(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】崩壊試験バスケット及び崩壊検出装置
(51)【国際特許分類】
G01N 33/15 20060101AFI20240304BHJP
【FI】
G01N33/15 A
(21)【出願番号】P 2020178461
(22)【出願日】2020-10-23
【審査請求日】2023-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】592253390
【氏名又は名称】富山産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤本 昇
【審査官】西浦 昌哉
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-540973(JP,A)
【文献】特開昭51-096387(JP,A)
【文献】特開昭48-100192(JP,A)
【文献】国際公開第98/057144(WO,A1)
【文献】特表2010-530542(JP,A)
【文献】国際公開第2008/157584(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/15
G01N 15/00-15/1492
A61K 9/00-9/72
A61K 47/00-47/69
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形製剤を保持した状態で試験液に浸される崩壊試験バスケットであって、
底網及び上下方向に延びる筒壁を有し、前記固形製剤を内部に保持可能な筒と、
前記筒内の第1領域が検出範囲である第1光センサと、
前記第1領域よりも上方または下方の第2領域が検出範囲である第2光センサと、
を備える、崩壊試験バスケット。
【請求項2】
前記第1領域は、前記底網の上端を基点とした高さが0mm以上且つ15mm以下の範囲内に設定され、
前記第2領域は、前記底網の上端を基点とした高さが6mm以上且つ15mm以下の範囲内、または、前記底網の下端よりも低い位置に設定される、請求項1に記載の崩壊試験バスケット。
【請求項3】
前記第1光センサは、反射型光センサである、請求項1又は2に記載の崩壊試験バスケット。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の崩壊試験バスケットと、
前記第1光センサの検出結果と前記第2光センサの検出結果とに基づいて、前記固形製剤の崩壊終了時点を判定する判定部と、を備える、崩壊検出装置。
【請求項5】
前記崩壊試験バスケットは、所定振幅で上下動を繰り返し、
前記第1光センサは、前記崩壊試験バスケットが前記所定振幅の下端に到達した第1時点から、前記崩壊試験バスケットが前記所定振幅の上端に到達する第2時点までの期間の少なくともいずれかの時点で検出する、請求項4に記載の崩壊検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固形製剤の崩壊試験に用いられる崩壊試験バスケット及び崩壊検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
錠剤やカプセル剤等の固形製剤は、経口投与されると、胃や腸などの消化管内でばらばらに崩壊することで表面積が拡大し、その後の溶出及び溶解が加速される。日本薬局方に規定される崩壊試験法は、規定条件で規定時間内に錠剤等の固形製剤が崩壊するかどうかを評価する試験である。具体的には、固形製剤を保持する筒部を有するバスケットを試験液に浸し、バスケットを上下動させる崩壊試験装置が用いられる。近年は、崩壊試験装置は、医薬品だけでなく、サプリメント等の健康食品においても用いられる場合がある。
【0003】
崩壊試験において、試験開始後から規定時間経過する前に検査員が試験装置の前で待機し、規定時間が経過した時点でバスケットを試験液から引き上げ、固形製剤が完全に崩壊したか否かを検査員が目視で確認する。このような人手に頼る方法では、検査員の時間コスト及び検査員による判断結果のバラツキが問題となる。
【0004】
特許文献1には、固形製剤の崩壊を自動で検出するための装置が開示されている。この装置は、筒内において筒底の上にある固形製剤を検出する透過型光センサが設けられている。筒底のいずれの位置に固形製剤があったとしても固形製剤の有無を検出可能にするため、検出範囲が横並びになるように、透過型光センサが複数設けられているようである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、固形製剤が試験液内で崩壊すると、試験液に濁りが生じる場合がある。特許文献1のように光センサを用いた場合、固形製剤が完全に崩壊しているが、試験液の濁りによって固形製剤が崩壊していないと誤判定するおそれが考えられる。この問題についての言及がなく、当然に、この問題を解決する手段が開示も示唆もされていない。
【0007】
本開示は、固形製剤の崩壊時点の検出精度を向上させた、崩壊試験用バスケット及び崩壊検出装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の崩壊試験用バスケットは、固形製剤を保持した状態で試験液に浸される崩壊試験バスケットであって、底網及び上下方向に延びる筒壁を有し、前記固形製剤を内部に保持可能な筒と、前記筒内の第1領域が検出範囲である第1光センサと、前記第1領域よりも上方または下方の第2領域が検出範囲である第2光センサと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態の崩壊試験バスケット及び崩壊検出装置が適用された崩壊試験装置を示す模式的な側面図。
【
図2】崩壊試験装置の懸吊部及び吊り下げられた崩壊試験バスケットを示す斜視図。
【
図3】最下位置及び最上位置にある崩壊試験バスケットを示す一部破断側面図。
【
図7】第1光センサ及び第2光センサの出力変化を示す図。
【
図8】崩壊試験バスケットの上下動位置におけるセンサの検出タイミングを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の第1実施形態の崩壊試験バスケット2及び崩壊検出装置について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
[崩壊試験装置1]
図1及び
図2に示すように、崩壊試験バスケット2は、崩壊試験装置1を用いた固形製剤(製剤、カプセル剤など)の崩壊試験に用いられる。崩壊試験装置1は、崩壊試験バスケット2をつるすための懸吊部10と、懸吊部10を上下動させる非図示のアクチュエータと、崩壊試験バスケット2が浸される試験液を貯留するビーカー11と、を有する。ビーカー11は、上向き姿勢で装置筐体12に設けられ、試験液の投入量を指示する液面レベル11aが付されている。液面レベル11aは、崩壊試験バスケット2をビーカー11に入れていない状態での試験液の液面を示す。懸吊部10は、フックを有し、崩壊試験バスケット2をフックに引っ掛けることで、懸吊部10が崩壊試験バスケット2を保持する。装置筐体12におけるビーカー11の側方には、窓13が形成されており、側方から窓13を介してビーカー11内の試験液及び崩壊試験バスケット2が保持する固形製剤を視認可能に構成されている。
【0012】
[崩壊試験バスケット2]
図3に示すように、崩壊試験バスケット2は、固形製剤S1を保持した状態で試験液S2に浸される。
図3では模式的に、試験液S2の液面S22を示している。崩壊試験バスケット2は、薬局方に適合している。薬局方に適合するとは、具体的に、「平成28年3月7日 厚生労働省告示第64号 第十七改正日本薬局方6.製剤試験法 6.09 崩壊試験法 1.装置」の規定に合致していることを意味する。
図2~5に示すように、崩壊試験バスケット2は、筒20と、第1光センサ21と、第2光センサ22と、を有する。筒20は、底網20a及び上下方向VDに延びる筒壁20bを有する有底筒である。底網20aは、ステンレス網である。筒壁20bは、透明なガラス管である。
図2に示すように、崩壊試験バスケット2は、複数の筒20(第1実施形態では6つ)を有し、複数の筒20が平面視(上下方向VDに平行な視線)で環状に配置されている。具体的には、各々の筒20の中心が同心円上にある。
図3及び
図5に示すように、固形製剤S1は、自重で沈下した場合、崩壊試験バスケット2が引き上げ過程にある場合、または、補助盤3で押さえられている場合に、底網20aに上に載置された状態となる。補助盤3は、透明なプラスチック製であり、上記薬局方に適合している。
【0013】
崩壊試験バスケット2は、
図2及び
図5に示すように、筒20に対応する開口を有するプラスチック製の上板2a及び下板2bが底網20a及び筒壁20bを挟み、複数の支柱2cを介して上板2a及び下板2bをボルトなどの締結具で締結することで組み立てられている。上板2aの中央部には、崩壊試験バスケット2を吊り下げるための支持棒2dが設けられている。支持棒2dの先端は、崩壊試験装置1の懸吊部10に引っ掛けることが可能である。
【0014】
第1光センサ21は、センサの向きで定まる検出範囲に向けて光を発光する発光部(非図示)及び発光部から照射された光を受光する受光部(非図示)を有する。
図5に模式的に示すように、第1光センサ21の検出範囲は、筒20内の第1領域Ar1に設定されている。第1光センサ21は、固形製剤S1の崩壊時点を検出するために、各々の筒20それぞれに対応して設けられる。第1実施形態では、6つの筒20があるため、6つの第1光センサ21が設けられる。
【0015】
第1領域Ar1は、底網20aに載置される固形製剤S1が含まれる領域であるとしてもよい。これにより、第1光センサ21は、固形製剤S1の有無及び崩壊試験バスケット2が浸される試験液S2の濁度を検出する。特に限定されないが、第1領域Ar1は、底網20aの上端を基点とした高さが0mm以上且つ15mm以下の範囲内に設定される、としてもよい。上記15mmを超えると、試験液外の領域となる場合があり、好ましいとは言えない。これにより、錠剤またはカプセル剤等の固形製剤の規定サイズを考慮して、的確な崩壊時点の検出が可能となる。
【0016】
第1実施形態では、第1光センサ21は、発光部及び受光部が一体にモジュール化された反射型光センサ(近赤外線フォトリフレクタ)を用いているが、発光部及び受光部が別々の場所に配置される透過型光センサを用いてもよい。第1光センサ21が反射型光センサであれば、透過型光センサに比べて、センサ配置スペースを低減できる。また、各々のセンサの配線をまとめることで、配線スペースを低減できる場合がある。
【0017】
特に限定されないが、第1実施形態では、複数の第1光センサ21を集約して配線スペースの低減及び水密構造部を簡素化するために、
図4に示すように、第1光センサ21は、複数の筒20に囲まれる領域Ar3のみに配置されている。これにより、複数の第1光センサ21の配線L1をまとめて配置できる。また、
図5に示すように、第1光センサ21等の電子機器を試験液から退避させるための密閉構造部24をセンサ毎に個別に設けなくてもよく、1つの密閉構造部24の中に複数のセンサを配置できるので、密閉構造部24及びセンサの配置に必要な占有スペースを低減可能となる。密閉構造部24は、下板2bから起立する透明な筒側壁24aと、筒側壁24aの上端部を閉塞する蓋部24bと、密閉構造部24の内部空間SP1と支持棒2dの内部空間SP2とを接続する連結筒部24cと、を有する。センサの配線L1は、密閉構造部24の内部空間SP1から連結筒部24cの内部及び支持棒2dの内部空間SP2を通って、崩壊試験バスケット2の外部に導出され、崩壊検出装置4のコントローラ40に接続される(
図1参照)。
【0018】
図5に模式的に示すように、第2光センサ22は、センサの向きで定まる検出範囲に向けて光を発光する発光部(非図示)及び発光部から照射された光を受光する受光部(非図示)を有する。第2光センサ22の検出範囲は、第1領域Ar1よりも上方の筒20内の第2領域Ar2に設定されている。第2光センサ22は、第1光センサ21の検出結果に含まれる試験液の濁度を考慮するために、設けられる。そのため、第2光センサ22は少なくとも1つあればよい。
なお、第1実施形態の第2光センサ22は、第1光センサ21と同様に、反射型光センサである。勿論、第1光センサ21と同様にスペースの問題を考慮しない場合には、透過型光センサを採用してもよい。
【0019】
第2領域Ar2は、底網20aに載置される固形製剤S1が含まれない領域であるとしてもよい。これにより、第2光センサ22は、試験液S2の濁度を検出し、固形製剤S1の有無を検出しない。特に限定されないが、第2領域Ar2は、底網20aの上端を基点とした高さが6mm以上且つ15mm以下の範囲内に設定される、としてもよい。上記6mm未満であれば、固形製剤S1を検出してしまうおそれがあり、上記15mmを超えると、試験液外の領域となる場合があり、好ましいとは言えない。これにより、錠剤またはカプセル剤等の固形製剤の規定サイズを考慮して、第2光センサ22で固形製剤を検出せず且つ試験液の濁度を的確に検出できる。
【0020】
第2光センサ22の検出結果と第1光センサ21の検出結果との差が、固形製剤S1の有無だけになるのが好ましい。そのために、第1光センサ21及び第2光センサ22に受光される光が透過する部材を同じにしている。すなわち、
図5に示すように、第1光センサ21は、筒20内の第1領域Ar1から筒壁20b及び筒側壁24aを通過した光を受光する。これに対応して、第2光センサ22は、筒20内の第1領域Ar1から筒壁20b及び筒側壁24aを通過した光を受光するようにしている。
【0021】
また、第1光センサ21と第2光センサ22の検出環境を同じにするために、第2光センサ22を第1光センサ21の近傍に配置している。ここでいう「近傍」は、1mm~10mm以内の範囲である。
図5に示す実施形態では、第1光センサ21及び第1光センサ21を制御する基板25を挟んで配置しているが、これに限定されない。
【0022】
図4及び
図5に示すように補助盤3を用いる場合には、第1光センサ21及び第2光センサ22の検出範囲に補助盤3が入ることがあるが、補助盤3は透明であるために、センサが照射した光が反射して受光部に戻ることが少なく、検出精度に影響を与えない。
【0023】
[崩壊検出装置4]
崩壊検出装置4は、
図6に示すように、第1光センサ21及び第2光センサ22を有する崩壊試験バスケット2と、コントローラ40と、を有する。コントローラ40は、各種センサ(第1光センサ21、第2光センサ22を含む)からの信号を入力するためのインターフェイス41と、第1光センサ21の検出結果と第2光センサ22の検出結果とに基づいて、固形製剤S1の崩壊終了時点を判定する判定部42と、を有する。
【0024】
図7は、第1光センサ21及び第2光センサ22の受光レベルを縦軸として、時間経過を横軸に示す図である。
図7に示すように、固形製剤S1が崩壊を開始すると、固形製剤S1が小さくなるので、固形製剤S1に反射して第1光センサ21で受光される光量が減る。固形製剤S1が完全に崩壊すれば、第1光センサ21が受光する光が0又は微量になるはずであるが、実際はそうならない。それは、同図に示すように、固形製剤S1が崩壊を開始すると、試験液S2に固形製剤S1が広がり、試験液S2の濁度が増大する。試験液S2の濁度は、固形製剤S1の種類や数によって画一的に定義できないため、第1光センサ21だけでは、崩壊終了時点を精度よく同定することが難しい。そこで、試験液の濁度を検出する第2光センサ22を設け、第1光センサ21の検出値に含まれる試験液の濁度を補償することで、崩壊終了時点の判定精度を飛躍的に向上させている。同図に示すように、判定部42は、第1光センサ21の検出値と第2光センサ22の検出値とが一致する時点が崩壊終了時点であると判定するが、これに限定されない。例えば、第1光センサ21の検出値が、第2光センサ22の検出値を基点とする所定範囲内に入った時点が崩壊終了時点であると判定するようにしてもよい。
【0025】
図8は、崩壊試験バスケット2の軌跡を時間経過と共に示す図である。崩壊試験バスケット2は、
図1,
図3及び
図8に示すように、崩壊試験バスケット2は、所定振幅A1で上下動を繰り返している。それゆえ、場合によって固形製剤S1が底網20aから離れて試験液内で瞬間的に浮遊することが生じ得る。第1光センサ21の検出タイミングは、
図5に示すように、固形製剤S1が底網20aに接触している状態であることが好ましい。そこで、
図8に示すように、第1光センサ21は、崩壊試験バスケット2が所定振幅A1の下端P1に到達した第1時点t1から、崩壊試験バスケット2が所定振幅A1の上端P2に到達する第2時点t2までの期間(tm1)の少なくともいずれかの時点で検出する、としてもよい。これにより、第1時点t1から第2時点t2までの期間(tm1)は、固形製剤S1に底網20aに向かう力が作用する。
更に好ましくは、上記期間(tm1)における上端P2から所定振幅A1×1.8の範囲に崩壊試験バスケット2がある期間のいずれかの時点で検出する、としてもよい。更に好ましくは、上記期間(tm1)における上端P2から所定振幅A1×1.0の範囲に崩壊試験バスケット2がある期間のいずれかの時点で検出する、としてもよい。これらの期間は、固形製剤S1に底網20aに向かう力が作用した後であり、固形製剤S1が底網20aに接触している可能性が高いからである。
【0026】
第1光センサ21及び第2光センサ22の検出タイミングは、一回の振幅に対して一度だけよりも、複数回検出して、統計処理を施すことが好ましい。統計処理としては、異常値の除去、移動平均などが挙げられる。
【0027】
崩壊試験バスケット2の位置を特定するために、
図1及び
図6に示すように、崩壊試験バスケット2の相対的な高さを検出する第3センサ45を設けている。第1実施形態の第3センサ45は、崩壊試験装置1の装置筐体12との距離を計測して、崩壊試験バスケット2の崩壊試験装置1に対する相対的な高さを検出するが、これに限定されない。
【0028】
図6に示すように、記憶部43を設けてもよい。記憶部43は、第1光センサ21の検出結果および第2光センサ22の検出結果を逐次保存してもよいし、判定部42が判定した各筒20の崩壊終了時点を保存してもよい。
【0029】
図6に示すように、ディスプレイ44を設けてもよい。ディスプレイ44は、自動的にまたはユーザの操作に応じて、各筒(1~6)の崩壊終了時点を表示する報告画面を表示するように構成されていてもよい。
【0030】
固形製剤S1の崩壊終了時点を検出する方法として、特許文献1の透過型光センサ以外では、次の2つの方式(磁力方式、導通方式)が考えらえる。磁力方式は、補助盤3に磁石を設け、磁力によって補助盤の位置を検出するようにし、固形製剤S1が完全崩壊した時点の補助盤3の位置を検知して崩壊終了時点を検知する方式である。導通方式は、補助盤3の底に電極を設け、固形製剤S1が完全崩壊した時点で電極が底網20aに接触して導通することを利用し、崩壊終了時点を検知する方式である。
これらの方式に対して、本開示の第1光センサ21及び第2光センサ22を用いる方式では、補助盤3を用いずに崩壊終了時点を検出可能となる。
【0031】
<変形例>
(1)第1実施形態のように、第1光センサ21は、底網20aにある固形製剤S1を検出するのが好ましい。しかし、第1実施形態に比べて精度が落ちるが、筒内で浮いている状態の固形製剤S1を検出してもよい。
【0032】
(2)第1実施形態では、第2領域Ar2は、筒20内に設定されている。これに対して、第2領域Ar2は、第1領域Ar1よりも上方の筒20外に設定してもよい。一方、第2領域Ar2を、第1領域Ar1よりも下方に設定してもよい。この場合、第2領域Ar2が筒外でも筒内でもよい。第2領域Ar2は、底網20aの下端よりも低い位置に設定される、としてもよい。これにより、試験液の濁度が検出できればよいからである。
【0033】
(3)第1実施形態では、第3センサ45を設けて、崩壊試験バスケット2の位置を計測しているが、これに限定されない。例えば、所定振幅A1及び崩壊試験バスケット2の速度は定まっているため、試験開始時点を基点としてコントローラ40の内部クロックに基づいて検出する、としてもよい。
【0034】
以上のように、特に限定されないが、上記実施形態のように、崩壊試験バスケット2は、固形製剤S1を保持した状態で試験液S2に浸される崩壊試験バスケット2であって、底網20a及び上下方向VDに延びる筒壁20bを有し、固形製剤S1を内部に保持可能な筒20と、筒20内の第1領域Ar1が検出範囲である第1光センサ21と、第1領域Ar1よりも上方または下方の第2領域Ar2が検出範囲である第2光センサ22と、を備える、としてもよい。
このように、第1光センサ21が第1領域Ar1を検出することで筒20内にある固形製剤S1の有無を検出でき、第2光センサ22が第1領域Ar1よりも上方または下方の第2領域Ar2を検出することで固形製剤S1を外して試験液S2の濁度を検出可能となる。よって、試験液S2の濁度を考慮して崩壊終了時点を判定可能にする崩壊試験バスケット2を提供可能となり、検出精度を向上させることが可能となる。
【0035】
特に限定されないが、上記実施形態のように、第1領域Ar1は、底網20aの上端を基点とした高さが0mm以上且つ15mm以下の範囲内に設定され、第2領域Ar2は、底網20aの上端を基点とした高さが6mm以上且つ15mm以下の範囲内、または、底網20aの下端よりも低い位置に設定される、としてもよい。
この構成によれば、発光器及び受光器をそれぞれ別の場所に置かなくてはいけない透過型光センサに比べて、センサ配置スペース及びセンサの配線スペースを減らすことができる。
【0036】
特に限定されないが、上記実施形態のように、第1光センサ21は、反射型光センサである、としてもよい。これにより、透過型光センサに比べて、センサ配置スペースを低減できる。また、各々のセンサの配線をまとめることで、配線スペースを低減できる場合がある。
【0037】
特に限定されないが、上記実施形態のように、第1光センサ21は、反射型光センサであり、筒20は、環状に複数配置され、第1光センサ21は、複数の筒20に囲まれる領域Ar3のみに配置されている、としてもよい。これにより、複数の光センサの配線L1をまとめることができ、簡素な構成にできる。
【0038】
特に限定されないが、上記実施形態のように、崩壊検出装置4は、上記崩壊試験バスケット2と、第1光センサ21の検出結果と第2光センサ22の検出結果とに基づいて、固形製剤S1の崩壊終了時点を判定する判定部42と、を備える、としてもよい。
このように、筒20内の検出範囲が異なる2つセンサ(第1光センサ21,第2光センサ22)を用いるので、固形製剤の崩壊時点の検出精度を向上させることが可能となる。
【0039】
特に限定されないが、上記実施形態の崩壊検出装置4のように、崩壊試験バスケット2は、所定振幅A1で上下動を繰り返し、第1光センサ21は、崩壊試験バスケット2が所定振幅A1の下端P1に到達した第1時点t1から、崩壊試験バスケット2が所定振幅A1の上端P2に到達する第2時点t2までの期間(tm1)の少なくともいずれかの時点で検出する、としてもよい。
第1時点t1から第2時点t2までの期間(tm1)は、固形製剤S1に底網20aに向かう力が作用するので、固形製剤S1の有無を検出する精度を向上させることが可能となる。
【0040】
特に限定されないが、上記実施形態のように、崩壊検出装置4は、崩壊試験バスケット2の相対的な高さを検出する第3センサ45を備える、としてもよい。
このように、第3センサ45が崩壊試験バスケット2の相対的な高さを検出するので、第1光センサ21及び第2光センサ22の検出タイミングを、崩壊試験バスケット2の相対的な高さに応じた適切なタイミングで実行可能となる。これにより、試験液S2を貯留するビーカー等の貯留部及び貯留部に対してバスケットを上下動させる駆動機構を備える既存の崩壊試験装置1から、崩壊試験バスケット2の位置を示す信号を取得する必要がなくなる。よって、既存の崩壊試験装置1に対して、本開示の崩壊試験バスケット2及び崩壊検出装置4を後付け可能となり、崩壊終了時点を自動判定可能になるので、人的コストの低減可能となり、判断のバラツキを抑制可能となる。
【0041】
以上、本開示の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0042】
上記の各実施形態で採用している構造を他の任意の実施形態に採用することは可能である。各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0043】
2 崩壊試験バスケット
20 筒
20a 底網
20b 筒壁
21 第1光センサ
22 第2光センサ
4 崩壊検出装置
42 判定部
Ar1 第1領域
Ar2 第2領域
S1 固形製剤
S2 試験液