(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】車両への無線通信を試験するための機器
(51)【国際特許分類】
G01R 29/10 20060101AFI20240304BHJP
G01R 29/08 20060101ALI20240304BHJP
H01Q 19/17 20060101ALI20240304BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20240304BHJP
H01Q 21/24 20060101ALI20240304BHJP
H04B 17/00 20150101ALI20240304BHJP
【FI】
G01R29/10 E
G01R29/08 A
H01Q19/17
H01Q21/06
H01Q21/24
H04B17/00 Z
(21)【出願番号】P 2018530017
(86)(22)【出願日】2016-12-15
(86)【国際出願番号】 EP2016081251
(87)【国際公開番号】W WO2017102980
(87)【国際公開日】2017-06-22
【審査請求日】2019-09-27
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-16
(32)【優先日】2015-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516223137
【氏名又は名称】ランロス アーベー
【氏名又は名称原語表記】RANLOS AB
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】キルダル、パー-サイモン
(72)【発明者】
【氏名】アラヨン グラズノフ、アンドレス
【合議体】
【審判長】中塚 直樹
【審判官】田邉 英治
【審判官】佐藤 久則
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-124415(JP,A)
【文献】国際公開第2015/113667(WO,A1)
【文献】特開2001-201526(JP,A)
【文献】特表2013-504981(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0028110(US,A1)
【文献】特開昭55-124308(JP,A)
【文献】特開2007-251663(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0109932(US,A1)
【文献】特開2010-266423(JP,A)
【文献】Raza, H. et al., Wideband Compact 4-Port Dual Polarized Self-Grounded Bowtie Antenna, IEEE Transactions on Antennas and Propargation, 2014年9月1日, Vol.62, No.9
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両上に又は車両内に配置される被試験装置の自動車用途におけるオーバー・ジ・エア無線通信性能を測定するための機器であって、
内部に内部容積を画定する室であって、前記室が内方吸収する壁を有するランダムLOS室である室と、
前記車両を支持するためのプラットフォームであって、前記室が前記プラットフォームを囲うように構成され、前記プラットフォームは前記車両を回転させることができる回転プラットフォームである、プラットフォームと、
前記内部容積内に設けられた少なくとも1つの室アンテナと、
前記被試験装置と前記室アンテナとの間の伝送を測定する通信システム試験器具とを備え、
前記室アンテナがアレイアンテナであり、前記室アンテナがアンテナ素子からなる水平の直線アレイと反射鏡とを備え、前記反射鏡は、水平方向では直線であり、垂直方向では弧の形に配置され、前記水平の直線アレイは前記反射鏡の焦線内に配置され、前記室アンテナは前記車両が位置する近距離場内に平面波を提供し、
アンテナ素子からなる前記水平の直線アレイは
、等距離に配置された少なくとも24個のアンテナ素子
を備え、
前記機器は、前記水平の直線アレイのアンテナを基地局エミュレータとして機能する前記通信システム試験器具に接続する分岐配電
網を備え、
前記機器は、全放射電力、全等方性感度、スループット、アンテナ効率、平均フェージング感度、ダイバシティ及びMIMO利得という通信性能パラメータのうちの少なくとも1つを測定するように適合される、機器。
【請求項2】
前記室アンテナが二重偏波2ポートアレイアンテナであり、全てのアンテナ素子の水平偏波ポートが
前記分岐配電網によって共通の単一ポートに接続され、全ての素子の垂直偏波ポートが別の
分岐配電網によって共通の単一ポートに接続される、請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記反射鏡は、垂直方向では放物曲線状に配置される、請求項1又は2に記載の機器。
【請求項4】
前記室アンテナが前記室内で移動可能であり、車輪を備え、その動きを助ける、請求項1~3のいずれか一項に記載の機器。
【請求項5】
前記室アンテナが、前記車両の高さを上回る縦方向の高さを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の機器。
【請求項6】
前記室の床が内方反射し、任意選択的にアスファルト又は他の道路被覆と類似するように上層で覆われる、請求項1~5のいずれか一項に記載の機器。
【請求項7】
前記プラットフォームが、測定中に継続的に又は断続的に360度回転可能に構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載の機器。
【請求項8】
前記室アンテナは、仰角面内の様々な傾斜角を想定するように傾斜角を変えることができる、請求項1~7のいずれか一項に記載の機器。
【請求項9】
前記内部容積の高さがH+0.5m~H+3mの範囲内にあり、Hは前記室が測定することを意図する最も高い前記車両の高さである、請求項1~8のいずれか一項に記載の機器。
【請求項10】
前記内部容積の長さ及び幅が、いずれもL+1.5m~L+4mの範囲内にあり、Lは前記室が測定することを意図する最も長い前記車両の長さである、請求項1~9のいずれか一項に記載の機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両への無線通信のための新規の小型且つ費用対効果が大きい試験室/機器に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信は増加し、LTEや4G等の最近のデジタル通信システムは、マルチ入力マルチ出力(MIMO:Multiple Input Multiple Output)マルチポートアンテナ技術及び直交周波数領域多重方式(OFDM:Orthogonal Frequency Domain Multiplexing)の両方で非常に進歩している。急速に成長し続ける重要な新たな市場区分は、以下及び一般に自動車用途と呼ばれる車、バス、及び他の車両への無線通信である。目的は乗客を楽しませることであることが多いが、車の運転をより安全にするサービスを提供することも目的である。
【0003】
具体的には、自律走行自動車(即ち人間の対話が最小限である自動運転車)等の自律走行車用途は現代の道路上で間もなく現実になる。渋滞の緩和、道路の収容力の増加、環境負荷の改善等、自律走行自動車の多くの潜在的利点が明らかになっている。しかし、自律走行車用途は所望の改善を実現するために既存のネットワークに対する高信頼且つ安全な無線接続を必要とする。従って、車及び他の自動車用途に対する並びに道路上の車両間の無線通信の高信頼且つ費用効率の高いオーバー・ジ・エア(OTA:Over-The-Air)試験の深刻な需要がある。
【0004】
本出願人による特許文献1では、この問題に対する非常に効率的な解決策が提案されている。ここでは試験機器が提供され、その試験機器は、リッチな等方性マルチパス(RIMP:rich isotropic multipath)環境におけるエミュレーション及び測定のための内方反射する壁を有する試験室(マルチパス残響室)内での測定と、ランダムな見通し線(ランダムLOS又はRLOS:Random Line-of-Sight)の伝搬チャネルのエミュレーション及び測定のための無響室又は半無響室内での測定との両方のためのものである。無響室では、被試験装置(DUT:device under test)に対する入射波が1つだけある。これを見通し線と呼び、到来角(AoA:Angle-of-Arrival)によって与えられる明確な方向から来る。実際に、高速道路に沿って移動する自律走行自動車は、基地局又は他の車両に対する見通し線接続にあることが多い。同様に、近くの車に対する通信もLOS内で行われる。しかし、基地局又は近くの車に対する方向は車の相対的な向きに応じてランダムに変わる。従って、車に対するLOSの到来角を方位角における完全な(又は一部の事例では限られた)角度範囲にわたるランダム変数として扱うことができる。
【0005】
つまり無線装置がRIMP及びRLOS内で上手く機能することが証明される場合、その無線装置はあらゆる現実の環境内で上手く機能するという仮説が論文(非特許文献1)の中で立てられている。この仮説はアンテナ及び伝搬の学会内で妥当だと考えられている。RIMP OTA内の装置の通信の特徴付けは今ではかなり知られている。しかし、RLOS伝搬チャネル内で動作している装置の性能に関しては殆ど知られておらず、(特許文献1)の中の解決策がかかる測定に対して非常に上手く機能しても、とりわけ自動車用途に関してRLOS環境内で測定を行うための改善された測定機器及び方法の需要が依然としてある。
【0006】
とりわけ、現在利用可能なシステム内と同様の又は更に改善された測定品質を依然として有する、車両への無線通信を試験するためのより費用効率の高いOTA室が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第15/113667号パンフレット
【非特許文献】
【0008】
【文献】ピー.-エス.キルダル(P.-S.Kildal)著、「ユーザ統計を含めることによるOTA試験及びネットワーク最適化のための無線チャネルの再考:RIMP、Pure-LOS、スループット及び検出確率(“Rethinking the Wireless Channel for OTA testing and Network Optimization by Including User Statistic: RIMP, Pure-LOS, Throughput and Detection Probability”)」ISAP 2013年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って本発明の目的は、上記の問題を軽減し、とりわけランダムLOS環境内の無線通信、装置、及び機器を特徴付けるための自動車用途向けの新規の小型且つ費用対効果が大きい試験室/機器を導入することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様によれば、車両上に又は車両内に配置される被試験装置の自動車用途におけるオーバー・ジ・エア(OTA:over-the-air)無線通信性能を測定するための機器であって、
内部に内部容積を画定する室と、
車両を支持するためのプラットフォームであって、室がプラットフォームを囲うように構成され、プラットフォームは車両を回転させることができる回転プラットフォームである、プラットフォームと、
内部容積内に設けられる少なくとも1つの室アンテナと、
被試験装置と室アンテナとの間の伝送を測定する通信システム試験器具と
を含み、
室アンテナがアンテナ素子からなる水平の直線アレイを有するアレイアンテナであり、車両が位置する近距離場内に平面波を好ましくは提供する、機器が提供される。アレイアンテナは、縦方向に互いに重なり、それにより垂直面指向(又はほぼ垂直面指向)のアンテナ素子からなる平面の二次元アレイを形成する、幾つかの水平の直線アレイを有する二次元アレイとすることができる。とりわけ後者の場合、アレイは車が位置する近距離場内に平面波を提供する。
【0011】
本願の脈絡では「被試験装置」という用語は、無線インタフェースによって電磁信号を伝送し又は受信することができる任意の種類の装置を示すために使用する。具体的には、被試験装置は携帯電話やアンテナを有する他の無線端末とすることができ、これらの装置又はアンテナ等のかかる装置の一部は、車両に搭載され、車両と一体化され、又は車両の利用者若しくは車両の乗客によって運ばれ得る。しかし、好ましくはアンテナが車両上に外部的に配置される。
【0012】
本発明は、車やバス等の車両との無線通信のための現実の環境が自由空間(ピュアLOS)のエッジ環境とリッチな等方性マルチパス(RIMP)のエッジ環境との間にあり、無線端末がRIMP環境及びランダムピュアLOS環境内で上手く機能する場合、その無線端末は現実の環境内でも上手く機能するという理解に基づく。概算は、一般的状況における携帯型スマートフォン及びラップトップについて、RIMP及びランダムLOSの相対的重要性がRIMPでは約80~90パーセントであり、ランダムLOSでは約10~20パーセントであり得ることを示す。道路上の車両ではこの状況がおおよそ逆になり、RIMPでは約20パーセントであり、ランダムLOSでは約80パーセントである。従って、ランダムLOS内での試験は他の一般的使用法についてよりも自動車用途ではるかに重要である。また更に、本発明は、ランダムLOS環境内の性能のメトリクとして1つ又は複数のビットストリームに対する検出確率(PoD:Probability of Detection)を使用することもできるという理解に基づく。本発明は、車、トラック、バス等の完成車両の自動車試験にとりわけ有利であるランダムLOS内のPoDを測定する方法に関する。PoDは、DUT又は車両全体が環境内で移動しているときに通信システムの試験器具によって測定される平均スループットに対応する。
【0013】
本発明は、ランダムLOS内での試験に使用することができる、車両への無線通信を試験するための非常に費用効率の高いOTA室を提供する。更に本発明により、よりロバストなシステムが提供され、現在利用可能なシステム内と同様の又は更に改善された測定品質が得られる。
【0014】
水平のアレイは車又は車両の全長を認識し、それにより基地局からの、即ちアレイからの平面波を用いて車/車両上の全てのアンテナ位置を有効範囲に含む。この有効範囲は傾斜角を変えられるアレイアンテナによって一層改善される(以下参照)。
【0015】
本発明によって測定可能なオーバー・ジ・エア(OTA:over-the-air)無線通信性能は、好ましくは全放射電力(TRP:total radiated power)、全等方性感度(TIS:total isotropic sensitivity)、スループット、アンテナ効率、平均フェージング感度、並びにダイバシティ及びMIMO利得のうちの1つ又は幾つかである。アンテナ効率は、ここではアンテナがその端子で受け付けた無線周波数電力を放射電力に変換する効率の測度として使用される。ダイバシティ及びMIMO利得は、ここでは複数のアンテナを使用することによって得ることができるPoDの改善の測度として使用される。
【0016】
本発明によれば、試験される車両が回転プラットフォーム上に位置し、そのプラットフォームは好ましくは車を360度回転させることができる。このプラットフォームは、好ましくは測定中に継続的に又は断続的に回転可能であるように構成される。回転は、米国特許第7444264号明細書、米国特許第7286961号明細書、及び国際公開第12/171562号パンフレットの中で使用されている、それ自体知られているプラットフォームを動かすやり方と同じやり方で制御PCによって制御されても良く、前述の文献は参照によりその全体を本明細書に援用する。室の壁は好ましくは吸収性のものである。全ての内壁面が非反射的である場合、その室は無響室である。しかし床が依然として内方反射性のものであり、且つ例えば金属製や他の導電性材料製でも良く、アスファルト又は他の道路被覆の上層と類似させるために何らかのもので更に覆うことができる。そのような室は半無響と呼ぶことができる。
【0017】
室は車の測定だけを対象とし、かかる測定に適合させることができるが、バス及びトラック並びに他の種類の車両を測定するように構成することもできる。
車/車両は、LTE/4Gシステムや、WiFi(登録商標)、3G、2G、IEEE802.11b/g/n(WiFi(登録商標))、worldwide interoperability for microwave access(WiMAX(登録商標))等の別の通信システム等のための無線通信用の装置を好ましくは備える。この装置は、車両自体の中に搭載され、更には車両自体と一体化され得る。
【0018】
室アンテナは、アンテナ素子の水平の直線アレイを含むアレイアンテナであり、近距離場内に平面波を提供する。かかるアンテナは本機器の脈絡で大きな利点をもたらすことが分かっている。これにより測定値がよりロバスト且つ高信頼になり、例えば車両がプラットフォーム上に配置される場所や方法があまり重要ではなくなる。プラットフォームの回転軸からずれて配置される車両上のアンテナは、プラットフォームの回転位置にもかかわらず、1つのアンテナ素子を使用する場合よりも何時でもより理想的な測定条件になりやすくなる。
【0019】
室アンテナは、好ましくは二重偏波2ポートアレイアンテナであり、全てのアンテナ素子の水平偏波ポートが共同配電網によって共通の単一ポートに接続され、全ての素子の垂直偏波ポートが別の共同配電網に接続される。これにより、アレイの全ての素子が同じ位相で励起される。車両全体にわたる近距離場の平面波の性能を改善するために、それらの素子はアレイの両端に進むにつれて先細りになる振幅で励起され得る。
【0020】
室アンテナは、複数の重なる水平の列を成して配置されるアンテナ素子も含むことができ、それによりアンテナは平面の二次元アレイであり、好ましくは2ポート平面アレイである。これにより、アンテナの高さ調節があまり重要ではなくなり、測定値がよりロバストかつ高信頼になる。具体的には、この平面アレイは車両を照らすはるかに優れた平面波を実現する。好ましくは、全ての素子が同じ位相で励起されるように水平アレイの場合は2つの共同配電網が設けられ、車両全体にわたる近距離場の平面波の性能を改善するために、アレイの側面のうちの2つ又は4つに向けて励起振幅の先細りがあり得る。
【0021】
直線アレイは任意の数のアンテナ素子を含み得る。しかし、1GHzから3GHzの間の通信を試験する場合、直線アレイが好ましくは少なくとも24個の素子を含み、一層好ましくは48個の素子を含む。更に高い周波数では、素子の数がはるかに多くても良い。アンテナ素子は好ましくは等距離に配置され、即ちアンテナ素子間の距離は隣接する全ての素子間で同じであることが好ましい。更に、水平アレイの全長は好ましくは車両よりも少なくとも2m長い。
【0022】
更に、平面アレイが使用される場合、アレイはM個の垂直素子xN個の水平素子を含み、Mは各列内の、即ち水平の直線アレイ内のアンテナ素子の数に対応し、Nは列の数、即ち垂直列又は垂直アレイ内のアンテナ素子の数に対応する。1GHzから3GHzの間の通信を試験する場合、水平アレイ、即ち平面アレイ内の列の数は好ましくは少なくとも16であり、最も好ましくは少なくとも24である。更に高い周波数では、素子の数がはるかに多くても良い。平面アレイは、垂直アレイ及び平面アレイそれぞれの利点を組み合わせる。平面アレイは好ましくは傾斜角を変えられる。平面アレイの長さは典型的には車両よりも2m長く、高さは典型的には測定しようとする最も高い車両よりも1m高い。
【0023】
しかし、平面アレイが非常に効率的であり優れた放射特性を有しても、平面アレイは多くの素子を必要とし、アンテナを非常に高価にする。更に、アンテナ素子が増えれば増えるほど、より多くの配線及び電力分割器/結合器が必要になり、そのアンテナはより重くなり扱いがより困難になる。
【0024】
この問題は、焦線沿いの直線アレイによって供給される円筒放物面反射鏡で平面アレイを置換することによって改善することができる。
そのために、アンテナの高さを増す代替的方法が実現可能である。好ましい代替的実施形態では、室アンテナが、焦線沿いの直線アレイによって供給される円筒放物面反射鏡を更に含む。つまり反射鏡は、水平方向では直線であり、垂直方向では放物曲線状に配置される。水平の直線アレイは、反射鏡によって形成される放物状の弧の焦線に沿って配置される。1つの方向に湾曲した放物形に反射鏡を形成することは、円盤形の反射鏡等の二次元形状を形成することに比べて単純且つ費用対効果が大きい。例えば、機械的支持構造を設けることができ、反射材料の平面シートを例えば鋲やスナップ等によって機械的支持構造に押し付け、固定することができる。
【0025】
湾曲した反射鏡の下端の高さ(おおよそ焦線の高さでもある)は好ましくは0.2H~0.4Hの範囲内にあり、Hは車両上のアンテナ素子の高さであり、その高さは少なくともアンテナが屋根上に配置される場合は車両の高さに概して対応する。反射鏡の上端の高さは、測定しようとする最も高い車両よりも好ましくは少なくとも1m高いものとする。
【0026】
1GHzから3GHzの間の通信を試験する場合、直線アレイの水平の範囲は好ましくは少なくとも24個の素子を含み、一層好ましくは少なくとも48個の素子を含む。この長さは典型的には車両よりも2m長く、反射鏡がアレイよりも有利に幾らか長くても良い。
【0027】
アンテナ素子のアレイは、良好な近距離場特性をもたらすように好ましくは構成される。グレーティング又はサイドローブの存在も許容でき、それはそれらが車自体を照らさないからである。グレーティングローブはアンテナ素子間の分離距離に依存する。
【0028】
実験的試験では、例えば長さが約2.5mであり、素子として36個の等距離のホイヘンスソースを有するアレイアンテナが良好な平面波をもたらすことが分かっている。約6mにわたって配置される54個の等距離のホイヘンスソースを含むようにアレイを増やすことにより、平面波がはるかに幅広い領域にわたって存在し、大型車両についてより優れた結果を与える。従って、アンテナ素子の数、アレイの全長、及びアンテナ素子間の距離を適切に選択することにより、平面波の幅及び均一性を効率的に制御できることが結論付けられている。
【0029】
アンテナは、車両の高さを上回る縦方向の高さを好ましくは有する。
更に、上記で論じた反射鏡アンテナ等のアンテナは前後方向に傾斜角を変えることができても良い。例えばアンテナは、20°~30°の範囲内等、10°~40°まで傾斜角を変えることができ得る。
【0030】
室アンテナは好ましくは室内で移動可能であり、好ましくは車輪を備え、それにより前述の動きを助ける。それにより、様々な車両に対する測定や様々な種類の測定等のためにアンテナの位置を容易に調節することができる。更に、それによりアンテナが室内及び複数の室間で動き回りやすくなる。更に、それにより室を新たな室アンテナでレトロフィットすること等により、前に存在していたEMC室を新たな測定機器として使用することができる。
【0031】
機器は、水平の直線又は垂直の平面アレイアンテナを基地局エミュレータとして働く無線通信試験器具に接続する、ケーブル及び電力分割器の共同配電網、即ち分岐配電網を更に含むことが好ましい。基地局エミュレータと基地局との間にはチャネルエミュレータと称される電子機器があっても良く、この電子機器は測定中に広がる時間遅延を変える機会を与える。配電網は、アンテナ素子のアレイと共に近距離場内に平面波を与えるように好ましくは構成され、それにより遠くの基地局をシミュレートする。
【0032】
直線アレイアンテナは二重偏波されても良く、又は互いに隣接して位置するそのような直線アンテナが2つの直交偏波のそれぞれについて1つずつ、2つあっても良い。直線アレイは室内の様々な位置に、好ましくは室の壁に沿って配置することができる。
【0033】
垂直の平面アレイを形成するために幾つかの直線アレイアンテナが設けられる場合、前述の直線アレイアンテナは、2つの共通出力ポートが1つの方位角方向(車両が位置するプラットフォームの角度に依存する)及び仰角方向(車両に対するアレイの傾斜角に依存する)において車上のアンテナシステムの遠距離場に比例する量を表すやり方で、配電網と共に更に好ましくは接続される。この場合、偏波ごとに1つのポートがあり、2つのポートでは偏波が水平/垂直の場合があり又は+/-45°傾けられ得る。基地局では傾め+/-45°の偏波が使用されることが多い。
【0034】
円筒放物面反射鏡を有する平面アレイ及び直線アレイは、従来の無響室に基づくアンテナ測定技術における所謂コンパクトレンジに対応する。しかし、OTA測定のためのシステムの要件は従来の遠距離場の測定範囲の要件と非常に異なる。例えばPoDを測定することは、非常に正確な偏波及びサイドローブ測定を必要としない。その理由は、車上の殆どのアンテナが全方向性であるように設計されており、2つの偏波が利用できる場合、偏波の位置合せ不良を扱うMIMOアルゴリズムにより、偏波多重化後の2倍のスループットをもたらすためにそれらを基地局の偏波と位置合せする必要がないからである。従って、従来のコンパクトレンジ以外の要件に基づいてOTA RLOS試験範囲を構築することができる。
【0035】
平面アレイアンテナ又は放物面反射鏡を備える直線アレイの場合、アンテナの高さは車又は車両の高さよりも高いことが好ましい。アレイアンテナの幅(即ち水平の長さ)は、好ましくは車が位置する中心の転向台と車上のアンテナ(又は転向台の中心から最も離れて位置するアンテナ)との間の最大距離と少なくとも同じであり、好ましくは車の長さよりも少なくとも長い。
【0036】
車両に対する測定用の現在利用可能な無響室と比較して、上記で論じた試験室は、スループット/PoDに関する測定精度は同じであり又は改善されるが、非常に小さく作ることができる。とりわけここで提案するランダムLOS室は、遠く離れた距離にある基地局をエミュレートし、ランダムLOS下でMIMOを試験することができ、位置角の精度を考える必要がなく、低仰角に関するランダムLOS内のCDF(累積分布関数)をもたらし、正確なサイドローブ等を必要としない。
【0037】
室の高さ、長さ、及び幅は、前に知られている室に比べて非常に小さいものであり得る。車を測定するための前に知られている無響試験室は、典型的には長さ25m、幅15m、及び高さ10mの室のサイズを必要とする。それに比べて、本発明のランダムLOS室は、同じ状況について典型的には長さ7m、幅7m、及び高さ2.5mのサイズを有する。同様にバス用の測定室は、以前は例えば長さ30m、幅20m、及び高さ15mのサイズのものとなるが、本発明ではそのサイズが例えば長さ16m、幅16m、及び高さ4.6mに縮小され得る。
【0038】
室の内部容積の高さは、H+0.1mからH+3mの範囲内やH+1mからH+3mの範囲内等、Hよりも僅かに高いだけでも良く、ここでHは(車両が回転プラットフォーム上に位置する場合)室が測定することを意図する最も高い車両の高さである。例えば高さは、単に車両(車)の高さ+1m又は更に低くても良い。高さが低いことは室をより安価にする。
【0039】
室の内部容積の長さ及び幅は、いずれもL+1.5mからL+4mの範囲内とすることができ、ここでLは室が測定することを意図する最も長い車両の長さ(又は幅の方が長い場合は車両の幅)である。典型的には、部屋の床寸法は、どちらの寸法でも典型的には車両(車)よりも2m長いが、2mよりも長くすることもできる。2m長い場合、室の壁はどこでも車両の如何なる部分からも1m超離れることになる。水平寸法が低いことは室をより安価にする。この機器は、室内に少なくとも1つの直線アレイアンテナを更に含むことが好ましい。かかる解決策は、既に論じたようにランダムLOS室に特に適している。
【0040】
以下に記載の実施形態に関して、本発明のこれらの及び他の特徴及び利点を以下で更に明確にする。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】本発明の別の実施形態による、ランダムLOS室機器の内部を示す概略的平面図である。
【
図2】
図1の機器内で使用される例示的な水平の直線アレイアンテナの概略的側面図である。
【
図3】
図1の機器内で使用可能な垂直の平面アレイアンテナの代替的実施形態の概略的側面図である。
【
図4a】
図1の機器内で使用可能なアンテナの別の代替的実施形態の側面図である。
【
図4b】
図1の機器内で使用可能なアンテナの別の代替的実施形態の正面図である。
【
図5】
図4のアンテナ内で使用される放物状の弧の形をした反射鏡を概略的に示す縦断側面図である。
【
図6a】
図1の機器内で使用可能なアンテナの別の代替的実施形態の或る視点の図である。
【
図6b】
図1の機器内で使用可能なアンテナの別の代替的実施形態の或る視点の図である。
【
図6c】
図1の機器内で使用可能なアンテナの別の代替的実施形態の或る視点の図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、添付図面に示す本発明の実施形態に関して本発明を例示目的でより詳細に説明する。
以下の詳細な説明では、本発明の好ましい実施形態を説明する。しかし別段の定めがない限り、様々な実施形態の特徴は実施形態の間で交換可能であり、様々な方法で組み合わせることができることを理解すべきである。以下の説明では本発明のより完全な理解を与えるために数多くの具体的詳細を記載するが、本発明はそれらの具体的詳細なしに実施できることが当業者には明らかになる。他の例では、本発明を不明瞭にしないように良く知られている構造又は機能について詳しくは説明しない。
【0043】
車両上に又は車両内に配置される被試験装置の自動車用途におけるオーバー・ジ・エア(OTA:over-the-air)無線通信性能を測定するための機器を
図1に示す。この機器は、内方吸収する壁を有するランダムLOS室1を含む。ランダムLOS室は殆どの、好ましくは全ての壁に吸収体を有し、壁が電磁波を吸収するようにし、それによりランダムLOS環境をシミュレートする。室内に形成される内部室は好ましくは完全に遮蔽され、全ての壁、床、及び天井に金属等の反射材料を有し、全ての又は殆どの壁及び天井に設けられるが床上には設けられない吸収体を有する。床は好ましくは金属製(又は導電体)だが、その金属をアスファルト又は他の道路被覆の上層と類似させるために何らかのもので覆うことができる。床及び屋根も内方吸収することができ、前に知られているEMC室のように無響室をもたらす。しかし実用上の理由から、例えば室の床は内方反射するが、例えばアスファルト又は他の道路被覆と類似させるように構成される上層で覆うことができる。これを半無響室と呼ぶことができる。
【0044】
更に、回転プラットフォーム2が室内に設けられ、内部容積で囲われる。このプラットフォームは、車、バス、他の任意の種類の車両等、自らの上の車両3を支持し回転させるように構成される。車両内に又は車両上に被試験装置(DUT)が配置される。被試験装置は、例えば車内に配置され且つ例えばMIMO伝送やSIMO伝送を提供するために外部的に搭載される1つのアンテナ又は幾つかのアンテナを有する通信装置とすることができる。但し、車内で操作される携帯電話、タブレットPC、コンピュータ等、被試験装置は統合アンテナを有し且つ車内で操作される通信装置とすることもできる。
【0045】
回転プラットフォームは好ましくは車両を完全に、即ち360度回転させることができる。測定中に回転を断続的に又は継続的に行うことができるように、回転は米国特許第7444264号明細書、米国特許第7286961号明細書、及び国際公開第12/171562号パンフレットの中で使用されている、それ自体知られているプラットフォームを動かすやり方と同じやり方で制御PCによって制御され得る。
【0046】
測定中に車両を断続的に又は継続的に回転させることにより、例えば方位角面内の様々な遠距離場方向を得ることができる。
更に、室アンテナ/測定アンテナ4が室内に配置される。このアンテナは、水平の直線アレイアンテナを含む。水平の直線アレイアンテナは二重偏波されても良く、又は並んで設置され、例えば室の壁に沿って配置される2つの直交的に偏波された直線アレイがあっても良い。直線アレイは、好ましくは直線方向に等距離に配置される複数のアンテナ素子を含む。
【0047】
アンテナ素子は共同配電網5によって、好ましくは2つの偏波を提供するために2つの共同配電網によって接続される。室アンテナと車上のDUTとの間の伝送を測定し、それにより被試験装置の通信性能に関係する1つ又は幾つかのパラメータを測定するために測定器具6が更に設けられる。この測定器具は内部容積の外に配置し、ケーブルによって内部容積に接続することができる。測定器具は、好ましくは例えばパーソナルコンピュータ上の専用ソフトウェア等によって実現される分析手段を含み、例えばアンテナ間の伝送電力を突き止めるためのネットワークアナライザやスペクトルアナライザ等の市販の測定器具を含み得る。加えて又は或いは、測定器具は基地局エミュレータを含み得る。
【0048】
共同配電網5は、偏波ごとの水平垂直の直線アレイ素子をそれぞれのポート7a及び7bに好ましくは接続し、これらのポートは、ここではPC等のコントローラを含む又はかかるコントローラに接続される基地局エミュレータ6に接続される。共同配電網は、基地局エミュレータからの出力/入力をアンテナ素子に接続される幾つかの等しく供給される入力/出力に分ける幾つかの分岐接続を好ましくは含む。
【0049】
説明のための例では、共同配電網は線を2つに分ける第1の分岐接続、2つの線を4つに分ける第2の2つの分岐接続、及び4つの線を8つに分ける第3の4つの分岐接続等を有し得る。但し、例えば更に多い又は少ない分岐接続層等を使用する、例えば3つへの分岐を使用する他の分岐構成も実現可能である。かかる固定配電構成は直線アレイと基地局エミュレータとの間の簡単なインタフェースを提供するのに非常に効率的であり、非常に費用効率も高い。
【0050】
直線アレイ4は、平面波の近距離場の性能を提供する複数の広帯域アレイ素子を好ましくは含む。
図2に概略的に示すように、室アンテナ4はアンテナ素子4aの単一の線を含み得る。直線アレイは、24個の素子等、任意の数のアンテナ素子を含み得る。アンテナ素子は好ましくは等距離に配置され、即ちアンテナ素子間の距離は隣接する全ての素子間で同じであることが好ましい。但し、水平アレイは48個のアンテナ素子等、更に少ない又は多いアンテナ素子を含むこともできる。
【0051】
室アンテナは、複数の重なる水平列4’又は同様に複数の並んだ垂直列4’’を成して配置されるアンテナ素子も含むことができ、それによりアンテナは平面の二次元アレイであり、好ましくは2ポート平面アレイである。
図3にかかるアンテナを概略的に示す。水平アレイ、即ち平面アレイ内の列の数は好ましくは少なくとも16であり、最も好ましくは少なくとも24である。しかし、更に少ない又は多い列も実現可能である。従って
図3の概略的に示す例にあるように、結果として生じる平面アレイは例えば24x16個の素子を有し得る。平面アレイは、垂直アレイ及び平面アレイそれぞれの利点を組み合わせる。平面アレイは好ましくは傾斜角を変えられる。
【0052】
図4a及び
図4bに示すように、別の実施形態では、アンテナが代わりに焦線沿いの直線アレイによって供給される円筒反射鏡である。この実施形態では、室アンテナが焦線沿いの直線アレイ42によって供給される反射鏡41を含む。反射鏡は、好ましくは水平方向では直線であり、垂直方向では放物曲線状に配置される。水平の直線アレイ42は、反射鏡によって形成される放物状の弧の焦線内に好ましくは配置される。
【0053】
1つの方向に湾曲した放物形に反射鏡を形成することは、単純且つ費用対効果が大きい。例えば、機械的支持構造43を設けることができ、反射材料の平面シートを留め具、例えば鋲やスナップ等によって機械的支持構造に押し付け、固定することができる。これを
図5に概略的に示す。支持構造は、アルミニウム等の成形金属、成形プラスチック、木材等によって形成され得る。更に、支持構造は所望の反射鏡面に対応する面を含むことができ、又は前述の所望の面に対応する領域を含み得る。例えば、支持構造は所望の面の外側の境界のみを含み得る。更に、上記の反射鏡アンテナ等のアンテナは前後方向に傾斜角を変えることができても良い。例えばアンテナは、20パーセント~30パーセントの範囲内等、10パーセント~40パーセントまで傾斜角を変えることができ得る。
【0054】
室アンテナは好ましくは室内で移動可能であり、好ましくは車輪44を備え、それにより前述の動きを助ける。アンテナは、アンテナの他の素子を運ぶ基部又は支持部46を更に含み得る。
【0055】
図6は、同様の種類の反射鏡アレイアンテナを示す。この実施形態では室アンテナが、放物曲線内に配置され、焦線沿いの直線アレイ42によって供給される反射鏡41も含む。ここでは反射鏡が、所望の形状に直接形作られる相対的に剛性の金属シートで形成され、それにより如何なる追加の機械的支持構造の必要性も減らす。しかし、アンテナの安定性を高めるために支持ピラー46を例えば角に配置しても良い。ピラーは、基部46と反射鏡の上端との間に設けることができる。
【0056】
ホイヘンスソースアンテナ等、上記のアンテナを実現するために多くの異なる種類の知られているアンテナ素子を利用することができる。
図7の直線アレイアンテナ及び
図8の平面アレイアンテナに示すように、好ましい実施形態ではアンテナ素子が、第1の面内に配置される基部又は中央部分71と、中央部分に関連する幾つかのアームセクション72、好ましくは4つのアームセクションとを含む自己接地型アンテナ素子を含む。各アームセクションはそれぞれの末端に向けて先細りになっており、導電性材料を含む。各アームセクションは中央部分からのトランジションを形成するように適合され、中央部分の方に180度を超えて折り曲げられており、中央部分内の開口部構成において各アームセクションの末端が中央部分の側面において中央部分に達するように構成される。末端は、供給ポートに接続されるように更に適合される。好ましくはアームセクションごとに特定のポートがあり、アームセクションのそれぞれが湾曲したモノポールアンテナ及びループアンテナの混合機能を更に含み得る。かかるアンテナ素子は同一出願人による国際公開第14/062112号パンフレットによってそれ自体が知られており、前述の出願は参照によりその全体を本明細書に援用する。
【0057】
「ボウタイ」アンテナと呼ばれることがあるこの種のアンテナ素子は、
図7に示す水平アレイアンテナ内で又は
図8に示す平面アレイアンテナ内で使用され得る。これらの説明のための例では、限られた数のアンテナ素子しか図示していない。しかし、これらの実施形態でも任意の数のアンテナ素子を使用することができる。更に、
図7の水平アレイは、
図4及び
図6の実施形態にあるような放物曲線反射鏡と組み合わせて使用することもできる。
【0058】
ここまでに本発明を具体的実施形態に関して説明してきた。しかし、通信システムの幾つかの改変形態が実現可能である。例えば、実用上の理由から室は好ましくは矩形のものである。但し、平らな床及び天井を有し且つ円形、楕円形、又は多角形を形成する水平断面を有する垂直壁等、実現するのが容易な他の形状も使用され得る。更に、被試験装置と室アンテナ/測定アンテナとの間の通信は単方向又は双方向であり得る。従って、各アンテナは伝送、受信、又はその両方のために構成され得る。更に、上記で論じた様々な特徴は様々なやり方で組み合わせることができる。ランダムLOSの場合の実施形態は、配電/組合せ網を有する直線アレイアンテナについて説明している。この配電網は、DA/ADコンバータ及び伝送/受信増幅器を直線アレイの各ポートに接続することによってデジタル式に実現できるとも考えられる。その場合、振幅及び位相をデジタル制御することができ、それによりアンテナの機械的な傾斜が不要になる。そのような及び他の明白な修正形態も、添付の特許請求の範囲によって規定する本発明の範囲に含まれると考えなければならない。上述の実施形態は本発明を限定するのではなく例示すること、及び当業者なら添付の特許請求の範囲から逸脱することなしに多くの代替的実施形態を設計できることに留意すべきである。特許請求の範囲では、括弧内に配置される如何なる参照符号も、その請求項を限定するものとして解釈すべきではない。「備える」という語は、請求項の中で挙げるもの以外の要素又はステップの存在を排除しない。要素に先行する「一」又は「1つ」という語は、その要素が複数あることを排除しない。更に、単一のユニット