(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】コレット取外装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/52 20060101AFI20240304BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20240304BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
H01L21/52 F
H01L21/68 B
H01L21/60 311T
(21)【出願番号】P 2019192077
(22)【出願日】2019-10-21
【審査請求日】2022-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】519231500
【氏名又は名称】ハンファ精密機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001601
【氏名又は名称】弁理士法人英和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川島 啓吾
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-147318(JP,A)
【文献】特開2018-206843(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1350550(KR,B1)
【文献】特開2014-056978(JP,A)
【文献】特開平09-011073(JP,A)
【文献】特開2015-136740(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/50-21/52
H01L 21/58
H01L 21/60-21/607
H01L 21/67-21/687
H05K 13/00-13/08
B23Q 3/06- 3/08
B23B 31/00-31/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コレットをコレットホルダから取り外すためのコレット取外装置であって、
コレットを挿通可能な開口部と、この開口部へ突出可能な複数の可動爪と
、前記開口部を含む固定ブロックと、この固定ブロックに回転可能に設けられた回転ブロックとを備え、
前記複数の可動爪は、前記固定ブロックの上面に設けた支点ピンを回転中心として回転可能であり、かつ前記複数の可動爪は案内溝を有し、この案内溝に前記回転ブロックの上面に設けた案内ピンが挿通され、
前記回転ブロックは案内溝を有し、この案内溝に前記支点ピンが挿通され、
前記回転ブロックを一方向に回転させることにより、前記複数の可動爪が前記支点ピンを回転中心として回転し、かつ前記支点ピンが前記回転ブロックの案内溝に沿って案内されると共に前記案内ピンが前記複数の可動爪の案内溝に沿って案内されることにより、前記複数の可動爪が前記開口部へ突出し、
更に、前記回転ブロックの前記一方向への回転を止めるためのストッパを前記回転ブロックとは別部材として備え、このストッパの位置を変更することにより、前記複数の可動爪の前記開口部への突出代の上限を変更する、コレット取外装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コレットをコレットホルダから取り外すためのコレット取外装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コレットは、ダイやフリップチップなどの半導体部品を基板上に搭載するときに使用される吸着治具である。このようなコレットは、コレットホルダの先端(下端)に着脱可能に保持して使用するが、使用に伴いコレットに塵が付着したりコレット自体に傷が付いたりすることから、定期的又は随時にコレットをコレットホルダから取り外して交換する必要がある。
【0003】
コレットをコレットホルダから取り外す技術としては、例えば特許文献1に開示されているように、複数の固定爪又は可動爪をコレットに係合させる技術が知られている。
【0004】
しかし、このように単に複数の固定爪又は可動爪をコレットに係合させるだけの技術では、コレットのサイズが変更になると、そのコレットのサイズに応じて固定爪又は可動爪の位置や形状などを変更する必要があり、同一の装置によってサイズの異なるコレットを取り外すことは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、サイズの異なるコレットを容易に取り外すことのできるコレット取外装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一観点によれば、次のコレット取外装置が提供される。
コレットをコレットホルダから取り外すためのコレット取外装置であって、
コレットを挿通可能な開口部と、この開口部へ突出可能な複数の可動爪と、前記開口部を含む固定ブロックと、この固定ブロックに回転可能に設けられた回転ブロックとを備え、
前記複数の可動爪は、前記固定ブロックの上面に設けた支点ピンを回転中心として回転可能であり、かつ前記複数の可動爪は案内溝を有し、この案内溝に前記回転ブロックの上面に設けた案内ピンが挿通され、
前記回転ブロックは案内溝を有し、この案内溝に前記支点ピンが挿通され、
前記回転ブロックを一方向に回転させることにより、前記複数の可動爪が前記支点ピンを回転中心として回転し、かつ前記支点ピンが前記回転ブロックの案内溝に沿って案内されると共に前記案内ピンが前記複数の可動爪の案内溝に沿って案内されることにより、前記複数の可動爪が前記開口部へ突出し、
更に、前記回転ブロックの前記一方向への回転を止めるためのストッパを前記回転ブロックとは別部材として備え、このストッパの位置を変更することにより、前記複数の可動爪の前記開口部への突出代の上限を変更する、コレット取外装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明のコレット取外装置によれば、可動爪の突出代の上限(以下、「可動爪の突出代の上限」のことを単に「可動爪の突出代」という。)が可変であることから、コレットのサイズに応じて可動爪の突出代を変更することで、サイズの異なるコレットを容易に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態であるコレット取外装置を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のA-A断面図。
【
図2】
図1のコレット取外装置において、可動爪を開口部へ突出させた状態を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に、本発明の一実施形態であるコレット取外装置100を示している。
このコレット取外装置100は、固定ブロック10と、固定ブロック10に回転可能に設けられた回転ブロック20と、固定ブロック10に回転可能に軸支された複数(本実施形態では4つ)の可動爪30とを備えている。
【0011】
可動爪30は具体的には、固定ブロック10の上面に設けた支点ピン11に軸支されており、この支点ピン11を回転中心として回転可能である。また、可動爪30は案内溝31を有しており、この案内溝31に、回転ブロック20の上面に設けた案内ピン21が挿通されている。このような構成により、
図1(a)の状態から回転ブロック20を時計回り方向に回転させると、可動爪30も時計回り方向に回転し、
図2に示すように、可動爪30が開口部40へ突出した状態となる。また、
図2の状態から回転ブロック20を反時計回り方向に回転させると、可動爪30も反時計回り方向に回転し、
図1(a)に示すように、可動爪30が開口部40へ突出しない状態となる。
【0012】
なお、本実施形態において開口部40は回転ブロック20に含まれている。また、開口部40はコレットCを挿通可能な大きさを有している。そして、
図2に示すように可動爪30を開口部40へ突出させることにより、可動爪30がコレットCに係合する。
【0013】
本実施形態において回転ブロック20は案内溝22を有しており、この案内溝22に支点ピン11が挿通されている。
【0014】
本実施形態においてコレット取外装置100は、カバープレート50を更に備えている。このカバープレート50はリング状であり、固定ブロック10及び回転ブロック20の上面を覆うように設けられている。また、カバープレート50は案内溝51を有しており、この案内溝51に案内ピン21が挿通されている。
なお、
図1(a)及び
図2では、カバープレート50を取り外した状態を示しており、案内溝51のみを破線で示している。
【0015】
本実施形態においてコレット取外装置100は、回転ブロック20を回転させるためのアクチュエータとしてエアシリンダ60を更に備えている。このエアシリンダ60は、そのシリンダロッド61の先端が接続治具62を介して回転ブロック20に接続されている。そして、シリンダロッド61を前進させると回転ブロック20は、
図1(a)において時計回り方向に回転する。一方、シリンダロッド61を後退させると回転ブロック20は、反時計回り方向に回転する。
【0016】
本実施形態においてコレット取外装置100は、2つのストッパ71,72を更に備えている。このうちストッパ71は、回転ブロック20の時計回り方向の回転、すなわち可動爪30を開口部40へ突出させる方向の回転を止める。具体的には、
図2に示すように回転ブロック20に設けた当接ピン23がストッパ71に当接することで、可動爪30を開口部40へ突出させる方向の回転ブロック20の回転を止める。したがって、このストッパ71の位置を変更することにより、可動爪30の開口部40への突出代を変更することができる。
一方、ストッパ72は、回転ブロック20の反時計回り方向の回転、すなわち可動爪30を開口部40へ突出させない方向の回転を止める。
【0017】
本実施形態においてコレット取外装置100は、回転ブロック20が原点位置(
図1の位置)に位置することを検出するためのセンサとしてドグセンサ80を更に備えている。このドグセンサ80は、固定ブロック10側に設けた発光部81及び受光部82と、回転ブロック20側に設けた遮光プレート83とを有する。そして遮光プレート83は、回転ブロック20が原点位置に位置するときに発光部81と受光部82との間に位置し、発光部81から受光部82へ向けた光を遮る。これにより、回転ブロック20が原点位置に位置することを検出することができる。
【0018】
次に、このコレット取外装置100によってコレットをコレットホルダから取り外す方法について、
図1及び
図2を参照しつつ説明する。なお、
図1及び
図2においてコレットホルダは図示を省略している。
【0019】
まず、
図1に示すように、コレットホルダに保持されたコレットSを開口部40へ挿通可能とするために、回転ブロック20を原点位置に位置させる。具体的には、エアシリンダ60のシリンダロッド61を後退させて、回転ブロック20に設けた当接ピン23がストッパ72に当接する状態とする。この原点位置では、可動爪30は開口部40へ突出していないので、コレットホルダに保持されたコレットSを開口部40へ挿通することができる。なお、回転ブロック20が原点位置に位置することは、上述のとおりドグセンサ80によって確認することができる。
【0020】
ドグセンサ80によって、回転ブロック20が原点位置に位置することを確認した後、コレットホルダに保持されたコレットSを開口部40へ挿通する。そして、エアシリンダ60のシリンダロッド61を前進させて、回転ブロック20に設けた当接ピン23がストッパ71に当接する状態とする。そうすると、
図2に示すように、可動爪30が開口部40へ突出し、コレットSと係合可能な状態となる。この状態でコレットホルダを上昇させると可動爪30がコレットSの上面に係合し、更にコレットホルダを上昇させると、コレットSがコレットホルダから外れ、開口部40の下方に設置された廃コレット収納ボックス(図示省略)へ落下する。
【0021】
このようにコレット取外装置100においては、可動爪30を開口部40へ突出させてコレットに係合させることにより、コレットをコレットホルダから取り外すが、可動爪30の開口部40への突出代は、上述のとおりストッパ71の位置を変更することにより可変である。したがって、コレットのサイズに合わせて、可動爪30の開口部40への突出代を変更することで、サイズの異なるコレットを容易に取り外すことができる。
【符号の説明】
【0023】
100 コレット取外装置
10 固定ブロック
11 支点ピン
20 回転ブロック
21 案内ピン
22 案内溝
23 当接ピン
30 可動爪
31 案内溝
40 開口部
50 カバープレート
51 案内溝
60 エアシリンダ
61 シリンダロッド
71,72 ストッパ
80 ドグセンサ
81 発光部
82 受光部
83 遮光プレート
C コレット