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特許7446539移動体用電源切替装置、移動体および移動体情報提供システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】移動体用電源切替装置、移動体および移動体情報提供システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20240301BHJP
   B62B 3/00 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
H02J1/00 301C
H02J1/00 304E
B62B3/00 F
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023552603
(86)(22)【出願日】2021-10-06
(86)【国際出願番号】 JP2021037002
(87)【国際公開番号】W WO2023058159
(87)【国際公開日】2023-04-13
【審査請求日】2023-10-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 嘉人
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-049819(JP,A)
【文献】特開2007-094915(JP,A)
【文献】特開2017-121892(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 1/00
B62B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載された通信装置に対応して設けられ、電源回路から前記通信装置への電力の供給および遮断を切り替えるための移動体用電源切替装置であって、
第1電源線と、
第2電源線と、
前記第1電源線に介挿接続される第1接点部と、
前記第2電源線に介挿接続される第2接点部と、
前記第1接点部と接触された状態で前記第1接点部を導通させる第1可動端子と、
前記第2接点部と接触された状態で前記第2接点部を導通させる第2可動端子と、
第1端部が前記第1可動端子に接続され、かつ、第2端部が前記第2可動端子に接続される可動部材と備え、
前記可動部材は、前記移動体の使用時に第1方向の力を受けて第1の位置とされる一方で、前記移動体の未使用時に前記第1方向と反対の第2方向の力を受けて第2の位置に移動するように構成され、
前記第1の位置では、前記第1接点部と前記第1可動端子とが接触される一方で、前記第2接点部と前記第2可動端子とが非接触とされ、
前記第2の位置では、前記第2接点部と前記第2可動端子とが接触される一方で、前記第1接点部と前記第1可動端子とが非接触とされ、
前記通信装置および前記電源回路の間に、前記第1電源線および前記第2電源線のいずれか一方を選択的に接続する切替回路をさらに備える、移動体用電源切替装置。
【請求項2】
前記移動体用電源切替装置は、前記移動体の使用時に前記通信装置を作動させる第1のモードと、前記移動体の未使用時に前記通信装置を作動させる第2のモードとを有し、
前記第1のモード時、前記切替回路は、前記第1電源線を前記通信装置および前記電源回路の間に接続し、
前記第2のモード時、前記切替回路は、前記第2電源線を前記通信装置および前記電源回路の間に接続する、請求項1に記載の移動体用電源切替装置。
【請求項3】
前記第1のモードおよび前記第2のモードを選択的に設定するための操作を受け付ける操作部をさらに備える、請求項2に記載の移動体用電源切替装置。
【請求項4】
前記移動体はロック機構を有しており、前記ロック機構は、前記移動体の未使用時に鍵が挿入されて施錠される一方で、前記移動体の使用時には前記鍵が抜去されて解錠されるように構成され、
前記可動部材は、前記移動体の使用時に前記鍵の抜去に応じて前記第1方向の力を受け、前記移動体の未使用時には前記鍵の挿入に応じて前記第2方向の力を受ける、請求項1に記載の移動体用電源切替装置。
【請求項5】
前記移動体は被搬送物を載置するための載置部材を有しており、前記載置部材は、前記移動体の使用時には前記被搬送物から荷重を受ける一方で、前記移動体の未使用時には前記荷重が除去されるように構成され、
前記可動部材は、前記移動体の使用時に前記荷重の印加に応じて前記第1方向の力を受け、前記移動体の未使用時には、前記荷重の除去に応じて前記第2方向の力を受ける、請求項1に記載の移動体用電源切替装置。
【請求項6】
前記移動体は突起部材を有しており、前記突起部材は、前記移動体の未使用時に前記移動体に形成された貫通孔に押し込まれる一方で、前記移動体の使用時には前記貫通孔から押し出されるように構成され、
前記可動部材は、前記移動体の使用時に前記突起部材の押し出しに応じて前記第1方向の力を受け、前記移動体の未使用時には前記突起部材の押し込みに応じて前記第2方向の力を受ける、請求項1に記載の移動体用電源切替装置。
【請求項7】
第1通信装置と、
電源回路と、
前記電源回路から前記第1通信装置への電力の供給および遮断を切り替えるための電源切替装置とを備え、
前記電源切替装置は、
第1電源線と、
第2電源線と、
前記第1電源線に介挿接続される第1接点部と、
前記第2電源線に介挿接続される第2接点部と、
前記第1接点部と接触された状態で前記第1接点部を導通させる第1可動端子と、
前記第2接点部と接触された状態で前記第2接点部を導通させる第2可動端子と、
第1端部が前記第1可動端子に接続され、かつ、第2端部が前記第2可動端子に接続される可動部材と含み、
前記可動部材は、移動体の使用時に第1方向の力を受けて前記第1接点部と前記第1可動端子とを接触させる第1の位置とされる一方で、前記移動体の未使用時には、前記第1方向と反対の第2方向の力を受けて前記第2接点部と前記第2可動端子とを接触させる第2の位置に移動するように構成され、
前記第1通信装置および前記電源回路の間に、前記第1電源線および前記第2電源線のいずれか一方を選択的に接続する切替回路をさらに含む、移動体。
【請求項8】
前記電源切替装置は、前記移動体の使用時に前記第1通信装置を作動させる第1のモードと、前記移動体の未使用時に前記第1通信装置を作動させる第2のモードとを有し、
前記第1のモード時、前記切替回路は、前記第1電源線を前記第1通信装置および前記電源回路の間に接続し、
前記第2のモード時、前記切替回路は、前記第2電源線を前記第1通信装置および前記電源回路の間に接続する、請求項7に記載の移動体。
【請求項9】
請求項8に記載の移動体と、
前記第1通信装置と無線通信を行う第2通信装置と、
前記第2通信装置と通信接続されたサーバとを備え、
前記サーバは、前記第1通信装置から前記第2通信装置に送信される信号に基づいて、前記移動体の位置情報および使用状態を取得する、移動体情報提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動体用電源切替装置、移動体および移動体情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2021-49819号公報(特許文献1)には、スーパーマーケット等の店舗で使用されるショッピングカートの管理システムが開示される。特許文献1に記載されるカート管理システムは、無線通信装置、サーバおよび処理装置を備える。各カートには、処理装置、位置センサおよび動作センサが搭載される。位置センサはショッピングカートの位置を検知する。動作センサはショッピングカートの動きを検知する。処理装置は、位置センサが検知する情報に基づいてショッピングカートの位置情報を取得するとともに、動作センサが検知する情報に基づいてショッピングカートの動作状態を取得する。サーバは、処理装置と通信することで、ショッピングカートの使用状態と位置情報とを取得する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-49819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようなカート管理システムでは、処理装置とサーバとの間の信号の遣り取りのみでは、サーバは、処理装置が搭載されるショッピングカートが使用中であるのか否かを判断することができない。そのため、特許文献1では、ショッピングカートに処理装置とともに位置センサおよび動作センサを搭載しており、処理装置が、これらのセンサが検知する位置および動作状態の情報をサーバへ送信する構成を採っている。しかしながら、処理装置からサーバへこれらの情報を送信するためには、処理装置とともに位置センサおよび動作センサを常に作動させておくことが必要となり、ショッピングカートにおける電力消費の増加に繋がることが懸念される。
【0005】
本開示は上記のような課題を解決するためになされたものであって、本開示の目的は、低消費電力で、移動体の使用状態を当該移動体の位置情報とともに提供することが可能な移動体情報提供システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る移動体用電源切替装置は、移動体に搭載された通信装置に対応して設けられ、電源回路から通信装置への電力の供給および遮断を切り替える。移動体用電源切替装置は、第1電源線と、第2電源線と、第1電源線に介挿接続される第1接点部と、第2電源線に介挿接続される第2接点部と、第1接点部と接触された状態で第1接点部を導通させる第1可動端子と、第2接点部と接触された状態で第2接点部を導通させる第2可動端子と、第1端部が第1可動端子に接続され、かつ、第2端部が第2可動端子に接続される可動部材と備える。可動部材は、移動体の使用時に第1方向の力を受けて第1の位置とされる一方で、移動体の未使用時に第1方向と反対の第2方向の力を受けて第2の位置に移動するように構成される。第1の位置では、第1接点部と第1可動端子とが接触される一方で、第2接点部と第2可動端子とが非接触とされる。第2の位置では、第2接点部と第2可動端子とが接触される一方で、第1接点部と第1可動端子とが非接触とされる。移動体用電源切替装置は、通信装置および電源回路の間に、第1電源線および第2電源線のいずれか一方を選択的に接続する切替回路をさらに備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、低消費電力で、移動体の使用状態を当該移動体の位置情報とともに提供することが可能な移動体情報提供システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る移動体情報提供システムの概略構成を示す図である。
図2】ショッピングカートの使用状態の一例を示す図である。
図3】電源切替装置の第1構成例を模式的に示す図である。
図4】第1のモードにおける電源切替装置の動作を説明する図である。
図5】第1のモードにおける電源切替装置の動作を説明する図である。
図6】第2のモードにおける電源切替装置の動作を説明する図である。
図7】第2のモードにおける電源切替装置の動作を説明する図である。
図8】電源切替装置の第2構成例を模式的に示す図である。
図9】電源切替装置の第2構成例を模式的に示す図である。
図10】電源切替装置の第3構成例を模式的に示す図である。
図11】電源切替装置の第3構成例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では、図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則的に繰り返さないものとする。
【0010】
[実施の形態1]
<移動体情報提供システムの適用例>
本実施の形態に係る移動体情報提供システムは、施設内に存在する未使用の移動体の位置情報を当該施設の利用者(以下、単に「ユーザ」とも称する)に提供するためのシステムである。以下では、本実施の形態に係る移動体情報提供システムが適用される施設の一例として、ショッピングモールを挙げて説明する。
【0011】
ショッピングモール内では、買い物客が購入した商品を運搬するための移動体として、ショッピングカートが使用される。ショッピングカートとは、いわゆる手押し車であり、商品を積載するための籠、車輪およびハンドル等で構成されている。
【0012】
ショッピングカートを管理するシステムとしては、ショッピングカートに通信装置を搭載し、当該通信装置から送信される信号に基づいて、サーバがショッピングカートの位置情報を特定するように構成されたものがある。
【0013】
しかしながら、上記システムでは、通信装置は常に信号を出力するように構成されているため、サーバは、通信装置から送信される信号に基づいて、対応するショッピングカートが使用中であるのか否かを判断することができない。
【0014】
本実施の形態では、移動体の使用状態に応じて、移動体に搭載される通信装置に対する電力の供給および遮断を切り替えることができる移動体用電源切替装置について説明する。
【0015】
<移動体情報提供システムの構成>
図1は、実施の形態1に係る移動体情報提供システムの概略構成を示す図である。図1に示すように、移動体情報提供システム100は、ショッピングカート1と、通信装置20と、通信装置30と、サーバ40と、端末装置50とを備える。
【0016】
通信装置20、通信装置30、サーバ40および端末装置50は互いに通信可能に構成されている。通信装置20と通信装置30との間の通信、通信装置30とサーバ40との間の通信、および、サーバ40と端末装置50との間の通信は、無線を用いて行われる。通信装置30とサーバ40との間の通信は、有線であってもよいし無線であってもよい。サーバ40と端末装置50との間の通信は、通信網NW(代表的には、インターネット)を介して行われる。
【0017】
(1)ショッピングカート1
ショッピングカート1は、通常、ショッピングモール内の予め定められた場所(代表的には、カート置き場)に集められる。買い物客は、カート置き場に赴いてショッピングカート1を借り受けることができる。ショッピングカート1を借り受けた買い物客は、買い物が済むと、ショッピングカート1を放置することなく、元のカート置き場にショッピングカート1を返却することが求められる。ショッピングカート1の返却を買い物客に促すための仕組みとして、ショッピングカート1にはコインロック10が設置されている。
【0018】
コインロック10は、例えば、ショッピングカート1のハンドルに設置されている。ハンドルにはさらに、鍵60が取り付けられている。鍵60は、先端部分に鍵部62が取り付けられた鎖部を有している。
【0019】
各ショッピングカート1のコインロック10は、他のショッピングカート1の鍵60と連結可能に構成されている。コインロック10の筐体には、後述するように、鍵60の鍵部62を挿入するための鍵挿入口と、硬貨を投入するための硬貨投入口とが形成されている。筐体内部にはロック機構が設けられている。
【0020】
図2に示すように、カート置き場では、各ショッピングカート1は、他のショッピングカート1と鎖部64によって連結されることにより、相互に束縛された状態となっている。買い物客は、ショッピングカート1を借り受ける際、コインロック10の硬貨投入口に硬貨を投入する。硬貨が投入されると、コインロック10内部のロック機構が解錠され、鍵部62を鍵挿入口から抜き取ることができる。これにより、鎖部64による連結が外れ、ショッピングカート1は他のショッピングカート1との束縛状態から開放される。このとき、硬貨投入口に投入された硬貨は、コインロック10内に設けられた拘束機構によって拘束された状態となる。
【0021】
カート置き場にショッピングカート1を返却する際、買い物客は、コインロック10の鍵挿入口に他のショッピングカート1の鍵部62を挿入する。鍵挿入口の鍵部62が挿入されると、ロック機構が施錠されてコインロック10と鍵部62とが連結することにより、ショッピングカート1と他のショッピングカート1とは相互に束縛された状態となる。このとき、鍵部62の挿入により拘束機構が作動し、硬貨が拘束状態から開放されて硬貨投入口から返却される。
【0022】
(2)通信装置20
図1に戻って、ショッピングカート1には、通信装置20が搭載されている。通信装置20は、近距離無線通信方式により通信装置30と通信する。近距離無線通信方式には、NFC(Near Field Communication)の規格に従う通信方式、WiFi(登録商標)の規格に従う通信方式、または、BLE(Bluetooth Low Energy)(登録商標)の規格に従う通信方式等を用いることができる。通信装置20は、例えば、BLE仕様のビーコンであり、半径数メートルから数十メートルの範囲に信号を発信するように構成される。信号には、自装置の識別情報(以下、ビーコンIDとも称する)を含めることができる。通信装置20は「通信装置」または「第1の通信装置」の一実施例に対応する。
【0023】
通信装置20は、図示しない電源回路から電力の供給を受けて作動することにより信号を発信する。電源回路から通信装置20への電力の供給および遮断は、対応するショッピングカート1の使用状態に応じて切り替えられる。通信装置20への電力供給が遮断されると、通信装置20は作動を停止し、信号を発信しない。電源回路から通信装置20の電力の供給および遮断の切り替えは、後述する電源切替装置16によって実現される。
【0024】
(3)電源切替装置16
図3は、電源切替装置16の第1構成例を模式的に示す図である。
【0025】
図3に示すように、電源切替装置16は、例えば、コインロック10の筐体内に設けられる。コインロック10の筐体には、鍵60の鍵部62を挿入するための鍵挿入口12と、硬貨COを投入するための硬貨投入口14とが設けられている。図3には、筐体内部における電源切替装置16の部分が模式的に示されている。なお、筐体内部には、図示しないロック機構および硬貨COを拘束するための拘束機構がさらに設けられている。
【0026】
電源切替装置16は、対応するショッピングカート1の使用状態(使用/未使用)に応じて、通信装置20に対する電力の供給/遮断を切り替えるように構成される。具体的には、電源切替装置16は、通信装置20と電源回路22との間に設けられる。
【0027】
電源回路22は、蓄電池等の直流電源を含む。電源回路22は、直流電源の第1の極に繋がる第1端子22aと、直流電源の第2の極に繋がる第2端子22bとを有する。通信装置20は、電源切替装置16を介して電源回路22の第1端子22aと電気的に接続される第1端子20aと、電源回路22の第2端子22bと電気的に接続される第2端子20bとを有する。なお、図3の例では、電源回路22および通信装置20は何れもコインロック10の外部に設けられているが、電源回路22および通信装置20の少なくとも一方をコインロック10の筐体内に設ける構成としてもよい。
【0028】
電源切替装置16は、電源線24~28と、接点部81,82と、可動部材70と、可動端子71,72と、弾性部材74と、切替回路90と、操作部92とを備える。
【0029】
電源線24は、第1の端部が通信装置20の第1端子20aに接続される。電源線26は、第1の端部が電源線24の第2の端部に接続され、第2の端部が切替回路90の第1端子に接続される。電源線27は、第1の端部が電源線24の第2の端部に接続され、第2の端部が切替回路90の第2端子に接続される。電源線28は、第1の端部が切替回路90の第3端子に接続され、第2の端部が電源回路22の第1端子22aに接続される。電源線25は、第1の端部が通信装置20の第2端子20bに接続され、第2の端部が電源回路22の第2端子22bに接続される。
【0030】
接点部81は、電源線26に介挿接続される。接点部81は一対の固定接点を有している。接点部82は、電源線27に介挿接続される。接点部82は一対の固定接点を有している。電源線26は「第1電源線」の一実施例に対応し、接点部81は「第1接点部」の一実施例に対応する。電源線27は「第2電源線」の一実施例に対応し、接点部82は「第2接点部」の一実施例に対応する。
【0031】
可動端子71は、接点部81に対向するように配置されている。可動端子71は、導電材料により形成されている。可動端子71は、接点部81の一対の固定接点と接触された状態において、当該固定接点間を電気的に接続し、接点部81を導通状態(オン状態)にする。可動端子71は「第1可動端子」の一実施例に対応する。
【0032】
可動端子72は、接点部82に対向するように配置されている。可動端子72は、導電材料により形成されている。可動端子72は、接点部82の一対の固定接点と接触された状態において、当該固定接点間を電気的に接続し、接点部82を導通状態(オン状態)にする。可動端子72は「第2可動端子」の一実施例に対応する。
【0033】
可動部材70は、第1の端部が可動端子71に接続され、第2の端部が可動端子72に接続されている。可動部材70は、絶縁材料により形成されている。可動部材70は、鍵挿入口12の近傍に配置されており、鍵部62の挿入/抜去の際に作用する力を受けて移動するように構成される。具体的には、可動部材70は、接点部81と可動端子71とが接触される一方で、接点部82と可動端子72とが非接触とされる「第1の位置」と、接点部82と可動端子72とが接触される一方で、接点部81と可動端子71とが非接触とされる「第2の位置」との間を移動可能に構成される。
【0034】
弾性部材74は、筐体に固定された第1の端部と、可動部材70に接続された第2の端部とを有する。弾性部材74は、例えば、バネまたはゴム等の弾性を有する部材で構成することができる。
【0035】
切替回路90は、電源線26に接続される第1端子と、電源線27に接続される第2端子と、電源線28に接続される第3端子とを有する。切替回路90は、電源線26および電源線27のいずれか一方を選択的に電源線28に接続する。
【0036】
電源線26および電源線28が接続された場合には、電源線24、電源線26および電源線28は、通信装置20の第1端子20aと電源回路22の第1端子22aとの間に直列に接続される。すなわち、電源線26は、電源線24および電源線28を介して、通信装置20の第1端子20aと電源回路22の第1端子22aとの間に接続される。
【0037】
一方、電源線27および電源線28が接続された場合には、電源線24、電源線27および電源線28は、通信装置20の第1端子20aと電源回路22の第1端子22aとの間に直列に接続される。すなわち、電源線27は、電源線24および電源線28を介して、通信装置20の第1端子20aと電源回路22の第1端子22aとの間に接続される。
【0038】
切替回路90における切り替えは、操作部92を用いて行うことができる。操作部92は、例えば、コインロック10の筐体に設けられた操作ボタンまたは操作スイッチ等により構成することができる。この場合、ショッピングモールの運営会社から施設の管理を委託された管理担当者等が手動で操作部92を操作することにより、切替回路90を切り替えることができる。
【0039】
上述したように、買い物客がショッピングカート1を借り受ける際、すなわち、ショッピングカート1を使用する際には、コインロック10の硬貨投入口14に硬貨COが投入される。硬貨COの投入によってロック機構が解錠された後、鍵60の鍵部62が鍵挿入口12から抜き取られる。
【0040】
買い物客がショッピングカート1を返却する際、すなわち、ショッピングカート1の使用を終了する際には、コインロック10の鍵挿入口12に鍵部62が挿入される。鍵部62の挿入によってロック機構が施錠された後、硬貨投入口14から硬貨COが返却される。ショッピングカート1の未使用時には、コインロック10は、鍵挿入口12に鍵部62が挿入された状態を維持する。
【0041】
このようにコインロック10への鍵部62の抜き取りは、ショッピングカート1の使用開始に連動して行われ、コインロック10への鍵部62の挿入はショッピングカート1の使用終了に連動して行われる。第1構成例に係る電源切替装置16は、ショッピングカート1の使用開始および使用終了に連動して行われる鍵部62の挿入/抜去の動作を利用して可動部材70を移動させるように構成される。このような構成とすることにより、電源切替装置16は、ショッピングカート1の使用状態に応じて、電源回路22から通信装置20への電力の供給および遮断の切り替えを実現する。以下に、電源切替装置16の動作について詳細に説明する。
【0042】
(i)電源切替装置16の動作モード
電源切替装置16は、動作モードとして、ショッピングカート1の使用時に通信装置20を作動させる「第1のモード」と、ショッピングカート1の未使用時に通信装置20を作動させる「第2のモード」とを有している。
【0043】
第1のモードでは、電源回路22から通信装置20への電力供給は、対応するショッピングカート1の使用時に実行される一方で、ショッピングカート1の未使用時には非実行とされる。したがって、使用中のショッピングカート1においては、通信装置20は、電源回路22から電力の供給を受けて作動して信号を発信する。一方、未使用のショッピングカート1においては、通信装置20への電力供給が遮断されるため、通信装置20は作動を停止し、信号を発信しない。
【0044】
第2のモードでは、電源回路22から通信装置20への電力供給は、対応するショッピングカート1の未使用時に実行される一方で、ショッピングカート1の使用時には非実行とされる。したがって、未使用のショッピングカート1においては、通信装置20は、電源回路22から電力の供給を受けて作動して信号を発信する。一方、使用中のショッピングカート1においては、通信装置20への電力供給が遮断されるため、通信装置20は作動を停止し、信号を発信しない。
【0045】
第1のモードおよび第2のモードの切り替えは、切替回路90によって行うことができる。具体的には、第1モード時には、切替回路90の第1端子および第3端子が接続されることにより、電源線26および電源線28が接続される。これにより、電源線26は、電源線24および電源線28を介して、通信装置20の第1端子20aと電源回路22の第1端子22aとの間に接続される。
【0046】
第2モード時には、切替回路90の第2端子および第3端子が接続されることにより、電源線27および電源線28が接続される。これにより、電源線27は、電源線24および電源線28を介して、通信装置20の第1端子20aと電源回路22の第1端子22aとの間に接続される。
【0047】
(ii)第1のモード
次に、図4および図5を用いて、第1のモードにおける電源切替装置16の動作について説明する。
【0048】
図4には、ショッピングカート1の使用終了時、コインロック10の鍵挿入口12に鍵部62が挿入される様子が示されている。なお、鍵部62の挿入によってロック機構が解錠されると、硬貨投入口14から硬貨COが返却される。
【0049】
電源切替装置16においては、切替回路90の第1端子および第3端子が接続されている。よって、通信装置20の第1端子20aおよび電源回路22の第1端子22aの間には、電源線24および電源線28を介して電源線26が接続される。
【0050】
図4に示すように、コインロック10の内部では、鍵部62の先端部分が可動部材70に当接している。鍵部62の挿入に伴って、可動部材70には鍵部62が挿入される方向に沿った力F2が作用する。この力F2を受けて可動部材70が移動することにより、可動端子71と接点部81とが非接触とされるとともに、可動端子72と接点部82とが接触される。すなわち、可動部材70は「第2の位置」となる。このとき、弾性部材74は、力F2が付与されて圧縮される。力F2は「第2方向の力」の一実施例に対応する。
【0051】
可動端子71および接点部81の一対の固定接点が非接触となることにより、当該固定接点間が電気的に遮断されるため、接点部81は非導通状態(オフ状態)となる。その結果、通信装置20の第1端子20aおよび電源回路22の第1端子22aは非接続となり、通信装置20は電源回路22から電気的に切り離される。その結果、電源回路22から通信装置20への電力供給が遮断されるため、通信装置20は作動を停止する。
【0052】
ショッピングカート1の未使用時、可動部材70は、鍵部62から付与される力F2によって第2の位置に固定される。したがって、通信装置20は停止状態に維持される。
【0053】
図5には、ショッピングカート1の使用開始時、コインロック10の鍵挿入口12から鍵部62が抜き取られる様子が示されている。なお、硬貨投入口14に硬貨COが投入されてロック機構が解錠された後、鍵挿入口12から鍵部62が抜き取られる。コインロック10の内部では、鍵部62の抜き取りに伴い、圧縮されていた弾性部材74が元の形状に戻ろうとすることにより、可動部材70には鍵部62が挿入方向とは反対の方向に沿った力F1が作用する。力F1は「第1方向の力」の一実施例に対応する。
【0054】
この力F1を受けて可動部材70が移動することにより、可動端子72と接点部82とが非接触とされるとともに、可動端子71と接点部81とが接触される。すなわち、可動部材70は「第1の位置」となる。
【0055】
可動端子71および接点部81の一対の固定接点が接触することにより、当該固定接点間が電気的に接続されるため、接点部81は導通状態(オン状態)となる。その結果、通信装置20の第1端子20aおよび電源回路22の第1端子22aが接続され、通信装置20は電源回路22と電気的に接続される。その結果、電源回路22から通信装置20への電力が供給されるため、通信装置20は作動する。
【0056】
ショッピングカート1の使用時、可動部材70は、弾性部材74から付与される力F1によって第1の位置に固定される。したがって、通信装置20は作動状態に維持される。
【0057】
このように第1のモードにおいては、ショッピングカート1の使用時には可動部材70が第1の位置とされることにより、電源回路22から通信装置20に電力が供給されて通信装置20が作動する(図5参照)。一方、ショッピングカート1の未使用時には可動部材70が第2の位置とされることにより、電源回路22から通信装置20への電力供給が遮断されて通信装置20が作動を停止する(図4参照)。
【0058】
(iii)第2のモード
次に、図6および図7を用いて、第2のモードにおける電源切替装置16の動作について説明する。
【0059】
図6には、ショッピングカート1の使用終了時、コインロック10の鍵挿入口12に鍵部62が挿入される様子が示されている。なお、鍵部62の挿入によってロック機構が解錠されると、硬貨投入口14から硬貨COが返却される。
【0060】
電源切替装置16においては、切替回路90の第2端子および第3端子が接続されている。よって、通信装置20の第1端子20aおよび電源回路22の第1端子22aの間には、電源線24および電源線28を介して電源線27が接続される。
【0061】
図6に示すように、コインロック10の内部では、鍵部62の先端部分が可動部材70に当接している。鍵部62の挿入に伴って、可動部材70には鍵部62が挿入される方向に沿った力F2が作用する。この力F2を受けて可動部材70が移動することにより、可動端子71と接点部81とが非接触とされるとともに、可動端子72と接点部82とが接触される。すなわち、可動部材70は「第2の位置」となる。このとき、弾性部材74は、力F2が付与されて圧縮される。
【0062】
可動端子72および接点部82の一対の固定接点が接触することにより、当該固定接点間が電気的に接続されるため、接点部82は導通状態(オン状態)となる。その結果、通信装置20の第1端子20aおよび電源回路22の第1端子22aが接続され、通信装置20は電源回路22と電気的に接続される。その結果、電源回路22から通信装置20への電力が供給されるため、通信装置20は作動する。
【0063】
ショッピングカート1の未使用時、可動部材70は、鍵部62から付与される力F2によって第2の位置に固定される。したがって、通信装置20は作動状態に維持される。
【0064】
図7には、ショッピングカート1の使用開始時、コインロック10の鍵挿入口12から鍵部62が抜き取られる様子が示されている。なお、硬貨投入口14に硬貨COが投入されてロック機構が解錠された後、鍵挿入口12から鍵部62が抜き取られる。コインロック10の内部では、鍵部62の抜き取りに伴い、圧縮されていた弾性部材74が元の形状に戻ろうとすることにより、可動部材70には鍵部62の挿入方向とは反対の方向に沿った力F1が作用する。
【0065】
この力F1を受けて可動部材70が移動することにより、可動端子72と接点部82とが非接触とされるとともに、可動端子71と接点部81とが接触される。すなわち、可動部材70は「第1の位置」となる。
【0066】
可動端子72および接点部82の一対の固定接点が非接触となることにより、当該固定接点間が電気的に遮断されるため、接点部82は非導通状態(オフ状態)となる。その結果、通信装置20の第1端子20aおよび電源回路22の第1端子22aは非接続となり、通信装置20は電源回路22から電気的に切り離される。その結果、電源回路22から通信装置20への電力供給が遮断されるため、通信装置20は作動を停止する。
【0067】
ショッピングカート1の使用時、可動部材70は、弾性部材74から付与される力F1によって第1の位置に固定される。したがって、通信装置20は停止状態に維持される。
【0068】
このように第2のモードにおいては、ショッピングカート1の使用時には可動部材70が第1の位置とされることにより、電源回路22から通信装置20への電力供給が遮断されて通信装置20が作動を停止する(図7参照)。一方、ショッピングカート1の未使用時には可動部材70が第2の位置とされることにより、電源回路22から通信装置20へ電力が供給されて通信装置20が作動する(図6参照)。
【0069】
(4)通信装置30
図1に戻って、通信装置30は、施設内の予め定められた場所に設置されており、ショッピングカート1の通信装置20と無線通信を行う。具体的には、第1のモード時、通信装置30は、使用中のショッピングカート1に搭載される通信装置20と無線通信を行う。第2のモード時、通信装置30は、未使用のショッピングカート1に搭載される通信装置20と無線通信を行う。通信装置30は「第2の通信装置」の一実施例に対応する。
【0070】
第1のモードおよび第2のモードの各々において、通信装置30は、通信装置20から信号を受信すると、当該信号の受信時刻と、当該信号に含まれる通信装置20の識別情報(ビーコンID)とを紐付けて内部のメモリに記憶する。通信装置30のメモリには、各通信装置20からの信号の受信履歴を示す受信ログ情報が生成される。
【0071】
通信装置30は、予め定められた所定周期(例えば、数分間)で、自機の識別情報(以下、「受信機ID」とも称する)とともに、メモリに記憶されている受信ログ情報をサーバ40に送信する。この際に、既にメモリに蓄積されている受信ログ情報の一部を削除することで、受信履歴の記憶に使用するメモリの容量を抑制することができる。
【0072】
なお、通信装置30は、上記所定周期に従って受信ログ情報を定期的にサーバに送信する構成に限定されず、サーバ40からの送信要求に応じて、直近の所定時間(例えば、数分間)における受信ログ情報を送信する構成としてもよい。
【0073】
(5)サーバ40
サーバ40は、施設内に存在するショッピングカート1を管理するための機能を有する。サーバ40は、一例として、施設を運営する運営会社に設置されている。サーバ40は、運営会社から施設の管理を委託された管理担当者によって利用され得る。
【0074】
サーバ40は、主たる構成要素として、プログラムを実行するプロセッサと、データを不揮発的に格納するROM(Read Only Memory)と、プロセッサによるプログラムの実行により生成されたデータ、または、入力装置を介して入力されたデータを揮発的に格納するRAMと、データを不揮発的に格納するHDD(Hard Disk Drive)と、通信IF(Interface)とを含む。各構成要素は、相互にデータバスによって接続されている。
【0075】
サーバ40は、通信装置30から受信ログ情報を受信すると、HDDに格納されている、ショッピングカート1を管理するためのデータベース(以下、「カート情報データベース」とも称する)に受信ログ情報を登録する。
【0076】
具体的には、第1のモードにおいては、カート情報データベースには、使用中のショッピングカート1の通信装置20からの信号の受信ログ情報が登録される。なお、サーバ40のHDDには、施設内に設置された通信装置30の設置場所と、通信装置30の受信機IDとが関連付けたテーブルが予め登録されている。プロセッサは、当該テーブルと受信ログ情報とに基づいて、使用中のショッピングカート1の位置情報を特定することができる。このように第1のモードにおいて、サーバ40は、使用中のショッピングカート1の位置情報を収集することができる。施設の運営会社または管理担当者は、収集された位置情報を用いて、施設内における買い物客の動向を調査することが可能となる。
【0077】
これに対して、第2のモードにおいては、カート情報データベースには、未使用のショッピングカート1の通信装置20からの信号の受信ログ情報が登録される。サーバ40のプロセッサは、上記テーブルと受信ログ情報とに基づいて、未使用のショッピングカート1の位置情報を特定することができる。このように第2のモードにおいて、サーバ40は、未使用のショッピングカート1の位置情報を収集することができる。施設の運営会社または管理担当者は、未使用のショッピングカート1を管理することができる。
【0078】
なお、第2のモードではさらに、収集した未使用のショッピングカート1の位置情報を用いて、サーバ40は、未使用のショッピングカート1の位置情報を示す画面データ(典型的には、WEB画面)を生成する構成としてもよい。画面データは、例えば、施設内の平面図を示す画像上に、未使用のショッピングカート1を示すオブジェクトを配置することによって生成することができる。この平面図上には、対応するショッピングカート1の位置に応じてオブジェクトが配置される。サーバ40は、端末装置50から送信される要求信号に基づいて、生成された画面データを送信元の端末装置50に送信することができる。
【0079】
(6)端末装置50
図1に戻って、端末装置50は、通信網NW(代表的には、インターネット)を介して、サーバ40と通信可能に接続されている。端末装置50は、通信機能および表示機能を有する情報処理装置であり、代表的にはスマートフォンまたはタブレットである。端末装置50は、施設内の買い物客によって利用される。なお、端末装置50は、スマートフォンまたはタブレット等の携帯端末に限定されず、施設内に設置されたPC(Personal Computer)等であってもよい。
【0080】
端末装置50は、典型的には、ウェブブラウザを有している。端末装置50は、サーバ40にアクセスし、画面データ(WEB画面)を自装置に表示する。なお、端末装置50は、画面データを表示するには、サーバ40に対してログインする必要がある。
【0081】
端末装置50に対するユーザ操作に従ってサーバ40にアクセスすることにより、端末装置50は、WEB画面をディスプレイに表示する。上述したように、WEB画面は、例えば、施設内における未使用のショッピングカート1の位置を表した画像を含んでいる。端末装置50は、端末装置50のユーザ(買い物客)に対して、どこに未使用のショッピングカート1があるのかを知らせることができる。
【0082】
以上説明したように、実施の形態1によれば、ショッピングカート1(移動体)に搭載された通信装置20に対する電力の供給および遮断を、対応する移動体の使用状態(使用/未使用)に応じて切り替える構成としたことにより、通信装置20から送信される信号に基づいて、対応するショッピングカート1の位置情報とともに、その使用状態を示す情報を取得することができる。
【0083】
さらに実施の形態1によれば、電源切替装置16において、ショッピングカート1の使用時に通信装置20を作動させる「第1のモード」と、ショッピングカート1の未使用時に通信装置20を作動させる「第2のモード」とを切り替える構成としたことにより、単一の通信装置20を用いて、使用時のショッピングカート1の位置情報および未使用時のショッピングカート1の位置情報を選択的に取得することが可能となる。
【0084】
また、第1構成例に係る電源切替装置16(図3参照)は、ショッピングカート1の使用開始および使用終了に連動して行われる買い物客の動作(鍵部62の挿入/抜取)を利用して、電源回路22から通信装置20への電力の供給および遮断の切り替えを実現するように構成されている。そのため、買い物客または施設の管理担当者は、電力の供給および遮断の切り替えのための特別な操作を必要とされない。
【0085】
なお、第1のモードおよび第2のモードの切り替えについては、電源切替装置16内に設けられた切替回路90を用いて行うことができる。したがって、サーバ40を利用する施設の運営会社または管理担当者は、取得したい情報(使用中のショッピングカート1の位置情報/未使用のショッピングカート1の位置情報)に応じて切替回路90を操作することによって容易に動作モードを切り替えることができる。
【0086】
また、第1のモードおよび第2のモードの各々において、通信装置20からの信号を受信する必要がない状態のときには通信装置20への電力の供給を遮断して通信装置20の作動を停止させる構成としたことにより、通信装置20における電力消費を抑制することができる。具体的には、第1のモード時には、未使用のショッピングカート1に搭載される通信装置20への電力の供給が遮断されるため、ショッピングカート1の未使用中に電力が無駄に消費されることを抑制できる。第2のモード時には、使用中のショッピングカート1に搭載される通信装置20への電力の供給が遮断されるため、ショッピングカート1の使用中に電力が無駄に消費されることを抑制できる。その結果、低消費電力で移動体情報提供システム100を実現することができる。
【0087】
[実施の形態2]
実施の形態1では、電源切替装置16の第1構成例として、ショッピングカート1に設置されたコインロック10へ鍵部62の挿入および抜去を利用して、通信装置20に対する電力の供給および遮断を切り替える構成について説明した。
【0088】
実施の形態2および3では、本実施の形態に係る電源切替装置16の他の構成例について説明する。
【0089】
図8および図9は、電源切替装置16の第2構成例を模式的に示す図である。図8および図9には、ショッピングカート1の籠18を含む一部分が模式的に示されている。
【0090】
図8に示すように、籠18の底部には、商品等の被搬送物を載置するための載置部材180が設置されている。載置部材180は、弾性部材182によって支持されている。弾性部材182の第1端は載置部材180の裏面に接続され、第2端は籠18の底部に接続されている。弾性部材182は、例えば、バネまたはゴム等の弾性を有する部材で構成することができる。
【0091】
ショッピングカート1を使用している買い物客が籠18に買い物カゴまたは商品を投入すると、当該買い物カゴまたは商品が載置部材180に載置されることによって載置部材180が押し下げられ、弾性部材182が変形する(図8参照)。買い物を済ませた買い物客が籠18から買い物カゴまたは商品を取り出したときには、当該買い物カゴまたは商品が載置部材180から除去されたことに応じて、弾性部材182によって底部と反対側の方向の力が載置部材180に付与される。その結果、載置部材180は押し上げられて元の状態に戻される(図9参照)。
【0092】
このように載置部材180は、ショッピングカート1の使用時には被搬送物から荷重を受ける一方で、ショッピングカート1の未使用時には当該荷重が除去されるように構成されている。載置部材180の裏面には可動部材184が取り付けられている。可動部材184は、載置部材180が荷重を受けて押し下げられたときに、載置部材180とともに下方に移動する。載置部材180から荷重が除去されて載置部材180が押し上げられたときには、可動部材184は載置部材180とともに上方に移動する。
【0093】
図8に示すように、載置部材180が押し下げられた状態において、可動部材184の先端部分が可動部材に70に当接している。この載置部材180の移動に伴って、可動部材70には載置部材180の移動方向に沿った力F1が作用する。この力F1を受けて可動部材70が移動することにより、可動端子71と接点部81とが接触されるとともに、可動端子72と接点部82とが非接触となる。すなわち、可動部材70は「第1の位置」となる。このとき、弾性部材74は、力F1が付与されて圧縮される。
【0094】
このようにショッピングカート1の使用時には、可動端子71および接点部81の一対の固定接点が接触することにより、当該固定接点間が電気的に接続されるため、接点部81は導通状態(オン状態)となる。一方、可動端子72および接点部82の一対の固定接点が非接触となることにより、当該固定接点間が電気的に遮断されるため、接点部82は非導通状態(オフ状態)となる。
【0095】
これに対して、図9に示すように、載置部材180が押し上げられて元の状態に戻されると、圧縮されていた弾性部材74が元の形状に戻ろうとすることにより、可動部材70には力F1とは反対の方向に沿った力F2が作用する。この力F2を受けて可動部材70が移動することにより、可動端子71と接点部81とが非接触とされるとともに、可動端子72と接点部82とが接触される。すなわち、可動部材70は「第2の位置」となる。
【0096】
可動端子72および接点部82の一対の固定接点が接触することにより、当該固定接点間が電気的に接続されるため、接点部82は導通状態(オン状態)となる。一方、可動端子71および接点部81の一対の固定接点が非接触となることにより、当該固定接点間が電気的に遮断されるため、接点部81は非導通状態(オフ状態)となる。
【0097】
実施の形態1と同様、第1のモードにおいては、切替回路90の第1端子および第3端子が接続されることにより、通信装置20の第1端子20aおよび電源回路22の第1端子22aの間には、電源線24および電源線28を介して電源線26が接続される。したがって、ショッピングカート1の使用時には、図8に示すように可動部材70が第1の位置とされることにより、電源回路22から通信装置20に電力が供給されて通信装置20が作動する。一方、ショッピングカート1の未使用時には、図9に示すように可動部材70が第2の位置とされることにより、電源回路22から通信装置20への電力供給が遮断されて通信装置20が作動を停止する。
【0098】
これに対して、第2のモードにおいては、切替回路90の第2端子および第3端子が接続されることにより、通信装置20の第1端子20aおよび電源回路22の第1端子22aの間には、電源線24および電源線28を介して電源線27が接続される。したがって、ショッピングカート1の使用時には、図8に示すように可動部材70が第1の位置とされることにより、電源回路22から通信装置20への電力供給が遮断されて通信装置20が作動を停止する。一方、ショッピングカート1の未使用時には、図9に示すように可動部材70が第2の位置とされることにより、電源回路22から通信装置20へ電力が供給されて通信装置20が作動する。
【0099】
なお、載置部材180に載置される被搬送物は買い物カゴまたは商品に限定されない。例えば、ショッピングカート1には、幼児連れで買い物をする買い物客のために、幼児を乗せることができる座席を有しているものがある。この場合、幼児が被搬送物に該当する。したがって、ショッピングカートにおける幼児用座席の座面部分に載置部材180を設けることができる。
【0100】
これによると、幼児が座面に着座しているとき、すなわち、ショッピングカート1の使用時には、座面とともに載置部材180が押し下げられることによって、電源切替装置16は「第1の位置」となる(図8参照)。一方、幼児が座面から対座しているとき、すなわち、ショッピングカート1の未使用時には、座面とともに載置部材180が押し上げられることによって、電源切替装置16は「第2の位置」となる(図9参照)。
【0101】
あるいは、被搬送物を、買い物客が所有する端末装置(代表的には、スマートフォン)とすることができる。近年、ショッピングカート1のハンドル等に設けられた載置台に買い物客が自身の端末装置を取り付け、買い物中、購入する商品の情報(例えば、商品コード等)を端末装置のスキャナ機能に読み取らせる構成が提案されている。この構成では、スキャナ機能によって読み取られた商品情報が購入リストに登録される。買い物客は、購入リストに基づいて、買い物の支払いを自身の端末装置で行うことができる。
【0102】
上記構成では、買い物を済ませた買い物客は、ショッピングカート1を返却する際、自身の端末装置を載置台から取り外す。この端末装置の載置台に載置部材180を設けることができる。これによると、端末装置が載置台に載置されているとき、すなわち、ショッピングカート1の使用時には、載置台とともに載置部材180が押し下げられることによって、電源切替装置16は「第1の位置」となる(図8参照)。一方、端末装置が載置台から取り外されているとき、すなわち、ショッピングカート1の未使用時には、載置台とともに載置部材180が押し上げられることによって、電源切替装置16は「第2の位置」となる(図9参照)。
【0103】
なお、本実施の形態では、ショッピングカート1の籠18の底部に載置部材180および電源切替装置16を設置する構成例について説明したが、ショッピングカート1には、籠18以外にも、脚部分などに買い物カゴまたは商品を搭載することが可能に構成されたものがある。したがって、籠18に限定されず、買い物カゴまたは商品が載置される部分に対応するように、載置部材180および電源切替装置16を設置する構成としてもよい。また、ショッピングカート1に設置される載置部材180および電源切替装置16の各々の台数は1台に限定されるものではない。
【0104】
[実施の形態3]
図10および図11は、電源切替装置16の第3構成例を模式的に示す図である。図10および図11には、ショッピングカート1の脚19を含む一部分が模式的に示されている。
【0105】
図2に示したように、カート置き場において、ショッピングカート1は他のショッピングカート1と整列するように配置されている。例えば、買い物客は、カート置き場に設置されたカートゲートにショッピングカート1を収納することにより、ショッピングカート1を返却することができる。
【0106】
図10の例では、ショッピングカート1の脚19には突起部材192が設けられている。突起部材192は、脚19の先端部分193に形成された貫通孔190を挿通するように配置されている。突起部材192は、カートゲートに対してショッピングカート1が収納される方向に突出している。突起部材192は、貫通孔190の内部を移動可能に構成されている。
【0107】
買い物を済ませた買い物客がショッピングカート1を返却する際、買い物客は、カート置き場に設置されたカートゲートにショッピングカート1を収納する。この際、図10に示すように、ショッピングカート1の先端部分191の突起部材192がカートゲートまたは建物の壁などの固定物194、あるいは前方の他のショッピングカート1に接触する。これにより、突起部材192は、接触相手からショッピングカート1が収納される方向とは反対の方向の力を受けて貫通孔190に押し込まれる。
【0108】
買い物客がショッピングカート1を使用する際には、買い物客は、カート置き場にて、カートゲートに収納されている複数のショッピングカート1から最後尾のショッピングカート1を引き出す。この際、図11に示すように、ショッピングカート1の先端部分191の突起部材192は、固定物194あるいは他のショッピングカート1との接触から解放される。これにより、突起部材192は、貫通孔190から押し出されて元の位置に戻る。
【0109】
このように貫通孔190からの突起部材192の押し出しは、ショッピングカート1の使用開始に連動して行われ、貫通孔190への突起部材192の押し込みはショッピングカート1の使用終了に連動して行われる。第3構成例に係る電源切替装置16は、ショッピングカート1の使用開始および使用終了に連動して行われる、突起部材192の押し出し/押し込みの動作を利用して可動部材70を移動させるように構成される。
【0110】
具体的には、図10に示すように、突起部材192が貫通孔190に押し込まれた状態において、突起部材192の先端部分が可動部材に70に当接している。この突起部材192の押し込みに伴って、可動部材70には突起部材192の移動方向に沿った力F2が作用する。この力F2を受けて可動部材70が移動することにより、可動端子72と接点部82とが接触されるとともに、可動端子71と接点部81とが非接触となる。すなわち、可動部材70は「第2の位置」となる。このとき、弾性部材74は、力F2が付与されて圧縮される。
【0111】
このようにショッピングカート1の未使用時には、可動端子72および接点部82の一対の固定接点が接触することにより、当該固定接点間が電気的に接続されるため、接点部82は導通状態(オン状態)となる。一方、可動端子71および接点部81の一対の固定接点が非接触となることにより、当該固定接点間が電気的に遮断されるため、接点部81は非導通状態(オフ状態)となる。
【0112】
これに対して、図11に示すように、貫通孔190から突起部材192が押し出されると、圧縮されていた弾性部材74が元の形状に戻ろうとすることにより、可動部材70には力F2とは反対の方向に沿った力F1が作用する。この力F1を受けて可動部材70が移動することにより、可動端子72と接点部82とが非接触とされるとともに、可動端子71と接点部81とが接触される。すなわち、可動部材70は「第1の位置」となる。
【0113】
可動端子71および接点部81の一対の固定接点が接触することにより、当該固定接点間が電気的に接続されるため、接点部81は導通状態(オン状態)となる。一方、可動端子72および接点部82の一対の固定接点が非接触となることにより、当該固定接点間が電気的に遮断されるため、接点部82は非導通状態(オフ状態)となる。
【0114】
実施の形態1と同様、第1のモードでは、切替回路90の第1端子および第3端子が接続されることにより、通信装置20の第1端子20aおよび電源回路22の第1端子22aの間には、電源線24および電源線28を介して電源線26が接続される。したがって、ショッピングカート1の使用時には、図11に示すように可動部材70が第1の位置とされることにより、電源回路22から通信装置20に電力が供給されて通信装置20が作動する。一方、ショッピングカート1の未使用時には、図10に示すように可動部材70が第2の位置とされることにより、電源回路22から通信装置20への電力供給が遮断されて通信装置20が作動を停止する。
【0115】
これに対して、第2のモードでは、切替回路90の第2端子および第3端子が接続されることにより、通信装置20の第1端子20aおよび電源回路22の第1端子22aの間には、電源線24および電源線28を介して電源線27が接続される。したがって、ショッピングカート1の使用時には、図11に示すように可動部材70が第1の位置とされることにより、電源回路22から通信装置20への電力供給が遮断されて通信装置20が作動を停止する。一方、ショッピングカート1の未使用時には、図10に示すように可動部材70が第2の位置とされることにより、電源回路22から通信装置20へ電力が供給されて通信装置20が作動する。
【0116】
<移動体情報提供システムのその他の適用例>
上述した実施の形態では、ショッピングモール内に点在するショッピングカート1の位置情報を当該ショッピングカート1の使用状態とともに提供するシステムの構成について例示したが、本実施の形態に係る移動体情報提供システムの適用例はこれに限定されない。例えば、医療施設または介護施設等で施設の利用者に対し、車椅子の位置情報および使用状態を提供するためのシステムに本開示に係る移動体情報提供システムを適用することが可能である。この場合においても、車椅子の使用状態に応じて、車椅子に搭載された通信装置への電力の供給および遮断を切り替えることにより、第1のモードでは使用中の車椅子の位置情報を取得することができ、第2のモードでは未使用の車椅子の位置情報を取得することができる。
【0117】
また、車椅子に対して、電源回路および通信装置とともに、第1から第3の構成例に係る電源切替装置を設置することにより、電源切替装置は、車椅子を使用するユーザの動作を利用して通信装置への電力の供給および遮断を実現することができる。
【0118】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0119】
1 ショッピングカート、10 コインロック、12 鍵挿入口、14 硬貨投入口、16 電源切替装置、18 籠、19 脚、20,30 通信装置、20a,22a 第1端子、20b,22b 第2端子、22 電源回路、24~28 電源線、40 サーバ、50 端末装置、60 鍵、62 鍵部、64 鎖部、70,184 可動部材、71,72 可動端子、74,182 弾性部材、81,82 接点部、90 切替回路、92 操作部、100 移動体情報提供システム、180 載置部材、190 貫通孔、192 突起部材、193 先端部分、CO 硬貨、NW 通信網。
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