(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】解体装置
(51)【国際特許分類】
E04G 23/08 20060101AFI20240304BHJP
【FI】
E04G23/08 D
(21)【出願番号】P 2020039779
(22)【出願日】2020-03-09
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 豊
(72)【発明者】
【氏名】小川 達也
(72)【発明者】
【氏名】西村 直人
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-032083(JP,A)
【文献】特開平09-195528(JP,A)
【文献】特開平10-259669(JP,A)
【文献】特開2011-252299(JP,A)
【文献】特開2012-241378(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 23/00 -23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
解体対象物を挟み込むことが可能な一対のアームを備え、
前記アームは、
解体重機の作業アームに取り付けられるアーム本体と、
前記アーム本体の先端側に着脱可能に設けられるアタッチメントと、を有
し、
前記アーム本体と前記アタッチメントとはボルトにより接合され、
前記アーム本体と前記アタッチメントとの接合状態において、前記ボルトは前記アームの表面から突出しない状態で配置され、
前記アーム本体と前記アタッチメントとが、複数の前記ボルトにより複数の方向から接合されていることを特徴とする解体装置。
【請求項2】
前記アーム本体と前記アタッチメントとが、接合状態で互いに係合する凹凸形状を有している請求項
1に記載の解体装置。
【請求項3】
前記アタッチメントは、前記解体対象物の把持、破砕および切断のうちの少なくとも一つの機能を実現するための機能部を有することを特徴とする請求項1
または2に記載の解体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物や機械などを解体する際に使用される解体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、構造物や機械などを解体するために、解体対象物を挟み込む一対のアームを備えた解体装置が多用されている。一対のアームは、解体重機の作業アームに取り付けられて使用され、解体対象物を挟み込むことで種々の解体作業を行うことが可能である。例えば一対のアームは、基端で解体対象物を挟み込んで切断したり、中間乃至先端側で解体対象物を挟み込んで破砕したり把持したりすることができる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一対のアームを備えた解体装置による解体作業では先端側で解体対象物を破砕したり把持したりする頻度が高く、アームの先端側の摩耗が激しかった。摩耗したアームでは先端側における内側のかみ合せが悪化するため、細かいものが把持できなくなり、また最先端部で落ちているものを拾い上げ難くなる。
【0005】
そのためアームの先端側に摩耗が生じた場合には、その都度、肉盛溶接等により先端側の形状を修復することが必要であった。構造物や機械のような解体対象物の解体作業に用いられるアームは、解体重機の作業アームに取り付けて使用される大型のものであるため、修復には手間を要していた。特に、先端側の形状が複雑な場合には、修復には長時間が必要であった。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、先端側のかみ合わせが良好な状態で一対のアームを長期間解体作業に使用できる解体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る解体装置は、解体対象物を挟み込むことが可能な一対のアームを備え、前記アームは、解体重機の作業アームに取り付けられるアーム本体と、前記アーム本体の先端側に着脱可能に設けられるアタッチメントと、を有し、前記アーム本体と前記アタッチメントとはボルトにより接合され、前記アーム本体と前記アタッチメントとの接合状態において、前記ボルトは前記アームの表面から突出しない状態で配置され、前記アーム本体と前記アタッチメントとが、複数の前記ボルトにより複数の方向から接合されていることを特徴としている。
【0008】
本発明の解体装置では、解体対象物を挟み込むアームがアーム本体の先端側に着脱可能にアタッチメントを有している。そのため解体作業において、アームの先端側に摩耗や損傷等が生じた際、アタッチメントをアーム本体から取り外して修理や交換することができる。これにより先端側のかみ合わせが良好な状態で一対のアームを長期間使用することが可能である。
【0009】
また、アーム本体とアタッチメントとがボルトで接合された使用状態では、アームの表面からボルトが突出することがない。そのため一対のアームを動作させて解体作業を進める際、周囲の解体対象物にボルトが引掛かるようなことがなく、円滑に解体作業を進めることができる。
【0010】
また、アーム本体とアタッチメントとが複数方向に接合されるので、アーム本体に対して先端側のアタッチメントが何れの方向にも強固に固定される。そのため解体作業の際、解体重機の作業アームによりアーム本体を様々な方向に移動させてアタッチメントに種々の方向に力が作用しても、アーム本体に対してアタッチメントが緩んだり離脱したりすることを防止でき、耐久性を向上できる。
【0011】
また、本発明に係る解体装置では、前記アーム本体と前記アタッチメントとが、接合状態で互いに係合する凹凸形状を有していてもよい。
このような構成とすることにより、アーム本体に対してアタッチメントを位置合わせして接合できることに加え、アーム本体に対してアタッチメントが係合することでより強固に支持される。そのため解体作業の際にアタッチメントの位置ずれや破損をより防止できる。
【0012】
また、本発明に係る解体装置では、前記アタッチメントは、前記解体対象物の把持、破砕および切断のうちの少なくとも一つの機能を実現するための機能部を有していてもよい。
このような構成とすることにより、一対のアームにより解体対象物の把持、破砕および切断の機能を実現する際、解体対象物に接触して大きな荷重が負荷されることで特に摩耗や破損が生じ易い機能部がアタッチメントにより構成される。そのためアタッチメントを交換することで、解体対象物の把持、破砕および切断のうちの少なくとも一つの機能を長期間良好な状態で実現できる。また、用途に合わせて容易に対応させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、先端側のかみ合わせが良好な状態で一対のアームを長期間解体作業に使用できる解体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態による解体装置の一例を示す正面図であり、一対のアームの閉状態を示す。
【
図2】本発明の実施形態による解体装置の一例を示す正面図であり、一対のアームの開状態を示す。
【
図4】本発明の実施形態の解体装置における一方のアーム本体の先端側を拡大して示しており、(a)は部分正面図、(b)は(a)の右側面図、(c)は(a)の下面図である。
【
図5】本発明の実施形態の解体装置における一方のアダプターを示しており、(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図、(d)は平面図、(e)は底面図である。
【
図6】本発明の実施形態の解体装置において一対のアームの先端部を拡大して示しており、(a)は部分正面図、(b)は(a)のA-A断面図である。
【
図7】本発明の実施形態の解体装置において一対のアームの最先端部により落ちている細かい解体対象物を把持した状態を示す部分正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態による解体装置について、
図1乃至
図7に基づいて説明する。
図1乃至
図3に示すように、本実施形態による解体装置1は、構造物や機械の解体の際に、クレーンや油圧ショベルなどの解体重機11の作業アーム111に取り付けられて使用される装置である。
解体装置1は、解体重機11の作業アーム111の先端に取り付けられる取付部2と、取付部2に取り付けられる一対の第1アーム3および第2アーム4と、第1アーム3および第2アーム4をそれぞれ回動させて開閉する回動機構5と、を備えている。
【0016】
取付部2は、作業アーム111に固定される固定部21と、固定部21に旋回可能に支持されて第1アーム3および第2アーム4を回動可能に支持するアーム支持部22と、固定部21に連結されてアーム支持部22を第1アーム3および第2アーム4とともに旋回させる旋回モータ(および旋回ベアリング)23と、を有している。
【0017】
アーム支持部22には、第1アーム3の回動中心となる第1回動軸部24と、第2アーム4の回動中心となる第2回動軸部25と、が設けられている。第1回動軸部24と第2回動軸部25とは、それぞれの軸線が平行となる向きで、それぞれの軸線に直交する方向に間隔をあけて配置されている。
【0018】
ここで第1回動軸部24および第2回動軸部25の軸線が延びる方向を回動軸線方向とし、これらの軸線に直交する方向を回動軸線直交方向とする。
また、第1アーム3および第2アーム4のそれぞれ第1回動軸部24および第2回動軸部25に支持されている側の端部を基端部3a,4aとし、第1回動軸部24および第2回動軸部25と離間する側の端部を先端部3b,4bとする。
さらに第1アーム3および第2アーム4において、基端部3a,4aと先端部3b,4bとを結ぶ方向を長さ方向とする。
【0019】
回動機構5は、アーム支持部22および第1アーム3に連結されて伸縮して第1アーム3を第1回動軸部24を中心に回動させる第1シリンダ51と、アーム支持部22および第2アーム4に連結されて伸縮して第2アーム4を第2回動軸部25を中心に回動させる第2シリンダ52と、第1シリンダ51と第2シリンダ52とを連動させる回動リンク(不図示)と、を有している。
【0020】
第1アーム3および第2アーム4は、それぞれ長さ方向に長く、基端部3a,4a側から先端部3b,4b側に向かって断面形状が漸次小さくなるように形成されている。
第1アーム3及び第2アーム4は、解体重機11の作業アーム111に取付部2を介して取り付けられる第1アーム本体32及び第2アーム本体42と、解体対象物12を挟み込む機能部80を有して第1アーム本体32及び第2アーム本体42の先端側に着脱可能に設けられる第1アタッチメント36及び第2アタッチメント46と、を備えている。
【0021】
第1アーム3及び第2アーム4は互いに略対称形状に形成され、第1アーム本体32及び第1アタッチメント36と第2アーム本体42及び第2アタッチメント46とはそれぞれ互いに正面視で線対称の形状を有している。
第1アーム3が第1回動軸部24に連結されるとともに、第2アーム4が第2回動軸部25に連結された状態で、第1アーム3と第2アーム4とが回動軸線直交方向に対称となる向きに配置されている。この状態では第1アタッチメント36の機能部80と第2アタッチメント46の機能部80とが第1アーム3及び第2アーム4の互いに対向する内側に配置される。
【0022】
第1及び第2アーム本体32,42は、
図4に示すように、先端側に第1又は第2アタッチメント36,46を接合するための第1及び第2アタッチメント接合部33,43を有している。
図4では、第1アーム本体32と第2アーム本体42とが勝手反対に現れる他は同じ形状を有するため、一方のみが図示されている。
【0023】
各第1アタッチメント接合部33及び第2アタッチメント接合部43には、第1アーム本体32及び第2アーム本体42の互いに対向する内側から外側に向けて凹ませて設けられて、第1アタッチメント36又は第2アタッチメント46の機能部80を配置する第1配置凹部34a及び第2配置凹部44aと、第1アーム本体32及び第2アーム本体42の回動軸線方向一方側における第1配置凹部34a及び第2配置凹部44aの隣接位置に設けられて、第1アタッチメント36又は第2アタッチメント46を嵌合して支持する第1嵌合凹部34b及び第2嵌合凹部44bと、を有している。
本実施形態の第1嵌合凹部34b及び第2嵌合凹部44bでは、第1アタッチメント36及び第2アタッチメント46が第1アーム本体32及び第2アーム本体42の表面から回動軸線方向に突出しない形態で配置されるように、回動軸線方向の深さが第1アタッチメント36又は第2アタッチメント46の回動軸線方向の厚み以上に形成されている。
【0024】
各第1嵌合凹部34b及び第2嵌合凹部44bは凹凸形状に形成されていて、第1アタッチメント36又は第2アタッチメント46を複数方向に支持する支持面35が設けられている。具体的には、各第1アタッチメント接合部33及び第2アタッチメント接合部43には、回動軸線方向に支持する軸方向支持面35aと、回動軸線直交方向のうち第1アーム3と第2アーム4とが互いに離間する方向である外側方向に支持する外側方向支持面35bと、長さ方向のうちの基端側の方向に支持する基端方向支持面35cと、長さ方向のうちの先端側の方向に支持する先端方向支持面35dと、が設けられている。
また第1配置凹部34a及び第2配置凹部44a及び第1嵌合凹部34b及び第2嵌合凹部44bは第1アーム本体32及び第2アーム本体42の最先端まで連続して設けられ、長さ方向の先端側が開放されている。
【0025】
第1アタッチメント36及び第2アタッチメント46は、
図5に示すように、解体対象物12を挟み込んで把持及び破砕の機能を実現するための機能部80と、機能部80と一体に設けられて第1嵌合凹部34b及び第2嵌合凹部44bに対応する形状の第1嵌合凸部37及び第2嵌合凸部47と、第1アーム本体32及び第2アーム本体42の先端から突出する先端突出部38,48と、を有している。
図5では、第1アタッチメント36と第2アタッチメント46とが勝手反対に現れる他は同じ形状を有するため、一方のみが図示されている。
【0026】
機能部80は、第1アタッチメント36及び第2アタッチメント46を第1アーム本体32及び第2アーム本体42に接合したときに互いに対向する位置に、第1アーム本体32及び第2アーム本体42の回動軸線方向の厚みに対応する幅全体に設けられている。機能部80は、凸状又は凹状の多数の筋部が互いに平行に回動軸線方向に沿って設けられた凹凸部81を有している。凹凸部81は第1アーム3と第2アーム4とを閉じたときに互いに嵌合するように配置されている。
【0027】
各第1嵌合凸部37及び第2嵌合凸部47は、凹凸形状に形成されていて、第1アーム本体32及び第2アーム本体42の第1嵌合凹部34b及び第2嵌合凹部44bの支持面35に支持される被支持面39が複数方向にそれぞれ対応する形状に設けられている。具体的には、軸方向支持面35aに支持される軸方向被支持面39aと、外側方向支持面35bに支持される外側方向被支持面39bと、基端方向支持面35cに支持される基端方向被支持面39cと、先端方向支持面35dに支持される先端方向被支持面39dと、がそれぞれに対応する形状に設けられている。
本実施形態では、これらの各被支持面39がそれぞれ平面形状を有して互いに屈曲して設けられている。
【0028】
第1アタッチメント36及び第2アタッチメント46は、
図6(a)、(b)に示すように、第1アーム本体32及び第2アーム本体42に着脱可能に配置され、第1アーム本体32及び第2アーム本体42と第1アタッチメント36及び第2アタッチメント46とが複数本のボルト91により複数方向に接合されている。
第1アーム本体32及び第2アーム本体42と第1アタッチメント36及び第2アタッチメント46とには、
図4乃至
図6に示すように、第1嵌合凹部34b及び第2嵌合凹部44bと第1嵌合凸部37及び第2嵌合凸部47とを嵌合させたときに互いに重なる位置に、ボルト91を装着する貫通孔93及び雌ネジ穴95が設けられている。
【0029】
本実施形態では、貫通孔93及び雌ネジ穴95は回動軸線方向と回動軸線直交方向とに複数設けられている。詳細には、第1アタッチメント36及び第2アタッチメント46の軸方向被支持面39aを有する部位に回動軸線方向に座ぐり穴を有する貫通孔93が設けられ、第1アーム本体32及び第2アーム本体42の軸方向支持面35aを有する部位に回動軸線方向に雌ネジ穴95が設けられている。
また第1アーム本体32及び第2アーム本体42の外側方向支持面35bを有する部位に回動軸線直交方向に座ぐり穴を有する貫通孔93が設けられ、第1アタッチメント36及び第2アタッチメント46の外側方向支持面35bを有する部位に回動軸線直交方向に雌ネジ穴95が設けられている。
【0030】
第1アーム本体32及び第2アーム本体42の第1嵌合凹部34b及び第2嵌合凹部44bと第1アタッチメント36及び第2アタッチメント46の第1嵌合凸部37及び第2嵌合凸部47とを嵌合させた状態で、回動軸線方向と回動軸線直交方向との貫通孔93及び雌ネジ穴95に六角穴付ボルト等のボルト91が装着されることで、第1アーム本体32及び第2アーム本体42に第1アタッチメント36及び第2アタッチメント46が接合されている。
接合状態では、各ボルト91の頭部は完全に貫通孔93の座ぐり穴内に収容され、ボルト91全体が第1アーム3及び第2アーム4の表面から突出しない形態で配置されている。
【0031】
本実施形態では、このように第1アタッチメント36及び第2アタッチメント46が第1アーム本体32及び第2アーム本体42にそれぞれ接合された状態で第1アーム3及び第2アーム4が構成されている。この第1アーム3及び第2アーム4では、先端側の第1アタッチメント36及び第2アタッチメント46に解体対象物12を挟みこむ機能部80が設けられていることに加え、第1アーム本体32及び第2アーム本体42における第1アタッチメント36及び第2アタッチメント46より基端側の互いに対向する部位には、解体対象物12を挟みこんで把持又は破砕可能な破砕部83と、切断可能な切断部85とが設けられている。
【0032】
このような解体装置1の使用方法について説明する。
第1アーム3および第2アーム4は、第1アタッチメント36及び第2アタッチメント46を第1アーム本体32及び第2アーム本体42に接合した状態で使用される。
解体重機11の作業アーム111の先端に取り付けられた取付部に第1アーム3および第2アーム4が装着された状態で、回動機構5の第1シリンダ51及び第2シリンダ52を駆動する。すると第1アーム3および第2アーム4が第1回動軸部24および第2回動軸部25を中心に回動し、第1回動軸部24および第2回動軸部25よりも先端部3b,4b側を互いに近接離間させることで第1アーム3と第2アーム4との間を開閉することができる。
【0033】
図2に示すように、第1アーム3と第2アーム4とを開状態にし、第1アタッチメント36及び第2アタッチメント46の機能部80間に解体対象物12を配置して、第1アーム3および第2アーム4を閉じる方向に動作させる。これにより第1アタッチメント36及び第2アタッチメント46の機能部80間で解体対象物12を挟み込んで把持したり、破砕したりすることができる。
【0034】
また、細かい解体対象物12を挟み込んで摘まむような場合には、
図7に示すようにすることができる。ここでは第1シリンダ51と第2シリンダ52で駆動して第1アーム3と第2アーム4とを閉じる際、例えば回動リンク機構により第1及び第2アタッチメント36,46の基端側の間隔を広げる方向に変位させつつ機能部80の最先端部をより近接させることができる。これにより細かい解体対象物12であっても、第1アタッチメント36及び第2アタッチメント46の機能部80間で摘まみあげることができる。
【0035】
繰り返し解体装置1を使用することにより、第1アーム3の先端側や第2アーム4の先端側に摩耗や損傷が生じたときには、複数方向に接合している複数のボルト91による接合状態を解除することで、第1アタッチメント36及び第2アタッチメント46を第1アーム本体32及び第2アーム本体42から取り外すことができる。これにより第1アーム3の先端側や第2アーム4の先端側を構成する第1アタッチメント36及び第2アタッチメント46を補修したり、交換したりすることができる。
【0036】
以上のような解体装置1によれば、次のような作用効果を得ることができる。
本実施形態の解体装置1では、解体対象物12を挟み込む第1アーム3及び第2アーム4が第1アーム本体32及び第2アーム本体42の先端側に着脱可能に設けられた第1アタッチメント36及び第2アタッチメント46を有している。そのため解体作業において先端側に摩耗や損傷等が生じても、第1アタッチメント36及び第2アタッチメント46を第1アーム本体32及び第2アーム本体42から取り外して肉盛りなどの補修や交換を容易に行うことができる。
【0037】
これにより先端側のかみ合わせが良好な状態で第1アーム3及び第2アーム4を長期間良好な状態で使用することが可能である。例えば第1アーム3及び第2アーム4の先端側で解体対象物12を容易に把持でき、また最先端部で細かい解体対象物12などを容易に摘まむことができる。
【0038】
解体対象物12の大きさや硬さなどの性状や解体作業の内容等に応じて、第1アタッチメント36及び第2アタッチメント46を最適なものに交換して使用することができ、作用効率を向上することができる。
【0039】
本実施形態の解体装置1では、第1アーム本体32及び第2アーム本体42と第1アタッチメント36及び第2アタッチメント46とを接合するがボルト91が、接合状態で第1アーム3及び第2アーム4の表面から突出しない状態で配置されている。そのため使用状態で第1アーム3及び第2アーム4の表面からボルト91が突出することがない。これにより第1アーム3及び第2アーム4を動作させて解体作業を進める際、周囲の解体対象物12にボルト91が引掛かるようなことがなく、円滑に解体作業を進めることができる。
【0040】
本実施形態の解体装置1では、第1アーム本体32及び第2アーム本体42と第1アタッチメント36及び第2アタッチメント46とが複数のボルト91を用いて複数の方向から接合されるので、第1アーム本体32及び第2アーム本体42に対して先端側の第1アタッチメント36及び第2アタッチメント46が何れの方向にも強固に固定されている。そのため解体作業の際、解体重機11の作業アーム111により第1アーム本体32及び第2アーム本体42を様々な方向に移動させて第1アタッチメント36及び第2アタッチメント46に種々の方向に力が作用しても、第1アーム本体32及び第2アーム本体42に対して第1アタッチメント36及び第2アタッチメント46が緩んだり離脱したりすることを防止でき、耐久性を向上できる。
【0041】
本実施形態の解体装置1では、第1アーム本体32及び第2アーム本体42と第1アタッチメント36及び第2アタッチメント46とが、接合状態で互いに係合する凹凸形状を有している。そのため第1アーム本体32及び第2アーム本体42に対して第1アタッチメント36及び第2アタッチメント46を位置合わせして接合できることができ、さらに第1アーム本体32及び第2アーム本体42に対して第1アタッチメント36及び第2アタッチメント46が係合することでより強固に支持される。これにより解体作業の際に第1アタッチメント36及び第2アタッチメント46の位置ずれや破損を防止できる。
【0042】
本実施形態の解体装置1では、第1アタッチメント36及び第2アタッチメント46が解体対象物12の把持及び破砕を行う機能部80を有するので、一対の第1アーム3及び第2アーム4により解体対象物12の把持及び破砕の機能を実行する際に摩耗や破損が生じ易い機能部80を第1アタッチメント36及び第2アタッチメント46により構成されている。そのため第1アタッチメント36及び第2アタッチメント46の交換により長期間良好な状態で解体作業を実施し易い。
【0043】
なお、上記実施形態は本発明の範囲内において適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態では、一対の第1アーム3及び第2アーム4が勝手反対の対象形状の例を説明したが、第1アーム3と第2アーム4とが互いに異なる形状であってもよく、第1アタッチメント36又は第2アタッチメント46が第1アーム3又は第2アーム4の一方のみに設けられていてもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、第1アタッチメント36及び第2アタッチメント46は解体対象物12を挟み込むことで把持及び破砕の機能も実現できるものであったが、解体対象物12の把持又は破砕の一方の機能を実現するものであってもよく、切断の機能を実現するものであてもよい。本発明では第1アタッチメント36及び第2アタッチメント46は、解体対象物12を挟み込むことで把持、破砕及び切断のうちの少なくとも一つの機能を実現できるものであれば何ら限定されない。
【0045】
さらに、上記実施形態では、第1アタッチメント接合部33及び第2アタッチメント接合部43に、軸方向支持面35a、外側方向支持面35b、先端方向支持面35d、基端方向支持面35cをそれぞれ屈曲させて別々に、回動軸線方向及び回動軸線直交方向に沿って平面状に設けた例について説明した。しかしながら第1アタッチメント36又は第2アタッチメント46を支持する支持面35の向きや形状は特に限定されない。例えば第1アタッチメント36又は第2アタッチメント46を複数の方向に支持する共通の曲面や傾斜面からなる支持面設けることは可能であり、全ての方向に支持する曲面状の支持面を設けることも可能である。
【0046】
そして、上記実施形態では、第1アタッチメント36及び第2アタッチメント46の機能部80に凹凸部81を設けたが、機能部80の形状は目的とする機能に応じて適宜設定可能である。例えば第1アタッチメント36及び第2アタッチメント46により解体対象物12を切断する場合には、凹凸部81の代わりに長さ方向に延びる切断刃を設けることができる。
【符号の説明】
【0047】
1 解体装置
2 取付部
3 第1アーム(アーム)
3a 基端部
3b 先端部
4 第2アーム(アーム)
4a 基端部
4b 先端部
11 解体重機
12 解体対象物
32 第1アーム本体
35 支持面(凹凸形状)
36 第1アタッチメント
39 被支持面(凹凸形状)
42 第2アーム本体
46 第2アタッチメント
80 機能部
91 ボルト
111 作業アーム