(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】パネル材の振れ止め構造
(51)【国際特許分類】
E04B 2/74 20060101AFI20240304BHJP
【FI】
E04B2/74 501B
(21)【出願番号】P 2019183991
(22)【出願日】2019-10-04
【審査請求日】2022-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119091
【氏名又は名称】豊山 おぎ
(72)【発明者】
【氏名】野月 雄太
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-274687(JP,A)
【文献】実公平07-044648(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/72 - 2/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパネル材と、前記複数のパネル材の端部同士を連結する連結材と、前記パネル材の端部に取り付けられる補助部材とを備え、
前記補助部材を構成する壁部又は前記連結材の壁部のいずれかに対向させて固定する
よう長手方向を有する固定部と、前記固定部が固定された前記補助部材又は前記連結材とは異なる対象に接触させて摩擦力を発揮する脚部とを具備し、
前記脚部は、前記異なる対象に向かって突出する複数の突起を有し、
前記複数の突起は、
前記固定部の長手方向に沿って延在する偏平な板状で、
前記長手方向に直交する断面視で突出方向に先鋭になっている振れ止め具を有し、
この振れ止め具が、前記補助部材と前記連結材との間に設けられているパネル材の振れ止め構造。
【請求項2】
前記固定部は、固定されている前記補助部材又は前記連結材に対する係止部を有している請求項1に記載のパネル材の振れ止め構造。
【請求項3】
前記補助部材は、前記固定部の前記係止部を係止させる被係止部を有している請求項2に記載のパネル材の振れ止め構造。
【請求項4】
前記固定部は、前記補助部材又は前記連結材に対向させる面が凸状に形成されている請求項1から3のいずれか一項に記載のパネル材の振れ止め構造。
【請求項5】
前記固定部は、中空に形成されている請求項1から4のいずれか一項に記載のパネル材の振れ止め構造。
【請求項6】
前記脚部の前記複数の突起の少なくとも一部は、偏平に形成され、互いに平行に配されている請求項
1から5のいずれか一項に記載のパネル材の振れ止め構造。
【請求項7】
前記脚部の前記複数の突起は、一部に長さの異なる突起を有している請求項
1から5のいずれか一項に記載のパネル材の振れ止め構造。
【請求項8】
前記脚部の前記複数の突起は、少なくとも最も外側の複数の突起が、これら最も外側の複数の突起よりも内側にある突起より突出長さが長い請求項
1から5のいずれか一項に記載のパネル材の振れ止め構造。
【請求項9】
前記連結材は、前記パネル材の端部に配される桟である請求項1から
8のいずれか一項に記載のパネル材の振れ止め構造。
【請求項10】
前記補助部材は、前記パネル材の端部に配される化粧材である請求項1から
9に記載のパネル材の振れ止め構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル材の振れ止め構造に関する。
【背景技術】
【0002】
パネル材を複数連結させて間仕切りや壁を設ける場合には、パネル材の間を埋めると共にこれらを連結する連結材が用いられる。
パネル材と連結材とは、隙間なく嵌合させることが外観上及びがたつき防止の観点から好ましいが、完全に隙間のない状態で嵌合させると、設置及びメンテナンスが非常に困難になる。また、パネル材と連結材との間には、設計上公差程度の隙間は生じてしまうものでもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、パネル材と連結材との間に隙間があると、上記のとおりがたつきが生じやすいという問題がある。
そこで、本発明は、パネル材でがたつきが生じ難いパネル材の振れ止め構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のパネル材の振れ止め構造は、複数のパネル材と、前記複数のパネル材の端部同士を連結する連結材と、前記パネル材の端部に取り付けられる補助部材とを備え、前記補助部材を構成する壁部又は前記連結材の壁部のいずれかに対向させて固定する固定部と、前記固定部が固定された前記補助部材又は前記連結材とは異なる対象に接触させて摩擦力を発揮する脚部とを具備する振れ止め具を有し、この振れ止め具が前記補助部材と前記連結材との間に設けられている。
この構成によれば、補助部材と連結材との間が振れ止め具により支持されるので補助部材及びパネル材と連結材との間の搖動が抑制される。
【0005】
本発明のパネル材の振れ止め構造の前記固定部は、固定されている前記補助部材又は前記連結材に対する係止部を有しているとよい。
この構成によれば、前記固定部の前記補助部材又は前記連結材への固定がより確実となる。
【0006】
本発明のパネル材の振れ止め構造の前記補助部材は、前記固定部の前記係止部を係止させる被係止部を有しているとよい。
この構成によれば、前記固定部を前記補助部材又は前記連結材により確実に固定することが出来る。
【0007】
本発明のパネル材の振れ止め構造の前記固定部は、前記補助部材又は前記連結材に対向させる面が凸状に形成されていてもよい。
この構成によれば、前記固定部の大きさよりも小さい部分に挿入しやすくなる。
【0008】
本発明のパネル材の振れ止め構造の前記固定部は、中空に形成されていてもよい。
この構成によれば、前記固定部を変形させやすくなるため、前記固定部の大きさよりも小さい部分に挿入しやすくなる。
【0009】
本発明のパネル材の振れ止め構造の前記脚部は、前記固定部からこの固定部が固定された前記補助部材又は連結材とは異なる対象に向かって突出する複数の突起を有していてもよい。
この構成によれば、複数の突起間に隙間が形成されるため、摩擦力を適宜調整することが出来る。
【0010】
本発明のパネル材の振れ止め構造の前記脚部の前記複数の突起は、少なくとも一部が突出方向に先細りになっていてもよい。
この構成によれば、複数の突起が接触している対象に対して柔軟に変形しやすい。また、摩擦力を適度に調節することが出来る。
【0011】
本発明のパネル材の振れ止め構造の前記脚部の前記複数の突起の少なくとも一部は、偏平に形成され、互いに平行に配されていてもよい。
この構成によれば、突起が偏平に形成されているため、突起自身の剛性を高めて適度に摩擦力を発揮することが出来る。
【0012】
本発明のパネル材の振れ止め構造の前記脚部の前記複数の突起は、一部に長さの異なる突起を有していてもよい。
この構成によれば、突起間で接触対象への摩擦力を変えることが出来る。
【0013】
本発明のパネル材の振れ止め構造の前記脚部の前記複数の突起は、少なくとも最も外側の複数の突起が、これら最も外側の複数の突起よりも内側にある突起よりも突出長さが長くてもよい。
この構成によれば、少なくとも最も外側の突起によりしっかりと摩擦力を発揮し、内側の突起で補助的に摩擦力を生じさせることが出来る。
【0014】
本発明のパネル材の振れ止め構造の前記連結材は、前記パネル材の端部に配される桟であってもよい。
この構成によれば、パネル部材を桟に対して取り付けた際に搖動を防止することが出来る。
【0015】
本発明のパネル材の振れ止め構造の前記補助部材は、前記パネル材の端部に配される化粧材であってもよい。
この構成によれば、補助部材が化粧材を兼ねるものであっても、上記と同様の作用及び機能を発揮することが出来る。
【発明の効果】
【0016】
本発明の振れ止め防止構造は、パネル材間のがたつきを防止することが出来るという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一の実施形態に係るパネル材の振れ止め構造を用いたパネル材の設置状態を示す斜視図である。
【
図2】本発明の本発明の一の実施形態に係るパネル材の振れ止め構造の設置の工程を示した横断面図である。
【
図3】本発明の本発明の一の実施形態に係るパネル材の振れ止め構造の設置の工程を示した横断面図である。
【
図4】本発明の本発明の一の実施形態に係るパネル材の振れ止め構造に用いられる振れ止め具及び補助部材を示した断面図である。
【
図5】本発明の本発明の一の実施形態に係るパネル材の振れ止め構造の設置の工程を示した横断面図である。
【
図6】本発明の本発明の一の実施形態に係るパネル材の振れ止め構造を示した横断面図である。
【
図7】本発明の本発明の一の実施形態に係るパネル材の振れ止め構造の他の例を示した縦断面図である。
【
図8】本発明の本発明の一の実施形態に係るパネル材の振れ止め構造の他の例を示した縦断面図である。
【
図9】本発明の本発明の一の実施形態に係るパネル材の振れ止め構造に用いられる振れ止め具の他の例を示した図である。
【
図10】本発明の本発明の一の実施形態に係るパネル材の振れ止め構造に用いられる振れ止め具の他の例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明のパネル材の振れ止め構造の実施形態について説明する。なお、以下の説明で用いる図の各部分の寸法は実際のものと同一とは限らず、適宜変更することができる。
【0019】
本発明の一の実施形態のパネル材の振れ止め構造は、
図1に示すように、複数のパネル材1を組み合わせた間仕切り壁W等に適用される。
パネル材1を組み合わせた間仕切り壁Wは、一例として、床レール2、巾木3、パネル材1、パネル材1同士をつなぐスタッド(連結材)4、パネル材1の端部に嵌め込まれる力骨(補助部材)5、振れ止め具6(
図3参照)及び笠木7を主要な構成としている。
【0020】
床レール2は、空間を区分したいライン上に配置する長尺な略U字状の枠部材である。
巾木3は、本実施形態では、床レール2に被さるように設けられている。
パネル材1は、矩形で一定の厚みを有する板状のペーパーコア等による芯材8と、芯材8の偏平面に配された化粧板9とにより主として構成されている。
その中で、パネル材1の振れ止め構造は、主としてパネル材1、スタッド4、力骨5、及び振れ止め具6により構成される。
【0021】
図2に示すように、パネル材1の化粧板9は、芯材8の偏平な板面の全体を覆うとともに、芯材8の端面8aを超えて延び、芯材8の端面8aに対向するように折れ曲がっている。これにより、芯材8の端面8aと化粧板9の折れ曲がった端部9aとの間に、力骨5及びスタッド4を嵌め込ませる嵌合空間Sが形成されている。
【0022】
スタッド4は、長尺な鋼板を長手方向に沿って4カ所で略直角に折り曲げることで、角張った断面略C字状に形成された筒状の棒部材である。スタッド4の長手方向(
図4の紙面奥行き方向)に直交する断面は、略矩形、本実施形態では略正方形に形成されている。
【0023】
スタッド4の幅寸法、すなわち一つの面の短手方向の寸法は、化粧板9の折り曲げられた互いに対向する端部9aの先端同士の間すなわち化粧板9の端部9a,9a間に形成される開口部10の幅寸法よりも僅かに小さく形成されている。これにより、スタッド4の矩形の一面4aを芯材8の端面8aに向けてスタッド4を嵌合させることができるようになっている。
【0024】
図3に示すように、力骨5は、パネル材1を補強する補助部材であり、パネル材1の端部1aに配されている。
力骨5の形状は、化粧板9の形状に沿って配されるように、長尺な鋼板を変形させてやや扁平で角張った(長手方向に直交する)断面略C字状に形成されている。
【0025】
力骨5の長手方向(
図3における紙面奥行き方向)に沿って延びる互いに対向する端縁5e同士の間の距離は、嵌合空間Sを開口している化粧板9の互いに対向する端縁9e同士の距離よりも僅かに小さい。この力骨5の互いに対向する端縁5e同士の間の距離は、スタッド4の一面の短手方向の距離と略同じになるように設定されている。
これにより、力骨5をその断面視した際の開口部11の向きを嵌合空間Sの開口部10に合わせて設置した際に、力骨5の内側にスタッド4を略フィットさせつつ嵌合させることができる構成となっている。
【0026】
スタッド4と力骨5とに挟まれた空間は、振れ止め具6を配する第2空間S2となっている。具体的には、第2空間S2は、力骨5の
図2に示す芯材8の端面8aに対向させる奥側壁5aと、化粧板9に対向させる側壁5bと、化粧板9の端部9aに対向させる開口壁5cと、スタッド4の一つの面とに囲まれた空間に囲まれている。なお、嵌合空間Sのうち、スタッド4を嵌合させる空間は第1空間S1とする。
第2空間S2は、本実施形態では、力骨5のパネル材1への設置時のパネル材1の厚さ方向の両端側に形成され、スタッド4を対向する2方向から挟み込む位置に形成されている。
【0027】
力骨5の奥側壁5a及びこれに対向している開口壁5cのそれぞれには、第2空間S2を二分する位置から互いに対向する方向に突出した被係止部15が形成されている。
被係止部15は、力骨5の長手方向に連続的に延伸している。
互いに対向する被係止部15同士の間は、その延伸方向(すなわち力骨5の長手方向で、紙面奥行き方向)に亘って一定の距離が空けられている。
【0028】
図4に示すように、振れ止め具6は、力骨5とスタッド4との間の第2空間S2に配されるスペーサ兼緩衝材である。
振れ止め具6は、一方向に貫通する中空部16が形成されたやや扁平なチューブ状の部材である。振れ止め具6は、中空部16の軸線L方向を長手方向とする平面視略矩形に形成されている。
振れ止め具6の主要な構成要素は、力骨5を構成する側壁5bに対向させ力骨5側に固定させる固定部20及びスタッド4に接触させる脚部21である。
【0029】
固定部20は、力骨5の側壁5bに対向させる頭部22と、頭部22の底面から互いに間隔を空けて平行に延びる側壁部23と、側壁部23及び脚部21を支持する支持板部24とを有している。これら頭部22、側壁部23及び支持板部24とに囲まれて中空部16が形成されている。
【0030】
頭部22は、その表面22aが先端に向かってややすぼむ凸型になるように、頭部22の幅方向中央に向かってやや突出した形状となっている。本実施形態では、頭部22がやや突出した形状になるよう幅方向中央に向かって斜めに上がる傾斜面22bと傾斜面間22b,22bをつなぐ水平面22cとを有している。また、頭部22の脚部21側の面には、軸線L方向に延びる溝28が形成されている。
【0031】
頭部22の幅方向の寸法は、力骨5の被係止部15の先端15a,15a間の寸法よりもやや大きく形成されている。側壁部23から突出している頭部22の幅方向両端部は、力骨5の被係止部15に対する係止部25になっている。
【0032】
側壁部23は、頭部22と支持板部24との間において間隔を空けて2つ平行に形成されている。一方の側壁部23の外表面23aから他方の側壁部23の外表面23aまでの距離は、被係止部15の先端15a,15a間の距離とほぼ同一かごく僅かに小さく形成されている。
【0033】
支持板部24は、頭部22から所定寸法離れた位置、すなわち頭部22が有する係止部25との間に被係止部15と挟み込んで接触する位置に形成されている。
【0034】
脚部21は、支持板部24の固定部20が設けられた面と反対の面から略垂直に突出している突起26により構成されている。本実施形態において、脚部21の突起26は、中空部16の軸線L方向に平行で連続的に延びる凸条に形成されている。凸条の突起26は、支持板部24の短手方向にほぼ等間隔に三本設けられている。
【0035】
いずれの突起26も、1mm前後又はそれ以下の肉厚で、先細りになるよう即ち先端に向けて肉厚が小さくなるように形成されている。
固定部20と脚部21とは、一体成形されている。固定部20及び脚部21の素材は、
ゴム等の弾性変形及び復元が可能な材料であればどのようなものを用いることもできる。
三本の突起26のうち、真ん中の突起26は、短手方向の両外側の突起26よりもやや短めに形成されている。
【0036】
この構成により、突起26は、パネル材1とスタッド4とが板面方向(矢印D方向)にそれぞれ搖動した場合に、スタッド4に接触しつつ突起26の厚さ方向に湾曲等変形可能となっている。
【0037】
したがって、突起26をスタッド4に接触させることによって、突起26の摩擦力でスタッド4とパネル材1との間の相対移動を抑えつつも、僅かに搖動を許し、がたつきが生じない程度に無理なくかつしっかりとパネル材1とスタッド4との連結を保てるようになっている。
【0038】
以上の各構成を有する複数のパネル材1、スタッド4、力骨5、及び振れ止め具6は、次に示す方法でパネル材の振れ止め構造に設置される。
すなわち、
図3に示すように、振れ止め具6の固定部20を力骨5の側壁5bに向かって被係止部15の間から挿入する。この際、
図4に示すように、固定部20の頭部22は、被係止部15の先端15a,15a間の距離よりも幅広に形成されているため、頭部22をやや強引に押し込む。
【0039】
頭部22はその表面22aに向かってやや凸状になるように両端から中央に向かって突出しており、頭部22に溝28が形成され、更に固定部20に中空部16が形成されている。したがって、頭部22が被係止部15の幅に合うように変形し、係止部25が被係止部15を乗り越えて弾性復帰する。この状態で、頭部22の係止部25が被係止部15に引っ掛かるようになり、第2空間S2から容易には抜けないように力骨5に固定される。
【0040】
また、同状態で、脚部21が力骨5の幅方向中央に向かって突出し、脚部21の先端が力骨5の開口壁5cの先端よりも幅方向中央側に飛び出した状態となる。
図5に示すように、振れ止め具6を取り付けた力骨5は、パネル材1の端部1aの形状に合わせて嵌合空間Sに嵌合させる。すなわち、力骨5の端部5a,5a間の開口部11を化粧板9の端部9a,9a間の開口部10に合わせて設置する。
【0041】
そうすると、パネル材1の端部1aで力骨5の更に内側にスタッド4の一面をパネル材1の芯材8の端面8aに対向させてちょうど嵌合できる第1空間S1が形成される。
図6に示すように、スタッド4の長手方向(紙面奥行き方向)に延びる端部を隣接させる一方のパネル材1の第1空間S1に向け、対向する壁部を隣接させる他方のパネル材1の第1空間S1に向け、スタッド4とパネル材1とを嵌合させる。
【0042】
スタッド4とパネル材1との嵌合時、力骨5に嵌合させた振れ止め具6の脚部21がスタッド4を嵌合させる第1空間S1に突出しているので、スタッド4は、脚部21と摩擦し脚部21を芯材8側に押し込みつつ嵌合する。この際脚部21は、ゴム等の弾性変形可能な素材で、約1mm前後以下の薄肉に形成されかつ先端に向かって細くなるように形成されているため、スタッド4の挿入に合わせて脚部21が弾性変形する。
【0043】
また、脚部21のうち支持板部24の真ん中の突起26が両側の突起26よりも短く形成されているため、両側の突起26はスタッド4としっかりと摩擦でき、真ん中の突起26は両側の突起26よりも弱く摩擦できる。したがって、複数の突起26で構成される脚部21は、スタッド4との摩擦を適度に調節しつつかつ安定的にスタッド4の面に密接する。
【0044】
また、脚部21がスタッド4に密接することによって、振れ止め具6全体が力骨5側に押し付けられる。しかし、固定部20は、力骨5の被係止部15よりも幅広に形成された支持板部24を有しているため、支持板部24が被係止部15に接触する位置で固定部20がそれ以上力骨5に押しつけられないで止まる。
このようにして、パネル材1とスタッド4とは、力骨5とこれに取り付けられた振れ止め具6とによって、しっかりと固定することが出来る。
【0045】
また、力骨5とスタッド4との間にできる隙間を弾力を以って埋めることができるため、パネル材1とスタッド4とが搖動した際にこれらの間でがたつきが生じるのを抑えることが出来る。したがって、本発明のパネル材1を用いた側壁や間仕切りの品質に対する高い安心感を与えることが出来るという効果を奏する。
【0046】
また、パネル材の振れ止め構造は、振れ止め具6が僅かな相対移動を許すため、パネル材1及びスタッド4に対して徒に負荷をかけることを防止することが出来る。したがって、パネル材1及びスタッド4の劣化を防止することが出来るという効果を奏する。
【0047】
本発明のパネル材の振れ止め構造は、上記実施形態で説明した隣接するパネル材1の端部同士の連結時のみならず、
図7に示すように、窓枠Pを取り付けるための力骨5にも適用することが出来る。
また、
図8に示すように、パネル材1同士を連結させたスタッド4に、ビス等を用いて更にパネル材1に直交する方向にパネル材1を連結させる場合にも本発明のパネル材の振れ止め構造を適用することが出来る。
【0048】
また、本実施形態では、連結材としてスタッド4を用いた例を示したが、連結材はパネル同士を連結させるものであればどのような部材であってもよく、スタッド4に代えて桟を用いたものであってもよい。
【0049】
また、本実施形態では、補助部材として力骨5を用いた例を示したが、補助部材はパネル材1の端部1aに設けられて端部1aを保護又は強化し得るものであればどのような部材であってもよく、例えば化粧材等で振れ止め具6を保持し得るものであってもよい。
【0050】
また、脚部21の突起26は、凸条に形成されたものでなく、中実の柱状に複数形成されたものであってもよく、スタッド4と力骨5との振れを弾性変形、弾性復帰によって僅かには許容しつつ摩擦を以って抑制できるものであればよい。
その他の例として、
図9に示すように、振れ止め具6は、半球状に複数形成された脚部26xを有していてもよい。又は、
図10に示すように、振れ止め具6は、中空部16と同じ方向に延びる貫通孔27を有する半円筒状の脚部26yを有していてもよい。脚部26は、前記実施形態で示した脚部26とその変形例として示した脚部26x,26yなどを混在させた構成であってもよい。
【0051】
また、力骨5を含む補助部材は、上記実施例で示した構造のものに限定されるものではなく、振れ止め具6を補助部材と連結材との間で支持させ得る構造であればよい。また、振れ止め具6の頭部22は、補助部材に形成された凹所にタイトな凹凸嵌合で固定されるもの等、固定が確実にでき得るものであればよい。
【0052】
また、スタッド4等の連結材固定部20を保持又は固定できる構成を有し、力骨5等の補助部材に脚部21を接触させる面を形成していれば、固定部20を連結材に固定し、脚部21を補助部材に接触させてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 パネル材
4 スタッド(連結材)
5 力骨(補助部材)
5b 側壁(壁部)
6 振れ止め具
15 被係止部
20 固定部
21 脚部
25 係止部
26 突起