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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】水供給機器システム
(51)【国際特許分類】
   A61H 33/10 20060101AFI20240304BHJP
   A61H 33/06 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
A61H33/10 D
A61H33/06 N
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022189950
(22)【出願日】2022-11-29
(62)【分割の表示】P 2021057149の分割
【原出願日】2021-03-30
(65)【公開番号】P2023014183
(43)【公開日】2023-01-26
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】原島 立成
(72)【発明者】
【氏名】大江 俊春
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 啓太
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 元太
(72)【発明者】
【氏名】碇 洋平
(72)【発明者】
【氏名】牧 愛子
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0139388(US,A1)
【文献】特開昭62-228855(JP,A)
【文献】実開昭53-112175(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 33/00-33/14
A47K 3/02
B05B 17/06
F24F 6/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体の水及び霧状のミストのいずれも供給可能な水供給機器システムであって、
液体の水を供給する水供給装置と、
上記水供給装置から供給された水を受ける水受け部と、
霧状のミストを供給するミスト供給装置であって、
ミストを生成するミスト生成部と、
上記ミスト生成部により生成されたミストを供給するミスト供給部と、を備えた、上記ミスト供給装置とを備え、
上記ミスト生成部は、
ミストを生成するための水を貯める貯水部と、
上記貯水部内の水に超音波を照射してミストを生成する複数の超音波振動子と、
複数の上記超音波振動子のうちのそれぞれの上記超音波振動子と1個の発振器とが組になるように接続された複数の上記発振器と、
上記発振器を冷却する冷却装置と、を備え
上記水供給機器システムは、浴室内に液体の水及び霧状のミストのいずれも供給可能な浴室システムであり、
上記冷却装置の吸気口から排気口まで延びる冷却流路の少なくとも一部は、上記浴室内に形成され、
上記冷却流路の上記吸気口は、上記浴室外に向けて開口するように形成され、上記冷却流路の上記排気口も、上記浴室外に向けて開口するように形成される、水供給機器システム。
【請求項2】
上記ミスト供給部は、上記水供給機器システムが使用される室内に向けて上方が開放された滞留空間を形成する滞留部内に、上記ミスト生成部により生成されたミストを供給し、
上記ミスト生成部及び上記ミスト供給部は、上記ミスト供給部から供給されたミストが上記滞留空間内に滞留されるように構成される、請求項1に記載の水供給機器システム。
【請求項3】
上記発振器は、発振器本体と、上記発振器本体の熱を逃がすように上記発振器本体に接続されたヒートシンクと、を備え、
上記冷却装置は、上記ヒートシンクに至る空気の流れを生じさせる送風機を備える、請求項に記載の水供給機器システム。
【請求項4】
上記冷却装置は、さらに、吸気口から排気口まで延びると共に上記送風機により生じた空気の流れを通す冷却流路を備え、
上記ヒートシンクは、上記冷却流路に露出された部分を有するように配置される、請求項に記載の水供給機器システム。
【請求項5】
複数の上記ヒートシンクは、上記冷却流路の上流側から見た場合に、上記冷却流路内の第1領域と、上記冷却流路内において上記第1領域とずれた第2領域とに少なくとも分かれて配置されている、請求項に記載の水供給機器システム。
【請求項6】
上記冷却装置は、さらに、上記排気口から排気される空気の流れが上記吸気口に戻りにくくなるように形成されている循環抑制手段を備えている、請求項に記載の水供給機器システム。
【請求項7】
上記循環抑制手段は、上記排気口から上記吸気口に向けて直線的に流れる空気の流れの形成を抑制する風向制御部を備える、請求項に記載の水供給機器システム。
【請求項8】
上記風向制御部は、上記吸気口又は上記排気口において上記浴室の外面から外側に突出する壁部により形成される、請求項に記載の水供給機器システム。
【請求項9】
上記風向制御部の上記壁部は、管壁の一部を切り欠くようにして形成された管壁部により形成される、請求項に記載の水供給機器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水供給機器システムに係り、特に、液体の水及び霧状のミストのいずれも供給可能な水供給機器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、直流電源と接続された超音波振動子によりミストを生成させ、このミストを浴槽と浴槽蓋で形成されたサウナ空間に供給する浴槽サウナ装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-18130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示すような浴槽サウナ装置においてミストの生成量を増加させようとするため、ミストを生成させるための超音波振動子を複数設けることを検討する場合、超音波振動子を振動させるための電気を発振する発振器の発熱が増加され、発振器の動作不良が生じる問題が生じた。
また、液体の水及び霧状のミストのいずれも供給可能な水供給機器システムにおいては、水の供給として、液体の水の供給と霧状のミストの供給とが関連するものとして使用者に認識される可能性がある。よって、発振器が動作不良となり霧状のミストの供給に問題が生じることにより、液体の水の供給についても問題が生じているのではないかという不安感を使用者に与える恐れがある。そこで、液体の水及び霧状のミストのいずれも供給できる水供給機器システムにおいて発振器の動作不良が生じる問題を解決したいという新たな課題が生じている。
【0005】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、生成させようとするミストを増加させようとするため複数の超音波振動子を設ける場合においても、発振器の動作不良を抑制でき、液体の水及び霧状のミストのいずれも供給できる水供給機器システムの動作不良を抑制することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一実施形態は、液体の水及び霧状のミストのいずれも供給可能な水供給機器システムであって、液体の水を供給する水供給装置と、上記水供給装置から供給された水を受ける水受け部と、霧状のミストを供給するミスト供給装置であって、ミストを生成するミスト生成部と、上記ミスト生成部により生成されたミストを供給するミスト供給部と、を備えた、上記ミスト供給装置とを備え、上記ミスト生成部は、ミストを生成するための水を貯める貯水部と、上記貯水部内の水に超音波を照射してミストを生成する複数の超音波振動子と、複数の上記超音波振動子のうちのそれぞれの上記超音波振動子と1個の発振器とが組になるように接続された複数の上記発振器と、を備えることを特徴としている。
このように構成された本発明の一実施形態においては、ミスト生成部は、複数の超音波振動子と、複数の上記超音波振動子のうちのそれぞれの上記超音波振動子と1個の発振器とが組になるように接続された複数の上記発振器とを備える。これにより、液体の水及び霧状のミストのいずれも供給可能な水供給機器システムにおいて、生成させようとするミストを増加させようとするため複数の超音波振動子を設ける場合においても、それぞれの発振器の発熱を抑制して発振器の動作不良を抑制でき、液体の水及び霧状のミストのいずれも供給できる水供給機器システムの動作不良を抑制できる。
【0007】
本発明の一実施形態において、好ましくは、上記ミスト供給部は、上記水供給機器システムが使用される室内に向けて上方が開放された滞留空間を形成する滞留部内に、上記ミスト生成部により生成されたミストを供給し、上記ミスト生成部及び上記ミスト供給部は、上記ミスト供給部から供給されたミストが上記滞留空間内に滞留されるように構成される。
このように構成された本発明の一実施形態においては、水供給機器システムが使用される室内に向けて上方が開放された滞留空間を形成する滞留部内にミストを滞留させるように、生成させるミストを増加させようとするため複数の超音波振動子を設ける場合においても、それぞれの発振器の発熱を抑制して発振器の動作不良をより抑制でき、液体の水及び霧状のミストのいずれも供給できる水供給機器システムの動作不良をより抑制できる。
【0008】
本発明の一実施形態において、好ましくは、上記ミスト生成部は、さらに、上記発振器を冷却する冷却装置を備える。
このように構成された本発明の一実施形態においては、上記ミスト生成部は、さらに、上記発振器を冷却する冷却装置を備える。これにより、発振器の熱をより効率的に放熱し、発振器の発熱を抑制して発振器の動作不良をより抑制できる。
【0009】
本発明の一実施形態において、好ましくは、上記発振器は、発振器本体と、上記発振器本体の熱を逃がすように上記発振器本体に接続されたヒートシンクと、を備え、上記冷却装置は、上記ヒートシンクに至る空気の流れを生じさせる送風機を備える。
このように構成された本発明の一実施形態においては、発振器はヒートシンクを備えるので発振器本体の熱を放熱しやすくできると共に、冷却装置がヒートシンクに空気を送る送風機を備えるので発振器本体の放熱をより促進させることができる。これにより、発振器の熱をさらに効率的に放熱し、発振器の発熱を抑制して発振器の動作不良をさらに抑制できる。
【0010】
本発明の一実施形態において、好ましくは、上記冷却装置は、さらに、吸気口から排気口まで延びると共に上記送風機により生じた空気の流れを通す冷却流路を備え、上記ヒートシンクは、上記冷却流路に露出された部分を有するように配置される。
このように構成された本発明の一実施形態においては、上記ヒートシンクは、送風機により生じた空気の流れを通す冷却流路に露出された部分を有するように配置される。これにより、ヒートシンクを空気の流れにより効率的に冷却でき、ヒートシンクによる発振器本体の放熱をより促進させることができる。これにより、発振器の熱をさらに効率的に放熱し、発振器の発熱を抑制して発振器の動作不良をさらに抑制できる。
【0011】
本発明の一実施形態において、好ましくは、複数の上記ヒートシンクは、上記冷却流路の上流側から見た場合に、上記冷却流路内の第1領域と、上記冷却流路内において上記第1領域とずれた第2領域とに少なくとも分かれて配置されている。
このように構成された本発明の一実施形態においては、複数の上記ヒートシンクは、上記冷却流路の上流側から見て、上記冷却流路内の第1領域と、上記冷却流路内において上記第1領域とずれた第2領域とに少なくとも分かれて配置されている。これにより、複数のヒートシンクが冷却流路の上流側から見て一つの領域のみに直列に配置される場合に比べて、複数のヒートシンクのうち冷却流路の下流側に設けられるヒートシンクに至る空気の温度上昇を抑制でき、比較的少ない風量の空気の流れにより複数のヒートシンクを冷却でき、発振器の発熱を抑制して発振器の動作不良をさらに抑制できる。
【0012】
本発明の一実施形態において、好ましくは、上記水供給機器システムは、浴室内に液体の水及び霧状のミストのいずれも供給可能な浴室システムである。
このように構成された本発明の一実施形態においては、水供給機器システムは、浴室内に液体の水及び霧状のミストのいずれも供給可能な浴室システムである。これにより、浴室内に液体の水及び霧状のミストのいずれも供給可能な浴室システムにおいて、生成させようとするミストを増加させようとするため複数の超音波振動子を設ける場合においても、それぞれの発振器の発熱を抑制して発振器の動作不良を抑制でき、液体の水及び霧状のミストのいずれも供給できる浴室システムの動作不良をより抑制できる。
【0013】
本発明の一実施形態において、好ましくは、上記冷却装置の上記冷却流路の少なくとも一部は、上記浴室内に形成され、上記冷却流路の上記吸気口は、上記浴室外に向けて開口するように形成され、上記冷却流路の上記排気口も、上記浴室外に向けて開口するように形成される。
このように構成された本発明の一実施形態においては、冷却装置の上記冷却流路の少なくとも一部が浴室内に形成されている場合であっても、冷却流路の上記吸気口は、上記浴室外に向けて開口するように形成され、上記冷却流路の上記排気口も、上記浴室外に向けて開口するように形成される。これにより、浴室内の高温多湿な空気が吸気口から冷却流路内に流入しにくくでき、冷却流路内の発振器に高温多湿な空気が供給され、発振器がショートしたり、発振器の放熱が不足することを抑制でき、発振器の動作不良を抑制できる。また、冷却装置の上記冷却流路の少なくとも一部は、上記浴室内に形成されるので、冷却流路が完全に浴室外に配置される場合と比べて、浴室内から水供給機器システムの冷却流路を比較的簡単に配置でき、水供給機器システムの施工をより簡単にできる。よって、本発明の一実施形態によれば、浴室内から水供給機器システムの施工をより簡単にできるようにしつつも、浴室内の高温多湿な空気により発振器の動作不良が生じることを抑制できる。
【0014】
本発明の一実施形態において、好ましくは、上記冷却装置は、さらに、上記排気口から排気される空気の流れが上記吸気口に戻りにくくなるように形成されている循環抑制手段を備えている。
このように構成された本発明の一実施形態においては、冷却装置は、さらに、上記排気口から排気される空気の流れが上記吸気口に戻りにくくなるように形成されている循環抑制手段を備えている。これにより、発振器の廃熱により温まっている空気が排気口から吸気口に循環されにくくでき、発振器の放熱不良を抑制でき、発振器の動作不良をさらに抑制できる。
【0015】
本発明の一実施形態において、好ましくは、上記循環抑制手段は、上記排気口から上記吸気口に向けて直線的に流れる空気の流れの形成を抑制する風向制御部を備える。
このように構成された本発明の一実施形態においては、上記循環抑制手段は、上記排気口から上記吸気口に向けて直線的に流れる空気の流れの形成を抑制する風向制御部を備える。これにより、発振器の廃熱により温まっている空気が排気口から吸気口により循環されにくくでき、発振器の放熱不良をより抑制でき、発振器の動作不良をさらに抑制できる。
【0016】
本発明の一実施形態において、好ましくは、上記風向制御部は、上記吸気口又は上記排気口において上記浴室の外面から外側に突出する壁部により形成される。
このように構成された本発明の一実施形態においては、上記風向制御部は、上記吸気口又は上記排気口において上記浴室の外面から外側に突出する壁部により形成される。これにより、比較的簡易な構成により、空気が排気口から吸気口に向けて循環されにくくできる。
【0017】
本発明の一実施形態において、好ましくは、上記風向制御部の上記壁部は、管壁の一部を切り欠くようにして形成された管壁部により形成される。
このように構成された本発明の一実施形態においては、上記風向制御部の上記壁部は、管壁の一部を切り欠くようにして形成された管壁部により形成される。これにより、比較的簡易な構成により、管から壁部が形成でき、空気が排気口から吸気口に向けて循環されにくくできる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の水供給機器システムによれば、液体の水及び霧状のミストのいずれも供給できる水供給機器システムの動作不良を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の本発明の第1実施形態による水供給機器システムの斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態による水供給機器システムの構造を説明する断面図である。
図3】本発明の本発明の第1実施形態による水供給機器システムのミスト供給装置の斜視図である。
図4】本発明の本発明の第1実施形態による水供給機器システムの冷却装置の壁面側の様子を示す背面側斜視図である。
図5】本発明の本発明の第1実施形態による水供給機器システムの冷却装置の内部構造を背面側から見た状態を示す概略図である。
図6】本発明の本発明の第1実施形態による水供給機器システムの冷却装置の上面図である。
図7図6のVII-VII線に沿った断面図である。
図8図6のVIII-VIII線に沿った断面図である。
図9】本発明の本発明の第1実施形態による水供給機器システムの冷却装置を壁面側から見た背面図である。
図10図9のX-X線に沿った断面図である。
図11】本発明の本発明の第1実施形態による水供給機器システムのミスト生成部の超音波振動子と発振器本体との接続関係を示す構成図である。
図12】本発明の本発明の第1実施形態による水供給機器システムの冷却装置の吸気口と排気口とが壁面の外側まで延びる様子を示す断面図である。
図13】本発明の本発明の第1実施形態による水供給機器システムの冷却装置の風向制御部の変形例を示す図である。
図14】本発明の本発明の第1実施形態による水供給機器システムの冷却装置の風向制御部のさらなる変形例を示す図である。
図15】本発明の第1実施形態による水供給機器システムからのミスト供給動作を説明する図である。
図16】本発明の第1実施形態による水供給機器システムからのミスト供給動作を説明する図である。
図17】本発明の第1実施形態による水供給機器システムからのミスト供給動作を説明する図である。
図18】本発明の第1実施形態による水供給機器システムからのミスト供給動作を説明する図である。
図19】本発明の第1実施形態による水供給機器システムからのミスト供給動作を説明する図である。
図20】本発明の第1実施形態による水供給機器システムからのミスト供給動作を説明する図である。
図21】本発明の第2実施形態による水供給機器システムを洗い場床に適用した例を示す斜視図である。
図22】本発明の第3実施形態による水供給機器システムをシャワールームに適用した例を示す斜視図である。
図23】本発明の第4実施形態による水供給機器システムが洗面装置に設けられている様子を示す斜視図である。
図24】本発明の第5実施形態による水供給機器システムがキッチンシンク装置に設けられている様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、本明細書に開示する本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。以下の説明から、当業者にとって、本発明の多くの改良や他の実施の形態が明らかである。従って、以下の説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更することができる。
【0021】
以下、図1及び図2を参照して本発明の第1実施形態による水供給機器システムについて説明する。
図1は本発明の第1実施形態による水供給機器システムの斜視図であり、図2は本発明の本発明の第1実施形態による水供給機器システムの構造を説明する断面図である。
水供給機器システム1は、液体の水及び霧状のミストのいずれも供給可能な水供給機器システムである。水供給機器システム1は、浴室3に設けられる。水供給機器システム1は、浴室3内に液体の水及び霧状のミストのいずれも供給可能な浴室システムである。なお、水供給機器システム1は、浴室に限られず、後述するようにトイレ、洗面所、キッチン等に設けられてもよい。浴室3は、箱型の空間、内部で水を使用するため一定程度密閉された室内空間5を形成している。浴室3は、例えば、いわゆるユニットバスとして形成されるユニット状の部屋を形成している。
【0022】
水供給機器システム1は、液体の水を供給する水回り機器である水供給装置2と、霧状のミストを供給するミスト供給装置4とを備える。このように、水供給機器システム1は、浴室の浴槽、浴室の洗い場床、浴室の一形態としてのシャワールーム、トイレ、洗面所、キッチン等の水を使うための水供給装置2、例えば吐水装置が設けられている水回り機器システムである。ミスト供給装置4は、浴室3内に設けられる。ミスト供給装置4は、浴槽、浴室の洗い場床、シャワールーム、手洗いボウル、洗面台ボウル、キッチンシンク等に用いられるミスト発生装置である。浴室3内には、ミスト供給装置4を操作する操作部28が設けられている。操作部28は、浴槽本体12への水の貯水操作、温度設定等も行うことができる。操作部28は、供給されるミストの目標温度を設定できる操作機能、供給されるミストの目標粒径を設定できる操作機能等を有していてもよい。操作部28は、浴室3外に設けられてもよく、又は、リモコン等の遠隔操作部でもよい。
【0023】
水供給装置2は、浴槽本体12に水を給水する浴槽給水装置6、浴室の洗い場本体18床側に水を給水する洗い場側水栓装置8、又はシャワーヘッドから水を給水するシャワー水栓装置10、の少なくともいずれかを備えている。なお、水供給装置2は、浴槽給水装置6、洗い場側水栓装置8、及びシャワー水栓装置10のうち複数、又は全てを備えていてもよい。また、水供給装置2は、浴室3内に液体の水を供給する給水装置であれば、他の形態の給水装置であってもよい。水には、温度によらず外気温(常温)より温度の高い水、加熱された水(いわゆる湯水)も含まれる。すなわち、水供給装置2は湯水を供給するものも含む。
【0024】
浴槽給水装置6は、浴槽本体12に設けられている。浴槽給水装置6は、水の供給を行う供給装置14を備え、水道等の給水源かと連通する給水管16及び/又は給湯機から湯水が供給される給湯管17からの水を、制御部の指令を受けた供給装置14により、浴槽本体12内に供給する。よって、浴槽給水装置6は、任意のタイミングで水を浴室内の浴槽本体12に供給できるように構成されている。供給装置14は、浴室3内に設けられていてもよく、例えば、ミスト供給装置4内に設けられていてもよい。
【0025】
洗い場側水栓装置8は、浴室3の洗い場本体18側のカウンタ等の壁部分に設けられる。洗い場側水栓装置8は、水の供給を行う供給装置14を備え、水道等の給水源と連通する給水管16及び/又は給湯機から湯水が供給される給湯管17からの水を、制御部の指令を受けた供給装置14により、洗い場本体18内に供給する。よって、洗い場側水栓装置8は、任意のタイミングで水を浴室内の洗い場本体18に供給できるように構成されている。
【0026】
シャワー水栓装置10は、浴室3の壁部分に設けられる。シャワー水栓装置10は、水の供給を行う供給装置14を備え、水道等の給水源と連通する給水管16及び/又は給湯機から湯水が供給される給湯管17からの水を、制御部の指令を受けた供給装置14により、洗い場本体18内に供給する。よって、シャワー水栓装置10は、任意のタイミングで水を浴室3内の浴槽本体12又は洗い場本体18に供給できるように構成されている。
【0027】
浴槽本体12は、浴槽(湯船)であり、内側の滞留空間20内に水が貯水できるようになっている。浴槽本体12は、浴槽給水装置6又はシャワー水栓装置10から供給された水を受ける水受け部を構成している。浴槽本体12は、ミストを滞留させる滞留部でもある。浴槽本体12は、浴室3内の室内空間5に向けて上方が開放された滞留空間20を形成する。浴槽本体12は、上面視で長方形に形成され、長方形の長辺側に長辺側部分12dが形成され、短辺側に短辺側部分12eが形成されている。短辺側部分12eは、長辺側部分12dに比べて浴槽の幅が短くなっている。
滞留空間20は、浴槽本体12の内側において概ね直方体形状に形成される空間である。図2に示すように使用者Aが入浴する際には、滞留空間20の下部側に34℃乃至45℃の水Bが貯水され、使用者Aが座った状態で入浴することができる。なお、後述するように、図2においては、滞留空間20内の水Bの上方にはミストが滞留した状態(ミストの滞留層Cが形成されている状態)となっている。滞留空間20は、浴槽本体12の上端部12aまで形成され、天面側が開口されている。浴槽本体12は、滞留空間20の天面を覆うような蓋を省略した状態で、後述するようにミストが滞留空間20内に滞留されるようになっている。なお、滞留空間20内に水Bが貯水されずにミストが滞留されていてもよい。浴槽本体12の形状は実施形態のような箱状に限定されず、滞留空間を形成できる形状であればよい。例えば、浴槽本体12が上面視で円形や楕円形に形成され、内側にボウル状の滞留空間が形成されていてもよい。浴槽本体12の底面は使用者が寝浴姿勢や座り姿勢に近い姿勢をとれるように斜めに形成されていてもよく、底面に段部が形成されていてもよく又は形成されていなくてもよい。浴槽本体12の壁部の頂辺部が、一定の高さで水平に形成されている必要はなく高さが変化するように形成されていてもよい。例えば、浴槽本体12の壁部の長辺部が、側面視で、斜め上方又は下方に延びる形状、一部が下方に凹む弓状に延びる形状や、略直角を形成するような形状とされてもよい。
【0028】
洗い場本体18は、浴室3内の室内空間5に向けて上方が開放された洗い場本体側の滞留空間120を形成する。洗い場本体18は、洗い場床、浴室の壁面、浴槽本体の外壁、浴室のドア等により形成され、内側の滞留空間120内に水が流れることができるようになっている。洗い場本体18は、洗い場側水栓装置8又はシャワー水栓装置10から供給された水を受ける水受け部を構成している。このような構造により、洗い場本体18は、ミストが滞留空間120内に滞留されるようになっている。
【0029】
ミスト供給装置4は、ミストを生成するミスト生成部22と、ミスト生成部22により生成されたミストを浴槽本体12内に供給するミスト供給部24とを備えている。ミスト供給装置4は、壁Wに取付けられている。
【0030】
ミスト生成部22は、水からミストを生成する。水は、加熱され水温を制御された水であってもよく、又は加熱されていない状態の水例えば水道等の給水源から供給された水であってもよい。ミスト生成部22は、水から生成されたミストを加熱することで温度制御されたミストを生成してもよい。ミスト生成部22は、浴槽本体12の短辺側の短辺側部分12eの上方に配置されている。
【0031】
ミスト生成部22は、ミストを生成するための水を内部に貯める貯水部26と、水を給水源から貯水部26に給水する給水路29と、水を貯水部26から排水管に排水する排水路30と、貯水部26の内側の底部に設けられた超音波振動子32と、貯水部26の内側に設けられた水温検知手段である水温計測器34と、貯水部26の外側に設けられた気温検知手段である室内温度計測器36と、超音波振動子32に所定の電気を発振する発振器38と、超音波振動子32を制御する制御部40と、を備えている。
【0032】
貯水部26は、直方体形状に形成されている。貯水部26の下部の側壁に給水路29と排水路30とが接続されている。貯水部26の中央近傍の側壁にミスト供給部24が接続されている。給水路29には、給水路29を開閉する給水路開閉弁27が設けられている。排水路30には、排水路30を開閉する排水路開閉弁31が設けられている。
【0033】
超音波振動子32は、貯水部26内の水に超音波を照射(発振)して、貯水部26内の液面の水を振動させ、液面から水を微粒子状にさせ、所定の粒径のミスト(霧)を生成させることができる。超音波振動子32は、発振器38と電気的に接続され、超音波振動子32の超音波の発振出力、周波数等を調整することにより、発生させるミストの粒径を変更できるようになっている。ミスト供給部24から供給されるミストの主な粒径(例えば半数以上の粒径)が、3.1μm以上且つ40μm以下、より好ましくは3.6μm以上且つ20μm以下、さらに好ましくは4.1μm以上且つ10μm以下となるように、ミスト生成部22及びミスト供給部24等が構成される。
【0034】
超音波振動子32は、貯水部26内に複数設けられている。複数の超音波振動子32は、貯水部26内において壁Wと平行な列に沿って並ぶように設けられている。例えば、図2及び図11に示すように、複数の超音波振動子32は、壁Wと平行な1列上に8つ並んで設けられている。複数の超音波振動子32は、壁Wと平行な複数の列上に設けられていてもよい。また、複数の超音波振動子32は、貯水部26内において列状以外の他の配置方法により配置されていてもよい。
【0035】
水温計測器34は、貯水部26内の水の水温を検知する。制御部40は、水温計測器34と電気的に接続され、制御部40が水温計測器34により測定された貯水部26内の水の水温を認識できる。
【0036】
室内温度計測器36は、浴槽本体12が配置される室内空間5の空気の温度を検知する。制御部40は、室内温度計測器36と電気的に接続され、制御部40が室内温度計測器36により測定された室内空間5の空気の温度を認識できる。なお、ミストの供給開始前(ミスト生成部22が駆動される前)の状態においては、室内空間5の空気の温度と、滞留空間20内の空気の温度とはほぼ等しい又は比較的近い温度であると仮定されるので、制御部40は、室内温度計測器36により測定された室内空間5の空気の温度を、滞留空間20内の空気の温度と推定できる。
【0037】
ミスト供給部24は、ミスト生成部22により生成されたミストを、水供給機器システム1が使用される室内に向けて上方が開放された滞留空間20を形成する滞留部である浴槽本体12内に供給する。ミスト供給部24は、図2に示す流路の断面により示されるように、ミスト生成部22から滞留空間20の一端の上部まで延びる流路を形成している。ミスト供給部24の開口部は、正面から(滞留空間20側から)見て、浴槽本体12の短辺側部分12eに沿うような横長の長方形に形成されている。ミスト供給部24は浴槽本体12内の水の溢れ部12cより上方に配置される。本実施形態においては、この溢れ部12cは、浴槽本体12の溢れ面12bである。変形例として溢れ部12cは、浴槽本体12内に設けられたオーバーフロー口でもよい。また、ミスト供給部24は、浴槽本体12の短辺側の短辺側部分12eの上方に配置されている。
【0038】
ミスト供給部24は、ミスト生成部22から滞留空間20の一端の上部まで横向きに延びるミスト供給流路24aと、ミスト供給流路24aの下流端と接続され下方向きに開口するミスト供給口部24bを備える。ミスト供給流路24a及びミスト供給口部24bは、ダクト状の流路を形成している。ミスト供給口部24bは、短辺側部分12eより浴槽本体12の内側の滞留空間20の上方に位置している。
【0039】
ミスト生成部22及びミスト供給部24は、ミストを生成すると共に、ミストの温度を制御し、このミストを滞留空間20内に滞留させやすくする。ミスト生成部22及びミスト供給部24は、ミスト供給部24から滞留空間20に供給されたミストの温度とミストの供給開始前の水供給機器システム1が使用される室内空間5の温度との温度差が、0℃以上とされ、ミスト供給部24から供給されたミストが浴槽本体12の滞留空間20内に滞留されるように構成される。また、ミスト供給装置4のミスト生成部22及びミスト供給部24は、ミスト温度と室内空間5の温度との温度差によって生じる上昇気流がミストを上昇させようとする力がミスト供給部24から供給されたミストの粒径に応じたミストの重さを超えないような、温度差を生じるように構成される。想定される室内空間5の空気の温度範囲に応じてミスト生成部22における水の温度、又は超音波振動子32の周波数を予め設定することで、室内温度計測器36を用いず(室内温度計測器36の計測結果に依ることなく)、このようなミスト供給が達成されてもよい。また、ミスト供給時の設定の調整によりこのようなミスト供給が達成されてもよい。ミスト生成部22及びミスト供給部24は、上記温度差が、好ましくは100℃以下、より好ましくは60℃以下、さらに好ましくは45℃以下とされるように構成される。ミスト生成部22及びミスト供給部24は、ミストの温度及びミストの粒径を制御し、このミストを滞留空間20内に滞留させやすくする。なお、ミスト生成部22及びミスト供給部24により供給されるミストの温度が室内空間5の温度と同じ、又は室内空間5の温度より低い場合であっても、自身の自重に打ち勝つほどの上昇気流をミストの温度により生じさせにくくでき、ミストを滞留空間20内に滞留させることができる。
【0040】
また、ミスト生成部22及びミスト供給部24は、体積あたりの供給量を、例えば0.03mL/min・L~1.5mL/min・Lの範囲にしている。ミスト生成部22及びミスト供給部24は、例えば、浴槽本体12の体積330Lの滞留空間に11mL/minの単位時間あたりの供給量のミストを供給できる。また、例えば、ミスト生成部22及びミスト供給部24は、他の水回り機器等の体積4.32Lの滞留空間に6mL/minの単位時間あたりの供給量のミストを供給できる。超音波振動子32の個数、出力、超音波を照射する向き、ミスト生成部22内の水位、又は、ミスト生成部22内やミスト供給部24内の流路形状等によりミストの供給量が制御できる。
【0041】
なお、ミスト生成部22は、温度制御されたミストを生成するために貯水部26の内側にヒーター(図示せず)を備えていてもよい。このヒーターは、制御部40に電気的に接続され、例えば貯水部26内の水を加熱する機能を有すると共に貯水部26内の水の温度を制御する機能を有する。例えば、ヒーターは、給水温(例えば20℃程度の室温)の水温の水を室温以上の60℃以上まで加熱することができる。また例えば、制御部40は、ヒーターにより、一旦60℃以上に加熱された水を以後、後述する所定の温度差が0℃以上とされるように上昇又は低下させるように温度制御することができる。ミスト生成部22は、このようなヒーターを省略した構成として構成できる。例えば、ミスト生成部22は、このようなヒーターを省略し、給湯器において60℃以上に加熱された上でミスト生成部22に供給された水からミストを生成してもよい。水を60℃以上に加熱することにより、少なくとも一部の菌(例えばレジオネラ菌)の繁殖を抑制することができる。ミスト生成部22は、ヒーターを省略してもミストを生成することができる。
【0042】
制御部40は、CPU及びメモリ等を内蔵し、メモリ等に記録された所定の制御プログラムに基づいてミストの発生を実行するように接続された機器を制御する。制御部40は、発振器38、水温計測器34、室内温度計測器36、操作部28、送風機48等と電気的に接続されている。制御部40は、さらに、給水路29に設けられた給水路開閉弁27と、排水路に設けられた排水路開閉弁31とも電気的に接続され、これらを制御できる。
【0043】
再び、本実施形態に戻って、図3乃至図14により、ミスト生成部22の発振器38及び冷却装置42についてより詳細に説明する。
発振器38は、冷却装置42内に複数設けられている。発振器38は、冷却流路50(例えば図8参照)に沿って壁Wと平行な列状に並んで設けられている。発振器38は、冷却流路50の上方側に4個直列に並んだ1列に配置され、さらに、冷却流路50の下方側に4個直列に並んだ1列に配置され、合計8個設けられている。図11に示すように、発振器38の発振器本体44は、それぞれ独立して、電気を供給する電源60と接続されている。電源60は、コンセント、蓄電池等の電気供給源である。なお、発振器38の発振器本体44は、他の発振器38の発振器本体44と電気的に接続されていてもよい。
【0044】
発振器38は、発振器本体44と、発振器本体44の熱を逃がすように発振器本体44に接続されたヒートシンク46と、を備えている。発振器本体44は、プレート状の部材として形成されている。発振器本体44上に発振器38機能を実現するための電気回路が配置されている。発振器本体44は、例えば2.4MHz等の高周波数の電圧の電気を発振できる電気回路構成を備えている。発振器本体44は、制御部40と電気的に接続されている。発振器本体44は、電気回路中において熱を生じる場合がある。発振器本体44は、冷却流路50とは異なる冷却装置42内の冷却装置内空間51(図8参照)に一部が露出されている。この冷却装置42内の冷却装置内空間51は、浴室3内で高温多湿になる室内空間5とは区画されている。冷却装置内空間51は、室内空間5の高温多湿の空気が流れ込みにくく形成されることにより、電気部品である発振器本体44の故障を抑制できる。発振器本体44は、ヒートシンク46と、比較的低熱抵抗性の金属、又は比較的熱伝導率の高いセラミック部材等で接続されている。発振器本体44において、特にヒートシンク46の接続部分から電気回路を配置する基板まで比較的低熱抵抗性の金属等が延びている。なお、発振器本体44において、ヒートシンク46と電気回路を配置する基板とが直接接続されていてもよい。
【0045】
図11に示すように、発振器38は、複数の超音波振動子32のうちのそれぞれの超音波振動子32と1個の発振器38とが組(単一の超音波振動子32と単一の発振器38との組)になるように接続されている。1個の超音波振動子32と1個の発振器38との1組が、例えば、50W以下の高周波出力を使用するように形成される。発振器本体44と、超音波振動子32との組合せのセットは自由に構成することができ、例えば、1個の発振器本体44と、複数の超音波振動子32とが1組とされ、1組ごとに独立して電源60に接続されていてもよい。
【0046】
発振器38と超音波振動子32とは、2.4MHz等の高周波数の電気を伝送できる高周波ケーブル33により接続されている。高周波ケーブル33は、2.4MHz等の高周波数の電気を伝送するための十分な電気の伝送性能を保持する長さとされる。高周波ケーブル33は、一般的には、短い長さに形成するほど、電気を効率よく電送できる。従って、各超音波振動子32から高周波ケーブル33を介した各発振器38までの長さが比較的短い長さに制約され、超音波振動子32が浴室3内に配置されることから、発振器38もメンテナンス性及び施工性等を向上させるため浴室3内に配置されることが好ましい。また、ミスト生成部22の冷却装置42は、浴室3内において、貯水部26及びミスト供給部24等と構造的に接続された一体構造(本実施形態においては一体の箱形状)により形成されている。
【0047】
ヒートシンク46は、冷却流路50内において冷却流路50に露出された部分を有するように配置される。ヒートシンク46は、アルミニウム等の金属により形成された複数の放熱板46aを備えている。ヒートシンク46の放熱板46aは、冷却流路50に露出されるように配置されている。ヒートシンク46の放熱板46aは、冷却流路50の流れ方向G(図7及び図10参照)に対して平行に延びると共に複数の放熱板46aが上下に略平行に配置されている。ヒートシンク46の放熱板46aの基部46b(図8及び図5参照)は発振器本体44に接続されている。
【0048】
複数のヒートシンク46は、冷却流路50の上流側から下流側を見て又は冷却流路50の中間部分から下流側を見た場合に、冷却流路50内の第1領域R1(図8参照)と、冷却流路50内において第1領域R1とずれた第2領域R2とに少なくとも分かれて配置されている。第1領域R1と第2領域R2とは、主に異なった領域に位置するが、一部が重なっていてもよい。例えば、第1領域R1は、冷却流路50の上部側の一部の上部側領域であり、第2領域R2は、冷却流路50の下部側の一部の下部側領域である。ヒートシンク46は、冷却流路50の第1領域R1内において冷却流路50の内側壁50a(図8及び図10参照)に沿って直列に4個配置されている。また、ヒートシンク46は、冷却流路50の第2領域R2内において冷却流路50の内側壁50aに沿って直列に4個配置されている。また、図8に示すように、ヒートシンク46は、冷却流路50の上流側(又は中間部分)から下流側を見た場合には、第1領域R1と第2領域R2とに1個ずつ、上下に並列に並ぶように配置されている。なお、ヒートシンク46(発振器38)は、必ずしも上下に並列に並んでいる必要はなく、例えば、上段のヒートシンク46が壁側に寄り、下段のヒートシンク46が室内側に寄る等して壁側方向に互いにずれていてもよい。また、上段のヒートシンク46が冷却流路50の上流側に寄り、下段のヒートシンク46が冷却流路50の下流側に寄る等して上段と下段とが互いにずれていてもよい。また、ヒートシンク46(発振器38)は、上段と下段との2列である必要は無く、上段、中段、下段の3列等であってもよい。また、ヒートシンク46は、均等に分けて配置される必要は無く、上段に4個、下段に3個、これらの下流側の中段領域に1個等、自由に配置できる。
【0049】
ミスト生成部22は、さらに、発振器38を冷却する冷却装置42を備える。冷却装置42は、ヒートシンク46に至る空気の流れを生じさせる送風機48と、吸気口52から排気口54まで延びると共に送風機48により生じた空気の流れを通す冷却流路50と、排気口54から排気される空気の流れが吸気口52に戻りにくくなるように形成されている循環抑制手段56と、を備える。
【0050】
送風機48は、吸気口52から流入した空気を排気口54に向けて送り出すように形成されている。送風機48は、冷却流路50の延びる方向と平行な方向の空気流を生じさせる。送風機48は、空気を送り出す羽根(図示せず)と、この羽根を回転させる電動の駆動部(図示せず)を備えている。送風機48は、例えば、風を生じさせるファンにより形成される。送風機48は制御部40の指令を受けて駆動される。送風機48は、強制的に空気をヒートシンク46に向けて送り、自然空冷と比較して冷却能力をさらに向上させている。本実施形態における冷却装置42は、送風機48を使用した強制空冷方式を採用しているが、送風機48を省略した自然空冷方式を採用してもよく、又は水を使用してヒートシンク46から熱を取り除く水冷方式を採用してもよい。また、送風機48は、冷却流路50の上流側に配置されているが、下流側に配置されていてもよい。また、送風機48は、冷却流路50内のヒートシンク46に向かう空気の流れを生じさせるように設けられているが、発振器本体44に向かう空気の流れを生じさせるように設けられていてもよい。
【0051】
冷却装置42の冷却流路50の少なくとも一部は、浴室3内に形成される。冷却流路50は、浴室3内において、室内空間5と区画された空気流路を形成する。冷却流路50は、吸気口52から排気口54までダクト状の流路を形成する。冷却流路50は、室内空間5の浴槽等から生じる高温多湿の空気が流れ込みにくく形成されることにより、冷却流路50における冷却効率の低下を抑制できる。冷却流路50は、ヒートシンク46を内部に上下に2個並列に並べて配置できるような空間を形成している。図8等に示すように、例えば、冷却流路50は四角形状の流路断面を形成しており、この冷却流路50の上下方向の縦の1辺はヒートシンク46の約2個分の高さ、左右方向の横の1辺はヒートシンク46の約1個分の幅に形成されている。従って、冷却流路50内のヒートシンク46が配置されている領域においては、ヒートシンク46が冷却流路50内の領域の過半を占めるように配置され、ヒートシンク46の冷却効率が向上されている。冷却流路50は、冷却装置内空間51とも区画されることにより、冷却流路50内を流れる空気の流れが発振器本体44の電気回路の素子等の凹凸により乱れ、流れの圧力損失が生じることにより冷却効率を低下させることを抑制できる。すなわち、冷却流路50内には、主にヒートシンク46が配置され、発振器本体44の電気回路の素子等の凹凸が内部に形成されないようにすることにより、流れの圧力損失が生じることにより冷却効率を低下させることを抑制でき、冷却効率が向上されている。なお、冷却流路50内に発振器本体44の電気回路の素子が配置されるように発振器本体44が設けられていてもよい。
【0052】
冷却流路50の吸気口52は、浴室3外に向けて開口するように形成され、冷却流路50の排気口54も、浴室3外に向けて開口するように形成される。吸気口52は、円形の開口部を形成すると共に浴室3の外側から内側まで延びている。排気口54は、円形の開口部を形成すると共に浴室3の内側から外側まで延びている。
【0053】
図4等に示すように、循環抑制手段56は、排気口54から吸気口52に向けて直線的に流れる空気の流れの形成を抑制する風向制御部62を備える。風向制御部62は、吸気口52又は排気口54において浴室3の外面3aから外側に突出する壁部により形成される。
風向制御部62は、吸気口52及び/又は排気口54において浴室3の外面3aから外側に突出する管の管壁の一部を切り欠くようにして形成された管壁部として形成されている。管には円管以外の管も含まれる。風向制御部62は、吸気口52及び/又は排気口54において円弧状の壁部により形成されている。このように、風向制御部62は、吸気口52及び排気口54のいずれか一方にのみ配置されていてもよい。
【0054】
風向制御部62は、吸気口52等の正面視で、円管全周のうち90度の角度範囲に相当する円弧部分を切り欠いたC形状に形成され、外面3aに沿う方向に開口する開口部62aを形成している。風向制御部62の開口部62aは、吸気口52においては排気口54と反対側に向けて開口している。また、風向制御部62の開口部62aは、排気口54においては吸気口52と反対側に向けて開口している。風向制御部62は、排気口54から吸気口52に向けて直線的に流れる空気の流れの形成を抑制するように設けられている。また、風向制御部62は、排気口54において、排気口54から吸気口52に向けて流出する空気の流れが生じることを抑制でき、吸気口52において、排気口54から吸気口52に向けて流入する空気の流れが生じることを抑制できる。風向制御部62は、平板状の壁であってもよい。また、風向制御部62は、排気口54及び/又は吸気口52の位置において設けられた仕切状の壁部又は突出部により形成されていてもよい。また、開口部62aは、必ずしも吸気口52や排気口54と反対側に向けて開口している必要はなく、排気口54から吸気口52に向かう流れが形成されにくくなる方向に開口されていればよい。また、循環抑制手段56は、排気口54から吸気口52に向けて直線的に流れる空気の流れの形成を抑制するように、吸気口52と排気口54とを結ぶ直線上の位置に設けられた仕切状の壁部又は突出部により形成されていてもよい。また、風向制御部62は、排気口54から吸気口52に向けて直線的に流れる空気の流れの形成を抑制するように、排気口54及び/又は吸気口52の開口の向きを、排気口54から吸気口52に向かう向きと異なる向きとするように形成されていてもよい。例えば、風向制御部62は、浴室3の外面から外側に延びるL字状の配管により形成され、排気口54が吸気口52と反対側に向けて開口してもよく、吸気口52が排気口54と反対側に向けて開口してもよい。すなわち、風向制御部62は、管の管壁の一部を切り欠くようにして形成されていなくともよい。また、排気口54及び/又は吸気口52の開口の向きが、排気口54から吸気口52に向かう向きと異なる向きとなるように、排気口54及び/又は吸気口52が壁Wに対して斜めに形成されてもよい。風向制御部62は、開口の向きが異なっていれば、外面3aから外側に突出する壁部を形成していなくともよい。
なお、変形例として、風向制御部62は、排気口54から吸気口52側に向けて流れ出た空気が吸気口52に向けて流れにくくなるように形成されていてもよい。例えば、排気口54から排気口54と吸気口52とを結ぶ直線に対して斜めの向きに流出する空気が前記直線を迂回するようにして吸気口52に向けて流れることを抑制するように風向制御部62が形成されていてもよい。
【0055】
建物内に浴室3が設けられる場合に、建物の構造的な外壁9(建物内側の構造的な壁を含む)により形成された部屋の内側に、高温多湿の湿気を含んだ空気が内側で生じる可能性がある浴室3が設けられる場合がよく知られている。このような場合に、他の部屋のスペース確保のためや浴室3を効率的に配置しようとする等の理由から、建物の構造的な外壁9と、浴室3との間の隙間D(図12参照)が数センチ程度の比較的狭い隙間となることが多くある。このように外壁9と浴室3との間の隙間Dが比較的小さい場合には、空気が流れるスペースが限られ、排気口54から吸気口52に向けて空気が流れやすい環境となるため、風向制御部62により、排気口54から吸気口52に向けて直線的に流れる空気の流れの形成を抑制することが、温まっている空気の再循環を抑制するために特に有効となる。
【0056】
図13に示すように、変形例として、風向制御部62は、吸気口52等の正面視で、円管全周のうち180度の角度範囲に相当する円弧部分を切り欠いたC形状に形成され、外面3aに沿う方向に開口する開口部62aを形成していてもよい。
図14に示すように、さらなる変形例として、風向制御部62は、吸気口52等の正面視で、円管全周のうち270度の角度範囲に相当する円弧部分を切り欠いたC形状に形成され、外面3aに沿う方向に開口する開口部62aを形成していてもよい。このように、風向制御部62は、任意の角度範囲の円弧部分により形成でき、大きさ、長さ等を変更可能である。
【0057】
なお、さらなる変形例として、冷却装置42の冷却流路50の吸気口52及び排気口54が縦方向に配置されるように、冷却装置42の冷却流路50が縦方向に延びるように形成されていてもよい。このとき、例えば、吸気口52が下部に配置され、排気口54が吸気口52よりも上方に配置される。このように配置すれば、吸気口52から排出される温められた空気が上昇気流を形成しやすくなるため、排出された空気が排気口54から吸気口52に流れることを抑制できる。このような冷却装置42の構成は、排気口54から排気される空気の流れが吸気口52に戻りにくくなるように形成されている循環抑制手段として機能し、また、このような冷却装置42の構成は、排気口54から吸気口52に向けて直線的に流れる空気の流れの形成を抑制する風向制御部としても機能する。このような縦方向配置にさらに、壁部により形成される風向制御部62を配置してもよい。
【0058】
次に、図2図15乃至図20により、上述した本発明の第1実施形態による水供給機器システム1のミストを供給する動作を説明する。
図15乃至図20においては、ミスト供給装置4及びミスト生成部22は、水供給機器システム1の浴槽本体12とほぼ一体に見えるように浴槽本体12の上部に組み込まれている。図15乃至図20に示す水供給機器システム1の基本構造は、図1及び図2等に示す水供給機器システム1の基本構造とほぼ同じであるので、図15乃至図20においても図1及び図2等と同様の符号を付して説明する。
【0059】
図2に示すように、水供給機器システム1の動作の開始前の待機状態において、浴槽本体12の滞留空間20の下半分には約38℃の水が貯溜された状態となっている。浴室3内の室内空間5の空気の温度と滞留空間20内の空気の温度とはほぼ等しい温度となっている。給水路開閉弁27及び排水路開閉弁31は閉弁されている。貯水部26内には水が無い状態となっている。超音波振動子32は停止された状態である。
【0060】
使用者が操作部28を操作しミスト供給装置4のミストの供給制御を開始させる。ミストの供給開始前に、室内温度計測器36は、室内空間5の空気の温度を測定し、制御部40は、室内空間5の空気の温度を認識する。制御部40は、供給装置14を調整すると共に給水路開閉弁27を開弁し、適温の水を給水路29から貯水部26内に供給する。排水路開閉弁31は閉弁されたままである。貯水部26内に予め決められた水量の水が貯溜されると、給水路開閉弁27は閉弁される。
【0061】
制御部40は、ミスト供給部24から滞留空間20に供給されたミストの温度とミストの供給開始前のミスト供給装置4が使用される浴室3内の温度との温度差が、0℃以上とされるように、貯水部26内の水の温度を調整している。次いで、制御部40は、超音波振動子32を作動させ、貯水部26内にミストを生じさせる。
なお、変形例として、貯水部26内への水の供給後に、制御部40は、ヒーターを作動させ、水を給水された水の水温から60℃以上まで加熱してもよい。制御部40は、水が60℃以上まで加熱された後、ミスト供給部24から滞留空間20に供給されたミストの温度とミストの供給開始前のミスト供給装置4が使用される浴室3内の温度との温度差が、0℃以上とされるように、貯水部26内の水の温度をヒーターの起動及び停止により調整する。次いで、制御部40は、発振器38を作動させることにより、超音波振動子32を作動させ、貯水部26内にミストを生じさせる。
【0062】
再び本実施形態に戻り、図15においては、ミスト供給部24から滞留空間20内へのミストの供給が開始された直後の状態が示される。
貯水部26内に生じたミストは、ミスト供給部24から浴槽本体12内の滞留空間20に供給される。ミストは、ミスト供給部24から自然に溢れ出し、矢印F1に示すように、ミストの自重により自由落下しながら滞留空間20内に供給される。このように、ミストが下方への移動速度以外の他の方向への移動速度を持つことが抑制されている。従って、ミストが滞留空間20内において、撹拌、拡散、上昇等の移動をしにくくされている。
【0063】
図16においては、ミストの供給開始から約10秒経過後の状態が示される。
ミスト供給部24から滞留空間20へのミストの供給は継続されている。供給されたミストは、水Bの水面の上方且つ滞留空間20内の低い部分に滞留を開始している。ミストは、ミスト供給部24から滞留空間20に供給されたミストの温度とミストの供給開始前のミスト供給装置4が使用される室内空間5の温度との温度差が、0℃以上とされているので、自身の自重に打ち勝つほどの上昇気流をミストの温度により生じさせにくくなっている。よって、ミストは、滞留空間20内の比較的低い部分に滞留する。
【0064】
図17においては、ミストの供給開始から約30秒経過後の状態が示される。
ミスト供給部24から滞留空間20へのミストの供給は継続されている。滞留空間20内に供給されたミストが、徐々に増加し、ミストが滞留空間20内の徐々に高い部分まで滞留されるようになってきている。
【0065】
図18においては、ミストの供給開始から約1分経過後の状態が示される。
ミスト供給部24から滞留空間20へのミストの供給は継続されている。滞留空間20内に供給されたミストが、徐々に増加し、ミストが滞留空間20内のさらに高い部分まで滞留されるようになってきている。
【0066】
図19においては、ミストの供給開始から約1分30秒経過後の状態が示される。
ミスト供給部24から滞留空間20へのミストの供給は継続されている。滞留空間20内に供給されたミストが、さらに増加し、ミストが滞留空間20内の頂部(浴槽本体12の上端部12a)に近い部分まで滞留されている。
【0067】
図20においては、ミストの供給開始から約2分経過後の状態が示される。
ミスト供給部24から滞留空間20へのミストの供給は継続されている。滞留空間20内に供給されたミストが、滞留空間20内の頂部(浴槽本体12の上端部12a)に近い部分まで滞留されている。ミストは、主に滞留空間20内において水Bの水面より上方且つ滞留空間20内の頂部より下方の領域に滞留している。ミストのうち一部は、水Bに落下して吸収され、又は浴槽本体12の壁面に水滴となって付着され、又は浴槽本体12の上端部12aの縁を超えて流出する。このようにミストのうち一部は消失又は拡散されるものの、主なミストは、滞留空間20内に滞留する。すなわち、ミストは滞留空間20内において緩やかに流動しつつも滞留空間20から拡散するには至らず安定的な滞留層Cを形成する。滞留層Cは、水Bの水面より上方において、一定以上の密度のミストが単位空間内に存在することにより形成される。滞留層は、白い雲状に認識される。滞留層は下部側においてミストの密度が比較的高く、上部側においてミストの密度が比較的低くなるように形成されている。滞留層の存在により、滞留空間20の頂部までミストが満たされているように視認される。
【0068】
滞留されたミストの上部側の滞留境界面66(図2図20参照)は、浴槽本体12の溢れ面12bの高さに、上記浴槽本体12の深さに相当する高さを加えた高さ位置よりも下方に形成される。滞留境界面66はミストが空気中に一定以上の濃度となっている滞留層Cと、ミストが空気中に一定未満の濃度となっている空気層Jとの間の境界領域を示している。滞留境界面66は、ミストが滞留しながらある程度動いているため、上下方向にやや高さを持った領域で規定されると共に、水平方向に広がる領域として規定される。なお、浴槽本体12の溢れ面12bは、浴槽本体12の側壁のうち最も高さが低い部分、すなわち水が浴槽本体12の上限まで溜まると最初に溢れ出す部分である。
【0069】
また、滞留されたミストの上部側の滞留境界面66は、浴槽本体12の溢れ面12bの高さ位置よりも上方に形成されている。さらに、滞留されたミストの上部側の滞留境界面66は、浴槽本体12の溢れ面12bの高さに、100mm~200mmの間の数値を加えた高さ位置よりも下方に形成されている。滞留境界面66が浴槽本体12の溢れ面12bの高さよりも高い位置となる場合には、使用者は浴槽を越える位置までのミスト入浴効果、すなわち湯船より高い高さまでの温浴効果を得ることができる。ミスト生成部22を駆動(使用)している間は、ミストが浴槽本体12内に供給されミストの滞留が継続されている。
ミスト生成部22及びミスト供給部24は、滞留境界面66の高さ位置が、上述のような所定の高さ位置になるような、ミストの温度と室内の温度との温度差、ミストの粒径、ミストの供給量等を規定するように構成されている。
【0070】
次に、図2図15乃至図20により、上述した本発明の第1実施形態による水供給機器システム1のミスト生成部22及び冷却装置42の動作を説明する。
【0071】
図2に示すように、水供給機器システム1の動作の開始前の待機状態において、ミスト生成部22の超音波振動子32は停止状態、ミスト生成部22の発振器38の発振器本体44は停止状態となっている。
【0072】
使用者が操作部28を操作しミスト供給装置4のミストの供給制御を開始させると、制御部40は、8個の発振器38をそれぞれ個別に作動させる。8個の発振器38のそれぞれは、1組となっている超音波振動子32に高周波ケーブル33を介して高周波数の電気を伝送する。よって、8個の超音波振動子32がほぼ同時に独立して作動され、比較的大量のミストが貯水部26内で生成される。
【0073】
発振器38の発振器本体44のそれぞれは、超音波振動子32を作動させるために高周波数の電気を伝送するため、発熱を生じる。発振器本体44において生じた熱がヒートシンク46の放熱板46aまで伝達されやすくなっている。
【0074】
制御部40は、8個の発振器38を作動させるのとほぼ同時に送風機48の駆動を開始させる。従って、図10に示すように、矢印H3に示すような空気の流れが、送風機48により、吸気口52から、冷却流路50を介して排気口54まで形成される。このような流れ方向G(図7参照)に沿った空気の流れは、放熱板46aの間を流れ、熱を放熱板46aから空気に移しながら流れる。従って、放熱板46aに沿って流れる空気の流れは次第に温かくされ、ヒートシンク46の放熱板46a及び発振器本体44は冷却される。
【0075】
図4に示すように、浴室3の外側から吸気口52に至る空気は、矢印H1に示すように、排気口54と反対側の開口部62aを通って吸気口52に向けて流入する、又は、矢印H2に示すように、排気口54と異なる方向から吸気口52に向けて流入する。図12に示すように、吸気口52に導入される空気は、浴室3の外面3aと建物の外壁9との間の空間内の外気11である。この外気11は、室内空間5内の高温多湿な空気と区別される。なお、外壁9が省略され、吸気口52が建物の外部の大気を直接導入するように設けられていてもよい。その後、空気は、矢印H3(図10参照)に示すように、送風機48により、吸気口52から、冷却流路50を介して排気口54まで流れる。
【0076】
空気は、ほぼ平行に配置された放熱板46aの間を流れるので、流れの圧力損失が生じることにより冷却効率を低下させることを抑制でき、比較的効率よく放熱板46aから熱を除去できる。また、複数のヒートシンク46が、第1領域R1(図8参照)と、第2領域R2とに少なくとも分かれて配置されているので、空気が並列に並んだヒートシンク46内の流路をそれぞれ通過することにより、1列に並んだヒートシンク46内の流路を通過する場合と比べて、上流側のヒートシンクで既に加温された空気が下流側のヒートシンク46を通ることによりヒートシンクでの冷却性能を低下させることを抑制でき、ヒートシンク46を効率よく冷却することができる。
【0077】
1個の発振器38は、1個の超音波振動子32に高周波数の電気を伝送するための発熱量を生じる。1個の発振器38の発熱量は、複数の超音波振動子32に電気を供給する場合と比べて低い発熱量に抑制される。このような1個の発振器38で生じた熱を1個のヒートシンク46によって逃がすことができ、発振器38の発熱を抑制して発振器38の動作不良を抑制できる。
【0078】
図4に示すように、排気口54に至る空気は、矢印H4に示すように、吸気口52と反対側の開口部62aを通って吸気口52とから離れる向きに流出する、又は、矢印H5に示すように、吸気口52と異なる方向(排気口54の正面方向)に向けて流出する。これにより、風向制御部62が、排気口54から排気される空気の流れが吸気口52に戻りにくくなるように、排気口54から吸気口52に向けて直線的に流れる空気の流れの形成を抑制している。よって、発振器38の廃熱により既に温まっている空気が排気口54から吸気口52に再循環され、発振器38の放熱不良を生じさせてしまうことを抑制できる。
【0079】
次に、本実施形態の構成による効果を説明する。このように構成された本発明の第1実施形態においては、ミスト生成部22は、複数の超音波振動子32と、複数の超音波振動子32のうちのそれぞれの超音波振動子32と1個の発振器38とが組になるように接続された複数の発振器38とを備える。これにより、液体の水及び霧状のミストのいずれも供給可能な水供給機器システム1において、生成させようとするミストを増加させようとするため複数の超音波振動子32を設ける場合においても、それぞれの発振器38の発熱を抑制して発振器38の動作不良を抑制でき、液体の水及び霧状のミストのいずれも供給できる水供給機器システム1の動作不良を抑制できる。
なお、液体の水及び霧状のミストのいずれも供給できる水供給機器システム1においては、水の供給として、液体の水の供給と霧状のミストの供給とが関連するものとして使用者に認識される可能性がある。よって、発振器38が動作不良となり霧状のミストの供給に問題が生じることにより、液体の水の供給についても問題が生じているのではないかという不安感を使用者に与える恐れがある。
そこで、このように構成された本発明の一実施形態においては、発振器38の動作不良を抑制することで、霧状のミストの供給に問題が生じることにより、液体の水の供給についても問題が生じているのではないかという不安感を使用者に与えることを抑制でき、液体の水及び霧状のミストのいずれも供給できる水供給機器システム1の信頼性を高めることができる。
また、水供給機器システム1において、生成させようとするミストを増加させようとするため複数の超音波振動子32を設ける場合においても、それぞれの発振器38の発熱を抑制できるので、それぞれの発振器38に接続されているヒートシンクの大きさをより小型化でき、冷却流路50及び冷却装置42をより小型化でき、さらに、冷却装置42と一体的に形成されるミスト供給装置4をより小型化できる。
【0080】
このように構成された本発明の第1実施形態においては、水供給機器システム1が使用される室内に向けて上方が開放された滞留空間20を形成する滞留部内にミストを滞留させるように、生成させるミストを増加させようとするため複数の超音波振動子32を設ける場合においても、それぞれの発振器38の発熱を抑制して発振器38の動作不良をより抑制でき、液体の水及び霧状のミストのいずれも供給できる水供給機器システム1の動作不良をより抑制できる。
【0081】
このように構成された本発明の第1実施形態においては、ミスト生成部22は、さらに、発振器38を冷却する冷却装置42を備える。これにより、発振器38の熱をより効率的に放熱し、発振器38の発熱を抑制して発振器38の動作不良をより抑制できる。
【0082】
このように構成された本発明の第1実施形態においては、発振器38はヒートシンク46を備えるので発振器本体44の熱を放熱しやすくできると共に、冷却装置42がヒートシンク46に空気を送る送風機48を備えるので発振器本体44の放熱をより促進させることができる。これにより、発振器38の熱をさらに効率的に放熱し、発振器38の発熱を抑制して発振器38の動作不良をさらに抑制できる。
【0083】
このように構成された本発明の第1実施形態においては、ヒートシンク46は、送風機48により生じた空気の流れを通す冷却流路50に露出された部分を有するように配置される。これにより、ヒートシンク46を空気の流れにより効率的に冷却でき、ヒートシンク46による発振器本体44の放熱をより促進させることができる。これにより、発振器38の熱をさらに効率的に放熱し、発振器38の発熱を抑制して発振器38の動作不良をさらに抑制できる。
【0084】
このように構成された本発明の第1実施形態においては、複数のヒートシンク46は、冷却流路50の上流側から見て、冷却流路50内の第1領域R1と、冷却流路50内において第1領域R1とずれた第2領域R2とに少なくとも分かれて配置されている。これにより、複数のヒートシンク46が冷却流路50の上流側から見て一つの領域のみに直列に配置される場合に比べて、複数のヒートシンク46のうち冷却流路50の下流側に設けられるヒートシンク46に至る空気の温度上昇を抑制でき、比較的少ない風量の空気の流れにより複数のヒートシンク46を冷却でき、発振器38の発熱を抑制して発振器38の動作不良をさらに抑制できる。
【0085】
このように構成された本発明の第1実施形態においては、水供給機器システム1は、浴室3内に液体の水及び霧状のミストのいずれも供給可能な浴室システムである。これにより、浴室3内に液体の水及び霧状のミストのいずれも供給可能な浴室システムにおいて、生成させようとするミストを増加させようとするため複数の超音波振動子32を設ける場合においても、それぞれの発振器38の発熱を抑制して発振器38の動作不良を抑制でき、液体の水及び霧状のミストのいずれも供給できる浴室システムの動作不良をより抑制できる。
【0086】
このように構成された本発明の第1実施形態においては、冷却装置42の冷却流路50の少なくとも一部が浴室3内に形成されている場合であっても、冷却流路50の吸気口52は、浴室3外に向けて開口するように形成され、冷却流路50の排気口54も、上記浴室3外に向けて開口するように形成される。これにより、浴室3内の高温多湿な空気が吸気口52から冷却流路50内に流入しにくくでき、冷却流路50内の発振器38に高温多湿な空気が供給され、発振器38がショートしたり、発振器38の放熱が不足することを抑制でき、発振器38の動作不良を抑制できる。また、冷却装置42の冷却流路50の少なくとも一部は、浴室3内に形成されるので、冷却流路50が完全に浴室3外に配置される場合と比べて、浴室3内から水供給機器システム1の冷却流路50を比較的簡単に配置でき、水供給機器システム1の施工をより簡単にできる。よって、本発明の一実施形態によれば、浴室3内から水供給機器システム1の施工をより簡単にできるようにしつつも、浴室3内の高温多湿な空気により発振器38の動作不良が生じることを抑制できる。
【0087】
このように構成された本発明の第1実施形態においては、冷却装置42は、さらに、排気口54から排気される空気の流れが吸気口52に戻りにくくなるように形成されている循環抑制手段56を備えている。これにより、発振器38の廃熱により温まっている空気が排気口54から吸気口52に循環されにくくでき、発振器38の放熱不良を抑制でき、発振器38の動作不良をさらに抑制できる。
【0088】
このように構成された本発明の第1実施形態においては、循環抑制手段56は、排気口54から吸気口52に向けて直線的に流れる空気の流れの形成を抑制する風向制御部62を備える。これにより、発振器38の廃熱により温まっている空気が排気口54から吸気口52により循環されにくくでき、発振器38の放熱不良をより抑制でき、発振器38の動作不良をさらに抑制できる。
【0089】
このように構成された本発明の第1実施形態においては、風向制御部62は、吸気口52又は排気口54において浴室3の外面から外側に突出する壁部により形成される。これにより、比較的簡易な構成により、空気が排気口54から吸気口52に向けて循環されにくくできる。
【0090】
このように構成された本発明の第1実施形態においては、風向制御部62の壁部は、管壁の一部を切り欠くようにして形成された管壁部により形成される。これにより、比較的簡易な構成により、管から壁部が形成でき、空気が排気口から吸気口に向けて循環されにくくできる。
【0091】
次に、図21により、本発明の第2実施形態による水供給機器システムを説明する。第2実施形態は、本発明による水供給機器システムを浴室の洗い場床に適用した例である。図21は本発明の第2実施形態による水供給機器システムを洗い場床に適用した例を示す斜視図である。
【0092】
第2実施形態による水供給機器システムは、上述した第1実施形態による水供給機器システムと基本構造が類似しているため、本発明の第2実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様な部分については図面に同じ参照符号を付する又は図示を省略して説明を省略する。本発明の第2実施形態による水供給機器システムの動作及び効果等については、第1実施形態による水供給機器システムの動作及び効果等と同様であるので説明を省略する。
【0093】
図21に示すように、本発明の第2実施形態による水供給機器システム101は、浴室3に設けられる。水供給機器システム101は、浴室3内に液体の水及び霧状のミストのいずれも供給可能な浴室システムである。水供給機器システム101は、液体の水を供給する水回り機器である水供給装置2と、霧状のミストを供給するミスト供給装置104とを備える。水供給機器システム101は、浴室以外の場所の洗い場床に適用されてもよい。
【0094】
洗い場本体18は、浴室3内の室内空間5に向けて上方が開放された洗い場本体側の滞留空間120を形成する。洗い場本体18は、洗い場床、浴室の壁面、浴槽本体の外壁、浴室のドア等により形成され、内側の滞留空間120内に水が流れることができるようになっている。洗い場本体18は、洗い場側水栓装置8又はシャワー水栓装置10から供給された水を受ける水受け部を構成している。このような構造により、洗い場本体18は、ミストが滞留空間120内に滞留されるようになっている。例えば、洗い場本体18は、水やミストを内部に溜める又は受ける水受け部として機能できる。
【0095】
ミスト供給装置104は、ミストを生成するミスト生成部122と、ミスト生成部122により生成されたミストを洗い場本体18内に供給するミスト供給部24とを備えている。ミスト供給装置104は、洗い場側の壁Wに取付けられている。第2実施形態のミスト供給装置104のミスト生成部122が洗い場側の壁Wに取付けられている点が、第1実施形態のミスト供給装置4のミスト生成部22と異なっているが、第2実施形態のミスト供給装置104の内部構造については、第1実施形態のミスト供給装置4と同様であるので同様な部分については第1実施形態を参照することとして説明を省略する。
【0096】
ミスト生成部122は、洗い場本体18の上方に配置されている。ミスト供給部24は、ミスト生成部122により生成されたミストを、水供給機器システム1が使用される室内に向けて上方が開放された滞留空間120を形成する滞留部である洗い場本体18内に供給する。ミスト供給部24は洗い場本体18内の床面より上方に配置される。
【0097】
ミスト生成部122及びミスト供給部24は、ミストを生成すると共に、ミストの温度を制御し、このミストを滞留空間120内に滞留させやすくする。ミスト生成部122及びミスト供給部24は、ミスト供給部24から滞留空間120に供給されたミストの温度とミストの供給開始前の水供給機器システム1が使用される室内空間5の温度との温度差が、0℃以上とされ、ミスト供給部24から供給されたミストが洗い場本体18の滞留空間120内に滞留されるように構成される。なお、ミスト生成部122及びミスト供給部24により供給されるミストの温度が室内空間5の温度と同じ、又は室内空間5の温度より低い場合であっても、自身の自重に打ち勝つほどの上昇気流をミストの温度により生じさせにくくでき、ミストを滞留空間120内に滞留させることができる。
【0098】
また、ミスト生成部122及びミスト供給部24は、体積あたりの供給量を、例えば0.03mL/min・L~1.5mL/min・Lの範囲にしている。ミスト生成部122及びミスト供給部24は、例えば、洗い場本体18の体積500Lの滞留空間120に17mL/minの単位時間あたりの供給量のミストを供給できる。
【0099】
ミスト生成部122の冷却装置42は、浴室3内の洗い場床側において、貯水部26及びミスト供給部24等と構造的に接続された箱型の一体構造により形成されている。冷却装置42の冷却流路50の吸気口52は、浴室3の壁Wの外側に向けて開口するように形成され、冷却流路50の排気口54も、浴室3の壁Wの外側に向けて開口するように形成される。
【0100】
次に、図22により、本発明の第3実施形態による水供給機器システムを説明する。第3実施形態は、本発明による水供給機器システムをシャワールームに適用した例である。図22は本発明の第3実施形態による水供給機器システムをシャワールームに適用した例を示す斜視図である。
【0101】
第3実施形態による水供給機器システムは、上述した第1実施形態による水供給機器システムと基本構造が類似しているため、本発明の第3実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様な部分については図面に同じ参照符号を付する又は図示を省略して説明を省略する。本発明の第3実施形態による水供給機器システムの動作及び効果等については、第1実施形態による水供給機器システムの動作及び効果等と同様であるので説明を省略する。
【0102】
図22に示すように、本発明の第3実施形態による水供給機器システム201は、浴室の一形態としてのシャワールーム203に設けられる。よって、水供給機器システム201は、浴室内に液体の水及び霧状のミストのいずれも供給可能な浴室システムである。シャワールーム203は、上面視で一辺が0.8m~2m程度の長方形の領域に、半円径の領域が追加された形状に形成され、比較的狭いスペースの室内を形成する。水供給機器システム201は、液体の水を供給する水回り機器である水供給装置202と、霧状のミストを供給するミスト供給装置204とを備える。
【0103】
水供給装置202は、シャワーヘッドから水を給水するシャワー水栓装置210を備えている。水供給装置202は、シャワールーム203内に液体の水を供給する給水装置であれば、他の形態の給水装置であってもよい。
【0104】
シャワー水栓装置210は、シャワールーム203の壁部分に設けられる。シャワー水栓装置210は、水の供給を行う供給装置14を備え、水道等の給水源と連通する給水管16及び/又は給湯機から湯水が供給される給湯管17からの水を、制御部40の指令を受けた供給装置14により、シャワールーム203内に供給する。よって、シャワー水栓装置210は、任意のタイミングで水をシャワールーム203内に供給できるように構成されている。
【0105】
水供給機器システム201は、さらに、ミスト供給装置204の後述するミスト供給部24から供給されるミストを受け入れる滞留空間220を形成するシャワールーム本体212を備えている。
【0106】
シャワールーム本体212は、水供給機器システム201が使用される室内空間205に向けて上方が開放された滞留空間220を形成する。シャワールーム本体212は、シャワールームの壁面、シャワールームのドア等により形成され、内側の滞留空間220内に水が流れることができるようになっている。このような構造により、シャワールーム本体212は、ミストが滞留空間220内に滞留されるようになっている。なお、本実施形態によれば、シャワールーム203の室内空間205と滞留空間220との境が構造により明確に区画されていなくても、滞留空間220が規定できることを示している。室内空間205と滞留空間220との境は、ミスト供給装置4のミスト供給能力を考慮して異なる位置に設定される。滞留空間220は、ミスト供給装置4のミスト供給能力を考慮してミストを溜めようとする空間として任意に設定できる。このような滞留空間220は、室内空間205に向けて上方が開放された滞留空間である。なお、本実施形態に限られず、室内空間205と滞留空間220との境が構造により明確に区画されていなくても、滞留空間220は、同様の趣旨により設定可能である。
【0107】
シャワールーム本体212は、シャワールームの壁面等であり、内側の滞留空間220内に水が流れることができるようになっている。シャワールーム本体212は、シャワー水栓装置210から供給された水を受ける水受け部を構成している。シャワールーム本体212は、ミストを滞留させる滞留部でもある。シャワールーム本体212は、上面視で長方形に形成されると共に一辺が円弧状に形成されている。滞留空間220は、シャワールーム本体212の内側に形成される空間である。使用者がシャワールームを使用する際には、滞留空間220の下部側にミストが滞留され、使用者が座った状態または立った状態でミスト浴をすることができる。
【0108】
ミスト供給装置204は、シャワールームの壁Wに取付けられている。第3実施形態のミスト供給装置204のミスト生成部222がシャワールームの壁Wに取付けられている点が、第1実施形態のミスト供給装置4のミスト生成部22と異なっているが、第3実施形態のミスト供給装置204の内部構造については、第1実施形態のミスト供給装置4と同様であるので同様な部分については第1実施形態を参照することとして説明を省略する。
【0109】
ミスト生成部222は、シャワールーム本体212の床面より上方に配置されている。ミスト供給部24は、ミスト生成部222により生成されたミストを、水供給機器システム201が使用される室内に向けて上方が開放された滞留空間220を形成する滞留部であるシャワールーム本体212内に供給する。
【0110】
ミスト生成部222及びミスト供給部24は、ミストを生成すると共に、ミストの温度を制御し、このミストを滞留空間220内に滞留させやすくする。ミスト生成部222及びミスト供給部24は、ミスト供給部24から滞留空間220に供給されたミストの温度とミストの供給開始前の水供給機器システム201が使用される室内空間205の温度との温度差が、0℃以上とされ、ミスト供給部24から供給されたミストがシャワールーム本体212の滞留空間220内に滞留されるように構成される。なお、ミスト生成部222及びミスト供給部24により供給されるミストの温度が室内空間205の温度と同じ、又は室内空間205の温度より低い場合であっても、自身の自重に打ち勝つほどの上昇気流をミストの温度により生じさせにくくでき、ミストを滞留空間220内に滞留させることができる。
【0111】
ミスト生成部222の冷却装置42は、シャワールーム203内において、貯水部26及びミスト供給部24等と構造的に接続された箱型の一体構造により形成されている。冷却装置42の冷却流路50の吸気口52は、シャワールーム203外に向けて壁Wの外側に向けて開口するように形成され、冷却流路50の排気口54も、シャワールーム203外に向けて壁Wの外側に向けて開口するように形成される。
【0112】
ミスト生成部222及びミスト供給部24は、ミスト供給部24から滞留空間220に供給されたミストの温度とミストの供給開始前の水回り機器が使用される室内の温度との温度差が、0℃以上とされ、ミスト供給部24から供給されたミストがシャワールーム本体212の下方の滞留空間220内に滞留されるように構成される。図22において上面に滞留境界面66を形成するようなミストの滞留層Cを例示している。
【0113】
このような構造によれば、加熱されたミストがシャワールーム本体212の滞留空間220内に滞留される。例えば、加熱されたミストによりシャワールーム本体212を温めてシャワールームの床や滞留空間220を暖房できる。また、加熱されたミストにより、使用者が滞留空間220においてミスト浴をすることもできる。また、加熱されたミストが比較的高い位置まで滞留されることにより、使用者が滞留空間220内において内部の椅子208に座った状態や立った状態でもミスト浴をできる。また例えば、加熱されたミストにより、シャワールーム本体212を温めるとともにシャワールーム本体212に付着した汚れを比較的高い洗浄性能で洗浄又は汚れを落としやすくできる。
【0114】
建物の構造的な外壁9(図12参照)により形成された部屋の内側に、高温多湿の湿気を含んだ空気が内側で生じる可能性があるシャワールーム203が設けられている。本実施形態における外壁9とシャワールーム203との関係、及び循環抑制手段56等についても、第1実施形態と同様であるので同様な部分については第1実施形態を参照することとして説明を省略する。
【0115】
次に、図23により、本発明の第4実施形態による水供給機器システムを説明する。第4実施形態は、本発明による水供給機器システムを洗面装置に適用した例である。図23は本発明の第4実施形態による水供給機器システムを洗面装置に設けられている様子を示す斜視図である。
【0116】
第4実施形態による水供給機器システムは、上述した第1実施形態による水供給機器システムと基本構造が類似しているため、本発明の第4実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様な部分については図面に同じ参照符号を付する又は図示を省略して説明を省略する。本発明の第4実施形態による水供給機器システムの動作及び効果等については、第1実施形態による水供給機器システムの動作及び効果等と同様であるので説明を省略する。
【0117】
図23に示すように、本発明の第4実施形態による水供給機器システム301は、洗面室303のカウンタ等に設けられる。洗面室303は、水供給機器システム301が設けられる比較的狭いスペースの室内を形成する。水供給機器システム301は、液体の水を供給する水回り機器である水供給装置302と、霧状のミストを供給するミスト供給装置304とを備える。
【0118】
水供給装置302は、水の供給を行う水栓装置308を備えている。水栓装置308は、洗面本体312内に液体の水を供給する給水装置であれば、他の形態の給水装置であってもよい。
【0119】
水供給機器システム301は、さらに、ミスト供給装置4の後述するミスト供給部24から供給されるミストを受け入れる滞留空間320を形成する洗面本体312を備えている。
【0120】
洗面本体312は、洗面室303内の室内空間305に向けて上方が開放された滞留空間320を形成する。洗面本体312は、内側の滞留空間320内に水が流れることができるようになっている。洗面本体312は、水栓装置308から供給された水を受ける水受け部を構成している。このような構造により、洗面本体312は、ミストが滞留空間320内に滞留されるようになっている。例えば、洗面本体312は、水やミストを内部に溜める又は受ける水受け部として機能できる。
【0121】
ミスト供給装置304は、ミストを生成するミスト生成部322と、ミスト生成部322により生成されたミストを洗面本体312内に供給するミスト供給部24とを備えている。ミスト供給装置304は、洗面台のカウンタ上に取付けられている。第4実施形態の水供給機器システム301のミスト生成部322がカウンタの上方に取付けられている点が、第1実施形態のミスト供給装置4のミスト生成部22と異なっているが、第4実施形態のミスト供給装置304の内部構造については、第1実施形態のミスト供給装置4と同様であるので同様な部分については第1実施形態を参照することとして説明を省略する。
【0122】
ミスト生成部322は、洗面本体312の上方に配置されている。ミスト供給部24は、洗面本体312の上部において開口を形成している。ミスト供給部24は、ミスト生成部322により生成されたミストを、水供給機器システム301が使用される室内に向けて上方が開放された滞留空間320を形成する滞留部である洗面本体312内に供給する。
【0123】
ミスト生成部322及びミスト供給部24は、ミストを生成すると共に、ミストの温度を制御し、このミストを滞留空間320内に滞留させやすくする。ミスト生成部322及びミスト供給部24は、ミスト供給部24から滞留空間320に供給されたミストの温度とミストの供給開始前の水供給機器システム301が使用される室内空間305の温度との温度差が、0℃以上とされ、ミスト供給部24から供給されたミストが洗面本体312の滞留空間320内に滞留されるように構成される。図23において上面に滞留境界面66を形成するようなミストの滞留層Cを例示している。なお、ミスト生成部322及びミスト供給部24により供給されるミストの温度が室内空間305の温度と同じ、又は室内空間305の温度より低い場合であっても、自身の自重に打ち勝つほどの上昇気流をミストの温度により生じさせにくくでき、ミストを滞留空間320内に滞留させることができる。
【0124】
また、ミスト生成部322及びミスト供給部24は、体積あたりの供給量を、例えば0.03mL/min・L~1.5mL/min・Lの範囲にしている。
【0125】
ミスト生成部322の冷却装置42は、洗面室303内において、貯水部26及びミスト供給部24等と構造的に接続された箱型の一体構造により形成されている。冷却装置42の冷却流路50の吸気口52は、洗面室303外に向けて壁Wの外側に向けて開口するように形成され、冷却流路50の排気口54も、洗面室303外に向けて壁Wの外側に向けて開口するように形成される。なお、洗面室303内は、浴室に比べると高温多湿になりにくい空間であるので、吸気口52及び排気口54は洗面室303内において開口されていてもよい。このとき壁Wが省略された状態で、吸気口52及び排気口54が洗面室303内に開口されてもよい。
【0126】
このように構成された第4実施形態の構造によれば、加熱されたミストが洗面本体312の滞留空間320内に滞留される。例えば、加熱されたミストを洗面本体312の滞留空間320内に滞留させ、使用者が顔又は手、足等の体の一部をミストに当てることにより、保湿、洗浄性能の向上、温浴、美容効果等を得られる。また、加熱されたミストにより、使用者が滞留空間320において体の一部のミスト浴をすることもできる。また例えば、加熱されたミストにより、洗面本体312を温めるとともに洗面本体312内の滞留空間320内に付着した汚れを比較的高い洗浄性能で洗浄又は汚れを落としやすくできる。
【0127】
建物の構造的な外壁9(図12参照)により形成された部屋の内側に、洗面本体312からの湿気を含んだ空気が内側で生じる可能性がある洗面室303が設けられている。本実施形態における外壁9と洗面室303との関係、及び循環抑制手段56等についても、第1実施形態と同様であるので同様な部分については第1実施形態を参照することとして説明を省略する。なお、変形例として、洗面室303の壁が外壁9により形成され、吸気口52及び排気口54は外壁9の外側に開口していてもよい。
【0128】
次に、図24により、本発明の第5実施形態による水供給機器システムを説明する。第5実施形態は、本発明による水供給機器システムをキッチンシンク装置に適用した例である。図24は本発明の第5実施形態による水供給機器システムをキッチンシンク装置に設けている様子を示す斜視図である。
【0129】
第5実施形態による水供給機器システムは、上述した第1実施形態による水供給機器システムと基本構造が類似しているため、本発明の第5実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様な部分については図面に同じ参照符号を付する又は図示を省略して説明を省略する。本発明の第5実施形態による水供給機器システムの動作及び効果等については、第1実施形態による水供給機器システムの動作及び効果等と同様であるので説明を省略する。
【0130】
図24に示すように、本発明の第5実施形態による水供給機器システム401は、キッチン403のカウンタ等に設けられる。キッチン403は、水供給機器システム401が設けられる比較的狭いスペースの室内を形成する。水供給機器システム401は、液体の水を供給する水回り機器である水供給装置402と、霧状のミストを供給するミスト供給装置404とを備える。
【0131】
水供給装置402は、水の供給を行う水栓装置408を備えている。水栓装置408は、キッチンシンク本体412内に液体の水を供給する給水装置であれば、他の形態の給水装置であってもよい。
【0132】
水供給機器システム401は、さらに、ミスト供給装置404の後述するミスト供給部24から供給されるミストを受け入れる滞留空間420を形成するキッチンシンク本体412を備えている。
【0133】
キッチンシンク本体412は、キッチン403内の室内空間405に向けて上方が開放された滞留空間420を形成する。キッチンシンク本体412は、内側の滞留空間420内に水が流れることができるようになっている。キッチンシンク本体412は、水栓装置408から供給された水を受ける水受け部を構成している。このような構造により、キッチンシンク本体412は、ミストが滞留空間420内に滞留されるようになっている。例えば、キッチンシンク本体412は、水やミストを内部に溜める又は受ける水受け部として機能できる。
【0134】
ミスト供給装置404は、ミストを生成するミスト生成部422と、ミスト生成部322により生成されたミストをキッチンシンク本体412内に供給するミスト供給部24とを備えている。ミスト供給装置404は、キッチンシンク本体412の上方に取付けられている。第4実施形態の水供給機器システム401のミスト生成部422がキッチンシンク本体412の上方に取付けられている点が、第1実施形態のミスト供給装置4のミスト生成部22と異なっているが、第4実施形態のミスト供給装置404の内部構造については、第1実施形態のミスト供給装置4と同様であるので同様な部分については第1実施形態を参照することとして説明を省略する。
【0135】
ミスト生成部422は、キッチンシンク本体412の上方に配置されている。ミスト供給部24は、キッチンシンク本体412の上部において開口を形成している。ミスト供給部24は、ミスト生成部422により生成されたミストを、滞留空間420を形成する滞留部であるキッチンシンク本体412内に供給する。
【0136】
ミスト生成部422及びミスト供給部24は、ミストを生成すると共に、ミストの温度を制御し、このミストを滞留空間420内に滞留させやすくする。ミスト生成部422及びミスト供給部24は、ミスト供給部24から滞留空間420に供給されたミストの温度とミストの供給開始前の水供給機器システム401が使用される室内空間405の温度との温度差が、0℃以上とされ、ミスト供給部24から供給されたミストがキッチンシンク本体412の滞留空間420内に滞留されるように構成される。図24において上面に滞留境界面66を形成するようなミストの滞留層Cを例示している。なお、ミスト生成部422及びミスト供給部24により供給されるミストの温度が室内空間405の温度と同じ、又は室内空間405の温度より低い場合であっても、自身の自重に打ち勝つほどの上昇気流をミストの温度により生じさせにくくでき、ミストを滞留空間420内に滞留させることができる。
【0137】
また、ミスト生成部422及びミスト供給部24は、体積あたりの供給量を、例えば0.03mL/min・L~1.5mL/min・Lの範囲にしている。
【0138】
ミスト生成部422の冷却装置42は、キッチン403内において、貯水部26及びミスト供給部24等と構造的に接続された箱型の一体構造により形成されている。冷却装置42の冷却流路50の吸気口52は、キッチン403外に向けて壁Wの外側に向けて開口するように形成され、冷却流路50の排気口54も、キッチン403外に向けて壁Wの外側に向けて開口するように形成される。なお、キッチン403内は、浴室に比べると高温多湿になりにくい空間であるので、吸気口52及び排気口54はキッチン403内において開口されていてもよい。このとき壁Wが省略された状態で、吸気口52及び排気口54がキッチン403内に開口されてもよい。
【0139】
このように構成された第5実施形態の構造によれば、加熱されたミストがキッチンシンク本体412の滞留空間420内に滞留される。例えば、加熱されたミストをキッチンシンク本体412の滞留空間420内に滞留させ、食器類、洗いたい機器等をミストに当てることにより、洗いたい対象物を温め、付着した汚れを比較的高い洗浄性能で洗浄することができる。また、加熱されたミストを洗いたい対象物に当てることで、洗浄に至らないまでも、汚れを落ちやすくできる。また、加熱されたミストをキッチンシンク本体412の滞留空間420内に滞留させ、キッチンシンク本体412内の使用者の手指を温めながら、使用者が作業できる。また例えば、加熱されたミストにより、キッチンシンク本体412を温めるとともにキッチンシンク本体412内の滞留空間420内に付着した汚れを比較的高い洗浄性能で洗浄又は汚れを落としやすくできる。
【0140】
建物の構造的な外壁9(図12参照)により形成された部屋の内側に、キッチンシンク本体412からの湿気を含んだ空気が内側で生じる可能性があるキッチン403が設けられている。本実施形態における外壁9とキッチン403の関係、及び循環抑制手段56等についても、第1実施形態と同様であるので同様な部分については第1実施形態を参照することとして説明を省略する。なお、変形例として、キッチン403の壁が外壁9により形成され、吸気口52及び排気口54は外壁9の外側に開口していてもよい。
【符号の説明】
【0141】
1 水供給機器システム
2 水供給装置
3 浴室
3a 外面
4 ミスト供給装置
14 供給装置
20 滞留空間
22 ミスト生成部
24 ミスト供給部
26 貯水部
32 超音波振動子
38 発振器
40 制御部
42 冷却装置
44 発振器本体
46 ヒートシンク
48 送風機
50 冷却流路
52 吸気口
54 排気口
56 循環抑制手段
62 風向制御部
101 水供給機器システム
104 ミスト供給装置
122 ミスト生成部
201 水供給機器システム
202 水供給装置
203 シャワールーム
204 ミスト供給装置
205 室内空間
220 滞留空間
222 ミスト生成部
301 水供給機器システム
302 水供給装置
303 洗面室
304 ミスト供給装置
305 室内空間
306 洗面本体
307 供給装置
308 水栓装置
320 滞留空間
322 ミスト生成部
401 水供給機器システム
402 水供給装置
403 キッチン
404 ミスト供給装置
405 室内空間
408 水栓装置
412 洗面本体
412 キッチンシンク本体
420 滞留空間
422 ミスト生成部
R1 第1領域
R2 第2領域
W 壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
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図18
図19
図20
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図22
図23
図24