(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】安全システム
(51)【国際特許分類】
G05B 9/02 20060101AFI20240304BHJP
G02B 27/01 20060101ALI20240304BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20240304BHJP
G06F 21/30 20130101ALI20240304BHJP
G06T 19/00 20110101ALI20240304BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20240304BHJP
G06K 7/14 20060101ALN20240304BHJP
G07C 9/00 20200101ALN20240304BHJP
【FI】
G05B9/02 L
G02B27/01
G06F3/01 510
G06F21/30 350
G06T19/00 A
G09G5/00 510C
G06K7/14 017
G07C9/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018220119
(22)【出願日】2018-11-26
【審査請求日】2021-08-16
(32)【優先日】2017-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516027731
【氏名又は名称】オイヒナー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング プルス コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】EUCHNER GmbH + Co. KG
【住所又は居所原語表記】Kohlhammerstr. 16, D-70771 Leinfelden-Echterdingen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク シュミート
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-151742(JP,A)
【文献】特開平08-161028(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0248826(US,A1)
【文献】国際公開第2016/185845(WO,A1)
【文献】特開2017-036655(JP,A)
【文献】特開2004-234658(JP,A)
【文献】国際公開第2011/135968(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 9/02
G06F 3/01
G02B 27/01
G06F 21/30
G06K 7/14
G07C 9/00
G09G 5/00
G06T 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部(4)を有し、該制御部(4)によって制御される設備(3)に対応付けられている少なくとも1つの安全モジュール(2)を備えた安全ガードロックシステムにおいて、
前記安全ガードロックシステムにより、前記設備(3)の危険領域を包囲する柵に組み込まれている仕切り防護装置のガードロックが行われ、
カメラ(9)およびプロジェクションユニット(10)を有する
ユーザが装着可能な拡張現実ユニット(8)が設けられており、
前記安全モジュール(2)は、前記仕切り防護装置のガードロックにより人員に対する危険が前記設備(3)から発生しないことを保証する機能を有するとともに、前記拡張現実ユニット(8)とのデータ接続(12)を提供し、さらに前記制御部(4)とのデータ接続(6、7)を提供するように構成された接続モジュール(11)を有しており、
前記拡張現実ユニット(8)により、前記設備(3)を特徴付けるコードが検出され、前記接続モジュール(11)に伝送され、
前記接続モジュール(11)は、安全ガードロックシステムを特徴付ける識別子と共に前記コードを記憶しており、前記コードおよび前記識別子に基づき、前記設備(3)および前記安全モジュール(2)を識別して、前記拡張現実ユニット(8)に、前記安全モジュール(2)に対応付けられている操作要素に対する、前記設備(3)に適切な特性量を供給し、
前記特性量に基づき、前記拡張現実ユニット(8)の前記プロジェクションユニット(10)が、前記操作要素
の仮想の画像を生成し、前記ユーザが前記拡張現実ユニット(8)によって見ている周囲画像に重畳し、
前記ユーザは、ジェスチャ制御を用いて仮想の前記操作要素を操作でき、該操作が、前記拡張現実ユニット(8)において検出されて評価され、これにより、操作データが生成され、該操作データが、前記安全モジュールを介して前記制御部(4)に伝送され、これにより、対応する設定を行うことができる、
ことを特徴とする、
安全ガードロックシステム。
【請求項2】
前記操作データの伝送は、前記接続モジュール(11)を介して前記制御部(4)に行われ、前記安全ガードロックシステムでは、前記操作データに依存して自動で設定が行われ、
前記安全ガードロックシステムは、前記接続モジュール(11)と前記制御部(4)との間のデータ接続(6、7)を形成するバスモジュール(5)を有することを特徴とする、
請求項1
記載の安全ガードロックシステム。
【請求項3】
前記バスモジュール(5)において、前記拡張現実ユニット(8)との通信のための、前記接続モジュール(11)のデータプロトコルが、前記制御部(4)との通信のためのデータプロトコルに変換されることを特徴とする、
請求項
2記載の安全ガードロックシステム。
【請求項4】
前記制御部(4)によって調整可能な、前記安全ガードロックシステムを特徴付ける識別子は、前記接続モジュール(11)に格納されていることを特徴とする、
請求項1から
3までのいずれか1項記載の安全ガードロックシステム。
【請求項5】
前記接続モジュール(11)において、前記拡張現実ユニット(8)によって読み出される前記コードに前記識別子が対応付けられることを特徴とする、
請求項
4記載の安全ガードロックシステム。
【請求項6】
前記設備(3)は、
マトリクスコードまたはバーコードによって識別可能であることを特徴とする、
請求項1から
5までのいずれか1項記載の安全ガードロックシステム。
【請求項7】
前記操作要素の前記特性量は、前記接続モジュール(11)または外部ユニットから前記拡張現実ユニット(8)に伝送されることを特徴とする、
請求項1から
6までのいずれか1項記載の安全ガードロックシステム。
【請求項8】
前記接続モジュール(11)および/または前記拡張現実ユニット(8)は、外部ユニットとのデータ接続を形成するためのインタフェース(14)を有することを特徴とする、
請求項1から
7までのいずれか1項記載の安全ガードロックシステム。
【請求項9】
前記拡張現実ユニット(8)は、データグラスの形態で形成されていることを特徴とする、
請求項1から
8までのいずれか1項記載の安全ガードロックシステム。
【請求項10】
前記接続モジュール(11)は、安全モジュール(2)のサブモジュールを形成することを特徴とする、
請求項1から
9までのいずれか1項記載の安全ガードロックシステム。
【請求項11】
前記接続モジュール(11)は、前記安全モジュール(2)に接続可能であることを特徴とする、
請求項
10に記載の安全ガードロックシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全システムに関する。
【背景技術】
【0002】
このような安全システムは、一般に、設備に対する安全機能を提供するために使用される。設備という概念に関しては、一般に、設備の部分またはこれに対応付けられるユニットも含まれる。ここで設備とは、特に機械または装置であってもよい。一般に、このような設備からは危険が発生し得る。安全システムにより、特に、設備が動作する際の人的損害が確実に回避されるように設備の安全が確保される。
【0003】
このような安全システムの例は、安全ガードロックシステムである。安全ガードロックシステムは、一般に、設備へのアクセスの安全が確保されるようにする。例えば、柵によって設備を包囲することでき、この柵には、例えば安全ドアのような、仕切り防護装置が設けられる。安全ガードロックシステムにより、安全ドアが確実にガードロックされ、これにより、人員にとって危険になり得る設備の動作中には、安全ドアを通って設備にアクセスすることはできない。安全ガードロックシステムによって行われる安全ドアのガードロックは、設備が停止しているか、または設備から危険が発生することのない動作モードで設備が動作している場合にのみ解除される。
【0004】
設備の動作は、一般に、構成に応じて1つまたは複数の計算ユニットから構成され得る制御部によって安全が確保される。
【0005】
設備のプロセスパラメタを設定するため、典型的には、制御部に操作要素が対応付けられている。操作要素は、キー、回転ノブおよびその他の設定手段から形成することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、高い機能性およびユーザ利便性を有する安全システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、少なくとも1つの安全モジュールを備えた安全システムに関する。安全モジュールは、制御部によって制御される設備に対応付けられる。ここでは、装着可能な拡張現実ユニットが設けられている。拡張現実ユニットは、カメラおよびプロジェクションユニットを有する。安全モジュールは、接続モジュールを有する。接続モジュールは、拡張現実ユニットとのデータ接続を提供し、さらには制御部とのデータ接続を提供するように構成されている。拡張現実ユニットにより、設備を特徴付けるコードが検出され、接続モジュールに伝送される。拡張現実ユニットに、検出したコードに依存して、操作要素の特性量が供給される。この特性量に基づき、拡張現実ユニットのプロジェクションユニットにより、操作要素が視覚化される。仮想の操作要素の操作は、拡張現実ユニットによって検出され、ここから操作データが生成される。操作データの伝送は、接続モジュールを介し、制御部に行われる。安全システムでは、操作データに依存して自動で設定が行われる。
【0008】
したがって本発明では、安全システムのプロセスパラメタのユーザフレンドリな設定を可能にするシステムおよび方法が提供される。
【0009】
この設定のため、本発明では、拡張現実ユニットと、安全モジュール内または安全モジュールに設けられる接続モジュールと、が設けられる。
【0010】
拡張現実ユニットは、ユーザが装着可能なユニットを形成する。すなわち、ユーザは、拡張現実ユニットを装着することができ、したがって拡張現実ユニットにより、フレキシブルに、設備または設備の一部のプロセスパラメタの設定を行うことができる。
【0011】
一般に、ユーザは、拡張現実ユニットをその頭部に装着し、これにより、ユーザは、拡張現実ユニットによって周囲画像を見ることができる。この周囲画像には、ユーザがプロセスパラメタの設定に利用できる仮想の情報を挿入することができる。特に、拡張現実ユニットは、データグラスの形態で形成可能である。さらに、拡張現実ユニットは、アイタブ(Eye Tab)、コンタクトレンズおよびこれに類するものの形態で形成可能である。
【0012】
拡張現実ユニットにより、安全システムの操作要素を形成するためにこれまで必要であったハードウェアを不要とする快適なユーザインタフェースが得られる。
【0013】
これにより、安全システムにおいて操作要素の高価なハードウェアを節約できるため、全体システムの大きな価格上の利点が得られる。これにより、全体システムの形態を容易に変更できるかまた節約することさえも可能である。
【0014】
特に、安全システムの安全関連のコンポーネントの構造が簡略化される。公知の安全システムでは、キーのような操作要素を備えた安全モジュールを設けなければなかったの対し、本発明による安全システムではこのコストが省略される。
【0015】
このような操作要素は、これが非容量式操作要素として形成されている限り、寿命は限られている。これに対し、容量式要素の形態の操作要素は、困難および特殊なグローブのような補助手段を伴わなければ取り扱うことができない。
【0016】
本発明による安全システムでは、このような操作要素は不要であるため、安全システムの寿命が格段が延び、さらに操作の快適さも格段に向上する。
【0017】
拡張現実ユニットによって生成される、仮想の操作要素の表示は、プロセスパラメタを設定するためにユーザによって利用され、これによって生成される操作データは、設備の制御部に転送されて、この制御部において対応する設定が行われる。これにより、あたかも、安全モジュールにおけるキーのような実際の操作要素を使用した際に行われるかのように、完全に対応する設定過程が実現される。すなわち、拡張現実ユニットによって生成される仮想の操作要素により、ハードウェア的に設けられている、安全モジュールにおける実際の操作要素を完全かつ同等に置き換えることができる。
【0018】
さらに有利であるのは、本発明によるプロセスパラメタ設定のために、特に制御部との通信に使用される、安全システムの既存のコンポーネントも共に利用できることであり、これにより、さらなる合理化の効果が得られる。
【0019】
拡張現実ユニットは、重要なコンポーネントとしてカメラおよびプロジェクションユニットを有する。さらに、拡張現実ユニットは、接続モジュールとのデータ接続を形成する手段を有する。一般に、接続モジュールと拡張現実ユニットとの間では、無線のデータ伝送が行われる。有利には、データ接続は、WLAN接続、Bluetooth(登録商標)接続またはこれに類似する形態で形成される。
【0020】
第1のステップでは、設備を特徴付けるコードが、カメラによって検出されることによって、拡張現実ユニットにより、それぞれの設備が識別される。拡張現実ユニットを装着したユーザは、拡張現実ユニットにより、周囲画像を見ているため、ユーザは、コードを容易に見つけ出すことができる。次にカメラを用いて、周囲画像内に見ることができ、ゆえにカメラの視野にあるコードも検出されて復号化される。このコードは、例えば、QRコード、マトリクスコードまたはバーコードから形成可能である。
【0021】
復号化されたコードは、拡張現実ユニットから接続モジュールに伝送され、有利にはそこに記憶される。
【0022】
コードを検出することにより、設備または接続モジュールが識別されるため、この設備に適合する特性量が、安全システムの操作要素から拡張現実ユニットに送信される。
【0023】
一般に、この特性量を接続モジュールに格納することができる。特に有利には、接続モジュールは、外部ユニットとのインタフェースを有しており、これにより、特性量が、外部ユニットから読み込まれる。いずれの場合にも、次に拡張現実ユニットは、接続モジュールから特性量を受け取る。インタフェースは、インターネット接続として形成されてよい。基本的には、特性量が、外部ユニットから拡張現実ユニットに直接に伝送されるようなインタフェースが拡張現実ユニットを有することすら可能である。
【0024】
次に、特性量に基づき、拡張現実ユニットのプロジェクションユニットは、操作要素の画像を生成し、この画像が、拡張現実ユニットの周囲画像に挿入される。これにより、ユーザが見ることができる、仮想の操作要素の表示が発生する。
【0025】
ユーザは、次に、例えばジェスチャ制御を用いて、仮想の操作要素を操作し、この操作が、拡張現実ユニットにおいて検出されて評価される。これにより、操作データが生成され、この操作データが、安全モジュールを介して制御部に伝送され、これにより、対応する設定を行うことができる。
【0026】
したがって、このような操作要素の手動の操作に基づき、特に設備の制御部において、安全システムの設定を行うため、もはや、安全システムに、特にその安全モジュールに、ハードウェア的な操作要素を備え付ける必要はない。むしろ、安全システムのコンポーネントにおける操作要素のこのようなハードウェアは、拡張現実ユニットを介する仮想的な設定によって置き換えられる。
【0027】
1つまたは複数の安全モジュールの通信は、一般に、安全システムの構成部分であるバスモジュールを介して行われる。バスモジュールを介し、接続モジュールと制御部との間のデータ接続が形成される。
【0028】
このデータ接続を介するデータ伝送のため、制御部によって調整可能な、安全システムを特徴付ける識別子が、接続モジュールに格納されている。
【0029】
この際に接続モジュールでは、識別子が、拡張現実ユニットによって読み出されるコードに対応付けられる。
【0030】
したがって接続モジュールは、拡張現実ユニットと制御部との間の通信リンクを形成する。
【0031】
特にバスモジュールでは、拡張現実ユニットとの通信のための接続モジュールのデータプロトコルが、制御部との通信のためのデータプロトコルに変換される。
【0032】
接続モジュールを介して拡張現実ユニットから制御部に至るこのデータ伝送のためには、拡張現実ユニットによって求めたコードに対する識別子の対応付けを利用する。
【0033】
一般に、コードに対する識別子の対応付けは、設備を有する安全システムの詳細な別の識別にも利用可能である。
【0034】
最も簡単なケースでは、拡張現実ユニットによって検出したコードは、設備を識別するのに十分であり、またプロセスパラメタ設定のための操作要素に対し、設備に対応付けられる特性量を特定するのに十分である。設備に、安全システムの種々異なる安全コンポーネントを対応付けることができ、これにより、種々異なる、操作要素の構成が可能になる場合、コードを識別子と共に利用し、これにより、それぞれの安全システムに対し、操作要素の適切な特性量を接続モジュールから拡張現実ユニットに伝送し、これにより、次に、拡張現実ユニットによって、対応する仮想の操作要素が視覚化できるようにする。
【0035】
有利な一実施形態によれば、接続モジュールは、安全モジュールのサブモジュールを形成する。
【0036】
したがってこのサブモジュールは、安全モジュールのコンポーネントを形成し、ゆえに安全システムに組み込むことができる。
【0037】
特に有利には、接続モジュールは、安全モジュールに接続可能である。
【0038】
特に、接続モジュールを安全モジュールに取り付けることができ、これにより、接続モジュールは、安全モジュールに自動的に電気的に接触接続される。
【0039】
有利な発展形態によれば、安全システムは、安全ガードロックシステムである。
【0040】
以下、図面に基づいて本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】本発明による安全システムの実施例の概略図である。
【
図2】安全ガードロックシステムの形態の安全システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1には、本発明による安全システム1の実施例が略示されている。安全システム1は、制御部4によって制御される設備3に対する安全機能を提供する安全モジュール2を有する。設備3という概念には、一般に、機械または自動化された装置も含まれる。制御部4は、例えば、SPS制御部から形成することが可能である。
【0043】
図1に示した実施形態において、安全システム1には、安全モジュール2が含まれる。一般に複数の安全モジュール2を設けることも可能である。1つまたは複数の安全モジュール2によって実行される安全機能は、典型的には、人員に対する危険が設備3から発生しないことを保証する監視機能である。
【0044】
安全システム1には、さらに、安全モジュール2と制御部4との間のデータ交換が行われるバスモジュール5が含まれる。
【0045】
バスモジュール5と制御部4との間には、この場合にはイーサネット接続によって形成されるデータ接続6が設けられている。
【0046】
バスモジュール5と安全モジュール2との間には、別のデータ接続7が設けられている。
【0047】
一般に、安全モジュール2とバスモジュール5との間およびバスモジュール5と制御部4との間での、データ接続6、7を介するデータ伝送には、異なるデータプロトコルが使用される。
【0048】
この場合にバスモジュール5は、これらのデータプロトコルの変換を行い、これより、安全モジュール2と制御部4との間で、バスモジュール5を介するデータ交換が可能になる。安全モジュール2を識別するため、識別子が設けられており、この識別子は、安全モジュール2にも制御部4にも格納され、かつ安全モジュール2と制御部4との間の通信に使用される。
【0049】
プロセスパラメタを設定するために、安全モジュール2にキーおよびこれに類するものなどの操作要素を設ける必要はない。本発明では、このような操作要素の代わりに、データグラスまたはこれに類するものの形態で形成されておりかつユーザが装着可能な拡張現実ユニット8が設けられている。拡張現実ユニット8には、カメラ9およびプロジェクションユニット10が組み込まれている。
【0050】
拡張現実ユニット8を装着しているユーザは、周囲画像を見ており、この周囲画像には、プロジェクションユニット10によって情報を挿入することができる、すなわち、実際の周囲画像に、仮想の可視の画像が重畳される。
【0051】
安全モジュール2は、接続モジュール11を有する。接続モジュール11は、安全モジュール2のサブモジュールを形成しており、これに取り付けることができ、これにより、接続モジュール11は、自動的に安全モジュール2に電気的に接触接続される。
【0052】
接続モジュール11と拡張現実ユニット8との間では、WLAN接続、Bluetooth(登録商標)接続またはこれに類するものの形態で、自動で非接触のデータ接続12が形成され、このために、接続モジュール11にも拡張現実ユニット8にも、必要なデータ伝送手段が組み込まれている。
【0053】
本発明では、拡張現実ユニット8および接続モジュール11により、安全システム1に対するプロセスパラメタ設定が行われる。
【0054】
このためにはまず、拡張現実ユニット8のカメラ9により、設備3に取り付けられたQRコード13を検出する。QRコード13の代わりに、マトリクスコード、バーコードまたはこれに類似するものを設けることも可能である。
【0055】
QRコード13に含まれるコード、すなわちそのコード情報は、拡張現実ユニット8から接続モジュール11に伝送される。接続モジュール11には、安全システム1を特徴付ける識別子と共にコードが記憶されており、これにより、これらの要素間の対応付けが得られる。
【0056】
コードおよび識別子に基づき、設備3が識別され、また安全システム1を形成する安全コンポーネントも識別される。
【0057】
接続モジュール11からは、特に1つまたは複数の安全モジュール2に対応付けられている操作要素に対する、設備3に適切な複数の特性量が、コードおよび識別子に基づいて、拡張現実ユニット8に伝送される。基本的にはこれらの特性量は、接続モジュール11それ自体に格納されていてよい。特に有利には、接続モジュール11は、これらの特性量が格納されている外部ユニットに接続するためのインタフェース14を有する。接続モジュール11において設備3のコードが既知になった後、接続モジュール11は、インタフェース14を介し、外部ユニットから特性量を読み込むことができる。インタフェース14は、特にインターネットへの接続として形成することが可能である。
【0058】
接続モジュール11から拡張現実ユニット8に伝送した、操作要素の特性量に基づき、拡張現実ユニット8のプロジェクションユニット10を用いて、操作要素の仮想の画像が生成され、ユーザが拡張現実ユニット8によって見ている周囲画像に重畳される。これにより、ユーザには周囲に仮想の操作要素が見える。この仮想の操作要素は、キー、回転ノブまたはこれに類するものの形態で形成することが可能である。仮想の操作要素は、ユーザにより、特にジェスチャ制御により、操作可能である。例えば、ユーザは、キーの形態の操作要素に指を誘導する。拡張現実ユニット8のカメラ9は、このことを検出し、拡張現実ユニット8は、これを操作要素の操作として、特にキーの押下として解釈する。
【0059】
拡張現実ユニット8には、操作要素の特性量が格納されているため、ここでは、操作要素の登録された操作により、対応する操作データが生成される。すなわち、あたかもユーザがハードウェア的に安全モジュール2に設けられた実際の操作要素を操作したかのように、正確に同じ操作データが生成される。
【0060】
これらの操作データは、拡張現実ユニット8から接続モジュール11に送信される。接続モジュール11は、バスモジュール5を介して制御部4に操作データを送信する。接続モジュール11では、コードの対応付けが識別に利用されて、これにより、次に、この識別の下で操作データが、バスモジュール5を介して制御部4に送信され、次に、操作データに対応して、すなわち拡張現実ユニット8によって形成された仮想の操作要素の操作に対応して、プロセスパラメタの設定が行われる。
【0061】
図2には、安全ガードロックシステムの形態の、安全システム1の安全コンポーネントが示されている。安全ガードロックシステムにより、例えば安全ドアのような仕切り防護装置の確実なガードロックが行われる。安全ドアは、例えば、設備3の危険領域を包囲する柵に組み込まれている。したがって人員は、安全ドアを通ることによってのみ、設備3に到達することができる。
【0062】
人員に対する危険が設備3から発生し得る作業動作中、安全ガードロックシステムによって安全ドアはガードロックされるため、危険領域へのアクセスは不可能になる。設備3が、停止しているかまたは人員に対する危険が設備3から発生しない動作モードで動作している場合にのみ、安全ガードロックシステムにより、安全ドアのガードロックが解除され、安全ドアを通ることによる危険領域へのアクセスが可能になる。
【0063】
図2に示した安全ガードロックシステムには、基本モジュール15およびグリップモジュール16が含まれる。グリップモジュール16は、安全ドアに配置されている。基本モジュール15は、安全ドアを包囲するフレームに配置されている。
【0064】
有利には、拡張現実ユニット8のプロジェクションユニット10により、基本モジュール15の領域またはその近傍において仮想の操作要素が視覚化される。
【0065】
安全ドアが、その閉位置にある場合、グリップモジュール16は、
図2に示したように、基本モジュール15に接触している。基本モジュール15には、ロックを作用させることができる、すなわち
図2に示した閉位置にグリップモジュール16を確実に保持することができるロック手段が含まれている。
【0066】
基本モジュール15は、データ接続7を介してバスモジュール5に接続されており、バスモジュール5それ自体は、データ接続6を介して、設備3の制御部4に接続されている。
【0067】
安全ガードロックシステムには、さらに、セーフティI/Oモジュールを形成する、すなわち入力部および出力部を提供する確実なモジュールを形成する拡張モジュール17が含まれている。拡張モジュール17は、データ接続7’を介してバスモジュールに接続されている。
【0068】
さらに、安全ガードロックシステムは、信号発生器19のような周辺ユニットを接続するために使用される、基本モジュール15に接続される拡張モジュール18を有する。拡張モジュール18は、オプションであり、すなわち、安全ガードロックシステムに必ずしも設ける必要はない。
【0069】
図2に示していない接続モジュール11は、サブモジュールとして、基本モジュール15または拡張モジュール17のいずれかに取り付けることができる。
【0070】
基本的に、
図2に示した安全システム1は、基本モジュール15およびグリップモジュール16がなくても動作可能であり、これにより、拡張モジュール17だけが設けられ、この場合には拡張モジュール17には接続モジュール11が取り付けられる。この場合、安全システム1は、安全ガードロックシステムではなく、セーフティI/Oシステムを形成する。
【符号の説明】
【0071】
1 安全システム
2 安全モジュール
3 設備
4 制御部
5 バスモジュール
6 データ接続
7 データ接続
7’ データ接続
8 拡張現実ユニット
9 カメラ
10 プロジェクションユニット
11 接続モジュール
12 非接触のデータ接続
13 QRコード
14 インタフェース
15 基本モジュール
16 グリップモジュール
17 拡張モジュール
18 拡張モジュール
19 信号発生器