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特許7446829無電解ニッケルめっき皮膜及びその製造方法
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  • 特許-無電解ニッケルめっき皮膜及びその製造方法 図1
  • 特許-無電解ニッケルめっき皮膜及びその製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】無電解ニッケルめっき皮膜及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 18/32 20060101AFI20240304BHJP
   C23C 20/08 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
C23C18/32
C23C20/08
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020013272
(22)【出願日】2020-01-30
(65)【公開番号】P2021119259
(43)【公開日】2021-08-12
【審査請求日】2023-01-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 〔集会名等〕表面処理の世界を拓く 新製品・新技術発表講演大会 〔開催年月日〕平成31年1月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000230607
【氏名又は名称】日本化学産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139206
【弁理士】
【氏名又は名称】戸塚 朋之
(74)【代理人】
【識別番号】100094488
【弁理士】
【氏名又は名称】平石 利子
(72)【発明者】
【氏名】山崎 晃
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 彰典
【審査官】菅原 愛
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-146411(JP,A)
【文献】特開昭57-155395(JP,A)
【文献】特開昭58-027998(JP,A)
【文献】国際公開第00/008233(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第103074618(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 18/32
C23C 20/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニッケル88~99重量%、リン1~12重量%を含み、硫黄を含まないか又は0.01重量%以下含む無電解ニッケルめっき皮膜と、該皮膜上のモリブデン70~90重量%、酸素5~20重量%を含む着色皮膜を有してなることを特徴とする無電解ニッケルめっき皮膜。
【請求項2】
着色皮膜が、赤外光の波数1700~1500cm-1、1500~1300cm-1、1050~850cm-1に吸収ピークを持つことを特徴とする請求項1記載の無電解ニッケルめっき皮膜。
【請求項3】
着色皮膜が、膜厚の調整で、CIE(国際照明委員会)のL*a*b*色空間で表される何れかの色相を有することを特徴とする請求項1又は2記載の無電解ニッケルめっき皮膜。
【請求項4】
無電解ニッケルめっきを施した後、pH3.0~7.0のモリブデン酸塩溶液に浸漬することを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の無電解ニッケルめっき皮膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無電解ニッケルめっき皮膜に関し、詳細には所望の色に着色された無電解ニッケルめっき皮膜に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、めっき皮膜の色は、電解めっき無電解めっきに拘わらず、Ni,Cr,Sn,Agめっきなどの銀白色、Znめっきなどの灰色、Cuめっきなどの銅色、Cu-ZnやAuめっきなどの金色、あるいはSn-Niや無電解Niなどの黒色がある。
また、めっき皮膜の色を調整する方法として、Znめっき皮膜をクロメート処理する方法がある。
【0003】
更には、金属の着色方法として、ステンレスをクロム酸と硫酸の混合液に浸漬させて、青、金、赤、緑の着色皮膜を得る方法(特開昭58-27997)、アルミニウムなどを陽極酸化により、細孔を作り、その後染料などの着色剤の水溶液に浸漬し、細孔内に着色剤を固定して任意の色を着色する方法(特開2010-270351)、モリブデン酸塩による鉄鋼の化成処理(非特許文献1)、モリブデン酸塩を含有する水溶液中に部材を陰極として電解することで、干渉色を得る方法(特開2018-115371)などがある。
【0004】
上記の他、金属部材や合成樹脂部材などに着色する方法として塗装、蒸着、印刷、転写、レーザー加工などがある。
【0005】
しかし、上述の電気・無電解めっきによる皮膜では、銀白色、灰色、銅色、金色、黒色と色数が少なく、さらに1つの色に対して1種類のめっき液が必要となる。
また、金属部材にあっては、ステンレスやアルミニウム、鉄鋼など、素材が限定される。
しかも、めっき液の種類によっては、シアンやクロムなどの有害物質を含んでいる。
さらに、めっき、あるいはモリブデン酸塩の電解による発色では、着色できる素材が導電性を有するものに限られ、樹脂などの非導電性の素材には着色できない。
また、塗装や蒸着、印刷、転写、レーザー加工では、着色皮膜の精密性、均一性、微細加工、量産性などが良好でなく、改善を要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開昭58-27997
【文献】特開2010-270351
【文献】特開2018-115371
【非特許文献】
【0007】
【文献】日本化学会誌1987 No10「モリブデン酸塩水溶液による鉄鋼の化成処理」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、無電解ニッケルめっき皮膜を得る方法ではあるが、以上の従来技術にはない、1つのめっき液で、所望の色に着色することができる無電解ニッケルめっき皮膜を得る方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために検討している中で、特定の無電解ニッケルめっき皮膜において、該皮膜の膜厚の多寡により、皮膜の色が種々調整できるとの知見を得た。
【0010】
本発明の無電解ニッケルめっき皮膜は、上記の知見に基づくもので、ニッケル88~99重量%、リン1~12重量%を含み、硫黄を含まないか又は0.01重量%以下含む無電解ニッケルめっき皮膜、該皮膜上のモリブデン70~90重量%、酸素5~20重量%を含む着色皮膜を有してなることを特徴とする
記の着色皮膜は、膜厚が1~200nmで、赤外光の1700波数~1500cm-1、1500~1300cm-1、1050~850cm-1に吸収ピークを持ち、CIE(国際照明委員会)のL*a*b*色空間で表される何れかの色相を持っていてよい。
また、本発明は、モリブデン酸塩を含んだpH3.0~7.0のモリブデン酸塩溶液に、無電解ニッケルめっき皮膜を形成した基材を浸漬することを特徴とする上記着色皮膜を生成する方法にも関する。このとき、浸漬時間を1~120分の間で制御してよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、無電解ニッケルめっき液を使用して形成したニッケル皮膜を、モリブデン酸塩溶液に浸漬することでモリブデン70~90重量%、酸素5~20重量%を含む着色皮膜を得、このとき着色皮膜の膜厚を調整することで、所望の色を有する着色皮膜を得ることが出来る。
このモリブデン酸塩溶液は、有害なシアンやクロムなどを含んでおらず、よって、排液はもとより、得られる着色皮膜もシアンやクロムなどの有害物質を含まない。結果、人体や環境への負荷が小さい。
【0012】
また、無電解ニッケルめっきは金属や樹脂など様々な素材にめっきすることができるため、本発明では、素材に限定されることなく、様々な素材上に所望の色を有する着色皮膜を生成することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例1で作成した着色皮膜をグロー放電発光分析法(GDS)(HORIBA社製商品名“GD-PROFILER2”)により分析した結果を示す図である。
図2】実施例2で作成した着色皮膜をフーリエ変換赤外分光法(FT-IR)(サーモフィッシャーサイエンティフィック製NICOLET iS10)により分析した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明において、無電解ニッケルめっき皮膜はニッケル88~99重量%、リン1~12重量%を含み、硫黄を含まないか又は0,01重量%以下含む
モリブデン酸塩溶液はモリブデン酸塩と緩衝剤を含み、pH3~7、好ましくはpH4~6、さらにモリブデン酸塩溶液の温度は30~80℃、好ましくは50~70℃である。pH調整は硫酸、リン酸等の酸性物質や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水等のアルカリ性物質を使用することが出来る。
【0015】
モリブデン酸塩としては、特に限定されないが、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウムなどのアルカリ金属塩、モリブデン酸アンモニウムなどのアンモニウム塩等が挙げられる。これらモリブデン酸塩は1種または2種以上を用いることが出来る。本発明におけるモリブデン酸塩溶液のモリブデン酸塩の含有量は、特に限定されないが、1~50g/L、好ましくは5~20g/Lである。
【0016】
緩衝剤としては、特に限定はされないが、pH 2~8で緩衝作用を有する酢酸、フタル酸等のカルボン酸、前記カルボン酸のナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム等の無機アンモニウム塩、リン酸、リン酸のアルカリ金属塩等が挙げられる。これら緩衝剤の含有量は、特に限定されないが、0~200g/L、好ましくは50~150g/Lである。
更に、本発明に使用するモリブデン酸塩溶液には、本発明の効果を損なわない限り界面活性剤等を含有させてもよい。
【0017】
[実施例1]
めっき素材としてハルセル鉄板(67×100×0.3mm、山本鍍金試験器社製“B-60-P01A”)を用意し、80℃の脱脂液(ヘンケルジャパン社製商品名“BONDERITE C-AK VJP6510”)60g/Lに10分間浸漬し、室温の35%塩酸50ml/Lの溶液で30秒間浸漬した。
次いで、無電解ニッケルめっき液(日本化学産業社製商品名“ニッケルブーマーColor”)を用いてニッケル皮膜を形成した後、モリブデン酸塩溶液(モリブデン酸アンモニウム10g/L、及び硫酸アンモニウム100g/L、pH 5.0、60℃に5分間浸漬し、着色皮膜を得た。
この着色皮膜をグロー放電発光分析法(GDS)(HORIBA社製商品名“GD-PROFILER2”)により分析し、結果を図1に示した。
【0018】
図1から明らかなように、最表面にモリブデン、酸素が存在することから、最表面はモリブデンの酸化物であると推測できる。また無電解ニッケル皮膜であるニッケル、リンの成分が確認され、着色皮膜は無電解ニッケルめっき皮膜上にモリブデンの酸化物層が形成されていることが判る。
【0019】
[実施例2]
めっき素材としてハルセル鉄板(67×100×0.3mm、(株)山本鍍金試験器“B-60-P01A”)を用意し、実施例1と同様に前処理した後、ニッケル皮膜を形成し、次いで実施例1と同様のモリブデン酸塩溶液を用い、浸漬時間を1~60分の間で制御し、膜厚10~120nmの着色皮膜を作成した。
なお、浸漬時間約10分間で膜厚約10nm、20分で膜厚約30nm、約30分間で膜厚約50nm、約40分で膜厚約70nm、約50分間で膜厚約100nm、約60分で膜厚約120nmの着色皮膜となった。
【0020】
作成した着色皮膜をフーリエ変換赤外分光法(FT-IR)(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製商品名“NICOLET iS10”を使用)により分析し、結果を図2に示した。
図2から明らかなように、着色皮膜が厚くなるにつれて、赤外光の波数1700~1500cm-1、1500~1300cm-1、1050~850cm-1において吸収ピーク強度が強くなることが確認できる。すなわち、得られた着色皮膜は赤外光の波数1700~1500cm-1、1500~1300cm-1、1050~850cm-1の吸収ピークを持つ。
【0021】
[実施例3]
無電解ニッケルめっき皮膜を表1に示す成分となるように製膜し、次いでモリブデン酸塩溶液への浸漬時間を制御して着色皮膜の膜厚を表1に示すようにする以外は、実施例2と同様にして着色皮膜を作成した。
作成した着色皮膜の膜厚と色相を測定し、目視により色と均一性を評価し、結果を表1に示した。
着色皮膜の膜厚、無電解ニッケルめっき皮膜の成分は蛍光X線分析装置(リガク社製商品名“ZSX-100e”)で測定し、色は分光測色計(コニカミノルタ社製商品名“CM-5”)を用い、光源D65、測定視野10°として、測定モードSCI及びSCEにおけるL*、a*、b*を測定した。
なお、SCIモードは、正反射光を含んで測定するため、表面状態に関係なく素材そのものの色の評価になる。SCEモードは、拡散反射光だけを測定するため、目視に近い色の評価になる。表には、SCIモードで測定した結果を示す。
また、均一性は、色ムラなし(目視観察で色ムラの存在を全く認識できない)を○、色ムラややあり(目視観察で色ムラの存在を僅かに認識できる)を△、色ムラあり(目視観察で色ムラの存在を確実に認識できる)を×として評価した。
【0022】
【表1】
【0023】
[実施例4]
モリブデン酸塩溶液への浸漬時間を5分間とし、モリブデン酸塩溶液(pH 5.0)の温度を表2に示すように制御して着色皮膜を作成する以外は実施例3と同様にし、得られた着色皮膜の膜厚、色相を測定し、目視により色と均一性を実施例3と同様に評価し、結果を表2に示した。
【0024】
【表2】
【0025】
[実施例5]
モリブデン酸塩溶液への浸漬時間を5分間とし、モリブデン酸塩溶液(60℃)のpHを表3に示すように制御して着色皮膜を形成する以外は実施例3と同様にし、得られた着色皮膜の膜厚、色相を測定し、目視により色と均一性を評価し、結果を表3に示した。
【0026】
【表3】
【0027】
[実施例6]
めっき素材として銅、真鍮、アルミニウム、ステンレスの各種ハルセル板(67×100×0.3mm、山本鍍金試験器社製“B-60-P05”、“B-60-P03”、“B-60-P04”、“B-60-P02”)、ABS樹脂(70×150×2mm、アズワン社製)を用意した。
【0028】
銅板“B-60-P05”、真鍮板“B-60-P03”は、(1)60℃の脱脂液(ヘンケルジャパン社製商品名“BONDERITE C-AK SK” 50g/L)に10分間浸漬した後、(2)室温の98%硫酸50ml/Lの溶液に30秒間浸漬し、前処理した。
【0029】
アルミニウム板“B-60-P04”は、(1)60℃の脱脂液(日本化学産業社製商品名“ニッケルブーマーMD3152” 100ml/L)に10分間浸漬した後、(2)60℃のエッチング液(日本化学産業社製商品名“ニッケルブーマーMD3133” 150ml/L)に1分間浸漬し、続いて(3)室温の62%硝酸500ml/Lに30秒間浸漬して脱スマット処理をし、次いで(4)室温の亜鉛置換液(日本化学産業社製商品名“ニッケルブーマーMD3201” 300ml/L) に1分間浸漬して第一ジンケート処理し、さらに(5)置換した亜鉛膜を室温の62%硝酸500ml/Lに30秒間浸漬してストリップ処理し、最後に(6)室温の亜鉛置換液(日本化学産業社製商品名“ニッケルブーマーMD3201” 300ml/L)で30秒間、第二ジンケート処理した。
【0030】
ステンレス板“B-60-P02”は、(1)80℃の脱脂液(ヘンケルジャパン社製商品名“BONDERITE C-AK VJP6510 ” 60g/L)に10分間浸漬した後、(2)室温の35%塩酸500ml/Lの溶液に30秒間浸漬し、続いて(3)室温のウッドストライク浴(塩化ニッケル六水和物240g/L、35%塩酸120ml/L)中、電流密度5A/dm2で1分間ストライクめっきした。
【0031】
ABS樹脂は、(1)60℃の脱脂液(ヘンケルジャパン社製商品名“BONDERITE C-AK SK” 50g/L)に10分間浸漬した後、(2)60℃のクロム酸エッチング液(無水クロム酸400g/L、98%硫酸400g/L)に5分間浸漬し、次いで(3)室温の35%塩酸50ml/Lの溶液で30秒間浸漬し、さらに(4)室温のキャタリスト液(塩化パラジウム0.1g/L、塩化第一錫10g/L、35%塩酸200ml/L)に5分間浸漬し、最後に(5)室温のアクセレーター液(98%硫酸100ml/L)に3分間浸漬した。
【0032】
上記各種素材を上記のようにして前処理した後、実施例1と同様にニッケル皮膜を形成し、モリブデン酸塩溶液への浸漬時間は5分間とし、着色皮膜を作成した。作成した着色皮膜の色相を測定し、目視により色と均一性を評価し、結果を表4に示した。
【0033】
【表4】
【0034】
[比較例1]
めっき素材としてハルセル鉄板(67×100×0.3mm、(株)山本鍍金試験器“B-60-P01A”)を用意し、ニッケル皮膜を表5に示したものにした以外は、実施例1と同様の手順で着色皮膜を作成した。作成した着色皮膜を目視により色と均一性を評価し、結果を表5に示した。
【0035】
【表5】
【0036】
表5より明らかなように、ニッケル皮膜中に0.01%を超えるS(硫黄)を含有したものでは、本発明の着色皮膜に比べて発色が弱いことが判る。なお、めっき後にモリブデン酸塩溶液への浸漬処理を行ったところ、浸漬時間を長くしても着色皮膜の厚さはほとんど変わらず、様々な色を得ることが出来ないことを確認している。
【0037】
[比較例2]
めっき素材としてハルセル鉄板(67×100×0.3mm、(株)山本鍍金試験器“B-60-P01A”)を用意し、モリブデン酸塩溶液の温度を表6の条件にした以外は実施例4と同様に着色皮膜を作成した。作成した着色皮膜の膜厚、色相を測定し、目視により色と均一性を評価し、結果を表6に示した。
【0038】
【表6】
【0039】
表6より明らかなように、モリブデン酸塩溶液の温度が30℃では均一な外観になるものの、着色皮膜の生成速度が遅く、任意の色を得るための作業時間が長くかかり、作業性に不都合があることが判る。なお、モリブデン酸塩溶液の温度が40℃では均一な外観が得られない場合があることが確認されている。
【0040】
[比較例3]
めっき素材としてハルセル鉄板(67×100×0.3mm、(株)山本鍍金試験器“B-60-P01A”)を用意し、モリブデン酸塩溶液のpHを表7の条件にした以外は実施例5と同様にして着色皮膜を作成した。作成した着色皮膜の膜厚、色相を測定し、目視により色と均一性を評価し、結果を表7に示した。
【0041】
【表7】
【0042】
表7より明らかなように、モリブデン酸塩溶液のpHが2では着色皮膜の生成速度が速く、着色皮膜のコントロールすることが困難になることや、不均一になるなどの不都合があることが判る。なお、モリブデン酸塩溶液のpHが8では着色皮膜がほとんど生成せず、発色しないことが確認されている。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、各種の金属素材、各種の合成樹脂素材、セラミック等の各種素材に、ユーザーが所望する種々の色相を有する皮膜を形成することができるため、これら各種素材を使用する分野(建造物、車等の移動手段、家具調度品、カバン等の収納体、その他)において、利用可能性は極めて高い。
図1
図2