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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】吸収体製造装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20240301BHJP
【FI】
A61F13/15 321
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023532296
(86)(22)【出願日】2022-03-28
(86)【国際出願番号】 JP2022014892
(87)【国際公開番号】W WO2023187874
(87)【国際公開日】2023-10-05
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】505038900
【氏名又は名称】ニチダイフィルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003155
【氏名又は名称】弁理士法人バリュープラス
(72)【発明者】
【氏名】川中 太一
(72)【発明者】
【氏名】山添 妙子
(72)【発明者】
【氏名】上辻 翔詩
(72)【発明者】
【氏名】池田 誠志
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/043861(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0186768(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収体材料から吸収体を製造する装置であって、吸収体材料を所定形状に積繊するためのパターンプレートと、このパターンプレートを外周面に配置して回転する回転ドラムとを備え、回転ドラムには、一方の軸端面の外周縁部に前記パターンプレートが該回転ドラムの半径方向に係合する係合部を設けると共に他方の軸端面の外周縁部に前記パターンプレートが軸方向から挿入される保持溝を設け、さらに、前記係合部の一部に前記パターンプレートの周方向の移動を拘束する周移動拘束部を設け、一方、前記パターンプレートには、前記回転ドラムの一方の軸端面に対応する幅方向の一方縁部に、該一方縁部を前記係合部と同方向に突出させ、断面視で該係合部の表裏面と突出方向の一側面とを覆うように形成された該係合部と係合する径方向拘束体を設けると共に他方縁部に前記保持溝に挿入される挿入部を設け、さらに、前記径方向拘束体に前記周移動拘束部に対応する周方向拘束体を設けた吸収体製造装置。
【請求項2】
前記回転ドラムの前記周移動拘束部は、該回転ドラムの一方の軸端面に設けられ、拘束の維持と、拘束の解除を、操作する操作体に設けた請求項1記載の吸収体製造装置。
【請求項3】
前記回転ドラムの一方の軸端面に、前記操作体を周方向の移動を案内する操作体移動部を設けた請求項2記載の吸収体製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつ等の吸収性物品に係る吸収体を製造装置に係り、吸収体材料を積繊するためのパターンプレートと、このパターンプレートを外周面に配置して回転する回転ドラムに容易かつ確実に着脱する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
尿や経血等の排泄液を吸収する吸収性物品の一例として、使い捨ておむつや生理用ナプキン等が使用されている。そして、これらの吸収性物品は、排泄液を吸収する部材として、パルプ繊維や粒状の高吸収性ポリマー(以下、SAPとも言う)などの液体の吸収体材料を単票状に成形してなる吸収体を有している。
【0003】
上記の吸収体は、例えば特許文献1(特開2014-100440号公報)に示されるような製造装置により生成される。ここで、前記製造装置の概略構成について図9を参照して説明する。製造装置11は回転ドラム12を有している。回転ドラム12の外周面12Dには、吸収体Pが形成されるように、後述のパターンプレート21が周方向Dに複数並設されている。
【0004】
回転ドラム12内には、回転ドラム12の回転には追従せず、固定され、該回転ドラム12の軸を所定角度に設けた区画壁により、負圧区画12a、正圧区画12b、無圧区画12cが形成され、さらに負圧区画12aでは吸気を、正圧区画12bでは排気を行う吸排気機構(不図示)が設けられている。
【0005】
また、回転ドラム12の周方向Dの所定位置には、回転ドラム12内の負圧区画12aに対向して散布ダクト13が設けられている。この散布ダクト13は、負圧区画12aに位置する回転中の回転ドラム12の外周面12Dに向けて、パルプ繊維及びSAPなどを混合した粉体状の吸収体材料Zを散布するものである。
【0006】
回転ドラム12の周方向Dにおいて散布ダクト13の位置(負圧区画12a)の領域を通過する際に、該負圧区画12aで生じる吸気と、該散布ダクト13からの散布によりパターンプレート21の後述の孔21a上に吸収体材料Zが吸引堆積される。
【0007】
そして、回転ドラム12の負圧区画12aの周方向Dにおける下流側の正圧区画12bの領域を通過する際に、排気により、吸引体積された吸収体性材料Zが外周面12Dから剥離し、単票状の吸収体Pがさらに下流工程へ搬送される。
【0008】
図10及び図11には、回転ドラム12とこの回転ドラム12の周面に設けられるパターンプレート21の関係を示している。図10は、一部のパターンプレート21を取り外した回転ドラム12の概略斜視図であり、図11は、パターンプレート21の構成を示した分解斜視図である。
【0009】
パターンプレート21は、その分割数において回転ドラム12の外周面12Dの曲率に対応した円弧状とされ、複数の孔21aが形成された表層板21Aと、この表層板21Aの(回転ドラム12における)内周面から裏打ち補強すべく表層板21Aの内周面に当接固定された棒部B1,B2が枠有の格子状に組まれた補強板21Bと、表層板21Aを部分的に覆って目的とする吸収体Pの平面視形状範囲で該表層板21Aの孔21aを露出させるガイド板21Cと、有している。
【0010】
特許文献1を含む一般的な製造装置11は、パターンプレート21に散布ダクト13から吹き付けられた吸収体材料Zがガイド板21Cから露出した孔21a部分に堆積することで吸収体Pが形成され、この吸収体Pが正圧区画12bで回転ドラム12から剥離される。
【0011】
上記製造を繰り返すうち、表層板21Aの孔21aが負圧区画12aの負圧、正圧区画12bの正圧によっても吸収体材料Zが孔21aから排除できずに目詰まりが生じる。そこで、定期的に、パターンプレート21を回転ドラム12から外して、パターンプレート21に高圧水を噴射等して目詰まりを解消するようにしている。
【0012】
また、上記製造装置11では、吸収体Pによって、大きさ、穴21aの露出形状の異なるパターンプレート21を取り付ける(取り換える)ことが可能となっており、パターンプレート21の取り換えの際にも、パターンプレート21を回転ドラム12から外さなければならない。
【0013】
従来、回転ドラム12に対するパターンプレート21を取り外しと取り付けは、回転ドラム12の円周上において狭く作業動作が極端に制限される局所空間で行われており、非常に手間がかかるといった問題があった。また、回転ドラム12に対するパターンプレート21を取り付けに関しては、前記のとおり局所空間において限られた作業動作で行うため、作業を確実に行うには困難であった。
【0014】
そこで、特許文献2(特許登録第5765909号公報)には、限られた作業空間でパターンプレート21を回転ドラム12から容易に取り外し、回転ドラム12にパターンプレート21を比較的容易に取り付けることができる構成が提案されている。
【0015】
すなわち、特許文献2は、ドラム本体と、複数のパターンプレートと、パターンプレートをドラム本体の外周面上に着脱可能に保持する複数の保持機構を備え、各保持機構は、ドラム本体の一側に移動不能に取り付けられた固定フックであって、ドラム本体の外周面との間に固定側保持溝を形成する固定フックと、ドラム本体の他側に保持位置と解放位置との間を移動可能に取り付けられた可動フックであって、保持位置にあるときにドラム本体の外周面との間に可動側保持溝を形成し解放位置にあるときに可動側保持溝を開放する可動フックと、を備え、可動フックが保持位置にあるときにパターンプレートの両側部がこれら固定側保持溝内及び可動側保持溝内にそれぞれ受容されることによりパターンプレートがドラム本体に保持される構成とされている。
【0016】
しかしながら、特許文献2の構成では、保持機構における可動フックが、保持位置にあるときには保持溝を形成するが、解放位置にあるときには保持溝を開放する構成、具体的には可動フックが回転ドラム周面と回転ドラム軸端面との間でヒンジにより回動する構成であったため、回転ドラムの高速回転による遠心力で可動フックが保持溝を開放する方向に緩む可能性がある。
【0017】
また、特許文献2の構成では、固定フックと可動フックによって形成される保持溝のみでパターンプレートを固定する構成であったので、保持溝内でパターンプレートが周方向の移動する可能性があった。また、パターンプレートは周面にほぼ隙間なく並んでいるものの、多少のクリアランスは存在しているから、前記のように使用を繰り返して周方向にずれると保持機構による保持が外れる位置に移動してしまうといったおそれもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【文献】特開2014-100440号公報
【文献】特許登録第5765909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、パターンプレートの清掃や交換のために回転ドラムから取り外して、取り付ける作業において、取り付け作業においてパターンプレートが、回転ドラムの径外方向及び周方向に移動してしまう可能性がある点を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、上記の課題を解決するために、吸収体材料を所定形状に積繊するためのパターンプレートと、このパターンプレートを外周面に配置して回転する回転ドラムとを備え、回転ドラムには、一方の軸端面の外周縁部に前記パターンプレートが該回転ドラムの半径方向に係合する係合部を設けると共に他方の軸端面の外周縁部に前記パターンプレートが軸方向から挿入される保持溝を設け、さらに、前記係合部の一部に前記パターンプレートの周方向の移動を拘束する周移動拘束部を設け、一方、前記パターンプレートには、前記回転ドラムの一方の軸端面に対応する幅方向の一方縁部に、該一方縁部を前記係合部と同方向に突出させ、断面視で該係合部の表裏面と突出方向の一側面とを覆うように形成された該係合部と係合する径方向拘束体を設けると共に他方縁部に前記保持溝に挿入される挿入部を設け、さらに、前記径方向拘束体に前記周移動拘束部に対応する周方向拘束体を設ける構成とした。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、パターンプレートを回転ドラムに装着する際に、軸方向で回転ドラムの周面幅方向の一方から他方に向けて周面をスライド移動させて、パターンプレートの溝部と回転ドラムの係合部とを係合させると共に、回転ドラムの周移動拘束部にパタープレートの拘束体を対応させるという一連の作業により、パターンプレートの回転ドラムの径外方向及び周方向の移動が禁止され、取り付けが確実かつ容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の吸収体製造装置の概略構成を示す図である。
図2】本発明の吸収体製造装置における回転ドラムとパターンプレートの概略構成を示す斜視図である。
図3図2のうち回転ドラムの概略構成を示す斜視図である。
図4図2のうちパターンプレートの概略構成を示す斜視図である。
図5図4のパターンプレートの分解斜視図である。
図6】本発明の吸収体製造装置における回転ドラムとパターンプレートの第1実施例態様を示し、(a)は軸方向から見た図、(b)は(a)のA-A線断面図、である。
図7】本発明の吸収体製造装置における回転ドラムとパターンプレートの第2実施例態様を示し、(a)は軸方向から見た図、(b)は(a)のB-B線断面図、である。
図8】本発明の吸収体製造装置における回転ドラムとパターンプレートの第3実施例態様を示し、(a)は軸方向から見た図、(b)は(a)のC-C断面図、である。
図9】従来の製造装置の概略構成を示す図である。
図10】従来の回転ドラムと従来のパターンプレートとの関係を示す図である。
図11】従来のパターンプレートの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、パターンプレートを回転ドラムに対し、径外方向及び周方向に移動しないように取り付けるために、回転ドラムには、一方の軸端面の外周縁部に前記パターンプレートが該回転ドラムの半径方向に係合する係合部を設けると共に他方の軸端面の外周縁部に前記パターンプレートが軸方向から挿入される保持溝を設け、さらに、前記係合部の一部に前記パターンプレートの周方向の移動を拘束する周移動拘束部を設け、一方、前記パターンプレートには、前記回転ドラムの一方の軸端面に対応する幅方向の一方縁部に、該一方縁部を前記係合部と同方向に突出させ、断面視で該係合部の表裏面と突出方向の一側面とを覆うように形成された該係合部と係合する径方向拘束体を設けると共に他方縁部に前記保持溝に挿入される挿入部を設け、さらに、前記径方向拘束体に前記周移動拘束部に対応する周方向拘束体を設けることとした。
【0024】
本発明は、パターンプレートと回転ドラムとにおいて双方で対応する構成を備えたことが特徴である。すなわち、本発明の吸収体製造装置は、回転ドラムの係合部に対応してパターンプレートの径方向拘束体が、回転ドラムの周移動拘束部に対応してパターンプレートの周方向拘束体が、各々設けられている。このようにすることで、回転ドラムに対してパターンプレートを取り付けた際の径外方向の移動と、周方向の移動を禁止することができる。
【0025】
また、本発明は、上記構成において、前記回転ドラムの前記周移動拘束部は、該回転ドラムの一方の軸端面に設けられ、拘束の維持と、拘束の解除を、操作する操作体に設ける構成としてもよい。こうすることで、回転ドラムの軸端面という比較的作業のしやすい箇所でパターンプレートの回転ドラムに対する移動禁止と解除を操作することができる。
【0026】
さらに、本発明は、上記構成において、前記回転ドラムの一方の軸端面に、前記操作体を周方向の移動を案内する操作体移動部を設ける構成としてもよい。このようにすることで、パターンプレートの周方向のサイズに応じた増減に対応させることができるようになる。
【実施例
【0027】
本発明の一実施例について、図1図8を参照して説明する。本発明の吸収体製造装置1は、回転ドラム2とパターンプレート3の構成に特徴を有している。製造装置1の全体の概略構成の説明を続ける。回転ドラム2の外周面2Xには、吸収体Pが形成されるように、パターンプレート3が周方向Dに複数並設されている。
【0028】
回転ドラム2内には、回転ドラム2の回転には追従せず、固定され、該回転ドラム2の軸を中心に所定角度に設けた区画壁により、負圧区画2a、正圧区画2b、無圧区画2cが形成され、さらに負圧区画2aでは吸気を、正圧区画2bでは排気を行う吸排気機構(不図示)が設けられている。
【0029】
また、回転ドラム2の周方向Dの所定位置には、回転ドラム2内の負圧区画2aに対向して散布ダクト4が設けられている。この散布ダクト4は、負圧区画2aに位置する回転中の回転ドラム2の外周面2Xに向けて、パルプ繊維及びSAPなどを混合した粉体状の吸収体材料Zを散布するものである。
【0030】
回転ドラム2の周方向Dにおいて散布ダクト4の位置(負圧区画2a)の領域を通過する際に、該負圧区画2aで生じる吸気と、該散布ダクト4からの散布によりパターンプレート3の後述の孔3a上に吸収体材料Zが吸引堆積される。
【0031】
そして、回転ドラム2の負圧区画2aの周方向Dにおける下流側の正圧区画2bの領域を通過する際に、排気により、吸引体積された吸収体性材料Zが外周面2Xから剥離し、単票状の吸収体Pがさらに下流工程へ搬送される。
【0032】
本発明の製造装置1における回転ドラム2は、次の構成とされている。回転ドラム2の外周面2Xにおける幅方向(軸方向)の一方の軸端面の外周縁部には、軸端面から突出した係合部2Aが設けられている。この係合部2Aはパターンプレート3の後述の溝部3Aと係合して、該回転ドラム2の使用時の回転により半径方向に移動しないようにするためのものである。
【0033】
また、回転ドラム2は、外周面2Xにおける幅方向(軸方向)の他方の軸端面の外周縁部に、パターンプレート3が軸方向の前記一方の軸端面から挿入される保持溝2Bが設けられている。さらに、回転ドラム2は、パターンプレート3の周方向の移動を拘束する周移動拘束部2Cが設けられている。この周移動拘束部2Cについては、回転ドラム2に設けられているが第1~第3実施例で構成が異なるので、実施例毎に説明する。
【0034】
パターンプレート3は、その分割数において回転ドラム2の外周面2Xの曲率に対応した円弧状とされ、複数の孔3aが形成された表層板3Aと、この表層板3Aの(回転ドラム2における)内周面から裏打ち補強すべく表層板3Aの内周面に設けられた補強板3Bと、表層板3Aを部分的に覆って目的とする吸収体Pの平面視形状範囲で該表層板3Aの孔3aを露出させるガイド板3Cと、有している。なお、本例では補強板3Bにおける補強用の構成の図示を省略している。
【0035】
さらに、本発明の製造装置1におけるパターンプレート3は、補強板3Bにおいて、回転ドラム2の一方の軸端面に対応する幅方向の一方縁部に、係合部2Aと係合する径方向拘束体3Baが設けられている。
【0036】
径方向拘束体3Baは、本実施例では、補強板3Bの一方縁部を係合部2Aと同方向に突出させ、ガイド板3Cとは反対側に折り返して、断面視で係合部2Aの表裏面とこの表裏面に挟まれた突出方向の一側面を覆うように形成している。また、パターンプレート3は、補強板3Bにおいて、回転ドラム2の他方の軸端面に対応する幅方向の他方縁部に、保持溝2Bに挿入される挿入部3Bbが設けられている。
【0037】
つまり、本発明の製造装置1における回転ドラム2とパターンプレート3は、該回転ドラム2の軸方向の一方の軸端面部では、回転ドラム2の係合部2Aが、補強板3Bの裏面側で、パターンプレート3の径方向拘束体3Baに挿入され、該回転ドラム2の軸方向の他方の軸端面部では、パターンプレート3の挿入部3Bbが、補強板3Bの表面側で、回転ドラム2の保持溝2Bに挿入され、該パターンプレート3の径方向への移動を拘束する構成となっている。
【0038】
このように構成することで、パターンプレート3は、回転ドラム2の軸方向一方側から他方側に外周面2Xをスライドさせて取り付けるだけで、径方向の移動が禁止された状態となり、従来のように径方向の移動を禁止するために回転ドラム側の保持溝を出現させたり開放させたりする手間を要しない。
【0039】
さらに、パターンプレート3は、補強板3Bにおける径方向拘束体3Baの一部に周方向拘束体3Bcを設けている。この周方向拘束体3Bcについては、第1~第3実施例で構成が異なるので、実施例毎に説明する。
【0040】
また、本実施例において、回転ドラム2の軸方向の一方端面には、周移動拘束部2Cの拘束の維持と、高速の解除を操作する操作体2Dが設けられると共に、この操作体2Dの周方向の移動を案内する操作体移動部2Eが設けられている。
【0041】
以上が、図1図5を参照して説明した本実施例における製造装置1の基本構成であり、以下、図6を参照して第1実施例態様を、図7を参照して第2実施例態様を、図8を参照して第3実施例態様を、各々説明する。なお、各実施例において基本構成部分については説明を省略する。
【0042】
(第1実施例)
図6に示す第1実施例は、次の構成とされている。なお、図2及び図3に示した回転ドラム2構成は、図6に示す第1実施例を模式的に示したものである。第1実施例における回転ドラム2の周移動拘束部2Cは、該回転ドラム2の一方の軸端面の外周部に設けた環状のレールでなる操作体移動部2Eに対して周方向へ移動可能に設けた操作体2Dに一体的に配置されている。
【0043】
第1実施例において、回転ドラム2、パターンプレート3は次のように構成されている。パターンプレート3の周方向拘束体3Bcは、径方向拘束体3Baの補強板3Bにおける裏面と折り返し側面に形成された凹部13Baが相当する。
【0044】
そして、この凹部13Ba(周方向拘束体)に対応する回転ドラム2側の周移動拘束部2Cは、回転ドラム2の、軸方向一方側に向かって下り勾配の斜面が形成されると共に軸方向他方側の前記斜面頂点部から直交状の壁面が形成されたラチェット爪12Caが相当する。
【0045】
第1実施例のラチェット爪12Ca(周移動拘束部)は、操作体2Dとなる基台12Cbに、回転ドラム2の軸方向他方側の基端部が回動可能に枢支され、この基端部から回転ドラム2の軸方向一方側へ向かう途中部が該基台12Cbに配置された自然長で伸長状態の例えばコイルばね2Ccによって支持された構成とされている。
【0046】
第1実施例におけるパターンプレート3を取り付けは次のように行う。ラチェット爪12Caをコイルばね2Ccの付勢力に抗して押し下げつつ、該パターンプレート3を回転ドラム2の軸方向他方側へスライドさせる。
【0047】
スライドを続けると、径方向拘束体3Baがラチェット爪12Caの斜面の頂点部を乗り越え、挿入部3Bbが保持溝2Bに、径方向拘束体3Baが係合部2Aに、各々嵌入して径方向に係合状態となる。
【0048】
このとき、径方向拘束体3Baがラチェット爪12Caの斜面を乗り越えたことによりコイルばね12Ccが自然長に復元し、凹部13Ba(周方向拘束体)にラチェット爪12Caの直交状の壁面が嵌って周方向に係合状態となる。
【0049】
第1実施例におけるパターンプレート3の取り出しは次のように行う。ラチェット爪12Caを押し下げつつ、パターンプレート3を回転ドラム2の軸方向の他方側から一方側方向に引き出すだけで、径方向及び周方向の移動の拘束が解除されてパターンプレート3が取り出される。
【0050】
(第2実施例)
図7に示す第2実施例は、次の構成とされている。第2実施例における回転ドラム2の周移動拘束部2Cは、該回転ドラム2の一方の軸端面の外周部に設けた環状のレールでなる操作体移動部2Eに対して周方向へ移動可能に設けた操作体2Dに一体的に配置されている。
【0051】
第2実施例において、回転ドラム2、パターンプレート3は次のように構成されている。パターンプレート3の周方向拘束体3Bcは、径方向拘束体3Baの補強板3Bにおける裏面に形成された当接部23Baが相当する。
【0052】
そして、この当接部23Ba(周方向拘束体)に対応する回転ドラム2側の周移動拘束部2Cは、回転ドラム2の軸方向一方端面に、後述のレバー22Ccに支持され、該当接部23Baに対して接触と離間が可能に設けた押圧体22Caが相当する。
【0053】
第2実施例の押圧体22Ca(周移動拘束部)は、操作体2Dとなる案内溝付基台22Cbにおける案内溝内に挿通され、該案内溝付基台22Cbを押圧体22Caとにより挟み込んで該案内溝内の位置を維持するレバー22Ccの回動軸ねじに螺着された構成とされている。
【0054】
第2実施例におけるパターンプレート3を取り付けは次のように行う。レバー22Ccを回転させて該レバー22Ccと押圧体22Caによる案内溝付基台22Cbの挟み込みを緩めて、押圧体22Caを当接部23Baから離間させた状態で、パターンプレート3を回転ドラム2の軸方向他方側へスライドさせる。
【0055】
スライドを続けると、挿入部3Bbが保持溝2Bに、径方向拘束体3Baが係合部2Aに、各々嵌入して径方向に係合状態となる。
【0056】
その後、押圧体22Caを当接部23Baに当接させて径外方向に押圧するために、レバー22Ccを案内溝付基台22Cbの案内溝内を径外方向の所定位置に移動させた後、レバー22Ccを回転させて該レバー22Ccと該押圧体22Caによる案内溝付基台22Cbを強く挟み込む。この押圧体22Caによる当接部23Baへの押圧によってパターンプレート3の周方向への移動が拘束された状態となる。
【0057】
第2実施例におけるパターンプレート3の取り出しは次のように行う。上記のとおり、レバー22Ccを回転させて該レバー22Ccと押圧体22Caによる案内溝付基台22Cbの挟み込みを緩めて、押圧体22Caを当接部23Baから離間させた状態で、パターンプレート3を回転ドラム2の軸方向の他方側から一方側方向に引き出すだけで、径方向及び周方向の移動の拘束が解除されてパターンプレート3が取り出される。
【0058】
(第3実施例)
図8に示す第3実施例は、次の構成とされている。第3実施例における回転ドラム2の周移動拘束部2Cは、該回転ドラム2の一方の軸端面の外周部に設けた環状のレールでなる操作体移動部2Eに対して周方向へ移動可能に設けた操作体2Dに一体的に配置されている。
【0059】
第3実施例において、回転ドラム2、パターンプレート3は次のように構成されている。パターンプレート3の周方向拘束体3Bcは、径方向拘束体3Baの補強板3Bにおける裏面に形成された貫通孔33Baが相当する。
【0060】
そして、この貫通孔33Ba(周方向拘束体)に対応する回転ドラム2側の周移動拘束部2Cは、係合部2Aに形成され、パターンプレート3の取り付け状態で前記貫通孔33Baと連通する拘束孔32Caと、回転ドラム2の軸方向一方端面に、後述のレバー32Ceに支持され、該貫通孔33Baに対して接触と離間が可能に設けた移動体32Cbと、この移動体32Cbの径外方向端面に設けられた貫通ピン32Ccが相当する。
【0061】
第3実施例の貫通ピン32Cc(周移動拘束部)を設けた移動体32Cbは、操作体2Dとなる案内溝付基台32Cdにおける案内溝内に挿通され、該案内溝付基台32Cdを移動体32Cbとにより挟み込んで該案内溝内の位置を維持するレバー32Ceの回動軸ねじに螺着された構成とされている。
【0062】
第3実施例におけるパターンプレート3を取り付けは次のように行う。レバー32Ceを回転させて該レバー32Ceと移動体32Cbによる案内溝付基台32Cdの挟み込みを緩め、貫通孔33Ba及び拘束孔32Caから貫通ピン32Ccが抜けるまで移動体32Cbを移動させた状態で、パターンプレート3を回転ドラム2の軸方向他方側へスライドさせる。
【0063】
スライドを続けると、挿入部3Bbが保持溝2Bに、径方向拘束体3Baが係合部2Aに、各々嵌入して径方向に係合状態となる。
【0064】
その後、レバー32Ceを案内溝付基台32Cdの案内溝内を径外方向の所定位置に移動させ、貫通孔33Ba及び拘束孔32Caに貫通ピン32Ccが挿通されたことを確認して、レバー32Ceを回転させて該レバー32Ceと該移動体32Cbによる案内溝付基台32Cdを強く挟み込む。貫通ピン32Ccの、貫通孔33Ba及び拘束孔32Caへの貫通により、パターンプレート3の周方向への移動が拘束された状態となる。
【0065】
第3実施例におけるパターンプレート3の取り出しは次のように行う。上記のとおり、レバー32Ceを回転させて該レバー32Ceと移動体32Cbによる案内溝付基台32Cdの挟み込みを緩め、貫通孔33Ba及び拘束孔32Caから貫通ピン32Ccが抜けるまで移動体32Cbを移動させた状態で、パターンプレート3を回転ドラム2の軸方向の他方側から一方側方向に引き出すだけで、径方向及び周方向の移動の拘束が解除されてパターンプレート3が取り出される。
【0066】
このように、本発明の製造装置1は、回転ドラム2に対するパターンプレート3の径外方向の移動を拘束するだけでなく、周方向の移動も拘束することが可能で、しかも径方向と周方向の移動を拘束する作業が、回転ドラム2に対してパターンプレート3を取り付ける一連の作業内で行うことができる。
【符号の説明】
【0067】
1 (吸収体)製造装置
2 回転ドラム
2A 係合部
2B 保持溝
2C 周移動拘束部
2D 操作体
2E 操作体移動部
3 パターンプレート
3A 表層板
3B 補強板
3Ba 径方向拘束体
3Bb 挿入部
3Bc 周方向拘束体
3C ガイド板
図1
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