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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】マットレス
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/20 20060101AFI20240304BHJP
   A47C 27/05 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
A47C27/20
A47C27/05
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022085363
(22)【出願日】2022-05-25
(65)【公開番号】P2023173241
(43)【公開日】2023-12-07
【審査請求日】2023-06-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513243251
【氏名又は名称】株式会社大地コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100200333
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 真二
(72)【発明者】
【氏名】林 暁明
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-110851(JP,A)
【文献】実開昭54-045704(JP,U)
【文献】特開2012-095785(JP,A)
【文献】実開平04-031036(JP,U)
【文献】特開2009-142769(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 27/00-22
F16F 1/00-54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合する第1外層部材、内層部材及び第2外層部材を備えるマットレスであって、
前記内層部材は厚さ方向に複数の貫通孔を有し、前記貫通孔にはコイルスプリングが挿入され、前記コイルスプリングの外周部と前記貫通孔の内面との間には間隙が形成されており、
前記第1外層部材、前記内層部材及び前記第2外層部材の順番で重合されており、
前記貫通孔に挿入されている前記コイルスプリングが、前記コイルスプリングの両終端部において、接着剤を使用せずに圧着されており、
前記内層部材が、前記貫通孔を有する1つの穿孔ブロック部材と、前記貫通孔を有さない2つの素ブロック部材と、から構成され、
前記穿孔ブロック部材が前記内層部材の奥行方向での中央に位置し、奥行方向での前記穿孔ブロック部材の両側に前記素ブロック部材が位置することを特徴とするマットレス。
【請求項2】
前記間隙が、前記第1外層部材及び就寝者からの荷重により前記コイルスプリングが圧縮された状態において、前記コイルスプリングの外周部が前記貫通孔の内面に接触しない大きさとなっている請求項1に記載のマットレス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルスプリングを使用するマットレスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コイルスプリングを使用したマットレスとして、ボンネルコイルスプリングを使用したマットレス(以下、「ボンネルコイルマットレス」とする)、ポケットコイルスプリングを使用したマットレス(以下、「ポケットコイルマットレス」とする)等がある。
【0003】
ボンネルコイルスプリングは、渦巻き状になった鋼のコイルを縦方向・横方向に連結させて1つの土台になっているもので、ボンネルコイルマットレスは、コイル全体が身体を面で支えるので、布団に近い寝心地となる。
【0004】
ポケットコイルスプリングは、1つのコイルスプリングを不織布の小さな袋に入れたもので、ポケットコイルマットレスは、ポケットコイルを接着剤で接着してマットレス全体に敷き詰めたもので、コイル1つ1つが独立し、身体を点で支えるので、身体の凹凸にフィットして体圧が一箇所に集中するのを防ぐようになっている。
【0005】
経年劣化や故障等によりマットレスを処分する場合、最終的には解体することになるが、ボンネルコイルマットレス及びポケットコイルマットレスの解体は、通常、工数を要する作業となる。つまり、ボンネルコイルマットレスの場合、ボンネルコイルスプリングはコイルを縦方向・横方向に連結させて1つの土台となっているので、それを小さく切断する必要がある。ポケットコイルマットレスの場合、ポケットコイル同士が接着されているので、それらを分離し、更にコイルスプリングを袋から取り出す必要がある。
【0006】
コイルスプリングを使用したマットレスとして、ポケットコイルスプリングと同程度の大きさのコイルスプリングを格納する孔をマット本体に複数設けて、各孔にコイルスプリングを1つずつ挿入するマットレスが提案されている。このようなマットレスの場合、個々のコイルスプリングが分離しているので、マットレスを解体する際に、コイルスプリングの切断作業やコイルスプリング同士の分離作業が不要となる。
【0007】
例えば、特開昭62-159612号公報(特許文献1)では、波板状弾性帯を組み合わせ、凸部が対向するように配置することにより、貫通孔を形成し、貫通孔にコイルスプリングを挿入したマットレスが提案されている。コイルスプリングの両端のコイルは貫通孔の外にあり、両端のコイルで、貫通孔を形成する波板状弾性帯を挟持している。これにより、コイルスプリングが貫通孔から抜けるのを防止している。
【0008】
特開2005-110851号公報(特許文献2)では、マット本体に多数個の孔を設け、保護筒に囲まれたスプリング等の弾性体を孔に挿入したマットが提案されている。弾性体を保護筒に囲むことにより、弾性体がマット本体に直接触れることがなく、縮小したときにも、マット本体と弾性体との喰い込み、擦れ等を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開昭62-159612号公報
【文献】特開2005-110851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1のマットレスでは、コイルスプリングの両端のコイルが波板状弾性帯を挟持し、コイルスプリングが貫通孔にしっかり固着しているので、マットレスを解体する際に、コイルスプリングを貫通孔から取り出すために、時間を要する作業が必要となる。特許文献2のマットでは、保護筒に囲まれたスプリングを孔に挿入しているので、特許文献1のマットレスに比べると、孔から取り出す作業時間は少ないかもしれないが、それでも手間がかかり、更に保護筒を外す作業が必要となる。
【0011】
本発明は上述のような事情よりなされたものであり、本発明の目的は、処分する際の解体を容易にする、コイルスプリングを使用したマットレスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、重合する第1外層部材、内層部材及び第2外層部材を備えるマットレスに関し、本発明の上記目的は、前記内層部材は厚さ方向に複数の貫通孔を有し、前記貫通孔にはコイルスプリングが挿入され、前記コイルスプリングの外周部と前記貫通孔の内面との間には間隙が形成されており、前記第1外層部材、前記内層部材及び前記第2外層部材の順番で重合されていることにより達成される。
【0013】
本発明の上記目的は、前記コイルスプリングの最大外径が前記貫通孔の内径よりも小さくて、前記間隙が形成されていることにより、或いは、前記コイルスプリングの自由高さが、前記貫通孔の長さより長いことにより、或いは、前記第1外層部材及び前記内層部材の間と前記第2外層部材及び前記内層部材の間の少なくとも1つの間に介挿され、前記貫通孔の開口部を被覆する被覆シートを更に備えることにより、或いは、前記貫通孔に挿入されている前記コイルスプリングが、接着剤を使用せずに圧着されていることにより、或いは、伸縮方向を鉛直方向に合わせた状態での前記コイルスプリングの終端部が、水平面より、前記コイルスプリングが圧縮する向きにずれるように、前記コイルスプリングが加工されていることにより、より効果的に達成される。
【発明の効果】
【0014】
本発明のマットレスによれば、挿入されるコイルスプリングと貫通孔の内面の間に間隙が形成されているので、マットレスを処分する際に、貫通孔からコイルスプリングを容易に取り出すことができ、マットレスの解体を容易にすることができる。また、取り出したコイルスプリングを再利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係るマットレスの例を示す断面図である。
図2】内層部材の例を示す平面図である。
図3】貫通孔にコイルスプリングを挿入した状態を示す図である。
図4】内層部材の別の例を示す平面図である。
図5】コイルスプリングの別の例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係るマットレスは、ポケットコイルスプリングに使用されるような、一方向に螺旋状に伸長した形状のコイルスプリングを使用する。このようなコイルスプリングを複数使用し、個々のコイルスプリングは、マット本体(内層部材)の厚さ方向に穿孔して設けられた貫通孔に挿入される。コイルスプリングが貫通孔の内面に接触せず、コイルスプリングの外周部と貫通孔の内面との間に間隙ができるように、コイルスプリングは貫通孔に挿入される。貫通孔に挿入されたコイルスプリングは、内層部材の上面及び下面に重合される外層部材(第1外層部材、第2外層部材)の重着により生じる圧力によって、貫通孔内に固着される。よって、マットレスを解体する際には、コイルスプリングは容易に貫通孔から取り出すことができ、取り出したコイルスプリングは、そのままの状態で再利用することができる。
【0017】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付し、説明を省略することがある。また、以下の説明における形状等は例示であり、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0018】
図1は、本発明に係るマットレスの例を示す断面図である。図1において、矢印で示すように、図の上側及び下側がそれぞれマットレス1の上方及び下方で、図の左右方向がマットレス1の短手方向になっており、図1はマットレス1の上面と垂直に交わり短手方向に延びる面で切断した断面図である。マットレス1はシングルサイズのマットレスとなっており、幅(短手方向の長さ、図1において左右方向の長さ)が970mm、奥行(長手方向の長さ)が1970mm、厚さ(図1において上下方向の長さ)が175mmとなっている。なお、マットレス1は、セミシングル、セミダブル、ダブル等の任意のサイズのマットレスでも良い。また、図1及び以降の図におけるマットレス等の大きさは、わかりやすく示すために、実際の大きさとは異なるところがある。
【0019】
本実施形態のマットレス1は、外層部材10(第1外層部材)及び11(第2外層部材)、被覆シート12及び13、内層部材14並びに外装カバー15を備え、上方から外層部材10、被覆シート12、内層部材14、被覆シート13及び外層部材11の順番で重合しており、これら全体を外装カバー15が被覆している。外層部材10及び11、被覆シート12及び13並びに内層部材14が重合した状態(以下、「重合状態」とする)、つまり外装カバー15を除いた状態での大きさは、マットレス1の大きさより幅及び奥行が若干小さく、幅が950mm、奥行が1950mmとなっている。厚さはマットレス1と同じく175mmである。よって、外層部材10及び11、被覆シート12及び13並びに内層部材14は、幅及び奥行は同じ950mm及び1950mmであり、厚さが異なる。それぞれ単体での厚さは、外層部材10は30mm、外層部材11は70mm、被覆シート12及び13は共に3mm、内層部材14は67mmとなっている。なお、各部材の厚さは、これら以外の厚さでも良い。
【0020】
内層部材14は、コイルスプリングを使用したマットレスにおいてコイルスプリングを構成要素とするスプリング層に対応しており、マットレスの弾力性に最も関係する部材であり、寝心地を左右するものである。
【0021】
内層部材14を上方から見た平面図を図2に示す。内層部材14は素ブロック部材141及び142並びに穿孔ブロック部材143の3つの部材から構成される。穿孔ブロック部材143は内層部材14の奥行方向での中央に位置し、奥行方向での穿孔ブロック部材143の両側に素ブロック部材141及び142が位置し、穿孔ブロック部材143と接着している。
【0022】
素ブロック部材141及び142並びに穿孔ブロック部材143は内層部材14を構成するので、幅及び厚さは、上述のように、950mm及び67mmであるが、奥行が両部材で異なる。即ち、穿孔ブロック部材143の方が素ブロック部材141及び142より奥行が長く、穿孔ブロック部材143の奥行が750mm、素ブロック部材141及び142の奥行が共に600mmである。これは、就寝者がマットレス1に横臥した場合、中心に位置する穿孔ブロック部材143が最も就寝者からの荷重がかかる箇所となり、寝心地への影響が大きいので、素ブロック部材141及び142よりも大きいサイズとしている。この点から、後述のように、穿孔ブロック部材143においてコイルスプリングを使用する。
【0023】
素ブロック部材141及び142並びに穿孔ブロック部材143は同じ素材で生成され、同程度の硬度を有する。これらの素材として、例えばポリウレタンフォームを使用する。ポリウレタンフォームは発泡ウレタン等と呼ばれることがある、均一なプラスチック発泡体である。ポリウレタンフォームは、軟質ポリウレタンフォームと硬質ポリウレタンフォームに大別され、内層部材14の素材として、軽くてクッション性・耐久性に優れ、硬さのバリエーションが豊富で、主としてクッション性を活かした分野に使用される軟質ポリウレタンフォーム又は軟質及び硬質の中間的な素材である半硬質ポリウレタンフォームを使用する。なお、内層部材14の素材として、ポリエチレンフォーム、ゴムスポンジ等の他の素材を使用しても良い。また、素ブロック部材141及び142並びに穿孔ブロック部材143を異なる素材で生成しても良く、硬度も異なって良い。
【0024】
素ブロック部材141及び142は、内層部材14の奥行方向での両端に位置し、就寝者の主に頭部から肩部の範囲及び脚部を支える。素ブロック部材141及び142の大きさは同じであるから、位置を逆にして使用しても良い。
【0025】
穿孔ブロック部材143は、内層部材14の奥行方向での中央に位置し、就寝者の主に胴部から臀部の範囲を支える。穿孔ブロック部材143には、コイルスプリングを格納するための複数の貫通孔16が、厚さ方向に穿孔されている。
【0026】
貫通孔16は、円柱形、正確には母線が底面に垂直な円柱である直円柱の形状となっており、内径(開口部の直径)は60mmであり、長さは穿孔ブロック部材143の厚さと同じ67mmである。図2に示されるように、貫通孔16は、穿孔ブロック部材143の奥行方向及び幅方向それぞれで列をなし、千鳥状に穿孔されている。即ち、貫通孔16は、幅方向において一定の間隔をあけ、奥行方向においても一定の間隔をあけて穿孔され、幅方向において隣接する貫通孔16の中間の位置と奥行方向において同じ位置に、奥行方向にて隣接する列中の貫通孔16が位置するように、また幅方向にて隣接する列中の貫通孔16についても同様に位置するように、穿孔されている。千鳥状に穿孔することにより、就寝者からの荷重を適切に分散させることができる。図2では、わかりやすく示すために、穿孔される貫通孔16の数及び大きさは実際とは異なる。なお、貫通孔16の開口部の内径は60mmより小さく又は大きくても良く、全て同じ大きさの内径でなくても良い。また、貫通孔16は、一定間隔ではなく、異なる間隔で穿孔されていても良く、千鳥状ではなく、格子状等に穿孔されていても良い。
【0027】
貫通孔16にはコイルスプリング17が挿入される。図3に貫通孔16にコイルスプリング17を挿入した状態の図を示す。図3は、穿孔ブロック部材143の厚さ方向に重合されているものはなく、貫通孔16にコイルスプリング17を挿入し、穿孔ブロック部材143及びコイルスプリング17を水平面に載置した状態で、貫通孔16の開口面の中心を通り穿孔ブロック部材143の厚さ方向に延伸する面で穿孔ブロック部材143を切断した断面図とコイルスプリング17の正面図を組み合わせた図となっている。
【0028】
コイルスプリング17は、円筒形、つまり同じ大きさの円が螺旋状に繋がった形になっており、両終端部は、コイルスプリング17の伸縮方向(図3において上下方向)を鉛直方向に合わせた場合、略水平となるように加工されている。
【0029】
コイルスプリング17の自由高さ(コイルスプリングに負荷をかけていない自由な状態での高さ(長さ)、図3において上下方向での長さ)は、図3に示されるように、貫通孔16の長さよりも長く、貫通孔16の長さが67mmの場合、例えばコイルスプリング17の自由高さは70mmとなっている。よって、図1に示されるような重合状態では、コイルスプリング17は圧縮された状態となる。コイルスプリング17が圧縮された状態となることにより、コイルスプリング17は、接着剤等を使用せずに、被覆シート12及び13に圧着される。
【0030】
コイルスプリング17の外径(外側の径)Dsは、貫通孔16の内径Dhより小さく、貫通孔16の内径Dhが60mmの場合、例えばコイルスプリング17の外径Dsは55mmとなっている。よって、貫通孔16の中心軸(開口部の中心を通り、穿孔ブロック部材143の厚さ方向と平行な軸)とコイルスプリング17の中心軸(伸縮方向の中心軸)を合わせて、コイルスプリング17を貫通孔16に挿入した場合、図3に示されるように、コイルスプリング17の外周部と貫通孔16の内面との間に間隙が形成される。この間隙は、上述のように、重合状態においてコイルスプリング17が圧縮され、更に就寝者からの荷重によりコイルスプリング17が、より圧縮され、コイルスプリング17が中心軸より多少ずれることがあっても、コイルスプリング17の外周部が貫通孔16の内面に接触しないような大きさとなっている。
【0031】
このように、コイルスプリング17は、接着剤等を使用せずに被覆シート12及び13に圧着され、貫通孔16の内面との間に間隙が形成されるように挿入されているので、マットレス1を解体する際に、コイルスプリング17を貫通孔16から容易に取り出すことができる。
【0032】
コイルスプリング17は、硬鋼線やステンレス等の金属で生成されている。マットレス1に就寝者が横臥した際に、穿孔ブロック部材143での貫通孔16以外の部分の硬度が高くてその部分の収縮が小さいと、コイルスプリング17の弾力性が十分に発揮できないので、コイルスプリング17の弾力性が効果的に働くような硬度及び弾性力を有する穿孔ブロック部材143及びコイルスプリング17を使用する。なお、コイルスプリング17として、金属で生成されたものではなく、熱可塑性樹脂等で生成されたものを使用しても良い。
【0033】
素ブロック部材141及び142と穿孔ブロック部材143は、接着剤や面ファスナー等により接着されている。面ファスナーを使用した場合、素ブロック部材141及び142と穿孔ブロック部材143は着脱可能となる。
【0034】
被覆シート12及び13は、内層部材14の上面及び下面に重合され、貫通孔16に挿入されたコイルスプリング17と直接接触することにより、コイルスプリング17が貫通孔16より外れるのを防止する。よって、被覆シート12及び13は、少なくとも全ての貫通孔16の開口部を被覆しておれば良く、内層部材14の上面又は下面の全体を被覆しなくても良い。
【0035】
被覆シート12及び13は接着剤等により内層部材14と接着しているが、上述のように、コイルスプリング17とは接着剤等を使用せずに圧着している。よって、少なくとも貫通孔16と対向する箇所には、接着剤等は塗布されない。
【0036】
被覆シート12及び13として、不織布を使用する。不織布は繊維を織らずに絡み合わせた布で、耐久性は高くないが、製作コストが低いメリットがある。繊維を織らずに絡み合わせて製作する布として、羊等の動物の毛を圧縮してシート状にしたフェルトがあり、フェルトは不織布に含まれないと定義されることがあるが、本実施形態ではフェルトも不織布に含まれるものとする。
【0037】
外層部材10は、被覆シート12の上面に重合され、外装カバー15を介して就寝者と接するので、保温や吸湿の機能を有し、寝心地にも影響する部材である。外層部材10は、被覆シート12とは接着剤等で接着しているが、被覆シート12が内層部材14の上面全体を被覆していない場合、被覆していない部分では、内層部材14と接着剤等で接着している。
【0038】
外層部材10は、内層部材14と同様に、ポリウレタンフォームを素材として使用して生成されており、可撓性を有する。外層部材10の硬度は、就寝者の寝心地を考慮して、内層部材14より少し高い硬度となっている。
【0039】
外層部材11は、被覆シート13の下面に重合される。外層部材10の場合と同様に、外層部材11は、被覆シート13とは接着剤等で接着しているが、被覆シート13が内層部材14の下面全体を被覆していない場合、被覆していない部分では、内層部材14と接着剤等で接着している。
【0040】
外層部材11も、外層部材10と同様に、ポリウレタンフォームを素材として使用して生成されており、可撓性を有する。但し、外層部材11は、外層部材10とは異なり、外装カバー15を介しての就寝者との接触はないので、外層部材11の硬度は、内層部材14と同程度の硬度となっている。
【0041】
なお、内層部材14の場合と同様に、外層部材10及び11の素材として、ポリエチレンフォーム、ゴムスポンジ等の他の素材を使用しても良い。
【0042】
外装カバー15は、重合状態の外層部材10及び11、被覆シート12及び13並びに内層部材14の上面、側面及び下面を被覆する袋状となっている。外装カバー15は、綿や麻等の植物繊維、レーヨン、ポリエステル等の化学繊維を素材として生成されている。
【0043】
本実施形態に対して、上述以外に、以下のような変形が可能である。
【0044】
マットレス1は、外層部材10、被覆シート12、内層部材14、被覆シート13及び外層部材11の5層構造となっているが、被覆シート12及び/又は13を除いた3層又は4層構造でも良く、層を増やして、6層以上の構造としても良い。
【0045】
内層部材14において、穿孔ブロック部材143が占める割合を増やし、コイルスプリング17の効果が、就寝者のより広い範囲に及びようにしても良い。例えば、図4に示される内層部材24では、穿孔ブロック部材243の奥行は、穿孔ブロック部材143の奥行の2倍の1500mmとなっており、それに合わせて、貫通孔16の数が増加している。素ブロック部材241及び242の奥行は共に225mmとなっている。この場合、穿孔ブロック部材243を、穿孔ブロック部材143を2つ接続した構成としても良い。また、素ブロック部材を除き、内層部材を穿孔ブロック部材のみで構成するようにしても良い。
【0046】
貫通孔16は円柱形であるが、コイルスプリング17の外周部と貫通孔の内面との間に間隙が形成されるのであれば、円柱形に限らず、多角形を底面とする角柱形であっても良い。正確には、側面が底面に垂直な角柱である直角柱の形状であっても良い。
【0047】
コイルスプリング17は円筒形となっているが、伸縮方向での中央部の外径が終端部の外径より小さく、窪んだ形となっている鼓形や、逆に伸縮方向での中央部の外径が終端部の外径より大きく、膨らんだ形となっている樽形等でも良い。皷形や樽形では、コイルスプリングの外径の最大値が貫通孔16の内径より小さい場合、コイルスプリングの外周部と貫通孔16の内面との間に間隙が形成されることになる。
【0048】
コイルスプリング17の終端部は、図3に示されるように、コイルスプリング17の伸縮方向を鉛直方向に合わせた場合、略水平となるように加工されているが、水平ではなく、それよりも圧縮する向きにずれるように加工されていても良い。そのように加工されたコイルスプリングの例を図5に示す。図5に示されるコイルスプリング27は、終端部である上部及び下部が、コイルスプリング27が圧縮する向きに、つまり上部では下向きに、下部では上向きに加工されている。このように加工することにより、コイルスプリング27の終端が被覆シート12及び13に接触しないので、コイルスプリングが被覆シートに引っ掛かる等の不具合の発生を抑制することができる。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。また、上記形態において明示的に開示されていない事項、例えばコイルスプリングの重量等は、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 マットレス
10、11 外層部材
12、13 被覆シート
14、24 内層部材
15 外装カバー
16 貫通孔
17、27 コイルスプリング
141、142、241、242 素ブロック部材
143、243 穿孔ブロック部材
図1
図2
図3
図4
図5