(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】可視化データ生成装置、可視化データ生成システム、及び可視化データ生成方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20240304BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20240304BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2019197855
(22)【出願日】2019-10-30
【審査請求日】2022-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 航
(72)【発明者】
【氏名】安藤 純平
(72)【発明者】
【氏名】伊東 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】小野 利幸
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-070930(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0066005(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの製品に対して製品の状態に関する複数の第1データYi(i=2…N、Nは2以上の整数)が含まれる製造データを取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記第1データYiを解析し、前記第1データYiのそれぞれに対して第1指標値を導出する解析部と、
前記第1指標値に関する情報を表示装置に表示させる第1解析結果表示領域を複数含む可視化データを生成する生成部と、を備え、
前記生成部は、前記第1指標値に基づいて前記第1解析結果表示領域のそれぞれに情報量
及び優先
度を設定し、前記情報量と前記優先
度に基づいて、複数の前記第1解析結果表示領域の表示態様または前記第1解析結果表示領域に含まれる情報の表示態様をそれぞれ設定した前記可視化データを生成する可視化データ生成装置。
【請求項2】
前記生成部は、前記第1指標値に応じた順序で前記表示装置に表示させる複数の前記第1解析結果表示領域を含む可視化データを生成する、
請求項1に記載の可視化データ生成装置。
【請求項3】
前記生成部は、前記第1指標値が大きい順に複数の前記第1解析結果表示領域を含む可視化データを生成する、
請求項2に記載の可視化データ生成装置。
【請求項4】
前記生成部は、複数の前記第1解析結果表示領域の一部または全部を、複数の前記第1解析結果表示領域の他の一部と異なる態様で表示させる可視化データを生成する、
請求項1から3のうちいずれか1項に記載の可視化データ生成装置。
【請求項5】
前記生成部は、複数の前記第1解析結果表示領域のうち、前記情報量が多いこと、または前記優先度が高いことの少なくとも一方が成立する前記第1解析結果表示領域の情報量を多く、または表示面積を大きく設定した前記可視化データを生成する、
請求項1から4のうちいずれか1項に記載の可視化データ生成装置。
【請求項6】
前記解析部は、前記第1データを解析した第1解析データを導出する第1解析部を備え、
前記生成部は、前記第1指標値に基づいて設定した前記情報量と前記優先度の少なくとも一方が予め定められた条件を満たす場合に、前記第1解析データに関する情報を前記表示装置に表示させる可視化データを生成する、
請求項1から5のうちいずれか1項に記載の可視化データ生成装置。
【請求項7】
前記第1指標値は、前記第1データの異常度を表す値である、
請求項1から6のうちいずれか1項に記載の可視化データ生成装置。
【請求項8】
前記第1解析データは、複数の項目を含み、
前記生成部は、設定された前記情報量に応じて前記複数の項目から前記第1解析結果表示領域に表示する項目を選択する、
請求項6に記載の可視化データ生成装置。
【請求項9】
前記可視化データは、前記第1データYiの少なくとも一部を前記表示装置に対して非表示とする、
請求項1から8のうちいずれか1項に記載の可視化データ生成装置。
【請求項10】
前記生成部は、前記第1解析結果表示領域それぞれの前記優先度に応じて、前記第1解析結果表示領域の表示位置を決定する、
請求項1から9のうちいずれか1項に記載の可視化データ生成装置。
【請求項11】
前記生成部は、前記優先度に基づいて、前記第1解析結果表示領域の少なくとも一部を強調表示させる可視化データを生成する、
請求項1から10のうちいずれか1項に記載の可視化データ生成装置。
【請求項12】
前記生成部は、ユーザが入力した指示情報に基づいて、前記第1解析結果表示領域の表示態様または前記第1解析結果表示領域に含まれる情報の表示態様を調整した可視化データを生成する、
請求項1から11のうちいずれか1項に記載の可視化データ生成装置。
【請求項13】
前記解析部は、複数の第1データYiのそれぞれに対して前記第1指標値を導出し、
前記生成部は、複数の前記第1指標値の中からユーザ操作に応じて選択された第1指標値に基づいて、前記第1解析結果表示領域のそれぞれに表示する第1画像の情報量と優先度とのうち少なくとも一方を決定する、
請求項12に記載の可視化データ生成装置。
【請求項14】
前記第1データは、前記製品の状態のそれぞれについて、前記製品の製造工程の種類に関する情報を含み、
前記生成部は、前記製造工程の順に表示させるようユーザの操作を受けた場合には、前記第1解析結果表示領域の表示位置を変更した前記可視化データを生成する、
請求項1から13のうちいずれか1項に記載の可視化データ生成装置。
【請求項15】
前記生成部は、前記優先度に基づいて前記第1データYiそれぞれの前記第1解析結果表示領域を表示させる場合より、前記製造工程の順に表示させるようユーザの操作を受けた場合の方が、多い数の前記第1解析結果表示領域を表示させる前記可視化データを生成する請求項14に記載の可視化データ生成装置。
【請求項16】
前記取得部は、1または複数の第1データYi(i=1…N、Nは1以上の整数)が含まれる製造データを取得し、更に1つの製品に対して製品の製造条件に関する1または複数の第2データCj(j=1…M、Mは1以上の整数)を取得し、
前記解析部は、更に、
前記第2データCjを解析し、前記第2データCjの第2指標値を導出し、
前記可視化データは、前記第2指標値に関する情報を表示装置に表示させる第2解析結果表示領域を少なくとも1つ含み、
前記生成部は更に、
前記第2指標値に基づいて前記第2解析結果表示領域のそれぞれに表示する情報量と優先度の少なくとも一方を設定し、前記第2解析結果表示領域のそれぞれに表示する前記情報量と前記優先度の少なくとも一方に基づいて前記第2解析結果表示領域の表示態様または前記第2解析結果表示領域に含まれる情報の表示態様を設定した前記可視化データを決定する、
請求項1から15のいずれか1項に記載の可視化データ生成装置。
【請求項17】
前記第2指標値は、前記第1データYiと前記第2データCjの組み合わせにおける異常度を表す値である、
請求項16に記載の可視化データ生成装置。
【請求項18】
前記第2指標値は、前記製品の製造条件が前記製品の状態の異常の原因である可能性を示す値である、
請求項16に記載の可視化データ生成装置。
【請求項19】
1つの製品に対して製品の状態に関する複数の第1データYi(i=2…N、Nは1以上の整数)が含まれる製造データを取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記第1データYiを解析し、前記第1データYiのそれぞれに対して第1指標値を導出する解析部と、
前記第1指標値に関する情報を表示装置に表示させる第1解析結果表示領域を複数含む可視化データを生成する生成部と、を備え、
前記生成部は、前記第1指標値に基づいて前記第1解析結果表示領域のそれぞれに情報量と優先度の少なくとも一方を設定し、前記情報量と前記優先度の少なくとも一方に基づいて、複数の前記第1解析結果表示領域の表示態様または前記第1解析結果表示領域に含まれる情報の表示態様をそれぞれ設定した前記可視化データを生成する可視化データ生成装置と、
前記可視化データ生成装置により生成された可視化データに基づく画像を表示する表示装置と、を備える、
可視化データ生成システム。
【請求項20】
前記取得部は、1または複数の第1データYi(i=1…N、Nは1以上の整数)が含まれる製造データを取得し、更に1つの製品に対して製品の製造条件に関する1または複数の第2データCj(j=1…M、Mは1以上の整数)を取得し、
前記解析部は、更に、
前記第2データCjを解析し、前記第2データCjの第2指標値を導出し、
前記可視化データは、前記第2指標値に関する情報を表示装置に表示させる第2解析結果表示領域を少なくとも1つ含み、
前記生成部は更に、
前記第2指標値に基づいて前記第2解析結果表示領域のそれぞれに表示する情報量と優先度の少なくとも一方を設定し、前記第2解析結果表示領域のそれぞれに表示する前記情報量と前記優先度の少なくとも一方に基づいて前記第2解析結果表示領域の表示態様または前記第2解析結果表示領域に含まれる情報の表示態様を設定した前記可視化データを決定する、
請求項19に記載の可視化データ生成システム。
【請求項21】
1つの製品に対して製品の状態に関する複数の第1データYi(i=2…N、Nは1以上の整数)が含まれる製造データを取得し、
取得された前記第1データYiを解析し、前記第1データYiのそれぞれに対して第1指標値を導出し、
前記第1指標値に関する情報を表示装置に表示させる第1解析結果表示領域を複数含む可視化データとして、
前記第1指標値に基づいて前記第1解析結果表示領域のそれぞれに情報量
及び優先
度を設定し、前記情報量及び前記優先
度に基づいて、複数の前記第1解析結果表示領域の表示態様または前記第1解析結果表示領域に含まれる情報の表示態様をそれぞれ設定した前記可視化データを生成する、
可視化データ生成方法。
【請求項22】
前記製造データを取得する際に、1または複数の第1データYi(i=1…N、Nは1以上の整数)が含まれる製造データを取得し、更に1つの製品に対して製品の製造条件に関する1または複数の第2データCj(j=1…M、Mは1以上の整数)を取得し、
前記第1指標値を導出する際に、更に、
前記第2データCjを解析し、前記第2データCjの第2指標値を導出し、
前記可視化データは、前記第2指標値に関する情報を表示装置に表示させる第2解析結果表示領域を少なくとも1つ含み、
前記可視化データを生成する際に、更に、
前記第2指標値に基づいて前記第2解析結果表示領域のそれぞれに表示する情報量
及び優先
度を設定し、前記第2解析結果表示領域のそれぞれに表示する前記情報量
及び前記優先
度に基づいて前記第2解析結果表示領域の表示態様または前記第2解析結果表示領域に含まれる情報の表示態様を設定した前記可視化データを決定する、
請求項21に記載の可視化データ生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、可視化データ生成装置、可視化データ生成システム、及び可視化データ生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製品に生じた異常などを早期に検知し、異常に応じた対策を施すことは製造業において重要である。従来、製品の異常に関する情報をグラフで表したグラフ描画装置がある。このグラフ描画装置で表示されたグラフを見ることにより、製品の異常などを検知しやすくすることができる。しかし、製品の異常などを検知するにあたり、検査する項目が多くなると、異常の見落とし等が発生する場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、製品の異常の見落としなどを抑制することができる可視化データ生成装置、可視化データ生成システム、及び可視化データ生成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の可視化データ生成装置は、取得部と、解析部と、生成部と、を持つ。取得部は、1つの製品に対して製品の状態に関する1または複数の第1データYi(i=1…N、Nは1以上の整数)が含まれる製造データを取得する。解析部は、前記取得部により取得された前記第1データYiを解析し、前記第1データYiのそれぞれに対して第1指標値を導出する。生成部は、前記第1指標値に関する情報を表示装置に表示させる第1解析結果表示領域を少なくとも1つ含む可視化データを生成する。前記生成部は、前記第1指標値に基づいて前記第1解析結果表示領域のそれぞれに情報量と優先度の少なくとも一方を設定し、前記情報量と前記優先度の少なくとも一方に基づいて前記第1解析結果表示領域の表示態様または前記第1解析結果表示領域に含まれる情報の表示態様を設定した前記可視化データを生成する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1の実施形態の可視化データ生成システム1の機能構成を示すブロック図。
【
図2】取得部220が取得した製造データ及び製造条件データの一例を示す図。
【
図3】第1解析部242で実行される処理の一例を示すフローチャート。
【
図4】第1解析情報G(Yi)となる製造データYiの散布図の一例を示す図。
【
図5】第1解析情報G(Yi)となる製造データYiのヒストグラムの一例を示す図。
【
図6】第1解析情報G(Yi)を表す数値データの一例を示す図。
【
図7】第2解析部244で実行される処理の一例を示すフローチャート。
【
図8】第2解析部244で実行される処理の他の一例を示すフローチャート。
【
図9】第2解析情報G(Yi,Cj)を表す数値データの一例を示す図。
【
図10】第2解析情報G(Yi,Cj)を表す数値データの一例を示す図。
【
図11】第2解析情報G(Yi,Cj)となる各製造条件データCjの下での製造データYiの散布図の一例を示す図。
【
図12】第2解析情報G(Yi,Cj)となる各製造条件データCjの下での製造データYiのヒストグラムの一例を示す図。
【
図13】第2解析情報G(Yi,Cj)となる各製造条件データCjの下での製造データYiのヴァイオリンプロットの一例を示す図。
【
図14】表示装置300に表示される画像の一例を示す図。
【
図15】第2の実施形態の可視化データ生成システム2の機能構成を示すブロック図。
【
図16】第2の実施形態の可視化データ生成システム2の機能構成の他の例を示すブロック図。
【
図17】第2の実施形態の表示装置300に表示される画像の一例を示す図。
【
図18】第2の実施形態の表示装置300に表示される画面の他の一例を示す図。
【
図19】第2の実施形態の表示装置300に表示される画面の他の一例を示す図。
【
図20】第2の実施形態の表示装置300に表示される画面の他の一例を示す図。
【
図21】第3の実施形態の可視化データ生成システム3の機能構成を示すブロック図。
【
図22】第3の実施形態の表示装置300に表示される画像の一例を示す図。
【
図23】第3の実施形態の第1画像310の表示態様の遷移を示す図。
【
図24】第3の実施形態の表示装置300に表示される画面の他の一例を示す図。
【
図25】第3の実施形態の表示装置300に表示される画面の他の一例を示す図。
【
図26】第3の実施形態の表示装置300に表示される画面の他の一例を示す図。
【
図27】第3の実施形態の可視化データ生成システム3の機能構成を示すブロック図。
【
図28】第4の実施形態の可視化データ生成システム4の他の機能構成を示すブロック図。
【
図29】第4の実施形態の取得部220が取得した製造工程を含む製造データ及び製造条件データの一例を示す図。
【
図30】第4の実施形態の取得部220が取得した製造工程及びユーザ情報を含む製造データ及び製造条件データの一例を示す図。
【
図31】第4の実施形態の表示装置300に表示される画像の一例を示す図。
【
図32】第5の実施形態の可視化データ生成システム5の機能構成を示すブロック図。
【
図33】可視化データ生成システム10の機能構成を示すブロック図。
【
図34】表示装置300に表示される画像の概要の一例を示す図。
【
図35】表示装置300に表示される画像の概要の他の一例を示す図。
【
図36】表示装置300に表示される画像の概要の他の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の可視化データ生成装置、可視化データ生成システム、及び可視化データ生成方法を、図面を参照して説明する。なお以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。なお、本願でいう「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また、「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば、任意の情報)である。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の可視化データ生成システム1の機能構成を示すブロック図である。
図1に示すように、第1の実施形態の可視化データ生成システム1は、例えば、製造データベース100と、可視化データ生成装置200と、表示装置300と、を備える。可視化データ生成システム1は、製造工場で製造される製品の品質管理を行い、例えば、製品に発生する異常の検知などを行う。製造工場は、例えば、製品の状態を検知するセンサを備えており、製品の状態に関する製造データ及び製品の製造条件に関する製造条件データを可視化データ生成システム1に提供する。
【0009】
製品の状態は、例えば、製品のサイズ(寸法)、電気特性、物理特性などに関する測定値であり、複数の項目を含む。製品の状態の測定値の一部もしくは全部は、製品の出荷判定に用いる検査項目に関する測定値である。また、製品の状態は、測定値そのものに限らず、何らかの判定を行った結果であってもよい。例えば製品の良し悪しに関する5段階評価の整数値や、良否を判定した2値のフラグ等であってもよい。製品の状態は、その他、解析や可視化に有用であるとユーザが判断したものでもよい。製造データは、第1データの一例である。
【0010】
製品の製造条件は、例えば、製品に使用した材料名や、加工や組立てに使用した装置名などの複数の項目を含む。製品の製造条件は、より一般的には、例えば、製造工程管理のための6つの要因として知られている5M1E(Man、Machine、Material、Method、Measurement、Environment)に関する情報であってもよい。製品の製造条件は、例えば、加工者名(Man)、装置名や製造ライン名、加工時の装置の状態(温度や圧力など)(Machine)、材料や部品のIDや名前(Material)、加工方法や加工プログラムの種類(Method)、測定を行った装置名や測定箇所(Measurement)、建屋名や気温や湿度(Environment)であってもよい。製品の製造条件は、例えば、解析や可視化に有用であるとユーザが判断したものでもよい。製造条件データは、第2データの一例である。
【0011】
製造データベース100は、例えば、製造工場により提供される製造データ及び製造条件データを記憶する関係データベース管理システム(RDBMS)である。製造データベース100は、例えば、NoSQL系のデータベースでもよいし、csv等の決められたフォーマットのファイルでもよい。製造データベース100に記憶される製造データには、例えば数千以上の項目が含まれる。製造データ及び製造条件データは、例えば、製品の各個体を識別可能なIDをキーとして製造データベース100に記憶されている。
【0012】
製造データベース100は、例えば、製造工場により製造データ及び製造条件データが提供された場合に、記憶しているデータベースを更新する。製造データベース100は、可視化データ生成装置200の要求に応じて、記憶しているデータベースに含まれる製造データ及び製造条件データを可視化データ生成装置200に出力する。
【0013】
可視化データ生成装置200は、例えば、取得部220と、解析部240と、生成部260と、を備える。可視化データ生成装置200は、例えば、CPU(Central Processing Unit)(コンピュータ)等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め可視化データ生成装置200のHDDやフラッシュメモリ等の記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体(非一過性の記憶媒体)がドライブ装置に装着されることで可視化データ生成装置200のHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。
【0014】
可視化データ生成装置200では、取得部220により製造データ及び製造条件データを取得した後、解析部240においてデータの解析を行い、製造データ及び製造条件データの指標値を導出する。生成部は、解析部240により導出された製造データ及び製造条件データの指標値に基づいて、表示装置300に表示させる各々の製造データ及び製造条件データの解析結果を示す画像の情報量と優先度とを決定し、決定した情報量と優先度とに応じた可視化データを生成して表示装置300に出力する。
【0015】
取得部220は、製造データベース100により送信された製造データ及び製造条件データを取得する。
図2は、取得部220が取得した製造データ及び製造条件データの一例を示す図である。
図2において、縦方向を列と呼び、横方向を行と呼ぶものとする。行方向は、製造データ及び製造条件データの項目を表し、行方向は製品の各個体の製造データ及び製造条件データを表す。列{Yi:i=1・・・N}は製品の状態に関するデータを表す。このデータにおける「N」は、取得した製造データの項目数を表す。列{Cj:j=1・・・M}は製品の製造条件に関するデータを表す。このデータにおけるMは、取得した製造条件データの項目数を表す。
【0016】
取得部220が取得した製造データ及び製造条件データは、製造データベース100に記憶されている場合と同様に製品の各個体を識別可能なIDをキーとしている。各個体に付与されたキーは解析や可視化の結果、異常のあった製品を特定する際に役立つ。製品の特定を必要としない場合は、キーは無くてもよい。製造データベースがcsvなどの場合で、特段のIDが記録されていない場合は、連番などをキーとして付与すればよい。
【0017】
取得部220は、条件を満たす1つ以上(1行以上)の製造データ及び製造条件データを取得する。ここでの条件としては、例えば、解析と可視化の対象とする製品のIDをリスト化した場合に、そのリストに含まれるデータであることである。
図2に示すデータでは、取得したデータの個数(行数)をD個と表す。
【0018】
取得部220が取得するデータとしての条件は、例えば期間でもよい。例えば、任意の1時間や任意の1日などの期間に製造された製品群に対して、定期的に異常の監視を行うため、1時間や1日の間に取得されたデータ(製造された製品)であることを条件としてもよい。製造データベースに、各製品の加工や検査を行った時刻や日付等が記録されている場合、取得部220が取得するデータは、1時間や1日として指定した期間に含まれる製品の製造データとしてもよい。また、予め一定期間や一定個数の製品単位を表す番号や文字列として、ロット番号やロットID等と呼ばれるものが製造データベースに記録されている場合がある。この場合、取得部220が取得するデータとしての条件は、指定したロット番号の製品であることでもよい。その他、ユーザが任意の条件を指定して製品のデータを取得してもよい。
【0019】
解析部240は、例えば、第1解析部242と、第2解析部244と、を備える。第1解析部242は、取得部220が取得した製造データ及び製造条件データのうち、製造データを解析し、製造データYiの指標値と、製造データYiに関する第1解析情報を出力する。なお、本実施例では、製造データYiの指標値は製造データYiの異常度合いを表す数値であり、第1解析情報は、製造データYiの異常度合いに関する数値や図表として説明するが、本発明の範囲はこれに限るものではない。第2解析部244は、取得部220が取得した製造データYi及び製造条件データCjを解析し、製造データYiと製造条件データCjにより決まる指標値と、製造データYiと製造条件データCjに関する第2解析情報を出力する。本実施例では、製造データYiと製造条件データCjにより決まる指標値は製造データYiの異常に対するCjの原因らしさを表す数値とし、第2解析情報は、製造データYiの異常に対する製造条件データCjの原因らしさに関する数値や図表として説明するが、本発明の範囲はこれに限るものではない。第1解析情報は、第1解析データの一例であり、第2解析情報は、第2解析データの一例である。
【0020】
まず、第1解析部242において実行される処理について説明する。
図3は、第1解析部242で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図3に示すように、第1解析部242は、まず、製造データ{Yi:i=1・・・N}について第1指標値F(Yi){i=1・・・N}を算出して導出する(ステップS101)。なお、最初のステップS101における処理では、変数i=1である。
【0021】
続いて、第1解析部242は、製造データ{Yi:i=1・・・N}についての解析結果を示す第1解析情報G(Yi){i=1・・・N}を算出する(ステップS103)。続いて、第1解析部242は、変数iの値がN以上である(i≧N)か否かを判定する(ステップS105)。変数iの値がN以上でない(N未満である)と判定した場合、第1解析部242は、変数iをインクリメントし(ステップS107)、ステップS101の処理に戻る。こうして、全ての製造データYiに対してステップS101及びステップS103の処理を実行し、変数iの値がN以上である(Nである)と判定した場合に、第1解析部242は、
図3に示す処理を終了する。
【0022】
第1の実施形態における第1指標値F(Yi)は、製造データYiの異常度(異常の度合い)を表す指標であり、異常が発生している確率や、異常の大きさを表す。第1の実施形態では、異常率=異常と判定された製品数/全製品数(D個)を第1指標値F(Yi)として用いる。
【0023】
第1解析部242は、製造データYiが異常であると判定するための基準として、製造データYiの値について閾値を予め設定する。第1解析部242は、閾値を超えた製造データYiは異常であると判定する。閾値は、任意の値でよく、例えば、生産管理でよく用いられる、規格値や管理基準値等を用いてよい。規格値は出荷する製品に対して定められた値であり、管理基準値は規格値を確保するために、生産管理上設けられた値である。規格値や管理基準値を閾値として用いることで、指標値F(Yi)がユーザにとって理解しやすくなる。
【0024】
閾値は、予め設定された値ではなく、製造データYiの値に基づいて算出してもよい。例えば、本実施例ではD個のデータを取得しているため、D個のYiの値の少なくとも一部を用いて閾値を決定してもよい。閾値は、例えば、広く知られている標準偏差を用いた方法によって算出してもよい。この場合、例えば、D個の製造データYiの平均と標準偏差を算出し、標準偏差±σを閾値として、製造データYiの各値が、予め定めた標準偏差σの範囲外である場合に、その個体製品は異常であると判定してもよい。閾値は、例えば、±3σや±4σとしてもよく、製造データYiの各値が、±3σや±4σの範囲外である場合に、その個体製品は異常であると判定してもよい。この例では正負で同じ範囲としているが、正負で異なる範囲としてもよい。
【0025】
製造データYiの平均μと標準偏差σの算出にあたっては、通常良く用いられる最小二乗法による推定法を用いてもよい。また、製造データYiには、外れ値が含まれていることが多い。そのため、最小二乗法による推定法ではなく、中央値と四分位数による外れ値に頑健な推定法を用いてもよい。例えば、計測値の中央値を正規分布の平均μとして、閾値を設定してもよいし、標準偏差σ=0.7413×IQR(四分位範囲=第1四分位数と第3四分位数の距離) として、閾値を設定してもよい。
【0026】
あるいは、標準偏差σを用いることなく、予め定めたパーセンタイル点を基準として閾値を決定してもよい。また最近傍法のように、閾値ではなくD個の製造データYiの各値の距離に基づく基準により異常の判定を行ってもよい。これら方式は外れ値検出の基本的な方法であり、その他任意の既存の外れ値検出の方法を用いてもよい。製造データの特徴によっては製造データYiの分布は正規分布に従わない場合がある。その場合、標準偏差σを用いる方法に対し有用である。
【0027】
閾値を複数の製造データYiの値に基づいて算出する方式の場合、規格値や管理基準値といった規定の値を閾値とする方式と比較して、規格値や管理基準値内に発生した異常を検知できる可能性がある。このため、製品の異常をより早期に検知する可能性を高めることができる。
【0028】
製造データYiが数値ではなく何らかの判定を行った結果の場合は、判定結果に対して基準を設けて、指標値とすればよい。例えば、製品の良否を判定した2値のフラグを設定した場合は、否と判定された製品数/全製品数(D個)を異常率とすればよい。また、指標値は異常率に限らずその他の指標を用いてもよい。例えば、製造データYiの平均や標準偏差の大きさ、最大値、最小値などの統計量に対し、ある基準値を設定し、その基準値との差あるいは比などを用いてもよい。
【0029】
第1解析部242は、1つ(単数)の指標値を導出してもよいし、2つ以上(複数)の指標値を導出してもよい。複数の指標値を導出することにより、製造データYiについて、複数の指標で多角的に異常の度合いを評価することができる。その結果、製造データYiの異常の見逃しを低減させることができる。
【0030】
ステップS103において算出される第1解析情報G(Yi)は、ユーザに提示するための第1指標値F(Yi)に関するより詳細な情報であり、例えば、製造データYiの散布図である。
図4は、第1解析情報G(Yi)となる製造データYiの散布図の一例を示す図である。
【0031】
図4に示すように、第1解析情報G(Yi)となる散布図において、縦軸は製造データYiの値、横軸は製品のIDを示す。
図4における各点は、製品一固体の製造データを示す。
図4に示すデータでは、第1閾値TH1を超えたり、第1閾値YH1より小さい第2閾値TH2を下回ったりして異常値と判定される製造データYiは、第1閾値TH1と、第2閾値TH2の間の正常値と判定される製造データYiと異なる色でプロットされる。また、第1閾値TH1と第2閾値TH2とが線で描画されている。これらの製造データYiを示す点や第1閾値TH1、第2閾値TH2を示す線が表示されることにより、製造データYiの分布だけでなく、異常値となる製造データYiの数や、閾値からの距離(閾値から外れる値の大きさ)をユーザが直感的にわかりやすくなり、ユーザに対して異常の度合いを視覚的に訴えることができる。
【0032】
また、
図4に示す散布図において、横軸を製品のIDとすることにより、異常が発生した製品を見分けさせやすくすることができる。したがって、ユーザは、異常が発生した製品を容易に特定することができる。あるいは、
図4に示す散布図において、異常が発生した時刻を横軸としてもよい。この場合、異常が発生した時刻(時間帯)を見分けさせやすくすることができる。したがって、ユーザは、異常が発生した時刻(時間帯)を容易に特定することができる。
【0033】
第1解析情報G(Yi)は、散布図以外の図等の情報であってもよい。例えば、第1解析情報G(Yi)は、ヒストグラムであってもよい。
図5は、第1解析情報G(Yi)となる製造データYiのヒストグラムの一例を示す図である。あるいは、第1解析情報G(Yi)は、箱ひげ図やヴァイオリンプロット等の図であってもよい。また、第1解析情報G(Yi)は、図ではなく、数値データであってもよい。
図6は、第1解析情報G(Yi)を表す数値データの一例を示す図である。あるいは、第1解析情報G(Yi)は、解析に含まれる製品の数や異常と判定されたセルの数、その他基本的な数値データであってもよい。第1解析情報G(Yi)がこれらの数値データで表されることにより、ユーザは数値データも含めて異常について考察をすることができる。
【0034】
第1解析部242は、1つ(単数)の第1解析情報G(Yi)を導出してもよいし、2つ以上(複数)の第1解析情報G(Yi)を導出してもよい。複数の第1解析情報G(Yi)を導出することにより、製造データYiについて、複数の指標で多角的に異常の度合いを評価することができる。その結果、異常の見落としを抑制し、ユーザを好適に支援することができる。
【0035】
続いて、第2解析部244において実行される処理について説明する。第2解析部244では、製造データYiごとに、組みあわせに用いる製造条件データCjの種類を変える。具体的には、第2解析部244は、各製造データYiに対し、組み合わせる製造条件データCjのリストを作成し、そのリストに含まれる製造条件データCjに対してのみ、指標値の計算と解析情報の生成を行う。第2解析部244は、製造データ{Yi:i=1・・・N}と製造条件データ{Cj:j=1・・・M}を組み合わせることで、異常の要因を特定するための解析を行う。
【0036】
ここで、例えば、製造データYiと製造条件データCjの関係が独立である場合や、予め要因の候補を絞り込むための事前知識があるなどの場合には、ある製造データYiに対し全ての製造条件データCjを異常の要因候補に含めなくてもよい。この場合、各製造データYiに対し、必要な製造条件データCjのみ解析を行うことで、計算コストを削減することができる。
【0037】
また、一つの製造データYiに対し、複数の製造条件データCjを組み合わせて解析を行ってもよい。製品の製造について一つの製造データYiの異常に対し、複数の製造条件データCjの組み合わせが原因である場合が考えられる。例えば製造装置の製造条件データCj1と製造材料の製造条件データCj2の特定の組み合わせが製造データYiの異常の原因となることが考えられる。この場合は、例えば、製造装置の製造条件データCj1と製造材料の製造条件データCj2の2つを組み合わせた要因(製造装置の製造条件データCj1及び製造材料の製造条件データCj2)を1つの要因(製造条件データCj)として扱えばよい。ここで、要因(製造条件データCj)の組み合わせは、2つまたは3つ以上でもよい。
【0038】
図7は、第2解析部244で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図7に示すように、第2解析部244は、製造データ{Yi:i=1・・・N}と製造条件データ{Cj:j=1・・・M}の全ての組み合わせについて、第2指標値F(Yi,Cj){j=1・・・N}を算出して導出する(ステップS201)。なお、最初のステップS201における処理では、変数i,j=1である。
【0039】
続いて、第2解析部244は、製造データ{Yi:i=1・・・N}及び製造条件データ{Cj:j=1・・・M}についての解析結果を示す第2解析情報G(Yi,Cj){i=1・・・N}を算出する(ステップS203)。続いて、第2解析部244は、変数jの値がM以上である(i≧M)か否かを判定する(ステップS205)。変数jの値がM以上でない(N未満である)と判定した場合、第2解析部244は、変数jをインクリメントし(ステップS207)、ステップS201の処理に戻る。
【0040】
変数jの値がM以上であると判定した場合、第2解析部244は、変数iの値がN以上である(i≧Nとなった)か否かを判定する(ステップS209)。変数iの値がN以上でない(N未満である)と判定した場合、第2解析部244は、変数iをインクリメントし(ステップS211)、ステップS201の処理に戻る。こうして、全ての製造条件データCj
、製造データYiに対してステップS201及びステップS203の処理を実行し、変数jの値がM以上、変数iの値がN以上である(Nである)と判定した場合、第2解析部244は、
図7に示す処理を終了する。
【0041】
第2解析部244は、
図8に示す手順で同様の処理を行ってもよい。
図8は、第2解析部244で実行される処理の他の一例を示すフローチャートである。
図8に示すように、第2解析部244は、まず、製造データ{Yi:i=1・・・N}と組み合わせる製造条件データ{Cj:j=1・・・M}のリストを作成する(ステップS301)。なお、最初のステップS201における処理では、変数i,j=1である。続いて、第2解析部244は、製造データ{Yi:i=1・・・N}と製造条件データ{Cj:j=1・・・M}の全ての組み合わせについて、第2指標値F(Yi,Cj){j=1・・・N}を算出して導出する(ステップS303)。
【0042】
続いて、第2解析部244は、製造データ{Yi:i=1・・・N}及び製造条件データ{Cj:j=1・・・M}についての解析結果を示す第2解析情報G(Yi,Cj){i=1・・・N}を算出する(ステップS305)。続いて、第2解析部244は、製造条件データCjのリストが空であるか否かを判定する(ステップS307)。
【0043】
製造条件データCjのリストが空でないと判定した場合、第2解析部244は、第2指標値F(Yi,Cj)及び第2解析情報G(Yi,Cj)を算出した製造条件データCjをリストから削除し(ステップS309)、ステップS301の処理に戻る。製造条件データCjのリストが空であると判定した場合、第2解析部244は、変数iの値がN以上である(i≧Nとなった)か否かを判定する(ステップS311)。変数iの値がN以上でない(N未満である)と判定した場合、第2解析部244は、変数iをインクリメントし(ステップS313)、ステップS301の処理に戻る。変数iの値がN以上である(Nである)と判定した場合、第2解析部244は、
図8に示す処理を終了する。
【0044】
第1の実施形態における第2指標値F(Yi,Cj)は、製造データYiと製造条件データCjとを組み合わせることで明らかになる異常度(異常の度合い)を表す指標であり、異常が発生している確率や、異常の大きさをあらわす。第1の実施形態では、製造データYiの異常に対し、製造条件データCjがその発生原因である可能性を表すものとする。
【0045】
第1の実施形態において、第2指標値F(Yi,Cj)は、異常と判定された製品の、特定の製造条件への偏りとする。以下、ある製造条件データCjが装置の種類を表す場合について、
図9及び
図10を用いて説明する。
図9及び
図10は、第2解析情報G(Yi,Cj)を表す数値データの一例を示す図である。
【0046】
本実施例の製品は、製造工程の中で、装置A、装置B、装置Cのいずれかによって加工されるものとする。ここで、製造データYiが異常と判定された製品数を装置ごとに数え上げる。異常の判定には、解析部240における処理の説明で述べた方法のいずれかを用いる。
図9及び
図10に示す第2解析情報G(Yi,Cj)の例では
図9に示す結果に比べて、
図10に示す結果の方が、異常と判定された製品が特定の装置に偏っている。ここでは、
図10に示す結果が発生した場合、装置Bが異常発生の要因である可能性があることが示唆される。解析部240は、この偏りの大きさを指標値として用いる。例えば、偏りの大きさを指標値としては、(最大偏り率)=(異常と判定された製品の最大値)/(異常と判定された製品の総和)を用いることができる。この場合、
図9に示す結果の最大偏り率は20/60≒0.33、
図10の最大偏り率は50/60≒0.83となる。
【0047】
さらには、解析部240は、異常と判定された製品が特定の装置に偏る際等の偏りを統計的検定の枠組みで定式化し、飛び値の原因候補となる製造条件を推定してもよい。解析部240は、まず、その装置で製造した製品数、装置ごとに異常と判定された数(以下「異常数」という)とを数え上げる。次に、解析部240は、装置の種類数をK、製品数をNi{i=1,2、・・・K}、異常数をOi{i=1,2、・・・K}と表す。また、解析部240は、総製品数Nを下記(1)式、異常と判定された全ての製品の数(総異常数)Noを下記(2)式で表す。
【数1】
【0048】
次に、解析部240は、第2指標値F(Yi,Cj)を計算する。第2指標値F(Yi,Cj)は、例えば、先に述べたように、統計的検定手法を用いて算出する。具体的には、まず、解析部240は、解析の対象としている製造データYiを母集団と見なし、「異常な製品は、母集団から無作為抽出された」という帰無仮説を立てる。次に、解析部240は、帰無仮説を検定し、p値を計算する。p値が小さいほど、仮説が棄却される可能性が高い。すなわち異常の発生は無作為抽出とは言えない、ということであり、製造条件データCjが製造データYiの異常の原因に関連する可能性が高いとみなす。解析部240は、検定にG検定を用いる。G検定は尤度比検定の一種で、これまでカイ二乗検定が用いられていた場面で広く用いられつつある。G検定では、まず下記(3)式に示すG値を計算する。
【数2】
【0049】
(3)式において、E
iは帰無仮説で期待される製品の数であり、下記(4)を用いて求めることができる。
【数3】
【0050】
(4)式において、P(i)は期待確率であり、帰無仮説が成立する場合に、項目i(i番目の装置)で異常と判定された製品が発生する確率である。確率値の真値は分からないため、解析部240は、解析の対象とする製品数の度数分布Ni/Nで近似する。次に、解析部240は、カイ二乗分布f(x,k)を用いて、G値に対応するp値を下記(5)式で計算する。
【数4】
【0051】
(5)式において、k=K-1であり、カイ二乗分布の自由度を表す。カイ二乗分布は自由度kが大きいほどp値が小さくなりにくい。Kに対し異常と判定された製品の数が少ない場合、無作為抽出だとしても偏りが生じるが、上記の性質により項目数を考慮して、偏りの有意性が評価される。解析部240は、この場合のp値を第2指標値F(Yi,Cj)とする。
【0052】
また、第2指標値F(Yi,Cj)としては、偏りを定量化するにあたってp値を用いているが、p値でなく、効果量を用いてもよい。また、上記の例では、解析部240は、製品の偏りを定量化しているが、他の態様により第2指標値F(Yi,Cj)を求めてもよい。例えば、解析部240は、分散分析によるp値、あるいは効果量(F値)を用いてもよい。また、解析部240は、製造データYiと製造条件データCjとの相関係数を予め求めておき、その相関係数を第2指標値F(Yi,Cj)としてもよい。特に、製造条件データCjが連続値である場合には、解析部240は、製造データYiと製造条件データCjとの相関係数を第2指標値F(Yi,Cj)とするのが好適である。
【0053】
ステップS203、ステップS303において算出される第2解析情報G(Yi,Cj)は、ユーザに提示するための第2指標値F(Yi,Cj)に関するより詳細な情報であり、例えば、各製造条件データCjの下での製造データYiの散布図である。
図11は、第2解析情報G(Yi,Cj)となる各製造条件データCjの下での製造データYiの散布図の一例を示す図である。
図11に示す第2解析情報G(Yi,Cj)では、製造条件データCjを、装置の種類を表すものとしている。
【0054】
図11の縦軸は製造データYiの値、横軸は製造条件データCjとしての製品の種類を示す。
図11における各点は、製品の一個体を示す。さらに、
図11には、第2指標値F(Yi,Cj)に関する情報が含まれる。
図11では、異常と判定された製品の、特定の製造条件への偏りを示している。そのため、
図11では、異常と判定するための閾値として、第1閾値TH1と第2閾値TH2とが線で描画し、特定の製造条件への偏り率を折れ線グラフで図示している。また、偏りが大きい製造条件の分布の色を変えて強調している。このため、製造データYiの分布と、製造条件データCjごとの偏りが直感的に分かりやすくなり、ユーザに異常の度合いを視覚的に訴えることができる。
【0055】
第2解析情報G(Yi,Cj)は、散布図以外の図等の情報で示されてもよい。例えば、
図12に示すように、第2解析情報G(Yi,Cj)は、ヒストグラムであってもよい。また箱ひげ図や
図13に示すヴァイオリンプロット等の図を用いてもよい。第2解析情報G(Yi,Cj)がこれらの図等によって表示されることにより、製造条件ごとの分布が分かりやすくなる。
【0056】
第1の実施形態では、製造条件データCjがカテゴリカルなデータであるものとして説明したが、製造条件データCjは数値データであってもよい。その場合、
図11に示す散布図等を第2解析情報G(Yi,Cj)として生成してもよい。また、第2指標値F(Yi,Cj)に関する情報として、回帰直線や相関係数などを表示してもよい。
【0057】
第1の実施形態では、第2解析部244は、1種類の解析結果を生成するが、複数種類の解析結果を生成してもよい。複数の解析結果を生成することで、異常の見落としを抑制し、ユーザを支援することができる。
【0058】
生成部260は、第1解析部242で導出した製造データYiの指標値に基づいて、第1解析情報G(Yi)を示す画像を含む第1画像の情報量と優先度を決定する。生成部260は、第2解析部244で導出した製造条件データCjの指標値に基づいて、第2情報データを示す画像を含む第2画像の情報量と優先度を決定する。生成部260は、決定した第1画像及び第2画像の情報量と優先度とに応じた可視化データを生成し、表示装置300に出力する。
【0059】
続いて、生成部260における処理について説明する。生成部260は、第1指標値F(Yi)に関する情報と、第2指標値F(Yi,Cj)に関する情報を含む可視化データを生成する。生成部260は、第1画像を表示する表示装置300における第1解析結果表示領域(以下「第1表示領域」という)と、第2画像を表示する表示装置300における第2解析結果表示領域(以下「第2表示領域」という)の情報を可視化データに含めて可視化データを生成する。生成部260は、第1表示領域及び第2表示領域を複数設けるデータを生成する。生成部260は、第1画像として第1表示領域のそれぞれに表示する情報量とその表示優先度を第1指標値F(Yi)に基づいて決定し、第2画像として第2表示領域のそれぞれに表示する情報量とその表示優先度を第2指標値F(Yi,Cj)に基づいて決定する。可視化データは、表示装置300に画像を表示させる図面データとしてもよいし、その他、表示装置300で表示可能なデータ形式、例えば、html、xml、jsonなどのデータ形式としてもよい。
【0060】
表示装置300は、例えば、液晶ディスプレイなどからなる。表示装置300は、生成部260により送信される可視化データに基づいて、第1画像及び第2画像を表示する。表示装置300の画面には、第1表示領域及び第2表示領域が設定される。第1画像は、表示装置300に第1表示領域に表示され、第2画像は、表示装置300に第2表示領域に表示される。
図14は、表示装置300に表示される画像の一例を示す図である。以下、
図14に示す画面等を参照して、生成部260の動作について説明する。生成部260は、以下に説明する表示装置300における画面300Aに、
図14に示すような画像を表示させるための可視化データを生成する。
【0061】
図14に示すように、表示装置300における画面300Aには、複数の第1画像310を表示する第1表示領域と、第2画像320を表示する第2表示領域と、が設定される。また、画面300Aの左上部には、解析対象を特定する解析対象画像300Xが表示される。
図14に示す例において、表示装置300における画面300Aには、第1段第1画像310A~第4段第1画像310Dがそれぞれ表示される第1段第1表示領域~第4段第1表示領域が設定される。第1の実施形態では、表示される第1表示領域は4つであるが、表示される第1表示領域は、1つから3つのいずれかでもよいし、6つ以上でもよい。
【0062】
このうち、第1段第1表示領域に表示される第1段第1画像310Aには、計測値名画像311、第1指標値画像312、第1解析情報画像313、及び第2画像320が表示される。第2段第1画像310B~第4段第1画像310Dには、計測値名画像311及び第1指標値画像312が表示される。計測値名画像311は、製造データYiにおける計測項目の名称(計測値名)を示す画像である。第1指標値画像312は、第1指標値F(Yi)を示す画像である。第1解析情報画像313は、第1解析情報G(Yi)を示す画像である。
【0063】
第1段第1画像310Aに表示される第2画像320には、第1段第2画像320A~第3段第2画像320Cが含まれ、表示装置300における画面300Aにおける第1段第1表示領域には、第1段第2画像320A~第3段第2画像320Cがそれぞれ表示される第1段第2表示領域~第3段第2表示領域が設定される。第1の実施形態では、3つの第2表示領域が表示されるが、第2表示領域は1または2つでもよいし、3つ以上でもよい。
【0064】
このうち、第1段第2表示領域に表示される第1段第2画像320Aには、製造条件名画像321、第2指標値画像322、及び第2解析情報画像323が表示される。第2段第2画像320B及び第3段第2画像320Cには、製造条件名画像321及び第2指標値画像322が表示される。以下、各項目の内容について説明する。
【0065】
第1画像310は、複数(N個)の製品について、製造データ{Yi:i=1・・・N}のそれぞれに関する情報を示す画像であり、第1表示領域は、第1画像310を表示する領域である。このため、生成部260は、可視化データとして、第1画像310及び第1画像310を表示する第1表示領域を設定するためのデータを生成する。生成部260は、第1画像310として、計測値名画像311、第1指標値画像312、及び第1解析情報画像313のうちの少なくとも一つを含む画像を表示させる可視化データを生成する。
【0066】
N個の第1画像310について、表示装置300の画面300Aにそのすべてを表示してもよいが、画面300Aの面積等の関係から、表示する第1画像310の表示面積や数が制限される場合がある。このため、生成部260は、複数の第1画像310について、表示される製造データYiの第1指標値F(Yi)に基づいて、第1画像310の情報量及び優先度を設定する。
【0067】
生成部260は、例えば、第1画像310の情報量として、第1指標値F(Yi)が大きい製造データYiを表示する第1画像310の方が、第1指標値F(Yi)が大きい製造データYiを表示する第1画像310よりも表示する情報量を多くする。そのため、生成部260は、例えば、以下のような取り扱いをしてもよい。生成部260は、第1画像310に表示される製造データYiの第1指標値F(Yi)に第1閾値と、第1閾値より小さい第2閾値とを設定する。生成部260は、製造データYiの第1指標値F(Yi)が第1閾値よりも大きい場合に、第1画像310として計測値名画像311、第1指標値画像312、及び第1解析情報画像313を表示させる。また、生成部260は、表示装置300に表示される製造データYiの第1指標値F(Yi)が第1閾値以下であり第2閾値よりも大きい場合に、第1画像310として計測値名画像311及び第1指標値画像312を表示する。また、生成部260は、表示装置300に表示される製造データYiの第1指標値F(Yi)が第2閾値以下である場合に、第1画像310として計測値名画像311を表示する。あるいは、生成部260は、表示装置300に表示される製造データYiの第1指標値F(Yi)が特定の閾値より小さい第1画像310については非表示とするようにしてもよい。この場合には、生成部260は、表示される製造データYiの第1指標値F(Yi)が特定の閾値より小さい旨を第1画像310に代えて表示装置300に表示させるようにしてもよい。また、生成部260は、第1画像310として、表示する情報量が多くなる場合には、表示する情報量が少ない場合よりも、表示面積を大きくしてもよい。例えば、
図14に示す第1段第1画像310Aは、第2段第1画像310Bよりも表示する情報量が多い。この場合に、生成部260は、第1段第1画像310Aの表示面積を第2段第1画像310Bの表示面積よりも大きくしてもよい。
【0068】
また、第1画像310の優先度として、生成部260は、例えば、第1指標値F(Yi)が大きい製造データYiを表示する第1画像310の方が、第1指標値F(Yi)が小さい製造データYiを表示する第1画像310よりも優先度を高くする。この場合、生成部260は、第1画像310について、優先度の高い順に上段から並べて表示装置300に表示させてもよい。また、生成部260は、優先度の高い第1画像310については、表示領域の表示態様を調整したり、第1表示領域を強調して強調表示させたりしてもよい。表示領域の表示態様を調整したり、第1表示領域を強調して強調表示させたりする態様としては、表示領域を特定の色、例えば赤色で囲んで表示させてもよいし、各項目の名称、例えば製造データ名を太字で表示させてもよい。また、表示領域の形状、大きさ、輝度等を調整したり、静止画と動画とを分けたりしてもよい。また、生成部260は、第1指標値F(Yi)が大きい製造データYiを示すものとして、警告や注意のマークを表示させてもよいし、これらのマークを特定の色、例えば赤色で表示させてもよい。また、生成部260は、優先度の低い第1画像310については、第1表示領域を薄くするなどして目立たないようにさせてもよい。生成部260は、優先度の高さについて、閾値を設定して、閾値を超えるか閾値以下であるかなどを基準として決定してもよい。また、複数の第1画像310に表示させるにあたり、生成部260は、第1画像310の優先度に応じて第1画像310の表示位置を決定し、優先度の高い第1画像310については、優先度の低い第1画像310よりも見やすい位置に表示させる。例えば、
図14に示す例では、第1段第1画像310Aが第2段第1画像310Bよりも優先度が高く、生成部260は、第2段第1画像310Bより上段でユーザから見やすい位置に第1段第1画像310Aを表示させる。
【0069】
また、生成部260は、M個の第2画像320を第1画像310の内側に表示させる。ここで、生成部260は、第1画像310の内側にM個の第2画像320のすべてを表示させてもよいが、画面300Aの面積等の関係から、表示する第2画像320の表示面積や数が制限する場合がある。このため、生成部260は、複数の第2画像320について、表示される製造データYiの第2指標値F(Yi,Cj)に基づいて、第2画像320の情報量及び優先度を設定する。
【0070】
第2画像320は、複数(N個)の製品と複数(M個)の製造条件の組み合わせについて、製造データ{Yi:i=1・・・N}と製造条件データ{Cj:j=1・・・M}の組み合わせのそれぞれに関する情報を示す画像である。第2画像320に表示される第2解析情報G(Yi,Cj)は、製造データYiを関連付けて表示される。
図14に示す例では、第2画像320が第1画像310内に表示されることにより、製造データYiとの間での関連付けが行われる。この場合、製造データYiとの関連が視覚的に分かりやすくなる。また、表示する製造データ名は製造条件データCjの名前だけでもよい。
【0071】
第2表示領域は、第2画像320を表示する領域である。このため、生成部260は、第2画像320及び第2画像320を表示する第2表示領域を設定するための可視化データを生成する。生成部260は、第2画像320として、製造条件名画像321、第2指標値画像322、及び第2解析情報画像323のうちの少なくとも一つを含む画像を表示させる。製造条件名画像321は、製造条件の項目の名称(製造条件名)を示す画像である。ここでの製造条件は、例えば、製品に生じた異常の原因となる条件である。第2指標値画像322は、第2指標値F(Yi,Cj)を示す画像である。第2解析情報画像323は、第2解析情報G(Yi,Cj)を示す画像である。
【0072】
生成部260は、例えば、第2画像320の情報量として、第2指標値F(Yi,Cj)が大きい製造データYiを表示する第2画像320の方が、第2指標値F(Yi,Cj)が大きい製造データYiを表示する第1画像310よりも表示する情報量を多くする。例えば、以下のような取り扱いをしてもよい。生成部260は、第2画像320に表示される第2指標値F(Yi,Cj)に第1閾値と、第1閾値より小さい第2閾値とを設定する。表示される第2指標値F(Yi,Cj)が第1閾値よりも大きい場合に、第1画像310として製造条件名画像321、第2指標値画像322、及び第2解析情報画像323を表示させる。また、生成部260は、第2指標値F(Yi,Cj)が第1閾値以下であり第2閾値よりも大きい場合に、第2画像320として製造条件名画像321及び第2指標値画像322を表示させる。また、生成部260は、第2指標値F(Yi,Cj)が第2閾値以下である場合に、第2画像320として製造条件名画像321を表示させる。あるいは、生成部260は、表示される第2指標値F(Yi,Cj)が特定の閾値より小さい第2画像320については非表示とするようにしてもよい。この場合には、第2指標値F(Yi,Cj)が特定の閾値より小さい旨を第2画像320に代えて表示させるようにしてもよい。また、生成部260は、第2画像320として、表示する情報量が多くなる場合には、表示する情報量が少ない場合よりも、表示面積を大きくしてもよい。例えば、
図14に示す第1段第2画像320Aは、第2段第2画像320Bよりも表示する情報量が多い。この場合に、生成部260は、第1段第2画像320Aの表示面積を第2段第2画像320Bの表示面積よりも大きくしてもよい。
【0073】
また、第2画像320の優先度として、生成部260は、例えば、第2指標値F(Yi,Cj)が大きい製造条件データCjを表示する第2画像320の方が、第2指標値F(Yi,Cj)が小さい製造条件データCjを表示する第2画像320よりも優先度を高くする。この場合、生成部260は、第2画像320について、優先度の高い順に上段から並べて表示させてもよい。また、生成部260は、優先度の高い第2画像320については、第2表示領域を強調して強調表示させてもよい。表示領域を強調する態様としては、表示領域を特定の色、例えば赤色で囲んでもよいし、各項目の名称、例えば製造条件データ名を太字で表示してもよい。また、生成部260は、第2指標値F(Yi,Cj)が大きい製造条件データCjを示すものとして、警告や注意のマークを表示させてもよいし、これらのマークを特定の色、例えば赤色で表示させてもよい。また、生成部260は、優先度の低い第2画像320については、第2表示領域を薄くするなどして目立たないようにしてもよい。優先度の高さについては、閾値を設定して、閾値を超えるか閾値以下であるかなどを基準として決定してもよい。また、複数の第2画像320を画面300Aに表示させるにあたり、生成部260は、第2画像320の優先度に応じて第2画像320の表示位置を決定し、優先度の高い第2画像320については、優先度の低い第2画像320よりも見やすい位置に表示させる。例えば、
図14に示す例では、生成部260は、第1段第2画像320Aが第2段第2画像320Bよりも優先度が高く、第1段第2画像320Aが第2段第2画像320Bより上段でユーザから見やすい位置に表示させる。
【0074】
また、生成部260は、第1画像310に含める第2画像320として表示させる製造条件データCjを、第1画像310に表示される製造データYiとの相関関係に基づいて決定してもよい。例えば、特定の製造データYiにおいて、発生しやすい製造条件データCjに基づく異常がある場合に、その製造データYiを表示する第1画像310では、異常が発生しやすい製造条件データCjの優先度を高めて第2画像320として表示させるようにしてもよい。あるいは、製造条件データCj同士の相関関係において、異常が発生しやすい製造条件データがある場合に、生成部260は、それらの製造条件データCjの優先度を高めて第2画像320として表示させるようにしてもよい。
【0075】
また、第1の実施形態では、第1指標値F(Yi)と第2指標値F(Yi,Cj)との関係として、情報量や優先度を設定する際には、生成部260は、第1指標値F(Yi)を第2指標値F(Yi,Cj)よりも優先させている。これに対して、情報量や優先度を設定する際に、生成部260は、第2指標値F(Yi,Cj)を第1指標値F(Yi)よりも優先させてもよい。例えば、生成部260は、ある製造データYi及び製造条件データCjについて、第1指標値F(Yi)に基づいて、第1画像310を非表示とする判定がされた場合でも、第2指標値F(Yi,Cj)に基づく判定で第2画像320を非表示としない判定がされた場合には、第1画像310の情報量を多くして、第1画像310に表示させる項目のうち、計測値名画像311、第1指標値画像312、第1解析情報画像313、及び第2画像320の一部または全部を表示させるようにしてもよい。
【0076】
第1の実施形態によれば、可視化データ生成装置200は、製品の状態に関する製造データを取得する取得部220と、取得部220により取得された製造データを解析し、製造データの第1指標値F(Yi)を導出する解析部240と、製造データに関して表示装置300に表示させる第1画像の情報量と優先度とのうち少なくとも一方を第1指標値F(Yi)に基づいて決定し、決定した情報量と優先度とのうち少なくとも一方に応じた可視化データを生成する生成部260と、を備えるので、製品の異常の見落としなどを抑制することができる。
【0077】
製造業においては、一般的に、製品の異常を早期に検知するために製造の過程で製造データを取得、監視することにより異常を検知する取り組みがなされている。このような取り組みを行うにあたり、製造データの内容は様々であるが、例えば、製品の製造条件に関するデータとして、使用した材料名や装置名を記録したり、製品の状態に関するデータとして、サイズや電気特性、物理特性などを計測して記録したりする。通常、これらのデータは、製品の各個体を識別可能な情報であるIDやシリアル番号などと関連付けて記録する。
【0078】
製品の検査データの各項目を監視することで、製品や装置の異常を検知できる可能性がある。例えば、ある期間に製造した製品群の中で、一部の製品の検査データの値が、通常の値とは異なる値であった場合、その製品には異常が発生している可能性がある。この場合、製造データを精査しその原因を探る。例えば、その一部の製品が特定の装置でのみ製造されていたとすると、その装置が異常発生の原因である可能性がある。
【0079】
製品を完成させるまでに必要な工程や、使用する装置の数が多いほど、監視が必要なデータは増加する。また、IoT(Internet of Things)技術の発達により、製造に関する様々なデータを容易に取得可能になり、製造データの項目が著しく増加している。これにより、人手による製造データの監視が困難になっている。製造データの解析及び可視化の自動化により、ユーザによる監視の支援を行うシステムなどが要求されている。このようなユーザによる製造データ監視を支援するシステムにおいては、ユーザに対する負担の軽減と異常検知の見逃しリスクの低減が課題となっている。
【0080】
また、特許文献1では、N個のデータとM個のデータをN×Mの行列によって表示させ、ユーザに呈している。データの項目が多い場合、行列サイズが巨大化する。このため、視認性や操作性が低下し、ユーザの負担や見逃しにつながるおそれがある。また、統計量に基づいて並び替えを行うこともできる。しかし、各行、各列で並び替えの順番が異なるため、ユーザは都度並べ替え操作をする必要があり、異常との関連が高い項目にアクセスするために必要な操作が多い。また、同様の理由により、仮に統計量を指標値として、一部を非表示にしても、各行、各列で非表示になる項目が異なるため、行列サイズは小さくできない。
【0081】
第1の実施形態の可視化データ生成装置200は、製品の状態に関する製造データを取得する取得部220と、取得部220により取得された製造データを解析し、製造データの第1指標値F(Yi)を導出する解析部240と、製造データに関して表示装置300に表示させる第1画像の情報量と優先度とのうち少なくとも一方を第1指標値F(Yi)に基づいて決定し、決定した情報量と優先度とのうち少なくとも一方に応じた可視化データを生成する生成部260と、を備える。
【0082】
また、第1の実施形態の可視化データ生成装置200では、例えば、指標値の高い、すなわち異常と関連が高い製造データYiの第1指標値F(Yi)もしくは製造データYiと製造条件データCjの組み合わせの第2指標値F(Yi,Cj)については、計測値名と指標値に関連する図表など詳細な情報を含め、表示データ内の上位に優先的に表示する。一方、指標値の低い、すなわち異常と関連が低い製造データYiの第1指標値F(Yi)もしくは製造データYiと製造条件データCjの組み合わせの第2指標値F(Yi,Cj)については、計測値名と指標値のみなど概要を含め、表示データ内の下位に表示する。また、指標値があらかじめ定めた値よりも低い場合は非表示とする。このため、製品の異常の見落としなどを抑制することができ、ユーザに対する負担の軽減と異常検知の見逃しリスクの低減を図ることができる。
【0083】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態ついて説明する。
図15は、第2の実施形態の可視化データ生成システム2の機能構成を示すブロック図である。
図16は、第2の実施形態の可視化データ生成システム2の機能構成の他の例を示すブロック図である。
図15及び
図16に示すように、第2の実施形態の可視化データ生成システム2は、例えば、製造データベース100と、可視化データ生成装置200と、表示装置300と、を備える。可視化データ生成装置200は、例えば、取得部220と、解析部240と、生成部260と、を備える。解析部240は、
図15に示すように、第1解析部242を備えるが、第2解析部を備えていない点、または
図16に示すように、第2解析部244を備えるが第1解析部242を備えていない点で第1の実施形態と異なる。
【0084】
製造業では、例えば、製造データYiに基づく異常と、製造データYiと製造条件データCjとの組み合わせに基づく異常を検知することを求められることがあるが、製造データYiに基づく異常を検知できれば十分である場合もある。あるいは、製造データYiと製造条件データCjとの組み合わせに基づく異常を検知できれば十分である場合もある。また、詳細な解析情報は不要であり、計測値ごとの指標値の情報のみあればよい場合もある。第2の実施形態の可視化データ生成装置200は、例えば、製造データYiに基づく異常を検知できれば十分である場合などに用いるものである。以下、第1の実施形態の可視化データ生成装置200と同様の部分についての説明を省略して、第2の実施形態の可視化データ生成装置200について説明する。
【0085】
(第2の実施形態の第1例)
図15に示すように、解析部240における第1解析部242は、第1指標値F(Yi)を導出する。生成部260は、第1解析部242で導出した製造データYiの第1指標値F(Yi)に基づいて、第1解析情報G(Yi)を示す画像を含む第1画像310の優先度を設定する。生成部260は、設定した第1画像310の優先度に応じた可視化データを生成し、表示装置300に出力する。
図17は、第2の実施形態の表示装置300に表示される画像の一例を示す図である。
図17に示すように、第2の実施形態の第1例の可視化データ生成システム2では、表示装置300には、例えば、第1指標値F(Yi)により設定された優先度に応じた複数の第1画像310が表示される。第1画像310(第1段第1画像310A~第6段第1画像310F)には、それぞれ計測値名画像311及び第1指標値画像312が表示される。
【0086】
(第2の実施形態の第2例)
また、解析部240における第1解析部242は、第1指標値F(Yi)を導出するとともに第1解析情報G(Yi)を算出してもよい。この場合、生成部260は、第1指標値F(Yi)に基づいて、製造データYiの情報量及び優先度を設定してもよい。生成部260は、設定した第1画像310の情報量及び優先度に応じた可視化データを生成し、表示装置300に出力する。
図18は、表示装置300に表示される画面の他の一例を示す図である。
図18に示すように、第2の実施形態の第2例の可視化データ生成システム2では、表示装置300には、例えば、第1指標値F(Yi)により設定された情報量及び優先度に応じた複数の第1画像310が表示される。第1画像310(第1段第1画像310A~第4段第1画像310D)には、それぞれ計測値名画像311及び第1指標値画像312が表示される。また、情報量が多いと設定された第1段第1画像310Aにおいては、第1解析情報画像313も表示される。
【0087】
(第2の実施形態の第3例)
図16に示すように、解析部240における第2解析部244は、第2指標値F(Cj)を導出する。第2指標値F(Cj)は、例えば、製品の特定の製造条件への偏りとする。生成部260は、第2解析部244で導出した製造条件データCjの第2指標値F(Cj)に基づいて、第2解析情報G(Yi,Cj)を示す画像を含む第2画像320の優先度を設定する。生成部260は、設定した第1画像310の優先度に応じた可視化データを生成し、表示装置300に出力する。
図19は、第2の実施形態の表示装置300に表示される画面の他の一例を示す図である。
図19に示すように、第2の実施形態の第1例の可視化データ生成システム2では、表示装置300には、例えば、第2指標値F(Cj)により設定された優先度に応じた複数の第2画像320が表示される。第2画像320(第1段第2画像320A~第6段第2画像320F)には、それぞれ製造条件名画像321及び第2指標値画像322が表示される。なお、第2解析部244は、第2指標値F(Cj)に代えて、異常と判定された製品の特定の製造条件への偏りを示す第2指標値F(Yi,Cj)を導出してもよい。
【0088】
(第2の実施形態の第4例)
また、解析部240における第2解析部244は、第2指標値F(Cj)を導出するとともに第2解析情報G(Cj)を算出してもよい。この場合、生成部260は、第2指標値F(Cj)に基づいて、製造条件データCjの情報量及び優先度を設定してもよい。生成部260は、設定した第2画像320の情報量及び優先度に応じた可視化データを生成し、表示装置300に出力する。
図20は、第2の実施形態の表示装置300に表示される画面の他の一例を示す図である。
図20に示すように、第2の実施形態の第4例の可視化データ生成システム2では、表示装置300には、例えば、第2指標値F(Cj)により設定された情報量及び優先度に応じた複数の第2画像320が表示される。第2画像320(第1段第2画像320A~第4段第2画像320D)には、それぞれ製造条件名画像321及び第2指標値画像322が表示される。また、情報量が多いと設定された第1段第2画像320Aにおいては、第2解析情報画像323も表示される。
【0089】
なお、第2の実施形態において、第1解析部242と第2解析部244の組み合わせや製造データYiと製造条件データCjの組み合わせを変えた態様としてもよい、例えば、解析部240が第1解析部242と第2解析部244を備え、第1解析部242が第1指標値F(Yi)を算出し、第2解析部244が第2指標値F(Cj)を算出する構成でもよい。また、第1解析部242及び第2解析部244のいずれかが解析情報を生成し、生成した解析情報を他の構成要素が利用するようにしてもよい。
【0090】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態ついて説明する。
図21は、第3の実施形態の可視化データ生成システム3の機能構成を示すブロック図である。
図21に示すように、第3の実施形態の可視化データ生成システム3は、例えば、製造データベース100と、可視化データ生成装置200と、表示装置300と、操作装置400と、を備える。可視化データ生成装置200は、例えば、取得部220と、解析部240と、生成部260と、を備える。
【0091】
操作装置400は、例えば、オペレータ等のユーザ操作が可能であり、所定の情報を入力させるデバイス、例えばマウスである。操作装置は、マウス以外のデバイス、例えばキーボードやジョイスティック等でもよい。また、表示装置300がタッチパネルであり、表示装置300と操作装置400が一体となっていてもよい。操作装置400は、例えば、表示装置300に表示された画像に応じた指示を生成部260に与える。操作装置400は、ユーザの操作に応じた指示情報を生成部260に出力する。指示情報は、生成部260に与える指示の内容に応じた情報である。以下、第1の実施形態の可視化データ生成装置200と同様の部分についての説明を省略して、第3の実施形態の可視化データ生成装置200について説明する。
【0092】
(第3の実施形態の第1例)
図22は、第3の実施形態の表示装置300に表示される画像の一例を示す図である。生成部260は、表示装置300の画面300Aに、第1表示領域表示ボタン314及び第2表示領域表示ボタン324を表示させたり、第1情報量削減ボタン315A、第1情報量増加ボタン315B、第2情報量削減ボタン325A、第2情報量増加ボタン325Bを表示させたり、消去させたりするための操作情報を表示装置300に出力する。第1表示領域表示ボタン314及び第2表示領域表示ボタン324には、例えば、「show more」の文字が表示される。第1情報量削減ボタン315A及び第2情報量削減ボタン325Aには、「-」の記号が表示され、第1情報量増加ボタン315B及び第2情報量増加ボタン325Bには「+」の記号が表示される。生成部260は、操作装置400により出力される指示情報に基づいて、操作情報を生成し、表示装置300に出力する。
【0093】
第1画像310と第2画像320は、それぞれ展開画像と折り畳み画像とがある。
図22に示す例では、第1段第1画像310A及び第1段第2画像320Aが展開画像であり、第2段第1画像310B、第3段第1画像310C、及び第2段第2画像320Bは折り畳み画像である。第1情報量削減ボタン315A及び第2情報量削減ボタン325Aは、展開画像に表示され、第1情報量増加ボタン315B及び第2情報量増加ボタン325Bは折り畳み画像に表示される。なお、折り畳み画像となる態様に代えてまたは加えて、画像が縮小するようにしてもよい。また、展開画像となる態様に代えてまたは加えて、画像が拡大するようにしてもよい。
【0094】
第3の実施形態の可視化データ生成システム3は、第1の実施形態の可視化データ生成システム1に対して、操作装置400により出力される指示情報に応じて、生成部260が生成する可視化データの内容が変更される点で異なる。より詳細には、生成部260は、ユーザによる操作装置400の操作に応じて操作装置400により出力される指示情報に基づいて、第1表示領域に表示される第1画像310及び第2表示領域に表示される第2画像320の情報量及び表示の優先度を変更し、第1画像310と第2画像320の表示態様を調整する可視化データを生成する。
【0095】
生成部260は、画面300Aにおける第1画像310の右下方には、第1表示領域表示ボタン314が表示させる。例えば、生成部260は、画面300Aに第1指標値F(Yi)が所定の表示閾値を超える製造データYiについての第1画像310のみを表示させ、第1指標値F(Yi)が所定の表示閾値以下の製造データYiについての第1画像310を非表示とする。第1表示領域表示ボタン314は、非表示とされていた第1画像310を表示することで、画面300Aに表示される第1画像310を増加させるためのボタンである。例えば、第1表示領域表示ボタン314が操作されると、生成部260は、表示閾値を下げて、非表示となっていた第1画像310を表示させ(展開させ)、画面300Aに表示される第1画像310を増加させる。なお、操作装置400は操作部の一例であり、所定のボタンを指定した状態でマウスをクリックする操作は、ユーザによる操作部の操作の一例である。また、以下の説明において、ボタンの操作とは、例えば、ボタンにカーソル(ポインタ)が位置する状態でマウスがクリックされることをいう。
【0096】
また、生成部260は、第1表示領域表示ボタン314が操作された直後は、折り畳み状態で第1画像310を表示するようにしてもよいし、第1表示領域表示ボタン314が操作されると、非表示であった第1画像310が全て表示されるようにしてもよい。また、生成部260は、第1表示領域表示ボタン314が操作されると、決められた数の第1画像310が順に表示するようにしてもよい。また、生成部260は、第1表示領域表示ボタン314が操作されると、画面300Aに表示される第1画像310を増加させるとともに、第1表示領域隠蔽ボタンが表示され第1表示領域隠蔽ボタンが操作されると、表示された第1画像310が非表示に戻すようにしてもよい。
【0097】
生成部260は、第1画像310における第2画像320の右下方に、第2表示領域表示ボタン324を表示させる。例えば、生成部260は、第1画像310に第2画像320を表示させる場合、第1画像310内には、第2指標値F(Yi,Cj)が所定の表示閾値を超える製造データYi及び製造条件データCjについての第2画像320のみを表示させ、第2指標値F(Yi,Cj)が所定の表示閾値以下の製造データYi及び製造条件データCjについての第2画像を非表示とする。第2表示領域表示ボタン324は、非表示とされていた第2画像320を表示させることで、第1画像310に表示させる第2画像320を増加させるためのボタンである。第2画像320と第2表示領域表示ボタン324との関係は、第1画像310と第1表示領域表示ボタン314との関係と同様である。
【0098】
第1画像310における展開画像、例えば、第1段第1画像310Aの右上段における第1指標値画像312の右側には、第1情報量削減ボタン315Aが表示される。第1情報量削減ボタン315Aは、第1画像310に表示される情報の情報量を削減するためのボタンである。例えば、展開状態の第1段第1画像310Aにおける第1情報量削減ボタン315Aが操作されると、第1段第1画像310Aが展開状態から折り畳み状態に変化し、第1段第1画像310Aに表示される情報の情報量が削減される。
【0099】
第1画像310における折り畳み画像、例えば、第2段第1画像310Bの右段における第1指標値画像312の右側には、第1情報量増加ボタン315Bが表示される。第1情報量増加ボタン315Bは、第1画像310に表示される情報の情報量を増加させるためのボタンである。例えば、折り畳み状態の第2段第1画像310Bにおける第1情報量削減ボタン315Aが操作されると、第2段第1画像310Bが折り畳み状態から展開状態に変化し、第2段第1画像310Bに表示される情報の情報量が増加する。
【0100】
図23は、第3の実施形態の第1画像310の表示態様の遷移を示す図である。例えば、第1画像310における展開画像では、計測値(計測値名画像311)、指標値(第1指標値画像312)、及び解析結果(第1解析情報画像313)が表示される。この状態で、第1情報量削減ボタン315Aが操作されると、折り畳み画像となり、
図23に示すように、第1画像310の情報量が低下し、計測値名(計測値名画像311)及び指標値(第1指標値画像312)が表示された状態となる。
【0101】
また、表示装置300に表示される画像では、
図22に示す第1表示領域表示ボタン314に代えて、
図24に示すように、第1表示領域削減ボタン314Bが表示されるようにしてもよい。例えば、第1表示領域削減ボタン314Bが操作されると、
図23に示すように、第1画像310に表示される情報の一部が隠され、第1画像310に表示される情報量が低下して非表示となる。第1表示領域表示ボタン314に代えて第1表示領域削減ボタン314Bが表示されている場合でも、折り畳み画像が表示されて、表示される第1画像310の数が多くなった、または、例えば一定時間経過した場合に、第1画像310に表示される情報量がさらに低下して非表示となるようにしてもよい。なお、第1表示領域表示ボタン314と第1表示領域削減ボタン314Bの両方を表示するようにしてもよい。
【0102】
また、第1表示領域表示ボタン314が操作されると、非表示の状態の第1画像310の情報量が増加し、折り畳み画像として、計測値名(計測値名画像311)及び指標値(第1指標値画像312)が表示された状態となる。この状態で第1情報量増加ボタン315Bが操作されると、第1画像310の情報量がさらに増加し、展開画像では、計測値名画像311、第1指標値画像312、及び第1解析情報画像313が表示される。
【0103】
第2画像320における展開画像、例えば、第1段第2画像320Aの右上段における第2指標値画像322の右側には、第2情報量削減ボタン325Aが表示される。第2情報量削減ボタン325Aは、第2画像320に表示される情報の情報量を削減するためのボタンである。例えば、展開状態の第1段第2画像320Aにおける第2情報量削減ボタン325Aが操作されると、第1段第2画像320Aが展開状態から折り畳み状態に変化し、第1段第2画像320Aに表示される情報の情報量が削減される。
【0104】
第2画像320における折り畳み画像、例えば、第2段第2画像320Bの右段における第2指標値画像322の右側には、第2情報量増加ボタン325Bが表示される。第2情報量増加ボタン325Bは、第2画像320に表示される情報の情報量を増加させるためのボタンである。例えば、折り畳み状態の第2段第2画像320Bにおける第2情報量削減ボタン325Aが操作されると、第2段第2画像320Bが折り畳み状態から展開状態に変化し、第2段第2画像320Bに表示される情報の情報量が増加する。なお、
図22に示す第2表示領域表示ボタン324に代えて、
図24に示すように、第2表示領域削減ボタン324Bを表示するようにしてもよいし、第2表示領域表示ボタン324と第2表示領域削減ボタン324Bの両方を表示するようにしてもよい。
【0105】
このように、第1画像310や第2画像320について、展開画像や折り畳み画像としたり、情報量の調整をしたりできるようにしてもよい。また、これらの表示をユーザが選択できるようにしてもよい。この場合には、ユーザが画像を見やすくなるので、製品の異常の見落としなどをさらに抑制することができる。
【0106】
なお、第1情報量削減ボタン315Aまたは第2情報量削減ボタン325Aが操作され、表示される情報の情報量が変化(減少)する場合には、変化する情報の情報量や情報の内容を表示するなどしてユーザに知らせてもよい。同様に、第1情報量増加ボタン315Bまたは第2情報量増加ボタン325Bが操作され、表示される情報の情報量が変化(増加)する場合には、変化する情報の情報量や情報の内容を表示するなどしてユーザに知らせてもよい。
【0107】
(第3の実施形態の第2例)
生成部260は、第1画像310の優先度変更操作を受け付けるための画像(インターフェース)を、表示装置300の画面300Aに表示させるようにしてもよい。第3の実施形態の第2例では、インターフェースとなる画像としてラジオボタンを例として説明するが、インターフェースとなる画像は、チェックボックスやプルダウンメニュー等でもよい。
【0108】
図25は、第3の実施形態の表示装置300に表示される画面の他の一例を示す図である。生成部260は、表示装置300の画面300Aに、第1指標値選択画像316及び第2指標値選択画像326を表示させるための操作情報を表示装置300に出力する。第1指標値選択画像316には、指標値Aボタン316A、指標値Bボタン316B、指標値Cボタン316C、昇順ボタン316D、及び降順ボタン316Eが含まれる。第2指標値選択画像326には、指標値Dボタン326A、指標値Eボタン326B、昇順ボタン326D、及び降順ボタン326Eが含まれる。
【0109】
指標値A、指標値B、及び指標値Cは、いずれも製造データYiについての第1画像310を画面300Aに表示させるための表示閾値となる指標値であり、指標値Aは指標値Bより大きく、指標値Bは指標値Cより大きい値である。指標値D及び指標値Eは、いずれも製造データYi及び製造条件データCjについての第2画像320を第1画像310に表示させるための表示閾値となる指標値であり、指標値Dは指標値Eより大きい値である。
【0110】
指標値Aボタン316A、指標値Bボタン316B、及び指標値Cボタン316Cは、互いにいずれかの中から指定可能である。例えば、指標値Aボタン316Aが操作されて指定されると、生成部260は、製造データYiについての第1画像310を画面300Aに表示させるための表示閾値となる指標値を指標値Aに設定し、第1指標値F(Yi)が指標値Aよりも大きい製造データYiについての第1画像310を画面300Aに表示させる操作情報を表示装置300に出力する。また、生成部260は、指標値Bボタン316Bが操作されて指定されると、指標値を指標値Bに設定し、指標値Cボタン316Cが操作されて指定されると、指標値を指標値Cに設定する。製造データYiについての第1画像310を画面300Aに表示させるための表示閾値となる指標値は、指標値A、指標値B、指標値Cの中から選択して設定される。
【0111】
また、昇順ボタン316D及び降順ボタン316Eは、互いにいずれかの中から指定可能である。昇順ボタン316Dが操作されて指定されると、生成部260は、第1画像310を、指標値が大きい方から小さい方に向けて上から下に並べて順に表示させ、降順ボタン316Eが操作されて指定されると、第1画像310を、指標値が小さい方から大きい方に向けて上から下に並べて順に表示させる。昇順ボタン316D及び降順ボタン316Eは、それらのいずれかが選択された状態となる。
【0112】
また、指標値Dボタン326A及び指標値Eボタン326Cは、互いにいずれかの中から指定可能である。指標値Dボタン326Aが操作されて指定されると、生成部260は、製造データYi及び製造条件データCjについての第2画像320を第1画像310に表示させるための表示閾値となる指標値を指標値Dに設定し、第2指標値F(Yi,Cj)が指標値Dよりも大きい製造データYi及び製造条件データCjについての第2画像320を第1画像310に表示させる操作情報を表示装置300に出力する。生成部260は、指標値Eボタン326Bが操作されて指定されると指標値を指標値Eに設定する。製造データYi及び製造条件データCjについての第2画像320を第1画像310に表示させるための表示閾値となる指標値は、指標値D及び指標値Eの中から選択して設定される。
【0113】
また、昇順ボタン326D及び降順ボタン326Eは、互いにいずれかの中から指定可能である。昇順ボタン326Dが操作されて指定されると、生成部260は、第2画像320を、指標値が大きい方から小さい方に向けて上から下に並べて順に表示させ、降順ボタン326Eが操作されて指定されると、第2画像320を、指標値が小さい方から大きい方に向けて上から下に並べて順に表示させる。昇順ボタン326D及び降順ボタン326Eは、それらのいずれかが選択された状態となる。
【0114】
このように、指標値Aボタン316A、指標値Bボタン316B、指標値Cボタン316C、昇順ボタン316D、及び降順ボタン316Eを表示装置300の画面300Aに表示させ、ユーザが第1画像310や第2画像320を表示させる指標値を決定(選択)したり、表示順を設定したりできるようにしてもよい。この場合には、ユーザが画像を見やすくなるので、製品の異常の見落としなどをさらに抑制することができる。
【0115】
(第3の実施形態の第3例)
生成部260は、表示装置300の画面300Aに表示させるカーソルが第1表示領域に表示された解析結果の一つに合わされることにより、カーソルが合わされた解析結果の詳細が表示されるようにしてもよい。
図26は、第3の実施形態の表示装置300に表示される画面の他の一例を示す図である。生成部260は、第1解析情報画像313の下方に、第1詳細表示要求画像317を表示させ、第1画像310、例えば第1段第1画像310Aにおける第2解析情報画像323の側方に第2詳細表示要求画像327を表示させる。生成部260は、第1詳細表示要求画像317及び第2詳細表示要求画像327を他の位置に表示させてもよい。
【0116】
生成部260は、第1詳細表示要求画像317が操作されることにより、第1詳細画像表示モードのONとOFFとを切り替える。第1詳細画像表示モードがONとなっているときに第1画像310における解析結果の1つにカーソルが合わされると、生成部260は、カーソルが合わされた解析結果の詳細が表示される第1詳細画像318を第1解析情報画像313の内側に表示させる。第1詳細画像318には、解析結果に対応する製品のID、判定結果、計測値などが含まれる。
【0117】
生成部260は、第2詳細表示要求画像327が操作されることにより、第2詳細画像表示モードのONとOFFとを切り替える。第2詳細画像表示モードがONとなっているときに第2画像320における解析結果の1つにカーソルが合わされると、生成部260は、カーソルが合わされた解析結果の詳細が表示される第2詳細画像328を第2解析情報画像323の内側に表示させる。第2詳細画像328には、解析結果に対応する製品の製造条件、製品を製造した装置の装置番号、製品の数、及び異常が発生した数などが含まれる。
【0118】
このように、第1詳細画像318及び第2詳細画像328を表示させることにより、ユーザに、製品の異常等の状況を詳細に提示することができる。さらに、第1詳細表示要求画像317及び第2詳細表示要求画像327を表示し、第1詳細画像318及び第2詳細画像328を表示させるか否かを選択できるようにすることにより、ユーザの希望に応じた情報を提供することができる。
【0119】
第3の実施形態において、ユーザは、操作装置400を通じて第1画像310及び第2画像320の情報量や優先度を変更することができる。これにより、ユーザは異常との関係が高いと予想される製造データを優先して監視するだけでなく、より多角的に解析結果を確認することができる。例えば、日々の監視作業では、最初に表示される異常との関係が高いと予想される製造データを確認し、詳細な監視が求められる場面では異常との関係が相対的に低い項目についても監視を行うといった使い方を提供できる。
【0120】
なお、解析結果が複数生成されている場合は、解析結果の詳細を表示するボタンを別途設け、各ボタンが操作された場合に、複数の解析結果を表示するようにしてもよい。その他の操作による変更の例として、指標値に対する閾値を変更してもよいし、操作により表示順を任意に並び替えてもよい。また、計測値名を指定して、情報量、表示状態、優先度等を変更してもよい。
【0121】
(第3の実施形態の第4例)
図27は、第3の実施形態の可視化データ生成システム3の他の機能構成を示すブロック図である。
図27に示すように、第3の実施形態の可視化データ生成システム3の操作装置400は、例えば、表示装置300に表示された画像に応じた指示を取得部220、解析部240、生成部260の少なくとも一つに与える。操作装置400は、ユーザの操作に応じた指示情報を取得部220、解析部240、及び生成部260の少なくとも一つに出力する。指示情報は、取得部220、解析部240、及び生成部260の少なくとも一つに与える指示の内容に応じた情報である。
【0122】
取得部220は、例えば、与えられた指示情報に基づいて、取得するデータの種類や数、データの取得範囲を設定してもよい。解析部240は、例えば、与えられた指示情報に基づいて、解析方法を設定してもよい。例えば、導出する指標値の種類もしくは導出方法を変更してもよい。例えば、導出する解析情報の種類や導出方法を設定してもよい。例えば、取得部220に指示情報が与えられ、取得するデータの種類や数、データの取得範囲を設定された場合、取得部220は再度データを取得し、解析部240は再度解析を行い、生成部260は再度可視化データを生成してもよい。例えば、解析部240に指示情報が与えられ、解析方法が設定された場合、解析部240は再度解析を行い、生成部260は再度可視化データを生成してもよい。
【0123】
例えば、生成部は取得部220、解析部240、及び生成部260の少なくとも一つに、指示情報に含まれる指示の内容に関する変更が生じたことをユーザに提示する情報を含めた可視化データを生成してもよい。
【0124】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態ついて説明する。
図28は、第4の実施形態の可視化データ生成システム4の機能構成を示すブロック図である。
図28に示すように、第4の実施形態の可視化データ生成システム4は、例えば、製造データベース100と、可視化データ生成装置200と、表示装置300と、操作装置400と、を備える。可視化データ生成装置200は、例えば、取得部220と、解析部240と、生成部260と、製造工程情報記憶部270と、ユーザ情報記憶部280と、を備える。第4の実施形態は、第3の実施形態に対して、製造工程情報記憶部270とユーザ情報記憶部280とに応じて生成部260が可視化データの生成を行う。以下、第1の実施形態の可視化データ生成装置200の部分についての説明を省略して、第4の実施形態の可視化データ生成装置200について説明する。
【0125】
製造工程情報記憶部270は、製品の製造工程に関する情報である。製造工程とは、例えば、最終的な製品化が完成するための作業段階を細分化したものである。通常、製造データYiも製造工程ごとに記録される。製造工程情報記憶部270は、取得部220が取得した製造データYiは製造工程に応じた製品の状態を含み、製造データYiのどの項目がどの製造工程に属するか、言い換えると、製造データYiのどの項目がどの製造工程で製造されたかを表している。
図29は、第4の実施形態の取得部220が取得した製造工程を含む製造データ及び製造条件データの一例を示す図である。例えば、項目C_1及び項目C_2については、工程Aに属しており、項目C_3について工程Bに属する。生成部260は、第1指標値F(Yi)及び第2指標値F(Yi,Cj)に加えて、製造工程情報も用いて可視化データを生成する。
【0126】
ユーザ情報記憶部280は、ユーザごとに、所定項目ごとの表示と非表示を設定したデータとしてユーザ情報を記憶している。所定項目は、どのような項目でもよく、例えば、計測値であってもよいし、製造工程であってもよい。
図30は、第4の実施形態の取得部220が取得した製造工程及びユーザ情報を含む製造データ及び製造条件データの一例を示す図である。
図30では、表示を「〇」、非表示を「-」と表している。
【0127】
図30に示す例では、ユーザごとに、工程ごとの情報を表示とするか非表示とするかが設定されている。例えば、工程Aの前半及び後半、並びに工程Bは、ユーザ1及びユーザ3が表示とし、ユーザ2が非表示としている。工程Cの前半は、ユーザ2及びユーザ3が表示とし、ユーザ1が非表示としており、工程Cの後半は、ユーザ1及びユーザ2が表示とし、ユーザ3が非表示としている。
【0128】
ユーザ情報記憶部280は、ユーザごとに数値(表示レベル)が設定されたデータを含むユーザ情報を記憶している。例えば、レベルの低いユーザには一部の製造データYiに関する解析結果が表示される。一方、レベルの高いユーザには多数の製造データYiの解析結果が表示される。表示レベルは、例えば経験の浅い者には低く設定され、熟練者や管理者には高く設定されている。
【0129】
図31は、第4の実施形態の表示装置300に表示される画像の一例を示す図である。生成部260は、表示装置300の画面300Aにおける第1画像310において、第1工程画像319を表示させたり、第2画像320において、第2工程画像329を表示させたりする。第1画像310において、第1工程画像319は、例えば、第1画像310が展開状態であるときにも折り畳み状態であるときにも表示させる。同様に、第2画像320において、第2工程画像329は、第2画像320が展開状態であるときにも折り畳み状態であるときにも表示させる。第1工程画像319は、第1画像310が展開状態のときに表示させ、折り畳み状態のときには表示させないようにしてもよい。第2工程画像329は、第2画像320が展開状態のときに表示させ、折り畳み状態のときには表示させないようにしてもよい。
【0130】
第4の実施形態の表示装置300において、第1指標値選択画像316には、指標値Aボタン316A、指標値Bボタン316B、昇順ボタン316D、降順ボタン316Eのほかに、工程順ボタン316Fが含まれる。第2指標値選択画像326には、指標値Dボタン326A、指標値Eボタン326B、昇順ボタン326D、及び降順ボタン326Eのほかに、工程順ボタン326Fが表示される。
【0131】
工程順ボタン316Fは、指標値Aボタン316Aと、指標値Bボタン316Bとのいずれかの間で指定可能とである。工程順ボタン316Fが操作されて指定されると、生成部260は、第1画像310を工程順に上から下に並べて表示させる。工程順ボタン316Fとともに昇順ボタン316Dが操作されると、生成部260は、第1画像310を工程が速い方から遅い方に向けて上から下に並べて順に表示させる。工程順ボタン316Fとともに降順ボタン316Eが操作されると、生成部260は、第1画像310を工程が遅い方から早い方に向けて上から下に並べて順に表示させる。
【0132】
工程順ボタン326Fは、指標値Dボタン326Aと、指標値Eボタン326Bとのいずれかの間で指定可能とである。工程順ボタン326Fが操作されて指定されると、生成部260は、第2画像320を工程順に上から下に並べて表示させる。工程順ボタン326Fとともに昇順ボタン326Dが操作されると、生成部260は、第2画像320を工程が速い方から遅い方に向けて上から下に並べて順に表示させる。工程順ボタン326Fとともに降順ボタン326Eが操作されると、生成部260は、第2画像320を工程が遅い方から早い方に向けて上から下に並べて順に表示させる。
【0133】
なお、第1画像310及び第2画像320は、第1の実施形態から3の実施形態と同様に、指標値の順に表示させてもよい。また、工程順に表示するときには、第1画像310を非表示とすることなく表示するようにしてもよい。言い換えると、第1画像310を非表示状態から表示状態に変更するようにしてもよい。また、各工程のうち、第1指標値F(Yi)が大きい順に予め定めた個数の第1画像310を表示させてもよい。また、工程順に表示するときには、指標値の順に表示させるときよりも第1画像310の表示数を多くしてもよいし、全ての工程について第1画像310を表示させてもよい。
【0134】
また、操作装置400(
図21参照)を備える場合には、優先度を、指標値順と工程順との間で操作装置400の操作によって切り替えるインターフェースを備えるようにしてもよい。また、工程ごとに指標値に対する閾値を設定してもよい。この場合、特に、異常が出やすい工程と異常が出にくい工程とで閾値を変えることにより、異常の発生を分かりやすく表示できる。
【0135】
また、可視化データ生成装置200を利用するユーザは多岐にわたることが想定される。ユーザとしては、例えば、各製造工程の作業者、各製造工程の責任者、製造工程全体の管理責任者などが想定される。第4の実施形態の可視化データ生成装置200では、ユーザの属性に応じて可視化データの内容を変更している。
【0136】
第4の実施形態の可視化データ生成装置200では、指標値だけでなく、製造工程の情報も加味して可視化データを生成できるため、製造工程の順に解析結果を表示するなど、ユーザが監視しやすい表示を実現できる。また、ユーザ情報を用いることで、使用するユーザの監視対象や熟練度に合わせた表示を実現でき、ユーザの負担を削減できる。
【0137】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態ついて説明する。
図32は、第5の実施形態の可視化データ生成システム5の機能構成を示すブロック図である。
図32に示すように、第5の実施形態の可視化データ生成システム5は、例えば、製造データベース100と、可視化データ生成装置200と、表示装置300と、を備える。可視化データ生成装置200は、例えば、取得部220と、解析部240と、生成部260と、解析情報データベース290と、を備える。以下、第1の実施形態の可視化データ生成装置200の部分についての説明を省略して、第5の実施形態の可視化データ生成装置200について説明する。
【0138】
解析情報データベース290は、解析部240により得られた解析結果としての第1指標値F(Yi)、第1解析情報G(Yi)、第2指標値F(Ti,Cj)、第2解析情報G(Yi,Cj)を記憶する。解析情報データベース290は、取得部220が取得した製造データYiや製造条件データCjも記憶する。例えば、ロット番号やロットID等と呼ばれる予め一定期間や一定個数の製品単位を表す番号や文字列等を記憶する。
【0139】
解析部240は、解析データベースの記録も用いて、第1指標値F(Yi)や第2指標値F(Yi,Cj)を計算してもする。例えば、前回の解析結果の第1指標値F(Yi)や第2指標値F(Yi,Cj)と、今回の解析結果の第1指標値F(Yi)や第2指標値F(Yi,Cj)の、差や比を、今回の第1指標値F(Yi)や第2指標値F(Yi,Cj)の一種類としてもよい。あるいは、第1指標値F(Yi)の一つとして、異常率を用いる場合、異常率の差もしくは比を第1指標値F(Yi)の一つとして新たに算出してもよい。この場合、前回からの異常率の増減を指標値としてもよい。
【0140】
解析部240は、解析情報データベース290に記憶された記録も用いて、解析情報を生成してもよい。例えば、指標値の推移するグラフを解析情報として生成してもよい。あるいは、前回の解析情報と比較表示してもよい。生成部260は、解析情報データベース290から、可視化データ生成に必要なデータを読み出して、可視化データを生成する。
【0141】
具体的に、例えば、日々の製造データ監視に使用される場合を想定する。この場合、ユーザは、日々製造される解析結果による製造データを監視する。さらには、日々製造される解析結果による製造データのみならず、前日や更に前の解析結果との比較した監視を行う。その際、解析情報を解析情報データベース290に記憶させておくことにより、再度解析をすることなく可視化データを提供することができる。また、指標値として、過去との差や比を用いることで、異常の変化を指標値として可視化データを生成することができる。
【0142】
また、生成部260は、第1画像310に含める第2画像320として表示させる製造条件データCjを、第1画像310に表示される製造データYiとの相関関係に基づいて決定する場合、解析情報データベース290に記憶する情報に基づいて、これらの製造データYiと製造条件データCjとの相関関係をアップデートするようにしてもよい。さらに、製造条件データCj同士の関係において、異常が発生しやすい製造条件データCjがある場合に、生成部260は、解析情報データベース290に記憶する情報に基づいて、それらの製造条件データCjの相関関係をアップデートするようにしてもよい。
【0143】
以上、いくつかの実施形態および変形例について説明したが、実施形態は、上記例に限定されない。例えば、上記の各実施形態では、可視化データ生成システムは、例えば工場等に設置されるものを想定しているが、可視化データ生成システムの各要素が異なる場所に分散されて設けられていてもよい。例えば、
図33に示すように、可視化データ生成システム10の各要素が工場Pや管理センターQに分散され、各要素が送受信装置を用いたネットワークNWを介して情報のやり取り行うことにより可視化データ生成システム10が構成されてもよい。具体的には、例えば、製造データベースが管理センターQに設けられ、可視化データ生成装置200及び表示装置300が工場Pに設けられて、可視化データ生成システム10が構成されてもよい。
【0144】
また、上記の各実施形態では、第1画像310の中に第2画像320を表示させる、いわばツリー構造で第1画像310及び第2画像320を表示させるが、他の態様で表示させてもよい。
図34~
図36は、表示装置300に表示される画像の概要の一例を示す図である。
図34に示すように、第1画像310及び第2画像320をツリー構造によって表示させてもよいし、
図35に示すように、第1画像310及び第2画像320をタブ構造で表示させてもよい。また、
図36に示すように、第1画像310及び第2画像320を複数配置で表示させてもよい。
【0145】
図35に示すように、タブ構造で表示させる場合には、第1画像310を主画面310Mとタブ画面310Tとし、主画面310Mの中に第2画像320を表示させて、タブ画面310Tを操作することで、複数の第1画像310のいずれかの主画面310Mを表示させるようにしてもよい。また、
図36に示すように、複数配置で表示させる場合には、第1画像310を複数並べて配置させ、これらの複数の第1画像310の中にそれぞれ第2画像320を表示させるようにしてもよい。
【0146】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、製品の状態に関する第1データを取得する取得部と、前記取得部により取得された第1データを解析し、前記第1データの第1指標値を導出する解析部と、前記第1データに関して表示装置に表示させる第1画像の情報量と優先度とのうち少なくとも一方を前記第1指標値に基づいて決定し、決定した情報量と優先度とのうち少なくとも一方に応じた可視化データを生成する生成部と、を備える、可視化データ生成装置であるので、製品の異常などの見落としを抑制することができる。
【0147】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0148】
1~5…可視化データ生成システム、100…製造データベース、200…可視化データ生成装置、220…取得部、240…解析部、242…第1解析部、244…第2解析部、260…生成部、300…表示装置、300A…画面、310…第1画像、320…第2画像、400…操作装置