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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】現像装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20240304BHJP
【FI】
G03G15/08 310
G03G15/08 366
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019161570
(22)【出願日】2019-09-04
(65)【公開番号】P2021039287
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀明
(72)【発明者】
【氏名】津田 俊介
【審査官】内藤 万紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-184520(JP,A)
【文献】特開2005-227351(JP,A)
【文献】特開2015-094816(JP,A)
【文献】特開2016-206431(JP,A)
【文献】特開2017-102261(JP,A)
【文献】特開2016-053715(JP,A)
【文献】特開2002-072686(JP,A)
【文献】特開2018-066822(JP,A)
【文献】特開平06-242683(JP,A)
【文献】特開2016-194623(JP,A)
【文献】特開2010-160205(JP,A)
【文献】特開2012-189655(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に形成された静電像を現像するためにトナーとキャリアを含む現像剤を担持搬送する現像剤担持体と、
第一室と、前記第一室と隔壁により区画された第二室と、を有し、前記現像剤担持体に供給される現像剤を収容する現像容器と、
前記第一室に配置され、現像剤を第一方向に搬送する第一羽根部と、前記第一室に配置され、且つ、前記第一方向に関して前記第一羽根部よりも下流に配置され、現像剤を前記第一方向と反対方向である第二方向に搬送し且つ前記第一室から前記第二室に受け渡すための第二羽根部と、を有する第一搬送スクリューと、
前記第二室に配置され、現像剤を前記第二方向に搬送する第二搬送スクリューと、
前記第一方向に関して前記第二羽根部よりも下流に配置され、前記第一方向に現像剤が排出される排出路であって、前記第一搬送スクリューの回転軸に対向して配置され、前記排出路に搬送された現像剤の一部を前記排出路から前記第一方向と交差する方向に排出するための排出口が形成される排出路と、
前記排出路に固定して配置され、前記第一方向に関して前記排出口の上流端よりも下流に配置され、且つ前記第一搬送スクリューの回転軸に対して前記排出口側に配置されたマグネットと、
を備え、
前記第一搬送スクリューは、前記排出路に配置され、且つ、前記第一方向に関して前記第二羽根部よりも下流に配置され、現像剤を前記第一方向に搬送する第三羽根部を更に有し、
前記第一方向に関して前記排出口は前記第三羽根部の上流端よりも下流に配置されており、
前記マグネットは、前記第一方向に関して前記排出口とオーバーラップして配置されている、
ことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記マグネットは、前記第一方向に関して前記第三羽根部の下流端よりも下流に配置されている、
ことを特徴とする、請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記第二方向に関して前記第三羽根部の下流端は、前記排出口の上流端よりも下流に配置されている、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記マグネットは、前記排出路の内壁面に固定して配置されている、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項5】
前記マグネットは、前記第一搬送スクリューの回転軸の外周面と隙間を介して配置されたリング状のマグネットである、
ことを特徴とする請求項4に記載の現像装置。
【請求項6】
前記マグネットの磁束密度は、50mT以上60mT以下である、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項7】
前記第一方向に関して前記第三羽根部よりも下流に配置され、前記第一搬送スクリューの回転軸の外周面に取り付けられたオイルシールを更に備え、
前記マグネットは、前記第一方向に関して、前記オイルシールよりも上流に配置されている、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項8】
前記排出路の底面は、前記第一室の底面よりも鉛直方向上方に在る、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項9】
前記第三羽根部の外径は、前記第一羽根部の外径よりも小さい、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項10】
前記第二室において、前記現像剤担持体に現像剤が供給される、
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項11】
像担持体に形成された静電像を現像するためにトナーとキャリアを含む現像剤を担持搬送する現像剤担持体と、
第一室と、前記第一室と隔壁により区画された第二室と、を有し、前記現像剤担持体に供給される現像剤を収容する現像容器と、
前記第一室に配置され、現像剤を第一方向に搬送する第一羽根部と、前記第一室に配置され、且つ、前記第一方向に関して前記第一羽根部よりも下流に配置され、現像剤を前記第一方向と反対方向である第二方向に搬送し且つ前記第一室から前記第二室に受け渡すための第二羽根部と、を有する第一搬送スクリューと、
前記第二室に配置され、現像剤を前記第二方向に搬送する第二搬送スクリューと、
前記第一方向に関して前記第二羽根部よりも下流に配置され、前記第一方向に現像剤が排出される排出路であって、前記第一搬送スクリューの回転軸に対向して配置され、前記排出路に搬送された現像剤の一部を前記排出路から前記第一方向と交差する方向に排出するための排出口が形成される排出路と、
前記排出路に固定して配置され、前記第一方向に関して前記排出口の上流端よりも下流に配置され、且つ前記第一搬送スクリューの回転軸に対して前記排出口側に配置されたマグネットと、
を備え、
前記第一搬送スクリューは、前記排出路に配置され、且つ、前記第一方向に関して前記第二羽根部よりも下流に配置され、現像剤を前記第一方向に搬送する第三羽根部を更に有し、
前記第一方向に関して前記排出口は前記第三羽根部の上流端よりも下流に配置されており、
前記マグネットは、前記マグネットの磁力により前記マグネットに現像剤が引き付けられる領域が前記第一方向に関して前記排出口の上流端に達するように配置されている、
ことを特徴とする現像装置。
【請求項12】
前記マグネットは、前記第一方向に関して前記第三羽根部の下流端よりも下流に配置されている、
ことを特徴とする、請求項11に記載の現像装置。
【請求項13】
前記第二方向に関して前記第三羽根部の下流端は、前記排出口の上流端よりも下流に配置されている、
ことを特徴とする、請求項11又は12に記載の現像装置。
【請求項14】
前記マグネットは、前記排出路の内壁面に固定して配置されている、
ことを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項15】
前記マグネットは、前記第一搬送スクリューの回転軸の外周面と隙間を介して配置されたリング状のマグネットである、
ことを特徴とする請求項14に記載の現像装置。
【請求項16】
前記マグネットの磁束密度は、50mT以上60mT以下である、
ことを特徴とする請求項11乃至15のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項17】
前記第一方向に関して前記第三羽根部よりも下流に配置され、前記第一搬送スクリューの回転軸の外周面に取り付けられたオイルシールを更に備え、
前記マグネットは、前記第一方向に関して、前記オイルシールよりも上流に配置されている、
ことを特徴とする請求項11乃至16のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項18】
前記排出路の底面は、前記第一室の底面よりも鉛直方向上方に在る、
ことを特徴とする請求項11乃至17のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項19】
前記第三羽根部の外径は、前記第一羽根部の外径よりも小さい、
ことを特徴とする請求項11乃至18のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項20】
前記第二室において、前記現像剤担持体に現像剤が供給される、
ことを特徴とする請求項11乃至19のいずれか1項に記載の現像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーとキャリアを含む現像剤により、像担持体に形成された静電潜像を現像する現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式などを用いた画像形成装置では、感光ドラムに形成された静電潜像を現像装置によりトナー像として現像する。このような現像装置として、トナーとキャリアを含む二成分現像剤を用いたものが、従来から使用されている。二成分現像剤を用いた現像装置においては、キャリア粒子の劣化を抑制する目的で、余剰な現像剤を排出口から排出しつつ、微量のキャリアを含んだトナーを補給する、所謂トリクル現像方式が広く用いられている(例えば、特許文献1)。
【0003】
現像装置では、駆動により現像容器内の内圧が上昇して、排出口から気流が吹き出す場合があり、この気流に乗って現像容器内の現像剤が過剰に排出される。特許文献1には、このような気流による現像剤の過剰排出を抑制すべく、排出口からの気流の吹き出しを規制する規制部を設けた構成が記載されている。特許文献1に記載の構成の場合、規制部が一部欠損しており、この欠損した領域を通じて現像剤を排出すると共に、現像剤が存在しない上部空間を規制部の欠損していない領域により塞ぐようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-194623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の構成の場合、規制部が一部欠損した領域を有するため、排出口までの経路に僅かながら隙間が生じる可能性がある。現像装置の更なる高速化を図る上では、僅かな隙間から気流が流れ出して現像剤の過剰排出を招く虞がある。
【0006】
本発明は、現像剤の過剰排出を抑制できる構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、像担持体に形成された静電像を現像するためにトナーとキャリアを含む現像剤を担持搬送する現像剤担持体と、第一室と、前記第一室と隔壁により区画された第二室と、を有し、前記現像剤担持体に供給される現像剤を収容する現像容器と、前記第一室に配置され、現像剤を第一方向に搬送する第一羽根部と、前記第一室に配置され、且つ、前記第一方向に関して前記第一羽根部よりも下流に配置され、現像剤を前記第一方向と反対方向である第二方向に搬送し且つ前記第一室から前記第二室に受け渡すための第二羽根部と、を有する第一搬送スクリューと、前記第二室に配置され、現像剤を前記第二方向に搬送する第二搬送スクリューと、前記第一方向に関して前記第二羽根部よりも下流に配置され、前記第一方向に現像剤が排出される排出路であって、前記第一搬送スクリューの回転軸に対向して配置され、前記排出路に搬送された現像剤の一部を前記排出路から前記第一方向と交差する方向に排出するための排出口が形成される排出路と、前記排出路に固定して配置され、前記第一方向に関して前記排出口の上流端よりも下流に配置され、且つ前記第一搬送スクリューの回転軸に対して前記排出口側に配置されたマグネットと、を備え、前記第一搬送スクリューは、前記排出路に配置され、且つ、前記第一方向に関して前記第二羽根部よりも下流に配置され、現像剤を前記第一方向に搬送する第三羽根部を更に有し、前記第一方向に関して前記排出口は前記第三羽根部の上流端よりも下流に配置されており、前記マグネットは、前記第一方向に関して前記排出口とオーバーラップして配置されている、ことを特徴とする現像装置である。
また、本発明の一態様は、像担持体に形成された静電像を現像するためにトナーとキャリアを含む現像剤を担持搬送する現像剤担持体と、第一室と、前記第一室と隔壁により区画された第二室と、を有し、前記現像剤担持体に供給される現像剤を収容する現像容器と、前記第一室に配置され、現像剤を第一方向に搬送する第一羽根部と、前記第一室に配置され、且つ、前記第一方向に関して前記第一羽根部よりも下流に配置され、現像剤を前記第一方向と反対方向である第二方向に搬送し且つ前記第一室から前記第二室に受け渡すための第二羽根部と、を有する第一搬送スクリューと、前記第二室に配置され、現像剤を前記第二方向に搬送する第二搬送スクリューと、前記第一方向に関して前記第二羽根部よりも下流に配置され、前記第一方向に現像剤が排出される排出路であって、前記第一搬送スクリューの回転軸に対向して配置され、前記排出路に搬送された現像剤の一部を前記排出路から前記第一方向と交差する方向に排出するための排出口が形成される排出路と、前記排出路に固定して配置され、前記第一方向に関して前記排出口の上流端よりも下流に配置され、且つ前記第一搬送スクリューの回転軸に対して前記排出口側に配置されたマグネットと、を備え、前記第一搬送スクリューは、前記排出路に配置され、且つ、前記第一方向に関して前記第二羽根部よりも下流に配置され、現像剤を前記第一方向に搬送する第三羽根部を更に有し、前記第一方向に関して前記排出口は前記第三羽根部の上流端よりも下流に配置されており、前記マグネットは、前記マグネットの磁力により前記マグネットに現像剤が引き付けられる領域が前記第一方向に関して前記排出口の上流端に達するように配置されている、ことを特徴とする現像装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、現像剤の過剰排出を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
図2】第1の実施形態に係る現像装置及び感光ドラムの概略構成断面図。
図3】第1の実施形態に係る現像装置を、一部を省略して示す平面図。
図4】第1の実施形態に係る現像剤の補給構成の模式図。
図5】(a)現像剤の剤面が低い状態を示す模式図、(b)現像剤の剤面が一定以上となった状態を示す模式図。
図6】トリクル現像方式を行った場合と行わなかった場合における、画像形成枚数と現像剤の平均滞在時間との関係を示すグラフ。
図7】トリクル現像方式を採用した場合における現像剤の過剰排出のメカニズムを説明する模式図。
図8】第1の実施形態に係る現像装置の第1搬送路及び排出路の一部を示す模式図。
図9】第1の実施形態に係るマグネット部材の平面図。
図10】第1の実施形態に係るマグネット部材の磁界により形成される剤溜り領域を説明する模式図。
図11】(a)マグネット部材の配置位置と排出口との関係の第1例の模式図、(b)同じく第2例の模式図。
図12】実施例と比較例における現像装置内の現像剤量の推移を示すグラフ。
図13】第2の実施形態に係る現像装置の第1搬送路及び排出路の一部を示す模式図。
図14】第3の実施形態に係る現像装置の第1搬送路及び排出路の一部を示す模式図。
図15】第4の実施形態に係る現像装置の第1搬送路及び排出路の一部を示す模式図。
図16】第4の実施形態に係るマグネット部材の、(a)展開した状態の斜視図、(b)断面図。
図17】第4の実施形態に係るマグネット部材の磁極の配置を示す斜視図。
図18】(a)現像剤の剤面が低い状態を示す模式図、(b)現像剤の剤面が一定以上となった状態を示す模式図。
図19】(a)マグネット部材の別の第1例を、(b)同じく第2例を、(c)同じく第3例を、それぞれ示す斜視図。
図20】第5の実施形態に係る現像装置の第1搬送路及び排出路の一部を示す模式図。
図21】第5の実施形態に係るブラシ部材の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1の実施形態>
第1の実施形態について、図1ないし図12を用いて説明する。まず、本実施形態の画像形成装置の概略構成について、図1を用いて説明する。
【0014】
[画像形成装置]
画像形成装置200は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色に対応して設けられ4つの画像形成部PY、PM、PC、PKを有する電子写真方式のフルカラープリンタである。本実施形態では、画像形成部PY、PM、PC、PKを後述する中間転写ベルト10の回転方向に沿って配置したタンデム型としている。画像形成装置200は、画像形成装置本体に接続された原稿読み取り装置(図示せず)又は画像形成装置本体に対し通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ等のホスト機器からの画像信号に応じてトナー像(画像)を記録材に形成する。記録材としては、用紙、プラスチックフィルム、布などのシート材が挙げられる。
【0015】
このような画像形成プロセスの概略を説明すると、まず、各画像形成部PY、PM、PC、PKでは、それぞれ、感光ドラム13Y、13M、13C、13K上に各色のトナー像を形成する。このように形成された各色のトナー像は、中間転写ベルト10上へ転写され、続いて中間転写ベルト10から記録材上に転写される。トナー像が転写された記録材は、定着装置11に搬送されて、トナー像が記録材に定着される。以下、詳しく説明する。
【0016】
なお、画像形成装置200が備える4つの画像形成部PY、PM、PC、PKは、現像色が異なることを除いて実質的に同一の構成を有する。したがって、以下、代表して画像形成部PYについて説明し、他の画像形成部の構成は、画像形成部PYにおける構成に付した符号の添え字「Y」をそれぞれM、C、Kに置き換えて示し、説明を省略する。
【0017】
画像形成部PYには、像担持体として円筒型の感光体、即ち、感光ドラム13Yが配設されている。感光ドラム13Yの周囲には帯電ローラ12Y(帯電装置)、現像装置1Y、一次転写ローラ17Y、クリーニング装置15Yが配置されている。感光ドラム13Yの図中下方には露光装置(レーザースキャナ)14Yが配置されている。
【0018】
帯電ローラ12Yは、画像形成時に感光ドラム13Yに従動回転する。帯電ローラ12Yは、感光ドラム13Yに向かって加圧バネ(不図示)によって付勢されている。また、帯電ローラ12Yは、高圧電源から帯電バイアスが印加される。これによって、感光ドラム13Yは、帯電ローラ12Yによりほぼ均一に帯電される。
【0019】
また、感光ドラム13Y、13M、13C、13Kと対向して中間転写ベルト10が配置されている。中間転写ベルト10は、複数の張架ローラにより張架され、複数の張架ローラの何れかである駆動ローラの駆動により周回移動する。複数の張架ローラのうちの二次転写内ローラ18と中間転写ベルト10を挟んで対向する位置には、二次転写部材としての二次転写外ローラ16が配置され、中間転写ベルト10上のトナー像を記録材に転写する二次転写部T2を構成している。二次転写部T2の記録材搬送方向下流には定着装置11が配置される。また、画像形成装置200の下部には、不図示の給送部が配置されている。画像形成動作開始とともに給送部から給送された記録材は、所定のタイミングで二次転写部T2に搬送される。
【0020】
上述のように構成される画像形成装置200により画像を形成するプロセスについて説明する。まず、画像形成動作が開始すると、回転する感光ドラム13Yの表面が帯電ローラ12Yによって一様に帯電される。次いで、感光ドラム13Yは、露光装置14Yから発せられる画像信号に対応したレーザ光により露光される。これにより、感光ドラム13Y上に画像信号に応じた静電潜像が形成される。感光ドラム13Y上の静電潜像は、現像装置1Y内に収容されたトナーによって顕像化され、可視像(トナー像)となる。
【0021】
感光ドラム13Y上に形成されたトナー像は、中間転写ベルト10を挟んで配置される一次転写ローラ17Yとの間で構成される一次転写部T1Yにて、中間転写ベルト10に一次転写される。一次転写後に感光ドラム13Y表面に残ったトナー(転写残トナー)は、クリーニング装置15Yによって除去される。
【0022】
このような動作をマゼンタ、シアン、ブラックの各画像形成部でも順次行い、中間転写ベルト10上で4色のトナー像を重ね合わせる。その後、トナー像の形成タイミングに合わせて給送部の記録材収納カセット(図示せず)に収容された記録材が二次転写部T2に搬送され、中間転写ベルト10上の4色のトナー像が、記録材上に一括で二次転写される。二次転写部T2で転写しきれずに中間転写ベルト10に残留したトナーは、中間転写ベルトクリーナ19により除去される。
【0023】
次いで、記録材は定着装置11に搬送される。定着装置11は、内部にハロゲンヒータ等の熱源を有する定着ローラ20と加圧ローラ21を備え、定着ローラ20と加圧ローラ21によって定着ニップ部を形成する。定着装置11に搬送された記録材を、定着ニップ部を通過させることにより、記録材に対してトナー像が定着される。その後、記録材は機外に排出される。これにより、一連の画像形成プロセスが終了する。なお、所望の画像形成部のみを用いて、所望の色の単色又は複数色の画像を形成することも可能である。
【0024】
[現像剤]
ここで、本実施形態で用いる二成分現像剤について説明する。現像剤はマイナス帯電極性の非磁性トナーと、プラス帯電極性の磁性キャリアを混合したものを用いる。非磁性トナーは、ポリエステル、スチレンアクリル等の樹脂に着色料、ワックス成分などを内包し、粉砕あるいは重合によって粉体としたものに、酸化チタン、シリカ等の微粉末を表面に添加したものである。磁性キャリアは、フェライト粒子や磁性粉を混錬した樹脂粒子からなるコアの表層に樹脂コートを施したものである。
【0025】
[現像装置]
次に、現像装置1Yの詳細な構成について、図2及び図3を用いて説明する。なお、現像装置1M、1C、1Kについても同様である。現像装置1Yは、磁性を有するキャリアと非磁性のトナーからなる現像剤を収容する現像容器2と、現像容器内の現像剤を担持して搬送する現像剤担持体としての現像スリーブ54を有する。現像スリーブ54は、その表面が回転可能に保持されている一方、内部には複数の磁極(S1、S2、S3、N1、N2)からなるマグネットロール54aが回転不能に配置されている。
【0026】
現像容器2は、隔壁51によって第1室としての第一搬送路(撹拌室)52と、第2室としての第二搬送路(現像室)53に区切られており、第一搬送路52と第二搬送路3とは、両端部の連通口によって互いに連通している。これにより、第一搬送路52と第二搬送路53とで現像剤の循環経路を形成している。
【0027】
現像容器2には、現像剤を撹拌しつつ搬送する搬送部材としての二本のスクリュー部材が設けられている。即ち、第一搬送路52には第一搬送スクリュー58が、第二搬送路53には第二搬送スクリュー(第2搬送部)59がそれぞれ備えられている。第一、第二搬送スクリュー58、59は、それぞれ、回転軸58a、59aと、回転軸58a、59aの周り(回転軸上)に螺旋状に設けられた羽根58b、59bとを有する。
【0028】
第一搬送スクリュー58は、回転軸58a周りに回転すると、螺旋状の羽根58bによって第一搬送路52で現像剤を、現像装置1Yの長手方向(回転軸58aの軸方向)の一方側である矢印α方向(第1方向)に搬送する。第二搬送スクリュー59は、回転軸59a周りに回転すると、螺旋状の羽根59bによって第二搬送路53で現像剤を、現像装置1Yの長手方向(回転軸58aの軸方向)の他方側である矢印β方向(第2方向)に搬送する。これにより、第一搬送路52と第二搬送路53との間で現像剤を循環させている。
【0029】
現像装置1Yは、現像容器2内のトナー濃度(キャリア粒子及びトナー粒子の合計重量に対するトナー粒子重量の割合、T/D比)を検出可能な濃度検出手段としてのトナー濃度センサ(透磁率センサ)61を有する。トナー濃度センサ61は、第一搬送路52の第1方向の所定位置に設けられ、第一搬送路52でトナー濃度を検出する。本実施形態では、トナー濃度センサ61として、インダクタンスセンサを用いており、第一搬送路52内にインダクタンスセンサのセンサ面(検出面)を露出させている。インダクタンスセンサは、センサ面から所定の検出範囲の透磁率を検出する。現像剤のトナー濃度が変化すると、磁性キャリアと非磁性トナーの混合比率による透磁率も変化するため、その透磁率の変化をインダクタンスセンサにより検出することで、トナー濃度を検出できる。
【0030】
第二搬送路53内の現像剤は、第二搬送路53の内部で現像スリーブ54の下方に設置されている第二搬送スクリュー59によって、S2極の磁力範囲内に汲み上げられ、現像スリーブ54表面に担持される。担持された現像剤は現像スリーブ54表面の回転に伴って搬送される。現像スリーブ54の磁極N1極近傍には、現像剤の薄層を形成する部材として、現像スリーブ54の表面から所定の隙間をあけて規制ブレード55が配置される。現像スリーブ54と規制ブレード55の間の隙間は200~500μmほどに設定されるのが一般的であり、隙間が広いほど現像スリーブ54上に担持される現像剤の量が多くなる関係がある。
【0031】
搬送された現像剤は、N1極において磁気ブラシを形成し、現像スリーブ54と所定の間隔をあけて設置された規制ブレード55によって所望量の現像剤が現像スリーブ54表面上に薄層形成される。その後、感光ドラム13Yの対向部まで搬送された現像剤は、S1極で再び磁気ブラシを形成し、感光ドラム13Yとの間で現像ニップを形成する。
【0032】
感光ドラム13Yの表面は、上述したように、帯電ローラ12Yによって一定の電位に帯電されつつ、露光装置14Yによって画像部が露光されて露光電位を形成する。一方で、現像スリーブ54には不図示の高圧回路を通じて現像バイアスが印加される。現像バイアスは、例えば一定電圧のDC波形に矩形のAC波形を重畳したバイアスである。現像装置1Y内で帯電したトナーは、現像ニップ内で、現像バイアスとドラム表面の電位差によって駆動力を得て露光部に付着することで現像行程が完了する。
【0033】
キャリア及び現像されなかったトナーは、さらに現像スリーブ54の回転方向下流に搬送され、S2極とS3極の間に形成されたゼロガウス帯(径方向の磁束密度がゼロになる領域)において磁気的拘束力を失い、再び第二搬送路53に回収される。
【0034】
現像動作が行われると、現像剤のうちのトナーのみが消費されるので、現像剤とトナーの重量比(T/D比)が減少する。そのため、トナーの補給動作を行うことでT/D比を所定の値に制御する。本実施形態では、所定のT/D比を8%としている。
【0035】
図4に示すように、現像装置1Yの上方にはトナーと磁性キャリアからなる補給現像剤を備えたホッパー75が設置されており、画像形成に用いられた分のトナーを現像装置1Yに供給できる仕組みになっている。トナーの補給量は、不図示の制御部が供給スクリュー76を回転させることによって制御される。具体的には、制御部が、画像形成時の画像比率、トナー濃度センサ61(図2、3)によって現像容器2内のT/D比を磁気的に検知した結果などに基づいて、画像形成に用いたトナー消費量を計算し、トナーの補給量を決定する。なお、例えば、画像形成を所定枚数した毎に中間転写ベルト10上に制御用のトナー像(パッチ画像)を形成し、これを不図示の反射濃度センサによって検知した結果もトナー補給量の決定に使用するようにしている。
【0036】
トナー補給は、現像容器2に設けられたトナー補給口40から行われる(図3参照)。本実施形態においては、第一搬送スクリュー58の第1方向上流端部であり第一搬送路52の搬送経路外の上方にトナー補給口が設けられている。ただし補給口の位置については、画像形成装置の本体構成などによって様々な場所に設置することが考えられ、この場所に限るものではない。補給されたトナーは第一搬送路52と第二搬送路53を、第一搬送スクリュー58と第二搬送スクリュー59によって現像剤とともに撹拌搬送されながら循環する。
【0037】
[トリクル現像方式]
本実施形態における現像装置1Yでは、現像剤中のキャリアの劣化を抑制するためのトリクル現像方式(以下、トリクルと呼ぶ)を採用している。トリクルとは、現像容器2内の現像剤の嵩が一定以上になったとき、現像容器2に設けられた排出口100(図8など参照)から余剰現像剤を排出し、補給トナーに含まれる微量のキャリアによってキャリア補給を行う現像方式である。
【0038】
図5(a)、(b)は、一般的なトリクルの構成の一例とメカニズムを説明する図である。以下、「上流」、「下流」という用語を用いる際には、第一搬送スクリュー58の羽根58bによる搬送方向(第1方向)の上流(紙面右側)と下流(紙面左側)を示すこととする。
【0039】
第一搬送スクリュー58は、回転軸58aと、第一搬送路52内を現像剤の第1方向に搬送する羽根58bと、第一搬送スクリュー58の下流端部において現像剤を上流方向へ押し戻す逆搬送部としての逆搬送部58cを備える。第一搬送路52の下流には、余剰現像剤を排出するための排出路70が接続されており、その下流には排出口100が重力方向下側に開かれている。排出路70は、現像容器2の循環経路外に設けられ、第一搬送路52に接続している。
【0040】
排出路70内には、排出搬送部71が備えられている。排出搬送部71は第一搬送スクリュー58と同じ回転軸である回転軸58aにスパイラル羽根が形成された搬送スクリューであり、排出口100に向けて下流方向へ現像剤を搬送する役割を持つ。排出路70の内径は第一搬送路52の内径よりも、排出搬送部71の外径は羽根58bよりも、それぞれ小さくなるように形成されている。
【0041】
図5(a)、(b)において、梨地部分は、現像剤が存在する領域を疑似的に示したものである。図5(a)に示すように、第一搬送路52内の現像剤の嵩が少なく、剤面が低いときには、羽根58bによって搬送される現像剤は逆搬送部58cによって全て押し戻される。一方、図5(b)に示すように、第一搬送路52内の現像剤の嵩が増えて剤面が一定以上まで上昇すると、逆搬送部58cにより押し戻しきれない現像剤が逆搬送部58cを乗り越える。そして、乗り越えた現像剤が、第一搬送路52と排出路70との間にある段差60を超えるまで溜まると排出搬送部71によって搬送可能となり、排出口100へ運ばれて余剰現像剤として排出される。
【0042】
現像装置1Yの使用が進むにつれて、キャリアの表面にトナーに含まれる外添剤が付着していくことでキャリアの帯電能が低下していくことが知られている。図6は、トリクルを行わなかった場合(a)と行った場合(b)の、現像容器2内のキャリアの平均滞在時間(キャリアの劣化度合いを表す)を計算したグラフである。本計算の条件は、画像濃度5%、現像容器2内の現像剤量250g、現像剤のT/D比が8%、補給トナー中のキャリアの重量比が10%として計算した。
【0043】
図6の(a)では使用期間(画像形成枚数)に比例して平均滞在時間が増加していく。一方、(b)では、古いキャリアが消費されて新しいキャリア補給が補給されるので、(a)の場合よりもキャリアの平均滞在時間は短くなり、ある時間(飽和滞在時間)に収束する。つまり一定以上キャリアの劣化が進まないことになり、キャリアによるトナー帯電能を維持することができる。
【0044】
前述したように、トリクル現像方式では補給トナーに微量のキャリアが含まれる。そのため、補給動作に伴い現像容器2内の現像剤の量が増加していき、嵩が一定以上になると一部が逆搬送部58cのさらに奥へこぼれて、排出口100から現像剤が排出される。このように現像剤の嵩が少ない場合は排出が止まり、嵩が多い場合は排出される仕組みにより、現像容器2内の現像剤量は一定の範囲内に保たれる。
【0045】
[現像剤の過剰排出について]
以上のように、トリクル現像方式は現像剤中のキャリア劣化を抑制するのに効果的な技術である。しかしながら、トリクル現像方式による現像剤の排出が想定より過剰になってしまうことがある。例えば、近年の画像形成装置の高速化に伴い現像装置1Yの駆動速度が高速化すると、現像スリーブ54の回転に伴って現像容器2内に取り込まれる空気の量が増大し、現像容器2の内圧が上昇する。現像容器2外は大気圧であるのに対して現像容器2内の内圧が上昇した結果、内外の気圧差が生じ、図7に示すように排出口100から現像容器2の外部へと吹き出るような気流が生じる。この気流はスクリューによって巻き上げられた現像剤を含んでしまうため、排出路70へ現像剤が達してしまい、排出搬送部71によって下流へ搬送される。このようにして、本来現像剤の排出を行うべきでない嵩の場合でも排出口100から微量の現像剤が流出してしまう。
【0046】
このように、現像剤の嵩が少ないにも関わらずトリクル排出が行われてしまう“過剰排出”の状態が続くと、現像容器2内の現像剤が徐々に減少していき、現像スリーブ54へ満足に現像剤を供給できなくなる虞がある。
【0047】
[現像剤の過剰排出への対策]
そこで、本実施形態では、図8に示すように、排出口100の端部から、排出搬送部71の搬送方向下流側に磁界発生手段であるリング状のマグネット部材101を配置することによって、現像容器2内の現像剤が過剰に排出されることを抑制している。以下、詳しく説明する。なお、以下で、排出路70内における「上流」、「下流」は、それぞれ排出搬送部71による現像剤搬送方向の上流、下流とする。
【0048】
まず、本実施形態の構成の場合も、第一搬送路52内の現像剤を第一方向に搬送する第一搬送スクリュー58は、回転軸58aと、回転軸上に螺旋状に設けられた第1搬送部としての羽根58bとを有する。また、排出搬送部71は、羽根58bの第1方向下流側に設けられ、現像剤を排出口100に向けて搬送する。排出搬送部71は、回転軸58a上に螺旋状の羽根を設けることで構成され、現像剤を第1方向と同方向に搬送する。更に、第1方向に関し、羽根58bと排出搬送部71との間には、現像剤を第1方向と逆方向に搬送する逆搬送部58cが設けられている。逆搬送部58cも回転軸58a上に螺旋状に設けられた羽根である。
【0049】
特に本実施形態の場合、排出搬送部71の現像剤の搬送方向に関し、排出口100の上流端103よりも下流側に磁界発生手段としてのマグネット部材101を配置している。マグネット部材101は、リング状に形成されており、排出搬送部71よりも下流側で、排出路70の内壁に全周に亙って固定されている。具体的には、マグネット部材101は、排出口100の上流端103から第1方向に所定の間隔を空けて配置されている。
【0050】
このようなリング状のマグネット部材101は、図9に示すような形状をしており、本実施形態では外径が14mm、内径が8mm、厚さが1.5mmとしている。そして、その中心部を回転軸58aが貫通するように構成されている。これにより、マグネット部材101は、内周面101aが回転軸58aの外周面に僅かな隙間を介して全周に亙って対向するようになっている。
【0051】
マグネット部材101は、片側の面がS極、他方の面がN極に着磁されており、表面の磁束密度が50mT以上60mT以下(日本電磁測器(株)製のGX-100にて測定)のものを用いた。また、本実施形態では、N極面が排出口100側にくるように配置しているが、どちらの極を排出口100側に向けても特に問題はない。マグネット部材101の磁束密度が大きすぎると、付着した現像剤と排出搬送部71の回転軸58aとの間の摺擦が強くなってトナーが固着する虞があり、また磁束密度が小さすぎると、本実施形態の効果が得られなくなる。このため、本実施形態では、磁束密度を上述の範囲としたが、装置の構成によって磁束密度は適宜設定可能である。
【0052】
排出搬送部71によって搬送されてきた現像剤は、排出口100から落下することで排出されるが、排出される現像剤の一部がマグネット部材101の磁力によって引き付けられ、マグネット部材101の表面に付着する。マグネット部材101の表面に付着した現像剤量が次第に増えていくと、図10に示すように、付着した現像剤によって剤溜り領域102が形成される。
【0053】
この剤溜り領域102は、マグネット部材101から排出口100の上流端103方向(図10の右方向)に伸びるように形成されるため、図10に示すように形成された剤溜り領域102によって排出口100が覆われるようになる。図示の例では、マグネット部材101の一部が排出口100に露出しており、排出口100の下方まで突出するように剤溜り領域102が形成される。なお、マグネット部材101は、排出口100に露出していなくて良く、少なくとも排出口100が剤溜り領域102により覆われるようにマグネット部材101が配置されていれば良い。
【0054】
剤溜り領域102によって排出口100が覆われると、図7に示したような排出口100から現像容器2の外部へと吹き出す流路がこの剤溜り領域102によって遮られるため、外部へ流れ出ようする気流の流量を低減できる。このため、この気流によって排出口100から現像剤が外部へ排出されてしまうことを抑制することが可能となる。
【0055】
一方、剤溜り領域102によって排出口100が覆われるものの、排出搬送部71によって搬送されてくる現像剤は、排出搬送部71の搬送力によって剤溜り領域102方向に押し込まれる。そして、マグネット部材101の磁気力で担持できる現像剤量を超えると、現像剤は重力によって自然に排出口100から下方へ排出されるため、排出口100近傍で現像剤が詰まってしまうことはない。このようにして気流による過剰な現像剤排出の抑制と、排出搬送部71による通常の現像剤排出を両立することができる。
【0056】
本実施形態の構成では、排出口100の上流端103とマグネット部材101との間隔Aを11.5mmに設定しているが、この間隔Aを適切に設定することが重要であるため、その理由について以下で説明する。
【0057】
図11(a)に示すように、上記の間隔Aを広く設定し過ぎた場合、形成された剤溜り領域102によって排出口100を十分に覆うことができなくなる。このため、気流が流れる隙間が生じてしまい、外部へ流れ出る気流とその気流によって現像剤が排出されてしまうのを十分に抑制することができなくなる。
【0058】
一方、図11(b)に示すように、間隔Aを狭く設定し過ぎた場合、排出口100の実質的な開口幅が小さくなるため、単位時間当たりに排出できる現像剤量が少なくなってしまう。そのため、画像比率が高い画像が連続した場合など、単位時間当たりの現像剤供給量が多い場合、供給量よりも排出可能な現像剤量が少なくなると、現像容器2内の現像剤量が過剰になってしまう。この結果、現像剤漏れや補給されたトナーの撹拌不良等の問題を引き起こしてしまう。
【0059】
このため、間隔Aは、マグネット部材101により担持される剤溜り領域102の先端が排出口100の上流端103にかかる程度とすることが好ましい。このために本実施形態では、間隔Aを11.5mmに設定しているが、間隔Aの適正値については、排出口100近傍の構成や、マグネット部材101の大きさ、磁力によって異なるため、現像装置の構成により適切な値が設定される。
【0060】
また、本実施形態では、排出搬送部71の回転軸58aの材料として磁性材料を用いている。回転軸58aの材料が磁性体の場合、リング状のマグネット部材101の中心部を貫通した回転軸58aがマグネット部材101の磁力によって磁化されるため、マグネット部材101の内周面101aと回転軸58aとの間に磁気シールが形成される。そのため、この磁気シールによって現像剤がリング状のマグネット部材101の中心部をすり抜けてしまうことを抑制することができる。
【0061】
なお、マグネット部材101によって形成される剤溜り領域102は、排出口100の上部を覆っていれば良いため、リング状のマグネット部材101の上方の部分をカットした形状、例えば半円状の形状のものを使用することも可能である。即ち、マグネット部材101は、回転軸58aの周方向に関し、少なくとも排出口100の開口幅の一端から他端までを含む範囲に配置されていれば良い。言い換えれば、マグネット部材101は、回転軸58aの軸線方向から見た場合に、回転軸58aの周方向に関して排出口100と同じ位相に位置し、且つ、排出口100の幅以上の幅を有していれば良い。
【0062】
また、マグネット部材は、回転軸58aに固定されていても良い。この場合、マグネット部材は、排出路70の内周面と僅かな隙間を有するように、回転軸59aの全周に亙って設けることが好ましい。また、マグネット部材は、排出路70の外壁に設けても良い。この場合、排出路70を非磁性の部材とし、排出路70内に磁力が作用するようにして、排出路70内に剤溜り領域を形成する。
【0063】
また、螺旋状の羽根である排出搬送部71は、図10に示すように、排出口100の上流端103よりも搬送方向下流側まで延在するように配置することが好ましい。勿論、排出搬送部71の下流端は、マグネット部材101よりも上流側に位置させる。このような構成とすることで、排出搬送部71の搬送力によって剤溜り領域102を搬送方向により確実に押し込むことができるため、現像剤供給量が多い場合でもより確実に現像剤排出を行うことが可能となる。
【0064】
また、本実施形態の場合、マグネット部材101が排出口100の上流端103及び排出搬送部71の下流端よりも下流側に位置するため、排出路70のマグネット部材101よりも下流側には現像剤が到達しにくい。このため、通常、排出路70の下流端に設けられ、現像剤が漏れることを防止するためのオイルシールなどの封止部材を省略しても良い。
【0065】
[実施例]
次に、本実施形態の効果を確認するために行った実験について説明する。実験では、本実施形態のようにマグネット部材101を設けた現像装置である実施例と、マグネット部材を設けていない現像装置である比較例とを用いて、画像比率0.5%の画像を連続して画像形成した場合の、現像装置内の現像剤量の推移を調べた。実施例と比較例とでは、マグネット部材101の有無以外の構成は同じである。この結果を図12に示す。
【0066】
画像比率が0.5%の画像の場合、現像剤供給量が非常に少ないため、現像装置からの排出量が多いと、現像装置内の現像剤量は次第に低下することになる。図12から明らかなように、比較例の構成の現像装置では、画像形成を続けていくと次第に現像剤量が低下しているのに対し、本実施例の構成の現像装置の場合、画像形成を続けても、現像装置内の現像剤量が安定していることが分かる。
【0067】
以上説明したように、本実施形態の構成により、マグネット部材101によって形成された剤溜り領域102によって排出口100を覆うことで、排出口100から流れ出る気流を抑制し、気流による過剰な現像剤排出を抑制することが可能となる。このため、単位時間当たりに供給される現像剤量が少ない場合でも、現像装置内の現像剤量を適正に維持することができる。
【0068】
<第2の実施形態>
第2の実施形態について、図13を用いて説明する。上述の第1の実施形態の構成の場合、マグネット部材としてリング状のものを用いた場合について説明した。これに対して本実施形態では、マグネット部材101Aとして平板状のものを用いた。その他の構成及び採用は、第1の実施形態と同様であるため、同一の構成には同じ符号を付して、説明及び図示を省略又は簡略にし、以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0069】
本実施形態では、排出口100の上流端103から間隔Aの位置に、磁界発生手段としての平板状のマグネット部材101Aを設定した構成としている。マグネット部材101Aは、回転軸58aの周方向に関し、少なくとも排出口100の開口幅の一端から他端までを含む範囲で、排出路70の内周面に固定されている。なお、本実施形態では、排出路70の全周に亙ってマグネット部材101Aが配置されていないため、排出路70のマグネット部材101Aの下流側には、現像剤が漏れることを防止するための封止部材としてのオイルシール72が設けられている。
【0070】
このような本実施形態の場合も、マグネット部材101Aの磁力によって引き付けられ、表面に付着した現像剤によって剤溜り領域102が形成され、この剤溜り領域102によって排出口100が封止される。そのため、排出口100から現像容器2の外部へと吹き出す流路が剤溜り領域102により遮られるため、外部へ流れ出ようする気流の流量を低減できる。このため、この気流によって排出口100から現像剤が外部へ排出されてしまうことを抑制することが可能となる。
【0071】
また、排出搬送部71によって搬送されてきた現像剤は、排出搬送部71の搬送力によって搬送方向下流側へと押し込まれるが、マグネット部材101Aよりも更に下流側には封止部材であるオイルシール72が設けられている。このため、オイルシール72よりも先に現像剤が搬送されることはなく、マグネット部材101Aを超えた現像剤はマグネット部材101Aの磁力によって引き戻され、剤溜り領域102の一部となる。
【0072】
マグネット部材101Aの磁気力で担持できる現像剤量を超えると、現像剤は重力によって自然に排出口100から下方へ排出されるようになる。このようにして気流による過剰な現像剤排出の抑制と、排出搬送部71による通常の現像剤排出を両立することができる。
【0073】
以上説明したように、本実施形態の構成でも、排出口100から流れ出る気流による過剰な現像剤排出を抑制することが可能となり、単位時間当たりに供給される現像剤量が少ない場合でも現像装置内の現像剤量を適正に維持することができる。
【0074】
<第3の実施形態>
第3の実施形態について、図14を用いて説明する。上述の第1、第2の実施形態の構成の場合、マグネット部材を排出路70に設けた構成について説明した。これに対して本実施形態では、マグネット部材101Bを排出口100に接続された排出接続路104に設けた。その他の構成及び採用は、第1の実施形態と同様であるため、同一の構成には同じ符号を付して、説明及び図示を省略又は簡略にし、以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0075】
まず、第1排出路としての排出路70の排出口100には、第2排出路としての排出接続路104が接続されている。排出接続路104は、排出口100から外部に現像剤を排出する。例えば、排出接続路104は、外部に設けられた現像剤の回収容器に接続されており、排出口100から排出された現像剤は、排出接続路104を通って回収容器に回収される。このような排出接続路104は、樹脂などの非磁性の材料により形成されている。例えば、樹脂により現像容器2と一体に形成されている。なお、排出接続路は、通常、第1、第2の実施形態の構成にも設けられている。
【0076】
特に、本実施形態では、排出接続路104の外壁に、磁界発生手段としてのマグネット部材101Bを設けている。マグネット部材101Bは、平板状に形成され、排出接続路104の外壁のうち、排出口100の下流端側に設けられている。なお、マグネット部材101Bは、排出接続路104の外壁の全周を覆うように配置しても良いし、排出口100の上流端側に設けても良い。また、排出接続路104の内壁に設けても良い。何れにしても、マグネット部材101Bの磁力によって形成される剤溜り領域102が排出接続路104を遮るように、マグネット部材101Bが配置されていれば良い。
【0077】
また、本実施形態の場合、マグネット部材101Bは、排出接続路104の現像剤が通過する方向の上流端部に配置している。そして、排出口100の近傍において、排出接続路104が剤溜り領域102により塞がれるようにしている。
【0078】
また、本実施形態の場合、第1、第2の実施形態と異なり、排出路70にマグネット部材を設けていないため、排出口100の下流側に現像剤を押し戻すための押し戻し部71aを設けている。押し戻し部71aは、排出搬送部71の螺旋状の羽根とは逆方向の螺旋状の羽根であり、排出搬送部71の現像剤搬送方向とは逆方向に現像剤を搬送する。更に、本実施形態の場合、押し戻し部71aの下流側(図14の左側)に、第2の実施形態と同様に、オイルシール72を設けている。
【0079】
このような本実施形態の場合も、マグネット部材101Bの磁力によって引き付けられ、排出接続路104の内周面に付着した現像剤によって剤溜り領域102が形成され、この剤溜り領域102によって排出接続路104が封止される。そのため、排出口100から現像容器2の外部へと吹き出す流路がこの剤溜り領域102によって遮られるため、外部へ流れ出ようする気流の流量を低減できる。このため、この気流によって排出口100から現像剤が外部へ排出されてしまうことを抑制することが可能となる。
【0080】
排出搬送部71によって搬送されてきた現像剤は、排出搬送部71の搬送力によって図14の左方向へと押し込まれるが、排出口100の下流端部には封止部材であるオイルシール72と現像剤を押し戻す押し戻し部71aが設置されている。このため、オイルシール72よりも先に現像剤が搬送されることはなく、下方に設置されている排出口100方向に押し込まれることになる。押し込まれた現像剤がマグネット部材101Bの磁気力で担持できる現像剤量を超えると、現像剤は重力によって自然に排出口100から下方へ排出されるようになる。このようにして気流による過剰な現像剤排出の抑制と、排出搬送部71による通常の現像剤排出を両立することができる。なお、押し戻し部71aは、省略しても良い。
【0081】
以上説明したように、本実施形態の構成でも、排出口100から流れ出る気流による過剰な現像剤排出を抑制することが可能となり、単位時間当たりに供給される現像剤量が少ない場合でも現像装置内の現像剤量を適正に維持することができる。
【0082】
<第4の実施形態>
第4の実施形態について、図15ないし図19を用いて説明する。上述の第1、第2の実施形態の構成の場合、マグネット部材を排出口100の上流端103よりも下流側に設けた構成について説明した。これに対して本実施形態では、マグネット部材101Cを排出口100の上流端103よりも上流に設けた。その他の構成及び採用は、第1の実施形態と同様であるため、同一の構成には同じ符号を付して、説明及び図示を省略又は簡略にし、以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0083】
本実施形態では、図15に示すように、排出搬送部71の羽根の一部を切欠き、回転軸58aの周囲に全周に亙って、磁界発生手段としてのマグネット部材101Cを固定している。具体的には、平板状のマグネット部材101Cを回転軸58aの全周に巻き付けるように貼り付けることで固定している。マグネット部材101Cの外周面に担持された現像剤は、排出路70の内周面と回転軸58aの間で磁気ブラシを形成する。これにより、排出路70における空気の流路が磁気ブラシにより遮られる。
【0084】
マグネット部材101Cの長手方向(回転軸58aの軸線方向)の貼り付け位置は、逆搬送部58cよりも第1方向の下流としている。この理由は、以下のとおりである。仮に、マグネット部材101Cを逆搬送部58cよりも第1方向の上流に配置し、逆搬送部58cよりも上流の位置で磁気ブラシを形成したとしても、排出口100へ抜ける空気の流路を十分に遮断できず、現像剤の過剰排出を十分に抑制できない。
【0085】
また、逆搬送部58cの羽根を途中で切り欠いてマグネット部材101Cを設ける構成も想定される。しかしながら、逆搬送部58cは第1方向の上流側へ現像剤を搬送する部材であるため、現像剤の嵩が増したときにも磁気ブラシによる封止を破ることができず、現像剤の排出機能を損なってしまう。以上が、マグネット部材101Cの長手方向の貼り付け位置が逆搬送部58cの下流とする理由である。なお、逆搬送部58cよりも第1方向の下流であれば、マグネット部材101Cを第一搬送路52内に設けても良いが、本実施形態のように、マグネット部材101Cを排出路内に配置することが好ましい。
【0086】
図16(a)は、マグネット部材101Cの斜視図であり、図16(b)は、回転軸58aの軸線方向で切ったときのマグネット部材101Cの断面図である。マグネット部材101Cは、可撓性のある板状の磁石部材110と、磁石部材110の一方の面に貼りつけられた両面テープのシール面111から成る。マグネット部材101Cは、回転軸58aの一周分と丁度同じ長さになっており、軸に巻き付けたときに断面から見て隙間ができないようになっている。
【0087】
図17に、本実施形態におけるマグネット部材101Cの着磁パターンを示す。板状のマグネット部材101Cは両面着磁されており、シール面111側がS極で、表面がN極となっている。但し、逆方向は逆であっても良い。
【0088】
回転軸58aにおけるマグネット部材101Cを貼りつける位置の外径は、マグネット部材101Cの磁力の大きさと厚みに応じて適切な大きさに設計されるのが好ましい。磁気ブラシの穂立ちの大きさはマグネット部材101Cの磁力の大きさに依存するので、磁気ブラシによって空気の流路を遮断するには、マグネット部材101Cと排出路70の間の間隙を適切な距離に保つことが望まれる。磁気力の強さに対してマグネット部材101Cと排出路70の間隙が近すぎると、現像剤の嵩が増えた時に余剰現像剤の排出が満足に行われない。逆に磁気力が弱すぎると、シール性が足りずに空気の流れを遮断することができない。本実施形態では、マグネット部材101Cの外周面と排出路70の内周面との隙間を1mm以上とした。
【0089】
また、本実施形態においては、マグネット部材101Cとして、厚みが1.0mm、幅が3mm、表面の磁力が60mT(日本電磁測器(株)製のGX-100にて測定)のものを用いた。磁気ブラシの穂立ちの高さは、3Dレーザー顕微鏡((株)キーエンス製のVK-8700)を用いて3次元的に取得した画像から平均穂立ち高さとして計算した。上述のマグネット部材101Cに関して平均穂立ち高さを計測したところ、1.2mmであった。このため、回転軸58aにおけるマグネット部材101Cを貼りつける位置の外径を8mm、排出路70の内径を12mmとすることで、マグネット部材101Cと排出路70の間隙を1mmとした。そして、磁気ブラシが排出路70の内壁に接触して空気の流れを遮断するようにした。
【0090】
次に、本実施形態における現像剤の排出メカニズムを説明する。図18(a)は、現像剤の嵩が低いときの現像剤の剤面の様子を、図18(b)は、現像剤の嵩が高くなったときの現像剤の剤面の様子をそれぞれ示した図である。
【0091】
既に一定量の現像剤がトリクル現像方式により排出された状態を考えると、マグネット部材101Cの周囲には、図18(a)、(b)に示すような磁力線に沿った磁気ブラシが形成されている。図18(a)に示すように、現像剤の嵩が低い場合には、マグネット部材101Cの周囲に形成された磁気ブラシが排出口100の方向へ空気が抜ける経路を遮断するので、図7に示したような空気の流れは生じないか、生じたとしても空気の流量が低減される。そのため、排出路70へ現像剤が達することは殆どなく、現像剤の過剰な排出が起こりにくい。
【0092】
一方、図18(b)に示すように、現像剤の嵩が高くなると、逆搬送部58cによって押し戻されなくなった現像剤が排出路70に達して、排出搬送部71によって下流へと搬送されるようになる。搬送される現像剤の量が増加して剤圧が高まると、現像剤は磁気ブラシの拘束力を突破して最下流へ搬送され、排出口100に達して余剰現像剤として排出される。
【0093】
なお、上述の説明では、排出搬送部71は、マグネット部材101Cの下流にも存在するが、マグネット部材101Cが排出口100に近ければ、マグネット部材101Cの下流に排出搬送部71を設けなくても良い。即ち、排出搬送部71は、少なくともマグネット部材101Cの上流に設けられていれば良い。
【0094】
以上説明したように、マグネット部材101Cによって排出路70と回転軸58aの間を磁気ブラシで封止することで、現像剤の排出性能を損なうことなく空気の流れに乗じた現像剤の過剰排出を効果的に抑制することができる。
【0095】
なお、マグネット部材101Cの着磁パターンは、図17に示したものに限らず、様々な様態が想定される。着磁パターンの例を、図19(a)~(c)に示した。図19(a)のマグネット部材101Caは、磁石部材110Aの着磁パターンを表裏ではなく縦方向にしている。図19(b)のマグネット部材101Cbは、図19(a)に対してさらに磁石部材110Bの表裏両面に着磁を施したものである。図19(c)のマグネット部材101Ccは、磁石部材110Cの表面に対し斜めのストライプ状にN極とS極を交互に着磁したものである。これらのパターンでも、磁気ブラシが排出路70に接するようにすることで、空気の流れに乗じた現像剤の過剰排出を効果的に抑制することが可能である。
【0096】
図19(a)~(c)で例示したもの以外にも実施可能な着磁パターンは様々考えられる。本質的には、磁気ブラシが排出路70の内壁に接触する限りは本発明の効果を得られることは言うまでもない。
【0097】
<第5の実施形態>
第5の実施形態について、図20及び図21を用いて説明する。上述の第4の実施形態の構成の場合、マグネット部材により磁気ブラシを形成した構成について説明した。これに対して本実施形態では、マグネット部材による磁気ブラシに代えてブラシ部材120を設けた。その他の構成及び採用は、第4の実施形態と同様であるため、同一の構成には同じ符号を付して、説明及び図示を省略又は簡略にし、以下、第4の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0098】
ブラシ部材120は、回転軸58aと排出路70の内壁との間に全周に亙って設けられている。本実施形態では、図20に示すように、排出搬送部71の羽根の一部を切欠き、回転軸58aの周囲に全周に亙って、ブラシ部材120を固定している。ブラシ部材120の固定位置は、第4の実施形態のマグネット部材101Cの固定位置と同様である。
【0099】
ブラシ部材120は、図21に示すように、可撓性のある基材121に対して一方の面に繊維122を植毛し、もう一方の面に両面テープ123を貼って貼り付け面としたもので、回転軸58aに対して巻き付けることで固定される。このような本実施形態の場合も、図20に示すように、繊維122の毛は排出路70の内壁に接するようになっている。なお、ブラシ部材120を排出路70の内壁に固定して、ブラシを回転軸58aの外周面に接するようにしても良い。
【0100】
空気が抜ける経路を封止する構成として磁気ブラシではなく植毛された繊維で行っているという点で本実施形態と第4の実施形態とは異なるが、余剰現像剤の過剰排出を抑えるメカニズムとしては、第4の実施形態と同様である。また、本実施形態の場合も、第4の実施形態と同様に、空気の流れに乗じた現像剤の過剰排出を効果的に抑制することが可能である。
【0101】
<他の実施形態>
上述の各実施形態では、画像形成装置がプリンタである構成について説明したが、本発明は、複写機、ファクシミリ、複合機などにも適用可能である。また、上述の各実施形態では、現像装置として、現像室(第二搬送路53、第2室)から現像スリーブに現像剤を供給し、現像室で現像スリーブから現像剤を回収する構成について説明した。但し、本発明は、現像室から現像剤を供給し、現像室と隔壁を挟んで配置される撹拌室(第一搬送路52、第1室)で現像剤を回収する構成にも適用可能である。更には、第1室と第2室とが水平方向に並んで配置される現像装置以外に、第1室と第2室とが上下方向、或いは、水平方向に対して傾斜するような位置関係に存在するような構成にも、本発明を適用可能である。なお、第1室が現像室、第2室が攪拌室であっても良い。
【符号の説明】
【0102】
1Y、1M、1C、1K・・・現像装置/2・・・現像容器/52・・・第一搬送路(第1室)/53・・・第二搬送路(第2室)/54・・・現像スリーブ/58・・・第一搬送スクリュー/58a・・・回転軸/58b・・・羽根(第1搬送部)/58c・・・逆搬送部/59・・・第二搬送スクリュー(第2搬送部)/70・・・排出路(第1排出路)/71・・・排出搬送部/100・・・排出口/101、101A、101B、101C、101Ca、101Cb、101Cc・・・マグネット部材(磁界発生手段)/104・・・排出接続路(第2排出路)/120・・・ブラシ部材
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