(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
F24C 15/02 20060101AFI20240304BHJP
F24C 15/04 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
F24C15/02 F
F24C15/04 B
(21)【出願番号】P 2020071300
(22)【出願日】2020-04-10
【審査請求日】2023-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】390010168
【氏名又は名称】東芝ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】眞嶋 政人
(72)【発明者】
【氏名】関谷 一芳
(72)【発明者】
【氏名】廣田 隆之
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 真徳
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/145245(WO,A1)
【文献】特開2008-286470(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0181308(US,A1)
【文献】特開2018-109453(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102010062579(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0185372(US,A1)
【文献】国際公開第2016/121431(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/235003(WO,A1)
【文献】特開2011-058675(JP,A)
【文献】国際公開第2010/049337(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 15/02
F24C 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に調理室を備える本体と、
前記本体の開口を開閉する扉と、を備え、
前記扉は、前記調理室内を視認可能な窓部と、前記窓部の周囲を囲む枠部と、を有し、
前記枠部が上辺部と、下辺部と、左辺部と、右辺部と、を有し、
前記枠部の内部
に第1の流路
と前記第1の流路とは独立した第2の流路が配設され、
前記枠部には、前記第1の流路と外部とを連通する第1の吸気口及び第1の排気口と、前記第2の流路と外部とを連通する第2の吸気口及び第2の排気口と、が形成され、
前記第1の流路内を流動する気体により冷却する第1の冷却対象物が
前記枠部の内部に配設され
、
前記第2の流路内を流動する気体により冷却する第2の冷却対象物が前記枠部の内部であって前記第1の冷却対象物とは異なる辺部に配設されていることを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記扉が縦開きであって、
ハンドルが前記上辺部に設けられ、
表示手段と操作手段が前記右辺部側に設けられ、
前記第1の冷却対象物が、前記ハンドルを前記上辺部に取り付ける取付部材と、前記表示手段と前記操作手段を制御する制御手段であり、
前記取付部材が前記上辺部側に配設され、
前記制御手段が前記右辺部側に配設され
、
前記第2の冷却対象物が無線通信装置であることを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記上辺部の内部と、前記下辺部の内部と、前記左辺部の内部と、前記右辺部の内部に前記第1の流路が形成され、
前記下辺部に前記第1
の吸気口と
前記第1の排気口が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記
第1の吸気口が前記右辺部側に形成され、前記
第1の排気口が左辺部側に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記第1の流路内に第1の送風装置が設けられ
、前記第2の流路内に第2の送風装置が設けられていることを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記下辺部の内部に
前記第2の流路が形成されていることを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の加熱調理器。
【請求項7】
前記下辺部の内部に第2の流路が形成され、
前記第2の
吸気口及び前記第2の排気口が前記
第1の吸気口と前記
第1の排気口との間の位置に形成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の加熱調理器。
【請求項8】
前記第1の流路の内部であって前記第1の排気口の近傍に、前記第1の流路の長さを長くする経路延長部が設けられていることを特徴とする請求項1~7の何れか1項に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体の開口を開閉する扉内に気体が流動する流路を備える加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、本体の開口を開閉する扉に表示部や操作部が設けられ、その表示部や操作部を構成する電気部品が扉内に配設されている加熱調理器が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、上ヒータや調理庫の熱が調理庫を覆う筐体に伝わり、筐体の天面が熱くなることを抑制するために、調理庫の天面と筐体の天面との間に外気を流動させる空間を設けたオーブン装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1に記載された加熱調理器は、正面視において、扉の右側内部に配設された回路基板と支持板との間に流路が形成されており、流路の下側に形成された流路下部開口から吸気し、流路の上側に形成された流路上部開口から排気を行う構成となっている。そして、流路内の気体が回路基板から吸熱することで電装品の温度上昇を抑制している。
【0004】
特許文献2に記載されたオーブン装置は、筐体の上側前面に複数の吸気孔から構成された吸気口が設けられており、この空気口から吸気し、調理庫の天面と筐体の天面との間の空間に外気を流動させ、複数の排気孔から構成され、筐体の後面に設けられた排気口から排気を行う構成となっている。また、調理庫の天面と筐体の天面との間には熱伝導性に優れた金属材料からなる平板が配設されており、上ヒータや調理庫の熱が平板に一旦蓄積され、空間内を流動し平板に接した冷却風が平板の熱を奪うことで、筐体の天面の温度上昇を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5899452号公報
【文献】特開2018-71929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
加熱調理器の扉は、調理室に接しているため高温となり易いが、正面側に配設されており、ユーザが接触し易い部分である。そのため、扉内部に配設された電気部品の温度上昇を抑制するのみならず、扉自体の温度上昇も抑制する必要がある。また、扉にはユーザが扉の開閉操作をする際に把持するハンドルが設けられており、このハンドルの温度上昇も抑制する必要がある。特許文献1に記載の加熱調理器の流路は、表示手段や操作手段が配置された扉の右側内部に上下方向にのみ設けられており、扉内部の他の部分には流路が設けられていない。そのため、扉の温度上昇の抑制が十分でないという問題があった。
【0007】
引用文献2に記載のオーブン装置は、筐体の天面の温度上昇を抑制するものであり、扉の温度上昇の抑制が十分でないという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、扉の温度上昇を好適に抑制することができる加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の加熱調理器は、内部に調理室を備える本体と、前記本体の開口を開閉する扉と、を備え、前記扉は、前記調理室内を視認可能な窓部と、前記窓部の周囲を囲む枠部と、を有し、前記枠部が上辺部と、下辺部と、左辺部と、右辺部と、を有し、前記枠部の内部に第1の流路と前記第1の流路とは独立した第2の流路が配設され、前記枠部には、前記第1の流路と外部とを連通する第1の吸気口及び第1の排気口と、前記第2の流路と外部とを連通する第2の吸気口及び第2の排気口と、が形成され、前記第1の流路内を流動する気体により冷却する第1の冷却対象物が前記枠部の内部に配設され、前記第2の流路内を流動する気体により冷却する第2の冷却対象物が前記枠部の内部であって前記第1の冷却対象物とは異なる辺部に配設されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の加熱調理器は、前記扉が縦開きであって、ハンドルが前記上辺部に設けられ、表示手段と操作手段が前記右辺部側に設けられ、前記第1の冷却対象物が、前記ハンドルを前記上辺部に取り付ける取付部材と、前記表示手段と前記操作手段を制御する制御手段であり、前記取付部材が前記上辺部側に配設され、前記制御手段が前記右辺部側に配設され、前記第2の冷却対象物が無線通信装置であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の加熱調理器は、前記上辺部の内部と、前記下辺部の内部と、前記左辺部の内部と、前記右辺部の内部に前記第1の流路が形成され、前記下辺部に前記第1の吸気口と前記第1の排気口が形成されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の加熱調理器は、前記第1の吸気口が前記右辺部側に形成され、前記第1の排気口が左辺部側に形成されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の加熱調理器は、前記第1の流路内に第1の送風装置が設けられ、前記第2の流路内に第2の送風装置が設けられていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の加熱調理器は、前記下辺部の内部に第2の流路が形成され、前記第2の吸気口及び前記第2の排気口が前記第1の吸気口と前記第1の排気口との間の位置に形成されていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の加熱調理器は、前記第1の流路の内部であって前記第1の排気口の近傍に、前記第1の流路の長さを長くする経路延長部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の加熱調理器によれば、扉の温度上昇を好適に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態1のオーブンレンジの上側斜視図である。
【
図2】同上、扉を開けた状態のオーブンレンジの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明における好ましい加熱調理器の実施形態について、添付図面を参照して説明する。以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施形態1】
【0019】
図1~
図6は本発明の実施形態1を示している。
図1は、本実施形態における加熱調理器としてのオーブンレンジ1を示している。オーブンレンジ1は、矩形箱状であって前面が開口した本体2と、本体2の前面の開口3を開閉する扉4を有して構成されている。
【0020】
本実施形態のオーブンレンジ1は、調理室5内に供給した熱風により被調理物Sを加熱するオーブン加熱による調理機能と、ヒータの熱により被調理物Sを加熱するグリル加熱による調理機能と、マイクロ波を被調理物Sに照射して被調理物Sを加熱調理するレンジ加熱による調理機能と、過熱水蒸気により被加熱物Sを加熱するスチーム加熱による調理機能と、を備えている。
【0021】
図2に示すように、本体2の内部には、被調理物Sを収容して加熱調理する調理室5が設けられている。調理室5の天井壁6には、グリル加熱を行うための上ヒータ7が配設されている。また、調理室5の底壁8の下方には、調理室5内に電波であるマイクロ波を供給するために、マグネトロンなどを備えるマイクロ波発生装置(図示せず)が設けられている。マイクロ波が被調理物Sに照射されることでレンジ加熱を行うことができる。また、調理室5の左側壁9には、蒸気供給装置(図示せず)に連通する蒸気噴出孔10が設けられている。この蒸気噴出孔10から調理室5内に噴出された蒸気によりスチーム加熱を行うことができる。また、調理室5の奥壁11には調理室5内に熱風を供給する複数の供給孔12が設けられており、奥壁11の後側には、空気を加熱するための熱風ヒータや、熱風ヒータにより加熱した空気を調理室5内に送り込んで循環させる熱風ファンを備える熱風ユニット(図示せず)が配設されている。
【0022】
図1に示すように、本体2の下部には、本体2の前面より着脱が可能な給水カセット13と水受け14が各々配設されている。給水カセット13は、蒸気供給装置から発生する蒸気の供給源として、液体の水を収容する有底状の容器である。水受け14は、本体2からの食品カスや水滴、蒸気の水などを受ける有底状の容器である。給水カセット13と水受け14は、手前に引き出すことで取り外すことができ、奥に押し込むことで取り付けることができるようになっている。
【0023】
扉4は、下部が本体2と回動自在に連結されており、本体2の開口3を上下に開閉可能となっている。扉4は、調理室5内が視認可能な矩形状の窓部21と、窓部21を取り囲む枠部22を有している。窓部21は、扉4の略中央に配置されている。枠部22は、板状の正面部22Aと、板状の背面部22B(
図4参照)と、板状の外周面部22Cと、窓部21と当接している内周面部22D(
図5および
図6参照)を有している。また、枠部22は、窓部21の上方に位置する上辺部23と、窓部21の下方に位置する下辺部24と、窓部21の左方に位置する左辺部25と、窓部21の右方に位置する右辺部26を有する。枠部22の左上角部27は、上辺部23と左辺部25が重複する部分であり、上辺部23の一部であると共に左辺部25の一部でもある。同様に、枠部22の左下角部28は、下辺部24の一部であると共に左辺部25の一部でもあり、枠部22の右上角部29は、上辺部23の一部であると共に右辺部26の一部でもあり、枠部22の右下角部30は、下辺部24の一部であると共に右辺部26の一部でもある。
【0024】
図1、
図3および
図4に示すように、枠部22の正面部22Aのうち、上辺部23の正面部23Aには、縦開きの扉4を開閉するときにユーザが手をかける開閉操作用のハンドル31が設けられている。ハンドル31は、水平方向に延設された把持部32と、把持部32の左右両端に設けられ、扉4に固定された固定部33A,33Bを有して構成されている。
【0025】
枠部22の正面部22Aのうち、右辺部26の正面部26Aには、表示、報知および操作のための操作パネル34が設けられている。操作パネル34は、調理の設定内容や進行状況を表示する表示手段35と、加熱調理に関する各種の操作入力を可能にする操作手段36が配設されている。表示手段35は、画面上をタッチ操作可能にする静電式のタッチパネル37を備えている。
【0026】
図3に示すように、扉4の枠部22の底面部38には、複数の貫通孔からなる吸気口としての第1の吸気口41と、複数の貫通孔からなる排気口としての第1の排気口42と、複数の貫通孔からなる吸気口としての第2の吸気口43と、複数の貫通孔からなる排気口としての第2の排気口44が形成されている。右側から、第1の吸気口41、第2の吸気口43、第2の排気口44、第1の排気口42の順に並んでおり、第1の吸気口41と第1の排気口42の間に第2の吸気口43と第2の排気口44が配置されている。第1の吸気口41と第2の吸気口43から外部の空気が枠部22の内部22Eに取り込まれ、第1の排気口42と第2の排気口44から枠部22の内部22Eの空気が外部に排出される。本実施例では、第1の吸気口41、第1の排気口42、第2の吸気口43、第2の排気口44は、それぞれ4つの貫通孔、4つの貫通孔、5つの貫通孔、4つの貫通孔から構成されているが、吸排気を確実に行うことができれば、貫通孔の数や形状、位置は、所望の数、形状、位置とすることができる。
【0027】
第1の吸気口41、第1の排気口42、第2の吸気口43および第2の排気口44は、取り付けた状態の給水カセット13の前面13Aと水受け14の前面14Aよりも前方に位置している。そのため、給水カセット13と水受け14を本体2に取り付けた状態で、第1の吸気口41、第1の排気口42、第2の吸気口43および第2の排気口44が給水カセット13と水受け14によって閉塞されることはなく、吸排気が給水カセット13と水受け14によって阻害されないようになっている。
【0028】
枠部22の内部22Eは、正面部22Aと、背面部22Bと、外周面部22Cと、内周面部22Dに囲まれた範囲である。また、
図5に示すように、枠部22の内部22Eは、第1の壁部45と第2の壁部46により仕切られており、流路である第1の流路47と第2の流路48の2つの空間が形成されている。第1の壁部45と第2の壁部46は、下辺部24の内部24Bに配設されている。第1の壁部45と第2の壁部46の間の空間が第2の流路48であり、その他の空間が第1の流路47である。第1の吸気口41と第1の排気口42は、第1の流路47と外部とを連通し、第2の吸気口43と第2の排気口44は、第2の流路48と外部とを連通する。
【0029】
図5に示すように、第1の流路47内であって、第1の吸気口41の近傍には、送風装置としての第1の送風ファン49が配設されている。この第1の送風ファン49を駆動させることで、第1の吸気口41から外気が取り込まれ、白抜き矢印で示すように、空気が第1の流路47内を左回り(反時計回り)に流動し、第1の排気口42から排出される。
【0030】
右辺部26の内部26Bの上側部分(操作パネル34の後方部分)には、表示手段35や操作手段36などの制御を行う制御手段としてのプリント回路板(PCB)50が配設されている。このプリント回路板50は、冷却対象物であり、第1の流路47内に配設されており、第1の吸気口41から取り込まれた空気に接触することで冷却され、温度上昇が抑制される。また、第1の流路47内を空気が流動することにより、右辺部26自体が冷却され、右辺部26の正面部26Aの温度上昇も抑制される。
【0031】
上辺部23の内部23Bに形成された第1の流路47内には、ハンドル31の固定部33A,33Bがネジなどの固定部材51によって取り付けられる取付部材としての取付板52が配設されている。冷却対象物である取付板52は、第1の流路47内を流動する空気と接触することで冷却され、温度上昇が抑制される。これにより、ハンドル31に高温の熱が伝導し難くなり、ハンドル31の温度上昇が抑制される。取付板52は、上辺部23の内部23Bと左辺部25の内部25Bに延設されており、取付板52が第1の流路47内を流動する空気と接触することで、上辺部23と左辺部25自体が冷却され、上辺部23の正面部23Aと、左辺部25の正面部25Aの温度上昇が抑制される。なお、本実施形態では、第1の流路47が上辺部23の内部23Bと、下辺部24の内部24Bと、左辺部25の内部25Bと、右辺部26の内部26Bの4辺に設けられているが、第1の流路47を上辺部23の内部23Bと右辺部26の内部26Bの2辺にのみ設け、主な冷却対象物であるハンドル31とプリント回路板50を冷却する構成としてもよい。また、第1の流路47を上辺部23の内部23Bと右辺部26の内部26Bに設け、第2の流路48を下辺部24の内部24Bに設けることで、3辺に流路を設け、主な冷却対象物であるハンドル31とプリント回路板50と無線通信装置55を冷却する構成としてもよい。さらに、左辺部25の内部25Bと右辺部26の内部26Bの2辺にのみ流路を設けたり、上辺部23の内部23Bと下辺部24の内部24Bと左辺部25の内部25Bの3辺に流路を設けるなど、4辺のうち少なくとも2辺に流路が設けられていればよい。
【0032】
図5に示すように、第1の流路47内であって、第1の排気口42の近傍には、第1の流路47の長さを長くするための経路延長部としてのリブ53が設けられている。第1の吸気口41から取り込まれた空気は、第1の流路47内を流動する過程で、プリント回路板50や取付板52から吸熱すると共に、調理室5側に配設された枠部22の背面部22Bなど、接触する物から吸熱するため、第1の排気口42の近傍に到達したときには、空気の温度が上昇している。そのため、リブ53を設け、第1の流路47の長さを長くすることで、第1の排気口42の近傍では、空気が枠部22に接触する時間を長くし、空気の熱吸収量を増加させ、冷却効果を高めている。
【0033】
本実施形態のリブ53は、直線状の板部材により形成されているが、第1の流路47の長さを長くするものであれば、他の形状としてもよい。また、リブ53を配置する位置や、設ける数を適宜変更してもよい。
【0034】
本実施形態では、右辺部26の内部26Bに冷却対象物であるプリント回路板50が配設されているため、枠部22の底面部38のうち、右辺部26側に第1の吸気口41を設け、枠部22の内部22Eに取り込まれた温度の低い空気により、プリント回路板50を効率的に冷却できるようにしているが、例えば、プリント回路板50が左辺部25の内部25Bに配設されている場合には、第1の吸気口41を底面部38のうち、左辺部25側に設け、底面部38の右辺部26側に第1の排気口42を設け、空気を第1の流路47内で右回り(時計回り)に流動させてもよい。
【0035】
第2の流路48内であって、第2の吸気口43の近傍には、送風装置としての第2の送風ファン54が配設されている。この第2の送風ファン54を駆動させることで、第2の吸気口43から外気が取り込まれ、空気が第2の流路48内を流動する。
【0036】
第2の流路48内には、オーブンレンジ1を他の通信機器(図示せず)と無線通信可能とする無線通信装置55が配設されている。第2の吸気口43から取り込まれた空気は、第2の流路48内を流動する過程で冷却対象物である無線通信装置55に接触し、無線通信装置55から吸熱し、第2の排気口44から外部に排出される。本実施例では、第2の流路48内を流動する空気により、無線通信装置55を冷却すると共に、下辺部24自体が冷却され、下辺部24の正面部24Aの温度上昇が抑制される。また、下辺部24は、第1の流路47内を流動する空気によっても冷却される。
【0037】
本実施形態では、第1の吸気口41と第2の吸気口43が第1の排気口42と第2の排気口44から離れた位置に設けられていることにより、第1の排気口42と第2の排気口44から排出された温度が上昇した空気を第1の吸気口41と第2の吸気口43から枠部22の内部22Eに取り込み難い構造となっている。
【0038】
本実施形態では、窓部21は枠部22と接続されているため、第1の流路47内と第2の流路48内を流動する空気により枠部22の内周面部22Dの温度が下げられることにより、窓部21から枠部22に熱が伝導することで、窓部21の温度上昇が抑制されるようになっている。
【0039】
以上のように、本実施形態のオーブンレンジ1は、内部に調理室5を備える本体2と、本体2の開口3を開閉する扉4と、を備え、扉4は、調理室5内を視認可能な窓部21と、窓部21の周囲を囲む枠部22と、を有し、枠部22が上辺部23と、下辺部24と、左辺部25と、右辺部26と、を有し、上辺部23、下辺部24、左辺部25、右辺部26、のうち少なくとも2辺の内部23B,24B,25B,26Bに気体が流動する第1の流路47が配設され、第1の流路47内に第1の冷却対象物が配設されていることにより、第1の流路47内に外部から取り込んだ空気を流動させることにより、第1の冷却対象物を冷却すると共に、枠部22自体を冷却し、扉4全体の温度上昇を抑制することができる。
【0040】
また、本実施形態のオーブンレンジ1は、扉4が縦開きであって、ハンドル31が上辺部23に設けられ、表示手段35と操作手段36が右辺部26側に設けられ、第1の冷却対象物が、ハンドル31を上辺部23に取り付ける取付板52と、表示手段35と操作手段36を制御するプリント回路板50であり、取付板52が上辺部23側に配設され、プリント回路板50が右辺部26側に配設されていることにより、第1の流路47内で空気を流動させ、プリント回路板50および取付板52に空気を接触させることで効率良く冷却することができる。その結果、プリント回路板50が熱によって損傷することや、プリント回路板50の寿命が短縮されることを防止することができる。また、ユーザが把持するハンドル31の温度上昇を抑制することができる。
【0041】
また、本実施形態のオーブンレンジ1は、上辺部23の内部23Bと、下辺部24の内部24Bと、下辺部24の内部25Bと、右辺部26の内部26Bに第1の流路47が形成され、下辺部24に第1の流路47の第1の吸気口41と第1の排気口42が形成されていることにより、第1の流路47内に空気を流動させることで、上辺部23、下辺部24、左辺部25および右辺部26を冷却することができる。また、第1の排気口42が下辺部24に形成されていることにより、ユーザが第1の排気口42から排出される温度上昇した空気に触れ難くすることができる。
【0042】
また、本実施形態のオーブンレンジ1は、第1の吸気口41が右辺部26側に形成され、第1の排気口42が左辺部25側に形成されていることにより、第1の吸気口41が第1の排気口42から離れた位置となるため、第1の排気口42から排出された温度上昇した空気が第1の吸気口41から取り込まれ難くすることができる。
【0043】
また、本実施形態のオーブンレンジ1は、第1の流路47内に第1の送風ファン49が設けられていることにより、正確かつ効率的に、第1の吸気口41から空気を取り込み、第1の流路47内で空気を流動させ、第1の排気口42から空気を排出させることができる。
【0044】
また、本実施形態のオーブンレンジ1は、下辺部24の内部24Bに第2の流路48が形成されていることにより、第2の流路48内に空気を流動させ、下辺部自体を冷却することができる。
【0045】
また、本実施形態のオーブンレンジ1は、第2の冷却対象物が第2の流路48内に配設されていることにより、第2の流路48内に空気を流動させ、下辺部24の内部24Bに配設した無線通信装置55を冷却することができる。
【0046】
また、本実施形態のオーブンレンジ1は、第2の冷却対象物が無線通信装置55であることにより、無線通信装置55を効率よく冷却し、無線通信装置55の温度上昇を抑制することにより、熱による無線通信装置55の損傷や、無線通信装置55の寿命が短縮されることを防止することができる。
【0047】
また、本実施形態のオーブンレンジ1は、下辺部24の内部24Bに第2の流路48が形成され、第2の流路48が第1の吸気口41と第1の排気口42との間の位置に形成されていることにより、第1の吸気口41が第1の排気口42から離れた位置となるため、第1の排気口42から排出された温度上昇した空気が第1の吸気口41から取り込まれ難くすることができる。
【実施形態2】
【0048】
以下、本発明の実施形態2について説明する。なお、前述した実施形態1と共通する箇所には共通する符号を付し、共通する部分の説明は重複するため極力省略する。
【0049】
図7~
図9は、実施形態2の扉4を示している。本実施形態は、実施形態1の第2の吸気口43、第2の排気口44、第2の壁部46、リブ53、第2の送風ファン54を設けず、第1の排気口42を第2の吸気口43の位置に移動させたものである。すなわち、枠部22の内部22Eには、第1の流路47のみが形成され、第1の吸気口41から取り込まれた空気は、白抜き矢印で示すように、第1の流路47内を左回り(反時計回り)に流動し、第1の排気口42から外部に排出される構造となっている。第2の送風ファン54が不要であるためオーブンレンジ1の製造コストを抑えることができる。
【0050】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、冷却対象物は、プリント回路板50や無線通信装置55以外のものであってもよい。また、冷却対象物は、第1の流路47と第2の流路48の内部に配設される必要はなく、第1の流路47や第2の流路48に接するように配設するなど、第1の流路47と第2の流路48の内部を流動する気体により吸熱可能な位置に配設されていればよい。
【符号の説明】
【0051】
1 オーブンレンジ(加熱調理器)
2 本体
3 開口
4 扉
5 調理室
21 窓部
22 枠部
22E 内部
23 上辺部
23B 内部
24 下辺部
24B 内部
25 左辺部
25B 内部
26 右辺部
26B 内部
31 ハンドル
35 表示手段
36 操作手段
41 第1の吸気口
42 第1の排気口
43 第2の吸気口
44 第2の排気口
47 第1の流路
48 第2の流路
49 第1の送風ファン(第1の送風装置)
50 プリント回路板(制御手段、第1の冷却対象物)
52 取付板(取付部材、第1の冷却対象物)
53 リブ(経路延長部)
54 第2の送風ファン(第2の送風装置)
55 無線通信手段装置(第2の冷却対象物)