(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】延伸アンテナを用いたセンサーシステム
(51)【国際特許分類】
G08C 17/00 20060101AFI20240304BHJP
H04B 5/48 20240101ALI20240304BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20240304BHJP
A61B 5/0245 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
G08C17/00 Z
H04B5/48
A61B5/11
A61B5/0245 100A
(21)【出願番号】P 2019204872
(22)【出願日】2019-11-12
【審査請求日】2022-08-02
(32)【優先日】2019-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】515158308
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユン ヨン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ナオジ マツヒサ
(72)【発明者】
【氏名】シミアノ ニウ
(72)【発明者】
【氏名】ゼナン バオ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム バーネット
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0278651(US,A1)
【文献】特表2016-502072(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0006123(US,A1)
【文献】特開2006-86603(JP,A)
【文献】特開2010-233009(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 15/00-19/48
H04B 5/48
A61B 5/11
A61B 5/0245
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサーシステムであって、
延伸アンテナ及び延伸抵抗を備えた第1のセンサーを含み、前記延伸抵抗の延伸の程度に対応するセンシング信号を生成して前記延伸アンテナを通じて前記センシング信号を読取り部に伝送し、第1周波数に対応する第1領域で動作するように構成されたタグ部と、
前記タグ部と誘導結合方式で結合し、前記センシング信号を受信して読み取り、第2周波数に対応する第2領域で動作するように構成された読取り部と、を有し、
前記第1周波数は、30MHz以上50MHz以下の範囲に含まれ、前記第2周波数は前記第1周波数と異なることを特徴とするセンサーシステム。
【請求項2】
前記第2周波数は、13.56MHzであり、
前記第1領域は、前記第1周波数と第1結合係数に対応する領域であり、前記第2領域は、前記第2周波数と第2結合係数に対応する領域であり、
前記第1結合係数は、前記第2結合係数より大きいことを特徴とする請求項1に記載のセンサーシステム。
【請求項3】
前記延伸アンテナは第1の延伸電極で形成されたインダクタ、及び第1のキャパシタを含み、
前記インダクタは、前記第1の延伸電極を所定の方向に巻き取って形成された螺旋形状であり、
前記第1のキャパシタは、前記インダクタの一部と前記インダクタの一部と重なる第2の延伸電極とで形成され、
前記インダクタと前記第1のキャパシタは、第1状態から第2状態に延伸されることを特徴とする請求項2に記載のセンサーシステム。
【請求項4】
前記第2状態で、前記第1の延伸電極の抵抗値は第1の基準抵抗値以下であり、前記第2の延伸電極の抵抗値は第2の基準抵抗値以下であることを特徴とする請求項3に記載のセンサーシステム。
【請求項5】
前記第1状態で、前記延伸抵抗の抵抗値は、第3の基準抵抗値以下であることを特徴とする請求項4に記載のセンサーシステム。
【請求項6】
前記第1の基準抵抗値、前記第2の基準抵抗値、及び前記第3の基準抵抗値は、それぞれ100Ω、3Ω、及び1000Ωであることを特徴とする請求項5に記載のセンサーシステム。
【請求項7】
前記第1のキャパシタは、前記インダクタの一部と前記第2の延伸電極との間に誘電体を挟んだサンドイッチ構造であり、
前記第1の延伸電極及び前記第2の延伸電極のシート抵抗は、0.05(Ohm/square)未満であることを特徴とする請求項6に記載のセンサーシステム。
【請求項8】
前記サンドイッチ構造は、2つのSEBS(Styrene-Ethylene-Butylene-Styrene)誘電体を含むことを特徴とする請求項7に記載のセンサーシステム。
【請求項9】
前記インダクタは、前記第1状態で、451.5nHのインダクタンスを有し、抵抗値は2.98Ωであり、
前記第2状態で、595.2nHのインダクタンスを有し、抵抗値は41.7Ωであることを特徴とする請求項8に記載のセンサーシステム。
【請求項10】
前記第1状態及び前記第2状態での、前記第1のキャパシタの単位キャパシタンスは、それぞれ16.3pF/cm
2及び22.0pF/cm
2であることを特徴とする請求項9に記載のセンサーシステム。
【請求項11】
前記第1のセンサーは、皮膚に貼り付け可能な抵抗性変形センサーであり、カーボンナノチューブ素材で形成されることを特徴とする請求項10に記載のセンサーシステム。
【請求項12】
前記第1状態は、延伸されない状態であり、前記第2状態は、前記第1状態より50%延伸された状態であることを特徴とする請求項11に記載のセンサーシステム。
【請求項13】
前記延伸アンテナは、ダイオードと、第2のキャパシタと、第1の動作周波数範囲を有する第1のリングオシレータと、をさらに含み、
前記ダイオードは、前記第2領域に対応する無線電力信号を整流するように構成され、
前記第2のキャパシタは、前記整流された無線電力信号に対応するエネルギーを貯蔵するように構成され、
前記第1のリングオシレータは、前記第2のキャパシタに貯蔵されたエネルギーを用いて駆動され、前記第1の動作周波数範囲内で、前記第1のセンサーの延伸の程度により前記センシング信号の周波数を変調して第1の変調センシング信号を生成するように構成され、
前記読取り部は、前記周波数変調されたセンシング信号を読み取るように構成されることを特徴とする請求項12に記載のセンサーシステム。
【請求項14】
前記延伸アンテナは、第2のセンサーと、第2の動作周波数範囲を有する第2のリングオシレータと、をさらに含み、
前記第2のリングオシレータは、前記第2の動作周波数範囲内で、前記第2のセンサーの延伸の程度により、前記センシング信号の周波数を変調して第2の変調センシング信号を生成するように構成され、
前記第1のセンサーと前記第1のリングオシレータとがマッチングされ、前記第2のセンサーと前記第2のリングオシレータとがマッチングされ、前記第1の動作周波数範囲と前記第2の動作周波数範囲は互いに異なることを特徴とする請求項13に記載のセンサーシステム。
【請求項15】
前記読取り部は、前記第1の変調センシング信号及び前記第2の変調センシング信号をそれぞれ区別して読み取るように構成されることを特徴とする請求項14に記載のセンサーシステム。
【請求項16】
前記読取り部は、前記第1の動作周波数範囲に対応する第1のバンドパスフィルタと、前記第2の動作周波数範囲に対応する第2のバンドパスフィルタと、を含み、
前記第1のバンドパスフィルタ及び前記第2のバンドパスフィルタを用いて、前記第1の変調センシング信号と前記第2の変調センシング信号をそれぞれ区別して読み取るように構成されることを特徴とする請求項15に記載のセンサーシステム。
【請求項17】
前記ダイオードは、金属-半導体ショットキー(metal-semiconductor Schottky)構造であることを特徴とする請求項16に記載のセンサーシステム。
【請求項18】
前記ダイオード、前記第2のキャパシタ、第2のセンサー、前記第1のリングオシレータ、及び前記第2のリングオシレータは、全て延伸可能な素材で形成されることを特徴とする請求項17に記載のセンサーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサーシステムに関し、特に、体積が小さく別途のバッテリーを必要としない延伸アンテナを備えたタグを含むセンサーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の皮膚貼り付け型センサーシステムの場合、延伸可能なゴム素材の基板上にセンサー部を形成し、リジッド(rigid)な回路部をゴム素材の基板に実装してセンサーシステムを構成した。
このような従来のセンサーシステムのセンサーと信号処理回路は、延伸可能に波形状(wavy)に形成された配線で互いに接続される。
【0003】
また、従来の他のセンサーシステムの場合、センサー部に無線通信が可能なアンテナをさらに実装して、センサで測定された信号を外部から読み取る(readout)システムで構成された。
また、従来のさらに他のセンサーシステムの場合、延伸可能なセンサーにアンテナを接続してセンサーの延伸の程度に対応する共振周波数の変動を外部から読み取ることができるシステムで構成された。
【0004】
しかし、このような従来のセンサーシステムの場合、皮膚に貼り付けることは可能であるが、システムの体積が大きく(bulky)、着用感が良くなくてフレキシブル/ストレッチャブル(flexible/stretchable)電子機器の長所が見つからず、また、ICなどの駆動のために別途のバッテリーが必要になるという問題があった。
また、従来の他のセンサーシステムの場合、無線通信を用いて信号を外部から読み取るが、商用NFC周波数(13.56MHz)を使用できないため、現在用いられている携帯電話などとの互換性がなく、共振周波数の変調を受信するシステムであるため、センサーの延伸の程度に応じた周波数変調に脆弱であるという問題がある。
また、従来のまた他のセンサーシステムの場合、リジッドな回路部を内蔵しているため、着用感が良くないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来の皮膚貼り付け型センサーシステムにおける問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、体積が小さく別途のバッテリーを必要としない延伸アンテナを備えたタグ(tag)を含むセンサーシステムを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、商用NFC周波数(13.56MHz)を用いることができるセンサーシステムを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、皮膚に貼り付けが可能でかつ着用感が改善された延伸可能なタグを含むセンサーシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明によるセンサーシステムは、延伸アンテナ及び延伸抵抗を備えた第1のセンサーを含み、前記延伸抵抗の延伸の程度に対応するセンシング信号を生成して前記延伸アンテナを通じて前記センシング信号を読取り部に伝送し、第1周波数に対応する第1領域で動作するように構成されたタグ部と、前記タグ部と誘導結合方式で結合し、前記センシング信号を受信して読み取り、第2周波数に対応する第2領域で動作するように構成された読取り部と、を有し、前記第1周波数は、30MHz以上50MHz以下の範囲に含まれ、前記第2周波数は前記第1周波数と異なることを特徴とする。
【0008】
前記第2周波数は、13.56MHzであり、前記第1領域は、前記第1周波数と第1結合係数に対応する領域であり、前記第2領域は、前記第2周波数と第2結合係数に対応する領域であり、前記第1結合係数は、前記第2結合係数より大きいことが好ましい。
前記延伸アンテナは第1の延伸電極で形成されたインダクタ、及び第1のキャパシタを含み、前記インダクタは、前記第1の延伸電極を所定の方向に巻き取って形成された螺旋形状であり、前記第1のキャパシタは、前記インダクタの一部と前記インダクタの一部と重なる第2の延伸電極とで形成され、前記インダクタと前記第1のキャパシタは、第1状態から第2状態に延伸されることが好ましい。
前記第2状態で、前記第1の延伸電極の抵抗値は第1の基準抵抗値以下であり、前記第2の延伸電極の抵抗値は第2の基準抵抗値以下であることが好ましい。
前記第1状態で、前記延伸抵抗の抵抗値は、第3の基準抵抗値以下であることが好ましい。
前記第1の基準抵抗値、前記第2の基準抵抗値、及び前記第3の基準抵抗値は、それぞれ100Ω、3Ω、及び1000Ωであることが好ましい。
前記第1のキャパシタは、前記インダクタの一部と前記第2の延伸電極との間に誘電体を挟んだサンドイッチ構造であり、前記第1の延伸電極及び前記第2の延伸電極のシート抵抗は、0.05(Ohm/square)未満であることが好ましい。
前記サンドイッチ構造は、2つのSEBS(Styrene-Ethylene-Butylene-Styrene)誘電体を含むことが好ましい。
前記インダクタは、前記第1状態で、451.5nHのインダクタンスを有し、抵抗値は2.98Ωであり、前記第2状態で、595.2nHのインダクタンスを有し、抵抗値は41.7Ωであることが好ましい。
前記第1状態及び前記第2状態での、前記第1のキャパシタの単位キャパシタンスは、それぞれ16.3pF/cm2及び22.0pF/cm2であることが好ましい。
【0009】
前記第1のセンサーは、皮膚に貼り付け可能な抵抗性変形センサーであり、カーボンナノチューブ素材で形成されることが好ましい。
前記第1状態は、延伸されない状態であり、前記第2状態は、前記第1状態より50%延伸された状態であることが好ましい。
前記延伸アンテナは、ダイオードと、第2のキャパシタと、第1の動作周波数範囲を有する第1のリングオシレータと、をさらに含み、前記ダイオードは、前記第2領域に対応する無線電力信号を整流するように構成され、前記第2のキャパシタは、前記整流された無線電力信号に対応するエネルギーを貯蔵するように構成され、前記第1のリングオシレータは、前記第2のキャパシタに貯蔵されたエネルギーを用いて駆動され、前記第1の動作周波数範囲内で、前記第1のセンサーの延伸の程度により前記センシング信号の周波数を変調して第1の変調センシング信号を生成するように構成され、前記読取り部は、前記周波数変調されたセンシング信号を読み取るように構成されることが好ましい。
前記延伸アンテナは、第2のセンサーと、第2の動作周波数範囲を有する第2のリングオシレータと、をさらに含み、前記第2のリングオシレータは、前記第2の動作周波数範囲内で、前記第2のセンサーの延伸の程度により、前記センシング信号の周波数を変調して第2の変調センシング信号を生成するように構成され、前記第1のセンサーと前記第1のリングオシレータとがマッチングされ、前記第2のセンサーと前記第2のリングオシレータとがマッチングされ、前記第1の動作周波数範囲と前記第2の動作周波数範囲は互いに異なることが好ましい。
前記読取り部は、前記第1の変調センシング信号及び前記第2の変調センシング信号をそれぞれ区別して読み取るように構成されることが好ましい。
前記読取り部は、前記第1の動作周波数範囲に対応する第1のバンドパスフィルタと、前記第2の動作周波数範囲に対応する第2のバンドパスフィルタと、を含み、前記第1のバンドパスフィルタ及び前記第2のバンドパスフィルタを用いて、前記第1の変調センシング信号と前記第2の変調センシング信号をそれぞれ区別して読み取るように構成されることが好ましい。
前記ダイオードは、金属-半導体ショットキー(metal-semiconductor Schottky)構造であることが好ましい。
前記ダイオード、前記第2のキャパシタ、第2のセンサー、前記第1のリングオシレータ、及び前記第2のリングオシレータは、全て延伸可能な素材で形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るセンサーシステムによれば、センサーシステムのタグ部は、延伸可能なアンテナ及び延伸可能なセンサーを含み、センサーに含まれている延伸可能な抵抗の延伸の程度に対応する抵抗値の変化に応じて負荷変調によってセンシング信号を生成し、アンテナを通じて読取り部にセンシング信号を伝送することで、体積が小さく、別途のバッテリーを必要としない、アンテナを備えたタグを含むセンサーシステムを提供することができる。
また、本発明に係るセンサーシステムによれば、商用NFC周波数(13.56MHz)が用いられるセンサーシステムを提供することができる。
また、本発明に係るセンサーシステムによれば、皮膚に貼り付けが可能でかつ着用感が改善された延伸可能なタグを含むセンサーシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態によるセンサーシステムの等価回路図である。
【
図2a】本発明の実施形態によるアンテナの形状を示す斜視図である。
【
図2b】本発明の実施形態によるアンテナのインダクタンス特性を示すグラフである。
【
図3a】本発明の実施形態によるキャパシタの形状である。
【
図3b】本発明の実施形態によるキャパシタの概略断面構造を示す断面図である。
【
図3c】本発明の実施形態によるキャパシタの特性を示すグラフである。
【
図4】本発明の実施形態によるアンテナの特性を示すグラフである。
【
図5a】共振周波数別出力電圧を示すグラフである。
【
図5b】本発明の実施形態によるセンサーシステムの動作領域を示すグラフである。
【
図5c】各領域で品質係数の変化に応じたセンサーシステムの感度を示すグラフである。
【
図6a】本発明の実施形態によるセンサーの装着画像である。
【
図6b】本発明の実施形態によるセンサーの特性を示すグラフである。
【
図7a】本発明の実施形態によるタグ部の延伸の程度に応じた出力電圧を示すグラフである。
【
図7b】本発明の実施形態によるタグ部と読取り部の間の垂直距離に応じた出力電圧を示すグラフである。
【
図7c】本発明の実施形態によるタグ部と読取り部の間の水平距離に応じた出力電圧を示すグラフである。
【
図8】本発明の他の実施形態によるセンサーシステムの等価回路図である。
【
図9】本発明のさらに他の実施形態によるセンサーシステムの等価回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明に係るセンサーシステムを実施するための形態の具体例を図面を参照しながら説明する。
【0013】
同一又は類似の構成要素については同一又は類似の参照符号を付与し、これに対する重複する説明は省略する。
以下の説明で使用される構成要素に対する接尾辞‘モジュール’及び‘部’は本明細書の作成の容易性のみを考慮して付与又は混用されるものであって、それ自体で互いに区別される意味又は役割を有するものではない。
また、本明細書で開示する実施形態を説明するにあたって、関連した公知技術に対する具体的な説明が本明細書で開示される実施形態の要旨が不明確になると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
また、添付した図面は本明細書で開示される実施形態を容易に理解できるためのものであり、添付した図面によって本明細書で開示された技術的な思想が制限されず、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むと理解されなければならない。
【0014】
第1、第2などのように序数を含む用語は、多様な構成要素を説明するために用いられるが、このような構成要素は上述した用語によって限定されない。
用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的にのみ用いられる。
ある構成要素が他の構成要素に‘連結されて’いるとか、‘接続されて’いると言及されたときは、該他の構成要素に直接的に連結されているか、又は接続されている場合もあるが、その中間に他の構成要素が存在する場合もあると理解されなければならない。
これに対し、ある構成要素が他の構成要素に‘直接連結されて’いるとか、‘直接接続されて’いると言及されたときは、その中間に他の構成要素が存在しないものと理解されなければならない。
単数の表現は文脈上明白に異なることを意味しない限り、複数の表現を含む。
本明細書において、‘含む’又は‘有する’などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものであって、一つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものなどの存在又は付加可能性を予め排除しないものと理解しなければならない。
【0015】
以下、
図1を参照して本発明の実施形態によるセンサーシステムを説明する。
図1は、本発明の実施形態によるセンサーシステムの等価回路図である。
図1を参照すると、本発明の実施形態によるセンサーシステム1は、皮膚貼り付け型延伸可能なタグ部10(以下、タグ部という)及び延伸可能な読取り部20(以下、読取り部という)を含み、タグ部10と読取り部20は所定の共振周波数(f:例えば13.5Mhz)を用いて誘導結合(Inductive-coupling)方式で結合している。
【0016】
タグ部10と読取り部20は、NFC又はRFIDなどの無線通信を用いて互いに通信できるが、これに限定されるものではない。
読取り部20は、無線電力信号を通じて非接触式でタグ部10に駆動電源を供給し、タグ部10で生成されたセンシング信号を振幅変調(amplitude modulation)信号感知方式で受信して読み取る。
具体的には、読取り部20は、アンテナ21及び回路部22を含み、使用者の衣服に貼り付けられ、アンテナ21から得られた出力電圧(Vo)の振幅を用いてタグ部10のセンシング信号を読み取る。
アンテナ21はその等価回路として、互いに直列連結された延伸可能なインダクタ(インダクタと記す:Lr)及び寄生抵抗(Rr)で表現され、回路部22は、振幅変調(amplitude modulation)によるセンシング信号を読み取る。
【0017】
タグ部10と読取り部20の間には3つのパラメータである、共振周波数(f)、品質係数(Quality Factor:Q)、及び結合係数(couplingcoefficient:k)が存在し、共振周波数(f)及び品質係数(Q)は、下記に示す数式1で表される。
【数1】
ここで、L
tag、C
tag、及びR
tagは、それぞれアンテナ11のインダクタンス、キャパシタンス、及び寄生抵抗値を意味する。
【0018】
タグ部10は、延伸可能なアンテナ11、(以下、アンテナという)及び延伸可能なセンサー12(以下、センサーという)を含み、センサー12に含まれている延伸可能な抵抗(Rs、
図6参照、以下、抵抗という)の延伸の程度に対応する抵抗値の変化に応じて負荷変調(loading modulation)によってセンシング信号を生成し、アンテナ11を通じて読取り部20にセンシング信号を伝送する。
アンテナ11は、その等価回路として、互いに並列連結された、インダクタ(Lt)と延伸可能なキャパシタ(Ct)(以下、キャパシタという)、及び寄生抵抗(Rt)で表現される。
【0019】
以下、
図2a、
図2bを参照して本発明の実施形態によるインダクタ(Lt)を説明する。
図2aは、本発明の実施形態によるアンテナの形状を示す斜視図であり、
図2bは、本発明の実施形態によるアンテナのインダクタンス特性を示すグラフである。
図2aを参照すると、アンテナ11は、延伸可能な伝導体を所定の方向(例えば、反時計方向)に巻き取って螺旋形状に形成され、巻き取られた形状の延伸可能な伝導体が
図1を参照して説明したインダクタ(Lt)を形成する。
【0020】
このとき、延伸可能な伝導体は、高伝導の延伸可能な銀ナノパーティクル(Ag nanoparticle)をポリウレタン(PU)に埋め込んで(embedding)製作され、延伸可能な伝導体のシート抵抗は0.05(Ohm/square)未満の値であることが望ましいが、これに限定されるものではない。
インダクタ(Lt)は、十分な感度(S)(
図5b参照)を提供するために、100nHを超えるインダクタンスを有さなければならないし、内部抵抗は、第1の基準抵抗値(100Ω)以下でなければならない。
【0021】
以下、インダクタ(Lt)を製造する方法を具体的に説明する。
まず、ステンシル印刷又はディスペンサー印刷方式で延伸可能な電極(以下、延伸電極という)、例えば、スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン樹脂(Styrene-Ethylene-Butylene-Styrene:SEBS)電極上に延伸可能な導体インク(フレークとエラストマーの複合インク、(例えば、PE873))を螺旋形状に印刷する。
このとき、プリンタ(例えば、Voltera社、「V-one」)を使用でき、SEBSによる基板は、高降伏電圧、優れた誘電損失及び高い延伸可能性の特性を有しており、10(μm H1221)のSEBS基板であり得る。
【0022】
必要なインダクタンスに到達するために、例えば、4周巻いて「4.9cm×4.5cm」の大きさの螺旋状インダクタを形成することが望ましい。
幅が4mmの広いラインは、全体螺旋形の長さと幅の比率を最小化するように設計されて、品質係数(Q)値を高めるためにインダクタの内部抵抗を減らすことができる。
このとき、インダクタ(Lt)のパターンは、アルティウムデザイナー(Altium Designer)ソフトウェアを用いて設計され得るが、これに限定されるものではない。
次に、105℃で30分間アニーリング(annealing)して印刷した導体インクを完全に硬化させる。
【0023】
図2bを参照すると、実施形態によるインダクタ(Lt)は、第1状態(0%延伸(strain)された状態)状態でインダクタンスが451.5nHであり、インダクタ(Lt)による寄生抵抗(Rt)の抵抗値は2.98Ωを有しており、第2状態で、インダクタンスは595.2nHとなり、31.8%増加し、抵抗値は41.7Ωで約14倍増加する。
このとき、寄生抵抗(Rt)の抵抗値は、依然として第1の基準抵抗値(100Ω)以下であるため、高い延伸条件でもセンサーシステム1を成功裏に作動させることができる。
【0024】
以下、
図3a~
図3cを参照して本発明の実施形態によるキャパシタ(Ct)を説明する。
図3aは、本発明の実施形態によるキャパシタの形状であり、
図3bは、本発明の実施形態によるキャパシタの概略断面構造を示す断面図であり、
図3cは、本発明の実施形態によるキャパシタの特性を示すグラフである。
キャパシタ(Ct)は、低い電極抵抗を維持しながら数10pFのキャパシタンスを有することが望ましい。
図3aを参照すると、キャパシタ(Ct)が低い電極抵抗を有するようにするため、キャパシタ(Ct)は、螺旋状インダクタ(Lt)上に延伸電極をインダクタ(Lt)の一部と重複させて形成される。
【0025】
具体的には、
図3bを参照すると、キャパシタ(Ct)は、螺旋状のインダクタ(Lt)の上に銀ナノパーティクル延伸電極(Ag)を重畳させ、インダクタ(Lt)と延伸電極(Ag)の間に2層のSEBS誘電体を積層してサンドイッチ構造で形成される。
つまり、インダクタ(Lt)の上に2つのSEBS誘電体を積層した後、他の一つの電極(Ag)を積層してサンドイッチ構造のキャパシタ(Ct)を製造する。
【0026】
図3cを参照すると、キャパシタ(Ct)は、第1状態で16.3pF/cm
2単位のキャパシタンスを有し、第2状態(50%延伸(strain)された状態)になると電極(Ag)の広さが大きくなり、誘電体(SEBS)の厚さは薄くなり、単位キャパシタンスは22.0pF/cm
2に増加する。
このとき、伸びた電極(Ag)の抵抗値は、第2の基準抵抗値(例えば、3Ω)以下の低い電極抵抗を維持するため、高い延伸条件でもセンサーシステム1を成功裏に作動させることができる。
【0027】
以下、
図4を参照して、本発明の実施形態によるアンテナ11の特性を説明する。
図4は、本発明の実施形態によるアンテナの特性を示すグラフである。
アンテナ11は、インダクタ(Lt)とキャパシタ(Ct)をもって、タグ部10の共振構造を形成する。
上述した数式1で、
図2bに示したインダクタンス値と
図3cに示したキャパシタンス値を代入して品質係数(Q)を計算できる。
【0028】
具体的には、
図4を参照すると、タグ部10が、第1状態(0%延伸)から第2状態50%延伸)に延伸されると、タグ部10の固有の共振周波数(f)は、68.1MHzから46.0MHzに落ち、品質係数(Q)は、8.1から1.2に落ちる。
読取り部20は、結合係数(k)で13.56MHzにおいて正確に共振するように設計される。
このような設計は、最大感度を提供して最大の無線作動距離を保障する。
しかし、読取り部の共振周波数13.56MHzのみを使用する場合、共振周波数(f)に対する帯域幅が非常に狭く、品質係数(Q)の低下(drop)の許容範囲が狭い。
【0029】
つまり、寄生抵抗(Rt)の増加とインダクタ(Lt)のインダクタンスの増加でアンテナ11の品質係数(Q)が低下して、センサーシステム1は安定的に作動できない。
また、結合係数(k)が増加すれば、タグ部10のアンテナ11が読取り部20のアンテナ21に強いローディング効果(loading effect)を誘発して、アンテナ11の感度(S)(
図5a参照)は急激に低下する。
したがって、このような問題点を解決するために、従来の13.56MHz以外の他の共振周波数領域帯で作動するアンテナ11を設計する必要がある。
本発明の実施形態による読取り部20は、13.56MHzの共振周波数で動作し、タグ部10は第1状態だけでなく、第2状態になって結合係数(k)が高い場合にも13.56MHzの共振周波数以外の他の周波数領域で動作可能である。
【0030】
以下、
図5a~
図5cを参照して、本発明の実施形態によるタグ部10と読取り部20の動作領域を具体的に説明する。
図5aは、共振周波数(f)別出力電圧(Vo)を示すグラフであり、
図5bは、本発明の実施形態によるセンサーシステムの動作領域を示すグラフであり、
図5cは、各領域で結合係数(k)の変化に応じたセンサーシステムの感度(S)を示すグラフである。
【0031】
図5aを参照すると、k=0.5及びQ=10の場合、出力電圧(Vo)の変化率(つまり、
図5aのグラフの傾き)を感度(S)と定義すると、センサー12の抵抗(Rs)が10
2Ω~10
3Ωの区間内で、共振周波数(f)が正確に13.56MHzであるか、30MHzより大きい、50MHz又は100MHzである場合、グラフの傾きが急である。
つまり、共振周波数(f)が13.56MHzであるか、50MHz又は100MHzで感度(S)が高い。
【0032】
具体的には、
図5bを参照すると、センサの抵抗(Rs)が700Ωの場合、読取り部20は第1領域R1で動作し、タグ部10は第2領域R2で動作することができる。
第1領域R1は、低い結合係数(k)(0.1以下)と13.56MHzの共振周波数(f)に対応する領域である。
また、第1領域R1は延伸による共振周波数(f)の小さな変化に感度(S)が大きく変わる領域である。
第2領域R2は、高い(k)値(0.2以上)と30MHz以上50MHz以下の共振周波数(f)に対応する領域であり、共振周波数(f)が変わっても感度(S)は高く維持できる領域である。
【0033】
また、第2領域R2は、品質係数(Q)の低下の許容範囲が広い。
具体的には、
図5cを参照すると、品質係数(Q)が10から1に減少するとき、第2領域R2での感度(S)は、3.93mV/Ωから2.18mV/Ωに落ちる反面、第1領域R1での感度(S)は、-2mV/Ωから-0.17mV/Ωに急激に落ちる。
したがって、第2領域R2では品質係数(Q)の変化が大きくても感度(S)の変化は第1領域R1より少ない。
【0034】
つまり、再び
図4を参照すると、タグ部10が第1状態から第2状態になると、タグ部10の共振周波数(f)は、68.1MHzから46.0MHzとなる。
このとき、品質係数(Q)は、8.1から1.2に大幅に落ちたが、第2領域R2での感度(S)は、3.93mV/Ωから2.18mV/Ωに少なく落ちるので、品質係数(Q)の変化が大きくても感度(S)の変化は少ない。
また、第2領域R2の共振周波数(f)は、30MHz以上に高いため、キャパシタ(Ct)のキャパシタンス値は大きな値でなくても構わない。
したがって、キャパシタ(Ct)を形成する電極(Ag)は、それ以上薄い必要はなく、製造の困難性を減少させ延伸されても感度(S)の変化が少なくて、信頼度が向上する。
【0035】
以下、
図1、
図5a、及び
図6a、
図6bを参照して、本発明の実施形態によるセンサーを説明する。
図6aは、本発明の実施形態によるセンサーの装着画像であり、
図6bは、本発明の実施形態によるセンサーの特性を示すグラフである。
図1及び
図6aを参照すると、センサー12は、皮膚に貼り付け可能な抵抗性変形センサーであって、抵抗(Rs)を含み、ポリジメチルシロキサン(Polydimethyl Siloxane:PDMS)が埋め込まれた(embedding)カーボンナノチューブ(carbon nano tube:CNT)であってもよく、コーヒーリング効果(coffee ring effect)に基づいた延伸可能なセンサーであってもよい。
【0036】
皮膚に貼り付けられたセンサー12は、抵抗(Rs)の延伸の程度に対応する振幅変調に応じたセンシング信号を生成する。
前述のように、読取り部20は、受信されたセンシング信号に対応する出力電圧Voの振幅を用いてタグ部10のセンシング信号を読み取る。
センサー12は、高い感度(S)を有さなければならないし、このため、抵抗(Rs)値は、第1状態で第3の基準抵抗(103Ω)より小さなければならない。
【0037】
図6bを参照すると、センサー12が心拍センサーの場合の測定時間に応じた抵抗(Rs)の抵抗値を示す。
心臓拍動に対応してセンサー12が延伸され、それに応じて抵抗(Rs)の抵抗値はパルス形状を示す。
このようなパルス形状に対応して、タグ部10で負荷変調によるセンシング信号が生成され、読取り部20は、センシング信号に対応する出力電圧(Vo)の振幅を用いてセンシング信号を読み取る。
説明の便宜のため、センサー12は、心拍センサーとして説明したが、実施形態がこれに制限されるものではなく、呼吸及び身体の動きなど人間の生物学的信号を延伸可能な抵抗を用いて感知するためのセンサーであれば、いかなるセンサーでも構わない。
【0038】
以下、
図7a~
図7cを参照して本発明の実施形態によるタグ部10の延伸の程度及びタグ部10と読取り部20の間の距離に応じたセンサーシステム1の特性を説明する。
図7aは、本発明の実施形態によるタグ部の延伸の程度に応じた出力電圧を示すグラフであり、
図7bは、本発明の実施形態によるタグ部と読取り部の間の垂直距離に応じた出力電圧を示すグラフであり、
図7cは、本発明の実施形態によるタグ部と読取り部の間の水平距離に応じた出力電圧を示すグラフである。
【0039】
図7aを参照すると、抵抗(Rs)の抵抗値が第3の基準抵抗(10
3Ω)以下である区間で、抵抗(Rs)が第1状態から第2状態になるまでグラフの傾きに対応する感度(S)は非常に高い値を維持する。
また、人間の生物学的なパルス信号は、抵抗(Rs)が第1状態から第2状態になっても、人間の生物学的なパルス信号に対応する出力電圧(Vo)として検出される。
したがって、本発明の実施形態によるセンサーシステム1は、タグ部10が第2状態になっても小さな人間の生物学的信号を検出することができる。
【0040】
図7bを参照すると、タグ部10と読取り部20の間の垂直(Vertical)距離が4.2mmから増加することで、抵抗(Rs)の抵抗値が第3の基準抵抗(10
3Ω)以下である区間で、
図7bに示された曲線の傾きに対応する感度(S)は増加し、その後急速に減少する。
垂直距離が20mmを超えると曲線はほとんど平坦になり、感度(S)は「0」に近くなる。
つまり、垂直距離が4.2mmのとき、出力電圧(Vo)のピークが最も高く、垂直分離距離が20mmを超えて23.4mmに到達すると出力電圧(Vo)はほとんど検出されない。
【0041】
図7cを参照すると、タグ部10と読取り部20の間の水平(又は側方(lateral))距離が0mmから増加することで、抵抗(Rs)の抵抗値が第3の基準抵抗(10
3Ω)以下である区間で、感度(S)は増加し、その後急速に減少する。
水平距離が25mmを超えると曲線はほとんど平坦になり、感度(S)は「0」に近くなる。
つまり、水平距離が0mmのとき、出力電圧(Vo)のピークが最も高く、水平分離距離が25mmを超えて35mmに到達すると出力電圧(Vo)はほとんど検出されない。
【0042】
以下、
図1及び
図8を参照して、本発明の他の実施形態によるアンテナ111を説明する。
図8は、本発明の他の実施形態によるセンサーシステムの等価回路図である。
図8を参照すると、アンテナ111は、
図1に示したインダクタ(Lt)、キャパシタ(Ct)、及び寄生抵抗(Rt)以外に、延伸可能なダイオード(D1)(以下、ダイオードという)、キャパシタ(C)、延伸可能なトランジスター(T)(以下、トランジスターという)、及び延伸可能なリングオシレータ(Ro)(Ring oscillator)を含み、センサー12に接続される。
インダクタ(Lt)、キャパシタ(Ct)、寄生抵抗(Rt)、及びセンサー12は、
図1を参照して説明した内容と同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0043】
ダイオード(D)は、読取り部20から送信された第2領域に対応する無線電力信号を整流する。
このため、ダイオード(D)の動作周波数は、100MHz以上、破壊電圧は50V以上であり、逆方向漏れ電流(Reverse leakage current)は、100nAより小さく、順方向電流(forward current)は、0.1mA以上である。
このような特性を実現するため、ダイオード(D)は、金属-半導体-ショットキー(metal-semiconductor Schottky)構造が適用され得るが、これに限定されるものではない。
【0044】
キャパシタ(C)にはダイオード(D)によって整流された信号に対応するエネルギーが貯蔵され、貯蔵されたエネルギーは、リングオシレータ(Ro)の駆動電源として使用される。
トランジスター(T)は、リングオシレータ(Ro)によって制御されるトランジスターであって、負荷変調に使用される。
リングオシレータ(Ro)は、固有の動作周波数範囲を有し、アンテナ111の延伸の程度によりセンシング信号の周波数を変調する。
つまり、抵抗(Rs)の延伸の程度によってリングオシレータ(Ro)の動作周波数が変更され、これに対応して変調されたセンシング信号が生成される。
変調されたセンシング信号は、アンテナ111を通じて読取り部20に伝送される。
リングオシレータ(Ro)は、無線周波数回収エネルギー(RF harvested energy)を使用するため、15V未満の低い動作電圧と1mW未満の低消費電力、及び100Hzを超える広い周波数領域が要求される。
【0045】
複数のセンサーを用いて複数の身体信号をモニターするためには、複数のセンサー及び複数のセンサーに対応する複数のリングオシレータを含む複数のタグ部を構成することが必要となる。
例えば、心拍数、呼吸数、及び身体の動きをモニターする場合、心拍数センサー、呼吸数センサー、及び身体の動きセンサー、並びにこれらのセンサーにそれぞれマッチングする3つのリングオシレータを含む3つのタグ部を所定の人体位置にそれぞれ貼り付けて、心拍数、呼吸数、及び身体の動きをモニターすることができる。
具体的には、このような3つのリングオシレータの動作周波数範囲は、それぞれ20~40Hz、70~100Hz、300~500Hzであり、互いに重畳しない。
【0046】
読取り部20には、20~40Hz、70~100Hz、300~500Hzに対応する、アルゴリズム及びバンドパスフィルタ(bandpass filter)をそれぞれ含むことができ、このようなアルゴリズム及びバンドパスフィルタを用いて各リングオシレータの動作周波数帯域に対応する変調されたセンシング信号を区別して読み取ることができる。
【0047】
以上で、説明の便宜のため、実施形態によるセンサーシステムにおいては、一つのタグ部10と一つの読取り部20を含んでいるものを説明したが、実施形態はこれに限定されるものではなく、複数のタグ部と一つの読取り部、又は複数のタグ部と複数の読取り部を含むシステムを含むことができる。
【0048】
図9は、本発明のさらに他の実施形態によるセンサーシステムの等価回路図である。
以下、
図9を参照して、本発明のさらに他の実施形態によるセンサーシステムを説明する。
図9を参照すると、本発明のさらに他の実施形態によるセンサーシステムは、第1~第3タグ部(10a、10b、10c)及び読取り部20を含む。
【0049】
第1~第3タグ部(10a、10b、10c)は、対応する第1~第3アンテナ(111a、111b、111c)、第1~第3センサー(12a、12b、12c)をそれぞれ含む。
第1~第3タグ部(10a、10b、10c)それぞれは、
図8を参照して説明したタグ部10と構成が同じであるので、詳細な説明は省略する。
第1~第3タグ部(10a、10b、10c)それぞれは、身体の互いに異なる部分の生体信号、例えば、心拍数、呼吸、及び身体の動きなどをモニターすることができるが、これに限定されるものではない。
【0050】
読取り部20は、
図8を参照して説明した読取り部20の構成を全て含み、さらに回路部22を含み得る。
図8の読取り部20と同じ構成に対する詳細な説明は省略する。
回路部22は、アンテナ21と接続されており、互いに異なる周波数でそれぞれ動作する第1のバンドパスフィルタ(22f1)、第2のバンドパスフィルタ(22f2)、及び第3のバンドパスフィルタ(22f3)を含み、メモリ22mと処理回路22pとを含む。
【0051】
メモリ22mは、第1タグ部10a、第2タグ部10b、及び第3タグ部10cから感知された信号を読取り部20が区別できるように処理回路22pによって実行される信号処理アルゴリズムのような命令が保存される。
以上で、説明の便宜のため、3つのタグ部(10a、10b、10c)及び読取り部20を含んでいるものを説明したが、実施形態はこれに限定されるものではなく、複数のタグ部と一つの読取り部、又は複数のタグ部と複数の読取り部を含むシステムを含むことができる。
【0052】
尚、本発明は、上述の実施形態に限られるものではない。本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 センサーシステム
10、 タグ部
10a、10b、10c 第1~第3タグ部
11、111 アンテナ
111a、111b、111c 第1~第3アンテナ
12 センサー
12a、12b、12c 第1~第3センサー
20 読取り部
21 アンテナ
22 回路部
22f1、22f2、22f3 (第1~第3)のバンドパスフィルタ
22m メモリ