(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】保湿剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/81 20060101AFI20240304BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
A61K8/81
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2020039302
(22)【出願日】2020-03-06
【審査請求日】2022-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】逸見 暁子
(72)【発明者】
【氏名】大竹 哲夫
【審査官】▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-143063(JP,A)
【文献】特開2007-031304(JP,A)
【文献】国際公開第2017/057571(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
A61K31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カチオン性基含有共重合体を含む保湿剤であって、
該共重合体は、カチオン性基含有単量体(A)由来の構造単位(a)と疎水性単量体(B)由来の構造単位(b)とを有し、
該カチオン性基含有単量体(A)由来の構造単位(a)
及び疎水性単量体(B)由来の構造単位(b)の割合が、
それぞれ、全構造単位100質量%に対して、36~
70質量%
及び30~64質量%であり、
重量平均分子量が
6000~
40万であり、
該カチオン性基含有単量体(A)は、下記式(4-1)~(4-3);
【化1】
(式(4-1)~(4-3)中、R
1
及びR
2
は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1~12の炭化水素基を表す。R
3
~R
5
は、同一又は異なって、炭素数1~12の炭化水素基を表す。Y
-
は、陰イオンを表す。R
6
~R
8
は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基を表す。Xは、直接結合、炭素数1~12のアルキレン基、又は、下記式(5)~(7);
【化2】
(式(5)中、mは、0~12の整数を表す。式(6)中、eは、0~4の整数を表す。式(7)中、kは、1~10の整数を表す。)のいずれかで表される構造を表す。)のいずれかで表される構造であり、
該疎水性単量体(B)は、単独重合体の溶解性パラメータが15以下であ
り、下記式(8);
【化3】
(式中、R
8
は、水素原子又はメチル基を表す。R
9
は、炭素数1~12の炭化水素基を表す。)で表される化合物であることを特徴とするカチオン性基含有共重合体を含む保湿剤。
【請求項2】
前記カチオン性基含有共重合体を、保湿剤100質量%に対して0.01~100質量%含むことを特徴とする請求項1に記載の保湿剤。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載の保湿剤を含む化粧料。
【請求項4】
前記カチオン性基含有共重合体の含有量が化粧料100質量%に対して0.001~10質量%であることを特徴とする請求項
3に記載の化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保湿剤に関する。より詳しくは、皮膚化粧料、皮膚外用剤及び頭髪化粧料等に有用な保湿剤に関する。
【背景技術】
【0002】
カチオン性基を有する重合体は、マイナスの電荷を有する微生物の表面にカチオン性基が吸着し、細胞膜の破壊に寄与するため、抗菌剤として好適に用いられることが知られている。例えば特許文献1には、カチオン性基含有共重合体を含む抗菌剤であって、
該共重合体は、カチオン性基含有単量体(A)由来の構造単位(a)と疎水性単量体(B)由来の構造単位(b)とを有し、該構造単位(a)の割合が、全構造単位100質量%に対して36~99.9質量%であり、重量平均分子量が4000~100万であり、該疎水性単量体(B)は、単独重合体の溶解性パラメータが15以下であることを特徴とするカチオン性基含有共重合体を含む抗菌剤が開示されている。特許文献2には、カチオン性基含有共重合体を含む化粧料用防腐抗菌剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2017/057571号
【文献】特開2018-058813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のとおり、従来カチオン性基含有共重合体は種々の用途における抗菌剤として開示されているものの、他の用途については特に報告がなく、カチオン性基含有共重合体について新たな用途を開発する余地があった。
【0005】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、カチオン性基含有共重合体の新たな用途を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、カチオン性基含有共重合体について種々検討したところ、カチオン性基含有単量体由来の構造単位と特定の疎水性単量体由来の構造単位とを有し、カチオン性基含有単量体由来の構造単位の割合及び重量平均分子量が特定の範囲である共重合体が保湿性に優れることを見出し、該共重合体の保湿剤としての新たな用途を見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
【0007】
すなわち本発明は、カチオン性基含有共重合体を含む保湿剤であって、上記共重合体は、カチオン性基含有単量体(A)由来の構造単位(a)と疎水性単量体(B)由来の構造単位(b)とを有し、上記カチオン性基含有単量体(A)由来の構造単位(a)の割合が、全構造単位100質量%に対して36~99.9質量%であり、重量平均分子量が4000~100万であり、上記疎水性単量体は、単独重合体の溶解性パラメータが15以下であることを特徴とするカチオン性基含有共重合体を含む保湿剤である。
【0008】
上記カチオン性基含有単量体(A)は、第1~3級アミノ基含有単量体及び/又はこれらの酸による中和物並びに第4級アンモニウム塩基含有単量体からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0009】
上記疎水性単量体(B)は、少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステルを含むことが好ましい。
【0010】
本発明は、上記保湿剤を含む化粧料でもある。
【0011】
上記保湿剤の含有量は、化粧料100質量%に対して0.001~10質量%であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の保湿剤は、上述の構成よりなり、皮膚の角質水分量を向上させることができるため、化粧料等における保湿剤等に好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の好ましい形態について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下に記載される本発明の個々の好ましい形態を2又は3以上組み合わせた形態も、本発明の好ましい形態に該当する。
【0014】
<カチオン性基含有共重合体>
【0015】
本発明の保湿剤は、カチオン性基含有単量体(A)由来の構造単位(a)と疎水性単量体(B)由来の構造単位(b)とを上記特定の割合で有する共重合体を含むものである。このような共重合体を含む保湿剤を皮膚等に塗布すると、疎水性基を有する共重合体が皮膜となり、親水性のカチオン性基により保水した水分の蒸発を防ぐことで、皮膚の角質水分量を向上させる(保湿性を発揮する)と考えられる。
【0016】
上記カチオン性基含有共重合体は、全構造単位100質量%に対して、カチオン性基含有単量体(A)由来の構造単位(a)を36~99.9質量%の割合で有する。好ましくは40~99質量%、より好ましくは45~99質量%であり、更に好ましくは50~95質量%であり、一層好ましくは60~90質量%であり、特に好ましくは60~80質量%である。
【0017】
本発明のカチオン性基含有共重合体は、全構造単位100質量%に対して、疎水性単量体(B)由来の構造単位(b)を0.1~64質量%の割合で有することが好ましい。より好ましくは1~60質量%、更に好ましくは1~55質量%であり、一層好ましくは5~50質量%であり、更に一層好ましくは10~40質量%であり、特に好ましくは20~40質量%である。
【0018】
本発明の共重合体は、共重合体における単量体(B)由来の構造単位(b)の含有割合が、カチオン性基含有単量体(A)由来の構造単位(a)100質量%に対して、1~170質量%であることが好ましい。より好ましくは1~150質量%、更に好ましくは5~100質量%であり、一層好ましくは10~80質量%であり、特に好ましくは20~70質量%である。本発明の共重合体における構造単位(b)の含有割合がこのような範囲であれば、上記共重合体の保湿性能が向上する傾向にある。
【0019】
本発明の共重合体は、後述するとおり、上記カチオン性基含有単量体(A)及び疎水性単量体(B)以外のその他の単量体(E)由来の構造単位(e)を有していてもよく、その他の単量体(E)由来の構造単位(e)の含有割合は、全構造単位100質量%に対して、0~10質量%であることが好ましい。より好ましくは、0~8質量%、更に好ましくは0~5質量%である。
【0020】
本発明の共重合体としては、カチオン性基含有単量体(A)由来の構造単位(a)と疎水性単量体(B)由来の構造単位(b)のみからなる共重合体もまた、好ましい形態の1つである。この場合、カチオン性基含有単量体(A)由来の構造単位(a)と疎水性単量体(B)由来の構造単位(b)の割合の合計は100質量%であり、これらの構造単位のそれぞれの割合は、100質量%から上述のカチオン性基含有単量体(A)由来の構造単位(a)の割合又は単量体(B)由来の構造単位(b)の割合を差し引いた値となる。
【0021】
本発明のカチオン性基含有共重合体の重量平均分子量は、4000~100万である。カチオン性基含有共重合体の重量平均分子量がこのような範囲であれば、保湿剤の皮膚等への吸着性が向上するため、洗浄等により洗い流されることを充分に抑制し、保湿効果の持続性が向上する。
上記重量平均分子量として好ましくは4000~80万であり、より好ましくは5000~60万であり、更に好ましくは6000~40万であり、一層好ましくは7000~20万であり、更に一層好ましくは1万~10万であり、特に好ましくは2万~8万である。カチオン性基含有共重合体の重量平均分子量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0022】
本発明のカチオン性基含有共重合体の構造はランダム共重合体構造、グラフト構造、ブロック共重合体構造、グラジエント共重合体構造、星形構造、デンドリマー構造などが挙げられるが、いずれの構造であってもよい。
【0023】
<カチオン性基含有単量体(A)>
本発明の保湿剤に含まれるカチオン性基含有共重合体は、カチオン性基含有単量体(A)由来の構造単位(a)を有している。上記カチオン性基含有単量体(A)は、エチレン性不飽和基とカチオン性基とを少なくとも1つずつ有していれば、特に制限されない。また、「カチオン性基含有単量体(A)由来の構造単位(a)」とは、単量体(A)が重合して形成される構造単位と同じ構造であれば、別の製法により形成されたものであってもよい。後述する単量体(B)及び単量体(E)についても同様である。例えば、単量体(A)がN,N-ジメチルアミノエチルメタクリレートである場合、構造単位(a)は、-CH2-C(CH3)(COCH2CH2-N(CH3)2)-で表される構造単位である。ここでカチオン性基とは、カチオンを有する基又はカチオンを発生させる基であり、例えば、第1~3級アミノ基、第1~3級アミノ基の酸による中和物、第4級アンモニウム塩基等が挙げられる。第1~3級アミノ基としては、下記式(1);
【0024】
【0025】
(式中、R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1~12の炭化水素基を表す。)で表される構造であることが好ましい。
上記炭化水素基は、鎖状構造であっても、環構造を有していてもよいが、鎖状構造であることが好ましい。炭化水素基が鎖状構造である場合、直鎖状であっても分岐を有していてもよい。
上記炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基が好ましく、より好ましくはアルキル基、アルケニル基であり、更に好ましくはアルキル基である。
上記アルキル基、アルケニル基、アリール基の具体例は、後述する(メタ)アクリル酸エステルにおいて述べる。
また、上記炭化水素基の炭素数としては、1~10が好ましく、より好ましくは1~8であり、特に好ましくは1~5であり、特に一層好ましくは1~2であり、最も好ましくは1である。
上記R1及びR2のうち少なくともいずれか一方は、炭素数1~12の炭化水素基であることが好ましく、R1及びR2の両方が炭素数1~12の炭化水素基であることがより好ましい。すなわち、第1~3級アミノ基の中でも、第3級アミノ基が好ましい。
【0026】
上記第1~3級アミノ基の酸による中和物としては、下記式(2);
【0027】
【0028】
(式中、R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1~12の炭化水素基を表す。Y-は、陰イオンを表す。)で表される構造であることが好ましい。炭化水素基の具体例及び好ましい形態は、上述のとおりである。
上記第4級アンモニウム塩基としては、下記式(3);
【0029】
【0030】
(式中、R3~R5は、同一又は異なって、炭素数1~12の炭化水素基を表す。Y-は、陰イオンを表す。)で表される構造であることが好ましい。炭素数1~12の炭化水素基の具体例及び好ましい形態は、上述のとおりである。
上記炭素数1~12の炭化水素基としては、炭素数1~12のアルキル基、炭素数2~12のアルケニル基であることが好ましい。
R3~R5の炭素数としては、より好ましくは1~10であり、更に好ましくは1~7であり、一層好ましくは1~5であり、特に好ましくは1~3である。
R3~R5の炭化水素基としては、メチル基又はエチル基が最も好ましい。
【0031】
上記式(2)及び(3)におけるY-は、特に制限されないが、例えば、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等のハロゲン化物イオン;硫酸メチルイオン等の硫酸アルキルイオン;酢酸イオン等の有機酸のイオン等が挙げられる。
上記式(2)におけるY-は、有機酸のイオンが好ましい。
上記式(3)におけるY-は、ハロゲン化物イオン、硫酸アルキルイオンが好ましい。
【0032】
上記カチオン性基としては、第1~3級アミノ基、第1~3級アミノ基の酸による中和物及び第4級アンモニウム塩基の中でも、第3級アミノ基、第3級アミノ基の酸による中和物又は第4級アンモニウム塩基が好ましい。より好ましくは第3級アミノ基又は第3級アミノ基の酸による中和物である。第3級アミノ基又は第3級アミノ基の酸による中和物としてはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基又はこれらの塩酸、酢酸等の酸による中和物が好ましい。
【0033】
上記カチオン性基含有単量体(A)は、第1~3級アミノ基含有単量体及び/又はこれらの酸による中和物並びに第4級アンモニウム塩基含有単量体からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記カチオン性基含有単量体としては、下記式(4-1)~(4-3);
【0034】
【0035】
(式(4-1)~(4-3)中、R6~R8は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基を表す。Xは、直接結合又は2価の連結基を表す。式(4-1)及び(4-2)中、R1、R2は、上記式(1)におけるR1、R2と同様である。式(4-3)中、R3~R5は、上記式(3)におけるR3~R5と同様である。Y-は、陰イオンを表す。)で表される構造であることがより好ましい。
【0036】
上記R8における炭素数1~5のアルキル基は、メチル基であることが好ましい。上記R8としては、水素原子又はメチル基が好ましい。耐加水分解性の観点からR8としてはメチル基がより好ましい。
上記R6、R7は、水素原子であることが好ましい。
【0037】
上記式(4-1)~(4-3)のXにおける2価の連結基としては、特に制限されないが、例えば、炭素数1~12のアルキレン基や、下記式(5);
【0038】
【0039】
(式中、mは、0~12の整数を表す。)、下記式(6);
【0040】
【0041】
(式中、eは、0~4の整数を表す。)及び下記式(7);
【0042】
【0043】
(式中、kは、1~10の整数を表す。)で表される構造が挙げられる。
上記式(5)におけるmは、1~8であることが好ましく、より好ましくは1~5である
上記式(6)におけるeは、1~3であることが好ましく、より好ましくは1~2である。
上記式(7)におけるkは、1~8であることが好ましく、より好ましくは1~5である。
上記式(4-1)、(4-2)のXにおける2価の連結基としては、上記式(5)で表される構造が好ましい。
【0044】
上記式(4-3)のXにおける2価の連結基としては、上記式(5)で表される構造又は炭素数1~12のアルキレン基が好ましい。
【0045】
上記カチオン性基含有単量体において、上記式(4-1)~(4-3)におけるR8が、メチル基であり、Xが、上記式(5)で表される構造である形態は、本発明の好ましい実施形態の1つである。
【0046】
上記カチオン性基含有単量体(A)として、具体的には、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のN,N-ジアルキルアミノ基含有(メタ)アクリレート類及び上記モノマーに4級化剤を付加させたモノマー若しくはこれらの塩酸、酢酸等の酸による中和物;N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のN,N-ジアルキルアミノ基含有(メタ)アクリルアミド類及び上記モノマーに4級化剤を付加させたモノマー若しくはこれらの塩酸等の酸による中和物;モノメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、モノエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2-(tert-ブチルアミノ)エチル等のモノアルキルアミノ基含有(メタ)アクリレート類及びこれらの塩酸等の酸による中和物;モノメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、モノエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、モノメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、モノエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のモノアルキルアミノ基含有(メタ)アクリルアミド類及びこれらの塩酸等の酸による中和物;(メタ)アクリル酸-2-アミノエチル等の(メタ)アクリル酸とアルカノールアミンとのエステル類及びこれらの塩酸等の酸による中和物;N,N-ジアリルメチルアミン及びこれに4級化剤を付加させたモノマー若しくはこれの塩酸等の酸による中和物;アリルアミン及びこれの塩酸等の酸による中和物;1-アリルオキシ-3-ジブチルアミノ-2-オール、1-アリルオキシ-3-ジエタノールアミノ-2-オール等の炭素数2~8の環状エーテル含有基を有する不飽和単量体と炭素数1~24のアミン化合物との付加反応物及びこれに4級化剤を付加させたモノマー若しくはこれの塩酸等の酸による中和物等が挙げられる。
【0047】
上記炭素数1~24のアミン化合物は、アミノ基を有し、炭素数2~8の環状エーテル含有基を有する不飽和単量体の環状エーテル構造と反応することができる限り特に制限されない。炭素数1~24のアミン化合物の炭素数は、1~20が好ましく、1~16がより好ましい。炭素数1~24のアミン化合物としては、第1級アミン、第2級アミンが挙げられ、例えば、炭素数1~24の(ジ)アルキルアミン、炭素数1~24の(ジ)アルカノールアミン、炭素数1~24のアルキルアルカノールアミン等が挙げられる。
炭素数1~24の(ジ)アルキルアミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ペンチルアミン、ジペンチルアミン、ヘキシルアミン、ジヘキシルアミン、ヘプチルアミン、ジヘプチルアミン、オクチルアミン、ジオクチルアミン、ドデシルアミン、ジドデシルアミン等が好ましい。
炭素数1~24の(ジ)アルカノールアミンとしては、メタノールアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、ジメタノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジブタノールアミン、ヘキサノールアミン等が好ましい。
炭素数1~24のアルキルアルカノールアミンとしては、メチルエタノールアミン等が好ましい。
【0048】
上記カチオン性基含有単量体として、好ましくは、N,N-ジアルキルアミノ基含有(メタ)アクリレート類及びこれらの塩酸等の酸による中和物やこれらに4級化剤を付加させたモノマー、N,N-ジアルキルアミノ基含有(メタ)アクリルアミド類及びこれらの塩酸等の酸による中和物やこれらに4級化剤を付加させたモノマー、中でもN,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド及びこれらの塩酸等の酸による中和物やこれらに4級化剤を付加させたモノマーがより好ましい。
上記4級化剤としては、特に制限されるものではないが、塩化メチル、塩化エチル、臭化メチル、ヨウ化メチル等のハロゲン化アルキル;硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジ-n-プロピル等のアルキル硫酸等の一般的なアルキル化剤が挙げられる。
【0049】
<疎水性単量体(B)>
上記疎水性単量体(B)は、単独重合を行って得られた単独重合体(ホモポリマー)に対する溶解性パラメータが15以下である。なお、溶解性パラメータが15以下であっても、カチオン性基を有するものについては、カチオン性基含有単量体に含まれるものとする。
ここで、上記溶解性パラメータは、「POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE」(1974年、Vol.14、No.2)の147~154ページに記載の方法によって計算される値である。
以下にその方法を概説する。単独重合体の溶解性パラメータ(δ)(cal/cm3)1/2は、該重合体を形成している構成単位の蒸発エネルギー(△ei)及びモル体積(△vi)に基づいて、下記の計算法により算出される。
δ=(△ei/△vi)1/2 (cal/cm3)1/2
【0050】
疎水性単量体(B)を単独で重合した際に得られた単独重合体(ホモポリマー)に対する溶解性パラメータが15以下であれば、本発明の保湿剤を皮膚等に塗布した場合に形成される皮膜の疎水性が充分なものとなり、角質中の水分の蒸発を充分に抑制することができる。上記溶解性パラメータとして好ましくは14以下であり、より好ましくは13以下であり、更に好ましくは12以下である。上記溶解性パラメータとしては通常5以上である。
【0051】
上記疎水性単量体(B)としては、単独重合体での溶解性パラメータが15以下であれば特に制限されないが、(メタ)アクリル酸と置換基を有していてもよいアルコールとのエステル((メタ)アクリレート)類;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α―アリルオキシアクリル酸及びこれらの塩等の不飽和モノカルボン酸類;スチレン等の芳香族ビニル系単量体;エチレン、プロピレン等のオレフィン系単量体;酢酸ビニル等の不飽和アルコールとカルボン酸とのエステル;塩化ビニル等のハロゲン化ビニル;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;1-アリルオキシ-3-ブトキシプロパン-2-オール等の炭素数2~8の環状エーテル含有基を有する不飽和単量体と炭素数1~20のアルコールとの付加反応物;アリルアルコールのエチレンオキシド付加物、メタリルアルコールのエチレンオキシド付加物、イソプレノールのエチレンオキシド付加物等の炭素数2~20の不飽和アルコールのアルキレンオキシド付加物及びそれらの末端疎水変性物;N-ビニルピロリドン等の環状ビニル系単量体が挙げられる。
上記疎水性単量体(B)としては、溶解性パラメータが15以下のものの中でも、炭素数が2~12のアルキル基を有するものが好ましい。これにより、疎水性単量体(B)の疎水性がより好適な範囲となり、水分の保持性がより向上する。
【0052】
上記不飽和モノカルボン酸の塩としては、金属塩が挙げられる。上記金属塩の金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属が挙げられる。
【0053】
上記(メタ)アクリレートにおける置換基としては、水酸基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1~18のアルコキシ基;オキシアルキレン基、スルホン酸基、リン酸基等のオキソ基含有基;フルオロ基等のハロゲノ基;グリシジル基等のエポキシ基;アルデヒド基等のカルボニル基等が挙げられる。
【0054】
上記のような置換基を有しないアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート、n-ラウリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニルメタクリレート等が挙げられる。
【0055】
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのエステル基の炭素数が1~18の水酸基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0056】
アルコキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリプロポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0057】
オキソ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールメトキシ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールメトキシ(メタ)アクリレート等の(ジ)エチレングリコール(メトキシ)(メタ)アクリレート;アルコキシポリエチレングリコールメタクリレート(アントックスLMA-10)等のアルキレングリコールの繰り返し数が1~100のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;スルホプロピル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート等が挙げられる。
【0058】
フルオロ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレートなどのエステル基の炭素数が2~6のフルオロ基含有アルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0059】
エポキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、α-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルアリルエーテル等が挙げられる。
【0060】
カルボニル基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、アセトニル(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートアセチルアセテート、ブタンジオール-1,4-アクリレートアセチルアセテート、2-(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシアルキルプロペナール等が挙げられる。
【0061】
上記疎水性単量体(B)は、少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステル(以下、単量体(B1)ともいう)を含むことが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、下記式(8);
【0062】
【0063】
(式中、R8は、水素原子又はメチル基を表す。R9は、炭素数1~30の炭化水素基を表す。)で表される化合物であることが好ましい。
上記炭化水素基の炭素数は、1~20であることが好ましい。より好ましくは1~16であり、更に好ましくは1~12であり、特に好ましくは1~8であり、最も好ましくは2~8である。
上記炭化水素基の炭素数が1~20であれば、重合体の水溶性、粘度を好適な範囲とすることができ、取扱いに優れるものとなる。上記炭化水素基の炭素数が1~12であれば、重合体の製造が容易となり、さらに、疎水性が好適な範囲となるため、水分の保持性により優れたものとなる。
【0064】
上記炭化水素基としては、特に制限されず、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等の鎖状炭化水素基、芳香族炭化水素基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等の環状炭化水素基が挙げられる。上記炭化水素基は、分岐を有していてもよく、分岐を有する場合の炭化水素基の炭素数は、主鎖及び分岐鎖の合計の炭素数を意味する。
上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2-エチルへキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ステアリル基、イコシル基等が挙げられる。
上記アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ドデセニル基、オクタデセニル基、イコセニル基等が挙げられる。
上記アルキニル基としては、例えば、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ドデシニル基、オクタデシニル基、イコシニル基等が挙げられる。
【0065】
上記芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、トリル基、o-キシリル基等が挙げられる。
上記シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
上記シクロアルケニル基としては、例えば、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。
上記炭化水素基として、好ましくはアルキル基、アルケニル基であり、より好ましくはアルキル基である。
すなわち上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(アルキル(メタ)アクリレート)が好ましい。
【0066】
アルキル(メタ)アクリレートとして好ましくはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレートであり、より好ましくは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートである。
【0067】
上記共重合体は、単量体(B1)由来の構造単位(b1)の含有割合が、全構造単位100質量%に対して、0.1~64質量%であることが好ましい。より好ましくは1~60質量%、更に好ましくは1~55質量%、一層好ましくは5~50質量%、更に一層好ましくは10~40質量%であり、特に好ましくは20~40質量%である。
【0068】
本発明の保湿剤に含まれるカチオン性基含有共重合体はまた、疎水性単量体として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構造単位と、更に溶解性パラメータが15以下であって、カルボキシル基、水酸基及びエーテル基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有するモノマー由来の構造単位とを有していてもよい。このような構造単位を有する共重合体もまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記カルボキシル基、水酸基及びエーテル基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有するモノマーは、溶解性パラメータが15以下であって、カルボキシル基、水酸基及びエーテル基のいずれかの官能基を有しているものであればよく、(メタ)アクリル酸エステル構造を有しているものであっても、カルボキシル基、水酸基及びエーテル基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有するモノマーに分類するものとする。
本発明において、疎水性単量体として、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとカルボキシル基、水酸基及びエーテル基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有するモノマーとを共重合することにより、得られる共重合体の水溶性が向上し、また、塩やpH変化による共重合体の析出をより充分に抑制することができるため、幅広いpH領域において共重合体を使用することができる。
上記カルボキシル基、水酸基及びエーテル基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有するモノマーとしては、上述の不飽和モノカルボン酸類;水酸基含有(メタ)アクリレート;アルキルビニルエーテル類;炭素数2~20の不飽和アルコールのアルキレンオキシド付加物;炭素数2~8の環状エーテル含有基を有する不飽和単量体と炭素数1~20のアルコールとの付加反応物等が挙げられる。
【0069】
カルボキシル基、水酸基及びエーテル基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有するモノマーとしては、不飽和モノカルボン酸類;水酸基含有(メタ)アクリレート;炭素数2~20の不飽和アルコールのアルキレンオキシド付加物;炭素数2~8の環状エーテル含有基を有する不飽和単量体と炭素数1~20のアルコールとの付加反応物が好ましい。
上記不飽和モノカルボン酸類としては、(メタ)アクリル酸及びこれらの塩が好ましい。
上記水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0070】
上記炭素数2~20の不飽和アルコールの炭素数は、2~18であることが好ましく、炭素数2~20の不飽和アルコールとしては、ビニルアルコール、アリルアルコール、イソプレニルアルコール等が挙げられる。
上記炭素数2~20の不飽和アルコールのアルキレンオキシド付加物におけるアルキレンオキシドの炭素数は、2~16であることが好ましく、より好ましくは、2~12であり、更に好ましくは2~6であり、特に好ましくは2~4であり、最も好ましくは2~3である。上記アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド、1-ブテンオキシド、2-ブテンオキシド、スチレンオキシド等が挙げられる。より好ましくは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドであり、更に好ましくは、エチレンオキシド、プロピレンオキシドである。
上記アルキレンオキシドの平均付加モル数は、1~100であることが好ましい。より好ましくは、1~80であり、更に好ましくは、1~70であり、特に好ましくは、1~50である。
上記炭素数2~20の不飽和アルコールのアルキレンオキシド付加物としては、イソプレノールのエチレンオキシド付加物が好ましい。
【0071】
上記炭素数1~20のアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等のアルキルアルコールが挙げられる。好ましくはエタノール、プロパノール、ブタノール等の炭素数2~16のアルキルアルコールである。
上記炭素数2~8の環状エーテル含有基を有する不飽和単量体と炭素数1~20のアルコールとの付加反応物としては1-アリルオキシ-3-ブトキシプロパン-2-オールが好ましい。
【0072】
本発明の共重合体は、上記カチオン性基含有単量体(A)及び疎水性単量体(B)以外のその他の単量体(E)由来の構造単位(e)を有していてもよい。その他の単量体(E)としては、カチオン性基を有しないものであって、カチオン性基含有単量体及び疎水性単量体と共重合できるものである限り特に制限されない。その他の単量体の単独重合体での溶解性パラメータは、15以下であっても、15を超えるものであってもよい。その他の単量体の溶解性パラメータが15以下であっても、15を超えるものであっても、上記疎水性単量体を好ましい割合で重合している限り、共重合体としての疎水性は充分に維持されることとなる。
また、粘度を調整する観点から溶解性パラメータの値にかかわらずエチレン性不飽和基を2個以上有する単量体が含まれていてもよい。エチレン性不飽和基を2個以上有する単量体としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、サッカロース、ソルビトール、1,4-ブタンジオール等のポリオールの2置換以上の水酸基と(メタ)アクリル酸とのエステル類;上記ポリオールの2置換以上のメタクリル酸エステル類;上記ポリオールの2置換以上の水酸基とアリルアルコール、ビニルアルコール等の不飽和アルコールとのエーテル類;フタル酸ジアリル、リン酸トリアリル、メタクリル酸アリル、テトラアリルオキシエタン、トリアリルシアヌレート、アジピン酸ジビニル、クロトン酸ビニル、1,5-ヘキサジエン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。これらのその他の単量体は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、抗菌性を付与する観点から、本発明の共重合体はその他の単量体として重合性金属塩を共重合していてもよい。重合性金属塩としてはアクリル酸亜鉛、メタクリル酸亜鉛、α―アリルオキシアクリル酸亜鉛等の不飽和カルボン酸の重金属塩が挙げられる。
【0073】
<カチオン性基含有共重合体の製造方法>
本発明の共重合体の製造は特に制限されないが、単量体成分を重合することにより製造することができ、単量体成分の具体例、好ましい例及び各単量体の好ましい割合は、共重合体の組成と同様である。
【0074】
上記共重合体は、上記単量体成分を重合開始剤の存在下で重合する方法により製造することが好ましい。単量体成分を重合させる際には、重合方法に応じて重合開始剤を適宜用いることができる。上記重合開始剤としては、通常用いられるものを使用することができ、例えば、過酸化水素;過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]n水和物、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二硫酸塩二水和物、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス[N-(2-プロペニル)-2-メチルプロピオンアミド]、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ジ-t-ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物等が好適である。これらの重合開始剤のうち、アゾ系化合物が好ましい。上記重合開始剤としては、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0075】
上記重合開始剤の使用量は、上記単量体成分の重合を開始できる量であれば特に制限されないが、全単量体成分100質量部に対して、通常0.01~50質量部であり、好ましくは0.05~30質量部、より好ましくは0.05~20質量部であることが好ましい。
【0076】
本発明で用いるカチオン性基含有単量体の使用方法としては、それらを酸により中和した酸中和物として用いてもよい。
カチオン性基含有単量体の中和に用いる酸としては、特に制限されるものではないが、塩酸、硫酸等の無機酸;酢酸、クエン酸、酒石酸、トルエンスルホン酸、乳酸、コハク酸、グリコール酸等の有機酸が挙げられる。
【0077】
上記酸を用いる場合、これらの使用量としては、上記カチオン性基含有単量体の一部又は全部が中和又は4級化される限り特に制限されないが、重合反応に用いるカチオン性基含有単量体1規定に対して、酸は0.5~2.0規定であることが好ましい。より好ましくは0.7~1.5規定であること、特に好ましくは1.0~1.2規定である。
【0078】
上記共重合方法において、単量体成分や重合開始剤等の反応容器への添加方法としては、反応容器に単量体成分の全てを仕込み、重合開始剤を反応容器内に添加することによって共重合を行う方法;反応容器に単量体成分の一部を仕込み、重合開始剤と残りの単量体成分を反応容器内に連続してあるいは段階的に(好ましくは連続して)添加することによって共重合を行う方法;反応容器に重合溶媒を仕込み、単量体成分と重合開始剤の全量を添加する方法;単量体のうちの一(例えば、カチオン性基含有単量体)の一部を反応容器に仕込み、重合開始剤と残りの単量体成分を反応容器内に(好ましくは連続して)添加することによって共重合を行う方法等が好適である。このような方法の中でも、得られる共重合体の分子量分布を狭く(シャープに)することができうることから、重合開始剤と単量体成分を反応容器に逐次滴下する方法で共重合を行うことが好ましい。
【0079】
上記共重合方法としては、例えば、溶液重合やバルク重合、懸濁重合、乳化重合、リビング重合やグラフト重合等の方法で行うことができ、特に限定されるものではないが、溶液重合が好ましい。この際使用できる溶媒は、水単独もしくは水と溶剤との混合溶媒であることが好ましい。水のみを使用する場合には、脱溶剤工程を省略できる点で好適である。
【0080】
上記共重合方法は、回分式でも連続式でも行うことができる。また、共重合の際、必要に応じて使用される溶媒としては、公知のものを使用でき、水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール、THF(テトラヒドロフラン)等の1価のアルコール類;グリセリン、(ポリ)エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール;ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n-ヘプタン等の芳香族又は脂肪族炭化水素類;酢酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、単量体成分及び得られる共重合体の溶解性の点から、水及び炭素数1~4の低級アルコールからなる群より選択される1種又は2種以上の溶媒を用いることが好ましい。上記溶媒は、比較的安価なものであり、本発明の製造方法は、経済的にも優れる。また、上記共重合方法においては、水にプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコールやエチレングリコール等の多価アルコール溶媒を加えて重合してもよい。上記多価アルコール溶媒は水と併用することによって、ポリマーの溶解性を高めることができ、ソープフリー重合をより充分に抑制することができる。これにより、水溶性に乏しいポリマーの生成をより充分に抑制し、溶液の透明性をより向上させることができる。上記多価アルコール溶媒と水とを併用する場合、水100質量%に対する多価アルコール溶媒の割合は、0~200質量%であることが好ましい。
多価アルコール溶媒としてより好ましくは1,3-ブチレングリコールである。
1,3-ブチレングリコールを溶媒として用いた場合、得られる共重合体は、1,3-ブチレングリコールを含むこととなり、この場合、保湿能により優れることとなる。
本発明の保湿剤が、共重合体100質量%に対して1,3-ブチレングリコールを0~80質量%含む形態もまた、本発明の好ましい実施形態の1つである。
得られたポリマーは水に任意に溶解するもの、もしくは任意に分散するものどちらでもよいが、水に任意に溶解するものが特に好ましい。本発明の共重合体が、25℃において100gの水に10g溶解させた際の不溶分が1g以下である形態は、本発明の好ましい実施形態の1つである。
本発明の共重合体の製造方法はまた、必要に応じて、任意の連鎖移動剤、pH調節剤、緩衝剤などを用いることもできる。
【0081】
重合の際の温度は特に限定されないが、通常50~120℃であり、好ましくは60~110℃である。重合時の温度が上記範囲であれば、残存単量体成分が少なくなる傾向にある。なお、重合時の温度は、重合反応の進行中において、常に一定に保持する必要はなく、例えば、室温から重合を開始し、適当な昇温時間又は昇温速度で設定温度まで昇温し、その後、設定温度を保持するようにしてもよいし、単量体成分や開始剤等の滴下方法に応じて、重合反応の進行中に経時的に重合温度を変動(昇温又は降温)させてもよい。また、単量体成分を重合させる際には、単量体成分が均一に重合するようにするために、適宜、撹拌することが好ましい。
【0082】
重合時間は特に制限されず、重合反応の進行状況に応じて適宜設定すればよいが、通常、2~9時間程度である。
なお、本発明において、「重合時間」とは単量体の滴下前の加熱撹拌を行っている時間、単量体を添加している時間及び単量体の滴下後の熟成時間を表す。
【0083】
反応系内の圧力としては、常圧(大気圧)下、減圧下、加圧下のいずれであってもよい。反応系内の雰囲気としては、空気雰囲気でも不活性雰囲気でもどちらでもよい。
【0084】
上記重合反応系における重合反応が終了した時点での水溶液中の固形分濃度(すなわち単量体の重合固形分濃度)は、20質量%以上が好ましく、25~80質量%であることがより好ましい。このように重合反応終了時の固形分濃度が20質量%以上と高ければ、高濃度かつ一段で重合を行うことができる。そのため、従来の製造方法では場合によっては必要であった濃縮工程を省略することができるなど、効率よく共重合体を含む保湿剤を得ることができる。それゆえ、その製造効率を大幅に上昇させたものとすることができ、その結果、本発明の保湿剤の生産性を大幅に向上し、製造コストの上昇も抑制することが可能となる。
【0085】
本発明の共重合体の製造方法は、全ての使用原料の添加が終了した以後に、単量体の重合率を上げること等を目的として熟成工程を設けても良い。熟成時間は、通常1~240分間、好ましくは1~180分間、より好ましくは1~120分間である。熟成時間が1分間未満の場合には、熟成不十分につき単量体成分が残ることがあり、残存単量体に起因する毒性や臭気などが問題となる。
【0086】
また、熟成工程における好ましい重合体溶液の温度は、上記重合温度と同様の範囲である。したがって、ここでの温度も一定温度(好ましくは上記滴下が終了した時点での温度)で保持してもよいし、熟成中に経時的に温度を変化させてもよい。
【0087】
本発明の保湿剤は、本発明の共重合体を保湿剤100質量%に対して0.01~100質量%含むものであることが好ましい。より好ましくは0.1~90質量%であり、更に好ましくは1~80質量%であり、特に好ましくは1~70質量%であり、最も好ましくは1~60質量%である。
本発明の保湿剤は本発明の共重合体とそれ以外の通常用いられる保湿剤と併用してもよく、そのような形態もまた好ましい実施形態の1つである。通常用いられる保湿剤としては特に制限されないが、後述する、本発明の共重合体以外の保湿剤等が挙げられる。
【0088】
本発明は、上記保湿剤を含む化粧料でもある。
上記化粧料は、本発明の共重合体の含有量が化粧料100質量%に対して0.001~10質量%であることが好ましい。より好ましくは0.01~10質量%であり、更に好ましくは0.05~5質量%であり、特に好ましくは、0.1~5質量%であり、最も好ましくは0.1~2質量%である。
【0089】
本発明の化粧料は、本発明の共重合体以外のその他の成分を含んでいてよい。
上記その他の成分としては、保湿剤の保湿性能を阻害するものでない限り特に制限されないが、例えば、油性基剤、本発明の共重合体以外の保湿剤・感触向上剤、界面活性剤、高分子、増粘・ゲル化剤、溶剤・噴射剤、酸化防止剤、還元剤、酸化剤、防腐剤・抗菌剤、キレート剤、pH調整剤・酸・アルカリ、粉体類、無機塩類、紫外線吸収剤、美白剤、ビタミン類及びその誘導体類、消炎剤・抗炎症剤、育毛用薬剤・血行促進剤・刺激剤、ホルモン類、抗しわ剤・抗老化剤・ひきしめ剤・冷感剤・温感剤、創傷治癒促進剤・刺激緩和剤・鎮痛剤・細胞賦活剤、植物・動物・微生物エキス類、鎮痒剤、角質剥離・溶解剤、制汗剤、清涼剤、収れん剤、酵素類、核酸類、香料、色素・着色剤・染料・顔料、水等が挙げられる。これらの成分の具体例として、下記のものが挙げられる。また、下記の具体例以外に、特開2007-45776号公報に記載のものと同様のものを用いることもできる。
【0090】
上記油性基剤としては、セタノール、オレイルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール類;ステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸等の高級脂肪酸類及びそのアルミニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、カリウム塩等の金属石けん類;オクタン酸セチル、パルミチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソプロピル、セバチン酸ジエチル等のモノアルコールカルボン酸エステル類;ジメチコン(ジメチルポリシロキサン)、シクロメチコン(環状ジメチルシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン)、トリメチルシロキシケイ酸、メチルフェニルポリシロキサン、ジメチコンコポリオール等のシリコーン類;マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル等のステロールエステル類;コレステロール等のステロール類;水添レシチン等のリン脂質類;オリーブ油、パーム油、水添パーム油、マカデミアナッツ油等の植物油脂類;流動パラフィン(ミネラルオイル)、軽質流動イソパラフィン、固型パラフィン、スクワラン等の炭化水素類;トリエチルヘキサノイン(トリオクタノイン)等の多価アルコール脂肪酸エステル類;ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)等のダイマー酸若しくはダイマージオールの誘導体;セレシン、マイクロクリスタリンワックス、キャンデリラワックス等のワックス類;ミリスチン酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル等のオキシ酸エステル類等が挙げられる。
【0091】
本発明の共重合体以外の保湿剤・感触向上剤としては、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール等のポリオール類及びその重合体;クエン酸、酒石酸、乳酸等の有機酸及びその塩;アルギニン等のアミノ酸類及びその塩;シロキクラゲ多糖体;大豆蛋白分解ペプチド等の蛋白ペプチド類及びその誘導体;ソルビトール等の糖アルコール類等が挙げられる。
【0092】
上記界面活性剤としては、ミリスチル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム、イセチオン酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩;ラウレス硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキル硫酸塩;ミリストイルメチルタウリンナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム等のアシルN-メチルアミノ酸塩;ラウレス(ポリオキシエチレンラウリルエーテル)類、セテス(ポリオキシエチレンセチルエーテル)類、オレス(ポリオキシエチレンオレイルエーテル)類、ステアレス(ポリオキシエチレンステアリルエーテル)類;ソルビタンモノステアレート(ステアリン酸ソルビタン)、セスキステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、テトラオレイン酸ソルベス-60、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ソルビタン等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレン硬化(水添)ヒマシ油等のヒマシ油及び硬化ヒマシ油誘導体;ステアリン酸グリセリル等のグリセリン脂肪酸部分エステル類;ステアリン酸ポリグリセリル-10、ラウリル酸ポリグリセリル-6等のポリグリセリン脂肪酸エステル;ラウロアンホ酢酸ナトリウム等のイミダゾリン型ベタイン;ラウラミドMPA、PPG-2コカミド、コカミドDEA等の脂肪酸アルカノールアミド類;PPG-6デシルテトラデセス-30等のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等が挙げられる。
【0093】
上記高分子、増粘・ゲル化剤としては、キサンタンガム;カルボキシビニルポリマー(カルボマー);ポリアクリル酸エステル共重合体;セルロース類;パルミチン酸デキストリン等のデキストリン脂肪酸エステル;ポリクオタニウム-6等のジメチルジアリルアンモニウムクロリドの重合体;ポリクオタニウム-10等のカチオン化セルロース;ポリクオタニウム-22等のアクリル酸・ジアリルジメチルアンモニウムクロリド共重合体;ベヘントリモニウムクロリド、ステアリルトリモニウムクロリド、セトリモニウムクロリド等のアルキルトリメチルアンモニウムクロリド;ジココジモニウムクロリド等のジアルキルジメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
【0094】
上記溶剤・噴射剤としては、エタノール等の低級アルコール類等が挙げられる。
上記酸化防止剤としては、トコフェロール(ビタミンE)等のトコフェロール誘導体;ビタミンC(アスコルビン酸)および/またはその誘導体等が挙げられる。
上記還元剤としては、システイン、システアミン、チオグリコール酸アンモニウム等が挙げられる。
上記酸化剤としては、過酸化水素水、臭素酸ナトリウム等が挙げられる。
上記防腐剤・抗菌剤としては、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン等のヒドロキシ安息香酸及びその塩若しくはそのエステル;フェノキシエタノール;メチルイソチアゾリノン等のイソチアゾリンオン誘導体;安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
上記キレート剤としては、EDTA2Na、EDTA4Na等のエデト酸塩(エチレンジアミン四酢酸塩);エチドロン酸等のホスホン酸及びそのナトリウム塩等の塩類;ペンテト酸塩(ジエチレントリアミン五酢酸塩);ピロリン酸ナトリウム等のポリリン酸ナトリウム等が挙げられる。
上記pH調整剤・酸・アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン類;アンモニア水;リン酸二アンモニウム、炭酸水素アンモニウム;乳酸ナトリウム等が挙げられる。
【0095】
上記粉体類としては、マイカ、タルク、カオリン、酸化チタン等の無機粉体類等が挙げられる。
上記無機塩類としては、硫酸マグネシウム等の硫酸塩;リン酸1Na・2Na・3Na等のリン酸ナトリウム類等が挙げられる。
上記紫外線吸収剤としては、2-エチルヘキシルp-メトキシシンナメート(パラメトキシケイヒ酸オクチル)等の桂皮酸系紫外線吸収剤等が挙げられる。
上記美白剤としては、アスコルビン酸及びその塩等やその誘導体等が挙げられる。
上記ビタミン類及びその誘導体類としては、アスコルビン酸及びそのナトリウム等の塩等のビタミンC類等が挙げられる。
上記消炎剤・抗炎症剤としては、グリチルリチン酸及びその誘導体等が挙げられる。
上記育毛用薬剤・血行促進剤・刺激剤としては、センブリエキス、トウガラシチンキ等の植物エキス・チンキ類;等が挙げられる。
【0096】
上記抗しわ剤・抗老化剤・ひきしめ剤・冷感剤・温感剤、創傷治癒促進剤・刺激緩和剤・鎮痛剤・細胞賦活剤等の薬効剤としては、メントール等の香料物質及びその誘導体等が挙げられる。
【0097】
上記色素・着色剤・染料・顔料としては、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等の無機赤色系顔料;チタン酸(リチウム/コバルト);赤色202号、黄色205号等の法定色素;o-,m-,若しくはp-アミノフェノール、レゾルシン、トルエン-2,5-ジアミン等及びその塩等の酸化染料中間体等が挙げられる。
上記水としては、常水、精製水の他、硬水、軟水、天然水、海洋深層水、電解アルカリイオン水、電解酸性イオン水、イオン水、クラスター水が好ましいものとして挙げられる。
これらの他、化粧品原料基準、化粧品種別配合成分規格、日本化粧品工業連合会成分表
示名称リスト、INCI辞書(The International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook)、医薬部外品原料規格、日本薬局方、医薬品添加物規格、食品添加物公定書等に記載されている成分、及び、国際特許分類IPCがA61K7の分類に属する日本国及び諸外国特許公報及び特許公開公報(公表公報・再公表を含む)に記載されている成分等、公知の化粧料成分、医薬品成分、食品成分などを、公知の組み合わせ及び配合比・配合量で含有させることが可能である。
【0098】
本発明の化粧料としては特に制限されないが、例えば、皮膚化粧料、皮膚外用剤又は頭髪化粧料等が挙げられる。
【0099】
上記皮膚化粧料としては特に制限されないが、例えば、化粧水、クリーム、乳液、美容液等の基礎化粧料;リキッドファンデーション、下地乳液、チークカラー、アイシャドウ、マスカラ、口紅等のメイクアップ化粧料;クレンジングクリーム、洗顔フォーム、液状洗顔料等の洗浄用化粧料;日焼け止め化粧料等の化粧料(医薬部外品を含む);浴用剤等の浴用化粧料が挙げられる。
上記皮膚外用剤としては、リニメント剤、ローション剤、軟膏剤等の外用医薬品等が挙げられる。
上記頭髪化粧料としては特に制限されないが、例えば、シャンプー、リンス、トリートメント、ワックス、スプレー、ジェル、ミスト等が挙げられる。
【0100】
本発明はまた、本発明の保湿剤を含む皮膚化粧料、皮膚外用剤又は頭髪化粧料でもある。
【実施例】
【0101】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
【0102】
<ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)>
カチオン性基含有共重合体の重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した。
測定条件、装置などは以下の通りである。
装置:Waters社製 e2695
検出器:示差屈折率計(RI)検出器
カラム:東ソー社製 TSKgel α-M、α-2500
カラム温度:40℃
流速:0.8mL/min
注入量:10μL(試料濃度0.4wt%の溶離液調製溶液)
検量線:ジーエルサイエンス社製 ポリエチレングリコール
GPCソフト:Waters社製 EMPOWER3
溶離液:0.5M酢酸+0.2M硝酸Na/アセトニトリル=50/50(v/v)
【0103】
<保湿性評価>
保湿性は、以下の条件で、被験者の角層水分量をCutometer dual MPA580およびCorneometer CM825を用いて水分量を測定することで評価した。
装置:Cutometer dual MPA580(Courage+Khazaka社製)
プローブ:Corneometer CM825(Courage+Khazaka社製)
測定環境:温度25℃、湿度50%
1)共重合体サンプルに純水とクエン酸1水和物を加えて撹拌し、5wt%共重合体水溶液(pH6~7)を調製した。5wt%共重合体水溶液 4.0g、純水1.0g、エタノール5.0gを混合し、2wt%のサンプル溶液を作成した。
2)被験者の前腕内側を洗浄し余分な汚れや皮脂を除去した。15分後にCorneometer CM825を用いて水分量を測定した。
3)前腕内側に、20μLのサンプル溶液を1cm2のマスに塗布した。温度25度、湿度50%の環境下で30分間乾燥し、乾燥後に水道水の流水で5秒間洗い流した。
4)流水洗浄60分後に水分量を測定した。
5)下記式(1)により保湿能を算出した。
保湿能(%)=(洗浄60分後の水分量)÷(塗布前の水分量)×100(1)
【0104】
<合成例1>
温度計、還流冷却器、攪拌機を備えたガラス製のセパラブルフラスコに、1,3-ブタンジオール(以下、BGと略す)70.0gと純水30.0gを仕込み、撹拌下、90℃に昇温した。次いで、撹拌下、90℃一定状態の重合反応系中に、メタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル(以下、DAMと略す)72.0g、メタクリル酸エチル(以下、EMAと略す。溶解性パラメータ:9.7)18.0g、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(以下、V-50と略す)の5%水溶液30.8gを、それぞれ別々の滴下ノズルより滴下した。滴下時間に関して、全て同時に滴下を開始し、DAMは180分間、EMAは170分間、V-50の5%水溶液は210分間滴下した。全滴下終了後、さらに30分間反応溶液を90℃に保持して熟成し、重合を完結させた。後に、純水38.6gを加え、共重合体1を得た。
得られた共重合体1の固形分は35.2%、重量平均分子量は35,000であった。
【0105】
<合成例2>
温度計、還流冷却器、攪拌機を備えたガラス製のセパラブルフラスコに、BG90.0gと純水10.0gを仕込み、撹拌下、80℃に昇温した。次いで、撹拌下、80℃一定状態の重合反応系中に、DAM63.0g、EMA27.0g、V-50の5%水溶液38.3gを、それぞれ別々の滴下ノズルより滴下した。滴下時間に関して、全て同時に滴下を開始し、DAMは180分間、EMAは170分間、V-50の5%水溶液は210分間滴下した。滴下開始180分後に、撹拌下、90℃に昇温した。全滴下終了後、さらに30分間反応溶液を90℃に保持して熟成し、重合を完結させた。後に、BG34.3gを加え、共重合体2を得た。
得られた共重合体2の固形分は35.5%、重量平均分子量は34,000であった。
【0106】
<合成例3>
温度計、還流冷却器、攪拌機を備えたガラス製のセパラブルフラスコに、BG90.0gと純水10.0gを仕込み、撹拌下、90℃に昇温した。次いで、撹拌下、90℃一定状態の重合反応系中に、DAM54.0g、EMA36.0g、V-50の5%水溶液33.0gを、それぞれ別々の滴下ノズルより滴下した。滴下時間に関して、全て同時に滴下を開始し、DAMは180分間、EMAは170分間、V-50の5%水溶液は210分間滴下した。全滴下終了後、さらに30分間反応溶液を90℃に保持して熟成し、重合を完結させた。後に、BG38.6gを加え、共重合体3を得た。
得られた共重合体3の固形分は37.0%、重量平均分子量は29,000であった。
【0107】
<実施例1-1~1-3及び比較例1-1>
合成例1~3で得られた共重合体について、保湿能を評価した。結果を表1に示した。
【0108】