(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】付け替え容器
(51)【国際特許分類】
B65D 49/12 20060101AFI20240304BHJP
B65D 41/38 20060101ALI20240304BHJP
B65D 41/50 20060101ALI20240304BHJP
B65D 77/04 20060101ALI20240304BHJP
B65D 8/06 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
B65D49/12
B65D41/38
B65D41/50
B65D77/04 A
B65D8/06 A
(21)【出願番号】P 2020198967
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2023-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100186358
【氏名又は名称】齋藤 信人
(74)【代理人】
【氏名又は名称】佐野 整博
(72)【発明者】
【氏名】神村 千秋
【審査官】二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】実公平3-3458(JP,Y2)
【文献】実開平6-80630(JP,U)
【文献】特開2011-116401(JP,A)
【文献】特開2013-75673(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0023491(US,A1)
【文献】実開昭50-138357(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 49/12
B65D 41/38
B65D 41/50
B65D 77/04
B65D 8/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容するリフィル容器と、リフィル容器を密封するリフィルキャップとを備える付け替え容器であって、
リフィル容器は、口部と、口部外周から拡径したねじ筒部とを有し、
リフィルキャップは、リフィル容器のねじ筒部と螺合するねじリング部と、ねじリング部の内側に設け、リフィル容器の口部と係合可能なシールリング部と、ねじリング部の上面およびシールリング部の上面に貼着し、リフィルキャップの上面を覆うシールフィルムとを有し、
ねじリング部の螺着回動時にシールリング部が追従し、ねじリング部の螺脱回動時にシールリング部が口部と係合してシールフィルムが裂けることを特徴とする付け替え容器。
【請求項2】
リフィルキャップは、ねじリング部の内周とシールリング部の外周とを連結する破断可能な弱化ブリッジを有することを特徴とする請求項1記載の付け替え容器。
【請求項3】
ねじリング部は、内周から径方向に突設した内向凸部を有し、
シールリング部は、外周から径方向に突設し、ねじリング部の内向凸部と当接可能な外向凸部を有することを特徴とする請求項1または2記載の付け替え容器。
【請求項4】
リフィル容器は、口部の外周に形成したラチェット外歯を有し、
リフィルキャップは、螺脱時に、口部のラチェット外歯と噛み合うラチェット内歯をシールリング部に有することを特徴とする請求項1~3項のいずれかに記載の付け替え容器。
【請求項5】
シールフィルムは、ねじリング部とシールリング部とにわたって形成した複数の断裂容易部を有することを特徴とする請求項1~4項のいずれかに記載の付け替え容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を収容するリフィル容器を付け替え用とし、本品容器に嵌合して使用する付け替え容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧品などのクリーム状の内容物を収容する容器の場合、装飾性やデザイン性に優れていることが要望されているため、内容物を収容するリフィル容器を装飾性に優れた本品容器内に嵌合し、内容物を使い終えた時に、本品容器から取り外したリフィル容器を交換することで、本品容器を反復使用することが行われている。このような容器として、リフィル容器(内容器)と、リフィル容器を収容した本品容器(外容器)とを備え、リフィル容器を本品容器内から容易に引き抜くことができ、リフィル容器の交換時における操作性を向上させた付け替え容器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の付け替え容器は、使用前のリフィル容器の口部を密封するために、着脱可能に嵌合される中蓋を備えており、中蓋を着脱することにより、リフィル容器を本品容器に装着しなくてもリフィル容器単体で使用できるという問題があり、リフィル容器を一度開封すると、リフィル容器を本品容器に装着しなければ使用できない付け替え容器が求められている。
【0005】
本発明は、上記問題を解決することを課題とし、リフィル容器を本品容器に装着しなければリフィル容器単体で使用不能な付け替え容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するため、付け替え容器として、内容物を収容するリフィル容器と、リフィル容器を密封するリフィルキャップとを備える付け替え容器であって、リフィル容器は、口部と、口部外周から拡径したねじ筒部とを有し、リフィルキャップは、リフィル容器のねじ筒部と螺合するねじリング部と、ねじリング部の内側に設け、リフィル容器の口部と係合可能なシールリング部と、ねじリング部の上面およびシールリング部の上面に貼着し、リフィルキャップの上面を覆うシールフィルムとを有し、ねじリング部の螺着回動時にシールリング部が追従し、ねじリング部の螺脱回動時にシールリング部が口部と係合してシールフィルムが裂けることを特徴とする構成を採用する。
【0007】
付け替え容器のリフィルキャップの実施形態として、リフィルキャップは、ねじリング部の内周とシールリング部の外周とを連結する破断可能な弱化ブリッジを有することを特徴とする構成、また、ねじリング部は、内周から径方向に突設した内向凸部を有し、シールリング部は、外周から径方向に突設し、ねじリング部の内向凸部と当接可能な外向凸部を有することを特徴とする構成を採用する。
【0008】
付け替え容器の具体的実施形態として、リフィル容器は、口部の外周に形成したラチェット外歯を有し、リフィルキャップは、螺脱時に、口部のラチェット外歯と噛み合うラチェット内歯をシールリング部に有することを特徴とする構成、また、シールフィルムは、ねじリング部とシールリング部とにわたって形成した複数の断裂容易部を有することを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の付け替え容器は、上記構成を有することによって、リフィルキャップを一度開蓋すると、リフィル容器にリフィルキャップを螺着しても気密性が失われるために、本品容器に装着しなければリフィル容器単体で使用することができない。
また、本発明の付け替え容器は、リフィル容器に内容物を充填した後、リフィル容器に直接シールフィルムを溶着する設備がない場合でも、内容物の充填後に、リフィルキャップをリフィル容器にセットできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施例の付け替え容器におけるリフィル容器とリフィルキャップとのセット後の状態を示す図で、(a)は側面断面図、(b)は(a)のX-X矢視断面図である。
【
図2】本実施例の付け替え容器におけるリフィル容器を示す図で、(a)は上面図、(b)は側面断面図である。
【
図3】本実施例の付け替え容器におけるリフィルキャップを示す図で、(a)は上面図、(b)は側面断面図である。
【
図4】本実施例の付け替え容器におけるリフィル容器に対するリフィルキャップの回動状態を示す図で、(a)はリフィルキャップを螺着方向に回動した時の上面図、(b)は、リフィルキャップを螺脱方向に回動した時の上面図である。
【
図5】本実施例の付け替え容器におけるリフィル容器からリフィルキャップを開蓋する状態を示す図で、(a)は上面図、(b)は側面断面図である。
【
図6】本実施例の付け替え容器におけるリフィル容器を本品容器にセット後の状態を示す側面半断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の付け替え容器について、実施例を示した図面を参照して説明する。
【実施例】
【0012】
図1において、Aは、内容物を収容するリフィル容器Bと、リフィル容器Bを密封するリフィルキャップCとを備える付け替え容器である。
また、
図6において、Dは、内部にリフィル容器Bを装着し、本品キャップEによって密封される本品容器である。
【0013】
図1および
図2に示すように、リフィル容器Bは、上部が開口した有底筒状をなし、上端部に形成された口部1と、口部1から下方に延設された胴部2と、胴部2の下端部を閉鎖する底部3とからなり、口部1の外周には、ラチェット外歯4が設けられ、口部1の下方から径方向外方にフランジ部5が延設され、フランジ部5の外縁部から拡径されたねじ筒部6が設けられている。
【0014】
ねじ筒部6は、外周面に、後述するリフィルキャップCのねじリング部10と螺合する雄ねじ部7が螺設され、内周面に、後述する本品容器Dの取付け筒部32と係合する係止縮径部8が周設されている。
【0015】
図1および
図3に示すように、リフィルキャップCは、リフィル容器Bのねじ筒部6と螺合するねじリング部10と、ねじリング部10の内側に設け、リフィル容器Bの口部1と係合可能なシールリング部20とを備え、ねじリング部10の内周とシールリング部20の外周は、破断可能な弱化ブリッジ11で連結されている。
【0016】
ねじリング部10は、セット時にねじ筒部6の外周を覆う装着筒壁12と、装着筒壁12の上部内周から径方向に突設した内向凸部13と、装着筒壁12の内周面に螺設され、リフィル容器Bの雄ねじ部7と螺合する雌ねじ部14とを備えている。
なお、本実施例の内向凸部13は、4個設けられているが、等間隔に6個あるいは8個とすることも可能である。
【0017】
シールリング部20は、セット時に、リフィル容器Bの口部1内周と密接する内筒21と、内筒21の上部から外側に延設され、口部1の上面と当接するリング状の上壁22と、上壁22の外周から、ねじリング部10の内向凸部13を避けて径方向に突設された外向凸部23と、外向凸部23の外側から垂設された係合壁25と、係合壁25の内周に形成され、リフィル容器Bのラチェット外歯4と係合可能なラチェット内歯26とを備えている。
【0018】
上壁22の内周上端には、溶着凸条24が形成され、リフィルキャップCの上面を覆うシールフィルムSは、
図3(a)のハッチングで示す部分が、ねじリング部10の上面全体と、シールリング部20の溶着凸条24とに溶着される。
なお、本実施例では、シールフィルムSをリフィルキャップCに溶着しているが、溶着以外に、接着等、シールフィルムSが貼着できれば形態は問わない。
【0019】
図6に示すように、本品容器Dは、上部が開口した円筒状の周壁30と、周壁30の下端部を閉鎖する底壁31と、周壁30の内周上端から立設された取付け筒部32と、取付け筒部32の外周に形成された係止突条33とを備えている。
また、本品キャップEは、円板状の頂壁40と、頂壁40の周縁部から垂設された側周壁41と、側周壁41の内周面に螺設された雌ねじ部42と、頂壁40の内面に設けられたパッキン43とを備えている。
【0020】
次に、本実施例の使用態様と作用効果について図面を参照しながら説明する。
本実施例の付け替え容器Aは、金型を用いた射出成形によってリフィル容器BとリフィルキャップCとをそれぞれ一体成形で製造される。
一体成形で製造された本実施例のリフィルキャップCは、
図3に示すように、ねじリング部10と、シールリング部20とを弱化ブリッジ11で連結した状態で得られる。
得られたリフィルキャップCの上面には、断裂容易部であるミシン目27などが形成されたシールフィルムSを載置し、ねじリング部10の上面全体と、シールリング部20の溶着凸条24上面とに溶着する。
【0021】
次いで、リフィル容器Bに内容物を充填した後、リフィル容器BにリフィルキャップCをセットする。
まず、ねじリング部10の装着筒壁12をリフィル容器Bのねじ筒部6の上方から被せ、ねじリング部10を螺着方向に回動すると、
図4(a)に示すように、ねじリング部10の内向凸部13は、シールリング部20との間隙だけ回動した後、シールリング部20の外向凸部23と当接するとともに、シールリング部20のラチェット内歯26が口部1のラチェット外歯4と係合しないことにより、弱化ブリッジ11が破断することなく、シールリング部20は、ねじリング部10の回動に追従する。
その結果、
図1に示すように、リフィルキャップCは、上面に溶着されたシールフィルムSが裂けることなく、リフィル容器Bに装着され、付け替え容器Aが完成する。
【0022】
本品容器D内のリフィル容器Bの内容物がなくなり、リフィル容器Bを付け替えるには、使用前の付け替え容器AからリフィルキャップCを螺脱方向に回動して開蓋する必要がある。
ねじリング部10を螺脱方向に回動すると、
図4(b)に示すように、ねじリング部10の内向凸部13は、当接状態にあったシールリング部20の外向凸部23から離れ始めるとともに、シールリング部20のラチェット内歯26が口部1のラチェット外歯4と係合することにより、シールリング部20は、ねじリング部10と一緒に回動することができない。
この結果、リフィルキャップCは、ねじリング部10だけが回動するため、弱化ブリッジ11が破断するとともに、
図5に示すように、シールフィルムSは、ミシン目27から裂けて裂け目Tができ、リフィルキャップCは、密封性が失われ、リフィル容器Bに装着して使用することができなくなる。
【0023】
次いで、
図6に示すように、本品キャップEを外した状態の本品容器Dにリフィル容器Bを装着する。
リフィル容器Bのねじ筒部6を本品容器Dの取付け筒部32に挿入すると、リフィル容器Bは、ねじ筒部6内周の係止縮径部8が取付け筒部32外周の係止突条33を乗り越え、本品容器Dに装着される。
リフィル容器Bの装着後は、本品キャップEを螺着方向に回動し、本品キャップEの雌ねじ部42をリフィル容器Bの雄ねじ部7に螺合させて閉蓋すると、本品キャップEに設けられたパッキン43によって、リフィル容器B内を密封することができる。
【0024】
なお、本発明のリフィル容器Bと本品容器Dとの装着方法については、必ずしも本実施例に限定されず、リフィル容器Bと本品容器Dとがしっかり装着できるものであれば、どのようなものであっても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の付け替え容器は、リフィルキャップを一度開蓋すると、リフィル容器にリフィルキャップを螺着しても気密性が失われるために、本品容器に装着しなければリフィル容器単体で使用することができず、付け替え容器単独の使用を防止でき、クリーム状の化粧品などの付け替え容器として好適に使用できる。
【符号の説明】
【0026】
A 付け替え容器
B リフィル容器
C リフィルキャップ
D 本品容器
E 本品キャップ
S シールフィルム
T 裂け目
1 口部
2 胴部
3 底部
4 ラチェット外歯
5 フランジ部
6 ねじ筒部
7 雄ねじ部
8 係止縮径部
10 ねじリング部
11 弱化ブリッジ
12 装着筒壁
13 内向凸部
14、42 雌ねじ部
20 シールリング部
21 内筒
22 上壁
23 外向凸部
24 溶着凸条
25 係合壁
26 ラチェット内歯
27 ミシン目(断裂容易部)
30 周壁
31 底壁
32 取付け筒部
33 係止突条
40 頂壁
41 側周壁
43 パッキン