IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ジャパンディスプレイの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/66 20060101AFI20240304BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20240304BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALI20240304BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20240304BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20240304BHJP
   G09G 3/34 20060101ALI20240304BHJP
   G09G 3/36 20060101ALI20240304BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
H04N5/66 B
G02F1/13 505
G02F1/1368
G02F1/133 535
G02F1/133 550
G02F1/133 580
G09G3/20 670L
G09G3/34 J
G09G3/20 612T
G09G3/36
G09G3/20 680G
G09F9/00 366G
G09F9/00 336F
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020086151
(22)【出願日】2020-05-15
(65)【公開番号】P2021180460
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高畑 昌志
【審査官】佐野 潤一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-054520(JP,A)
【文献】特開2006-235308(JP,A)
【文献】特開2016-139077(JP,A)
【文献】特開2008-191611(JP,A)
【文献】特開2011-160282(JP,A)
【文献】特開2010-165269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/66
G02F 1/13
G09G 3/00-5/00
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素が設けられた表示領域を有する表示パネルと、
複数の温度センサと、
前記表示パネル及び前記複数の温度センサの動作を制御する制御ICと、を備え、
前記複数の温度センサが配置される複数の温度検出領域は、前記表示領域と重なるよう設けられ、
前記制御ICは、
前記表示パネルの動作を制御する表示制御部と、
前記温度センサの動作に係る処理を行う温度検出制御部と、
前記表示パネルを照明する光源部の動作を制御する光源制御部と、を含み、
前記複数の温度検出領域の各々と重なる部分領域単位で前記表示領域を制御可能に設けられ、
第1温度以上の温度が前記複数の温度検出領域のうち1つ以上で検出された場合、所定の異常対応処理を行い、
前記表示パネルの信号線及び前記表示パネルの走査線の少なくとも一方ならびに前記複数の温度センサは、前記制御ICに接続されており、
前記異常対応処理は、第1処理と、第2処理と、第3処理とのうち1つ以上を含み、
前記第1処理は、前記表示パネルの表示更新頻度を前記第1温度以上の温度が検出される前よりも低減させる処理であり、
前記第2処理は、前記制御ICに含まれる少なくとも一部の機能の動作周波数を前記第1温度以上の温度が検出される前よりも低下させる処理であり、
前記第3処理は、前記表示パネルを照明する光の輝度を前記第1温度以上の温度が検出される前よりも低減させる処理であり、
前記温度検出制御部は、前記異常対応処理が行われていない場合の単位時間あたりの温度検出頻度に比して、前記異常対応処理が行われている場合の前記単位時間あたりの温度検出頻度を上げる
表示装置。
【請求項2】
前記第1温度よりも高い第2温度以上の温度が前記複数の温度検出領域のうち1つ以上で検出された場合、前記異常対応処理は、第4処理と、第5処理と、第6処理とのうち1つ以上を含み、
前記第4処理は、前記表示パネルの表示更新頻度を前記第1処理よりもさらに低減させる処理であり、
前記第5処理は、前記制御ICに含まれる少なくとも一部の機能の動作周波数を前記第2処理よりもさらに低下させる処理であり、
前記第6処理は、前記表示パネルを照明する光の輝度を前記第3処理よりもさらに低減させる処理である
請求項に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第3処理及び前記第6処理は、前記第1温度以上の温度が検出された温度検出領域と重なる前記部分領域単位で行われる
請求項に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1処理及び前記第4処理は、前記第1温度以上の温度が検出された温度検出領域と重なる前記部分領域に設けられている走査線を共有する前記部分領域単位で行われる
請求項又はに記載の表示装置。
【請求項5】
複数の画素が設けられた表示領域を有する表示パネルと、
複数の温度センサと、
前記表示パネル及び前記複数の温度センサの動作を制御する制御ICと、を備え、
前記複数の温度センサが配置される複数の温度検出領域は、前記表示領域と重なるよう設けられ、
前記制御ICは、
前記表示パネルの動作を制御する表示制御部と、
前記温度センサの動作に係る処理を行う温度検出制御部と、
前記表示パネルを照明する光源部の動作を制御する光源制御部と、を含み、
前記複数の温度検出領域の各々と重なる部分領域単位で前記表示領域を制御可能に設けられ、
第1温度以上の温度が前記複数の温度検出領域のうち1つ以上で検出された場合、所定の異常対応処理を行い、
前記表示パネルの信号線及び前記表示パネルの走査線の少なくとも一方ならびに前記複数の温度センサは、前記制御ICに接続されており、
前記異常対応処理は、第1処理と、第2処理と、第3処理とのうち1つ以上を含み、
前記第1処理は、前記表示パネルの表示更新頻度を前記第1温度以上の温度が検出される前よりも低減させる処理であり、
前記第2処理は、前記制御ICに含まれる少なくとも一部の機能の動作周波数を前記第1温度以上の温度が検出される前よりも低下させる処理であり、
前記第3処理は、前記表示パネルを照明する光の輝度を前記第1温度以上の温度が検出される前よりも低減させる処理であり、
前記第1温度よりも高い第2温度以上の温度が前記複数の温度検出領域のうち1つ以上で検出された場合、前記異常対応処理は、第4処理と、第5処理と、第6処理とのうち1つ以上を含み、
前記第4処理は、前記表示パネルの表示更新頻度を前記第1処理よりもさらに低減させる処理であり、
前記第5処理は、前記制御ICに含まれる少なくとも一部の機能の動作周波数を前記第2処理よりもさらに低下させる処理であり、
前記第6処理は、前記表示パネルを照明する光の輝度を前記第3処理よりもさらに低減させる処理であり、
前記第1処理及び前記第4処理は、前記第1温度以上の温度が検出された温度検出領域と重なる前記部分領域に設けられている走査線を共有する前記部分領域単位で行われる
表示装置。
【請求項6】
前記第3処理及び前記第6処理は、前記第1温度以上の温度が検出された温度検出領域と重なる前記部分領域単位で行われる
請求項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記温度検出制御部は、第1温度以上の温度が前記複数の温度検出領域のうち1つの温度検出領域で検出された場合、前記表示パネルによる画像の表示が行われないブランキング期間と前記複数の画素に画素信号が書き込まれる書き込み期間に前記1つの温度検出領域における温度検出を行う
請求項から6のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項8】
複数の画素が設けられた表示領域を有する表示パネルと、
複数の温度センサと、
前記表示パネル及び前記複数の温度センサの動作を制御する制御ICと、を備え、
前記複数の温度センサが配置される複数の温度検出領域は、前記表示領域と重なるよう設けられ、
前記制御ICは、
前記表示パネルの動作を制御する表示制御部と、
前記温度センサの動作に係る処理を行う温度検出制御部と、
前記表示パネルを照明する光源部の動作を制御する光源制御部と、を含み、
前記複数の温度検出領域の各々と重なる部分領域単位で前記表示領域を制御可能に設けられ、
第1温度以上の温度が前記複数の温度検出領域のうち1つ以上で検出された場合、所定の異常対応処理を行い、
前記表示パネルの信号線及び前記表示パネルの走査線の少なくとも一方ならびに前記複数の温度センサは、前記制御ICに接続されており、
前記異常対応処理は、第1処理と、第2処理と、第3処理とのうち1つ以上を含み、
前記第1処理は、前記表示パネルの表示更新頻度を前記第1温度以上の温度が検出される前よりも低減させる処理であり、
前記第2処理は、前記制御ICに含まれる少なくとも一部の機能の動作周波数を前記第1温度以上の温度が検出される前よりも低下させる処理であり、
前記第3処理は、前記表示パネルを照明する光の輝度を前記第1温度以上の温度が検出される前よりも低減させる処理であり、
前記温度検出制御部は、第1温度以上の温度が前記複数の温度検出領域のうち1つの温度検出領域で検出された場合、前記表示パネルによる画像の表示が行われないブランキング期間と前記複数の画素に画素信号が書き込まれる書き込み期間に前記1つの温度検出領域における温度検出を行う
表示装置。
【請求項9】
前記温度検出制御部は、前記1つの温度検出領域における温度検出を1秒間あたり1回以上120回以下の回数行う
請求項7又は8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記温度検出制御部は、第1温度以上の温度が前記複数の温度検出領域のうち2つ以上の温度検出領域で検出された場合、前記表示パネルによる画像の表示が行われないブランキング期間に前記2つ以上の温度検出領域における温度検出を行う
請求項から9のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記温度検出制御部は、前記2つ以上の温度検出領域における温度検出を1秒間あたり1回以上60回以下の回数行う
請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記第1温度は、摂氏50度以上の温度である
請求項1から11のいずれか一項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス等の透光性を有する部材に対して画像を投影する所謂ヘッドアップディスプレイ(HUD:Head Up Display)が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-210328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術によると、太陽の光が光学系を介して表示装置に入射することがある。光学系により集光された太陽の光が表示装置に当たると、光が当たった場所が高温になって表示装置に悪影響を与えることがある。従って、温度上昇に対応可能とする仕組みが求められていた。
【0005】
また、単に温度検出機能を表示装置に追加した場合、表示出力機能に対応する回路と温度検出機能に対応する回路とが別個で設けられ、それぞれに配線が接続される。さらに、温度上昇に対応した表示制御を行うため、表示出力機能に対応する回路と温度検出機能に対応する回路との間での信号伝送経路も必要になる。温度上昇に対応した表示制御を外部の制御装置に依存して表示装置側における当該制御機能を省略したとしても、各回路からのフィードバックを当該制御装置に行う必要がある。当該制御機能を表示装置側に設けるならば、さらに当該制御機能を担う回路が必要になる。従って、いずれの場合においても、このような表示装置には、回路及び配線の増大による複雑化や配線基板の高コスト化が生じる。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、温度上昇に対応でき、配線の増加を抑制可能な表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、表示装置は、複数の画素が設けられた表示領域を有する表示パネルと、複数の温度センサと、前記表示パネル及び前記複数の温度センサの動作を制御する制御ICと、を備え、前記複数の温度センサが配置される複数の温度検出領域は、前記表示領域と重なるよう設けられ、前記制御ICは、前記複数の温度検出領域の各々と重なる部分領域単位で前記表示領域を制御可能に設けられ、前記表示パネルの信号線及び前記表示パネルの走査線の少なくとも一方ならびに前記複数の温度センサは、前記制御ICに接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、HUD装置を模式的に説明する説明図である。
図2図2は、実施形態のHUD装置の主要構成を模式的に説明する説明図である。
図3図3は、表示パネルの画素を説明する説明図である。
図4図4は、実施形態の第1温度検出用配線の配置を説明するための平面図である。
図5図5は、実施形態の第2温度検出用配線の配置を説明するための平面図である。
図6図6は、第1温度検出用配線と第2温度検出用配線とを重ね合わせた位置を説明するための平面図である。
図7図7は、温度検出用電極の配置を説明するための平面図である。
図8図8は、図4に示す表示パネルの模式的なV-V’断面を示す断面図である。
図9図9は、図4に示す表示パネルの模式的なXVII-XVII’断面を示す断面図である。
図10図10は、図5に示す表示パネルの模式的なXIV-XIV’断面を示す断面図である。
図11図11は、DDICの構成例及びDDICに接続される入出力線の一例を示すブロック図である。
図12図12は、表示領域と、複数の温度検出領域との関係を示す模式図である。
図13図13は、1つの温度検出用配線の温度に対する抵抗変化率を示す図である。
図14図14は、温度検出領域単位での温度検出信号が示す温度と、温度の閾値との関係の一例を示す模式的なグラフである。
図15図15は、温度検出及び温度検出に対応した処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図16図16は、異常対応処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図17図17は、異常温度が検出された部分領域の数に応じた表示制御に係る異常対応処理の分岐の流れの一例を示すフローチャートである。
図18図18は、異常温度が検出された部分領域の数に応じた光源制御に係る異常対応処理の分岐の流れの一例を示すフローチャートである。
図19図19は、温度検出機能のON/OFF制御に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図20図20は、検出領域と、検出タイミングと、検出頻度との関係の一例を示す表である。
図21図21は、フレーム期間に含まれるブランキング期間、書き込み期間及び光源点灯期間と温度検出タイミングとの関係の一例を示すタイムチャートである。
図22図22は、フレーム期間に含まれるブランキング期間、書き込み期間及び光源点灯期間と温度検出タイミングとの関係の他の一例を示すタイムチャートである。
図23図23は、フレーム期間に含まれるブランキング期間、書き込み期間及び光源点灯期間と温度検出タイミングとの関係の他の一例を示すタイムチャートである。
図24図24は、フレーム期間に含まれるブランキング期間、書き込み期間及び光源点灯期間と温度検出タイミングとの関係の他の一例を示すタイムチャートである。
図25図25は、フレーム期間に含まれるブランキング期間、書き込み期間及び光源点灯期間と温度検出タイミングとの関係の他の一例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本開示が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、開示の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
図1は、HUD装置1を模式的に説明する説明図である。HUD装置1は、光源部6、拡散板9、表示パネル2、表示パネル2からの画像を拡大して投影板WSへ投影する光学系RMと、を備える。
【0011】
筐体4は、光源装置として機能する光源部6、光源部6からの光Lを光源として画像を出力する表示パネル2、表示パネル2と光源部6との間に設けられる拡散板9と、光学系RMとを収容する。
【0012】
光源部6から発せられた光Lは、拡散板9により拡散されて表示パネル2を経ることで一部又は全部が透過し、画像の光となる。実施形態のHUD装置1では、ミラー部材RM1と、ミラー部材RM2とを含む光学系RMは、表示パネル2を通った後の光Lを投影板WSへ導いている。ミラー部材RM1は、平面鏡であり、ミラー部材RM2は、凹面鏡である。ミラー部材RM1は、凹面鏡であってもよい。また、ミラー部材RM2は、平明鏡であってもよい。光学系RMはこれに限られず、光学系RMが、ミラー部材の枚数は1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0013】
光学系RMを通過した画像の光は、投影板WSにより反射されてユーザHに到達することで、ユーザHの視界内で画像VIとして認識される。すなわち、実施形態のHUD装置1は、投影板WSへ画像を投影する表示システムとして機能する。投影板WSは、ユーザHの視線上に位置する透光性を有する部材であればよい。投影板WSは、例えば車両のフロントガラス、ウインドシールド、またはフロントガラスとは別体に設けられたコンバイナーと呼ばれる透光性の板部材である。
【0014】
図2は、実施形態のHUD装置1の主要構成を模式的に説明する説明図である。図3は、表示パネル2の画素を説明する説明図である。図4は、実施形態の第1温度検出用配線の配置を説明するための平面図である。図5は、実施形態の第2温度検出用配線の配置を説明するための平面図である。図6は、第1温度検出用配線と第2温度検出用配線とを重ね合わせた位置を説明するための平面図である。図7は、温度検出用電極の配置を説明するための平面図である。図8は、図5に示す表示パネル2の模式的なV-V’断面を示す断面図である。図9は、図4に示す表示パネル2の模式的なXVII-XVII’断面を示す断面図である。図10は、図5に示す表示パネル2の模式的なXIV-XIV’断面を示す断面図である。
【0015】
実施形態の表示パネル2は、光Lを光源として画像を出力する透過型の液晶ディスプレイである。表示パネル2は、表示パネルとも呼ばれる。図2に示すように、表示パネル2の表示領域AAには、画素VPixがマトリクス状に多数配置されている。以下、マトリクス状と記載した場合、第1方向Dxと第2方向Dyとの一方を行とし、他方を列とした行列方向に対応するマトリクス状をさす。
【0016】
図3に示す画素VPixは、複数の副画素SPixを有している。副画素SPixには、それぞれスイッチング素子Tr及び液晶容量8aがある。スイッチング素子Trは、薄膜トランジスタにより構成されるものであり、この例では、nチャネルのMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFTで構成されている。画素電極PEと共通電極CEとの間に絶縁層24が設けられ、これらによって図3に示す保持容量8bが形成される。
【0017】
第1基板10(図8参照)には、図3に示す各副画素SPixのスイッチング素子Tr、信号線SGL、走査線GCL等が形成されている。信号線SGLは、図8に示す各画素電極PEに画素信号を供給するための配線である。走査線GCLは、各スイッチング素子Trを駆動する駆動信号を供給するための配線である。信号線SGL及び走査線GCLは、図8に示す第1基板10の表面と平行な平面に延出する。
【0018】
図3に示すように、信号線SGL及び走査線GCLに沿うように遮光層BMが形成されている。なお、図3では、スイッチング素子Trの電気的な接続が示されているが、実際には遮光層BMは、スイッチング素子Trにも重畳している。副画素SPixは、遮光層BMで囲まれた開口を有しており、図3に示す各副画素SPixの開口に、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色に着色されたカラーフィルタCFR、CFG、CFBが1組として対応付けられる。そして、3色のカラーフィルタCFR、CFG、CFBに対応する副画素SPixを1組として画素VPixが構成される。なお、カラーフィルタは、4色以上の色領域を含んでいてもよい。
【0019】
図2に示すように、複数の第1温度検出用配線SMX及び第2温度検出用配線SMYが配列している。第1温度検出用配線SMX及び第2温度検出用配線SMYの両端子が引き出され、DDIC(Display Driver Integrated Circuit)19の温度検出制御部120に電気的に接続されている。DDIC19は、所謂1チップIC(Integrated Circuit)としてパッケージングされた1つの回路である。
【0020】
次に、表示パネル2の構成例を詳細に説明する。図8に示すように、表示パネル2は、アレイ基板SUB1と、対向基板SUB2と、表示機能層としての液晶層LCとを備える。対向基板SUB2は、アレイ基板SUB1の表面に垂直な方向に対向して配置される。液晶層LCはアレイ基板SUB1と対向基板SUB2との間に設けられる。
【0021】
なお、実施形態において、対向基板SUB2の第1基板10の表面に垂直な方向において、第1基板10から対向基板SUB2の第2基板20に向かう方向を「上側」とする。また、第2基板20から第1基板10に向かう方向を「下側」とする。
【0022】
アレイ基板SUB1は、第1基板10と、画素電極PEと、共通電極CEと、偏光板PL1とを有する。第1基板10には、TFT(Thin Film Transistor)等のスイッチング素子Trや、走査線GCL、信号線SGL等の各種配線(図8では省略して示す)が設けられる。
【0023】
共通電極CEは、第1基板10の上側に設けられる。画素電極PEは、絶縁層24を介して共通電極CEの上側に設けられる。画素電極PEは、共通電極CEとは異なる層に設けられ、平面視で、共通電極CEと重畳して配置される。また、画素電極PEは、平面視でマトリクス状に複数配置される。偏光板PL1は、接着層66を介して第1基板10の下側に設けられる。画素電極PE及び共通電極CEは、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)等の透光性を有する導電性材料が用いられる。なお、実施形態では、画素電極PEが共通電極CEの上側に設けられる例について説明したが、共通電極CEが画素電極PEの上側に設けられていてもよい。
【0024】
また、第1基板10には、DDIC19と、フレキシブル基板71が設けられる。フレキシブル基板71は、制御装置110に接続される(図11参照)。
【0025】
対向基板SUB2は、第2基板20と、第2基板20の一方の面に形成された遮光層BMと、第2基板20の他方の面に設けられたシールド導電層51と、温度検出用配線SMと、保護層38と、保護層39と、偏光板PL2とを有する。図9及び図10に示すように、カラーフィルタCFR、CFG、CFBも、遮光層BMと同様に、第2基板20の一方の面に形成される。
【0026】
図9図10に示すように、第1温度検出用配線SMX及び第2温度検出用配線SMYは、第2基板20の上に複数配列されている。図8に示すように、第2基板20にはフレキシブル基板72が接続されている。第1温度検出用配線SMX及び第2温度検出用配線SMYは、端子部36を介して、フレキシブル基板72に電気的に接続される。なお、第1温度検出用配線SMX及び第2温度検出用配線SMYの詳細な構成については後述する。
【0027】
保護層38は、第1温度検出用配線SMXを保護するための絶縁層である。保護層39は、第2温度検出用配線SMYを保護するための絶縁層である。保護層38,39は、アクリル系樹脂等の透光性の樹脂を用いることができる。保護層39の上には、シールド導電層51が形成されている。言い換えると、複数の第1温度検出用配線SMX及び第2温度検出用配線SMYと、シールド導電層51とは、第2基板31の上方にあり、複数の第1温度検出用配線SMX及び第2温度検出用配線SMYは、シールド導電層51の下方に積層される。保護層39は、シールド導電層51と、第2温度検出用配線SMYとを電気的に絶縁している。保護層38は、第2温度検出用配線SMYと、第1温度検出用配線SMXとを電気的に絶縁している。
【0028】
シールド導電層51は、それぞれ透光性導電層であり、例えば、ITO、IZO(Indium Zinc Oxide)、SnO、有機導電膜などで形成される。シールド導電層51は、酸化スズ(SnO)及び二酸化ケイ素(SiO)を主成分とする酸化物層や、酸化ガリウム(Ga)、酸化インジウム(In)及び酸化スズ(SnO2)を主成分とする酸化物層や、ITOを主材料としケイ素(Si)を含有する透光性の導電層等を用いてもよい。図9及び図10に示すように、シールド導電層51の上に、偏光板PL2が設けられている。
【0029】
偏光板PL1を含む第1光学素子OD1は、第1基板10の外面、あるいは、光源部6(図2参照)と対向する面に配置される。偏光板PL2を含む第2光学素子OD2は、第2基板20の外面、あるいは、観察位置側の面に配置される。偏光板PL1の第1偏光軸及び偏光板PL2の第2偏光軸は、平面視においてクロスニコルの位置関係にある。なお、第1光学素子OD1及び第2光学素子OD2は、位相差板などの他の光学層を含んでいてもよい。
【0030】
第1基板10と第2基板20とは所定の間隔を設けて配置される。第1基板10と第2基板20との間の空間は、シール部69により封止される。第1基板10、第2基板20、及びシール部69によって囲まれた空間に液晶層LCが設けられる。液晶層LCは、通過する光を電界の状態に応じて変調するものであり、例えば、FFS(Fringe Field Switching:フリンジフィールドスイッチング)を含むIPS(In-Plane Switching:インプレーンスイッチング)等の横電界モードの液晶が用いられる。なお、図8に示す液晶層LCとアレイ基板SUB1との間、及び液晶層LCと対向基板SUB2との間には、図示を省略した配向膜がそれぞれ配設される。実施形態では、画素電極PEと共通電極CEとの間に発生する横電界により、液晶層LCが駆動される。
【0031】
第1基板10の下側には、図1及び図2に示す光源部6が設けられる。光源部6からの光は、アレイ基板SUB1を通過して、その位置の液晶の状態により変調され、表示面への透過状態が場所によって変化する。これにより、表示パネル2の表示領域AAに画像が表示される。
【0032】
次に、図9に示すXVII-XVII’断面及び図10に示すXIV-XIV’断面について、詳細に説明する。図9及び図10において、アレイ基板SUB1は、ガラス基板や樹脂基板などの透光性及び絶縁性を有する第1基板10を基体としている。アレイ基板SUB1は、第1基板10の対向基板SUB2と対向する側に、第1絶縁層11、第2絶縁層12、第3絶縁層13、信号線SGL、画素電極PE、共通電極CE、第1配向膜AL1などを備えている。
【0033】
第1基板10上に、図9及び図10の断面では現れないが、走査線GCL及びスイッチング素子Tr(図3参照)のゲート電極が設けられ、図9及び図10に示す第1絶縁層11が走査線GCL及びゲート電極を覆う。なお、第1絶縁層11、走査線GCL及びゲート電極の下に、さらにシリコン酸化物やシリコン窒化物などの透光性を有する無機系材料によって形成されている絶縁層があってもよい。
【0034】
第1絶縁層11上には、図9及び図10の断面では現れないが、スイッチング素子Trの半導体層が積層されている。半導体層は、例えば、アモルファスシリコンによって形成されているが、ポリシリコン又は酸化物半導体によって形成されていてもよい。
【0035】
図9及び図10に示すように、第2絶縁層12は、信号線SGLを覆っている。第2絶縁層12は、例えばアクリル樹脂などの透光性を有する樹脂材料によって形成され、無機系材料によって形成された他の絶縁膜と比べて厚い膜厚を有している。ただし、第2絶縁層12については無機系材料によって形成されたものであってもよい。
【0036】
また、図9及び図10の断面では現れないが、第2絶縁層12上には、半導体層の一部を覆うスイッチング素子Trのソース電極と、半導体層の一部を覆うスイッチング素子Trのドレイン電極とが設けられている。ドレイン電極は、信号線SGLと同じ材料で形成されている。スイッチング素子Tr(図4参照)の半導体層の上には、第3絶縁層13が設けられている。以上説明したスイッチング素子Trは、ボトムゲート型であるが、トップゲート型であってもよい。
【0037】
共通電極CEは、第2絶縁層12の上に位置している。また、図9及び図10において、共通電極CEは、第3絶縁層13を介して信号線SGLと対向している。第3絶縁層13は、例えば、シリコン酸化物やシリコン窒化物などの透光性を有する無機系材料によって形成されている。
【0038】
共通電極CEは、第3絶縁層13によって覆われている。第3絶縁層13は、例えば、シリコン酸化物やシリコン窒化物などの透光性を有する無機系材料によって形成されている。
【0039】
画素電極PEは、第3絶縁層13の上に位置し、第3絶縁層13を介して共通電極CEと対向している。画素電極PE及び、共通電極CEは、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)などの透光性を有する導電材料によって形成されている。画素電極PEは、第1配向膜AL1によって覆われている。第1配向膜AL1は、第3絶縁層13も覆っている。
【0040】
対向基板SUB2は、ガラス基板や樹脂基板などの透光性及び絶縁性を有する第2基板20を基体としている。対向基板SUB2は、第2基板20のアレイ基板SUB1と対向する側に、遮光層BM、カラーフィルタCFR、CFG、CFB、オーバーコート層OC、第2配向膜AL2などを備えている。
【0041】
図9及び図10に示すように、遮光層BMは、第2基板20のアレイ基板SUB1と対向する側に位置している。そして、図9及び図10に示すように、遮光層BMは、画素電極PEとそれぞれ対向する開口部APを規定している。遮光層BMは、黒色の樹脂材料や、遮光性の金属材料によって形成されている。
【0042】
カラーフィルタCFR、CFG、CFBのそれぞれは、第2基板20のアレイ基板SUB1と対向する側に位置し、それぞれの端部が遮光層BMに重なっている。一例では、カラーフィルタCFR、CFG、CFBは、それぞれ青色、赤色、緑色に着色された樹脂材料によって形成されている。
【0043】
オーバーコート層OCは、カラーフィルタCFR、CFG、CFBを覆っている。オーバーコート層OCは、透光性を有する樹脂材料によって形成されている。第2配向膜AL2は、オーバーコート層OCを覆っている。第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2は、例えば、水平配向性を示す材料によって形成されている。
【0044】
対向基板SUB2は、遮光層BM、カラーフィルタCFR、CFG、CFBなどを備えている。遮光層BMは、図3に示した走査線GCL、信号線SGL、スイッチング素子Trなどの配線部と対向する領域に配置されている。
【0045】
図9及び図10において、対向基板SUB2は、3色のカラーフィルタCFR、CFG、CFBを備えていたが、青色、赤色、及び、緑色とは異なる他の色、例えば白色、透明、イエロー、マゼンタ、シアンなどのカラーフィルタを含む4色以上のカラーフィルタを備えていてもよい。また、これらのカラーフィルタCFR、CFG、CFBは、アレイ基板SUB1に備えられていてもよい。
【0046】
上述したアレイ基板SUB1及び対向基板SUB2は、第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2が向かい合うように配置されている。液晶層LCは、第1配向膜AL1と第2配向膜AL2との間に封入されている。液晶層LCは、誘電率異方性が負のネガ型液晶材料、あるいは、誘電率異方性が正のポジ型液晶材料によって構成されている。
【0047】
アレイ基板SUB1が光源部6(図1参照)と対向し、対向基板SUB2が表示面側に位置する。光源部6としては、種々の形態のものが適用可能であるが、一例としては、マトリクス状に配置された複数のLED(Light Emitting Diode)が光源61として設けられた構成が挙げられる。複数の光源61は、少なくとも、後述する部分領域単位で点灯強度及び点灯タイミングを個別に制御可能に設けられる。複数の光源61は、より細かい制御単位で点灯強度及び点灯タイミングを個別に制御可能に設けられてもよい。
【0048】
例えば、液晶層LCがネガ型液晶材料である場合であって、液晶層LCに電圧が印加されていない状態では、液晶分子LMは、図4に示すDx-Dy平面内において、その長軸が第1方向Dxに沿う方向に初期配向している。一方、液晶層LCに電圧が印加された状態、つまり、画素電極PEと共通電極CEとの間に電界が形成されたオン時において、液晶分子LMは、電界の影響を受けてその配向状態が変化する。オン時において、入射した直線偏光は、その偏光状態が液晶層LCを通過する際に液晶分子LMの配向状態に応じて変化する。
【0049】
実施形態の表示パネル2は、第1方向Dxに導電性細線33が延びる第1温度検出用配線SMX(図4参照)と、第2方向Dyに導電性細線33が延びる第2温度検出用配線SMY(図5参照)とを有している。
【0050】
まず、第1温度検出用配線SMXについて詳細に説明する。図4に示すように、第1温度検出用配線SMXは、複数の導電性細線33と、第1連結配線34aと、第2連結配線34bとを有している。複数の導電性細線33の一端は、第1連結配線34aで電気的に接続されており、複数の導電性細線33の他端は、第1連結配線34aで電気的に接続されている。
【0051】
導電性細線33は、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、チタン(Ti)及びタングステン(W)から選ばれた1種以上の金属層で形成される。又は、導電性細線33は、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、チタン(Ti)及びタングステン(W)から選ばれた1種以上を含む合金の金属層で形成される。導電性細線33は、例えば、AlNd、AlCu、AlSi、AlSiCuなどのアルミニウム合金を用いることができる。また、導電性細線33は、上述した金属材料又は上述した材料の1種以上を含む合金の導電層が複数積層された積層体としてもよい。
【0052】
図9及び図10に示す導電性細線33(第1温度検出用配線SMX)の幅Wsmは、長手方向に直交する長さであり、例えば、1μm以上10μm以下であることが好ましく、さらに1μm以上5μm以下の範囲にあることがより好ましい。幅Wsmが10μm以下であると、遮光部層の幅Wbmよりも小さくできるため、開口率を損なう可能性が低くなるからである。また、幅Wsmが1μm以上であると、導電性細線33(第1温度検出用配線SMX)の形状が安定し、断線する可能性が低くなるからである。
【0053】
複数の第1連結配線34aには、それぞれ第1配線37aが接続される。また複数の第2連結配線34bには、それぞれ第2配線37bが接続される。つまり、実施形態において、第1温度検出用配線SMXの一端側に第1配線37aが接続され、他端側に第2配線37bが接続される。第1配線37aは、周辺領域FRに沿って設けられる。また、第2配線37bは、周辺領域FRに沿って設けられる。
【0054】
1つの第1温度検出用配線SMXに接続された第1配線37aと第2配線37bとは、それぞれ別の端子部36に接続される。つまり、第1温度検出用配線SMXの一端に接続された第1配線37aと、第1温度検出用配線SMXの他端である第2配線37bとは、それぞれ端子部36を介して、フレキシブル基板72に引き出される。第1温度検出用配線SMXの第1配線37aと、第1温度検出用配線SMXの第2配線37bとは、フレキシブル基板72を介して、温度検出制御部120に電気的に接続されている。温度検出制御部120において、第1温度検出用配線SMXの一端に接続された第1配線37aと、第1温度検出用配線SMXの他端である第2配線37bとの間で、温度変化に応じて変化する抵抗変化が検出される。抵抗変化は、定電流に対する電圧の変化としてアナログ的に検出可能である。当該アナログ的な電圧の変化は、後述するA/D変換でデジタルの信号に変換される。
【0055】
第1配線37a及び第2配線37bは、導電性細線33に用いられる金属材料、或いは合金等と同じ材料を用いることができる。また、第1配線37a及び第2配線37bは、良好な導電性を有する材料であればよく、導電性細線33と異なる材料が用いられてもよい。
【0056】
複数の導電性細線33の一端は、第1連結配線34aで連結されて電気的に接続される。複数の導電性細線33の他端は、第2連結配線34bで連結されて電気的に接続される。第1配線37aは、第1連結配線34aに電気的に接続され、第2配線37bは、第2連結配線34bに電気的に接続される。この構成により、第1温度検出用配線SMXは、所定の面積の範囲で、表示領域AAの部分的な発熱状態を検出することができる。第1温度検出用配線SMXは、導電性細線33の数に応じて、抵抗値が調整される。
【0057】
平面視において、導電性細線33は、遮光層BMと重なる位置に配置されている。図9に示すように、導電性細線33は、遮光層BMに沿って、第1方向に延びる。なお、導電性細線33の平面形状は、直状の金属細線に限定されず、例えば、平面視で信号線SGLがジグザグ線状或いは、波線状である場合、導電性細線33の平面形状は、信号線SGLの形状に沿って、ジグザグ線状或いは、波線状の構成であってもよい。
【0058】
図4に示すように、隣り合う第1温度検出用配線SMXの間のスリットSPの第2方向Dyの幅は、隣り合う導電性細線33の間隔と同じことが望ましい。これにより、導電性細線33の間隔が面内で揃うので、意図しない回折光が抑制される。
【0059】
図9では、導電性細線33に重なる遮光層BMから導電性細線33に重なる遮光層BMまでの間には、導電性細線33に重ならない遮光層BMが8つある。第1配線37a又は第2配線37bに電気的に接続しないダミーの導電性細線を備え、ダミー導電性細線が、導電性細線33に重ならない遮光層BMに重畳するようにしてもよい。
【0060】
シールド導電層51(図8参照)は、表示パネル2の製造時及び使用時における静電気抑制のために設けられる。シールド導電層51を設けない場合、外部から静電気などの電磁ノイズが侵入すると、導電性細線33がない領域があるため、電磁ノイズの抑制効果が十分でない可能性がある。
【0061】
シールド導電層51は、第2基板20のほぼ全面に形成され、表示領域AAの全面及び周辺領域FRに亘って設けられている。すなわち、シールド導電層51は、第1方向Dx-第2方向Dy視点で導電性細線33が設けられている部分では導電性細線33と重畳する。また、シールド導電層51は、第1方向Dx-第2方向Dy視点で導電性細線33が設けられている部分では導電性細線33と重畳しない。
【0062】
また、シールド導電層51は、第2基板20(図8参照)の端部まで配置されることが好ましい。さらに、シールド導電層51は、周辺領域FRから、導電テープ等により、電源やグラウンドなどの固定電位に電気的に接続されている。
【0063】
シールド導電層51は、第1連結配線34a、第2連結配線34b、第1配線37a及び第2配線37bと重畳する位置に設けられていることが好ましい。シールド導電層51の平面視での面積は、導電性細線33の合計の面積よりも大きい。
【0064】
次に、第2温度検出用配線SMYについて詳細に説明する。図5に示すように、第2温度検出用配線SMYは、複数の導電性細線33と、第3連結配線34cと、第4連結配線34dとを有している。導電性細線33は、第2方向Dyに延びて、表示領域AAに重なっている。複数の導電性細線33の一端は、第3連結配線34cで電気的に接続されており、複数の導電性細線33の他端は、第4連結配線34dで電気的に接続されている。
【0065】
図5に示すように、隣り合う第2温度検出用配線SMYの間のスリットSPBの第1方向Dxの幅は、隣り合う導電性細線33の間隔と同じことが望ましい。これにより、導電性細線33の間隔が面内で揃うので、意図しない回折光が抑制される。
【0066】
複数の第3連結配線34cには、それぞれ第3配線37cが接続される。また複数の第4連結配線34dには、それぞれ第4配線37dが接続される。つまり、実施形態において、第2温度検出用配線SMYの一端側に第3配線37cが接続され、他端側に第4配線37dが接続される。第3配線37cは、周辺領域FRに沿って設けられる。また、第4配線37dは、周辺領域FRに沿って設けられる。
【0067】
1つの第2温度検出用配線SMYに接続された第3配線37cと第4配線37dとは、それぞれ別の端子部36に接続される。つまり、第2温度検出用配線SMYの一端に接続された第3配線37cと、第2温度検出用配線SMYの他端である第4配線37dとは、それぞれ端子部36を介して、フレキシブル基板72に引き出される。第2温度検出用配線SMYの第3配線37cと、第2温度検出用配線SMYの第4配線37dとは、フレキシブル基板72を介して、温度検出制御部120に電気的に接続されている。温度検出制御部120において、第2温度検出用配線SMYの一端に接続された第3配線37cと、第2温度検出用配線SMYの他端である第4配線37dとの間で、温度変化に応じて変化する抵抗変化が検出される。
【0068】
第3配線37c及び第4配線37dは、導電性細線33に用いられる金属材料、或いは合金等と同じ材料を用いることができる。また、第3配線37c及び第4配線37dは、良好な導電性を有する材料であればよく、導電性細線33と異なる材料が用いられてもよい。
【0069】
複数の導電性細線33の一端は、第3連結配線34cで連結されて電気的に接続される。複数の導電性細線33の他端は、第4連結配線34dで連結されて電気的に接続される。第3配線37cは、第3連結配線34cに電気的に接続され、第4配線37dは、第4連結配線34dに電気的に接続される。この構成により、第2温度検出用配線SMYは、所定の面積の範囲で、表示領域AAの部分的な発熱状態を検出することができる。第2温度検出用配線SMYは、導電性細線33の数に応じて、抵抗値が調整される。
【0070】
図6に示すように、第1温度検出用配線SMXと、第2温度検出用配線SMYとを平面視で重ね合わせると、1つの第1温度検出用配線SMXと、1つの第2温度検出用配線SMYとが立体交差する温度検出領域SMができる。温度検出領域SMは、マトリクス状に配置される。この構成により、実施形態の表示パネル2では、表示領域AAに集光される太陽光LLの位置をより細かく把握できるようになる。このように、温度検出領域SMを形成し、複数の温度センサとして機能する第1温度検出用配線SMXと第2温度検出用配線SMYとを含む構成は、温度検出部30として機能する。
【0071】
図9及び図10に示すように、保護層38の上には、第2温度検出用配線SMYが形成されており、第2温度検出用配線SMYを保護層39が覆う。保護層38は、第1温度検出用配線SMXと、第2温度検出用配線SMYとを電気的に絶縁している。保護層39は、保護層38と同じ材料で形成され、シールド導電層51と、温度検出用配線SMとを電気的に絶縁している。
【0072】
図10に示すように、第2温度検出用配線SMYは、走査線GCL及び遮光層BMと重なる位置に配置されている。図10に示すように、第2温度検出用配線SMY(導電性細線33)は、遮光層BMに沿って、第2方向Dyに延びる。なお、図5に示す第2温度検出用配線SMYの導電性細線33の平面形状は、直状の金属細線に限定されず、例えば、平面視で走査線GCLがジグザグ線状或いは、波線状である場合、導電性細線33の平面形状は、走査線GCLの形状に沿って、ジグザグ線状或いは、波線状の構成であってもよい。
【0073】
以上説明したように、実施形態の表示パネル2は、表示領域AAを有する基板と、複数の第1温度検出用配線SMXと、複数の第2温度検出用配線SMYとを有している。第1温度検出用配線SMX及び第2温度検出用配線SMYは、平面視で表示領域AAに重なる位置に配置される導電性細線33を有する。表示領域AA内には、遮光層BMが第1方向Dxに延びるように配置されている。第1温度検出用配線SMXの導電性細線33は、遮光層BMと重なる位置に配置され、遮光層BMに沿って第1方向Dxに延びる。第2温度検出用配線SMYの導電性細線33は、遮光層BMと重なる位置に配置され、遮光層BMに沿って第2方向Dyに延びる。この構成により、第1温度検出用配線SMXと第2温度検出用配線SMYとの組み合わせによる温度検出領域SMは、副画素SPixの開口を遮ることがないので、表示領域の透過率を下げることなく、表示領域AAの部分的な発熱状態を検出することができる。
【0074】
実施形態においては、第2基板20上に、導電性細線33が形成されている。そして、導電性細線33の上に、保護層38が形成されている。保護層38は、絶縁性を有するアクリル系樹脂等の透光性の樹脂である。保護層38の上には、シールド導電層51が形成されている。言い換えると、複数の第1温度検出用配線SMXと、複数の第2温度検出用配線SMYと、シールド導電層51とは、第2基板20の上方にあり、複数の第1温度検出用配線SMXと、複数の第2温度検出用配線SMYとは、シールド導電層51の下方に積層される。シールド導電層51と、第2温度検出用配線SMYとは、保護層39で絶縁されている。第2温度検出用配線SMYと、第1温度検出用配線SMXとは、保護層38で絶縁されている。その結果、シールド導電層51、第2温度検出用配線SMY及び第1温度検出用配線SMXに、熱と光が同時に作用した場合、シールド導電層51に、光による温度変化に応じた抵抗変化があっても、第2温度検出用配線SMY及び第1温度検出用配線SMXにおける熱による温度に応じた抵抗変化に影響がない。
【0075】
シールド導電層51は、例えば、ITO、IZO(Indium Zinc Oxide)、SnOから選ばれる1種以上の材料で形成されている。
【0076】
導電性細線33は、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、チタン(Ti)及びタングステン(W)から選ばれた1種以上の元素の金属層、これらの元素を含む合金の金属層のうち少なくとも2つ以上が積層された積層体であってもよい。あるいは、導電性細線33は、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、チタン(Ti)及びタングステン(W)から選ばれた1種以上の元素の金属層、これらの元素を含む合金の金属層、酸化スズ(SnO)及び二酸化ケイ素(SiO)を主成分とする酸化物層や、酸化ガリウム(Ga)、酸化インジウム(In)及び酸化スズ(SnO)を主成分とする酸化物層のうち少なくとも2つ以上が積層された積層体であってもよい。導電性細線33が積層体である場合は、下層よりも上層の光の反射が抑制された材料が選択される。これにより、上層の可視光反射率は、下層の可視光反射率よりも低く、上層は、下層と比べて黒色により近い。
【0077】
なお、温度検出部30の具体的構成は、第1温度検出用配線SMXと第2温度検出用配線SMYとの組み合わせによるものに限定されない。例えば、図7に示すように、マトリクス状に配置された複数の温度検出用電極SXを備える温度検出部30Aを上述の温度検出部30に代えて設けてもよい。温度検出用電極SXは、第1配線37eと第2配線37fの2つの配線を介して各温度検出用電極SXに接続された第1配線37eと第2配線37fとは、それぞれ別の端子部36に接続される。つまり、温度検出部30Aでは、各温度検出用電極SXの温度変化に応じて変化する各温度検出用電極SXの抵抗変化が個別に検出可能に設けられる。これによって、複数の温度検出用電極SXの各々が上述の複数の温度検出領域SMの各々と同等に機能する。なお、温度検出用電極SXには、ITO等の透光性を有する材料が用いられることが望ましい。また、第1配線37eと第2配線37fには、第1配線37a及び第2配線37bと同じ材料を用いることができる。ここで、温度検出用電極SXの具体的な形状は、板状又は薄膜状の電極に限定されない。例えば、第1温度検出用配線SMX及び第2温度検出用配線SMYのような細線状の金属又は化合物の層が、図7に示す温度検出用電極SXのようにマトリクス状に配置されてもよい。また、当該細線の具体的な形状は第1温度検出用配線SMX及び第2温度検出用配線SMYのものに限られず、例えばメッシュ状のように他の形状であってもよく、適宜変更可能である。また、第1方向Dxに並ぶ第1温度検出用配線SMXの数、第2方向Dyに並ぶ第2温度検出用配線SMYの数、マトリクス状に並ぶ温度検出用電極SXの第1方向Dxに並ぶ数及び第2方向Dyに並ぶ数はそれぞれ2以上の任意の数であり、適宜変更可能である。また、第1温度検出用配線SMX及び第2温度検出用配線SMY並びに温度検出用電極SXの第1方向Dx-第2方向Dy平面視点での外形は矩形状に限られるものでなく、線状であってもよいし、三角形状であってもよいし、五角形以上の多角形上であってもよいし、楕円又は正円状であってもよいし、その他、表示領域AAに重ねて配置可能なあらゆる形状を採用可能である。また、第1温度検出用配線SMX及び第2温度検出用配線SMYの組み合わせによる温度検出領域SMの配置及び温度検出用電極SXの配置は、表示領域AA全体をカバーする配置であってもよいし、表示領域AAの一部をカバーする配置であってもよい。例えば、太陽光LLの入射によって温度の上昇の可能性がある領域が表示領域AAのうち一部に限定されるHUD装置1の設計である場合、当該一部をカバーするように第1温度検出用配線SMX及び第2温度検出用配線SMYの組み合わせによる温度検出領域SMの配置や温度検出用電極SXの配置がなされればよい。
【0078】
図2に示す制御装置110は、例えば、マスタークロック、水平同期信号、垂直同期信号、画素信号、光源部6の駆動命令信号等をDDIC19に出力する。画素信号は、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)の個々の階調値を組み合わせた信号である。
【0079】
図2に示すように、表示パネル2は、DDIC19を備えている。DDIC19は、表示パネル2、光源部6及び温度検出部30を制御する。
【0080】
図11は、DDIC19の構成例及びDDIC19に接続される入出力線の一例を示すブロック図である。図11に示すように、DDIC19は、例えば表示制御部111、光源制御部112及び温度検出制御部120としての機能が1つの回路としてパッケージングされた集積回路である。
【0081】
表示制御部111は、ゲートドライバとして、走査線GCLを順次選択する。表示制御部111は、選択された走査線GCLを介して、走査信号を副画素SPixのスイッチング素子Trのゲートに印加する。これにより、副画素SPixのうちの1行(1水平ライン)が表示駆動の対象として順次選択される。
【0082】
また、表示制御部111は、選択された1水平ラインを構成する副画素SPixに、ソースドライバとして、信号線SGLを介して画素信号を供給する。そして、これらの副画素SPixでは、供給される画素信号に応じて1水平ラインずつ表示が行われるようになっている。
【0083】
表示制御部111は、共通電極ドライバとして、共通電極CEに対して共通電位を印加する。共通電位は、複数の副画素SPixに、共通に加えられる直流の電圧信号である。
【0084】
以上説明したように、表示制御部111は、ゲートドライバ、ソースドライバ、共通電極ドライバとして機能する。表示制御部111は、ゲートドライバ、ソースドライバ、共通電極ドライバをそれぞれ別に構成してもよい。また、ゲートドライバ、ソースドライバ、共通電極ドライバの少なくとも1つを、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)を用いて第1基板10の上に形成してもよい。
【0085】
光源制御部112は、表示制御部111と同期して、光源61の動作を制御する。光源制御部112は、配線65を介して光源61と接続される。表示制御部111は、光源制御部112に制御された光源61の発光量に基づいて複数の画素のうち一部又は全部の出力階調値を制御する機能を有する。
【0086】
温度検出制御部120は、第1温度検出用配線SMX及び第2温度検出用配線SMYの抵抗をA/D変換し、温度検出信号を生成する。温度検出制御部120は、温度検出信号に基づいて、表示領域AAの温度を検出する。温度の検出結果に応じた処理(異常対応処理)については後述する。
【0087】
ここで、図11に示すように、表示パネルの信号線SGL及び走査線GCLならびに複数の第1温度検出用配線SMX及び複数の第2温度検出用配線SMYは、制御IC(DDIC19)に接続されている。具体的には、信号線SGL及び走査線GCLは、DDIC19の表示制御部111に接続されている。また、複数の第1温度検出用配線SMX及び複数の第2温度検出用配線SMYは、フレキシブル基板72を介してDDIC19の温度検出制御部120に接続されている。
【0088】
表示制御部111と、光源制御部112と、温度検出制御部120とは、インタフェース(I/F:InterFace)バス115を介してDDIC19の内部で信号を伝送可能に接続されている。また、I/Fバス115は、ホストI/F119と信号を伝送可能に接続されている。ホストI/F119は、フレキシブル基板71を接続可能に設けられている。制御装置110から入力される各種の信号は、フレキシブル基板71、ホストI/F119、I/Fバス115を介して表示制御部111等に伝送される。また、表示制御部111、光源制御部112及び温度検出制御部120のうち1つ以上から制御装置110に対してフィードバック信号が伝送される場合、I/Fバス115、ホストI/F119、フレキシブル基板71を介して伝送される。
【0089】
また、DDIC19は、処理部117を備える。処理部117は、例えば図11に示すように、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random access memory)、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、レジスタを含む。処理部117は、これらの各種の構成に対応するよう実装された回路部を含む。なお、図示しないが、DDIC19は、DDIC19内の各部の動作タイミングを同期させるタイミングコントローラを含んでいてもよい。また、処理部117等の回路がタイミングコントローラの機能を含んでいてもよい。
【0090】
図12は、表示領域AAと、複数の温度検出領域SMとの関係を示す模式図である。上述の第1温度検出用配線SMXと第2温度検出用配線SMYとの交差位置に対応する複数の温度検出領域SMは、図12に示すように、表示領域AAと重なるようにマトリクス状に形成される。図12では、第1方向Dxに6つの温度検出領域SMが並び、第2方向Dyに4つの温度検出領域SMが並ぶ計24の温度検出領域SMを例示しているが、これは模式的なものであって実際の温度検出領域SMの数をこれに限定するものでない。第1方向Dxに並ぶ温度検出領域SMの数及び第2方向Dyに並ぶ温度検出領域SMの数は任意である。
【0091】
図12に示すようにマトリクス状に形成される複数の温度検出領域SMによって、それぞれ異なる温度検出領域SMと重なる領域単位で表示領域AAの温度を検出できる。従って、図12に示す温度検出領域SMの場合、第1方向Dxに沿う座標x1,x2,x3,x4,x5,x6のいずれかと、第2方向Dyに沿う座標y1,y2,y3,y4のいずれかとの組み合わせにより表される表示領域AAの部分領域単位で個別に温度を検出できる。
【0092】
また、実施形態の表示制御部111は、複数の温度検出領域SMの各々と重なる部分領域単位で表示領域AAを制御可能に設けられる。具体的には、第1方向Dxに沿う複数の部分領域は、それぞれ異なる信号線SGLと接続される。第2方向Dyに沿う複数の部分領域は、信号線SGLを共有する。また、第2方向Dyに沿う複数の部分領域は、それぞれ異なる走査線GCLと接続される。第1方向Dxに沿う複数の部分領域は、走査線GCLを共有する。従って、表示制御部111は、走査線GCLに対する駆動信号の印加タイミングに応じてどの信号線SGLに画素信号を供給するかによってどの部分領域の表示出力内容を更新するかを制御可能に設けられる。
【0093】
図13は、1つの温度検出用配線の温度に対する抵抗変化率を示す図である。図13に示すように、基準温度の抵抗値に対する第1温度検出用配線SMX、第2温度検出用配線SMYの抵抗変化率が、温度に応じて、例えば直線的に変化する。
【0094】
図1に示すように、HUD装置1には、太陽SUNの相対位置によっては、太陽光LLが筐体4の開口4Sに入射することがある。太陽光LLは、光学系RMに導かれ、かつ表示パネル2に近づくにつれて集光し、表示領域AAの一部に当たることがある。集光された太陽の光は、表示パネル2を劣化させる可能性があるため、表示領域の部分的な発熱状態を検出することが望まれている。
【0095】
実施形態では、図12で例示するように、平面視で表示領域AAに重なる位置に、複数の温度検出領域SMが並べられているので、温度上昇があった温度検出領域SMがあれば、太陽光LLが当たっている表示領域AAの位置が把握できる。
【0096】
例えば、図12に示す集光領域SP1に太陽光LLが集光した場合、第1方向Dxに沿う座標x6と第2方向Dyに沿う座標y4との組み合わせで表される(x6,y4)の部分領域に対応する温度検出領域SMに重なる第1温度検出用配線SMXと第2温度検出用配線SMYの抵抗が太陽光LLによる温度上昇に対応した抵抗になる。また、図12に示す集光領域SP1に太陽光LLが集光した場合、(x5,y3),(x5,y4),(x6,y3),(x6,y4)の4つの部分領域に対応する温度検出領域SMに重なる第1温度検出用配線SMXと第2温度検出用配線SMYの抵抗が太陽光LLによる温度上昇に対応した抵抗になる。
【0097】
温度検出制御部120は、第1温度検出用配線SMX及び第2温度検出用配線SMYからの信号をA/D変換し、温度検出領域SM単位で温度検出信号を生成する。第1温度検出用配線SMX及び第2温度検出用配線SMYからの信号は、例えば第1温度検出用配線SMX及び第2温度検出用配線SMYに対する定電流に応じたアナログの電圧である。当該電圧は、抵抗変化に応じた変化を示すことから、温度に対応した電圧になる。係る電圧をA/D変換することで、温度に対応したデジタルの信号を得られる。従って、当該デジタルの信号は電圧値に変換可能な信号である。そして、当該電圧値は、温度に対応した抵抗変化を生じた第1温度検出用配線SMX又は第2温度検出用配線SMYの温度を示す情報として機能する。温度検出信号は、第1温度検出用配線SMXの電圧と第2温度検出用配線SMYの電圧との組み合わせに基づいて温度検出領域SM単位で検出された温度を示す信号として機能する。
【0098】
図14は、温度検出領域SM単位での温度検出信号が示す温度と、温度の閾値との関係の一例を示す模式的なグラフである。図14に示すように、温度検出領域SM単位で生成された温度検出信号が示す温度は、図12に示す第1方向Dxの座標と第2方向Dyとの組み合わせで示される各部分領域の温度として機能する。従って、係る温度を予め定められた閾値温度T1、第1温度T2、第2温度T3、第3温度T4のような温度の閾値と比較することで、各部分領域がこれらの温度の閾値に対してどのような温度にあるかを特定可能になる。従って、異常温度の基準として、例えば閾値温度T1、第1温度T2、第2温度T3、第3温度T4のいずれか1つを採用することで、各温度検出領域SMで検出された温度と係る閾値が示す温度との比較に基づいて異常温度を検出できる。以下、異常温度が検出された部分領域という記載は、当該部分領域に重なる温度検出領域SMで異常温度が検出された領域をさす。
【0099】
実施形態では、閾値温度T1が異常温度の閾値として採用される。具体的には、実施形態では、閾値温度T1が後述する異常対応処理を開始するトリガーとなる温度として採用される。
【0100】
図14に示す例では、第3温度T4は、閾値温度T1、第1温度T2及び第2温度T3よりも高い温度である。また、第2温度T3は、閾値温度T1及び第1温度T2よりも高い温度である。また、第1温度T2は、閾値温度T1よりも高い温度である。閾値温度T1は、例えば摂氏50度[℃]である。第1温度T2は、例えば摂氏60度[℃]である。第2温度T3は、例えば摂氏80度[℃]である。第3温度T4は、例えば摂氏100度[℃]である。
【0101】
図15は、温度検出及び温度検出に対応した処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、温度センサからの信号の入力が行われる(ステップS1)。具体的には、ステップS1の処理では、温度検出制御部120が第1温度検出用配線SMX及び第2温度検出用配線SMYの抵抗を検出する。すなわち、第1温度検出用配線SMX及び第2温度検出用配線SMYの抵抗が信号として取り扱われる。
【0102】
次に、フィルタ処理が行われる(ステップS2)。具体的には、温度検出制御部120は、第1温度検出用配線SMX及び第2温度検出用配線SMYから伝送されるアナログの電気的信号としての抵抗に含まれるノイズ成分を取り除くためのフィルタ回路を有する。ステップS2の処理では、当該フィルタ回路が当該ノイズを当該電気的信号から取り除く。
【0103】
次に、信号の増幅が行われる(ステップS3)。具体的には、温度検出制御部120は、第1温度検出用配線SMX及び第2温度検出用配線SMYから伝送されるアナログの電気的信号としての抵抗を増幅するアンプを有する。ステップS3の処理では、当該アンプが電気的信号を増幅する。当該電気的信号は、ステップS2の処理によってノイズを取り除かれたアナログの電気的信号である。
【0104】
次に、A/D変換が行われる(ステップS4)。具体的には、温度検出制御部120は、第1温度検出用配線SMX及び第2温度検出用配線SMYから伝送されるアナログの電気的信号としての抵抗をデジタルの信号に変換するA/D変換回路を有する。ステップS4の処理では、当該A/D変換回路がアナログの電気的信号をデジタルの信号に変換する。当該電気的信号は、ステップS3の処理によって増幅された電気的信号である。ステップS1からステップS4の処理は、第1温度検出用配線SMXの抵抗及び第2温度検出用配線SMYの抵抗の各々について個別に行われる。
【0105】
次に、信号の電圧変換が行われる(ステップS5)。具体的には、温度検出制御部120は、ステップS4の処理で得られたデジタルの信号が表す電圧値を特定する信号変換回路を有する。ステップS5の処理では、当該信号変換回路がデジタルの信号を電圧値に変換する。ステップS5の処理によって、第1温度検出用配線SMXの抵抗及び第2温度検出用配線SMYの抵抗の各々に対応する電圧値が特定される。
【0106】
次に、電圧の温度変換が行われる(ステップS6)。具体的には、温度検出制御部120は、ステップS6の処理で得られた第1温度検出用配線SMXの電圧値と第2温度検出用配線SMYの電圧値との組み合わせに基づいて温度検出領域SMの温度を特定する信号変換回路を有する。ステップS6の処理では、当該信号変換回路が電圧値から温度を特定する。ステップS6の処理によって、上述の温度検出信号が生成される。
【0107】
なお、例えば集光領域SP1における集光によって(x6,y4)に対応する第1温度検出用配線SMXの電圧値及び第2温度検出用配線SMYの電圧値が相対的高温を示す電圧値になったとしても、座標x6以外の第1温度検出用配線SMXの電圧値や座標y4以外の第2温度検出用配線SMYの電圧値が低いことによって(x6,y4)以外の部分領域の温度が(x6,y4)の部分領域よりも低いことが特定可能である。
【0108】
次に、温度検出制御部120は、異常温度が検出されたか判定する(ステップS7)。具体的には、温度検出制御部120は、ステップS6で生成された温度検出信号が示す温度と、異常温度が検出されたか否かを判定するための閾値(例えば、閾値温度T1)とを比較する(図14参照)。実施形態では、例えば閾値温度T1以上の温度が検出された温度検出領域SMがある場合、温度検出制御部120は、異常温度が検出されたと判定する。一方、閾値温度T1以上の温度が検出された温度検出領域SMがない場合、異常温度が検出されなかったと判定する。
【0109】
ステップS7の処理で異常温度が検出されたと判定された場合(ステップS7;Yes)、異常対応処理が行われる(ステップS8)。異常対応処理については、後述する。
【0110】
ステップS7の処理で異常温度が検出されなかったと判定された場合(ステップS7;No)、温度検出制御部120は、前回の検出で異常温度が検出されたと判定されていたかに応じた分岐処理を行う(ステップS9)。なお、図13を参照して説明している処理の流れは、時間の経過に応じて複数回実施される処理の流れを示している。すなわち、「前回の処理」とは、当該ステップS9の分岐処理が行われる直前に実施されて完結した、図13に示すような温度検出及び温度検出に対応した処理をさす。当該直前に実施されて完結した処理に含まれるステップS7の処理で異常温度が検出されたと判定された場合(ステップS7;Yes)、当該ステップS9の処理で前回の検出で異常温度が検出されたと判定されていたものとして扱われる(ステップS9;Yes)。この場合、異常対応処理が解除される(ステップS10)。一方、当該直前に実施されて完結した処理に含まれるステップS7の処理で異常温度が検出されなかったと判定された場合(ステップS7;No)、当該ステップS9の処理で前回の検出で異常温度が検出されたと判定されていなかったものとして扱われる(ステップS9;No)。この場合、ステップS10の処理は省略される。
【0111】
図16は、異常対応処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、温度検出制御部120は、第1温度T2以上の温度が検出された部分領域があるか判定する(ステップS11)。第1温度T2以上の温度が検出されなかったと判定された場合(ステップS11;No)、実施形態では、閾値温度T1以上第1温度T2未満の温度が検出された部分領域があることになる。この場合、温度検出制御部120は、前回の温度を超えるかの判定を行う(ステップS12)。具体的には、ステップS12の処理では、閾値温度T1以上第1温度T2未満の温度が検出された部分領域において前回の処理で検出された温度+α度[℃]の温度が検出されたかが判定される。以降、「前回の温度を超えるかの判定」とは、特筆しない限り「前回の処理で検出された温度+α度[℃]以上の温度が検出されたかの判定」をさす。
【0112】
ステップS12の処理で前回の温度を超えると判定された場合(ステップS12;Yes)、表示制御部111が表示制御パターン1を適用する(ステップS13)とともに、光源制御部112が光源制御パターン1を適用する(ステップS14)。ステップS13の処理とステップS14の処理は同時に適用される。これらの処理後、異常対応処理は終了する。
【0113】
表示制御パターン1は、通常の表示制御パターンに比して表示制御部111の処理負荷がより小さい表示制御パターンである。具体的には、表示制御パターン1は、例えば30[Hz]のリフレッシュレートによるフレーム画像更新制御であるが、これに限られるものでなく、定義の範囲内で適宜変更可能である。
【0114】
なお、通常の表示制御パターンは、閾値温度T1以上の温度が検出された部分領域がない場合の表示制御部111による表示領域AAの表示制御パターンである。具体的には、通常の表示制御パターンは、例えば60[Hz]又は120[Hz]のリフレッシュレートによるフレーム画像更新制御であるが、これに限られるものでなく、適宜変更可能である。
【0115】
光源制御パターン1は、通常の光源制御パターンに比して光源部6からの発熱がより小さい光源部6の動作制御パターンである。具体的には、光源制御パターン1は、例えば後述する光源点灯期間(例えば、期間T13,T23)に所定の周期で光源61を点滅させる所謂ブリンク動作をさせる光源制御パターンであるが、これに限られるものでなく、定義の範囲内で適宜変更可能である。
【0116】
なお、通常の光源制御パターンとは、閾値温度T1以上の温度が検出された部分領域がない場合の光源制御部112による光源部6の動作制御パターンをさす。具体的には、通常の光源制御パターンとは、例えば光源点灯期間における光源61の常時点灯をさすが、これに限られるものでなく、適宜変更可能である。
【0117】
一方、ステップS12の処理で前回の温度を超えていないと判定された場合(ステップS12;No)、異常対応処理は終了する。すなわち、閾値温度T1以上第1温度T2未満であって、前回の温度を超えていないと判定された場合、通常の表示制御パターン及び通常の光源制御パターンが適用される。
【0118】
実施形態では、αは、閾値温度T1、第1温度T2、第2温度T3、第3温度T4同士の温度の差の最小値よりも小さな値が設定される。具体的には、例えばα=5であるが、これに限られるものでなく、αの具体的な値は適宜変更可能である。
【0119】
ステップS11の処理で第1温度T2以上の温度が検出されたと判定された場合(ステップS11;Yes)、温度検出制御部120は、第2温度T3以上の温度が検出された部分領域があるか判定する(ステップS15)。第2温度T3以上の温度が検出されなかったと判定された場合(ステップS15;No)、実施形態では、第1温度T2以上第2温度T3未満の温度が検出された部分領域があることになる。この場合、温度検出制御部120は、第1温度T2以上第2温度T3未満の温度が検出された部分領域において前回の温度を超えるかの判定が行われる(ステップS16)。
【0120】
ステップS16の処理で前回の温度を超えると判定された場合(ステップS16;Yes)、表示制御部111が表示制御パターン2を適用する(ステップS17)とともに、光源制御部112が光源制御パターン2を適用する(ステップS18)。ステップS17の処理とステップS18の処理は同時に適用される。これらの処理後、異常対応処理は終了する。
【0121】
表示制御パターン2は、表示制御パターン1に比して表示制御部111の処理負荷がより小さい表示制御パターンである。具体的には、表示制御パターン2は、表示制御パターン1に比してリフレッシュレートが小さい。表示制御パターン2は、例えば10[Hz]のリフレッシュレートによるフレーム画像更新制御であるが、これに限られるものでなく、定義の範囲内で適宜変更可能である。
【0122】
光源制御パターン2は、光源制御パターン1に比して光源部6からの発熱がより小さい光源部6の動作制御パターンである。具体的には、光源制御パターン2は、例えば光源制御パターン1と同様に光源61にブリンク動作をさせる光源制御パターンである。たたし、点滅による光源61の点灯時間と消灯時間との割合の関係を比較した場合、光源制御パターン2は、光源制御パターン1に比して点灯時間がより短く、消灯時間がより長い。光源制御パターン2は、これに限られるものでなく、定義の範囲内で適宜変更可能である。
【0123】
一方、ステップS16の処理で前回の温度を超えていないと判定された場合(ステップS16;No)、異常対応処理は終了する。すなわち、この場合、前回の異常対応処理で適用された表示制御パターン及び光源制御パターンが維持される。
【0124】
ステップS15の処理で第2温度T3以上の温度が検出されたと判定された場合(ステップS15;Yes)、温度検出制御部120は、第3温度T4以上の温度が検出された部分領域があるか判定する(ステップS19)。第3温度T4以上の温度が検出されなかったと判定された場合(ステップS19;No)、実施形態では、第2温度T3以上第3温度T4未満の温度が検出された部分領域があることになる。この場合、温度検出制御部120は、第2温度T3以上第3温度T4未満の温度が検出された部分領域において前回の温度を超えるかの判定が行われる(ステップS20)。
【0125】
ステップS20の処理で前回の温度を超えると判定された場合(ステップS20;Yes)、表示制御部111が表示制御パターン3を適用する(ステップS21)とともに、光源制御部112が光源制御パターン3を適用する(ステップS22)。ステップS21の処理とステップS22の処理は同時に適用される。これらの処理後、異常対応処理は終了する。
【0126】
表示制御パターン3は、表示制御パターン2に比して表示制御部111の処理負荷がより小さい表示制御パターンである。具体的には、表示制御パターン3は、例えば表示領域AAにおける表示出力をリセットし、リセット後のフレーム画像の更新を停止するものであるが、これに限られるものでなく、定義の範囲内で適宜変更可能である。例えば、表示制御パターン3は、表示制御パターン2に比してリフレッシュレートが小さい表示制御パターンとしてもよい。
【0127】
光源制御パターン3は、光源制御パターン2に比して光源部6からの発熱がより小さい光源部6の動作制御パターンである。具体的には、光源制御パターン3は、例えば光源61を消灯するものであるが、これに限られるものでなく、定義の範囲内で適宜変更可能である。例えば、光源61にブリンク動作をさせ、点滅による光源61の点灯時間と消灯時間との割合の関係を比較した場合、光源制御パターン3は、光源制御パターン2に比して点灯時間がより短く、消灯時間がより長い動作とさせてもよい。
【0128】
一方、ステップS20の処理で前回の温度を超えていないと判定された場合(ステップS20;No)、異常対応処理は終了する。すなわち、この場合、前回の異常対応処理で適用された表示制御パターン及び光源制御パターンが維持される。
【0129】
ステップS19の処理で第3温度T4以上の温度が検出されたと判定された場合(ステップS19;Yes)、表示制御部111が表示制御パターン4を適用する(ステップS23)とともに、光源制御部112が光源制御パターン4を適用する(ステップS24)。ステップS23の処理とステップS24の処理は同時に適用される。これらの処理後、異常対応処理は終了する。
【0130】
表示制御パターン4は、表示制御パターン3と同等以上に表示制御部111の処理負荷を低減できる表示制御パターンである。光源制御パターン4は、光源制御パターン3と同等以上に光源部6からの発熱を低減できる光源制御パターンである。具体的には、表示制御パターン4は、例えば、表示制御パターンと同様に、表示領域AAにおける表示出力をリセットし、リセット後のフレーム画像の更新を停止するものである。また、光源制御パターン4は、光源制御パターン3と同様に、例えば光源61を消灯するものである。ただし、表示制御パターン4及び光源制御パターン4は、これに限られるものでなく、定義の範囲内で適宜変更可能である。例えば、表示制御パターン3及び光源制御パターン3では表示出力自体は継続されるものとし、表示制御パターン4及び光源制御パターン4で表示出力が停止されるようにしてもよい。
【0131】
このように、異常対応処理では、例えば、表示領域AAに含まれる複数の部分領域のうち最高の温度が検出された部分領域に対応した表示制御及び光源制御が行われる。また、少なくとも第3温度T4になれば必ず通常の表示制御パターン及び通常の光源制御パターンとは異なる表示制御パターン及び光源制御パターンが適用される。
【0132】
なお、αを限りなく0に近い値にしてもよい。すなわち、前回の処理に比して温度上昇があった場合にステップS12、ステップS16、ステップS20の判定がYesになるようにしてもよい。この場合、閾値温度T1以上第1温度T2未満、第1温度T2以上第2温度T3未満、第2温度T3以上第3温度T4未満、第3温度T4以上の各々の温度範囲に対応した表示制御パターン及び光源制御パターンが適用されるようになる。
【0133】
なお、異常対応処理の具体的内容はこれに限られるものでない。異常対応処理の具体的内容は、閾値温度T1以上の温度が検出された部分領域の数に応じたものであってもよい。以下、閾値温度T1以上の温度が検出された部分領域の数に応じた異常対応処理の例について、図17及び図18のフローチャートを参照して説明する。
【0134】
図17は、異常温度が検出された部分領域の数に応じた表示制御に係る異常対応処理の分岐の流れの一例を示すフローチャートである。
【0135】
まず、温度検出制御部120は、異常温度が検出された部分領域数はn以上であるか判定する(ステップS31)。なお、n及び後述するm,jは自然数である。また、n>m>jである。異常温度が検出された部分領域数がn以上であると判定された場合(ステップS31;Yes)、温度検出制御部120は、前回の温度を超えるかの判定を行う(ステップS32)。ステップS32の処理で前回の温度を超えると判定された場合(ステップS32;Yes)、表示制御部111は、画質制御を適用する(ステップS33)。画質制御が適用された場合、異常対応処理が行われない通常の階調数(例えば、24bit)に比して低い階調数(例えば、8bit)での表示出力が行われるようになる。これによって、表示制御部111の処理負荷が低減され、表示制御部111からの発熱が抑制される。ステップS33の処理後又はステップS32の処理で前回の温度を超えていないと判定された場合(ステップS32;No)、異常対応処理は終了する。
【0136】
ステップS31の処理で異常温度が検出された部分領域数がn未満であると判定された場合(ステップS31;No)、温度検出制御部120は、異常温度が検出された部分領域数はm以上であるか判定する(ステップS34)。異常温度が検出された部分領域数がm以上であると判定された場合(ステップS34;Yes)、温度検出制御部120は、前回の温度を超えるかの判定を行う(ステップS35)。ステップS35の処理で前回の温度を超えると判定された場合(ステップS35;Yes)、表示制御部111は、低駆動周波数制御パターン1を適用する(ステップS36)。低駆動周波数制御パターン1が適用された場合、異常対応処理が行われない通常のリフレッシュレート(例えば、60[Hz]又は120[Hz])に比して低い(例えば、10[Hz])リフレッシュレートが適用される。なお、リフレッシュレートの値はこれらに限られるものでなく、適宜変更可能である。これによって、表示制御部111の処理負荷が低減され、表示制御部111からの発熱が抑制される。ステップS36の処理後又はステップS35の処理で前回の温度を超えていないと判定された場合(ステップS35;No)、異常対応処理は終了する。
【0137】
ステップS34の処理で異常温度が検出された部分領域数がm未満であると判定された場合(ステップS34;No)、温度検出制御部120は、異常温度が検出された部分領域数はj以上であるか判定する(ステップS37)。異常温度が検出された部分領域数がj以上であると判定された場合(ステップS37;Yes)、温度検出制御部120は、前回の温度を超えるかの判定を行う(ステップS38)。ステップS35の処理で前回の温度を超えると判定された場合(ステップS38;Yes)、表示制御部111は、低駆動周波数制御パターン2を適用する(ステップS39)。低駆動周波数制御パターン2が適用された場合、異常対応処理が行われない通常のリフレッシュレートに比して低いが、低駆動周波数制御パターン1よりは高い(例えば、30[Hz])リフレッシュレートが適用される。なお、リフレッシュレートの値はこれに限られるものでなく、適宜変更可能である。これによって、表示制御部111の処理負荷が低減され、表示制御部111からの発熱が抑制される。ステップS39の処理後、ステップS38の処理で前回の温度を超えていないと判定された場合(ステップS38;No)又はステップS37の処理で異常温度が検出された部分領域数がj未満であると判定された場合(ステップS37;No)、異常対応処理は終了する。
【0138】
なお、ステップS36の処理又はステップS39の処理によるリフレッシュレートの適用範囲は、表示領域AA全体であってもよいし、特定の部分領域に限定されてもよい。ここでいう特定の部分領域とは、異常温度が検出された温度検出領域SMに対応する部分領域に対応する配置の走査線GCLを共有する複数の部分領域をさす。適用範囲が特定の部分領域である場合、特定の部分領域以外の部分領域がフレーム画像の更新に応じて画素信号の書き換えが行われる一方、特定の部分領域については画素信号の書き替えが行われない(走査線GCLに対する駆動信号の印加が省略される)期間が生じるようになる。
【0139】
なお、異常温度が検出された部分領域の数に応じた表示制御に係る異常対応処理は、上述の処理に限られるものでない。例えば、フレーム画像の一部又は全部の輝度を上昇させて画像のコントラストや明るさを調整する等の階調補正処理の一部又は全部を省略するような処理を異常対応処理として適用してもよい。
【0140】
図18は、異常温度が検出された部分領域の数に応じた光源制御に係る異常対応処理の分岐の流れの一例を示すフローチャートである。
【0141】
まず、温度検出制御部120は、異常温度が検出された部分領域数はn以上であるか判定する(ステップS41)。異常温度が検出された部分領域数がn以上であると判定された場合(ステップS41;Yes)、温度検出制御部120は、前回の温度を超えるかの判定を行う(ステップS42)。ステップS42の処理で前回の温度を超えると判定された場合(ステップS42;Yes)、光源制御部112は、光源部6による発光領域全域の発光強度の低減を適用する(ステップS43)。発光領域全域の発光強度の低減とは、複数の光源61の各々に流される電流を、異常対応処理が行われない場合の通常時の電流に比して小さくすることによる各光源61の発光強度の低減をさす。
【0142】
ステップS42の処理で前回の温度を超えていないと判定された場合(ステップS42;No)、光源制御部112は、光源部6による発光領域全域のブリンク制御を適用する(ステップS44)。発光領域全域のブリンク制御とは、例えば後述する光源点灯期間(例えば、期間T13,T23)に所定の周期で光源部6が備える複数の光源61を点滅させる所謂ブリンク動作をさせる制御をさし、上述の光源制御パターン1又は光源制御パターン2と同様の仕組みである。
【0143】
なお、当該ブリンク制御で点滅する光源部6の点灯時間と消灯時間との関係は光源制御パターン1又は光源制御パターン2と同等であってもよいし、異なってもいてもよい。ステップS43の処理又はステップS44の処理によって、光源61による発熱が抑制される。なお、ステップS43の処理による各光源61の発光強度の低減の度合いは、ステップS44の処理による各光源61の点滅に比してより光源61による発熱が抑制される程度であることが望ましい。ステップS43の処理後又はステップS44の処理後、異常対応処理は終了する。
【0144】
ステップS41の処理で異常温度が検出された部分領域数がn未満であると判定された場合(ステップS41;No)、温度検出制御部120は、異常温度が検出された部分領域数はm以上であるか判定する(ステップS45)。異常温度が検出された部分領域数がm以上であると判定された場合(ステップS45;Yes)、温度検出制御部120は、前回の温度を超えるかの判定を行う(ステップS46)。ステップS35の処理で前回の温度を超えると判定された場合(ステップS46;Yes)、光源制御部112は、前回の温度を超えると判定された温度上昇エリアに対応する部分領域の背面側に配置された光源61を消灯する(ステップS47)。一方、ステップS46の処理で前回の温度を超えていないと判定された場合(ステップS46;No)、光源制御部112は、異常温度が検出された部分領域に対応する配置の光源61にブリンク制御を適用する(ステップS48)。ステップS47の処理後又はステップS48の処理後、異常対応処理は終了する。
【0145】
ステップS45の処理で異常温度が検出された部分領域数がm未満であると判定された場合(ステップS45;No)、温度検出制御部120は、異常温度が検出された部分領域数はj以上であるか判定する(ステップS49)。異常温度が検出された部分領域数がj以上であると判定された場合(ステップS49;Yes)、温度検出制御部120は、前回の温度を超えるかの判定を行う(ステップS50)。ステップS35の処理で前回の温度を超えると判定された場合(ステップS50;Yes)、光源制御部112は、前回の温度を超えると判定された温度上昇エリアに対応する部分領域の背面側に配置された光源61を消灯する(ステップS51)。一方、ステップS46の処理で前回の温度を超えていないと判定された場合(ステップS50;No)、光源制御部112は、異常温度が検出された部分領域に対応する配置の光源61にブリンク制御を適用する(ステップS52)。この場合、ステップS48のブリンク制御より単位時間当たりの発光時間が短くなるようなブリンク制御をしてもよい。ステップS43の処理後、ステップS44の処理後又はステップS49の処理で異常温度が検出された部分領域数がj未満であると判定された場合(ステップS49;No)、異常対応処理は終了する。
【0146】
なお、異常温度が検出された部分領域の数に応じた光源制御に係る異常対応処理は、上述の処理に限られるものでない。例えば、各部分領域に複数の光源61が配置されている場合、部分領域単位で点灯される光源61の数を減らすような処理を異常対応処理として適用してもよい。これによって、光源部6全体で見た場合の発熱量や異常温度が検出された部分領域近傍での光源61による発熱量をより低減できる。
【0147】
n,m,jの値は、例えばn=20,m=5,j=1であるが、これに限られるものでなく、n>m>jを満たす範囲内で適宜変更可能である。また、n,m,jのような自然数による部分領域の数の判定に代えて、表示領域AAに含まれる部分領域の総数に対する割合での判定を行ってもよい。例えば、ステップS31及びステップS41における判定の内容を「異常温度が検出された部分領域の割合は80%以上であるか」を判定する内容に置換してもよい。
【0148】
なお、HUD装置1は、温度検出機能及び温度検出に基づいた異常対応処理の機能をON/OFFできるように設けられてもよい。係るON/OFFは、例えば制御装置110からの設定信号の入力に基づいて行われる。
【0149】
図19は、温度検出機能のON/OFF制御に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、設定信号の入力が行われる(ステップS61)。DDIC19は、設定信号に応じたレジスタの設定を行う(ステップS62)。具体的には、例えば処理部117のCPUが設定信号を取得し、当該設定信号に含まれる各種の設定情報に対応した情報をレジスタに設定する。当該設定情報は、温度検出機能を利用するか否かを示す情報を含む。以下、単に「設定情報」と記載した場合、設定信号に含まれ、レジスタの設定に反映される設定情報をさす。
【0150】
ステップS62の処理によるレジスタの設定が温度検出機能を利用する設定である場合(ステップS63;Yes)、温度検出制御部120は、温度検出機能をONにする(ステップS64)。すなわち、上述の図12から図19を参照して説明した温度検出に関する各種の処理が行われる設定になる。一方、ステップS62の処理によるレジスタの設定が温度検出機能を利用する設定でない場合(ステップS63;No)、温度検出制御部120は、温度検出機能をOFFにする(ステップS65)。すなわち、上述の図12から図19を参照して説明した温度検出に関する各種の処理が行われない設定になる。
【0151】
設定情報は、HUD装置1の動作に関する時間(例えば、連続動作時間等)を管理するタイマー情報を含んでいてもよい。その場合、図示しないHUD装置1のタイマー回路の動作及び当該タイマー回路により計上された時間に応じて動作する各種の動作に当該タイマー情報が反映される。タイマー回路は、DDIC19の処理部117等、何らかの回路内に統合されていてもよいし、独立して設けられていてもよい。
【0152】
さらに、設定情報は、温度検出機能を利用する場合の温度の検出対象と検出タイミングと検出頻度との関係に関する情報を含んでいてもよい。
【0153】
図20は、検出領域と、検出タイミングと、検出頻度との関係の一例を示す表である。図20に示すように、検出領域の種別として、「1エリア」、「複数エリア」、「全エリア」が設けられる。「1エリア」は、複数の温度検出領域SMのうち1つの温度検出領域SMにおける温度検出が行われる場合をさす。「複数エリア」は、複数の温度検出領域SMのうち全てでない2つ以上の温度検出領域SMにおける温度検出が行われる場合をさす。「全エリア」は、複数の温度検出領域SMの全ての温度検出領域SMにおける温度検出が行われる場合をさす。
【0154】
また、図20に示すように、検出タイミングの種別として、「ブランキング、書き込み」又は「ブランキング」が設けられる。「ブランキング、書き込み」は、後述するブランキング期間(例えば、期間T11,T21)と、書き込み期間(例えば、期間T12,T22)に温度検出が行われることを示す。また、「ブランキング」は、後述するブランキング期間に温度検出が行われることを示す。
【0155】
また、図20に示すように、検出頻度の種別として、「1~120Hz」、「1~60Hz」、「1~10Hz」が設けられる。「1~120Hz」は、温度検出が1秒間に1回から120回の範囲内で行われることを示す。「1~60Hz」は、温度検出が1秒間に1回から60回の範囲内で行われることを示す。「1~10Hz」は、温度検出が1秒間に1回から10回の範囲内で行われることを示す。
【0156】
すなわち、図20に示す例では、「1エリア」を検出対象とした温度検出は、ブランキング期間と書き込み期間とを利用して、1秒間に1回から120回の範囲内で行われるよう設定される。また、「複数エリア」を検出対象とした温度検出は、ブランキング期間を利用して、1秒間に1回から60回の範囲内で行われるよう設定される。また、「全エリア」を検出対象とした温度検出は、ブランキング期間を利用して、1秒間に1回から10回の範囲内で行われるよう設定される。
【0157】
温度検出制御部120は、図20で例示するような情報に対応するレジスタの設定に応じて、異常温度が検出された部分領域における温度検出頻度を他の部分領域における温度検出頻度よりも高めるよう制御する。具体例を挙げると、全ての部分領域で異常温度が検出されない場合、温度検出制御部120は、例えばブランキング期間を利用して1秒間に10回「全エリア」の温度検出を行う。ここで、ある1つの部分領域で異常温度が検出された場合、温度検出制御部120は、その後、ブランキング期間を利用して1秒間に10回「全エリア」の温度検出を行うとともに、異常温度が検出された部分領域を「1エリア」とした温度検出を、ブランキング期間と書き込み期間とを利用して、1秒間に120回行う。ここで、「全エリア」は、「1エリア」を含む。従って、「1エリア」に限定された温度検出が1秒間に110回行われ、「1エリア」を含む「全エリア」の温度検出が1秒間に10回行われる。また、全部でない複数の部分領域で異常温度が検出された場合、温度検出制御部120は、その後、ブランキング期間を利用して1秒間に10回「全エリア」の温度検出を行うとともに、異常温度が検出された複数の部分領域を「複数エリア」とした温度検出を、ブランキング期間と書き込み期間とを利用して、1秒間に60回行う。ここで、「全エリア」は、「複数エリア」を含む。従って、「複数エリア」に限定された温度検出が1秒間に50回行われ、「1エリア」を含む「全エリア」の温度検出が1秒間に10回行われる。
【0158】
このように、温度検出制御部120は、異常温度が検出された部分領域における温度検出の頻度をより高める。従って、より厳密な温度管理が求められる状況になっている当該部分領域に対して、温度に対応した制御装置110による表示制御や光源制御部112による光源制御をより迅速に行える。
【0159】
なお、実施形態では、「1エリア」の検出頻度は「複数エリア」及び「全エリア」の検出頻度以上であり、「複数エリア」の検出頻度は「全エリア」の検出頻度以上であるよう設定されるが、これに限られるものでなく、大小関係が逆転してもよい。
【0160】
以下、温度検出に係るより具体的な検出タイミング、検出頻度及び検出対象について、図21から図25を参照して説明する。
【0161】
図21は、フレーム期間Fに含まれる期間T11,T21、期間T12,T22及び期間T13,T23と温度検出タイミングとの関係の一例を示すタイムチャートである。図21から図25では、連続する2フレーム分のフレーム期間Fを例示している。フレーム期間Fは、1つのフレーム画像の表示に係る各種の処理が行われる期間である。図21から図25における「表示」欄が表示に関する処理内容の流れを示し、「温度検出」欄が温度検出に関する処理内容の流れを示す。
【0162】
まず、フレーム期間Fにおける表示に関する各種の処理内容について説明する。ここで説明する内容は、異常対応処理が行われない場合の通常の処理である。期間T11,T21には、各画素VPixのリセットが行われる。期間T12,T22には、リセット後の各画素VPixに対してフレーム画像の内容に対応した画素信号の書き込みが行われる。期間T12,T22における矢印Wは、画素信号の書き込みに伴う走査の進行を模式的に示している。ブランキング期間及び書き込み期間には、光源61は消灯される。期間T13,T23には、光源61が点灯してフレーム画像に対応する光が投影される。
【0163】
図21では、毎フレームの期間T11,T21に同期したタイミング及び頻度で温度検出が行われる場合を例示している。図21に示すような温度検出の例は、例えば表示出力のフレームレートが60[Hz]である場合において、ブランキング期間を利用して、1秒間に60回「複数エリア」を検出対象とした温度検出を行う場合の例である。図21及び図22では、座標y1から座標y4までの範囲に図示された「温度検出」の矩形によって、「複数エリア」(又は、「全エリア」)の温度検出が行われていることを示している。
【0164】
図22は、フレーム期間に含まれるブランキング期間、書き込み期間及び光源点灯期間と温度検出タイミングとの関係の他の一例を示すタイムチャートである。図22では、期間T11に温度検出が行われ、期間T21には温度検出が行われない場合を例示している。なお、図示を省略しているが、温度検出はフレーム期間F2回につき1回でなく、フレーム期間F3回以上につき1回であってもよい。すなわち、フレームレートよりも低い温度検出頻度であってもよい。図22に示すような温度検出の例は、例えば表示出力のフレームレートが60[Hz]である場合において、ブランキング期間を利用して、1秒間に10回「全エリア」を検出対象とした温度検出を行う場合の例である。
【0165】
図23は、フレーム期間に含まれるブランキング期間、書き込み期間及び光源点灯期間と温度検出タイミングとの関係の他の一例を示すタイムチャートである。図23では、毎フレームの期間T11,T21に「複数エリア」(又は、「全エリア」)の温度検出が行われ、期間T12,T22に座標y1の部分領域の温度検出が行われる場合を例示している。すなわち、温度検出の頻度は、フレームレート以上の温度検出頻度であってもよい。図23に示すような温度検出の例は、例えば表示出力のフレームレートが60[Hz]である場合において、ブランキング期間及び書き込み期間を利用して、1秒間に120回「1エリア」を検出対象とした温度検出を行う場合の例である。なお、図23等では、期間T12,T22において座標y1に図示された「温度検出」の矩形によって、座標y1に含まれる「1エリア」の温度検出がさらに行われることを示している。なお、座標y1から座標y4までの範囲に図示された「温度検出」の矩形が示す「複数エリア」(又は、「全エリア」)の温度検出タイミングにも当該「1エリア」は含まれることから、当該「1エリア」に対応する部分領域の温度検出頻度は、他の部分領域よりも高くなる。図22に示すような温度検出の例は、例えば表示出力のフレームレートが60[Hz]である場合において、ブランキング期間及び書き込み期間を利用して、1秒間に120回「1エリア」を検出対象とした温度検出を行う場合の例である。
【0166】
なお、図23等とは、図23ならびに後述する図24及び図25をさす。また、図23等では、異常対応処理によって座標y1の走査線GCLによる走査が行われなくなっている場合を例示しているが、これは必ずしも「1エリア」の場合に当該「1エリア」に対応する部分領域と重なる走査線GCLが全く駆動されなくなることを意味しない。単に画素信号の更新頻度が低減するだけであってもよいし、図21図22で例示したように通常の書き込みによる画素信号の更新が行われてもよい。
【0167】
図24は、フレーム期間に含まれるブランキング期間、書き込み期間及び光源点灯期間と温度検出タイミングとの関係の他の一例を示すタイムチャートである。図24に示すように、「1エリア」の温度検出は、2つ以上のエリアについて個別に行われてもよい。例えば、異常温度が検出された部分領域が座標y1と座標y2に1つずつある場合に、図24に示すような温度検出パターンが適用される。図24では、毎フレームの期間T11,T21に「複数エリア」(又は、「全エリア」)の温度検出が行われ、期間T12,T22に座標y1及び座標y2の部分領域の温度検出が逐次行われる場合を例示している。
【0168】
図25は、フレーム期間に含まれるブランキング期間、書き込み期間及び光源点灯期間と温度検出タイミングとの関係の他の一例を示すタイムチャートである。「1エリア」の温度検出が2つ以上のエリアについて個別に行われる場合、それぞれの温度検出頻度は同一でなくてもよい。例えば図25に示すように、期間T12に座標y1及び座標y2の部分領域の温度検出が逐次行われ、期間T22に座標y2の部分領域の温度検出が行わるようにしてもよい。これによって、座標y1の部分領域と座標y2の部分領域とに「1エリア」の温度検出を適用しつつ、座標y2の部分領域の温度検出頻度を座標y1の部分領域の温度検出頻度よりも高めることができる。
【0169】
なお、期間T11,T21と、期間T12,T22と、期間T23,T23の各々の時間長は、フレーム期間Fの時間長と矛盾しない範囲内で、適宜設定される。係る設定のための情報は、設定情報に含まれていてもよいし、予めレジスタ以外の回路に設定されていてもよい。
【0170】
また、設定情報は、いずれの部分領域からも異常温度が所定時間以上継続して検出されない場合に、温度検出の頻度を通常時よりもさらに下げる情報を含んでいてもよい。例えば、通常時に1秒間に10回の頻度で「全エリア」の温度検出を行う場合であって、異常温度が15分以上継続して検出されないとき、1秒間に10回未満(例えば、1回)の頻度で「全エリア」の温度検出を行うようにしてもよい。
【0171】
また、設定情報は、いずれの部分領域からも異常温度が検出された場合に、「全エリア」の温度検出の頻度を通常時よりも上げる情報を含んでいてもよい。例えば、通常時に1秒間に1回の頻度で「全エリア」の温度検出を行う場合であって、異常温度が検出されたとき、1秒間に2回以上(例えば、10回、30回等)の頻度で「全エリア」の温度検出を行うようにしてもよい。
【0172】
また、表示パネル2のフレームレートと、温度検出の頻度との関係が設定情報に含まれていてもよい。例えば、高速なフレームレートで画像が表示出力される場合に通常時の温度検出頻度を1秒間に1回とし、標準のフレームレートで画像が表示出力される場合に通常時の温度検出頻度を1秒間に10回とし、低速なフレームレートで画像が表示出力される場合に通常時の温度検出頻度を1秒間に30回とするような設定情報が採用されてもよい。高速なフレームレートとは、例えば120[Hz]である。標準のフレームレートとは、例えば60[Hz]である。低速なフレームレートとは、例えば10[Hz]である。これら例示した各種の数値はあくまで一例であってこれに限られるものでなく、数値の大小関係が同様になる範囲で適宜変更可能である。
【0173】
また、上述の異常対応処理における表示制御や光源制御に関する各種の数値情報は、設定情報に含まれていてもよいし、予めレジスタ以外の回路に設定されていてもよい。
【0174】
以上説明したように、実施形態によれば、HUD装置1は、複数の画素VPixが設けられた表示領域AAを有する表示パネル2と、複数の温度センサ(例えば、複数の第1温度検出用配線SMX及び複数の第2温度検出用配線SMY)と、表示パネル2及び温度検出部30の動作を制御する制御IC(DDIC19)とを備える。複数の温度センサが配置される複数の温度検出領域SMは、表示領域AAと重なるよう設けられる。制御ICは、複数の温度検出領域SMの各々と重なる部分領域単位で表示領域AAを制御可能に設けられる。
【0175】
ここで、「部分領域単位で表示領域AAを制御可能」とは、部分領域の輝度と部分領域の表示出力内容との少なくともいずれか一方を制御可能であることをさす。従って、温度検出部30により温度上昇が検出された場合に温度上昇に対応した制御を部分領域単位でAAに反映できる。すなわち、HUD装置1は、温度上昇に対応できる。
【0176】
そして、実施形態によれば、表示パネルの信号線SGL及び走査線GCLならびに複数の第1温度検出用配線SMX及び複数の第2温度検出用配線SMYは、制御IC(DDIC19)に接続されている。これによって、表示に係る機能(例えば、表示制御部111及び光源制御部112)と温度検出に係る機能(温度検出制御部120)との連携のための信号伝送に係る配線や、当該連携のための回路が不要になる。従って、配線や他の回路の増加を抑制可能な表示装置を実現できる。
【0177】
また、制御IC(DDIC19)は、表示パネル2の動作を制御する表示制御部111と、温度検出部30の動作に係る処理を行う温度検出制御部120と、表示パネル2を照明する光源部6の動作を制御する光源制御部112とを含む。これによって、表示パネル2の動作制御と、温度検出部30の動作制御と、光源部6の動作制御とを制御ICで行える。従って、これらの動作制御の連携に係る複数の回路及び当該複数の回路同士を接続する配線が不要になる。
【0178】
また、制御IC(DDIC19)は、第1温度T2以上の温度が複数の温度検出領域SMのうち1つ以上で検出された場合、所定の異常対応処理を行う。異常対応処理は、第1処理と、第2処理と、第3処理とのうち1つ以上を含む。第1処理は、表示パネル2の表示更新頻度を第1温度T2以上の温度が検出される前よりも低減させる処理である。第2処理は、制御ICに含まれる少なくとも一部の機能の動作周波数(例えば、表示パネル2のフレームレートと連動する表示制御部111の動作周波数)を第1温度以上の温度が検出される前よりも低下させる処理である。第3処理は、表示パネル2を照明する光の輝度を第1温度以上の温度が検出される前よりも低減させる処理である。第1処理及び第2処理によって、制御ICの負荷が低減され、制御ICからの発熱を抑制できる。また、第3処理によって、光源部6からの発熱を抑制できる。
【0179】
また、第1温度T2は、摂氏50度以上の温度である。これによって、表示パネル2が正常に動作しなくなる可能性をゼロにできない摂氏50度以上の温度に達した部分領域が生じた場合であっても、異常対応処理によって対応できる。
【0180】
また、第1温度T2よりも高い第2温度T3以上の温度が複数の温度検出領域SMのうち1つ以上で検出された場合、異常対応処理は、第4処理と、第5処理と、第6処理とのうち1つ以上を含む。第4処理は、表示パネル2の表示更新頻度を第1処理よりもさらに低減させる(例えば、表示出力の停止を行う)処理である。第5処理は、制御IC(DDIC19)に含まれる少なくとも一部の機能の動作周波数を第2処理よりもさらに低下させる処理(例えば、表示出力の停止に伴う表示制御部111の動作停止)である。第6処理は、表示パネル2を照明する光の輝度を第3処理よりもさらに低減させる(例えば、点灯させない)処理である。第4処理及び第5処理によって、制御ICの負荷が低減され、制御ICからの発熱を抑制できる。また、第6処理によって、光源部6からの発熱を抑制できる。
【0181】
また、第3処理及び第6処理は、第1温度T2の温度が検出された温度検出領域SMと重なる部分領域単位で行われる。これによって、第1温度T2の温度が検出された温度検出領域SMと重なる部分領域での発熱の抑制と、他の部分領域での通常の表示出力とを両立できる。
【0182】
また、第1処理及び第4処理は、第1温度以上の温度が検出された温度検出領域と重なる部分領域に設けられている走査線を共有する部分領域単位で行われる。これによって、異常温度が検出されて万全な動作が担保されない部分領域に関する動作の一部又は全部の省略による発熱の抑制と、他の部分領域での通常の表示出力とを両立できる。
【0183】
また、温度検出制御部120は、異常対応処理が行われていない場合の単位時間あたりの温度検出頻度に比して、異常対応処理が行われている場合の単位時間あたりの温度検出頻度を上げる。これによって、異常温度が検出された後の温度変化により迅速に対応した異常対応処理又は異常対応処理の解除を行える。
【0184】
また、温度検出制御部120は、第1温度T2以上の温度が複数の温度検出領域SMのうち1つの温度検出領域で検出された場合、表示パネル2による画像の表示が行われないブランキング期間と複数の画素に画素信号が書き込まれる書き込み期間に当該1つの温度検出領域SMにおける温度検出を行う。例えば、温度検出制御部120は、当該1つの温度検出領域SMにおける温度検出を1秒間あたり1回以上120回以下の回数行う。これによって、当該1つの温度検出領域SMにおける温度検出の頻度をより高めやすくなる。
【0185】
また、温度検出制御部120は、第1温度T2以上の温度が複数の温度検出領域SMのうち2つ以上の温度検出領域SMで検出された場合、表示パネルによる画像の表示が行われないブランキング期間に当該2つ以上の温度検出領域SMにおける温度検出を行う。例えば、温度検出制御部120は、当該2つ以上の温度検出領域SMにおける温度検出を1秒間あたり1回以上60回以下の回数行う。これによって、書き込み期間及び光源点灯期間のように表示出力に係る動作制御が行われる期間とは別の期間に温度検出を行える。従って、温度検出と表示出力とを別期間で行える。
【0186】
なお、実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本開示から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【0187】
以上、好適な実施の形態を説明したが、本開示はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本開示の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本開示の技術的範囲に属する。
【0188】
例えば、表示パネル2は、液晶パネルを例示したが、有機ELパネルであってもよい。発光素子LEDごとに異なる光を出射することで画像を表示するマイクロLED(micro LED)パネルであってもよい。発光素子LEDは、LEDは、平面視で、3μm以上、100μm以下程度の大きさを有する。表示パネル2が有機ELパネル又はマイクロLEDパネルである場合、光源部6は省略される。また、表示パネル2が有機ELパネルである場合、光源制御部112の制御対象は、有機ELパネルの表示領域AA全体又は部分領域単位での発光輝度になる。また、表示パネル2がマイクロLEDパネルである場合、光源制御部112の制御対象は、表示領域AA全体又は部分領域単位でのマイクロLEDの発光輝度になる。
【0189】
また、温度検出部30の構成は、実施形態のように表示パネル2に一体的に設けられる所謂インセル方式に限られない。第1温度検出用配線SMX、第2温度検出用配線SMYが省略された表示専用の表示パネル2と、温度検出部30として機能する第1温度検出用配線SMX、第2温度検出用配線SMYが積層された温度センサパネルとが個別に設けられる所謂アウトセル方式であってもよい。アウトセル方式では、当該温度センサパネルが当該表示専用の表示パネル2の投影側に設けられる。
【0190】
また、「ある温度(例えば、第1温度T2)以上他の温度(例えば、第1温度T2)未満」という判定基準は、「ある温度を超え、かつ、他の温度以下」という判定基準であってもよい。温度と第1温度T2等の閾値との関係の詳細については適宜変更可能である。同様に、「~以上」については、「~を超える」としてもよい。また、「~未満」については、「~以下」としてもよい。すなわち、判定の矛盾が生じない範囲内で、「~以上」、「~を超える」、「~未満」、「~以下」を適宜変更してよい。
【0191】
また、温度検出領域SMの配置は、マトリクス状に限られない。例えば、上述の第1温度検出用配線SMX又は第2温度検出用配線SMYのいずれか一方のみが設けられ、係る一方が第1方向Dx又は第2方向Dyのうち一方向に沿う複数の温度検出領域SMとして機能するようにしてもよい。その場合、係る一方向に沿う複数の温度検出領域SMに個別に重なるよう、複数の部分領域が表示領域AAに設定される。
【0192】
また、信号線SGLと走査線GCLのうち一方は、DDIC19に接続されていなくてもよい。
【0193】
信号線SGLがDDIC19に接続されない場合、走査線GCLがDDIC19の表示制御部111に接続される。当該表示制御部111は、走査線GCLに対する駆動信号の印加による画素信号の書き込み時における走査に係る機能を担う。信号線SGLは、DDIC19とは別個に設けられたソースドライバに接続される。当該ソースドライバは、書き込み時において各副画素SPixに対する画素信号の入力に係る機能を担う。
【0194】
走査線GCLがDDIC19に接続されない場合、信号線SGLがDDIC19の表示制御部111に接続される。当該表示制御部111は、書き込み時において各副画素SPixに対する画素信号の入力に係る機能を担う。走査線GCLは、DDIC19とは別個に設けられたゲートドライバに接続される。当該ゲートドライバは、走査線GCLに対する駆動信号の印加による画素信号の書き込み時における走査に係る機能を担う。
【0195】
また、上述の説明における第2処理及び第5処理の例として、表示制御部111の動作周波数を低減させる例が記載されているが、第2処理及び第5処理はこれに限られるものでない。例えば、表示パネル2のフレームレートを低下させる処理と連動して、DDIC19に含まれる各種機能に対応した構成(例えば、表示制御部111、光源制御部112、温度検出制御部120)の全部の動作周波数を一律で下げるようにしてもよいし、一部を除いて他の機能に対応する部分の動作周波数を一律で下げるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0196】
1 HUD装置
2 表示パネル
6 光源部
19 DDIC
30 温度センサ
61 光源
AA 表示領域
SMX 第1温度検出用配線
SMY 第2温度検出用配線
SM 温度検出領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25