(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】運転者支援設計分析システム
(51)【国際特許分類】
B60W 50/14 20200101AFI20240304BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20240304BHJP
B60W 30/06 20060101ALI20240304BHJP
B60W 40/08 20120101ALI20240304BHJP
F02D 45/00 20060101ALI20240304BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20240304BHJP
【FI】
B60W50/14
G08G1/00 D
B60W30/06
B60W40/08
F02D45/00 374
F02D45/00 376
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2018128778
(22)【出願日】2018-07-06
【審査請求日】2021-06-30
(32)【優先日】2017-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518241757
【氏名又は名称】シーシーシー インテリジェント ソリューションズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】マーク・フレッドマン
【審査官】鶴江 陽介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0113664(US,A1)
【文献】米国特許第09454786(US,B1)
【文献】特開2009-281783(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00- 1/16
F02D 45/00
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者支援システム設計装置であって、
プロセッサと、
コンピュータ可読メモリと、
複数の異なる車両に使用される1つ以上の運転者支援システムを指定する運転者支援システムデータを含む、前記複数の異なる車両に関する車両情報を格納する車両データベースと、
運転者支援システムを有する前記複数の異なる車両についての車両動作データを格納する車両動作データベースであって、前記車両動作データは、前記車両動作データが前記複数の異なる車両の実際の動作中の前記複数の異なる車両の動作を反映するように、運転者支援システムを有する前記複数の異なる車両の各々から収集され、前記車両動作データは、運転異常が存在しなかったときの車両動作データと、運転異常が存在したときの車両動作データとを含む、車両動作データベースと、
前記コンピュータ可読メモリに格納された設計分析エンジンであって、
特定の運転者支援システムを有する前記複数の異なる車両のうちの1つ以上について前記車両動作データベース内の前記車両動作データに基づいて、前記複数の異なる車両のうちの前記1つ以上の動作中の複数の運転異常を検出し、
運転異常が存在しなかったときの車両動作データと、運転異常が存在したときの車両動作データとを含む前記車両動作データベース内の前記車両動作データに基づいて、前記運転異常の存在と前記特定の運転者支援システムの動作との間の統計的関係を判定し、かつ
前記判定された統計的関係に基づいて前記特定の運転者支援システム内の潜在的な設計欠陥を検出するために前記プロセッサ上で動作する、設計分析エンジンと、
前記特定の運転者支援システムにおいて検出された前記潜在的な設計欠陥を受信者に通知する、ために前記プロセッサ上で動作する通知エンジンと、を備える、運転者支援システム設計装置。
【請求項2】
前記運転者支援システムデータは、運転者支援システムのタイプを指定する、請求項1に記載の運転者支援システム設計装置。
【請求項3】
前記運転者支援システムデータは、1つ以上の車両にインストールされた運転者支援システムの1つ以上の機能を指定する、請求項1又は請求項2に記載の運転者支援システム設計装置。
【請求項4】
前記運転者支援システムデータは、運転者支援システムの改訂、または車両にインストールされた運転者支援システム機能の改訂を指定する、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の運転者支援システム設計装置。
【請求項5】
前記運転者支援システムデータは、運転者支援システムの1つ以上の運転者支援機能を指定する、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の運転者支援システム設計装置。
【請求項6】
前記1つ以上の運転者支援機能のうちの1つは、車線変更機能、死角警告機能、無運転者駐車機能、運転者支援駐車機能、自動制動機能、距離判定機能、または距離警告機能
のうちの1つである、請求項5に記載の運転者支援システム設計装置。
【請求項7】
前記通知エンジンは、前記潜在的な設計欠陥を運転者支援システム製造業者に通知する、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の運転者支援システム設計装置。
【請求項8】
前記通知エンジンは、前記潜在的な設計欠陥を車両製造業者に通知する、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の運転者支援システム設計装置。
【請求項9】
前記通知エンジンは、前記潜在的な設計欠陥を保険業者に通知する、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の運転者支援システム設計装置。
【請求項10】
前記潜在的な設計欠陥に基づいて車両の保険レートを算出する保険レート算出エンジンをさらに含む、請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の運転者支援システム設計装置。
【請求項11】
前記車両動作データベースは車両動作の時間ベースのデータセットを格納し、各時間ベースのデータセットは、特定の時間または特定の時間範囲にわたる車両動作データのセットを含む、請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の運転者支援システム設計装置。
【請求項12】
車両動作の前記時間ベースのデータセットの各々は、運転者支援システムが
前記時間ベースの各時点で関与していたかどうかを指し示すデータを含む、請求項11に記載の運転者支援システム設計装置。
【請求項13】
前記設計分析エンジンは、前記複数の異なる車両のうちの1つ以上について前記車両動作データベースから車両動作データを取得し、前記統計的関係を判定するために運転者支援機能が関与していた時間ベースのデータセットを使用する、請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の運転者支援システム設計装置。
【請求項14】
前記設計分析エンジンは、前記複数の異なる車両のうちの1つ以上について前記車両動作データベースから車両動作データを取得し、前記統計的関係を判定するために運転者支援機能が関与していなかった時間ベースのデータセットを使用する、請求項13に記載の運転者支援システム設計装置。
【請求項15】
前記設計分析エンジンは、運転者支援機能が関与していた時間ベースのデータセットについて検出された運転者異常を、運転者支援機能が関与していなかった時間ベースのデータセットについて検出された運転者異常と比較する、請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載の運転者支援システム設計装置。
【請求項16】
車両または車両のタイプの保険レートを判定するために前記統計的関係を使用する保険レート算出エンジンをさらに含む、請求項1乃至請求項15のいずれか1項に記載の運転者支援システム設計装置。
【請求項17】
前記統計的関係は相関関係である、請求項1乃至請求項16のいずれか1項に記載の運転者支援システム設計装置。
【請求項18】
運転者支援システム設計装置によって実行される、1つ以上の車両にインストールされた運転者支援システム内の欠陥を検出する方法であって、
複数の異なる車両に使用される1つ以上の運転者支援システムを指定する運転者支援システムデータを含む、前記複数の異なる車両に関する車両情報を収集することと、
車両動作データが前記複数の異なる車両の実際の動作中の前記複数の異なる車両の動作を反映するように、運転者支援システムを有する前記複数の異なる車両についての前記車両動作データであって、運転異常が存在しなかったときの車両動作データと、運転異常が存在したときの車両動作データとを含む、前記車両動作データを収集することと、
前記車両情報及び前記車両動作データを車両データベースに格納することと、
特定の運転者支援システムを有する前記複数の異なる車両のうちの1つ以上についての前記車両データベース内の前記車両動作データにアクセスするためにプロセッサを使用することと、
前
記車両動作データに基づいて前記複数の異なる車両のうちの1つ以上の動作中の複数の運転異常を検出するために前記プロセッサを使用することと、
運転異常が存在しなかったときの車両動作データと、運転異常が存在したときの車両
動作データとを含む前記車両データベース内の前記車両動作データに基づいて前記運転異常の存在と特定の運転者支援システムの動作との間の統計的関係を判定するために前記プロセッサを使用することと、
前記判定された統計的関係に基づいて前記特定の運転者支援システム内の潜在的な設計欠陥を検出するために前記プロセッサを使用することと、
特定の運転者支援システム内で検出された前記潜在的な設計欠陥を受信者に通知することと、を含む、運転者支援システム内の欠陥を検出する方法。
【請求項19】
前記運転者支援システムデータは運転者支援システムのタイプを指定する、請求項18に記載の運転者支援システム内の欠陥を検出する方法。
【請求項20】
前記運転者支援システムデータは、1つ以上の車両にインストールされた運転者支援システムの1つ以上の機能を指定する、請求項18又は請求項19に記載の運転者支援システム内の欠陥を検出する方法。
【請求項21】
前記運転者支援システムデータは、運転者支援システムの改訂、または車両にインストールされた運転者支援システム機能の改訂を指定する、請求項18乃至請求項20のいずれか1項に記載の運転者支援システム内の欠陥を検出する方法。
【請求項22】
受信者に通知することは、前記潜在的な設計欠陥を運転者支援システム製造業者に通知することを含む、請求項18乃至請求項21のいずれか1項に記載の運転者支援システム内の欠陥を検出する方法。
【請求項23】
受信者に通知することは、前記潜在的な設計欠陥を車両製造業者に通知することを含む、請求項18乃至請求項22のいずれか1項に記載の運転者支援システム内の欠陥を検出する方法。
【請求項24】
前記潜在的な設計欠陥に基づいて車両の保険レートを判定するためにプロセッサを使用することをさらに含む、請求項18乃至請求項23のいずれか1項に記載の運転者支援システム内の欠陥を検出する方法。
【請求項25】
車両動作データを収集することは、車両動作の時間ベースのデータセットを収集することを含み、各時間ベースのデータセットは、特定の時間または特定の時間範囲にわたる車両動作データのセットを含む、請求項18乃至請求項24のいずれか1項に記載の運転者支援システム内の欠陥を検出する方法。
【請求項26】
車両動作の時間ベースのデータセットの各々は、特定の運転者支援システムが
前記時間ベースの各時点で関与していたかどうかを指し示すデータを含む、請求項25に記載の運転者支援システム内の欠陥を検出する方法。
【請求項27】
前記車両データベース内の前記車両動作データに基づいて前記運転異常と前記特定の運転者支援システムとの間の統計的関係を判定するために前記プロセッサを使用することは、前記運転異常の時点で前記特定の運転者支援システムが関与していたかどうかを判定することを含む、請求項26に記載の運転者支援システム内の欠陥を検出する方法。
【請求項28】
前記車両データベース内の前記車両動作データに基づいて前記運転異常と前記特定の運転者支援システムとの間の統計的関係を判定するために前記プロセッサを使用することは、前記統計的関係を判定するために特定の運転者支援システムが関与していなかった時間ベースのデータセットを使用することと、前記統計的関係を判定するために前記特定の運転者支援システムが関与していた時間ベースのデータセットを使用することと、を含む、請求項26に記載の運転者支援システム内の欠陥を検出する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許は、車両運転者支援処理システム及び技術に関し、より具体的には、これらのシステムの設計欠陥を検出するための先進運転者支援システム(ADAS;Advanced Driver Assistance System)の設計を分析する処理システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
先進運転者支援システム(ADAS)とも呼ばれることもある運転者支援システムは、衝突や事故を回避するために、運転者に潜在的な問題または危険を知らせる(例えば、死角警告システム、距離検出システムなど)ために、または車両の一部分を自動的に制御する(例えば、制動システム、ステアリングシステム、車線追従システムなど)ために、車両(例えば、自動車)の運転者への情報またはフィードバックを一般に提供する。場合によっては、人間の運転者無しで車両を自動的に制御する、いわゆる「無運転者車両」のための運転者支援システムがまもなく開発されることが期待されている。いずれにしても、自動車のハイエンド機能の一部として、及び無運転者車両プロトタイプの一部として、多くの異なるタイプの運転者支援システム(または運転者支援機能)が市場に存在しているか、現在開発されて市場に提供されている。運転者支援システムは、自動制動システム、距離警告システム、自動方向転換システム、自動または半自動の衝突回避システム、適応クルーズ制御システム、自動駐車システム、運転者に危険または他の車両を警告する1つ以上の検出システム、車両を正しい車線に維持するための車線追従システムなど、のような車両駆動システムに統合された1つ以上の運転者支援機能を含むことができ、それらのすべては、車両の運転または制御において運転者を支援するために人間の運転手と協働して動作する。場合によっては、運転者支援システムは、ナビゲーション、制動、加速、方向転換などを含めて、人の助け無しに車両を運転する完全自動制御システムであり得る。現在、無運転者車両システム及び/または運転者支援システムかつ機能の多くの設計及び試作品が開発され、試験され、市場に導入されているが、多くまたはほとんどのこれらシステムの絶対的及び/または相対的な性能は未だ不明である。
【0003】
多くの運転者支援システムまたは機能は市場に導入される前に完全に試験されるが、一度導入されると、典型的な試験状況では容易に検出または観察できないことがあるこれらのシステムに隠された欠陥または弱点が依然としてあり得る。例えば、これらの運転者支援システムまたは機能のうちのあるものは、雨の中で左に方向転換している、などのような、要因の組み合わせが存在する場合に、適切にまたは完全に満足に動作しないことがある。このように、運転者支援システム製造業者が運転者支援システムまたは機能に問題がある可能性を検出できるようになるには何年もかかる可能性があり、それはこれらの不適切にまたは設計不良なシステムによって引き起こされる事故による損害の増加はもちろん、不必要な怪我及び死亡につながる可能性がある。
【0004】
さらに、運転者支援システムコンポーネントの使用は揺籃期にあるため、これらの運転者支援コンポーネントまたはシステムの性能の絶対または比較分析を行うための既知の標準またはベンチマークは存在しない。結果として、運転者支援システム及び車両製造業者は、これら運転者支援システムまたは機能の有効性を分析するための無計画な方法を実施することになる。
【0005】
加えて、車両内の1つ以上の運転者支援コンポーネントまたはシステムの故障または不適当な設計によって引き起こされる事故及び他の損害について誰が責任を負うかについて、依然として多くの疑問がある。例えば、運転者支援システムの機能のいずれもが関与していないか、または事故、衝突、また他の損失で作用しているような場合には、運転者または車両所有者の保険会社が一般的に損害賠償責任を負う。しかしながら、運転者支援システムの1つ以上の運転者支援システムコンポーネントが、事故、衝突、または他の損失の間に作用している場合、車両製造業者(またはその保険会社)が損害の一部または全部について責任を負うことがあり、特に運転者支援システムが故障したか、または適切に動作しなかった場合はそうである。事故や損失の際に車両の運転者支援システムコンポーネントが関与しているが、適切に動作し、事故を引き起こさないような他の場合においても、運転者または自動車所有者の保険会社は依然として一般的に損害の責任を負う。運転者支援システムが完全に無運転者車両のソリューションである状況では、車両製造業者、運転者支援製造業者、またはその保険会社は損害賠償責任を負うことがある。そのような損害の責任を負う人物を選別する方法は未だ不明であり、当事者が責任を負っている、または責任を負う可能性がある事故の通知を正しい当事者に行うことを迅速に責任査定したり、または保証するための既知のメカニズムは現在のところない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
運転者支援設計分析システムは、運転者支援システムのコンポーネントまたは機能を有する、及び潜在的に有しない複数の車両(例えば、自動車)の動作に関する車両データ及び車両動作データを収集し、格納する処理システム及びデータベースを含む。処理システムは、車両動作データから運転者の異常を検出し、これらの運転異常と運転者支援システムの動作または機能との間の統計的関係を判定するために、典型的には多くの車両から車両データ及び車両動作データを分析するように動作する分析モジュールを実行する。次いで、処理システムは、統計的関係に基づいて、潜在的な設計欠陥が運転者支援システムまたは機能内に存在するかどうかを判定し、何か検出された潜在的設計欠陥を車両または運転者支援システム製造業者に通知する。このシステムにより、車両及び運転者支援システム製造業者は、これらのシステムの有効性を迅速に分析し、車両に実際に設置され動作する運転者支援システムの問題または不具合を検出することが可能になる。
【0007】
運転者支援システム設計装置データベースに格納される車両データは、車両(型式、モデル、年、車両識別番号など)、車両の特徴(色、ボディスタイル、もしあれば運転者支援システムコンポーネント)等を規定する識別データを含み得る。設計分析システムデータベースに格納された車両動作データは、運転者支援システムコンポーネントまたは複数のコンポーネントが関与しているか、及び関与していないかの両方の間の車両の動作を示す、または車両の動作を規定するデータを含んでもよく、特に、事故時または車両が事故に近いまたはその他の危険な出来事に遭遇したとき(これらはすべて本明細書では運転異常と呼ばれる)の、及び/またはその時間中に運転異常が発生していない車両の通常動作の他の期間中の車両の動作を示すか、または車両の動作を規定する任意の所望のまたは利用可能なデータを格納してもよい。車両動作データは、車両上の様々なセンサーによって収集、または生成されるテレマティクスデータであってもよい。テレマティクスデータは、例えば、加速及び減速データ、制動データ、速度データ、全地球測位システム(GPS;Global Positioning System)データ、方向転換データ、車両の1つ以上のコンポーネントが関与していたかどうか(例えば、加熱した座席、ラジオ、電話、フロントガラスワイパーなど)、及びどの程度またはレベルまでかを含んでもよい。さらに、データは、運転者支援コンポーネントのうちの1つ以上が関与していたかどうか、及びどの程度までかを指し示すことができる。また、設計分析システムデータベースは、降雨、霧、氷、乾燥、極端な熱または寒さなどの気象または道路状況を識別または指し示すデータなどの環境データを格納してもよい。
【0008】
上述したように、運転者支援システム設計装置はまた、車両動作データに基づいて1つ以上の運転異常(例えば、事故または十分でない運転動作)を判定し、運転異常と1つ以上の運転者支援システムの動作または機能との間の統計的関係を相関させるかまたは判定する分析モジュールを含む。次に、運転者支援設計分析システムは、運転者支援システムまたは機能における潜在的な設計欠陥を判定し、ユーザまたは受信者に潜在的な設計欠陥を通知するために、統計的関係に基づいて1つ以上の運転者支援システムまたは機能の動作の有効性を判定する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ある場合には、運転者支援システム設計装置は、プロセッサ、コンピュータ可読メモリ、異なる車両で使用される1つ以上の運転者支援システムを指定する運転者支援システムデータを含む複数の異なる車両に関する車両情報を格納する車両データベース、及び運転者支援システムを有する複数の異なる車両のうちの複数の車両のための車両動作データを格納する車両動作データベースを含む。この場合、運転者支援システムを有する複数の異なる車両の複数の車両の各々から収集された車両動作データは、異なる車両の実際の動作中の異なる車両の動作を反映する。その上、運転者支援システム設計装置は、コンピュータ可読メモリに格納された設計分析エンジンを含み、それは、(1)車両動作データベースの車両動作データに基づいて、1つ以上の複数の異なる車両の動作中の運転異常を検出し、(2)車両動作データベースの車両動作データに基づいて、運転異常と特定の運転者支援システムとの間の統計的関係(例えば、相関関係)を判定し、(3)判定された統計的関係に基づいて、特定の運転者支援システム内の潜在的な設計欠陥を検出するためにプロセッサ上で動作する。その上さらに、運転者支援設計装置は、受信者に特定の運転者支援システムにおいて検出された潜在的な設計欠陥を通知するためにプロセッサ上で動作する通知エンジンを含む。
【0010】
必要に応じて、運転者支援システムデータは、運転者支援システムのタイプ、1つ以上の車両にインストールされた運転者支援システムの1つ以上の機能、運転者支援システムの、または車両にインストールされた運転者支援システム機能の改訂、及び/または運転者支援システムの1つ以上の運転者支援機能を指定してもよい。1つ以上の運転者支援機能は、例えば、車線変更または追従機能、死角警告機能、無運転者駐車機能、運転者支援駐車機能、自動制動機能、距離判定機能、または距離警告機能を含んでもよい。
【0011】
さらに、必要に応じて、通知エンジンは、運転者支援システム製造業者、車両製造業者、または保険業者に潜在的な設計欠陥を通知し得る。運転者支援システム設計装置は、潜在的な設計欠陥に基づいて車両の保険レートを算出する保険レート算出エンジンを含んでもよい。場合によっては、車両動作データベースは車両動作の時間ベースのデータセットを格納してもよく、各時間ベースのデータセットは特定の時間または特定の時間範囲にわたる車両動作データのセットを含み、車両動作の時間ベースのデータセットの各々は運転者支援システムがその時点で関与していたかどうかを指し示すデータを含んでもよい。
【0012】
他の場合において、運転者支援設計装置の設計分析エンジンは、複数の車両のうちの1つ以上について車両動作データベースから車両動作データを取得し、統計的関係を判定するために運転者支援機能が関与していた時間ベースのデータセットを使用してもよい。同様に、設計分析エンジンは、複数の車両のうちの1つ以上について車両動作データベースから車両動作データを取得し、統計的関係を判定するために運転者支援機能が関与していない時間ベースのデータセットを使用してもよい。他の場合において、設計分析エンジンは、運転者支援機能が関与していた時間ベースのデータセットについて検出された運転者異常を運転者支援機能が統計的関係を判定するのに関与していなかった時間ベースのデータセットについて検出された運転者異常と比較してもよい。
【0013】
別の場合には、1つ以上の車両にインストールされた運転者支援システムの欠陥を検出する方法は、運転者支援システムデータ(複数の異なる車両に使用される1つ以上の運転者支援システムを指定する)を含めて複数の異なる車両に関する車両情報を収集することと、運転者支援システムを有する異なる車両のうちの複数の車両についての車両動作データを収集すること(ここで車両動作データは、異なる車両の実際の動作中の異なる車両の動作を反映する)と、車両情報と車両動作データを車両データベースに格納することとを含む。この方法は、特定の運転者支援システムを有する複数の異なる車両のうちの1つ以上の車両について車両データベースの車両動作データにアクセスするためにプロセッサを使用することと、分析された車両動作データに基づいて複数の異なる車両のうちの1つ以上の車両の動作中の運転異常を検出するためにプロセッサを使用することと、車両データベースの車両動作データに基づいて運転異常と特定の運転者支援システムとの間の統計的関係を判定するためにプロセッサを使用することと、をさらに含む。同様に、この方法は、判定された統計的関係に基づいて特定の運転者支援システム内の潜在的な設計欠陥を検出し、受信者に特定の運転者支援システムで検出された潜在的な設計欠陥を受信者に通知するためにプロセッサを使用することを含む。
【0014】
別の実施形態では、ルーティングシステムは、1つ以上の運転者支援機能を有する車両内の事故の存在を判定する事故検出システム、車両が関係する事故発生時に車両からまたは車両についての車両動作データを収集する車両動作データベース、及び車両事故中の1つ以上の車両動作状態に基づいて故障に関するルールの1つ以上のセットを格納するルールデータベースを含む。ルーティングシステムはまた、事故検出システムが特定の車両が事故にあったと判定したときに特定の車両についての車両動作データを収集するために車両動作データベースにアクセスするために、特定の車両の故障に関するルールデータベース内の1セットのルールにアクセスするために、事故発生時の特定の車両についての車両動作データに基づいて事故発生時の車両の1つ以上の車両状態を判定するために、及び車両状態及びアクセスしたルールのセットに基づいて責任者当事者を判定するためにプロセッサ上で動作する故障判定システムを含む。ルーティングシステムは、故障判定システムによって判定された責任当事者への特定の車両の事故について請求のルートを決めるためにプロセッサ上で動作するルーティングエンジンをさらに含む。
【0015】
必要に応じて、故障判定システムは、特定の事故について複数の(例えば、2つ以上の)責任当事者を判定するためにプロセッサ上で動作してもよく、2つ以上の責任当事者のそれぞれについて比例責務を判定してもよい。この場合、通知エンジンは、判定された責任当事者のそれぞれに通知してもよい。いずれにせよ、責任当事者または複数の当事者は、運転者、車両所有者、運転者支援システム製造業者、車両製造業者、または保険会社あるいはこれら事業体のいずれかの他の代理人のうちの1つを含んでもよい。
【0016】
故障判定システムは、事故発生時における特定の車両の車両動作データに基づいて事故発生時に車両の1つ以上の車両状態を判定してもよく、1つ以上の運転者支援機能が事故発生時に関与していたかどうか、1つ以上の運転者支援機能が事故発生時に適切に動作していたかどうか、及び/または人間の運転者が事故発生時に能動的に車両を運転し、あるいはドライバ支援機能の動作を妨害していたかどうか、を判定し得る。故障判定システムは、動作データ、ステアリング、制動、または加速から、人間の運転者によって引き起こされたことを検出することによって、事故発生時に運転者が能動的に車両を運転していたかどうかを判定し得る。故障判定システムは、事故発生時の運転者支援システムの検出された動作状態を判定してもよく、事故発生時の運転者支援システムの検出された運転状態は運転者支援システムの既知の問題を指し示している可能性がある。この場合、故障判定システムは、運転者支援システムの既知の問題が事故に先立って運転者に伝えられたかどうかを検出してもよい。故障判定システムはまた、運転者支援システムが事故発生時に適切に整備されていたかどうかを検出してもよい。
【0017】
必要に応じて、事故検出システムは、例えば、事故について申請された請求の受領に基づいて、または事故中に車両によって収集されたテレマティックデータに基づいて、1つ以上の運転者支援機能を有する車両における事故の存在を判定してもよい。
【0018】
別の実施形態において、事故請求を処理する方法は、プロセッサを介して、1つ以上の運転者支援機能を有する車両の事故の存在を判定すること、事故発生時の車両に関連する事故における車両からの、または車両についての車両動作データを収集して格納すること、及びルールデータベースにルールを格納すること含み、ここでルールデータベース内のルールは、車両事故中の1つ以上の車両動作状態に基づく故障に関するルールの1つ以上のセットを含む。この方法はまた、プロセッサを介して、車両に係る車両動作データを判定するために車両動作データベースにアクセスすることによって事故について責任当事者を判定すること、車両の故障に関連するルールデータベースの1セットのルールにアクセスすること、事故発生時の車両の車両動作データに基づいて、事故発生時の車両の1つ以上の車両状態を判定すること、及び車両の動作状態及びアクセスしたルールのセットに基づいて責任当事者を判定することを含む。この方法はまた、通信ネットワークを介して、車両の事故についての請求を責任当事者にルーティングすることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】運転者支援設計分析システムにおけるデータの流れを図示するフローチャートを描写する。
【
図2】車両にインストールされた1つ以上の運転者支援システムにおける設計欠陥または動作上の欠陥を検出するために、及び事故中の検出された車両の運転状態に基づいて請求のルートを決めるために使用することができる例示的な処理システムを描写する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、車両に使用される運転者支援システムにおける潜在的な設計欠陥を検出する運転者支援設計分析システムにおけるデータフロー及び情報伝達
図10、及び/または運転者支援機能を有する車両における車両事故について1つ以上の様々な潜在的責任当事者への請求のルートを決めるルーティングシステムで使用されるデータフロー図を示す。一般に言って、1つ以上の車両12からの、または車両についての車両動作データが生成され(例えば、車両12の様々なセンサーが車両12に搭載され)、相手先商標製造業者(OEM;Original Equipment Manufacturer)14及び/または運転者支援設計分析システム16に送られる。車両動作データは、例えば、車両12によって収集され、典型的には、インターネット接続、無線または有線接続、等を含む任意の所望の通信接続を介してOEM14または保険プロバイダあるいは他のユーザに送信されるテレマティックデータであってもよい。知られているように、多くの場合、修理費用、保険費用を分析及び予測し、保険料を設定するために、車両保険システムは、一般にテレマティックデータと呼ばれる車両データ及び事故データを収集する。このデータには、例えば、制動データ、速度データ、方向転換データ、特定の運転者について運転距離データ、時刻データ、環境データ(例えば、雨、霧、氷、寒気、雪、等の環境条件を示すデータ)、全地球測位システム(GPS)データ、等が含まれる。多くの場合、これらの保険システムは、予想される修理費用、事故費用、事故の可能性などを判定するために統計的処理技術を使用する。
【0021】
その結果、
図1の図において車両12から送信された車両動作データは、このデータを受信してもよく、したがってすべてのタイプの車両動作データを含んでもよく、それは様々な車両パラメータの値が収集され、特定の時間または時間範囲にわたって時間スタンプされた時間ベースのデータセットに編成されてもよい。場合によっては、車両動作データは、速度、加速、車両の方向、ステアリング位置、制動または制動の位置、GPSデータ、等を含んでもよい。車両動作データはまた、照明(外部及び内部の)、フロントガラスワイパー(及びその速度)、無線電信、電気通信システム、車載エンターテイメントシステム、エンジン特性、アンチロック制動システム、ギヤまたはトランスミッションの位置、窓及びドアの位置(例えば、開いているか閉じているか)、タイヤ空気圧センサーの読み、等などの車両の様々なコンポーネントの動作状態を含んでもよい。テレマティックデータはまた、外気温、雨、雪、氷または霧の存在、横滑りまたはタイヤスピン検出システムの出力、時刻、周囲の明るさまたは照明、風または風向き、等などの様々な環境条件データを含んでもよい。その上さらに、車両動作データは、システム及び/または機能のタイプ及び性質(例えば、製造業者、改訂、最新の更新、更新履歴、整備記録、等)、運転者支援システムまたは機能の動作状態(例えば、運転者支援システムまたは機能が各特定の時刻に動作または関与していたか、または動作していなかったか)、最新の適用された改訂、運転者支援システムまたは機能に適用された最新のメンテナンス、等などの運転者支援システムまたは機能のメンテナンス状態を含む、1つ以上の運転者支援システムまたは機能に関連する動作データを含んでもよい。
【0022】
上述したように、車両12は、通信接続を介した周期的なダウンロードを使用、メンテナンスシステムのダウンロードシステムを使用、事故調査システムの使用、等、任意のオンラインまたはリアルタイムのデータ収集システムまたは通信接続を使用して、車両動作データをOEM14及び/または設計分析システム16に提供してもよい。すなわち、例えば、車両12が有線または無線インターネットまたは他の広域ネットワーク(LAN)に接続されているとき、車両12が定期的なメンテナンスを行っているとき、車両12が事故にあって、事故調査コンピュータまたは他の接続に接続されているとき、等に車両動作データは車両12に収集されてもよく、リアルタイムでOEM14及び/または設計分析システム16に提供されてもよく、または車両12に格納され、OEM14及び/または設計分析システム16に様々な間隔または都合のよい時間に提供されてもよい。同様に、車両動作データは、事故請求の一部として提供されてもよい。その上さらに、車両動作データは、ハードワイヤード接続、仲介装置(ハードワイヤードまたは近距離無線通信接続を介して車両データ収集システムに接続されたコンピュータなど)を介した接続、無線接続、等を含む任意の所望の通信接続を使用して、車両12からOEM14及び/または設計分析システム16に通信されてもよい。
【0023】
加えて、
図1に図示するように、OEM14は、特定の車両12について車両データ(VD;Vehicle Data)及び任意の収集された車両動作データ(VOD;Vehicle
Operational Data)を、設計分析システム16による格納及び/または使用のために設計分析システム16に提供してもよい。例えば、OEM14は、OEM14によって製造された様々な車両(例えば、自動車、トラック、モータバイク、等)の構成及び機能に係る車両データを提供してもよい。車両データは、各特定の車両について、モデル、型式、ボディタイプ、車両特徴、車両識別番号(VIN;Vehicle Identification Number)、及び任意の他の車両記述または識別データを含んでもよい。車両データはまた、様々な車両の1つ以上の自動運転者支援システムまたは運転者支援機能に係るまたはそれを説明するデータまたは説明を含んでもよい。そのような運転者支援システムデータは、各車両上または車両内に提供される運転者支援システムまたは機能の製造業者、タイプ、機能セット、改訂または更新、シリアル番号、等を含んでもよい。
【0024】
もちろん、車両データ(運転者支援システムデータを含む)及び車両動作データは、インターネット、ブルートゥース(登録商標)接続または無線及び有線接続のなんらかの組み合わせのような任意のデータ通信接続を介してOEM14から設計分析システム16に提供されてもよい。さらに、このデータは、オンライン及びリアルタイムで提供されてもよく、またはバッチダウンロードを介して設計分析システム16に提供されてもよく、または任意の他の所望の方法で提供されてもよい。
【0025】
その上さらに、
図1に示すように、車両事故データ(VAD;Vehicle Accident Data)は、1つ以上の保険または修理施設17から運転者支援設計分析システム16に提供されてもよい。そのような車両事故データは、設計分析システム16の車両データベースに格納された車両データを有する各種車両の過去の事故に係るデータを含んでもよい。車両事故データは、例えば、事故で車両に引き起こされた損傷、損傷の位置、損傷によって影響を受けた本体部品、エアバッグが展開されたかどうか、車両への修理費用、車両への修理のタイプ、事故の原因及び/または性質(例えば、運転者の誤り、車両の誤動作、不適切な方向転換、赤信号または停止標識の運転、速度超過)に関する情報、事故の場所(例えば、高速道路または他のタイプの道路上といった)、事故時の環境条件(雨、みぞれ、氷、周囲温度、等)、及び事故または事故によって引き起こされた損傷を規定する任意の他のデータに係る、またはそれを説明するデータを含んでもよい。
【0026】
概して言えば、設計分析システム16は、様々な車両データ、車両動作データ、車両事故データ、及び必要に応じて環境データを格納するデータベース、及び収集され格納されたデータに異なるタイプの分析を実行し得る分析エンジンを含むプロセッサベースのシステムであってもよい。具体的には、設計分析システム16は、特定の型式/モデルの車両にインストールされた運転者支援システム、特定の型式の車両にインストールされた運転者支援システム、異なる型式及び/またはタイプの車両にインストールされた運転者支援システム(例えば、同じかまたは異なる車両製造業者の、セダンにインストールされた、SUV(Sport Utility Vehicle)にインストールされた、クーペにインストールされた、等の運転者支援システム)などの車両にインストールされた1つ以上の自動運転者支援システム(ADAS)の有効性を判定するために、データベースに格納された車両データ、車両動作データ、車両事故データ及び環境データに関する分析を実行してもよい。同様に、設計分析システム16は、特定の運転者支援システムの自動制動機能、車線検出機能または追従機能、駐車機能、等などの特定の運転者支援システム機能の動作有効性の分析を実行してもよい。これらの分析は、もう一度、特定の運転者支援システムの機能を含むすべての車両について、特定の運転者支援システムを有する特定の製造業者のすべての車両について、特定の運転者支援システムを有する特定の製造業者の特定の型式の車両について、インストールされた特定の運転者支援システムを有する特定のタイプまたはボディスタイル(クーペ、四輪駆動、SUV、等)の車両について、特定の運転者支援システムまたは機能を有する任意の車両製造業者によって製作されたすべての車両について、等のデータのような様々な異なる車両データのセット上で実行されてもよい。
【0027】
概して言えば、設計分析システム16は、運転者援助システムの動作または車両のセットで動いているあるいはインストールされている機能との間の有効性または統計的関係(相関などの)、及び事故または損失のリスク、及び/またはこれらのシステムを使用する際の事故または損失のあり得る重大性を判定するために、車両データと車両動作データと車両事故データと環境データのうちの1つ以上の分析を実行する。さらに、設計分析システム16は、運転者支援システムまたは運転者支援システムのコンポーネントが効果的に動作していない、または同時にOEM14が望む特定の状況(例えば、道路のタイプ、速度、環境条件、方向転換状況、等)を判定してもよい。概して言えば、設計分析システム16は、運転異常(例えば、事故、難しい制動事象、難しい加速事象、高速方向転換、等)が発生した場合の、ならびに運転異常が発生しなかった場合の種々の車両について格納されたデータ上で様々な異なる統計的または回帰分析(相関または他の回帰分析など)を実行してもよい。設計分析システム16は、運転異常の発生と運転者支援システムの使用または運転者支援システムの何らかの機能との間の統計的尺度または統計的関係を判定するために、これら様々な時間中の運転者支援システムまたは機能の動作を比較してもよい。その上さらに、この統計的尺度または関係を提供するために、設計分析システム16は、ある運転者支援システムの動作またはあるタイプの(例えば、ある製造業者の)運転者支援システムのある機能を、別の運転者支援システムの動作または別タイプの(例えば、別の製造業者の)機能と比較してもよい。このような比較分析は、異なる運転者支援システム製造業者によって作られた類似の運転者支援システムまたは機能の比較、同じ運転者支援システム製造業者の異なるタイプの車両の類似の運転者支援システムまたは機能の比較、特定の運転者支援システム製造業者の同一の基本的運転者支援システムまたは機能の比較であるがそこには異なる改訂または更新がインストールされている、等を含んでもよい。
【0028】
いずれにしても、設計分析システム16は、分析された運転者支援システムまたは機能の動作がベースライン量よりも悪いかどうか、それは運転者支援システムまたは機能に設計欠陥がありシステムまたは機能が所望の効果を発揮できないことを意味する、を判定するために判定された統計的尺度(例えば、相関関係)をベースライン値または他の閾値と比較してもよい。設計分析システム16は、これらのシステムの比較有効性を判定するために異なる運転者支援システム(例えば、異なる製造業者からの運転者支援システム、同じ基本的運転者支援システムの異なる改訂版、等)の統計的尺度を比較してもよく、または代わりに比較してもよい。その結果、設計分析システム16は、運転者支援システムまたは機能における潜在的な設計欠陥(または弱点)を判定するために判定された統計的尺度または関係を使用してもよい。設計分析システム16はまた、OEM14または製造業者が望むだけでなく、OEM14または製造業者の運転者支援システムが果たしていない可能性を判定し、または調べることを可能にするために、OEM14に(または運転者支援システム製造業者に)に特定の閾値を超える平均よりも高い、または予想よりも高い相関分析を通知するなど、統計的分析及び/または何らかの洗練された分析を提供してもよい。その上さらに、設計分析システム16は、運転者支援システムの測定されたまたは判定された動作に基づいて、保険業者がレートを設定することを可能にするために、または車両を保証するためのレートを設定する際、または自動車製造業者または運転者支援システム製造業者の保険レートを設定する際に設計欠陥分析を使用するために、保険業者などの他のユーザに高いまたは異常な統計的尺度を通知してもよい。
【0029】
こうして、
図1に示すように、設計分析システム16は、1つ以上の民間保険業者20及び/または商業保険業者22に通信可能に接続されてもよく、民間保険業者20及び/または商業保険業者22に、車両にインストールされた運転者支援システム分析、これらの運転者支援システムに関連付けられたレート、または分析された運転者支援システムの動作の有効性に係る他の要因について通知を提供してもよく、それは車両12の個人所有者に対して、または車両12のOEM14あるいは車両12内にインストールされた運転者支援システムのための製品保証保険に対して、レートを設定するために保険業者によって使用されてもよい。
【0030】
さらに、別の場合において、システム16は、特定の車両12の事故に関連付けられた故障を自動的にまたは迅速に判定する、及び/または運転者支援システムが事故に関係する車両12にインストールされているときに特定の車両の特定の事故に関連付けられた1つ以上の責任当事者を判定する、オンラインまたは自動的請求処理システムを実装してもよい。こうして、システム16は、任意の所望の通信ネットワークを介して、特定の保険業者が事故に関係する要因に基づいて事故について財務的責任があることを指し示す通知を商業保険業者22または民間保険業者20のどちらか(またはその両方)に提供することができる。特に、システム16は、ルールデータベースに1セットのルールを格納してもよく、事故または請求に関連付けられた財務的責任当事者を判定するためにルールデータベース内の様々なルールを使用する故障判定エンジンを含んでもよい。こうして、システム16は、車両12の所有者または運転者を保証する民間保険業者20が事故について財務的責任当事者かどうか、または商業保険業者22(例えば、運転者支援システムの適切な動作を保証する保険業者、または運転者支援システムが配置されている車両の適切な動作を保証する保険業者)が事故について財務的責任当事者かどうかを判定してもよい。いずれの場合においても、システム16は、事故について財政的責任当事者または複数の財政的責任当事者の分析及び判定に基づいて、請求を正しい商業保険業者または民間保険業者に迅速にルート決めすることができる。システム16は、事故からの車両動作データ及び/または車両事故データの分析、ならびに故障を判定する際に使用されるルールに基づいてこの判定を行うことができる。多くの場合において、ルールは、自動車製造業者、運転者支援システム製造業者、保険業者、及び運転者支援システムがインストールされている車両の所有者または使用者の間の契約関係によって判定されるような論理によって特定されてもよい。こうして、これらのルールは、契約上の変更または責任当事者に関する保険法の変更に基づいて更新または変更されてもよい。
【0031】
図2は、
図1の設計分析システム16の一例のより詳細なブロック図を描写する。
図2に描写する設計分析システム16例は、車両データデータベース30、分析エンジン32、及び分析エンジン32に連結された通知エンジン34を含む。特に、車両データデータベース30は、(
図1の)様々な車両12によって及び様々な車両12について収集されたデータを格納する任意の所望のタイプのコンピュータ可読メモリである。より具体的には、車両データデータベース30は、実際の車両動作からの、OEM14(
図1)からの、及び/または他の外部供給源(インターネットを介して接続されたデータ供給源または車両が走行する道路近くのセンサーからなど)からのデータを格納し収集してもよい。車両データデータベース30に格納される車両データは、車両データ40、運転者支援システムデータ42、車両動作データ44、車両事故データ46、及び環境データ48を含む上述のデータのいずれかであってもよい。具体的には、車両データデータベース30は、例えば、各特定車両のVIN、タイプ、モデル、型式、年、色及び機能を含めて、追跡されている、またはデータが関連付けられている車両ごとの車両データ40を格納してもよい。車両データ40は、特定の車両上にあるかまたはその車両にインストールされている運転者支援システムまたは運転者支援システム機能を規定または指し示す車両固有の運転者支援システムデータ41を含んでもよい。運転者支援システムデータ41は、例えば、特定の車両にインストールされた運転者支援システムまたは機能について1つ以上の識別番号、タイプ、ブランド、モデル番号、製造番号、製造業者、等を含んでもよい。運転者支援システムデータ41はまた、例えば、運転者支援システムまたは運転者支援機能に何かリコール修正が行われたか、または組み込まれたことを含めて、特定の車両にインストールされた運転者支援システムの運転者支援システムソフトウェア、ハードウェアまたはファームウェアに提供され、組み込まれ、またはインストールされた改訂または更新の指示を含んでもよい。
【0032】
さらに、車両データデータベース30は、車両データがデータベース30に格納されている車両のうちの1つ以上に組み込まれた様々な運転者支援システムについてより一般的な情報またはデータを記述しまたは提供する運転者支援システムデータ42を含むかまたは格納してもよい。運転者支援システムデータ42は、異なる車両製造業者を含めて、別個のまたは異なる製造業者によって製造された異なる運転者支援システム、または異なる運転者システム支援機能の機能、動作、等を記述または規定してもよい。すなわち、いくつかの状況では、データベース30内に格納された運転者支援システムデータ42は、利用可能であるか、及び/または車両データ40が収集された車両にインストールされている運転者支援システムまたは機能の異なるタイプ、ブランド、モデル、等を規定してもよい。場合によっては、運転者支援システムデータ42によって規定された特定の運転者支援システムは、同じ車両製造業者によって作成された異なる車両タイプ、または異なる車両製造業者によって作成された異なる車両を含めて異なる車両にインストールされてもよい。運転者支援システムデータ42は、システムが有する機能、運転者支援システムに提供されることが可能なアップグレード、運転者支援システムの様々なモデル、型式、改訂、等などの各運転者支援システムの機能、ならびにこれらの運転者支援システムについて他のデータを格納または指示してもよい。
【0033】
その上さらに、車両データデータベース30は、追跡されている個々の車両に関連付けられた車両動作データ、または車両12自体から、OEM14から、または他の何らかの供給源から動作データが受信される車両動作データを含む車両動作データ44を格納してもよい。そのような車両動作データは、速度データ、制動データ、加速データ、走行距離データ、方向データ、全地球測位システム(GPS)データ、等を含めて任意のタイプの動作データであってもよい。上述したように、車両動作データは、タイムスタンプまたは時間相関データのセットとして格納してもよく、各時間ベースデータのセットは、各時間または時間範囲にわたって収集された様々な車両パラメータの値(例えば、センサー測定値)を有する。その上さらに、車両データベース30は、特定の車両の事故に関連付けられた事故、修理及び修理費用、修理時間、部品リスト、作業命令、等で車両に発生した損傷を示す車両事故データ46を格納してもよい。加えて、このデータまたは車両動作データ44は、事故中に車両または他の供給源によって収集された車両動作データ、ならびに事故後の調整者、修理要員、等によって生成されたデータを含んでもよい。上述したように、車両事故データ46は、事故のタイプ、関連車両または事故に関係する車両、事故中または事故時の直前または直後に収集された統計データまたは車両データを含むいくつかの特定の事故の各々について任意の事故または請求関連データを含んでもよい。このデータはまた、事故の重大性の兆候、車両の損傷のタイプ及び説明を含む詳細、車両の修理に関連付けられた費用、及び車両の修理または事故に関係する車両に対する請求処理に関連付けられた他の費用を含んでもよい。
【0034】
その上さらに、車両データデータベース30は、車両動作データ44または車両事故データ46に関連付けられた環境条件または環境データを指し示す環境データ48を格納してもよい。上述したように、環境データ48は、気温、雨が降っていたかどうか、滑りやすく、または凍結していたかどうか、昼間または暗いあるいは夕暮れであったかどうか、等、及び特定の時刻及び特定の場所での運転条件を定義または関連させる任意の他のデータを含んでもよい。データベース48に格納された環境条件データの多くは、車両によって(例えば、車両上の温度または他のセンサーによって)収集されてもよい。しかしながら、このデータはまた、様々な地理的場所について気象データ(例えば、気温、降水量、日光、日の出及び日没時間、等)を提供する気象アプリケーション、民間整備プロバイダ、等などの第三者の供給源から入手することもできる。
【0035】
図2に指し示すように、車両データ40、運転者支援システムデータ42、車両動作データ44、車両事故データ46及び環境データ48は、入力52を介して道路上にある現実の車両からの継続的またはリアルタイムベースでデータベース30に提供されてもよく、または車両データは、入力54を介してOEM14などの他の供給源によって提供されてもよい。同様に、車両データベース30は、環境データ48、車両データ40、車両事故データ46、車両動作データ46、等などの様々な種類のデータをそのデータの関連する供給源から自動的に、または使用者プロンプトに応じて取り出して取得するデータ収集エンジンを有してもよい。理解されるように、新しいデータは、任意の所望の時間または速度でデータが収集されている様々な車両について収集されてもよい。
【0036】
その上さらに、
図2に図示するように、分析エンジン32は、車両データデータベース30に通信可能に連結される。分析エンジン32は、運転者支援システムデータ42に定義されているように、運転状況と1つ以上の運転者支援システムまたは機能の動作(または非動作)との間の様々な統計的関係を検出または判定するための1つ以上の統計分析を実行するためにデータベース30のデータを使用する1つ以上の統計分析モジュール50を含む。コンピュータ可読メモリ56に格納され、プロセッサ58上で実行されるモジュール50は、車両データ40、車両動作データ44、及び車両事故データ46によって捕捉された車両内のこれらのシステムの実際の動作に基づいて、これらの車両が様々なときに受ける環境データ48によって定義されるような異なる環境条件と組み合わせて、運転者支援システム42のような、様々な運転者支援システム(ADAS)の動作について動作統計または情報を判定または検出するために実行される、または車両データベース30内の異なるデータセットに適用される、例えば、様々な回帰分析または相関分析であるかそれを含むものであってもよい。
【0037】
動作中、分析エンジン32は、いつでもまた何時でも1つ以上のモジュールまたはルーチン50を実行してもよく、モジュール50は、運転者支援システムまたは機能42のうちの1つ以上の動作の有効性を判定するためにデータベース30のデータに任意の種類の回帰分析または他の統計分析を適用してもよい。概して言えば、分析エンジン32は、まず1つ以上の検出ルーチン60を実行してもよく、各検出ルーチン60は、車両動作データ40及び/または車両事故データ46の1つ以上の運転異常を判定または検出する。そのような運転異常は、例えば、車両事故データ46内のデータによって規定された、またはそれに関連付けられた事故のような実際の事故であってもよい。しかしながら、運転異常は、難しい制動事象、難しい方向転換事象、急加速事象、突然停止、タイヤの滑り、タイヤのロック(例えば横滑り)などの、実際の事故を引き起こさない他の危険な、あまり望ましくないまたは望ましくない運転動作(または状況)である場合があり、十分でない運転、事故になりかけ、または起こり得る事故の最後の瞬間の回避を示す他の運転事象である場合がある。運転異常検出ルーチンまたはモジュール60は、同一または異なるタイプの1つ以上の運転異常を検出するために車両動作データ44を通して抜粋してもよい。必要に応じて、各異なるタイプの運転異常が検出されるように別個のモジュール60を設けてもよいし、単一のモジュール60が1つのタイプ以上の運転異常を検出してもよい。
【0038】
いずれにしても、1つ以上の運転者支援システムまたは運転者支援システム機能の動作とモジュール60によって検出される1つ以上の運転異常の発生との関係を判定するために分析エンジン32は、次にモジュール50を実行する。一例において、分析エンジン32またはその運転異常検出モジュール60は、特定の運転者支援システムまたは運転者支援機能を有する車両の動作のために車両動作データ44及び/または車両事故データ46を抜粋してもよい。検出モジュール60は、例えば車両データ40によって規定されるような特定のタイプの運転者支援システムまたは機能を有する車両のために、この車両データの運転異常(例えば、車両運転データ及び/または車両事故データ)を検索してもよい。検出モジュール60はまた、分析されたデータを細分割してもよく、または特定の運転者支援システム改訂または機能改訂を有する車両の動作を分析するために分析されたデータを運転者支援システムまたは機能の特定のモデル/改訂/アップグレード、等に限定してもよい。いずれにしても、運転異常検出ルーチン60は次に、収集されたデータ内の1つ以上の運転異常を見つけてもよい。運転異常検出ルーチン60はまた、各検出された各運転異常について、運転者支援システムまたは運転者支援機能がその時点で関与していたか使用中であったかどうか、及び運転者支援システムが様々なレベルの関与を有する場合、どのレベルまたは設定で運転者支援システムまたは機能が関与していたかを判定してもよい。必要に応じて、運転異常検出ルーチン60は、運転者支援システムが関与していた車両の1つ以上のタイプの運転異常を検出してもよく、及び特定の運転者支援システムまたは機能の使用と、事故のような運転異常ならびに事故の重大度との間の相関または関係のより良い判定を可能にするために、運転者支援システムが関与していなかった車両の1つ以上のタイプの運転異常を検出してもよい。
【0039】
分析モジュール50は、特定の運転者支援システムまたは機能の動作の有効性を判定するために、検出された運転異常(または事故)に基づいて、特定の運転者支援システムまたは機能の動作と車両の動作との間の統計的尺度または関係を決定してもよい。場合によっては、モジュール50は、例えば、損失の最初の通知(FNOL;First Notice Of Loss)において、運転者支援システムまたは機能の使用と請求車両の統計的修理費用との間の統計的関係を判定してもよい。他の場合には、モジュール50は、運転者支援システムまたは機能を使用する際の事故または損失の可能性に関連する他の統計的尺度または関係を判定するために他の分析を実行してもよい。
【0040】
統計モジュール50は、車両の任意のタイプまたはサブセット、運転者支援システム、運転者支援システム機能、等と検出または判定された運転異常との間の統計的関係を判定するために、任意の所望の方法でデータを分析してもよい。このようにして、例えば、統計モジュール50は、運転者支援システムまたは機能を有する車両のタイプ、特定の運転者支援システムまたは機能を有するすべての車両、等に基づいて統計的関係を判定するように動作してもよい。この分析を実行するために、モジュール50は、車両動作データ44内で検出された運転異常及び車両について(例えば、車両データ40内の車両について)車両事故データ46をこれらのタイプのシステムまたは機能で検索してもよく、特定の運転時間数、等などの特定の期間にわたるデータに基づいて、例えば、事故の可能性、事故の確率または重大度、あるいは事故における予想される損失または修理費用を指し示す統計的指示を判定する回帰分析または他の統計分析を実行してもよい。
【0041】
さらに、統計モジュール50は、環境条件(雨)、車両動作データ(例えば、左折、制動、速度、方向、等)などの、運転者支援システムまたは機能の動作と運転異常との間の相関を増加または減少させる二次的または他の要因を探してもよい。例えば、分析エンジン32は、異なる環境条件が存在する(または存在しない)データ車両動作データ44及び車両事故データ46を見ることによって、例えば、晴天や明るい昼間の状態と比較して、雨天や滑りやすい状態などのある特定のタイプの環境条件において運転者支援システムまたは機能がより良好にまたはより悪く動作するかどうかを判定するために、環境データに加えて運転異常を運転者支援システムまたは機能と相関させながら分析を実行してもよい。同様に、分析エンジン32は、様々なタイプの車両動作または状態が存在する、及び/または存在しない車両動作データ44を見ることによって、様々なタイプの車両動作または車両状態(例えば、左折、制動、加速、等または車両動作の任意の組み合わせ)に加えて、運転異常を運転者支援システムまたは機能と相関させることによって分析を実行してもよい。もちろん、分析エンジン32は、各運転者支援システムまたは各運転者支援システム機能について1つ以上の統計的関係(例えば、相関係数)を判定するためにデータベース30内のデータに基づいて様々な異なるタイプの分析を実行してもよく、判定された統計的関係(例えば、相関係数)を設計分析エンジン70に提供してもよい。
【0042】
概して言えば、設計分析エンジン70は、特定の運転者支援システムまたは機能に設計欠陥があるかどうかを判定するために、システム32によって開発された1つ以上の判定された統計的関係(例えば、予想される事故費用、事故の可能性、等の相関係数であってもよい)を使用してもよい。例えば、設計分析エンジン70は、運転者支援システムが関与していたまたは動作している車両動作データに基づいて(エンジン32から)特定の運転者支援システム分析によって開発された統計的関係を、運転者支援システムが関与していなかった車両動作データに行われた同様の分析によって開発された統計的関係と、または運転者支援システムがいくらかの時間関与していたがすべての時間ではなかった車両動作データに行われた同様の分析によって開発された統計的関係と比較してもよい。別の場合において、設計分析エンジン70は、運転者支援システムが関与または動作していた車両動作データに基づく特定の運転者支援システム分析について統計的関係を、判定された統計的関係がベースライン閾値より悪い(例えば、より高い)かどうかを判定するためのベースライン閾値(それは使用者、OEM14または他の事業体によって予め決定され得る)と比較してもよい。さらに別のケースにおいて、設計分析エンジン70は、特定の運転者支援システムが関与していたか動作していた車両動作データに基づいて特定の運転者支援システムについて特定の運転者支援システム分析によって開発された統計的関係を、特定の運転者支援システムがベースライン運転者支援システムに対して動作する方法を判定するために、異なる運転者支援システムが関与していた(そして、2つの運転者支援システムが関与していたか動作していた類似の車両動作データに基づいて)異なる(例えば、ベースライン)運転者支援システム分析のために開発された統計的関係と比較してもよい。もちろん、設計分析エンジン70は、特定の運転者支援システムまたは機能の動作の相対的な成績または有効性を判定するために、1つ以上の判定された統計的関係の任意の他の分析または比較を行ってもよい。
【0043】
その上さらに、設計分析エンジン70が、特定の成績または統計的関係が悪いと判定する場合、または予想よりも悪い、許容される、または設計された有効性を示す(例えば、判定された統計的関係が格納された閾値より大きい)場合、通知エンジン34は、運転者支援システムまたは機能が本来期待されるように動作していない(すなわち、システムまたは機能が潜在的な設計欠陥を有する)ことをOEM14などの1つ以上の使用者に通知してもよい。必要に応じて、OEM14(または通知の他の受信者)は、システムが設計通りまたは所望通りに動作していない状態を判定するために車両動作データをより詳細に判定または見てもよく、このデータ及び通知の収集に基づいてより良好に動作するように運転者支援システムを再設計したり、運転者支援システムを再プログラムしてもよい。
【0044】
運転者支援システムの特定の機能が、検出された運転異常指示に基づいて良好に動作しているか否かを判定するように、分析エンジン32は、車両動作データ44、車両事故データ46、環境データ48、等の任意の組み合わせに関する様々な分析を実行または実施することができ、全体として運転者支援システム上で分析を実行してもよいし、運転者支援システムの1つ以上の機能を別々に分析してもよいことが理解されよう。場合によっては、分析エンジン32は、車両事故データのみまたは車両動作データのみ(そこで事故は発生していない)で検出されたまたは関連した運転異常に基づいて車両の動作に関する分析を行なってもよいが、他の場合には、分析されている運転者支援システムまたは機能の動作または有効性を判定するために、分析エンジン32は、事故に関連しない車両動作データ及び車両事故に関連する車両動作データの両方で検出された運転異常に基づいて車両の動作に関する分析を実行してもよい。ある場合には、分析エンジン32は、特定の車両から、またはすべての車両から、あるいは特定の運転者支援システムまたは運転者支援機能を有する車両のサブセットからデータをレビューまたは分析してもよく、いつ運転者支援システムがオンであるかを判定し、運転者支援システムがオンであるときには運転者支援システムの実際の動作に基づいて事故または他のタイプの運転者異常の相関または可能性を判定し、運転者支援システムがオフであるか、または使用されていないときにも車両動作について同じことを行なってもよい。この場合、分析エンジン32または設計分析エンジン70は、運転者支援システムがオン(関与している)ではなく、運転者支援システムがオフ(関与していない)のときに、事故または運転異常の可能性が高いかどうかを判定するために、2つの判定された統計的関係の間の比較を行ってもよい。上述したように、運転異常は事故になる可能性があるが、その時点では実際に事故に陥らない難しい制動、難しい方向転換、スピン、横滑り制御またはアンチロック制動、等などの何か他の過酷な運転動作であってもよい。
【0045】
必要に応じて、相関または他の統計的関係指標(数値)を相関データベース76に格納することができ、OEM14または運転者支援システム製造業者のような第三者に潜在的に設計不良なシステムであることを通知することを正当とするに十分なほどこれらの数値が悪い(例えば高い)場合に、使用者または他の受取者に提供してもよい。通知エンジン34は、設計不良の運転者支援システムの使用者または所有者、またはその運転者支援システム(または運転者支援システムが組み込まれている車両)の製造業者に運転者支援システムまたは機能の貧弱な有効性を通知してもよく、運転者支援システムの低い性能を統計的に引き起こすか、またはそれに相関する環境条件または他の運転条件(例えば、車両が通常左右に方向転換しているとき、車両が夜間に運転されているとき、車両が雨で運転されているとき、等)などの相関が高い特定の状況を指し示す統計データまたは他のデータを提供してもよい。
【0046】
その上さらに、レート通知エンジンまたはレート判定エンジン80は、車両製造業者または運転者支援システム製造業者を保証する保険業者などの商業保険業者に対して、または自家用車両、または自家用車両の所有者または運転者に保険をかける民間保険業者に対して保険費用を判定するためのレート計算を確立し、または行うために、(保険レートまたは保険料を計算する際に典型的に使用される他のデータと一緒に)様々な車両または運転者支援システム用のデータベース76に格納された相関番号を使用してもよい。こうして、設計分析エンジン70の結果は、運転者支援システムを備えた車両の動作及び運転者支援システムの判定された有効性に基づいて、運転者または製造業者に対する保険レート、見積もり、等を確立するために使用されてもよい。
【0047】
その上さらに、
図2の分析システム16は、事故の請求のルートを決めるためにデータベース30に提供されるかまたはデータベース30に格納された車両動作データ44及び/または車両事故データ46を使用する請求ルーティングエンジン90を含んでもよい。この場合、請求ルーティングエンジン90は、事故における故障を判定するために、または特定の事故の責任当事者を判定(例えば、運転者またはOEMあるいは運転者支援システム製造業者が、事故の損害に対して責任を負うかどうか)するために使用される1つ以上のルールを格納するルールデータベース92を含む。より具体的には、請求ルーティングシステム90は、請求の受領を介して、または、例えば車両事故データ46がデータベース30にロードされることを介して事故の指示を受け取る。データ及びまたは請求は、(車両からのテレマティックデータの受信を介して)車両自体から来てもよく、必要に応じて、請求が申請された保険会社から、OEM14または車両を製造したあるいは事故に関与する運転者支援システムを製造した車両製造業者から、または請求ファイル者から来てもよい。
【0048】
請求ルーティングエンジン90は、事故が発生したという通知を受信すると、請求ルーティングエンジン90(それはコンピュータ可読メモリに格納され、プロセッサ上で実行されるルーチンとして実施されてもよい)は、車両データ40、車両事故データ46、車両動作データ44、運転者支援システムデータ42、及び/または環境データ48のようなデータベース30に格納されまたはデータベース30によって収集された関連する車両データを取得し、このデータを分析し、事故の責任当事者または複数の当事者を判定するために、ルールデータベース92内の1つ以上のルールにアクセスしてもよい。責任当事者は、契約上の関係または1つ以上の関連法律の施行のいずれかのために、事故で引き起こされた修理または損害に対して法的責任を負う当事者または事業体(それは人、製造会社、保険会社、等であってもよい)である。
【0049】
より具体的には、請求ルーティングエンジン90は、事故発生時(例えば、事故の直前、最中及び/または後)の車両の1つ以上の動作状態を判定するために、事故について車両動作データ44または車両事故データ46を分析する1つ以上の車両動作状態判定モジュール94を使用または実行(プロセッサ上で)してもよい。車両の1つ以上の動作状態は、事故発生時に車両または車両のコンポーネントに関連付けられた様々な状態、車両が加速していたのか、制動していたのか、惰走していたのか、車両が方向転換していたのかあるいはまっすぐに進んでいたのか、事故前または事故中の車両の移動方向、運転者制御のアクセルペダル、制動ペダル、ステアリングホイールの位置、等など、を指し示してもよい。任意の数の車両状態は、事故中に車両について収集された様々なテレマティックデータによって判定されてもよい。多くの場合、請求ルーティングエンジン90は、例えば、事故発生時に車両の運転者支援システムまたは機能が車両に関与していたかどうかを含めて、運転者支援システムの状態または運転者支援システムの1つ以上の機能の状態を車両動作データ44または車両事故データ46から判定する。車両の動作状態を決定すると、他の請求分析モジュール96は、車両動作状態の組み合わせに基づいて誰が悪いかまたは責任当事者かを、ルールデータベース92のルールに基づいて判定してもよい。その後、請求ルーティングシステム90は、故障判定に基づいて1つ以上の事故の潜在的責任当事者を判定してもよい。責任当事者は、例えば、車両のOEM(車両データ40から判定され得る)、運転者支援システム製造業者(車両データ42から判定され得る)、OEMのまたは運転者支援システム製造業者の保険業者(例えば、請求ルーティングシステム90のデータベース98に格納されていることがあり、請求を介して提供されていてもよい)、車両の運転者または所有者の保険会社(例えば、請求に由来することがあるが、車両データ40に提供され得るか、またはどこか他で取得され得る)、を含んでもよい。
【0050】
もちろん、このプロセスの間に、プロセッサ上で実行する故障判定モジュール98は、事故中の運転者支援システムの動作が事故の原因であった場合、または事故に寄与した場合に、運転者支援システムが故障していたかどうか、または自動車または車両の運転者が悪かったどうかを、車両の運転状態データ及び場合によっては他のデータ(環境データ、車両動作データを含む車両データなど)から判定するためにルールデータベース92内の1つ以上のルールを使用してアクセスしてもよい。ハンドオフされることが意図され、したがって車両の所有者または運転者によって関与されない様々な運転者支援機能(自動駐車機能、全自動運転者支援システム、等など)の場合、請求ルーティングエンジン90は、それらのシステムが事故発生時に関与していたかどうかを判断してもよく、もしそうであれば、運転者支援システムがその事故に対して故障していたと判定してもよい。この場合、請求ルーティングエンジン90は、OEM14または運転者支援システム保険業者(
図1の22)に、その保険業者によって支払われるべきまたはカバーされるべき請求を通知してもよい。一方、車両の運転者支援システムの運転者支援システム機能のいずれもが事故の際に関与していなかった場合には、請求ルーティングエンジン90は、ルールデータベース92のルールに基づいて運転者に不具合があったと判定してもよく、運転者に関連付けられた保険業者に請求ルートを決めてもよい。もちろん、この場合には、請求ルーティングシステム90は、それぞれの車両またはそれぞれの運転者支援システム、例えば車両製造業者、に対する、及び/または運転者または車両所有者自身に対する適切な保険業者または責任保険業者に係る保険データを格納してもよい。
【0051】
他のケースでは、請求ルーティングシステム90は、故障または責任を判定するためにルールデータベース92の他の、より複雑なまたは関係するルールにアクセスしてもよい。例えば、より複雑なルールは、運転者支援システムが関与していたが運転者に警告することのみを意図していた(すなわち、事故を完全に防ぐように設計されていない)状況で、または運転者支援システムが適切に動作したとき、及び/または事故の責任を依然として有していないときに、運転者支援システムが関与していたが事故中に正しく動作していない可能性があり、事故に対して部分的にまたはすべてにおいて責任があるときに、または運転者支援システムが動作していたが、運転者の行動によって動作が妨げられたときに、または運転者支援システムが関与していたが、事故の前に運転者に伝えられていた既知の(自己検出された)問題があったときに、または運転者支援システムが関与していたが、適切に整備されていなかったかアップグレードされていなかったときに、使用されてもよい。すなわち、例えば、自動制動システムが関与しており、事故中に適切に動作していた可能性がある(車両事故データ46または車両動作データ44に基づいて判定されてもよい)が、それでも事故を防ぐことができなかった可能性がある。さらに、いくつかの場合において、請求ルーティングエンジン90は、例えば、運転者支援システムが加速または制動をそれぞれかけようとしているときにハンドルを旋回させ、ハンドルを妨げ、制動またはアクセルを踏み込むことによって、または運転者支援システムの動作を妨げまたは妨害するために他の何らかの行動をとることによって、運転者が運転者支援システムまたは機能の動作を妨害したと判定する場合がある。さらに他の場合において、請求ルーティングエンジン90は、運転者支援システムが事故の原因であったかどうかを判定するときに、運転者支援システムが事故の前に適切にメンテナンスされていた(最新の更新またはアップグレードを受け取る、リコール通知で呼び出されるように整備された、等など)かどうかを(車両状態判定モジュール98から)判定してもよい。さらに他の場合において、請求ルーティングエンジン90は、運転者支援システムがそれ自体に問題を検出して運転者にその問題を通知したにもかかわらず、運転者が運転者支援システムを使用していたかどうかを判定してもよい。
【0052】
理解されるように、ルールデータベース92の様々な異なるルールは、故障の判定、したがって責任当事者の判定に影響を及ぼす可能性がある事故中の様々な異なるタイプの事故または行動の組み合わせをカバーするように設定または定義されてもよい。請求ルーティングエンジン90は、事故発生時の車両の関連する機能またはコンポーネントの状態を判定し、故障を判定するための状態、したがって1つ以上の責任当事者を判定することができる状態に基づいてルールデータベース92に格納されたルールを適用する。上述したように、責任当事者の判定は、車両事故データ、車両動作データ、車両データ、環境データ、等に基づいて、どの保険会社が特定の事故の損害をカバーする責任があるかを判定することを含んでもよい。その上さらに、場合によっては、請求ルーティングエンジン90は、複数の責任当事者が存在すると判定してもよく、収集された車両データ、車両動作データ、車両事故データ、環境データ、等に基づいて、当事者間で故障を配分するためにルールデータベース92の1つ以上のルールを使用してもよい。したがって、この場合、請求ルーティングエンジン90は、複数の責任当事者のそれぞれに対する故障または責任のパーセンテージまたは部分を判定してもよい。
【0053】
いずれにせよ、請求ルーティングシステム90は、故障及び/または複数の故障を判定するためにルールデータベース92のルールを使用し、事故をカバーする責任のある適切な保険会社または他の当事者にシステム16によって受信された請求をルート決めしてもよく、それにより請求を処理する速度を向上させるとともに、運転者支援システムを備えた車両が事故に関係するときに中立または第三者による分析または故障の判定(または少なくとも初期判定)を提供する。
【0054】
前述の説明に以下の追加の考慮事項を適用する。本明細書を通して、複数の事例は、単一の事例として記述されたコンポーネント、動作、または構造を実施してもよい。1つ以上のルーチンまたは方法の個々の動作は別個の動作として図示かつ説明されているが、1つ以上の個々の動作が同時に実行されてもよく、図示の順序で動作を実行する必要は何もない。例示的構成において別個のコンポーネントとして提示された構造及び機能は、結合された構造またはコンポーネントとして実施されてもよい。同様に、単一のコンポーネントとして提示された構造及び機能は、別個のコンポーネントとして実施されてもよい。これら及び他の変形、修正、追加及び改良は、本開示の主題の範囲内に入る。
【0055】
加えて、ある一定の実施形態は、本明細書において、論理または多数のコンポーネント、モジュール、または機構あるいはユニットを含むものとして記載される。これらのモジュール、ユニット、コンポーネント、等のいずれも、ソフトウェアモジュール(例えば、非一時的機械可読媒体に格納されたコード)またはハードウェアモジュールのいずれかの構成要素となることができる。ハードウェアモジュールは、特定の動作を実行することができる有形のユニットであり、ある一定の方法で構成または配置することができる。例示的な実施形態では、1つ以上のコンピュータシステム(例えば、スタンドアロン、クライアントまたはサーバコンピュータシステム)またはコンピュータシステムの1つ以上のハードウェアモジュール(例えば、プロセッサまたはプロセッサ群)は、本明細書で説明されるある一定の動作を行うように動作するハードウェアモジュールとしてソフトウェア(例えば、アプリケーションまたはアプリケーション部分)によって構成されてもよい。
【0056】
ハードウェアモジュールは、ある一定の動作を実行するために(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA;Field Programmable Gate Array)または特定用途向け集積回路(ASIC;Application-Specific Integrated Circuit)などの専用プロセッサとして)永続的に構成された専用回路またはロジックを含んでもよい。ハードウェアモジュールはまた、ある一定の動作を実行するためにソフトウェアによって一時的に構成されるプログラマブルロジックまたは回路(例えば、汎用プロセッサまたは他のプログラマブルプロセッサに包含されたもの)を含むことができる。専用及び永続的に構成された回路または一時的に構成された回路(例えば、ソフトウェアによって構成された回路)にハードウェアモジュールを実装する決定は、コスト及び時間の考慮によって駆り立てられ得ることが理解されよう。
【0057】
したがって、本明細書で使用されるハードウェア用語は有形の実体を含むと理解されるべきであり、ある一定の方法で動作するために、または本明細書で説明されたある一定の動作を行うために、物理的に構築され、永続的に構成され(例えば、ハードワイヤード)、または一時的に構成される(例えば、プログラムされた)実体である。ハードウェアモジュールが一時的に構成される(例えば、プログラムされる)実施形態を考慮すると、ハードウェアモジュールのそれぞれは、時間のいずれかの段階で構成または実例を挙げて裏付けられる必要はない。例えば、ハードウェアモジュールがソフトウェアを使用して構成された汎用プロセッサを含む場合、汎用プロセッサは異なる時間にそれぞれ異なるハードウェアモジュールとして構成されてもよい。したがって、ソフトウェアは、例えば、時間のある段階で特定のハードウェアモジュールを構築し、時間の異なる段階で異なるハードウェアモジュールを構築するようにプロセッサを構成してもよい。
【0058】
ハードウェア及びソフトウェアモジュールまたはルーチンは、他のハードウェア及び/またはソフトウェアモジュール及びルーチンに情報を提供したり、それから情報を受け取ったりすることができる。したがって、記載されたハードウェアモジュールは、通信可能に連結されているとみなされてもよい。複数のそのようなハードウェアまたはソフトウェアモジュールが同時に存在する場合、ハードウェアまたはソフトウェアモジュールを接続する信号伝送(例えば、ふさわしい回路、ライン及びバスを介して)を通して通信を達成し得る。複数のハードウェアモジュールまたはソフトウェアが異なる時間に構成または実例を挙げて裏付けられる実施形態では、そのようなハードウェアまたはソフトウェアモジュール間の通信は、例えば、複数のハードウェアまたはソフトウェアモジュールがアクセス可能なメモリ構造内の情報の格納及び検索を通して達成されてもよい。例えば、1つのハードウェアまたはソフトウェアモジュールが動作を行ない、その動作の出力を通信可能に連結されたメモリデバイスに格納してもよい。さらなるハードウェアまたはソフトウェアモジュールは、後で、格納された出力を検索し処理するためにメモリデバイスにアクセスしてもよい。ハードウェア及びソフトウェアモジュールはまた、入力デバイスまたは出力デバイスとの通信を開始し、リソース(例えば、情報を集めたもの)上で動作することもできる。
【0059】
本明細書で説明される例示的方法の様々な動作は、関連する動作を行なうために一時的に構成される(例えば、ソフトウェアによって)か、または永続的に構成される1つ以上のプロセッサによって少なくとも部分的に行われてもよい。一時的に構成されようが永続的に構成されようが、そのようなプロセッサは、1つ以上の動作または機能を行うように動作するプロセッサ実装モジュールを構成し得る。本明細書で参照されるモジュールは、いくつかの例示的実施形態では、プロセッサ実装モジュールを含み得る。
【0060】
同様に、本明細書で説明される方法またはルーチンは、少なくとも部分的にプロセッサ実装であってもよい。例えば、少なくともいくつかの方法の動作は、1つ以上のプロセッサまたはプロセッサ実装のハードウェアモジュールによって行われてもよい。ある一定の動作のパフォーマンスは、単一のマシン内に存在するだけでなく、いくつかのマシンにわたって展開された1つ以上のプロセッサに分散されてもよい。いくつかの例示的実施形態では、プロセッサまたは複数のプロセッサは、単一の場所(例えば、設備環境内、オフィス環境内、またはサーバファーム内)に配置されてもよく、一方他の実施形態では、複数のプロセッサがいくつかの場所にわたって分散されてもよい。
【0061】
この明細書のいくつかの部分は、機械メモリ(例えば、コンピュータメモリ)内のビットまたはバイナリデジタル信号として格納されたデータに対する動作のアルゴリズムまたは記号表現に関して提示される。これらのアルゴリズムまたは記号表現は、データ処理技術の当業者が彼らの仕事の内容を他の当業者に伝えるために使用する技術の例である。本明細書で使用される場合、「アプリケーション」、「アルゴリズム」または「ルーチン」は、所望の結果に導く動作または類似の処理の自己一貫したシーケンスである。この文脈において、アプリケーション、アルゴリズム、ルーチン及び動作は、物理量の物理的操作を含む。典型的には、しかし必ずしも必要ではないが、このような量は、機械によって格納、アクセス、転送、結合、比較、または他に操作することができる電気信号、磁気信号または光信号の形態を取ってもよい。「データ」、「内容」、「ビット」、「値」、「要素」、「記号」、「文字」、「用語」、「数」、「数字」、等などの単語を使用してそのような信号を参照することは、時として便利であり、一般的に使われる主な理由である。しかしながら、これらの単語は単に便利なラベルであり、適切な物理量に関連付けられるべきものである。
【0062】
特に明記しない限り、「処理する」、「コンピュータ処理する」、「計算する」、「判定する」、「提示する」、「表示する」、等などの単語を使用する本明細書の説明は、1つ以上のメモリ(例えば、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、またはそれらの組み合わせ)、レジスタ、あるいは情報を受信し、格納し、送信し、あるいは表示する他の機械コンポーネント内で物理的(例えば、電子的、磁気的または光学的)量として表されるデータを操作または変換する機械(例えば、コンピュータ)の行動またはプロセスに言及してもよい。
【0063】
本明細書で使用される場合、「一実施形態」または「実施形態」のいずれかへの言及は、実施形態に関連して説明される特定の要素、機能、構造または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書の様々な場所における「一実施形態では」という言葉づかいの出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態に言及しているとは限らない。
【0064】
いくつかの実施形態は、それらの派生語と一緒に「連結された」及び「接続された」という表現を用いて説明される場合がある。例えば、いくつかの実施形態は、2つ以上の要素が物理的または電気的に直接接触していることを指し示すために「連結された」という用語を使用して説明される場合がある。しかしながら、「連結された」という用語は、2つ以上の要素が互いに直接接触していなくて、依然として互いに協働し、または相互作用していることを意味してもよい。実施形態はこの前後関係において限定されない。
【0065】
本明細書で使用される場合、用語「備える」、「備えている」、「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」またはそれらの任意の他の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図する。例えば、要素のリストを備えるプロセス、方法、物品、または装置は、必ずしもそれらの要素のみに限定されるものではなく、明確に列挙されていないかまたはそのようなプロセス、方法、物品または装置に固有の他の要素を含み得る。
さらに、はっきりとそれとは反対に述べられない限り、「または」は包括的ORを指し、排他的ORを指さない。例えば、条件AまたはBは、Aが真(または存在する)かつBが偽(または存在しない)、Aが偽(または存在しない)かつBが真(または存在する)、及びAとBの両方が真(または存在する)のいずれか1つを満足する。
【0066】
さらに、「1つの(a)」または「1つの(an)」の使用は、本明細書の実施形態の要素及び構成要素を説明するために使用される。これは、便宜上のためだけであり、説明の一般的な意味を与えるためになされる。この説明は、1つまたは少なくとも1つを含むように読まれるべきであり、単数であっても、それが他の意味であることが明らかでない限り、複数も含む。
【0067】
この開示を読めば、当業者であれば、本明細書に開示された技術を構成し実行するための画像処理アプリケーション及びシステムを実施するためにさらに追加の代替的構造及び機能設計を使用し得ることを理解するであろう。したがって、本明細書において特定の実施形態及びアプリケーションを図示し説明してきたが、開示された実施形態は、本明細書に開示される厳密な構成及び構成要素に限定されないことを理解されたい。特許請求の範囲に規定された趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に開示された方法及び構造の配置、動作及び詳細において、当業者には明らかであろう様々な修正、変更かつ変形がなされ得る。
【符号の説明】
【0068】
10・・・・・・データフロー及び情報伝達図
12・・・・・・車両
14・・・・・・相手先商標製造業者(OEM)
16・・・・・・運転者支援設計分析システム
17・・・・・・保険または修理施設
20・・・・・・民間保険業者
22・・・・・・商業保険業者
30・・・・・・車両データデータベース
32・・・・・・分析エンジン
34・・・・・・通知エンジン
40・・・・・・車両データ
41・・・・・・運転者支援システムデータ
42・・・・・・運転者支援システムデータ
44・・・・・・車両動作データ
46・・・・・・車両事故データ
48・・・・・・環境データ
50・・・・・・統計分析モジュール
52・・・・・・入力
54・・・・・・入力
56・・・・・・コンピュータ可読メモリ
58・・・・・・プロセッサ
60・・・・・・検出ルーチン
70・・・・・・設計分析エンジン
76・・・・・・相関データベース
80・・・・・・レート判定エンジン
90・・・・・・請求ルーティングエンジン
92・・・・・・ルールデータベース
94・・・・・・車両動作状態判定モジュール
96・・・・・・請求分析モジュール
98・・・・・・故障判定モジュール