(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】パネル及びパネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
E06B 9/06 20060101AFI20240304BHJP
E06B 5/00 20060101ALI20240304BHJP
E04C 2/26 20060101ALI20240304BHJP
E04B 1/80 20060101ALI20240304BHJP
F16L 59/05 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
E06B9/06 610B
E06B5/00 B
E04C2/26 V
E04B1/80 100Q
F16L59/05
(21)【出願番号】P 2020017986
(22)【出願日】2020-02-05
【審査請求日】2023-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】脇田 嵩朗
(72)【発明者】
【氏名】角 和博
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-31447(JP,A)
【文献】実開平3-36826(JP,U)
【文献】特開2017-32117(JP,A)
【文献】特開平11-107399(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0317923(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/06
E06B 5/00
E04C 2/26
E04B 1/80
F16L 59/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに板面が対向するように設置された表板及び裏板と、
表板及び裏板を連結する側板とを備え、
表板及び裏板は、
互いに近づく方向に延長して側板に係合する辺縁部を有し、側板が表板及び裏板の各辺縁部に係合するように組み合わされて、これら表板及び裏板と側板とで囲まれた内部空間を有するように構成されたパネル筐体と、
当該パネル筐体の内部空間に充填された発泡材料と、
側板を覆うように設けられて表板と裏板とに連結された補強用側板と、
を備えて構成されたパネルであって、
パネル筐体が、
発泡材料を注入するための発泡材料注入口と、
発泡材料注入口とは異なる位置において側板に設けられた発泡材料圧抜き口とを備えたパネルにおいて、
発泡材料圧抜き口の近傍に位置される表板の辺縁部及び裏板の辺縁部と対向する補強用側板の内面に、辺縁部の変形を抑制する変形抑制材を備えたことを特徴とするパネル。
【請求項2】
表板及び裏板は非断熱材料により形成され、側板は断熱性材料により形成され、発泡材料及び変形抑制材は断熱材料であることを特徴とする請求項
1に記載のパネル。
【請求項3】
互いに板面が対向するように設置された四角形状の非断熱材料により形成された表板及び裏板と、
表板及び裏板の互いに対向する第1辺側同士を連結する第1断熱性側板と、
表板及び裏板の第1辺と対向する表板及び裏板の互いに対向する第2辺側同士を連結する第2断熱性側板と、
表板及び裏板の第1辺及び第2辺と隣り合う表板及び裏板の互いに対向する第3辺側同士を連結する第3断熱性側板と、
表板及び裏板の互いに対向する第4辺側同士を連結する第4断熱性側板とを備え、
表板及び裏板は、
各第1辺側が、互いに近づく方向に延長して第1断熱性側板に係合する辺縁部を有し、
各第2辺側が、互いに近づく方向に延長して第2断熱性側板に係合する辺縁部を有し、
各第3辺側が、互いに近づく方向に延長して第3断熱性側板に係合する辺縁部を有し、
各第4辺側が、互いに近づく方向に延長して第4断熱性側板に係合する辺縁部を有し、
第1断熱性側板、第2断熱性側板、第3断熱性側板、第4断熱性側板が、それぞれ、表板及び裏板の各辺縁部に係合するように組み合わされて、これら表板と裏板と第1乃至第4断熱性側板とで囲まれた内部空間を有するように構成されたパネル筐体と、
当該パネル筐体の内部空間に充填された断熱性能を有した発泡材料と、
を備えて構成された断熱パネルであって、
パネル筐体が、
互いに対向する第1断熱性側板及び第2断熱性側板のうちの一方の断熱性側板に設けられて発泡材料をパネル筐体の内部空間に注入するための発泡材料注入口と、
第1断熱性側板の長手方向の一端と第3断熱性側板との間の開口、又は、第1断熱性側板の長手方向の他端と第4断熱性側板との間の開口、又は、第2断熱性側板の長手方向の一端と第3断熱性側板との間の開口、又は、第2断熱性側板の長手方向の他端と第4断熱性側板との間の開口のうちの、少なくとも一つの開口により形成された発泡材料圧抜き口とを備えた断熱パネルにおいて、
パネル筐体が、発泡材料圧抜き口の近傍に位置される表板の辺縁部及び裏板の辺縁部が除去された辺縁除去部
と、
互いに対向する第1断熱性側板及び第2断熱性側板のうちの一方の断熱性側板を覆うように設けられて表板と裏板とに連結された非断熱材料により形成された一方側補強用側板と、
互いに対向する第1断熱性板及び第2断熱性側板のうちの他方の断熱性側板を覆うように設けられて表板と裏板とに連結された非断熱材料により形成された他方側補強用側板と、を備え、
各補強用側板は、表板及び裏板のうちの少なくとも一方と断熱材料を介して連結されたとともに、断熱性側板に係合する辺縁部との間に断熱材料を備えたことを特徴とする断熱パネル。
【請求項4】
互いに板面が対向するように設置された四角形状の非断熱材料により形成された表板及び裏板と、
表板及び裏板の互いに対向する第1辺側同士を連結する第1断熱性側板と、
表板及び裏板の第1辺と対向する表板及び裏板の互いに対向する第2辺側同士を連結する第2断熱性側板と、
表板及び裏板の第1辺及び第2辺と隣り合う表板及び裏板の互いに対向する第3辺側同士を連結する第3断熱性側板と、
表板及び裏板の互いに対向する第4辺側同士を連結する第4断熱性側板とを備え、
表板及び裏板は、
各第1辺側が、互いに近づく方向に延長して第1断熱性側板に係合する辺縁部を有し、
各第2辺側が、互いに近づく方向に延長して第2断熱性側板に係合する辺縁部を有し、
各第3辺側が、互いに近づく方向に延長して第3断熱性側板に係合する辺縁部を有し、
各第4辺側が、互いに近づく方向に延長して第4断熱性側板に係合する辺縁部を有し、
第1断熱性側板、第2断熱性側板、第3断熱性側板、第4断熱性側板が、それぞれ、表板及び裏板の各辺縁部に係合するように組み合わされて、これら表板と裏板と第1乃至第4断熱性側板とで囲まれた内部空間を有するように構成されたパネル筐体と、
当該パネル筐体の内部空間に充填された断熱性能を有した発泡材料と、
互いに対向する第1断熱性側板及び第2断熱性側板のうちの一方の断熱性側板を覆うように設けられて表板と裏板とに連結された非断熱材料により形成された一方側補強用側板と、
互いに対向する第1断熱性側板及び第2断熱性側板のうちの他方の断熱性側板を覆うように設けられて表板と裏板とに連結された非断熱材料により形成された他方側補強用側板と、
を備えて構成された断熱パネルであって、
パネル筐体が、
互いに対向する第1断熱性側板及び第2断熱性側板のうちの一方の断熱性側板に設けられて発泡材料をパネル筐体の内部空間に注入するための発泡材料注入口と、
第1断熱性側板の長手方向の一端と第3断熱性側板との間の開口、又は、第1断熱性側板の長手方向の他端と第4断熱性側板との間の開口、又は、第2断熱性側板の長手方向の一端と第3断熱性側板との間の開口、又は、第2断熱性側板の長手方向の他端と第4断熱性側板との間の開口のうちの、少なくとも一つの開口により形成された発泡材料圧抜き口とを備え、
各補強用側板が、表板及び裏板のうちの少なくとも一方と断熱材料を介して連結された構成を有した断熱パネルにおいて、
発泡材料圧抜き口の近傍に位置される表板の辺縁部及び裏板の辺縁部と一方側補強用側板との間、及び、発泡材料圧抜き口の近傍に位置される表板の辺縁部及び裏板の辺縁部と他方側補強用側板との間に、断熱材料を備えたことを特徴とする断熱パネル。
【請求項5】
一方側補強用側板又は他方側補強用側板として、第1断熱性側板又は第2断熱性側板と対向する面となる板面を有した基板と、当該基板の一端側より延長して表板の板面に連結される表連結板と、基板の他端側より延長して裏板の板面に連結される裏連結板とを備えるとともに、第1断熱性側板の両端側又は第2断熱性側板の両端側にそれぞれ設けられた発泡材料圧抜き口の近傍に位置される表板の辺縁部及び裏板の辺縁部と対向する基板の内面に断熱材料を備えた補強用側板を使用するとともに、
一方側補強用側板として、基板に、一方の断熱性側板に設けられた発泡材料注入口に対応した補強用側板側発泡材料注入口が形成された補強用側板を使用し、
一方側補強用側板の基板が一方の断熱性側板を覆うように、当該一方側補強用側板の表連結板を表板の板面に連結するとともに、当該一方側補強用側板の裏連結板を裏板の板面に連結し、
さらに、他方側補強用側板の基板が他方の断熱性側板を覆うように、当該他方側補強用側板の表連結板を表板の板面に連結するとともに、当該他方側補強用側板の裏連結板を裏板の板面に連結した後に、
補強用側板側発泡材料注入口及び発泡材料注入口を介して、パネル筐体の内部空間に発泡材料を充填したことを特徴とする請求項
4に記載の断熱パネルの製造方法。
【請求項6】
発泡材料注入口を介して、パネル筐体の内部空間に発泡材料を充填した後に、
一方側補強用側板又は他方側補強用側板として、第1断熱性側板又は第2断熱性側板と対向する面となる板面を有した基板と、当該基板の一端側より延長して表板の板面に連結される表連結板と、基板の他端側より延長して裏板の板面に連結される裏連結板とを備えるとともに、第1断熱性側板の両端側又は第2断熱性側板の両端側にそれぞれ設けられた発泡材料圧抜き口の近傍に位置される表板の辺縁部及び裏板の辺縁部と対向する基板の内面に断熱材料を備えた補強用側板を使用して、
一方側補強用側板の基板が一方の断熱性側板を覆うように、当該一方側補強用側板の表連結板を表板の板面に連結するとともに、当該一方側補強用側板の裏連結板を裏板の板面に連結し、
さらに、他方側補強用側板の基板が他方の断熱性側板を覆うように、当該他方側補強用側板の表連結板を表板の板面に連結するとともに、当該他方側補強用側板の裏連結板を裏板の板面に連結したことを特徴とする請求項
4に記載の断熱パネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル筐体の内部空間に発泡材料を充填して構成されたパネル及びパネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オーバーヘッドドア、パネルシャッター等の開閉装置の開閉体を構成する断熱パネルが知られている(特許文献1等参照)。
当該断熱パネルの一例について
図4乃至
図8を参照しながら説明する。
例えば
図4乃至
図6に示すように、金属等の非断熱材料により形成された表板2及び裏板3と断熱材料により形成された第1断熱性側板4乃至第4断熱性側板7とが組み合わされてパネル筐体100(
図5(a)参照)が形成され、当該パネル筐体100を形成する表板2と裏板3と第1断熱性側板4乃至第4断熱性側板7とで囲まれた内部空間8に、断熱性能を有した発泡材料9を充填することにより、断熱パネル101(
図5(b)参照)が形成される。当該発泡材料9は、熱移動を抑制できる性質を有した断熱材料であり、例えば、発泡ウレタンが用いられる。
さらに、補強用側板としての縦框12が、断熱パネル101の第1断熱性側板4の外側(外面)を覆うように設置されて、表板2と裏板3とに取付けられ、かつ、補強用側板としての縦框13が、断熱パネル101の第2断熱性側板5の外側(外面)を覆うように設置されて、表板2と裏板3とに取付けられたことによって、上述したオーバーヘッドドアの開閉体を構成する断熱パネル102(
図5(b)参照)が形成される。
尚、縦框12及び縦框13は補強用のための部材であり、例えば剛性の大きい金属等の非断熱材料により形成されている。
【0003】
即ち、断熱パネル101は、
図4,
図5に示すように、互いに板面2a,3aが平行に対向するように設置された長方形状(四角形状)の表板2及び裏板3と、表板2及び裏板3の互いに対向する第1辺21,31側同士を連結する第1断熱性側板4と、表板2及び裏板3の第1辺21,31と対向する表板2及び裏板3の互いに対向する第2辺22,32側同士を連結する第2断熱性側板5と、表板2及び裏板3の第1辺21,31及び第2辺22,32と隣り合う表板2及び裏板3の互いに対向する第3辺23,33側同士を連結する第3断熱性側板6と、表板及び裏板の互いに対向する第4辺24,34側同士を連結する第4断熱性側板7とを備え、表板2と裏板3と第1断熱性側板4乃至第4断熱性側板7とで囲まれた内部空間8に発泡材料9を充填して構成される。
【0004】
尚、表板2及び裏板3は、
図4に示すように、各第1辺21,31側が、互いに近づく方向に延長して第1断熱性側板4に係合する辺縁部41,42を有し、各第2辺22,32側が、互いに近づく方向に延長して第2断熱性側板5に係合する辺縁部51,52を有し、各第3辺23,33側が、互いに近づく方向に延長して第3断熱性側板6に係合する辺縁部61,62を有し、各第4辺24,34側が、互いに近づく方向に延長して第4断熱性側板7に係合する辺縁部71,72を有している。
また、表板2の第3辺23側及び第4辺24側は、辺縁部61及び辺縁部71の先端から互いに近づく方向に延長する溝挿入片61a,71aを備える。
また、裏板3の第3辺33側及び第4辺34側は、辺縁部62及び辺縁部72の先端から互いに近づく方向に延長する溝挿入片62a,72aを備える。
【0005】
そして、例えば、まず、裏板3の第3辺33側の溝挿入片62aを第3断熱性側板6に形成された下溝6bに挿入するとともに接着剤等を使用して、裏板3の第3辺33側の辺縁部62及び溝挿入片62aと第3断熱性側板6とが係合するように連結する。
次に、裏板3の第4辺34側の溝挿入片72aを第4断熱性側板7に形成された下溝7bに挿入するとともに接着剤等を使用して、裏板3の第4辺34側の辺縁部72及び溝挿入片72aと第4断熱性側板7とが係合するように連結する。
【0006】
第1断熱性側板4としては、長手方向に沿った長さが、裏板3の第3辺33側に連結された第3断熱性側板6と裏板3の第4辺34側に連結された第4断熱性側板7との間の離間距離よりも短くなるように形成され、かつ、短手方向に沿った長さ(
図4に示す第1断熱性側板4の上下方向の長さ)が、パネル筐体100を形成する表板2の板面2aと裏板3の板面3aとの間の距離と対応した長さに形成された第1断熱性側板4を用いる。
そして、第1断熱性側板4の長手方向の一端と第3断熱性側板6との間に後述する発泡材料圧抜き口11を形成する隙間を保つとともに、第1断熱性側板4の長手方向の他端と第4断熱性側板7との間に後述する発泡材料圧抜き口11を形成する隙間を保つように、第1断熱性側板4を第3断熱性側板6と第4断熱性側板7との間に配置して、第1断熱性側板4の短手方向の一端側である長手方向に沿った下端縁側の板面と、裏板3の辺縁部42の内面(内部空間8側となる面)とを接着剤等を使用して連結する。
同様に、第2断熱性側板5としては、長手方向に沿った長さ、及び、短手方向に沿った長さが、第1断熱性側板4と同じ長さに形成され、かつ、中央部に、板を貫通する発泡材料注入口10が形成された第2断熱性側板5を用いる。
そして、第2断熱性側板5の長手方向の一端と第3断熱性側板6との間に後述する発泡材料圧抜き口11を形成する隙間を保つとともに、第2断熱性側板5の長手方向の他端と第4断熱性側板7との間に後述する発泡材料圧抜き口11を形成する隙間を保つように、第2断熱性側板5を第3断熱性側板6と第4断熱性側板7との間に配置して、第2断熱性側板5の短手方向の一端側である長手方向に沿った下端縁側の板面と、裏板3の辺縁部52の内面(内部空間8側となる面)とを接着剤等を使用して連結する。
【0007】
そして、表板2の第3辺23側の溝挿入片61aを第3断熱性側板6に形成された上溝6aに挿入するとともに接着剤等を使用して、表板2の第3辺23側の辺縁部61及び溝挿入片61aと第3断熱性側板6とが係合するように連結するとともに、表板2の第4辺24側の溝挿入片71aを第4断熱性側板7に形成された上溝7aに挿入するとともに接着剤等を使用して、表板2の第4辺24側の辺縁部71及び溝挿入片71aと第4断熱性側板7とが係合するように連結する。
さらに、第1断熱性側板4の短手方向の他端側である長手方向に沿った上端縁側の板面と表板2の辺縁部41の内面(内部空間8側となる面)とを接着剤等を使用して連結するとともに、第2断熱性側板5の短手方向の他端側である長手方向に沿った上端縁側の板面と表板2の辺縁部51の内面(内部空間8側となる面)とを接着剤等を使用して連結する。
【0008】
以上により、第1断熱性側板4、第2断熱性側板5、第3断熱性側板6、第4断熱性側板7が、それぞれ、表板2及び裏板3の各辺縁部41,42,51,52,61,62,71,72に係合するように組み合わされて、これら表板2と裏板3と第1断熱性側板4乃至第4断熱性側板7とで囲まれた内部空間8を有するとともに、第2断熱性側板5に発泡材料注入口10が設けられ、第1断熱性側板4の長手方向の両端側、及び、第2断熱性側板5の長手方向の両端側には、内部空間8と連通する開口により形成された発泡材料圧抜き口11が設けられたパネル筐体100(
図5(a)参照)が構成される。
即ち、内部空間8を有するとともに、第2断熱性側板5には、発泡材料9を内部空間8に注入するための発泡材料注入口10を有し、かつ、第1断熱性側板4の長手方向の一端と第3断熱性側板6と辺縁部41,42とで囲まれた開口により形成された発泡材料圧抜き口11と、第1断熱性側板4の長手方向の他端と第4断熱性側板7と辺縁部41,42とで囲まれた開口により形成された発泡材料圧抜き口11と、第2断熱性側板5の長手方向の一端と第3断熱性側板6と辺縁部51,52とで囲まれた開口により形成された発泡材料圧抜き口11と、第2断熱性側板5の長手方向の他端と第4断熱性側板7と辺縁部51,52とで囲まれた開口により形成された発泡材料圧抜き口11とを備えたパネル筐体100が構成される。
換言すれば、パネル筐体100の長手方向の一端側の側面を構成する第2断熱性側板5に発泡材料注入口10を備え、直方体形状のパネル筐体100の4つの角部にそれぞれ発泡材料圧抜き口11,11…を備えたパネル筐体100が構成される。
【0009】
そして、発泡材料注入口10を介して、パネル筐体100の内部空間8に、発泡ウレタン等の発泡材料9を充填することにより、断熱パネル101(
図5(b),
図6(b)参照)が形成される。
例えば、図外のプレス機の下側載置面にパネル筐体100の裏板3の板面3aを載置するとともに、プレス機の上側プレス面でパネル筐体100の表板2の板面2aを押えた状態として、発泡材料注入口10を介して当該パネル筐体100の内部空間8に発泡材料9を充填する。
そして、発泡材料圧抜き口11,11…から内部空間8の外に膨出した発泡材料9を除去することより、断熱パネル101が形成される。
【0010】
尚、発泡材料圧抜き口11,11…を設けない場合には、パネル筐体100の内部空間8内で発泡する発泡材料9、例えば発泡ウレタンの発泡時の圧力によって、第1断熱性側板4乃至第4断熱性側板7が押圧されて膨らんでしまい、発泡ウレタンが内部空間8内に均等に充填されない可能性がある。
一方、4つの角部にそれぞれ発泡材料圧抜き口11,11…を備えた構成のパネル筐体100を用いた場合、内部空間8内で発泡する発泡ウレタンの発泡時の圧力を、発泡材料圧抜き口11,11…を介して外部に逃がすことができるようになるため、発泡ウレタンが内部空間8内に均等に充填されるようになる。
【0011】
また、
図7,
図6(b),
図6(c)に示すように、縦框12は、断熱パネル101の第1断熱性側板4、表板2の辺縁部41、裏板3の辺縁部42と対向する面となる板面を有した基板12aと、基板12aの短手方向の一端側より延長して表板2の板面2aに連結される表連結板12bと、基板12aの短手方向の他端側より延長して裏板3の板面3aに連結される裏連結板12cとを備えた断面コ字状の長尺部材により構成され、縦框12は非断熱材料であるため基板12aの内面12uにおける長手方向両端側には断熱シート17,17が取付けられている。
同様に、縦框13は、断熱パネル101の第2断熱性側板5、表板2の辺縁部51、裏板3の辺縁部52と対向する面となる板面を有した基板13aと、基板13aの短手方向の一端側より延長して表板2の板面2aに連結される表連結板13bと、基板13aの短手方向の他端側より延長して裏板3の板面3aに連結される裏連結板13cとを備えた断面コ字状の長尺部材により構成され、縦框13は非断熱材料であるため基板13aの内面13uにおける長手方向両端側には断熱シート17,17が取付けられている。
【0012】
そして、基板12aの内面12uに接着剤等で取付けられた断熱シート17,17と断熱パネル101の辺縁部41及び辺縁部42とを接触させて(
図8参照)、第1断熱性側板4を覆うように基板12aを設置し、かつ、縦框12は非断熱材料であり、表連結板12bも非断熱材料であるため、表連結板12bを断熱性板14(
図6(c),
図8参照)を介して表板2の板面2aにヒートブリッジになるまでには至らない程度に接触するねじ15(
図6(c)参照)等で連結するとともに、裏連結板12cを裏板3の板面3aに図外のねじ等で連結することにより、縦框12が断熱パネル101の長手方向一端側の側面に取付けられる(
図5(b)参照)。
同様に、基板13aの内面13uに接着剤等で取付けられた断熱シート17,17と断熱パネル101の辺縁部51及び辺縁部52とを接触させて、第2断熱性側板5を覆うように基板13aを設置し、表連結板13bを断熱性板14を介して表板2の板面2aにねじ15等で連結するとともに、裏連結板13cを裏板3の板面3aに図外のねじ等で連結することにより、縦框13が断熱パネル101の長手方向他端側の側面に取付けられる(
図5(b)参照)。
尚、縦框12の表連結板12b、縦框13の表連結板13b、断熱性板14、表板2の板面2aには、ねじ15を通すためのねじ挿通孔16が形成されている。また、縦框12の裏連結板12c及び縦框13の裏連結板13cを裏板3の板面3aに取付けるためのねじ及びねじ挿通孔の図示は省略した。
【0013】
以上により、断熱パネル101の長手方向一端側が縦框12により補強されるとともに、断熱パネル101の長手方向他端側が縦框13により補強され、かつ、断熱シート17,17と断熱性板14とによって断熱性能が維持された構成の断熱パネル102、即ち、オーバーヘッドドアの開閉体を構成する断熱パネル102が形成される(
図5(b)参照)。
【0014】
そして、当該断熱パネル102の縦框12,13の裏連結板12c,13cには図外のヒンジが取付けられ、当該ヒンジを介して開閉方向に沿って隣り合う断熱パネル102,102同士が連結されてオーバーヘッドドアの開閉体が構成される。
【0015】
尚、第1断熱性側板4乃至第4断熱性側板7、断熱性板14、断熱シート17は、熱移動を抑制できる性質を有した断熱材料(熱絶縁材)により形成される。
例えば、第1断熱性側板4及び第2断熱性側板5は、硬質紙板により形成され、第3断熱性側板6及び第4断熱性側板7、断熱性板14、断熱シート17は、樹脂により形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、上述した従来の断熱パネルによれば、発泡材料圧抜き口11,11…の近傍の辺縁部41,42,51,52が、発泡材料圧抜き口11,11…から抜ける発泡材料9の発泡時の圧力で押圧されて変形することにより、外形劣悪、ヒートブリッジ等の問題が発生し、断熱パネルの品質低下を招いていた。例えば、
図8に示すように、発泡材料圧抜き口11の近傍の辺縁部41や辺縁部42が、発泡材料圧抜き口11から抜ける発泡材料9の発泡時の圧力で押圧されて、想像線(二点鎖線)で示すように、辺縁部41や辺縁部42の一部が歪んだり、辺縁部41の一部と辺縁部42の一部とが接触したり、辺縁部41の一部と辺縁部42の一部とが接近したりするように変形する虞がある。また、この変形した辺縁部41が縦框12の基板12aの内面12uに接触してヒートブリッジが発生してしまう。
尚、上述においては、断熱パネルの例を示したが、断熱パネルに限らず発泡材料を用いた一般のパネルにおいても、発泡時の際に変形する虞があるという同様の課題がある。
【0018】
本発明は、上記課題を解消すべく、辺縁部の変形を防止できてより正確な形状のパネルを提供すること、また、パネルに断熱性能が要求される場合には所望の断熱性能が確保された断熱パネルを提供すること、及び、当該パネルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明に係るパネルは、互いに板面が対向するように設置された表板及び裏板と、表板及び裏板を連結する側板とを備え、表板及び裏板は、互いに近づく方向に延長して側板に係合する辺縁部を有し、側板が表板及び裏板の各辺縁部に係合するように組み合わされて、これら表板及び裏板と側板とで囲まれた内部空間を有するように構成されたパネル筐体と、当該パネル筐体の内部空間に充填された発泡材料と、側板を覆うように設けられて表板と裏板とに連結された補強用側板と、を備えて構成されたパネルであって、パネル筐体が、発泡材料を注入するための発泡材料注入口と、発泡材料注入口とは異なる位置において側板に設けられた発泡材料圧抜き口とを備えたパネルにおいて、発泡材料圧抜き口の近傍に位置される表板の辺縁部及び裏板の辺縁部と対向する補強用側板の内面に、辺縁部の変形を抑制する変形抑制材を備えたことを特徴とするので、変形抑制材により辺縁部の変形を防止できてより正確な形状のパネルを得ることができる。
また、表板及び裏板は非断熱材料により形成され、側板は断熱性材料により形成され、発泡材料及び変形抑制材は断熱材料であることを特徴とするので、所望の断熱性能が確保されて、かつ、より正確な形状の断熱パネルを得ることができる。
本発明に係る断熱パネルは、互いに板面が対向するように設置された四角形状の非断熱材料により形成された表板及び裏板と、表板及び裏板の互いに対向する第1辺側同士を連結する第1断熱性側板と、表板及び裏板の第1辺と対向する表板及び裏板の互いに対向する第2辺側同士を連結する第2断熱性側板と、表板及び裏板の第1辺及び第2辺と隣り合う表板及び裏板の互いに対向する第3辺側同士を連結する第3断熱性側板と、表板及び裏板の互いに対向する第4辺側同士を連結する第4断熱性側板とを備え、表板及び裏板は、各第1辺側が、互いに近づく方向に延長して第1断熱性側板に係合する辺縁部を有し、各第2辺側が、互いに近づく方向に延長して第2断熱性側板に係合する辺縁部を有し、各第3辺側が、互いに近づく方向に延長して第3断熱性側板に係合する辺縁部を有し、各第4辺側が、互いに近づく方向に延長して第4断熱性側板に係合する辺縁部を有し、第1断熱性側板、第2断熱性側板、第3断熱性側板、第4断熱性側板が、それぞれ、表板及び裏板の各辺縁部に係合するように組み合わされて、これら表板と裏板と第1乃至第4断熱性側板とで囲まれた内部空間を有するように構成されたパネル筐体と、当該パネル筐体の内部空間に充填された断熱性能を有した発泡材料と、を備えて構成された断熱パネルであって、パネル筐体が、互いに対向する第1断熱性側板及び第2断熱性側板のうちの一方の断熱性側板に設けられて発泡材料をパネル筐体の内部空間に注入するための発泡材料注入口と、第1断熱性側板の長手方向の一端と第3断熱性側板との間の開口、又は、第1断熱性側板の長手方向の他端と第4断熱性側板との間の開口、又は、第2断熱性側板の長手方向の一端と第3断熱性側板との間の開口、又は、第2断熱性側板の長手方向の他端と第4断熱性側板との間の開口のうちの、少なくとも一つの開口により形成された発泡材料圧抜き口とを備えた断熱パネルにおいて、パネル筐体が、発泡材料圧抜き口の近傍に位置される表板の辺縁部及び裏板の辺縁部が除去された辺縁除去部と、互いに対向する第1断熱性側板及び第2断熱性側板のうちの一方の断熱性側板を覆うように設けられて表板と裏板とに連結された非断熱材料により形成された一方側補強用側板と、互いに対向する第1断熱性板及び第2断熱性側板のうちの他方の断熱性側板を覆うように設けられて表板と裏板とに連結された非断熱材料により形成された他方側補強用側板と、を備え、各補強用側板は、表板及び裏板のうちの少なくとも一方と断熱材料を介して連結されたとともに、断熱性側板に係合する辺縁部との間に断熱材料を備えたことを特徴とするので、所望の断熱性能が確保されて、かつ、より正確な形状で、さらに強度が大きい断熱パネルを得ることができる。
また、本発明に係る断熱パネルは、互いに板面が対向するように設置された四角形状の非断熱材料により形成された表板及び裏板と、表板及び裏板の互いに対向する第1辺側同士を連結する第1断熱性側板と、表板及び裏板の第1辺と対向する表板及び裏板の互いに対向する第2辺側同士を連結する第2断熱性側板と、表板及び裏板の第1辺及び第2辺と隣り合う表板及び裏板の互いに対向する第3辺側同士を連結する第3断熱性側板と、表板及び裏板の互いに対向する第4辺側同士を連結する第4断熱性側板とを備え、表板及び裏板は、各第1辺側が、互いに近づく方向に延長して第1断熱性側板に係合する辺縁部を有し、各第2辺側が、互いに近づく方向に延長して第2断熱性側板に係合する辺縁部を有し、各第3辺側が、互いに近づく方向に延長して第3断熱性側板に係合する辺縁部を有し、各第4辺側が、互いに近づく方向に延長して第4断熱性側板に係合する辺縁部を有し、第1断熱性側板、第2断熱性側板、第3断熱性側板、第4断熱性側板が、それぞれ、表板及び裏板の各辺縁部に係合するように組み合わされて、これら表板と裏板と第1乃至第4断熱性側板とで囲まれた内部空間を有するように構成されたパネル筐体と、当該パネル筐体の内部空間に充填された断熱性能を有した発泡材料と、互いに対向する第1断熱性側板及び第2断熱性側板のうちの一方の断熱性側板を覆うように設けられて表板と裏板とに連結された非断熱材料により形成された一方側補強用側板と、互いに対向する第1断熱性側板及び第2断熱性側板のうちの他方の断熱性側板を覆うように設けられて表板と裏板とに連結された非断熱材料により形成された他方側補強用側板と、を備えて構成された断熱パネルであって、パネル筐体が、互いに対向する第1断熱性側板及び第2断熱性側板のうちの一方の断熱性側板に設けられて発泡材料をパネル筐体の内部空間に注入するための発泡材料注入口と、第1断熱性側板の長手方向の一端と第3断熱性側板との間の開口、又は、第1断熱性側板の長手方向の他端と第4断熱性側板との間の開口、又は、第2断熱性側板の長手方向の一端と第3断熱性側板との間の開口、又は、第2断熱性側板の長手方向の他端と第4断熱性側板との間の開口のうちの、少なくとも一つの開口により形成された発泡材料圧抜き口とを備え、各補強用側板が、表板及び裏板のうちの少なくとも一方と断熱材料を介して連結された構成を有した断熱パネルにおいて、発泡材料圧抜き口の近傍に位置される表板の辺縁部及び裏板の辺縁部と一方側補強用側板との間、及び、発泡材料圧抜き口の近傍に位置される表板の辺縁部及び裏板の辺縁部と他方側補強用側板との間に、断熱材料を備えたことを特徴とするので、所望の断熱性能が確保されて、かつ、より正確な形状で、さらに強度が大きい断熱パネルを得ることができる。
また、本発明に係る断熱パネルの製造方法は、一方側補強用側板又は他方側補強用側板として、第1断熱性側板又は第2断熱性側板と対向する面となる板面を有した基板と、当該基板の一端側より延長して表板の板面に連結される表連結板と、基板の他端側より延長して裏板の板面に連結される裏連結板とを備えるとともに、第1断熱性側板の両端側又は第2断熱性側板の両端側にそれぞれ設けられた発泡材料圧抜き口の近傍に位置される表板の辺縁部及び裏板の辺縁部と対向する基板の内面に断熱材料を備えた補強用側板を使用するとともに、一方側補強用側板として、基板に、一方の断熱性側板に設けられた発泡材料注入口に対応した補強用側板側発泡材料注入口が形成された補強用側板を使用し、一方側補強用側板の基板が一方の断熱性側板を覆うように、当該一方側補強用側板の表連結板を表板の板面に連結するとともに、当該一方側補強用側板の裏連結板を裏板の板面に連結し、さらに、他方側補強用側板の基板が他方の断熱性側板を覆うように、当該他方側補強用側板の表連結板を表板の板面に連結するとともに、当該他方側補強用側板の裏連結板を裏板の板面に連結した後に、補強用側板側発泡材料注入口及び発泡材料注入口を介して、パネル筐体の内部空間に発泡材料を充填したことを特徴とする。
また、本発明に係る断熱パネルの製造方法は、発泡材料注入口を介して、パネル筐体の内部空間に発泡材料を充填した後に、一方側補強用側板又は他方側補強用側板として、第1断熱性側板又は第2断熱性側板と対向する面となる板面を有した基板と、当該基板の一端側より延長して表板の板面に連結される表連結板と、基板の他端側より延長して裏板の板面に連結される裏連結板とを備えるとともに、第1断熱性側板の両端側又は第2断熱性側板の両端側にそれぞれ設けられた発泡材料圧抜き口の近傍に位置される表板の辺縁部及び裏板の辺縁部と対向する基板の内面に断熱材料を備えた補強用側板を使用して、一方側補強用側板の基板が一方の断熱性側板を覆うように、当該一方側補強用側板の表連結板を表板の板面に連結するとともに、当該一方側補強用側板の裏連結板を裏板の板面に連結し、さらに、他方側補強用側板の基板が他方の断熱性側板を覆うように、当該他方側補強用側板の表連結板を表板の板面に連結するとともに、当該他方側補強用側板の裏連結板を裏板の板面に連結したことを特徴とする。
本発明に係る断熱パネルの製造方法によれば、所望の断熱性能が確保されて、かつ、より正確な形状で、さらに強度が大きい断熱パネルを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】断熱パネルを分解して示す分解斜視図(実施形態1)。
【
図2】(a)は断熱パネルの角部を拡大して示す分解斜視図、(b)は断熱パネルの角部を拡大して示す斜視図、(c)は縦框を備えた断熱パネルの角部を拡大して示す斜視図(実施形態1)。
【
図3】(a)は断熱パネルの角部を拡大して示す分解斜視図、(b)は断熱パネルの角部、及び、縦框の内面側を拡大して示す斜視図、(c)は縦框を備えた断熱パネルの角部を拡大して示す斜視図(実施形態2)。
【
図4】断熱パネルを分解して示す分解斜視図(従来例)。
【
図5】(a)は断熱パネルを構成するパネル筐体、及び、縦框を示す斜視図、(b)は縦框を備えた断熱パネルを示す斜視図(従来例)。
【
図6】(a)は断熱パネルの角部を拡大して示す分解斜視図、(b)は断熱パネルの角部を拡大して示す斜視図、(c)は縦框を備えた断熱パネルの角部を拡大して示す斜視図(従来例)。
【
図8】断熱パネルに生じるヒートブリッジを説明した断面図(従来例)。
【発明を実施するための形態】
【0021】
実施形態1
図1,
図2に示すように、実施形態1に係る断熱パネル1Aは、従来のパネル筐体100(
図5(a),
図6(b)参照)において発泡材料圧抜き口11,11…の近傍に位置されていた表板2の辺縁部41,51及び裏板3の辺縁部42,52が除去された辺縁除去部99,99…を備えたパネル筐体100Aを用い、当該パネル筐体100Aの内部空間8に発泡ウレタン等の断熱性能を有した発泡材料9を充填することにより断熱パネル1を形成し、当該断熱パネル1の長手方向一端側に補強用側板としての縦框12を備えるととともに、当該断熱パネル1の長手方向他端側に補強用側板としての縦框13を備えた構成とした。
尚、
図1,2において、
図4乃至
図8に示した従来例と同一部分は同一符号を付している。
【0022】
つまり、以下のように構成されたパネル筐体100Aを備えた断熱パネル1Aとした。
即ち、パネル筐体100Aは、
図1,
図2に示すように、互いに板面2a,3aが平行に対向するように設置された四角形状の金属等の非断熱材料により形成された表板2及び裏板3と、表板2及び裏板3の互いに対向する第1辺21,31側同士を連結する第1断熱性側板4と、表板2及び裏板3の第1辺21,31と対向する表板2及び裏板3の互いに対向する第2辺22,32側同士を連結する第2断熱性側板5と、表板2及び裏板3の第1辺21,31及び第2辺22,32と隣り合う表板2及び裏板3の互いに対向する第3辺23,33側同士を連結する第3断熱性側板6と、表板2及び裏板3の互いに対向する第4辺24,34側同士を連結する第4断熱性側板7とを備える。
【0023】
尚、表板2及び裏板3は、
図1に示すように、各第1辺21,31側が、互いに近づく方向に延長して第1断熱性側板4に係合する辺縁部41,42と辺縁除去部99とを有し、各第2辺22,32側が、互いに近づく方向に延長して第2断熱性側板5に係合する辺縁部51,52と辺縁除去部99とを有し、各第3辺23,33側が、互いに近づく方向に延長して第3断熱性側板6に係合する辺縁部61,62を有し、各第4辺24,34側が、互いに近づく方向に延長して第4断熱性側板7に係合する辺縁部71,72を有している。
【0024】
即ち、実施形態1では、表板2が、第1辺21側に、辺縁部41の当該第1辺21に沿った方向の両端側が除去された辺縁除去部99,99を備えるとともに、第2辺22側に、辺縁部51の当該第2辺22に沿った方向の両端側が除去された辺縁除去部99,99を備えた構成とし、また、裏板3が、第1辺31側に、辺縁部42の当該第1辺31に沿った方向の両端側が除去された辺縁除去部99,99を備えるとともに、第2辺32側に、辺縁部52の当該第2辺32に沿った方向の両端側が除去された辺縁除去部99,99を備えた構成とした。
【0025】
換言すれば、表板2は、第1辺21の長手方向両端側に辺縁除去部99,99を備えるとともに、当該辺縁除去部99と辺縁除去部99との間には第1辺21より延長するように設けられた辺縁部41を備え、かつ、第2辺22の長手方向両端側に辺縁除去部99,99を備えるとともに、当該辺縁除去部99と辺縁除去部99との間には第2辺22より延長するように設けられた辺縁部51を備えた構成とした。
また、裏板3は、第1辺31の長手方向両端側に辺縁除去部99,99を備えるとともに、当該辺縁除去部99と辺縁除去部99との間には第1辺31より延長するように設けられた辺縁部42を備え、かつ、第2辺32の長手方向両端側に辺縁除去部99,99を備えるとともに、当該辺縁除去部99と辺縁除去部99との間には第2辺32より延長するように設けられた辺縁部52を備えた構成とした。
【0026】
つまり、実施形態1のパネル筐体100Aは、表板2及び裏板3以外の構成は、
図4乃至
図8に示した従来例のパネル筐体100と同じ構成である。
従って、
図4乃至
図8に示した従来例と同様に、第1断熱性側板4、第2断熱性側板5、第3断熱性側板6、第4断熱性側板7が、それぞれ、表板2及び裏板3の各辺縁部に係合するように組み合わされて、これら表板2と裏板3と第1断熱性側板4乃至第4断熱性側板7とで囲まれた内部空間8を有するとともに、第2断熱性側板5に発泡材料注入口10が設けられ、第1断熱性側板4の長手方向の両端側、及び、第2断熱性側板5の長手方向の両端側には、内部空間8と連通する開口により形成された発泡材料圧抜き口11が設けられたパネル筐体100A(
図2(b)参照)が構成される。
【0027】
当該パネル筐体100Aは、第1断熱性側板4の長手方向の一端縁と第3断熱性側板6の長手方向の一端縁と辺縁部41の一端側に設けられた辺縁除去部99と辺縁部42の一端側に設けられた辺縁除去部99とで囲まれた開口により形成された発泡材料圧抜き口11と、第1断熱性側板4の長手方向の他端縁と第4断熱性側板7の長手方向の一端縁と辺縁部41の他端側に設けられた辺縁除去部99と辺縁部42の他端側に設けられた辺縁除去部99とで囲まれた開口により形成された発泡材料圧抜き口11(
図2(b)参照)と、第2断熱性側板5の長手方向の一端縁と第3断熱性側板6の長手方向の他端縁と辺縁部51の一端側に設けられた辺縁除去部99と辺縁部52の一端側に設けられた辺縁除去部99とで囲まれた開口により形成された発泡材料圧抜き口11と、第2断熱性側板5の長手方向の他端縁と第4断熱性側板7の長手方向の他端縁と辺縁部51の他端側に設けられた辺縁除去部99と辺縁部52の他端側に設けられた辺縁除去部99とで囲まれた開口により形成された発泡材料圧抜き口11とを備えた構成となる。
【0028】
そして、
図4乃至
図8に示した従来例と同様に、発泡材料注入口10を介して、パネル筐体100Aの内部空間8に、発泡ウレタン等の発泡材料9を充填することにより、断熱パネル1(
図2(b)参照)が形成される。
【0029】
さらに、
図4乃至
図8に示した従来例と同様に、縦框12を断熱パネル1の長手方向一端側の側面に取付けるとともに(
図2(c)参照)、縦框13を断熱パネル1の長手方向他端側の側面に取付けることにより、断熱パネル1の長手方向一端側が縦框12により補強されるとともに、断熱パネル1の長手方向他端側が縦框13により補強され、かつ、断熱シート17,17と断熱性板14とによって断熱性能が維持された構成の断熱パネル1A、即ち、オーバーヘッドドアの開閉体を構成する断熱パネル1Aが形成される(
図2(c)参照)。
【0030】
実施形態1に係る断熱パネル1Aによれば、発泡材料圧抜き口11,11…の近傍位置に、表板2の辺縁部41,51及び裏板3の辺縁部42,52が除去された辺縁除去部99,99…を備えたパネル筐体100Aを用いたため、発泡ウレタン等の発泡材料9の発泡時に発泡材料圧抜き口11,11…を介して押し出される発泡材料9に押圧される辺縁部が存在しなくなる。
従って、従来のように、発泡材料圧抜き口11,11…の近傍の辺縁部41,51,42,52が変形し、この変形した辺縁部が縦框12,13の基板12a,13aの内面12u,13uに接触することによるヒートブリッジの発生を防止できるようになるので、所望の断熱性能が確保されて、かつ、より正確な形状で、さらに強度が大きい断熱パネル1Aを製造でき、提供できるようになる。
【0031】
実施形態2
次に、
図3に基づいて実施形態2に係る断熱パネル1Bを説明する。尚、
図3において、
図4乃至
図8に示した従来例と同一部分は同一符号を付している。
実施形態1に係る断熱パネル1Aでは、発泡材料圧抜き口11,11…の近傍位置における表板2の辺縁部41,51及び裏板3の辺縁部42,52が除去された辺縁除去部99,99…を備えたパネル筐体100Aを用いた構成としたが、実施形態2に係る断熱パネル1Bでは、
図4乃至
図8の従来例で示したパネル筐体100を用いて断熱パネル101(
図3(b)参照)を形成するとともに、当該断熱パネル101の発泡材料圧抜き口11,11…の近傍位置における表板2の辺縁部41,51及び裏板3の辺縁部42,52と対向する基板12a,13aの内面12u,13uに断熱シート18を備えた一方の縦框12A(
図3(b)参照)及び他方の縦框を形成し、当該一方の縦框12Aを断熱パネル101の長手方向一端側に取付けるとともに、縦框12Aと同様な構成の図外の他方の縦框を断熱パネル101の長手方向他端側に取付けることにより形成された断熱パネル1B(
図3(c)参照)とした。
【0032】
即ち、発泡材料圧抜き口11,11の近傍に位置される表板2の辺縁部41及び裏板3の辺縁部42と一方側補強用側板としての一方の縦框12Aとの間、及び、発泡材料圧抜き口11,11の近傍に位置される表板2の辺縁部51及び裏板3の辺縁部52と他方側補強用側板としての他方の縦框の間に、断熱材料としての断熱シート18を備えた構成の断熱パネル1Bとした。
【0033】
実施形態2に係る断熱パネル1Bによれば、発泡材料圧抜き口11,11の近傍の辺縁部41,42が変形したとしても、この変形した辺縁部が、一方の縦框12Aの内面12uに設けられた断熱シート18に接触し、また、発泡材料圧抜き口11,11の近傍の辺縁部51,52が変形したとしても、この変形した辺縁部が、他方の縦框の内面13uに設けられた断熱シート18に接触する。従って、当該変形した辺縁部が、一方の縦框12Aの基板12aの内面12uに接触したり、他方の縦框の基板13aの内面13uに接触したりすることによるヒートブリッジの発生を防止できるようになるので、所望の断熱性能が確保されて、かつ、より正確な形状で、さらに強度が大きい断熱パネル1Bを製造でき、提供できるようになる。
【0034】
実施形態3
実施形態2に係る断熱パネル1Bの製造は、他方の縦框として、基板13aに、第2断熱性側板5に設けられた発泡材料注入口10に対応した図外の縦框側発泡材料注入口が形成された構成の縦框を使用するようにした。
そして、一方の縦框12Aの基板12aが第1断熱性側板4を覆うように、当該一方の縦框12Aの表連結板12bを表板2の板面2aに断熱性板14を介して連結するとともに、当該一方の縦框12Aの裏連結板12cを裏板3の板面3aに連結し(
図3(b),
図3(c)参照)、さらに、上述した縦框側発泡材料注入口を有した他方の縦框の基板13aが第2断熱性側板5を覆うように、当該他方の縦框の表連結板13bを表板2の板面2aに断熱性板14を介して連結するとともに、当該他方の縦框の裏連結板13cを裏板3の板面3aに連結する。
その後、他方の縦框の縦框側発泡材料注入口及び第2断熱性側板5に設けられた発泡材料注入口10を介して、パネル筐体100の内部空間8に発泡材料9を充填することにより断熱パネル1Bを製造する。
【0035】
実施形態3に係る断熱パネル1Bの製造方法によれば、パネル筐体100の内部空間8への発泡材料9の充填時に、発泡材料圧抜き口11,11…の近傍の辺縁部が変形したとしても、この変形した辺縁部が、縦框の内面に設けられた断熱シート18に接触するので、当該変形した辺縁部が、縦框の内面に接触することによるヒートブリッジの発生を防止できるようになり、所望の断熱性能が確保されて、かつ、より正確な形状で、さらに強度が大きい断熱パネル1Bを製造できる。
【0036】
実施形態4
実施形態2に係る断熱パネル1Bの製造は、発泡材料注入口10を介して、パネル筐体100の内部空間8に発泡材料9を充填した後に、一方の縦框12Aの基板12aが第1断熱性側板4を覆うように、当該一方の縦框12Aの表連結板12bを表板2の板面2aに断熱性板14を介して連結するとともに、当該一方の縦框12Aの裏連結板12cを裏板の板面に連結し(
図3(b),
図3(c)参照)、さらに、当該縦框12Aと同じ構成の図外の他方の縦框の基板13aが第2断熱性側板5を覆うように、当該他方の縦框の表連結板13bを表板2の板面2aに断熱性板14を介して連結するとともに、当該他方の縦框の裏連結板13cを裏板3の板面3aに連結することにより断熱パネル1Bを製造する。
【0037】
実施形態4に係る断熱パネル1Bの製造方法によれば、パネル筐体100の内部空間8への発泡材料9の充填時に、発泡材料圧抜き口11,11…の近傍の辺縁部が変形したとしても、縦框を取付けた場合、当該変形した辺縁部と縦框の内面に設けられた断熱シート18とが接触するので、当該変形した辺縁部と縦框の内面とが接触することによるヒートブリッジの発生を防止できるようになり、所望の断熱性能が確保されて、かつ、より正確な形状で、さらに強度が大きい断熱パネル1Bを製造できる。
【0038】
実施形態5
本発明の断熱パネルは、縦框12及び縦框13を備えてない構成の断熱パネル1(
図2(b)参照)であってもよい。
当該断熱パネル1であっても、発泡材料圧抜き口11,11…の近傍位置に、表板2の辺縁部41,51及び裏板3の辺縁部42,52が除去された辺縁除去部99,99…を備えたパネル筐体100Aを用いているため、発泡ウレタン等の発泡材料9の発泡時に発泡材料圧抜き口11,11…を介して押し出される発泡材料9に押圧される辺縁部が存在しなくなり、所望の断熱性能が確保されて、かつ、外観上変形の無いより正確な形状の断熱パネル1を製造でき、提供できるようになる。
【0039】
尚、表板2の第3辺23側及び第4辺24側の溝挿入片61a,71a、裏板3の第3辺33側及び第4辺34側の溝挿入片62a,72aを備えない構成であっても良い。
即ち、本発明の断熱パネルは、第1断熱性側板4、第2断熱性側板5、第3断熱性側板6、第4断熱性側板7が、それぞれ、表板及び裏板の各辺縁部に係合するように組み合わされて構成されるパネル筐体を用いればよい。
【0040】
また、パネル筐体の発泡材料注入口は、互いに対向する第1断熱性側板4及び第2断熱性側板5のうちの一方の断熱性側板に設けられていればよい。
【0041】
実施形態6
上述した各実施形態においては、断熱性能を備えた断熱パネルを例示したが、本発明のパネルは、断熱性能が要求されないパネルであってもよい。
例えば、表板2、裏板3、第1断熱性側板4乃至第4断熱性側板7、及び、発泡材料として、断熱性能を有していない材料を用いて構成されたパネルであってもよい。
つまり、各実施形態において説明した発泡材料圧抜き口11及び当該発泡材料圧抜き口近傍の辺縁除去部99を少なくとも一箇所以上備えた構成とすることにより、発泡材料圧抜き口11の近傍の辺縁部の変形を防止できて、より正確な形状のパネルを提供できるようになる。
【0042】
実施形態7
断熱性能が要求されるか否かにかかわらず、パネルは、互いに板面が対向するように設置された表板2及び裏板3と、表板2及び裏板3を連結する第1断熱性側板4乃至第4断熱性側板7とを備え、表板2及び裏板3は、互いに近づく方向に延長して第1断熱性側板4乃至第4断熱性側板7に係合する辺縁部を有し、第1断熱性側板4乃至第4断熱性側板7が表板2及び裏板3の各辺縁部に係合するように組み合わされて、これら表板2及び裏板3と第1断熱性側板4乃至第4断熱性側板7とで囲まれた内部空間8を有するように構成されたパネル筐体と、当該パネル筐体の内部空間8に充填された発泡材料と、を備え、パネル筐体が、発泡材料を注入するための発泡材料注入口10と、発泡材料注入口10とは異なる位置において側板に設けられた発泡材料圧抜き口11と、発泡材料圧抜き口11の近傍に位置される表板2の辺縁部又は裏板3の辺縁部のうちの少なくとも一方の辺縁部が除去された辺縁除去部99とを備えた構成であればよい。
このように構成されたパネルは、辺縁部の変形を防止できて、より正確な形状に形成された本発明所望のパネルとなる。
そして、非断熱材料により形成された表板及び裏板を用いるととともに、断熱性材料により形成された側板を用い、かつ、内部空間内に充填する発泡材料として断熱性能を有した発泡材料を用いることによって、所望の断熱性能が確保されて、かつ、辺縁部の変形を防止できてより正確な形状に形成された本発明所望の断熱パネルを得ることができる。
【0043】
実施形態8
パネル筐体が、辺縁除去部99を備えずに、かつ、補強用側板としての縦框12及び縦框13を備えた断熱性能を備えない構成のパネルであって、発泡材料圧抜き口11の近傍に位置される表板2の辺縁部及び裏板3の辺縁部と対向する補強用側板としての縦框の基板の内面に、実施形態2で示した断熱材料としての断熱シート18の代わりに、辺縁部の変形を抑制する変形抑制材としての例えば金属製板材等の抑制板を備えた構成のパネルであってもよい。
即ち、互いに板面が対向するように設置された表板2及び裏板3と、表板2及び裏板3を連結する第1断熱性側板4乃至第4断熱性側板7とを備え、表板2及び裏板3は、互いに近づく方向に延長して第1断熱性側板4乃至第4断熱性側板7に係合する辺縁部を有し、第1断熱性側板4乃至第4断熱性側板7が表板2及び裏板3の各辺縁部に係合するように組み合わされて、これら表板2及び裏板3と第1断熱性側板4乃至第4断熱性側板7とで囲まれた内部空間8を有するように構成されたパネル筐体と、当該パネル筐体の内部空間8に充填された発泡材料と、側板を覆うように設けられて表板2と裏板3とに連結された補強用側板としての縦框と、を備え、パネル筐体が、発泡材料を注入するための発泡材料注入口10と、発泡材料注入口10とは異なる位置において側板に設けられた発泡材料圧抜き口11と、を備え、発泡材料圧抜き口11の近傍に位置される表板2の辺縁部及び裏板3の辺縁部と対向する補強用側板としての縦框の基板の内面に、辺縁部の変形を抑制する変形抑制材としての抑制板を備えた構成のパネルであってもよい。つまり、辺縁除去部99を備えない発泡材料圧抜き口11の近傍に位置される表板2の辺縁部及び裏板3の辺縁部と対向する補強用側板としての縦框の基板の内面に、発泡材料により押圧されて外側に変形しようとする辺縁部と接触して辺縁部の変形を抑制したり、あるいは、発泡材料により押圧されて外側に変形した辺縁部に接触して当該辺縁部を押し戻すように作用する抑制板を備えた構成とする。
このように構成されたパネルは、縦框の基板の内面に設けられた変形抑制材により辺縁部の変形を抑制できて、より正確な形状に形成された本発明所望のパネルとなる。
【0044】
尚、各実施形態においては、四角形状の表板2及び裏板3を用いて構成されたパネルを例示したが、本発明のパネルは、四角形状以外の形状、例えば、三角形状や多角形状の表板及び裏板を用いて構成されたパネルであってもよい。
また、側面の一部又は全部が曲面に形成されたパネルであってもよい。
また、側板の一部が欠損していて、この欠損部を介して表板と裏板とが連結された構成のパネルであってもよい。但し、断熱性能が要求されるパネルの場合には、表板及び裏板のうち少なくともどちらか一方が断熱材でない限り、表板と裏板とを分離させておく必要がある。
【0045】
また、各実施形態においては、互いに板面が平行に対向するように設置された表板2及び裏板3を用いて形成されたパネルを例示したが、本発明のパネルは、互いに板面が平行以外で対向するように設置された表板及び裏板を用いて形成されたパネル、即ち、互いに板面が間隔を隔てて対向するように設置された表板及び裏板を用いて形成されたパネルであってもよい。例えば、表板及び裏板の板面の一部又は全部が曲面に形成されて、表板の板面と裏板の板面との間の間隔が一定でないように構成されたパネルであってもよい。
【0046】
また、発泡材料の注入、充填に支障が無ければ、表板の板面と裏板の板面とが一部接触した構成、又は、表板の板面と裏板の板面との間に例えば補強材等の何らかの部材を介在させた構成のパネルであってもよい。当該構成のパネルにおいて、断熱性能を要求する場合には、表板の板面と裏板の板面との接触部に断熱部材を介在させたり、表板の板面と裏板の板面との間に例えば断熱性能を有した補強材等の何らかの断熱部材を介在させることにより、ヒートブリッジを避けるように構成すればよい。
【0047】
また、各実施形態においては、4つの発泡材料圧抜き口11、即ち、第1断熱性側板4の長手方向の一端と第3断熱性側板6との間の開口により形成された発泡材料圧抜き口11と、第1断熱性側板4の長手方向の他端と第4断熱性側板7との間の開口により形成された発泡材料圧抜き口11と、第2断熱性側板5の長手方向の一端と第3断熱性側板6との間の開口により形成された発泡材料圧抜き口11と、第2断熱性側板5の長手方向の他端と第4断熱性側板7との間の開口により形成された発泡材料圧抜き口11とを備えたパネルを例示したが、発泡材料圧抜き口11は、発泡材料注入口10とは異なる位置において少なくとも1箇所設けられていればよい。
【0048】
また、辺縁除去部99は、発泡材料圧抜き口11の近傍に位置される表板2の辺縁部又は裏板3の辺縁部のうちの少なくとも一方の辺縁部が除去されて形成されたものであればよい。尚、発泡材料圧抜き口11の近傍において、除去されずに残された辺縁部があってもよいが、発泡材料圧抜き口11と辺縁除去部99とが
図2(b)に示すように連通した構成となっていることが好ましい。
即ち、発泡材料や圧入方法等に支障がない限り、発泡材料圧抜き口11と辺縁除去部99は、実施形態1で説明したように、複数に限らず、一つであってもよい。
また、実施形態1では、発泡材料圧抜き口11及び辺縁除去部99を、パネル筐体100Aの側板における角部の近傍に設けた例を示したが、これらを、側板における角部の近傍以外に設けても良い。
また、パネルの性能や意匠性等に支障が無ければ、発泡材料圧抜き口11及び辺縁除去部99を、表板2や裏板3に設けるようにしてもよい。
【0049】
実施形態1では、発泡材料注入口10を側板に設けた例を示したが、発泡材料注入口10は、パネルの性能や意匠性等に支障が無ければ、表板2や裏板3に設けるようにしてもよい。
また、発泡材料注入口10は、発泡材料圧抜き口11と異なる位置に1つ以上設けられていればよい。
また、発泡材料注入口10の数は複数であってもよいが、この場合、いずれか1つの発泡材料注入口10は、いずれか1つの発泡材料圧抜き口11となるべく離間した位置(例えば、反対側や対称位置など)に設けることが好ましい。
また、必要に応じて、発泡材料注入口10、発泡材料圧抜き口11や辺縁除去部99を塞いだり、パネルの保護や意匠性向上等の目的で、縦框12,縦框13に相当する部材を、パネルの側面の一部または全部に取付けても良い。
【0050】
また、発泡材料圧抜き口11や発泡材料注入口10を形成する時期も任意である。例えば、実施形態1で示したように、第1断熱性側板4,第2断熱性側板5を取付ける際に発泡材料圧抜き口11を形成するとともに、予め第2断熱性側板5に発泡材料注入口10を形成しておけばよい。
【0051】
また、実施形態1においては、辺縁除去部99を形成する辺縁除去部形成工程の後に、第1断熱性側板4乃至第4断熱性側板7を表板2及び裏板3の各辺縁部に係合するように組み合わせる側板係合工程を実施し、当該側板係合工程の後に、パネル筐体の内部空間8に発泡材料を充填する発泡材料充填工程を実施したパネルの製造方法を例示したが、側板係合工程を実施して内部空間8を形成した後に、辺縁除去部形成工程を実施して辺縁除去部99を形成し、その後、内部空間8に発泡材料を充填する発泡材料充填工程を実施するようにしてもよい。
但し、表板2や裏板3が金属等の剛性の大きい材料で形成されている場合には、表板2や裏板3が分離している状態において辺縁除去部形成工程を実施して辺縁除去部99を形成した後に、側板係合工程を実施して第1断熱性側板4乃至第4断熱性側板7を表板2及び裏板3の各辺縁部に係合するように組み合わせるようにすることが好ましい。この場合、分離状態の表板2や裏板3の一部を切り欠くことで辺縁除去部99を形成したり、予め辺縁除去部99に相当する成型箇所が設けられている型枠等を用いて表板2や裏板3を形成することができる。
【0052】
また、パネルがある程度の強度を有するとともに断熱性能を必要とする場合には、例えば、実施形態1で示されているのと同様に、表板2と裏板3とを金属等の非断熱材料で形成するとともに、この表板2及び裏板3と断熱材料により形成された第1断熱性側板4乃至第4断熱性側板7と組み合わせて内部空間8を有したパネル筐体を構成し、内部空間8に断熱性能を有した発泡材料を充填し、さらに、当該パネルの側面に、必要に応じて、強度を有する框等を取付ければよい。
また、補強用側板としての縦框等を取付ける場合、より確実に断熱性能を確保するためには、縦框等に実施形態2乃至実施形態4に示されているのと同様な断熱シート18を設け、当該断熱シート18を、辺縁除去部99及び発泡材料圧抜き口11の近傍に位置させるように構成すればよい。
【0053】
尚、辺縁除去部99を設けずに、パネルの断熱性能を重視する場合には、断熱性能を有した板状の変形抑制材を備えた框等を用いて、当該変形抑制材を発泡材料圧抜き口11の近傍に位置させるように構成すればよい。辺縁除去部99を設けないと、パネル筐体の辺縁部の形状が変形する虞があるが、框等が断熱性能を有した板状の変形抑制材を備えるため、当該変形抑制材の作用によって、パネル全体の形状をより正確に維持できる。
また、辺縁除去部99を設けずに、パネルの断熱性能を求めない場合には、上述した断熱性能を有した板状の変形抑制材の代わりに、框等に断熱性能を有しない板状の変形抑制材を設けることによって、当該変形抑制材の作用により辺縁部の変形を抑制できて、パネル全体の形状をより正確に維持できる。
【符号の説明】
【0054】
1,1A,1B 断熱パネル、2 表板、3 裏板、4 第1断熱性側板、
5 第2断熱性側板、6 第3断熱性側板、7 第4断熱性側板、8 内部空間、
9 発泡材料、10 発泡材料注入口、11 発泡材料圧抜き口、
12,13 縦框(補強用側板)、14 断熱性板(断熱材料)、
17,18 断熱シート(断熱材料)、21,31 第1辺、22,32 第2辺、
23,33 第3辺、24,34 第4辺、
41,51,61,71,42,52,62,72 辺縁部、99 辺縁除去部、
100,100A パネル筐体。