(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】好中球細胞外トラップ形成促進剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/635 20060101AFI20240304BHJP
A61P 31/10 20060101ALI20240304BHJP
A61P 33/00 20060101ALI20240304BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
A61K31/635
A61P31/10 ZNA
A61P33/00
A61P33/00 171
A61P43/00 111
(21)【出願番号】P 2017141717
(22)【出願日】2017-07-21
【審査請求日】2020-07-07
【審判番号】
【審判請求日】2022-04-04
(73)【特許権者】
【識別番号】592068200
【氏名又は名称】学校法人東京薬科大学
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(72)【発明者】
【氏名】田中 正人
(72)【発明者】
【氏名】四元 聡志
【合議体】
【審判長】原田 隆興
【審判官】岩下 直人
【審判官】磯部 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-534152(JP,A)
【文献】Journal of Research (Science),1993年,Vol.5, No.2,pages 7-9
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K31/00-33/44
CAplus/MEDLINE/REGISTRY/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スルファサラジンまたは薬理学的に許容可能なその塩を含む、好中球細胞外トラップ形成促進剤。
【請求項2】
スルファサラジンまたは薬学的に許容可能なその塩を含む、感染症治療用医薬組成物であって、
前記感染症が、
真菌または寄生虫による感染症である、感染症治療用医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好中球細胞外トラップ形成促進剤および当該促進剤を含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
好中球による新たな感染防御機構として好中球細胞外トラップ(neutrophil extracellular trap(NET))が注目されている。NETは、活性化好中球が、自身のクロマチンを細胞外に網状に放出し、細菌やウイルスを捕獲除去する機構である。NETの形成は多種多様な疾患の病理に関与している。
【0003】
NETを形成する好中球の細胞死を、NETosisと呼ぶが、NETosisによって好中球が死滅すると、損傷関連分子パターン(DAMP)を含む細胞内物質が放出され、組織傷害または再生の遅延を引き起こす可能性がある(非特許文献1参照)。例えば、糖尿病のヒトおよびマウスから得られた好中球は、NETosis感受性であるため、糖尿病マウスでは創傷治癒が遅れる(非特許文献2参照)。また、虚血性再灌流傷害を有する個体では、NET形成はTLRシグナル伝達によって媒介され、損傷を悪化させる(非特許文献3参照)。
【0004】
一方、NET形成が病理に有益な効果を有するいくつかの疾患がある。例えば、好中球は、痛風の炎症部位におけるNET形成をもたらし、NETの形成は、炎症性サイトカインを分解することによる炎症の解消をもたらす(非特許文献4参照)。さらに、好中球は、ウイルス核酸を認識するToll様受容体(TLR)、TLR7およびTLR8によって、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)-1を検出する。TLR7およびTLR8の関与は、NET形成を誘発し、NET依存性HIV-1排除をもらたらすこととなる(非特許文献5参照)。
【0005】
このように、NET形成は様々な疾患に対して陽性または陰性の効果を有することができるため、NET形成を制御することのできる化合物はこれらの疾患の治療法に有用であることが期待されている。特に、NET形成の促進は、感染症に対する新たな治療法として期待されている(非特許文献6および7参照)。
【0006】
これまで、感染症の治療には、例えば、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(DDS)およびスルファニルアミドが用いられていた。4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(DDS)は、細菌、真菌、原虫などによる感染に用いられ、特にハンセン病治療薬として用いられてきた。また、スルファニルアミドは、抗生物質として用いられてきた。このようなサルファ剤は、菌の葉酸合成を阻害することにより、抗菌作用を示すものである。
【0007】
近年、致死性の高い感染症の世界的な流行が危惧されており、感染症に対する新たな治療法の開発が望まれている。特に、抗ウイルス薬は、感染症の撲滅に大きな役割を果たすことが期待され、ウイルスに対する新規医薬品開発への社会的ニーズが高まっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【文献】Jorch SK, Kubes P.: An emerging role for neutrophil extracellular traps in noninfectious disease. Nat Med. 2017 Mar 7; 23(3): 279-287.
【文献】Wong SL, Demers M, Martinod K, Gallant M, Wang Y, Goldfine AB, Kahn CR, Wagner DD.: Diabetes primes neutrophils to undergo NETosis, which impairs wound healing. Nat Med. 2015 Jul;21(7):815-9.
【文献】Huang H, Tohme S, Al-Khafaji AB, Tai S, Loughran P, Chen L, Wang S, Kim J, Billiar T, Wang Y, Tsung A.: Damage-associated molecular pattern-activated neutrophil extracellular trap exacerbates sterile inflammatory liver injury Hepatology. 2015 Aug;62(2):600-14.
【文献】Schauer C, Janko C, Munoz LE, Zhao Y, Kienhoefer D, Frey B, Lell M, Manger B, Rech J, Naschberger E, Holmdahl R, Krenn V, Harrer T, Jeremic I, Bilyy R, Schett G, Hoffmann M, Herrmann M.: Aggregated neutrophil extracellular traps limit inflammation by degrading cytokines and chemokines Nat Med. 2014 May;20(5):511-7.
【文献】Saitoh T, Komano J, Saitoh Y, Misawa T, Takahama M, Kozaki T, Uehata T, Iwasaki H, Omori H, Yamaoka S, Yamamoto N, Akira S.: Neutrophil extracellular traps mediate a host defense response to human immunodeficiency virus-1. Cell Host Microbe. 2012 Jul 19;12(1):109-16.
【文献】Brinkmann V, Reichard U, Goosmann C, Fauler B, Uhlemann Y, Weiss DS, Weinrauch Y, Zychlinsky A.: Neutrophil extracellular traps kill bacteria. Science. 2004 Mar 5;303(5663):1532-5.
【文献】Tatsuya Saitoh, Jun Komano, Yasunori Saitoh, Takuma Misawa, Michihiro Takahama, Tatsuya Kozaki, Takuya Uehata, Hidenori Iwasaki, Hiroko Omori, Shoji Yamaoka, Naoki Yamamoto, Shizuo Akira: Neutrophil Extracellular Traps Mediate a Host Defense Response to Human Immunodeficiency Virus-1. Cell Host Microbe, 2012; 19; 12 (1): 109-16
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、好中球細胞外トラップ形成促進剤、および、好中球細胞外トラップ形成促進剤を含む医薬組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これまでに、多くの抗生物質や抗ウイルス薬が感染症治療薬として臨床応用されているものの、免疫細胞、特に、好中球の感染防御機構を標的とした医薬品開発はほとんど進んでいない。
本発明者らは、鋭意研究の結果、スルファサラジン(SSZ)、スルファニルアミドおよび4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(DDS)が、インビトロおよびインビボの双方においてNET形成、すなわち、好中球細胞外トラップの形成を促進することを見出した。具体的には、これらの物質が、ホルボール 12-ミリスタート 13-アセタート(Phorbol 12-myristate 13-Acetate(PMA))誘発性NETosisを有意に促進し、また、単離されたマウスおよびヒトの好中球においてNET形成を有意に促進した。同様に、これらの物質はインビボにおいても、NETosisを誘導することによって、炎症状態下で活性化された好中球の数を減少させた。さらに、本発明者らは、NET形成の促進は、リン脂質の過酸化によって促進すると考えた。
スルファニルアミドおよび4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(DDS)は、上記のとおり、従来、感染症の治療に用いられていたが、菌および原虫の葉酸合成を阻害することによって、これらを防除するものであった。一方、スルファサラジン(SSZ)は、従来、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病など)および慢性関節リウマチの治療薬として一般的に用いられてきたものである。スルファサラジン(SSZ)、スルファニルアミドおよび4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(DDS)が、NET形成を促進することは、これまでに知られておらず、本発明者らによって初めて見出されたものである。
以上のように、本発明者らは、スルファサラジン(SSZ)、スルファニルアミドおよび4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(DDS)によってNET形成を促進することによって、好中球の感染防御機構が増強されることを発見し、これら物質を、種々の感染症に対する新規の感染症治療薬として応用できる可能性を見出した。
【0011】
本発明は、上記知見に基づくものであり、即ち:
(1)スルファサラジン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、スルファニルアミドおよび薬学的に許容可能なそれらの塩からなる群から選択される少なくとも1つを含む、好中球細胞外トラップ形成促進剤;
(2)スルファサラジン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、スルファニルアミドおよび薬学的に許容可能なそれらの塩からなる群から選択される1つを含む、請求項1に記載の好中球細胞外トラップ形成促進剤;
(3)前記(1)または(2)に記載の好中球細胞外トラップ形成促進剤を含む、医薬組成物;
(4)感染症治療用医薬組成物である、前記(3)に記載の医薬組成物;
(5)前記感染症が、真菌、細菌、原虫およびウイルスによる感染症である、前記(4)に記載の医薬組成物;
(6)前記感染症が、ウイルスによる感染症である、前記(4)または(5)に記載の医薬組成物;
(7)スルファサラジンまたは薬学的に許容可能なその塩を含む、感染症治療用医薬組成物
に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、新規な好中球細胞外トラップ形成促進剤、および当該好中球細胞外トラップ形成促進剤を含む感染症治療用医薬組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、活性化好中球によるNET形成の概略図を示す。活性化好中球は、自身のクロマチンを細胞外に網状に放出し、細菌やウイルスを捕獲除去する。
【
図2(a)】
図2(a)~(j)は、SSZが、NETosisによって活性化好中球の細胞死を加速することを示す。
図2(a)は、種々の濃度の、PMA単独(中央の図)、ならびに、SSZおよび1μM PMA(右図)で、マウス好中球を3.5時間刺激したときのデータを示す。細胞はシトックスグリーンで染色した。死細胞の割合は、IN Cell Analyzer 2000を用いて、シトックスグリーン陽性の細胞数を計数することにより決定した。1つの試験において3つの試料の平均およびs.d.を示す。
*P< 0.01, one-way ANOVA, PMA(-)およびSSZ(-)と比較。データは、2つの独立した実験の代表である。
【
図2(b)】
図2(b)は、SSZ処理された活性化好中球の形態素解析を示す。細胞を、1μM PMA、1mM SSZ、または1μM PMA+1mM SSZで3.5時間、インキュベートした。シトックスグリーンおよびHoechest 33342を用いて細胞を染色し、蛍光顕微鏡を用いて視覚化した(原寸、x20)。示すデータは、2つの独立した実験の代表である。
【
図2(c)】
図2(c)、(d)は、SSZ処理された活性化好中球におけるヒストンH3のシトルリン化の増加を示す。マウス好中球を、種々の濃度のPMAおよび/またはSSZで4時間刺激した。細胞は、DNA(DAPI)について抗citH3ポリクローナル抗体(Abcam)によって固定および染色した。
図2(c)では、citH3陽性細胞の数を、Imaga-J ソフトウェアを用いて計測することにより、NET形成した細胞の割合を決定した。1つの試験において、3つの試料の平均およびs.d.を示す。
*P< 0.01, one-way ANOVA, PMA(-)およびSSZ(-)と比較。データは、2つの独立した実験の代表である。
【
図2(d)】
図2(d)では、蛍光顕微表でNET形成を視覚化した。原寸、×20。データは、2つの独立した実験の代表である。
【
図2(e)】
図2(e)は、PAD4インヒビター、GSK484の、SSZ誘発性NET形成に対する影響を示す。マウス好中球を、20μMの存在下または非存在下で4時間、1μMまたは1μM PMA+1mM SSZで刺激した。NET形成は、
図2(d)に記載のとおり、視覚化した。原寸、×20。データは、2つの独立した実験の代表である。
【
図2(f)】
図2(f)は、種々の濃度の、イオノマイシン単独(左)または5μMイオノマイシン+SSZ(右)で、マウス好中球を4時間刺激したときのデータを示す。NET形成した細胞の割合は、
図2(i)に記載のとおり、抗cith3ポリクローナル抗体によって決定した。1つの試験において3つの試料の平均およびs.d.が示される。
*P< 0.01, one-way ANOVA, 5μMイオノマイシンと比較。データは、2つの独立した実験の代表である。
【
図2(g)】
図2(g)は、マウス好中球を、5μMイオノマイシン単独または5μMイオノマイシン+SSZで4時間刺激したときのデータを示す。NET形成は、
図2(d)に記載のとおり、抗citH3ポリクローナル抗体によって視覚化した。原寸、×20。データは、2つの独立した実験の代表である。
【
図2(h)】
図2(h)は、ヒト末梢好中球を、種々の濃度のPMAまたは/およびSSZで2.5時間刺激したときのデータを示す。細胞をシトックスグリーンで染色した。死細胞の割合は、Image-J softwareを用いて、シトックスグリーン陽性の細胞数を計数することにより決定した。1つの試験において3つの試料の平均およびs.d.が示される。
*P< 0.01, NS:有意差なし。one-way ANOVA。PMA(-)(左)または0.8nM PMA(右)と比較。データは、2つの独立した実験の代表である。
【
図2(i)】
図2(i)は、SSZ処理されたヒト活性化好中球の形態素解析を示す。ヒト好中球は、0.8nM PMAまたは/および1mM SSZで2.5時間刺激した。シトックスグリーンおよびHoechest 33342を用いて細胞を染色し、蛍光顕微鏡を用いて視覚化した。
【
図2(j)】
図2(j)は、ヒト好中球を、0.8nM PMA単独または0.8nM PMA+1mM SSZで2.5時間刺激したときのデータを示す。NET形成は、DNA(DAPI)について、抗citH3モノクローナル抗体(クローン11-11B-4F)で染色することにより視覚化した。
図2(i)および
図2(j)は、原寸、×20。データは、2つの独立した実験の代表である。
【
図3(a)】
図3(a)~(d)は、SSZがインビボでの好中球死を誘発することを示す。
図3(a)は、野生型マウスに、16mgのSSZまたはPBSを腹腔内注射したときのデータを示す。4時間または24時間後、顕微鏡上で細胞を計数し、フローサイトメトリーを用いて分析することにより、CD45.2
+Ly-6C
-Ly-6G
+好中球の絶対数を決定した。3体のマウスの平均およびs.d.を示す。異なる時点での、PBS-およびSSZ注射したマウスにおける細胞数の平均を比較した。NSは、2つの群の間で有意差がないことを示す(two-way ANOVA)。データは、2つの独立した実験の代表である。
【
図3(b)】
図3(b)-(d)は、野生型マウスに、1mgザイモザンおよび16mgSSZまたはPBSを腹腔内投与したときのデータを示す。4時間後、腹腔細胞を回収した。
図3(d)は、総細胞数(左)、および、CD45.2
+Ly-6C
-Ly-6G
+好中球数(右)を、
図3(a)に記載のとおり計数した。
図3(c)では、腹腔細胞を7-AADで染色し、死細胞(7-AAD
+細胞)数の割合を、フローサイトメトリーを用いて決定した。値は、各群(b、c)あたりのマウス(6体(SSZ(-))および7体(SSZ+))の平均およびs.d.を示す。
*P < 0.005,
**P < 0.001, Student’s t-test。
図3(d)では、上記のとおり、抗citH3ポリクローナル抗体によって腹腔細胞を視覚化した。原寸、×20。データは、2つの独立した実験の代表である。
【
図3(c)】
図3(b)-(d)は、野生型マウスに、1mgザイモザンおよび16mgSSZまたはPBSを腹腔内投与したときのデータを示す。4時間後、腹腔細胞を回収した。
図3(d)は、総細胞数(左)、および、CD45.2+Ly-6C-Ly-6G+好中球数(右)を、
図3(a)に記載のとおり計数した。
図3(c)では、腹腔細胞を7-AADで染色し、死細胞(7-AAD+細胞)数の割合を、フローサイトメトリーを用いて決定した。値は、各群(b、c)あたりのマウス(6体(SSZ(-))および7体(SSZ+))の平均およびs.d.を示す。*P < 0.005, **P < 0.001, Student’s t-test。
図3(d)では、上記のとおり、抗citH3ポリクローナル抗体によって腹腔細胞を視覚化した。原寸、×20。データは、2つの独立した実験の代表である。
【
図3(d)】
図3(b)-(d)は、野生型マウスに、1mgザイモザンおよび16mgSSZまたはPBSを腹腔内投与したときのデータを示す。4時間後、腹腔細胞を回収した。
図3(d)は、総細胞数(左)、および、CD45.2+Ly-6C-Ly-6G+好中球数(右)を、
図3(a)に記載のとおり計数した。
図3(c)では、腹腔細胞を7-AADで染色し、死細胞(7-AAD+細胞)数の割合を、フローサイトメトリーを用いて決定した。値は、各群(b、c)あたりのマウス(6体(SSZ(-))および7体(SSZ+))の平均およびs.d.を示す。*P < 0.005, **P < 0.001, Student’s t-test。
図3(d)では、上記のとおり、抗citH3ポリクローナル抗体によって腹腔細胞を視覚化した。原寸、×20。データは、2つの独立した実験の代表である。
【
図4(a)】
図4(a)~(f)は、SSZが活性化好中球におけるROS産生を増進しないことを示す。
図4(a)および(b)は、NADPHオキシダーゼインヒビターであるDPIがNET形成に与える影響を示す。マウス好中球を、1mM SSZおよび40μM DPIの存在下または非存在下でPMAによって、3.5時間(
図4(a))または4時間(
図4(b))、刺激した。
図4(a)では、シトックスグリーンを用いたNET形成した細胞の割合を決定した。1つの試験において3つの試料の平均値およびs.d.を示す。
*P< 0.05,
**P< 0.01, one-way ANOVA。データは、2つの独立した実験の代表である。
【
図4(b)】
図4(b)では、NET形成は、DNA(DAPI)について、抗citH3ポリクローナル抗体で染色することにより視覚化した。原寸、×20。データは、2つの独立した実験の代表である。
【
図4(c)】
図4(c)~(f)は、ROS産生に対するSSZの影響を示す。マウス好中球を、ROSインジケータであるDCFH-DAで5分間、プレインキュベートし、次いで、種々の濃度のPMAおよび/またはSSZ((c)および(d))、または、イオノマイシンおよび/またはSSA((e)および(f))で15分間刺激した。
図4(c)および(e)では、フローサイトメトリーによってPOS産生を分析した。
図4(d)および(f)では、ROS発生を、平均蛍光強度(MFI)を用いて定量化した。1つの試験において、3つの試料の平均およびs.d.を示す。
*P< 0.01, one-way ANOVA, 1μM PMA(d)および5μM イオノマイシン(f)と比較。データは3つの独立した実験の代表を示す。
【
図4(d)】
図4(c)~(f)は、ROS産生に対するSSZの影響を示す。マウス好中球を、ROSインジケータであるDCFH-DAで5分間、プレインキュベートし、次いで、種々の濃度のPMAおよび/またはSSZ((c)および(d))、または、イオノマイシンおよび/またはSSA((e)および(f))で15分間刺激した。
図4(c)および(e)では、フローサイトメトリーによってPOS産生を分析した。
図4(d)および(f)では、ROS発生を、平均蛍光強度(MFI)を用いて定量化した。1つの試験において、3つの試料の平均およびs.d.を示す。*P< 0.01, one-way ANOVA, 1μM PMA(d)および5μM イオノマイシン(f)と比較。データは3つの独立した実験の代表を示す。
【
図4(e)】
図4(c)~(f)は、ROS産生に対するSSZの影響を示す。マウス好中球を、ROSインジケータであるDCFH-DAで5分間、プレインキュベートし、次いで、種々の濃度のPMAおよび/またはSSZ((c)および(d))、または、イオノマイシンおよび/またはSSA((e)および(f))で15分間刺激した。
図4(c)および(e)では、フローサイトメトリーによってPOS産生を分析した。
図4(d)および(f)では、ROS発生を、平均蛍光強度(MFI)を用いて定量化した。1つの試験において、3つの試料の平均およびs.d.を示す。*P< 0.01, one-way ANOVA, 1μM PMA(d)および5μM イオノマイシン(f)と比較。データは3つの独立した実験の代表を示す。
【
図4(f)】
図4(c)~(f)は、ROS産生に対するSSZの影響を示す。マウス好中球を、ROSインジケータであるDCFH-DAで5分間、プレインキュベートし、次いで、種々の濃度のPMAおよび/またはSSZ((c)および(d))、または、イオノマイシンおよび/またはSSA((e)および(f))で15分間刺激した。
図4(c)および(e)では、フローサイトメトリーによってPOS産生を分析した。
図4(d)および(f)では、ROS発生を、平均蛍光強度(MFI)を用いて定量化した。1つの試験において、3つの試料の平均およびs.d.を示す。*P< 0.01, one-way ANOVA, 1μM PMA(d)および5μM イオノマイシン(f)と比較。データは3つの独立した実験の代表を示す。
【
図5(a)】
図5(a)~(m)は、脂質の過酸化が、SSZ誘発性のNETosisに不可欠であることを示す。
図5(a)~(d)は、マウス好中球を、種々の濃度のPMA((a)および(b))またはイオノマイシン((c)および(d))で、1mM SSZの存在下または非存在下、刺激し、次いでC11-Bodipy
581/591を添加したときのデータを示す。
図5(a)および(c)では、フローサイトメトリーを用いて脂質酸化の蓄積を分析した。
図5(b)および(d)では、C11-Bodipy分析の平均蛍光強度(MFI)および、3つの試料のC11-Bodipy分析の平均蛍光強度(MFI)を示す。
*P< 0.01, one-way ANOVA, 1μM PMA(b)または5μMイオノマイシン(d)と比較。データは3つの独立した実験の代表である。
【
図5(b)】
図5(a)~(d)は、マウス好中球を、種々の濃度のPMA((a)および(b))またはイオノマイシン((c)および(d))で、1mM SSZの存在下または非存在下、刺激し、次いでC11-Bodipy581/591を添加したときのデータを示す。
図5(a)および(c)では、フローサイトメトリーを用いて脂質酸化の蓄積を分析した。
図5(b)および(d)では、C11-Bodipy分析の平均蛍光強度(MFI)および、3つの試料のC11-Bodipy分析の平均蛍光強度(MFI)を示す。*P< 0.01, one-way ANOVA, 1μM PMA(b)または5μMイオノマイシン(d)と比較。データは3つの独立した実験の代表である。
【
図5(c)】
図5(a)~(d)は、マウス好中球を、種々の濃度のPMA((a)および(b))またはイオノマイシン((c)および(d))で、1mM SSZの存在下または非存在下、刺激し、次いでC11-Bodipy581/591を添加したときのデータを示す。
図5(a)および(c)では、フローサイトメトリーを用いて脂質酸化の蓄積を分析した。
図5(b)および(d)では、C11-Bodipy分析の平均蛍光強度(MFI)および、3つの試料のC11-Bodipy分析の平均蛍光強度(MFI)を示す。*P< 0.01, one-way ANOVA, 1μM PMA(b)または5μMイオノマイシン(d)と比較。データは3つの独立した実験の代表である。
【
図5(d)】
図5(a)~(d)は、マウス好中球を、種々の濃度のPMA((a)および(b))またはイオノマイシン((c)および(d))で、1mM SSZの存在下または非存在下、刺激し、次いでC11-Bodipy581/591を添加したときのデータを示す。
図5(a)および(c)では、フローサイトメトリーを用いて脂質酸化の蓄積を分析した。
図5(b)および(d)では、C11-Bodipy分析の平均蛍光強度(MFI)および、3つの試料のC11-Bodipy分析の平均蛍光強度(MFI)を示す。*P< 0.01, one-way ANOVA, 1μM PMA(b)または5μMイオノマイシン(d)と比較。データは3つの独立した実験の代表である。
【
図5(e)】
図5(e)および(f)は、マウス好中球が、抗酸化剤(400μMトロロックスまたは200μM 2-ME)の存在下または非存在下で、1μM PMA単独、1μM PMA+1mM SSZで1時間刺激されたときのデータを示す。脂質酸化の蓄積は上述したとおりに測定した。
図5(f)は、3つの試料のs.d.と共に平均蛍光強度(MFI)を示す。
*P< 0.01, NS:有意差なし。one-way ANOVA。データは3つの独立した実験の代表を示す。
【
図5(f)】
図5(e)および(f)は、マウス好中球が、抗酸化剤(400μMトロロックスまたは200μM 2-ME)の存在下または非存在下で、1μM PMA単独、1μM PMA+1mM SSZで1時間刺激されたときのデータを示す。脂質酸化の蓄積は上述したとおりに測定した。
図5(f)は、3つの試料のs.d.と共に平均蛍光強度(MFI)を示す。*P< 0.01, NS:有意差なし。one-way ANOVA。データは3つの独立した実験の代表を示す。
【
図5(g)】
図5(g)および(h)は、抗酸化剤のSSZ誘発性NET形成に対する影響を示す。マウス好中球を、種々の濃度のトロロックスおよび2-MEの存在下または非存在下、1μM PMA単独、1μM PMA+1mM SSZで刺激した。
図5(g)では、細胞をシトックスグリーンで染色した。死細胞の割合は、IN Cell Analyzer 2000を用いてシトックスグリーン陽性の細胞数を計数することにより決定した。1つの試験において3つの試料の平均値およびs.d.を示す。
*P< 0.01, one-way ANOVA, 1μM PMA + 1mM SSZと比較。データは3つの独立した実験の代表を示す。
図5(h)では、DAPIおよび抗体citH3抗体で染色することによりNET形成を視覚化した。原寸、×20。データは、2つの独立した実験の代表である。
【
図5(h)】
図5(g)および(h)は、抗酸化剤のSSZ誘発性NET形成に対する影響を示す。マウス好中球を、種々の濃度のトロロックスおよび2-MEの存在下または非存在下、1μM PMA単独、1μM PMA+1mM SSZで刺激した。
図5(g)では、細胞をシトックスグリーンで染色した。死細胞の割合は、IN Cell Analyzer 2000を用いてシトックスグリーン陽性の細胞数を計数することにより決定した。1つの試験において3つの試料の平均値およびs.d.を示す。*P< 0.01, one-way ANOVA, 1μM PMA + 1mM SSZと比較。データは3つの独立した実験の代表を示す。
図5(h)では、DAPIおよび抗体citH3抗体で染色することによりNET形成を視覚化した。原寸、×20。データは、2つの独立した実験の代表である。
【
図5(i)】
図5(i)および(j)は、トロロックスが、足蹠において、ヒストンH3のSSZ誘発性シトルリン化を阻害することを示す。SSZ単独またはSSZ+トロロックスを野生型マウスの足蹠に注射した。
図5(i)では、48時間後、足蹠を切除し、Ly-6G Ab、DAPIおよび抗citH3ポリクローナル抗体(Abcam)で染色した。原寸、×20。
【
図5(j)】
図5(j)では、足蹠の膨潤を、指定の時間、測定した。3体のマウスの平均およびs.d.を示す。
*P< 0.001, NS:有意差なし。one-way ANOVA, SSZを注射したマウスと比較。
【
図5(k)】
図5(k)~(m)では、400μMトロロックスと共に、または、トロロックスなしで、0.8μM PMA+1mM SSZによって、2時間、ヒト好中球を刺激した。
図5(k)では、細胞を、シトックスグリーンおよびHoechest33342で染色した。視細胞の割合は、Image J softwareを用いて、シトックスグリーン陽性細胞の数を計数することによって決定した。1つの試験において3つの試料の平均およびs.d.を示す。
*P< 0.05, Student’s t-test。
図5(l)では、NET形成を、シトックスグリーンおよびhoechest33342により染色することにより視覚化した。
図5(m)では、NET形成を、DAPIおよび抗citH3抗体(clone 11-11B-4F)で染色することにより視覚化した。
図5(l)および(m)では、原寸、×20であり、データは、3つの独立した実験の代表である。
【
図5(l)】
図5(k)~(m)では、400μMトロロックスと共に、または、トロロックスなしで、0.8μM PMA+1mM SSZによって、2時間、ヒト好中球を刺激した。
図5(k)では、細胞を、シトックスグリーンおよびHoechest33342で染色した。視細胞の割合は、Image J softwareを用いて、シトックスグリーン陽性細胞の数を計数することによって決定した。1つの試験において3つの試料の平均およびs.d.を示す。*P< 0.05, Student’s t-test。
図5(l)では、NET形成を、シトックスグリーンおよびhoechest33342により染色することにより視覚化した。
図5(m)では、NET形成を、DAPIおよび抗citH3抗体(clone 11-11B-4F)で染色することにより視覚化した。
図5(l)および(m)では、原寸、×20であり、データは、3つの独立した実験の代表である。
【
図5(m)】
図5(k)~(m)では、400μMトロロックスと共に、または、トロロックスなしで、0.8μM PMA+1mM SSZによって、2時間、ヒト好中球を刺激した。
図5(k)では、細胞を、シトックスグリーンおよびHoechest33342で染色した。視細胞の割合は、Image J softwareを用いて、シトックスグリーン陽性細胞の数を計数することによって決定した。1つの試験において3つの試料の平均およびs.d.を示す。*P< 0.05, Student’s t-test。
図5(l)では、NET形成を、シトックスグリーンおよびhoechest33342により染色することにより視覚化した。
図5(m)では、NET形成を、DAPIおよび抗citH3抗体(clone 11-11B-4F)で染色することにより視覚化した。
図5(l)および(m)では、原寸、×20であり、データは、3つの独立した実験の代表である。
【
図6(a)】
図6(a)~(h)は、SSZが、フェロトーシスのメカニズムとは異なるメカニズムでNETosisを促進することを示す。
図6(a)は、PMA刺激マウス骨髄好中球におけるxCT mRNA発現を示す。細胞を、1μM PMAで、1時間、2時間または3時間刺激した。これらの細胞から総RNAを調製し、xCT mRNAの発現レベルを、qPCRを用いて決定した。発現レベルを相対量として算出し、18sリボゾームRNAのレベルで標準化した。結果は、ナイーブ好中球において観察された発現と比較して、fold inductionとして示される。1つの試験において3つの試料の平均値およびs.d.を示す。
*P< 0.01, NS:有意差なし。two-way ANOVA。データは、2つの独立した実験の代表である。
【
図6(b)】
図6(b)は、マウス腹腔好中球におけるインビボでのxCT mRNA発現を示す。1mgザイモザンを野生型マウスに腹腔内投与した。4時間後、腹腔細胞を回収した。総RNAを調製し、xCT mRNA発現レベルを、qPCTを用いて上記のとおり決定した。3体のマウスの平均およびs.d.を示す。*P< 0.05, Student’s t-test。
【
図6(c)】
図6(c)および(d)は、エラスチンは、NET形成を誘発しないことを示す。マウス好中球は、種々の濃度のエラスチンの存在下または非存在下、1μM PMAによって刺激された。NET形成した細胞の割合を、citH3陽性の数を計数することにより測定し((c))、DAPIおよびcitH3で染色することにより視覚化した((d))。1つの試験において3つの試料と平均値およびs.d.が示される(c)。原寸、×20(d)。データは、3つの独立した実験の代表である。
【
図6(d)】
図6(c)および(d)は、エラスチンは、NET形成を誘発しないことを示す。マウス好中球は、種々の濃度のエラスチンの存在下または非存在下、1μM PMAによって刺激された。NET形成した細胞の割合を、citH3陽性の数を計数することにより測定し((c))、DAPIおよびcitH3で染色することにより視覚化した((d))。1つの試験において3つの試料と平均値およびs.d.が示される(c)。原寸、×20(d)。データは、3つの独立した実験の代表である。
【
図6(e)】
図6(e)および(f)では、NET形成が、xCT変異好中球において観察された。xCTmu
/wtまたはxCTmu
/muマウスから得られた骨髄好中球を、SSZ存在下または非存在下で、PMAによって刺激した。NET形成した細胞の頻度を、シトックスグリーン陽性の数を計数することにより((e))またはcitH3陽性細胞の数を計数することにより((f))、決定した。1つの試験において3つの試料の平均値およびs.d.が示される。
*P< 0.01, NS:有意差なし。two-way ANOVA。データは、2つ((e))または3つ((f))の独立した実験の代表である。
【
図6(f)】
図6(e)および(f)では、NET形成が、xCT変異好中球において観察された。xCTmu/wtまたはxCTmu/muマウスから得られた骨髄好中球を、SSZ存在下または非存在下で、PMAによって刺激した。NET形成した細胞の頻度を、シトックスグリーン陽性の数を計数することにより((e))またはcitH3陽性細胞の数を計数することにより((f))、決定した。1つの試験において3つの試料の平均値およびs.d.が示される。*P< 0.01, NS:有意差なし。two-way ANOVA。データは、2つ((e))または3つ((f))の独立した実験の代表である。
【
図6(g)】
図6(g)では、NIH3T3細胞を、フェロトーシスインヒビター(デフェロキサミンおよびフェロスタチン-1)、ネクロトーシスインヒビター(ネクロスタチン-1)またはアポトーシスインヒビター(z-VAD-fmk)の存在下または非存在下、エラスチン、SSZまたはtBHPで処理した。製造元のプロトコールに従って、WST-8アッセイを用いて細胞生存性を評価した。1つの試験において3つの試料の平均値およびs.d.が示される。
*P< 0.01, NS:有意差なし。one-way ANOVA。インヒビター(-)との比較。データは、2つの独立した実験の代表である。
【
図6(h)】
図6(h)では、フェロトーシスインヒビター、ネクロトーシスインヒビターまたはアポトーシスインヒビターの存在下または非存在下、PMAおよびSSZでマウス好中球を処理した。NET形成を(e)に示すとおり、評価した。1つの試験において3つの試料の平均値およびs.d.が示される。NS:有意差なし、one-way ANOVA、インヒビター(-)との比較。データは、2つの独立した実験の代表である。
【
図7(a)】
図7(a)~(h)は、NET誘発性化合物環での構造-活性相関を示す。
図7(a)は、SSZ、5-アミノサリチル酸(5-ASA)およびスルファピリジンの構造を示す。
【
図7(b)】
図7(b)および(c)は、5-ASAではなくスルファピリジンが、NETosisを誘発することを示す。マウス骨髄好中球を、1μM PMAの存在下、3.5時間((b))または4時間((c))、種々の濃度のスルファピリジンまたは5-ASAによって、刺激した。NET形成した細胞の割合を、シトックスグリーン陽性細胞の数を計数することによって決定し((b))、NET形成を、DAPIおよび抗citH3 Abの染色によって視覚化した((c))。
図7(b)では、1つの試験において3つの試料の平均値およびs.d.が示される。
*P< 0.01, one-way ANOVA, PMAとの比較。
図7(c)では、原寸、×20であり、データは、2つの独立した実験の代表である。
【
図7(c)】
図7(b)および(c)は、5-ASAではなくスルファピリジンが、NETosisを誘発することを示す。マウス骨髄好中球を、1μM PMAの存在下、3.5時間((b))または4時間((c))、種々の濃度のスルファピリジンまたは5-ASAによって、刺激した。NET形成した細胞の割合を、シトックスグリーン陽性細胞の数を計数することによって決定し((b))、NET形成を、DAPIおよび抗citH3 Abの染色によって視覚化した((c))。
図7(b)では、1つの試験において3つの試料の平均値およびs.d.が示される。*P< 0.01, one-way ANOVA, PMAとの比較。
図7(c)では、原寸、×20であり、データは、2つの独立した実験の代表である。
【
図7(d)】
図7(d)~(f)では、5-ASAが、SSZ誘発性NETosisを阻害したことを示す。マウス好中球を、種々の5-ASAの存在下または非存在下、1μM PMA単独、1μM PMA+1mM SSZによって刺激した。NET形成を、シトックスグリーンを用いて((d))、または、抗citH3 Abを用いて((e),(f)))評価した。
図7(d)および(e)では、1つの試験において3つの試料の平均値およびs.d.が示される。
*P< 0.01, NS:有意差なし。one-way ANOVA。PMA+SSZの比較。
図7(f)では、原寸、×20であり、データは、2つの独立した実験の代表である。
【
図7(e)】
図7(d)~(f)では、5-ASAが、SSZ誘発性NETosisを阻害したことを示す。マウス好中球を、種々の5-ASAの存在下または非存在下、1μM PMA単独、1μM PMA+1mM SSZによって刺激した。NET形成を、シトックスグリーンを用いて((d))、または、抗citH3 Abを用いて((e),(f)))評価した。
図7(d)および(e)では、1つの試験において3つの試料の平均値およびs.d.が示される。*P< 0.01, NS:有意差なし。one-way ANOVA。PMA+SSZの比較。
図7(f)では、原寸、×20であり、データは、2つの独立した実験の代表である。
【
図7(f)】
図7(d)~(f)では、5-ASAが、SSZ誘発性NETosisを阻害したことを示す。マウス好中球を、種々の5-ASAの存在下または非存在下、1μM PMA単独、1μM PMA+1mM SSZによって刺激した。NET形成を、シトックスグリーンを用いて((d))、または、抗citH3 Abを用いて((e),(f)))評価した。
図7(d)および(e)では、1つの試験において3つの試料の平均値およびs.d.が示される。*P< 0.01, NS:有意差なし。one-way ANOVA。PMA+SSZの比較。
図7(f)では、原寸、×20であり、データは、2つの独立した実験の代表である。
【
図7(g)】
図7(g)では、マウス好中球を、種々の濃度のスルファニルアミドおよびDDSの存在下、3.5時間刺激した。NET形成した細胞の割合は、シトックスグリーンを用いて測定した。1つの試験において3つの試料の平均値およびs.d.が示される。データは、2つの独立した実験の代表である。
【
図7(h)】
図7(h)では、マウス好中球を、1mM スルファニルアミド、100μM DDSの存在下、1μM PMAによって1時間刺激した後、C11-Bodipy
581/591を添加し、脂質酸化の蓄積を分析した。データは、2つの独立した実験の代表である。
【
図8(a)】
図8(a)および(b)では、マウス好中球を、種々の濃度のSSZの存在下または非存在下、4時間インキュベートした。
図8(a)では、SSZ処理した好中球の細胞死のフローサイトメトリー分析を示す。死細胞は、7-AADおよびアネキシンVによる二重ラベリングを用いて、フローサイトメトリーによって検出した。プロットの数は、7-AADおよびアネキシンV陽性細胞の頻度を示す。
【
図8(b)】
図8(b)では、死細胞の割合を、SSZ処理の4時間後に、7-AADおよび/またはアネキシンV陽性細胞の割合の合計を用いて定量化した。1つの実験において、3つのウェルの平均値およびs.d.を示す。データは、2つの独立した実験の代表である。
【
図8(c)】
図8(c)は、マウス好中球が種々の濃度のSSZ単独で4時間処理されたときのデータを示す。細胞は、シトックスグリーンで染色された。死細胞の割合は、シトックスグリーン陽性細胞の数を、IN Cell Analyzer2000を用いて計数することによって決定した。1つの試験において3つの試料の平均値およびs.d.を示す。
【
図9】
図9は、SSZおよびエラスチンが、NIH3T3細胞における細胞死を誘発することを示す。NIH3T3細胞は、種々の濃度のSSZまたはエラスチンで処理された。細胞生存性を、Cell Counting kit-8を用い、製造元のプロトコールに従って評価した。1つの試験において3つの試料の平均値およびs.d.を示す。データは、3つの独立した実験の代表である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
本発明は、好中球細胞外トラップ形成促進剤(以下、「NET形成促進剤」とも称する。)および感染症治療用医薬組成物に関する。
【0015】
本発明の第一の態様は、NET形成促進剤であり、当該NET形成促進剤は、スルファサラジン(以下、「SSZ」とも称する。)、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(以下、「DDS」とも称する。)、スルファニルアミドおよび薬学的に許容可能なそれらの塩からなる群から選択される少なくとも1つを含むものである。本発明のNET形成促進剤は、好ましくは、スルファサラジン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、スルファニルアミドおよび薬学的に許容可能なそれらの塩からなる群から選択される1つを含む。すなわち、本発明のNET形成促進剤は、これらの化合物のうちの1つを単独で含んでもよく、また、これらの化合物のうちの複数を組み合わせて含んでもよい。
【化1】
【0016】
これらの化合物は、当該分野で既知の合成方法に従って合成したものであっても、市販のものであってもよい。
【0017】
本発明者らは、スルファサラジン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホンおよびスルファニルアミドが、好中球細胞外トラップ(NET)の形成を促進することを見出した。具体的には、本発明者らは、活性化された好中球に、これら化合物を添加することにより、添加しない活性化好中球(対象の活性化好中球)と比較して、細胞外クロマチントラップ形成を促進することを見出した。
【0018】
上記化合物は、薬学的に許容可能な塩の形態で、NET形成促進剤に含まれていてもよい。このような薬学的に許容可能な塩は、上記化合物と無毒な塩を形成する塩基とにより形成されるものである。具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
【0019】
ここで、「NET形成促進剤」の語は、好中球細胞外トラップ(NET)の形成を促進する物質を意味し、具体的には、活性化された好中球に、それを添加することにより、添加しない活性化好中球(対象の活性化好中球)と比較して、細胞外クロマチントラップを増進する物質を意味する。例えば、対象の活性化好中球に対して、NET形成を200%増進する物質を意味する。好ましくは、対象の活性化好中球に対して、NET形成を300%、より好ましくは、400%、さらに好ましくは、500%増進する物質を意味する。
【0020】
NET形成の検出は当該分野で既知の方法によって行われる。NET形成は、例えば、下記実施例に記載の方法で検出することができる。具体的には、NET形成を起こした好中球を室温で10分間、4%パラホルムアルデヒドで固定し、10%正常ヤギ血清、ウシ血清アルブミンおよび0.01%Tween 20を補充したHBSS中でブロッキングのために1時間インキュベートし、次いで、細胞をウサギ抗ヒストンH3(シトルリンR2+R8+R17)(citH3)抗体(Abcam)でインキュベートした後、Alexa Fluor 488(Thermo Fisher Scientific)と結合した抗ウサギIgG抗体でインキュベートする。そして、DNAを、DAPI(同仁堂)を用いて標識し、蛍光顕微鏡(BZ-X710)下で細胞を観察し、Image Jソフトウェアを用いてcitH3陽性細胞の数を測定することにより、NETosisを起こす細胞の頻度を定量することができる。
その他、例えば、特表2010-505099に記載の方法や、Brinkmann, V., Laube, B., Abu Abed, U., Goosmann, C., Zychlinsky, A. Neutrophil Extracellular Traps: How to Generate and Visualize Them. J. Vis. Exp. (36), e1724, doi:10.3791/1724 (2010)に記載の方法に従って、検出することもできる。
【0021】
本発明の第二の側面は、上記NET形成促進剤を含む医薬組成物に関する。
【0022】
また、本発明の第三の側面は、好中球細胞外トラップの形成を促進するための医薬組成物であって、スルファサラジン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、スルファニルアミドおよび薬学的に許容可能なそれらの塩からなる群から選択される少なくとも1つを含む、前記医薬組成物に関する。
【0023】
上記の本発明の第二の側面及び第三の側面の医薬組成物は、好ましくは、感染症治療用の医薬組成物である。
【0024】
また、本発明の第四の側面は、スルファサラジンまたは薬学的に許容可能なその塩を含む感染症治療用の医薬組成物に関する。
【0025】
以下において、本発明の第二の側面、第三の側面及び第四の側面の医薬組成物をまとめて「本発明の医薬組成物」と総称する。
【0026】
ここで、「感染症」には、細菌、真菌、寄生虫(原虫および蠕虫)、ウイルス等の病原体が宿主の体内に侵入することで引き起こされる疾患をいう。ここで、宿主としては、ヒトを含む哺乳動物の他、鳥類、爬虫類、両生類、魚類などが挙げられる。哺乳類には、例えば、ラット、マウス、ハムスター、サルおよびヒトが含まれる。
【0027】
また、感染症に関して使用される「治療」の語には、感染症を治療することに加え、感染症を抑制または軽減することを含むものとする。
【0028】
本発明の医薬組成物は、薬学上許容される添加剤、例えば、希釈剤、担体、可溶化剤、乳化剤、保存剤、補助剤、界面活性剤、崩壊剤、潤沢剤等を更に含んでもよい。本発明の医薬組成物は、上記化合物または薬学的に許容可能なそれらの塩と、先述の添加剤とを混合することによって調製することができる。
【0029】
上記医薬組成物の投与経路は、治療に最も効果的なものを使用するのが好ましく、経口投与または非経口投与であってよい。非経口投与としては、気道内投与、直腸内投与、皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与、経鼻投与、腹腔内投与等が挙げられる。
上記医薬組成物の投与形態としては、例えば、錠剤、カプセル剤、シロップ剤、散剤、顆粒剤等、当該分野で公知の投与形態が挙げられる。
【0030】
本発明によれば、感染症によって活性化好中球においてNET形成を促進し、宿主における感染防御機構を増強することができる。このことから、本発明のNTE形成促進剤および当該促進剤を含む医薬組成物は、感染症に対する新たな治療法を提供することが期待される。
【0031】
以下に実施例を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0032】
動物及びヒトドナー由来の末梢血
C57BL/6Jマウスは、CLEA JAPANより購入した。xCTmu/muマウス(C57BL/6バックグラウンド)は本発明者らの研究室で以前、作製したものである(参考文献1)。マウスを用いた実験は全て、東京薬科大学および動物実験委員会(L16-14)により承認されており、適用可能なガイドラインおよび規則に則って行われた。健康なヒトドナー由来の末梢血の使用については、ヒト倫理委員会(15-21)によって承認されている。
【0033】
試薬
用いた試薬は、以下の製造元から購入した。
Deferoxamine, ferrostatin-1, erastin, sulfasalazine (SSZ), zymosan, diphenyleneiodonium chloride (DPI), 4,4'-diaminodiphenyl sulfone (DDS) : Sigma.
Phorbol 12-myristate 13-acetate (PMA), sulfapyridine, 5-aminosalicylic acid (5-ASA), sulfanilamide:和光純薬工業株式会社、
Necrostatin-1: FOCUS Biomolecules、
2-mercaptoethanol:MP Biomedicals、
z-VAD-fmk:Peptide institute、
Trolox:東京化成工業株式会社、
GSK484:Cayman chemicals、
イオノマイシン:Merck Millipore。
【0034】
モノクローナル抗体の作製
抗ヒストンH3(シトルリンR2+R8+R17)抗体を作製するために、ウィスターラットの足蹠に、アジュバント(TiterMax Gold; TiterMax)中で乳化したヒトヒストンH3(シトルリンR2+R8+R17)(2-20:A(cit)RTKQTA(cit)RKSTGGKAP(cit)RKQ)由来のペプチドを皮下接種した。脾細胞を、PEG1500(Roche、Germany)を用いてNSObcl2骨髄腫細胞(参考文献2)と融合した。ハイブリドーマ細胞を、HAT(Sigma)および5%BM-Condimed(Roche)を含むDMEM/10%FCS中で選択した。ハイブリドーマ上清をELISAで試験し、ヒトヒストンH3(シトルリンR2+R8+R17)ペプチドを特異的に検出するが、ヒト非シトルリン化ヒストンH3ペプチドは検出しないモノクローナル抗体を得た(11-11B-4F)。IgG画分をプロテインGアフィニティーカラム(GE Healthcare)を用いて精製し、PBSへの緩衝液交換を、PD-10カラム(GE Healthcare)を用いて行った。抗体は、EZ-Link Sulfo-NHS-LC-LC-Biotin(Thermo Fisher Scientific)を使用して製造元の推奨に従ってビオチン化した。なお、上記ハイブリドーマ株は独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(NPMD)(住所:千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室)に11-11B-4Fの名称で2017年7月20日付けで寄託され、受領番号NITE ABP-02515が付与されている。
【0035】
マウスおよびヒトの好中球の単離
マウス好中球を得るため、骨髄細胞をC57BL/6J WT、変異マウスの大腿骨および脛骨から単離した。骨髄細胞をFcブロッカー(2.4G2; Biolegend)でインキュベートし、ビオチン化抗Ly-6G(RB6-8C5; Biolegend)抗体で染色した。次にそれらを抗ビオチン-マイクロビーズ(Miltenyi Biotech)でインキュベートした。Ly-6Ghigh細胞を、磁気ソーティングを用いて濃縮した。単離された好中球の純度は、フローサイトメトリー(FACSverse; BD)を用いて評価した場合に95%以上であった。
ヒト好中球を得るために、ヘパリンを用いて健康な成人ボランティアから末梢血を採取した。赤血球を、HetaSep(商標)(STEMCELL Technologies)沈降法を用いて製造元のプロトコールに従って除去した。次いで、細胞をRPMI 1640培地で2回洗浄し、さらに75%、65%、および55%の密度を有する層からなる不連続なPercoll PLUS(GE-へルスケア)勾配上で分画した。混合物を120xgで10分間遠心分離した後、65%の層と75%の層との界面を集め、RPMI 1640培地で2回洗浄した。すべての手順は室温で行った。この調製物は、フローサイトメトリー分析により95%を超えるCD15+ CD16+シグレック-8-好中球を含有していた。トリパンブルー排除アッセイによれば、細胞生存率は>98%であった。
【0036】
細胞および細胞培養
NIH3T3線維芽細胞を、10%ウシ胎児血清(GIBCO)および1%ペニシリン-ストレプトマイシンを添加したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM、WAKO)中、37度、5%CO2、95%湿度で維持した。
【0037】
インビトロ細胞死アッセイ
単離された好中球におけるSSZ誘発性アポトーシスおよびネクローシスを検出するために、1.4×104個のマウス好中球をSSZによりインキュベートした。4時間又は12時間後、細胞をFITC-アネキシンVおよび7-AAD(Biolegend)で染色した。次いで、BD FACSverseを用いてフローサイトメトリー分析を行った。
単離されたマウスまたはヒト好中球のNETosisを評価するために、4×105個の好中球を35mmのポリ-L-リシン被覆ガラス底皿(MATSUNAMI)に播種し、PMAおよび/またはSSZで、2または3時間刺激した。次いで、sytox green(0.5μM、Thermo Fisher Scientific)および/またはHoechest 33342(1μg/ ml、Thermo Fisher Scientific)を細胞に添加した。30分後、IN Cell Analyzer 2000(GE Healthcare)またはImage-J ソフトウェア(NIH)を使用して、シトックスグリーン陽性細胞の数を計数することにより、NETosisの頻度を測定し、蛍光顕微鏡(BZ-X710、Keyence)を用いて形態素解析を行った。
マウス好中球におけるヒストンH3のシトルリン化を検出するために、4×105細胞を35mmポリ-L-リシン被覆ガラス底皿(MATSUNAMI)に播種し、PMA、イオノマイシンおよび/またはSSZで4時間刺激した。次いで、細胞を室温で10分間、4%パラホルムアルデヒドで固定し、10%正常ヤギ血清(Sigma)、ウシ血清アルブミン(Sigma)および0.01%Tween 20を補充したHBSS中でブロッキングのために1時間インキュベートした。次いで、細胞をウサギ抗ヒストンH3(シトルリンR2+R8+R17)(citH3)抗体(Abcam)でインキュベートし、次にAlexa Fluor 488(Thermo Fisher Scientific)と結合した抗ウサギIgG抗体でインキュベートした。DNAを、DAPI(同仁堂)を用いて標識した。本発明者らは、蛍光顕微鏡(BZ-X710)下で細胞を観察し、Image Jソフトウェアを用いてcitH3陽性細胞の数を測定することにより、NETosisを起こす細胞の頻度を定量した。
ヒト好中球におけるヒストンH3シトルリン化の量を検出するために、4×105個の細胞を35mmポリ-L-リシン被覆ガラス底皿(MATSUNAMI)に播種し、PMAで2.5時間刺激した。細胞を固定し、ブロックし、次いでビオチニル化抗citH3 Ab(11-11B-4F)、次いでCy3(Jackson lab)と結合したストレプトアビジンによりインキュベートした。上述のようにして、NETosisを受けている細胞の頻度を定量した。
NIH3T3細胞の生存率を評価するために、フェロプトーシスインヒビター(例えば、デフェロキサミンまたはフェロスタチン-1)、ネクロトーシスインヒビター(ネクロスタチン-1)またはアポトーシスインヒビター(z)の存在下でtBHP、エラスチンまたはSSZでインキュベートした(z-VAD-fmk)。12時間後、製造元の方法に従ってCell Counting kit-8(DOJINDO)を用いて細胞生存率を測定した。
【0038】
インビボでの好中球細胞死の検出
末梢血または腹腔内の好中球の数を決定するために、マウスに16mgSSZおよび/または1mgのザイモサンを腹腔内注射した。4時間または24時間後、末梢血細胞または腹腔細胞を採取し、Pharm Lyse(BD Biosciences)を用いて赤血球溶解を行い、白血球を得た。
PE結合抗Ly6C、PE-Cy7結合抗CD45.2、APC-Cy7結合抗Ly6G抗体および7-AADで白血球を染色した。CD45.2+Ly-6C-Ly-6G+好中球の絶対数および死細胞(7-AAD+細胞)のパーセンテージは、血球計算器を用いて顕微鏡で関連細胞を計数することにより、および、BD FACSverse上でフローサイトメトリーを用いて細胞数を分析することによって決定した。マウス足蹠の好中球におけるヒストンH3のシトルリン化を検出するために、マウスに、トロロックスとともに、また、トロロックスなしでSSZを皮下注射した。48時間後、足蹠を切除し、OCT化合物(Sakura)に包埋し、冷却ヘキサン中で凍結させた。薄片を、Kawamotoのフィルム法(参考文献3)(Leica)を使用して作製した。5μm厚さの凍結切片を調製し、これを風乾し、100%エタノールおよび4%パラホルムアルデヒドで固定した。次いで、Alexa Fluor 488(Thermo fisher)と結合した抗ウサギIgG抗体を用いて、まずAlexa647結合抗Ly6Gで、および、ウサギ抗citH3抗体(Abcam)で切片を染色した。DNAはDAPIを用いて標識化し、経口顕微鏡下で細胞を観察した。
【0039】
細胞内ROS発生および脂質酸化の検出
細胞内でのROSの発生を検出するため、1.4x104個のマウス好中球を、Hank’s平衡塩溶液中(HBSS(+))、37℃で15分間、10μM DCFH-DA(Invitrogen)の存在下、インキュベートし、SSZの存在下または非存在下、37℃でPMAまたはイオノマイシンを用いて刺激した。BD FACSverseを用いて、フローサイトメトリー分析を行った。
脂質酸化を検出するため、1.4x104個のマウス好中球を、丸底の96ウェルプレートに播種し、SSZまたはサルファ剤の存在下、PMAまたはイオノマイシンで刺激した。60分後、2μMのC11-Bodipy581/591(Thermo Fisher Scientific)を、30分間、細胞に添加した。BD FACSverseを用いて、フローサイトメトリー分析を行った。
【0040】
定量RT-PCT
製造元の指示に従って、RNeasy Miniキット(QIAGEN)を用いて全RNAを好中球から抽出した。相補的DNAは、ReverTra Ace qPCRマスターキット(TOYOBO)を用いて合成した。相補的DNAに対して、qPCRを、THUNDERBIRD SYBR qPCR Mix(TOYOBO)を用いて行った。反応は、リアルタイムPCRシステム(StepOne Plus、Applied Biosystems)を用いて行った。発現レベルは、18sリボソームRNAに対して標準化され、別段の記載がない限り、ナイーブ対照に対してもfold inductionとして表示される。
xCT(SLC7a11)には、以下のPCRプライマー:
xCT-F:5'AGAGCATCACCATCGTCAGA3'
xCT-R:5'GATTCATGTCCACAAGCACAC3'
を用いた。
18sリボソームRNAには、以下のプライマー:
18sリボソームRNA-F:5'CGGACAGGATTGACAGATTG3'
18sリボソームRNA-R:5'CAAATCGCTCCACCAACTAA3'
を用いた。
【0041】
統計的解析
対になった、および対になっていない両側スチューデントt検定およびマンホイットニーU検定を用いて2つの群を比較した。ワンウェイおよびツーウェイANOVAを使用して複数の群を比較した。全ての統計分析は、Graph Pad Prism 7ソフトウェアを用いて行った。
【0042】
<NETosisによる活性化された好中球の細胞死の促進>
活性化されたマウス好中球におけるNET増強活性に関し、いくつかの細胞死関連化合物をスクリーニングした。マウス骨髄好中球は、NETosisおよびNET形成にPMA(5μM以上)を必要とし、一方、低用量のPMA(1μM)はNET形成を誘導せずに好中球を活性化した(
図2a)。
SSZは、1μMのPMAで活性化された好中球において、用量依存的に細胞死を促進した。一方、マウス好中球を1mM SSZ単独で4時間処理した場合には、細胞死を起こさなかった。好中球におけるSSZの24時間処理はアポトーシスを誘導することが報告されている(参考文献4)。なお、短時間処理した場合、未処理のマウス好中球に対するSSZの殺細胞効果はないことを示していた(
図8a~c)。
形態学的分析からは、PMA及びSSZで処理した死んだ好中球が、染色体DNAを細胞外空間に放出すること(これはNETの特異的特徴である)が示された(
図2b)。
NETosisは、ヒストンH3のシトルリン化を伴う(参考文献5)。抗シトルリン化ヒストンH3抗体を用いて免疫組織化学分析を行ったところ、低用量のPMA単独およびSSZ単独ではシトルリン化を誘導しなかったが、SSZおよび低用量のPMAの処置はヒストンH3シトルリン化を受けた死亡好中球の数を増加させた(
図2c、d)。シトルリン化は、観察された細胞死がNETosisに起因することを確認するPAD4阻害剤であるGSK484を添加することによって阻害された(
図2e)。
また、NETosisの別の誘導因子であるイオノマイシンを用いて活性化された好中球に対するSSZの効果を評価した。抗シトルリン化ヒストンH3抗体による免疫組織化学分析によって、イオノマイシンが用量依存的にNETosisを誘発し(
図2f、左)、SSZが、低用量(5μg)のイオノマイシンの存在下でインキュベートした好中球においてNETosisを増強したことが示された(
図2f、右および
図2g)。以上より、SSZがマウス好中球におけるNETosisを加速させることを確認した。
次にSSZのヒト好中球に対する影響を検討した。ヒト好中球は、マウス好中球に比べてPMAに対してより敏感に反応した。例えば、3.2nMという低用量のPMAは単独で、ヒト好中球においてNETosisを誘導した(
図2h、左)。一方で、好中球を0.8nMのPMAで前処理した場合、SSZは用量依存的にNETosisを増強した(
図2h、右、
図2iおよび
図2j)。
これらの結果から、SSZがマウスおよびヒト活性化好中球におけるNETosisを増強することが示された。
【0043】
<NETosisを介したインビボでの好中球の細胞死誘発>
次に、インビボでの好中球の細胞死にSSZが与える影響を調べた。
SSZは、腹腔内投与でナイーブマウスに注入した場合、血液中の好中球の数は減少しなかった。このことは、SSZが生理的環境下で好中球に対して殺細胞作用を示さないことを示唆する(
図3a)。
続いて、活性化した好中球に対するSSZの影響を調べた。
マウスにザイモザンを腹腔投与した直後に、SSZを投与するか、または、SSZを投与しなかった。
図3bに示すとおり、ザイモザンのみの投与の4時間後には、相当数の免疫細胞、特に好中球が、腹腔内に蓄積した。一方、SSZと共に投与した場合には、好中球の数は劇的に減少した。さらに、ザイモザンとSSZとを両方投与したマウスでは、湿潤細胞内における7-AAD陽性の死細胞の割合が劇的に高かった。ザイモザンとSSZを投与したマウスにおいて、腹腔の好中球の一部は、抗シトルリン化ヒストンH3抗体に免疫反応を示した。このことは、好中球はインビボでNETosisを起こしていることを示す(
図3d)。これらのデータは、SSZがインビボで好中球の細胞死および増進したNET形成を引き起こしていることを示唆する。
【0044】
<活性化好中球におけるROS産生>
以下で説明するとおり、SSZは活性化した好中球においてROS産生を増進しないことが示された。
PMA誘発性のNETosisには反応性酸素種(ROS)産生が必要とされる(参考文献6)。SSZによってNETosisが加速されるメカニズムを探るため、SSZが好中球におけるROS産生に影響を与えるかどうかを調べた。
まず、NADHオキシダーゼ阻害剤であるジフェニレンヨードニウム(DPI)のNETosisに対する影響を評価した。
図4aおよびbに示すとおり、DPIは、高用量のPMAまたは低用量PMAとSSZとの組み合わせによって誘発されたNETosisを阻害した。これらの結果は、観察されたSSZ誘発性のNETosis加速に、NADHオキシダーゼ誘発性のROS産生が必要であることを示す。さらに、この結果は、SSZが好中球においてROS産生を増進し得ることを示唆する。
続いて、DCFH-DAを使用して産生されたROSの量を測定した。PMAは、用量依存的にROS産生を刺激した(
図4c、d)。しかしながら、予想に反して、SSZは、低用量のPMAを投与した好中球ではROS産生を増進せず、むしろ、1mM SSZは、活性化好中球においてROS産生を減少させた(
図4c、d)。これらの結果は、SSZ誘発性のNETosisの加速には、NADHオキシダーゼの活性化が必要であること、また、SSZは、活性化好中球における産生ROSの量を増加させないことを示している。
更に、イオノマイシン処理された好中球におけるROS産生に与えるSSZの影響を調べ、SSZはこれらの条件ではROS産生を増進せず、むしろ低減することを見出した(
図4e、f)。
【0045】
<加速された脂質酸化とSSZ誘発性NETosisとの関係>
次いで、活性化された好中球におけるSSZ関連応答に対するSSZの効果を評価した。その結果、SSZが好中球内で脂質酸化を加速したことを見出した。
脂質酸化は、C11-Bodipy
581/591染料を用いて測定した。当該染料は、酸化されると赤色から緑色への蛍光シフトを示す。
図5aおよびbに示すとおり、PMAは用量依存的に脂質酸化を増加させる。低用量(1μM)のPMAは、酸化されたC11-Bodipyの若干の増加を誘発し、SSZは、低用量のPMAで事前に処理された好中球において脂質酸化を劇的に加速した(
図5a,b)。
また、SSZが低用量(5μM)のイノマイシンで処理された活性化好中球においても脂質酸化を増加させることを見出した(
図5c、d)。SSZによるこの脂質過酸化は、2-MEによっては阻害されなかったが、ビタミンEの類似体であるトロロックスによって阻害れた。トロロックスは、脂質酸化に対する抗酸化物質として機能する(
図5e,f)。これらの結果と整合して、2-MEではなく、トロロックスが、効果的かつ用量依存的に、低用量PMAおよびSSZ誘発性のNETosisを抑制した(
図5f、g)。
次に、インビボでのSSZ誘発性のNETosisに対するトロロックスの阻害効果を測定した。皮下注射の場合、SSZは、局所で炎症性反応およびLy-6G+好中球集積を引き起こした(
図5i)。集積した好中球の一部は、抗シトルリン化ヒストンH3抗体に対して免疫反応性であった(
図5i)。このことは、これらがNETosisを受けていたことを示す。この急性の炎症は、これらのマウスの足蹠の一時的な膨張をもたらした(
図5j)。しかしながら、トロロックスとSSZの共投与は、好中球の集積には影響を与えなかったが、シトルリン化ヒストンH3陽性好中球の数を相当数減少させた(
図5i)。結果的に、トロロックス注入は、これらのマウスの足蹠の膨張を有意に改善した(
図5j)。
最後に、ヒト好中球におけるNETosisに対するトロロックスの影響を評価した。マウス好中球において観察された結果と同様に、トロロックスは、ほぼ完全に、低用量PMAおよびSSZ誘発性のNETosisを阻害した(
図5k、l、m)。
これらの結果は、SSZが、脂質酸化が加速することによって、活性化好中球におけるNETosisが増進したことを示す。
【0046】
<SSZのNETosis増強メカニズム>
以下で説明するとおり、SSZは、フェロトーシスとは異なるメカニズムでNETosisを増強することが示された。
SSZは、がん細胞において、xCTの機能を阻害することによって、フェロトーシスを誘導することが報告されている(参考文献7および参考文献8)。xCTは、種々の細胞に発現し、シスチンを細胞内に輸送することによって細胞内グルタチオンレベルの維持に重要な役割を果たしている。従って、xCTを阻害することで、グルタチオンを細胞で枯渇させるが、これによって、酸化ストレスに応答して細胞の脆弱性が増す。事実、xCT転写物の発現レベルは、インビボでPMA(
図6a)またはインビボでザイモザン(
図6b)により刺激された好中球で増加した。
これらの結果に従って、SSZ誘発性NETosisの加速にxCTが関与するか否かについて調べた。これらの実験において、まず、xCTの阻害により作用するフェロトーシスの別の誘発物質であるエラスチンのNETosisに対する効果を調べた。
図9に示すとおり、1μM未満のエラスチンは、NIH3T3細胞において細胞死を誘発することができる一方で、12時間で細胞のすべてを死滅させるのには200μMのSSZが必要であった。このことは、エラスチンがNIH3T3細胞における非常に強力なフェロトーシスの誘発物質であることを示す。しかしながら、エラスチンは、低用量のPMAで処理されたマウス好中球ではNETosisを加速することができなかった(
図6c、d)。
次いで、xCT変異マウス(参考文献1)から得られたxCT欠損好中球に対するSSZの効果を分析した。これらのマウスでは、N-エチル-N-ニトロソ尿素(ENU)により、xCT遺伝子において機能喪失型変異をもたらした。これらのマウスから得られた胎児線維芽細胞および骨髄由来マクロファージは、2-MEなしではインビトロでは、生存も増殖もしなかった。
これらのマウスから調製された好中球において、sytox greenを用いて、PMA単独でNETosisを評価した。その結果、WTとxCT変異好中球とでは、PMA単独で誘発されたNETosisの効率において差がないことが示された(
図6e)。
さらに、活性化されたxCT変異好中球は、WTからのものに比較して、この刺激に若干耐性があるが、SSZは活性化されたxCT変異好中球においてNETosisを加速した(
図6e)。
また、抗citH3 Abを用いてPMA+SSZによってNETosisを評価し、SSZが、活性化されたxCT変異好中球と、WTマウスから得られたものとにおいて、同程度NETosisを加速することを見出した(
図6f)。xCTは、活性化した好中球におけるSSZによるNETosisの加速には影響しないため、これらの結果は明らかに、xCTがSSZの標的ではないことを示している。
酸化した脂質の発生は、別の細胞死様式であるフェロトーシスにも関与しており、このことは、ある細胞死シグナリングメカニズムが、SSZ誘発性のNETosisおよびフェロトーシスの間で共有されている可能性を示唆する。
そこで、いくつかの細胞死阻害剤の、細胞死の各タイプに対する影響を比較することによって、フェロトーシスに関与するメカニズムとSSZ誘発性のNETosisに関与するメカニズムとの違いを検証した。NIH3T3細胞において、エラスチンまたはSSZ誘発性フェロトーシスは、デフェロキサミンまたはフェロスタチン-1によって効果的に阻害され、その一方、ネクロスタチン-1やz-VADは、フェロトーシスの阻害効果がなかった(
図6g)。デフェロキサミンおよびフェロスタチン-1もまた、NIH3T3細胞におけるtert-ブチルヒドロペルオキシダーゼ(tBHP)誘発性フェロトーシス様細胞死を阻害した。一方、デフェロキサミンは、PMA+SSZ誘発性のNETosisを阻害しなかった(
図6h)。高用量(2.5μM)のフェロスタチン-1だけが部分的にmPMA+SSZによるNETosisを阻害したが、NIH3T3細胞におけるフェロトーシスの場合と比較して、効果的ではなかった(
図6h)。
総合すると、これらのデータは、脂質酸化が、SSZ誘発性NETosisおよびフェロトーシスの細胞死シグナルに関与する一方、これらの2つの細胞死の経路における酸化脂質の生成やその役割は異なる可能性を示している。
【0047】
<NET誘発性化合物間での構造-活性相関>
結腸における細菌性アゾレダクターゼによって、SSZが、5-アミノサリチル酸(5-ASA)およびスルファピリジンに変換されることが広く報告されている(参考文献9)(
図7a)。5-ASAは、SSZの抗炎症活性に寄与し、スルファピリジンは、副作用の一部の原因になりうると考えられている(参考文献10)。そのため、これらのSSZ代謝物のNETosisに対する効果を調べた。
図7bおよびcに示すとおり、効果はSSZと比較して非常に弱いが、スルファピリジンは、PMA誘発性NETosisを増強する。これに対し、5-ASAはNETosisを誘発しない。さらに興味使いことに、5-ASAは、PMAおよびSSZ誘発性のNETosisを、用量依存的に阻害した(
図7d,eおよびf)。これらの結果は、経口投与された場合に、SSZ誘発性顆粒球減少症の発生が非常に低いままであることの理由を支持する可能性がある。
【0048】
SSZの構造-活性相関をさらに明らかにするために、スルファニルアミドおよび4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(DDS)のNETosis増強活性について試験した。スルファニルアミドおよびDDSはNETosis増強活性を有することを見出した(
図7g)DDSは、スルファニルアミドよりも一桁低い用量で同様のNETosis増強活性を示した(
図7g)。NETosis誘発性化合物はまた、NETosis増強活性のレベルに従って、PMA処理された好中球における脂質酸化を加速した(
図7h)。これらの結果は、スルファニルアミドおよびDDSが、SSZと同じ様式でNETosisを誘発するという見解を支持するものである。
【0049】
<考察>
発明者らは、SSZにより、活性化好中球におけるリン脂質酸化が加速され、その結果、NETosisが増強されることを示した。これらの知見は、昨今のフェロトーシスの研究と併せて、特定のタイプの細胞死の実行あるいは制御因子としての酸化リン脂質の役割にヒントを与えるものである。フェロトーシスの場合、グルタミン酸や、Xc-シスチントランスポータシステムを阻害する他の低分子が、GSH枯渇を生じさせ、細胞の抗酸化能力を喪失させ、ROSに応答した細胞の脆弱性をもたらすことが報告されている(参考文献11)。酸化脂質の減少に関与するユニークな細胞酵素であるGPX4を阻害する低分子もまた、フェロトーシスを誘発し、このことは、脂質酸化が、この種の細胞死に重要な役割を果たしていることを示す。本発明者らは、当初、SSZは、xCTの機能を阻害することによって脂質過酸化を増加させると考えていた。というのも、これが、フェロトーシスの基礎であると考えられているメカニズムであるためである。しかしながら、SSZは、酸化脂質の蓄積を促進し、その結果、xCT非依存的にNETosisを誘発すると結論付けた。さらに、本発明者らのデータは、フェロトーシス阻害剤が、SSZ誘発性NETosisに影響を与えないことを示した。この知見は、SSZ誘発性NETosisが、フェロトーシスに関与する細胞死のプロセスと区別されるという考えを支持するものである。ただし、両者の細胞死のタイプは共に、脂質酸化に関与する。この時点で、脂質酸化を誘発するのにSSZが標的とする分子や、NETosisの次の誘発は知られていない。一つの可能性は、SSZが、この分子の、酸化リン脂質を低減する能力を阻害することである。代わりに、SSZは、脂質酸化に関与する未確認の分子を積極的に調節する可能性もある。いずれの場合においても、SSZの標的分子を特定することによって、NETosisおよびNET形成の調節の基礎となる分子パラダイムの特性決定を促進することが予測される。
結論として、本発明者らは、SSZが、脂質酸化を加速することによって、NETosisが増進されることを示した。SSZおよびその関連化合物の構造と活性との関係は、脂質酸化を加速することによる可能性のあるNET誘発活性を有する化合物の開発を可能にするであろう。リン脂質の過酸化は、NET形成を加速する重要なメカニズムである。これらの知見は、NET調節化合物の開発の理解を拡大するものである。
【0050】
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