を低減するためのノッチフィルタを用いて、測定されたノイズをフィルタリングするように構成されている。
【0030】
状態マシン102、例えば、信号処理システム102Bは、以下のうちの1つ以上を決定するように構成されている:
(a)1つ以上の離散的周波数(周波数(複数可))における、及び/又は1つ以上の周波数帯域(複数可)(帯域(複数可))にわたる、1つ以上の、例えばそれぞれのエアデータプローブに対する測定されたノイズレベルと予測されたノイズレベルとの間の差(伝送損失)。本明細書で使用されるノイズレベル測定値は、音圧レベル測定値である。任意に、帯域(複数可)は、質量制御された領域帯域幅にある。分析は、帯域(複数可)内の周波数インクリメント、例えば、分数オクターブ分析(すなわち、1オクターブ未満の帯域幅を有する帯域(複数可)にわたって)で実行される。その分析は、ノイズレベル測定値を比較すること、所与の周波数でのパワースペクトル密度、又は分数オクターブ分析を介すること、によって行うことができる。
(b)任意の2つの周波数における、又は帯域(複数可)にわたる、エアデータプローブの伝送損失の差。任意に、帯域(複数可)は、質量制御された領域帯域幅にある。その分析は、ノイズレベル測定値を比較すること、所与の周波数でのパワースペクトル密度、又は分数オクターブ分析を介すること、によって行うことができる。
(c)任意の2つの周波数における、又は帯域(複数可)にわたる、エアデータプローブの測定されたノイズの差。任意に、帯域(複数可)は、質量制御された領域帯域幅にある。その分析は、その帯域(複数可)内の周波数インクリメントで行われ、例えば分数オクターブ分析である。その分析は、ノイズレベル測定値、所与の周波数でのパワースペクトル密度を比較することによって、又は分数オクターブ分析を介して行うことができる。
(d)ある周波数又は帯域における、2つ以上のエアデータプローブの測定されたノイズの差。任意に、その帯域は、質量制御された領域帯域幅にある帯域幅にある。その分析は、ノイズレベル測定値、所与の周波数でのパワースペクトル密度を比較することによって、又は分数オクターブ分析を介して行うことができる。
機械学習及び/又はファジィ論理を用いて、項目a~dを分析に組み入れるために使用してもよい。また、任意に、上記決定されたパラメータ及び/又はいずれかの測定されたノイズレベルのうちの1つ以上は、デシベル単位である。
【0031】
図4は、圧力冗長システム(圧力冗長システム)402Cの一実施形態のブロック図を示す。圧力冗長システム402Cは、圧力冗長推論器システム402C-1及び重み付き圧力冗長マネジメントシステム(重み付き圧力冗長マネジメントシステム)402C-2を備える。一実施形態では、圧力冗長推論器システム402C-1は、いずれかのエアデータプローブの伝送損失が第1の閾値を超えたか否かを決定する。任意に、いずれかのエアデータプローブの伝送損失は、いずれかのエアデータプローブの平均伝送損失であってもよい。いずれかのエアデータプローブの伝送損失が第1の閾値を超えた場合には、圧力冗長推論器システム402C-1は、対応するエアデータプローブが不良であるとみなす。任意に、圧力冗長推論器システム402C-1はまた、上記決定されたパラメータを用いて、対応する上データプローブが不良であるかどうか、任意の2つのエアデータプローブ間の伝送損失の差、任意の2つの周波数における、又は帯域(複数可)にわたる、あるエアデータプローブの伝送損失の差、任意の2つのエアデータプローブの測定されたノイズの差、及び/又は任意の2つの周波数における、又は帯域にわたる、あるエアデータプローブの測定されたノイズの差、を決定する。
【0032】
任意に、一実施形態では、圧力冗長推論器システム402C-1は、不良のエアデータプローブ(複数可)について、車両システム(複数可)に警告するための、又は車両100の乗員に警告するための、信号(複数可)を生成する。例えば、圧力冗長推論器システム402C-1は、車両100の乗員に提供される視覚的及び/又は音声警告を生じさせる信号をI/O(複数可)によって生成してもよい。
【0033】
任意に一実施形態では、重み付き圧力冗長マネジメントシステム402C-2は、全てのエアデータプローブの少なくとも1つの重み付き圧力測定値を決定する。1つ以上のエアデータプローブが圧力冗長推論器システム402C-1によって不良ではないと決定されると、そのような非不良のエアデータプローブ(複数可)の対応する圧力測定値(複数可)に、例えば、固定値、又は不良のエアデータプローブの数及び/又は対応するエアデータプローブの伝送損失に依存する変数等の重みがそれぞれに割り当てられる。一実施形態では、圧力冗長推論器システム402C-1が1つ以上のエアデータプローブが不良であると決定すると、そのような不良のエアデータプローブ(複数可)の対応する圧力測定値(複数可)には、非不良のエアデータプローブのそれぞれに割り当てられた重み付けよりも小さい重みがそれぞれに割り当てられる。任意に、不良のエアデータプローブ(複数可)の圧力測定値に割り当てられた重みは、非不良のエアデータプローブ(複数可)に割り当てられた値(複数可)よりも小さい固定値、又は不良のエアデータプローブの数及び/又は対応するエアデータプローブの伝送損失に依存する変数である。
【0034】
一実施形態では、不良とみなされたエアデータプローブ(複数可)の圧力測定に割り当てられた重みはゼロである。この技術は、重み付き圧力測定値(複数可)の決定から、不良とみなされたエアデータプローブ(複数可)の圧力測定値を排除する。この技術は、間違った測定値を除去する投票スキームと類似する。
【0035】
一実施形態では、重み付き圧力冗長マネジメントシステム402C-2は、全てのエアデータプローブの重み付き圧力測定値を以下によって決定する。
(i)重みを決定し、重みの和が1となるように各重みを任意にスケーリングすること。
(ii)各非不良エアデータプローブに対応する重みに、対応する非不良エアデータプローブによって測定された空気圧を乗算すること。
(iii)各不良エアデータプローブに対応する重みに、対応する不良エアデータプローブによって測定された空気圧を乗算すること。及び
(iv)不良エアデータプローブ及び非不良エアデータプローブによって測定された重み付き空気圧を加算すること。
しかしながら、重み付き圧力測定値の計算は異なる方法で行ってもよい。
【0036】
図5は、エアデータプローブ測定値(エアデータプローブ測定値)500を検証する方法の例示的なフロー図を示す。
図5に示される方法500が
図1~4に示されるシステムにおいて実施されるものとして本明細書に記載される限りにおいて、他の実施形態が他の方法で実施され得ることが理解されるべきである。流れ図のブロックは、説明を容易にするために概して順次的に配置されている。しかしながら、この構成は単に例示的なものであり、方法(及び図に示されているブロック)に関連する処理は、異なる順序で起こり得る(例えば、ブロックに関連する処理のうちの少なくとも一部は、並行方式及び/又はイベント駆動方式で実行される)ことが理解されるべきである。
【0037】
任意に、車両上のエアデータプローブのノイズモデル(複数可)を決定する。任意に、ブロック550において、例えば上述したように、車両上のセンサシステムからの第1のデータセットを受信する。任意に、ブロック552において、例えば上述したように第1のデータセットを使用して、及びセンサ推論器システム(複数可)202A-1を使用して、少なくとも1つのノイズモデルを生成する。任意に、ブロック552において、少なくとも1つのノイズモデルを生成する前に、例えば、信号処理システム102Bにより、第1のデータセットを使用して、質量制御された領域帯域幅を決定する。
【0038】
車両の動作中、エアデータプローブの動作を検証し、及び/又は加重平均空気圧を決定する。ブロック554において、車両上の各エアデータプローブから測定された圧力を受信する。任意に、伝送損失を決定する前に、測定された圧力データを、例えば、高域通過フィルタ及び/又はノッチフィルタを用いて、推進システムの回転数でフィルタリングする。
【0039】
ブロック556において、車両上のセンサシステムから第2のデータのセットを受信する。ブロック558において、受信した第2のデータセットを使用して、例えば、ノイズモデリングサブシステム202A-2を使用して、各エアデータプローブに対して予測されたノイズレベルを決定する。一実施形態では、第2のデータセットを使用して少なくとも1つのノイズモデルを修正する。任意に、ブロック558において、予測されたノイズレベルを決定する前に、例えば信号処理システム102Bにより、第2のデータセットを使用して、質量制御された領域帯域幅を決定する。
【0040】
ブロック560において、例えば、圧力冗長推論器システム402C-1により、各エアデータプローブに対して伝送損失を決定する。ブロック562において、例えば、圧力冗長推論器システム402C-1により、いずれかのエアデータプローブの伝送損失の絶対値が第1の閾値よりも大きいか否かを決定する。ここで、対応する伝送損失が第1の閾値よりも大きい場合にはエアデータプローブを不良とみなす。任意に、上記(更に上述したもの)に加えて以下のデータのうちの1つ以上の分析に基づいて、いずれかのエアデータプローブが不良であるか否かを決定する。
(a)1つ以上の周波数における、及び/又は1つ以上の帯域(複数可)にわたる、1つ以上のエアデータプローブに対する伝送損失、
(b)任意の2つの周波数における、又は帯域(複数可)にわたる、エアデータプローブの伝送損失の差、
(c)任意の2つの周波数における、又は帯域(複数可)にわたる、エアデータプローブの測定されたノイズの差、及び
(d)ある周波数又は帯域における、2つ以上のエアデータプローブの測定されたノイズの差。
【0041】
ブロック564において、エアデータプローブのうちのいずれかの伝送損失が第1の閾値よりも大きい場合に、(a)少なくとも1つのエアデータプローブが不良であることを、少なくとも1つの車両システムに警告するための信号を生成すること、(b)少なくとも1つのエアデータプローブが不良であることを、車両の乗員に警告するための信号を生成すること、(c)全てのエアデータプローブに対する加重平均空気圧を決定することであって、いずれかの不良エアデータプローブの空気圧は、いずれかの非不良エアデータプローブの空気圧よりも小さい重みを有する、決定すること、のうちの少なくとも1つを行う。任意に、非不良エアデータプローブ及び不良エアデータプローブに割り当てられた重みは、上述のとおりである。ブロック564の後は、ブロック554に戻る。全てのエアデータプローブの伝送損失が第1の閾値以下であれば、ブロック554に戻る。
【0042】
本システム及び方法で使用される状態マシン102は、当業者に知られているハードウェア上で実行されるソフトウェアを使用して実施することができる。例えば、ハードウェアは、1つ以上のマイクロプロセッサ及び/又はハードウェアからなるコンピュータ及び/又はメモリ回路に連結されたデジタル信号処理(DSP)回路(例えば以下に説明する)であってもよい。マイクロプロセッサ及び/又はDSP回路は、特定用途向け集積回路(ASIC)又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)によって補充又は組み込まれてもよい。コンピュータ、例えば処理回路は、本方法及びシステムで使用される様々なプロセスタスク、計算、及び制御機能を実行するためのコンピュータ読み取り可能な命令を実行するように構成されている。
【0043】
本方法は、処理回路(複数可)によって実行されるプログラムモジュール又はコンポーネントのようなコンピュータ実行可能命令によって実施することができる。一般に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行する又は特定のデータタイプを実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、データコンポーネント、データ構造、アルゴリズム等を含む。
【0044】
様々なプロセスタスク、計算、及び本明細書に記載の方法の動作で使用される他のデータの生成を実行するための命令は、ソフトウェア、ファームウェア、又は他のコンピュータ読み取り可能な又はプロセッサ読み取り可能な命令において実施することができる。これらの命令は、典型的には、コンピュータ読み取り可能な命令又はデータ構造の格納に使用されるコンピュータ読み取り可能な媒体を含む任意の適切なコンピュータプログラムプロダクトに格納される。このようなコンピュータ読み取り可能な媒体は、汎用の又は特殊なコンピュータ又はプロセッサ又は他の装置によってアクセスすることができる任意の利用可能な媒体、例えば図示されているものとすることができる。
【0045】
好適なコンピュータ読み取り可能な媒体は、磁気的又は光学的媒体等のストレージ又はメモリ媒体を含んでもよい。例えば、ストレージ又はメモリ媒体は、磁気媒体(従来のハードディスク等)、光メディア(CD、DVD、ブルーレイディスク、及び半導体メモリ(ランダムアクセスメモリ(RAM)(これらに限定されないが、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、シンクロナスダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM)、ダブルデータレート(DDR)ランダムアクセスメモリ、RAMBUSダイナミックランダムアクセスメモリ(RDRAM)、及びスタティックランダムアクセスメモリ(SRAM))、リードオンリーメモリ(ROM)、電気消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EEPROM)、及びフラッシュメモリ)を含んでもよい。これらの組み合わせもまた、コンピュータ読み取り可能な媒体の範囲内に含まれる。
実施形態の例
【0046】
実施例1は、車両上の各エアデータプローブから測定された空気圧データを受信することと、車両上の少なくとも1つのセンサシステムから第1のデータセットを受信することと、ノイズモデリングシステム及び受信した第1のデータセットを使用して、各エアデータプローブに対する予測されたノイズレベルを決定することと、各エアデータプローブに対する伝送損失を決定することと、エアデータプローブのうちのいずれかの伝送損失が第1の閾値よりも大きいかどうかを決定することによって、いずれかのエアデータプローブが不良であるかどうかを決定することであって、その伝送損失が第1の閾値よりも大きい場合には、エアデータプローブが不良とみなされる、決定することと、エアデータプローブのうちのいずれかの伝送損失が第1の閾値よりも大きい場合に、(a)少なくとも1つのエアデータプローブが不良であることを、少なくとも1つの車両システムに警告するための信号の生成、(b)少なくとも1つのエアデータプローブが不良であることを、車両の乗員に警告するための信号の生成、及び(c)全てのエアデータプローブに対する加重平均空気圧の決定であって、不良エアデータプローブのいずれかの空気圧が、いずれかの非不良エアデータプローブの空気圧よりも小さい重みを有する、決定、のうちの少なくとも1つを行うことと、を含む。
【0047】
実施例2は、実施例1の方法を含み、各エアデータプローブに対する伝送損失を決定することは、各エアデータプローブに対する伝送損失を、ノイズレベル測定値を比較すること、所与の周波数でのパワースペクトル密度、及び分数オクターブ分析を介すること、のうちの少なくとも1つによって決定することを含む。
【0048】
実施例3は、実施例1~2のいずれか1つに記載の方法を含み、車両上の少なくとも1つのセンサシステムから第2のデータセットを受信することと、受信した第2のデータセットを使用して、少なくとも1つのノイズモデルを生成することと、を更に含む。
【0049】
実施4は、実施例1~3のいずれか1つに記載の方法を含み、第1のセットのデータを使用して、少なくとも1つのノイズモデルを修正すること、を更に含む。
【0050】
実施例5は、実施例1~4のいずれか1つに記載の方法を含み、いずれかのエアデータプローブが不良であると決定することは、以下のうちの少なくとも1つを分析することを更に含む:a.1つ以上の周波数における、及び/又は1つ以上の帯域(複数可)にわたる、1つ以上のエアデータプローブに対する伝送損失、b.任意の2つの周波数における、又は帯域(複数可)にわたるエアデータプローブの伝送損失の差、c.任意の2つの周波数における、又は帯域にわたるエアデータプローブの測定されたノイズの差、並びにd.周波数又は帯域における2つ以上のエアデータプローブの測定されたノイズの差。
【0051】
実施例6は、実施例1~5のいずれか1つに記載の方法を含み、全てのエアデータプローブに対する空気圧の加重平均を決定することは、不良エアデータプローブに対し以下のうちの少なくとも1つの重みを割り当てることを含む:(a)非不良エアデータプローブに割り当てられた一定値よりも小さい固定値、(b)不良エアデータプローブの数、及び(c)伝送損失と第1の閾値との間の差の絶対値に依存する変数。
【0052】
実施例7は、実施例1~6のいずれか1つに記載の方法を含み、各エアデータプローブに対する伝送損失を決定することは、質量制御された領域帯域幅における各エアデータプローブに対する伝送損失を決定することを含む。
【0053】
実施例8は、少なくとも1つのプロセッサに、効率的なメモリ分割を決定するためのプロセスを実行させるプログラムを格納した非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体を含み、そのプロセスは、車両上の各エアデータプローブから測定された空気圧データを受信することと、車両上の少なくとも1つのセンサシステムから第1のデータセットを受信することと、ノイズモデリングシステム及び受信した第1のデータセットを使用して、各エアデータプローブに対する予測されたノイズレベルを決定することと、各エアデータプローブに対する伝送損失を決定することと、エアデータプローブのうちのいずれかの伝送損失が第1の閾値よりも大きいかどうかを決定することによって、いずれかのエアデータプローブが不良であるかどうかを決定することであって、その伝送損失が第1の閾値よりも大きい場合には、エアデータプローブが不良とみなされる、決定することと、エアデータプローブのうちのいずれかの伝送損失が第1の閾値よりも大きい場合に、(a)少なくとも1つのエアデータプローブが不良であることを、少なくとも1つの車両システムに警告するための信号の生成、(b)少なくとも1つのエアデータプローブが不良であることを、車両の乗員に警告するための信号の生成、及び(c)全てのエアデータプローブに対する加重平均空気圧の決定であって、不良エアデータプローブのいずれかの空気圧が、いずれかの非不良エアデータプローブの空気圧よりも小さい重みを有する、決定、のうちの少なくとも1つを行うことと、を含む。
【0054】
実施例9は、実施例8の非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体を含み、各エアデータプローブに対する伝送損失を決定することは、各エアデータプローブに対する伝送損失を、ノイズレベル測定値を比較すること、所与の周波数でのパワースペクトル密度、及び分数オクターブ分析を介すること、のうちの少なくとも1つによって決定することを含む。
【0055】
実施例10は、実施例8~9のいずれか1つに記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体を含み、車両上の少なくとも1つのセンサシステムから第2のデータセットを受信することと、受信した第2のデータセットを使用して少なくとも1つのノイズモデルを生成することと、を更に含む。
【0056】
実施例11は、実施例9~10のいずれか1つに記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体を含み、第1のセットのデータを使用して、少なくとも1つのノイズモデルを修正すること、を更に含む。
【0057】
実施例12は、実施例8~11のいずれか1つに記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体を含み、いずれかのエアデータプローブが不良であると決定することは、以下のうちの少なくとも1つを分析することを更に含む:a.1つ以上の周波数における、及び/又は1つ以上の帯域(複数可)にわたる、1つ以上のエアデータプローブに対する伝送損失、b.任意の2つの周波数における、又は帯域(複数可)にわたるエアデータプローブの伝送損失の差、c.任意の2つの周波数における、又は帯域にわたるエアデータプローブの測定されたノイズの差、並びにd.周波数又は帯域における2つ以上のエアデータプローブの測定されたノイズの差。
【0058】
実施例13は、実施例8~12のいずれか1つに記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体を含み、全てのエアデータプローブに対する空気圧の加重平均を決定することは、不良エアデータプローブに対し以下のうちの少なくとも1つの重みを割り当てることを含む:(a)非不良エアデータプローブに割り当てられた一定値よりも小さい固定値、(b)不良エアデータプローブの数、及び(c)伝送損失と第1の閾値との間の差の絶対値に依存する変数。
【0059】
実施例14は、実施例8~13のいずれか1つに記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体を含み、各エアデータプローブに対する伝送損失を決定することは、質量制御された領域帯域幅における各エアデータプローブに対する伝送損失を決定することを含む。
【0060】
実施例15は、車両であって、少なくとも2つのエアデータプローブと、少なくとも2つのエアデータプローブに連結されたエアデータ監視システムと、推進システム及び方向制御システムの少なくとも1つと、推進システム及び方向制御システムのうちの少なくとも1つに連結されたセンサシステムと、少なくとも1つの入出力装置(I/O)と、状態マシンであって、ノイズモデリングシステムを備え、エアデータ監視システム、少なくとも1つのセンサシステム、及び少なくとも1つのI/Oに連結され、は、センサシステムによって測定された第1のデータセットを受信することと、ノイズモデリングシステムにより、第1のデータセットを使用して、少なくとも2つのエアデータプローブの各々に対する予測されたノイズレベルを決定することと、少なくとも2つのエアデータプローブの各々に対する伝送損失を決定することと、少なくとも2つのエアデータプローブのうちのいずれかの伝送損失が第1の閾値よりも大きいかどうかを決定することによって少なくとも2つのエアデータプローブのうちのいずれかが不良であるかどうかを決定することであって、伝送損失が第1の閾値よりも大きい場合には、エアデータプローブが不良とみなされる、決定することと、少なくとも2つのエアデータプローブのいずれかの伝送損失が第1の閾値よりも大きい場合に、(a)少なくとも1つのエアデータプローブが不良であることを、少なくとも1つの車両システムに警告するための信号の生成、(b)少なくとも1つのI/Oにより、少なくとも1つのエアデータプローブが不良であることを、車両の乗員又は少なくとも1つの車両システムに警告するための信号の生成、(c)全てのエアデータプローブに対する加重平均空気圧の決定であって、いずれかの不良エアデータプローブの空気圧が、いずれかの非不良エアデータプローブの空気圧よりも小さい重みを有する、決定、のうちの少なくとも1つを行うことと、を行うように構成されている、状態マシンと、を備える。
【0061】
実施例16は、実施例15のシステムを含み、少なくとも2つのエアデータプローブの各々に対する伝送損失を決定することは、ノイズレベル測定値を比較すること、所与の周波数でのパワースペクトル密度、及び分数オクターブ分析を介すること、のうちの少なくとも1つによって、少なくとも2つのエアデータプローブの各々に対する伝送損失を決定することを含む。
【0062】
実施例17は、実施例15~16のいずれか1つに記載のシステムを含み、状態マシンは、システムから第2のデータセットを受信し、受信した第1のデータセットを使用して、少なくとも1つのノイズモデルを生成するように更に構成される。
【0063】
実施例18は、実施例15~17のいずれか1つに記載のシステムを含み、第1のセットのデータを使用して少なくとも1つのノイズモデルを修正することを更に含む。
【0064】
実施例19は、実施例15~18のいずれか1つに記載のシステムを含み、少なくとも2つのエアデータプローブの各々に対する伝送損失を決定することは、いずれかのエアデータプローブが不良であると決定することが、以下のうちの少なくとも1つを分析することを更に含む、ということを含む:a.1つ以上の周波数における、及び/又は1つ以上の帯域(複数可)にわたる、1つ以上のエアデータプローブに対する伝送損失、b.任意の2つの周波数における、又は帯域(複数可)にわたる、エアデータプローブの伝送損失の差、c.任意の2つの周波数における、又は帯域にわたるエアデータプローブの測定されたノイズの差、並びにd.周波数又は帯域における2つ以上のエアデータプローブの測定されたノイズの差。
【0065】
実施例20は、実施例15~19のいずれか1つに記載のシステムを含み、全てのエアデータプローブに対する空気圧の加重平均の決定を実行することは、不良エアデータプローブに以下のうちの少なくとも1つの重みを割り当てることを含む:(a)非不良エアデータプローブに割り当てられた一定値よりも小さい固定値、(b)不良エアデータプローブの数、及び(c)伝送損失と第1の閾値との間の差の絶対値に依存する変数。
【0066】
実施例21は、実施例15~20のいずれか1つに記載のシステムを含み、各エアデータプローブに対する伝送損失を決定することは、質量制御された領域帯域幅における伝送損失を決定することを含む。
【0067】
前述した処理及びそれにより得られる装置は、異なる回路実装及び動作方法を構成するように修正することができることは、当業者にとって明白であろう。本教示の広い範囲を示す数値範囲及びパラメータは近似値であるが、特定の例で示された数値はできる限り正確に報告されている。
【0068】
本教示は、1つ以上の実施形態に関して図示されたが、添付の請求項の範囲を逸脱することなく、図示した例に対して代替及び/又は変形を施すことが可能である。更に、本開示の特定の特徴は、いくつかの実施形態の1つのみに関して説明されてもよいが、このような特徴は、任意の所与の又は特定の機能に対して所望されるようにかつ有利となるように他の実施形態の1つ以上の他の特徴と組み合わせてもよい。また、「含む(including)」、「含む(includes)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「有する/より(with)」、又はそれらの変種の用語は、詳細な説明及び請求項において使用される限りにおいて、そのような用語は、「備える(comprising)」と同様に、含有し得ることを意図している。「少なくとも1つの」という用語は、列挙された項目の1つ以上が選択され得ることを意味するように使用されている。本明細書で使用されるとき、例えば、A及びB又はA及び/又はB等の項目の列挙に関して、「1つ以上の」という用語は、A単独、B単独、又はAかつBを意味する。また、本出願の議論及び請求項において、2つの物質に関して使用される「上に(on)」という用語、一方が他方の「上に(on)」は、物質間での少なくとも多少の接触を意味し、一方で、「上に(over)」は、接触が可能であるが必須ではないように、材料同士が近接しているものの1つ以上の介在する物質が存在する可能性があることを意味する。本明細書で使用されるとき、「上に(on)」も「上に(over)」もいずれかの方向性の示唆するものではない。「共形(conformal)」という用語は、下地の物質の角度が共形の物質によって確保されるコーティング物質を示す。
【0069】
「約(about)」又は「実質的に/略(substantially)」という用語は、その代替が図示した実施形態に対してプロセス又は構造の不適合を生じさせない限り、特定の値又はパラメータが多少変化してもよいことを意味する。最後に、「例示的な(exemplary)」は、それが理想的であることを意味するのではなく、その説明が一例として使用されていることを示す。特定の実施形態を本明細書に図示及び記載したが、当業者であれば、同一の目的を実現するように計算された任意の配置が示された特定の実施形態と置換され得ることを認識されるだろう。したがって、本発明は、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定されることが明らかに意図されている。