(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】クリーンブース空気清浄度管理システム
(51)【国際特許分類】
F24F 7/06 20060101AFI20240304BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20240304BHJP
F24F 11/74 20180101ALI20240304BHJP
F24F 11/77 20180101ALI20240304BHJP
B01L 1/00 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
F24F7/06 C
F24F7/007 B
F24F11/74
F24F11/77
B01L1/00 C
(21)【出願番号】P 2019194155
(22)【出願日】2019-10-25
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】591023479
【氏名又は名称】ダイダン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108442
【氏名又は名称】小林 義孝
(72)【発明者】
【氏名】古川 悠
(72)【発明者】
【氏名】多田 光輝
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-095152(JP,A)
【文献】特開2003-279115(JP,A)
【文献】特開昭59-069919(JP,A)
【文献】特開2002-061943(JP,A)
【文献】特開昭61-107030(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
F24F 7/007
F24F 11/74
F24F 11/77
B01L 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業スペースを有する所定容積の作業ブースと、前記作業ブースに出入するために施設されて該作業ブースの内部の空気が流出する第1出入口と、前記第1出入口につながって前記作業ブースから流出した空気が流入する所定容積の緩衝ブースと、前記緩衝ブースに出入するために施設されて該緩衝ブースの内部の空気が流出する第2出入口と、清浄化された空気を前記作業ブースに給気し、前記作業ブースから前記第1出入口を通って前記緩衝ブースに向かって一方向へ流れるとともに該緩衝ブースから前記第2出入口に向かって一方向へ流れる気流をそれらブースの内部に発生させる空調機とを有するクリーンブースの空気清浄度を管理するクリーンブース空気清浄度管理システムにおいて、
前記クリーンブース空気清浄度管理システムが、前記空調機から給気された空気の風量を所定の開口面積の前記第1出入口を通流する空気の風量と推定し、該空調機から給気された空気の風量を計測する第1計測手段と、前記第1計測手段によって計測された第1測定風量と予め設定された第1目標風量とを比較する目標値第1比較手段と、前記目標値第1比較手段によって前記第1測定風量と前記第1目標風量とを比較した結果、前記第1測定風量が前記第1目標風量以下である場合、前記空調機から給気される空気の風量を増加させ、又は、前記空調機に連結されたダクトの空気流量を調節可能なダンパーの開度を大きくすることで該空調機から前記作業ブースに給気される空気の給気風量を増加させる風量増加手段と、前記風量増加手段によって増加させた前記空調機の給気風量が最大風量になったか否かを判断し、又は、前記風量増加手段によって開度を大きくした前記ダンパーの開度が最大開度になったか否かを判断する判断手段と、前記判断手段によって給気風量が前記最大風量になったと判断し、又は、前記判断手段によって前記ダンパーの開度が最大開度になったと判断した場合、前記空調機の異常状態又は前記ダンパーの異常状態を示す信号である第1信号を出力する第1信号出力手段と、前記第1信号出力手段によって前記第1信号を出力した後、前記第1計測手段によって計測された第1測定風量と予め設定された第1設定下限風量とを比較する下限値第1比較手段と、前記下限値第1比較手段によって前記第1測定風量と前記第1設定下限風量とを比較した結果、前記第1測定風量が前記第1設定下限風量未満である場合、前記空調機の異常状態又は前記ダンパーの異常状態を示す信号である第2信号を出力する第2信号出力手段とを含み、
前記クリーンブース空気清浄度管理システムでは、前記判断手段において給気風量が前記最大風量になっていないと判断した場合、又は、前記判断手段においてダンパーの開度が前記最大開度になっていないと判断した場合、前記第1計測手段と前記目標値第1比較手段と前記風量増加手段とを継続して実施し、前記第1測定風量が前記
第1設定下限風量以上であって前記給気風量が前記最大風量になっていない場合、前記第1計測手段と前記目標値第1比較手段と前記風量増加手段とを継続して実施することを特徴とするクリーンブース空気清浄度管理システム。
【請求項2】
前記クリーンブース空気清浄度管理システムが、所定の開口面積の前記第2出入口を通流する空気の風量を計測する第2計測手段と、前記第2計測手段によって計測された第2測定風量と予め設定された第2目標風量とを比較する目標値第2比較手段とを含み、前記風量増加手段が、前記目標値第1比較手段によって前記第1測定風量と前記第1目標風量とを比較した結果、前記第1測定風量が前記第1目標風量以下である場合、及び/又は、前記目標値第2比較手段によって前記第2測定風量と前記第2目標風量とを比較した結果、前記第2測定風量が前記第2目標風量以下である場合、前記空調機から給気される空気の風量を増加させ、又は、前記ダンパーの開度を大きくすることで該空調機から前記作業ブースに給気される空気の給気風量を増加させる請求項1に記載のクリーンブース空気清浄度管理システム。
【請求項3】
前記クリーンブース空気清浄度管理システムでは、前記目標値第1比較手段及び前記目標値第2比較手段において、前記第1測定風量が前記第1目標風量以下になっておらず、該第1測定風量が該第1目標風量を超過していると判断した場合と、前記第2測定風量が前記第2目標風量以下になっておらず、該第2測定風量が該第2目標風量を超過していると判断した場合とのうちの少なくとも一方である場合、前記第1及び第2計測手段と前記目標値第1及び第2比較手段と前記風量増加手段とを継続して実施する請求項2に記載のクリーンブース空気清浄度管理システム。
【請求項4】
前記クリーンブース空気清浄度管理システムが、前記第2計測手段によって計測された前記第2測定風量と予め設定された第2設定下限風量とを比較する下限値第2比較手段を含み、前記第2信号出力手段が、前記下限値第2比較手段によって前記第2測定風量と前記第2設定下限風量とを比較した結果、前記第2測定風量が前記第2設定下限風量未満である場合、前記第2信号を出力し、前記クリーンブース空気清浄度管理システムでは、前記第1測定風量が前記第1設定下限風量以上であり、かつ、前記第2測定風量が前記第2設定下限風量以上であって前記給気風量が前記最大風量になっていない場合、前記第1及び第2計測手段と前記目標値第1及び第2比較手段と前記風量増加手段とを継続して実施する請求項3に記載のクリーンブース空気清浄度管理システム。
【請求項5】
作業スペースを有する所定容積の作業ブースと、前記作業ブースに出入するために施設されて該作業ブースの内部の空気が流出する第1出入口と、前記第1出入口につながって前記作業ブースから流出した空気が流入する所定容積の緩衝ブースと、前記緩衝ブースに出入するために施設されて該緩衝ブースの内部の空気が流出する第2出入口と、清浄化された空気を前記作業ブースに給気し、前記作業ブースから前記第1出入口を通って前記緩衝ブースに向かって一方向へ流れるとともに該緩衝ブースから前記第2出入口に向かって一方向へ流れる気流をそれらブースの内部に発生させる空調機とを有するクリーンブースの空気清浄度を管理するクリーンブース空気清浄度管理システムにおいて、
前記クリーンブース空気清浄度管理システムが、所定の開口面積の前記第1出入口を通流する空気の開口面第1風速を計測する第1計測手段と、前記第1計測手段によって計測された開口面第1風速と予め設定された第1目標風速とを比較する目標値第1比較手段と、前記目標値第1比較手段によって前記開口面第1風速と前記第1目標風速とを比較した結果、前記開口面第1風速が前記第1目標風速以下である場合、前記空調機から給気される空気の風量を増加させ、又は、前記空調機に連結されたダクトの空気流量を調節可能なダンパーの開度を大きくすることで該空調機から前記作業ブースに給気される空気の給気風量を増加させる風量増加手段と、前記風量増加手段によって増加させた前記空調機の給気風量が最大風量になったか否かを判断し、又は、前記風量増加手段によって開度を大きくした前記ダンパーの開度が最大開度になったか否かを判断する判断手段と、前記判断手段によって給気風量が前記最大風量になったと判断し、又は、前記判断手段によって前記ダンパーの開度が最大開度になったと判断した場合、前記空調機の異常状態又は前記ダンパーの異常状態を示す信号である第1信号を出力する第1信号出力手段と、前記第1信号出力手段によって前記第1信号を出力した後、前記第1計測手段によって計測された開口面第1風速と予め設定された第1設定下限風速とを比較する下限値第1比較手段と、前記下限値第1比較手段によって前記
開口面第1風速と前記第1設定下限風速とを比較した結果、前記
開口面第1風速が前記第1設定下限風速未満である場合、前記空調機の異常状態又は前記ダンパーの異常状態を示す信号である第2信号を出力する第2信号出力手段とを含み、
前記クリーンブース空気清浄度管理システムでは、前記判断手段において給気風量が前記最大風量になっていないと判断した場合、又は、前記判断手段においてダンパーの開度が前記最大開度になっていないと判断した場合、前記第1計測手段と前記目標値第1比較手段と前記風量増加手段とを継続して実施し、前記
開口面第1風速が前記
第1設定下限風速以上であって前記給気風量が前記最大風量になっていない場合、前記第1計測手段と前記目標値第1比較手段と前記風量増加手段とを継続して実施することを特徴とするクリーンブース空気清浄度管理システム。
【請求項6】
前記クリーンブース空気清浄度管理システムが、所定の開口面積の前記第2出入口を通流する空気の開口面第2風速を計測する第2計測手段と、前記第2計測手段によって計測された開口面第2風速と予め設定された第2目標風速とを比較する目標値第2比較手段とを含み、前記風量増加手段が、前記目標値第1比較手段によって前記開口面第1風速と前記第1目標風速とを比較した結果、前記開口面第1風速が前記第1目標風速以下である場合、及び/又は、前記目標値第2比較手段によって前記開口面第2風速と前記第2目標風速とを比較した結果、前記開口面第2風速が前記第2目標風速以下である場合、前記空調機から給気される空気の風量を増加させ、又は、前記ダンパーの開度を大きくすることで該空調機から前記作業ブースに給気される空気の給気風量を増加させる請求項5に記載のクリーンブース空気清浄度管理システム。
【請求項7】
前記クリーンブース空気清浄度管理システムでは、前記目標値第1比較手段及び前記目標値第2比較手段において、前記開口面第1風速が前記第1目標風速以下になっておらず、該開口面第1風速が該第1目標風速を超過していると判断した場合と、前記開口面第2風速が前記第2目標風速以下になっておらず、該開口面第2風速が該第2目標風速を超過していると判断した場合とのうちの少なくとも一方である場合、前記第1及び第2計測手段と前記目標値第1及び第2比較手段と前記風量増加手段とを継続して実施する請求項6に記載のクリーンブース空気清浄度管理システム。
【請求項8】
前記クリーンブース空気清浄度管理システムが、前記第2計測手段によって計測された開口面第2風速と予め設定された第2設定下限風速とを比較する下限値第2比較手段を含み、前記第2信号出力手段が、前記下限値第2比較手段によって前記開口面第2風速と前記第2設定下限風速とを比較した結果、前記開口面第2風速が前記第2設定下限風速未満である場合、前記第2信号を出力し、前記クリーンブース空気清浄度管理システムでは、前記開口面第1風速が前記第1設定下限風速以上であり、かつ、前記開口面第2風速が前記第2設定下限風速以上であって前記給気風量が最大風量になっていない場合、前記第1及び第2計測手段と前記目標値第1及び第2比較手段と前記風量増加手段とを継続して実施する請求項7に記載のクリーンブース空気清浄度管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業ブースと緩衝ブースとを備えたクリーンブースの空気清浄度を管理するクリーンブース空気清浄度管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
安全キャビネットを収容可能であって所定の作業スペースを有する所定容積の作業ブースと、作業ブースに出入するために施設されて作業ブースの内部の空気が流出する第1出入口と、第1出入口につながって作業ブースから流出した空気が流入する所定容積の緩衝ブースと、緩衝ブースに出入するために施設されて緩衝ブースの内部の空気が流出する第2出入口と、作業ブースに外部空気を給気する外部空気給気口を有し、外部空気給気口から第1出入口に向かうとともに第1出入口から第2出入口に向かって一方向へ流れる気流を発生させるファンフィルターユニットと、安全キャビネットを通流した空気を作業ブースに還気する還気手段及び安全キャビネットを通流した空気を外部に排気する排気手段のうちの少なくとも還気手段とを備えたクリーンブースが開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
このクリーンブースは、建造物の内部の所定の箇所に施設される。クリーンブースでは、外部空気給気口から作業ブースに給気される外部空気によって外部空気給気口から第1出入口に向かって一方向へ流れる気流が作業ブースの内部に発生するとともに、第1出入口から緩衝ブースを通って第2出入口に向かって一方向へ流れる気流が緩衝ブースの内部に発生し、緩衝ブースを通流する空気が第1出入口から作業ブースの内部に逆流することなく、作業ブースの内部の空気が第1出入口から緩衝ブースに流出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に開示のクリーンブースは、それに利用されるファンフィルターユニットに設置されたエアフィルターに塵埃や微細な粒子が捕集されるが、ファンフィルターユニットの継続稼働によってエアフィルターが塵埃や微細な粒子によって次第に目詰まりし、エアフィルターの目詰まりによってエアフィルターの空気抵抗が次第に大きくなる。エアフィルターの空気抵抗が大きくなると、エアフィルターを空気がスムースに通流することができず、その結果、ファンフィルターユニットから給気される空気の給気風量や給気風速が低下する。
【0006】
ファンフィルターユニットから給気される空気の給気風量や給気風速が低下すると、クリーンブースを施設した建造物の内部に所定の原因によって気流の乱れ(外乱)が生じ、気流の乱れ(外乱)がクリーンブースの第1出入口に作用した場合、空気が第1出入口から作業ブースの内部に向かって逆流し、汚染された空気が作業ブースの内部の清浄空気に混入するコンタミネーションを引き起こす場合がある。コンタミネーションが起きると、作業ブースの内部の空気の清浄度を維持することができない。
【0007】
本発明の目的は、作業ブースの内部への空気の逆流を防ぐことができ、作業ブースの内部の空気の清浄度を維持することができるクリーンブース空気清浄度管理システムを提供することにある。本発明の他の目的は、所定の原因によって気流の乱れ(外乱)が生じ、気流の乱れ(外乱)が第1及び第2出入口に作用したとしても、作業ブースの内部への空気の流入を防ぐことができ、汚染された空気が作業ブースの内部の清浄空気に混入するコンタミネーションを引き起こすことはなく、作業ブースの内部の空気の清浄度を維持することができるクリーンブース空気清浄度管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための本発明の前提は、作業スペースを有する所定容積の作業ブースと、作業ブースに出入するために施設されて作業ブースの内部の空気が流出する第1出入口と、第1出入口につながって作業ブースから流出した空気が流入する所定容積の緩衝ブースと、緩衝ブースに出入するために施設されて緩衝ブースの内部の空気が流出する第2出入口と、清浄化された空気を作業ブースに給気し、作業ブースから第1出入口を通って緩衝ブースに向かって一方向へ流れるとともに緩衝ブースから第2出入口に向かって一方向へ流れる気流をそれらブースの内部に発生させる空調機とを有するクリーンブースの空気清浄度を管理するクリーンブース空気清浄度管理システムである。
【0009】
前記前提における本発明の第1の特徴としては、クリーンブース空気清浄度管理システムが、空調機から給気された空気の風量を所定の開口面積の第1出入口を通流する空気の風量と推定し、空調機から給気された空気の風量を計測する第1計測手段と、第1計測手段によって計測された第1測定風量と予め設定された第1目標風量とを比較する目標値第1比較手段と、目標値第1比較手段によって第1測定風量と第1目標風量とを比較した結果、第1測定風量が第1目標風量以下である場合、空調機から給気される空気の風量を増加させ、又は、空調機に連結されたダクトの空気流量を調節可能なダンパーの開度を大きくすることで空調機から作業ブースに給気される空気の給気風量を増加させる風量増加手段と、風量増加手段によって増加させた空調機の給気風量が最大風量になったか否かを判断し、又は、風量増加手段によって開度を大きくしたダンパーの開度が最大開度になったか否かを判断する判断手段と、判断手段によって給気風量が最大風量になったと判断し、又は、判断手段によってダンパーの開度が最大開度になったと判断した場合、空調機の異常状態又はダンパーの異常状態を示す信号である第1信号を出力する第1信号出力手段と、第1信号出力手段によって第1信号を出力した後、第1計測手段によって計測された第1測定風量と予め設定された第1設定下限風量とを比較する下限値第1比較手段と、下限値第1比較手段によって第1測定風量と第1設定下限風量とを比較した結果、第1測定風量が第1設定下限風量未満である場合、空調機の異常状態又はダンパーの異常状態を示す信号である第2信号を出力する第2信号出力手段とを含み、クリーンブース空気清浄度管理システムでは、判断手段において給気風量が最大風量になっていないと判断した場合、又は、判断手段においてダンパーの開度が最大開度になっていないと判断した場合、第1計測手段と目標値第1比較手段と風量増加手段とを継続して実施し、第1測定風量が第1設定下限風量以上であって給気風量が前記最大風量になっていない場合、第1計測手段と目標値第1比較手段と風量増加手段とを継続して実施することにある。
【0010】
第1の特徴を有する本発明の一例としては、クリーンブース空気清浄度管理システムが、所定の開口面積の第2出入口を通流する空気の風量を計測する第2計測手段と、第2計測手段によって計測された第2測定風量と予め設定された第2目標風量とを比較する目標値第2比較手段とを含み、風量増加手段が、目標値第1比較手段によって第1測定風量と第1目標風量とを比較した結果、第1測定風量が第1目標風量以下である場合、及び/又は、目標値第2比較手段によって第2測定風量と第2目標風量とを比較した結果、第2測定風量が第2目標風量以下である場合、空調機から給気される空気の風量を増加させ、又は、ダンパーの開度を大きくすることで空調機から作業ブースに給気される空気の給気風量を増加させる。
【0011】
第1の特徴を有する本発明の他の一例として、クリーンブース空気清浄度管理システムでは、目標値第1比較手段及び目標値第2比較手段において、第1測定風量が第1目標風量以下になっておらず、第1測定風量が第1目標風量を超過していると判断した場合と、第2測定風量が第2目標風量以下になっておらず、第2測定風量が第2目標風量を超過していると判断した場合とのうちの少なくとも一方である場合、第1及び第2計測手段と目標値第1及び第2比較手段と風量増加手段とを継続して実施する。
【0012】
第1の特徴を有する本発明の他の一例としては、クリーンブース空気清浄度管理システムが、第2計測手段によって計測された第2測定風量と予め設定された第2設定下限風量とを比較する下限値第2比較手段を含み、第2信号出力手段が、下限値第2比較手段によって第2測定風量と第2設定下限風量とを比較した結果、第2測定風量が第2設定下限風量未満である場合、第2信号を出力し、クリーンブース空気清浄度管理システムでは、第1測定風量が第1設定下限風量以上であり、かつ、第2測定風量が第2設定下限風量以上であって給気風量が最大風量になっていない場合、第1及び第2計測手段と目標値第1及び第2比較手段と風量増加手段とを継続して実施する。
【0013】
前記前提における本発明の第2の特徴としては、クリーンブース空気清浄度管理システムが、所定の開口面積の第1出入口を通流する空気の開口面第1風速を計測する第1計測手段と、第1計測手段によって計測された開口面第1風速と予め設定された第1目標風速とを比較する目標値第1比較手段と、目標値第1比較手段によって開口面第1風速と第1目標風速とを比較した結果、開口面第1風速が第1目標風速以下である場合、空調機から給気される空気の風量を増加させ、又は、空調機に連結されたダクトの空気流量を調節可能なダンパーの開度を大きくすることで空調機から作業ブースに給気される空気の給気風量を増加させる風量増加手段と、風量増加手段によって増加させた空調機の給気風量が最大風量になったか否かを判断し、又は、風量増加手段によって開度を大きくしたダンパーの開度が最大開度になったか否かを判断する判断手段と、判断手段によって給気風量が最大風量になったと判断し、又は、判断手段によってダンパーの開度が最大開度になったと判断した場合、空調機の異常状態又はダンパーの異常状態を示す信号である第1信号を出力する第1信号出力手段と、第1信号出力手段によって第1信号を出力した後、第1計測手段によって計測された開口面第1風速と予め設定された第1設定下限風速とを比較する下限値第1比較手段と、下限値第1比較手段によって開口面第1風速と第1設定下限風速とを比較した結果、開口面第1風速が第1設定下限風速未満である場合、空調機の異常状態又はダンパーの異常状態を示す信号である第2信号を出力する第2信号出力手段とを含み、クリーンブース空気清浄度管理システムでは、判断手段において給気風量が前記最大風量になっていないと判断した場合、又は、判断手段においてダンパーの開度が最大開度になっていないと判断した場合、第1計測手段と目標値第1比較手段と風量増加手段とを継続して実施し、開口面第1風速が第1設定下限風速以上であって給気風量が最大風量になっていない場合、第1計測手段と目標値第1比較手段と風量増加手段とを継続して実施することにある。
【0014】
第2の特徴を有する本発明の一例としては、クリーンブース空気清浄度管理システムが、所定の開口面積の第2出入口を通流する空気の開口面第2風速を計測する第2計測手段と、第2計測手段によって計測された開口面第2風速と予め設定された第2目標風速とを比較する目標値第2比較手段とを含み、風量増加手段が、目標値第1比較手段によって開口面第1風速と第1目標風速とを比較した結果、開口面第1風速が第1目標風速以下である場合、及び/又は、目標値第2比較手段によって開口面第2風速と第2目標風速とを比較した結果、開口面第2風速が第2目標風速以下である場合、空調機から給気される空気の風量を増加させ、又は、ダンパーの開度を大きくすることで空調機から作業ブースに給気される空気の給気風量を増加させる。
【0015】
第2の特徴を有する本発明の他の一例として、クリーンブース空気清浄度管理システムでは、目標値第1比較手段及び目標値第2比較手段において、開口面第1風速が第1目標風速以下になっておらず、開口面第1風速が第1目標風速を超過していると判断した場合と、開口面第2風速が第2目標風速以下になっておらず、開口面第2風速が第2目標風速を超過していると判断した場合とのうちの少なくとも一方である場合、第1及び第2計測手段と目標値第1及び第2比較手段と風量増加手段とを継続して実施する。
【0016】
第2の特徴を有する本発明の他の一例としては、クリーンブース空気清浄度管理システムが、第2計測手段によって計測された開口面第2風速と予め設定された第2設定下限風速とを比較する下限値第2比較手段を含み、第2信号出力手段が、下限値第2比較手段によって開口面第2風速と第2設定下限風速とを比較した結果、開口面第2風速が第2設定下限風速未満である場合、第2信号を出力し、クリーンブース空気清浄度管理システムでは、開口面第1風速が第1設定下限風速以上であり、かつ、開口面第2風速が第2設定下限風速以上であって給気風量が最大風量になっていない場合、第1及び第2計測手段と目標値第1及び第2比較手段と風量増加手段とを継続して実施する。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るクリーンブース空気清浄度管理システムによれば、給気手段から給気された空気の風量と風速とのうちの少なくとも一方を計測し、計測した風量と風速とのうちの少なくとも一方と予め設定された第1目標値とを比較するとともに、風量と風速とのうちの少なくとも一方と第1目標値とを比較した結果、風量と風速とのうちの少なくとも一方が第1目標値以下である場合、給気手段から作業ブースに給気される空気の給気風量を増加させるから、第1目標値を超過する給気風量の空気が給気手段から常時作業ブースに給気され、作業ブースから第1出入口を通って緩衝ブースに向かって一方向へ流れるとともに緩衝ブースから第2出入口に向かって一方向へ流れる気流を作業ブースや緩衝ブースの内部に発生させることができ、作業ブースの内部への空気の逆流を防ぐことができるとともに、作業ブースの内部の空気の清浄度を維持することができる。クリーンブース空気清浄度管理システムは、風量と風速とのうちの少なくとも一方が第1目標値以下である場合、作業ブースから第1出入口を通って緩衝ブースに向かって一方向へ流れるとともに緩衝ブースから第2出入口に向かって一方向へ流れる気流が発生するように給気手段から給気する空気の給気風量が増加(調節)されるから、所定の原因によって気流の乱れ(外乱)が生じ、気流の乱れが第1及び第2出入口に作用したとしても、作業ブースの内部への空気の流入を防ぐことができ、汚染された空気が作業ブースの内部の清浄空気に混入するコンタミネーションを引き起こすことはなく、作業ブースの内部の空気の清浄度を維持することができる。
【0018】
所定の開口面積の第1出入口を通流する空気の風量を計測し、計測された第1測定風量と第1目標値である予め設定された第1目標風量とを比較した結果、第1測定風量が第1目標風量以下である場合、給気手段から作業ブースに給気される空気の給気風量を増加させるクリーンブース空気清浄度管理システムは、第1目標風量を超過する給気風量の空気が給気手段から常時作業ブースに給気されるから、作業ブースから第1出入口を通って緩衝ブースに向かって一方向へ流れるとともに緩衝ブースから第2出入口に向かって一方向へ流れる気流を作業ブースや緩衝ブースの内部に発生させることができ、作業ブースの内部への空気の逆流を防ぐことができるとともに、作業ブースの内部の空気の清浄度を維持することができる。クリーンブース空気清浄度管理システムは、第1測定風量が第1目標風量以下である場合、作業ブースから第1出入口を通って緩衝ブースに向かって一方向へ流れるとともに緩衝ブースから第2出入口に向かって一方向へ流れる気流が発生するように給気手段から給気する空気の給気風量が増加(調節)されるから、所定の原因によって気流の乱れ(外乱)が生じ、気流の乱れが第1及び第2出入口に作用したとしても、作業ブースの内部への空気の流入を防ぐことができ、汚染された空気が作業ブースの内部の清浄空気に混入するコンタミネーションを引き起こすことはなく、作業ブースの内部の空気の清浄度を確実に維持することができる。
【0019】
所定の開口面積の第1出入口を通流する空気の開口面第1風速を計測し、計測された開口面第1風速と第1目標値である予め設定された第1目標風速とを比較した結果、開口面第1風速が第1目標風速以下である場合、給気手段から作業ブースに給気される空気の給気風量を増加させるクリーンブース空気清浄度管理システムは、第1目標風速を超過する給気風速の空気が給気手段から常時作業ブースに給気されるから、作業ブースから第1出入口を通って緩衝ブースに向かって一方向へ流れるとともに緩衝ブースから第2出入口に向かって一方向へ流れる気流を作業ブースや緩衝ブースの内部に発生させることができ、作業ブースの内部への空気の逆流を防ぐことができるとともに、作業ブースの内部の空気の清浄度を維持することができる。クリーンブース空気清浄度管理システムは、開口面第1風速が第1目標風速以下である場合、作業ブースから第1出入口を通って緩衝ブースに向かって一方向へ流れるとともに緩衝ブースから第2出入口に向かって一方向へ流れる気流が発生するように給気手段から給気する空気の給気風量が増加(調節)されるから、所定の原因によって気流の乱れ(外乱)が生じ、気流の乱れが第1及び第2出入口に作用したとしても、作業ブースの内部への空気の流入を防ぐことができ、汚染された空気が作業ブースの内部の清浄空気に混入するコンタミネーションを引き起こすことはなく、作業ブースの内部の空気の清浄度を確実に維持することができる。
【0020】
増加させた給気手段の給気風量が最大風量になったか否かを判断し、給気風量が最大風量になったと判断した場合、所定の第1信号を出力するクリーンブース空気清浄度管理システムは、給気風量が最大風量になった場合、給気手段の給気風量をそれ以上増加させることができないから、第1信号を出力することで、風量や風速が第1設定値以下になった原因を除去するように注意を喚起することができる。クリーンブース空気清浄度管理システムは、給気風量が最大風量になっていないと判断した場合、第1計測手段と目標値第1比較手段と風量増加手段とを継続して実施するから、それら手段によって作業ブースから第1出入口を通って緩衝ブースに向かって一方向へ流れるとともに緩衝ブースから第2出入口に向かって一方向へ流れる気流を作業ブースや緩衝ブースの内部に発生させることができ、作業ブースの内部への空気の逆流を防ぐことができるとともに、作業ブースの内部の空気の清浄度を維持することができる。
【0021】
第1信号を出力した後、計測した風量と風速とのうちの少なくとも一方と予め設定された第1下限値とを比較し、風量と風速とのうちの少なくとも一方と第1下限値とを比較した結果、風量と風速とのうちの少なくとも一方が第1下限値未満である場合、所定の第2信号を出力するクリーンブース空気清浄度管理システムは、風量と風速とのうちの少なくとも一方が第1下限値未満になった場合、作業ブースから第1出入口を通って緩衝ブースに向かって一方向へ流れるとともに緩衝ブースから第2出入口に向かって一方向へ流れる気流を発生させることが不可能になるから、第2信号を出力することで、風量や風速が第1下限値未満になった原因を除去するように再度注意を喚起することができる。クリーンブース空気清浄度管理システムは、風量と風速とのうちの少なくとも一方が第1下限値以上であって給気風量が最大風量になっていない場合、第1計測手段と目標値第1比較手段と風量増加手段とを継続して実施するから、それら手段によって作業ブースから第1出入口を通って緩衝ブースに向かって一方向へ流れるとともに緩衝ブースから第2出入口に向かって一方向へ流れる気流を作業ブースや緩衝ブースの内部に発生させることができ、作業ブースの内部への空気の逆流を防ぐことができるとともに、作業ブースの内部の空気の清浄度を維持することができる。
【0022】
計測された第1測定風量と第1下限値である予め設定された第1設定下限風量とを比較した結果、第1測定風量が第1設定下限風量未満である場合、第2信号を出力するクリーンブース空気清浄度管理システムは、第1測定風量が第1設定下限風量未満になった場合、作業ブースから第1出入口を通って緩衝ブースに向かって一方向へ流れるとともに緩衝ブースから第2出入口に向かって一方向へ流れる気流を発生させることが不可能になるから、第2信号を出力することで、第1測定風量が第1設定下限風量未満になった原因を除去するように再度注意を喚起することができる。クリーンブース空気清浄度管理システムは、第1測定風量が第1設定下限風量以上であって給気風量が最大風量になっていない場合、第1計測手段と目標値第1比較手段と風量増加手段とを継続して実施するから、それら手段によって作業ブースから第1出入口を通って緩衝ブースに向かって一方向へ流れるとともに緩衝ブースから第2出入口に向かって一方向へ流れる気流を作業ブースや緩衝ブースの内部に発生させることができ、作業ブースの内部への空気の逆流を防ぐことができるとともに、作業ブースの内部の空気の清浄度を維持することができる。
【0023】
計測された開口面第1風速と第1下限値である予め設定された第1設定下限風速とを比較した結果、開口面第1風速が第1設定下限風速未満である場合、第2信号を出力するクリーンブース空気清浄度管理システムは、開口面第1風速が第1設定下限風速未満になった場合、作業ブースから第1出入口を通って緩衝ブースに向かって一方向へ流れるとともに緩衝ブースから第2出入口に向かって一方向へ流れる気流を発生させることが不可能になるから、第2信号を出力することで、開口面第1風速が第1設定下限風速未満になった原因を除去するように再度注意を喚起することができる。クリーンブース空気清浄度管理システムは、開口面第1風速が第1設定下限風速以上であって給気風量が最大風量になっていない場合、第1計測手段と目標値第1比較手段と風量増加手段とを継続して実施するから、それら手段によって作業ブースから第1出入口を通って緩衝ブースに向かって一方向へ流れるとともに緩衝ブースから第2出入口に向かって一方向へ流れる気流を作業ブースや緩衝ブースの内部に発生させることができ、作業ブースの内部への空気の逆流を防ぐことができるとともに、作業ブースの内部の空気の清浄度を維持することができる。
【0024】
所定の開口面積の第2出入口を通流する空気の風量を計測し、計測された第2測定風量と予め設定された第2目標風量とを比較し、第1測定風量と第1目標風量とを比較した結果、第1測定風量が第1目標風量以下である場合、及び/又は、第2測定風量と第2目標風量とを比較した結果、第2測定風量が第2目標風量以下である場合、給気手段から作業ブースに給気される空気の給気風量を増加させるクリーンブース空気清浄度管理システムは、第1目標風量及び/又は第2目標風量を超過する給気風量の空気が給気手段から常時作業ブースに給気されるから、作業ブースから第1出入口を通って緩衝ブースに向かって一方向へ流れるとともに緩衝ブースから第2出入口に向かって一方向へ流れる気流を作業ブースや緩衝ブースの内部に発生させることができ、作業ブースの内部への空気の逆流を防ぐことができるとともに、作業ブースの内部の空気の清浄度を維持することができる。クリーンブース空気清浄度管理システムは、第1測定風量が第1目標風量以下である場合、及び/又は、第2測定風量が第2目標風量以下である場合、作業ブースから第1出入口を通って緩衝ブースに向かって一方向へ流れるとともに緩衝ブースから第2出入口に向かって一方向へ流れる気流が発生するように給気手段から給気する空気の給気風量が増加(調節)されるから、所定の原因によって気流の乱れ(外乱)が生じ、気流の乱れが第1及び第2出入口に作用したとしても、作業ブースの内部への空気の流入を防ぐことができ、汚染された空気が作業ブースの内部の清浄空気に混入するコンタミネーションを引き起こすことはなく、作業ブースの内部の空気の清浄度を維持することができる。
【0025】
計測された第2測定風量と予め設定された第2設定下限風量とを比較した結果、第2測定風量が第2設定下限風量未満である場合、第2信号を出力するクリーンブース空気清浄度管理システムは、第2測定風量が第2設定下限風量未満になった場合、作業ブースから第1出入口を通って緩衝ブースに向かって一方向へ流れるとともに緩衝ブースから第2出入口に向かって一方向へ流れる気流を発生させることが不可能になるから、第2信号を出力することで、第2測定風量が第2設定下限風量未満になった原因を除去するように再度注意を喚起することができる。クリーンブース空気清浄度管理システムは、第1測定風量が第1設定下限風量以上であり、かつ、第2測定風量が第2設定下限風量以上であって給気風量が最大風量になっていない場合、第1及び第2計測手段と目標値第1及び第2比較手段と風量増加手段とを継続して実施するから、それら手段によって作業ブースから第1出入口を通って緩衝ブースに向かって一方向へ流れるとともに緩衝ブースから第2出入口に向かって一方向へ流れる気流を作業ブースや緩衝ブースの内部に発生させることができ、作業ブースの内部への空気の逆流を防ぐことができるとともに、作業ブースの内部の空気の清浄度を維持することができる。
【0026】
所定の開口面積の第2出入口を通流する空気の開口面第2風速を計測し、開口面第1風速と予め設定された第1目標風速とを比較した結果、開口面第1風速が第1目標風速以下である場合、及び/又は、開口面第2風速と予め設定された第2目標風速とを比較した結果、開口面第2風速が第2目標風速以下である場合、給気手段から作業ブースに給気される空気の給気風量を増加させるクリーンブース空気清浄度管理システムは、第1目標風速及び/又は第2目標風速を超過する給気風量の空気が給気手段から常時作業ブースに給気されるから、作業ブースから第1出入口を通って緩衝ブースに向かって一方向へ流れるとともに緩衝ブースから第2出入口に向かって一方向へ流れる気流を作業ブースや緩衝ブースの内部に発生させることができ、作業ブースの内部への空気の逆流を防ぐことができるとともに、作業ブースの内部の空気の清浄度を維持することができる。クリーンブース空気清浄度管理システムは、開口面第1風速が第1目標風速以下である場合、及び/又は、開口面第2風速が第2目標風速以下である場合、作業ブースから第1出入口を通って緩衝ブースに向かって一方向へ流れるとともに緩衝ブースから第2出入口に向かって一方向へ流れる気流が発生するように給気手段から給気する空気の給気風量が増加(調節)されるから、所定の原因によって気流の乱れ(外乱)が生じ、気流の乱れが第1及び第2出入口に作用したとしても、作業ブースの内部への空気の流入を防ぐことができ、汚染された空気が作業ブースの内部の清浄空気に混入するコンタミネーションを引き起こすことはなく、作業ブースの内部の空気の清浄度を維持することができる。
【0027】
計測された開口面第2風速と予め設定された第2設定下限風速とを比較した結果、開口面第2風速が第2設定下限風速未満である場合、第2信号を出力するクリーンブース空気清浄度管理システムは、開口面第2風速が第2設定下限風速未満になった場合、作業ブースから第1出入口を通って緩衝ブースに向かって一方向へ流れるとともに緩衝ブースから第2出入口に向かって一方向へ流れる気流を発生させることが不可能になるから、第2信号を出力することで、開口面第2風速が第2設定下限風速未満になった原因を除去するように再度注意を喚起することができる。クリーンブース空気清浄度管理システムは、開口面第1風速が第1設定下限風速以上であり、かつ、開口面第2風速が第2設定下限風速以上であって給気風量が最大風量になっていない場合、第1及び第2計測手段と目標値第1及び第2比較手段と風量増加手段とを継続して実施するから、それら手段によって作業ブースから第1出入口を通って緩衝ブースに向かって一方向へ流れるとともに緩衝ブースから第2出入口に向かって一方向へ流れる気流を作業ブースや緩衝ブースの内部に発生させることができ、作業ブースの内部への空気の逆流を防ぐことができるとともに、作業ブースの内部の空気の清浄度を維持することができる。
【0028】
給気手段が空調機であり、風量増加手段が空調機から給気される空気の風量を増加させ、又は、空調機に連結されたダクトの空気流量を調節可能なダンパーの開度を大きくすることで空調機から給気される空気の風量を増加させるクリーンブース空気清浄度管理システムは、空調機に設置されたエアフィルターが塵埃や微細な粒子によって次第に目詰まりし、エアフィルターの目詰まりによってエアフィルターの空気抵抗が次第に大きくなり、空調機から給気される空気の給気風量や給気風速が低下したとしても、空調機から作業ブースに給気される空気の給気風量を増加させ、又は、空調機に連結されたダクトの空気流量を調節可能なダンパーの開度を大きくすることで空調機から給気される空気の風量を増加させることで、作業ブースから第1出入口を通って緩衝ブースに向かって一方向へ流れるとともに緩衝ブースから第2出入口に向かって一方向へ流れる気流を発生させる給気風量の空気が空調機から給気され、緩衝ブースの内部への空気の逆流を防ぐことができ、作業ブースの内部の空気の清浄度を維持することができる。
【0029】
判断手段が空調機から給気される空気の給気風量が最大風量になったか否かを判断し、第1信号と第2信号とが空調機の異常状態又はダンパーの異常状態を示す信号であるクリーンブース空気清浄度管理システムは、空調機から給気される空気の給気風量が最大風量になった場合、第1信号として空調機の異常状態又はダンパーの異常状態を示す信号を出力し、又は、第2信号として空調機の異常状態又はダンパーの異常状態を示す信号を出力するから、例えば、エアフィルターの目詰まりによってエアフィルターの空気抵抗が次第に大きくなり、給気風量が最大風量になった場合、又は、第1測定風量が第1設定下限風量未満或いは開口面第1風速が第1設定下限風速未満になった場合、空調機の異常又はダンパーの異常を示す第1信号及び第2信号に従ってエアフィルターを交換することで、空調機の給気風量不足を解消することができ、作業ブースから第1出入口を通って緩衝ブースに向かって一方向へ流れるとともに緩衝ブースから第2出入口に向かって一方向へ流れる気流を発生させる給気風量の空気が空調機から給気され、作業ブースの内部への空気の逆流を防ぐことができ、作業ブースの内部の空気の清浄度を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】一例として示すクリーンブースの前方斜視図。
【
図4】一例として示すクリーンブースの前方斜視図。
【
図5】他の一例として示すクリーンブースの上面図。
【
図7】他の一例として示すクリーンブースの上面図。
【
図9】他の一例として示すクリーンブースの上面図。
【
図11】クリーンブース空気清浄度管理システムにおいて行われる各手段の一例を示すフローチャート。
【
図12】クリーンブース空気清浄度管理システムにおいて行われる各手段の他の一例を示すフローチャート。
【
図13】クリーンブース空気清浄度管理システムにおいて行われる各手段の他の一例を示すフローチャート。
【
図14】クリーンブース空気清浄度管理システムにおいて行われる各手段の他の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0031】
一例として示すクリーンブース11A,11Cの前方斜視図である
図1等の添付の図面を参照し、本発明に係るクリーンブース空気清浄度管理システムの詳細を説明すると、以下のとおりである。尚、
図2は、クリーンブース11Aの上面図であり、
図3は、
図2のクリーンブース11Aの側面図である。
【0032】
図2,3では、ファンフィルターユニット13(給気手段)又はパッケージエアコン13(給気手段)、フィルターユニット28、安全キャビネット37、空気給気口38、空調設備の空調空気給気口25(エアーコンディショナーの空調空気給気口25)、各ダクト14~16を模式的に示し、建造物の室12及びクリーンブース11Aにおける空気の流れを矢印で示す。
図2では、ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13、フィルターユニット28、各ダクト14~16の図示を省略している。
図1では、前後方向を矢印A、横方向を矢印Bで示し、上下方向を矢印Cで示し、作業ブースと緩衝ブース20とを区切る第1正面壁32の図示を省略している。
【0033】
クリーンブース11A(クリーンブース11B~11Dを含む。)は、研究棟や実験棟、医療棟、製造工場等の建造物の室12の室内(作業室内部)の所定の箇所に施設され、各種の実験や研究、開発、培養等の作業に利用され、その内部(作業ブース17、緩衝ブース20)が所定の清浄度の空気かつ陽圧になるように管理されている。
図2では、1つのクリーンブース11Aを図示しているが、複数のクリーンブース11A(クリーンブース11B~11Dを含む。)が室12の室内に施設される場合がある。
【0034】
クリーンブース11Aは、ファンフィルターユニット13(空調機)又はパッケージエアコン13(空調機)、還気ダクト14(還気手段)、外気ダクト15、給気ダクト16、作業ブース17、第1出入口18、第2出入口19、緩衝ブース20(緩衝スペース)を有する。クリーンブース11Aでは、建造物の室12の室内(内部)の天井パネル21(天井面)がクリーンブース11A(作業ブース17及び緩衝ブース20)の天井22(天井面)を形成し、室12の室内の床スラブ23(床面)がクリーンブース11A(作業ブース17及び緩衝ブース20)の床24(床面)を形成している。
【0035】
建造物には、室12の室内(内部)に空調空気を給気する空調設備(図示せず)が施設されている。室12の室内のシステム天井21(天井パネル21)には、空調設備(エアーコンディショナー)によって生成された空調空気を室12の室内に給気する空調空気給気口25(吹き出し口)が設置されているとともに、図示はしていないが、その他の天井設備機器が設置されている(クリーンブース11B~11Dを設置した建造物の室12も同様)。空調空気給気口25は、給気ダクト41によって連結されている。
【0036】
室12の室内の側壁には、室内の空気を外部に排気する空気排気口26(ガラリ)が設置されている。空気排気口26(ガラリ)は、排気ダクト42に連結されている。室12の室内には、図示はしていないが、室12の室内の室圧を計測する室圧センサー、室内の温度を計測する温度センサー、室内の湿度を計測する湿度センサーが設置されている(クリーンブース11B~11Dを設置した
図5~
図10に示す建造物の室12も同様)。室圧センサーや温度センサー、湿度センサーは、空調設備の制御装置に接続されている。空調空気給気口25から室12の室内(内部)に向かって所定風量の空調空気が給気されているとともに、空気排気口26から所定風量の空気が室12の室内から外部に排気され、空調設備(エアーコンディショナー)の制御装置によって室12の室内が設定室圧及び設定温度並びに設定湿度に保持されている。
【0037】
ファンフィルターユニット13(FFU)又はパッケージエアコン13(PAC)は、建造物の室12の室内のシステム天井21の天井裏(天井空間)に設置されている。ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13の制御部には、コントローラ27が接続されている。ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13には、フィルターユニット28が設置されている。ファンフィルターユニット13には、還気ダクト14(還気手段)が連結されているとともに、外気ダクト15が連結され、パッケージエアコン13には、還気ダクト14(還気手段)が連結されている。還気ダクト14は、室12の室内の空気(還気)をファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13に流入させ、外気ダクト15は、外気をファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13に流入させる。
【0038】
フィルターユニット28(ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13)は、給気ダクト16によって後記する空気給気口38に連結されている。フィルターユニット28には、HEPAフィルター(エアフィルター)が着脱可能に設置されている。フィルターユニット28(HEPAフィルター)は、そこを通流する空気に含まれる塵埃や微細な粒子を捕集し、空気を清浄化する。ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13は、所定風量の清浄空気(フィルターユニット28のHEPAフィルターによって清浄化された空気)を給気ダクト16を介してクリーンブース11Aの内部(作業ブース17の内部)に給気する。
【0039】
尚、HEPAフィルターに捕集された塵埃や微細な粒子がHEPAフィルターに堆積し、HEPAフィルターが次第に目詰まりする。HEPAフィルターが目詰まりすると、HEPAフィルターの空気抵抗が大きくなり、HEPAフィルター(フィルターユニット28)を通流する空気の風量(風速)が低下し、その結果、作業ブース17に給気される清浄空気の風量(風速)が低下する。
【0040】
フィルターユニット28(ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13)と空気給気口38との間に延びる給気ダクト16には、風量センサー29(流量センサー)が設置されている。風量センサー29は、コントローラ27に接続され、給気ダクト16を通流する清浄空気の風量を計測し、計測した測定風量をコントローラ27に送信する。
【0041】
コントローラ27は、中央処理部とメモリとを有して独立したオペレーティングシステムによって動作するコンピュータであり、大容量記憶領域を内蔵し、タッチパネル(図示せず)を備えている。コントローラ27の大容量記憶領域には、初期設定風量や初期設定風速、第1目標風量(第1目標値)、第1目標風速(第1目標値)、風量の増加量、ダンパーの旋回羽根の増加開度、最大風量、ダンパーの旋回羽根の最大開度、第1設定下限風量(第1下限値)、第1設定下限風速(第1下限値)、第2目標風量、第2設定下限風量、第2目標風速、第2設定下限風速が記憶(格納)されている。初期給気風量や初期給気風速、第1目標風量、第1目標風速、風量の増加量、ダンパーの増加開度、第1設定下限風量、第1設定下限風速、第2目標風量、第2設定下限風量、第2目標風速、第2設定下限風速は、コントローラ27のタッチパネルにおいて任意に設定・変更することができる。
【0042】
クリーンブース11Aは、複数枚の側面パネル30から作られている。側面パネル30は、アルミフレーム又は鋼材フレームと、アルミフレームや鋼材フレームに嵌め込まれた透明なプラスチック板(アクリルボードやポリカーボネートボード、塩ビボード等)又は透明なガラス板とから作られ、その平面形状が四角形に成形されている。
【0043】
それら側面パネル30は、建造物の室12の床材23(床面)と天井材21(天井パネル21)の天井面との間に設置されて上下方向へ延びている。側面パネル30は、横方向へ連結されてクリーンブース11Aの第1正面壁32と背面壁33とを形成し、前後方向へ連結されてクリーンブース11Aの第1側面壁34を形成している。更に、側面パネル30は、横方向へ連結されてクリーンブース11Aの第2正面壁35を形成し、前後方向へ連結されてクリーンブース11Aの第2側面壁36を形成している。それら側面パネル30は、その上端縁が天井材21(天井パネル21)の天井面に気密に連結され、その下端縁が室12の床材23の床面に気密に連結されている。
【0044】
側面パネル30(後記する天面パネル39を含む。)は、建造物の室12の室内(内部)に容易に搬入することができ、室12の室内において着脱可能であり、複数枚のそれら側面パネル30を所定のマニュアル(手順)にしたがって室12の室内に容易かつ迅速に取り付けることができる。側面パネル30(天面パネル39を含む。)は、室12の室内から容易かつ迅速に取り外すことができ、複数枚の側面パネル30に容易に分解することができるとともに、室12の室内から容易に搬出することができる。
【0045】
クリーンブース11Aには、天井パネル21(天井面)と側面パネル30(第1正面壁32、背面壁33、第1側面壁34)と床材23(床面)とに囲繞された所定容積及び所定の床面積の作業ブース17が形成され、天井パネル21(天井面)と側面パネル30(第1正面壁32、第2正面壁35、第2側面壁36)と床材23(床面)とに囲繞された所定容積及び所定の床面積の緩衝ブース20(緩衝スペース)が形成されている。
【0046】
作業ブース17は、所定容積の作業スペースを有し、各種の実験設備を収容可能である。作業ブース17の内部には、安全キャビネット37が収容されている。作業ブース17には、安全キャビネット37の他に、クリーンベンチ、グローブボックス、アイソレータ、ドラフトチャンバを収容することができ、細胞培養装置や遠心分離器、冷凍機等の各種の実験装置、机や棚、コンピュータ(サーバ)等を収容することができる。
【0047】
作業ブース17の容積や床面積に特に制限はなく、作業ブース17で行われる作業内容や収容する実験設備の大きさ、実験設備の数等によってその容積や床面積が決定される。第1出入口18は、作業ブース17に出入するために施設され、側面パネル30によって形成された第1正面壁32の間(第1正面壁32の中央)に開口している。第1出入口18は、その平面形状が縦方向へ長い四角形を呈し、作業者が通行可能な開口面積を有する。第1出入口18からは、作業ブース17の内部の清浄空気が流出する。
【0048】
クリーンブース11Aの第1出入口18には、図示はしていないが、第1出入口18を通流する空気の風速(開口面第1風速)を計測する超音波三次元風速計又は赤外線センサーが設置される場合がある。超音波三次元風速計又は赤外線センサーは、コントローラ27に接続され、計測した第1出入口の風速(開口面第1風速)をコントローラ27に送信する。
【0049】
緩衝ブース20は、第1出入口18と第2出入口19との間に位置し、第1出入口18から第2出入口19に向かって前後方向(空気の流出方向)へ延びているとともに、第1出入口18と第2出入口19との間において横方向(空気の流出方向と交差する方向)へ延びている。緩衝ブース20には、作業ブース17から流出した清浄空気が流入し、第1出入口18から第2出入口19に向かって緩衝ブース20を通流する空気によって空気層が形成される。
【0050】
第2出入口19は、緩衝ブース20に出入するために施設され、側面パネル30によって形成された第2正面壁35の間(第2正面壁35の中央)に開口している。第2出入口19は、その平面形状が縦方向へ長い四角形を呈し、作業者が通行可能な開口面積を有する。第2出入口19からは、緩衝ブース20の内部の空気が流出する。第1出入口18と第2出入口19とは、同形同大であり、第2出入口19は第1出入口18に対向し、緩衝ブース20を挟んで第1出入口18と第2出入口19とが前後方向(一方向)へ一列に並んだ状態で施設されている。尚、第1出入口18と第2出入口19とが異なる形状であってもよく、第1出入口18と第2出入口19とが異なる大きさ(面積)であってもよい。
【0051】
クリーンブース11Aの第2出入口19には、図示はしていないが、第2出入口19を通流する空気の風速(開口面第2風速)を計測する超音波三次元風速計又は赤外線センサーが設置される場合がある。超音波三次元風速計又は赤外線センサーは、コントローラ27に接続され、計測した第2出入口の風速(開口面第2風速)をコントローラ27に送信する。
【0052】
尚、クリーンブース11A(クリーンブース11B~11Dを含む。)では、第1出入口18が第1正面壁32の中央に開口し、第2出入口19が第1正面壁32を正面から見た緩衝ブース20の左側の第2側面壁36に開口し、又は、第2出入口19が第1正面壁32を正面から見た緩衝ブース20の右側の第2側面壁36に開口していてもよい。この場合、第2出入口19が第1出入口18に対して前後方向(一方向)へ一直線に対向せず、第2出入口19が緩衝ブース20を挟んで(緩衝ブース20の介在下に)第1出入口18に対して右側に直交し、又は、左側に直交し、第2出入口19が第1出入口18に対して右側又は左側に開口する。
【0053】
作業ブース17の天井(建造物の室12の室内の天井パネル21)には、作業ブース17に清浄空気を給気する空気給気口38(空気吹き出し口)が設置されている。空気給気口38は、作業ブース17の略中央における天井パネル21に設置されている。空気給気口38には、フィルターユニット28(ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13)から延びる給気ダクト16が連結されている。
【0054】
クリーンブース11Aでは、
図2,3に矢印で示すように、還気ダクト14から室12の室内の空気がファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13に流入するとともに、外気ダクト15から外気が還気ダクト14に流入する。ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13から清浄空気(フィルターユニット28(HEPAフィルタ)によって塵埃や微細な粒子が捕集された清浄空気)が給気ダクト16に流入し、所定風量(例えば、0.3~0.4m/s)の清浄空気が空気給気口38から作業ブース17の内部の床面に向かって給気される。
【0055】
作業ブース17に流入した清浄空気は、作業ブース17から第1出入口18に向かって前後方向(一方向)へ流れ、第1出入口18を通って緩衝ブース20の内部に向かって前後方向(一方向)へ流れるとともに、緩衝ブース20から第2出入口19に向かって前後方向(一方向)へ流れ、第2出入口19から室12の室内に流出する。第2出入口19から室12の室内に流出した空気は、還気ダクト14に流入し、還気ダクト14からファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13に再び流入する。
【0056】
クリーンブース11Aでは、ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13から作業ブース17の内部の床面に向かって所定風量の清浄空気を給気することで、作業ブース17の内部気圧を陽圧に維持しつつ、作業ブース17から第1出入口18を通って緩衝ブース20に向かって前後方向(一方向)へ流れるとともに緩衝ブース20から第2出入口19に向かって前後方向(一方向)へ流れる気流をクリーンブース11Aの内部に発生させる。
【0057】
図4は、一例として示すクリーンブース11B,11Dの前方斜視図であり、
図5は、他の一例として示すクリーンブース11Bの上面図である。
図6は、
図5のクリーンブース11Bの側面図である。
図5,6では、ファンフィルターユニット13(給気手段)又はパッケージエアコン13(給気手段)、安全キャビネット37、空気給気口38、空調設備の空調空気給気口25(エアーコンディショナーの空調空気給気口25)、各ダクト16,41,42を模式的に示し、室12及びクリーンブース11Bにおける空気の流れを矢印で示す。
図5では、ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13、各ダクト16,41,42の図示を省略している。このクリーンブース11Bが
図2,3のクリーンブース11Aと異なるところは、建造物の室12の天井材21(天井パネル21)を天井22(天井面)として利用することなく、クリーンブース11Bの天井22が複数枚の天面パネル39から作られている点にある。
【0058】
クリーンブース11Bは、ファンフィルターユニット13(空調機)又はパッケージエアコン13(空調機)、作業ブース17、第1出入口18、第2出入口19、緩衝ブース20(緩衝スペース)を有する。クリーンブース11Bは、複数枚の側面パネル30と、複数枚の天面パネル39とから作られている。クリーンブース11Bでは、室12の室内の床材23(床面)がクリーンブース11B(作業ブース17及び緩衝ブース29)の床24(床面)を形成している。側面パネル30や天面パネル39は、クリーンブース11Aの側面パネル30と同一である。
【0059】
複数枚の天面パネル39は、それらが水平になった状態で横方向と前後方向とへ並び、クリーンブース11Bの天井22を形成している。天面パネル39は、それらの両端縁及び両側縁が気密に連結されている。それら側面パネル30は、建造物12の床材23(床面)と天面パネル39との間に設置されて上下方向へ延びている。側面パネル30は、横方向へ連結されてクリーンブース11Aの第1正面壁32と背面壁33とを形成し、前後方向へ連結されてクリーンブース11Aの第1側面壁34を形成している。更に、横方向へ連結されてクリーンブース11Aの第2正面壁35を形成し、前後方向へ連結されてクリーンブース11Aの第2側面壁36を形成している。それら側面パネル30は、その上端縁が天面パネル39の両端縁及び両側縁に気密に連結され、その下端縁が建造物12の床材23の床面に気密に連結されている。
【0060】
クリーンブース11Bには、天面パネル39(天井22)と側面パネル30(第1正面壁32、背面壁33、第1側面壁34)と床材23(床面)とに囲繞された所定容積
及び所定の床面積の作業ブース17が形成され、天面パネル39と側面パネル30(第1正面壁32、第2正面壁35、第2側面壁36)と床材23(床面)とに囲繞された所定容積
及び所定の床面積の緩衝ブース20(緩衝スペース)が形成されている。作業ブース17の内部には、安全キャビネット37が収容されている。第1出入口18や第2出入口19は、
図1のクリーンブース11Aのそれらと同一である。
【0061】
クリーンブース11Bの第1出入口18及び第2出入口19には、図示はしていないが、第1出入口18及び第2出入口19を通流する空気の風速(開口面第1風速及び開口面第2風速)を計測する超音波三次元風速計又は赤外線センサーが設置される場合がある。超音波三次元風速計又は赤外線センサーは、コントローラ27に接続され、計測した第1出入口18及び第2出入口19の風速(開口面第1風速及び開口面第2風速)をコントローラ27に送信する。
【0062】
ファンフィルターユニット13(FFU)又はパッケージエアコン13(PAC)は、クリーンブース11Bの天面パネル39(天井22)の上に設置されている。ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13の制御部には、コントローラ27が接続されている。コントローラ27は、クリーンブース11Aのそれと同一である。ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13には、HEPAフィルター40が着脱可能に設置され、作業ブース17に清浄空気を吹き出す空気給気口38が取り付けられている。空気給気口38は、作業ブース17の略中央における天面パネル39に設置されている。
【0063】
ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13の空気流入口には、風量センサー29(流量センサー)が設置されている。風量センサー29は、コントローラ27に接続され、ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13に流入する空気の風量を計測し、計測した測定風量をコントローラ27に送信する。尚、風量センサー29がファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13の空気流出口(空気給気口38)に設置され、風量センサー29がファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13から流出する空気の風量を計測し、計測した測定風量をコントローラ27に送信してもよい。
【0064】
建造物の室12のシステム天井21(天井パネル21)には、室内(内部)に空調空気を給気する空調設備(エアーコンディショナー)に給気ダクト41よって連結された空調空気給気口25が設置されている。室12の室内の側壁には、室内の空気を外部に排気する空気排気口26(ガラリ)が設置されている。空気排気口26(ガラリ)は、排気ダクト42に連結されている。
【0065】
クリーンブース11Bを設置した建造物の室12では、空調空気給気口25から室12の室内(内部)に向かって所定風量の空調空気が給気されているとともに、空気排気口26から所定風量の空気が室12の室内から外部に排気され、空調設備(エアーコンディショナー)の制御装置によって室12の室内が設定室圧及び設定温度並びに設定湿度に保持されている。
【0066】
クリーンブース11Bでは、
図5,6に矢印で示すように、建造物の室12の室内の空気が空気流入口からファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13に流入する。ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13の空気給気口38から所定風量(例えば、0.3~0.4m/s)の清浄空気(HEPAフィルタ40によって塵埃や微細な粒子が捕集された清浄空気)が作業ブース17の内部の床面に向かって給気される。
【0067】
クリーンブース11Bでは、作業ブース17に流入した清浄空気が作業ブース17から第1出入口18に向かって前後方向(一方向)へ流れ、第1出入口18を通って緩衝ブース20の内部に向かって前後方向(一方向)へ流れるとともに、緩衝ブース20から第2出入口19に向かって前後方向(一方向)へ流れ、第2出入口19から室12の室内に流出する。第2出入口19から室12の室内に流出した空気は、空気流入口からファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13に再び流入する。
【0068】
クリーンブース11Bでは、ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13から作業ブース17の内部の床面に向かって所定風量の清浄空気を給気することで、作業ブース17の内部気圧を陽圧に維持しつつ、作業ブース17から第1出入口18を通って緩衝ブース20に向かって前後方向(一方向)へ流れるとともに緩衝ブース20から第2出入口19に向かって前後方向(一方向)へ流れる気流をクリーンブース11Bの内部に発生させる。
【0069】
図7は、他の一例として示すクリーンブース11Cの上面図であり、
図8は、
図7のクリーンブース11Cの側面図である。
図7,8では、エアハンドリングユニット43(給気手段)、安全キャビネット37、フィルターユニット28、定風量装置44a,44b(CAV)、空気給気口38、空調空気給気口25(エアハンドリングユニット43の空調空気給気口25)、室圧制御ダンパー45(PCD)、各ダクト14,16を模式的に示し、クリーンブース11Cにおける空気の流れを矢印で示す。
図7では、定風量装置44a,44b、室圧制御ダンパー45、ダクト14,16の図示を省略している。このクリーンブース11Cが
図2,3のクリーンブース11Aと異なるところは、ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13ではなく、エアハンドリングユニット43を利用している点、定風量装置44a,44b(CAV)及び室圧制御ダンパー45(PCD)が使用されている点にある。
【0070】
クリーンブース11Cは、エアハンドリングユニット43(空調機)、還気ダクト15(還気手段)、給気ダクト16、作業ブース17、第1出入口18、第2出入口19、緩衝ブース20(緩衝スペース)を有する。クリーンブース11Cは、複数枚の側面パネル30から作られている。クリーンブース11Cでは、建造物の室12の室内(内部)の天井パネル21がクリーンブース11C(作業ブース17及び緩衝ブース20)の天井22(天井面)を形成し、室12の室内の床材23(床面)がクリーンブース11C(作業ブース17及び緩衝ブース20)の床24(床面)を形成している。側面パネル30は、クリーンブース11Aの側面パネル30と同一である。
【0071】
それら側面パネル30は、建造物の室12の床材23(床面)と天井材21(天井パネル21)の天井面との間に設置されて上下方向へ延びている。側面パネル30は、横方向へ連結されてクリーンブース11Cの第1正面壁32と背面壁33とを形成し、前後方向へ連結されてクリーンブース11Cの第1側面壁34を形成している。更に、横方向へ連結されてクリーンブース11Cの第2正面壁35を形成し、前後方向へ連結されてクリーンブース11Cの第2側面壁36を形成している。それら側面パネル30は、その上端縁が天井材21(天井パネル21)の天井面に気密に連結され、その下端縁が建造物12の床材23の床面に気密に連結されている。
【0072】
クリーンブース11Cには、天井材21(天井面)と側面パネル30(第1正面壁32、背面壁33、第1側面壁34)と床材23(床面)とに囲繞された所定容積
及び所定の床面積の作業ブース17が形成され、天井材21と側面パネル30(第1正面壁32、第2正面壁35、第2側面壁36)と床材23(床面)とに囲繞された所定容積
及び所定の床面積の緩衝ブース20(緩衝スペース)が形成されている。作業ブース17の内部には、安全キャビネット37が収容されている。第1出入口18や第2出入口19は、
図1のクリーンブース11Aのそれらと同一である。
【0073】
クリーンブース11Cの第1出入口18及び第2出入口19には、図示はしていないが、それら出入口18,19を通流する空気の風速(開口面第1風速及び開口面第2風速)を計測する超音波三次元風速計又は赤外線センサーが設置される場合がある。超音波三次元風速計又は赤外線センサーは、コントローラ27に接続され、計測した第1出入口18及び第2出入口19の風速(開口面第1風速及び開口面第2風速)をコントローラ27に送信する。
【0074】
エアハンドリングユニット43(AHU)は、建造物の室12の室外(建造物の外部)に設置されている。エアハンドリングユニット43には、HEPAフィルターを備えたフィルターユニット28が設置されている。エアハンドリングユニット43は、外部熱源設備から供給される冷水や温水・蒸気等を利用して空調空気を生成する。フィルターユニット28は、還気ダクト14によってエアハンドリングユニット43に連結されている。室圧制御ダンパー45(PCD)は、還気ダクト14によってエアハンドリングユニット43に連結されているとともに、室12の室内に設置された空気還気口31に還気ダクト14によって連結されている。室圧制御ダンパー45には、室12の室内から延びる還気ダクト14が連結されている。エアハンドリングユニット43の制御部や室圧制御ダンパー45の制御部は、コントローラ27に接続されている。コントローラ27は、クリーンブース11Aのそれと同一である。
【0075】
それら定風量装置44a,44b(CAV)は、建造物の室12の室内の天井材21の天井裏(天井空間)に設置されている。それら定風量装置44a,44bは、給気ダクト16によってエアハンドリングユニット43(フィルターユニット28)に連結されている。それら定風量装置44a,44bの制御部は、コントローラ27に接続されている。建造物の室12の室内の天井材21(天井パネル21)には、エアハンドリングユニット43によって生成された空調空気を室12の室内に給気する空調空気給気口25(吹き出し口)が設置されている。空調空気給気口25は、一方の定風量装置44aに給気ダクト16によって連結されている。
【0076】
作業ブース17の天井22(室12の室内の天井パネル21)には、作業ブース17に清浄空気を給気する空気給気口38(空気吹き出し口)が設置されている。空気給気口38は、作業ブース17の略中央における天井パネル21に設置されている。空気給気口38は、他方の定風量装置44bに給気ダクト16によって連結されている。
【0077】
フィルターユニット28(エアハンドリングユニット43)と定風量装置44bとの間に延びる給気ダクト16には、風量センサー29(流量センサー)が設置されている。風量センサー29は、コントローラ27に接続され、給気ダクト16を通流する清浄空気の風量を計測し、計測した測定風量をコントローラ27に送信する。クリーンブース11Cを設置した建造物の室12では、空調空気給気口25から室12の室内(内部)に向かって所定風量の空調空気が給気され、室圧制御ダンパー45の旋回羽根の開度が調節されることで室12の室内が設定室圧に保持されているとともに、エアハンドリングユニット43によって室12の室内が設定温度及び設定湿度に保持されている。
【0078】
クリーンブース11Cでは、
図7,8に矢印で示すように、エアハンドリングユニット43において生成された空調空気がフィルターユニット28を通流して清浄空気(フィルタユニット28(HEPAフィルタ)によって塵埃や微細な粒子が捕集された清浄空気)となり、清浄空気が給気ダクト16を通ってそれら定風量装置44a,44b(CAV)に流入する。それら定風量装置44a,44bを通流した所定風量(例えば、0.3~0.4m/s)の清浄空気は、空調空気給気口25から室12の室内に給気されるとともに、空気給気口38から作業ブース17の内部の床面に向かって給気される。
【0079】
クリーンブース11Cでは、作業ブース17に流入した清浄空気が作業ブース17から第1出入口18に向かって前後方向(一方向)へ流れ、第1出入口18を通って緩衝ブース20の内部に向かって前後方向(一方向)へ流れるとともに、緩衝ブース20から第2出入口19に向かって前後方向(一方向)へ流れ、第2出入口19から室12の室内に流出する。第2出入口19から室12の室内に流出した空気は、空気還気口31から還気ダクト14を通って室圧制御ダンパー45(PCD)に流入し、室圧制御ダンパー45から還気ダクト14を通ってエアハンドリングユニット43に再び流入する。
【0080】
クリーンブース11Cでは、エアハンドリングユニット43から作業ブース17の内部の床面に向かって所定風量の清浄空気を給気することで、作業ブース17の内部気圧を陽圧に維持しつつ、作業ブース17から第1出入口18を通って緩衝ブース20に向かって前後方向(一方向)へ流れるとともに緩衝ブース20から第2出入口19に向かって前後方向(一方向)へ流れる気流をクリーンブース11Cの内部に発生させる。
【0081】
図9は、他の一例として示すクリーンブース11Dの上面図であり、
図10は、
図9のクリーンブース11Dの側面図である。
図9,10では、エアハンドリングユニット43(給気手段)、安全キャビネット37、フィルターユニット28、定風量装置44a,44b(CAV)、空気給気口38、空調空気給気口25(エアハンドリングユニット43の空調空気給気口25)、室圧制御ダンパー45(PCD)、各ダクト14,16を模式的に示し、クリーンブース11Dにおける空気の流れを矢印で示す。
図9では、定風量装置44a,44b、室圧制御ダンパー45、ダクト14,16の図示を省略している。
【0082】
このクリーンブース11Dが
図2,3のクリーンブース11Aと異なるところは、建造物の室12の天井材21を天井22(天井面)として利用することなく、クリーンブース11Dの天井22が天面パネル39から作られている点、ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13ではなく、エアハンドリングユニット43を利用している点、定風量装置44a,44b(CAV)及び室圧制御ダンパー45(PCD)が使用されている点にある。
【0083】
クリーンブース11Dは、エアハンドリングユニット43(空調機)、還気ダクト14(還気手段)、給気ダクト16作業ブース17、第1出入口18、第2出入口19、緩衝ブース20(緩衝スペース)を有する。クリーンブース11Dは、複数枚の側面パネル30と、複数枚の天面パネル39とから作られている。側面パネル30や天面パネル39は、クリーンブース11Aの側面パネル30と同一である。
【0084】
複数枚の天面パネル39は、それらが水平になった状態で横方向と前後方向とへ並び、クリーンブース11Dの天井22を形成している。天面パネル39は、それらパネル39の両端縁及び両側縁が気密に連結されている。それら側面パネル30は、建造物の室12の床材23(床面)と天面パネル39との間に設置されて上下方向へ延びている。側面パネル30は、横方向へ連結されてクリーンブース11Dの第1正面壁32と背面壁33とを形成し、前後方向へ連結されてクリーンブース11Dの第1側面壁34を形成している。更に、横方向へ連結されてクリーンブース11Dの第2正面壁35を形成し、前後方向へ連結されてクリーンブース11Dの第2側面壁36を形成している。それら側面パネル30は、その上端縁が天面パネル39の両端縁及び両側縁に気密に連結され、その下端縁が建造物12の床スラブ23の床面に気密に連結されている。
【0085】
クリーンブース11Dには、天面パネル39(天井22)と側面パネル30(第1正面壁32、背面壁33、第1側面壁34)と床スラブ23(床面)とに囲繞された所定容積
及び所定の床面積の作業ブース17が形成され、天面パネル39と側面パネル30(第1正面壁32、第2正面壁35、第2側面壁36)と床スラブ23(床面)とに囲繞された所定容積
及び所定の床面積の緩衝ブース20(緩衝スペース)が形成されている。作業ブース17の内部には、安全キャビネット37が収容されている。第1出入口18や第2出入口19は、
図1のクリーンブース11Aのそれらと同一である。
【0086】
クリーンブース11Dの第1出入口18及び第2出入口19には、図示はしていないが、第1出入口18及び第2出入口19を通流する空気の風速(開口面第1風速及び開口面第2風速)を計測する超音波三次元風速計又は赤外線センサーが設置される場合がある。超音波三次元風速計又は赤外線センサーは、コントローラ27に接続され、計測した第1出入口18及び第2出入口19の風速(開口面第1風速及び開口面第2風速)をコントローラ27に送信する。
【0087】
エアハンドリングユニット43(AHU)や室圧制御ダンパー45(PCD)は、クリーンブース11Cを設置した建造物のそれらと同一である。エアハンドリングユニット43には、HEPAフィルターを備えたフィルターユニット28が設置されている。フィルターユニット28は、給気ダクト16によってエアハンドリングユニット43に連結されている。エアハンドリングユニット43の制御部や室圧制御ダンパー45の制御部は、コントローラ27に接続されている。コントローラ27は、クリーンブース11Aのそれと同一である。
【0088】
一方の定風量装置44a(CAV)は、建造物の室12の天井材21の天井裏(天井空間)に設置され、他方の定風量装置44b(CAV)は、クリーンブース11Dの天面パネル39(天井22)の上に設置されている。それら定風量装置44a,44bは、給気ダクト16によってエアハンドリングユニット43(フィルターユニット28)に連結されている。それら定風量装置44a,44bの制御部は、コントローラ27に接続されている。
【0089】
建造物の室12の室内の天井材21(天井パネル21)には、エアハンドリングユニット43によって生成された空調空気を室12の室内に給気する空調空気給気口25(吹き出し口)が設置されている。空調空気給気口25は、一方の定風量装置44aに給気ダクト16によって連結されている。作業ブース17の天面パネル39には、作業ブース17に清浄空気を給気する空気給気口38(空気吹き出し口)が設置されている。空気給気口38は、作業ブース17の略中央における天面パネル39に設置され、他方の定風量装置44bに給気ダクト16によって連結されている。
【0090】
フィルターユニット28(エアハンドリングユニット43)と定風量装置44bとの間に延びる給気ダクト16には、風量センサー29(流量センサー)が設置されている。風量センサー29は、コントローラ27に接続され、給気ダクト16を通流する清浄空気の風量を計測し、計測した測定風量をコントローラ27に送信する。クリーンブース11Dを設置した建造物では、空調空気給気口25から建造物の室12の室内(内部)に向かって所定風量の空調空気が給気され、室圧制御ダンパー45の旋回羽根の開度が調節されることで室12の室内が設定室圧に保持されているとともに、エアハンドリングユニット43によって室12の室内が設定温度並びに設定湿度に保持されている。
【0091】
クリーンブース11Dでは、
図9,10に矢印で示すように、エアハンドリングユニット43において生成された空調空気がフィルターユニット28を通流して清浄空気(フィルターユニット28(HEPAフィルタ)によって塵埃や微細な粒子が捕集された清浄空気)となり、清浄空気が給気ダクト16を通ってそれら定風量装置44a,44b(CAV)に流入する。それら定風量装置44a,44bを通流した所定風量(例えば、0.3~0.4m/s)の清浄空気(空調空気)は、空調空気給気口25から建造物の室12の室内に給気されるとともに、空気給気口38から作業ブース17の内部の床面に向かって給気される。
【0092】
クリーンブース11Dでは、作業ブース17に流入した清浄空気が作業ブース17から第1出入口18に向かって前後方向(一方向)へ流れ、第1出入口18を通って緩衝ブース20の内部に向かって前後方向(一方向)へ流れるとともに、緩衝ブース20から第2出入口19に向かって前後方向(一方向)へ流れ、第2出入口19から建造物12の室内に流出する。第2出入口19から建造物12の室内に流出した空気は、空気還気口31から還気ダクト14を通って室圧制御ダンパー45(PCD)に流入し、室圧制御ダンパー45から還気ダクト14を通ってエアハンドリングユニット43に再び流入する。
【0093】
クリーンブース11Dでは、エアハンドリングユニット43から作業ブース17の内部の床面に向かって所定風量の清浄空気を給気することで、作業ブース17の内部気圧を陽圧に維持しつつ、作業ブース17から第1出入口17を通って緩衝ブース20に向かって前後方向(一方向)へ流れるとともに緩衝ブース20から第2出入口19に向かって前後方向(一方向)へ流れる気流をクリーンブース11Dの内部に発生させる。
【0094】
図11は、クリーンブース空気清浄度管理システム10において行われる各手段の一例を示すフローチャートである。クリーンブース11A~11Dを設置した建造物の室12では、ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13或いはエアハンドリングユニット43が起動し、ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13或いはエアハンドリングユニット43が初期設定風量で運転される(S-1)。エアハンドリングユニット43に連結された定風量装置44bの旋回羽根の開度が初期設定開度で運転され、エアハンドリングユニット43が初期設定風量で運転される。
【0095】
クリーンブース11A,11Bを設置した建造物では、建造物に設置された空調設備が起動する。クリーンブース11A~11Dを設置した建造物の室12では、初期設定風量の空調空気が空調空気給気口25から室12の室内に給気されているとともに、初期設定風量の清浄空気が空気給気口38から作業ブース17の内部に給気されている。
【0096】
クリーンブース空気清浄度管理システム10では、所定の開口面積の第1出入口を通流する空気の第1測定風量(給気ダクト14を通流する清浄空気の風量又は空気流入口からファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13に流入する空気の風量)が風量センサー29によって計測される(第1計測手段)(S-2)。
【0097】
風量センサー29によって計測された第1測定風量は、風量センサー29からコントローラ27に送信される。なお、給気ダクト14を通流する清浄空気の風量や空気流入口からファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13に流入する空気の風量を第1出入口18を通流する空気の風量と推定する。コントローラ27は、第1計測手段によって計測した第1測定風量と大容量記憶領域に記憶した(予め設定された)第1目標風量(第1目標値)とを比較し、第1測定風量が第1目標風量以下であるか否かを判断する(目標値第1比較手段)(S-3)。
【0098】
コントローラ27は、所定の原因(例えば、HEPAフィルター40の目詰まり)によってファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13或いはエアハンドリングユニット43から作業ブース17の内部に給気される清浄空気の給気風量が低下し、目標値第1比較手段によって第1測定風量と第1目標風量とを比較した結果、第1測定風量が第1目標風量以下である場合、ファンフィルターユニット13(給気手段)又はパッケージエアコン13(給気手段)或いはエアハンドリングユニット43(給気手段)から作業ブース17に給気される空気の給気風量を増加させる(風量増加手段)(S-4)。
【0099】
コントローラ27は、ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13の制御部に風量増加信号(出力増加信号)を送信する。風量増加信号には、コントローラ27の大容量記憶領域に記憶されたファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13において増加させる風量の増加量が含まれる。ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13の制御部は、コントローラ27から送信された風量増加信号(出力増加信号)に従ってファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13の給気風量(出力)を増加させる。尚、風量増加手段において、ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13の給気風量(出力)を手動で増加させることもできる。
【0100】
コントローラ27は、定風量装置44b(CAV)の制御部にダンパーの旋回羽根の開度を増加させる開度増加信号を送信する。開度増加信号には、コントローラ27の大容量記憶領域に記憶された定風量装置44bのダンパーの旋回羽根の増加開度が含まれる。定風量装置44bの制御部は、コントローラ27から送信された開度増加信号に従って定風量装置44bのダンパーの旋回羽根の開度を増加させる(大きくする)。旋回羽根の開度を増加させることによってエアハンドリングユニット43から作業ブース17に給気される清浄空気の給気風量が増加する。尚、風量増加手段において、定風量装置44bのダンパー(CAVに限定されない)の旋回羽根の開度を手動で増加させることもできる。
【0101】
コントローラ27は、ステップ3(S-3)の目標値第1比較手段において、第1測定風量が第1目標風量以下になっておらず、第1測定風量が第1目標風量を超過していると判断した場合、ステップ2(S-2)に戻り、ステップ2(S-2)からの手順を繰り返し、第1計測手段と目標値第1比較手段と風量増加手段とを継続して実施する。
【0102】
次に、コントローラ27は、風量増加手段によって増加させたファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13の給気風量と大容量記憶領域に記憶した(予め設定された)最大風量とを比較し、風量増加手段によって増加させたファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13の給気風量が最大風量になったか否かを判断する(判断手段)(S-5)。又は、コントローラ27は、風量増加手段によって増加させた定風量装置44bのダンパーの旋回羽根の開度と大容量記憶領域に記憶した(予め設定された)定風量装置44bのダンパーの旋回羽根の最大開度とを比較し、風量増加手段によって増加させた定風量装置44bのダンパーの旋回羽根の開度が最大開度になったか否かを判断する(判断手段)(S-5)。
【0103】
コントローラは、ステップ5(S-5)において、ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13の給気風量が最大風量になったと判断した場合、又は、定風量装置44bのダンパーの旋回羽根の開度が最大開度になったと判断した場合、フィルターユニット28のHEPAフィルター40(ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13或いはエアハンドリングユニット43に設置されたHEPAフィルター40)の交換を示すメッセージ(給気手段の異常状態示す信号又はダンパーの異常状態を示す信号)(第1信号)をコントローラ27のタッチパネルに出力(表示)する(第1信号出力手段)(S-6)。
【0104】
尚、第1信号出力手段では、HEPAフィルター40(エアフィルター)の交換を示すメッセージがスピーカーから音声として出力されてもよい(以下の第1信号も同様)。クリーンブース空気清浄度管理システム10は、HEPAフィルター40(エアフィルター)の交換を示すメッセージ(第1信号)を出力することで、フィルターユニット28のHEPAフィルター40(ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13或いはエアハンドリングユニット43に設置されたHEPAフィルター40)の交換の必要性を作業者に知らせる。
【0105】
コントローラは、ステップ5(S-5)の判断手段において、ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13の給気風量(出力)が最大風量になっていないと判断した場合、又は、定風量装置44bのダンパーの旋回羽根の開度が最大開度になっていないと判断した場合、ステップ2(S-2)に戻り、ステップ2(S-2)からの手順を繰り返し、第1計測手段と目標値第1比較手段と風量増加手段とを継続して実施する。
【0106】
HEPAフィルター40(エアフィルター)の交換を示すメッセージに従って、HEPAフィルター40が交換される(S-7)。HEPAフィルター40が交換された後、ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13の風量が初期定風量に戻され、又は、定風量装置44bのダンパーの旋回羽根の開度が初期設定開度に戻され、ステップ1(S-1)に戻ってファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13或いはエアハンドリングユニット43が初期設定風量で運転される(S-1)。
【0107】
HEPAフィルター40(エアフィルター)の交換が行われない場合、コントローラは、HEPAフィルター40の交換を示す信号(第1信号)を出力した後、第1計測手段によって計測した第1測定風量と大容量記憶領域に記憶した(予め設定された)第1設定下限風量(第1下限値)とを比較し、第1測定風量が第1設定下限風量未満であるか否かを判断する(下限値第1比較手段)(S-8)。
【0108】
コントローラは、所定の原因(例えば、HEPAフィルター40の目詰まり)によってファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13或いはエアハンドリングユニット43から給気される清浄空気の給気風量が極端に低下し、下限値第1比較手段によって第1測定風量と第1設定下限風量とを比較した結果、第1測定風量が第1設定下限風量未満である場合、フィルターユニット28のHEPAフィルター40(ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13或いはエアハンドリングユニット43に設置されたHEPAフィルター40)の交換を示すメッセージ(給気手段の異常状態示す信号又はダンパーの異常状態を示す信号)(第2信号)をコントローラ27のタッチパネルに出力(表示)する(第2信号出力手段)(S-9)。
【0109】
尚、第2信号出力手段では、HEPAフィルター40(エアフィルター)の交換を示すメッセージがスピーカーから音声として出力されてもよい(以下の第2信号も同様)。クリーンブース空気清浄度管理システム10は、HEPAフィルター40(エアフィルター)の交換を示すメッセージ(第2信号)を出力することで、フィルターユニット28のHEPAフィルター40(ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13或いはエアハンドリングユニット43に設置されたHEPAフィルター40)の交換の必要性を作業者に知らせる。
【0110】
HEPAフィルター40(エアフィルター)の交換を示すメッセージに従って、HEPAフィルター40が交換される(S-10)。HEPAフィルター40が交換された後、ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13の風量が初期定風量に戻され、又は、定風量装置44bのダンパーの旋回羽根の開度が初期設定開度に戻され、ステップ1(S-1)に戻ってファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13或いはエアハンドリングユニット43が初期設定風量で運転される(S-1)。尚、第2信号出力手段によって第2信号が出力された後、HEPAフィルター40の交換が行われない場合、ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13或いはエアハンドリングユニット43の運転が停止され(S-11)、クリーンブース空気清浄度管理システム10の各手段が終了する。
【0111】
クリーンブース空気清浄度管理システム10は、第1測定風量が第1目標風量以下である場合、ファンフィルターユニット13(給気手段)又はパッケージエアコン13(給気手段)或いはエアハンドリングユニット43(給気手段)から作業ブース17に給気される空気の給気風量を増加させることで、第1目標風量を超過する給気風量の空気が給気手段から常時作業ブース17に給気されるから、作業ブース17から第1出入口18を通って緩衝ブース20に向かって前後方向(一方向)へ流れるとともに緩衝ブース20から第2出入口19に向かって前後方向(一方向)へ流れる気流を作業ブース17や緩衝ブース20の内部に発生させることができ、作業ブース20の内部への空気の逆流を防ぐことができるとともに、作業ブース20の内部の空気の清浄度を維持することができる。
【0112】
クリーンブース空気清浄度管理システム10は、第1測定風量が第1目標風量以下である場合、作業ブース17から第1出入口18を通って緩衝ブース20に向かって前後方向(一方向)へ流れるとともに緩衝ブース20から第2出入口19に向かって前後方向(一方向)へ流れる気流が発生するようにファンフィルターユニット13(給気手段)又はパッケージエアコン13(給気手段)或いはエアハンドリングユニット43(給気手段)から給気する空気の給気風量が増加(調節)されるから、所定の原因によって気流の乱れ(外乱)が生じ、気流の乱れが第1及び第2出入口18,19に作用したとしても、作業ブース17の内部への空気の流入を防ぐことができ、汚染された空気が作業ブース17の内部の清浄空気に混入するコンタミネーションを引き起こすことはなく、作業ブース17の内部の空気の清浄度を確実に維持することができる。
【0113】
クリーンブース空気清浄度管理システム10は、ファンフィルターユニット13(給気手段)又はパッケージエアコン13(給気手段)の給気風量が最大風量になった場合、又は、定風量装置44bの旋回羽根の開度が最大開度になった場合(エアハンドリングユニット43(給気手段)からの給気風量が最大風量になった場合)、ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13或いはエアハンドリングユニット43の給気風量をそれ以上増加させることができないから、第1信号を出力することで、HEPAフィルター40の交換を行うように(風量や風速が第1設定値以下になった原因を除去するように)注意を喚起することができる。
【0114】
クリーンブース空気清浄度管理システム10は、ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13の給気風量が最大風量になっていないと判断した場合、又は、定風量装置44bの旋回羽根の開度が最大開度になっていないと判断した場合(エアハンドリングユニット43(給気手段)からの給気風量が最大風量になっていないと判断した場合)、第1計測手段と目標値第1比較手段と風量増加手段とを継続して実施するから、それら手段によって作業ブース17から第1出入口18を通って緩衝ブース20に向かって前後方向(一方向)へ流れるとともに緩衝ブース20から第2出入口19に向かって前後方向(一方向)へ流れる気流を作業ブース17や緩衝ブース20の内部に発生させることができ、作業ブース17の内部への空気の逆流を防ぐことができるとともに、作業ブース17の内部の空気の清浄度を維持することができる。
【0115】
クリーンブース空気清浄度管理システム10は、第1測定風量が第1設定下限風量未満になった場合、作業ブース17から第1出入口18を通って緩衝ブース20に向かって前後方向(一方向)へ流れるとともに緩衝ブース20から第2出入口19に向かって前後方向(一方向)へ流れる気流を発生させることが不可能になるから、第2信号を出力することで、HEPAフィルター40の交換を行うように(第1測定風量が第1設定下限風量未満になった原因を除去するように)注意を喚起することができる。
【0116】
クリーンブース空気清浄度管理システム10は、第1測定風量が第1設定下限風量以上であって給気風量が最大風量になっていない場合、第1計測手段と目標値第1比較手段と風量増加手段とを継続して実施するから、それら手段によって作業ブース17から第1出入口18を通って緩衝ブース20に向かって前後方向(一方向)へ流れるとともに緩衝ブース20から第2出入口19に向かって前後方向(一方向)へ流れる気流を作業ブース17や緩衝ブース20の内部に発生させることができ、作業ブース17の内部への空気の逆流を防ぐことができるとともに、作業ブース17の内部の空気の清浄度を維持することができる。
【0117】
図12は、クリーンブース空気清浄度管理システム10において行われる各手段の他の一例を示すフローチャートである。クリーンブース11A~11Dを設置した建造物12では、ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13或いはエアハンドリングユニット43が起動し、ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13或いはエアハンドリングユニット43が初期設定風速で運転される(S-11)。エアハンドリングユニット43に連結された定風量装置44bのダンパーの旋回羽根の開度が初期設定開度で運転され、エアハンドリングユニット43が初期設定風速で運転される。
【0118】
クリーンブース10A,10Bを設置した建造物では、建造物に設置された空調設備が起動する。クリーンブース10A~10Dを設置した建造物の室12では、初期設定風速の空調空気が空調空気給気口25から室12の室内に給気されているとともに、初期設定風速の清浄空気が空気給気口38から作業ブース17の内部に給気されている。
【0119】
クリーンブース空気清浄度管理システム10では、所定の開口面積の第1出入口18を通流する空気の開口面第1風速(給気ダクト14を通流する清浄空気の風速又は空気流入口からファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13に流入する空気の風速)が計測される(第1計測手段)(S-12)。
【0120】
尚、コントローラ27は、風量センサー29が測定した給気風量(第1測定風量)を第1出入口18の開口面積で除すことで、給気ダクト14を通流する清浄空気の風速(所定の開口面積の第1出入口18を通流する空気の開口面第1風速)や空気流入口からファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13に流入する空気の風速(所定の開口面積の第1出入口18を通流する空気の開口面第1風速)を算出する。又は、第1出入口18に超音波三次元風速計又は赤外線センサーが設置された場合、超音波三次元風速計や赤外線センサーが第1出入口18を通流する空気の開口面第1風速を計測し、計測した開口面第1風速がコントローラ27に送信される。コントローラ27は、第1計測手段によって計測した開口面第1風速と大容量記憶領域に記憶した(予め設定された)第1目標風速(第1目標値)とを比較し、開口面第1風速が第1目標風速以下であるか否かを判断する(目標値第1比較手段)(S-13)。
【0121】
コントローラ27は、所定の原因(例えば、HEPAフィルター40の目詰まり)によってファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13或いはエアハンドリングユニット43から作業ブース17の内部に給気される清浄空気の給気風速(第1及び第2出入口18,19を通流する空気の風速)が低下し、目標値第1比較手段によって開口面第1風速と第1目標風速とを比較した結果、開口面第1風速が第1目標風速以下である場合、ファンフィルターユニット13(給気手段)又はパッケージエアコン13(給気手段)或いはエアハンドリングユニット43(給気手段)から作業ブース17に給気される空気の給気風量を増加させる(風量増加手段)(S-14)。
【0122】
ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13或いはエアハンドリングユニット43から作業ブース17に給気される空気の給気風量を増加させる手段(手順)は、
図11に示すクリーンブース空気清浄度管理システム10において説明したそれと同一である。コントローラ27は、ステップ13(S-13)の目標値第1比較手段において、開口面第1風速が第1目標風速以下になっておらず、開口面第1風速が第1目標風速を超過していると判断した場合、ステップ12(S-12)に戻り、ステップ12(S-12)からの手順を繰り返し、第
1計測手段と目標値第
1比較手段と風量増加手段とを継続して実施する。
【0123】
コントローラ27は、風量増加手段によって増加させたファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13の給気風量と大容量記憶領域に記憶した(予め設定された)最大風量とを比較し、風量増加手段によって増加させたファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13の給気風量が最大風量になったか否かを判断する(判断手段)(S-15)。又は、コントローラ27は、風量増加手段によって増加させた定風量装置44bのダンパーの旋回羽根の開度と大容量記憶領域に記憶した(予め設定された)定風量装置44bのダンパーの旋回羽根の最大開度とを比較し、風量増加手段によって増加させた定風量装置44bのダンパーの旋回羽根の開度が最大開度になったか否かを判断する(判断手段)(S-15)。
【0124】
コントローラ27は、ステップ5(S-5)において、ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13の給気風量が最大風量になったと判断した場合、又は、定風量装置44bのダンパーの旋回羽根の開度が最大開度になったと判断した場合、HEPAフィルターの交換を示すメッセージ(給気手段の異常状態示す信号又はダンパーの異常状態を示す信号)(第1信号)をコントローラ27のタッチパネルに出力(表示)する(第1信号出力手段)(S-16)。
【0125】
コントローラ27は、ステップ15(S-15)の判断手段において、ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13の給気風量(出力)が最大風量になっていないと判断した場合、又は、定風量装置44bのダンパーの旋回羽根の開度が最大開度になっていないと判断した場合、ステップ12(S-12)に戻り、ステップ12(S-12)からの手順を繰り返し、第1計測手段と目標値第1比較手段と風量増加手段とを継続して実施する。
【0126】
HEPAフィルター40(エアフィルター)の交換を示すメッセージに従って、HEPAフィルター40が交換される(S-17)。HEPAフィルター40が交換された後、ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13の風速が初期定風速に戻され、又は、定風量装置44bのダンパーの旋回羽根の開度が初期設定開度に戻され、ステップ11(S-11)に戻ってファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13或いはエアハンドリングユニット43が初期設定風速で運転される(S-11)。
【0127】
HEPAフィルター40(エアフィルター)の交換が行われない場合、コントローラ27は、HEPAフィルター40の交換を示す信号(第1信号)を出力した後、第1計測手段によって計測した開口面第1風速と大容量記憶領域に記憶した(予め設定された)第1設定下限風速(第1下限値)とを比較し、開口面第1風速が第1設定下限風速未満であるか否かを判断する(下限値第1比較手段)(S-18)。
【0128】
コントローラ27は、所定の原因(例えば、HEPAフィルター40の目詰まり)によってファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13或いはエアハンドリングユニット43から給気される清浄空気の給気風速が極端に低下し、下限値第1比較手段によって開口面第1風速と第1設定下限風速とを比較した結果、開口面第1風速が第1設定下限風量未満である場合、HEPAフィルターの交換を示すメッセージ(給気手段の異常状態示す信号又はダンパーの異常状態を示す信号)(第2信号)をコントローラ27のタッチパネルに出力(表示)する(第2信号出力手段)(S-19)。
【0129】
HEPAフィルター40(エアフィルター)の交換を示すメッセージに従って、HEPAフィルター40が交換される(S-20)。HEPAフィルター40が交換された後、ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13の風速が初期定風速に戻され、又は、定風量装置44bのダンパーの旋回羽根の開度が初期設定開度に戻され、ステップ11(S-11)に戻ってファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13或いはエアハンドリングユニット43が初期設定風速で運転される(S-11)。尚、第2信号出力手段によって第2信号が出力された後、HEPAフィルター40の交換が行われない場合、ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13或いはエアハンドリングユニット43の運転が停止され(S-21)、クリーンブース空気清浄度管理システム10の各手段が終了する。
【0130】
クリーンブース空気清浄度管理システム10は、開口面第1風速が第1目標風速以下である場合、ファンフィルターユニット13(給気手段)又はパッケージエアコン13(給気手段)或いはエアハンドリングユニット43(給気手段)から作業ブース17に給気される空気の給気風量を増加させることで、第1目標風速を超過する給気風速の空気が給気手段から常時作業ブース17に給気されるから、作業ブース17から第1出入口18を通って緩衝ブース20に向かって前後方向(一方向)へ流れるとともに緩衝ブース20から第2出入口19に向かって前後方向(一方向)へ流れる気流を作業ブース17や緩衝ブース20の内部に発生させることができ、作業ブース17の内部への空気の逆流を防ぐことができるとともに、作業ブース17の内部の空気の清浄度を維持することができる。
【0131】
クリーンブース空気清浄度管理システム10は、開口面第1風速が第1目標風速以下である場合、作業ブース17から第1出入口18を通って緩衝ブース20に向かって前後方向(一方向)へ流れるとともに緩衝ブース20から第2出入口19に向かって前後方向(一方向)へ流れる気流が発生するようにファンフィルターユニット13(給気手段)又はパッケージエアコン13(給気手段)或いはエアハンドリングユニット43(給気手段)から給気する空気の給気風量が増加(調節)されるから、所定の原因によって気流の乱れ(外乱)が生じ、気流の乱れが第1及び第2出入口18,19に作用したとしても、作業ブース17の内部への空気の流入を防ぐことができ、汚染された空気が作業ブース17の内部の清浄空気に混入するコンタミネーションを引き起こすことはなく、作業ブース17の内部の空気の清浄度を確実に維持することができる。
【0132】
クリーンブース空気清浄度管理システム10は、開口面第1風速が第1設定下限風速未満になった場合、作業ブース17から第1出入口16を通って緩衝ブース20に向かって前後方向(一方向)へ流れるとともに緩衝ブース20から第2出入口19に向かって前後方向(一方向)へ流れる気流を発生させることが不可能になるから、第2信号を出力することで、HEPAフィルター40の交換を行うように(開口面第1風速が第1設定下限風速未満になった原因を除去するように)注意を喚起することができる。
【0133】
クリーンブース空気清浄度管理システム10は、開口面第1風速が第1設定下限風速以上であって給気風量が最大風量になっていない場合、第1計測手段と目標値第1比較手段と風量増加手段とを継続して実施するから、それら手段によって作業ブース17から第1出入口18を通って緩衝ブース20に向かって前後方向(一方向)へ流れるとともに緩衝ブース20から第2出入口19に向かって前後方向(一方向)へ流れる気流を作業ブース17や緩衝ブース20の内部に発生させることができ、作業ブース17の内部への空気の逆流を防ぐことができるとともに、作業ブース17の内部の空気の清浄度を維持することができる。
【0134】
尚、クリーンブース空気清浄度管理システム10では、目標値第1比較手段において、第1測定風量と第1目標風量(第1目標値)とを比較するとともに、開口面第1風速と第1目標風速(第1目標値)とを比較し、第1測定風量が第1目標風量以下である場合と開口面第1風速が第1目標風速以下である場合とのうちの少なくとも一方の状態(いずれかの状態又は両方の状態)になったときに、ファンフィルターユニット13(給気手段)又はパッケージエアコン13(給気手段)或いはエアハンドリングユニット43(給気手段)から作業ブース17に給気される空気の給気風量を増加させることもできる。
【0135】
図13は、クリーンブース空気清浄度管理システム10において行われる各手段の他の一例を示すフローチャートである。クリーンブース11A~11Dを設置した建造物12では、ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13或いはエアハンドリングユニット43が起動し、ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13或いはエアハンドリングユニット43が初期設定風量で運転される(S-21)。エアハンドリングユニット43に連結された定風量装置44bのダンパーの旋回羽根の開度が初期設定開度で運転され、エアハンドリングユニット43が初期設定風量で運転される。
【0136】
クリーンブース11A,11Bを設置した建造物では、建造物に設置された空調設備が起動する。クリーンブース11A~11Dを設置した建造物の室12では、初期設定風量の空調空気が空調空気給気口25から室12の室内に給気されているとともに、初期設定風量の清浄空気が空気給気口38から作業ブース17の内部に給気されている。
【0137】
クリーンブース空気清浄度管理システム10では、所定の開口面積の第1出入口18を通流する空気の第1測定風量(給気ダクト14を通流する清浄空気の風量又は空気流入口からファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13に流入する空気の風量)が風量センサー29によって計測され(第1計測手段)、所定の開口面積の第2出入口19を通流する空気の第2測定風量(給気ダクト14を通流する清浄空気の風量又は空気流入口からファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13に流入する空気の風量)が風量センサー29によって計測される(第2計測手段)(S-22)。
【0138】
風量センサー29によって計測された第1測定風量及び第2測定風量は、風量センサー29からコントローラ27に送信される。なお、給気ダクト14を通流する清浄空気の風量や空気流入口からファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13に流入する空気の風量を第1出入口18を通流する空気の風量及び第2出入口19を通流する空気の風量と推定する。
【0139】
コントローラ27は、第1計測手段によって計測した第1測定風量と大容量記憶領域に記憶した(予め設定された)第1目標風量(第1目標値)とを比較し、第1測定風量が第1目標風量以下であるか否かを判断するとともに(目標値第1比較手段)、第2計測手段によって計測した第2測定風量と大容量記憶領域に記憶した(予め設定された)第2目標風量(第2目標値)とを比較し、第2測定風量が第2目標風量以下であるか否かを判断する(目標値第2比較手段)(S-23)。
【0140】
コントローラ27は、所定の原因(例えば、HEPAフィルター40の目詰まり)によってファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13或いはエアハンドリングユニット43から作業ブース17の内部に給気される清浄空気の給気風量が低下し、目標値第1比較手段によって第1測定風量と第1目標風量とを比較した結果、第1測定風量が第1目標風量以下である場合、目標値第2比較手段によって第2測定風量と第2目標風量とを比較した結果、第2測定風量が第2目標風量以下である場合、ファンフィルターユニット13(給気手段)又はパッケージエアコン13(給気手段)或いはエアハンドリングユニット43(給気手段)から作業ブース17に給気される空気の給気風量を増加させる(風量増加手段)(S-24)。ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13或いはエアハンドリングユニット43から作業ブース17に給気される空気の給気風量を増加させる手段(手順)は、
図11に示すクリーンブース空気清浄度管理システム10において説明したそれと同一である。
【0141】
尚、クリーンブース空気清浄度管理システム10では、目標値第1比較手段において、第1測定風量と第1目標風量(第1目標値)とを比較するとともに、目標値第2比較手段において、第2測定風量と第2目標風量(第2目標値)とを比較し、第1測定風量が第1目標風量以下である場合と第2測定風量が第2目標風量以下である場合とのうちの少なくとも一方の状態(いずれかの状態又は両方の状態)になったときに、ファンフィルターユニット13(給気手段)又はパッケージエアコン13(給気手段)或いはエアハンドリングユニット43(給気手段)から作業ブース17に給気される空気の給気風量を増加させることもできる。
【0142】
コントローラ27は、ステップ23(S-23)の目標値第1比較手段及び目標値第2比較手段において、第1測定風量が第1目標風量以下になっておらず、第1測定風量が第1目標風量を超過していると判断した場合と、第2測定風量が第2目標風量以下になっておらず、第2測定風量が第2目標風量を超過していると判断した場合とのうちの少なくとも一方(いずれかの場合又は両方の場合)である場合、ステップ22(S-22)に戻り、ステップ22(S-22)からの手順を繰り返し、第1及び第2計測手段と目標値第1及び第2比較手段と風量増加手段とを継続して実施する。
【0143】
次に、コントローラ27は、風量増加手段によって増加させたファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13の給気風量と大容量記憶領域に記憶した(予め設定された)最大風量とを比較し、風量増加手段によって増加させたファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13の給気風量が最大風量になったか否かを判断する(判断手段)(S-25)。又は、コントローラ27は、風量増加手段によって増加させた定風量装置44bのダンパーの旋回羽根の開度と大容量記憶領域に記憶した(予め設定された)定風量装置44bのダンパーの旋回羽根の最大開度とを比較し、風量増加手段によって増加させた定風量装置44bのダンパーの旋回羽根の開度が最大開度になったか否かを判断する(判断手段)(S-25)。
【0144】
コントローラ27は、ステップ25(S-25)において、ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13の給気風量が最大風量になったと判断した場合、又は、定風量装置44bのダンパーの旋回羽根の開度が最大開度になったと判断した場合、フィルターユニット28のHEPAフィルター40(ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13或いはエアハンドリングユニット43に設置されたHEPAフィルター40)の交換を示すメッセージ(給気手段の異常状態示す信号又はダンパーの異常状態を示す信号)(第1信号)をコントローラ27のタッチパネルに出力(表示)する(第1信号出力手段)(S-26)。
【0145】
コントローラ27は、ステップ25(S-25)の判断手段において、ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13の給気風量(出力)が最大風量になっていないと判断した場合、又は、定風量装置44bのダンパーの旋回羽根の開度が最大開度になっていないと判断した場合、ステップ22(S-22)に戻り、ステップ22(S-22)からの手順を繰り返し、第1及び第2計測手段と目標値第1及び第2比較手段と風量増加手段とを継続して実施する。
【0146】
HEPAフィルター40(エアフィルター)の交換を示すメッセージに従って、HEPAフィルター40が交換される(S-27)。HEPAフィルター40が交換された後、ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13の風量が初期定風量に戻され、又は、定風量装置44bのダンパーの旋回羽根の開度が初期設定開度に戻され、ステップ21(S-21)に戻ってファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13或いはエアハンドリングユニット43が初期設定風量で運転される(S-21)。
【0147】
HEPAフィルター40(エアフィルター)の交換が行われない場合、コントローラ27は、HEPAフィルター40の交換を示す信号(第1信号)を出力した後、第1計測手段によって計測した第1測定風量と大容量記憶領域に記憶した(予め設定された)第1設定下限風量(第1下限値)とを比較し、第1測定風量が第1設定下限風量未満であるか否かを判断するとともに(下限値第1比較手段)、第2計測手段によって計測した第2測定風量と大容量記憶領域に記憶した(予め設定された)第2設定下限風量(第2下限値)とを比較し、第2測定風量が第21設定下限風量未満であるか否かを判断する(下限値第2比較手段)(S-28)。
【0148】
コントローラ27は、所定の原因(例えば、HEPAフィルター40の目詰まり)によってファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13或いはエアハンドリングユニット43から給気される清浄空気の給気風量が極端に低下し、下限値第1比較手段によって第1測定風量と第1設定下限風量とを比較した結果、第1測定風量が第1設定下限風量未満である場合、下限値第2比較手段によって第2測定風量と第2設定下限風量とを比較した結果、第2測定風量が第2設定下限風量未満である場合、フィルターユニット28のHEPAフィルター40(ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13或いはエアハンドリングユニット43に設置されたHEPAフィルター40)の交換を示すメッセージ(給気手段の異常状態示す信号又はダンパーの異常状態を示す信号)(第2信号)をコントローラ27のタッチパネルに出力(表示)する(第2信号出力手段)(S-29)。
【0149】
尚、クリーンブース空気清浄度管理システム10では、下限値第1比較手段において、第1測定風量と第1設定下限風量とを比較するとともに、下限値第2比較手段において、第2測定風量と第2設定下限風量とを比較し、第1測定風量が第1設定下限風量未満である場合と第2測定風量が第2設定下限風量未満である場合とのうちの少なくとも一方の状態(いずれかの状態又は両方の状態)になったときに、第2信号をコントローラ27のタッチパネルに出力(表示)することもできる。
【0150】
HEPAフィルター40(エアフィルター)の交換を示すメッセージに従って、HEPAフィルター40が交換される(S-30)。HEPAフィルター40が交換された後、ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13の風量が初期定風量に戻され、又は、定風量装置44bのダンパーの旋回羽根の開度が初期設定開度に戻され、ステップ21(S-21)に戻ってファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13或いはエアハンドリングユニット43が初期設定風量で運転される(S-21)。尚、第2信号出力手段によって第2信号が出力された後、HEPAフィルター40の交換が行われない場合、ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13或いはエアハンドリングユニット43の運転が停止され(S-31)、クリーンブース空気清浄度管理システム10の各手段が終了する。
【0151】
クリーンブース空気清浄度管理システム10は、第1測定風量と第1目標風量とを比較した結果、第1測定風量が第1目標風量以下である場合、及び/又は、第2測定風量と第2目標風量とを比較した結果、第2測定風量が第2目標風量以下である場合、ファンフィルターユニット13(給気手段)又はパッケージエアコン13(給気手段)或いはエアハンドリングユニット43(給気手段)から作業ブース17に給気される空気の給気風量を増加させることで、第1目標風量及び/又は第2目標風量を超過する給気風量の空気が給気手段から常時作業ブース17に給気されるから、作業ブース17から第1出入口18を通って緩衝ブース20に向かって前後方向(一方向)へ流れるとともに緩衝ブース20から第2出入口19に向かって前後方向(一方向)へ流れる気流を作業ブース17や緩衝ブース20の内部に発生させることができ、作業ブース17の内部への空気の逆流を防ぐことができるとともに、作業ブース17の内部の空気の清浄度を維持することができる。
【0152】
クリーンブース空気清浄度管理システム10は、第1測定風量が第1目標風量以下である場合、及び/又は、第2測定風量が第2目標風量以下である場合、作業ブース17から第1出入口18を通って緩衝ブース20に向かって前後方向(一方向)へ流れるとともに緩衝ブース20から第2出入口19に向かって前後方向(一方向)へ流れる気流が発生するようにファンフィルターユニット13(給気手段)又はパッケージエアコン13(給気手段)或いはエアハンドリングユニット43(給気手段)から給気する空気の給気風量が増加(調節)されるから、所定の原因によって気流の乱れ(外乱)が生じ、気流の乱れが第1及び第2出入口18,19に作用したとしても、作業ブース17の内部への空気の流入を防ぐことができ、汚染された空気が作業ブース17の内部の清浄空気に混入するコンタミネーションを引き起こすことはなく、作業ブース17の内部の空気の清浄度を維持することができる。
【0153】
クリーンブース空気清浄度管理システム10は、第1測定風量が第1設定下限風量未満になった場合、及び/又は、第2測定風量が第2設定下限風量未満になった場合、作業ブース17から第1出入口18を通って緩衝ブース20に向かって前後方向(一方向)へ流れるとともに緩衝ブース20から第2出入口19に向かって前後方向(一方向)へ流れる気流を発生させることが不可能になるから、第2信号を出力することで、HEPAフィルター40の交換を行うように(第1測定風量が第1設定下限風量未満になった原因や第2測定風量が第2設定下限風量未満になった原因を除去するように)注意を喚起することができる。
【0154】
クリーンブース空気清浄度管理システム10は、第1測定風量が第1設定下限風量以上であり、かつ、第2測定風量が第2設定下限風量以上であって給気風量が最大風量になっていない場合、第1及び第2計測手段と目標値第1及び第2比較手段と風量増加手段とを継続して実施するから、それら手段によって作業ブース17から第1出入口18を通って緩衝ブース20に向かって前後方向(一方向)へ流れるとともに緩衝ブース20から第2出入口19に向かって前後方向(一方向)へ流れる気流を作業ブース17や緩衝ブース20の内部に発生させることができ、作業ブース17の内部への空気の逆流を防ぐことができるとともに、作業ブース17の内部の空気の清浄度を維持することができる。
【0155】
図14は、クリーンブース空気清浄度管理システム10において行われる各手段の他の一例を示すフローチャートである。クリーンブース11A~11Dを設置した建造物12では、ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13或いはエアハンドリングユニット43が起動し、ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13或いはエアハンドリングユニット43が初期設定風速で運転される(S-31)。エアハンドリングユニット43に連結された定風量装置44bのダンパーの旋回羽根の開度が初期設定開度で運転され、エアハンドリングユニット43が初期設定風速で運転される。
【0156】
クリーンブース11A,11Bを設置した建造物では、建造物に設置された空調設備が起動する。クリーンブース11A~11Dを設置した建造物の室12では、初期設定風速の空調空気が空調空気給気口25から室12の室内に給気されているとともに、初期設定風速の清浄空気が空気給気口38から作業ブース17の内部に給気されている。
【0157】
クリーンブース空気清浄度管理システム10では、所定の開口面積の第1出入口18を通流する空気の開口面第1風速(給気ダクト14を通流する清浄空気の風速又は空気流入口からファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13に流入する空気の風速)が計測され(第1計測手段)、所定の開口面積の第2出入口19を通流する空気の開口面第2風速(給気ダクト14を通流する清浄空気の風速又は空気流入口からファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13に流入する空気の風速)が計測される(第2計測手段)(S-32)。
【0158】
尚、コントローラ27は、風量センサー29が測定した給気風量(第1測定風量)を第1出入口18の開口面積で除すことで、給気ダクト14を通流する清浄空気の風速(所定の開口面積の第1出入口18を通流する空気の開口面第1風速)や空気流入口からファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13に流入する空気の風速(所定の開口面積の第1出入口18を通流する空気の開口面第1風速)を算出する。更に、風量センサー29が測定した給気風量(第2測定風量)を第2出入口19の開口面積で除すことで、給気ダクト14を通流する清浄空気の風速(所定の開口面積の第2出入口19を通流する空気の開口面第2風速)や空気流入口からファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13に流入する空気の風速(所定の開口面積の第2出入口19を通流する空気の開口面第2風速)を算出する。
【0159】
又は、第1出入口18に超音波三次元風速計又は赤外線センサーが設置された場合、超音波三次元風速計や赤外線センサーが第1出入口18を通流する空気の開口面第1風速を計測し、計測した開口面第1風速がコントローラ27に送信され、第2出入口19に超音波三次元風速計又は赤外線センサーが設置された場合、超音波三次元風速計や赤外線センサーが第2出入口19を通流する空気の開口面第2風速を計測し、計測した開口面第2風速がコントローラ27に送信される。
【0160】
コントローラ27は、第1計測手段によって計測した開口面第1風速と大容量記憶領域に記憶した(予め設定された)第1目標風速(第1目標値)とを比較し、開口面第1風速が第1目標風速以下であるか否かを判断するとともに(目標値第1比較手段)、第2計測手段によって計測した開口面第2風速と大容量記憶領域に記憶した(予め設定された)第2目標風速(第2目標値)とを比較し、開口面第2風速が第2目標風速以下であるか否かを判断する(目標値第2比較手段)(S-33)。
【0161】
コントローラ27は、所定の原因(例えば、HEPAフィルター40の目詰まり)によってファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13或いはエアハンドリングユニット43から作業ブース17の内部に給気される清浄空気の給気風速(第1及び第2出入口18,19を通流する空気の風速)が低下し、目標値第1比較手段によって開口面第1風速と第1目標風速とを比較した結果、開口面第1風速が第1目標風速以下である場合、目標値第2比較手段によって開口面第2風速と第2目標風速とを比較した結果、開口面第2風速が第2目標風速以下である場合、ファンフィルターユニット13(給気手段)又はパッケージエアコン13(給気手段)或いはエアハンドリングユニット43(給気手段)から作業ブース17に給気される空気の給気風量を増加させる(風量増加手段)(S-34)。
【0162】
ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13或いはエアハンドリングユニット43から作業ブース17に給気される空気の給気風量を増加させる手段(手順)は、
図11に示すクリーンブース空気清浄度管理システム10において説明したそれと同一である。コントローラ27は、ステップ33(S-33)の目標値第1比較手段及び目標値第2比較手段において、開口面第1風速が第1目標風速以下になっておらず、開口面第1風速が第1目標風速を超過していると判断した場合、開口面第2風速が第2目標風速以下になっておらず、開口面第2風速が第2目標風速を超過していると判断した場合、ステップ32(S-32)に戻り、ステップ32(S-32)からの手順を繰り返し、第1及び第2計測手段と目標値第1及び第2比較手段と風量増加手段とを継続して実施する。
【0163】
尚、クリーンブース空気清浄度管理システム10では、目標値第1比較手段において、開口面第1風速と第1目標風速(第1目標値)とを比較するとともに、目標値第2比較手段において、開口面第2風速と第2目標風速(第2目標値)とを比較し、開口面第1風速が第1目標風速以下である場合と開口面第2風速が第2目標風速以下である場合とのうちの少なくとも一方の状態(いずれかの状態又は両方の状態)になったときに、ファンフィルターユニット13(給気手段)又はパッケージエアコン13(給気手段)或いはエアハンドリングユニット43(給気手段)から作業ブース17に給気される空気の給気風量を増加させることもできる。
【0164】
コントローラ27は、風量増加手段によって増加させたファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13の給気風量と大容量記憶領域に記憶した(予め設定された)最大風量とを比較し、風量増加手段によって増加させたファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13の給気風量が最大風量になったか否かを判断する(判断手段)(S-35)。又は、コントローラ27は、風量増加手段によって増加させた定風量装置44bのダンパーの旋回羽根の開度と大容量記憶領域に記憶した(予め設定された)定風量装置44bのダンパーの旋回羽根の最大開度とを比較し、風量増加手段によって増加させた定風量装置44bのダンパーの旋回羽根の開度が最大開度になったか否かを判断する(判断手段)(S-35)。
【0165】
コントローラ27は、ステップ35(S-35)において、ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13の給気風量が最大風量になったと判断した場合、又は、定風量装置44bのダンパーの旋回羽根の開度が最大開度になったと判断した場合、HEPAフィルターの交換を示すメッセージ(給気手段の異常状態示す信号又はダンパーの異常状態を示す信号)(第1信号)をコントローラ27のタッチパネルに出力(表示)する(第1信号出力手段)(S-36)。
【0166】
コントローラ27は、ステップ35(S-35)の判断手段において、ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13の給気風量(出力)が最大風量になっていないと判断した場合、又は、定風量装置44bのダンパーの旋回羽根の開度が最大開度になっていないと判断した場合、ステップ32(S-32)に戻り、ステップ32(S-32)からの手順を繰り返し、第1及び第2計測手段と目標値第1及び第2比較手段と風量増加手段とを継続して実施する。
【0167】
HEPAフィルター40(エアフィルター)の交換を示すメッセージに従って、HEPAフィルター40が交換される(S-37)。HEPAフィルター40が交換された後、ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13の風速が初期定風速に戻され、又は、定風量装置44bのダンパーの旋回羽根の開度が初期設定開度に戻され、ステップ31(S-31)に戻ってファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13或いはエアハンドリングユニット43が初期設定風速で運転される(S-31)。
【0168】
HEPAフィルター40(エアフィルター)の交換が行われない場合、コントローラは、HEPAフィルター40の交換を示す信号(第1信号)を出力した後、第1計測手段によって計測した開口面第1風速と大容量記憶領域に記憶した(予め設定された)第1設定下限風速(第1下限値)とを比較し、開口面第1風速が第1設定下限風速未満であるか否かを判断するとともに(下限値第1比較手段)、第2計測手段によって計測した開口面第2風速と大容量記憶領域に記憶した(予め設定された)第2設定下限風速(第2下限値)とを比較し、開口面第2風速が第2設定下限風速未満であるか否かを判断する(下限値第2比較手段)(S-38)。
【0169】
コントローラ27は、所定の原因(例えば、HEPAフィルター40の目詰まり)によってファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13或いはエアハンドリングユニット43から給気される清浄空気の給気風速が極端に低下し、下限値第1比較手段によって開口面第1風速と第1設定下限風速とを比較した結果、開口面第1風速が第1設定下限風量未満である場合、下限値第2比較手段によって開口面第2風速と第2設定下限風速とを比較した結果、開口面第2風速が第2設定下限風量未満である場合、HEPAフィルターの交換を示すメッセージ(給気手段の異常状態示す信号又はダンパーの異常状態を示す信号)(第2信号)をコントローラ27のタッチパネルに出力(表示)する(第2信号出力手段)(S-39)。
【0170】
尚、クリーンブース空気清浄度管理システム10では、下限値第1比較手段において、開口面第1風速と第1設定下限風速とを比較するとともに、下限値第2比較手段において、開口面第2風速と第2設定下限風速とを比較し、開口面第1風速が第1設定下限風速未満である場合と開口面第2風速が第2設定下限風速未満である場合とのうちの少なくとも一方の状態(いずれかの状態又は両方の状態)になったときに、第2信号をコントローラ27のタッチパネルに出力(表示)することもできる。
【0171】
HEPAフィルター40(エアフィルター)の交換を示すメッセージに従って、HEPAフィルター40が交換される(S-40)。HEPAフィルター40が交換された後、ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13の風速が初期定風速に戻され、又は、定風量装置44bのダンパーの旋回羽根の開度が初期設定開度に戻され、ステップ31(S-31)に戻ってファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13或いはエアハンドリングユニット43が初期設定風速で運転される(S-31)。尚、第2信号出力手段によって第2信号が出力された後、HEPAフィルター40の交換が行われない場合、ファンフィルターユニット13又はパッケージエアコン13或いはエアハンドリングユニット43の運転が停止され(S-41)、クリーンブース空気清浄度管理システム10の各手段が終了する。
【0172】
クリーンブース空気清浄度管理システム10は、開口面第1風速と予め設定された第1目標風速とを比較した結果、開口面第1風速が第1目標風速以下である場合、及び/又は、開口面第2風速と予め設定された第2目標風速とを比較した結果、開口面第2風速が第2目標風速以下である場合、ファンフィルターユニット13(給気手段)又はパッケージエアコン13(給気手段)或いはエアハンドリングユニット43(給気手段)から作業ブース17に給気される空気の給気風量を増加させることで、第1目標風速及び/又は第2目標風速を超過する給気風量の空気が給気手段から常時作業ブース17に給気されるから、作業ブース17から第1出入口18を通って緩衝ブース20に向かって前後方向(一方向)へ流れるとともに緩衝ブース20から第2出入口19に向かって前後方向(一方向)へ流れる気流を作業ブース17や緩衝ブース20の内部に発生させることができ、作業ブース17の内部への空気の逆流を防ぐことができるとともに、作業ブース17の内部の空気の清浄度を維持することができる。
【0173】
クリーンブース空気清浄度管理システム10は、開口面第1風速が第1目標風速以下である場合、及び/又は、開口面第2風速が第2目標風速以下である場合、作業ブース17から第1出入口18を通って緩衝ブース20に向かって前後方向(一方向)へ流れるとともに緩衝ブースから第2出入口に向かって前後方向(一方向)へ流れる気流が発生するようにファンフィルターユニット13(給気手段)又はパッケージエアコン13(給気手段)或いはエアハンドリングユニット43(給気手段)から給気する空気の給気風量が増加(調節)されるから、所定の原因によって気流の乱れ(外乱)が生じ、気流の乱れが第1及び第2出入口18,19に作用したとしても、作業ブース17の内部への空気の流入を防ぐことができ、汚染された空気が作業ブース17の内部の清浄空気に混入するコンタミネーションを引き起こすことはなく、作業ブース17の内部の空気の清浄度を維持することができる。
【0174】
クリーンブース空気清浄度管理システム10は、開口面第1風速が第1設定下限風速未満になった場合、及び/又は、開口面第2風速が第2設定下限風速未満になった場合、作業ブース17から第1出入口18を通って緩衝ブース20に向かって前後方向(一方向)へ流れるとともに緩衝ブース20から第2出入口19に向かって前後方向(一方向)へ流れる気流を発生させることが不可能になるから、第2信号を出力することで、HEPAフィルター40の交換を行うように(開口面第1風速が第1設定下限風速未満になった原因や開口面第2風速が第2設定下限風速未満になった原因を除去するように)注意を喚起することができる。
【0175】
クリーンブース空気清浄度管理システム10は、開口面第1風速が第1設定下限風速以上であり、かつ、開口面第2風速が第2設定下限風速以上であって給気風量が最大風量になっていない場合、第1及び第2計測手段と目標値第1及び第2比較手段と風量増加手段とを継続して実施するから、それら手段によって作業ブース17から第1出入口18を通って緩衝ブース20に向かって前後方向(一方向)へ流れるとともに緩衝ブース20から第2出入口19に向かって前後方向(一方向)へ流れる気流を作業ブース17や緩衝ブース20の内部に発生させることができ、作業ブース17の内部への空気の逆流を防ぐことができるとともに、作業ブース17の内部の空気の清浄度を維持することができる。
【符号の説明】
【0176】
10 クリーンブース空気清浄度管理システム
11A クリーンブース
11B クリーンブース
11C クリーンブース
11D クリーンブース
12 建造物の室
13 ファンフィルターユニット(FFU)
13 パッケージエアコン(PAC)
14 還気ダクト
15 外気ダクト
16 給気ダクト
17 作業ブース
18 第1出入口
19 第2出入口
20 緩衝ブース
21 天井パネル
22 天井
23 床スラブ
24 床
25 空調空気給気口
26 空気排気口
27 コントローラ
28 フィルターユニット
29 風量センサー
30 側面パネル
31 空気還気口
32 第1正面壁
33 背面壁
34 第1側面壁
35 第2正面壁
36 第2側面壁
37 安全キャビネット
38 空気給気口
39 天面パネル
40 HEPAフィルター
41 給気ダクト
42 排気ダクト
43 エアハンドリングユニット(AHU)
44a,b 定風量装置(CAV)
45 室圧制御ダンパー(PCD)