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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】搬送制御システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/249 20240101AFI20240304BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20240304BHJP
   G05D 1/644 20240101ALI20240304BHJP
   G05D 1/667 20240101ALI20240304BHJP
   G05D 1/43 20240101ALN20240304BHJP
【FI】
G05D1/249
B65G1/00 501Z
G05D1/644
G05D1/667
G05D1/43
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020061711
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021162968
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2022-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】関口 香菜
(72)【発明者】
【氏名】江原 浩二
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-50912(JP,A)
【文献】特開平5-178571(JP,A)
【文献】特開2014-213993(JP,A)
【文献】特開昭62-24311(JP,A)
【文献】特開2019-91273(JP,A)
【文献】国際公開第2019/244910(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0165083(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00
B65G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレット回収エリアを含む監視エリアを撮影するカメラと、
前記カメラから出力される撮像画像データから、パレット回収エリア内の任意の位置の複数の搬送車の位置と向きに関する情報を含む搬送車情報、及び前記パレット回収エリア内の任意の位置の複数のパレットの位置と向きに関する情報を含むパレット情報を取得する取得部と、
前記搬送車情報及び前記パレット情報から、各パレットからパレット配置エリアまでの距離を示す搬送距離に関する情報に含まれるスコア及び各パレットの向きに関する情報に含まれるスコアの合計に基づく各パレットの搬送優先度に従い設定される各パレットの搬送計画に基づいて、所定の搬送車に対して、所定の走行経路で所定のパレットをパレット配置エリアへ搬送させる制御信号を出力する出力部と、
を備える搬送制御システム。
【請求項2】
前記取得部は、前記撮像画像データに含まれる搬送車のマーカからこの搬送車の位置と向きに関する情報を含む搬送車情報を取得し、また、前記撮像画像データに含まれるパレットのマーカからこのパレットの位置と向きに関する情報を含むパレット情報を取得する、請求項1の搬送制御システム。
【請求項3】
前記パレットの搬送計画は、パレットとパレットを搬送する搬送車の組み合わせに従い設定され、前記組み合わせは、前記搬送車情報及び前記搬送優先度に基づいて設定される、請求項1又は2の搬送制御システム。
【請求項4】
前記組み合わせは、各搬送車の位置に関する情報及び各パレットの位置に関する情報に基づいて設定される、請求項3の搬送制御システム。
【請求項5】
前記組み合わせは、各搬送車の向きに関する情報及び各パレットの向きに関する情報に基づいて設定される、請求項3又は4の搬送制御システム。
【請求項6】
前記組み合わせは、各搬送車の種類に関する情報及び各パレットの種類に関する情報に基づいて設定される、請求項3乃至5の何れか一つの搬送制御システム。
【請求項7】
前記取得部は、所定のタイミングで複数回にわたり前記パレット情報を取得し、
前記パレットの搬送計画は、前記パレット回収エリア内へのパレット投入によるパレット数の変化の検出に基づき再設定され、前記パレット数の変化は、複数回にわたり取得される前記パレット情報に基づいて検出される、請求項1乃至6の何れか一つの搬送制御システム。
【請求項8】
コンピュータに、
パレット回収エリアを含む監視エリアを撮影するカメラから出力される撮像画像データから、パレット回収エリア内の任意の位置の複数の搬送車の位置と向きに関する情報を含む搬送車情報、及び前記パレット回収エリア内の任意の位置の複数のパレットの位置と向きに関する情報を含むパレット情報を取得する手順と、
前記搬送車情報及び前記パレット情報から、各パレットからパレット配置エリアまでの距離を示す搬送距離に関する情報に含まれるスコア及び各パレットの向きに関する情報に含まれるスコアの合計に基づく各パレットの搬送優先度に従い設定される各パレットの搬送計画に基づいて、所定の搬送車に対して、所定の走行経路で所定のパレットをパレット配置エリアへ搬送させる制御信号を出力する手順と、を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、搬送制御装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、物流の配送拠点では荷物等の物品の取扱量が増加しており、物品の搬送に関する様々な効率化が図られている。その一つとして、人手を介さず物品を搬送する自律搬送車が導入されている。例えば、自律搬送車は、物品を収容したパレットの下に潜り込み、パレットを持ち上げて、物品を収容した状態のパレットを搬送拠点内の目的位置へ搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2019-529277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
物流の配送拠点のパレット回収エリアには複数・多種のパレットが無造作に点在している。このようなパレットを効率良くパレット配置エリアへ搬送したいという要望がある。
【0005】
本発明の目的は、無造作に点在する複数・多種のパレットを効率良く搬送することができる搬送制御装置及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る搬送制御装置は、取得部及び出力部を備える。前記取得部は、パレット回収エリア内の任意の位置の複数の搬送車に関する搬送車情報、及び前記パレット回収エリア内の任意の位置の複数のパレットに関するパレット情報を取得する。前記出力部は、前記搬送車情報及び前記パレット情報から、各パレットの搬送優先度に従い設定された各パレットの搬送計画に基づいて、所定の搬送車に対して、所定の走行経路で所定のパレットをパレット配置エリアへ搬送させる制御信号を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る搬送制御システムの概略構成の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係るAGVコントローラの概略構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係るAGVコントローラのプロセッサの概略構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態に係るAGVの概略構成の一例を示すブロック図である。
図5図5は、実施形態に係る搬送制御システムが適用される監視エリアの一例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る搬送制御システムが適用される監視エリアにおける各RBPからパレット配置エリアまでの距離等を説明するための図である。
図7図7は、実施形態に係る搬送制御システムが適用される監視エリアにおけるAGVとRBPとの相対距離を説明するための図である。
図8】実施形態に係る搬送制御システムのAGVの走行経路を説明するための図である。
図9図9は、実施形態に係る搬送制御システムによる搬送制御の一例を示すシーケンス図である。
図10図10は、実施形態に係る制御システムによる動的変化に対応する搬送制御の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
図1は、実施形態に係る搬送制御システムの概略構成の一例を示す図である。
図1に示すように、搬送制御システム1は、上位サーバ11、AGV(Automated Guided Vehicle)コントローラ12、及び1又は複数台のカメラ13を備える。上位サーバ11、AGVコントローラ12、カメラ13は、ネットワーク14を介して接続される。
【0009】
カメラ13は、パレット回収エリア及びパレット配置エリアを含む監視エリアを撮影し、撮影画像データを出力する。本実施形態では、複数台のカメラ13が設置されるケースを想定する。例えば、複数台のカメラ13からの撮影画像データを結合する(併用する)ことにより、広範囲を正確に監視することができる。各エリアについては後に図面を参照して説明する。
【0010】
上位サーバ11は、カメラ13からの撮影画像データを受信し、撮影画像データを解析し、パレット回収エリアに存在するAGV2(搬送車)に関するAGV情報(搬送車情報)、RBP(Roll Box Pallet)3(パレット)に関するRBP情報(パレット情報)、及び壁、柱、並びに人等のその他の物体情報を生成し、生成した情報をAGVコントローラ12へ送信する。
【0011】
AGVコントローラ12(搬送制御装置)は、上位サーバ11からのAGV情報、RBP情報、及びその他の物体情報を取得し、取得した情報に基づいて、監視エリアに存在するRBP3の搬送計画を設定し、搬送計画に基づいて、所定のAGV2に対して、所定の搬送経路で所定のRBP3をパレット配置エリアへ搬送させる制御信号を出力する。
【0012】
上位サーバ11は、1台のコンピュータ又は複数台のコンピュータを組み合わせて実現することができ、AGVコントローラ12等の他の機器と有線又は無線で通信し、他の機器からの情報を受信し記憶し、また、他の機器へ制御信号等を送信し、他の機器を制御する。上位サーバ11は、AGV情報、RBP情報、及びその他の物体情報を記憶する。さらに、上位サーバ11は、監視エリアのマップデータ等を記憶する。また、上位サーバ11は、AGV情報、RBP情報、その他の物体情報、及びマップデータ等をAGVコントローラ12へ送信する。
【0013】
AGVコントローラ12は、上位サーバ11からのAGV情報、RBP情報、その他の物体情報、及びマップデータ等を受信し記憶する。また、AGVコントローラ12は、各AGV2に対して制御信号を送信し、各AGV2の走行、及び各AGV2によるRBP3の回収と配置を制御する。なお、RBP3の回収とは、RBP3を持ち上げること、RBP3を取り込むこと、又はRBP3を積載することなどを意味する。RBP3の配置とは、持ち上げたRBP3を降ろすこと、取り込んだRBP3を排出すること、又は積載したRBP3を降ろすことなどを意味する。
【0014】
AGV2は、車輪付きの自走ロボットであり、AGVコントローラ12からの制御信号に基づき、目的のRBP3に対応する回収位置(例えばRBP3の直下)へ向けて走行し、回収位置にて目的のRBP3を回収し、RBP3の配置位置に向けて走行する。AGV2は、AGVコントローラ12からの制御信号に基づき、目的のRBP3に対応するRBP3の配置位置に目的のRBP3を配置する。
【0015】
RBP3は、4輪のかご付き荷役機材であり、例えばRBP3の底面の高さは(床面から底面までの距離)、AGV2の高さよりも高い。これにより、AGV2は、RBP3下に潜り込むことができる。RBP3下に潜り込んだAGV2は、RBPリフト機構により床面からRBP3の脚が数センチ離れる程度にRBP3を持ち上げて、RBP3を持ち上げた状態で走行する。このようにしてAGV2は、RBP3を搬送することができる。
【0016】
例えば、AGV2は、マップデータ、目的位置データ、及び現在位置データに基づき、移動距離及び移動方向を検知しながら目的位置まで走行する。又は、AGV2は、床面等に取り付けられた磁気テープ又は二次元バーコード等で構成されたルート情報を読み取りながら目的位置まで走行する。加えて、AGV2は、周囲の物体(他のAGV2を含む)を検知するLRF(Laser Ranger Finder)を備え、また、周囲を撮影するカメラを備え、LRFで検知される物体、又はカメラの撮影画像データの解析結果に基づき検知される物体を避けて走行する。なお、LRFは、赤外線レーザを発振して、それを目標物に照射、その反射の度合いで目標物までの距離を測定する光学機器である。
【0017】
図2は、実施形態に係るAGVコントローラの概略構成の一例を示すブロック図である。
AGVコントローラ12は、AGV2の走行、及びAGV2によるRBP3の回収と配置を制御する。例えば、AGVコントローラ12は、RBP3の回収位置までAGV2を走行させ、AGV2によりRBP3を回収させ、RBP3の配置位置までAGV2を走行させ、AGV2によりRBP3の配置位置でRBP3を降ろさせる動作等を制御する。図2に示すように、AGVコントローラ12は、プロセッサ121、ROM122、RAM123、補助記憶デバイス124、通信インタフェース125、及び入出力部126を備える。
【0018】
プロセッサ121は、AGV2の走行、及びAGV2によるRBP3の回収と配置に必要な演算及び制御などの処理を行うコンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ121は、ROM122及び補助記憶デバイス124などの少なくとも一方に記憶されたシステムソフトウェア、アプリケーションソフトウェア又はファームウェアなどのプログラムに基づいて、AGVコントローラ12の各種の機能を実現するべく制御を実行する。プロセッサ121は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、又はDSP(Digital Signal Processor)である。あるいは、プロセッサ121は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。
【0019】
ROM122は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であり、プロセッサ121を中枢とするコンピュータの主記憶装置に相当する。ROM122は、専らデータの読み出しに用いられる不揮発性メモリである。ROM122は、上記のプログラムの一部又は全部を記憶する。また、ROM122は、プロセッサ121が各種の処理を行う上で使用するデータ又は各種の設定値などを記憶する。
【0020】
RAM123は、プロセッサ121を中枢とするコンピュータの主記憶装置に相当する。RAM123は、データの読み書きに用いられるメモリである。RAM123は、プロセッサ121が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアなどとして利用される。
【0021】
補助記憶デバイス124は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体である。補助記憶デバイス124は、上記のプログラムの一部又は全部を記憶する。また、補助記憶デバイス124は、プロセッサ121が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ121での処理によって生成されたデータ又は各種の設定値などを保存する。
【0022】
ROM122及び補助記憶デバイス124の少なくとも一方に記憶されるプログラムは、AGV2の走行及びAGV2によるRBP3の回収と配置を制御するためのプログラムを含む。一例として、AGVコントローラ12は、当該プログラムがROM122及び補助記憶デバイス124の少なくとも一方に記憶された状態でAGVコントローラ12の管理者などへと譲渡される。しかしながら、AGVコントローラ12は、当該プログラムがROM122又は補助記憶デバイス124に記憶されない状態で当該管理者などに譲渡されても良い。そして、当該プログラムが別途に当該管理者などへと譲渡され、当該管理者又はサービスマンなどによる操作の下に補助記憶デバイス124へ書き込まれても良い。このときの当該プログラムの譲渡は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク又は半導体メモリなどのようなリムーバブルな記憶媒体に記録して、あるいはネットワークなどを介したダウンロードにより実現できる。
【0023】
通信インタフェース125は、ネットワークなどを介して上位サーバ11及びAGV2等の他の装置と有線又は無線で通信し、他の装置から送信される各種情報を受信し、また、他の装置に各種情報を送信するためのインタフェースである。例えば、通信インタフェース125は、上位サーバ11から送信されるAGV情報、RBP情報、その他の物体情報、及びマップデータ等を受信する。また、通信インタフェース125は、AGV2へAGVの走行等を制御する制御信号を送信する。
【0024】
入出力部126は、キーボード、テンキー、マウス、及びタッチパネルディスプレイ等を備える。入出力部126は、オペレータからの指示入力を受け付けプロセッサ121へ通知する。また、タッチパネルディスプレイは、オペレータに対して各種情報を表示する。
【0025】
図3は、実施形態に係るAGVコントローラのプロセッサの概略構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、プロセッサ121は、取得部1211、設定部1212、処理部1213、及び出力部1214を備える。プロセッサ121は、ROM122及び補助記憶デバイス124の少なくとも一方に記憶されたプログラムを実行する。
【0026】
プログラムの実行により、取得部1211は、通信インタフェース125からの情報を取得し、例えば、AGV情報、RBP情報、その他の物体情報、及びマップデータ等を取得する。また、プログラムの実行により、設定部1212は、RBP情報等に基づいて各パレット3の搬送優先度を設定し、AGV情報及び搬送優先度等に基づいて各パレット3の搬送計画を設定する。また、プログラムの実行により、処理部1213は、搬送計画に基づく処理時間及び処理終了時刻等を推定する。また、プログラムの実行により、出力部1214は、通信インタフェース125を介して情報を出力し、例えば、所定の搬送車に対して、所定の搬送経路で所定のパレットをパレット配置エリアへ搬送させる制御信号を出力する。また、出力部1214は、搬送計画に基づき推定された処理時間及び処理終了時刻等を出力する。なお、プロセッサ121によるこれらの機能については後に詳しく説明する。
【0027】
図4は、実施形態に係るAGVの概略構成の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、AGV2は、プロセッサ21、ROM22、RAM23、補助記憶デバイス24、通信インタフェース25、及び駆動部26を備える。
プロセッサ21は、走行及びRBP3の積み降ろし動作に必要な演算及び制御などの処理を行うコンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ21は、ROM22及び補助記憶デバイス24の少なくとも一方に記憶されたシステムソフトウェア、アプリケーションソフトウェア又はファームウェアなどのプログラムに基づいて、AGV2の各種の機能を実現するべく制御を実行する。プロセッサ21は、例えば、CPU、MPU、又はDSPである。あるいは、プロセッサ21は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。例えば、AGVコントローラ12は、AGV2を目的位置へ移動させるための制御信号を送信し、プロセッサ21は、AGVコントローラ12から送信される制御信号に含まれるマップデータ、目的位置データ、及び現在位置データ等に応じた駆動信号を出力する。或いは、プロセッサ21は、AGVコントローラ12から送信される制御信号に含まれるRBP3の搬送及び積み降ろし指示に応じた駆動信号を出力する。
【0028】
ROM22は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であり、プロセッサ21を中枢とするコンピュータの主記憶装置に相当する。ROM22は、専らデータの読み出しに用いられる不揮発性メモリである。ROM22は、上記のプログラムの一部又は全部を記憶する。また、ROM22は、プロセッサ21が各種の処理を行う上で使用するデータ又は各種の設定値などを記憶する。
【0029】
RAM23は、プロセッサ21を中枢とするコンピュータの主記憶装置に相当する。RAM23は、データの読み書きに用いられるメモリである。RAM23は、プロセッサ21が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアなどとして利用される。
【0030】
補助記憶デバイス24は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体である。補助記憶デバイス24は、上記のプログラムの一部又は全部を記憶する。また、補助記憶デバイス24は、プロセッサ21が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ21での処理によって生成されたデータ又は各種の設定値などを保存する。
【0031】
通信インタフェース25は、ネットワークなどを介してAGVコントローラ12等の他の装置と無線で通信し、他の装置から送信される各種情報を受信し、また、他の装置に各種情報を送信するためのインタフェースである。例えば、通信インタフェース25は、AGVコントローラ12からの制御信号を受信する。また、通信インタフェース25は、AGVコントローラ12に対して、目的位置への走行完了、RBP3の回収の完了、又は配置の完了を通知する完了通知を送信する。
【0032】
駆動部26は、モータにより回転する車輪、進行方向を切り替える操舵機構、及びモータにより上下に移動するRBPリフト機構等を備える。駆動部26は、プロセッサ21から出力される駆動信号に基づきモータを回転又は停止し、また、操舵機構を制御し、AGV2を目的位置へ移動させる。また、AGV2がRBP3下に潜り込んだ状態で、駆動部26は、プロセッサ21から出力される駆動信号に基づきモータを回転(順回転)し、RBPリフト機構が上昇しRBP3が持ち上げられる。また、AGV2が目的位置に到達した後、駆動部26は、プロセッサ21から出力される駆動信号に基づきモータを回転(逆回転)し、RBPリフト機構が下降しRBP3が床面に降ろされる。
【0033】
図5は、実施形態に係る搬送制御システムが適用される監視エリアの一例を示す図である。
図5に示すように、カメラ13は、監視エリアE1の全体を俯瞰し、監視エリアE1の撮影画像データを出力する。監視エリアE1は、パレット回収エリアE11及びパレット配置エリアE12を含み、パレット配置エリアE12は、複数のパレット整列位置4を含む。例えば、パレット配置エリアE12は、5つのパレット整列位置401~405を含む。
【0034】
パレット回収エリアE11内の任意の位置には、複数のAGV2が待機し、また、複数のRBP3が置かれている。本実施形態では、任意の位置のAGV2が、AGVコントローラ12からの制御信号に基づき、任意の位置のRBP3を回収し、所定のパレット整列位置4へ配置する。
【0035】
図5に示すように、本実施形態では、パレット回収エリアE11内に2台のAGV201、202が待機し、4つのRBP301~304が置かれた状態を想定する。RBP3を回収する担当者又はRBP3を回収するAGV2は、パレット回収エリアE11内にRBP3を無造作に置くことができ、その結果、パレット回収エリアE11には、複数のRBP3が無造作に点在することになる。また、パレット回収エリアE11内へのRBP3の追加投入を制限しなければ、随時、RBP3が投入されることになり、パレット回収エリアE11の環境は動的に変化する。
【0036】
例えば、AGV2の上面には、AGV2の位置、向き、及びAGV識別情報を含むマーカが付与される。RBP3の上面にも、RBP3の位置、向き、及びRBP識別情報を含むマーカが付与される。AGV2及びRBP3の向きは、監視エリアE1における基準方向Rに対するずれ量を示す。上位サーバ11は、AGV2及びRBP3の上面を撮影するように、監視エリアE1の天井等に設置されたカメラ13から出力される撮影画像データに含まれるマーカから、各AGV2の基準位置(例えば中心)を検出するとともに各AGV2の向き及びAGV識別情報を検出する。同様に、上位サーバ11は、カメラ13から出力される撮影画像データに含まれるマーカから、各RBP3の基準位置(例えば中心)を検出するとともに各RBP3の向き及びRBP識別情報を検出する。なお、各AGV2の位置又は各RBP3の位置を、撮影画像データに含まれる各AGV2の画像そのもの又は各RBP3の画像そのものから検出するようにしてもよい。
【0037】
例えば、上位サーバ11は、AGVリスト及びRBPリストを記憶し、AGVリストは、AGV識別情報に対応するAGVの種類及び性能に関する情報を含み、RBPリストは、RBP識別情報に対応するRBPの種類、サイズ、重量、及び収容最大重量等に関する情報を含む。上位サーバ11は、検出されたAGV識別情報からAGVの種類及び性能に関する情報を選択し、また、検出されたRBP識別情報からRBPの種類、サイズ(高さ含む)、重量、及び収容最大重量等に関する情報を選択する。なお、上位サーバ11は、RBP3の側面を撮影するように、監視エリアE1の壁面等に設置されたカメラ13からの撮影画像データを分析し、RBP3の高さ、及びRBP3に収容された物品のボリューム(積載高含む)から推定される物品重量を検出するようにしてもよい。
【0038】
上位サーバ11は、各AGV2に関するAGV情報、及び各RBP3に関するRBP情報を出力するが、AGV情報は、各AGV2の位置、向き、種類、及び性能に関する情報を含み、RBP情報は、各RBP3の位置、向き、種類、サイズ、重量、収容最大重量、物品重量、及び各RBPからパレット配置エリアE12までの距離を示す搬送距離に関する情報を含む。
【0039】
例えば、AGV2は、回動自在に構成され、基本的に、どの方向にも走行できる。但し、指定された進行方向とAGV2の向きが一致している場合には、回動せずに、そのまま指定された進行方向へ向けて走行し、一致していない場合には、一致するように所定角だけ回動してから、指定された進行方向へ向けて走行するものとする。
【0040】
例えば、RBP3は4輪のかご付き荷役機材であり、前2輪を操舵輪とする。RBP3の中心から見て、前2輪の方向をRBP3の向きとする。また、RBP3に取り付けられるかごは、一方向から物品の出し入れが可能なかごである。例えば、RBP3に取り付けられるかごは、前2輪の方向を前方向とすると、右方向から物品の出し入れが可能なかごである。
【0041】
なお、AGV2は、無線通信により、AGV情報を上位サーバ11へ送信するようにしてもよい。同様に、RBP3は、無線通信により、RBP情報を上位サーバ11へ送信するようにしてもよい。或いは、AGV2は、LRFを備え、LRFから得られる周囲の物体までの距離情報を含むAGV情報を上位サーバ11へ送信するようにしてもよい。同様に、RBP2は、LRFを備え、LRFから得られる周囲の物体までの距離情報を含むRBP情報を上位サーバ11へ送信するようにしてもよい。
【0042】
図6は、実施形態に係る搬送制御システムが適用される監視エリアにおける各RBPからパレット配置エリアまでの距離等を説明するための図である。
上位サーバ11は、監視エリアE1のマップデータを記憶する。マップデータは、パレット回収エリアE11、パレット配置エリアE12、及びパレット整列位置401~405の位置を示す位置データを含む。また、マップデータは、パレット配置エリアE12の基準位置P1を示す位置データを含む。さらに、マップデータは、パレット配置エリアE12に含まれるパレット整列位置401~405にRBP3を整列させる際のRBP3の向きに関する情報400を含む。
【0043】
上位サーバ11は、各RBP3の基準位置からパレット配置エリアE12の基準位置P1までの距離を算出する。ここで算出される距離が、各RBP3からパレット配置エリアE12までの距離である。例えば、上位サーバ11は、RBP301の基準位置P301、RBP302の基準位置P302、RBP303の基準位置P303、RBP304の基準位置P304、及びRBP305の基準位置P305を検出し、基準位置P301~P305のそれぞれからパレット配置エリアE12の基準位置P1までの距離を算出する。上位サーバ11は、各RBP3に関するRBP情報を出力するが、RBP情報は、各RBP3からパレット配置エリアE12までの距離に関する情報を含む。なお、上位サーバ11が、AGVコントローラ12に対して、各RBP3の基準位置及びパレット配置エリアE12の基準位置P1に関する情報を送信し、AGVコントローラ12が、受信した情報から各RBP3の基準位置からパレット配置エリアE12の基準位置P1までの距離を算出してもよい。
【0044】
図7は、実施形態に係る搬送制御システムが適用される監視エリアにおけるAGVとRBPとの相対距離を説明するための図である。
上位サーバ11は、AGV情報及びRBP情報を出力するが、AGV情報は、各AGV2の基準位置に関する情報を含み、RBP情報は、各RBP3の基準位置に関する情報を含む。AGVコントローラ12は、上位サーバ11からのAGV情報及びRBP情報を受信し、各AGV2の基準位置に関する情報、及び各RBP3の基準位置に関する情報に基づき、各AGV2と各RBP3との相対距離を算出する。AGVコントローラ12は、AGV2の基準位置とRBP3の基準位置から、両者間の相対距離を算出する。例えば、AGVコントローラ12は、AGV201の基準位置P201とRBP304の基準位置P304から、AGV201とRBP304との相対距離を算出し、AGV201の基準位置P201とRBP305の基準位置P305から、AGV201とRBP305との相対距離を算出する。また、AGVコントローラ12は、AGV202の基準位置P202とRBP304の基準位置P304から、AGV202とRBP304との相対距離を算出し、AGV202の基準位置P202とRBP305の基準位置P305から、AGV202とRBP305との相対距離を算出する。なお、上位サーバ11が、この相対距離を算出し、AGVコントローラ12へ通知するようにしてもよい。
【0045】
図8は、実施形態に係る搬送制御システムのAGVの走行経路を説明するための図である。
AGVコントローラ12は、AGV情報及びRBP情報に基づいて各RBP3の搬送計画を設定する。AGVコントローラ12は、RBP情報に基づいて各RBP3の搬送優先度を設定し、AGV情報及び搬送優先度に基づきAGV2とRBP3の組み合わせを設定し、各AGV2による走行経路(RBP3の搬送経路)を設定し、これら設定に基づき搬送計画を設定する。例えば、図8に示すように、AGVコントローラ12は、組み合わせられたAGV2とRBP3のそれぞれの向きと、パレット整列位置401~404にRBP3を整列させる際のRBP3の向きに基づき、走行経路を設定する。
【0046】
図9は、実施形態に係る搬送制御システムによる搬送制御の一例を示すシーケンス図である。
【0047】
カメラ13は、監視エリアE1の全体を俯瞰し、監視エリアE1の撮影画像データを出力する(ST11)。出力される撮影画像データは、動画データであってもよいし、静止画データであってもよい。例えば、カメラ13は、監視エリアE1を撮影しながら、リアルタイムに動画データを出力する。或いは、カメラ13は、所定のタイミングで複数回にわたり監視エリアE1を撮影し、その都度、静止画データを出力する。
【0048】
上位サーバ11は、カメラ13からの撮影画像データ等から、AGV情報、RBP情報、及びその他の物体情報を生成し(ST21)、AGV情報、RBP情報、及びその他の物体情報、並びにマップデータ等を送信する。上位サーバ11は、撮影画像データに含まれる画像、各AGV2に付与されるマーカ、各RBP3に付与されるマーカ等から、AGV情報、RBP情報、及びその他の物体情報を生成する。AGV情報、RBP情報、及びその他の物体情報から、監視エリアE1の状況を検出(把握)することができる。なお、上位サーバ11は、カメラ13からの撮影画像データ等に基づき、所定のタイミングで複数回にわたりAGV情報、RBP情報、及びその他の物体情報を生成し、その都度、生成される情報を送信する。つまり、生成される情報は常に監視エリアE1の最新の状況を反映した最新の内容となる。
【0049】
AGVコントローラ12の通信インタフェース125は、上位サーバ11から所定のタイミングで送信される、AGV情報、RBP情報、その他の物体情報、及びマップデータ等を受信し、プロセッサ121の取得部1211は、AGV情報、RBP情報、その他の物体情報、及びマップデータ等を取得する(ST31)。
【0050】
プロセッサ121の設定部1212は、AGV情報、RBP情報、その他の物体情報、及びマップデータ等に基づいて、各RBP3の搬送優先度に従い各RBP3の搬送計画を設定する(ST32)。例えば、設定部1212は、RBP情報に基づいて各RBP3に対して搬送優先度を設定する(ST321)。さらに、設定部1212は、AGV情報及び各RBP3の搬送優先度に基づいてRBP3とRBP3を搬送するAGV2の組み合わせを設定する(ST322)。例えば、設定部1212は、最も搬送優先度の高いRBP3を選択し、AGV情報及びRBP情報に基づいて、選択されたRBP3に組み合わせるAGV2を選択する。さらに、設定部1212は、マップデータ等に基づき、組み合わせられたAGV2の位置を起点として、組み合わせられたRBPの位置を経由して、パレット配置エリアE12までの走行経路を設定する(ST323)。
【0051】
ここで、搬送優先度の設定について補足する。
例えば、設定部1212は、RBP情報に含まれる各RBP3からパレット配置エリアE12までの距離を示す搬送距離に関する情報に基づいて、各RBP3の搬送優先度を設定する。パレット配置エリアE12までの距離が最も短いRBP3に対して最も高い優先度が設定される。
【0052】
或いは、設定部1212は、RBP情報に含まれる各RBP3の向きに関する情報に基づいて、各RBP3の搬送優先度を設定する。監視エリアE1における基準方向Rと差分が最も小さい向きのRBP3に対して最も高い優先度が設定される。
【0053】
なお、設定部1212は、RBP情報に含まれる、複数の項目に関する情報、例えば、各RBP3の位置、向き、種類、サイズ、重量、収容最大重量、物品重量、及び各RBPからパレット配置エリアE12までの距離を示す搬送距離に関する情報のうちの少なくとも一つの情報に基づいて、各RBP3の搬送優先度を設定するようにしてもよい。各項目についてスコアを割り振り、合計スコアを計算することにより、2以上の項目を組み合わせて搬送優先度を設定することができる。例えば、搬送距離と向きを組み合わせて、搬送優先度を設定することができる。
【0054】
例えば、重い物品を先に積み込みたい場合には重い物品を収容したRBP3の搬送優先度を高く設定することにより、重い物品を収容したRBP3を優先的に回収することができる。また、所定数のRBP3を早期に回収したい場合には軽い物品を収容したRBPの搬送優先度を高く設定することにより、AGV2の種類(搬送性能の高低)によらず、大多数のAGV2を稼働し、所定数のRBP3を早期に回収することができる。
【0055】
図6を参照して、搬送優先度の設定の一例についてさらに説明する。図6に示すように、パレット回収エリアE11において、2台のAGV201、202と、5台のRBP301~305を想定する。また、パレット配置エリアE12において、パレット整列位置401の整列優先度が最も高く、パレット整列位置402、403、404、405の順に整列優先度が下がるものとする。
【0056】
第一に、設定部1212は、2台のAGV201、202により、パレット整列位置401、402へ搬送する2台のRBP3を選択する。設定部1212は、各RBP3からパレット配置エリアE12までの距離を示す搬送距離に基づいて、各RBP3の搬送優先度を設定する。各RBP3からパレット配置エリアE12までの距離に応じたスコアは、以下の通りである。なお、上位サーバ11が、各RBP3からパレット配置エリアE12までの距離を算出するケースについて説明したが、上位サーバ11が、AGVコントローラ12に対して、パレット配置エリアE12の基準位置P1を示す位置データを送信し、プロセッサ121が、各RBP3の位置と基準位置P1との距離に応じたスコアを算出するようにしてもよい。
<スコア算出結果1>
距離P1‐P301:13.9
距離P1‐P302:11.9
距離P1‐P303:11.8
距離P1‐P304:9.5
距離P1‐P305:9.0
基準位置P1からの距離が近い順、つまり、距離に応じたスコアが低い順に搬送優先度は高くなる。この場合、搬送優先度が高い順に並べると、RBP305、304、303、302、301となる。設定部1212は、第1の搬送対象として、RBP305、304を選択する。
【0057】
さらに、設定部1212は、各RBP3の搬送優先度に対して、RBP3の向き応じた重み付けをしてもよい。例えば、RBP3の向きと、パレット整列位置401~405にRBP3を整列させる際のRBP3の向きとが対応している場合に整列しづらいと仮定し、スコアに重み付けする(例えば、スコアに1.5を乗算する)。各スコアは以下の通りになる。
<スコア算出結果2>
距離P1‐P301:13.9
距離P1‐P302:11.9
距離P1‐P303:11.8×1.5=17.7
距離P1‐P304:9.5
距離P1‐P305:9.0×1.5=13.5
スコアが低い順に搬送優先度は高くなる。この場合、搬送優先度が高い順に並べると、RBP304、302、305、301、303となる。設定部1212は、第1の搬送対象として、RBP304、302を選択する。
【0058】
なお、重み付けに使用する情報は、これに限定されるものではない。RBPの重さ、荷物の多さ(積載高)、また周囲の障害物(壁や別のRBPなど)の多さを考慮してもよい。また、重み付けの計算方法、比重もこれに限定されるものではない。
【0059】
ここで、AGV2とRBP3の組み合わせの設定について補足する。
設定部1212は、AGV情報に含まれる各AGV2の位置に関する情報、及びRBP情報に含まれる各RBP3の位置に関する情報に基づいて、AGV2とRBP3との組み合わせを設定する。例えば、設定部1212は、AGV2とRBP3との距離が最も短くなる組み合わせに対して最も高い組み合わせ優先度を設定し、組み合わせ優先度に基づきAGV2とRBP3との組み合わせを設定する。
【0060】
或いは、設定部1212は、AGV情報に含まれる各AGV2の向きに関する情報、及びRBP情報に含まれる各RBP3の向きに関する情報に基づいて、AGV2とRBP3との組み合わせを設定する。例えば、設定部1212は、AGV2とRBP3との向きが最も近い組み合わせに対して最も高い組み合わせ優先度を設定し、組み合わせ優先度に基づきAGV2とRBP3との組み合わせを設定する。
【0061】
或いは、設定部1212は、AGV情報に含まれる各AGV2の種類に関する情報、及びRBP情報に含まれる各RBP3の種類に関する情報に基づいて、AGV2とRBP3との組み合わせを設定する。例えば、設定部1212は、所定の種類のAGV2と、所定の種類のAGV2に適合する所定の種類のRBP3との組み合わせを設定する。例えば、複数の配送事業者が取り扱う複数種類のRBP3が混在し、また、複数種類のAGV2が混在することがある。このような場合に、適合する種類のAGV2とRBP3とが組み合わせられる。
【0062】
図7を参照して、AGV2とRBP3の組み合わせの一例についてさらに説明する。図7に示すように、パレット回収エリアE11において、2台のAGV201、202と、5台のRBP301~305を想定する。また、図6を参照して説明したように、設定部1212が、スコア算出結果1に基づき、第1の搬送対象として、RBP304、305を選択した状態を想定する。以下、スコア算出結果1を採用したケースについて説明する。
【0063】
設定部1212は、2台のAGV201、202の位置情報と、選択された2台のRBP304、305の位置情報から、2台のAGV201、202と、選択された2台のRBP304、305との間の距離を算出する。各距離に応じたスコアは、以下の通りである。
【0064】
距離AGV201‐RBP305:4.0
距離AGV202‐RBP305:2.3
距離AGV201‐RBP304:6.0
距離AGV202‐RBP304:3.2
設定部1212は、距離が近い順に、(1)AGV202とRBP305の組み合わせ、(2)AGV201とRBP304の組み合わせを選択する。
【0065】
なお、設定部1212は、他の情報を重み付けして、AGV2とRBP3の組み合わせを選択するようにしてもよい。重み付けに使用する情報は、AGV2及びRBP3の向き、RBP3の重さ、物品のボリューム、積載高、周囲の障害物(壁や別のRBP3など)の多さを考慮してもよい。また、重み付けの計算方法、比重も限定されない。
【0066】
出力部1214は、所定のAGV2に対して、設定された所定の走行経路で所定のRBP3をパレット配置エリアE12へ搬送させる制御信号を出力する(ST33)。通信インタフェース125は、所定のAGV2に対して、制御信号を送信する。
【0067】
所定のAGV2の通信インタフェース25は、AGVコントローラ12からの制御信号を受信し、プロセッサ21は、制御信号に基づき、設定された所定の走行経路で所定のRBP3をパレット配置エリアE12へ搬送させる駆動信号を出力し、駆動部26は、駆動信号に基づき駆動する。これにより、所定のAGV2は、所定のRBP3をパレット配置エリアE12へ搬送し整列させる(ST41)。
【0068】
ここで、RBPの回収及び整列に関する処理時間及び処理終了時刻の出力について説明する。
上記したように、設定部1212は、搬送優先度の設定、各AGV2と各RBP3の組み合わせの設定、搬送経路の設定を含む搬送計画を設定する。処理部1213は、この搬送計画に基づいて、全てのRBP3をパレット配置エリアE12へ整列させるまでに要する処理時間を推定し、処理時間から処理終了時刻を算出する。出力部1214は、処理時間及び処理終了時刻を出力し、通信インタフェース125は、上位サーバ11又はその他の外部装置に対して処理時間及び処理終了時刻を送信する。処理時間及び処理終了時刻の送信先では、処理時間及び処理終了時刻に基づき、関連する前段又は後段の処理を計画することができ、全体の処理効率の向上を図ることができる。
【0069】
図10は、実施形態に係る制御システムによる動的変化に対応する搬送制御の一例を示すフローチャートである。
例えば、人が通ったり、新たなRBP3が追加投入されたりすることにより、監視エリアE1の環境は動的に変化する。上位サーバ11は、カメラ13からリアルタイムに送信される撮影画像データに基づき、AGV情報、RBP情報、及びその他の物体情報を生成し、所定のタイミングで複数回にわたりAGV情報、RBP情報、及びその他の物体情報をAGVコントローラ12へ送信する。AGVコントローラ12の通信インタフェース125は、所定のタイミングで複数回にわたり送信されるAGV情報、RBP情報、及びその他の物体情報を受信し、プロセッサ121の取得部1211は、順次、AGV情報、RBP情報、及びその他の物体情報を取得する(ST31)。
【0070】
処理部1213は、取得した情報に基づき、各AGV2の移動可否を判定する(ST34)。設定部1212は、一定時間にわたり移動可能なAGV2を搬送計画に組み入れ、出力部1214は、移動可能なAGV2に対して制御信号を出力し、一定時間移動させる(ST35)。また、設定部1212は、一定時間にわたり移動不能なAGV2を搬送計画から除外し、一定時間停止させる(ST36)。
【0071】
例えば、設定部1212は、RBP情報に基づいて、パレット回収エリアE11内へのパレット投入によるパレット数の変化(増加)を検出し、変化検出に基づき、搬送計画を再設定してもよい。つまり、AGV2の搬送によるパレット数の変化(減少)ではなく、外部から新たにパレットが投入されることに起因する動的変化を検出し、搬送計画を立て直すようにしてもよい。これにより、外部から新たにパレットが投入されることに起因する動的変化にも対応できる。
【0072】
なお、本実施形態では、1台のAGVコントローラ12が、監視エリアE1内の複数台のAGV2を制御するケースについて説明するが、これに限定されるものではなく、通信ネットワークにより接続された複数台のAGVコントローラ12によりグルーピングされた所定数のAGV2を制御するようにしてもよい。例えば、各フロアに監視エリアE1が存在する場合、各フロアの監視エリアE1に対して1台のAGVコントローラ及び1台又は複数台のカメラ13を割り当てて、各フロアの監視エリアE1にグルーピングされた所定数のAGV2を配置し、各フロアのパレット回収エリアE11に所定数のRBP3を配置し、1台のAGVコントローラが、グルーピングされた所定数のAGV2を制御し所定数のRBP3を搬送するようにしてもよい。例えば、各AGV2は、グループ識別情報及びAGV識別情報を記憶する。AGVコントローラ12は、AGV2との通信により受信されるグループ識別情報及びAGV識別情報に基づきAGV2を識別し、制御信号を送信してAGV2によるRBP2の搬送を制御する。
【0073】
ここで、第1のフロアのパレット回収エリアE11に所定数のRBP3が配置された状態を想定する。上位サーバ11は、第1のフロアのカメラ13から出力される撮影画像データに含まれるマーカから、第1のフロアに配置されたRBP3のRBP識別情報等を検出し、第1のフロアに配置されたRBP3に関するRBP情報を記憶する。第1のフロアに割り当てられたAGVコントローラ12は、上位サーバ11から、第1のフロアに配置されたRBP3に関するRBP情報を受信する。また、第1のフロアに割り当てられたAGVコントローラ12は、第1のフロアに配置されたAGV2に関するAGV情報、及び第1のフロアに配置されたRBP3に関するRBP情報等に基づき、第1のフロアに配置されたAGV2により第1のフロアに配置されたRBP3を回収しパレット配置エリアE12へ配置する。
【0074】
例えば、第1のフロアのパレット配置エリアE12に集められた所定数のRBP3が、昇降機等により、第2のフロアのパレット回収エリアE11へ搬送(フロア間を跨いで移動)される際、第1のフロアに割り当てられたAGVコントローラ12は、所定数のRBP3のフロア間の移動検知信号に基づき、第2のフロアに割り当てられたAGVコントローラ12へ、第1のフロアから第2のフロアへ搬送されるRBP3に関するRBP情報を転送する。例えば,上位サーバ11は、昇降機に設けられたカメラ13の画像を解析して、所定数のRBP3のフロア間の移動を検知し、第1のフロアに割り当てられたAGVコントローラ12へ検知信号を送信する。或いは、上位サーバ11は、昇降機に設けられた重量センサーにより検知される重量に基づき所定数のRBP3のフロア間の移動を検知(推定)し、第1のフロアに割り当てられたAGVコントローラ12へ検知信号を送信するようにしてもよい。検知信号を受信したAGVコントローラ12は、第2のフロアに割り当てられたAGVコントローラ12へ、第1のフロアから第2のフロアへ搬送されるRBP3に関するRBP情報を転送する。
【0075】
以上により、大規模な物流拠点で、RBP3が、複数のフロアを循環するような環境下であっても、本実施形態の搬送制御システムを適用することにより、同一フロア内で効率良くRBP3を回収し、回収されたRBP3を他のフロアへ移動させ流通させることができる。
【0076】
以上、本実施形態によれば、無造作に点在する複数パレットを効率良く搬送することができる搬送制御装置及びプログラムを提供することができる。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
パレット回収エリア内の任意の位置の複数の搬送車に関する搬送車情報、及び前記パレット回収エリア内の任意の位置の複数のパレットに関するパレット情報を取得する取得部と、
前記搬送車情報及び前記パレット情報から、各パレットの搬送優先度に従い設定された各パレットの搬送計画に基づいて、所定の搬送車に対して、所定の走行経路で所定のパレットをパレット配置エリアへ搬送させる制御信号を出力する出力部と、
を備える搬送制御装置。
[C2]
前記パレットの搬送計画は、各パレットから前記パレット配置エリアまでの距離を示す搬送距離に関する情報に基づく各パレットの搬送優先度に従い設定される、[C1]の搬送制御装置。
[C3]
前記パレットの搬送計画は、各パレットの向きに関する情報に基づく各パレットの搬送優先度に従い設定される、[C1]又は[C2]の搬送制御装置。
[C4]
前記パレットの搬送計画は、パレットとパレットを搬送する搬送車の組み合わせに従い設定され、前記組み合わせは、前記搬送車情報及び前記搬送優先度に基づいて設定される、[C1]乃至[C3]の何れか一つの搬送制御装置。
[C5]
前記組み合わせは、各搬送車の位置に関する情報及び各パレットの位置に関する情報に基づいて設定される、[C4]の搬送制御装置。
[C6]
前記組み合わせは、各搬送車の向きに関する情報及び各パレットの向きに関する情報に基づいて設定される、[C4]又は[C5]の搬送制御装置。
[C7]
前記組み合わせは、各搬送車の種類に関する情報及び各パレットの種類に関する情報に基づいて設定される、[C4]乃至[C6]の何れか一つの搬送制御装置。
[C8]
前記取得部は、所定のタイミングで複数回にわたり前記パレット情報を取得し、
前記パレットの搬送計画は、前記パレット回収エリア内へのパレット投入によるパレット数の変化の検出に基づき再設定され、前記パレット数の変化は、複数回にわたり取得される前記パレット情報に基づいて検出される、[C1]乃至[C7]の何れか一つの搬送制御装置。
[C9]
コンピュータに、
パレット回収エリア内の任意の位置の複数の搬送車に関する搬送車情報、及び前記パレット回収エリア内の任意の位置の複数のパレットに関するパレット情報を取得する手順と、
前記搬送車情報及び前記パレット情報から、各パレットの搬送優先度に従い設定された各パレットの搬送計画に基づいて、所定の搬送車に対して、所定の走行経路で所定のパレットをパレット配置エリアへ搬送させる制御信号を出力する手順と、を実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0078】
1…搬送制御システム
2…AGV
3…RBP
4…パレット整列位置
11…上位サーバ
12…AGVコントローラ
13…カメラ
14…ネットワーク
21…プロセッサ
22…ROM
23…RAM
24…補助記憶デバイス
25…通信インタフェース
26…駆動部
121…プロセッサ
122…ROM
123…RAM
124…補助記憶デバイス
125…通信インタフェース
126…入出力部
401、402、403、404…パレット整列位置
1211…取得部
1212…設定部
1213…処理部
1214…出力部
E1…監視エリア
E11…パレット回収エリア
E12…パレット配置エリア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10