(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/338 20060101AFI20240304BHJP
H01L 29/778 20060101ALI20240304BHJP
H01L 29/812 20060101ALI20240304BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240304BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20240304BHJP
H01L 29/423 20060101ALI20240304BHJP
H01L 29/49 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
H01L29/80 H
H01L29/80 F
H01L29/78 301B
H01L29/78 301G
H01L29/78 301W
H01L29/58 G
(21)【出願番号】P 2019125293
(22)【出願日】2019-07-04
【審査請求日】2022-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】向井 章
(72)【発明者】
【氏名】蔵口 雅彦
【審査官】岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-529639(JP,A)
【文献】特開2008-210836(JP,A)
【文献】特開2011-124509(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0025730(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/778
H01L 29/812
H01L 29/78
H01L 21/338
H01L 21/336
H01L 29/423
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
第2電極と、
第3電極であって、前記第1電極から前記第2電極への第1方向における前記第3電極の位置は、前記第1方向における前記第1電極の位置と、前記第1方向における前記第2電極の位置と、の間にある、前記第3電極と、
Al
x1Ga
1-x1N(0≦x1<1)を含む第1半導体領域であって、前記第1半導体領域は、第1部分領域、第2部分領域、第3部分領域、第4部分領域、第5部分領域、第6部分領域及び第7部分領域を含み、前記第1部分領域から前記第1電極への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記第2部分領域から前記第2電極への方向は、前記第2方向に沿い、前記第3部分領域から前記第3電極への方向は、前記第2方向に沿い、前記第4部分領域は、前記第1方向において前記第1部分領域と前記第3部分領域との間にあり、前記第5部分領域は、前記第1方向において前記第3部分領域と前記第2部分領域との間にある、前記第1半導体領域と、
Al
x2Ga
1-x2N(0<x2<1、x1<x2)を含む第2半導体領域であって、前記第2半導体領域は、第1半導体部分及び第2半導体部分を含み、前記第4部分領域から前記第1半導体部分への方向は前記第2方向に沿い、前記第5部分領域から前記第2半導体部分への方向は前記第2方向に沿い、前記第6部分領域は、前記第2方向において、前記第4部分領域と前記第1半導体部分との間にあり、前記第7部分領域は、前記第2方向において、前記第5部分領域と前記第2半導体部分との間にある、前記第2半導体領域と、
Al
x3Ga
1-x3N(0<x3≦1、x1<x3)を含む第3半導体領域であって、前記第3半導体領域は、第1半導体膜部を含み、前記第1半導体膜部は、前記第1方向において、前記第6部分領域と、前記第3電極との間にある、前記第3半導体領域と、
を備え、
前記第6部分領域は、前記第1半導体部分と対向する第1面と、前記第1半導体膜部と対向する第2面と、を含み、
前記第2面の少なくとも一部と、前記第1面と、の間の第1角度は、90度よりも小さ
く、
前記第1角度は、80度以上である、半導体装置。
【請求項2】
前記第1角度は、89.4度よりも小さい、請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1方向及び前記第2方向を含む平面で切断したときの、前記第2面の前記少なくとも一部の長さは、50nm以上400nm以下である、請求項1
または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2面の前記少なくとも一部に対して垂直な方向に沿う、前記第1半導体膜部の厚さは、3nm以上8nm以下である、請求項1~
3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1電極と前記第3電極との間の距離は、前記第3電極と前記第2電極との間の距離よりも短い、請求項1~4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第3半導体領域は、第2半導体膜部をさらに含み、
前記第2半導体膜部は、前記第1方向において、前記第3電極と前記第7部分領域との間にあり、
前記第7部分領域は、前記第2半導体部分と対向する第3面と、前記第2半導体膜部と対向する第4面と、を含み、
前記第4面の少なくとも一部と、前記第3面と、の間の第2角度は、90度よりも大きい、請求項1~
5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項7】
第1電極と、
第2電極と、
第3電極であって、前記第1電極から前記第2電極への第1方向における前記第3電極の位置は、前記第1方向における前記第1電極の位置と、前記第1方向における前記第2電極の位置と、の間にある、前記第3電極と、
Al
x1Ga
1-x1N(0≦x1<1)を含む第1半導体領域であって、前記第1半導体領域は、第1部分領域、第2部分領域、第3部分領域、第4部分領域、第5部分領域、第6部分領域及び第7部分領域を含み、前記第1部分領域から前記第1電極への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記第2部分領域から前記第2電極への方向は、前記第2方向に沿い、前記第3部分領域から前記第3電極への方向は、前記第2方向に沿い、前記第4部分領域は、前記第1方向において前記第1部分領域と前記第3部分領域との間にあり、前記第5部分領域は、前記第1方向において前記第3部分領域と前記第2部分領域との間にある、前記第1半導体領域と、
Al
x2Ga
1-x2N(0<x2<1、x1<x2)を含む第2半導体領域であって、前記第2半導体領域は、第1半導体部分及び第2半導体部分を含み、前記第4部分領域から前記第1半導体部分への方向は前記第2方向に沿い、前記第5部分領域から前記第2半導体部分への方向は前記第2方向に沿い、前記第6部分領域は、前記第2方向において、前記第4部分領域と前記第1半導体部分との間にあり、前記第7部分領域は、前記第2方向において、前記第5部分領域と前記第2半導体部分との間にある、前記第2半導体領域と、
Al
x3Ga
1-x3N(0<x3≦1、x1<x3)を含む第3半導体領域であって、前記第3半導体領域は、第1半導体膜部を含み、前記第1半導体膜部は、前記第1方向において、前記第6部分領域と、前記第3電極との間にある、前記第3半導体領域と、
を備え、
前記第6部分領域は、前記第1半導体部分と対向する第1面と、前記第1半導体膜部と対向する第2面と、を含み、
前記第2面の少なくとも一部と、前記第1面と、の間の第1角度は、90度よりも小さ
く、
前記第3半導体領域は、第2半導体膜部をさらに含み、
前記第2半導体膜部は、前記第1方向において、前記第3電極と前記第7部分領域との間にあり、
前記第7部分領域は、前記第2半導体部分と対向する第3面と、前記第2半導体膜部と対向する第4面と、を含み、
前記第4面の少なくとも一部と、前記第3面と、の間の第2角度は、90度よりも大きい、半導体装置。
【請求項8】
前記第2面の前記少なくとも一部を含む平面と、前記第4面の前記少なくとも一部を含む平面と、の間の角度は、5度以下である、請求項
6または7記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第3半導体領域は、第2半導体膜部をさらに含み、
前記第2半導体膜部は、前記第3電極と前記第7部分領域との間にあり、
前記第7部分領域は、前記第2半導体部分と対向する第3面と、前記第2半導体膜部と対向する第4面と、を含み、
前記第4面の少なくとも一部と、前記第3面と、の間の第2角度は、90度よりも小さい、請求項1~
5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1電極と前記第3電極との間の距離は、前記第3電極と前記第2電極との間の距離よりも長い、請求項1~
4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第3半導体領域は、第3半導体膜部をさらに含み、
前記第3半導体膜部は、前記第3部分領域と前記第3電極との間にある、請求項
6~9のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項12】
第1絶縁部分、第2絶縁部分、及び、第3絶縁部分を含む第1絶縁部材をさらに備え、
前記第1絶縁部分は、前記第6部分領域と前記第3電極との間にあり、
前記第2絶縁部分は、前記第3電極と前記第7部分領域との間にあり、
前記第3絶縁部分は、前記第3部分領域と前記第3電極との間にある、請求項11記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第1絶縁部材は、第4絶縁部分をさらに含み、前記第1半導体部分は、前記第6部分領域と前記第4絶縁部分との間にあり、
前記第4絶縁部分は、前記第1半導体部分と対向する第1絶縁部分面を含み、
前記第1絶縁部分は、前記第1半導体膜部と対向する第2絶縁部分面を含み、
前記第2絶縁部分面の少なくとも一部と、前記第1絶縁部分面と、の間の絶縁部材面角度は、90度よりも小さい、請求項12記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第1絶縁部材は、第5絶縁部分をさらに含み、前記第2半導体部分は、前記第7部分領域と前記第5絶縁部分との間にあり、
前記第5絶縁部分は、前記第2半導体部分と対向する第3絶縁部分面を含み、
前記第2絶縁部分は、前記第2半導体膜部と対向する第4絶縁部分面を含み、
前記第4絶縁部分面の少なくとも一部と、前記第3絶縁部分面と、の間の第2絶縁部材面角度は、90度よりも小さい、請求項13記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第1絶縁部材は、第5絶縁部分をさらに含み、前記第2半導体部分は、前記第7部分領域と前記第5絶縁部分との間にあり、
前記第5絶縁部分は、前記第2半導体部分と対向する第3絶縁部分面を含み、
前記第2絶縁部分は、前記第2半導体膜部と対向する第4絶縁部分面を含み、
前記第4絶縁部分面の少なくとも一部と、前記第3絶縁部分面と、の間の第2絶縁部材面角度は、90度よりも大きい、請求項13記載の半導体装置。
【請求項16】
第1電極と、
第2電極と、
第3電極であって、前記第1電極から前記第2電極への第1方向における前記第3電極の位置は、前記第1方向における前記第1電極の位置と、前記第1方向における前記第2電極の位置と、の間にある、前記第3電極と、
Al
x1Ga
1-x1N(0≦x1<1)を含む第1半導体領域であって、前記第1半導体領域は、第1部分領域、第2部分領域、第3部分領域、第4部分領域、第5部分領域、第6部分領域及び第7部分領域を含み、前記第1部分領域から前記第1電極への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記第2部分領域から前記第2電極への方向は、前記第2方向に沿い、前記第3部分領域から前記第3電極への方向は、前記第2方向に沿い、前記第4部分領域は、前記第1方向において前記第1部分領域と前記第3部分領域との間にあり、前記第5部分領域は、前記第1方向において前記第3部分領域と前記第2部分領域との間にある、前記第1半導体領域と、
Al
x2Ga
1-x2N(0<x2<1、x1<x2)を含む第2半導体領域であって、前記第2半導体領域は、第1半導体部分及び第2半導体部分を含み、前記第4部分領域から前記第1半導体部分への方向は前記第2方向に沿い、前記第5部分領域から前記第2半導体部分への方向は前記第2方向に沿い、前記第6部分領域は、前記第2方向において、前記第4部分領域と前記第1半導体部分との間にあり、前記第7部分領域は、前記第2方向において、前記第5部分領域と前記第2半導体部分との間にある、前記第2半導体領域と、
Al
x3Ga
1-x3N(0<x3≦1、x1<x3)を含む第3半導体領域であって、前記第3半導体領域は、第1半導体膜部を含み、前記第1半導体膜部は、前記第1方向において、前記第6部分領域と、前記第3電極との間にある、前記第3半導体領域と、
第1絶縁部材と、
を備え、
前記第6部分領域は、前記第1半導体部分と対向する第1面と、前記第1半導体膜部と対向する第2面と、を含み、
前記第2面の少なくとも一部と、前記第1面と、の間の第1角度は、90度よりも小さ
く、
前記第3半導体領域は、第2半導体膜部をさらに含み、
前記第2半導体膜部は、前記第1方向において、前記第3電極と前記第7部分領域との間にあり、
前記第7部分領域は、前記第2半導体部分と対向する第3面と、前記第2半導体膜部と対向する第4面と、を含み、
前記第4面の少なくとも一部と、前記第3面と、の間の第2角度は、90度よりも大きく、
前記第3半導体領域は、第3半導体膜部をさらに含み、
前記第3半導体膜部は、前記第3部分領域と前記第3電極との間にあり、
前記第1絶縁部材は、第1絶縁部分、第2絶縁部分、及び、第3絶縁部分を含み、
前記第1絶縁部分は、前記第6部分領域と前記第3電極との間にあり、
前記第2絶縁部分は、前記第3電極と前記第7部分領域との間にあり、
前記第3絶縁部分は、前記第3部分領域と前記第3電極との間にあり、
前記第1絶縁部材は、第4絶縁部分をさらに含み、前記第1半導体部分は、前記第6部分領域と前記第4絶縁部分との間にあり、
前記第4絶縁部分は、前記第1半導体部分と対向する第1絶縁部分面を含み、
前記第1絶縁部分は、前記第1半導体膜部と対向する第2絶縁部分面を含み、
前記第2絶縁部分面の少なくとも一部と、前記第1絶縁部分面と、の間の絶縁部材面角度は、90度よりも小さく、
前記第1絶縁部材は、第5絶縁部分をさらに含み、前記第2半導体部分は、前記第7部分領域と前記第5絶縁部分との間にあり、
前記第5絶縁部分は、前記第2半導体部分と対向する第3絶縁部分面を含み、
前記第2絶縁部分は、前記第2半導体膜部と対向する第4絶縁部分面を含み、
前記第4絶縁部分面の少なくとも一部と、前記第3絶縁部分面と、の間の第2絶縁部材面角度は、90度よりも大きい、半導体装置。
【請求項17】
第1電極と、
第2電極と、
第3電極であって、前記第1電極から前記第2電極への第1方向における前記第3電極の位置は、前記第1方向における前記第1電極の位置と、前記第1方向における前記第2電極の位置と、の間にある、前記第3電極と、
Al
x1Ga
1-x1N(0≦x1<1)を含む第1半導体領域であって、前記第1半導体領域は、第1部分領域、第2部分領域、第3部分領域、第4部分領域、第5部分領域、第6部分領域及び第7部分領域を含み、前記第1部分領域から前記第1電極への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記第2部分領域から前記第2電極への方向は、前記第2方向に沿い、前記第3部分領域から前記第3電極への方向は、前記第2方向に沿い、前記第4部分領域は、前記第1方向において前記第1部分領域と前記第3部分領域との間にあり、前記第5部分領域は、前記第1方向において前記第3部分領域と前記第2部分領域との間にある、前記第1半導体領域と、
Al
x2Ga
1-x2N(0<x2<1、x1<x2)を含む第2半導体領域であって、前記第2半導体領域は、第1半導体部分及び第2半導体部分を含み、前記第4部分領域から前記第1半導体部分への方向は前記第2方向に沿い、前記第5部分領域から前記第2半導体部分への方向は前記第2方向に沿い、前記第6部分領域は、前記第2方向において、前記第4部分領域と前記第1半導体部分との間にあり、前記第7部分領域は、前記第2方向において、前記第5部分領域と前記第2半導体部分との間にある、前記第2半導体領域と、
Al
x3Ga
1-x3N(0<x3≦1、x1<x3)を含む第3半導体領域であって、前記第3半導体領域は、第1半導体膜部を含み、前記第1半導体膜部は、前記第1方向において、前記第6部分領域と、前記第3電極との間にある、前記第3半導体領域と、
第1絶縁部分、第2絶縁部分、第3絶縁部分及び第4絶縁部分を含む第1絶縁部材と、
を備え、
前記第1絶縁部分は、前記第6部分領域と前記第3電極との間にあり、
前記第2絶縁部分は、前記第3電極と前記第7部分領域との間にあり、
前記第3絶縁部分は、前記第3部分領域と前記第3電極との間にあり、
前記第1半導体部分は、前記第6部分領域と前記第4絶縁部分との間にあり、
前記第4絶縁部分は、前記第1半導体部分と対向する第1絶縁部分面を含み、
前記第1絶縁部分は、前記第1半導体膜部と対向する第2絶縁部分面を含み、
前記第2絶縁部分面の少なくとも一部と、前記第1絶縁部分面と、の間の絶縁部材面角度は、90度よりも小さ
く、
前記第3半導体領域は、第2半導体膜部をさらに含み、
前記第2半導体膜部は、前記第3電極と前記第7部分領域との間にあり、
前記第1絶縁部材は、第5絶縁部分をさらに含み、前記第2半導体部分は、前記第7部分領域と前記第5絶縁部分との間にあり、
前記第5絶縁部分は、前記第2半導体部分と対向する第3絶縁部分面を含み、
前記第2絶縁部分は、前記第2半導体膜部と対向する第4絶縁部分面を含み、
前記第4絶縁部分面の少なくとも一部と、前記第3絶縁部分面と、の間の第2絶縁部材面角度は、90度よりも大きい、半導体装置。
【請求項18】
前記第6部分領域は、前記第1半導体部分と対向する第1面と、前記第1半導体膜部と対向する第2面と、を含み、
前記第1面は、前記第1絶縁部分面に沿い、
前記第2面は、前記第2絶縁部分面に沿う、請求項1
7記載の半導体装置。
【請求項19】
第1電極と、
第2電極と、
第3電極であって、前記第1電極から前記第2電極への第1方向における前記第3電極の位置は、前記第1方向における前記第1電極の位置と、前記第1方向における前記第2電極の位置と、の間にある、前記第3電極と、
Al
x1Ga
1-x1N(0≦x1<1)を含む第1半導体領域であって、前記第1半導体領域は、第1部分領域、第2部分領域、第3部分領域、第4部分領域、第5部分領域、第6部分領域及び第7部分領域を含み、前記第1部分領域から前記第1電極への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記第2部分領域から前記第2電極への方向は、前記第2方向に沿い、前記第3部分領域から前記第3電極への方向は、前記第2方向に沿い、前記第4部分領域は、前記第1方向において前記第1部分領域と前記第3部分領域との間にあり、前記第5部分領域は、前記第1方向において前記第3部分領域と前記第2部分領域との間にある、前記第1半導体領域と、
Al
x2Ga
1-x2N(0<x2<1、x1<x2)を含む第2半導体領域であって、前記第2半導体領域は、第1半導体部分及び第2半導体部分を含み、前記第4部分領域から前記第1半導体部分への方向は前記第2方向に沿い、前記第5部分領域から前記第2半導体部分への方向は前記第2方向に沿い、前記第6部分領域は、前記第2方向において、前記第4部分領域と前記第1半導体部分との間にあり、前記第7部分領域は、前記第2方向において、前記第5部分領域と前記第2半導体部分との間にある、前記第2半導体領域と、
Al
x3Ga
1-x3N(0<x3≦1、x1<x3)を含む第3半導体領域であって、前記第3半導体領域は、第1半導体膜部を含み、前記第1半導体膜部は、前記第1方向において、前記第6部分領域と、前記第3電極との間にある、前記第3半導体領域と、
第1絶縁部分、第2絶縁部分、第3絶縁部分及び第4絶縁部分を含む第1絶縁部材と、
を備え、
前記第1絶縁部分は、前記第6部分領域と前記第3電極との間にあり、
前記第2絶縁部分は、前記第3電極と前記第7部分領域との間にあり、
前記第3絶縁部分は、前記第3部分領域と前記第3電極との間にあり、
前記第1半導体部分は、前記第6部分領域と前記第4絶縁部分との間にあり、
前記第4絶縁部分は、前記第1半導体部分と対向する第1絶縁部分面を含み、
前記第1絶縁部分は、前記第1半導体膜部と対向する第2絶縁部分面を含み、
前記第2絶縁部分面の少なくとも一部と、前記第1絶縁部分面と、の間の絶縁部材面角度は、90度よりも小さ
く、
前記絶縁部材面角度は、80度以上である、半導体装置。
【請求項20】
前記x3は、前記x2よりも高い、請求項1~19のいずれか1つに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば窒化物半導体を用いたトランジスタなどの半導体装置がある。半導体装置において、特性の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、特性の向上が可能な半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、半導体装置は、第1電極、第2電極、第3電極、第1半導体領域、第2半導体領域及び第3半導体領域を含む。前記第1電極から前記第2電極への第1方向における前記第3電極の位置は、前記第1方向における前記第1電極の位置と、前記第1方向における前記第2電極の位置と、の間にある。前記第1半導体領域は、Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含む。前記第1半導体領域は、第1部分領域、第2部分領域、第3部分領域、第4部分領域、第5部分領域、第6部分領域及び第7部分領域を含む。前記第1部分領域から前記第1電極への第2方向は、前記第1方向と交差する。前記第2部分領域から前記第2電極への方向は、前記第2方向に沿う。前記第3部分領域から前記第3電極への方向は、前記第2方向に沿う。前記第4部分領域は、前記第1方向において前記第1部分領域と前記第3部分領域との間にある。前記第5部分領域は、前記第1方向において前記第3部分領域と前記第2部分領域との間にある。前記第2半導体領域は、Alx2Ga1-x2N(0<x2<1、x1<x2)を含む。前記第2半導体領域は、第1半導体部分及び第2半導体部分を含む。前記第4部分領域から前記第1半導体部分への方向は前記第2方向に沿う。前記第5部分領域から前記第2半導体部分への方向は前記第2方向に沿う。前記第6部分領域は、前記第2方向において、前記第4部分領域と前記第1半導体部分との間にある。前記第7部分領域は、前記第2方向において、前記第5部分領域と前記第2半導体部分との間にある。前記第3半導体領域は、Alx3Ga1-x3N(0<x3≦1、x1<x3)を含む。前記第3半導体領域は、第1半導体膜部を含む。前記第1半導体膜部は、前記第1方向において、前記第6部分領域と、前記第3電極との間にある。前記第6部分領域は、前記第1半導体部分と対向する第1面と、前記第1半導体膜部と対向する第2面と、を含む。前記第2面の少なくとも一部と、前記第1面と、の間の第1角度は、90度よりも小さい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1(a)及び
図1(b)は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
【
図3】
図3(a)及び
図3(b)は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【
図4】
図4は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【
図5】
図5(a)及び
図5(b)は、第3実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1(a)及び
図1(b)は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図1(a)に示すように、実施形態に係る半導体装置110は、第1電極51、第2電極52、第3電極53、第1半導体領域10、第2半導体領域20、及び、第3半導体領域30を含む。この例では、半導体装置110は、第1絶縁部材41及び第2絶縁部材42をさらに含む。
【0009】
第1電極51から第2電極52への第1方向をX軸方向とする。X軸方向に対して垂直な1つの方向をZ軸方向とする。X軸方向及びZ軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。
【0010】
第1方向(X軸方向)における第3電極53の位置は、第1方向における第1電極51の位置と、第1方向における第2電極52の位置と、の間にある。例えば、第3電極53の少なくとも一部が、X軸方向において、第1電極51と第2電極52との間にあっても良い。
【0011】
第1半導体領域10は、Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含む。第1半導体領域10は、例えば、窒化物半導体を含む。第1半導体領域10は、例えば、X-Y平面に実質的に平行に広がる。
【0012】
第1半導体領域10は、第1部分領域11、第2部分領域12、第3部分領域13、第4部分領域14、第5部分領域15、第6部分領域16及び第7部分領域17を含む。
【0013】
第1部分領域11から第1電極51への第2方向は、第1方向(X軸方向)と交差する。第2方向は、例えば、Z軸方向である。以下では、第2方向をZ軸方向とする。
【0014】
第2部分領域12から第2電極52への方向は、第2方向に沿う。第3部分領域13から第3電極53への方向は、第2方向に沿う。第4部分領域14は、第1方向(X軸方向)において第1部分領域11と第3部分領域13との間にある。第5部分領域15は、第1方向(X軸方向)において第3部分領域13と第2部分領域12との間にある。第6部分領域16及び第7部分領域17については、後述する。
【0015】
第2半導体領域20は、Alx2Ga1-x2N(0<x2<1、x1<x2)を含む。第2半導体領域20は、例えば、AlGaNを含む。組成比x2は、例えば、0よりも高く0.5以下である。組成比x2は、例えば、0.15以上0.25以下でも良い。第2半導体領域20は、例えば、窒化物半導体を含む。
【0016】
第2半導体領域20は、第1半導体部分21及び第2半導体部分22を含む。第4部分領域14から第1半導体部分21への方向は、第2方向(例えば、Z軸方向)に沿う。第5部分領域15から第2半導体部分22への方向は、第2方向に沿う。第6部分領域16は、第2方向において、第4部分領域14と第1半導体部分21との間にある。第7部分領域17は、第2方向において、第5部分領域15と第2半導体部分22との間にある。
【0017】
第3半導体領域30は、Alx3Ga1-x3N(0<x3≦1、x1<x3)を含む。第3半導体領域30は、例えば、AlGaNまたはAlNを含む。第3半導体領域30におけるAlの組成比x3は、例えば、0.5よりも高く1以下である。Alの組成比x3は、例えば、0.8以上1以下でも良い。第3半導体領域30は、例えば、窒化物半導体を含む。1つの例において、組成比x3は、組成比x2よりも高い。
【0018】
第3半導体領域30は、第1半導体膜部31を含む。第1半導体膜部31は、第1方向(X軸方向)において、第6部分領域16と、第3電極53との間にある。
【0019】
この例では、第3半導体領域30は、第2半導体膜部32をさらに含む。第2半導体膜部32は、第1方向(X軸方向)において、第3電極53と第7部分領域17との間にある。この例では、第3半導体領域30は、第3半導体膜部33をさらに含む。第3半導体膜部33は、第2方向(例えば、Z軸方向)において、第3部分領域13と第3電極53との間にある。実施形態において、第2半導体膜部32及び第3半導体膜部33は省略されても良い。
【0020】
第1絶縁部材41は、第1絶縁部分41a、第2絶縁部分41b、及び、第3絶縁部分41cを含む。第1絶縁部分41aは、第6部分領域16と第3電極53との間にある。例えば、第1絶縁部分41aは、第1半導体膜部31と第3電極53との間にある。第2絶縁部分41bは、第3電極53と第7部分領域17との間にある。例えば、第2絶縁部分41bは、第3電極53と第2半導体膜部32との間にある。第3絶縁部分41cは、第3部分領域13と第3電極53との間にある。例えば、第3絶縁部分41cは、第3半導体膜部33と第3電極53との間にある。
【0021】
第1電極51は、例えば、第1半導体部分21と電気的に接続される。第2電極52は、例えば、第2半導体部分22と電気的に接続される。
【0022】
第1電極51は、例えば、ソース電極として機能する。第2電極52は、例えば、ドレイン電極として機能する。第3電極53は、例えば、ゲート電極として機能する。第1絶縁部材41は、例えば、ゲート絶縁膜として機能する。半導体装置110は、例えば、MOS型パワーデバイスである。
【0023】
図1(b)に示すように、例えば、第1半導体領域10の第2半導体領域20と対向する部分に、キャリア領域10Eが形成される。キャリア領域10Eは、例えば、2次元電子ガスである。半導体装置110は、例えば、HEMT(High Electron Mobility Transistor)である。例えば、第3電極53に印加される電圧により、第1電極51と第2電極52との間の電流経路に流れる電流が制御できる。
【0024】
実施形態において、第1半導体膜部31が設けられる孔(例えば、トレンチ)の側面の少なくとも一部は、逆テーパ状である。
【0025】
図1(a)に示すように、例えば、第6部分領域16は、第1面16a及び第2面16bを含む。第1面16aは、第1半導体部分21と対向する。第2面16bは、第1半導体膜部31と対向する。第2面16bの少なくとも一部と、第1面16aと、の間の角度を第1角度θ1とする。実施形態においては、第1角度θ1は、90度よりも小さい。例えば、第1角度θ1は、89.4度よりも小さい。実施形態において、第1角度θ1は、80度以上でも良い。
【0026】
例えば、第1半導体領域10から第2半導体領域20への向きは、窒化物半導体の+c軸方向に沿う。これにより、第1半導体領域10の第2半導体領域20と対向する部分にキャリア領域10Eが形成される。例えば、第6部分領域16の上面の近傍、及び、第7部分領域17の上面の近傍にキャリア領域10Eが形成される(
図1(b)参照)。
【0027】
一方、第6部分領域16の第1半導体膜部31と対向する部分では、+c軸方向とは逆向きの分極が生じる。このため、第6部分領域16の第1半導体膜部31と対向する部分では、キャリア領域10Eの極性とは逆の極性の電荷が生じる。第6部分領域16の第1半導体膜部31と対向する部分においては、電流が流れ難くなる。
【0028】
これにより、例えば、高いしきい値電圧が得られる。例えば、ノーマリオフの特性が安定して得やすくできる。実施形態によれば、特性の向上が可能な半導体装置を提供できる。
【0029】
実施形態において、組成比x3は、組成比x2よりも高いことが好ましい。これにより、逆の極性の電荷がより生じ易くなり、しきい値電圧をより効果的に高くすることができる。
【0030】
実施形態において、第1電極51と第2電極52との間の電流経路の一部において、電流が流れにくくなる。この例では、第1電極51の側(ソース電極の側)の第1角度θ1が90度未満(逆テーパ状)であることで、第1電極51の側の電流経路において電流が流れ難くなる。電流経路の一部で電流が流れ難くなることで高いしきい値電圧が得られるため、例えば、第2電極52の側の傾斜が順テーパでも良い。
【0031】
例えば、
図1(a)に示すように、第3半導体領域30は、第2半導体膜部32を含む。既に説明したように、第2半導体膜部32は、第1方向(X軸方向)において、第3電極53と第7部分領域17との間にある。第7部分領域17は、第3面17c及び第4面17dを含む。第3面17cは、第2半導体部分22と対向する。第4面17dは、第2半導体膜部32と対向する。第4面17dの少なくとも一部と、第3面17cと、の間の角度を第2角度θ2とする。この例では、第2角度θ2は、90度よりも大きい。
【0032】
例えば、第2面16bと第4面17dとは、互いに実質的に平行でも良い。例えば、第2面16bの上記の少なくとも一部を含む平面と、第4面17dの上記の少なくとも一部を含む平面と、の間の角度は、5度以下である。
【0033】
このような第2面16b及び第4面17dは、以下のようにして形成できる。例えば、第1半導体領域10及び第2半導体領域20となる半導体積層体に孔(トレンチ)を形成する際に、斜め方向にエッチングを行う。例えば、半導体積層体の表面を傾斜させた状態で、RIE(Reactive Ion Etching)などを実施することで、逆テーパの側面が形成できる。この側面に第3半導体領域30となる膜を形成することで、上記のような第2面16b及び第4面17dが得られる。さらに、孔の中に、絶縁膜、及び、第3電極53となる導電部材を形成することで、半導体装置110における第1絶縁部材41及び第3電極53が形成できる。
【0034】
実施形態において、第1電極51の側、及び、第2電極52の側の少なくともいずれかにおいて、第3電極53とX軸方向で対向する半導体部分を逆テーパ状にする。これにより、高いしきい値電圧が得られる。しきい値電圧の例については、後述する。
【0035】
この例では、第1絶縁部材41は、第4絶縁部分41d、及び、第5絶縁部分41eを含む。Z軸方向において、第1半導体部分21は、第6部分領域16と第4絶縁部分41dとの間にある。Z軸方向において、第2半導体部分22は、第7部分領域17と第5絶縁部分41eとの間にある。
【0036】
この例では、第3半導体領域30は、第4半導体膜部34及び第5半導体膜部35を含む。Z軸方向において、第4半導体膜部34は、第1半導体部分21と第4絶縁部分41dとの間にある。Z軸方向において、第5半導体膜部35は、第2半導体部分22と第5絶縁部分41eとの間にある。
【0037】
図1(a)に示すように、この例では、第2絶縁部材42が設けられている。第2絶縁部材42は、第6絶縁部分42f及び第7絶縁部分42gを含む。第6絶縁部分42fは、Z軸方向において、第1半導体部分21と第4絶縁部分41dとの間にある。第6絶縁部分42fは、Z軸方向において、第1半導体部分21と第4半導体膜部34との間にある。第7絶縁部分42gは、Z軸方向において、第2半導体部分22と第5絶縁部分41eとの間にある。第7絶縁部分42gは、Z軸方向において、第2半導体部分22と第5半導体膜部35との間にある。
【0038】
例えば、第1絶縁部分41a、第2絶縁部分41b及び第3絶縁部分41cの材料は、第4絶縁部分41d及び第5絶縁部分41eの材料と同じでも良い。第2絶縁部材42は、第2半導体領域20の保護層として機能する。
【0039】
例えば、第1絶縁部材41は、酸素及びシリコンを含む。例えば、第2絶縁部材42は、窒素及びシリコンを含む。例えば、第1絶縁部材41における酸素の濃度は、第2絶縁部材42における酸素の濃度よりも高い。例えば、第2絶縁部材42における窒素の濃度は、第1絶縁部材41における窒素の濃度よりも高い。例えば、第1絶縁部材41は、酸化シリコンを含む。例えば、第2絶縁部材42は、窒化シリコンを含む。
【0040】
図1(a)に示すように、第1電極51と第3電極53との間の距離d1は、第3電極53と第2電極52との間の距離d2よりも短い。これらの距離は、X軸方向に沿う長さである。このように、ソース電極として機能する第1電極51と、第3電極53と、の間の距離d1は、ドレイン電極として機能する第2電極52と、第3電極53と、の間の距離d2よりも短い。例えば、適正な耐圧が得やすくなる。
【0041】
既に説明したように、第1絶縁部材41は、第4絶縁部分41dを含んでも良い。第1半導体部分21は、Z軸方向において、第6部分領域16と第4絶縁部分41dとの間にある。第4絶縁部分41dは、第1絶縁部分面f1を含む。第1絶縁部分面f1は、Z軸方向において、第1半導体部分21と対向する。この例では、第1絶縁部分面f1は、第4半導体膜部34及び第6絶縁部分42fを介して、第1半導体部分21と対向する。一方、第1絶縁部分41aは、第2絶縁部分面f2を含む。第2絶縁部分面f2は、X軸方向において、第1半導体膜部31と対向する。
【0042】
第2絶縁部分面f2の少なくとも一部と、第1絶縁部分面f1と、の間の角度を第1絶縁部材面角度θi1とする。実施形態において、第1絶縁部材面角度θi1は、90度よりも小さい。例えば、第1絶縁部材面角度θi1は、90度よりも小さいことで、第1角度θ1を90度よりも小さくし易くできる。
【0043】
例えば、第1面16aは、第1絶縁部分面f1に沿う。第2面16bは、第2絶縁部分面f2に沿う。第1絶縁部材面角度θi1を90度よりも小さくすることで、第1角度θ1が90度よりも小さくなる。これにより、例えば高いしきい値電圧が得やすくなる。
【0044】
既に説明したように、第1絶縁部材41は、第5絶縁部分41eを含んでも良い。第2半導体部分22は、Z軸方向において、第7部分領域17と第5絶縁部分41eとの間にある。第5絶縁部分41eは、第3絶縁部分面f3を含む。第3絶縁部分面f3は、Z軸方向において、第2半導体部分22と対向する。この例では、第3絶縁部分面f3は、第5半導体膜部35及び第7絶縁部分42gを介して、第2半導体部分22と対向する。一方、第2絶縁部分41bは、第4絶縁部分面f4を含む。第4絶縁部分面f4は、X軸方向において、第2半導体膜部32と対向する。
【0045】
第4絶縁部分面f4の少なくとも一部と、第3絶縁部分面f3と、の間の角度を第2絶縁部材面角度θi2とする。この例では、第2絶縁部材面角度θi2は、90度よりも大きい。例えば、第3面17cは、第3絶縁部分面f3に沿う。第4面17dは、第4絶縁部分面f4に沿う。例えば、第2絶縁部材面角度θi2は、第4面17dに対して実質的に平行でも良い。後述するように、第2絶縁部材面角度θi2は、90度よりも小さくても良い。
【0046】
図2は、第1実施形態に係る半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
図2は、実施形態に係る半導体装置のしきい値電圧のシミュレーション結果を例示している。
図2の横軸は、第1角度θ1である。
図2の縦軸は、しきい値電圧Vth(V)である。この例では、第2角度θ2は、(180度-第1角度θ1)である。
【0047】
図2に示すように、第1角度θ1が小さくなると、しきい値電圧Vthは、大きくなる。第1角度θ1が90度のときに、しきい値電圧Vthは、負である。例えば、第1角度θ1が89.4度よりも小さいときに、しきい値電圧Vthは、正になる。
【0048】
第1角度θ1が過度に小さくなると、しきい値電圧Vthが過度に大きくなる。第1角度θ1は、例えば、80度以上であることが好ましい。第1角度θ1は、例えば、85度以上でも良い。
【0049】
このように、第1角度θ1を90度よりも小さくすることで、第1角度θ1が90度の時よりも、高いしきい値電圧Vthが得られる。例えば、第1角度θ1を89.4度以下にすることで、正のしきい値電圧Vthが得られる。製造工程のばらつきなどを考慮すると、実用的には、第1角度θ1は、例えば、89度以下で良い。第1角度θ1は、例えば、88度以下でも良い。
【0050】
図1(b)に示すように、第1方向及び第2方向を含む平面は、Z-X平面に相当する。Z-X平面で切断したときの、第2面16bの長さL1は、50nm以上400nm以下であることが好ましい。長さL1が50nm以上であることにより、例えば、高いしきい値電圧Vthが安定して得られる。長さL1が400nm以下であることにより、例えば、抵抗の過度な上昇を抑制することができる。
【0051】
例えば、Z-X平面で切断したときの、第4面17dの長さL2は、50nm以上400nm以下で良い。
【0052】
図1(b)に示すように、第2面16bに対して垂直な方向に沿う、第1半導体膜部31の厚さを厚さt1とする。厚さt1は、例えば、3nm以上8nm以下であることが好ましい。厚さt1が3nm以上であることで、均一な第1半導体膜部31が得やすくなる。厚さt1が8nm以下であることで、例えば、第1半導体膜部31が良好な結晶性をもつ。これにより、例えば、トラップの生成が抑制され、特性が向上しやすくなる。
【0053】
図1(b)に示すように、第4面17dに対して垂直な方向に沿う、第2半導体膜部32の厚さを厚さt2とする。厚さt2は、例えば、3nm以上8nm以下であることが好ましい。
【0054】
(第2実施形態)
図3(a)及び
図3(b)は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図3(a)に示すように、実施形態に係る半導体装置120も、第1電極51、第2電極52、第3電極53、第1半導体領域10、第2半導体領域20、第3半導体領域30、第1絶縁部材41、及び、第2絶縁部材42を含む。半導体装置120においても第1角度θ1は、90度よりも小さく、第1絶縁部材面角度θi1は、90度よりも小さい。半導体装置120において、第2角度θ2も、90度よりも小さく、第2絶縁部材面角度θi2も、90度よりも小さい。半導体装置120におけるこれ以外の構成は、半導体装置110の構成と同様である。
【0055】
半導体装置120においても、高いしきい値電圧が得られる。半導体装置120においては、第1電極51の側、及び、第2電極52の側の両方において、側面が逆テーパになることで、しきい値電圧Vthをより確実により安定して高くできる。
【0056】
半導体装置110に関して説明した構成を半導体装置120に適用できる。第2実施形態においても、特性の向上が可能な半導体装置を提供できる。
【0057】
図3(a)に例示するような第2面16b及び第4面17dは、例えば、第1半導体領域10及び第2半導体領域20となる半導体積層体に孔(トレンチ)を形成する際に、互いに逆方向の成分を有する斜め方向に沿った複数のエッチングを行うことで、形成できる。
【0058】
図4は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図4に示すように、実施形態に係る半導体装置121においても、第1角度θ1、第1絶縁部材面角度θi1、第2角度θ2、及び、第2絶縁部材面角度θi2のそれぞれは、90度よりも小さい。半導体装置121においては、第3半導体膜部33と第1半導体膜部31との間のコーナー部、及び、第3半導体膜部33と第2半導体膜部32との間のコーナー部が、曲面状である。第3絶縁部分41cと第1絶縁部分41aとの間のコーナー部、及び、第3絶縁部分41cと第2絶縁部分41bとの間のコーナー部の形状は、半導体膜部の形状に沿うように、曲面状である。第3電極53の下端部の形状も半導体膜部の形状に沿うように、曲面状である。半導体装置121に関するこれ以外の構成は、半導体装置120の構成と同様である。
【0059】
半導体装置121においても、高いしきい値電圧が得られる。半導体装置110及び120に関して説明した構成を半導体装置121に適用できる。
【0060】
(第3実施形態)
図5(a)及び
図5(b)は、第3実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図5(a)に示すように、実施形態に係る半導体装置130も、第1電極51、第2電極52、第3電極53、第1半導体領域10、第2半導体領域20、第3半導体領域30、第1絶縁部材41、及び、第2絶縁部材42を含む。半導体装置120においても第1角度θ1は、90度よりも小さく、第1絶縁部材面角度θi1は、90度よりも小さい。一方、第2角度θ2は、90度よりも大きく、第2絶縁部材面角度θi2は、90度よりも大きい。半導体装置130においては、第1電極51と第3電極53との間の距離d1は、第3電極53と第2電極52との間の距離d2よりも長い。この場合、例えば、第1電極51は、ドレイン電極として機能し、第2電極52は、ソース電極として機能し、第3電極53は、ゲート電極として機能する。
【0061】
半導体装置130においても、第1角度θ1が90度よりも小さい。例えば、高いしきい値電圧Vthが得やすい。第1絶縁部材面角度θi1は、90度よりも小さい。これにより、高いしきい値電圧Vthが得やすい。第3実施形態においても、特性の向上が可能な半導体装置を提供できる。
【0062】
第1実施形態に係る半導体装置110においては、第2電極52に高電圧を印加した場合にも高いしきい値電圧を得ることが、より容易である。一方、第3実施形態に係る半導体装置130においては、例えば、第2電極52に高電圧を印加した場合に第1角度θ1の影響が弱まる。これにより、例えば、大きなプロセスマージンが得られる。
【0063】
第1~第3実施形態において、第3部分領域13の上面は、X-Y平面に対して傾斜しても良い。
【0064】
第1~第3実施形態において、第1電極51及び第2電極52は、例えば、Al及びTiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第3電極53は、例えば、窒化チタン及びSiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0065】
第1~第3実施形態において、+c軸は、Z軸方向と厳密に平行でなくても良い。例えば、+c軸とZ軸方向との間の角度は、5度以下でも良い。例えば、-c軸とZ軸方向との間の角度は、5度以下でも良い。
【0066】
実施形態によれば、特性の向上が可能な半導体装置が提供できる。
【0067】
なお、本明細書において「窒化物半導体」とは、BxInyAlzGa1-x-y-zN(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦1,x+y+z≦1)なる化学式において組成比x、y及びzをそれぞれの範囲内で変化させた全ての組成の半導体を含むものとする。またさらに、上記化学式において、N(窒素)以外のV族元素もさらに含むもの、導電形などの各種の物性を制御するために添加される各種の元素をさらに含むもの、及び、意図せずに含まれる各種の元素をさらに含むものも、「窒化物半導体」に含まれるものとする。
【0068】
本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0069】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、半導体装置に含まれる半導体領域、電極、及び絶縁部材などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0070】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0071】
その他、本発明の実施の形態として上述した半導体装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての半導体装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0072】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0073】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
10…第1半導体領域、 10E…キャリア領域、 11~17…第1~第7部分領域、 16a、16b…第1、第2面、 17c、17d…第3、第4面、 20…第2半導体領域、 21、22…第1、第2半導体部分、 30…第3半導体領域、 31~35…第1~第5半導体膜部、 41、42…第1、第2絶縁部材、 41a~41e…第1~第5絶縁部分、 42f、42g…第6、第7絶縁部分、 51~53…第1~第3電極、 θ1、θ2…第1、第2角度、 θi1、θi2…第1、第2絶縁部材面角度、 110、120、121、130…半導体装置、 L1、L2…長さ、 Vth…しきい値電圧、 d1、d2…距離、 f1~f4…第1~第4絶縁部分面、 t1、t2…厚さ