(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】光ケーブル
(51)【国際特許分類】
G02B 6/036 20060101AFI20240304BHJP
G02B 6/02 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
G02B6/036
G02B6/02 361
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020004120
(22)【出願日】2020-01-15
【審査請求日】2023-01-10
(32)【優先日】2019-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【氏名又は名称】山下 聖子
(74)【代理人】
【識別番号】100121533
【氏名又は名称】佐々木 まどか
(72)【発明者】
【氏名】ディットマン,マルクス
【審査官】萩田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-221706(JP,A)
【文献】米国特許第05627934(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0238233(US,A1)
【文献】英国特許出願公開第02136239(GB,A)
【文献】米国特許第06553166(US,B1)
【文献】国際公開第2018/222981(WO,A1)
【文献】特開2001-166172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/02 - 6/10
G02B 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル方向(12)に延びて信号および/またはデータを伝送するための第1のチャネル(14)を形成する少なくとも1つの光ファイバ(16)を有するコア部(18)を備える光ケーブル(1)であって、前記コア部(18)は、信号および/またはデータを伝送するための第2のチャネル(26)を形成する少なくとも1つの光ファイバ層(28)によって取り囲まれて
おり、前記少なくとも1つの光ファイバ(16)および前記少なくとも1つの光ファイバ層(28)は、互いに取外し可能に取り付けられていることを特徴とする光ケーブル(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの光ファイバ(16)のファイバコア(34)と、前記少なくとも1つの光ファイバ層(28)との間に、クラッド(36)が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の光ケーブル(1)。
【請求項3】
前記第1のチャネル(14)は、前記第2のチャネル(26)とは異なる信号および/またはデータ帯域幅を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の光ケーブル(1)。
【請求項4】
前記第2のチャネル(26)の前記信号および/またはデータ帯域幅は、前記第1のチャネル(14)の前記信号および/またはデータ帯域幅より低いことを特徴とする、請求項3に記載の光ケーブル(1)。
【請求項5】
前記第1のチャネル(14)および前記第2のチャネル(26)は、反対の方向に信号および/またはデータを伝送することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の光ケーブル(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの光ファイバ(16)は、ガラス光ファイバ(20)であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の光ケーブル(1)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの光ファイバは、ポリマー光ファイバ(40)含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の光ケーブル(1)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの光ファイバ層(28)は、内側クラッド(38)と外側クラッド(42)との間に配置されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の光ケーブル(1)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの光ファイバ(16)は、シングルモード光ファイバ(16)であることを特徴とする、請求項1から
8のいずれか一項に記載の光ケーブル(1)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの光ファイバ(16)は、マルチモード光ファイバ(16)であることを特徴とする、請求項1から
8のいずれか一項に記載の光ケーブル(1)。
【請求項11】
前記第1のチャネル(14)を介して映像、画像、および音声の信号および/またはデータのうちの少なくとも1つを伝送するための、請求項1から
10のいずれか一項に記載の光ケーブル(1)の使用。
【請求項12】
前記第2のチャネル(26)を介してユーザ入力信号および/またはデータを伝送するための、請求項1から
10のいずれか一項に記載の光ケーブル(1)の使用。
【請求項13】
光ケーブル(1)を製造する方法であって、ケーブル方向(12)に延びて信号および/またはデータを伝送するための第1のチャネル(14)を形成する少なくとも1つの光ファイバ(16)を備えるコア部(18)を、信号および/またはデータを伝送するための第2のチャネル(26)を形成する少なくとも1つの光ファイバ層(28)によって取り囲むステップを含み、
前記少なくとも1つの光ファイバ(16)および前記少なくとも1つの光ファイバ層(28)は、互いに取外し可能に取り付けられている、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル方向に延びて第1のチャネルを形成する少なくとも1つの光ファイバを有するコア部を備える光ケーブルに関する。さらに、本発明は、光ケーブルを製造するプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
光ケーブルには、従来の銅ケーブルに比べて、より速い信号および/またはデータ伝送速度を実現することができるという利点がある。したがって、特に超高精細視覚システムの出現に伴い、光ケーブルには大きな期待がかけられている。異なるデータ、たとえば対話型ディスプレイの入力および出力データを伝送するために、コア部により多くの光ファイバが互いに平行に配置されたケーブルが提供されることがある。したがって、各光ファイバに接続ポートを提供する必要があり、ケーブルシステムの空間要件が増大する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、空間要件の低い光ケーブルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、この問題は、第2のチャネルを形成する少なくとも1つの光ファイバ層によってコア部が取り囲まれていることから、前述の光ケーブルによって解決される。
【0005】
さらに、この問題は、信号および/またはデータを伝送するための第1のチャネルを形成する少なくとも1つの光ファイバを備えるコア部を、信号および/またはデータを伝送するための第2のチャネルを形成する少なくとも1つの光ファイバ層によって取り囲むステップを含む、光ケーブルを製造するプロセスによって解決される。
【0006】
本発明の解決策によって、2つのチャネルを備える光ケーブルが提供され、第2のチャネルが第1のチャネルを取り囲む。したがって、光ケーブル、したがってケーブルシステムの空間要件を低減させる。本発明の光ケーブルの接続のために、各チャネルに対して別個の接続ポートを有するのではなく、単一の接続ポートを提供することができる。さらに、各チャネルをそれぞれのタスクに合わせて最適化することができ、したがって光ケーブルの過剰性能を防止することができる。したがって、本発明の光ケーブルは、小型でコスト効率的な設計を提供する。
【0007】
本発明は、それぞれの技術的効果に関して互いに独立しており、任意に組み合わせることができる以下の特徴によって、さらに改善することができる。
【0008】
たとえば、第1の有利な実施形態によれば、第1のチャネルは、ケーブル方向に動く第1の順方向信号および/またはデータ帯域幅を有する順方向チャネルを形成することができる。第2のチャネルは、順方向チャネルと反対の方向に動く第2の逆方向信号および/またはデータ帯域幅を有する逆方向チャネルを形成することができる。したがって、処理ユニットおよび出力ユニットなどの2つのユニット間で信号および/またはデータの入力および出力を伝送する双方向光ケーブルが提供される。
【0009】
コア部は、好ましくは、少なくとも1つの光ファイバ層によって径方向に取り囲むことができ、したがって対称の同軸に配置された光ケーブルを提供し、ユニットの相補形の接続部品への接続を容易にすることができる。
【0010】
コア部は、少なくとも1つのガラス光ファイバを備えることができる。ガラス光ファイバによって、高速の信号および/またはデータ伝送を実現することができる。コア部は、好ましくは、ガラス光ファイバのバンドルを備えることができる。
【0011】
好ましくは、コア部の少なくとも1つの光ファイバのファイバコアと、少なくとも1つの光ファイバ層との間に、クラッドが配置される。クラッドは、コア部および/または光ファイバ層のファイバコア材料と比べてより屈折率の低い少なくとも1つの層を備えることができる。クラッドは、ファイバの伝送を改善し、コア部と光ファイバ層との間のあらゆる干渉を防止することができる。
【0012】
光ファイバ層は、アクリルガラスおよび/またはポリスチレンなどのポリマー光ファイバ材料を含むことができる。ポリマー光ファイバは、その低い価格ならびに屈曲および伸張下での高い頑健性を特徴とする。
【0013】
光ファイバ層の直径、特に外径は、約1mmとすることができる。したがって、外径は大きすぎないため、ケーブルの屈曲および/または伸張による光ファイバ層の損傷を低減させることができる。
【0014】
光ファイバ層は、好ましくは、光ファイバ層の信号および/またはデータ伝送をさらに改善するために、外側クラッドによって取り囲むことができる。好ましくは、光ファイバ層は、クラッドと外側クラッドとの間に挟まれる。このとき光ファイバ層、クラッド、および外側クラッドは、パイプの断面に光導波路を形成することができる。
【0015】
有利には、第1のチャネルの信号および/またはデータ帯域幅は、第2のチャネルの信号および/またはデータ帯域幅とは異なることができる。したがって、非対称の信号および/またはデータ帯域幅を有する光ケーブルを提供することができる。好ましくは、第2のチャネルの信号および/またはデータ帯域幅は、第1のチャネルの帯域幅より小さくすることができる。したがって、第1のチャネルは、超高精細撮像システムの画像出力データなどの高速のデータおよび/または信号を伝送することを可能とすることができ、第2のチャネルは、低速のデータおよび/または信号を伝送するように適合することができる。したがって、これらのチャネルをそれぞれのタスクに合わせて最適化することができ、過剰性能をさらに防止することができる。
【0016】
少なくとも1つの光ファイバは、シングルモード光ファイバとすることができ、ファイバコア径は、クラッドの厚さよりはるかに小さい。ファイバコア径は、約9μmとすることができ、クラッドの外径は、約125μmとすることができる。シングルモード光ファイバには、長い距離、すなわち約100mを超える長さでも、低い信号および/またはデータ損失を実現することができるという利点がある。さらに、より長い距離でも高い帯域幅を実現することができる。
【0017】
別法として、少なくとも1つの光ファイバは、マルチモード光ファイバとすることができ、ファイバコア径は、シングルモード光ファイバのファイバコア径より大きい。マルチモード光ファイバのファイバコア径は、約50μmとすることができ、クラッドの外径は、約125μmとすることができる。シングルモード光ファイバと比べて、マルチモード光ファイバで可能な最大帯域幅は低い。しかし、マルチモード光ファイバは、より簡単かつ低コストに生産できることにその利点がある。さらに、ファイバコア径がより大きいため、光ファイバの終端をより容易にすることができる。特に、短い距離では、マルチモード光ファイバは高い帯域幅を実現することができる。
【0018】
少なくとも1つのマルチモード光ファイバは、ステップインデックス構成とすることができる。ステップインデックス光ファイバは、ファイバコア内の屈折率が均一であり、ファイバコアとクラッドの境界面では屈折率が急激に減少することを特徴とする屈折率プロファイルを有することができ、たとえば高純度の溶融石英ガラスをチタン、ゲルマニウム、またはホウ素などの異なる濃度の材料でドープすることによって形成することができる。ステップインデックスマルチモード光ファイバの製造をより容易にすることができ、必要とされるコストをグレーデッドインデックスマルチモード光ファイバより少なくすることができる。
【0019】
別法として、少なくとも1つのマルチモード光ファイバは、「OM5」光ファイバなどのグレーデッドインデックス構成とすることができる。グレーデッドインデックス光ファイバは、ファイバの光軸からの径方向距離が増大するにつれて屈折率が減少するファイバコアを有することができる。したがって光線は、正弦波、特に放物線状のプロファイルをたどる。このプロファイルの結果、ファイバコアで光線の集束が連続的に繰り返され、したがってモード分散が最小になる。さらに、ステップインデックスマルチモード光ファイバと比べて、情報伝達能力を増大させることができる。
【0020】
本発明のさらなる態様によれば、光ファイバ層および少なくとも1つの光ファイバは、互いに強固に取り付けることができ、たとえばコア部を光ファイバ層によって被覆することができる。強固な取付けによって、部品が緩むのを防止することができ、光ファイバ層は、コア部に対する頑健な外皮として働くことができる。
【0021】
別法として、光ファイバ層は、コア部に取外し可能に取り付けることができる。光ファイバ層は、コア部を受け取ることが可能なパイプとして形成することができる。コア部は、光ファイバ層に対してケーブル方向に本質的に平行に可動とすることができる。この実施形態では、コア部および/または光ファイバ層は、他方から独立して取り外して交換することができる。したがって、ある部品が損傷した場合、他の部品はそのままにしながら、損傷した部品を交換することができる。
【0022】
光ファイバ層は、好ましくは、押出しによって形成することができる。
【0023】
本発明のさらなる態様によれば、本発明の光ケーブルは、第1のチャネルを介して映像、画像、および音声のデータおよび/または信号のうちの少なくとも1つを伝送するために使用することができる。第1のチャネルは、好ましくは、高速の信号および/またはデータ伝送を有することができ、したがって特に超高精細の画像または映像を容易に表示することができる。
【0024】
本発明の別の態様によれば、本発明の光ケーブルは、第2のチャネルを介してユーザ入力信号および/またはデータを伝送するために使用することができる。ユーザ入力は、音声、映像、およびタッチの事象のうちの少なくとも1つとすることができる。たとえば、声、身振り、および/またはタッチによってインターフェースを制御することができ、この情報が第2のチャネルを介して送られる。第2のチャネルは、好ましくは、ユーザ入力信号および/またはデータがそのような高い帯域幅を必要としないため、第1のチャネルより低速の信号および/またはデータ伝送を有することができ、過剰性能を防止することによって光ケーブルのコストをさらに低減させることができる。
【0025】
以下、本発明による光ケーブルについて、例示的な実施形態を示す添付の図面を参照して、より詳細に説明する。
【0026】
これらの図では、機能および/または構造に関して互いに対応する要素に対して、同じ参照番号が使用される。
【0027】
様々な態様および実施形態の説明によれば、図面に示されている要素は、これらの要素の技術的効果が特定の応用例に必要でない場合、省略することができ、さらに逆も同様であり、すなわち図示されていないまたは図を参照して説明されていないが上述された要素は、それらの特定の要素の技術的効果が特有の応用例で有利である場合、追加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の光ケーブルの例示的な実施形態を有するケーブルシステムの概略図である。
【
図2】本発明の光ケーブルの例示的な実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明による光ケーブル1が
図1に示されており、光ケーブル1は、2つのユニット2、4を接続する。ユニット2、4および光ケーブル1は、ケーブルシステム6を形成する。ユニット2は、データを生成する処理ユニット8とすることができ、ユニット4は、処理ユニット8によって生成されたデータを出力するディスプレイおよび/またはスピーカシステムなどの出力ユニット10とすることができる。したがって、光ケーブル1は、ケーブル方向12に処理ユニットから出力ユニット10へ第1のチャネル14を介してデータを伝送する。
【0030】
第1のチャネル14は、光ケーブル1のコア部18に少なくとも1つの光ファイバ16によって形成される。この例示的な実施形態では、コア部18は、単一の光ファイバ16によって形成される。しかし、図示されていない代替実施形態では、コア部18は、光ファイバ16のバンドルによって形成することができる。好ましくは、光ファイバ16は、信号および/またはデータの高速伝送が可能なガラス光ファイバ20である。したがって、処理ユニット8から出力ユニット10へ最高約40Gbpsの高速で情報を伝送することができる。
【0031】
出力ユニット10は、ユーザ24が処理ユニット8へコマンドを送るためのインターフェース22として働く対話型ユニットとすることができる。インターフェース22は、映像、音声、およびタッチの事象のうちの少なくとも1つによって制御することができる。たとえば、インターフェース22は、位置、圧力、および運動のうちの少なくとも1つの情報を処理ユニット8へ伝送するタッチセンシティブディスプレイとすることができる。追加または別法として、インターフェース22は、声で制御することができ、ユーザの音声コマンドが処理ユニット8へ伝送される。前記情報を処理ユニット8へ伝送するために必要とされる帯域幅は、処理ユニット8から出力ユニット10へ信号および/またはデータを伝送するための要件より低い。
【0032】
ユーザ入力25を処理ユニット8へ伝送するために、第2のチャネルを提供する必要がある。知られているケーブルシステム6では、別個の光ケーブル1が提供されることがあり、それぞれが単一のチャネルを形成する。しかし、各チャネルに対してユニット2、4に別個の接続ポートを提供しなければならないため、これには多くの空間が必要であり、ケーブルシステム6のサイズおよびコストがさらに増大する。
【0033】
本発明の光ケーブル1の機能および構造について、本発明の光ケーブル1のケーブル方向12に直交する断面
図27を示す
図2を参照して、より詳細に次に説明する。
【0034】
小型でコスト効率的な設計を備えた光ケーブル1を有するために、コア部18を取り囲む少なくとも1つの光ファイバ層28によって、第2のチャネル26が形成される。したがって、同軸に配置されたチャネルを有する光ケーブル1が提供される。したがって、各チャネルに対する接続ポートも同軸に配置することができ、2つの別個の接続ポートを有する場合より占有する空間が小さくなる。
【0035】
この例示的な実施形態では、第1のチャネル14は、順方向チャネル30を形成し、第2のチャネル26は、逆方向チャネル32を形成し、信号および/またはデータを反対の方向に伝送する。したがって、双方向光ケーブル1が形成される。第2のチャネル26は、第1のチャネル14とは独立して、その要件に応じて設計することができ、光ケーブル1の過剰性能を防止し、光ケーブル1のコストをさらに削減することができる。
【0036】
コア部18は、好ましくは、ファイバコア34と、ファイバコア34を径方向に取り囲むクラッド36とを有するガラス光ファイバ20を備える。クラッド36は、ファイバコア34による伝送をさらに改善することができる。クラッド36は、異なるクラッド材料の複数の層を備えることができ、ファイバコア34より低い屈折率を有することができる。クラッド36は、クラッド36とファイバコア34との間の境界における内部全反射によって、光をファイバコア34に閉じ込める。したがって、第1のチャネル14の光がクラッド36を通過して場合により第2のチャネルに干渉を引き起こすことが防止される。
【0037】
適用要件に応じて、光ファイバ16は、シングルモードまたはマルチモードの光ファイバとすることができる。シングルモード光ファイバには、長い距離、すなわち約100mを超える長さでも、低い信号および/またはデータ損失を実現することができるという利点がある。さらに、より長い距離でも高い帯域幅を実現することができる。シングルモード光ファイバと比べて、マルチモード光ファイバで可能な最大帯域幅は低い。しかし、マルチモード光ファイバは、より簡単かつ低コストに生産できることにその利点がある。さらに、ファイバコア径がより大きいため、光ファイバの終端をより容易にすることができる。特に、短い距離では、マルチモード光ファイバは高い帯域幅を実現することができる。
【0038】
第2のチャネル26は、コア部18を取り囲む少なくとも1つの光ファイバ層28によって形成される。この例示的な実施形態では、光ファイバ層28は、クラッド36に密接に接触している。したがって、クラッド36は、第2のチャネル26に対する内側クラッド38としても働く。光ファイバ層28および光ファイバ16は互いに強固に取り付けることができ、これら2つの構成要素間のあらゆる相対運動を防止することができる。光ファイバ層28および光ファイバ16は、互いに接着によって接合することができる。別法として、光ファイバ層28は、光ファイバ16を受け取るように適合されたパイプ形の断面を有する別個の部品とすることができる。光ファイバ16は、パイプ形の光ファイバ層28に対して可動とすることができ、したがって他の部品に影響を及ぼすことなく、損傷した部品を取り外して交換することができる。
【0039】
光ファイバ層28は、好ましくは、PMMAなどのポリマー光ファイバ40を備えることができる。これは、ポリマー光ファイバ40がガラス光ファイバより高い歪みおよび屈曲耐性を有し、より安価であることが分かっているため、特に有利である。この例示的な実施形態では、第2のチャネル26の伝送速度要件は第1のチャネル14と比べて比較的低いため、ポリマー光ファイバ40によってこれらの要件を満たすことができる。
【0040】
光ファイバ層28を取り囲む外側クラッド42を提供することができ、外側クラッド42は、光波を閉じ込めて屈折を引き起こすための外部境界として働く。これにより、光ファイバ層28による伝送がさらに改善される。これらの図には示されていないが、さらなる構成要素を提供することもできる。たとえば、光ファイバ層28およびファイバコア34を補強するために、外側クラッドを取り囲む被覆を提供することができる。被覆は、プラスチック層とすることができ、衝撃を吸収するとともに、過度のケーブル屈曲からの追加の保護を提供することができる。さらに、補強ファイバのバンドルを提供することができ、設置中の破砕力および過度の張力から光ファイバ層28および/またはファイバコア34を保護するのを助けることができる。加えて、光ケーブル1の他の構成要素を覆うケーブルジャケットを提供することができる。
【0041】
本発明の光ケーブル1によって、複数のチャネルを有する光ケーブル1の小型でコスト効率的な設計が提供される。各チャネルの帯域幅は異なることができ、したがってそれぞれの適用要件に応じて各チャネルを最適化することができる。したがって、チャネルの過剰性能が防止される。同軸の配置により、異なるデータおよび/または信号伝送のために単一の光ケーブルを使用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 光ケーブル
2 ユニット
4 ユニット
6 ケーブルシステム
8 処理ユニット
10 出力ユニット
12 ケーブル方向
14 第1のチャネル
16 光ファイバ
18 コア部
20 ガラス光ファイバ
22 インターフェース
24 ユーザ
25 ユーザ入力
26 第2のチャネル
27 断面図
28 光ファイバ層
30 順方向チャネル
32 逆方向チャネル
34 ファイバコア
36 クラッド
38 内側クラッド
40 ポリマー光ファイバ
42 外側クラッド