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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/08 20210101AFI20240304BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20240304BHJP
   H04N 23/51 20230101ALI20240304BHJP
   H04N 23/52 20230101ALI20240304BHJP
   H05K 5/06 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
G03B17/08
G03B17/02
H04N23/51
H04N23/52
H05K5/06 D
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019195787
(22)【出願日】2019-10-29
(65)【公開番号】P2021071496
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】浅井 良和
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-192997(JP,A)
【文献】特開2016-200477(JP,A)
【文献】登録実用新案第3006017(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/08
G03B 17/02
H04M 1/02 - 1/23
H04N 23/51
H04N 23/52
H05K 5/00 - 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の外装部材と、
前記第1の外装部材に組み付けられる第2の外装部材と、
前記第1の外装部材及び前記第2の外装部材により覆われる本体ユニットと、
前記第1および第2の外装部材の合わせ部をシールするシール部材とを有し、
前記シール部材は、断面形状が異なる、第1の領域と第2の領域とを備え、
前記第1の領域には、前記第2の外装部材が前記本体ユニットに組み付けられる方向に沿って突出する第1の突出部が形成され、前記第2の領域には、前記第2の外装部材が前記本体ユニットに組み付けられる方向に対して傾斜した方向に沿って突出し、突出量が前記第1の突出部の突出量よりも大きい第2の突出部が形成されており、
前記第2の領域における前記シール部材の断面形状の幅は、前記第2の外装部材が前記本体ユニットに組み付けられる方向と前記第2の突出部の突出する方向とのなす角度に応じて異なることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記第1の外装部材は、互いに対向して配置された、第1外装部および第2外装部を備え、
前記シール部材は、前記第1外装部と前記第2の外装部材の合わせ部をシールする第1シール部材および前記第2外装部と前記第2の外装部材の合わせ部をシールする第2シール部材を備え、
前記第1および第2シール部材により発生する、前記第2の外装部材が前記本体ユニットに組み付けられる方向に直交する面内方向への力の方向は同一方向であることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第1および第2シール部材により発生する、前記第2の外装部材が前記本体ユニットに組み付けられる方向に直交する面内方向への力は同一であることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記シール部は、前記第2の外装部材に一体成形されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記第2の外装部材は、外部端子または前記外部端子が実装された基板を補助支持するための凸部を備え、
前記第2の外装部材が前記第1の外装部材に組み付けられた場合に前記外部端子または前記基板と前記凸部との隙間が縮小することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記第2の領域では、前記第2の外装部材が前記本体ユニットに組み付けられる方向に直交する面内方向への力が発生することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記第2の突出部は、前記第2の外装部材が前記本体ユニットに組み付けられる方向に対して第1の角度だけ傾斜した方向に沿って突出する第3の突出部と、前記第2の外装部材が前記本体ユニットに組み付けられる方向に対して前記第1の角度より大きい第2の角度だけ傾斜した方向に沿って突出する第4の突出部とを備えることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記第3の突出部の断面形状の幅は、前記第4の突出部の断面形状の幅よりも大きいことを特徴とする請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記電子機器は、光学系によって形成される像を受光する撮像素子を備える撮像装置であることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラやデジタルビデオカメラなどの電子機器に関し、特に外装カバーの合わせ部の防滴構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラなどの携行型の電子機器では、屋外等での使用において水滴や砂ぼこりが機器内部に侵入することを防ぐために、防滴防塵機能を備えるものが知られている。特許文献1には、防滴機能を実現するために、上カバーと下カバーの合わせ部の全周に防水シールを配置しているカメラのアダプタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-37921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のアダプタにおいて、シール溝は平坦ではなく、部分的に傾斜または屈曲している。このため、上カバーと下カバーを組み合わせた場合、カバーの組立ばらつきや変形により、防水シールが密封用突起に当接しないおそれがある。
【0005】
本発明は、外装カバーの組み立てばらつきや変形が発生した場合でも防滴性能を安定化させることが可能な電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としての電子機器は、第1の外装部材と、第1の外装部材に組み付けられる第2の外装部材と、第1の外装部材及び第2の外装部材により覆われる本体ユニットと、第1および第2の外装部材の合わせ部をシールするシール部材とを有し、シール部材は、断面形状が異なる、第1の領域と第2の領域とを備え、第1の領域には、第2の外装部材が本体ユニットに組み付けられる方向に沿って突出する第1の突出部が形成され、第2の領域には、第2の外装部材が本体ユニットに組み付けられる方向に対して傾斜した方向に沿って突出し、突出量が第1の突出部の突出量よりも大きい第2の突出部が形成されており、第2の領域におけるシール部材の断面形状の幅は、第2の外装部材が本体ユニットに組み付けられる方向と第2の突出部の突出する方向とのなす角度に応じて異なることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、外装カバーの組み立てばらつきや変形が発生した場合も防滴性能を安定化させることが可能な電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る電子機器の一例であるデジタル一眼レフカメラの斜視図である。
図2】デジタル一眼レフカメラの分解斜視図である。
図3】デジタル一眼レフカメラの側面図である。
図4図3のP-P線断面図である。
図5】左側カバーのシール部材の断面図である。
図6図3のQ-Q線断面図である。
図7】左側カバーの上面図である。
図8】左側カバーが組み付けられる前のデジタル一眼レフカメラの斜視図である。
図9図3のU-U線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係る電子機器の一例であるデジタル一眼レフカメラ(以下、カメラという)1の斜視図である。図1(a)および図1(b)はそれぞれ、カメラ1を正面側(被写体側、Fr側)および背面側(Rr側)から見た斜視図である。
【0011】
カメラ1の正面側には、レンズユニット(不図示)が着脱可能に装着されるマウント部2が設けられている。マウント部2には、カメラ1とレンズユニットとの間で制御信号、状態信号、およびデータ信号等の通信を可能にし、レンズユニット側に電力を供給するマウント接点3が設けられている。また、カメラ1の正面側には、マウント部2の近接した位置に、解除ボタン4が設けられている。解除ボタン4を押下操作することで、レンズユニットを取り外すことができる。
【0012】
カメラ1の内部には、シャッターユニット20が設けられている。シャッターユニット20は、撮像素子(不図示)に対して、撮影時に光が当たるように、撮影露光時間に応じて開閉可能な構成を有する。
【0013】
カメラ1の正面側から見て左側(R側)の側部には、グリップ部9が設けられている。グリップ部9には、撮影者がカメラ1に対して撮影を指示するためのレリーズボタン10が設けられている。カメラ1の上面側(T側)には、フラッシュ取り付け用のシュー溝12およびフラッシュ接点13が設けられている。
【0014】
カメラ1の背面側には、LCD等の表示モニタ15が設けられている。表示モニタ15の上側には、撮像素子に導かれた被写体光束を観察できるファインダ接眼窓14が設けられている。カメラ1の背面側から見て右側(R側)の側部には、メモリーカードが着脱可能に装着されるカードスロット等を開閉可能に覆うカード蓋30が設けられている。カメラ1の底部側(B側)には、電池の収納部を開閉可能に覆う電池蓋31が設けられている。
【0015】
図2は、カメラ1の分解斜視図である。図2(a)および図2(b)はそれぞれ、カメラ1を正面側および背面側から見た分解斜視図である。
【0016】
本体ユニット40は、正面カバー310、上面カバー320、背面カバー330、底面カバー340、右側カバー350、および左側カバー360により覆われている。本体ユニット40には、画像処理部、メモリ制御部などのシステム制御部、および外部端子を備えるメイン基板550を有する。
【0017】
本体ユニット40、上面カバー320、および背面カバー330は、マグネシウム合金で形成されている。本体ユニット40のグリップ部9の上部には、シール部材45が貼り付けられている。上面カバー320のシール部材45に対向する位置には、シール部材45に当接する当接部321が設けられている。
【0018】
上面カバー320のファインダ接眼窓14の上部に位置する部分には、シール部材325が貼り付けられている。背面カバー330のシール部材325に対向する位置には、シール部材325に当接する当接部331が設けられている。
【0019】
底面カバー340のカメラ1の正面側、背面側、および右側にはそれぞれ、シール部材345,346,347設けられている。正面カバー310のシール部材345に対向する位置には、シール部材345に当接する当接部311が設けられている。背面カバー330のシール部材346に対向する位置には、シール部材346に当接する当接部332が設けられている。右側カバー350のシール部材347に対向する位置には、シール部材347に当接する当接部351が設けられている。
【0020】
右側カバー350は、背面カバー330にRr方向へ取り付けられた状態で本体ユニット40に組み合わされる。右側カバー350の上面側には、シール部材355が設けられている。シール部材355は、背面カバー330の当接部333に当接している。右側カバー350の背面側には、シール部材356が設けられている。シール部材356は、背面カバー330の当接部334に当接している。右側カバー350の正面側には、シール部材357が設けられている。シール部材357は、本体ユニット40の当接部41に当接している。
【0021】
左側カバー360の正面カバー310側には、シール部材365が設けられている。正面カバー310のシール部材365に対向する位置には、シール部材365に当接する当接部312が設けられている。左側カバー360の上面カバー320側には、シール部材(第1のシール部材)366が設けられている。上面カバー320のシール部材366に対向する位置には、シール部材366に当接する当接部322が設けられている。左側カバー360の背面カバー330側には、シール部材367が設けられている。背面カバー330のシール部材367に対向する位置には、シール部材367に当接する当接部335が設けられている。左側カバー360の底面カバー340側には、シール部材(第2のシール部材)368が設けられている。底面カバー340のシール部材368に対向する位置には、シール部材368に当接する当接部341が設けられている。
【0022】
シール部材と当接部が押し付けられることで、合わせ部がシールされる。なお、シール部材と当接部とが設けられている部材は、本実施形態と逆であってもいい。例えば、本実施形態ではシール部材366は左側カバー360に設けられ、当接部322は上面カバー320に設けられているが、シール部材366は上面カバー320に設けられ、当接部322は左側カバー360に設けられていてもよい。
【0023】
シール部材45,325は、例えば、シリコンスポンジやウレタンスポンジなどの材料で形成されている。底面カバー340、右側カバー350、および左側カバー360に設けられたシール部材は、2色成形で形成されている。1次成形材料は合成樹脂が用いられ、2次成形材料はエラストマーやシリコンが用いられて、シール部材345~347,355~357,365~368が一体成形される。
【0024】
以下、図3から図5を参照して、底面カバー(第2の外装部)340と左側カバー(第2の外装部材)360の合わせ部のシール部材368について説明する。図3は、カメラ1の左側カバー360側(L側)から見た側面図である。図4は、図3のP-P線断面図である。図5は、図4のシール部材368の断面図である。図5(a),(b)は、図4のA-A線断面図である。図5(c),(d)は、図4のB-B線断面図である。図5(e),(f)は、C-C線断面図である。
【0025】
図4に示されるように、左側カバー360は、本体ユニット40に対して、R方向へ固定されている。シール部材368は、底面カバー340に当接している。シール部材368を領域368a,368b,368cに分割すると、R方向に対して角度がついている領域368b,368cでは、R方向に直交する面内方向への反発力が発生する。
【0026】
図5(a),(b)はそれぞれ、領域368aが当接部341に当接する前の状態、および領域368aが当接部341に当接した後の状態を示している。図5(a)に示されるように、領域368aは、幅w1、高さh1となっており、傾斜部s1を備える。図5(b)に示されるように、領域368aが本体ユニット40にR方向へ固定されることで、傾斜部s1は当接部341により倒される。これにより、領域368aと当接部341が密着され、防滴性能を満たす。
【0027】
図5(c),(d)はそれぞれ、領域368bが当接部341に当接する前の状態、および領域368bが当接部341に当接した後の状態を示している。図5(c)に示されるように、領域368bは、幅w1、高さh2となっており、傾斜部s2を備える。図5(d)に示されるように、領域368bが本体ユニット40にR方向へ固定されることで、傾斜部s2は当接部341により倒される。これにより、領域368bと当接部341が密着され、防滴性能を満たす。
【0028】
図5(e),(f)はそれぞれ、領域368cが当接部341に当接する前の状態、および領域368cが当接部341に当接した後の状態を示している。図5(e)に示されるように、領域368cは、幅w2、高さh2となっており、傾斜部s3を備える。図5(f)に示されるように、領域368cが本体ユニット40にR方向へ固定されることで、傾斜部s3は当接部341により倒される。これにより、領域368cと当接部341が密着され、防滴性能を満たす。
【0029】
また、領域368a,368b,368cの境界部に関しては、断面形状が徐々に変化していることで滑らかにつながっている。
【0030】
左側カバー360は、本体ユニット40に対してR方向へ固定されている(上面カバー320や底面カバー340などの第1の外装部材に対してR方向へ組み付けられる)ため、R方向に直交する面内方向(例えばFr方向やRr方向)において位置がずれやすい。そのため、図5(a),(c),(e)に示されるように、R方向に直交する面内方向への反発力が発生する領域(一部の領域)368b,368cの高さh2を、反発力を発生させない領域(他の領域)368aの高さh1よりも高くしている。ここで、各領域の高さとは、各領域が底面カバー340に接触する方向の突出量のことである。領域368aの底面カバー340に接触する方向はR方向であり、領域368b,368cの底面カバー340に接触する方向はR方向とは異なる方向である。これにより、図4において左側カバー360の位置がずれた場合でも領域368b,368cを当接部341に確実に当接させることが可能であるため、組み立てばらつきや変形が発生した場合でも防滴性能の劣化の懸念がない。
【0031】
左側カバー360の組立性の安定化のためには、左側カバー360において対向する2辺に位置するシール部材366,368による反発力がR方向に直交する面内方向で略同一方向であることが望ましい。本実施形態では、左側カバー360は、シール部材366,368によりFr方向へガタ寄せされる構成となっている。そのため、組み立て後、左側カバー360が傾かない構成となり、外観の品位を向上させることが可能である。
【0032】
以下、図4図6および図7を参照して、シール部材366,368による反発力を説明する。図6は、図3のQ-Q線断面図である。図7は、左側カバー360の上面図である。
【0033】
領域368aでは、L方向の反発力が発生する。領域368bは図4に示されるように、領域全体の反発力FbがR方向に対して傾斜角θ1だけ傾いた状態で当接部341に当接している。そのため、領域368bでは、L方向の反発力Fb・cosθ1およびFr方向の反発力Fb・sinθ1が発生する。また、領域368cは図4に示されるように、領域全体の反発力FcがR方向に対して傾斜角θ2だけ傾いた状態で当接部341に当接している。そのため、領域368cでは、L方向の反発力Fc・cosθ2およびFr方向の反発力Fc・sinθ2が発生する。
【0034】
シール部材368では、Fr方向の合力Fb・sinθ1+Fc・sinθ2が発生している。また、領域368bの幅w1は領域368cの幅w2より広いため、反発力Fbは反発力Fcより大きい。したがって、反発力Fb・sinθ1,Fc・sinθ2は略等しくなっており、領域368a,368b,368cにおいて、Fr方向へ働く力が均一化されている。また、領域368cのようにR方向に対する傾斜角θ2が大きい場合、領域368cの断面形状の幅w2を縮小し、反発力Fcを小さくしている。これにより、左側カバー360が不用意に変形したりすることを抑えることができる。
【0035】
上述したように、シール部材366が当接部322に当接することで防滴性能を満たす。図6に示されるように、シール部材366を領域366a,366b,366cに分割する。領域366b,366cの断面形状はそれぞれ、図5(e)の領域368cおよび図5(c)の領域368bと類似形状となっている。すなわち、R方向に直交する面内方向への反発力が発生する領域366b,366cの高さをR方向に直交する面内方向への反発力を発生させない領域366aの高さよりも高くしている。ここで、各領域の高さとは、各領域が上面カバー(第1の外装部)320に接触する方向の突出量のことである。領域366aの上面カバー320に接触する方向はR方向であり、領域366b,366cの上面カバー320に接触する方向はR方向とは異なる方向である。
【0036】
領域366aでは、L方向の反発力が発生する。領域366bは図6に示されるように、領域全体の反発力FeがR方向に対して傾斜角θ4だけ傾いた状態で当接部322に当接している。そのため、領域366bでは、L方向の反発力Fe・cosθ4およびFr方向の反発力Fe・sinθ4が発生する。また、領域366cは図6に示されるように、領域全体の反発力FdがR方向に対して傾斜角θ3だけ傾いた状態で当接部322に当接している。そのため、領域366cでは、L方向の反発力Fd・cosθ3およびFr方向の反発力Fd・sinθ3が発生する。シール部材366では、Fr方向の合力Fd・sinθ3+Fe・sinθ4が発生している。
【0037】
したがって、左側カバー360には、シール部材368により底面カバー340側で合力Fb・sinθ1+Fc・sinθ2およびシール部材366により上面カバー320側で合力Fd・sinθ3+Fe・sinθ4がFr方向へ働いている。このため、左側カバー360を本体ユニット40に組み込んだ際に組み付けばらつきや傾きなどが発生しづらく、防滴性能を安定化させることが可能であると共に、正面カバー310と背面カバー330との隙間も一定化され、外観品質が向上する。また、以下の式のようにシール部材366,368による反発力の合力が略同一である場合、左側カバー360は、対向する2辺において等しい力でガタ寄せされるため、周囲の外装カバーに対して傾きにくく均一な隙間とすることができる。
【0038】
Fb・cosθ1+Fb-cosθ2≒Fd-cosθ3+Fe-cosθ4
以下、図8を参照して、左側カバー360と本体ユニット40の外部端子との関係について説明する。図8は、左側カバー360が組み付けられる前のカメラ1の斜視図である。図8(a)および図8(b)はそれぞれ、カメラ1を正面側および背面側から見た斜視図である。
【0039】
カメラ1には図8に示されるように、メイン基板550に実装された、外部機器(不図示)と接続するための外部端子510,520が設けられている。本実施形態では、外部端子510をUSB端子、外部端子520をHDMI(登録商標)端子としている。左側カバー360には、外部端子510,520を保護するための端子保護カバー501が設けられている。図8では、端子保護カバー501は開いている状態である。また、左側カバー360には、外部端子510,520と遊嵌する開口部361,362が設けられている。カメラ1は、外部端子510,520に、ケーブルを接続することで外部機器と入出力を行う。カメラ1のような携行型の電子機器は、外部端子510,520にケーブルを接続した状態で携行されるため、外部端子510,520に意図しない力が加わり破損する懸念がある。左側カバー360には、外部端子510,520の破損を防止するために、R方向へ突出する凸形状の補強リブ(凸部)511,521が設けられている。
【0040】
以下、図9を参照して、補強リブ511,521の効果について説明する。図9は、図3のU-U線断面図であり、端子保護カバー501は開いており、外部端子510にケーブル512が挿入された状態を示している。
【0041】
補強リブ511,521は、メイン基板550の動きを規制するように配置されている。補強リブ511,521の構成はそれぞれ同様である。補強リブ511は、メイン基板550に対して、Rr方向側に配置されており、ケーブル512にRr方向へ引っ張られる力が加わった場合にメイン基板550を補助支持する。補強リブ511とメイン基板550との隙間δが小さいほど、補強リブ511による補助支持の効果は大きくなる。しかしながら、隙間δを小さくし過ぎると、左側カバー360がR方向から組み付けられる際にメイン基板550に衝突し、左側カバー360やメイン基板550が傷ついたり、破損したりするおそれがある。本実施形態では、左側カバー360がR方向から組み付けられる際に、補強リブ511がメイン基板550に対してオーバラップした後、シール部材366,368により左側カバー360と共に補強リブ511がFr方向へガタ寄せされる。したがって、メイン基板550が傷ついたり、破損したりする可能性が小さい状態で左側カバー360が組み付けられた後、隙間δを小さくし、補強リブ511の効果を適正にすることが可能である。
【0042】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0043】
320 上面カバー(第1の外装部材)
340 底面カバー(第1の外装部材)
360 左側カバー(第2の外装部材)
366 シール部材
366a,368a 領域(他の領域)
366b,366c 領域(一部の領域)
368 シール部材
368b,368b 領域(一部の領域)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9