(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/00 20060101AFI20240304BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240304BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240304BHJP
B41J 25/20 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
G03G15/00 303
G03G21/00 376
B41J29/38 201
B41J25/20
(21)【出願番号】P 2020085878
(22)【出願日】2020-05-15
【審査請求日】2023-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099324
【氏名又は名称】鈴木 正剛
(72)【発明者】
【氏名】及川 敏史
(72)【発明者】
【氏名】横谷 貴司
(72)【発明者】
【氏名】安藤 裕
(72)【発明者】
【氏名】西方 彰信
(72)【発明者】
【氏名】湯本 貢司
(72)【発明者】
【氏名】福原 力
(72)【発明者】
【氏名】小田 裕一朗
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-158762(JP,A)
【文献】特開平10-240082(JP,A)
【文献】特開2017-030288(JP,A)
【文献】特開2007-072294(JP,A)
【文献】特開2008-209673(JP,A)
【文献】特開2001-010169(JP,A)
【文献】特開2015-030221(JP,A)
【文献】特開2018-066815(JP,A)
【文献】特開2019-043008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 21/00
G03G 21/14
B41J 29/00-29/70
H04N 1/00
B41J 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成条件に基づいてシートに画像を形成する画像形成手段と、
前記シートに形成された前記画像形成条件の調整用画像を読み取る読取手段と、
前記読取手段による前記調整用画像の読取結果に基づいて、前記画像形成条件を調整する調整手段と、
を備え、印刷ジョブに
応じてシートに画像を形成する場合に、前記画像形成手段により
該画像とともに前記調整用画像
をシートに形成し、前記調整手段により前記読取手段による該調整用画像の読取結果に基づいて前記画像形成条件を調整する自動調整
を行うことが可能
な画像形成装置であって、
前記自動調整が無効に設定された第1印刷ジョブに
応じてシートに画像を形成する期間において、前記自動調整が有効に設定された第2印刷ジョブの割り込み
命令を受信した場合、前記第2印刷ジョブの割り込み処理
の実行
を禁止する制御手
段を備えることを特徴とする、
画像形成装置。
【請求項2】
前記シートを収容する複数の給紙デッキを備え、
前記制御手段は、前記第1印刷ジョブと前記第2印刷ジョブとで同じ給紙デッキからシートを給紙する場合に、前記第2印刷ジョブの割り込み処理
の実行
を禁止することを特徴とする、
請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記自動調整を有効と無効とのいずれかを設定するための入力手段を備えることを特徴とする、
請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、自動調整が有効になっているときに、前記画像形成手段により画像を形成したシートの枚数が所定の枚数になる毎に、前記自動調整を行うことを特徴とする、
請求項1~3のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成手段は、前記シートの両面に前記調整用画像を形成して調整用チャートを作成し、
前記読取手段は、前記調整用チャートの第1面に形成された前記調整用画像を読み取る第1読取センサと、前記調整用チャートの第2面に形成された前記調整用画像を読み取る第2読取センサとを含み、
前記調整手段は、前記第1読取センサによる読取結果と前記第2読取センサによる読取結果とに基づいて前記画像形成条件を調整することを特徴とする、
請求項1~4のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1読取センサと前記第2読取センサとは、光学センサであることを特徴とする、
請求項5記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、複写機、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
商用の印刷機で生成される印刷物は、シートの表裏面の印字位置精度の安定化が求められる。特許文献1には、印字位置精度の安定化を図った画像形成装置が開示される。この画像形成装置は、印字位置精度の安定化のために、シートに印字位置(画像形成位置)の目印となる調整用画像を印字して調整用チャートを作成する。調整用チャートは、シートの搬送経路に設けられた画像読取センサにより、調整用画像が読み取られる。画像形成装置は、調整用画像の読取結果を画像形成条件にフィードバックして、印字位置を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
表裏面の印字位置精度の安定化のために、上記のような調整用チャートの作成から印字位置の調整までの一連の処理は、自動的に行うように設定することができる。自動的に行われるこのような一連の画像形成条件の調整処理を自動調整という。特に、表裏面の印字位置の調整を行う自動調整を表裏オート調整という。ユーザは、例えば、シートを収容する給紙デッキ毎に、画像形成条件を調整する値(例えば表裏の印字位置の値)を登録することができる。印字ジョブによる印刷を行う場合、給紙する給紙デッキに登録された表裏の印字位置の値に基づいて、画像の書き出し位置が調整される。また、所定枚数の印字が行われる毎に表裏オート調整が割り込んで行われ、調整用チャートの読取結果に基づいて、給紙デッキの表裏の印字位置の値が更新される。
【0005】
ユーザは、表裏オート調整を有効にするか或いは無効にするかを選択可能である。表裏オート調整が無効の場合は、印字ジョブによる印字中に表裏オート調整が割り込んで行われないために、給紙デッキの表裏の印字位置の値が更新されない。そのために印字中の画像の書き出し位置は、一定の値で調整される。表裏オート調整が有効の場合は、印字ジョブによる印字中に表裏オート調整が割り込んで行われるために、給紙デッキの表裏の印字位置の値が更新される。そのために印字中の画像の書き出し位置は、最適になるように調整される。
【0006】
表裏オート調整の有効/無効の選択は、ジョブ毎に行うことができる。そのために、例えば、表裏オート調整を無効にして印刷を行っている途中で表裏オート調整を有効にした割込印字ジョブを行う場合、割込印字ジョブによる処理中に表裏オート調整が行われて、給紙デッキの表裏の印字位置の値が更新される可能性がある。つまり割込印字ジョブと割り込まれた印字ジョブとで同じ給紙デッキから給紙する場合、割り込まれた印字ジョブが使用していた表裏の印字位置の値が更新されてしまう。これにより、割り込まれた印字ジョブは、表裏オート調整が無効であるにもかかわらず、割込印字ジョブの前後で、異なる表裏の印字位置の値により画像の書き出し位置が調整されてしまう。
【0007】
このように自動調整が無効の印字ジョブの実行中に自動調整が有効の割込印字ジョブを行うことで、画像の書出位置のような画像形成条件が調整される。この場合、割込印字ジョブを行う前後で、自動調整が無効の印字ジョブにより印刷される画像の画質(画像濃度、色ずれ、印字位置)が変化する可能性がある。そこで本発明は、割込印字ジョブにより画質が変化することを抑制する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成装置は、画像形成条件に基づいてシートに画像を形成する画像形成手段と、前記シートに形成された前記画像形成条件の調整用画像を読み取る読取手段と、前記読取手段による前記調整用画像の読取結果に基づいて、前記画像形成条件を調整する調整手段と、を備え、印刷ジョブに応じてシートに画像を形成する場合に、前記画像形成手段により該画像とともに前記調整用画像をシートに形成し、前記調整手段により前記読取手段による該調整用画像の読取結果に基づいて前記画像形成条件を調整する自動調整を行うことが可能な画像形成装置であって、前記自動調整が無効に設定された第1印刷ジョブに応じてシートに画像を形成する期間において、前記自動調整が有効に設定された第2印刷ジョブの割り込み命令を受信した場合、前記第2印刷ジョブの割り込み処理の実行を禁止する制御手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、割込印字ジョブによる画質の変化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
(画像処理システム)
図1は、本実施形態の画像形成装置を含む画像処理システムの構成図である。画像処理システムは、画像形成装置101と外部コントローラ102とを備える。画像形成装置101は、例えば複合機、マルチファンクションペリフェラル(MFP)等である。外部コントローラ102は、例えば画像処理コントローラ、デジタルフロントエンド(DFE)、プリントサーバ等である。
【0013】
画像形成装置101と外部コントローラ102とは、内部LAN(Local Area Network)105とビデオケーブル106とを介して、通信可能に接続される。外部コントローラ102は、外部LAN104を介して、クライアントPC(Personal Computer)103に接続される。外部コントローラ102は、クライアントPC103から印刷指示(印字ジョブ)を取得する。
【0014】
クライアントPC103には、印刷データを外部コントローラ102で処理可能な印刷記述言語に変換する機能を有するプリンタドライバがインストールされている。ユーザは、各種アプリケーションによりプリンタドライバを介して印刷を指示することができる。プリンタドライバはユーザからの印字ジョブに基づいて外部コントローラ102に対して印刷データを送信する。外部コントローラ102は、クライアントPC103から印刷データを含む印字ジョブを受け付けて、データ解析やラスタライズ処理を行い、画像形成装置101に対して印刷データに基づく印刷(画像形成)を指示する。
【0015】
画像形成装置101は、印刷装置107を含む複数の異なる機能を有する装置が接続されて構成され、製本等の複雑な印刷処理が可能である。本実施形態の画像形成装置101は、印刷装置107とフィニッシャ109とを備える。印刷装置107は、本体の下部に設けられる給紙部から給送されるシートに対して現像剤(例えばトナー)を用いて画像を形成する。印刷装置107は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の画像を形成する。シートには、各色の画像が重畳されたフルカラーの画像が形成される。画像が形成されたシートは、印刷装置107からフィニッシャ109へ搬送される。フィニッシャ109は、画像が形成されたシートを積載する。
【0016】
この画像処理システムは、画像形成装置101に外部コントローラ102が接続された構成であるが、外部コントローラ102は必ずしも必要ではない。例えば、画像形成装置101が外部LAN104を介してクライアントPC103から直接印刷データを含む印字ジョブを取得する構成であってもよい。この場合、画像形成装置101は、外部コントローラ102で行われているデータ解析やラスタライズ処理を行うことになる。つまり画像形成装置101と外部コントローラ102とが一体に構成されてもよい。
【0017】
(システム構成)
図2は、画像処理システムの動作を制御するシステム構成図である。ここでは、画像形成装置101、外部コントローラ102、及びクライアントPC103のそれぞれのシステム構成について説明する。
【0018】
・印刷装置
印刷装置107は、他の装置と通信するために、通信インタフェース(I/F)217、LAN I/F218、及びビデオI/F220を備える。印刷装置107は、印刷装置107の動作を制御するためにCPU(Central Processing Unit)222、メモリ223、ストレージ221、画像読取部231、及び画像処理部232を備える。印刷装置107は、画像を形成するために露光部227、作像部228、定着部229、及び給紙部230を備える。印刷装置107は、ユーザインタフェースとして操作部224及びディスプレイ225を備える。これらの構成部品は、システムバス233を介して相互に通信可能に接続される。
【0019】
通信I/F217は、通信ケーブル249を介してフィニッシャ109に接続され、フィニッシャ109との間の通信を制御する。印刷装置107とフィニッシャ109とにより協働で動作する場合には、通信I/F217を介して情報やデータが送受信される。LAN I/F218は、内部LAN105を介して外部コントローラ102に接続され、外部コントローラ102との間の通信を制御する。印刷装置107は、LAN I/F218を介して外部コントローラ102から印刷時の設定等を表す印刷データ等を受信する。ビデオI/F220は、ビデオケーブル106を介して外部コントローラ102に接続され、外部コントローラ102との間の通信を制御する。印刷装置107は、ビデオI/F220を介して外部コントローラ102から形成する画像を表す画像データ等を受信する。
【0020】
CPU222は、ストレージ221に格納されるコンピュータプログラムを実行することで、画像処理や印刷の制御を包括的に行う。メモリ223は、CPU222が各種処理を実行する際のワークエリアを提供する。画像形成処理を行う場合、CPU222は、露光部227、作像部228、定着部229、及び給紙部230を制御する。
【0021】
露光部227は、感光体の表面を一様に帯電し、帯電した感光体の表面に、画像データに基づいてレーザ光を照射する。露光部227は、感光体の表面を均一な負電位に帯電させる。露光部227は、レーザドライバによってレーザ光を出力し、回転多面鏡によりレーザ光の反射角度を調節しながら、一様に帯電された感光体の表面をレーザ光により走査する。感光体は、レーザ光が照射された位置の電位が変動し、表面に静電潜像が形成される。感光体は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色に対応して4つ設けられる。4つの感光体にそれぞれ異なる色の画像に対応した静電潜像が形成される。
【0022】
作像部228は、感光体に形成したトナー像をシートに転写する。作像部228は、現像器、転写ユニット、トナー補給部等を備える。現像器は、現像シリンダから負極性に帯電したトナーを感光体の表面に形成されている静電潜像に付着させてトナー像を形成する。現像器は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色に対応して4つ設けられる。現像器は、対応する色のトナーにより感光体の静電潜像を可視像化する。
【0023】
転写ユニットは、中間転写ベルトを有しており、感光体から中間転写ベルトにトナー像を転写する。中間転写ベルトを挟んで感光体に対向する位置には一次転写ローラが設けられる。一次転写ローラに正電位が印加されることで、4つの感光体のそれぞれからトナー像が中間転写ベルトに重畳して転写される。これにより中間転写ベルトにフルカラーのトナー像が形成される。中間転写ベルトに形成されたトナー像は、後述の二次転写ローラによりシートに転写される。二次転写ローラは、正電位が印加されることで、中間転写ベルトからシートにフルカラーのトナー像を転写する。
【0024】
定着部229は、シートに、転写されたトナー像を定着する。定着部229は、シート上のトナー像を加熱及び加圧することでシートにトナー像を溶融固着させる。これによりシートに画像が形成される。給紙部230は、搬送経路に搬送ローラ等のローラと各種センサを備え、シートの給送動作を制御する。
【0025】
画像読取部231は、CPU222の指示に基づいて、搬送されるシートに形成された画像を読み取る。CPU222は、例えば画像形成条件の調整を行う場合に、画像読取部231により、シートに形成される画像形成条件の調整用画像を読み取る。画像処理部232は、画像読取部231による読取結果に基づいて、画像読取部231のゲイン調整値の設定等を行う。画像処理部232によるこのような処理は、画像読取部231による画像の読取結果に反映される。操作部224は、ユーザからの各種設定の入力や操作の指示を受け付ける入力装置である。操作部224は、例えば各種入力キーやタッチパネル等である。ディスプレイ225は、画像形成装置101の設定情報や印字ジョブの処理状況等を表示する出力装置である。
【0026】
・フィニッシャ
フィニッシャ109は、例えば大容量のスタッカである。フィニッシャ109は、通信I/F241、CPU242、メモリ243、及び排紙制御部244を備える。これらの構成部品は、システムバス245を介して相互に通信可能に接続される。通信I/F241は、通信ケーブル249を介して印刷装置107に接続され、印刷装置107との間の通信を制御する。フィニッシャ109と印刷装置107とにより協働で動作する場合には、通信I/F241を介して情報やデータが送受信される。CPU242は、メモリ243に格納された制御プログラムを実行し、排紙に必要な各種制御を行う。メモリ243は、制御プログラムを格納する。また、メモリ243は、CPU242が各種処理を実行する際のワークエリアを提供する。排紙制御部244は、CPU242からの指示に基づいて、搬送されたシートをスタックトレイに排出する。
【0027】
・外部コントローラ
外部コントローラ102は、他の装置と通信するために、LAN I/F213、LAN I/F214、及びビデオI/F215を備える。外部コントローラ102は、外部コントローラ102の動作を制御するためにCPU208、メモリ209、及びストレージ210を備える。外部コントローラ102は、ユーザインタフェースとしてキーボード211及びディスプレイ212を備える。これらの構成部品は、システムバス216を介して相互に通信可能に接続される。
【0028】
LAN I/F213は、外部LAN104を介してクライアントPC103に接続され、クライアントPC103との間の通信を制御する。外部コントローラ102は、クライアントPC103からLAN I/F213により印字ジョブ等を取得する。LAN I/F214は、内部LAN105を介して印刷装置107に接続され、印刷装置107との間の通信を制御する。外部コントローラ102は、LAN I/F214を介して印刷装置107へ印刷時の設定等を表す印刷データ等を送信する。ビデオI/F215は、ビデオケーブル106を介して印刷装置107に接続され、印刷装置107との間の通信を制御する。外部コントローラ102は、ビデオI/F215を介して印刷装置107へ画像データ等を送信する。
【0029】
CPU208は、ストレージ210に格納されるコンピュータプログラムを実行することで、クライアントPC103から送信される印刷データの受信、RIP処理、画像形成装置101への印刷データの送信等の処理を包括的に行う。メモリ209は、CPU208が各種処理を実行する際のワークエリアを提供する。キーボード211は、ユーザからの各種設定の入力や操作の指示を受け付ける入力装置である。ディスプレイ212は、外部コントローラ102の実行アプリケーション等の情報を静止画や動画により表示する出力装置である。
【0030】
・クライアントPC
クライアントPC103は、CPU201、メモリ202、ストレージ203、キーボード204、ディスプレイ205、及びLAN I/F206を備える。これらの構成部品は、システムバス207を介して相互に通信可能に接続される。
【0031】
CPU201は、ストレージ203に格納されたコンピュータプログラムを実行することで、クライアントPC103の動作を制御する。本実施形態では、CPU201は、印刷データの作成や印字ジョブの送信処理を行う。メモリ202は、CPU201が各種処理を実行する際のワークエリアを提供する。キーボード204及びディスプレイ205は、ユーザインタフェースである。キーボード204は、ユーザによる指示を受け付ける入力装置である。ディスプレイ205には、クライアントPC103の実行アプリケーション等の情報を静止画や動画により表示する出力装置である。LAN I/F206は、外部LAN104を介して外部コントローラ102に接続され、外部コントローラ102との間の通信を制御する。クライアントPC103は、外部コントローラ102へLAN I/F206により印字ジョブ等を送信する。
【0032】
なお、外部コントローラ102と画像形成装置101とは、内部LAN105とビデオケーブル106とにより接続されているが、印刷に必要なデータの送受信が行える構成であればよく、例えば、ビデオケーブルのみで接続されていてもよい。メモリ202、メモリ209、メモリ223、及びメモリ243はそれぞれ、データやプログラムを保持するための記憶装置であればよい。これらのメモリには、例えば、揮発性のRAM(Random Access Memory)、不揮発性のROM(Read Only Memory)、ストレージ、USB(Universal Serial Bus)メモリ等を用いることができる。
【0033】
(画像形成装置の構成)
図3は、画像形成装置101の構成図である。印刷装置107の上部には、ディスプレイ225が設けられる。ディスプレイ225は、画像形成装置101の印刷状況や設定のための情報を表示する。印刷装置107で画像が形成されたシートは、後段に設けられるフィニッシャ109へ搬送される。
【0034】
印刷装置107は、給紙部230として、複数の給紙デッキ301、302及び搬送経路303を備える。各給紙デッキ301、302には、異なる種類のシートを収容することが可能である。各給紙デッキ301、302に収容されるシートは、最上位の一枚が分離して搬送経路303へ給送される。印刷装置107は、露光部227として、画像を形成するための画像形成部304、305、306、307を備える。印刷装置107は、カラー画像を形成する。そのために、画像形成部304は、ブラック(K)の画像(トナー像)を形成する。画像形成部305は、シアン(C)の画像(トナー像)を形成する。画像形成部306は、マゼンタ(M)の画像(トナー像)を形成する。画像形成部307は、イエロー(Y)の画像(トナー像)を形成する。
【0035】
印刷装置107は、作像部228として、各画像形成部304、305、306、307からトナー像が転写される中間転写ベルト308及び二次転写ローラ309を備える。中間転写ベルト308は、図中時計回りに回転しており、画像形成部307、画像形成部306、画像形成部305、画像形成部304の順にトナー像が重畳して転写される。これにより中間転写ベルト308にフルカラーのトナー像が形成される。中間転写ベルト308は、回転することでトナー像を二次転写ローラ309へ搬送する。トナー像が二次転写ローラ309に搬送されるタイミングに合わせて、シートが搬送経路303へ搬送される。二次転写ローラ309は、搬送されてきたシートに中間転写ベルト308上のトナー像を転写する。
【0036】
印刷装置107は、定着部229として、第1定着器311及び第2定着器318を備える。第1定着器311と第2定着器318とは同じ構成であり、トナー像をシートに定着させる。そのために第1定着器311及び第2定着器318は、それぞれ、加圧ローラと加熱ローラとを備える。シートは、加圧ローラと加熱ローラとの間を通過することで、加熱及び加圧され、トナー像がシートに溶融、圧着される。第2定着器318を通過したシートは、搬送経路314へ搬送される。なお、第2定着器318は、第1定着器311よりもシートの搬送方向で下流側に配置され、第1定着器311により定着処理されたシート上の画像に対するグロスの付加や、定着性の確保に用いられる。そのために第2定着器318は、シートの種類や画像形成処理の内容によっては使用されないことがある。第1定着器311で定着処理されたシートを第2定着器318を介さずに搬送するために、搬送経路312が設けられる。
【0037】
搬送経路314と搬送経路312とが合流した後に、搬送経路315と反転経路316とが設けられる。両面印刷が指示される場合、シートは、反転経路316へ搬送される。反転経路316に搬送されたシートは、反転経路316で搬送方向が反転して両面搬送経路317へ搬送される。反転経路316及び両面搬送経路317により、シートは、画像が形成された面(第1面)が反転される。シートは両面搬送経路317により搬送経路303へ搬送され、二次転写ローラ309及び定着部229を通過することで、第2面へ画像が形成される。
【0038】
片面印刷の場合、或いは両面印刷で両面に画像が形成された場合、シートは、搬送経路315へ搬送される。シートの搬送方向で搬送経路315の下流側には搬送経路323が配置される。
【0039】
搬送経路323には、画像読取部231として、CIS(Contact Image Sensor)321、322が、搬送経路323を挟んで対向して配置される。
図4は、CIS321、322の説明図である。CIS321は、搬送経路323を搬送されるシートの上面の画像を読み取る光学センサである。CIS322は、搬送経路323を搬送されるシートの下面の画像を読み取る光学センサである。
【0040】
CIS321は、光源となるLED(Light Emitting Diode)350、受光部となる読取センサ351、及び白色基準板352を備える。LED350は、搬送経路323を搬送されるシートが読取位置に到達したタイミングで、シートの上面に光を照射する。読取センサ351は、シートによる反射光を受光する。読取センサ351は、受光した反射光の光電変換を行い、電気信号である読取結果をCPU222へ送信する。このようにしてシートに形成された画像が読み取られる。読取センサ351は、シートの搬送方向に直交する方向に複数の受光素子(光電変換素子)を備える。そのために、シートの搬送方向に直交する方向が、CIS321の主走査方向となる。主走査方向に直交する方向(シートの搬送方向)が副走査方向である。白色基準板352は、CIS321のシェーディング補正時に用いられる。シェーディング補正時にLED350及び読取センサ351は、白色基準板352を読み取る位置に移動する。白色基準板352の読取結果に基づいてCIS321のシェーディング補正が行われる。
【0041】
CIS322は、CIS321と同様に、LED353、読取センサ354、及び白色基準板355を備える。CIS322は、CIS321と同様に動作して、搬送経路323を搬送されるシートが読取位置に到達したタイミングで、シートの下面に形成された画像を読み取る。なお、CIS321、322の他に、画像読取部231は、CCDセンサやCMOSセンサにより実現することもできる。
【0042】
本実施形態では、シートには、両面に画像形成条件を調整するための調整用画像が形成可能である。調整用画像が形成されたシートを調整用チャートという。印刷装置107は、調整用画像をシートに印刷して調整用チャートを作成し、CIS321及びCIS322により調整用画像を読み取る。CIS321及びCIS322による調整用チャートの読取結果はメモリ223に格納される。CPU222は、メモリ223を参照して、CIS321及びCIS322による読取結果を画像形成条件にフィードバックして、画像形成条件を調整する。
【0043】
例えば、印刷装置107の機内温度が上昇すると、印刷装置107の機内温度が低いときに比較してシートに形成される画像の位置が変動する。この場合、印刷装置107は、調整用チャートを作成し、CIS321、322の読取結果に基づいて変動量を取得し、変動量に基づいて機内温度が低いときと同じ位置になるように印字位置を調整する。これにより印刷装置107は、印字位置精度の安定化を図っている。
【0044】
調整用チャートに形成される調整用画像は、シートの表裏面の印字位置の調整をするための画像以外にも、画像濃度、色ずれ等の画像形成条件を調整するための画像であってもよい。画像形成条件の調整により画質が一定に維持される。調整用画像は、調整用チャートとして印刷される形式、ユーザから指示された印字ジョブに応じた画像に追加して同じシートに印刷される形式、のいずれであってもよい。本実施形態では、調整用チャートとして印刷される場合について説明する。
【0045】
調整用チャートは、印字ジョブに応じた印刷物に混入しないように除外される。そのために印刷装置107は、フラッパ324、排出経路326、搬送センサ327、及び排出トレイ328を備える。CIS321、322により画像(調整用画像)が読み取られた調整用チャートは、フラッパ324により排出経路326に搬送される。排出経路326に搬送されたシートは排出トレイ328に排出される。
【0046】
シートが調整用チャートではない場合、該シートはフラッパ324により搬送経路323から下流搬送経路325へ搬送される。下流搬送経路325に搬送されたシートは、フィニッシャ109に受け渡される。なお、印刷装置107は、フィニッシャ109から搬送ジャムの発生の通知を取得した場合に、調整用チャートであるか否かにかかわらず、フラッパ324を排出経路326側に切り替えて、機内のすべてのシート(残留紙)を排出トレイ328へ排出する。残留紙が排出トレイ328に排出されることで、ユーザによるジャム処理の負荷が軽減される。
【0047】
フィニッシャ109は、印刷装置107から受け渡された多数のシートを積載することができる。フィニッシャ109は、搬送経路331及びシートを積載するスタックトレイ332を備える。搬送経路331には、搬送センサ333、334、335、336が設けられる。印刷装置107から搬送されたシートは、搬送経路331を経由して、スタックトレイ332に積載される。搬送センサ333、334、335、336は、搬送経路331を搬送されるシートの通過を検知する。CPU242は、シートの搬送を開始してから所定時間経過してもシートの搬送方向の先端あるいは後端が搬送センサ333、334、335、336に検知されない場合、フィニッシャ109内で搬送ジャム(搬送異常)が発生したと判断する。この場合、CPU242は、印刷装置107へ搬送ジャムが発生したことを通知する。
【0048】
(自動調整の設定方法)
本実施形態の画像形成装置101は、画像形成条件の調整を印刷中に自動的に行う自動調整が設定可能となっている。
図5は、自動調整を設定するための設定画面の例示図である。設定画面は、CPU222によりディスプレイ225に表示される。ユーザは、操作部224により設定画面から自動調整を設定することができる。ユーザは、印刷の実行を指示する前に自動調整の設定を行う。
【0049】
図5(a)は、初期画面である。ユーザが初期画面からソフトキーである「応用モード」を選択すると、CPU222は、ディスプレイ225に
図5(b)の応用モードの選択画面を表示する。ユーザが応用モードの選択画面からソフトキーである「調整」を選択すると、CPU222は、ディスプレイ225に
図5(c)の自動調整の設定画面を表示する。ユーザが自動調整の設定画面からソフトキーである「設定する」を選択すると、CPU222は、ディスプレイ225に
図5(d)の調整頻度選択画面を表示する。
【0050】
ユーザが調整頻度選択画面からソフトキーである「所定間隔」を選択すると、CPU222は、ディスプレイ225に
図5(e)の調整間隔設定画面を表示する。ユーザが調整間隔設定画面のテンキーにより枚数を入力してソフトキーである「OK」を押下することで、自動調整が有効となる。
図5(e)の例では、調整間隔の枚数に10枚が設定されている。調整間隔で設定された枚数毎に調整用チャートが作成される。即ち、調整間隔で設定された枚数毎に自動調整が行われて画像形成条件が調整される。なお、ユーザが自動調整の設定画面からソフトキーである「解除する」を選択すると、自動調整が無効となる。
【0051】
自動調整が設定されると、CPU222は、ディスプレイ225に初期画面を表示する。
図5(f)は、初期画面が表示されたディスプレイ225であり、印字ボタン601及び割込ボタン602を備える。ユーザが印字ボタン601を押下すると、CPU222は、印刷を実行する。自動調整が有効である場合、CPU222は、調整間隔に設定された枚数毎に調整用チャートを作成する。自動調整が無効である場合、調整用チャートは作成されない。
【0052】
割り込み処理である割込印字ジョブの場合にも、自動調整が設定可能である。印刷中にユーザが割込ボタン602を押下することで割込印刷ジョブの設定が行われる。割込ボタン602の押下後、ユーザは、自動調整を有効にして調整間隔を所定の枚数(例えば5枚)に設定して印字ボタン601を押下する。これにより割込印字ジョブによる印刷中に5枚毎に調整用チャートが作成される。
【0053】
(印字ジョブ実行時の情報)
図6は、印字ジョブの実行時にメモリ223に格納されるジョブ情報の例示図である。ジョブ情報は、印刷ジョブ或いは割込印刷ジョブの入力に応じてCPU222によりメモリ223に格納される。
【0054】
ジョブ情報は、ジョブIDにより管理される。ジョブ情報は、給紙デッキID、調整間隔の枚数、自動調整フラグ、割込印字フラグ、及び前のジョブIDを含む。給紙デッキIDは、当該印字ジョブでシートを給紙する給紙デッキを示す。調整間隔の枚数は、調整間隔設定画面により設定された枚数である。自動調整フラグは、自動調整の設定状態を示す。例えば、自動調整が有効であれば自動調整フラグは「1」、無効であれば自動調整フラグは「0」に設定される。割込印字フラグは、当該ジョブが割込印字ジョブであるか否かを示す。例えば、割込印字ジョブであれば割込印字フラグは「1」、割込印字ジョブでなければ割込印字フラグは「0」に設定される。前のジョブIDは、当該ジョブが割込印字ジョブである場合に、割り込む前に実行されていた印字ジョブのジョブIDである。
【0055】
自動調整で調整される画像形成条件は、給紙デッキ毎に設定される。給紙デッキ毎の画像形成条件は、例えば自動調整情報としてメモリ223に格納される。
図7は、自動調整情報の例示図である。本実施形態では、自動調整により表裏レジ調整が行われる場合について説明する。
【0056】
自動調整情報は、給紙デッキIDにより、給紙デッキ毎の自動調整情報を識別される。自動調整情報は、給紙デッキ毎の表裏面レジ調整値を含む。表裏面レジ調整値は、表裏面それぞれの画像の書き出し位置を調整(オフセット)する値である。CPU222は、印刷処理の開始のタイミングで自動調整情報を読み出す。例えば、給紙デッキ301(第1給紙デッキ)からシートを給紙するジョブの場合、CPU222は、第1給紙デッキID801の表裏レジ主走査オフセット値802及び表裏レジ副走査オフセット値803を読み出して、画像の書き出し位置をオフセットする。表裏レジ主走査オフセット値802及び表裏レジ副走査オフセット値803は、調整用チャートの読取結果に基づいて更新される。
【0057】
(調整用画像)
図8は、調整用チャートの例示図である。自動調整が有効に設定されている場合に、調整間隔に設定された枚数毎に、シートに調整用画像が印刷されて調整用チャートが作成される。調整用チャートは、表面の調整用画像がCIS321により読み取られ、裏目の調整用画像がCIS322により読み取られる。CPU222は、CIS321、322による調整用チャートの読取結果から基準位置からの調整用画像のズレ量を算出して、主走査方向及び副走査方向のそれぞれの調整値(表裏レジ主走査オフセット値及び表裏レジ副走査オフセット値)を決定する。CPU222は、決定した調整値によりメモリ223の自動調整情報を更新する。例えば給紙デッキ301から給紙する場合、CPU222は、決定した調整値により、表裏レジ主走査オフセット値802及び表裏レジ副走査オフセット値803を更新する。
【0058】
(印刷処理)
図9、
図10は、印刷処理を表すフローチャートである。この印刷処理は、自動調整が有効の場合と無効の場合とにおける割込印字ジョブの扱いを示す。
【0059】
CPU222は、印字処理を開始すると、当該印字ジョブに応じたジョブ情報を取得する(S501)。CPU222は、取得したジョブ情報に含まれる給紙デッキIDに基づいて、当該給紙デッキの自動調整情報を参照して表裏面レジ主走査オフセット値及び表裏面レジ副走査オフセット値を決定する(S502)。以下、表裏面レジ主走査オフセット値及び表裏面レジ副走査オフセット値を合わせて「表裏レジ調整値」という。CPU222は、ジョブ情報の自動調整フラグにより自動調整が有効であるか否かを判断する(S503)。
【0060】
自動調整が有効である場合(S503:Y)、CPU222は、印刷する画像が調整用画像であるか否かを判断する(S504)。CPU222は、例えば既に印刷したシートの枚数が間隔枚数であるか否かにより印刷する画像が調整用画像であるか否かを判断する。
【0061】
印刷する画像が調整用画像である場合(S504:Y)、CPU222は、自動調整を行う。CPU222は、シートに調整用画像を印刷して調整用チャートを作成する。調整用チャートは、CIS321、322により調整用画像が読み取られる。CPU222は、CIS321、322から調整用画像の読取結果を取得する(S505)。CPU222は、調整用画像の読取結果に基づいて調整値を算出し、表裏レジ調整値を更新する(S506)。
印刷する画像が調整用画像ではない場合(S504:N)、CPU222は、印字ジョブに応じた画像をシートに印刷する(S511)。
【0062】
表裏レジ調整値の更新或いは画像印刷が終了すると、CPU222は、印字ジョブに応じた全ページの印刷が終了したか否かを判断する(S507)。全ページの印刷が終了した場合(S507:Y)、CPU222は、ジョブ情報の割込印字フラグがオンであるか否かを確認する(S508)。割込印字フラグがオンである場合(S508:Y)、現在のジョブが割込印字ジョブである。この場合、CPU222は、ジョブ情報により前のジョブのジョブIDを参照して、前のジョブのジョブ情報を取得する(S509)。前のジョブは、割込印字ジョブにより割り込まれたジョブである。CPU222は、前のジョブのジョブ情報に含まれる給紙デッキIDに基づいて、当該給紙デッキの自動調整情報を参照して表裏面レジ調整値を決定する(S510)。CPU222は、S503以降の処理により、前のジョブによる残りの印刷処理を行う。なお、割込印字フラグがオフである場合(S508:N)、CPU222は印刷処理を終了する。
【0063】
印字ジョブに応じた全ページの印刷が終了していない場合(S507:N)、CPU222は、次のジョブに割込印字要求があるか否かを判断する(S513)。割込印字要求がある場合(S513:Y)、CPU222は、当該割込印字ジョブのジョブ情報を取得する(S514)。CPU222は、取得したジョブ情報に含まれる給紙デッキIDに基づいて、当該給紙デッキの自動調整情報を参照して表裏面レジ調整値を決定する(S515)。CPU222は、S503以降の処理により、割込印字ジョブによる印刷処理を行う。割込印字要求がない場合(S513:N)、CPU222は、S504以降の処理により、後続の印刷処理を行う。
【0064】
次に自動調整が無効である場合の処理を説明する(
図10)。
自動調整が無効である場合(S503:N)、CPU222は、印字ジョブに応じた画像をシートに印刷する(S516)。画像印刷が終了すると、CPU222は、印字ジョブに応じた全ページの印刷が終了したか否かを判断する(S517)。全ページの印刷が終了した場合(S517:Y)、CPU222は、ジョブ情報の割込印字フラグがオンであるか否かを確認する(S518)。割込印字フラグがオンである場合(S518:Y)、現在のジョブが割込印字ジョブである。この場合、CPU222は、ジョブ情報により前のジョブのジョブIDを参照して、前のジョブのジョブ情報を取得する(S519)。前のジョブは、割込印字ジョブにより割り込まれたジョブである。CPU222は、前のジョブのジョブ情報に含まれる給紙デッキIDに基づいて、当該給紙デッキの自動調整情報を参照して表裏面レジ調整値を決定する(S520)。CPU222は、S503以降の処理により、前のジョブによる残りの印刷処理を行う。なお、割込印字フラグがオフである場合(S518:N)、CPU222は印刷処理を終了する。
【0065】
印字ジョブに応じた全ページの印刷が終了していない場合(S517:N)、CPU222は、次のジョブに割込印字要求があるか否かを判断する(S522)。割込印字要求がある場合(S522:Y)、CPU222は、当該割込印字ジョブのジョブ情報を取得する(S523)。CPU222は、割込印字ジョブと割り込まれたジョブとで同じ給紙デッキが用いられ且つ取得したジョブ情報の自動調整が有効になっているか否かを確認する(S524)。
【0066】
同じ給紙デッキが用いられ且つ自動調整が有効になっている場合(S524:Y)、CPU222は、割込印字ジョブを実行せず(S525)、実行中の印刷ジョブを継続し、S516以降の処理を行う。なお、CPU222は、この場合にディスプレイ225に警告画面を表示することで、ユーザに割込印字ジョブが実行されないことを報知してもよい。また、CPU222は、ディスプレイ225に実行中のジョブの終了後に割込印字ジョブを実行するか否かの選択画面を表示してもよい。ユーザは、選択画面に応じて、操作部224により、実行中のジョブの終了後に割込印字ジョブを実行するように指示することができる。
【0067】
同じ給紙デッキが用いられていない或いは自動調整が有効になっていない場合(S524:N)、CPU222は、取得したジョブ情報に含まれる給紙デッキIDに基づいて、当該給紙デッキの自動調整情報を参照して表裏面レジ調整値を決定する(S526)。CPU222は、S503以降の処理により、割込印字ジョブによる印刷処理を行う。つまり、割込印字ジョブは、使用する給紙デッキが実行中のジョブの給紙デッキと異なる場合や、同じ給紙デッキであっても自動調整が無効である場合に実行される。
【0068】
このように、自動調整フラグが0(無効)の印刷ジョブでは、画像印刷中は、調整用画像の印刷が挿入されないため、自動調整情報が更新されない。そのために印刷中の画像の書き出し位置に対する調整値が一定となる。また、割込印字ジョブに割り込まれても、使用している自動調整情報が割込印字ジョブにより更新される可能性がある場合には、割込印字ジョブへの切り替えが行われず、実行中の印刷ジョブが継続される。そのために自動調整値が更新されることはなく一定になる。
【0069】
本実施形態では自動調整情報として表裏レジ調整値を例に説明したが、他に画像濃度の調整値や色ずれ補正値を自動調整情報として用いる場合であっても、
図9、
図10の処理が有効である。また、割り込み処理の禁止を給紙デッキに基づいて判断しているが、これに限らず、他の印字条件を割り込み処理の禁止判断の条件としてもよい。