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特許7446845撮像制御装置、撮像制御装置の制御方法、プログラム、および記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】撮像制御装置、撮像制御装置の制御方法、プログラム、および記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/28 20210101AFI20240304BHJP
   H04N 23/67 20230101ALI20240304BHJP
   H04N 23/63 20230101ALI20240304BHJP
   H04N 23/56 20230101ALI20240304BHJP
   G03B 17/18 20210101ALI20240304BHJP
   G03B 17/02 20210101ALN20240304BHJP
【FI】
G02B7/28 N
H04N23/67 100
H04N23/63 330
H04N23/63 100
H04N23/56
G03B17/18
G03B17/02
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020022401
(22)【出願日】2020-02-13
(65)【公開番号】P2021128242
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2023-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】内藤 勇真
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-125612(JP,A)
【文献】特開2018-129765(JP,A)
【文献】特開2019-012889(JP,A)
【文献】特開2018-194653(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/28 - 7/40
G03B 3/00 - 3/12
G03B 17/18 -17/20
G03B 17/02
H04N 5/222- 5/257
H04N 23/00
H04N 23/40 -23/76
H04N 23/90 -23/959
G06F 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルへのタッチ操作を検出可能なタッチ検出手段と、
表示部に合焦位置を示すアイテムを表示する表示制御手段と、
設定中のシャッター速度を取得するシャッター速度取得手段と、
前記タッチ検出手段で検出されたタッチ位置の移動量に応じて前記表示部上において前記アイテムを移動する制御手段であって、
前記制御手段は、前記タッチ検出手段で検出されたタッチ位置の移動量が第1の移動量である際に、前記シャッター速度が第1の値よりも小さい場合よりも、前記シャッター速度が前記第1の値よりも大きい場合の方が前記アイテムを大きく移動するように制御する制御手段と、を有することを特徴とする撮像制御装置。
【請求項2】
前記シャッター速度取得手段が前記シャッター速度を取得する処理が、前記表示制御手段が前記アイテムの表示状態を更新する処理よりも高い頻度で実行されることを特徴とする請求項1に記載の撮像制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記シャッター速度の所定の範囲内において前記第1の移動量での前記アイテムの移動量を多段階で決定し、段階の間隔を、前記シャッター速度が前記第1の値より小さい範囲と、前記第1の値よりも大きい範囲とで異なるように設定することを特徴とする請求項1または2に記載の撮像制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記シャッター速度の所定の範囲内において前記第1の移動量での前記アイテムの移動量を多段階で決定し、段階の間隔を、前記シャッター速度が前記第1の値より小さい範囲と、前記第1の値よりも大きい範囲とで同じになるように設定することを特徴とする請求項1または2に記載の撮像制御装置。
【請求項5】
前記第1の移動量での前記アイテムの移動量の最大値及び又は最小値が、ユーザからの操作に応じて予め設定されていることを特徴とする請求項1乃至何れか1項に記載の撮像制御装置。
【請求項6】
タッチパネルへのタッチ操作を検出可能なタッチ検出ステップと、
表示部に合焦位置を示すアイテムを表示する表示制御ステップと、
設定中のシャッター速度を取得するシャッター速度取得ステップと、
前記タッチ検出ステップで検出されたタッチ位置の移動量に応じて前記表示部上において前記アイテムを移動する制御ステップであって、
前記制御ステップは、前記タッチ検出ステップで検出されたタッチ位置の移動量が第1の移動量である際に、前記シャッター速度が第1の値よりも小さい場合よりも、前記シャッター速度が前記第1の値よりも大きい場合の方が前記アイテムを大きく移動するように制御する制御ステップと、を含むことを特徴とする撮像制御装置の制御方法。
【請求項7】
コンピュータを、請求項1乃至何れか1項に記載された撮像制御装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1乃至何れか1項に記載された撮像制御装置の各手段として機能させるためのプログラムを格納したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像制御装置及びその制御方法に関し、AFを行う位置を移動するためのタッチ操作に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ファインダーを覗きながらカメラの背面にあるタッチパネルへのタッチ操作で、AF枠を移動させる技術がある。特許文献1には、AF枠の大きさに応じてタッチ操作に応じたAF枠の移動量を変更することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-125612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の方法では、例えばユーザが動きの速い被写体を追っているときに、AF枠を小さく設定しているとAF枠を移動するためにタッチムーブを何度も行わなくてはならなくなる。よって、ユーザの動きの速度に応じたAF枠の移動ができず、ユーザの操作性が低下する可能性がある。
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであって、AF枠の移動を操作性良くできるようにする撮像制御装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の撮像制御装置は、タッチパネルへのタッチ操作を検出可能なタッチ検出手段と、表示部に合焦位置を示すアイテムを表示する表示制御手段と、設定中のシャッター速度を取得するシャッター速度取得手段と、前記タッチ検出手段で検出されたタッチ位置の移動量に応じて前記表示部上において前記アイテムを移動する制御手段であって、前記制御手段は、前記タッチ検出手段で検出されたタッチ位置の移動量が第1の移動量である際に、前記シャッター速度が第1の値よりも小さい場合よりも、前記シャッター速度が前記第1の値よりも大きい場合の方が前記アイテムを大きく移動するように制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、AF枠の移動の操作性が向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態におけるデジタルカメラの外観図である。
図2】本実施形態におけるデジタルカメラの内部構成を表すブロック図である。
図3】本実施形態におけるデジタルカメラが実行する処理を示すフロー図である。
図4】本実施形態におけるAF枠の移動量の算出する方法を示すイメージ図である。
図5】本実施形態におけるAF枠の移動量を変更しない場合を説明する図である。
図6】本実施形態におけるAF枠の移動量を変更しない場合を説明する図である。
図7】本実施形態におけるAF枠の移動量を変更しない場合を説明する図である。
図8】本実施形態におけるAF枠の移動量を変更しない場合を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0010】
(デジタルカメラ100の構成)
図1(a)及び図1(b)に、本実施形態の撮像制御装置の一例としてデジタルカメラ100の外観図を示す。図1(a)は本実施形態のデジタルカメラ100の前面斜視図であり、図1(b)は本実施形態のデジタルカメラ100の背面斜視図である。図2は、本実施形態のデジタルカメラ100の内部構成を表すブロック図である。以下、図1(a)、図1(b)及び図2を用いて、デジタルカメラ100の各構成部について説明する。
【0011】
表示部28は、画像や各種情報を表示する、カメラ背面に設けられた表示部である。タッチパネル70aは、表示部28の表示面(操作面)に対するタッチ操作を検出することができる。ファインダ外液晶表示部43は、カメラ上面に設けられた表示部であり、シャッター速度や絞りをはじめとするカメラの様々な設定値が表示される。
【0012】
シャッターボタン61は、撮影指示を行うために用いられる。モード切替スイッチ60は、各種モードを切り替えるために用いられる。端子カバー40は、外部機器との接続ケーブルとデジタルカメラ100とを接続するコネクタ(不図示)を保護するためのカバーである。メイン電子ダイヤル71は、操作部70に含まれる回転操作部材であり、このメイン電子ダイヤル71の回転操作により、シャッター速度や絞り等の設定値の変更等が行える。電源スイッチ72は、デジタルカメラ100の電源のON及びOFFを切り替えるための操作部材である。
【0013】
サブ電子ダイヤル73は、操作部70に含まれる回転操作部材であり、選択枠の移動や画像送り等が行える。十字キー74は、操作部70に含まれ、上、下、左、右の四方向に押し込み可能な押しボタンを有する十字キー操作部材(4方向キー)である。十字キー74の押下した方向に応じた操作が可能である。SETボタン75は、操作部70に含まれ、主に選択項目の決定等に用いられる。動画ボタン76は、操作部70に含まれ、動画撮影(記録)の開始、停止の指示に用いられる。AEロックボタン77は、操作部70に含まれ、撮影待機状態での押下により、露出状態を固定することができる。
【0014】
拡大ボタン78は、操作部70に含まれ、撮影モードのライブビュー表示において拡大モードのON、OFFを行うための操作ボタンである。拡大モードをONとしてからメイン電子ダイヤル71が操作されると、ライブビュー画像の拡大、縮小が行える。再生モードにおいては再生画像を拡大し、拡大率を増加させるための拡大ボタンとして機能する。再生ボタン79は、操作部70に含まれ、撮影モードと再生モードとを切り替えるための操作ボタンである。撮影モード中に再生ボタン79が押下されると再生モードに移行し、記録媒体200に記録された画像のうち最新の画像を表示部28に表示させることができる。
【0015】
メニューボタン81は、操作部70に含まれ、ユーザが押下することにより各種の設定可能なメニュー画面が表示部28に表示される。ユーザは、表示部28に表示されたメニュー画面と、十字キー74やSETボタン75、又はマルチコントローラー65を用いて直感的に各種設定を行うことができる。マルチコントローラー65は、八方向への方向指示と、中央部分の押し込み操作を受け付け可能である。通信端子10はデジタルカメラ100が後述するレンズユニット150(着脱可能)と通信を行うための通信端子である。
【0016】
接眼部16は、接眼ファインダー(覗き込み型のファインダー)の接眼部である。ユーザは、接眼部16を介して内部のEVF(Electric View Finder)29に表示された映像を視認することができる。接眼検知部57は接眼部16にユーザが接眼しているか否かを検知する接眼検知センサーである。蓋202は、記録媒体200を格納したスロットの蓋である。グリップ部90は、ユーザがデジタルカメラ100を構えた際に右手で握りやすい形状とした保持部である。グリップ部90を右手の小指、薬指、中指で握ってデジタルカメラ100を保持した状態で、右手の人差指で操作可能な位置にシャッターボタン61、メイン電子ダイヤル71が配置されている。また、同じ状態で、右手の親指で操作可能な位置に、サブ電子ダイヤル73が配置されている。
【0017】
レンズユニット150は、交換可能な撮影レンズを搭載するレンズユニットである。レンズ103は通常、複数枚のレンズから構成されるが、ここでは簡略化して一枚のレンズのみで示している。通信端子6はレンズユニット150がデジタルカメラ100と通信を行うための通信端子である。レンズユニット150は、この通信端子6と前述の通信端子10とを介してシステム制御部50と通信する。これにより、内部のレンズシステム制御回路4が、絞り駆動回路2を介して絞り1の制御を行い、AF駆動回路3を介してレンズ103の位置を変位させることで焦点を合わせる。
【0018】
シャッター101は、システム制御部50の制御で撮像部22の露光時間を自由に制御されるフォーカルプレーンシャッターである。撮像部22は、光学像を電気信号に変換するCCDやCMOS素子等で構成される撮像素子である。撮像部22は、レンズユニット150を通して撮像面上に結像された被写体像を光電変換して電気信号として出力する。A/D変換器23は、撮像部22から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するために用いられる。
【0019】
焦点検出部11は、システム制御部50にデフォーカス量情報を出力する。システム制御部50はそれに基づいてレンズユニット150を制御し、位相差AFを行う(フォーカス制御)。また、ユーザは、ペンタプリズム14と接眼部16を介して、フォーカシングスクリーン13上に結像した像を観察することで、レンズユニット150を通して得た被写体の光学像の焦点状態や構図を視認可能となる。AEセンサー17において計測される光(被写体側、入射部からの光)は、レンズ103を通ってクイックリターンミラー12でその進行方向が変更される。
【0020】
画像処理部24は、A/D変換器23からのデータ、又は後述するメモリ制御部15からの画像データに対して、所定の画素補間、縮小といったリサイズ処理や色変換処理を行う。また、画像処理部24では、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行う。画像処理部24により得られた演算結果に基づいて、システム制御部50が露光制御、測距制御を行う。これにより、TTL(スルー・ザ・レンズ)方式のAF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理が行われる。画像処理部24では更に、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてシステム制御部50がTTL方式のAWB(オートホワイトバランス)処理を行う。
【0021】
メモリ制御部15は、A/D変換器23、画像処理部24、メモリ32間のデータ送受を制御する。A/D変換器23からの出力データは、画像処理部24及びメモリ制御部15を介して、あるいは、メモリ制御部15を介してメモリ32に直接書き込まれる。メモリ32は、撮像部22によって得られ、A/D変換器23によりデジタルデータに変換された画像データや、表示部28に表示するための画像データを格納する。メモリ32は、所定枚数の静止画像や所定時間の動画像及び音声を格納するのに十分な記憶容量を備えている。
【0022】
また、メモリ32は画像表示用のメモリ(ビデオメモリ)を兼ねている。D/A変換器19は、メモリ制御部15の制御下で、メモリ32に格納されている画像表示用のデータをアナログ信号に変換して表示部28、EVF29に供給する。こうして、メモリ32に書き込まれた表示用の画像データは表示部28、EVF29により表示される。表示部28、EVF29は、LCD、有機EL等の表示器上に、メモリ制御部15からの信号に応じた表示を行う。A/D変換器23によってA/D変換されメモリ32に蓄積されたデジタル信号がD/A変換器19においてアナログ変換され、表示部28またはEVF29に逐次転送して表示されることで、ライブビュー表示(LV表示)が行われる。以下、ライブビューで表示される画像をライブビュー画像(LV画像)と称する。
【0023】
更に、メモリ32は、表示部28やEVF29に表示されるAF枠を、タッチパネル70a上のタッチ位置が移動されたことに応じて移動するのに必要な設定値対応表を記憶する。設定値対応表には、シャッター速度とAF枠の移動量との対応関係(図4(c)、図4(d))が保持される。また、メモリ32は、撮影モードごとにAF枠の移動量(デフォルト値)を記憶する。詳細については、図3図4で後述する。
【0024】
ファインダ外液晶表示部43は、ファインダ外表示部駆動回路44を介して、シャッター速度や絞りをはじめとするカメラの様々な設定値が表示される。
ファインダ内液晶表示部41は、ファインダ内液晶駆動回路42を介して、カメラの設定状態を表すアイコン等が表示される。ユーザは、接眼部16を覗くことで、レンズユニット150を通して得た被写体の光学像と、ファインダ内液晶表示部41が表示する各種アイコン等を視認できる。なお、本実施形態では、上記のような光学ファインダを用いずに、EVF29のような電子ファインダを用いた表示制御が行われる例について説明する。なお、光学ファインダを用いる場合には、EVF29に代えて、ファインダ内液晶表示部41を用いた表示制御が行われる。
【0025】
不揮発性メモリ56は、電気的に消去・記録可能なメモリであり、例えばFlash-ROM等が用いられる。不揮発性メモリ56には、システム制御部50の動作用の定数、プログラム等が記憶される。ここでいう、プログラムとは、本実施形態にて後述する各種フローチャートを実行するためのコンピュータープログラムのことである。
【0026】
システム制御部50は、少なくとも1つのプロセッサーまたは回路からなる制御部であり、デジタルカメラ100の全体を制御する。前述した不揮発性メモリ56に記録されたプログラムを実行することで、後述する本実施形態の各処理を実現する。システムメモリ52には、例えばRAMが用いられ、システム制御部50の動作用の定数、変数、不揮発性メモリ56から読み出したプログラム等が展開される。また、システム制御部50はメモリ32、表示部28等を制御することによりLV画像や各種のアイテム等を表示する表示制御も行う。更に、システム制御部50は、画像処理部24から出力される演算結果に基づいて、画像データから検出される被写体の動く速度や被写体の種別を検出することが可能である。システム制御部50が、被写体速度検出手段、被写体種別検出手段として機能する。
【0027】
システムタイマー53は各種制御に用いる時間や、内蔵された時計の時間を計測する計時部である。
モード切替スイッチ60、第1シャッタースイッチ62、第2シャッタースイッチ64、操作部70はシステム制御部50に各種の動作指示を入力するための操作手段である。モード切替スイッチ60は、システム制御部50の動作モード(撮影モード)を静止画撮影モード、動画撮影モード等のいずれかに切り替える。静止画撮影モードに含まれるモードには、オート撮影モード、オートシーン判別モード、マニュアルモード、絞り優先モード(Avモード)、シャッター速度優先モード(Tvモード)、プログラムAEモード(Pモード)がある。また、撮影シーン別の撮影設定となる各種シーンモード、カスタムモード等がある。モード切替スイッチ60により、ユーザは、これらのモードのいずれかに直接切り替えることができる。あるいは、モード切替スイッチ60で撮影モードの一覧画面に一旦切り換えた後に、表示された複数のモードのいずれかを選択し、他の操作部材を用いて切り替えるようにしてもよい。同様に、動画撮影モードにも複数のモードが含まれていてもよい。
【0028】
第1シャッタースイッチ62は、デジタルカメラ100に設けられたシャッターボタン61の操作途中、いわゆる半押し(撮影準備指示)でONとなり第1シャッタースイッチ信号SW1を発生する。システム制御部50は、第1シャッタースイッチ信号SW1により、AF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、AWB(オートホワイトバランス)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理等の撮影準備動作を開始する。
第2シャッタースイッチ64は、シャッターボタン61の操作完了、いわゆる全押し(撮影指示)でONとなり、第2シャッタースイッチ信号SW2を発生する。システム制御部50は、第2シャッタースイッチ信号SW2により、撮像部22からの信号読み出しから撮像された画像を画像ファイルとして記録媒体200に書き込むまでの一連の撮影処理の動作を開始する。
【0029】
操作部70には、マルチコントローラー65、タッチパネル70a、メイン電子ダイヤル71、サブ電子ダイヤル73、十字キー74、SETボタン75、動画ボタン76、AEロックボタン77、拡大ボタン78、再生ボタン79、メニューボタン81が含まれる。
電源制御部80は、電池検出回路、DC-DCコンバータ、通電するブロックを切り替えるスイッチ回路等により構成され、電池の装着の有無、電池の種類、電池残量の検出を行う。また、電源制御部80は、その検出結果及びシステム制御部50の指示に基づいてDC-DCコンバータを制御し、必要な電圧を必要な期間、記録媒体200を含む各部へ供給する。電源部30は、アルカリ電池やリチウム電池等の一次電池やNiCd電池やNiMH電池、Li電池等の二次電池、ACアダプター等からなる。
【0030】
記録媒体I/F18は、メモリカードやハードディスク等の記録媒体200とのインターフェースである。記録媒体200は、撮影された画像を記録するためのメモリカード等の記録媒体であり、半導体メモリや磁気ディスク等から構成される。
通信部54は、無線または有線ケーブルによって接続し、映像信号や音声信号の送受信を行う。通信部54は無線LAN(Local Area Network)やインターネットとも接続可能である。また、通信部54は、Bluetooth(登録商標)やBluetooth Low Energyでも外部機器と通信可能である。通信部54は撮像部22で撮像した画像(ライブビュー画像を含む)や、記録媒体200に記録された画像を送信可能であり、また、外部機器から画像やその他の各種情報を受信することができる。
【0031】
姿勢検知部55は重力方向に対するデジタルカメラ100の姿勢を検知する。姿勢検知部55で検知された姿勢に基づいて、撮像部22で撮影された画像が、デジタルカメラ100を横に構えて撮影された画像であるか、縦に構えて撮影された画像であるかを判別可能である。システム制御部50は、姿勢検知部55で検知された姿勢に応じた向き情報を撮像部22で撮像された画像の画像ファイルに付加したり、画像を回転して記録したりすることが可能である。姿勢検知部55としては、加速度センサーやジャイロセンサー等を用いることができる。姿勢検知部55である、加速度センサーやジャイロセンサーを用いて、デジタルカメラ100の動き(パン、チルト、持ち上げ、静止しているか否か等)を検知することも可能である。システム制御部50は、姿勢検知部55で検知された姿勢を用いて、デジタルカメラ100の姿勢変化を検出可能である。システム制御部50が、姿勢検出手段として機能する。
【0032】
タッチパネル70aと表示部28とは一体的に構成することができる。例えば、タッチパネル70aは光の透過率が表示部28の表示を妨げないように構成され、表示部28の表示面の上層に取り付けられる。そして、タッチパネル70aにおける入力座標と、表示部28の表示画面上の表示座標とを対応付ける。これにより、あたかもユーザが表示部28上に表示された画面を直接的に操作可能であるかのようなGUI(グラフィカルユーザインターフェース)を提供できる。システム制御部50はタッチパネル70aへの以下の操作、あるいは状態を検出できる。システム制御部50がタッチ検出手段として機能する。
【0033】
・タッチパネル70aにタッチしていなかった指やペンが新たにタッチパネル70aにタッチしたこと。すなわち、タッチの開始(以下、タッチダウン(Touch-Down)と称する)。
・タッチパネル70aを指やペンでタッチしている状態であること(以下、タッチオン(Touch-On)と称する)。
・タッチパネル70aを指やペンでタッチしたまま移動していること(以下、タッチムーブ(Touch-Move)と称する)。
・タッチパネル70aへタッチしていた指やペンを離したこと。すなわち、タッチの終了(以下、タッチアップ(Touch-Up)と称する)。
・タッチパネル70aに何もタッチしていない状態(以下、タッチオフ(Touch-Off)と称する)。
【0034】
タッチダウンが検出されると、同時にタッチオンであることも検出される。タッチダウンの後、タッチアップが検出されない限りは、通常はタッチオンが検出され続ける。タッチムーブが検出されるのもタッチオンが検出されている状態である。タッチオンが検出されていても、タッチ位置が移動していなければタッチムーブは検出されない。タッチしていた全ての指やペンがタッチアップしたことが検出された後は、タッチオフとなる。
【0035】
これらの操作・状態や、タッチパネル70a上に指やペンがタッチしている位置座標は内部バスを通じてシステム制御部50に通知される。システム制御部50は通知された情報に基づいてタッチパネル70a上にどのような操作(タッチ操作)が行なわれたかを判定する。タッチムーブについてはタッチパネル70a上で移動する指やペンの移動方向についても、位置座標の変化に基づいて、タッチパネル70a上の垂直成分・水平成分毎に判定できる。所定距離以上をタッチムーブしたことが検出された場合はスライド操作が行なわれたと判定するものとする。タッチパネル上に指をタッチしたままある程度の距離だけ素早く動かして、そのまま離すといった操作をフリックと呼ぶ。フリックは、言い換えればタッチパネル70a上を指ではじくように素早くなぞる操作である。所定距離以上を、所定速度以上でタッチムーブしたことが検出され、そのままタッチアップが検出されるとフリックが行なわれたと判定できる(スライド操作に続いてフリックがあったものと判定できる)。更に、複数箇所(例えば2点)を同時にタッチして、互いのタッチ位置を近づけるタッチ操作をピンチイン、互いのタッチ位置を遠ざけるタッチ操作をピンチアウトと称する。ピンチアウトとピンチインを総称してピンチ操作(あるいは単にピンチ)と称する。タッチパネル70aは、抵抗膜方式や静電容量方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、画像認識方式、光センサー方式等、様々な方式のタッチパネルのうちいずれの方式のものを用いても良い。方式によって、タッチパネルに対する接触があったことでタッチがあったと検出する方式や、タッチパネルに対する指やペンの接近があったことでタッチがあったと検出する方式があるが、いずれの方式でもよい。
【0036】
接眼状態でタッチムーブ操作が行われると、ユーザはタッチムーブ操作に応じた位置指標の位置の指定方法を、絶対位置指定と相対位置指定のいずれかに設定することができる。例えば位置指標がAF枠とすると、絶対位置指定の場合、タッチパネル70aがタッチされると、タッチされた位置(座標入力された位置)に対応付けられたAF位置が設定される。つまり、タッチ操作が行われた位置座標と、表示部28の位置座標とが対応づけられる。一方相対位置指定の場合は、タッチ操作が行われた位置座標と表示部28の位置座標とは対応付けられない。相対位置指定では、タッチパネル70aに対するタッチダウン位置に関わらず、現在設定されているAF位置からタッチムーブの移動方向にタッチムーブの移動量に応じた距離だけ、AF位置を移動させる。
【0037】
(AF枠の移動制御処理)
次に、本実施形態のデジタルカメラ100の実行する処理の一例について、図3のフローチャートを参照して説明する。図3のフローチャートにおける各処理は、システム制御部50が、不揮発性メモリ56に格納されたプログラムをシステムメモリ52に展開して実行し、各機能ブロックを制御することにより実現される。本処理は、タッチ操作に応じたAF枠の移動を制御するための処理であり、デジタルカメラ100に電源が入り、デジタルカメラ100が撮影待機状態になると開始する。AF枠とは、表示部28又はEVF29上の合焦位置を示すアイテムである。
【0038】
表示画面(表示部28)とタッチパネル70aとが一体化しているデジタルカメラ100では、撮影待機状態で接眼部16を覗いている状態で、タッチ&ドラッグAF機能が有効になり、撮影待機状態で接眼部16を覗いていない状態で、タッチされた位置にAF枠を移動するタッチAF機能が有効になる。タッチ&ドラッグAF機能は、AF枠の移動を絶対位置設定、又は相対位置設定で行うことが可能である。絶対位置設定の操作と、タッチAF機能の操作は、タッチパネル70aの分解能の向上により、タッチ入力で位置を細かく指定可能であるため、上記操作での位置の指定が難しい場合がある。
【0039】
本実施形態では、タッチ&ドラッグAF機能が相対位置設定で有効である。AF枠を表示した状態で、タッチ&ドラッグ入力による操作の他に、モード切替スイッチ60によるモード変更操作や、撮影設定値変更ダイヤル(例えば、メイン電子ダイヤル71)によるシャッター速度の変更操作が行える。なお、モード変更や、撮影設定値変更を行うことが可能であれば、操作部材はダイヤル部材に限定しない。また、タッチ&ドラッグ入力の操作部材についても、相対位置によるAF枠の移動を制御することが可能であれば、表示画面と一体化したタッチパネルに限定しない。
【0040】
S301において、システム制御部50は、撮影待機状態で、表示部28又はEVF29の表示面に対して、AF枠402の表示を行う。システム制御部50が、表示制御手段として機能する。
図4(a)は、撮影待機状態で、AF枠402が表示された状態の表示面400の一例を示す図である。表示面400の下側には、撮影設定値401(例えば、撮影モード411やシャッター速度412)が表示される。
【0041】
S302において、システム制御部50は、モード切替スイッチ60の状態から設定されている撮影モードを取得する。システム制御部50が、撮影モード取得手段として機能する。そしてシステム制御部50は、取得した撮影モードに応じたAF枠の移動量(デフォルト値)をメモリ32から読み出して、タッチ&ドラッグ入力による移動距離(タッチ位置の移動量)に対するAF枠の移動量を決定し、設定を行う。なお、ここでのデフォルト値は予め撮影モードごとに設定されていることが望ましいが、デフォルト値が全ての撮影モードで同じであってもよい。
【0042】
図4(b)にタッチ&ドラッグ入力について説明する図である。図4(b)には、タッチ面420のタッチ&ドラッグ入力による移動距離423(入力開始位置421から停止位置422までの距離)を示す。移動距離423が第1の移動量に相当する。また、移動距離423に対して設定されるAF枠の移動量を、図4(a)の表示面400に模式的に表す。図4(a)のように、タッチ&ドラッグ入力による移動距離423に対して、撮影モードに応じて異なるAF枠の移動量404,407,410が設定される。なお、図4(a)のAF枠402,405,408はタッチ&ドラッグ入力前に表示されるAF枠を表し、AF枠403,406,409はタッチ&ドラッグ入力後に表示されるAF枠を表す。
【0043】
S303において、システム制御部50は、S302で取得した撮影モードが、操作部70を介してユーザがシャッター速度を変更可能なモードであるか否かを判定する。ユーザがシャッター速度を変更可能なモードとは、Tvモード(シャッター速度優先モード)やM(マニュアル撮影モード)等である。システム制御部50が、ユーザがシャッター速度を変更可能なモードであると判定した場合、処理はS304に進む。システム制御部50が、ユーザがシャッター速度を変更できないモードであると判定した場合、処理はS10に進む。ユーザがシャッター速度を変更できないモードとは、Avモード(絞り優先)モード、シーンモード、P(プログラム)モード等である。このようなモードが設定されている場合、被写体に対するシャッター速度がユーザの意図によって変化しないため、S302で設定されたデフォルト値から変更しない。
なお上記のTvモードやAvモード等の各モードは、ユーザがシャッター速度を被写体に応じて任意に設定できるか否かを表すためにどうかを表すために示した例であり、上記の各モードに限定されるものではない。
【0044】
図4(c)には、設定されたシャッター速度に基づいて、AF枠の移動量を算出する際に用いられる設定値対応表430のイメージ図を示す。設定値対応表430には、シャッター速度と(移動距離423での)AF枠の移動量の対応関係が示される。シャッター速度が小さい場合にはAF枠の移動量も小さくなり、シャッター速度が大きい場合にはAF枠の移動量も大きくなることがわかる。また、シャッター速度に適した被写体を示す。小さいシャッター速度に適した被写体として花火431が示され、やや小さいシャッター速度に適した被写体として海432が示され、標準のシャッター速度に適した被写体として人433が示され、大きいシャッター速度に適した被写体として走る動物434が示される。
【0045】
AF枠の移動量は、シャッター速度の所定の設定範囲内で多段階で設定される。設定値対応表430には、シャッター速度の設定範囲ごとに、AF枠の移動量の設定段階の段階数435,436が示される。具体的には、シャッター速度が2秒~1/8秒の範囲、及びシャッター速度が1/8秒~1/125秒の範囲で、AF枠の移動量がそれぞれ「4」段階で設定される。このように、シャッター速度が大きい範囲でも小さい範囲でも、AF枠の移動量が均等な間隔で設定される。
【0046】
一方で、シャッター速度が大きい範囲と小さい範囲とで、AF枠の移動量が不均等な間隔で設定されてもよい。図4(d)には、他の例としての設定値対応表440を示す。設定値対応表440には、シャッター速度の設定範囲ごとに、AF枠の移動量の設定段階の段階数441,442が示される。具体的には、シャッター速度が2秒~0.5秒の範囲で、AF枠の移動量が「2」段階で設定され、シャッター速度が0.5秒~1/125秒の範囲で、AF枠の移動量が「6」段階で設定される。また、このときのAF枠の移動量の設定段階の段階数には上限値は設けなくてもよい。更に、AF枠の移動量の最小値437、及び最大値438はユーザが操作部70等によって予め設定できるようにしてもよい。
【0047】
なお、撮影条件によっては、設定されたシャッター速度をからAF枠の移動量を設定しない方がよい場合もある。図5は、ストロボ撮影を行う状況を表す。撮像画像501は、ストロボ撮影された画像を表す。撮像画像501には、撮像画像から認識された被写体を表す識別子502(ここでは、「child」)が表示される。図5に示すようにストロボ撮影を行う場合、ストロボのフラッシュ503の影響を受けて、シャッター速度が被写体の移動速度に関わらず高く設定される場合が多い。この場合、シャッター速度は高く設定されるが、被写体の移動速度が速くなったことによる設定ではないため、シャッター速度からAF枠の移動量を算出すると、ユーザの意図とは異なるAF枠の移動量が設定されてしまう。
【0048】
そこで、S304において、システム制御部50は、シャッター速度の設定値を取得する前に、AF枠の移動量をデフォルト値に設定するための所定の撮影条件を満たしているか否かを判定する。システム制御部50が所定の条件を満たしていると判定した場合、処理はS309に進む。この所定の撮影条件の例として、ストロボ撮影を挙げたが、ストロボ撮影に限らない。他の条件や設定については後述する。システム制御部50が所定の条件を満たしていないと判定した場合、処理はS305に進む。
【0049】
S305において、システム制御部50は、シャッター速度の設定値を取得する。システム制御部50が、シャッター速度取得手段として機能する。
S306において、システム制御部50は、S305で取得したシャッター速度に対するAF枠の移動量を前述の設定値対応表430,440を用いて算出する。
S307において、システム制御部50は、S306で取得した移動量が、設定されているAF枠の移動量の値と一致するか否かを判定する。システム制御部50が一致すると判定した場合、処理はS310に進む。システム制御部50が一致しないと判定した場合、処理はS308に進む。
S308において、システム制御部50は、AF枠の移動量をS306で算出した値に変更する。
【0050】
S304で所定の撮影条件を満たしていると判定された場合、S309において、システム制御部50は、AF枠の移動量をデフォルト値に設定する。なお、本ステップは、S302で設定されたAF枠の移動量から変更する必要がない場合には不要である。
その後、S310において、システム制御部50は、操作部70(タッチパネル70a)を介して、タッチ&ドラッグ入力がされたか否かを判定する。システム制御部50がタッチ&ドラッグ入力がされたと判定した場合、処理はS311に進む。システム制御部50がタッチ&ドラッグ入力がされていないと判定した場合、処理はS314に進む。
【0051】
S311において、システム制御部50は、一定時間におけるドラッグ入力(タッチ位置の移動量)と予め定めた閾値とを比較して、ドラッグ入力が閾値以上であるか否かを判定する。システム制御部50がドラッグ入力が閾値以上であると判定した場合、処理はS312に進む。システム制御部50がドラッグ入力が閾値未満であると判定した場合、処理はS313に進む。
S312において、システム制御部50は、AF枠の移動量をデフォルト値に設定する。ユーザが意図的にドラッグ入力を大きくしていることが想定されるからである。
なお、システム制御部50は、一定時間におけるドラッグ入力と予め定めた閾値とを比較して、ドラッグ入力が閾値未満であるか否かを判定し、ドラッグ入力が閾値未満であると判定した場合、AF枠の移動量をデフォルト値に設定してもよい。ユーザが意図的にドラッグ入力を小さくしていることが想定されるからである。
S313にて、システム制御部50は、S310で行われたドラッグ入力の移動量に応じて、設定されたAF枠の移動量で画面に表示しているAF枠を移動する。システム制御部50が、制御手段として機能する。
【0052】
S314において、システム制御部50は、操作部70におけるAF-ONボタン(不図示)やシャッターボタン61等のAF制御を指示する操作部材の押下が検出されたか否かを判定する。システム制御部50がAF制御の指示が検出されたと判定した場合、処理はS315に進む。システム制御部50がAF制御の指示が検出されていないと判定した場合、処理はS316に進む。
S315において、システム制御部50は、焦点検出部11やレンズユニット150等を用いて、AF制御を開始する。
その後、S316において、システム制御部50は、一定時間が待機する。
【0053】
一定時間経過してAF制御が解除されると、S317において、システム制御部50は、撮影設定が変更されたか否かを判定する。システム制御部50が撮影設定が変更されたと判定した場合、処理はS304に戻る。システム制御部50が撮影設定が変更されていないと判定した場合、処理はS318に進む。
S318において、システム制御部50は、撮影モードが変更されたか否かを判定する。システム制御部50が撮影モードが変更されたと判定した場合、処理はS303に戻る。システム制御部50が撮影モードが変更されていないと判定した場合、処理はS319に進む。
S319において、システム制御部50は、撮影待機状態であるか否かを判定する。システム制御部50が撮影待機状態であると判定した場合、処理はS305に戻る。システム制御部50が撮影待機状態ではないと判定した場合、この処理フローは終了する。
【0054】
なお、S305でシャッター速度の設定値が取得される頻度が、システム制御部50が、表示部28又はEVF29の表示状態を更新する頻度よりも高くなるように設定されてもよい。シャッター速度の設定変更に対するレスポンスが向上することで、操作性が向上するためである。
【0055】
以上、設定されたシャッター速度に応じたAF枠の移動量の決定及び設定方法、AF枠の移動に関して説明したが、S304における移動量をデフォルト値に設定する条件について、図6図8を用いて補足する。
【0056】
図6には、動いている被写体に合わせて撮影位置602から撮影位置604へ、デジタルカメラ100を動かして、シャッター速度が遅い状態で、流し撮りを行う状況を表す。撮像画像601は撮影位置602では被写体を撮影した画像であり、撮像画像603は撮影位置604で被写体を撮影した画像である。撮像画像603には、撮像画像から認識された被写体を表す識別子605(ここでは、「Dog」)が表示される。この状況で、シャッター速度は遅いが、被写体の速度は速いため、シャッター速度から適切なAF枠の移動量を決定することができない。そこで、システム制御部50が、姿勢検知部55(加速度センサーやジャイロセンサー)によって閾値を超えたカメラの姿勢変化を検出した場合、シャッター速度に関わらず、デフォルト値でAF枠の移動量を設定してもよい。
【0057】
また、撮影位置602の状態でデジタルカメラ100をあまり動かさないで撮影する状況では、システム制御部50が、撮像画像603から予め設定された閾値を超えた被写体の動きを検出した場合、シャッター速度に関わらず、動体被写体の設定値として、AF枠の移動量を設定してもよい。
また、図示していないが、姿勢検知部55によるカメラの状態検出や自動モード設定機能により、三脚撮影モードが設定された場合、システム制御部50が、シャッター速度に関わらず、三脚撮影モードの設定値として、AF枠の移動量を設定してもよい。更に、セルフタイマー撮影設定が行われている場合、システム制御部50が、設定された時間に応じたセルフタイマーの設定値を用いて、AF枠の移動量を設定してもよい。
【0058】
図7には、花火を撮影した撮像画像701を表す。撮像画像701には、撮像画像から認識された被写体を表す識別子702(ここでは、「FireWork」)が表示される。システム制御部50は、撮像画像の被写体の種別を検出した場合、検出した被写体の種別を表す識別子502(図5),603(図6),702(図7)を用いて、検出した被写体の種別に応じた設定値で、AF枠の移動量を設定してもよい。例えば、被写体の種別が生物であるか否かに応じた設定値を用いて、AF枠の移動量を設定してもよい。これにより、被写体の動きに適した移動量でAF枠を移動させることが可能になる。
【0059】
図8には、赤ちゃんを撮影した撮像画像801を表す。システム制御部50は、撮像画像801から動かない被写体であることを認識して、シャッター速度を小さく設定する。ここで、システム制御部50は、シャッター速度の設定後、所定回数タッチ操作が検出されるまで、デフォルト値を用いてAF枠の移動量802~804を設定する。そしてタッチ操作が所定回数以上検出された後で、設定中のシャッター速度に対応させて、AF枠の移動量805を設定してもよい。これにより、動かない被写体に対して、最初の位置合わせは素早く行うことが可能になり、一定時間後から正確な位置合わせが可能になる。
【0060】
また、図示していないが、野球のバッター等、シャッター速度が速くなるが、被写体が動かないケースも考えられる。この状況では、シャッター速度からAF枠の移動量を決定したとすると、最初の位置合わせで、AF枠の移動が行き過ぎてしまうことがある。そこで、システム制御部50は、シャッター速度の設定後、所定回数タッチ操作が検出されるまで、デフォルト値を用いてAF枠の移動量を設定する。そしてタッチ操作が所定回数以上検出された後で、設定中のシャッター速度に対応させて、AF枠の移動量を設定してもよい。
【0061】
以上の本実施形態のデジタルカメラ100によれば、シャッター速度に応じてタッチパネル70aにおいて移動させるAF枠の移動量を変更することができる。これにより、移動速度が速い被写体に対してはAF枠の移動量を大きくして、AF枠を被写体に素早く合わせることが可能になる。また、移動速度が遅い被写体に対してはAF枠の移動量を小さくして、AF枠を被写体に正確に合わせることができる。このようにして、撮影状況に応じて、タッチ操作に対するAF枠の移動量を最適にすることができる。即ち、AF枠の移動の操作性を向上させることができる。
【0062】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。更に、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0063】
また、上述した実施形態においては、本発明をデジタルカメラ100に適用した場合を例にして説明したが、これはこの例に限定されず、タッチパネルを有する撮像制御装置であれば適用可能である。即ち、本発明は、パーソナルコンピュータやPDA、携帯電話端末や、ディスプレイを備えるプリンタ装置、デジタルフォトフレーム、ゲーム機、電子ブックリーダー、ヘッドマウントディスプレイ等のウェアラブル機器等に適用可能である。
【0064】
なお、システム制御部50が行うものとして説明した上述の各種制御は、1つのハードウェアが行ってもよいし、複数のハードウェアが処理を分担することで、装置全体の制御を行ってもよい。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0065】
22:撮像部、29:EVF、50:システム制御部、56:不揮発性メモリ、70a:タッチパネル、100:デジタルカメラ
図1
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図3
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