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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】教示装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/639 20060101AFI20240304BHJP
   H01R 13/46 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
H01R13/639 Z
H01R13/46 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020059994
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021158074
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(72)【発明者】
【氏名】小磯 宏行
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智幸
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-122356(JP,A)
【文献】登録実用新案第3077245(JP,U)
【文献】特開平10-228948(JP,A)
【文献】米国特許第05662488(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0210147(US,A1)
【文献】特開2001-333510(JP,A)
【文献】特開2002-093519(JP,A)
【文献】特開2014-127639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R13/40-13/533
H01R13/56-13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ほぼ直方体の外形を有する筐体と、
前記直方体を形成する前記筐体の6面のうち1つの面上に配置されたディスプレイおよび操作部と、
前記筐体の前記6面のうち前記1つの面に直交し且つ互いに交差する2つの面の交差部に配置され且つ前記2つの面に対して斜めに延びる中心軸に沿って相手側コネクタに嵌合するコネクタと
を備え、
前記コネクタおよび前記相手側コネクタの一方は、前記中心軸を囲む円筒状のシェルの外周面に形成された溝部を有し、前記コネクタおよび前記相手側コネクタの他方は、前記コネクタと前記相手側コネクタとの嵌合時に前記シェルの外周面を囲むように配置されるカップリングナットの内周面に形成され且つ前記溝部に嵌り込む突起を有し、
前記コネクタが有する前記溝部または前記突起は、前記中心軸上において、前記交差する2つの面の双方に直交する面に平行な方向以外の方向に配置されていることを特徴とする教示装置
【請求項2】
前記コネクタが有する前記溝部または前記突起は、前記中心軸に対して、前記交差する2つの面の双方に直交する面に垂直な方向に配置されている請求項1に記載の教示装置
【請求項3】
前記コネクタは、前記中心軸を挟んで前記中心軸の両側に配置された2つの前記溝部または2つの前記突起を有する請求項1または2に記載の教示装置
【請求項4】
前記シェルおよび前記カップリングナットは、樹脂材料から形成されている請求項1~3のいずれか一項に記載の教示装置
【請求項5】
前記コネクタと前記相手側コネクタとの嵌合時における前記溝部は、前記交差する2つの面の双方に直交する面に平行で且つ前記中心軸を通る平面に交差することがないように配置されている請求項1~4のいずれか一項に記載の教示装置
【請求項6】
前記溝部は、前記コネクタと前記相手側コネクタとの嵌合時に前記突起の挿入を案内するガイド部と、前記ガイド部に接続され且つ前記突起の位置を固定する固定部とを有し、
前記ガイド部は、前記中心軸に沿って前記相手側コネクタに対向する前記シェルの前端部において開放され且つ前記前端部から前記中心軸に沿って前記シェルの後端に向かうほど周方向の溝幅が狭まる形状を有し、
前記固定部は、前記ガイド部の前記周方向の溝幅がもっとも狭まる部分に接続されている請求項5に記載の教示装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コネクタ付き筐体に係り、特に、ほぼ直方体の外形を有する筐体であって、直方体の6面のうち互いに交差する2つの面の交差部にワンタッチロック方式のコネクタが配置された筐体に関する。
また、この発明は、このようなコネクタ付き筐体を有する教示装置にも関している。
【背景技術】
【0002】
産業用ロボット、各種のアクチュエータ等に動作を教示するための教示装置が、例えば、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示された教示装置1は、図8に示されるように、ほぼ直方体の外形を有する筐体2の表面上に配置されたタッチパネル付ディスプレイ3および複数の操作部4を有しており、操作者がタッチパネル付ディスプレイ3および複数の操作部4を操作することで、ケーブル5を介して接続されたロボット、アクチュエータ等の図示しないコントローラに対して、動作の教示が行われる。
【0003】
教示装置1の操作性、利便性を高めるために、筐体2に筐体側コネクタ6が取り付けられると共にケーブル5の端部にケーブル側コネクタ7が取り付けられており、筐体側コネクタ6にケーブル側コネクタ7を嵌合することで、ケーブル5が教示装置1に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-215781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
操作者は、教示装置1の筐体2を両手で把持し、タッチパネル付ディスプレイ3を見ながらタッチパネル付ディスプレイ3および複数の操作部4を操作することとなるが、このとき、筐体2に接続されているケーブル5が操作者の邪魔にならないように、筐体側コネクタ6は、操作者に把持された、ほぼ直方体の外形を有する筐体2の下側の角部に斜めに配置されることが望まれる場合がある。
【0006】
また、教示装置1に使用される筐体側コネクタ6およびケーブル側コネクタ7は、筐体2へのケーブル5の接続の操作性、信頼性を高めるために、嵌合および嵌合状態のロックを容易に行うことができる、いわゆるワンタッチロック方式のコネクタ組立体からなることが好ましい。このワンタッチロック方式のコネクタ組立体としては、シェルを有するレセプタクルコネクタにカップリングナットを有するプラグコネクタが嵌合したときに、カップリングナットの内周面に形成された突起がシェルの外周面に形成された溝部に嵌り込むことで、レセプタクルコネクタとプラグコネクタとの嵌合をロックするものが知られている。
【0007】
このようなワンタッチロック方式の筐体側コネクタ6およびケーブル側コネクタ7を介してケーブル5が筐体2の下側の角部に斜めに接続された教示装置1を操作者が把持して操作を行う際に、誤って教示装置1が操作者の手から真下に落下すると、筐体側コネクタ6およびケーブル側コネクタ7に落下の衝撃が及ぶこととなる。
ここで、上述したワンタッチロック方式のコネクタ組立体では、レセプタクルコネクタのシェルの外周面に溝部が形成されていることから、シェルは、溝部の形成位置に対応してシェルの板厚が減少された薄肉部を有している。このため、教示装置1の落下時にシェルの薄肉部に応力が集中すると、シェルが破損して、ワンタッチロック方式のコネクタ組立体によるケーブル5の接続が損なわれるおそれがある。
【0008】
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、相手側コネクタとの嵌合および嵌合状態のロックを容易に行うことができるコネクタが筐体の角部に斜めに配置されていながらも、落下の衝撃に対して優れた耐久性を有するコネクタ付き筐体を提供することを目的とする。
また、この発明は、このようなコネクタ付き筐体を有する教示装置を提供することも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、ほぼ直方体の外形を有する筐体の下側の角部から斜めに中心軸が延びるように筐体側コネクタが配置された教示装置を用い、筐体側コネクタにケーブル側コネクタを嵌合した状態で、落下実験を繰り返し行った結果、筐体側コネクタおよびケーブル側コネクタに加わる落下の衝撃力に、特定の方向性があることを判明した。すなわち、筐体の6面のうち、筐体側コネクタが配置されている筐体の下側の角部を形成する互いに交差した2つの面の双方に直交する面Pを想定した場合、筐体側コネクタおよびケーブル側コネクタに対して、この直交する面Pに垂直な方向に加わる衝撃力は小さいものの、直交する面Pに平行な方向には大きな衝撃力が加わることが判明した。
【0010】
そこで、この発明においては、筐体側コネクタおよびケーブル側コネクタからなるコネクタ組立体を、シェルの外周面に形成された溝部を有するコネクタとカップリングナットの内周面に形成された突起を有する相手側コネクタとで構成し、嵌合時における溝部および突起が、筐体側コネクタの中心軸に対して、筐体の交差する2つの面の双方に直交する面に平行な方向に配置されないように筐体側コネクタを筐体に取り付けることで、コネクタ組立体の、落下の衝撃に対する優れた耐久性を実現している。
【0011】
すなわち、筐体側コネクタがシェルを有するレセプタクルコネクタである場合には、シェルの外周面の溝部が、筐体側コネクタの中心軸に対して、筐体の交差する2つの面の双方に直交する面Pに平行な方向以外の方向に配置されるように、筐体側コネクタが筐体に取り付けられ、一方、筐体側コネクタがカップリングナットを有するプラグコネクタである場合には、カップリングナットの内周面の突起が、筐体側コネクタの中心軸に対して、筐体の交差する2つの面の双方に直交する面Pに平行な方向以外の方向に配置されるように、筐体側コネクタが筐体に取り付けられる。
【0012】
この発明に係る教示装置は、ほぼ直方体の外形を有する筐体と、直方体を形成する筐体の6面のうち1つの面上に配置されたディスプレイおよび操作部と、筐体の6面のうち前記1つの面に直交し且つ互いに交差する2つの面の交差部に配置され且つ2つの面に対して斜めに延びる中心軸に沿って相手側コネクタに嵌合するコネクタとを備え、コネクタおよび相手側コネクタの一方は、中心軸を囲む円筒状のシェルの外周面に形成された溝部を有し、コネクタおよび相手側コネクタの他方は、コネクタと相手側コネクタとの嵌合時にシェルの外周面を囲むように配置されるカップリングナットの内周面に形成され且つ溝部に嵌り込む突起を有し、コネクタが有する溝部または突起は、中心軸上において、交差する2つの面の双方に直交する面に平行な方向以外の方向に配置されているものである。
【0013】
コネクタが有する溝部または突起は、中心軸に対して、交差する2つの面の双方に直交する面に垂直な方向に配置されていることが好ましい。
コネクタは、中心軸を挟んで中心軸の両側に配置された2つの溝部または2つの突起を有することが好ましい。
シェルおよびカップリングナットは、樹脂材料から形成することができる。
【0014】
コネクタと相手側コネクタとの嵌合時における溝部は、交差する2つの面の双方に直交する面に平行で且つ中心軸を通る平面に交差することがないように配置されていることが好ましい。
溝部は、コネクタと相手側コネクタとの嵌合時に突起の挿入を案内するガイド部と、ガイド部に接続され且つ突起の位置を固定する固定部とを有し、ガイド部は、中心軸に沿って相手側コネクタに対向するシェルの前端部において開放され且つ前端部から中心軸に沿ってシェルの後端に向かうほど周方向の溝幅が狭まる形状を有し、固定部は、ガイド部の周方向の溝幅がもっとも狭まる部分に接続されているように構成することができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、ほぼ直方体を形成する筐体の6面のうち互いに交差する2つの面の交差部に配置され且つ2つの面に対して斜めに延びる中心軸に沿って相手側コネクタに嵌合するコネクタを備え、コネクタおよび相手側コネクタの一方は、シェルの外周面に形成された溝部を有し、コネクタおよび相手側コネクタの他方は、カップリングナットの内周面に形成され且つ溝部に嵌り込む突起を有し、コネクタが有する溝部または突起は、中心軸に対して、交差する2つの面の双方に直交する面に平行な方向以外の方向に配置されているので、相手側コネクタとの嵌合および嵌合状態のロックを容易に行うことができるコネクタが筐体の角部に斜めに配置されていながらも、落下の衝撃に対する耐久性に優れたコネクタ付き筐体を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】この発明の実施の形態に係る教示装置を示す斜視図である。
図2】実施の形態に係る教示装置において、筐体側コネクタが配置されている筐体の角部を示す部分斜視図である。
図3】筐体側コネクタに用いられたシェルを示す平面図である。
図4】実施の形態に係る教示装置において、筐体側コネクタに嵌合されるケーブル側コネクタを示す斜視図である。
図5】ケーブル側コネクタに用いられたカップリングナットを示す断面図である。
図6】実施の形態に係る教示装置における筐体側コネクタにケーブル側コネクタが位置合わせされた状態を示す部分斜視図である。
図7】実施の形態に係る教示装置における筐体側コネクタにケーブル側コネクタが嵌合された状態を示す部分斜視図である。
図8】従来の教示装置を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に、実施の形態に係る教示装置11を示す。教示装置11は、ほぼ直方体の外形を有する筐体12を有しており、筐体12の表面にディスプレイ13および複数の操作部14が配置されている。なお、ディスプレイ13は、タッチパネル付ディスプレイとすることもできる。
また、筐体12の角部には、筐体側コネクタ21(コネクタ)が取り付けられている。
【0019】
筐体側コネクタ21には、ケーブル41の端部に取り付けられたケーブル側コネクタ31(相手側コネクタ)が脱着可能に嵌合され、これら筐体側コネクタ21とケーブル側コネクタ31により、いわゆるワンタッチロック方式のコネクタ組立体Aが構成されている。
筐体12と筐体側コネクタ21により、コネクタ付き筐体が形成されており、教示装置11は、コネクタ付き筐体を用いて構成されている。
【0020】
ここで、便宜上、ディスプレイ13および複数の操作部14が配置されている筐体12の表面がXY面に沿って延び、筐体12の外形を形成する直方体が、XY面に沿って延び且つXY面に垂直なZ方向に間隔を隔てた一対の平面と、XZ面に沿って延び且つY方向に間隔を隔てた一対の平面と、YZ面に沿って延び且つX方向に間隔を隔てた一対の平面とを含むものとする。
【0021】
ディスプレイ13および複数の操作部14は、筐体12のXY面に沿って延びる一対の平面のうち+Z方向側の平面P1上に配置されている。
また、筐体側コネクタ21は、筐体12のXZ面に沿って延びる一対の平面のうち-Y方向側の平面P2と、筐体12のYZ面に沿って延びる一対の平面のうち-X方向側の平面P3との交差部である筐体12の角部に配置され、これらの平面P2およびP3に対して斜めの方向を向いている。
【0022】
図2に示されるように、筐体側コネクタ21は、筐体12のXZ面に沿って延びる平面P2およびYZ面に沿って延びる平面P3に対して斜めに延びる中心軸C1を有している。具体的には、筐体側コネクタ21の中心軸C1は、例えば、平面P2およびP3に対して135度の角度で傾斜し且つXY面に沿う平面P1に平行で筐体12の内部から外部に向かう方向に延びている。
【0023】
筐体側コネクタ21は、レセプタクルコネクタであり、それぞれ中心軸C1と平行に延びる複数のピンコンタクト22と、複数のピンコンタクト22を保持するインシュレータ23を有している。筐体側コネクタ21は、さらに、インシュレータ23に保持され且つ複数のピンコンタクト22を囲み、中心軸C1の方向に延びる円筒状のバレル24と、インシュレータ23およびバレル24の外周部を囲み且つ中心軸C1の方向に延びる円筒状のシェル25を有している。
バレル24とシェル25の間には、環状の隙間が形成されている。
なお、複数のピンコンタクト22およびバレル24は、金属等の導電性材料から形成され、インシュレータ23およびシェル25は、絶縁性の樹脂材料から形成されている。
【0024】
シェル25は、筐体12の角部から筐体12の外部に露出し且つ中心軸C1に沿って延びる筒状部26を有し、筒状部26の外周面に、一対の溝部27が形成されている。これら一対の溝部27は、中心軸C1に対して、筐体側コネクタ21の配置位置である筐体12の角部を形成する2つの平面P2およびP3の双方に直交する平面P1に垂直な方向、すなわちZ方向に配置されている。具体的には、一対の溝部27は、中心軸C1を挟んで中心軸C1のZ方向の両側に配置されている。
【0025】
筒状部26は、中心軸C1に沿って筐体12の外部に向かう端部である前端部26Aを有している。筒状部26の前端部26Aは、シェル25の前端部をも形成しており、それぞれの溝部27は、筒状部26の前端部26Aにおいて中心軸C1に沿った方向に開放されている。また、筒状部26の外周面に一対の溝部27が形成されているため、一対の溝部27の形成位置における筒状部26の板厚は、それぞれ、溝部27が形成されていない位置における筒状部26の板厚よりも、溝部27の深さ分だけ薄くなっている。
【0026】
また、筐体側コネクタ21が配置されている筐体12の角部の+Z方向を向いた所定の箇所に、第1のマーカーM1が形成されている。この第1のマーカーM1は、一対の溝部27が形成されている、中心軸C1の回りの回転位置を示す目印となるものであり、中心軸C1に沿って筐体12の外部に向かう矢印の形状を有している。
【0027】
+Z方向から見たシェル25を図3に示す。シェル25は、筒状部26に一体に連結されたシェル本体28を有している。シェル本体28は、図2に示されるインシュレータ23の外周部を覆うもので、筐体側コネクタ21が筐体12の角部に配置されたときに、筐体12内に埋め込まれる。
【0028】
筒状部26の外周面に形成されている溝部27は、筒状部26の前端部26Aにおいて中心軸C1に沿った方向に開放されているガイド部27Aと、ガイド部27Aに接続された固定部27Bとを有している。ガイド部27Aは、筒状部26の前端部26Aから中心軸C1に沿ってシェル25の後部に向かうほど周方向の溝幅が狭まる形状を有しており、固定部27Bは、ガイド部27Aの周方向の溝幅がもっとも狭まる部分に接続され且つ筒状部26の周方向に所定の長さだけ延びる形状を有している。
【0029】
また、ガイド部27Aと固定部27Bとを有する溝部27のいずれの部分も、筐体側コネクタ21が配置されている筐体12の角部を形成する2つの平面P2およびP3の双方に直交する平面P1に平行で且つ中心軸C1を通る平面、すなわち中心軸C1を通るXY面に交差することがないように配置されている。
【0030】
このような筐体側コネクタ21に対する相手側コネクタとなるケーブル側コネクタ31を図4に示す。ケーブル側コネクタ31は、ケーブル41の端部に取り付けられたプラグコネクタであり、ケーブル41の延長線上に延びる中心軸C2を有している。
ケーブル側コネクタ31は、それぞれ中心軸C2と平行に延びる複数のソケットコンタクト32と、複数のソケットコンタクト32を保持するインシュレータ33を有している。ケーブル側コネクタ31は、さらに、インシュレータ33の外周部を囲み且つ中心軸C2の方向に延びる円筒状のバレル34と、バレル34の外周部を囲み且つ中心軸C2の方向に延びる円筒状のカップリングナット35を有している。
【0031】
複数のソケットコンタクト32は、筐体側コネクタ21の複数のピンコンタクト22に対応しており、インシュレータ33とバレル34の間には、環状の隙間が形成され、バレル34とカップリングナット35の間にも、環状の隙間が形成されている。
なお、複数のソケットコンタクト32およびバレル34は、金属等の導電性材料から形成され、インシュレータ33およびカップリングナット35は、絶縁性の樹脂材料から形成されている。
【0032】
カップリングナット35は、バレル34に対して回転可能に装着されており、ケーブル側コネクタ31に内蔵された図示しない弾性部材により、バレル34に対して中心軸C2の回りの所定の回転方向に弾性力が付与された状態にある。
カップリングナット35の内周面には、中心軸C2に向かって突出する一対の突起36が形成されている。これら一対の突起36は、カップリングナット35の1つの直径上に位置し、中心軸C2を挟んで中心軸C2の両側に配置されている。
【0033】
また、カップリングナット35の外周面には、突起36の配置位置に対応して、第2のマーカーM2が形成されている。この第2のマーカーM2は、カップリングナット35の内周面における突起36の配置位置を示す目印となるものであり、中心軸C2に沿ってケーブル41が接続される側とは反対のケーブル側コネクタ31の前方に向かう矢印の形状を有している。
さらに、ケーブル41が接続されるケーブル側コネクタ31の後部には、ケーブル41の外周部を覆うストレインリリーフ37が配置されている。
【0034】
中心軸C2を通る平面で切断したカップリングナット35の断面構造を図5に示す。突起36は、カップリングナット35の前端部35Aの近傍におけるカップリングナット35の内周面上に形成されている。この突起36は、図3に示した筐体側コネクタ21のシェル25の溝部27のガイド部27Aを通って固定部27Bに嵌り込む大きさおよび形状を有している。
【0035】
このような構成のケーブル側コネクタ31を筐体側コネクタ21に嵌合する際には、図6に示されるように、コネクタ組立体Aを構成する筐体側コネクタ21の中心軸C1とケーブル側コネクタ31の中心軸C2とを同軸上に位置させ、ケーブル側コネクタ31の第2のマーカーM2の回転位置を筐体側コネクタ21の第1のマーカーM1に合わせた状態で、ケーブル側コネクタ31が筐体側コネクタ21に向けて押し込まれる。
【0036】
これにより、図2に示される筐体側コネクタ21の複数のピンコンタクト22が、図4に示されるケーブル側コネクタ31の複数のソケットコンタクト32に挿入されると共に、筐体側コネクタ21のバレル24がケーブル側コネクタ31のインシュレータ33とバレル34の間の環状の隙間に挿入され、ケーブル側コネクタ31のバレル34が筐体側コネクタ21のバレル24とシェル25の間の環状の隙間に挿入され、筐体側コネクタ21のシェル25の筒状部26がケーブル側コネクタ31のバレル34とカップリングナット35の間の環状の隙間に挿入される。
【0037】
ケーブル側コネクタ31の第2のマーカーM2の回転位置が筐体側コネクタ21の第1のマーカーM1に合わされているため、筐体側コネクタ21のシェル25の筒状部26がケーブル側コネクタ31のバレル34とカップリングナット35の間の環状の隙間に挿入されることで、ケーブル側コネクタ31のカップリングナット35の内周面に形成されている一対の突起36が、図3に示される筐体側コネクタ21のシェル25の筒状部26の外周面に形成されている一対の溝部27のガイド部27Aに挿入される。
【0038】
この状態で、ケーブル側コネクタ31を筐体側コネクタ21に向けて押し込むと、ケーブル側コネクタ31のカップリングナット35の一対の突起36は、筐体側コネクタ21のシェル25の一対の溝部27のガイド部27Aの側縁に接触することで、図示しない弾性部材から受ける弾性力に抗してカップリングナット35を回転しながら、ガイド部27A内をシェル25の後部へと移動する。
【0039】
そして、カップリングナット35の一対の突起36が、一対の溝部27のガイド部27Aの周方向の溝幅がもっとも狭まる部分にまで至ると、図示しない弾性部材から受ける弾性力によりカップリングナット35が回転して、一対の突起36は、一対の溝部27の固定部27Bに嵌り込む。これにより、カップリングナット35の一対の突起36は、筐体側コネクタ21のシェル25に対して中心軸C1の方向に移動することができなくなる。
このように、ケーブル側コネクタ31を筐体側コネクタ21に向けて押し込むだけで、図7に示されるように、ケーブル側コネクタ31は筐体側コネクタ21に嵌合し、筐体側コネクタ21に対するケーブル側コネクタ31の嵌合状態がロックされる。
【0040】
ケーブル側コネクタ31を筐体側コネクタ21から離脱させるには、ケーブル側コネクタ31のカップリングナット35を図示しない弾性部材から受ける弾性力に抗して回転させることにより、カップリングナット35の一対の突起36をシェル25の一対の溝部27の固定部27Bから外し、この状態でケーブル側コネクタ31を筐体側コネクタ21から引き抜けばよい。
【0041】
筐体側コネクタ21にケーブル側コネクタ31を嵌合することでケーブル41を筐体12に接続し、教示装置11を操作者の両手で把持し、ディスプレイ13を見ながら複数の操作部14を操作することにより、ケーブル41を介して教示装置11に接続された図示しないロボット、工作機械、アクチュエータ等のコントローラに対して、動作の教示を行うことができる。なお、ディスプレイ13がタッチパネル付ディスプレイからなる場合には、タッチパネル付ディスプレイと複数の操作部14を操作することで、動作の教示を行うことが可能となる。
【0042】
このとき、操作者の両手で把持された教示装置11は、例えば、筐体側コネクタ21およびケーブル側コネクタ31からなるコネクタ組立体を介して接続されたケーブル41が筐体12の斜め下方に引き出され、筐体12の-Y方向側の平面P2が下方を向くような姿勢となる。
【0043】
このため、教示の作業を行っている際に、誤って教示装置11が操作者の手から離れて真下に落下すると、教示装置11は、筐体12の-Y方向側の平面P2を下方に向けた姿勢のまま床面または地面に衝突し、筐体12の平面P2およびP3の交差部である筐体12の角部に斜めに配置されている筐体側コネクタ21と、筐体側コネクタ21に嵌合しているケーブル側コネクタ31に落下の衝撃力が加わる。特に、筐体側コネクタ21が配置されている筐体12の平面P2およびP3の双方に直交する平面P1に平行な方向、すなわちXY面に沿った方向に大きな衝撃力が加わる。
【0044】
しかしながら、シェル25の一対の溝部27は、中心軸C1に対して、筐体側コネクタ21の配置位置である筐体12の角部を形成する2つの平面P2およびP3の双方に直交する平面P1に垂直な方向、すなわちZ方向に配置されている。従って、シェル25の筒状部26には、中心軸C1に対して、平面P1に平行な方向に、溝部27の形成に起因して板厚が減少された薄肉部は存在せず、所定の厚い板厚を有する厚肉部のみが存在することとなり、落下の大きな衝撃力を受けても、シェル25の破損を防止することができる。その結果、筐体側コネクタ21およびケーブル側コネクタ31からなるコネクタ組立体Aによる教示装置11へのケーブル41の接続の信頼性の向上を図ることが可能となる。
【0045】
以上説明したように、実施の形態に係る教示装置11においては、ケーブル側コネクタ31との嵌合および嵌合状態のロックを容易に行うことができる、いわゆるワンタッチロック方式の筐体側コネクタ21が筐体12の角部に斜めに配置されていながらも、落下の衝撃に対する耐久性を向上させることができる。
【0046】
なお、上記の実施の形態では、筐体側コネクタ21のシェル25およびケーブル側コネクタ31のカップリングナット35は、樹脂材料から形成されているが、金属材料から形成することもできる。
ただし、ケーブル側コネクタ31との嵌合時におけるシェル25の溝部27およびカップリングナット35の突起36が、中心軸C1に対して、筐体12の交差する2つの平面P2およびP3の双方に直交する平面P1に平行な方向以外の方向に配置されるように、筐体側コネクタ21を筐体12の角部に配置することで、筐体側コネクタ21およびケーブル側コネクタ31を樹脂材料から形成しても、落下の衝撃に十分に耐えることができる。このため、筐体側コネクタ21およびケーブル側コネクタ31を樹脂材料から形成することで、コネクタ組立体Aおよび教示装置11の軽量化を図ることが可能となる。
【0047】
上記の実施の形態では、筐体側コネクタ21が、シェル25を有するレセプタクルコネクタであり、ケーブル側コネクタ31が、カップリングナット35を有するプラグコネクタであるが、逆に、筐体側コネクタ21が、カップリングナットを有するプラグコネクタであり、ケーブル側コネクタ31が、シェルを有するレセプタクルコネクタであってもよい。
この場合でも、ケーブル側コネクタ31のシェルに形成された溝部と、筐体側コネクタ21のカップリングナットに形成された突起とが、筐体側コネクタ21とケーブル側コネクタ31の嵌合時に、筐体側コネクタ21の中心軸C1に対して、筐体11の交差する2つの平面P2およびP3の双方に直交する平面P1に平行な方向以外の方向に配置されていれば、落下の衝撃に対する耐久性に優れたコネクタ付き筐体および教示装置11を実現することが可能となる。
【0048】
また、上記の実施の形態では、筐体側コネクタ21のシェル25に一対の溝部27が形成され、ケーブル側コネクタ31のカップリングナット35に一対の突起36が形成されているが、これらの溝部27および突起36は、それぞれ2つに限るものではない。いずれの溝部27および突起36も、筐体側コネクタ21とケーブル側コネクタ31の嵌合時に、筐体側コネクタ21の中心軸C1に対して、筐体11の交差する2つの平面P2およびP3の双方に直交する平面P1に平行な方向以外の方向に配置されていれば、3つ以上の溝部27と3つ以上の突起36を有することもできる。
【0049】
また、この発明は、教示装置に限るものではなく、いわゆるワンタッチロック方式のコネクタが筐体の角部に斜めに配置されたコネクタ付き筐体を有する各種の装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 教示装置、2 筐体、3 タッチパネル付ディスプレイ、4 操作部、5 ケーブル、6 筐体側コネクタ、7 ケーブル側コネクタ、11 教示装置、12 筐体、13 ディスプレイ、14 操作部、21 筐体側コネクタ(コネクタ)、22 ピンコンタクト、23,33 インシュレータ、24,34 バレル、25 シェル、26 筒状部、26A 前端部、27 溝部、27A ガイド部、27B 固定部、28 シェル本体、31 ケーブル側コネクタ(相手側コネクタ)、32 ソケットコンタクト、35 カップリングナット、35A 前端部、36 突起、37 ストレインリリーフ、41 ケーブル、A コネクタ組立体、P1,P2,P3 平面、C1,C2 中心軸、M1 第1のマーカー、M2 第2のマーカー。
図1
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図8