(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】冷却床設備及び条鋼製品停止位置の調整方法
(51)【国際特許分類】
B21B 39/08 20060101AFI20240304BHJP
B21C 51/00 20060101ALI20240304BHJP
B21B 38/04 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
B21B39/08 C
B21C51/00 F
B21B38/04 Z
(21)【出願番号】P 2020022682
(22)【出願日】2020-02-13
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】501120122
【氏名又は名称】スチールプランテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】三輪 直義
【審査官】池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-197311(JP,A)
【文献】特開平09-024412(JP,A)
【文献】特開2007-307586(JP,A)
【文献】特開昭59-101217(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 39/08
B21C 51/00
B21B 38/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱間圧延によって成形された条鋼製品を冷却するための冷却床と、前記条鋼製品を前記冷却床に隣接する位置まで搬送するための搬送装置とを備え、前記搬送装置が、並列配置された複数の搬送ローラと、前記複数の搬送ローラの上側に接する面である基準面より上方に突出して前記条鋼製品に接触することにより、前記条鋼製品を減速及び停止させるブレーキングプレート、及び前記ブレーキングプレートを前記基準面から突出した突出状態と前記基準面よりも下方に退避した退避状態との間で上下動させる駆動装置を含む制動装置とを備える冷却床設備であって、
前記搬送装置上の前記条鋼製品を撮影するカメラと、
前記カメラで撮影して得られた画像データに基づいて前記条鋼製品の停止位置に関する位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて、前記制動装置の作用によって前記条鋼製品が停止する位置が前記冷却床に隣接する所定の停止位置に近づくように前記搬送装置を制御する制御装置と
を備え
、
前記制御装置は、
前記搬送装置上における前記条鋼製品の前記所定の停止位置と、前記条鋼製品の停止位置との差分を算出する差分算出部と、
前記差分算出部で算出した差分に基づいて、前記条鋼製品と前記ブレーキングプレートとの間の摩擦係数を算出する摩擦係数算出部と、
前記条鋼製品のパスラインにおける前記冷却床設備の上流側に設けられた前記条鋼製品の切断装置の切断タイミングを検出する切断タイミング検知部と
を備え、
前記摩擦係数算出部で算出した摩擦係数を用いて前記ブレーキングプレートの突出状態の継続時間を算出するとともに、前記切断タイミングを基準として前記制動装置の前記ブレーキングプレートの上昇開始タイミングを算出して前記搬送装置を制御し、
前記差分の移動平均が所定の閾値を超えた場合、前記摩擦係数を算出して更新するとともに、前記ブレーキングプレートの突出状態の継続時間を算出して更新すること及び前記上昇開始タイミングを算出して更新することのうちの少なくとも一方を行う、
冷却床設備。
【請求項2】
前記カメラで撮影して得られた画像データに基づく前記条鋼製品の位置情報と、前記差分算出部で算出した差分の移動平均と、前記搬送装置の制御パラメータとを表示するための表示データとを出力する出力部を備える請求項
1に記載の冷却床設備。
【請求項3】
熱間圧延によって成形された条鋼製品を冷却する冷却床と、前記条鋼製品を前記冷却床に隣接する位置まで搬送するための搬送装置とを備え、前記搬送装置が、並列配置された複数の搬送ローラと、前記複数の搬送ローラの上側に接する面である基準面より上方に突出して前記条鋼製品に接触することにより、前記条鋼製品を減速及び停止させるブレーキングプレート、及び前記ブレーキングプレートを前記基準面から突出した突出状態と前記基準面よりも下方に退避した退避状態との間で上下動させる駆動装置を含む制動装置とを備える冷却床設備において、前記搬送装置上で前記条鋼製品を減速及び停止させる際の条鋼製品停止位置の調整方法であって、
前記搬送装置上の前記条鋼製品をカメラで撮影し、
前記カメラで撮影して得られた画像データに基づいて前記条鋼製品の停止位置に関する位置情報を取得し、
取得された位置情報に基づいて、前記制動装置の作用によって前記条鋼製品が停止する位置が前記冷却床に隣接する所定の停止位置に近づくように前記搬送装置を制御する
ことを含み、
さらに、
前記搬送装置上における前記条鋼製品の前記所定の停止位置と、前記条鋼製品の停止位置との差分を算出すること、
前記算出した差分に基づいて、前記条鋼製品と前記ブレーキングプレートとの間の摩擦係数を算出すること、
前記条鋼製品のパスラインにおける前記冷却床設備の上流側に設けられた前記条鋼製品の切断装置の切断タイミングを検出すること、
前記算出した摩擦係数を用いて前記ブレーキングプレートの突出状態の継続時間を算出するとともに、前記切断タイミングを基準として前記制動装置の前記ブレーキングプレートの上昇開始タイミングを算出して前記搬送装置を制御すること、及び
前記差分の移動平均が所定の閾値を超えた場合、前記摩擦係数を算出して更新するとともに、前記ブレーキングプレートの突出状態の継続時間を更新すること及び前記上昇開始タイミングを算出して更新することのうちの少なくとも一方を行うこと、を含む、
条鋼製品停止位置の調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却床設備及び条鋼製品停止位置の調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
条鋼圧延設備において圧延され、成形された高温の製品は、デバイディングシャー(DS)によって所定の長さに分割され、下流に配置されている冷却床に向かって搬送される。冷却床の入側には、ブレーキングプレート(BP)が配置され、ブレーキングプレートとの摩擦により製品を制動停止させる。
【0003】
特許文献1には、条鋼種に応じた条鋼と制動リフタとの間の摩擦係数を記憶手段に記憶させ、速度検出器によって検出される条鋼速度と記憶されている摩擦係数とから制動距離を演算して制動制御を行う制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、操業の開始時から連続安定した状態までの遷移状態において、ブレーキングプレート上面の温度や周辺湿度等の条件が変化すると、製品とブレーキングプレートとの摩擦抵抗が変化し、製品の停止位置も変動する。このため、冷却床上の製品の停止位置をオペレータが目視で確認して、製品の停止位置を目標停止位置に近づけるための操作が行われているが、オペレータの経験に依存する作業であり、オペレータの作業負担の軽減が望まれていた。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、オペレータの作業負担を軽減しつつ条鋼製品の停止位置を調整することができる冷却床設備及び条鋼製品停止位置の調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施の形態に係る冷却床設備は、熱間圧延によって成形された条鋼製品を冷却するための冷却床と、前記条鋼製品を前記冷却床に隣接する位置まで搬送するための搬送装置とを備え、前記搬送装置が、並列配置された複数の搬送ローラと、前記複数の搬送ローラの上側に接する面である基準面より上方に突出して前記条鋼製品に接触することにより、前記条鋼製品を減速及び停止させるブレーキングプレート、及び前記ブレーキングプレートを前記基準面から突出した突出状態と前記基準面よりも下方に退避した退避状態との間で上下動させる駆動装置を含む制動装置とを備える冷却床設備であって、前記搬送装置上の前記条鋼製品を撮影するカメラと、前記カメラで撮影して得られた画像データに基づいて前記条鋼製品の停止位置に関する位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて、前記制動装置の作用によって前記条鋼製品が停止する位置が前記冷却床に隣接する所定の停止位置に近づくように前記搬送装置を制御する制御装置とを備える。
【0008】
本発明の実施の形態に係る条鋼製品停止位置の調整方法は、熱間圧延によって成形された条鋼製品を冷却する冷却床と、前記条鋼製品を前記冷却床に隣接する位置まで搬送するための搬送装置とを備え、前記搬送装置が、並列配置された複数の搬送ローラと、前記複数の搬送ローラの上側に接する面である基準面より上方に突出して前記条鋼製品に接触することにより、前記条鋼製品を減速及び停止させるブレーキングプレート、及び前記ブレーキングプレートを前記基準面から突出した突出状態と前記基準面よりも下方に退避した退避状態との間で上下動させる駆動装置を含む制動装置とを備える冷却床設備において、前記搬送装置上で前記条鋼製品を減速及び停止させる際の条鋼製品停止位置の調整方法であって、前記搬送装置上の前記条鋼製品をカメラで撮影し、前記カメラで撮影して得られた画像データに基づいて前記条鋼製品の停止位置に関する位置情報を取得し、取得された位置情報に基づいて、前記制動装置の作用によって前記条鋼製品が停止する位置が前記冷却床に隣接する所定の停止位置に近づくように前記搬送装置を制御する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、オペレータの作業負担を軽減しつつ条鋼製品の停止位置を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】条鋼製品の切断後の速度の推移を示す模式図である。
【
図4】条鋼製品毎の各種パラメータの一例を示す模式図である。
【
図5】停止位置の調整方法の第1例を示す模式図である。
【
図6】停止位置の調整方法の第2例を示す模式図である。
【
図7】コントローラが表示可能な冷却床設備の稼働状況の表示画面の第1例を示す模式図である。
【
図8】コントローラが表示可能な冷却床設備の稼働状況の表示画面の第2例を示す模式図である。
【
図9】コントローラの処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は冷却床設備30の概要を示す模式図であり、(A)は全体の概略斜視図、(B)は概略部分平面図、(C)は概略部分断面図である。冷却床設備30は、熱間圧延によって成形された条鋼製品を冷却するための冷却床34と、条鋼製品Pを冷却床34に隣接する位置まで搬送するための搬送装置31と、カメラ40とを備える。搬送装置31は、並列配置された複数の搬送ローラ32と、複数の搬送ローラ32の上側に接する面である基準面より上方に突出して条鋼製品Pに接触することにより条鋼製品Pを減速及び停止させるブレーキングプレート33(「BP」とも称する)、及びブレーキングプレート33を基準面から突出した突出状態と基準面よりも下方に退避した退避状態との間で上下動させる駆動装置15を含む制動装置とを備える。基準面は幾何学的な仮想面であり、複数の搬送ローラ32がくびれ等を持たない真円柱であれば仮想平面となる。カメラ40は、条鋼製品Pの頭端の停止位置又は尾端の停止位置付近を撮影できるように配置され、搬送装置31上の条鋼製品Pを撮影することができる。図の例では、カメラ40は、停止位置にある条鋼製品Pの尾端を撮影できるように配置されているが、これに限定されない。
図1において、符号Mは、後述のモータ16である。
【0012】
搬送装置31上で停止した各条鋼製品Pは、ブレーキングプレート33をさらに上方に持ち上げて搬送装置31から冷却床34へと払い出されるため、搬送装置31上における条鋼製品Pの目標停止位置(所定の停止位置)は、当該位置から払い出された条鋼製品Pが冷却床34上の所定の領域(条鋼製品Pを冷却する領域)に入る位置に設定される。
【0013】
条鋼製品Pのパスラインにおける冷却床設備30の上流側には、条鋼圧延設備が設けられている。条鋼圧延設備は、高温状態のビレットを所定の形状に成形すべく圧延機10a、10b、10cが備える。なお、圧延機の数は図の例に限定されない。圧延機10a、10b、10cの下流側には、圧延された条鋼を、冷却床34の制限長以下に切断(分割)する切断装置(「DS」、「デバイディングシャー」とも称する)12が設けられ、分割された条鋼製品Pが冷却床34の入側へ搬送される。
【0014】
図2は制御設備の構成の一例を示す模式図である。制御設備は、制御装置としてのコントローラ20、駆動装置としてのBP駆動装置15、モータ16、PC50を備える。コントローラ20は、停止位置判定部21、差分算出部22、相関係数算出部23、目標停止位置設定部24、BP上昇タイミング演算部25、BP突出状態継続時間演算部26、切断タイミング検出部27、インタフェース部28を備える。
【0015】
BP駆動装置15は、モータ16を駆動することにより、ブレーキングプレート33が基準面より上方に突出した突出状態と、ブレーキングプレート33が基準面よりも下方に退避した退避状態との間でブレーキングプレート33を上下動させることができる。
【0016】
PC50は、表示パネル、操作部などを備えるコンピュータ等の情報処理装置で構成することができ、コントローラ20のユーザインタフェース機能を有する。
【0017】
インタフェース部28は、コントローラ20と、切断装置12、BP駆動装置15、PC50それぞれとの間のインタフェース機能を有する。
【0018】
カメラ40は、冷却床34上の条鋼製品Pを撮影して得られた画像データをコントローラ20へ出力する。
【0019】
目標停止位置設定部24は、条鋼製品Pの冷却床34上の目標停止位置を設定する。目標停止位置は、オペレータがPC50を用いて予め設定することができる。目標停止位置は、条鋼製品Pの種類やサイズに応じて適宜設定することができる。
【0020】
停止位置判定部21は、カメラ40で撮影して得られた画像データに基づいて条鋼製品Pの実際の停止位置に関する位置情報を判定(取得)することができる。
【0021】
差分算出部22は、冷却床34上における条鋼製品Pの目標停止位置(所定の停止位置)と、実際の停止位置との差分を算出することができる。なお、差分は正負両方の符号を有する。例えば、実際の停止位置が目標停止位置を超えた場合(目標停止位置より下流側の場合)には「正」とし、実際の停止位置が目標停止位置の手前である場合(目標停止位置より上流側の場合)には「負」とすることができる。なお、正負は逆でもよい。
【0022】
相関係数算出部23は、差分算出部22で算出した差分に基づいて、ブレーキングプレート33の作用によって条鋼製品Pが停止する位置とブレーキングプレート33の制御パラメータとの間の相関係数を算出することができる。具体的には、相関係数は、条鋼製品Pとブレーキングプレート33との間の摩擦係数を含む。制御パラメータは、搬送装置31上で条鋼製品Pを減速及び停止させるために用いられるパラメータを含む。具体的には、制御パラメータは、ブレーキングプレート33の突出状態の継続時間、ブレーキングプレート33の上昇開始タイミングを含む。ブレーキングプレート33上面の温度や周辺湿度等の条件変化に起因して条鋼製品Pの停止位置が変動すると差分も変動する。実際の停止位置を目標停止位置に近づけるためには、差分に基づいて相関係数を算出し、算出した相関係数に基づいて制御パラメータを更新すればよい。
【0023】
コントローラ20は、カメラ40で撮影して得られた画像データに基づいて条鋼製品Pの実際の停止位置に関する位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいてブレーキングプレート33の動作を制御することができる。具体的には、コントローラ20は、算出された相関係数を用いて、制御パラメータを更新し、条鋼製品Pが停止する位置が目標停止位置に近づくようにブレーキングプレート33の動作を制御することができる。
【0024】
カメラ40で冷却床34上の条鋼製品Pを撮影することにより、オペレータによる目視作業が不要になる。また、カメラ40で撮影して得られた画像データに基づいて条鋼製品Pの実際の停止位置に関する位置情報を取得するので、ブレーキングプレート33上面の温度や周辺湿度等の条件変化に起因する、条鋼製品Pの停止位置の変動も数値データとして取得することができる。停止位置の変動に対応する摩擦係数の変化も数値データとして演算することが可能である。これにより、オペレータによる摩擦係数の設定のための手作業が不要となり、摩擦係数の設定を自動化することができる。設定された摩擦係数に基づいて搬送装置31を制御することにより、条鋼製品Pの停止位置を目標停止位置に近づけるよう調整することが可能となり、オペレータの作業負担を軽減しつつ条鋼製品Pの停止位置を調整することができる。
【0025】
BP上昇タイミング演算部25、BP突出状態継続時間演算部26及び切断タイミング検出部27の詳細は後述する。
【0026】
次に、コントローラ20による条鋼製品Pの停止位置の調整方法について説明する。
【0027】
図3は条鋼製品Pの切断後の速度の推移を示す模式図である。
図3において、縦軸は速度を示し、横軸は距離(位置、時間)を示す。条鋼製品Pに切断される直前の搬送速度をVとし、条鋼製品Pの減速開始時の搬送速度をα・Vとする。αは増速係数である。条鋼製品Pを増速係数αで増速する理由は、それぞれの条鋼製品Pを搬送速度Vで搬送した状態で、一の条鋼製品Pを減速すると、後続の搬送速度Vの条鋼製品Pが当該一の条鋼製品Pに追いつき接触、衝突するおそれがあるため、減速する前に一旦増速することにより、後続の条鋼製品Pが接触しないようにするためである。
【0028】
切断装置12から冷却床34入口までの距離をLdr、冷却床34入口から条鋼製品Pの尾端の停止位置までの距離をLs、減速開始時点の条鋼製品Pの尾端の位置から停止位置までの距離をLbとする。切断装置12の切断タイミングを基準として、切断された条鋼製品Pが減速するタイミング(すなわち、ブレーキングプレート33が上昇開始するタイミング)をtrとする。条鋼製品Pとブレーキングプレート33との間の摩擦係数(動摩擦係数)をμとし、重力加速度をgとすると、Lb=(α・V)2 /(2・μ・g)という式が成り立つ。
【0029】
図3に示すような各種パラメータは、条鋼製品Pの種類に応じて異なる。
【0030】
図4は条鋼製品毎の各種パラメータの一例を示す模式図である。各種パラメータは、条鋼製品の種類毎に、搬送速度、増速係数、減速開始時の搬送速度、BP上昇開始タイミング(切断タイミングを基準)、BP突出状態継続時間、目標停止位置、摩擦係数などを含む。BP上昇開始タイミング、BP突出状態継続時間、摩擦係数は、例えば、安定状態でのデータを用いることができる。BP上昇開始タイミング及びBP突出状態継続時間は、ブレーキングプレート33及びBP駆動装置15を含む搬送装置31の制御パラメータである。
【0031】
条鋼製品も種類は、例えば、アングル鋼、チャネル鋼、丸鋼、四角鋼、平鋼、その他の特殊形状鋼などを含み、それぞれ異なるサイズや単重(kg/m)のものが存在する。
図4に示すように、例えば、アングルA1(A1は単なる識別子)については、搬送速度をV1、増速係数をα1、減速開始時の搬送速度をα1・V1、BP上昇開始タイミングをtr1、BP突出状態継続時間をth1、目標停止位置をLs1、摩擦係数をμ1の如く決定することができる。他の種類についても同様である。
【0032】
図5は停止位置の調整方法の第1例を示す模式図である。
図5に示すように、実際の停止位置が目標停止位置の手前であれば、Lbが目標値よりも短いということで、これは、BP上昇開始タイミングtr1が早過ぎる、又はブレーキングプレート33の突出状態継続時間thが長過ぎることを意味している。即ち、ブレーキングプレート33が突出状態のとき、条鋼製品Pとブレーキングプレート33との間の摩擦力を含む抵抗力が条鋼製品Pに対する制動力として作用するが、この制動力の見積が小さく、制動をかけ始めるタイミングが適切なタイミングよりも早かったり、その作用継続時間が必要とされているものよりも長過ぎたりしているために、想定よりも早く条鋼製品Pが停止しているということである。従って、停止位置を目標停止位置に近づけるには、摩擦係数μの設定値を大きくする(制動力の見積を大きくする)ことで、この摩擦係数μの値を用いて算出されるBP上昇開始タイミングtr1を遅くするか、ブレーキングプレート33の突出状態継続時間thを短くすればよい。
【0033】
図6は停止位置の調整方法の第2例を示す模式図である。
図6に示すように、実際の停止位置が目標停止位置を超えた場合には、Lbが目標値よりも長いということで、これは上記
図5の場合と反対に、BP上昇開始タイミングtr1が遅過ぎる、又はブレーキングプレート33の突出状態継続時間thが短か過ぎることを意味している。従って、停止位置を目標停止位置に近づけるには、摩擦係数μの設定値を小さくする(制動力の見積を小さくする)ことで、この摩擦係数μの値を用いて算出されるBP上昇開始タイミングtr1を早くするか、ブレーキングプレート33の突出状態継続時間thを長くすればよい。このように、条鋼製品Pの停止位置に応じて摩擦係数μを自動的に設定することができ、オペレータの経験や勘に頼る必要がなくなる。
【0034】
すなわち、BP突出状態継続時間演算部26は、相関係数算出部23で算出した相関係数(例えば、摩擦係数μ)に基づいて、実際の停止位置を目標停止位置に近づくように、ブレーキングプレート33の突出状態継続時間thを演算して求めることができる。
【0035】
切断タイミング検出部27は、条鋼製品の切断装置12の切断タイミングを検出する。
【0036】
BP上昇タイミング演算部25は、この切断タイミングを基準としてBP上昇開始タイミングを算出する。具体的には、実際の停止位置が目標停止位置を超えるときは、ブレーキングプレート33の上昇開始タイミングを早くする。すなわち、切断タイミングからBP上昇開始タイミングまでの時間を短くする。また、実際の停止位置が目標停止位置の手前であるときは、BP上昇タイミング演算部25は、ブレーキングプレート33の上昇開始タイミングを遅くする。すなわち、切断タイミングからBP上昇開始タイミングまでの時間を長くする。さらに、BP上昇タイミング演算部25は、搬送速度V(α・V)が速い条鋼製品については、ブレーキングプレート33の上昇開始タイミングを早くすることにより、条鋼製品の停止位置が目標停止位置から大きくずれないようにすることができる。また、BP上昇タイミング演算部25は、搬送速度V(α・V)が遅い条鋼製品については、ブレーキングプレート33の上昇開始タイミングを遅くすることにより、条鋼製品の停止位置が目標停止位置から大きくずれないようにすることができる。
【0037】
コントローラ20は、差分算出部22で算出した差分の移動平均が所定の閾値を超えた場合、相関係数(例えば、摩擦係数)を算出して更新することができる。移動平均は、例えば、直近に所定回数算出した差分の平均値とすることができる。差分の移動平均が閾値以下であれば、ブレーキングプレート33上面の温度や周辺湿度等の条件変化に起因する条鋼製品の停止位置の変動は許容内と判断することができる。差分の移動平均が閾値を超えた場合には、条鋼製品Pの停止位置の変動が大きく制御パラメータを更新する必要があるので、相関係数を算出して更新する。これにより、条鋼製品Pの停止位置の変動に応じて適宜制御パラメータを更新して、条鋼製品の停止位置を調整することができる。
【0038】
制御パラメータの更新は、ブレーキングプレート33の突出状態継続時間だけを更新してもよく、ブレーキングプレート33の上昇開始タイミングだけを更新してもよく、あるいは両者を更新してもよい。
【0039】
図7はコントローラ20が表示可能な冷却床設備の稼働状況の表示画面の第1例を示す模式図である。
図7の左側には、条鋼製品の実際の停止位置と、目標停止位置が識別可能に表示されている。条鋼製品の実際の停止位置は、
図7に示すように、カメラ40で撮影した画像を表示してもよく、停止位置の位置情報を数値等で表示してもよい。
図7の右側には、実際の停止位置と目標停止位置との差分の移動平均と、その閾値が表示されている。実際の停止位置と目標停止位置との差分は、その移動平均が閾値を超えた場合にも一定の許容範囲内の値(冷却床に条鋼製品Pを払い出すことが可能な範囲)に収まっているべきであるため、閾値は、その絶対値が許容範囲の絶対値よりも小さい値となるよう設定される。しかし、何らかのトラブル等に起因して、制御を行っているにもかかわらず差分の移動平均の絶対値が許容範囲を超えた場合等には、アラートが点灯又は点滅するとともに、警告を通知する音声を出力してもよい。また、
図7の右側には、制御パラメータである、BP上昇開始タイミング、BP突出状態継続時間、相関係数である摩擦係数が表示されている。なお、
図7の構成の配置等は一例であって、これに限定されるものではない。
【0040】
図8はコントローラ20が表示可能な冷却床設備の稼働状況の表示画面の第2例を示す模式図である。
図8に示すように、
図8の左側には、現在のBP上昇開始タイミング、BP突出状態継続時間、摩擦係数が表示されている。
図8の右側には、コントローラ20が推奨する、BP上昇開始タイミング、BP突出状態継続時間、摩擦係数が表示されている。例えば、オペレータが、マウス等(あるいは、タッチパネルの場合には画面にタッチ)で「OK」アイコンを操作することにより、現在の数値を推奨する数値に更新することができる。これにより、制御パラメータ等を更新する場合に、オペレータの判断を加えることができる。なお、
図8の例に限定されるものではなく、更新された制御パラメータ等を、オペレータの承諾なしに自動的に更新して表示してもよい。なお、
図8の構成の配置等は一例であって、これに限定されるものではない。
【0041】
図9はコントローラ20の処理手順の一例を示すフローチャートである。コントローラ20は、初期パラメータを設定し(S11)、条鋼製品の搬送を開始する(S12)。初期パラメータは、例えば、
図4に例示した各種パラメータの初期値とすることができる。コントローラ20は、カメラ40で条鋼製品の尾端の停止位置を撮影し(S13)、実際の停止位置と目標停止位置との差分を算出する(S14)。なお、停止位置は条鋼製品の頭端でもよい。
【0042】
コントローラ20は、差分の移動平均が所定の閾値より大きいか否かを判定する(S15)。差分の移動平均が閾値より大きくない場合(S15でNO)、コントローラ20は、ステップS13以降の処理を続ける。差分の移動平均が閾値より大きい場合(S15でYES)、コントローラ20は、摩擦係数を算出し(S16)、BP突出状態の継続時間を算出する(S17)。
【0043】
コントローラ20は、BPの上昇開始タイミングを調整するか否かを判定し(S18)、調整する場合(S18でYES)、BP上昇開始タイミングを算出し(S19)、後述のステップS20の処理を行う。BPの上昇開始タイミングを調整しない場合(S18でNO)、コントローラ20は、算出した制御パラメータを用いて、BP駆動装置15を制御し(S20)、搬送が終了したか否かを判定する(S21)。搬送が終了していない場合(S21でNO)、コントローラ20は、ステップS13以降の処理を続ける。搬送が終了した場合(S21でYES)、コントローラ20は、処理を終了する。
【0044】
本実施の形態の冷却床設備は、熱間圧延によって成形された条鋼製品を冷却するための冷却床と、前記条鋼製品を前記冷却床に隣接する位置まで搬送するための搬送装置とを備え、前記搬送装置が、並列配置された複数の搬送ローラと、前記複数の搬送ローラの上側に接する面である基準面より上方に突出して前記条鋼製品に接触することにより、前記条鋼製品を減速及び停止させるブレーキングプレート、及び前記ブレーキングプレートを前記基準面から突出した突出状態と前記基準面よりも下方に退避した退避状態との間で上下動させる駆動装置を含む制動装置とを備える冷却床設備であって、前記搬送装置上の前記条鋼製品を撮影するカメラと、前記カメラで撮影して得られた画像データに基づいて前記条鋼製品の停止位置に関する位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて、前記制動装置の作用によって前記条鋼製品が停止する位置が前記冷却床に隣接する所定の停止位置に近づくように前記搬送装置を制御する制御装置とを備える。
【0045】
本実施の形態の条鋼製品停止位置の調整方法は、熱間圧延によって成形された条鋼製品を冷却する冷却床と、前記条鋼製品を前記冷却床に隣接する位置まで搬送するための搬送装置とを備え、前記搬送装置が、並列配置された複数の搬送ローラと、前記複数の搬送ローラの上側に接する面である基準面より上方に突出して前記条鋼製品に接触することにより、前記条鋼製品を減速及び停止させるブレーキングプレート、及び前記ブレーキングプレートを前記基準面から突出した突出状態と前記基準面よりも下方に退避した退避状態との間で上下動させる駆動装置を含む制動装置とを備える冷却床設備において、前記搬送装置上で前記条鋼製品を減速及び停止させる際の条鋼製品停止位置の調整方法であって、前記搬送装置上の前記条鋼製品をカメラで撮影し、前記カメラで撮影して得られた画像データに基づいて前記条鋼製品の停止位置に関する位置情報を取得し、取得された位置情報に基づいて、前記制動装置の作用によって前記条鋼製品が停止する位置が前記冷却床に隣接する所定の停止位置に近づくように前記搬送装置を制御する。
【0046】
冷却床設備は、冷却床、搬送装置、カメラ及び制御装置を備える。搬送装置は、条鋼製品を冷却床に隣接する位置まで搬送するためのものであり、条鋼製品を搬送するための複数の搬送ローラが並べて配置されているとともに、条鋼製品を停止させる制動装置を備えている。制動装置は、ブレーキングプレート(BP)及び駆動装置を備える。ブレーキングプレートは、複数の搬送ローラの上側に接する面である基準面より上方に突出して条鋼製品に接触することにより、ブレーキングプレートと条鋼製品との間の摩擦によって、条鋼製品を減速及び停止させることができる。駆動装置は、ブレーキングプレートが基準面から突出した突出状態と、ブレーキングプレートが基準面よりも下方に退避した退避状態との間でブレーキングプレートを上下動させることができる。カメラは、条鋼製品の頭端の停止位置又は尾端の停止位置付近を撮影できるように配置され、搬送装置上の条鋼製品を撮影することができる。制御装置は、カメラで撮影して得られた画像データに基づいて条鋼製品の実際の停止位置に関する位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて、制動装置の作用によって条鋼製品が停止する位置が冷却床に隣接する所定の停止位置に近づくように搬送装置を制御することができる。
【0047】
カメラで冷却床上の条鋼製品を撮影することにより、オペレータによる目視作業が不要になる。また、カメラで撮影して得られた画像データに基づいて条鋼製品の停止位置に関する位置情報を取得するので、ブレーキングプレート上面の温度や周辺湿度等の条件変化に起因する、条鋼製品の停止位置の変動も数値データとして取得することができる。停止位置の変動に対応する摩擦係数の変化も数値データとして演算することが可能である。これにより、オペレータによる摩擦係数の設定のための手作業が不要となり、摩擦係数の設定を自動化することができる。設定された摩擦係数に基づいて搬送装置を制御することにより、条鋼製品の停止位置を目標停止位置に近づけるよう調整することが可能となり、オペレータの作業負担を軽減しつつ条鋼製品の停止位置を調整することができる。
【0048】
本実施の形態の冷却床設備において、前記制御装置は、前記搬送装置上における前記条鋼製品の前記所定の停止位置と、前記条鋼製品の停止位置との差分を算出する差分算出部と、前記差分算出部で算出した差分に基づいて、前記制動装置の作用によって前記条鋼製品が停止する位置と前記搬送装置の制御パラメータとの間の相関係数を算出する相関係数算出部とを備え、前記制御装置は、前記相関係数算出部で算出した相関係数を用いて、前記搬送装置を制御する。
【0049】
制御装置は、差分算出部、及び相関係数算出部を備える。差分算出部は、搬送装置上における条鋼製品の所定の停止位置と、条鋼製品の停止位置との差分を算出することができる。なお、差分は正負両方の符号を有する。例えば、条鋼製品の停止位置が目標停止位置を超えた場合には「正」とし、条鋼製品の停止位置が目標停止位置の手前である場合には「負」とすることができる。条鋼製品の停止位置は、カメラで撮影して得られた画像データに基づいて求めることができる。相関係数算出部は、差分算出部で算出した差分に基づいて、制動装置の作用によって条鋼製品が停止する位置と搬送装置の制御パラメータとの間の相関係数を算出することができる。制御パラメータは、搬送装置上で条鋼製品を減速及び停止させるために用いられるパラメータを含む。ブレーキングプレート上面の温度や周辺湿度等の条件変化に起因して停止位置が変動すると差分も変動する。条鋼製品の停止位置を目標停止位置に近づけるためには、差分に基づいて相関係数を算出し、算出した相関係数に基づいて制御パラメータを更新すればよい。制御装置は、算出された相関係数を用いて、制御パラメータを更新し、条鋼製品が停止する位置が所定の停止位置に近づくように搬送装置を制御することができる。
【0050】
本実施の形態の冷却床設備において、前記相関係数は、前記条鋼製品と前記ブレーキングプレートとの間の摩擦係数を含む。
【0051】
相関係数は、条鋼製品とブレーキングプレートとの間の摩擦係数を含む。条鋼製品の減速開始時の搬送速度を(α・V)とし、減速開始位置から停止位置までの距離をLbとし、摩擦係数をμとし、重力加速度をgとすると、Lb=(α・V)2 /(2・μ・g)という式が成り立つ。ここで、Vは条鋼製品の搬送速度であり、αは減速前の増速用の増速係数である。α・Vが一定であるとすると、実際の停止位置が目標停止位置を超えた場合には、Lbが長くなるので、摩擦係数μが小さい。従って、停止位置を目標停止位置に近づけるには、摩擦係数μを大きくすればよい。また、実際の停止位置が目標停止位置の手前であれば、Lbが短くなるので、摩擦係数μが大きい。従って、停止位置を目標停止位置に近づけるには、摩擦係数μを小さくすればよい。このように、条鋼製品の停止位置に応じて摩擦係数μを自動的に設定することができ、オペレータの経験や勘に頼る必要がなくなる。
【0052】
本実施の形態の冷却床設備において、前記制御パラメータは、前記ブレーキングプレートの突出状態の継続時間を含む。
【0053】
制御パラメータは、ブレーキングプレートの突出状態の継続時間を含む。ブレーキングプレートが突出状態のとき、条鋼製品とブレーキングプレートとの間に摩擦が生じる。突出状態の継続時間の長短によっても停止位置を調整することができる。具体的には、α・Vが一定であるとすると、実際の停止位置が目標停止位置を超えた場合には、突出状態の継続時間(制動力が作用する時間)を長くすることで、停止位置を目標停止位置に近づけることができる。また、実際の停止位置が目標停止位置の手前であれば、突出状態の継続時間(制動力が作用する時間)を短くすることで、停止位置を目標停止位置に近づけることができる。
【0054】
本実施の形態の冷却床設備は、さらに、前記条鋼製品のパスラインにおける前記冷却床設備の上流側に設けられた前記条鋼製品の切断装置の切断タイミングを検出する切断タイミング検知装置を備え、前記制御パラメータは、前記制動装置の前記ブレーキングプレートの上昇開始タイミングを含み、前記制御装置は、前記切断タイミングを基準として前記上昇開始タイミングを決定する。
【0055】
切断タイミング検知装置は、条鋼製品のパスラインにおける冷却床設備の上流側に設けられた、条鋼製品の切断装置の切断タイミングを検出する。制御パラメータは、制動装置のブレーキングプレートの上昇開始タイミングを含む。ブレーキングプレートの上昇開始タイミングを遅くすると、条鋼製品の減速のタイミングが遅れ、搬送速度で搬送される距離(時間)が長くなり、結果として実際の停止位置が下流側に向かうことになる。また、ブレーキングプレートの上昇開始タイミングを早くすると、条鋼製品の減速のタイミングが早くなり、搬送速度で搬送される距離(時間)が短くなり、結果として実際の停止位置が上流側に向かうことになる。従って、実際の停止位置が目標停止位置を超えるときは、ブレーキングプレートの上昇開始タイミングを早くすることにより、実際の停止位置を目標停止位置に近づけることができる。また、実際の停止位置が目標停止位置の手前であるときは、ブレーキングプレートの上昇開始タイミングを遅くすることにより、実際の停止位置を目標停止位置に近づけることができる。制御装置は、切断タイミングを基準として上昇開始タイミングを決定することができる。
【0056】
本実施の形態の冷却床設備において、前記制御装置は、前記差分算出部で算出した差分の移動平均が所定の閾値を超えた場合、前記相関係数算出部で相関係数を算出して更新する。
【0057】
制御装置は、算出した差分の移動平均が所定の閾値を超えた場合、相関係数を算出して更新する。移動平均は、例えば、直近に所定回数算出した差分の平均値とすることができる。差分の移動平均が閾値以下であれば、ブレーキングプレート上面の温度や周辺湿度等の条件変化に起因する条鋼製品の停止位置の変動は許容内と判断することができる。差分の移動平均が閾値を超えた場合には、条鋼製品の停止位置の変動が大きく制御パラメータを更新する必要があるので、相関係数を算出して更新する。これにより、条鋼製品の停止位置の変動に応じて適宜制御パラメータを更新して、条鋼製品の停止位置を調整することができる。
【0058】
本実施の形態の冷却床設備は、前記カメラで撮影して得られた画像データに基づく前記条鋼製品の位置情報と、前記差分算出部で算出した差分の移動平均と、前記搬送装置の制御パラメータとを表示するための表示データとを出力する出力部を備える。
【0059】
出力部は、カメラで撮影して得られた画像データに基づく条鋼製品の位置情報と、差分算出部で算出した差分の移動平均と、制動装置の制御パラメータとを表示するための表示データとを出力する。
【0060】
以上、本発明を、実施形態を用いて説明してきたが、本発明はこの実施形態の構成には限られない。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲の記載に基づいて定まるものであり、その範囲内において実施形態に示した構成要素の一部の省略や変形、またそれらの改良を施した構成の全てが本発明に含まれる。
【0061】
例えば、
図2においては簡便のためコントローラ20を一体で示しているが、本発明の機能を実現するものであればよく、複数の装置の組み合わせでコントローラ20に含まれる機能を実現してもよい。
【符号の説明】
【0062】
10a、10b、10c 圧延機
12 切断装置
15 BP駆動装置
16 モータ
20 コントローラ
21 停止位置判定部
22 差分算出部
23 相関係数算出部
24 目標停止位置設定部
25 BP上昇タイミング演算部
26 BP突出状態継続時間演算部
27 切断タイミング検出部
28 インタフェース部
30 冷却床設備
31 搬送装置
32 搬送ローラ
33 ブレーキングプレート
34 冷却床
40 カメラ
50 PC