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特許7446642信号マップの構築方法、装置、機器及び読み取り可能な記憶媒体
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  • 特許-信号マップの構築方法、装置、機器及び読み取り可能な記憶媒体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】信号マップの構築方法、装置、機器及び読み取り可能な記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/02 20100101AFI20240304BHJP
   H04W 4/02 20180101ALI20240304BHJP
【FI】
G01S5/02 Z
H04W4/02
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022563236
(86)(22)【出願日】2020-06-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-01
(86)【国際出願番号】 CN2020093681
(87)【国際公開番号】W WO2021243504
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2022-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】521208262
【氏名又は名称】マプサス テクノロジー ホールディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Mapxus Technology Holding Limited
【住所又は居所原語表記】30 de Castro Street,Wickhams Cay 1,P.O.Box 4519,Road Town,Tortola,British Virgin Islands
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】陳 尊裕
(72)【発明者】
【氏名】胡 斯洋
(72)【発明者】
【氏名】方 雄
(72)【発明者】
【氏名】呉 ▲じゅえ▼其
(72)【発明者】
【氏名】陳 欣
(72)【発明者】
【氏名】呉 沛謙
(72)【発明者】
【氏名】張 仲文
【審査官】渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-531053(JP,A)
【文献】特開2015-064232(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0134899(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0159159(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110049549(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105242239(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00 - 5/14
19/00 - 19/55
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号マップの構築方法であって、
オリジナルWi-Fi指紋を取得するステップと、
前記オリジナルWi-Fi指紋をクラスタリングして、Wi-Fi指紋クラスタを得るステップと、
前記Wi-Fi指紋クラスタにおける前記オリジナルWi-Fi指紋を利用して、新たなWi-Fi指紋を得るステップと、
前記新たなWi-Fi指紋を利用してWi-Fi信号マップを構築するステップと、を含み、
オリジナルWi-Fi指紋をクラスタリングして、Wi-Fi指紋クラスタを得る前記ステップは、
前記オリジナルWi-Fi指紋のそれぞれから道路網ノードのそれぞれまでの水平距離を算出するステップと、
前記水平距離を利用して前記オリジナルWi-Fi指紋をクラスタリングして、前記Wi-Fi指紋クラスタを得るステップと、を含むことを特徴とする信号マップの構築方法。
【請求項2】
Wi-Fi指紋クラスタにおける前記オリジナルWi-Fi指紋を利用して、新たなWi-Fi指紋を得る前記ステップは、
前記Wi-Fi指紋クラスタのクラスタ中心に対応する地理座標を取得するステップと、
前記Wi-Fi指紋クラスタにおける全ての前記オリジナルWi-Fi指紋に現れたWi-Fiアクセスポイントについて、前記Wi-Fiアクセスポイントの受信信号強度の平均値及び受信信号強度の分散値を算出するステップと、
前記地理座標、各前記Wi-Fiアクセスポイントの前記受信信号強度の平均値及び前記受信信号強度の分散値を利用して、前記新たなWi-Fi指紋を構築するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の信号マップの構築方法。
【請求項3】
オリジナルWi-Fi指紋を取得する前記ステップは、
室内デジタルマップと、道路網ノードを有するサンプルパスを含む道路網を取得するステップと、
前記室内デジタルマップを利用して前記道路網ノードの地理座標を決定するステップと、
前記サンプルパスを利用して、所定の周波数でWi-Fi走査をトリガーし、Wi-Fiデータを記録するステップと、
前記Wi-Fiデータと前記道路網ノードの地理座標を利用して、前記オリジナルWi-Fi指紋を算出するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の信号マップの構築方法。
【請求項4】
Wi-Fiデータと前記道路網ノードの地理座標を利用して、前記オリジナルWi-Fi指紋を算出する前記ステップは、
前記サンプルパスのサンプリング開始・終了時間を取得するステップと、
前記サンプリング開始・終了時間を利用して前記道路網ノードのタイムスタンプを決定するステップと、
前記道路網ノードのタイムスタンプを利用して、前記Wi-Fiデータの地理座標を算出するステップと、
前記Wi-Fiデータと該Wi-Fiデータの地理座標を利用して、前記オリジナルWi-Fi指紋を構築するステップと、を含むことを特徴とする請求項に記載の信号マップの構築方法。
【請求項5】
サンプリング開始・終了時間を利用して前記道路網ノードのタイムスタンプを決定する前記ステップは、
前記サンプリング開始・終了時間を利用して前記サンプルパスの合計サンプリング時間を決定するステップと、
前記合計サンプリング時間を利用して、前記道路網ノードの前記サンプルパスでの相対位置と組み合わせて、サンプリングするときに前記道路網ノードを通過するタイムスタンプを算出するステップと、
前記道路網ノードに前記タイムスタンプをマークするステップと、を含むことを特徴とする請求項に記載の信号マップの構築方法。
【請求項6】
新たなWi-Fi指紋を利用してWi-Fi信号マップを構築する前記ステップの後に、
マップ更新要求を受信して解析し、目標Wi-Fi指紋を得るステップと、
前記Wi-Fi信号マップにおいて前記目標Wi-Fi指紋との水平距離が最も短い目標Wi-Fi指紋クラスタを決定するステップと、
前記目標Wi-Fi指紋クラスタに前記目標Wi-Fi指紋を追加するステップと、
前記目標Wi-Fi指紋クラスタにおける全てのWi-Fi指紋を利用して、前記目標Wi-Fi指紋クラスタの新たなWi-Fi指紋を改めて算出するステップと、
改めて算出した新たなWi-Fi指紋を利用して、前記Wi-Fi信号マップを更新するステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の信号マップの構築方法。
【請求項7】
Wi-Fi信号マップ構築装置であって、
オリジナルWi-Fi指紋を取得するオリジナルWi-Fi指紋取得モジュールと、
前記オリジナルWi-Fi指紋をクラスタリングして、Wi-Fi指紋クラスタを得るクラスタリングモジュールと、
前記Wi-Fi指紋クラスタにおける前記オリジナルWi-Fi指紋を利用して、新たなWi-Fi指紋を得るWi-Fi指紋融合モジュールと、
前記新たなWi-Fi指紋を利用してWi-Fi信号マップを構築する信号マップ構築モジュールと、を含み、
前記クラスタリングモジュールは、
前記オリジナルWi-Fi指紋のそれぞれから道路網ノードのそれぞれまでの水平距離を算出し、
前記水平距離を利用して前記オリジナルWi-Fi指紋をクラスタリングして、前記Wi-Fi指紋クラスタを得ることを特徴とするWi-Fi信号マップ構築装置。
【請求項8】
コンピュータプログラムを記憶するメモリと、
前記コンピュータプログラムを実行すると、請求項1~のいずれか1項に記載の信号マップの構築方法のステップを実現するプロセッサと、を含むことを特徴とする信号マップ構築機器。
【請求項9】
プロセッサによって実行されると請求項1~のいずれか1項に記載の信号マップの構築方法のステップを実現するコンピュータプログラムが記憶されていることを特徴とする読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、測位の技術分野に関し、特に、信号マップの構築方法、装置、機器及び読み取り可能な記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
リアルタイム測位技術は、交通、商業、物流、個性的なサービスなど、多くのハイレベルなアプリケーションの基礎技術となっている。全地球航法衛星システムは、長期的な発展を経て、室外環境では、優れた測位サービスを提供できるようになっている。
【0003】
一方、室内環境では、衛星信号が地上に到達したときに弱くなり、建物を透過できないこと、マルチパス効果などの問題により、全地球測位システムは信頼性の高いサービスを提供できない。そのため、近年、室内測位技術はナビゲーション分野の注目されている研究方向になっている。室内Wi-Fi信号マップを利用した室内測位は、測位精度が高く、配備が容易で、移植性が高いなどの特徴から、最も広く応用されている室内測位技術の1つとなっている。
【0004】
室内Wi-Fi信号マップを利用した室内測位を行うには、Wi-Fi信号マップを構築しなければならない。Wi-Fi信号マップにおけるWi-Fi指紋がまばらすぎると、測位精度が低下し、一方、Wi-Fi指紋が密すぎると、信号マップのデータ量が大きくなり、データキャッシュや算出オーバーヘッドが増加し、また、Wi-Fi指紋間の信号特性の相違が弱まり、測位精度に悪影響を与える。
【0005】
以上のように、Wi-Fi信号マップ構築などの問題をどのように解決するかは、現在当業者が早急に解決すべき技術的課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願の目的は、オリジナルWi-Fi指紋をクラスタリングし、Wi-Fi指紋クラスタにおけるオリジナルWi-Fi指紋を用いて新たなWi-Fi指紋を再構築した後、新たなWi-Fi指紋に基づいて、規模が小さく且つ信号特性の相違がより大きなWi-Fi信号マップを構築することができる信号マップの構築方法、装置、機器及び読み取り可能な記憶媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の技術的課題を解决するために、本願は以下の技術的解決策を提案する。
信号マップの構築方法であって、
オリジナルWi-Fi指紋を取得するステップと、
前記オリジナルWi-Fi指紋をクラスタリングして、Wi-Fi指紋クラスタを得るステップと、
前記Wi-Fi指紋クラスタにおける前記オリジナルWi-Fi指紋を利用して、新たなWi-Fi指紋を得るステップと、
前記新たなWi-Fi指紋を利用してWi-Fi信号マップを構築するステップと、を含む。
【0008】
好ましくは、Wi-Fi指紋クラスタにおける前記オリジナルWi-Fi指紋を利用して、新たなWi-Fi指紋を得る前記ステップは、
前記Wi-Fi指紋クラスタのクラスタ中心に対応する地理座標を取得するステップと、
前記Wi-Fi指紋クラスタにおける全ての前記オリジナルWi-Fi指紋に現れた全てのWi-Fiアクセスポイントについて、前記Wi-Fiアクセスポイントの受信信号強度の平均値及び受信信号強度の分散値を算出するステップと、
前記地理座標、各前記Wi-Fiアクセスポイントの前記受信信号強度の平均値及び前記受信信号強度の分散値を利用して、前記新たなWi-Fi指紋を構築するステップと、を含む。
【0009】
好ましくは、オリジナルWi-Fi指紋をクラスタリングして、Wi-Fi指紋クラスタを得る前記ステップは、
前記オリジナルWi-Fi指紋のそれぞれから道路網ノードのそれぞれまでの水平距離を算出するステップと、
前記水平距離を利用して前記オリジナルWi-Fi指紋をクラスタリングして、前記Wi-Fi指紋クラスタを得るステップと、を含む。
【0010】
好ましくは、オリジナルWi-Fi指紋を取得する前記ステップは、
室内デジタルマップと、道路網ノードを有するサンプルパスを含む道路網を取得するステップと、
前記室内デジタルマップを利用して前記道路網ノードの地理座標を決定するステップと、
前記サンプルパスを利用して、所定の周波数でWi-Fi走査をトリガーし、Wi-Fiデータを記録するステップと、
前記Wi-Fiデータと前記道路網ノードの地理座標を利用して、前記オリジナルWi-Fi指紋を算出するステップと、を含む。
【0011】
好ましくは、Wi-Fiデータと前記道路網ノードの地理座標を利用して、前記オリジナルWi-Fi指紋を算出する前記ステップは、
サンプルパスのサンプリング開始・終了時間を取得するステップと、
前記サンプリング開始・終了時間を利用して前記道路網ノードのタイムスタンプを決定するステップと、
前記道路網ノードのタイムスタンプを利用して、前記Wi-Fiデータの地理座標を算出するステップと、
前記Wi-Fiデータと該Wi-Fiデータの地理座標を利用して、前記オリジナルWi-Fi指紋を構築するステップと、を含む。
【0012】
好ましくは、サンプリング開始・終了時間を利用して前記道路網ノードのタイムスタンプを決定する前記ステップは、
前記サンプリング開始・終了時間を利用して前記サンプルパスの合計サンプリング時間を決定するステップと、
前記合計サンプリング時間を利用して、前記道路網ノードの前記サンプルパスでの相対位置と組み合わせて、サンプリングするときに前記道路網ノードを通過するタイムスタンプを算出するステップと、
前記道路網ノードに前記タイムスタンプをマークするステップと、を含む。
【0013】
好ましくは、新たなWi-Fi指紋を利用してWi-Fi信号マップを構築する前記ステップの後に、
マップ更新要求を受信して解析し、目標Wi-Fi指紋を得るステップと、
前記Wi-Fi信号マップにおいて前記目標Wi-Fi指紋との水平距離が最も短い目標Wi-Fi指紋クラスタを決定するステップと、
前記目標Wi-Fi指紋クラスタに前記目標Wi-Fi指紋を追加するステップと、
前記目標Wi-Fi指紋クラスタにおける全てのWi-Fi指紋を利用して、前記目標Wi-Fi指紋クラスタの新たなWi-Fi指紋を改めて算出するステップと、
改めて算出した新たなWi-Fi指紋を利用して、前記Wi-Fi信号マップを更新するステップと、をさらに含む。
【0014】
Wi-Fi信号マップ構築装置であって、
オリジナルWi-Fi指紋を取得するオリジナルWi-Fi指紋取得モジュールと、
前記オリジナルWi-Fi指紋をクラスタリングして、Wi-Fi指紋クラスタを得るクラスタリングモジュールと、
前記Wi-Fi指紋クラスタにおける前記オリジナルWi-Fi指紋を利用して、新たなWi-Fi指紋を得るWi-Fi指紋融合モジュールと、
前記新たなWi-Fi指紋を利用してWi-Fi信号マップを構築する信号マップ構築モジュールと、を含む。
信号マップ構築機器であって、
コンピュータプログラムを記憶するメモリと、
前記コンピュータプログラムを実行すると、上記の信号マップの構築方法のステップを実現するプロセッサと、を含む。
【0015】
読み取り可能な記憶媒体であって、コンピュータプログラムが記憶されている、プロセッサによって実行されると上記の信号マップの構築方法のステップを実現する。
【0016】
本願の実施例による方法を用いると、オリジナルWi-Fi指紋を取得し、オリジナルWi-Fi指紋をクラスタリングして、Wi-Fi指紋クラスタを得て、Wi-Fi指紋クラスタにおけるオリジナルWi-Fi指紋を利用して、新たなWi-Fi指紋を得て、新たなWi-Fi指紋を利用してWi-Fi信号マップを構築する。
【0017】
オリジナルWi-Fi指紋を取得した後、Wi-Fi信号マップのデータ量を削減するために、まず、オリジナルWi-Fi指紋をクラスタリングして、オリジナルWi-Fi指紋よりもデータが少ないWi-Fi指紋クラスタを得る。Wi-Fi指紋の信号特性の相違を向上させるために、オリジナルWi-Fi指紋の代わりに、Wi-Fi指紋クラスタにおけるオリジナルWi-Fi指紋に基づいて、新たなWi-Fi指紋を取得する。次に、Wi-Fi指紋クラスタに対応する新たなWi-Fi指紋のそれぞれに基づいて、Wi-Fi信号マップを構築することができる。クラスタリング及び新たなWi-Fi指紋取得によって、構築されたWi-Fi信号マップのデータ量を大幅に削減し、データキャッシュを削減させて算出オーバーヘッドを減少させることができる一方、Wi-Fi指紋間の信号特性の相違を増強し、測位精度を高めることができる。
【0018】
それに応じて、本願の実施例はまた、信号マップの構築方法に対応する装置、機器及び読み取り可能な記憶媒体を提供し、これらは上記の技術的効果を有するので、ここでは詳しく説明しない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本願の実施例又は従来技術の技術的解決策をより明確に説明するために、以下、実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に説明するが、当業者であれば、創造的な努力を必要とせずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
図1】本願の実施例における信号マップの構築方法の実施のフローチャートである。
図2】本願の実施例における道路網の概略図である。
図3】本願の実施例における信号マップの構築装置の構造概略図である。
図4】本願の実施例における信号マップの構築機器の構造概略図である。
図5】本願の実施例における信号マップの構築機器の具体的な構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
当業者が本願の解決手段をよりよく理解できるように、以下、図面及び具体的な実施形態を参照して本願についてさらに詳細に説明する。当業者が本願の実施例に基づいて創造的な努力を必要とせずに得る他の全ての実施例は本願の特許範囲に属する。
【0021】
なお、本願の実施例による信号マップの構築方法は、建物の単一の階を基本単位としてWi-Fi信号マップを構築する。したがって、特定の建物内のWi-Fi信号特性は複数の単一の階の信号マップで記述される。
【0022】
理解を容易にするために、以下、本願の実施例の一部の用語を解釈して説明する。
Wi-Fiアクセスポイント(Wi-Fi Access Point(Wi-Fi AP)):無線信号を介してインターネットへの移動機器のアクセスを可能とするハードウェア機器であって、多くの場合は無線ルータ、移動ホットスポットなどを意味する。
【0023】
Wi-Fi指紋(Wi-Fi fingerprint):空間内の特定の位置で、走査された複数のWi-Fiアクセスポイント及びその信号強度によって形成され、別の位置での走査結果と別のデータ集合と、当該位置の所定の座標系の下での現在の座標値(例えば、経度と緯度の地理座標)とから構成される<信号、位置>データ対である。
【0024】
MACアドレス:Wi-Fiアクセスポイントの物理アドレス又はハードウェアアドレスであって、Wi-Fiアクセスポイントを区別する一意なアドレスである。
【0025】
SSID(Service Set Identifier):サービスセット識別子。本明細書では、Wi-Fiアクセスポイントによりブロードキャストされる無線ローカルエリアネットワークの名称であり、ローカルエリアネットワーク所有者によりカスタマイズされ、一意ではない。
【0026】
RSSI(Received Signal Strength Indicator):本明細書では、Wi-Fiアクセスポイントから送信され、移動側機器で受信された無線ネットワーク信号の強度インジケータである。
【0027】
室内デジタルマップ:所定の座標系の下で、建物の内部構造、配置などの地上要素に、座標及び属性を付与、決定し、コンピュータにより認識可能で、記憶媒体に要約可能であり、順序付けられたデータ集合である。
【0028】
室内Wi-Fi信号マップ:室内デジタルマップの座標系に基づいて、Wi-Fi指紋の地理座標位置を室内デジタルマップにマークすることによって形成される順序付けられたデータ集合であって、室内の測位計算のための比較用Wi-Fiデータ及び参照位置を提供する。
【0029】
道路網(road network):室内デジタルマップにおいて室内の歩行可能な通路や領域を線分でマークした地理座標付きのネットワーク構造である。
【0030】
道路網ノード:道路網における線分同士の交差点、接続点、及び所定の間隔で線分に挿入された地理座標付きの点であれば、道路網ノードとして定義される。
【0031】
図1に示すように、図1は本願の実施例における信号マップの構築方法のフローチャートであり、該方法は、ステップS101~S104を含む。
S101、オリジナルWi-Fi指紋を取得する。
【0032】
ここで、オリジナルWi-Fi指紋は、<信号、位置>データ対の信号及び位置のいずれも処理されていないWi-Fi指紋であり、即ち、サンプリングされたオリジナル状態のものである。
【0033】
本実施例では、Wi-Fi指紋は、比較的密なWi-Fi信号マップからオリジナルWi-Fi指紋を直接取得してもよいし、読み取り可能な記憶媒体から予め記憶されたオリジナルWi-Fi指紋を直接読み取ってもよいし、静的サンプリング(P2P:Point-to-Point)又は歩行サンプリング(walk survey)の方式によって直接サンプリングし、オリジナルWi-Fi指紋を得てもよい。
【0034】
これらのうち、静的サンプリングでは、空間座標の特定のサンプリングポイントに数秒~数分間滞在してこの期間内で走査されたWi-Fiアクセスポイント及び信号強度を記録し、即ち、信号と位置の2つの要素を取得して1つのWi-Fi指紋を構成することが必要である。収集過程では、サンプリングポイントが測位を必要とする建物の空間全体をカバーするまで、1つのサンプリングポイントから別のサンプリングポイントへ操作を繰り返す。
【0035】
歩行サンプリングは収集と計算の2つの段階に分けられる。収集段階では、歩行軌跡におけるキーポイント(例えば、開始ポイント、ターニングポイント、終了ポイント)と途中走査されたWi-Fiアクセスポイント及び信号強度を記録する。計算段階では、各キーポイントの座標値や歩行中に記録されたタイムスタンプなどのデータを利用し、経路上に補間してWi-Fiデータの位置を得て、<信号、位置>データ対、即ちWi-Fi指紋を構築する。
【0036】
S102、オリジナルWi-Fi指紋をクラスタリングして、Wi-Fi指紋クラスタを得る。
【0037】
Wi-Fi指紋の数を減少し、Wi-Fi指紋間の信号の違いを向上させるために、オリジナルWi-Fi指紋を取得した後、オリジナルWi-Fi指紋をクラスタリングして、Wi-Fi指紋クラスタを得るようにしてもよい。
【0038】
1つのWi-Fi指紋クラスタは少なくとも1つのオリジナルWi-Fi指紋を含み、しかも、Wi-Fi指紋クラスタの数が少ないほど、Wi-Fi指紋クラスタにおけるオリジナルWi-Fi指紋が多くなる。
【0039】
クラスタリングにおいては、オリジナルWi-Fi指紋の位置同士の相対関係によってクラスタリングし、地理的な位置が近いオリジナルWi-Fi指紋を集めて1つのWi-Fi指紋クラスタとしてもよい。クラスタリングを行う際には、クラスタの数(又は各固定クラスタ中心の位置)を予め設定し、クラスタリングにより得られた最終的なWi-Fi指紋クラスタの数を制限してもよく、クラスタの数を制限せずに(クラスタ中心位置も制限せずに)、位置が近いオリジナルWi-Fi指紋をできる限り同一のWi-Fi指紋クラスタに集めてもよい。
【0040】
好ましくは、実際に適用する場合、オリジナルWi-Fi指紋を収集するときに、実際の適用環境でユーザが歩行する経路を考慮するので、クラスタリングを行う際には、道路網ノードをクラスタ中心としてクラスタリングを行い、Wi-Fi指紋クラスタの中心が歩行経路上にあるようにし、これにより、測位精度を高めることができる。クラスタリング過程は、具体的には、ステップ1とステップ2を含む。
ステップ1、オリジナルWi-Fi指紋のそれぞれから道路網ノードのそれぞれまでの水平距離を算出する。
ステップ2、水平距離を利用してオリジナルWi-Fi指紋をクラスタリングして、Wi-Fi指紋クラスタを得る。
【0041】
説明の便宜上、以下、上記の2つのステップを組み合わせて説明する。
【0042】
つまり、クラスタリングにおいては、道路網ノードをクラスタの中心、オリジナルWi-Fi指紋と道路網ノードとの水平距離を基準にして、オリジナルWi-Fi指紋を、オリジナルWi-Fi指紋との水平距離が最も短い道路網ノードに組み込み、各道路網ノードで1つのWi-Fi指紋クラスタを形成する。
【0043】
S103、Wi-Fi指紋クラスタにおけるオリジナルWi-Fi指紋を利用して、新たなWi-Fi指紋を得る。
【0044】
本願の実施例では、Wi-Fi指紋の数を少なくし、Wi-Fi指紋間の信号特性の違いを増大するために、Wi-Fi指紋クラスタごとに、Wi-Fi指紋を改めて再構築してもよい。つまり、新たなWi-Fi指紋は元のWi-Fi指紋クラスタの全てのオリジナルWi-Fi指紋を置換する。
【0045】
具体的には、新たなWi-Fi指紋の取得過程はステップ1~ステップ3を含む。
ステップ1、Wi-Fi指紋クラスタのクラスタ中心に対応する地理座標を取得する。
ステップ2、Wi-Fi指紋クラスタにおける全てのオリジナルWi-Fi指紋に現れたWi-Fiアクセスポイントについて、それぞれのアクセスポイントの受信信号強度の平均値及び受信信号強度の分散値を算出する。
ステップ3、地理座標、各Wi-Fiアクセスポイントの受信信号強度の平均値及び受信信号強度の分散値を利用して、新たなWi-Fi指紋を構築する。
【0046】
説明の便宜上、以下、上記3つのステップを組み合わせて説明する。
【0047】
クラスタリングを行う際には、クラスタ中心は、指定されたものであってもよく、クラスタリングアルゴリズムによりクラスタリングした後に決定されてもよい。このため、本実施例では、クラスタ中心が指定されたものである場合、指定されたクラスタ中心の地理座標を直接取得することができる。クラスタ中心が指定されていない場合、Wi-Fi指紋クラスタにおける全てのオリジナルWi-Fi指紋の地理的な位置の幾何学的中心をクラスタ中心の地理座標として算出することができる。
【0048】
ここで、Wi-Fiアクセスポイントの受信信号強度の平均値は、Wi-FiアクセスポイントのRSSI平均値であり、受信信号強度の分散値はWi-FiアクセスポイントのRSSI分散値である。
【0049】
新たなWi-Fi指紋における位置は、Wi-Fi指紋クラスタのクラスタ中心に対応する地理座標であり、具体的には、経度と緯度の形態で表され、新たなWi-Fi指紋における信号はクラスタにおけるオリジナルWi-Fi指紋に含まれる全てのWi-Fiアクセスポイント及び各アクセスポイントのRSSI平均値とRSSI分散値である。もちろん、本願の別の実施例では、Wi-Fi指紋における信号は他の表現形式としてもよい。
【0050】
明らかに、同一建物内では、Wi-Fi指紋クラスタに基づく新たなWi-Fi指紋の数は、オリジナルWi-Fi指紋の数よりもはるかに少ない。さらに、あるノードの周辺の範囲内で、あるWi-Fiアクセスポイントのこの範囲内の信号特性はWi-Fi指紋クラスタにおけるRSSI統計値で表され、アクセスポイントが複数のオリジナルWi-Fi指紋に繰り返して現れることによる情報の冗長性を回避する。
【0051】
S104、新たなWi-Fi指紋を利用してWi-Fi信号マップを構築する。
【0052】
オリジナルWi-Fi指紋の数よりも少なく且つWi-Fi指紋間の信号の違いがより明らかな新たなWi-Fi指紋を得た後、新たなWi-Fi指紋に基づいてWi-Fi信号マップを構築することができる。
【0053】
Wi-Fi信号マップを構築した後、Wi-Fi信号マップに基づいて測位を行うことができる。該Wi-Fi信号マップのデータ量が少なく、且つWi-Fi指紋の信号特性間の違いがより明らかであるので、測位を行うときに、計算を減少させ、測位精度を高めることができる。
【0054】
本願の実施例による方法を用いると、オリジナルWi-Fi指紋を取得し、オリジナルWi-Fi指紋をクラスタリングして、Wi-Fi指紋クラスタを得て、Wi-Fi指紋クラスタにおけるオリジナルWi-Fi指紋を利用して、新たなWi-Fi指紋を得て、新たなWi-Fi指紋を利用してWi-Fi信号マップを構築する。
【0055】
オリジナルWi-Fi指紋を取得した後、Wi-Fi信号マップのデータ量を削減するために、まず、オリジナルWi-Fi指紋をクラスタリングして、オリジナルWi-Fi指紋よりもデータが少ないWi-Fi指紋クラスタを得る。Wi-Fi指紋の信号特性の相違を向上させるために、オリジナルWi-Fi指紋の代わりに、Wi-Fi指紋クラスタにおけるオリジナルWi-Fi指紋に基づいて、新たなWi-Fi指紋を取得する。次に、Wi-Fi指紋クラスタに対応する新たなWi-Fi指紋のそれぞれに基づいて、Wi-Fi信号マップを構築することができる。クラスタリング及び新たなWi-Fi指紋取得によって、構築されたWi-Fi信号マップのデータ量を大幅に削減し、データキャッシュを削減させて算出オーバーヘッドを減少させることができる一方、Wi-Fi指紋間の信号特性の相違を増強し、測位精度を高めることができる。
【0056】
なお、上記実施例に基づいて、本願の実施例はまた、対応する改良形態を提供する。好ましい/改善された実施例においては、上記実施例と同じステップ又は対応するステップは互いに参照することができ、対応する有益な効果も互いに参照することができ、本明細書の好ましい/改善された実施例においては一々詳細には説明しない。
【0057】
好ましくは、オリジナルWi-Fi指紋のサンプリング効率を高めるために、具体的には、以下のステップを実行することにより、オリジナルWi-Fi指紋を取得してもよい。
ステップ1、室内デジタルマップと、道路網ノードを有するサンプルパスを含む道路網を取得する。
ステップ2、室内デジタルマップを利用して道路網ノードの地理座標を決定する。
ステップ3、サンプルパスを利用して、所定の周波数でWi-Fi走査をトリガーし、Wi-Fiデータを記録する。
ステップ4、Wi-Fiデータと道路網ノードの地理座標を利用して、オリジナルWi-Fi指紋を算出する。
【0058】
説明の便宜上、以下、上記4つのステップを組み合わせて詳細に説明する。
【0059】
具体的には、マップ作成工具を用いてフロアのデジタルマップを作成してもよい。該デジタルマップは廊下、部屋、階段の吹き抜け、エレベーター室及び歩行経路を明らかに変える固定された地上要素(例えば、カーテンウォール、大きな範囲内で配置された椅子や机など)を含むが、これらに限定されるものではない。道路網生成プログラムを用いてデジタルマップ上に点-線構造で歩行可能領域をマークしてもよい。次に、建物の構造上の特徴に応じて道路網ノードの間隔パラメータを設定し、隣り合うノードの間隔がほぼ一致し、地理的な経度と緯度を有する道路網を生成する。例えば、図2に示すように、図2は本願の実施例における道路網の概略図であり、ここで、白抜き黒点は道路網ノードである。
【0060】
好ましくは、構築されたWi-Fi信号マップによる測位をより正確にするために、道路網ノードのタイムスタンプを優先的に算出し、次に、セグメントごとにWi-Fiデータの地理座標を算出することができる。即ち、ステップ4は、具体的には、ステップ4.1~ステップ4.4を含んでもよい。
ステップ4.1、前記サンプルパスのサンプリング開始・終了時間を取得する。
ステップ4.2、前記サンプリング開始・終了時間を利用して前記道路網ノードのタイムスタンプを決定する。
ステップ4.3、道路網ノードのタイムスタンプを利用して、Wi-Fiデータの地理座標を算出する。
ステップ4.4、Wi-Fiデータ、及び該Wi-Fiデータの地理座標を利用して、オリジナルWi-Fi指紋を構築する。
【0061】
具体的には、ステップ4.2は、具体的には、ステップ4.2.1~ステップ4.2.3を含んでもよい。
ステップ4.2.1、前記サンプリング開始・終了時間を利用して前記サンプルパスの合計サンプリング時間を決定する。
ステップ4.2.2、合計サンプリング時間を利用して、道路網ノードのサンプルパスでの相対位置と組み合わせて、サンプリングするときに道路網ノードを通過するタイムスタンプを算出する。
ステップ4.2.3、道路網ノードにタイムスタンプをマークする。
【0062】
実際の適用では、サンプリングプログラムを利用して、サンプリング対象のフロアの室内デジタルマップをロードし、明らかな点線の形態で道路網分布を示してもよい。サンプラーはサンプリングプログラムを使用して、道路網の接続ノードを開始点とし、少なくとも4つの経路ノード(開始点を含んでもよい)を含むサンプルパスを計画する。経路を決定した後、サンプリングプログラムは経路が通過する全ての経路ノード及びこれらの地理的な経度と緯度を記録する。
【0063】
サンプラー(知能ロボットやサンプリング操作者)はサンプリングプログラムにおいて歩行開始を確認し、計画した経路に沿って等速で歩行し、経路終点に到達すると、歩行を終了する。具体的には、サンプラーは、サンプリング過程のトリガー及び終了を手動で行い、また、対応するサンプリング開始・終了時間を記録し、サンプリングにおいては、所定の周波数でWi-Fi走査をトリガーし、走査毎のタイムスタンプ(物理測位位置に1対1で対応する)、走査された各Wi-FiアクセスポイントのSSID、MACアドレス及びRSSI値を記録する。ここで、所定の周波数はマップに必要な精度に応じて設定されてもよく、要求される測位精度が高い場合、所定の周波数は高く設定され、要求される測位精度が低い場合、所定の周波数は低く設定される。
【0064】
得られたサンプルパスの各道路網ノードの地理的な経度と緯度、歩行サンプリングの開始・終了時間、サンプリングにおいて記録された複数回のWi-Fiデータにより1つのサンプリング記録が構成される。一般に、それぞれのフロアに対するサンプリングは複数のサンプルパスに分けて実行されてもよい。サンプラーはサンプルパスごとに歩行サンプリングを行い、サンプルパスが当該フロアの全ての道路網をカバーすると、サンプリングは終了する。
【0065】
オリジナルWi-Fi指紋の取得は2つのステップに分けられる。第1ステップでは、サンプルパスの道路網ノードにタイムスタンプをマークする。サンプラーは等速で歩行するので、歩行開始からあるノードを通過するまでの時間は該ノードと開始点との間の経路長さに比例し、経路の各ノードの地理的な経度と緯度が既知であれば、隣り合うノード間の直線の経路長さ及びサンプルパスの合計長さが算出され得る。サンプルパスのサンプリング開始・終了時間が既知であれば、合計歩行時間が得られる。このように、経路上の任意のノードに対応するタイムスタンプは補間により得られる。第2ステップでは、道路網ノードに対応するタイムスタンプに基づいてWi-Fiデータの位置の地理座標を算出し、まず、Wi-Fiデータのタイムスタンプによって、該データが隣り合うある2つの道路網ノードにより決定される直線経路上にあると決定し、同様に、等速歩行の条件に基づいて、現在の部分の開始点のタイムスタンプからWi-Fiデータタイムスタンプまでの時間は当該部分の開始点からWi-Fiデータの位置までの経路長さに比例し、当該部分の開始点と終了点の経度と緯度の座標とタイムスタンプ、Wi-Fiデータタイムスタンプが既知である場合、Wi-Fiデータに対応する位置の経度と緯度の値が補間により得られ、さらに<信号、位置>データ対、即ちオリジナルWi-Fi指紋が得られる。
【0066】
好ましくは、実際の適用環境では、Wi-Fiの数及び位置に変動が生じることがあることを考慮して、測位の正確さを向上させるために、Wi-Fi信号マップを更新してもよい。Wi-Fi指紋を直接追加する場合に比べて、本願の実施例による信号マップの構築方法に基づいて、Wi-Fi信号マップに既存するWi-Fi指紋を更新することで、マップの低容量及び信号間の特徴の違いを保持することを提案している。具体的には、新たなWi-Fi指紋を利用してWi-Fi信号マップを構築した後、以下のステップを実行することによって、Wi-Fi信号マップを更新してもよい。
ステップ1、マップ更新要求を受信して解析し、目標Wi-Fi指紋を得る。
ステップ2、Wi-Fi信号マップにおいて目標Wi-Fi指紋との水平距離が最も短い目標Wi-Fi指紋クラスタを決定する。
ステップ3、目標Wi-Fi指紋クラスタに目標Wi-Fi指紋を追加する。
ステップ4、目標Wi-Fi指紋クラスタにおける全てのWi-Fi指紋を利用して、目標Wi-Fi指紋クラスタの新たなWi-Fi指紋を改めて算出する。
ステップ5、改めて算出した新たなWi-Fi指紋を利用して、Wi-Fi信号マップを更新する。
【0067】
ここで、目標Wi-Fi指紋は、新たに収集されて修正の重点となる位置のWi-Fi指紋である。
【0068】
目標Wi-Fi指紋を得た後、この目標Wi-Fi指紋がどのWi-Fi指紋クラスタに属するかを決定する。具体的な分類方式としては、この目標Wi-Fi指紋はWi-Fi指紋クラスタとの水平距離が最も短いWi-Fi指紋クラスタに属する。
【0069】
次に、該目標Wi-Fi指紋クラスタに対応する新たなWi-Fi指紋を改めて構築する。新たなWi-Fi指紋を改めて算出すると、Wi-Fi信号マップ中の対応するWi-Fi指紋だけを置換すればよい。
【0070】
以上より、更新終了後、Wi-Fi信号マップにおけるWi-Fi指紋の数は変わらず、しかも、更新後のWi-Fi信号マップには目標Wi-Fi指紋の信号特性が記憶されている。即ち、Wi-Fi信号マップの低容量化を保持しつつ、Wi-Fi指紋間の信号特性の相違を確保する。
【0071】
上記の方法実施例に対応して、本願の実施例はまた、信号マップ構築装置を提供し、下記の信号マップ構築装置は上記の信号マップの構築方法とは互いに対応して参照してもよい。
【0072】
図3に示すように、該装置は、
オリジナルWi-Fi指紋を取得するオリジナルWi-Fi指紋取得モジュール101と、
オリジナルWi-Fi指紋をクラスタリングして、Wi-Fi指紋クラスタを得るクラスタリングモジュール102と、
Wi-Fi指紋クラスタにおけるオリジナルWi-Fi指紋を利用して、新たなWi-Fi指紋を得るWi-Fi指紋融合モジュール103と、
新たなWi-Fi指紋を利用してWi-Fi信号マップを構築する信号マップ構築モジュール104と、を含む。
【0073】
本願の実施例による装置を用いると、オリジナルWi-Fi指紋を取得し、オリジナルWi-Fi指紋をクラスタリングして、Wi-Fi指紋クラスタを得て、Wi-Fi指紋クラスタにおけるオリジナルWi-Fi指紋を利用して、新たなWi-Fi指紋を得て、新たなWi-Fi指紋を利用してWi-Fi信号マップを構築する。
【0074】
オリジナルWi-Fi指紋を取得した後、Wi-Fi信号マップのデータ量を削減するために、まず、オリジナルWi-Fi指紋をクラスタリングして、オリジナルWi-Fi指紋よりもデータが少ないWi-Fi指紋クラスタを得る。Wi-Fi指紋の信号特性の相違を向上させるために、オリジナルWi-Fi指紋の代わりに、Wi-Fi指紋クラスタにおけるオリジナルWi-Fi指紋に基づいて、新たなWi-Fi指紋を取得する。次に、Wi-Fi指紋クラスタに対応する新たなWi-Fi指紋のそれぞれに基づいて、Wi-Fi信号マップを構築することができる。クラスタリング及び新たなWi-Fi指紋取得によって、構築されたWi-Fi信号マップのデータ量を大幅に削減し、データキャッシュを削減させて算出オーバーヘッドを減少させることができる一方、Wi-Fi指紋間の信号特性の相違を増強し、測位精度を高めることができる。
【0075】
本願の1つの具体的な実施形態では、Wi-Fi指紋融合モジュール103は、具体的には、Wi-Fi指紋クラスタのクラスタ中心に対応する地理座標を取得し、Wi-Fi指紋クラスタにおける全てのオリジナルWi-Fi指紋に現れたWi-Fiアクセスポイントについて、前記Wi-Fiアクセスポイントの受信信号強度の平均値及び受信信号強度の分散値を算出し、地理座標を利用して、各Wi-Fiアクセスポイントの受信信号強度の平均値と受信信号強度の分散値、新たなWi-Fi指紋を構築する。
【0076】
本願の1つの具体的な実施形態では、クラスタリングモジュール102は、具体的には、オリジナルWi-Fi指紋のそれぞれから道路網ノードのそれぞれまでの水平距離を算出し、水平距離を利用してオリジナルWi-Fi指紋をクラスタリングして、Wi-Fi指紋クラスタを得る。
【0077】
本願の1つの具体的な実施形態では、オリジナルWi-Fi指紋取得モジュール101は、
室内デジタルマップと、道路網ノードを有するサンプルパスを含む道路網を取得する道路網取得ユニットと、
室内デジタルマップを利用して道路網ノードの地理座標を決定する地理座標算出ユニットと、
サンプルパスを利用して、所定の周波数でWi-Fi走査をトリガーし、Wi-Fiデータを記録するサンプリングユニットと、
Wi-Fiデータと道路網ノードの地理座標を利用して、オリジナルWi-Fi指紋を算出する指紋算出ユニットと、を含む。
【0078】
本願の1つの具体的な実施形態では、指紋算出ユニットは、具体的には、前記サンプルパスのサンプリング開始・終了時間を取得し、前記サンプリング開始・終了時間を利用して前記道路網ノードのタイムスタンプを決定し、道路網ノードのタイムスタンプを利用して、Wi-Fiデータの地理座標を算出し、Wi-Fiデータ、及び該Wi-Fiデータの地理座標を利用して、オリジナルWi-Fi指紋を構築する。
【0079】
本願の1つの具体的な実施形態では、指紋算出ユニットは、具体的には、前記サンプリング開始・終了時間を利用して前記サンプルパスの合計サンプリング時間を決定し、合計サンプリング時間を利用して、道路網ノードのサンプルパスでの相対位置と組み合わせて、サンプリングするときに道路網ノードを通過するタイムスタンプを算出し、道路網ノードにタイムスタンプをマークする。
【0080】
本願の1つの具体的な実施形態では、
新たなWi-Fi指紋を利用してWi-Fi信号マップを構築した後、マップ更新要求を受信して解析し、目標Wi-Fi指紋を得て、
Wi-Fi信号マップにおいて目標Wi-Fi指紋との水平距離が最も短い目標Wi-Fi指紋クラスタを決定し、
目標Wi-Fi指紋クラスタに目標Wi-Fi指紋を追加し、
目標Wi-Fi指紋クラスタにおける全てのWi-Fi指紋を利用し、目標Wi-Fi指紋クラスタの新たなWi-Fi指紋を改めて算出し、
改めて算出した新たなWi-Fi指紋を利用して、Wi-Fi信号マップを更新するマップ更新モジュールをさらに含む。
【0081】
上記の方法実施例に対応して、本願の実施例はまた、信号マップ構築機器を提供し、下記の信号マップ構築機器は上記の信号マップの構築方法とは互いに対応して参照してもよい。
【0082】
図4に示すように、該信号マップ構築機器は、
コンピュータプログラムを記憶するメモリ332と、
コンピュータプログラムを実行すると上記方法実施例に記載の信号マップの構築方法のステップを実現するプロセッサ322と、を含む。
【0083】
具体的には、図5には、本実施例による信号マップ構築機器の具体的な構造概略図が示されており、該信号マップ構築機器は、構成又は性能によって大きく異なり、1つ又は2つ以上のプロセッサ(CPU:central processing units)322(例えば、1つ又は2つ以上のプロセッサ)と、メモリ332と、を含んでもよく、該メモリ332には、1つ又は2つ以上のコンピュータのアプリケーションプログラム342やデータ344が記憶されている。メモリ332は一時記憶又は永続記憶であってもよい。メモリ332に記憶されたプログラムは1つ又は2つ以上のモジュール(図示せず)を含んでもよく、それぞれのモジュールはデータ処理機器における一連の指令操作を含んでもよい。さらに、中央処理ユニット322はメモリ332と通信可能に構成されてもよく、信号マップ構築機器301において記憶媒体330の一連の指令操作が実行される。
【0084】
信号マップ構築機器301は1つ又は2つ以上の電源326をさらに含んでもよく、1つ又は2つ以上の有線又は無線ネットワークインターフェース350、1つ又は2つ以上の入出力インターフェース358、及び/又は、1つ又は2つ以上のオペレーティングシステム341を含んでもよい。
【0085】
上記した信号マップの構築方法のステップは信号マップ構築機器の構造によって実現され得る。
【0086】
上記の方法実施例に対応して、本願の実施例はまた、読み取り可能な記憶媒体を提供し、下記の読み取り可能な記憶媒体は上記の信号マップの構築方法とは互いに対応して参照してもよい。
【0087】
読み取り可能な記憶媒体であって、プロセッサによって実行されると上記方法実施例に記載の信号マップの構築方法のステップを実現するコンピュータプログラムが記憶されている。
【0088】
該読み取り可能な記憶媒体は、具体的には、USBメモリ、移動ハードディスク、読み取り専用メモリ(ROM:Read-Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)、磁気ディスク又はコンパクトディスクなど、プログラムコードを記憶し得る各種の読み取り可能な記憶媒体を含んでもよい。
【0089】
当業者により理解できるように、本明細書で開示された実施例に記載の各例のユニット及びアルゴリズムのステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア又は両方の組み合わせとして実装されてもよく、ハードウェアとソフトウェアの交換性をより明確に説明するために、上記説明においては、各例の構成及びステップは機能によって一般に説明されている。これらの機能がハードウェアで実行されるかソフトウェアの形態で実行されるかは、技術的解決策の特定の用途や設計の制限条件によるものである。当業者であれば、それぞれの特定の用途に応じて、異なる方法を用いて記載の機能を実現してもよいが、このような実現は本願の範囲を超えるものとしてみなすべきではない。
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図1
図2
図3
図4
図5