(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】整流構造、飛翔体及び宇宙機
(51)【国際特許分類】
B64C 1/38 20060101AFI20240304BHJP
B64G 1/58 20060101ALN20240304BHJP
F42B 15/34 20060101ALN20240304BHJP
【FI】
B64C1/38
B64G1/58
F42B15/34
(21)【出願番号】P 2020090904
(22)【出願日】2020-05-25
【審査請求日】2023-01-16
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)「平成23年度、防衛省請負契約、産業技術強化法第17条の適用を受ける特許出願」
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【氏名又は名称】長田 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】勝永 健太
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 匡志
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-138072(JP,A)
【文献】国際公開第2018/193170(WO,A1)
【文献】特表2020-517881(JP,A)
【文献】特開平09-207900(JP,A)
【文献】特開平04-019300(JP,A)
【文献】特開2001-123641(JP,A)
【文献】特開平10-035597(JP,A)
【文献】特開2011-183922(JP,A)
【文献】実開昭58-119097(JP,U)
【文献】特開2014-184875(JP,A)
【文献】特開2000-335500(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0264015(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0078599(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105253290(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103029826(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 1/38
B64G 1/58
F42B 15/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側表面と内側表面とを有し、前記外側表面に沿った空気の流れを制御するように構成された外殻と、
前記外殻の前記内側表面に対向するように設けられ、内部にペイロードを
離間して収容する内殻と、
前記内殻に隙間を挟んで離間されて結合されたプレート
とを備え、
前記外殻が、前記プレートに結合された
整流構造。
【請求項2】
請求項1に記載の整流構造であって、
前記内殻と前記プレートが、スペーサ部材を挟んで結合された
整流構造。
【請求項3】
外側表面と内側表面とを有し、前記外側表面に沿った空気の流れを制御するように構成された外殻と、
前記外殻の前記内側表面に対向するように設けられ、内部にペイロードを収容する内殻と、
前記内殻に隙間を挟んで離間されて結合されたプレート
とを備え、
前記外殻が、前記プレートに結合され、
前記プレートが、スクリューを用いて前記外殻に結合されている
整流構造。
【請求項4】
請求項3に記載の整流構造であって、
更に、
前記外殻に結合され、内ネジが形成されたボスを備え、
前記スクリューの外ネジが、前記ボスの前記内ネジに螺合されることで前記プレートが前記外殻に結合される
整流構造。
【請求項5】
請求項4に記載の整流構造であって、
更に、前記プレートと前記ボスの間に挟まれた筒状のカラーを備え、
前記スクリューが、前記プレートに設けられた貫通穴と前記カラーの内部空間を通して前記ボスの前記内ネジに挿入されている
整流構造。
【請求項6】
請求項5に記載の整流構造であって、
前記カラーが、前記スクリューから離間して設けられている
整流構造。
【請求項7】
請求項3乃至6のいずれか1項に記載の整流構造であって、
前記内殻に形成された貫通穴に挿入され、前記スクリューが挿入され、前記スクリューの頭部と前記プレートとによって挟まれるワッシャを備え、
前記ワッシャが前記内殻から離れて固定される
整流構造。
【請求項8】
請求項5又は6に記載の整流構造であって、
更に、前記プレートと前記内殻とを結合する結合部材を備えており、
前記結合部材が、前記カラーの外部に位置している
整流構造。
【請求項9】
請求項4乃至6のいずれか1項に記載の整流構造であって、
前記外殻は、前記内側表面から突出する突出部を備えており、
前記ボスが、前記突出部に設けられた凹部に挿入されている
整流構造。
【請求項10】
請求項9に記載の整流構造であって、
前記ボスが、前記外殻と異なる材料で形成されている
整流構造。
【請求項11】
本体と、
前記本体の先端に接合された
請求項3から10のいずれか1項に記載の整流構造
とを備
えた
飛翔体。
【請求項12】
請求項11に記載の飛翔体であって、
前記内殻と前記プレートが、スペーサ部材を挟んで結合された
飛翔体。
【請求項13】
請求項3から10のいずれか1項に記載の整流構造を備える宇宙機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整流構造、飛翔体及び宇宙機に関し、特に、飛翔体及び宇宙機に搭載される機器を高温から保護するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
空気中を高速で移動する飛翔体(flying object)や、宇宙空間に投入される宇宙機の表面は、高温になり得る。例えば、空気中を高速で移動する飛翔体の表面は、空力加熱により高温になり得る。また、宇宙機の表面は、例えば太陽から受ける熱によって高温になり得る。飛翔体や宇宙機には、高温に弱い機器を含むペイロードが搭載されることがあり、このようなペイロードは、高温から保護することが望ましい。
【0003】
したがって、飛翔体や宇宙機に搭載されるペイロードを高温から保護するための技術の提供には技術的ニーズが存在する。
【0004】
なお、特開2001-123641号公報は、断熱性に優れた外装パネルを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、飛翔体や宇宙機に搭載されるペイロードを高温から保護するための技術を提供することにある。本発明の他の目的は、以下の開示から当業者には理解されよう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、「発明を実施するための形態」で使用される符号を付しながら、課題を解決するための手段を説明する。これらの符号は、「特許請求の範囲」の記載と「発明を実施するための形態」との対応関係の一例を示すために付加されたものである。
【0008】
本発明の一の観点では、整流構造が、外側表面(11a)と内側表面(11b)とを有し、外側表面(11a)に沿った空気の流れを制御するように構成された外殻(11)と、外殻(11)の内側表面(11b)に対向するように設けられ、内部にペイロード(13)を収容する内殻(12)と、内殻(12)に隙間を挟んで離間されて結合されたプレート(22)とを備えている。外殻(11)は、プレート(22)に結合されている。
【0009】
一実施形態では、内殻(12)とプレート(22)が、スペーサ部材(25、26)を挟んで結合されてもよい。
【0010】
一実施形態では、プレート(22)が、スクリュー(27)を用いて外殻(11)に結合されてもよい。
【0011】
一実施形態では、当該整流構造が、更に、外殻(11)に結合され、内ネジ(21b)が形成されたボス(21)を備えており、スクリュー(27)の外ネジが、ボス(21)の内ネジ(21b)に螺合されることで前記プレート(22)が外殻(11)に結合されてもよい。
【0012】
一実施形態では、当該整流構造が、更に、プレート(22)とボス(21)の間に挟まれた筒状のカラー(29)を備えていてもよい。この場合、スクリュー(27)が、プレート(22)に設けられた貫通穴(22c)とカラー(29)の内部空間(29a)を通してボス(21)の内ネジ(21b)に挿入される。好適な一実施形態では、カラー(29)は、スクリュー(27)から離間して設けられている。
【0013】
一実施形態では、プレート(22)と内殻(12)とを結合する結合部材(23、24)が、カラー(29)の外部に位置している。
【0014】
一実施形態では、外殻(11)は、内側表面(11b)から突出する突出部(11c)を備えており、ボス(21)が、突出部(11c)に設けられた凹部(11d)に挿入されていてもよい。
【0015】
一実施形態では、ボス(21)が、外殻(11)と異なる材料で形成されていてもよい。
【0016】
本発明の他の観点では、飛翔体(100)が、本体(1)と、本体(1)の先端に接合されたフェアリング(2)とを備えている。フェアリング(2)は、外側表面(11a)と内側表面(11b)とを有し、外側表面(11a)に沿った空気の流れを制御するように構成された外殻(11)と、外殻(11)の内側表面(11b)に対向するように設けられ、内部にペイロード(13)を収容する内殻(12)と、内殻(12)に隙間を挟んで離間されて結合されたプレート(22)とを備えている。外殻(11)は、プレート(22)に結合されている。
【0017】
本発明の更に他の観点では、宇宙機が、外殻(11)と、外殻(11)の内側表面(11b)に対向するように設けられ、内部にペイロード(13)を収容する内殻(12)と、内殻(12)に隙間を挟んで離間されて結合されたプレート(22)とを備えている。
外殻(11)は、プレート(22)に結合されている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、飛翔体や宇宙機に搭載されるペイロードを高温から保護するための技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】一実施形態における飛翔体の構造を概略的に示す側面図である。
【
図2】一実施形態におけるフェアリングの構造を概略的に示す部分断面図である。
【
図3】一実施形態におけるフェアリングの内殻保持構造の構造を示す断面図である。
【
図4】
図3の内殻保持構造の構造を示す分解図である。
【
図5】
図3の内殻保持構造における熱伝導を示す断面図である。
【
図7】他の実施形態におけるフェアリングの内殻保持構造の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、一実施形態における飛翔体100の構造を概略的に示す側面図である。飛翔体100は、推進力を発生するエンジンが搭載された本体1と、本体1の先端に接合されたフェアリング2とを備えている。フェアリング2は、所望の機器を収容すると共に、飛翔体100の先端付近における空気の流れを制御する整流構造としても機能する。
【0021】
図2は、フェアリング2の構造を概略的に示す部分断面図である。フェアリング2は、外殻11と内殻12とを備えている。
【0022】
外殻11は、フェアリング2の外形を保持する構造部材として構成されている。フェアリング2の整流構造としての機能は、主として外殻11によって提供される。飛翔体100が飛翔すると、外殻11の外側表面11aに沿って空気が流れるように空気の流れが整流される。このとき、外殻11は、空力加熱によって高温になり得る。
【0023】
内殻12は、外殻11の内側表面11bに対向するように内殻保持構造20によって外殻11に結合されている。内殻12の内部空間に、ペイロード13が収容される。ペイロード13は、高温に弱い機器を含み得る。内殻12は、空力加熱によって外殻11が加熱されたときに、外殻11からの熱輻射を抑制し、ペイロード13を高温から保護する。熱輻射をより抑制するために、一実施形態では、内殻12が金属材料で形成され得る。
【0024】
本実施形態では、フェアリング2が下記のように構成される。第1に、内殻保持構造20が、高い強度を有するように構成される。飛翔体100が飛翔する間、内殻12には振動が印加され得る。内殻保持構造20は、その振動に耐えられるように設計される。更に、フェアリング2は、外殻11から内殻12への熱伝導を抑制し、内殻12が低温に保持されるように構成される。内殻12が高温になると、内殻12からの熱輻射によりペイロード13の温度が上昇してしまい、ペイロード13の保護効果が薄れる。更に、フェアリング2は、整流構造としての機能を果たすために、外殻11の外側表面11aが滑らかな形状であるように構成される。例えば、内殻保持構造20が、外殻11の外側表面11aから突出する部材を含むことは好ましくない。本実施形態では、フェアリング2の内殻保持構造20が、これらの要求を満たすように構成される。
【0025】
図3は、フェアリング2の内殻保持構造20の構造を示す断面図であり、
図4は、分解図である。内殻保持構造20は、ボス21と、プレート22と、リベット23、24と、ワッシャ25、26と、スクリュー27と、ワッシャ28と、カラー29とを備えている。
【0026】
ボス21は、外殻11に結合されている。詳細には、内側表面11bから突出する突出部11cが外殻11に形成されており、ボス21は、この突出部11cに形成された凹部11dに挿入されている。一実施形態では、ボス21が凹部11dに嵌め込まれた状態で、突出部11cに形成された切欠き11eとボス21に形成された切欠き21aとにボス固定キー31をかしめることで、ボス21が外殻11に結合される。ボス21には内ネジ21bが形成されている。ボス21の内ネジ21bは、スクリュー27の外ネジに螺合される。一実施形態では、ボス21は、外殻11と異なる材料で形成されており、ボス21は、外殻11よりもネジ山の形成が容易な材料で形成される。このような構造は、特に、ねじ山の形成が困難な材料で外殻11が形成される場合に有用である。
【0027】
プレート22は、内殻12にリベット23、24によって結合されている。リベット23、24は、プレート22を内殻12に結合する結合部材として機能する。詳細には、内殻12に貫通穴12a、12bが形成され、プレート22に貫通穴22a、22bが形成されている。内殻12とプレート22との間にワッシャ25、26が挟まれた状態でリベット23が貫通穴12a、ワッシャ25及び貫通穴22aに挿入され、更にリベット24が貫通穴12b、ワッシャ26及び貫通穴22bに挿入される。この状態でリベット23、24をかしめることで、プレート22が内殻12に結合される。
図3には、リベット23、24をかしめた後のリベット23、24の構造が図示されており、
図4には、リベット23、24をかしめる前のリベット23、24の構造が図示されている。
【0028】
本実施形態では、内殻12とプレート22との間にワッシャ25、26が挟まれることで、内殻12とプレート22とは、微小な隙間を挟んで離間されている。ワッシャ25、26は、内殻12とプレート22との間の隙間に対応する厚さを有しており、内殻12とプレート22とを離間させる環状のスペーサ部材として機能する。後述のように、内殻12とプレート22とが離間されていることは、外殻11から内殻12への熱伝導を抑制するために有効である。
【0029】
内殻12には、スクリュー27を通すための貫通穴12cが形成され、プレート22には、スクリュー27を通すための貫通穴22cが形成されている。
【0030】
スクリュー27とワッシャ28とカラー29とは、外殻11と内殻12とを連結する連結構造として機能する。詳細には、スクリュー27は、頭部27aと、外ネジが形成された胴部27bとを備えている。ワッシャ28は、スクリュー27の頭部27aに対応した形状の穴28aを有している。カラー29は、筒状に、本実施形態では円筒形に形成されており、それを貫通する内部空間29aを有している。スクリュー27がカラー29の内部空間29aを通される一方で、リベット23、24は、カラー29の外に位置している。
【0031】
スクリュー27は、ワッシャ28の穴28a、内殻12の貫通穴12c、プレート22の貫通穴22c、カラー29を通じてボス21の内ネジ21bに挿入されており、スクリュー27の胴部27bの外ネジが、この内ネジ21bに螺合される。スクリュー27は、カラー29の内部空間29aに挿入されているが、カラー29から離間されており、カラー29には接触していない。ワッシャ28とプレート22とカラー29とがスクリュー27の頭部27aとボス21に挟まれて締め付けられることで、内殻12が外殻11に結合される。ボス21とプレート22とを結合するスクリュー27がカラー29の内部空間29aを通される一方で、プレート22と内殻12とを結合するリベット23、24は、カラー29の外に位置している。
【0032】
なお、ワッシャ28は、スクリュー27の頭部27aの位置を安定にするために設けられており、頭部27aとプレート22とで挟まれて固定されている。本実施形態では、ワッシャ28は、内殻12に接しないように固定されている。後述されるように、このような構造は、外殻11から内殻12への熱伝導を抑制するために有効である。スクリュー27の頭部27aの形状によってはワッシャ28を省略してもよい。
【0033】
このように構成された本実施形態の内殻保持構造20は、高い強度を有しながら、断熱性が向上されており、外殻11が空力加熱によって加熱されたときの内殻12の温度上昇を抑制することができる。
【0034】
図5は、内殻保持構造20における熱伝導を概略的に示している。外殻11の外側表面11aに沿って空気が流れ、空力加熱によって外殻11が加熱されると、熱が、外殻11からボス21、スクリュー27及びカラー29を介してプレート22に伝わり、更に、リベット23、24を介して内殻12に伝わる。
【0035】
このとき、本実施形態の内殻保持構造20では、内殻12とプレート22との間にワッシャ25、26が挿入され、内殻12とプレート22とが離間され、ワッシャ28が、内殻12から離間しているので、プレート22から内殻12に熱を伝導させる伝熱経路が、リベット23、24及びワッシャ25、26に限られる。このため、本実施形態の内殻保持構造20は、伝熱経路が長い。これは、熱抵抗を増加させ、断熱性の向上に寄与する。リベット23、24が、カラー29の外部に、スクリュー27から離れた位置に設けられていることも、伝熱経路を長くすることに寄与している。
【0036】
また、カラー29が筒状に形成される一方で、スクリュー27から離間された構造は、断熱性を向上しながら内殻保持構造20の強度を高めることを可能にする。カラー29は、内部空間29aを有しており、中実ではないので、熱伝導を小さくできる。その一方で、スクリュー27とカラー29との間の隙間を大きくすることで、強度を高くすることができる。例えば、カラー29が円筒形状に形成されている場合、カラー29の半径を増大させることで、カラー29の厚さを薄くしても十分な強度を得ることができる。
【0037】
以上に説明されているように、本実施形態の内殻保持構造20は、十分な強度を有しながら外殻11から内殻12への断熱性を向上することができる。これは、ペイロード13を高温から保護するために有用である。
【0038】
図6に示す変形例では、ワッシャ28が内殻12に形成された開口に挿入されて接触している。このような構造でも、外殻11から内殻12に至る経路の熱抵抗を増加させ、断熱性を向上させることができる。ただし、断熱性の観点からは、
図3~
図5に示すように、ワッシャ28が、内殻12から離間して固定されることが好ましい。
【0039】
図7は、他の実施形態における内殻保持構造20Aの構造を示す断面図である。本実施形態では、外殻11が、内側表面11bから突出する突出部11fを有しており、その突出部11fに、スクリュー27が挿入される挿入穴11gが設けられている。挿入穴11gの内面には内ネジが形成されている。スクリュー27の胴部27bの外ネジが、挿入穴11gに形成された内ネジに螺合されることで、内殻12が外殻11に結合される。
図6の内殻保持構造20Aの他の部分の構造は、
図3、
図4に図示されている内殻保持構造20と同様である。
【0040】
本実施形態の内殻保持構造20Aにおいても、内殻12とプレート22との間にワッシャ25、26が挿入され、内殻12とプレート22とが離間されている。これは、熱抵抗を増加させ、外殻11から内殻12への断熱性の向上に寄与する。また、
図7に図示されている構造では、外殻11とプレート22との間の熱抵抗が、
図3に図示されている構造よりも小さいが、部品の数を低減することができる。
【0041】
なお、上記には飛翔体100のフェアリング2の実施形態が説明されているが、上記の実施形態に述べられた構造は、強度と断熱性に優れており、宇宙機の断熱構造としても有用である。上記の実施形態に述べられた構造が宇宙機の断熱構造として用いられる場合も、内殻12が内殻保持構造20によって外殻11に結合され、内殻12の内部空間に所望のペイロード13が搭載される。ただし、宇宙機としての用途では、外殻11は、必ずしも構造部材として構成されなくともよい。また、空気が存在しない宇宙空間で使用される場合には、外殻11は、整流部材としての機能を有していなくてもよい。
【0042】
以上には、本発明の実施形態が具体的に記述されているが、本発明は、上記の実施形態に限定されない。本発明が種々の変更と共に実施され得ることは、当業者には理解されよう。
【符号の説明】
【0043】
1 :本体
2 :フェアリング
11 :外殻
11a :外側表面
11b :内側表面
11c :突出部
11d :凹部
11e :切欠き
11f :突出部
11g :挿入穴
12 :内殻
12a :貫通穴
12b :貫通穴
12c :貫通穴
13 :ペイロード
20 :内殻保持構造
20A :内殻保持構造
21 :ボス
21a :切欠き
21b :内ネジ
22 :プレート
22a :貫通穴
22b :貫通穴
22c :貫通穴
23 :リベット
24 :リベット
25 :ワッシャ
26 :ワッシャ
27 :スクリュー
27a :頭部
27b :胴部
28 :ワッシャ
28a :穴
29 :カラー
29a :内部空間
31 :ボス固定キー
100 :飛翔体