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特許7446742冷却マイクロチャネルを有する二重燃料ランス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】冷却マイクロチャネルを有する二重燃料ランス
(51)【国際特許分類】
   F23R 3/28 20060101AFI20240304BHJP
   F02C 7/232 20060101ALI20240304BHJP
   F02C 7/18 20060101ALI20240304BHJP
   F23D 17/00 20060101ALI20240304BHJP
   F23D 14/78 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
F23R3/28 B
F02C7/232 B
F02C7/18 Z
F23D17/00 101
F23D14/78 B
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019155682
(22)【出願日】2019-08-28
(65)【公開番号】P2020034269
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-08-22
(31)【優先権主張番号】62/724784
(32)【優先日】2018-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/528927
(32)【優先日】2019-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ・トイラー
(72)【発明者】
【氏名】ニコ・ビアジョーリ
(72)【発明者】
【氏名】マリオ・プジャリア
(72)【発明者】
【氏名】ロイット マドゥカル・クルカルニ
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-063134(JP,A)
【文献】米国特許第08943831(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23R 3/28
F02C 7/232
F02C 7/18
F23D 17/00
F23D 14/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナ用のランス(100)であって、
第1の流体通路(154)及び複数の第1の燃料噴射チャネル(156)を画定する最も内側の導管(150)であって、各第1の燃料噴射チャネル(156)第1の出口(158)で終端する最も内側の導管(150)と、
前記最も内側の導管(150)を円周方向に囲む中間導管(160)であって、前記中間導管(160)、第2の流体通路(164)及び複数の第2の燃料噴射チャネル(166)を画定し、各第2の燃料噴射チャネル(166)第2の出口(168)で終端する中間導管(160)と、
前記中間導管(160)を円周方向に囲む最も外側の導管(170)であって、前記最も外側の導管(170)、第3の流体通路(174)、前記最も外側の導管(170)を通って前記第1の出口(158)を囲む複数の第3の空気出口(176)、前記最も外側の導管(170)を通って前記第2の出口(168)を囲む複数の第4の空気出口(178)、及び動作中に高温になりやすい領域に配置された複数の冷却マイクロチャネル(200210220230240250)を画定する最も外側の導管(170)と
を備えており
各冷却マイクロチャネル(200210220230240250)、前記第3の流体通路(174)と流体連通するマイクロチャネル入口(202212222232242252)と、前記最も外側の導管(170)の外側表面上のマイクロチャネル出口(204214216224234244254)とを含んでいるとともにそれらの間に延在し前記外側表面に沿って冷却フィルムを生成しており
前記最も内側の導管(150)、前記中間導管(160)及び前記最も外側の導管(170)、前記ランス(100)の長手方向軸(101)と同軸のそれぞれの導管入口(152162172)を有しており
前記最も内側の導管(150)、前記中間導管(160)及び前記最も外側の導管(170)、前記ランス(100)の前記長手方向軸(101)に垂直な先端部分(130)で終端する、ランス(100)。
【請求項2】
前記最も内側の導管(150)、前記中間導管(160)及び前記最も外側の導管(170)の各々が、前記それぞれの導管入口(152162172)に流体的に接続された上流弓形部分(104)と、前記上流弓形部分(104)に流体的に接続され、前記長手方向軸(101)に平行な縦向き部分(140)と、前記縦向き部分(140)に流体的に接続され、前記長手方向軸(101)を横切る下流部分(120)であって、前記下流部分(120)、前記先端部分(130)、上側湾曲表面(122)及び下側湾曲表面(124)を備える下流部分(120)とを備えており
前記上側湾曲表面(122)及び前記下側湾曲表面(124)が、互いに向かって湾曲し、ランス先端(126)で接合される、請求項1に記載のランス(100)。
【請求項3】
前記複数の冷却マイクロチャネル(200210220230240250)が、前記最も外側の導管(170)の前記縦向き部分(140)に配置された第のセットの冷却マイクロチャネル(200)を備えており、前記第のセットの冷却マイクロチャネル(200)が、前記縦向き部分(140)の上流表面(142)をわたって横方向に向けられる、請求項に記載のランス(100)。
【請求項4】
前記第1のセットの冷却マイクロチャネル(200のうちの第1のサブセット(200a)のそれぞれのマイクロチャネル入口(202)が、前記最も外側の導管(170)の前記上流表面(142)の第1の側面に配置され、前記第1のセットの冷却マイクロチャネル(200)のうちの第1のサブセット(200a)のそれぞれのマイクロチャネル出口(204)が、前記最も外側の導管(170)の前記上流表面(142)の第2の側面に配置され、
前記第1のセットの冷却マイクロチャネル(200)のうちの第2のサブセット(200b)のそれぞれのマイクロチャネル入口(202)が、前記最も外側の導管(170)の前記上流表面(142)の前記第2の側面に配置され、記第のセットの冷却マイクロチャネル(200のうちの第2のサブセット(200b)のそれぞれのマイクロチャネル出口(204)が、前記最も外側の導管(170)の前記上流表面(142)の前記第1の側面に配置される、請求項に記載のランス(100)。
【請求項5】
前記第1のセットの冷却マイクロチャネル(200)のうちの第1のサブセット(200a)のそれぞれのマイクロチャネル入口(202)が、前記第のセットの冷却マイクロチャネル(200のうちの第2のサブセット(200b)のそれぞれのマイクロチャネル出口(204)と交互に配置され、前記第1のセットの冷却マイクロチャネル(200)のうちの第1のサブセット(200a)のそれぞれのマイクロチャネル出口(204)が、前記第1のセットの冷却マイクロチャネルのうちの第2のサブセット(200b)のそれぞれのマイクロチャネル入口202)と交互に配置される、請求項に記載のランス(100)。
【請求項6】
前記複数の冷却マイクロチャネル(200210220230240250)が、前記長手方向軸(101)に概して平行な方向に延在する第のセットの冷却マイクロチャネル(210)を備えており
前記第のセットの冷却マイクロチャネル(210のそれぞれのマイクロチャネル入口(212)が、前記縦向き部分(140)内の共通の平面に配置され、
記第のセットの冷却マイクロチャネル(210のうちの第1のサブセットのそれぞれのマイクロチャネル出口(214)が、前記最も外側の導管(170)の前記縦向き部分(140)と前記下流部分(120)との間の接合部(145)の上流に配置され、
記第のセットの冷却マイクロチャネル(210のうちの第2のサブセットのそれぞれの出口(216)が、前記接合部(145)の下流に配置される、請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載のランス(100)。
【請求項7】
前記複数の冷却マイクロチャネル(200210220230240250)が、前記縦向き部分(140)と前記下流部分(120)との間の接合部(145)に近接した前記下流部分(120)に配置された第のセットの冷却マイクロチャネル(220)を備えており
前記第のセットの冷却マイクロチャネル(220のそれぞれのマイクロチャネル入口(222)が、前記のセットの冷却マイクロチャネル(210のうちの第1のサブセットのそれぞれのマイクロチャネル出口(214)と交互配置で配置される、請求項に記載のランス(100)。
【請求項8】
前記上流弓形部分(104)の上流端に連結された支持アーム(108)と、前記最も外側の導管(170)の前記縦向き部分(140)から前記支持アーム(108)に延在するバルコニー(106)とをさらに備え、
少なくとも1つの冷却マイクロチャネル(250)が、前記バルコニー(106)の上側表面(106a)よりも前記バルコニー(106)の下側表面(106b)に近接して前記バルコニー(106)を通って概して横方向に延在し、前記少なくとも1つの冷却マイクロチャネル(250)が、前記バルコニー(106)の前記上側表面(106a)に沿ったマイクロチャネル入口(252)と、前記バルコニー(106)の前記下側表面(106b)に沿ったマイクロチャネル出口(254)とを有する、請求項2乃至請求項7のいずれか1項に記載のランス(100)。
【請求項9】
前記下流部分(120)内に配置された固定システム(300)をさらに備え、
前記固定システム(300)が、前記最も外側の導管(170)から半径方向内方に延在する円周方向に間隔を空けたセットのフック形状要素(302304306308)と、前記中間導管(160)から半径方向外方に延在する対応するT形状ペグ(310)とを備えており、各T形状ペグ(310)が、フック形状要素(302304306308)のそれぞれのセット内に配置されており、
フック形状要素(302304306308)の各セットが、対向する対として配置された4つのフック形状要素(302304306308)を備える、請求項2乃至請求項8のいずれか1項に記載のランス(100)。
【請求項10】
前記複数の冷却マイクロチャネル(200210220230240250)が、前記最も外側の導管(170)の前記先端部分(130)に配置された第のセットの冷却マイクロチャネル(240)を備えており
前記第のセットの冷却マイクロチャネル(240のそれぞれのマイクロチャネル入口(242)が、前記ランス(100)の前記長手方向軸(101)の下流に円周方向配列で配置され、
前記第のセットの冷却マイクロチャネル(240のそれぞれのマイクロチャネル出口(244)が、前記先端部分(130)のランス先端(126)に近接して配置される、請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のランス(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体燃料または気体燃料を連続燃焼ガスタービンの再熱バーナに噴射するために使用することができるようなバーナのランスに関する。ランスは、冷却マイクロチャネルと、長球に概して似た形状を有する先端とを含む。
【背景技術】
【0002】
発電に使用されるいくつかのガスタービンは、連続燃焼システムを含み、その中で第1の環状燃焼器からの燃焼生成物は、第2の(再熱)環状燃焼器に導入される前に第1のタービンセクションを通過する。第2の燃焼器では、再熱バーナが追加の気体または液体燃料を環状燃焼室に導入し、そこで燃料が第1のタービンセクションから受け取った燃焼生成物によって点火される。結果として生じる燃焼生成物は、第2のタービンセクションに送られ、そこで発電機に連結されたシャフトの周りのタービンブレードの回転を駆動するために使用される。
【0003】
燃料は、二重燃料動作(つまり、気体燃料と液体燃料で交互に動作する)用に構成されたランスによって、第2の燃焼器の混合室に導入される。そのようなランスの一例は、EROGLUらの米国特許第8,943,831号に記載されている。図1および図2に示すように、ランス1は、液体燃料5を噴射するための第1の噴射通路4を有する第1のダクト3、および気体燃料8を噴射するための第2の噴射通路7を有する第2のダクト6を画定する本体2を含む。第2のダクト6は、第1のダクト3を同軸に囲む。本体2は、第2のダクト6を同軸に囲む第3のダクト15をさらに含む。第3のダクト15は、空気18を噴射するための第3および第4の噴射通路16、17を含む。
【0004】
第1の噴射通路4の出口10は、第2の噴射ポート7の出口11に対して軸方向にずれている。第3の噴射通路16は、第1の噴射通路4の出口端10を同軸に囲み、第4の噴射通路17は、第2の噴射通路7の出口11を同軸に囲む。第3の噴射通路16は、第3のダクト15の壁の穴によって画定され、したがって、各第1の噴射通路4の出口10の周りのギャップを画定する。
【0005】
ランスが第1の燃焼器および第1のタービンセクションを通過する燃焼生成物の高温ガス流路内に配置されているため、損傷を防止し、寿命を延ばすためにランスを冷却する必要がある。EROGLUの特許では、第3のダクト15を通過する空気18がランスを対流冷却するために使用される。しかしながら、そのような冷却空気18は、必要な冷却を達成するために十分に低い温度かつ十分に高い圧力でなければならない。冷却空気18内で必要な圧力および温度を達成するには、圧縮機(またはブースタ圧縮機)および/または熱交換器の使用が必要になる場合があり、これらはガスタービンの全体的な動作効率を望ましくないほど低下させる寄生負荷である。
【0006】
したがって、ランスの望ましい二重燃料能力を維持し、より低い圧力および/またはより高い温度の空気を使用してランスを冷却するように構成され、それによりタービン効率を改善する二次バーナ用のランスを提供することが有用であろう。
【発明の概要】
【0007】
バーナ用のランスは、第1の流体通路、および複数の第1の燃料噴射チャネルを画定する最も内側の導管であって、各第1の燃料噴射チャネルは、第1の出口で終端する最も内側の導管と、最も内側の導管を円周方向に囲む中間導管であって、中間導管は、第2の流体通路、および複数の第2の燃料噴射チャネルを画定し、各第2の燃料噴射チャネルは、第2の出口で終端する中間導管と、中間導管を円周方向に囲む最も外側の導管であって、最も外側の導管は、第3の流体通路、最も外側の導管を通り、第1の出口を囲む複数の第3の空気出口、最も外側の導管を通り、第2の出口を囲む複数の第4の空気出口、および複数の冷却マイクロチャネルを画定する最も外側の導管とを含み、各冷却マイクロチャネルは、第3の流体通路と流体連通するマイクロチャネル入口と、最も外側の導管の外側表面上のマイクロチャネル出口とを含み、それらの間に延びる。
【0008】
本明細書は、当業者を対象として、本システムおよび方法の完全かつ本システムおよび方法を実施可能にする開示を、その使用の最良の形態を含めて記載する。本明細書は、添付の図を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ガスタービン燃焼器用の従来のバーナランスの断面側面図である。
図2図1のバーナランスの先端の断面側面図である。
図3】本開示による、ガスタービン燃焼器のバーナランスの側面図である。
図4図3のバーナランスの先端の断面側面図である。
図5】第1のセットの冷却マイクロチャネルへの入口ポートのコールアウトを伴う図3のバーナランスの断面側面図である。
図6】バーナランス内に配置された冷却マイクロチャネルを示している、図3のバーナランスの側面図である。
図7】バーナランスの上流表面に沿って配置された冷却マイクロチャネルを示している、図3のバーナランスの一部分の側面図である。
図8】本開示の一態様による、本バーナランスの上流表面の周りの第1の方向に配置された、第1の冷却マイクロチャネルの側面図である。
図9】本開示の一態様による、本バーナランスの上流表面の周りの第2の方向に配置された、第2の冷却マイクロチャネルの側面図である。
図10】本開示の一態様による、バーナランスの上流表面に沿って配置された図7に示す、第1の冷却マイクロチャネルの側面図である。
図11】本開示の別の態様による、バーナランスの底部表面に沿って配置された、第2の冷却マイクロチャネルの側面図である。
図12】先端に沿って配置された冷却マイクロチャネルを示している、図3のバーナランスの先端部分の側面斜視図である。
図13】本開示の別の態様による、本バーナランスの先端の底部表面に沿って配置された、図12の冷却マイクロチャネルのうちの1つの側面図である。
図14】本開示のさらに別の態様による、本バーナランスのバルコニーに沿って配置された、第6の冷却マイクロチャネルの側面図である。
図15】円周方向に間隔を空けた保持特徴を示している、長手方向軸に沿った、本バーナランスの先端の断面図である。
図16図15の保持特徴の斜視側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の様々な実施形態について詳しく説明するが、その1つまたは複数の例が、添付の図面に示されている。詳細な説明は、図面の特徴を参照するために、数字および文字の符号を使用する。図面および説明における類似または同一の符号は、本開示の類似または同一の部分を指すために使用されている。
【0011】
二重燃料能力およびマイクロチャネル冷却を有する本バーナランスおよびその特徴を明確に説明するために、本開示の範囲内の関連する機械構成要素を参照し説明するために特定の専門用語が使用される。可能な限り、一般的な業界専門用語が、用語の一般的な意味と一致する方法で使用されて用いられる。別途記載のない限り、このような専門用語は、本出願の文脈および添付の特許請求の範囲と一致する広義の解釈を与えられるべきである。当業者であれば、多くの場合、特定の構成要素がいくつかの異なるまたは重複する用語を使用して参照されることがあることを理解するであろう。単一の部品であるとして本明細書に記載され得るものは、複数の構成要素からなるものとして別の文脈を含み、かつ別の文脈で参照されてもよい。あるいは、複数の構成要素を含むものとして本明細書に記載され得るものは、単一の一体型部品として他の場所で参照されてもよい。
【0012】
加えて、以下に記載されるように、いくつかの記述的用語が本明細書で規則的に使用され得る。「第1の」、「第2の」、および「第3の」という用語は、ある構成要素を別の構成要素から区別するために交換可能に使用することができ、個々の構成要素の場所または重要性を示すことを意図するものではない。
【0013】
本明細書で使用する場合、「下流」および「上流」は、タービンエンジンを通る作動流体などの流体の流れに対する方向を示す用語である。「下流」という用語は、流体の流れの方向に対応し、「上流」という用語は、流れとは反対の方向(すなわち、流体が流れてくる方向)を指す。「内側」という用語は、構成要素の長手方向軸または中心に近接した構成要素を説明するために使用され、「外側」という用語は、構成要素の長手方向軸または中心の遠位の構成要素を説明するために使用される。
【0014】
多くの場合、異なる半径方向、軸方向および/または円周方向の位置にある部品を説明することが要求される。図3に示すように、「A」軸は、軸方向の向きを表す。本明細書で使用する場合、「軸方向の」および/または「軸方向に」という用語は、流体入口の中心線を通って部品の長さに沿って延びる、軸Aに沿った物体の相対的な位置/方向を指す(図3に示すように)。さらに本明細書で使用する場合、「半径方向の」および/または「半径方向に」という用語は、ただ1つの場所において軸Aと交差する、軸「R」に沿った物体の相対的な位置または方向を指す。いくつかの実施形態では、軸Rは、軸Aに実質的に垂直である。最後に、「円周方向の」という用語は、軸A(例えば、軸「C」)周りの移動または位置を指す。「円周方向の」という用語は、それぞれの物体(例えば、ロータまたは部品の長手方向軸)の中心の周りを延びる寸法を指すことができる。
【0015】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、限定を意図するものではない。本明細書で使用する場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「この(the)」は、特に明示しない限り、複数形も含むことが意図される。「備える(comprise)」および/または「備えている(comprising)」という用語は、本明細書で使用する場合、記載した特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素が存在することを明示するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらの組が存在することまたは追加することを除外しないことがさらに理解されよう。
【0016】
各例は、限定ではなく、説明のために提供される。実際に、それらの範囲または趣旨から逸脱することなく修正および変形が可能であることは、当業者にとって明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として図示または説明された特徴を別の実施形態で使用し、さらに別の実施形態を得ることができる。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲およびその等価物の範囲に入るような、そのような修正および変形に及ぶことを意図するものである。
【0017】
本開示の例示的な実施形態は、説明のために陸上発電用ガスタービンのタービンノズルの製造に関連して一般的に説明されるが、当業者であれば、本開示の実施形態が、ターボ機械内の他の場所に適用可能であり、特許請求の範囲に具体的に記載されていない限り、陸上発電用ガスタービンのタービン構成要素に限定されないことが容易に理解されよう。
【0018】
ここで図面を参照すると、図3は、本開示による、ランス100を示している。ランス100は、長手方向軸101と、上流(入口)部分110と、先端部分130を含む下流部分120とを有する本体102を含む。弓形の上側部分104は、入口部分110と、概して水平であり、長手方向軸を横切るバルコニー106との間に延びる。支持ブレース108は、入口部分110を弓形の上側部分104の反対側のバルコニー106に接続する。中央部分140は、バルコニー106と下流部分120との間に軸方向に延びる。下流部分120は、長球の一般的な形状(すなわち、ラグビーボールまたはアメリカンフットボールの形状)を有し、ランス先端126で接合された湾曲した上側表面122および湾曲した下側表面124を有する。
【0019】
図1に示すような)円筒形の表面を有する従来のランスとは異なり、本ランス100の下流部分は、湾曲した下側表面124を有する。湾曲した上側表面122および湾曲した下側表面124は、下流部分120および先端部分130内および周りの冷却空気の流れを改善し、ランス100の周りの燃焼生成物の流れを促進し、かつ先端部分130への高温燃焼ガスの摂取を防止する。
【0020】
先端部分130の内部が図4に示されている。最も内側の導管150は、先端部分130の軸方向中心線131に対して鋭角に配置された液体燃料噴射チャネル156に液体燃料5(または液体燃料/水エマルジョン)を送達するための通路154を画定する。各液体燃料噴射チャネル156は、通路154からその出口158へのわずかなテーパ部を含むことができ、この場合、液体燃料5は、出口158を通して噴射されるときに加速される。出口158は、先端部分130の表面127と同一平面にあるか、わずかに内側にある。表面127は、ランス100の下流部分120の上側湾曲表面122または下側湾曲表面124の一部である。
【0021】
中間導管160は、最も内側の導管150を円周方向に囲み、出口が軸方向中心線131に対して約90度(±10度)の角度で配置された気体燃料噴射チャネル166に気体燃料8を送達するための通路164を画定する。気体燃料噴射チャネル166は、概して円錐台の形状であり、図示の実施形態では、出口軸(矢印8によって表される)に関して非対称である。気体燃料噴射チャネル166の出口168は、液体燃料噴射チャネル156の出口158よりも断面積が大きい。出口168は、先端部分130の表面127のわずかに内方にある。
【0022】
最も外側の導管170は、中間導管160を円周方向に囲み、ランス100の本体102を画定する。最も外側の導管170は、ランス先端126を通って燃焼ゾーン25に流体連通する、第1のセットの空気出口176および第2のセットの空気出口178に圧縮冷却空気18を送達するための通路174を画定する。圧縮冷却空気18が最も外側の導管170を通って搬送されると、本体102(下流部分120および先端部分130を含む)は、対流冷却される。
【0023】
第1のセットの空気出口176は、液体燃料出口158の周りに配置され、液体燃料チャネル156を冷却する役割を果たし、それによりコークス化を防止する。加えて、空気出口176は、液体燃料5が噴射されるときに液体燃料5を霧化する役割を果たす。第2のセットの空気出口は、気体燃料出口168の周りに配置され、気体燃料8が燃焼ゾーン25に導入されるときに気体燃料8と混合する空気18を提供する。このような混合は、亜酸化窒素(NOx)の排出を削減する役割を果たす。
【0024】
同心導管150、160、170は、図5に全体が示されている。示すように、入口部分110は、本体102の長手方向軸101の周りに配置された3つの同軸導管入口152、162、172を画定する。各導管150、160、170は、長手方向軸101に平行な入口152、162、172、それぞれの入口152、162、172と連通する上流弓形部分、上流弓形部分と連通する本体102の中央部分140の縦向き通路、および長手方向軸101を横切る向きに配置され、縦向き通路と連通する下流部分を有する。
【0025】
複雑なパターンのマイクロチャネルを有する本ランス100の固有の幾何学的形状は、以下で説明するように、付加製造プロセスによって効率的に生成することができる。そのような場合、気体燃料導管160の縦向き通路には、製造を容易にするために、リブ165の積層配置を設けることができる。
【0026】
付加製造プロセスは、材料層を連続して繰り返し堆積および接合することにより、ランス100およびその冷却特徴を形成するための任意の製造方法を含む。適切な製造方法は、限定はしないが、直接金属レーザ溶融(DMLM)、直接金属レーザ焼結(DMLS)、レーザ直接積層、選択的レーザ焼結(SLS)、選択的レーザ溶融(SLM)、電子ビーム溶融(EBM)、熱溶解積層(FDM)、またはそれらの組合せとして当業者に知られているプロセスを含む。
【0027】
一実施形態では、付加製造プロセスは、DMLMプロセスを含む。DMLMプロセスは、金属合金粉末を提供して堆積し、予め選択された厚さおよび予め選択された形状を有する初期粉末層を形成することを含む。集束エネルギー源(すなわち、レーザまたは電子ビーム)を初期粉末層に向けて金属合金粉末を溶融し、初期粉末層をランス100またはその冷却特徴の1つ(例えば、マイクロチャネル200)の一部に変換する。
【0028】
次に、追加の金属合金粉末がランス100の一部の上に層状に連続して堆積され、所望の幾何学的形状を達成するのに必要な予め選択された厚さおよび形状を有する追加の層を形成する。金属合金粉末の各追加の層を堆積した後、DMLMプロセスは、追加の層を集束エネルギー源で溶融して組み合わされた厚さを増加させ、ランス100の少なくとも一部を形成することを含む。次いで、金属合金粉末の追加の層を連続して堆積し、追加の層を溶融するステップを繰り返し、ネットまたはニアネット形状のランス100を形成することができる。
【0029】
空気18の大部分は、最も外側の導管170を通って流れ、燃料(5または8)と共に先端部分130を通して導入され、本体102を対流冷却して燃料と混合するが、空気18の比較的小さな割合が冷却マイクロチャネル(例えば、200)の小さな空気入口(例えば、202)に迂回され、これは、上述のDMLMプロセス中に形成され得る。マイクロチャネルを通って流れる空気は、露出により流入する高温燃焼ガスからの高温に場合によってはさらされる重要な領域において、ランス100の外側表面に沿って冷却フィルムを生成する。マイクロチャネルをこれらの領域に戦略的に載置することによって、マイクロチャネルの数および冷却空気の体積を有利に減らすことができる。より高い温度の領域では、より短いマイクロチャネル(例えば、約1インチの長さを有するチャネル)が使用され得、他の領域では、より長いマイクロチャネル(例えば、約2.5~3インチの長さを有するチャネル)が使用され得る。
【0030】
第1のセットのこれらの冷却マイクロチャネル200は、バルコニー106の下流のランス100の中央部分140に配置される。図6および図7に示すように、いくつかの空気入口202は、横方向に延びてランス100の第1の側面の周りを包み、空気出口204(図3に見える)で終端するマイクロチャネル200aに空気を導く。いくつかの空気入口202は、横方向に延びてランス100の第2の(反対の)側面の周りを包み、反対側の空気出口(図示せず)で終端するマイクロチャネル200bに空気を導く。空気入口202およびそれらの対応するマイクロチャネル200は、冷却される表面積を最大にするために交互に配置される。
【0031】
図8および図9は、縦向きの中央部分140の上流表面142の周りに横方向に延びる、マイクロチャネル200aおよび200bを示している。図8では、マイクロチャネル200aは、空気入口202が第1の側面の内側表面に配置され、空気出口204が第2の(反対の)側面の外側表面に配置されるように、上流表面142の周りで第1の方向に横方向に延びる。図9では、マイクロチャネル200bは、空気入口202が第2の側面の内側表面に配置され、空気出口204が第1の側面の外側表面に配置されるように、上流表面142の周りで第2の方向に横方向に延びる。反対方向への冷却流の提供は、その領域が適切に冷却されるようにする役割を果たす。
【0032】
図5図7および図10は、最も下流のマイクロチャネル200に近接した入口212を有する、第2のセットの冷却マイクロチャネル210を示している。マイクロチャネル210は、中央部分140と下流部分120との間の接合部145に向かって、またはそれを超えて概して軸方向に延びる。図6および図7に示すように、空気入口212は、同じ平面に配置することができ、空気出口214、216は、異なる平面に配置することができる。空気出口214は、接合部145に近接する平面に配置され、空気出口216は、接合部145の下流に配置されて本体102の角が冷却されるようにする。より長いマイクロチャネル210(すなわち、空気出口216を有するマイクロチャネル)は、第1のタービンセクションからの燃焼ガスの流入する流れにさらされる、本体102の縦向きセクション140の上流表面142に最も近い。出口214、216は、図3に見ることができる。
【0033】
また、図6および図7は、第2のセットのマイクロチャネル210の空気出口214の間または空気出口216を有するマイクロチャネル210の間に交互配置で配置された空気入口222を有する、第3のセットのマイクロチャネル220を示している。空気入口222は、本体102の内方表面に配置され、空気出口214、216は、本体102の外側表面に配置されることを認識すべきである。空気入口222は、接合部145に近接する同じ一般的な平面に配置される。マイクロチャネル220は、接合部145および本体102の角の周りの冷却流を最適化するために異なる長さであり得、したがって空気出口224が異なる平面にもたらされる。出口224は、図3に見ることができる。
【0034】
図5図6、および図11は、ランス100の下流部分120の湾曲した下側表面124に沿って延びる第4のセットの冷却マイクロチャネル230を示している。各マイクロチャネル230は、湾曲した下側表面124の内側表面上の空気入口232と、湾曲した下側表面124の外側表面上の空気出口234との間に延びる。1つのそのようなマイクロチャネル230の出口234は、図3に見ることができる。
【0035】
図5図6図12、および図13は、ランス100の先端部分130に配置される第5のセットの冷却マイクロチャネル240を示している。一実施形態では、冷却マイクロチャネル240は、先端部分130の内側表面に配置された空気入口242から先端部分130の外側表面上の空気出口244に延びる(図5に示すように)。
【0036】
図5図6、および図14は、ランス100のバルコニー106に配置される第6のセットの冷却マイクロチャネル250を示している。これらのマイクロチャネルの各々は、上側表面106aの空気入口252と、下側表面106bの空気出口254とを含み、それらの間に概して横方向に延びる。マイクロチャネル250は、より高い温度にさらされる、下側表面106bの表面近傍冷却を達成するために下側表面106bに近接して位置する。
【0037】
より熱い外側導管内に配置された低温の燃料導管を有する多くの燃料ランスでは、構成要素の間の熱の差が摩耗につながり、ランスの耐用年数を短くする可能性がある。本ランス100では、自動調心固定システム300が、中間導管160の外側表面と最も外側の導管170の内側表面との間の通路174に配置される。ランス100の長手方向軸101に沿って位置した固定システム300は、下流部分120および先端部分130の長手方向軸131に沿った導管160、170の移動を可能にする。下流部分120の半径方向に沿った(したがって、ランス100の長手方向軸101に沿った)移動は、防止される。
【0038】
固定システム300は、フック形状要素302、304、306、308と、T形状ペグ310とを含む。フック形状要素302、304、306、308は、最も外側の導管170から半径方向内方に延び、対302/304および306/308で配置される。フック形状要素302および304は、互いに軸方向に間隔を空けられ、フック形状要素306および308は、互いに軸方向に間隔を空けられる。フック形状要素302および304は、フック形状要素306および308から円周方向に間隔を空けられ、その結果、要素302は要素306に対向し、要素304は要素308に対向する。各T形状ペグ310の長さは、フック形状要素302、304および306、308の間隔に及ぶ。
【0039】
固定システム300が4つのセットのフック形状要素302~308およびT形状ペグ310で示されているが、セットの数は、異なってもよい。
【0040】
冷却マイクロチャネルを有する本二重燃料ランスの例示的な実施形態について、詳細に上述した。本明細書に記載の構成要素は、本明細書に記載の具体的な実施形態に限定されるものではなく、むしろ、方法および構成要素の態様は、本明細書に記載の他の構成要素から独立してかつ別々に利用することが可能である。例えば、本明細書に記載の構成要素は、本明細書に記載のように、発電用ガスタービンの環状燃焼器を用いた実施に限定されない他の用途を有することができる。むしろ、本明細書に記載の構成要素は、様々な他の産業において実施および利用することが可能である。
【0041】
技術的進歩を様々な具体的な実施形態に関して説明してきたが、当業者であれば、技術的進歩を特許請求の範囲の趣旨および範囲内において修正を加えて実施することができることを理解するであろう。
【符号の説明】
【0042】
1 ランス
2 本体
3 第1のダクト
4 第1の噴射通路
5 液体燃料
6 第2のダクト
7 第2の噴射通路/第2の噴射ポート
8 気体燃料/矢印
10 出口/出口端
11 出口
15 第3のダクト
16 第3の噴射通路
17 第4の噴射通路
18 圧縮冷却空気/冷却空気
25 燃焼ゾーン
100 ランス
101 長手方向軸
102 本体
104 弓形の上側部分/上流弓形部分
106 バルコニー
106a 上側表面
106b 下側表面
108 支持ブレース/支持アーム
110 上流(入口)部分/部分
120 下流部分
122 湾曲した上側表面/上側湾曲表面
124 湾曲した下側表面/下側湾曲表面
126 ランス先端
127 表面
130 先端部分
131 軸方向中心線/長手方向軸
140 中央部分/縦向きセクション
142 上流表面
145 接合部
150 最も内側の導管/導管/同心導管
152 導管入口/入口/同軸導管入口
154 通路
156 液体燃料噴射チャネル/液体燃料チャネル
158 液体燃料出口/出口
160 中間導管/導管/気体燃料導管/同心導管
162 入口/同軸導管入口
164 通路
165 リブ
166 気体燃料噴射チャネル
168 気体燃料出口/出口
170 最も外側の導管/同心導管
172 導管入口/同軸導管入口
174 通路
176 第1のセットの空気出口/空気出口
178 第2のセットの空気出口
200 第1のセットの冷却マイクロチャネル/マイクロチャネル
200a マイクロチャネル
200b マイクロチャネル
202 空気入口
204 空気出口
210 第2のセットの冷却マイクロチャネル
212 空気入口/入口
214 空気出口/出口
216 空気出口/出口
220 第3のセットの冷却マイクロチャネル/マイクロチャネル
222 空気入口
224 空気出口
230 第4のセットの冷却マイクロチャネル/マイクロチャネル
232 空気入口
234 空気出口/出口
240 第5のセットの冷却マイクロチャネル/冷却マイクロチャネル
242 空気入口
244 空気出口
250 第6のセットの冷却マイクロチャネル/マイクロチャネル
252 空気入口
254 空気出口
300 自動調心固定システム/固定システム
302 フック形状要素/要素
304 フック形状要素/要素
306 フック形状要素/要素
308 フック形状要素/要素
310 T形状ペグ
A 軸
C 軸
R 軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16