(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】パネル固定具
(51)【国際特許分類】
E04D 13/00 20060101AFI20240304BHJP
E04D 13/18 20180101ALI20240304BHJP
H02S 20/23 20140101ALI20240304BHJP
F16B 2/06 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
E04D13/00 K ETD
E04D13/18
H02S20/23 B
F16B2/06 A
(21)【出願番号】P 2020012959
(22)【出願日】2020-01-29
【審査請求日】2023-01-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 株式会社マルナカは、中島一夫が発明したパネル固定具を、令和1年11月21日及び令和1年12月6日に株式会社ウエストビギンに販売した。
(73)【特許権者】
【識別番号】000247971
【氏名又は名称】株式会社マルナカ
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【氏名又は名称】小林 正英
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【氏名又は名称】小林 正治
(72)【発明者】
【氏名】中島 一夫
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-156764(JP,A)
【文献】特開2014-163079(JP,A)
【文献】特開2008-131548(JP,A)
【文献】特開2017-106320(JP,A)
【文献】特開2014-098275(JP,A)
【文献】特開2017-155515(JP,A)
【文献】米国特許第08740163(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 1/00- 3/40
E04D 13/00-15/07
H02S 20/00-20/32
F16B 2/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハゼ部を備えた屋根材に、パネル材を固定するのに用いるパネル固定具において、
第一挟持片を有する第一挟持体と
、第二挟持片を有する第二挟持体を備え、
前記第一挟持体には係止孔が設けられ、
前記第二挟持体には差込み係止片が設けられ、
第一挟持体と第二挟持体は、前記係止孔に前記差込み係止片が差し込まれて、第一挟持片と第二挟持片が対向するよう配置された状態で連結具により連結されており、連結具の締め付けを緩めると開閉可能であり、開いた第一挟持体の第一挟持片と第二挟持体の第二挟持片で前記ハゼ部を挟んでから連結具を締め付けると両挟持体が閉じて両挟持片でハゼ部を挟着保持することができ、連結具の締め付けを緩めると前記挟着保持が解除され、
前記第一挟持片と第二挟持片の双方又はいずれか一方
であって、前記ハゼ部
を挟着保持する部分に、第一挟持片と第二挟持片の双方又はいずれか一方よりも摩擦抵抗の大きな滑り止め部が設けら
れ、
前記滑り止め部は弾性変形可能な材質製である、
ことを特徴とするパネル固定具。
【請求項2】
請求項1記載のパネル固定具において、
第一挟持体は、第一ベース部と、当該第一ベース部から下向きに設けられた第一支持部を備えた側面視略L字状であり、第一挟持片が第一支持部の下部から第一ベース部と同方向に突出しており、第一ベース部に係止孔が開口されており、
第二挟持体は、第二ベース部と、当該第二ベース部から下向きに設けられた第二支持部を備えた側面視略L字状であり、第二挟持片が第二支持部の下部から第二ベース部と同方向に突出しており、第二支持部から上方に差込み係止片が突出しており、
第一挟持体と第二挟持体は、前記第一ベース部と前記第二ベース部が上下に重ねられ、重ねられた状態で前記係止孔に前記差込み係止片が差し込まれて、第一挟持片と第二挟持片が対向するように配置され、この配置状態で連結具により連結されている、
ことを特徴とするパネル固定具。
【請求項3】
請求
項2記載のパネル固定具において、
上下に重ねた第一ベース部と第二ベース部のうち、上のベース部の上に、パネルを設置できる突起プレートがあり、
突起プレートは、重ねた第一ベース部と第二ベース部を連結する連結具により、上のベース部の上に固定することができ、
突起プレートの上にパネル保持具があり、
突起プレートとパネル保持具の間にパネル材を配置でき、
前記連結具を締め付けると、パネル保持具が突起プレート側に引き寄せられて、パネル材が突起プレートとパネル保持具の間に挟着保持される、
ことを特徴とするパネル固定具。
【請求項4】
請求
項3記載のパネル固定具において、
突起プレートは食い込み歯を備えており、食い込み歯は、連結具を締め付けてパネル保持具を突起プレート側に引き寄せて、パネル材を突起プレート側に引き寄せると、パネル材のフレームに食い込んでパネルの位置ずれを防止できる、
ことを特徴とするパネル固定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光パネルをはじめとするパネル材を屋根材に固定するのに用いるパネル固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽光パネルを屋根材に固定するのに用いる固定具として、対向する挟持体で屋根材のハゼ部を挟持して固定する構造のものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、太陽光パネルを設置する屋根材の構造は様々であり、
図7(a)のようにハゼ部R1の間に空間が設けられた構造のもののほか、
図7(b)のようにハゼ部R1の間に空間が設けられていない構造のものなどがある。
【0005】
図7(a)のような屋根材の場合、ハゼ部R1を挟持体で押し潰すことでパネル固定具を屋根材に強固に固定することができる。一方、
図7(b)のような屋根材の場合はハゼ部R1を押し潰せる量が限られており、積雪などによって固定具に荷重がかかった際に位置ずれしやすいという難点がある。
【0006】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その解決課題はハゼ部の形状に関わらず、従来のパネル固定具よりも位置ずれしにくいパネル固定具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のパネル固定具は、ハゼ部を備えた屋根材にパネル材を固定するのに用いるものであって、第一挟持片を有する第一挟持体と第二挟持片を有する第二挟持体を備え、前記第一挟持片と第二挟持片の双方又はいずれか一方のハゼ部に当接する部分に、第一挟持片と第二挟持片の双方又はいずれか一方よりも摩擦抵抗の大きな滑り止め部が設けられたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のパネル固定具は、ハゼ部に当接する部分に挟持片よりも摩擦抵抗の大きな滑り止め部が設けられているため、ハゼ部の形状に関わらず、滑り止め部のない従来の固定具よりも位置ずれが生じにくい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明のパネル固定具の使用状態の一例を示す斜視図。
【
図4】
図2に示すパネル固定具の異なる角度の分解斜視図。
【
図5】(a)は抜け止め片のない平板状の差込み係止片の断面図、(b)は内向きに折り返された抜け止め片を備えた差込み係止片の一例を示す断面図、(c)は外向きに折り返された抜け止め片を備えた差込み係止片の一例を示す断面図、(d)は抜け止め用部材を備えた差込み係止片の一例を示す断面図。
【
図6】(a)は二枚保持タイプのパネル保持具の一例を示す斜視図、(b)は一枚保持タイプのパネル保持具の一例を示す斜視図。
【
図7】(a)は屋根材の一例を示す正面図、(b)は屋根材の他例を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態)
本発明のパネル固定具1の実施形態の一例を、図面を参照して説明する。本発明のパネル固定具1は、
図1に示すように、屋根材Rに固定して使用するものである。屋根材Rには種々のものがあるが、ここでは、ハゼ式折板屋根にアルミ製のフレームFを備えた太陽光パネルPを固定する場合を一例とする。
【0011】
一例として
図2~
図4に示すパネル固定具1は、屋根材Rのハゼ部R1を挟持する二つの挟持体(第一挟持体10及び第二挟持体20)と、第一挟持体10及び第二挟持体20を連結する連結具30と、太陽光パネルPを押えるパネル保持具40と、パネル保持具40を固定する止め具50を備えている。この実施形態では、連結具30としてボルト30aとナット30bを用いている。
【0012】
この実施形態の第一挟持体10は、平面視長方形状のベース部(第一ベース部)11と、第一ベース部11の幅狭方向一方側から下向きに設けられた支持部(第一支持部)12を備えている。第一ベース部11のうち第一支持部12が設けられた辺には、斜め上向きに立ち上がる突設部13が設けられている。突設部13は、アースとして機能する部分である。突設部13を太陽光パネルPのフレームFに接触させておくことで、漏電が生じた際に、突設部13から屋根材Rを通じて電気を大地に逃がすことができる。
【0013】
第一ベース部11には、前記第二挟持体20との連結に用いるボルト30aを挿通するための貫通孔(第一貫通孔)11aと、第二挟持体20の一部(後述する差込み係止片23)が差し込まれる係止孔11bが設けられている。第一貫通孔11a及び係止孔11bは、第一ベース部11の長手方向中央付近に設けられている。この実施形態の第一貫通孔11aは第一ベース部11の幅狭方向に長い長孔、係止孔11bは第一ベース部11の長手方向に長い方形孔である。
【0014】
第一ベース部11の上面には薄板状の突起プレート14が設けられている。
図3及び
図4に示すように、この実施形態の突起プレート14は平面視長方形状であり、幅狭方向の一部が外側に突き出している。突起プレート14のうち、第一貫通孔11aと係止孔11bに対応する位置には、第一貫通孔11aと同様の貫通孔(プレート貫通孔)14a及び係止孔11bと同様の係止孔(プレート係止孔)14bが設けられている。
【0015】
この実施形態の突起プレート14には、プレート貫通孔14a及びプレート係止孔14bの外側に太陽光パネルPのフレームFに食い込む食い込み歯14cが上向きに突設されている。この実施形態では、プレート貫通孔14a及びプレート係止孔14bの両外側に四つずつ(合計八つ)設けられている。食い込み歯14cはそれぞれ四つより多くても少なくてもよい。
【0016】
食い込み歯14cを設けることで、太陽光パネルPの固定時にそのフレームFに食い込み歯14cが食い込み、太陽光パネルPの不用意な位置ずれを防止することができる。突起プレート14は必要に応じて設ければよく、不要な場合には省略することができる。
【0017】
第一支持部12の下端側には二本の支持脚(第一支持脚)15が設けられている。この実施形態の第一支持脚15は、第一支持部12の下端から90度程度の角度で外向きに突設された当接支持部(第一当接支持部)15aを備えている。第一当接支持部15aは屋根材Rの表面に面接触するようにしてある。第一当接支持部15aを設けることで、パネル固定具1が安定しやすく、屋根材Rへの取り付けが容易になる。
【0018】
図示は省略しているが、第一当接支持部15aの屋根材Rと当接する側の面には、必要に応じて樹脂材やゴム材といった滑り止め部材を設けることもできる。
【0019】
第一支持部12の下端側のうち、二本の第一支持脚15の間には挟持片(第一挟持片)16が設けられている。この実施形態の挟持片は、第一支持部12の下端から90度程度の角度で内向きに突設されている。
【0020】
図2~
図4に示すように、第一挟持片16の先端には滑り止め部(第一滑り止め部)16aが設けられている。第一滑り止め部16aは、樹脂材やゴム材であって第一挟持体10よりも摩擦抵抗の大きな材質(例えば、ポリ塩化ビニルや合成ゴム、天然ゴムなど)で構成することができる。
【0021】
第一滑り止め部16aとして樹脂材やゴム材を用いる場合、例えば、樹脂材やゴム材で構成された別体のパーツを第一挟持片16の先端に装着したり、第一挟持片16の先端に液体樹脂や液体ゴム材をコーティングするなどして形成することができる。また、第一挟持片16の先端に滑り止めテープなどを貼付するなどによって形成することもできる。
【0022】
第一滑り止め部16aはハゼ部R1に押圧した際に弾性変形するものが好ましい。また、第一滑り止め部16aはハゼ部R1に押圧した際に破損しない程度の強度と厚みを備えていることが好ましい。
【0023】
この実施形態では、第一挟持体10の強度を向上させるため、第一挟持体10の第一ベース部11や第一支持部12、第一支持脚15、第一挟持片16にリブ(第一リブ)17を設けている。また、この実施形態では、第一ベース部11の裏面と第一支持部12の内面の間に補強材18が設けられている。
【0024】
第一挟持体10に第一リブ17や補強材18を設けることによって第一挟持体10自体の変形を防止し、第一挟持体10の変形に伴う太陽光パネルPの不用意な位置ずれを防止することができる。第一挟持体10の変形を防止するため、材料自体の厚さを厚くすることもできる。なお、第一リブ17や補強材18は必要に応じて設ければよく、不要な場合には省略することができる。
【0025】
前記第二挟持体20は、第一挟持体10と協働して屋根材Rのハゼ部R1を挟持する部材である。この実施形態の第二挟持体20は、第一ベース部11の下側に配置されるベース部(第二ベース部)21と、第二ベース部21の幅狭方向一方側から下向きに設けられた支持部(第二支持部)22を備えている。
【0026】
第二ベース部21と第二支持部22の間の角部には、第一挟持片16の係止孔11bに差し込まれる差込み係止片23が上向きに突設されている。
図3及び
図4に示すように、この実施形態の差込み係止片23は平板状であり、その上部に二本の抜け止め片23aが突設されている。抜け止め片23aは、差込み係止孔23が係止孔11bから不用意に抜けるのを防止するものである。抜け止め片23aは係止孔11bに差し込んだ後、外向きに折り曲げて係止孔11bの周縁にかかるようにしてある。
【0027】
差込み係止片23の形状はこれ以外であってもよい。例えば、
図5(a)に示すような抜け止め片23aのない平板状や、
図5(b)(c)に示すような、平板の上端部が内向き又は外向きに折り返された抜け止め片23aを備えた形状とすることもできる。
【0028】
第二挟持体20の抜け止めという観点では、
図5(d)に示すように、平板状の差込み係止片23の前面と背面の双方又はいずれか一方に、別体の抜け止め用部材23bを貼付することもできる。抜け止め用部材23bには、例えば、樹脂製やゴム製、金属製のプレート(板材)を用いることができる。
【0029】
第二ベース部21にはボルト30aを挿通するための貫通孔(第二貫通孔)21aが設けられている。この実施形態では、ボルト30aのねじ軸が第二ベース部21の下側から第二貫通孔21aに挿通され、そのボルト30aの頭部が第二ベース部21の裏面に溶接により固定されている。
【0030】
第二支持部22の下端側には二本の支持脚(第二支持脚)25が設けられている。この実施形態では、二本の第二支持脚25が二本の第一支持脚15の内側に位置するようにしてある。この実施形態の第二支持脚25は、第二支持部22の下端から90度程度の角度で外向きに突設された当接支持部(第二当接支持部)25aを備えている。第二当接支持部25aは屋根材Rの表面に面接触するようにしてある。第二当接支持部25aを設けることで、パネル固定具1が安定しやすく、屋根材Rへの取り付けが容易になる。
【0031】
図示は省略しているが、第一当接支持部15aと同様、第二当接支持部25aの屋根材Rと当接する側の面には、必要に応じて樹脂材やゴム材といった滑り止め部材を設けることもできる。
【0032】
第二支持部22の下端側のうち、二本の第二支持脚25の間には挟持片(第二挟持片)26が設けられている。この実施形態の第二挟持片26は、第二支持部22の下端から90度程度の角度で内向きに突設されている。第二挟持片26の先端には滑り止め部(第二滑り止め部)26aが設けられている。
【0033】
第二滑り止め部26aは、樹脂材やゴム材など、第二挟持体20よりも摩擦抵抗の大きな材質(例えば、ポリ塩化ビニルやシリコン、合成ゴム、天然ゴムなど)で構成することができる。樹脂材やゴム材を用いる場合、例えば、樹脂材やゴム材で構成された別体のパーツを第二挟持片26の先端に装着したり、第二挟持片26の先端に液体樹脂や液体ゴム材をコーティングするなどして形成することができる。また、第二挟持片26の先端に滑り止めテープを貼付するなどして形成することもできる。
【0034】
この実施形態では、第二挟持体20の強度を向上させるため、第二挟持体20の第二ベース部21や第二支持部22、第二支持脚25、第二挟持片26にリブ(第二リブ)27を設けている。第二挟持体20に第二リブ27を設けることによって第二挟持体20自体の変形を防止し、第二挟持体20の変形に伴う太陽光パネルPの不用意な位置ずれを防止することができる。第二リブ27は必要に応じて設ければよく、不要な場合には省略することができる。図示は省略しているが、第二挟持体20の変形を防止するため、材料自体の厚さを厚くすることもできる。
【0035】
この実施形態の第一挟持体10と第二挟持体20とは、前記連結具30で連結されている。具体的には、ボルト30aのねじ軸が第一貫通孔11aを通過するとともに、差込み係止片23が係止孔11bに差し込まれるように、第一挟持体10の第一ベース部11を第二挟持体20の第二ベース部21の外側に重ねた状態で、第一貫通孔11aを通過したネジ部にナット30bを締結することで、第一挟持体10と第二挟持体20とが連結されている。ナット30bの内側には、必要に応じて一又は二以上のワッシャ31を介在させることもできる。
【0036】
連結された第一挟持体10と第二挟持体20は、係止孔11bに差し込まれた差込み係止片23を支点として、互いに離間又は近接する方向(開閉方向)に移動(回転)させることができる。この実施形態のように、係止孔11bに差込み係止片23を差し込むような構造とした場合、第一挟持片16と第二挟持片26の双方又はいずれか一方を開閉方向以外に上下方向にも移動させられるため、パネル固定具1をハゼ部R1に設置する際に、その位置合わせが行いやすく、取り付けを短時間で行うことができる。
【0037】
前記パネル保持具40は、太陽光パネルPを保持する部材である。パネル保持具40には、
図6(a)に示すような二枚の太陽光パネルP間に配置される二枚保持タイプと、
図6(b)に示すような太陽光パネルPの端に配置される一枚保持タイプがある。
【0038】
一例として
図6(a)に示すパネル保持具40は二枚保持タイプの保持具であり、上向きコ字状の保持具ベース40aと保持具ベース40aのそれぞれの上端から90度程度の角度で外向きに突設されたパネル保持部40bを備えている。保持具ベース40aの底面にはボルト30aのねじ軸を挿通可能な保持具貫通孔40cが設けられている。
【0039】
二枚保持タイプのパネル保持具40は、前記ねじ軸に止め具50を締結することによって、第一ベース部11とパネル保持部40bの間に配置される太陽光パネルPが保持されるようにしてある。この実施形態では、止め具50として、本件出願人が先に開発した座金付きナットなどを用いている。
【0040】
ここでいう座金付きナットとは、ナット頭部の裏面側に突設した軸部に座金が装着されたものであって、装着された座金が抜け落ちないように軸部の端部が外向きに加締められたものである。座金付きナットには種々のバリエーションがあるが、例えば、ナット頭部の裏面に頭部突起が、座金の表面に頭部突起と係合する座金表面突起が、座金の裏面に食い込み突起が設けられたものを用いることができる。
【0041】
なお、本実施形態で説明した止め具50は一例であり、止め具50には、前記座金付きナットとは異なる構造の座金付きナットを用いることも、座金付きナット以外のナットを用いることもできる。
【0042】
一例として
図6(b)に示すパネル保持具40は一枚保持タイプの保持具であり、平板状の保持具ベース40aと、保持具ベース40aの一端側から上向きに突設された下向きL字状のパネル保持部40bと、保持具ベース40aの他端側から下向きに突設された下受け部40dを備えている。保持具ベース40aの底面にはボルト30aのねじ軸を挿通可能な保持具貫通孔40cが設けられている。
【0043】
二枚保持タイプのパネル保持具40と同様、一枚保持タイプのパネル保持具40も、前記ねじ軸に止め具50を締結することによって、第一ベース部11とパネル保持部40bの間に配置される太陽光パネルPが保持されるようにしてある。
【0044】
前記実施形態では、第一挟持体10、第二挟持体20及びパネル保持具40をSPCC(冷間圧延鋼板)製としているが、第一挟持体10、第二挟持体20及びパネル保持具40はSPCC以外の材質で製造することもできる。
【0045】
(その他の実施形態)
前記実施形態では、第一挟持片16と第二挟持片26の双方に滑り止め部(第一滑り止め部16a及び第二滑り止め部26a)を設ける場合を一例としているが、滑り止め部は第一挟持片16と第二挟持片26のいずれか一方にのみ設けることもできる。
【0046】
前記実施形態では、第一滑り止め部16a及び第二滑り止め部26aが弾性変形する材質製の場合を一例としているが、第一滑り止め部16a及び第二滑り止め部26aはいずれか一方のみを弾性変形する材質製とすることもできる。
【0047】
前記実施形態では、第一挟持体10及び第二挟持体20のそれぞれに、一枚ずつ挟持片(第一挟持片16a及び第二挟持片26a)が設けられた場合を一例としているが、挟持片は、第一挟持体10及び第二挟持体20のそれぞれに二枚以上設けることもできる。この場合、滑り止め部はすべての挟持片の先端に設けることも、任意の挟持片のみに設けることもできる。
【0048】
前記実施形態では、アルミ製のフレームFを備えた太陽光パネルPを固定する場合を一例としているが、本発明のパネル固定具1は、フレームFのない太陽光パネルPや太陽光パネルP以外の他のパネルPの固定に用いることもできる。
【0049】
前記実施形態では、二本の第二支持脚25が二本の第一支持脚15の内側に位置する場合を一例としているが、これとは反対に二本の第一支持脚15が二本の第二支持脚25の内側に位置するような構成とすることもできる。
【0050】
(使用例)
この実施形態のパネル固定具1の使用例を、ハゼ式折板屋根材に太陽光パネルPを固定する場合を一例とする。
(1)屋根材Rのハゼ部R1を挟んで一方に第一挟持体10が、他方に第二挟持体20が位置するようにパネル固定具1を配置する。このとき、第一挟持体10の第一当接支持部15a及び第二挟持体20の第二当接支持部25aを屋根材Rの表面に面接触させるとことで、パネル固定具1が安定しやすくなる。
(2)連結具30のナット30bを締め付け、第一挟持体10の第一挟持片16と第二挟持体20の第二挟持片26とでハゼ部R1を挟持する。このとき、第一挟持片16の先端に設けられた第一滑り止め部16a及び第二挟持片26の先端に設けられた第二滑り止め部26aによってハゼ部R1が保持される。
(3)複数のパネル固定具1について前記(1)(2)の工程を行った後、それら複数のパネル固定具1の第一ベース部11上に固定する太陽光パネルPを載置する。
(4)太陽光パネルPを載置した後、ねじ軸が第一貫通孔11aを通過するようにパネル保持具40をセットし、太陽光パネルPの上側にパネル保持具40を宛がう。
(5)前記ねじ軸に止め具50を締結して、パネル保持具40で太陽光パネルPを保持する。このとき、止め具50を締結することによって、太陽光パネルPのフレームFに食い込み歯14cが食い込み、太陽光パネルPが第一ベース部11とパネル保持部40bの間に保持される。
(6)以降、各パネル固定具1について前記(4)(5)を繰り返し、複数のパネル固定具1によって、太陽光パネルPを所定位置に固定する。
【0051】
前記使用例では、二枚保持タイプのパネル保持具40を用いる場合を一例としているが、一枚保持タイプのパネル保持具40を用いる場合も、同様の手順で使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明のパネル固定具1は、屋根材R、特に、金属製のハゼ式折板屋根に太陽光パネルPを固定するための道具として産業上の利用可能性が認められる。
【符号の説明】
【0053】
1 パネル固定具
10 挟持体(第一挟持体)
11 ベース部(第一ベース部)
11a 貫通孔(第一貫通孔)
11b 係止孔
12 支持部(第一支持部)
13 突設部
14 突起プレート
14a 貫通孔(プレート貫通孔)
14b 係止孔(プレート係止孔)
14c 食い込み歯
15 支持脚(第一支持脚)
15a 当接支持部(第一当接支持部)
16 挟持片(第一挟持片)
16a 滑り止め部(第一滑り止め部)
17 リブ(第一リブ)
18 補強材
20 挟持体(第二挟持体)
21 ベース部(第二ベース部)
21a 貫通孔(第二貫通孔)
22 支持部(第二支持部)
23 差込み係止片
23a 抜け止め片
23b 抜け止め用部材
25 支持脚(第二支持脚)
25a 当接支持部(第二当接支持部)
26 挟持片(第二挟持片)
26a 滑り止め部(第二滑り止め部)
27 リブ(第二リブ)
30 連結具
30a ボルト
30b ナット
31 ワッシャ
40 パネル保持具
40a 保持具ベース
40b パネル保持部
40c 保持具貫通孔
40d 下受け部
50 止め具
F フレーム
P パネル(太陽光パネル)
R 屋根材
R1 ハゼ部