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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】小型時計部品を移載するための装置
(51)【国際特許分類】
   G04D 1/06 20060101AFI20240304BHJP
   G04D 3/00 20060101ALI20240304BHJP
   B65G 47/14 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
G04D1/06
G04D3/00
B65G47/14 Z
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019151831
(22)【出願日】2019-08-22
(65)【公開番号】P2020064049
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-07-19
(31)【優先権主張番号】18192184.2
(32)【優先日】2018-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】599091346
【氏名又は名称】ロレックス・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】ROLEX SA
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボーフィルス, ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ノエル, エドリアン
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-018509(JP,A)
【文献】実開昭50-049164(JP,U)
【文献】実開昭58-166519(JP,U)
【文献】実開昭50-092762(JP,U)
【文献】特開2010-228873(JP,A)
【文献】特開平05-051117(JP,A)
【文献】特開2003-283096(JP,A)
【文献】特開昭58-071481(JP,A)
【文献】米国特許第03490134(US,A)
【文献】中国実用新案第218079360(CN,U)
【文献】特開昭58-004345(JP,A)
【文献】特開2009-132496(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04D 1/06, 1/00
G04D 3/00
B65G 47/14,47/24
B65G 47/06,47/08
B65G 11/06
B23P 19/00,19/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1支持部(10)上に配置された複数の小型時計部品(2)を第2支持部(20)上の配置へ移載するための装置(30、40)であって、
前記装置は、第1支持部(10)上の前記小型時計部品(2)の第1配置に対応して配置された入口開口部(33、43)を含む入口表面(31、41)と、第2支持部(20)上の前記小型時計部品(2)の第2配置に対応して配置された出口開口部(34、44)を含む出口表面(32、42)、及び前記小型時計部品(2)を前記入口開口部(33、43)から前記出口開口部(34、44)へ自動的に案内するよう適合された案内要素(35、45)とを含み、
前記装置は、前記入口表面(31)の前記入口開口部(33)上に重ね合せられるように、また格子開口部(51)と前記入口開口部(33)を通して連続的に小型時計部品(2)の通過を許可するように、前記入口表面(31)の前記入口開口部(33)と同一または互換性のある態様で配置された格子開口部(51)を含む、着脱可能な格子(50)を含む、
装置(30、40)。
【請求項2】
少なくとも1つの案内要素(35、45)は
湾曲した案内表面、及びまたは
少なくとも1つのシケインを含む案内表面、及びまたは
並進運動に従い及びまたは回転運動に従い、小型時計部品(2)の変位を引き起こすよう適合された案内面、及びまたは
小型時計部品(2)の向きを変更させるまたは変更させないよう適合された案内表面、及びまたは
前記小型時計部品(2)の前記第1支持部(10)との接触面が前記第2支持部(20)との接触表面とは異なるように、小型時計部品(2)の向きを変更させるよう適合された案内表面、
の特徴の全てまたは一部を含む、
請求項1に記載の小型時計部品(2)を移載するための装置(30、40)。
【請求項3】
第1支持部(10)上に配置された複数の小型時計部品(2)を第2支持部(20)上の配置へ移載するための装置(30、40)であって、
前記装置は、第1支持部(10)上の前記小型時計部品(2)の第1配置に対応して配置された入口開口部(33、43)を含む入口表面(31、41)と、第2支持部(20)上の前記小型時計部品(2)の第2配置に対応して配置された出口開口部(34、44)を含む出口表面(32、42)、及び前記小型時計部品(2)を前記入口開口部(33、43)から前記出口開口部(34、44)へ自動的に案内するよう適合された案内要素(35、45)とを含み、
前記案内要素(35、45)は、
前記小型時計部品(2)の前記第1支持部(10)との接触面が前記第2支持部(20)との接触表面とは異なるように、前記小型時計部品が前記案内要素の壁に沿って滑動する際に小型時計部品(2)の向きを変更させるよう適合された案内表面を含む、
装置(30、40)。
【請求項4】
前記案内要素(35、45)は、それぞれ前記入口表面(31、41)上に位置された入口開口部(33、43)を前記出口表面(32、42)上に位置された出口開口部(34、44)へ連結するチャンネルの形状であり、少なくとも1つの案内要素(35、45)は、前記少なくとも1つの案内要素(35、45)の壁上で、小型時計部品(2)の入口開口部(33、43)から出口開口部(34、44)への滑動を引き起こす
請求項1から3のいずれか一項に記載の小型時計部品(2)を移載するための装置(30、40)。
【請求項5】
前記装置は、前記小型時計部品(2)ががたつくことを避けるために、重合体製または重合体製の表面により少なくとも部分的に被覆される、またはセラミック製、または金属製である、
請求項1から4のいずれか一項に記載の小型時計部品(2)を移載するための装置(30、40)。
【請求項6】
前記格子(50)と前記入口表面(31)は、前記入口表面(31)に対する前記格子(50)の正確な位置決めのための割出手段(38、54)を含む、
請求項に記載の小型時計部品(2)を移載するための装置(30)。
【請求項7】
前記装置は、プレートの後退または変位後の前記入口開口部(33)を通した移載の前に、前記入口表面の上で小型時計部品(2)の一時的な保持を可能にするために、前記装置(30)の前記入口表面(31)と前記格子(50)との間に着脱可能な態様で配置されたプレートを含む、
請求項または6に記載の小型時計部品(2)を移載するための装置(30)。
【請求項8】
前記プレートは、前記入口表面(31)の前記入口開口部(33)と同一または互換性のある配置に従った開口を含み、前記プレートは、前記小型時計部品(2)が、前記入口表面(31)の上方に保持され続けるよう適合されるよう、開口が前記入口表面(31)の前記入口開口部(33)により完全には重ね合されない第1位置と、前記小型時計部品(2)が前記プレートの開口と前記入口表面(31)の前記入口開口部(33)を通して移載するよう適合されるように、開口が入口開口部(33)により重ね合される第2位置との2つの位置を占めることができるように、前記入口表面(31)に対して可動である、
請求項7に記載の小型時計部品(2)を移載するための装置(30)。
【請求項9】
前記装置は、プレートまたは受といったムーブメントブランク、脱進機歯車といった小型時計ムーブメントの歯車、またはブレスレットリンクまたは文字盤板または文字盤目盛といった小型時計製造部品の移載用に適合される、
請求項1から8のいずれか一項に記載の小型時計部品(2)を移載するための装置(30、40)。
【請求項10】
前記装置は、第1移載装置(30)と第2移載装置(40)とを含み、前記第1移載装置(30)と前記第2移載装置(40)と直列に搭載されるように適合される、
請求項1から9のいずれか一項に記載の小型時計部品(2)を移載するための装置(30)。
【請求項11】
前記装置は、少なくとも2つの移載装置(30、40)を含み、前記少なくとも2つの移載装置(30、40)のそれぞれの前記案内要素(35、45)が、前記少なくとも2つの移載装置(30、40)の組立体に連続する案内要素(35、45)を形成するよう連結されるように直列に配置された、請求項1から10のいずれか一項に記載の小型時計部品(2)を移載するための装置(30、40)の組立体(3)。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか一項に記載の小型時計部品(2)を移載するための装置(30、40)の製造方法であって、素材の追加による製造の段階を含む、
製造方法。
【請求項13】
輸送及びまたは前記小型時計部品(2)へ少なくとも1つの第1作業を実施するための第1ハウジング(11)を含む、第1支持部(10)を含む、小型時計部品(2)を取り扱うためのシステム(1)であって、
前記システムは、輸送及びまたは同一の小型時計部品(2)へ少なくとも1つの第2作業を実施するための第2ハウジング(21)を含む、第2の、別個の支持部(20)を含み、
前記システムは、前記第1支持部(10)の前記第1ハウジング(11)から前記第2支持部(20)の前記第2ハウジング(21)へ前記小型時計部品(2)を移載するための、請求項1から10のいずれか一項に記載の移載装置(30、40)及びまたは請求項11に記載の組立体(3)を含む、
小型時計部品(2)を取り扱うためのシステム(1)。
【請求項14】
前記第1支持部(10)は、トレイまたはコンテナであり、及びまたは前記第2支持部(20)は、トレイまたはコンテナまたは容器である、
請求項13に記載の小型時計部品(2)を取り扱うためのシステム(1)。
【請求項15】
輸送及びまたは第1支持部(10)に配置された小型時計部品(2)へ少なくとも1つの第1作業を実施する段階を含む、小型時計部品(2)の取扱い方法であって、
前記方法は、請求項1から10のいずれか一項に記載の移載装置(30、40)及びまたは請求項11に記載の組立体(3)を用いて、前記第1支持部(10)から第2支持部(20)上へ前記小型時計部品(2)を自動移載するための段階を含み、
前記方法は輸送及びまたは前記第2支持部(20)上に配置された前記小型時計部品(2)へ少なくとも1つの第2作業を実施するための段階を含む、
小型時計部品(2)を取扱うための方法。
【請求項16】
第1支持部(10)に配置された小型時計部品(2)へ少なくとも1つの第1作業を実施する段階と、
小型時計部品(2)を移載するための装置(30、40)を用いて、前記第1支持部(10)から第2支持部(20)上へ前記小型時計部品(2)を自動移載するための段階と、
前記第2支持部(20)上に配置された前記小型時計部品(2)へ少なくとも1つの第2作業を実施するための段階と、を含み、
前記装置は、第1支持部(10)上の前記小型時計部品(2)の第1配置に対応して配置された入口開口部(33、43)を含む入口表面(31、41)と、第2支持部(20)上の前記小型時計部品(2)の第2配置に対応して配置された出口開口部(34、44)を含む出口表面(32、42)、及び前記小型時計部品(2)を前記入口開口部(33、43)から前記出口開口部(34、44)へ自動的に案内するよう適合された案内要素(35、45)とを含む、
小型時計部品(2)を取扱うための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1調整部または支持部から第2調整部または支持部へ小型時計部品を移載(transfer)するための装置に関し、移載装置は、時計製造の製造方法の一部として使用される。本発明は同様に、直列に搭載された移載装置の組立体に関する。本発明は同様に、当該小型時計部品を移載するための装置の製造方法、並びに小型時計部品の取扱い方法に関する。
【背景技術】
【0002】
時計製造分野において、例えば機械加工、研磨、ガルバニー堆積、洗浄段階といった各製造段階に進めるために、及びまたは小型時計部品を製造方法の実施のための様々な台の間で移載させるために、例えばブレスレットリンクまたはブランクといった小型時計部品を、調整部や支持部に位置することが知られている。段階に応じて、対応する準備用台に適合させるために、例えば取扱いの種類にまたは製造過程で用いられる工作機械の種類に適合させるために、調整部または支持部は、様々な小型時計部品の形状と配置を保有する。様々な工作機器は、小型時計部品の特定の位置決めを、または小型時計部品の特定の向きを必要とする、特有の制約を有する。こうした小型時計部品は、特定の工作機器に特に適合された調整部または支持部に位置されてもよい。原則として、同じ調整部を製造方法中で使用される異なる工作機器に留めることはできず、調整部が特定の工作機器の特定の制約に適合されるように、小型時計部品の状態を再調整する必要が度々生じる。
【0003】
原則として、小型時計部品は、小型時計部品同士の表面の、特に小型時計部品同士の機能面または装飾の完全性を維持するために、ある調整部から他の調整部へ、手動で移載される。
【0004】
手動移転は、小型時計部品のそれぞれの把持、取扱いと位置決めの段階を必要とする。小型時計部品は、製造操作中に特別な注意をもって取り扱われなければならない。実際、一方では小型時計は脆弱であり、その外観は、衝撃、擦り傷または染みといった欠陥が排除されねばならない。他方で、小型時計部品は小さく、その取扱いが特に繊細となる。小型時計部品はこのため、操作者の手から簡単に逃れることができ、及びまたは取扱いが難しい。更に、小型時計部品は、製造操作が正確に実施されるために、様々な作業台において、十分に正確に位置されなければならない。
【0005】
このため、小型時計部品の手動移載は、時間がかかり、あまり人間工学的な方法ではない。小型時計部品を正確に且つ損害を与えることなく位置させるために必要な注意は、一般的に、当該位置決めの実施速度と相反する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目標は、上記で概略説明した欠点に取り組み、従来技術からよく知られた小型時計部品の取扱い方法を改善する、移載装置と小型時計部品の取扱い方法を提供することである。
【0007】
本発明の第1目的は、小型時計部品を効率的に第1調整部または支持部から第2調整部または支持部へ移載可能にし、移載中の小型時計部品の保護を保証し続けることを可能とする装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1支持部上に配置された複数の小型時計部品を第2支持部上の配置へ移載するための移載装置であって、前記移載装置は、第1支持部上の前記小型時計部品の第1配置に対応して配置された入口開口部を含む入口表面と、第2支持部上の前記小型時計部品の第2配置に対応して配置された出口開口部を含む出口表面、及び前記小型時計部品を前記入口開口部から前記出口開口部へ自動的に案内するよう適合された複数の案内要素とを含む、装置に関する。
【0009】
複数の小型時計部品は、有利には、実質的に同時に移載される。
【0010】
複数の前記案内要素は、それぞれ前記入口表面上に位置された入口開口部を前記出口表面上に位置された出口開口部へ連結するチャンネルの形状であってもよく、少なくとも1つの案内要素は、前記少なくとも1つの案内要素の壁上で、小型時計部品の入口開口部から出口開口部への滑動を引き起こす。
【0011】
少なくとも1つの案内要素は
湾曲した案内表面、及びまたは
少なくとも1つのシケインを含む案内表面、及びまたは
並進運動に従い及びまたは回転運動に従い、小型時計部品の変位を可能にするよう適合された案内面、及びまたは
小型時計部品の向きを変更させるまたは変更させないよう適合された案内表面、及びまたは
前記小型時計部品の前記第1支持部との接触面が前記第2支持部との接触表面とは異なるように、前記小型時計部品の向きを変更させるよう適合された案内表面、
の特徴の全てまたは一部を含んでもよい。
【0012】
小型時計部品を移載するための装置は、前記小型時計部品ががたつくことを避けるために、重合体製または重合体製の表面により少なくとも部分的に被覆される、またはセラミック製、または金属製、特に金属の合金製であってもよい。
【0013】
小型時計部品を移載するための装置は、前記入口表面の前記入口開口部上に重ね合わせられるように、また格子開口部と前記入口開口部を通して連続的に小型時計部品の通過を許可するように、前記入口表面の前記入口開口部と同一または互換性のある態様で配置された格子開口部を含む、着脱可能な格子を含んでもよい。
【0014】
前記格子と前記入口表面は、前記入口表面に対する前記格子の正確な位置決めのための割出手段を含んでもよい。
【0015】
小型時計部品を移載するための装置は、プレートの後退または変位後の前記入口開口部を通した移載の前に、前記入口表面の上で小型時計部品を一時的に保持することを可能にするために、前記第1移載装置の前記入口表面と前記格子との間に着脱可能な態様で配置されたプレートを含んでもよい。
【0016】
前記プレートは、前記入口表面の前記入口開口部と同一または互換性のある配置に従った開口を含んでもよく、前記プレートは、前記小型時計部品が、前記入口表面の上方に保持され続けるよう、開口が前記入口表面の前記入口開口部により完全には重ね合されない第1位置と、前記小型時計部品が前記プレートの開口と前記入口表面の前記入口開口部を通して移載可能なように、開口が入口開口部により重ね合される第2位置との2つの位置を占めることができるように、前記入口表面に対して可動であってもよい。
【0017】
小型時計部品を移載するための装置は、プレートまたは受といったムーブメントブランク、脱進機歯車といった前記小型時計ムーブメントの歯車、またはブレスレットリンクまたは文字盤板または文字盤目盛といった小型時計製造部品を移載するのに適合されてもよい。
【0018】
小型時計部品を移載するための装置は、上記のように定義された少なくとも1つの第2移載装置と直列に搭載されるように適合されてもよい。小型時計部品を移載するための装置は、前記入口表面の領域に及びまたは出口表面の領域に、第2移載装置の割出手段及びまたは保持手段を含んでもよい。
【0019】
本発明は同様に、前記少なくとも2つの移載装置のそれぞれの前記案内要素が、前記少なくとも2つの移載装置の組立体に連続する案内要素を形成するよう連結されるように、直列に配置された、上記のように定義された2つの小型時計部品を移載するための装置の組立体に関する。
【0020】
本発明は同様に、上記のように定義された小型時計部品を移載するための装置の製造方法であって、素材の追加による製造の段階を含み、特に
1. 溶融素材の堆積によるモデリング、または
2. 重合体の層による重合または細網化、特にステレオリソグラフィー、または
3. 接着剤による薄膜の接合(薄膜積層法:LOM)、または
4. レーザ焼結SLS(粉末焼結積層造形法)による粉末の層の凝集、または
5. レーザを用いた粉末の溶融(積層造形:SLM)、
のいずれか1つの技術に関する製造方法に関する。
【0021】
本発明は同様に、輸送及びまたは前記小型時計部品へ少なくとも1つの第1作業を実施するための第1ハウジングを含む、第1支持部と、輸送及びまたは同一の小型時計部品へ少なくとも1つの第2作業を実施するための第2ハウジングを含む、第2の、別個の支持部と、前記第1支持部の前記第1ハウジングから前記第2支持部の前記第2ハウジングへ前記時計部品を移載するための、上記のように定義された移載装置及びまたは前述のように定義された移載装置の組立体を含む、小型時計部品を取り扱うためのシステムに関する。
【0022】
前記第1支持部は、トレイまたはコンテナであってもよく、及びまたは前記第2支持部は、トレイまたはコンテナまたは容器、特に液体または媒体で満たされた容器であってもよい。
【0023】
本発明は同様に、小型時計部品の取扱い方法であって、輸送及びまたは第1支持部に配置された前記小型時計部品へ少なくとも1つの第1作業を実施する段階と、上記のように定義された種類の装置を用いて及びまたは上記のように定義された種類の移載装置の組立体を用いて前記第1支持部から第2支持部上へ前記小型時計部品を自動移載するための段階と、輸送及びまたは前記第2支持部上に配置された前記小型時計部品へ少なくとも1つの第2作業を実施するための段階とを含む、小型時計部品の取扱い方法に関する。
【0024】
本発明の目的、特徴、及び利点は、添付の図面に関して非限定的目的で与えられる以下の特定の実施態様の説明において、詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の一実施形態にかかる2つの移載装置の組立体が設けられた小型時計部品を取り扱うためのシステムの概略図である。
図2図2は、本発明の一実施形態にかかる2つの移載装置を含む組立体の等角図である。
図3図3は、本発明の一実施形態にかかる2つの移載装置を含む組立体の分解組立図である。
図4図4は、本発明の一実施形態にかかる第1移載装置の上面図である。
図5図5は、本発明の一実施形態にかかる第2移載装置の底面図である。
図6図6は、本発明の一実施形態にかかる2つの移載装置を含む組立体の断面図である。
図7図7は、本発明の一実施形態にかかる2つの移載装置を含む組立体と格子の等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図の全体においてまた明細書において、小型時計部品を移載するための装置は、水平面に載置されていると見做される。「上部」及び「下部」の表現は、垂直軸に関して定義される。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態にかかる小型時計部品2の取扱いシステム1を概略的に図示する。取扱いシステム1は、第1ハウジング11を含む第1支持部10と、第1支持部10とは別個の、第2ハウジング21を含む第2支持部20とを含む。第1支持部の第1ハウジング11は、第1配置に従って第1支持部上に配置され、第2支持部の第2ハウジング21は、第1配置とは異なる第2配置に従って第2支持部上に配置される。取扱いシステム1は、小型時計部品2を第1支持部10の第1ハウジング11から第2支持部20の第2ハウジング21へ移載させる、2つの移載装置30、40の組立体3を含む。
【0028】
小型時計部品2は、小型時計またはクロックの構成部分であってもよい。小型時計部品は、例えば、ブランク、特に板や受といったムーブメントのブランク、脱進機歯車といったムーブメントの歯車、またはブレスレットリンクまたは文字盤板または文字盤目盛または巻上げりゅうずといった小型時計製造部品であってもよい。本実施形態によれば、小型時計部品2は、実質的に平行六面体の形状のブレスレットリンクである。ブレスレットリンクは相互に同一であるが、変形例として移載装置は、様々な構成部分とあらゆる形状の構成部分を調整するために利用されてもよい。
【0029】
図2は、小型時計部品2を移載するための2つの装置30、40を含む、組立体3の本発明にかかる実施形態を図示する。2つの移載装置30、40は、直列に配置される、すなわち協働可能なように一方が片方の上に配置される。本発明は同様に、単独で用いられる単一の移載装置または直列に配置されたあらゆる数の移載装置を含む組立体3に関する。変形例として、説明した2つの移載装置30、40は、同一要素を構成してもよい。
【0030】
図3は、(上部にある)第1移載装置30と(下部にある)第2移載装置40がより明確に特定できる、組立体3の分解立体図である。2つの移載装置30、40のそれぞれは、一般的には箱の形状を有し、上部に向けられた入口表面31、41、つまり上表面と、下部に向けられた出口表面32、42、つまり下表面とを含む。第1移載装置30が第2移載装置40と直列に配置されると、第1移載装置30の出口表面32は、第2移載装置40の入口表面41と接触する、または少なくとも入口表面41に対向して位置する。
【0031】
第1移載装置30の入口表面31は平面であり、全体的に円形の形状を有する。出口表面32も同様に平面であり、全体的に四角の形状を含む。もちろん、これら表面31、32は、その他の形状の外形を有してもよく、例えば曲線または非連続であってもよく、選択的に割出手段を含んでもよい。入口表面31は、第1支持部10上の小型時計部品2の第1配置に対応するように配置された、入口開口部33を含む。より具体的には、図4で具体的に明示するように、第1配置は5つの同心円に従った入口開口部33の配置からなる。出口表面32は、第3配置に従って整理された出口開口部34を含む。各入口開口部33は、移載されるべき小型時計部品2に対応する。各入口開口部33は同様に、第1支持部10の第1ハウジング11の1つに対応してもよい。第1支持部10の各第1ハウジング11は、入口表面31の入口開口部33の1つに対応する。第1支持部10の各第1ハウジング11は、同様に、有利には移載すべき1つの小型時計部品2のみに対応する。同様に、各出口開口部34は、第2支持部20の第2ハウジング21の1つに対応してもよい。第2支持部20の各第2ハウジング21は、有利には、出口表面32の出口開口部34の1つに対応する。第2支持部20の各第2ハウジング21はまた、移載すべき1つの小型時計部品2のみに対応する。各移載装置の入口表面31、41及び出口表面32、42は、互いに平行であってもよい。入口表面31の各入口開口部33は、有利には、1つの小型時計部品2の移載のために、第1支持部10の第1ハウジング11の1つに対向して位置される。同様に、出口表面32の各出口開口部34は、有利には、第2支持部20の第2ハウジング21の1つに対向して位置される。
【0032】
第2移載装置40の入口表面41も同様に、平面であり、第1移載装置30の出口表面32と同じ寸法である、全体的に四角の形状を有する。第2移載装置40の出口表面42も同様に、平面であり、全体的に四角の形状を有する。入口表面41は、第3配置に、すなわち第1移載装置30の出口表面32の出口開口部34の配置に、対応して配置された、入口開口部43を含む。より具体的には、第3配置は、第1配置を定義する5つの同心円よりも大きな直径を有する5つの同心円に従った入口開口部43の配置からなる。第2移載装置の入口開口部43は、第1移載装置の入口開口部33よりもより広く間隔があけられていることを注記する。出口表面42は、第2支持部上の小型時計部品2の第2配置に対応するように配置された、出口開口部44を含む。
【0033】
図5は、出口開口部44の配置を示す。出口開口部44は、12個の開口部を9列と11個の開口部を1列とを含む長方形パターンに従って分布される。入口表面31、41または出口表面32、42のうちの検討中の表面に係らず、入口開口部33、43と出口開口部34、44は、小型時計部品の所定の向きに従った小型時計部品2の形状に対応する形状を示す。本実施形態によれば、当該形状は、実質的に長方形であるが、変形例として、他のあらゆる形状を採用してもよい。第1移載装置30の入口表面31の入口開口部33の数は、第1移載装置30の出口表面32の出口開口部34の数に等しく、同様に第2移載装置40の入口表面41の入口開口部43の数及び出口表面42の出口開口部44の数と等しい。本実施形態において、当該数は119に等しいが、変形例として、異なる数であってもよい。入口開口部33、43及びまたは出口開口部34、44は、とりわけ小型時計部品2の移載を改善するために、そして特に小型時計部品2の閉じ込めのあらゆる危険性を回避するために、面取りされてもよい。
【0034】
2つの移載装置30、40のそれぞれは、小型時計部品2を自動的に入口開口部から出口開口部まで、つまり操作者の追加の取扱いを必要とせず案内することを可能にする案内要素35、45を含む。案内要素35、45は、それぞれ移載装置の入口表面に位置する入口開口部と移載装置の出口表面に位置する出口開口部とを連結する複数のチャンネルである。案内要素35、45は、小型時計部品2を入口開口部から出口開口部まで案内することを可能にする壁を含む。案内要素35、45内の各小型時計部品2の変位は、移載中の小型時計部品2の様々な表面の完全性を維持するように管理される。第1移載装置30の出口開口部34は第2移載装置40の入口開口部43と一致するため、案内要素35、45は、2つの移載装置の組立時に連続する案内要素を形成するよう連結される。この連続性は、特に図6に図示される。有利には、出口開口部34が入口開口部43と一致するだけではなく、2つの移載装置の間の分離の平面の領域において、案内要素35の向きも同様に案内要素45の向きと一致する。より具体的には各案内要素の向きは、入口開口部の領域で及び出口開口部の領域で、入口表面にまたは出口表面のそれぞれに垂直であってもよい。このため、小型時計部品2は、2つの移載装置間の接合部分において阻止される危険性なくして、案内要素35から案内要素45へ簡単に滑走することができる。
【0035】
案内要素35、45は、以下の特徴の全部または一部を含んでもよい。
- 湾曲した案内表面、及びまたは
- 少なくとも1つのシケインを含む案内表面、及びまたは
- 並進運動に従い及びまたは回転運動に従い、小型時計部品2の変位を可能にする案内面、及びまたは
- 小型時計部品2の向きを変更させるまたは変更させないことを可能にする案内表面、及びまたは
- 第1及び第2支持部上で、支持部との接触面が異なるような、小型時計部品2の向きを変更させることを可能にする案内表面。
【0036】
このため、案内要素の形状と構成は、小型時計部品2の配置の転換を定義可能である。図4及び5の比較から立証可能なように、第1配置と第2配置との間で、小型時計部品2の相対位置が、エンベロープが円を定義する形状から、エンベロープが長方形を定義する形状へ変更したことから、小型時計部品2は、変位される。第1配置と第2配置との間で、小型時計部品2は同様に、その向きが円に沿った向きから、全ての小型時計部品2の向きが互いに平行である向きに変化したことから、その向きが変更される。一般に、各案内要素35、45は、1または複数の軸に従い小型時計部品2の変位を与えるように、特に小型時計構成部分2に1または複数の軸周りの回転運動を与えるように定義されてもよい。小型時計部品2が第1支持部10内で静止する表面は、第2支持部20内で構成部分が静止する表面と異なってもよい。小型時計部品2のこのような回転運動は、対応する案内要素内に配置されたシケインを用いて達成されてもよい。
【0037】
組立体3は、単一の移載装置を、例えば第1移載装置30のみまたは第2移載装置40のみを含む、あらゆる数の移載装置を含んでもよい。有利には、小型時計部品2の配置のより複雑な転換を得るために、小型時計部品2の配置の異なる基本変換を定義する移載装置を同一の組立体3に直列に組み合わせてもよい。このため、限られた数の互換性のある移載装置を組み合わせることで非常に多くの種類の転換を達成することが可能である。更に、複数の移載装置を直列に搭載することは、各案内要素の長さを制限可能にし、移載中に移載装置内で意図せずに立ち往生した小型時計部品2の回収を容易にする。
【0038】
変形例において、移載装置は、小型時計部品2の相対位置を修正することなく小型時計部品2の向きを修正するためにのみに用いられてもよい。他の変形例によれば、移載装置は、配置により決定されたパターンを修正することなく異なる小型時計部品の位置を変更または反転させるために用いられてもよい。有利には、同じ移載装置を可逆的に、すなわち第1配置から第2配置へ通過させるために、また第2配置から第1配置へ通過させるために、使用してもよい。この場合、移載装置は反転され、出口開口部は入口開口部として用いられ、入口開口部は出口開口部として用いられる。
【0039】
他の変形例によれば、移載装置は、小型時計部品2をまとめるまたは分離するように、また出口開口部34、44の数とは異なる数の入口開口部33、43を有するように配置されてもよい。例えば、このような移載装置は、2つの小型時計部品2を第2支持部20の同じ区域にまとめるために用いられてもよい。代替的に、小型時計部品2が分離されると、例えば異なる小型時計部品を受けるために、第2支持部20の特定の区域が空になることもある。この目的のため、所望の転換に従い、同じ移載装置の2つの案内要素は、分岐により互いに連結されてもよく、または同じ案内要素が2つの別個の分岐に分離されてもよい。
【0040】
他の変形例によれば、第1支持部10及びまたは第2支持部20は、支持部の一群であってもよい。例えば、構成部分を少なくとも2つの第2支持部へ分離するために、異なる表面処理を受けるために、こうした第2支持部のそれぞれの一片が設けられる。
【0041】
図3を参照して、2つの移載装置30、40は、2つの移載装置の他方との関係で一方の単一の位置決めを許可する割出手段36、46を含む。第1移載装置上では、割出手段36は、出口表面32の4つの角に配置された、4つの円形の穴37から構成される。第2移載装置上では、割出手段46は、入口表面41の4つの角に配置された、4つの円形のスタッド47で構成される。4つのスタッド47は、4つの穴37と協働するよう適合される。有利には、割出手段は、2つの移載装置30、40を単一の向きに従って互いに関連可能なように、設けられる。このため、4つの穴37のうちの1つは、4つのスタッド47のうちの小さな直径を有する1つのスタッドと他の3つの穴が協働することを阻止するように、他の3つの穴よりも小さな直径を有する。これにより、2つの移載装置は、4分の1回転という不適切な回転運動で噛み合うことが防止される。
【0042】
図7に示すように、移載装置30は、入口表面31の入口開口部33と同一または互換性のある態様で配置された格子開口部51を含む、着脱可能な格子50を含んでもよい。格子開口部51は、小型時計部品2の格子開口部51と入口開口部33の連続した通過を許可するために、入口表面31の入口開口部33に重ね合されてもよい。格子は、全体的に平面形状を有する。格子は、スリーブ53により延長された円52の円弧に配置された第1部分を有する。格子開口部51は、面取りされてもよい。
【0043】
有利には、第1移載装置30の入口表面及びまたは格子は、入口表面31に対する格子50の正しい位置決めのための割出手段38、54を含む。入口表面31上では、割出手段38は、格子50が噛み合い可能なハウジングを定義する垂直突起39A、39Bにより構成される。格子50上では、割出手段54は、一方ではスリーブ53の両側の2つの第1突起39Aの間に収容可能なスリーブ53により構成される。他方で、同様に割出手段54は、円56の円弧に配置された第2部分により接続される2つの付属物55を含む。2つの付属物55は、2つの第2突起39Bと当接するよう適合される。この位置において、円56の円弧に配置された第2部分は同様に、第1移載装置30の入口表面31上に配置された複合当接手段39Cと当接する。このように、2つの第1突起39Aが円52の円弧に配置された第1部分に当接するまで、格子をスリーブ53が2つの第1突起39A間を通過することを保証するように第1表面31の平面内で活動させることにより、格子は第1移載装置に対して固有の態様で位置される。当該位置において、格子開口部51は、第1移載装置の入口開口部33と一致する。スリーブ53の一端は、操作者が格子を変位させるために格子を簡単に把持できるような態様で、移載装置を超えて突出してもよい。
【0044】
格子は、入口表面31と同一の素材製でもよく、異なる素材製でもよく、素材は両者とも耐摩耗であり、小型時計部品2の表面の完全性を保持するものである。格子が設けられた移載装置の繰り返しの使用は、格子の表面の損耗につながる可能性がある。有利には、格子50は製造が簡単であり、新たな同一の格子により簡単に代替されることができる。このため、集中的な使用にかかる損耗を理由として、新たな移載装置を製造する必要はない。
【0045】
選択的態様で、第1移載装置は、入口開口部33を通した移載の前に、入口表面31の上で小型時計部品2の一時的な保持を可能にするために、第1移載装置30の入口表面31と格子50との間に着脱可能な態様で配置された(図示しない)プレートを含んでもよい。プレートの後退が入口開口部を露出させ、これにより小型時計部品2が移載装置を通過可能にする。
【0046】
変形例として、プレートは、入口開口部33と同一または互換性のある配置に従った開口を含んでもよく、2つの位置を占めることができるように、入口表面31に対して可動でもよい。第1位置において、プレートの開口は、小型時計部品2がプレート上に保持され続けられるように、入口開口部33により完全に重ね合されてはいない。第2位置において、プレートの開口は、小型時計部品2がプレートの開口と入口開口部33を通して移載可能なように、入口開口部33により重ね合される。第1位置から第2位置へのプレートの変位は、入口開口部33直下の全ての小型時計部品2の変位を引き起こし、小型時計部品2は移載装置を通過可能になる。
【0047】
第1支持部10は、トレイまたはコンテナであってもよい。第2支持部20は、トレイまたはコンテナまたは容器、特に液体または媒体で満たされた容器であってもよい。第1支持部及び第2支持部は、小型時計の製造方法の一段階の実施に適した調整部である。有利には、液体または媒体の存在は、第2支持部20内の及びまたは案内要素35、45を通じた小型時計部品2の落下を和らげる。小型時計部品2は、穏やかに第2支持部20に到達し、互いに衝突することはない。代替的にまたは追加的に、移載装置は、媒体に浸されてもよく、媒体で満たされてもよい。
【0048】
第1移載装置30は全体的に円筒状の側面を含み、補強リブが設けられる。第2移載装置40は全体的に長方形の側面を含み、同様に補強リブが設けられる。この結果、各移載装置は強固であり頑丈であり、製作の作業場での使用に適合される。
【0049】
各移載装置は、一体鋳造で小型であってもよい。各移載装置は、小型時計部品2の完全性を維持するために、特に小型時計部品2の変形または擦り傷を防ぐためにまたは小型時計部品2の移載を容易にするために、重合体製または重合体製の表面により少なくとも部分的に被覆されてもよく、セラミック製でも金属製でも、特に金属の合金製であってもよい。有利には、小型時計部品2は、加算合成、3D印刷または三次元印刷とも称される、素材の追加による製造と相性の良い素材製である。加算合成は、体積を得るために、素材を層毎に堆積及びまたは凝固させる特定の設備を用いて実際の物体を製造可能にする。特に、移載装置は以下の技術の1つを用いて製造されてもよい。
1. 「熱溶解積層法(Fuse Deposition Modeling)」の頭文字のように、同様に「FDM」と称される、溶融素材の堆積によるモデリング、または
2. 重合体の層による重合または細網化、特にステレオリソグラフィー、特に光重合によるステレオリソグラフィーまたはSLA、または
3. 「薄膜積層法(Laminated Object Manufacturing)」の頭文字のように、同様に「LOM」と称される、接着剤による薄膜の接合、または
4. 「粉末焼結積層造形法(Selective Laser Sintering)」の頭文字のように、同様に「SLS」または粉末焼結積層造形法と称される、レーザ焼結による粉末の層の凝集、または
5. 「積層造形(Selective Laser Melting)」の頭文字のように、同様に「SLM」と称される、レーザを用いた粉末の溶融。
こうした製造技術は、複雑な形状の、特に湾曲または曲がりくねった形状の案内要素35、45を含む移載装置のデザインを可能にする。こうした製造技術は同様に、非常に良好な再現性を有し、高度に自動化された製造過程を可能にする。特に鋳造または穿孔に課せられる技術的制約を、この方法で防ぐことができる。
【0050】
本発明はまた、小型時計部品2の取扱い方法に関する。取扱い方法は、輸送及びまたは小型時計部品2へ少なくとも1つの第1作業を実施する段階を含む。当該第1作業は、例えば機械加工作業、特に穿孔、ねじ立て、フライス加工、旋削加工、またはアンダーカットであってもよい。第1作業は同様に洗浄作業または、特に研磨作業、最終加工層の、特にガルバニー層または装飾層の堆積といった、最終加工作業であってもよい。当該第1作業は、工作機械を用いて行われてもよい。当該作業の途中で、または最低でも当該第1作業の終わりに、小型時計部品2は、第1配置に従って、第1支持部10上に配置される。
【0051】
取扱い方法は、その後、2つの移載装置30、40を含む組立体3を用いた、第1支持部10から第2支持部20上への小型時計部品2の自動移載の段階を含む。小型時計部品2は、第1支持部から入口開口部33へ挿入され、ここで入口開口部33の配置は、第1支持部内の小型時計部品2の配置に対応する。その後、小型時計部品2は、出口開口部44まで案内要素35、45の壁に沿って滑動する。このように小型時計部品2は、単に重力の影響下で、有利には操作者の介在なくして感覚的に同時に、第1配置から第2配置に通過する。このように、移載装置は、好ましくは水平またはほぼ完全に水平な平面に載置されることがわかる。第1配置と第2配置との間で、第1移載装置30と第2移載装置40の接合部分において、小型時計部品2は、第3配置、すなわち一時的配置を通過する。
【0052】
取扱い方法は、その後、輸送及びまたは第2配置に従って第2支持部20上に配置された小型時計部品2へ少なくとも1つの第2作業を実施する段階を含む。当該第2作業は、例えば機械加工作業、特に穿孔、ねじ立て、フライス加工、旋削加工、またはアンダーカットであってもよい。第2作業は同様に洗浄作業または、特に研磨作業、最終加工層の、特にガルバニー層または装飾層の堆積といった、最終加工作業であってもよい。当該第2作業は、工作機械を用いて行われてもよく、第2配置に従った小型時計部品2の正確な位置決めを必要とする。
【0053】
本発明の結果、小型時計部品2の配置の転換を容易にするための移載装置が利用でき、このため小型時計またはクロックの製造方法を単純化できる。小型時計部品2はこのように、操作することなく、また損害の危険性なく、迅速に再配置される。
【符号の説明】
【0054】
2 小型時計部品
10 第1支持部
20 第2支持部
30 第1移載装置
31 入口表面
33 入口開口部
34 出口開口部
35 案内要素
40 第2移載装置
41 入口表面
43 入口開口部
44 出口開口部
45 案内要素
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7