(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】流体供給システム、流体制御装置、及び半導体製造装置
(51)【国際特許分類】
F17D 1/04 20060101AFI20240304BHJP
F16L 41/03 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
F17D1/04
F16L41/03
(21)【出願番号】P 2020553053
(86)(22)【出願日】2019-10-03
(86)【国際出願番号】 JP2019039160
(87)【国際公開番号】W WO2020085033
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-09-12
(31)【優先権主張番号】P 2018201751
(32)【優先日】2018-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗城 春彦
(72)【発明者】
【氏名】中川 一
(72)【発明者】
【氏名】相川 献治
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-174427(JP,A)
【文献】特開2015-050859(JP,A)
【文献】特開2016-194318(JP,A)
【文献】特開2016-205408(JP,A)
【文献】特開2015-138338(JP,A)
【文献】特開2016-191405(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0224078(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17D 1/04
F16L 41/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体制御機器及び継手が直列に配管で接続された流体ラインを並列に複数配列した流体供給システムであって、
前記各流体ラインは、これらの配列方向を含む平面で見たとき、前記配列方向と実質的に直交する延設方向に直線状に延設され、
前記各流体制御機器は、前記配管が接続される接続面を同一方向に向けて前記配列方向に並んで配置され、
前記配管の直径は、前記接続面の前記配列方向における面幅以下であり、前記継手の直径は、前記面幅以上であり、
前記配列方向に隣り合う前記各配管は、前記継手が前記延設方向に互いにずれた位置に位置付けられ
、
前記配列方向と前記延設方向との双方と実質的に直交する交差方向を規定したとき、
前記配列方向に隣り合う前記各配管の少なくとも何れか一方は、前記継手を前記交差方向に向けて互いにずれた位置に位置付ける屈曲部を有する、流体供給システム。
【請求項2】
前記継手は、
第1継手部材と、
前記第1継手部材に螺合される第2継手部材と、
前記第1継手部材に対する前記第2継手部材の螺合に際して回転トルクが付与されるトルク付与部と
を有し、
前記配列方向と前記延設方向との双方と実質的に直交する交差方向を規定したとき、
前記配列方向に隣り合う前記各配管は、前記継手の少なくとも前記トルク付与部が前記延設方向と前記交差方向との双方に互いにずれた位置に位置付けられる、請求項
1に記載の流体供給システム。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載の流体供給システムを筐体に収容してなる、流体制御装置。
【請求項4】
請求項
3に記載の流体制御装置を備える半導体製造装置であって、
前記流体制御装置から延設された前記配管が接続され、前記流体制御装置から供給される流体を処理するチャンバと、
前記流体制御装置と前記チャンバとの間の前記配管に設けられ、前記流体制御
装置から前記チャンバに供給される流体の流量を制御する開閉バルブと
を備える、半導体製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体供給システム、流体制御装置、及び半導体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、流体制御機器及び継手が直列に配管で接続された流体ラインが並列に複数配置された流体供給システムを開示している。このような流体供給システムは、複数の流体制御機器を集積化して配置することにより構成され、この流体供給システムを筐体に収容した流体制御装置(ガスボックス)の小型化を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高度に集積化された小型の流体制御装置を実現するためには、流体ラインの配列方向における流体制御機器の面幅を小さく(例えば従来の1/3程度)し、これらの並列方向における配置のピッチ幅を小さくして密に集積する必要がある。しかし、継手は、スパナ等の工具で回動して締結するトルク付与部の強度を確保するために、ある程度の肉厚を要し、小さくするには限度がある。従って、密に集積された配管構造においては、継手の締結作業を行うための施工スペースを確保しなければならず、流体供給システム及び流体制御装置のさらなる小型化を阻んでいた。
【0005】
また、例えば半導体製造プロセスにおいては、ガスボックスを経由した処理ガス(流体)は、処理を行うためのチャンバに供給される。原子層堆積法(ALD:Atomic Layer Deposition 法)により半導体基板に膜を堆積させる処理プロセスにおいては、チャンバに微小流量の処理ガスを迅速に且つ高精度に供給しなければならない。つまり、ALD法の処理プロセスのより一層の応答性及び制御性向上を図ることが求められている。
【0006】
このように、流体供給システムの配管構造における施工スペースを確保しながら、流体供給システムのより一層の小型化を図り、さらに当該システムを備える流体制御装置のより一層の小型化を図り、さらに当該装置を備える半導体製造装置においてALD法の処理プロセスのより一層の応答性向上及び制御性向上を実現するには、依然として課題が残されていた。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、配管構造における施工スペースを確保しつつ、より一層小型化した流体供給システム、より一層小型化した流体制御装置、ALD法の処理プロセスのより一層の応答性及び制御性向上を実現した半導体製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下の態様として実現することができる。
本態様に係る流体供給システムは、流体制御機器及び継手が直列に配管で接続された流体ラインを並列に複数配列した流体供給システムであって、各流体ラインは、これらの配列方向を含む平面で見たとき、配列方向と実質的に直交する延設方向に直線状に延設され、各流体制御機器は、配管が接続される接続面を同一方向に向けて配列方向に並んで配置され、配管の直径は、接続面の配列方向における面幅以下であり、継手の直径は、接続面の配列方向における面幅以上であり、配列方向に隣り合う各配管は、継手が延設方向に互いにずれた位置に位置付けられ、配列方向と延設方向との双方と実質的に直交する交差方向を規定したとき、配列方向に隣り合う各配管の少なくとも何れか一方は、継手を交差方向に向けて互いにずれた位置に位置付ける屈曲部を有する。
【0009】
また、本態様に係る前述した流体供給システムにおいて、継手は、第1継手部材と、第1継手部材に螺合される第2継手部材と、第1継手部材に対する第2継手部材の螺合に際して回転トルクが付与されるトルク付与部とを有し、配列方向と延設方向との双方と実質的に直交する交差方向を規定したとき、配列方向に隣り合う各配管は、継手の少なくともトルク付与部が延設方向と交差方向との双方に互いにずれた位置に位置付けられる。
【0010】
一方、本態様に係る流体制御装置は、前述した流体供給システムを筐体に収容してなる。
一方、本態様に係る半導体製造装置は、前述した流体制御装置を備え、流体制御装置から延設された配管が接続され、流体制御装置から供給される流体を処理するチャンバと、流体制御装置とチャンバとの間の配管に設けられ、流体制御装置からチャンバに供給される流体の流量を制御する開閉バルブとをさらに備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の前述した態様によれば、配管構造における施工スペースを確保しつつ、より一層小型化した流体供給システム、より一層小型化した流体制御装置、ALD法の処理プロセスのより一層の応答性及び制御性向上を実現した半導体製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る流体供給システムの斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る流体制御装置の正面図である。
【
図3】流体供給システムの配管構造を拡大した平面図である。
【
図4】配管構造を
図3の配列方向Yから見た側面図である。
【
図5】配管構造においてメスナットのトルク付与部にスパナでトルクを付与するときの斜視図である。
【
図6】配管構造を
図3の延設方向Xから見たときの断面図である。
【
図7】(a)従来の半導体製造装置と、(b)本実施形態の半導体製造装置との一部をそれぞれ示して比較したブロック図である。
【
図8】従来の配管から形成された従来の配管構造を交差方向から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づき本発明の一実施形態に係る流体供給システム、当該システムを備えた流体制御装置、及び当該装置を備えた半導体製造装置について説明する。
図1は、流体供給システム1の斜視図を示す。流体供給システム1は、流体制御機器2及び継手4が直列に配管6a、6b(以下、代表して配管6と称することもある)で接続された流体ライン8を並列に複数配列して構成されている。なお、流体ライン8は延設方向Xに延設されるとともに配列方向Yに配列され、延設方向Xと配列方向Yとの双方と実質的に直交するのは交差方向Zであると規定して以降の各図面について説明する。
【0014】
流体制御機器2は、例えばマスフローコントローラ、或いは圧力制御式流量コントローラ等であり、流体制御機器2の本体はベースブロック10に固定される。ベースブロック10には、流体制御機器2への流体の入口側の配管6aがねじ込み等により接続される接続面2aと、流体制御機器2からの流体の出口側の配管6aがねじ込み等により接続される接続面2bとが形成されている。
【0015】
配管6aから流体制御機器2に流入した流体は、流体制御機器2にて流量制御された後、ベースブロック10内の図示しない流路を通過して配管6bに流出される。なお、1つの流体ライン8に、図示しない開閉バルブ、レギュレータ等の他の流体制御に関わる機器を流体制御機器2の1つとしてベースブロック10に固定して設けても良い。
【0016】
また、ベースブロック10を設けない場合、流体制御機器2の本体に形成した接続面2a、2bにそれぞれ配管6a、6bを接続しても良い。また、1つの流体ライン8に、複数の流体制御機器2及び継手4を設けても良い。また、ベースブロック10は集合流路が形成された一体型ベースブロックであっても良い。
【0017】
図2は、流体制御装置12の正面図を示す。流体制御装置12は、流体供給システム1を
図2に断面で示す筐体14に収容したものであり、制御対象の流体がガスの場合には、いわゆるガスボックスと称され、多数のガス供給ラインを流体ライン8として備えている。筐体14内の空きスペースには、図示しない開閉バルブ、レギュレータ等の流体制御に関わる機器が適宜配置され、これらの機器に干渉しない位置に各流体ライン8が配置されている。
【0018】
各流体ライン8は、これらの配列方向Y(
図2における上下方向)を含む平面、つまり
図2の状態で見たとき、配列方向Yと実質的に直交する延設方向X(
図2における左右方向)に直線状に延設されている。換言すると、配管6は後述する屈曲部18を有するため、各流体ライン8の
図2における正射投影が延設方向Xに直線状に延設されたように見えるのである。また、各流体制御機器2は、接続面2aを
図1における左側の同一方向に向け、接続面2bを
図1における右側の同一方向に向けるとともに、配列方向Yに並んで配置されている。
【0019】
図3は、流体供給システム1の配管構造16を拡大した平面図を示す。配管6の直径Dpは、流体制御機器2の接続面2aの配列方向Yにおける面幅W以下である。接続面2bの面幅Wも同様である。このように、各流体制御機器2の接続面2a、2bをそれぞれ同一方向に向けて配置し、配管6の直径Dpを接続面2a、2bの面幅W以下としたことにより、配管6は、接続面2a、2bの面幅Wに収まる範囲で延設方向Xに直線状に延設可能となり、配列方向Yに隣り合う配管6同士が互いに接触することはない。
【0020】
具体的には、流体制御機器2の接続面2aは従来の1/3程度の面幅Wを有している。また、配管6は、それぞれ、軸中心Cが平面視で一定のピッチ幅Wpとなるように配列方向Yに密に配列される。例えば、面幅Wは10mmであって、ピッチ幅Wpは11mmであり、この場合、配列方向Yに隣り合う流体制御機器2同士の隙間は1mmである。このように、本実施形態の流体供給システム1は従来に比してさらなる集積化と小型化が図られている。
図4は、配管構造16を
図3の配列方向Yから見た側面図を示す。
【0021】
本実施形態の流体供給システム1は、配列方向Yと延設方向Xとの双方と実質的に直交する交差方向Zを規定したとき、配列方向Yに隣り合う各配管6の何れか一方は、継手4を交差方向Zに向けて互いにずれた位置に位置付ける屈曲部18を有する。なお、屈曲部18を必ずしも配管6の直管部から交差方向Zに沿って直角に屈曲して形成する必要はなく、屈曲部18が継手4を交差方向Zに向けて互いにずれさせることが可能であれば、配管6の直管部と屈曲部18との角度は鋭角又は鈍角であっても良い。
【0022】
図3に示すように、継手4は、ねじ込み式の管継手であって、六角ナットであるオスナット(第1継手部材)20と、六角ナットであるメスナット(第2継手部材)22とを備えている。オスナット20にメスナット22を螺合することにより、延設方向Xに分離された配管6が互いに接続される。メスナット22には、対角寸法Dd1を有するトルク付与部24が形成されている。オスナット20に対するメスナット22の螺合に際し、トルク付与部24にスパナ等の工具を係合して回動することによりメスナット22に回転トルクが付与される。
【0023】
一方、オスナット20には、対角寸法Dd2を有する固定部(トルク付与部)26が形成されている。トルク付与部24へのトルク付与に際し、固定部26にスパナ等の工具を係合してオスナット20を固定することによりオスナット20の空回りが阻止される。なお、オスナット20に空回りを阻止するための固定のためのトルク付与がなされていると考えると、固定部26もトルク付与部24として扱うことが可能である。従って、以降、固定部26も含めてトルク付与部24と総称することがある。
【0024】
継手4の直径、特にトルク付与部24の対角寸法Dd1と固定部26の対角寸法Dd2とは、流体制御機器2の接続面2a、2bの面幅W以上である。継手4は、スパナ等の工具で回動して締結するトルク付与部24の強度を確保するために、ある程度の肉厚を要し、小さくするには限度があり、接続面2a、2bの面幅W以上の大きさが必要となるのである。しかしながら、配列方向Yに隣り合う各配管6は、継手4が延設方向Xに互いにずれた位置に位置付けられるため、配列方向Yに隣り合う配管6に設けられた継手4同士が互いに接触することはない。
【0025】
さらに本実施形態では、
図3及び
図4から明らかなように、配列方向Yに隣り合う各配管6は、継手4の少なくともトルク付与部24が延設方向Xと交差方向Zとの双方に互いにずれた位置に位置付けられる。
図5は、配管構造16においてメスナット22のトルク付与部24にスパナ28でトルクを付与するときの斜視図を示す。
【0026】
スパナ28が係合されるトルク付与部24を有する配管6に隣り合う配管6には、前述した屈曲部18が形成されている。これにより、配列方向Yに隣り合う各配管6において、継手4を延設方向Xのみならず交差方向Zにも互いにずれた位置に位置付けることができる。従って、配列方向Yに密に集積された配管構造16にも拘わらず、トルク付与部24へのスパナ28の係合及び回動が可能な施工スペースが配管構造16に確保される。
【0027】
図6は、配管構造16を延設方向Xから見たときの断面図を示す。
図6から明らかなように、配管6に屈曲部18を形成したことにより、トルク付与部24へのスパナ28の係合及び回動を可能としながら、配列方向Yのみならず交差方向Zにも密に集積された配管構造16を形成することができる。従って、継手4の締結作業を可能としながら、配管構造16、流体供給システム1、ひいては流体制御装置12のさらなる小型化を実現することができる。
【0028】
また、継手4の締結作業は主としてトルク付与部24において行われることから、継手4の全体ではなく、継手4の少なくともトルク付与部24を延設方向Xと交差方向Zとの双方に互いにずれた位置に位置付けるようにしても良い。これにより、継手4の全体ではなく、継手4において締結作業を要する部位の施工スペースのみを確保することができる。従って、配管構造16、流体供給システム1、ひいては流体制御装置12のより一層の小型化を実現することが可能である。
【0029】
図7は、(a)従来の半導体製造装置40と、(b)本実施形態の半導体製造装置42との一部をそれぞれ示して比較したブロック図である。
図7(a)に示すように、従来の半導体製造装置40は、流体制御装置であるガスボックス44と、ガスボックス44から延設された配管46が接続され、ガスボックス44から供給されるガスを処理するチャンバ48と、ガスボックス44とチャンバ48との間の配管46に設けられ、ガスボックス44からチャンバ48に供給されるガスの流量を制御する開閉バルブ50とを備えている。
【0030】
図8は、従来の配管46から形成された従来の配管構造52を交差方向Zから見た平面図を示す。配管構造52は、面幅Wを有する本実施形態と同様の流体制御機器2と、本実施形態と同様の継手4とが配管46で接続された流体ライン54を並列に複数配列した流体供給システム56を構成している。
【0031】
しかし、この従来の流体供給システム56の配管構造52においては、各流体ライン54は、
図8の状態、つまり配列方向Yを含む平面で見たとき、配列方向Yに大きく屈曲されている。すなわち、各流体ライン54は、延設方向Xに直線状に延設された投影を有していない。これは、配管46を延設方向Xに直線状に延設した場合、配列方向Yに隣り合う継手4が接触するため、継手4の施工スペースを確保するべく各配管46を配列方向Yに大きく屈曲せざるを得ないことに起因する。
【0032】
従って、従来においては、各配管46を配列方向Yに大きく屈曲させて延設することにより、継手4を互いに離間させ、継手4の締結作業を可能とする施工スペースを隣り合う各配管46の間の配列方向Yのみにおいて確保する他ないのである。
一方、
図7(b)に示すように、本実施形態の半導体製造装置42は、前述した流体制御装置12(以下、ガスボックス12とも称する。
図7(b)への図示も同様である。)、前述した配管6と、従来と同様のチャンバ48と、従来と同様の開閉バルブ50とを一部に備えている。
【0033】
ガスボックス12は、配管6に屈曲部18を形成した結果、流体供給システム1の配管構造16において、交差方向Zから見たとき、各配管6が延設方向Xに直線状に延設されることとなったため、従来のガスボックス44よりも、配列方向Yにおける幅がΔHだけ短くなる。このように、筐体14内の交差方向Zのスペースを有効活用したことにより、より一層小型化されたガスボックス12を提供することができる。従って、半導体製造装置42においてガスボックス12を狭小空間に設置することができ、従来のガスボックス44からチャンバ48までの各配管6の距離をΔL縮めることができる。
【0034】
また、従来においては、各配管46のすべてを配列方向Yに大きく屈曲させていたが、本実施形態では、配列方向Yに隣り合う各配管6の何れか一方に屈曲部18を設けて交差方向Zに屈曲するだけで良い。これにより、流体供給システム1における屈曲部の数が少なくなり、各流体ライン8の長さを従来の各流体ライン54よりも相対的に短くすることができる。
【0035】
ここで、ALD法による処理プロセスにおいては、チャンバ48に微小流量の処理ガスを迅速に且つ高精度に供給しなければならない。このため、開閉バルブ50の切り換え回数が著しく増大するとともに、開閉バルブ50の高速切り換えが求められ、開閉バルブ50による流体制御は精密なパルス制御で行われる。本実施形態では、各流体ライン8の長さが従来に比して短くなったことにより、流体のパルス制御に係るパルス幅を従来に比して小さくすることができ、また、パルス形を従来に比してより精密な矩形とすることができる。
【0036】
従って、本実施形態の半導体製造装置42は、チャンバ48に微小流量の処理ガスを従来に比してより一層迅速に且つ高精度に供給することができ、ALD法の処理プロセスのより一層の応答性及び制御性向上を図ることができる。
【0037】
以上のように、本実施形態によれば、流体供給システム1の配管構造16における施工スペースを確保しながら、流体供給システム1のより一層の小型化を図り、さらに流体供給システム1を備える流体制御装置12のより一層の小型化を図り、さらに流体制御装置12を備える半導体製造装置42においてALD法の処理プロセスのより一層の応答性向上及び制御性向上を図ることができる。
【0038】
以上で本発明の一実施形態についての説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができるものである。
例えば、流体供給システム1は、ガス供給システムに限らず、液体も含む流体供給システムに広く適用可能であり、また、流体制御装置12は半導体製造装置42等の半導体製造プロセスに限らず、種々のプロセスに適用することも可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 流体供給システム
2 流体制御機器
2a、2b 接続面
4 継手
6、6a、6b 配管
8 流体ライン
12 ガスボックス、流体制御装置
14 筐体
18 屈曲部
20 オスナット(第1継手部材)
22 メスナット(第2継手部材)
24 トルク付与部
42 半導体製造装置
48 チャンバ
50 開閉バルブ
Dp 配管の直径
Dd1、Dd2 継手の直径
W 接続面の面幅
X 延設方向
Y 配列方向
Z 交差方向