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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20240304BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240304BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
G03G15/20 555
G03G15/00 303
G03G21/14
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020096185
(22)【出願日】2020-06-02
(65)【公開番号】P2021189350
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宍道 健史
(72)【発明者】
【氏名】西田 聡
(72)【発明者】
【氏名】竹田 敢
(72)【発明者】
【氏名】三谷 隆徳
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-138959(JP,A)
【文献】特開2018-004938(JP,A)
【文献】特開2015-197653(JP,A)
【文献】特開2002-258642(JP,A)
【文献】特開2015-052722(JP,A)
【文献】特開2019-204080(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/20
13/34
15/00
15/20
15/36
21/00-21/02
21/14
21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定画像の画像情報に応じて記録材にトナー像を形成する画像形成部と、
前記トナー像が形成された前記記録材をニップ部で搬送しながら加熱して前記トナー像を前記記録材に定着する定着部と、
を備える画像形成装置において、
前記記録材の搬送方向と直交する主走査方向における前記トナー像の端部の位置である画像端部位置を取得する取得部と、
前記画像形成装置を制御する制御部と、
を備え
前記主走査方向のサイズが画像形成装置で使用可能な最大サイズである第1の記録材よりも小さい複数の第2の記録材に連続して画像を形成する場合、
前記制御部は、
前記主走査方向に関して、前記画像端部位置が前記第2の記録材に対して形成可能な最大サイズのトナー像の端部の位置と同じである場合、前記トナー像を前記記録材に定着する時の前記定着部の目標温度を第1の目標温度に設定し、かつ、先行する前記第2の記録材と後続の前記第2の記録材の間の搬送間隔を第1の間隔に設定し、
前記主走査方向に関して、前記画像端部位置が前記第2の記録材に対して形成可能な最大サイズの前記トナー像の端部の位置よりも前記第2の記録材の中央側にある場合、前記目標温度を前記第1の目標温度よりも低い第2の目標温度に設定し、かつ、前記搬送間隔を前記第1の間隔よりも短い第2の間隔に設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記ニップ部で連続して搬送される前記記録材の連続枚数を取得し、
前記制御部は、前記画像端部位置及び前記連続枚数に基づいて前記目標温度を決定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記連続枚数が増加するにつれて前記目標温度を下げることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記記録材に対して形成可能な最大サイズのトナー像の端部の位置から前記画像端部位置までの距離が大きい程、前記第1の目標温度と前記第2の目標温度との温度差が大きい
ことを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記主走査方向における前記記録材の一方の端部の位置から前記画像端部位置までの第1の距離と、前記主走査方向における前記記録材の他方の端部の位置から前記画像端部位置までの第2の距離と、のうち短い距離に基づいて前記目標温度を決定することを特徴とする請求項1からの何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記定着部は、前記記録材を加熱するヒータを備えるヒータユニットを有し、
前記ヒータは、前記主走査方向において単一の発熱分布を有することを特徴とする請求項1からの何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記定着部は、前記記録材と接触する筒状のフィルムを有し、前記ヒータユニットは前記フィルムの内面に接触していることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記定着部は、前記フィルムを介して前記ヒータユニットと共に前記ニップ部を形成するローラを有することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、複写機等の加熱定着装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタや複写機など、電子写真方式の画像形成装置は、画像情報に基づいて記録材にトナー像を形成する画像形成部と、記録材に形成された未定着のトナー像を記録材に加熱定着する定着部(加熱定着装置)と、を有している。画像情報を基にその画像の定着しやすさを判別し、目標温度(定着温度)を制御する方式が知られている。特許文献1には、画像情報に基づいて記録材の搬送方向と直交する方向のサイズを判別し、判別された記録材のサイズに基づいて記録材の給紙間隔を制御する画像形成装置が開示されている。特許文献2には、記録材上に形成されたトナー像を選択的に加熱することで、無駄な熱エネルギー消費を削減することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-209291号公報
【文献】特開2014-153507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像形成装置の定着部によって記録材が加熱される際、記録材の搬送方向と直交する主走査方向における記録材の中央部と端部で温度に差が生じる場合がある。主走査方向における記録材の中央部と端部で温度に差が生じることで、主走査方向におけるトナー像の端部位置によっては過剰に高い目標温度を選択している場合がある。本発明は、適切な目標温度を決定することで、消費電力の低減を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本出願に係る発明は、
所定画像の画像情報に応じて記録材にトナー像を形成する画像形成部と、
前記トナー像が形成された前記記録材をニップ部で搬送しながら加熱して前記トナー像を前記記録材に定着する定着部と、
を備える画像形成装置において、
前記記録材の搬送方向と直交する主走査方向における前記トナー像の端部の位置である画像端部位置を取得する取得部と、
前記画像形成装置を制御する制御部と、
を備え
前記主走査方向のサイズが画像形成装置で使用可能な最大サイズである第1の記録材よりも小さい複数の第2の記録材に連続して画像を形成する場合、
前記制御部は、
前記主走査方向に関して、前記画像端部位置が前記第2の記録材に対して形成可能な最大サイズのトナー像の端部の位置と同じである場合、前記トナー像を前記記録材に定着する時の前記定着部の目標温度を第1の目標温度に設定し、かつ、先行する前記第2の記録材と後続の前記第2の記録材の間の搬送間隔を第1の間隔に設定し、
前記主走査方向に関して、前記画像端部位置が前記第2の記録材に対して形成可能な最大サイズの前記トナー像の端部の位置よりも前記第2の記録材の中央側にある場合、前記目標温度を前記第1の目標温度よりも低い第2の目標温度に設定し、かつ、前記搬送間隔を前記第1の間隔よりも短い第2の間隔に設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
適切な目標温度を決定することで、消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例1に係る画像形成装置の構成図
図2】実施例1に係る定着部の概略断面図
図3】実施例1に係る定着部の概略正面図
図4】実施例1に係るヒータの説明図
図5】実施例1に係るサーミスタ及び温度ヒューズの説明図
図6】実施例1に係るフィルムアセンブリの長手方向の断面図
図7】実施例1に係る給電コネクタ及びヒータクリップの説明図
図8】実施例1に係るプリンタシステムの構成図
図9】実施例1に係る画像処理部の機能構成部の一例を示す図
図10】実施例1に係る画像例の説明図
図11】実施例1における効果の説明図
図12】実施例2における効果の説明図
図13】実施例3における効果の説明図
図14】比較例に係るヒータの説明図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、実施形態に記載されている構成部品の寸法や材質や形状やそれらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件などにより適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施形態に限定する趣旨ではない。
【0009】
(実施例1)
実施例1について、図1から図11及び図14を用いて説明する。図1は電子写真方式の画像形成装置の一例である、インライン方式のカラー画像形成装置を示す構成図である。図1を用いて電子写真方式のカラー画像形成装置(以下、画像形成装置と表記する)の動作を説明する。
画像形成装置は、給紙部20、現像色分のステーション毎の感光体(以下感光ドラムと表記する)22(22Y、22M、22C、22K)、及び帯電器23(23Y、23M、23C、23K)を有する。また、画像形成装置は、トナーカートリッジ25(25Y、25M、25C、25K)、及び現像器26(26Y、26M、26C、26K)を有する。更に、画像形成装置は、中間転写体30、一次転写手段31(31Y、31M、31C、31K)、二次転写ローラ32、残留トナー帯電手段33、及び定着部(加熱定着装置)50等を有する。
【0010】
画像信号に基づいてプリンタ制御装置304が制御した露光により、感光ドラム22上に静電潜像を形成し、この静電潜像を現像して単色トナー像を感光ドラム22上に形成する。単色トナー像を重ね合わせて多色トナー像を形成し、多色トナー像を記録材(記録媒体)11へ転写する。定着部50において記録材11に熱及び圧力が加えられることで記録材11に多色トナー像が定着されて、記録材11に多色トナー像(画像)が形成される。
【0011】
感光ドラム22は、アルミシリンダの外周に有機光導伝層を塗布して構成されており、図示しない駆動モータの駆動力が伝達されて反時計回り方向に回転する。画像形成装置は、帯電手段として、ステーション毎にイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の感光ドラム22を帯電させるための4個の帯電器23Y、23M、23C、23Kを備えている。レーザースキャナ24Y、24M、24C、24Kから出射されるレーザー光によって、感光ドラム22Y、22M、22C、22Kの表面を選択的に露光することにより、静電潜像が形成される。画像形成装置は、静電潜像を可視化するために、ステーション毎にイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の現像を行う4個の現像器(現像手段)26Y、26M、26C、26Kを備えている。現像器26Y、26M、26C、26Kは、図示しない離間機構によって、感光ドラム22Y、22M、22C、22Kに対して当接離間可能に構成されている。
【0012】
中間転写体30は、樹脂製の無端状ベルトで構成され、感光ドラム22Y、22M、22C、22Kに接触しており、図示しない駆動モータにより中間転写体30が時計回り方
向に回転する。中間転写体30は、画像形成動作に応じて感光ドラム22Y、22M、22C、22Kの回転に伴って回転し、一次転写手段31Y、31M、31C、31Kに電圧を印加することにより、単色トナー像が順次中間転写体30に転写される(一次転写)。感光ドラム22Y、22M、22C、22K上に残った転写残トナーは、感光ドラム22Y、22M、22C、22Kに対応して設けられたクリーニング手段27Y、27M、27C、27Kによって回収される。
【0013】
予め給紙部20に用意された記録材11は、給紙ローラ21とリタードローラ28によって給紙され、レジストローラ29によって挟持搬送される。その後、中間転写体30と中間転写体30に当接するように設けられた二次転写ローラ32が記録材11を狭持搬送し、二次転写ローラ32に電圧を印加することによって、記録材11に中間転写体30上の多色トナー像が転写される(二次転写)。以上説明した記録材11にトナー像を形成する構成を、所定画像の画像情報に応じて記録材11にトナー像を形成する画像形成部とする。このように、画像形成装置は、像担持体としての感光ドラム22と、帯電部としての帯電器23と、露光部としてのレーザースキャナ24と、現像部としての現像器26と、転写部としての中間転写体30とを有する画像形成部を備える。
【0014】
残留トナー帯電手段33は、中間転写体30上に残ったトナーを帯電させる。多色トナー像を記録材11に転写した後、中間転写体30上に残留したトナーは、残留トナー帯電手段33によって本来の極性とは逆の極性に帯電される。そして、残留トナーは、一次転写手段31によって感光ドラム22上に静電回収され、クリーニング手段27(27Y、27M、27C、27K)によって回収される。定着部50は、記録材11を狭持搬送しながら、記録材11に転写された多色トナー像を溶融定着させるものであり、詳細な構成は後述する。多色トナー像が定着した後の記録材11は、排紙ローラ54及び55によって、排出トレイ56に排出され、画像形成動作が終了する。
【0015】
図2から図7を用いて、定着部50の構成について説明する。図2は定着部50の主要部を示した概略断面図、図3は定着部50の一部を示した概略正面図である。以下の装置構成の説明において、長手方向(定着フィルム136の母線方向)とは、図中のX軸方向であり、幅方向とは記録材搬送方向であるY軸方向、高さ方向とはZ軸方向である。また、面内方向とはX軸とY軸とで形成される面、厚み方向とはZ軸方向を指す。
【0016】
像加熱部としての定着部50は、記録材11を搬送させながら、転写された多色トナー像を記録材11に溶融定着する。定着部50は、可撓性を有する回転体としての定着フィルム136を含むフィルムアセンブリ131と、記録材11を定着フィルム136に圧接させるための加圧部材としての加圧ローラ132を有する。装置フレーム133の左右の装置フレーム側板134間において、上方にフィルムアセンブリ131を設け、下方に加圧ローラ132を設けている。フィルムアセンブリ131及び加圧ローラ132は、略並行に配置されている。
【0017】
加圧ローラ132は、芯金132aと、芯金132aの周りに同心一体にローラ状に形成した、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の弾性層132bと、弾性層132bの上に形成したPFA、PTFE、FEP等の離型性層132cを有する。本実施例では、ステンレス鋼製の外径11mmの芯金132a上に射出成形により厚み約3.5mmの弾性層132bを形成し、その上に厚み約40μmの離型性層132cを被覆した加圧ローラ132を用いている。加圧ローラ132の外径は18mmである。
【0018】
加圧ローラ132の硬度は、ASKER-C硬度計で9.8Nの加重において、定着ニップ部Nの確保や耐久性などの観点から、40°以上70°以下の範囲であることが好ましい。本実施例においては、加圧ローラ132の硬度は54°である。長手方向において
、加圧ローラ132のゴム面(離型性層132c)の長さは226mmである。加圧ローラ132は、図3に示すように、芯金132aの長手方向両端で、それぞれ軸受部材135を介して装置フレーム側板134間に回転可能に支持されている。加圧ローラ132の芯金132aの一端部には、芯金132aに固着した駆動ギアGが設けられている。駆動ギアGに不図示の駆動機構部から回転力が伝達されて加圧ローラ132が回転駆動される。
【0019】
図2に示すように、フィルムアセンブリ131は、定着フィルム136と、定着フィルム136を加熱する加熱体としてのセラミックヒータ(以下、ヒータと記す)137を有するヒータユニット139とを備える。記録材11と接触する筒状の定着フィルム136の内部に、板状のヒータ(加熱部)137が配置されている。加圧ローラ132は、定着フィルム136を介してヒータユニット139と共に定着ニップ部Nを形成している。従って、定着部50は、定着フィルム136と加圧ローラ132との間に定着ニップ部Nを有している。トナー像t(多色トナー像)が形成された記録材11は、定着ニップ部Nにより搬送されると共に、熱及び圧力が加えられ、トナー像tが記録材11の表面に定着される。このように、ヒータ137が定着フィルム136を介して記録材11を加熱し、ヒータ137の熱により記録材11に形成されたトナー像が記録材11に定着する。また、フィルムアセンブリ131は、定着フィルム136を内側からガイドすると共に、ヒータ137を支持する支持部材としてのヒータホルダ138と、金属板151を備える。更に、フィルムアセンブリ131は、加圧ステイ140と、定着フィルム136の長手方向の移動を規制する規制部材としての左右の定着フランジ141等を備える。上記では、ヒータユニット139とヒータホルダ138とが分かれているが、ヒータユニット139が、ヒータ137及びヒータホルダ138を有してもよい。
【0020】
定着フィルム136は、内面側から外面側に向かって、耐熱樹脂により形成された基層、弾性層、離型層を備える。定着フィルム136は可撓性を有する。本実施例では基層として、円筒状に形成した厚み60μmのポリイミドの基材を用いている。基層の上に弾性層として厚み約150μmのシリコーンゴム層を形成し、弾性層の上に離型層として厚み15μmのPFA樹脂チューブを被覆している。定着フィルム136の内径は18mmである。
【0021】
ヒータホルダ138は、定着フィルム136を内側からガイドすると共に、ヒータ137を支持する。ヒータホルダ138は、図2に示すように、横断面略半円状樋型で、剛性、耐熱性及び断熱性を有する部材であり、液晶ポリマー等により形成されている。ヒータホルダ138は、ヒータホルダ138に外嵌した定着フィルム136の回転ガイドの役目、ヒータ137を断熱保持する役目、更には加圧ローラ132に対する加圧対向部材としての役目を果たす。
【0022】
ヒータ137は、図4に示すように、基板137a上に、銀・パラジウム合金等の抵抗発熱体137bをスクリーン印刷等によって形成し、抵抗発熱体137bに銀等の電極137cを接続している。基板137aは、アルミナ、窒化アルミニウム等のセラミック基板である。二本の抵抗発熱体137bが直列に接続され、抵抗発熱体137bの抵抗値は18Ωである。抵抗発熱体137b上にガラスコート137dを施すことにより、抵抗発熱体137bを保護し、定着フィルム136との摺動性を確保している。ヒータ137は、ヒータホルダ138の下面部に長手に沿って配設されている。
【0023】
図5は、ヒータホルダ138に安全素子、温度検知素子が装着された状態を上方から見た図である。ヒータホルダ138には貫通孔が設けられ、温度検知素子としてのサーミスタ142、安全素子としての温度ヒューズ143がそれぞれ貫通孔から金属板151の裏面に接触配置される。サーミスタ142の筐体に、ヒータ137への接触状態を安定させ
るためのセラミックペーパー等を介して、サーミスタ素子を配し、更にポリイミドテープ等の絶縁物を被覆している。
【0024】
温度ヒューズ143は、ヒータ137が異常昇温した際に、ヒータ137の異常発熱を感知し、ヒータ137の一次回路を遮断する過熱保護部品である。温度ヒューズ143が有する円筒状の金属筐体内に、所定の温度で溶融するヒューズエレメントが搭載されており、ヒータ137の異常昇温時に、ヒューズエレメントが溶断することによってヒータ137の一次回路を遮断する。温度ヒューズ143の金属筐体におけるヒータ137に接触する部分の長さが約10mm、温度ヒューズ143の金属筐体の幅が約4mmである。温度ヒューズ143は、金属板151の裏面に、熱伝導グリスを介して設置され、温度ヒューズ143がヒータ137に対して離間することによる、動作不良を防止している。
【0025】
ヒータ137は、基板137aの端部に設けられた給電部としての電極137cから抵抗発熱体137bに電力が供給されることにより迅速に昇温する。そして、ヒータ137の温度が、サーミスタ142により検知され、後述する制御部により所定の温度に維持されるように、電極137cから抵抗発熱体137bへの電力供給が制御される。
【0026】
加圧ステイ140は、横断面下向きにU字型の断面を有する、横長の剛性部材である。加圧ステイ140の材料として、板厚1.6mmのステンレス鋼を用いている。図3に示すように、ヒータホルダ138の下面にヒータ137を取り付け、ヒータホルダ138の外側に定着フィルム136を被せ、ヒータホルダ138の内側に加圧ステイ140を挿入する。加圧ステイ140の左右の外方延長腕部にそれぞれ左右の定着フランジ141を嵌着する。このようにして、フィルムアセンブリ131が組み立てられる。
【0027】
図2に示すように、フィルムアセンブリ131のヒータ137側を下向きにして、フィルムアセンブリ131を加圧ローラ132の上方に略並行に配列する。この場合、図3に示すように、フィルムアセンブリ131を装置フレーム133の左右の装置フレーム側板134間に配置する。左右の定着フランジ141のそれぞれに設けた縦溝部141aが、装置フレーム133の左右の装置フレーム側板134にそれぞれ設けた縦ガイドスリット134aの縦縁部134bに係合している。定着フランジ141の材料として、液晶ポリマー樹脂を用いている。
【0028】
図3に示すように、左右の定着フランジ141の加圧部141bと加圧アーム144との間に加圧バネ145を縮めた状態で設ける。これにより、左右の定着フランジ141、加圧ステイ140、ヒータホルダ138を介してヒータ137が定着フィルム136を挟んで加圧ローラ132の上面に対して所定の押圧力で加圧される。本実施例では、定着フィルム136と加圧ローラ132の押圧力が総圧で160Nとなるように加圧バネ145の圧力を設定している。この加圧により、ヒータ137が定着フィルム136の弾性と加圧ローラ132の弾性に抗して定着フィルム136を挟んで加圧ローラ132の上面に対して圧接し、6mm程度の定着ニップ部Nが形成される。定着ニップ部Nにおいて、ヒータ137を備えるヒータユニット139が定着フィルム136の内面に接触している。すなわち、定着ニップ部Nにおいては定着フィルム136がヒータ137と加圧ローラ132との間に挟まれてヒータ137の下面の扁平面に倣って撓み、定着フィルム136の内面がヒータ137の下面の扁平面に密着した状態になる。
【0029】
加圧ローラ132の駆動ギアGに不図示の駆動機構部から回転力が伝達されて加圧ローラ132が図2の矢印R1方向(反時計回り方向)に所定の速度で回転駆動する。加圧ローラ132の回転駆動に伴って定着ニップ部Nにおける加圧ローラ132と定着フィルム136との摩擦力で定着フィルム136に回転力が作用する。これにより、定着フィルム136の内面がヒータ137の下面に密着して摺動しながら、定着フィルム136がヒー
タホルダ138の外回りを図2の矢印R2方向(時計回り方向)に加圧ローラ132の回転に従動して回転する。なお、定着フィルム136の内周面には耐熱性を持つグリスが塗布されており、これによりヒータ137及びヒータホルダ138と定着フィルム136の内周面との摺動性が確保されている。
【0030】
加圧ローラ132の回転に伴って定着フィルム136が回転し、ヒータ137に対する通電が行われてヒータ137の温度が所定の温度に維持された状態において、記録材11が導入される。入り口ガイド130は、未定着のトナー像tが形成された記録材11が、定着ニップ部Nに正確にガイドされるように記録材11を導く役割を果たしている。
【0031】
定着ニップ部Nにおける定着フィルム136と加圧ローラ132との間に未定着のトナー像tを担持した記録材11が導入される。定着ニップ部Nにおいて記録材11のトナー像tの担持側面が定着フィルム136の外面に密着した状態で、記録材11が定着ニップ部Nにより挟持搬送される。この挟持搬送過程において、ヒータ137で加熱された定着フィルム136の熱により記録材11が加熱され、記録材11上の未定着のトナー像tが記録材11上に加熱・加圧されて溶融定着される。定着ニップ部Nを通過した記録材11は定着フィルム136の面から曲率分離して排出され、不図示の排紙ローラ対により搬送される。
【0032】
ヒータ137の基板137aは、長手方向長さが260mm、幅方向長さが5.8mm、厚みが1.0mmの直方体形状である。基板137a上の抵抗発熱体137bの長手方向長さは220mmである。定着部50を搭載した画像形成装置で使用可能な最大サイズの記録材11(本実施例では幅216mm)を用いた場合においても、記録材11上のトナー像tを均一に定着可能とするために、抵抗発熱体137bの長手方向長さは記録材11の幅よりも長い。
【0033】
図6は、フィルムアセンブリ131の一部(定着フィルム136、加圧ステイ140、定着フランジ141は不図示)の長手方向の断面図である。図7(A)及び図7(B)は、ヒータ保持部材としての給電コネクタ146及びヒータクリップ147の説明図である。
【0034】
図6に示すように、ヒータ137と、ヒータ137上に載置した金属板151をヒータホルダ138に設けている。ヒータ137の端部は、保持部材としての給電コネクタ146及びヒータクリップ147によって、ヒータホルダ138の端部に対して保持されている。サーミスタ142及び温度ヒューズ143は、ヒータホルダ138の貫通孔から露出した金属板151の裏面に接触配置されている。金属板151は熱分布を均一化する役割を果たし、本実施例では、厚み0.3mmの純アルミニウム板を金属板151として用いている。金属板151の長手方向長さは220mm、金属板151の幅方向長さは5.8mmである。金属板151の長手方向長さをヒータ137の抵抗発熱体137bの長手方向長さと等しくすることで、ヒータ137の温度をより均一化する効果が得られる。
【0035】
図7(A)に示すように、給電コネクタ146はコの字型の樹脂からなるハウジング部146aとコンタクト端子146bによって形成されている。給電コネクタ146は、ヒータ137、ヒータホルダ138及び金属板151を挟んで保持する。コンタクト端子146bがヒータ137の電極137cと接触し、ヒータ137とコンタクト端子146bとが電気的に接続される。尚、本実施例では給電コネクタ146をヒータ保持部材として用いているが、ヒータ137に給電する給電部材としての役割と、ヒータ保持部材としての役割を分け、給電部材及びヒータ保持部材を別体で構成してもよい。コンタクト端子146bは束線148に接続されており、束線148は不図示のAC電源・トライアックに接続されている。
【0036】
図7(B)に示すように、ヒータクリップ147は、コの字型に曲げられた金属板で形成されている。ヒータクリップ147は、バネ性を有し、金属板151及びヒータ137のそれぞれの端部をヒータホルダ138に対して押し付けることにより、金属板151及びヒータ137を保持している。また、ヒータクリップ147によって押えられているヒータ137の端部はヒータ摺動面内方向への移動が可能である。これにより、ヒータ137の熱膨張により、ヒータ137に不必要な応力がかかることを抑止している。ヒータホルダ138、金属板151及びヒータ137は、熱膨張の差や押圧力による撓みを吸収するため、互いに固定されておらず、保持部材としてのヒータクリップ147のバネ性と、加圧ローラ132による押圧力によって接触性を確保している。
【0037】
図8(A)を用いて、本実施例に係るプリンタ制御装置304について説明する。図8(A)は本実施例に係るプリンタシステム(画像形成システム)の構成図である。プリンタ制御装置304は、ホストコンピュータ300と通信を行う画像形成装置に組み込まれている。ホストコンピュータ300は、例えば、インターネットやローカルエリアネットワーク(LAN)等のネットワーク上のサーバーやパーソナルコンピュータであってもよいし、スマートフォンやタブレット端末等の携帯情報端末であってもよい。プリンタ制御装置304は、コントローラインターフェイス305を用いてホストコンピュータ300と接続し通信を行う。
【0038】
プリンタ制御装置304は、大別してコントローラ部301とエンジン制御部302に分かれている。コントローラ部301は、画像処理部303及びコントローラインターフェイス305を有する。画像処理部303は、コントローラインターフェイス305を介してホストコンピュータ300から受信した画像情報を基に、文字コードのビットマップ化や中間調画像のディザ等によるハーフトーニング処理等を行う。また、画像処理部303は、コントローラインターフェイス305を介してエンジン制御部302のビデオインターフェイス310へ画像情報を送信する。前記の画像情報には、レーザースキャナ24の点灯タイミングを制御する情報と、目標温度や転写バイアスなどのプロセス条件を制御するプリントモードと、画像サイズ情報とが含まれる。
【0039】
コントローラ部301は、レーザースキャナ24の点灯タイミングの情報をASIC(Application Specific Integrated Circuit、特定用途向け集積回路)314に送信する。ASIC314は、レーザースキャナ24などの画像形成部の一部を制御する。
一方、プリントモードや画像サイズなどの情報はCPU(Central Processing Unit、中央演算処理装置)311へ送信される。CPU311は、プロセッサとも呼ばれる。CPU311は、単一のプロセッサに限定される訳ではなく、マルチプロセッサ構成であってもよい。CPU311は必要に応じて、RAM313に情報をストアする、ROM312又はRAM313に保存されたプログラムを使用する、ROM312又はRAM313に保存された情報を参照するなどを行う。CPU311は、ROM312やRAM313を用いて、エンジン制御部302の各種制御を行う。さらにコントローラ部301は、ユーザがホストコンピュータ上で行った指示に応じて、プリント命令、キャンセル指示などをエンジン制御部302に送信し、印字動作の開始や中止などの動作を制御する。
【0040】
図8(B)は、エンジン制御部302の機能構成部の一例を示す図である。図8(B)に示すように、エンジン制御部302は、定着制御部320、給紙搬送制御部330、画像形成制御部340及び目標温度制御部350を有する。CPU311が、エンジン制御部302の各種制御を行うことにより、エンジン制御部302は、図8(B)に示す各部として機能する。定着制御部320は、定着部50を制御する。給紙搬送制御部330は
、給紙部20の動作間隔を制御する。画像形成制御部340は、プロセススピード制御、現像制御、帯電制御及び転写制御等を行う。また、画像形成制御部340は、ホストコンピュータ300から送信されたプリント命令、キャンセル指示、カラーモードの設定情報、モノクロモードの設定情報などの画像形成装置の動作情報を取得する。決定部としての目標温度制御部350は、目標温度の決定、変更、設定等を行う。
【0041】
画像形成装置が行う処理の一部をホストコンピュータ300やネットワーク上のサーバーが行ってもよい。エンジン制御部302、画像処理部303が行う処理の一部又は全部をホストコンピュータ300やネットワーク上のサーバーが行ってもよい。ホストコンピュータ300及びネットワーク上のサーバーは、処理装置の一例である。また、エンジン制御部302が行う処理の一部又は全部を画像処理部303が行ってもよいし、画像処理部303が行う処理の一部又は全部をエンジン制御部302が行ってもよい。
【0042】
エンジン制御部302は、温度制御プログラムを有する。制御部としての定着制御部320は、温度検知部或いは温度検知素子としてのサーミスタ142の検知温度を基に、ヒータ137の温度を所定温度に制御する。
【0043】
定着制御部320は、サーミスタ142の検知温度に基づいて、ヒータ137の温度が所望の温度を維持するようにヒータ137に通電する電流の制御を行っている。換言すれば、定着制御部320は、サーミスタ142の検知温度が所定の目標温度を維持するようにヒータ137への通電を制御する。例えば、サーミスタ142の信号に応じて、定着制御部320がヒータ137に流れる電流を制御することで、ヒータ137の温度を制御している。また、定着制御部320は、ヒータ137の温度を定着部50の温度として検知してもよい。定着制御部320は、定着部50の温度が目標温度を維持するように、定着部50に供給する電力を制御してもよい。例えば、サーミスタ142の信号に応じて、定着制御部320が定着部50に流れる電流を制御することで、定着部50の温度を制御してもよい。定着制御部320が行う処理の一部又は全部を目標温度制御部350が行ってもよい。
【0044】
ヒータ137の温度の制御方法としては、比例項、積算項、微分項からなるPID制御が好ましい。例えば、定着制御部320は、PID制御によって周期内でのヒータ通電時間を決定し、不図示のヒータ通電時間制御回路を駆動させて、ヒータ出力電力を決定する。本実施例では制御周期100msec間隔でヒータ出力電力を更新する。
【0045】
目標温度は後述する画像処理部303からの情報を基に設定される。また、定着制御部320は、画像処理部303からの情報に加え、定着部50の温まり具合、環境温湿度、印字モード、記録材11の種類などの各種補正情報によって目標温度を補正してもよい。
【0046】
図9は、画像処理部303の機能構成部の一例を示す図である。画像処理部303は、画像解析部401と、その他画像処理部402と、記憶部403を有する。取得部としての画像解析部401は、後述するように、記録材11の搬送方向と直交する主走査方向におけるトナー像tの端部の位置である画像端部位置を取得する。その他画像処理部402は、文字コードの画像変換やハーフトーニング処理等を行い、画像をビットマップ化する。記憶部403は、画像解析部401及びその他画像処理部402によって行われた各処理で生成されたデータや情報を記憶する。記憶部403は、例えば、RAMである。
【0047】
本実施例に係る画像形成装置では、600dpiの解像度でその他画像処理部402による処理が行われている。他の解像度でその他画像処理部402による処理が行われてもよい。また、画像解析部401は、その他画像処理部402による処理が終了した後の画像情報(画像データ)に対して計算処理を行っている。ただし画像処理順はこの限りでは
なく、その他画像処理部402による処理を行う前に、画像情報に対して計算処理を行うこともできる。
【0048】
定着部50のヒータ137は、主走査方向(ヒータ137の長手方向)において、均一に熱を発生する。記録材11に対して均一に熱を与えることが好ましいが、記録材11には様々な大きさがあるため、それら全ての記録材11に対して均一に熱を与えることは容易でない。例えば、主走査方向における記録材11の幅が長い場合、記録材11に与える熱は記録材11の中央部に対して端部では少なくなる傾向があり、記録材11の中央部よりも端部の温度が低くなる。この現象を本実施例では「端部温度低下」と呼ぶ。これは、図3に示すように、記録材11の端部の熱が、加圧ローラ132の芯金132aや、定着フランジ141等の様々な部品を伝わって逃げていくためである。
【0049】
一方で、主走査方向における記録材11の幅が短い場合、主走査方向における定着ニップ部Nの端部で供給される熱が記録材11に奪われずにヒータ137、定着フィルム136、加圧ローラ132等の各部材に熱が蓄積する。この結果、主走査方向における定着ニップ部Nの端部において高温になる場合がある。この現象を本実施例では「端部昇温(端部温度上昇)」と呼ぶ。この「端部昇温」を緩和するため、ヒータ137に金属板151を設けてヒータ137の発熱分布の均一化を図っているが、金属板151の熱輸送量は限られているため、ヒータ137の発熱分布の均一化が十分ではない。金属板151の断面積を増やすことで金属版151の熱輸送量を増やし、均熱効果を上げることも可能である。しかし、金属板151の熱容量が増えることで、ヒータ137の温度が定着可能な温度に到達するまでの時間が長くなるというデメリットがある。
【0050】
以上のように、「端部温度低下」と「端部昇温」は記録材11の幅に伴う相反する現象である。「端部温度低下」を抑制するためにヒータ137の発熱量が主走査方向における定着ニップ部Nの端部で多くなるように抵抗発熱体137bを形成している画像形成装置もあるが、その分「端部昇温」が悪化するという欠点がある。図14(A)に示す比較例のヒータ構成では、ヒータ137の抵抗発熱体137bをヒータ137の長手方向において複数に分割している。また、図14(B)に示す比較例のヒータ構成は、ヒータ137の長手方向において発熱分布の異なる2つ以上の抵抗発熱体137bを有する。図14(A)及び図14(B)に示す比較例のヒータ構成では、使用する記録材11の幅に応じて、長手方向のヒータ137の発熱分布を可変とすることで、「端部温度低下」と「端部昇温」の両方を抑制することが可能となる。しかしながら、図14(A)及び図14(B)に示す比較例のヒータ構成では、画像形成装置のコストアップを招くという問題がある。
【0051】
そこで、本実施例では、画像形成装置は、主走査方向において単一の発熱分布を有するヒータ137が設けられた定着部50を備える。このような画像形成装置において、目標温度制御部350は、画像端部位置に基づいて、上記の「端部温度低下」に合わせた適切な目標温度を選択することで、「端部温度低下」を考慮しない場合の目標温度よりも低い目標温度を決定することができる。
【0052】
図10を用いて、画像解析部401における画像端部位置の取得方法について説明する。本実施例における画像形成装置で使用可能な最大サイズ(定着部50で定着可能な最大サイズ)の記録材11の幅は216mmであり、記録材11の主走査方向(左右方向)の各余白の幅の最低値は2mmである。従って、記録材11に対して画像形成可能な最大サイズのトナー像tの幅(最大幅)は212mmである。記録材11の最大幅216mmの左右端を基準として、記録材11の左端位置(主走査方向における記録材11の一方の端部の位置)を位置SLと定義し、記録材11の右端位置(主走査方向における記録材11の他方の端部の位置)を位置SRと定義する。記録材11に形成されるトナー像tの左端位置(主走査方向におけるトナー像tの一方の端部の位置)を位置ILと定義し、記録材
11に形成されるトナー画像tの右端位置(主走査方向におけるトナー像tの他方の端部の位置)を位置IRと定義する。複数のトナー像tが記録材11に形成される場合、複数のトナー像tの左端位置のうちから位置SLに最も近い左端位置が位置ILとして選択され、複数のトナー像tの右端位置のうちから位置SRに最も近い右端位置が位置IRとして選択される。位置SLと位置ILとの間の距離を画像左端距離ELと定義し、位置SRと位置SLとの間の距離を画像右端距離ERと定義する。画像左端距離EL及び画像右端距離ERのうち小さい方の距離(値)を最低画像端距離Eminと定義する。
【0053】
図10(A)から図10(C)に、記録材11に形成されたトナー像t(画像)の例を示す。図10(A)から図10(C)の例では、主走査方向における記録材11の各余白の幅は2mmである。図10(A)の例では、画像左端距離EL=画像右端距離ER=2mm、最低画像端距離Emin=2mmである。図10(B)の例では、画像左端距離EL=5mm、画像右端距離ER=20mm、最低画像端距離Emin=5mmである。図10(C)の例では、画像左端距離EL=50mm、画像右端距離ER=15mm、最低画像端距離Emin=15mmである。
【0054】
図11を用いて、本実施例における「端部温度低下」と、画像端部位置情報を用いた目標温度の決定方法について説明する。使用可能な最大サイズである幅216mmの記録材11を用いた場合において、記録材11上のトナー像tを定着する直前の定着フィルム136の表面温度の主走査方向の分布を図11(A)に示す。記録材11上のトナー像tを定着可能かどうかは、主に定着フィルム136の表面温度に依存することが分かっている。本実施例では、トナー像tを定着するのに必要な定着フィルム136の表面温度は160℃である。
【0055】
図11(A)に示すように、主走査方向において、定着フィルム136の端部の表面温度は、定着フィルム136の中央部の表面温度よりも低くなっており(端部温度低下)、それらの温度差は10℃である。また、端部温度低下の度合い(程度)が、記録材11の左端と右端とで同じである場合について説明する。この状態において、図10(A)の画像を定着するためには、図11(A)に示すように、最低画像端距離Emin=2mmまで、定着フィルム136の表面温度が160℃以上となるように、目標温度を設定する必要がある。この場合の目標温度をTtとする。
【0056】
記録材11におけるトナー像tの存在しない余白領域に対応する定着フィルム136の表面温度が160℃以下であってもよい。従って、最低画像端距離Eminが大きい場合、すなわち記録材11の左右端の余白領域が大きい場合は目標温度を下げることが可能となる。本実施例では、最低画像端距離Eminと目標温度の関係を以下の表1のように設定している。
【0057】
【表1】
【0058】
図10(B)の画像を定着する場合、図11(B)に示すように、最低画像端距離Emin=5mmであり、記録材11上のトナー像tに対応する範囲内で定着フィルム136
の表面温度が160℃以上であればよい。表1に示すように、最低画像端距離Emin=5mmである場合、目標温度をTt-5℃と決定する。図11(B)の実線は、目標温度をTt-5℃と決定したときの定着フィルム136の表面温度である。図11(B)の点線は、目標温度をTt℃と決定したときの定着フィルム136の表面温度である。
【0059】
また、図10(C)の画像を定着する場合、図11(C)に示すように、最低画像端距離Emin=15mmであり、記録材11のトナー像tに対応する範囲内で定着フィルム136の表面温度が160℃以上であればよい。表1に示すように、最低画像端距離Emin=15mmである場合、目標温度をTt-10℃と決定する。図11(C)の実線は、目標温度をTt-10℃と決定したときの定着フィルム136の表面温度である。図11(C)の点線は、目標温度をTt℃と決定したときの定着フィルム136の表面温度である。
【0060】
以上のように、本実施例では、「端部温度低下」を考慮して、画像端部位置情報を基に目標温度を決定することで、消費電力の低減を可能としている。図11(A)から図11(C)に示すように、最低画像端距離Eminが大きくなる程、目標温度を低く設定することで、ヒータ137への過剰な熱量が抑制されることで、消費電力の低減が可能となる。
【0061】
なお、本実施例では、記録材11の最大幅の左右端を基準とし、画像端部位置に基づいて最低画像端距離Eminを算出して、目標温度を決定する例を説明している。この例に限らず、画像端部位置を用いて他のパラメータを算出して、目標温度を決定してもよい。また、本実施例では、「端部温度低下」の度合いが、記録材11の左端と右端とで同じである場合について説明しているが、「端部温度低下」の度合いが、記録材11の左端と右端とで異なる場合もある。その場合、画像左端距離ELと画像右端距離ERのそれぞれに基づいて、目標温度を決定してもよい。本実施例では、画像形成装置で使用可能な最大サイズ(幅=216mm)の記録材11を用いているが、この最大サイズよりも小さいサイズの記録材11を用いた場合に本実施例を適用してもよい。以上のように本実施例では、画像端部位置に基づいて、目標温度を決定することで、より適切な目標温度を選択し、消費電力を低減することが可能となる。
【0062】
本実施例における画像解析部401及び目標温度制御部350が行う処理の一例を以下に示す。画像解析部401が行う処理の一部又は全部を目標温度制御部350が行ってもよいし、目標温度制御部350が行う処理の一部又は全部を画像解析部401が行ってもよい。画像端部位置が、記録材11に対して形成可能な最大サイズ(最大幅)のトナー像tの端部の位置と主走査方向において同じである場合、目標温度制御部350は、目標温度として第1の目標温度を決定する。即ち、最低画像端距離Emin=0mmである場合、目標温度制御部350は、目標温度として第1の目標温度(Tt)を決定する。
【0063】
画像端部位置が、記録材11に対して形成可能な最大サイズ(最大幅)のトナー像tの端部の位置よりも主走査方向において記録材11の中央側にある場合、目標温度制御部350は、目標温度として第2の目標温度を決定する。例えば、最低画像端距離Emin=10mmである場合、目標温度制御部350は、目標温度として第1の目標温度(Tt)よりも低い第2の目標温度(Tt-5℃)を決定する。例えば、最低画像端距離Emin=15mmである場合、目標温度制御部350は、目標温度として第1の目標温度(Tt)よりも低い第2の目標温度(Tt-10℃)を決定する。このように、最低画像端距離Eminが大きい程、第1の目標温度と第2の目標温度との温度差が大きい。
【0064】
目標温度制御部350は、最低画像端距離Eminが大きくなるにつれて、目標温度を下げることで、消費電力を低減することができる。最低画像端距離Eminと目標温度の
関係については、表1示す設定に限定されず、他の設定であってもよい。例えば、最低画像端距離Emin=0mmである場合、目標温度をTt℃とし、0mm<最低画像端距離Emin≦12mmである場合、目標温度をTt-5℃とし、12mm<最低画像端距離Eminである場合、目標温度をTt-10℃としてもよい。
【0065】
目標温度制御部350は、主走査方向における記録材11の一方の端部の位置から画像端部位置までの第1の距離と、主走査方向における記録材11の他方の端部の位置から画像端部位置までの第2の距離と、のうち短い距離に基づいて目標温度を決定する。図11(A)から図11(C)では、主走査方向における記録材11の一方の端部の位置は位置SLであり、主走査方向における記録材11の他方の端部の位置は位置SRである。図11(A)では、位置SLから画像端部位置(位置IL)までの第1の距離(画像左端距離EL)と、位置SRから画像端部位置(位置IR)までの第2の距離(画像右端距離ER)と、が同じである。この場合、目標温度制御部350は、第1の距離(画像左端距離EL)又は第2の距離(画像右端距離ER)に基づいて目標温度を決定する。
【0066】
図11(B)では、位置SLから画像端部位置(位置IL)までの第1の距離(画像左端距離EL)が、位置SRから画像端部位置(位置IR)までの第2の距離(画像右端距離ER)よりも短い。この場合、目標温度制御部350は、第1の距離(画像左端距離EL)と、第2の距離(画像右端距離ER)と、のうち短い距離(画像左端距離EL)に基づいて目標温度を決定する。図11(C)では、位置SRから画像端部位置(位置IR)までの第2の距離(画像右端距離ER)が、位置SLから画像端部位置(位置IL)までの第1の距離(画像左端距離EL)よりも短い。この場合、目標温度制御部350は、第1の距離(画像左端距離EL)と、第2の距離(画像右端距離ER)と、のうち短い距離(画像左端距離ER)に基づいて目標温度を決定する。
【0067】
(実施例2)
実施例2について、図12を用いて説明する。本実施例は、実施例1とは、画像端部位置情報に加えて、記録材11の連続処理枚数を用いて目標温度を決定するという点で異なる。なお、本実施例に係る画像形成装置の大部分の構成と動作は前述した実施例1と同一であるため、ここでは前述した実施例1と異なる点についてのみ説明する。また、実施例1と同一の構成については同一の符号を用いてその説明は省略する。
【0068】
実施例1で述べた「端部温度低下」は、連続して画像形成動作を行うと、それに伴って状態が変化する場合がある。画像形成装置の構成によるが、本実施例の画像形成装置では連続画像形成動作に伴って、「端部温度低下」が進行する。これは、主走査方向における定着ニップ部Nの端部では放熱が続くのに対し、主走査方向における定着ニップ部Nの中央部では徐々に各部材への蓄熱が進むためである。連続画像形成動作に伴って「端部温度低下」が進行しないように構成することも可能であるが、その場合は前述した「端部昇温」が悪化することになる。
【0069】
図12は本実施例における、記録材11の連続処理枚数に伴う定着フィルム136の表面温度について、長手方向(主走査方向)における温度分布の推移を示している。記録材11の連続処理枚数は、例えば、定着ニップ部Nで連続して搬送される記録材11の連続枚数である。画像解析部401は、記録材11の連続処理枚数をカウントすることで、記録材11の連続処理枚数を取得する。画像解析部401は、定着ニップ部Nで搬送される先行の記録材11の定着処理が行われた後の所定時間内に後続の記録材11が定着ニップ部Nで搬送された場合、記録材11の連続処理枚数(N)を+1増加する。また、画像形成装置に設けられたカウンタ部が記録材11の連続処理枚数をカウントし、画像解析部401がカウンタ部から記録材11の連続処理枚数を取得してもよい。
【0070】
図12では、実施例1の図11(A)と同様に、端部(Emin=2mm)まで定着可能な160℃以上を満たす目標温度Ttにおける定着フィルム136の表面温度の長手分布を示している。図12に示すように、記録材11の連続処理枚数をNとすると、N=4及びN=10について、長手方向における定着フィルム136の中央部の表面温度と端部の表面温度との温度差が拡大している。そこで、本実施例では、記録材11の連続処理枚数に応じて、最低画像端距離Eminに対する目標温度の下げ幅に差を設けている。以下の表2に、最低画像端距離Emin、連続処理枚数N及び目標温度の関係を示す。
【0071】
【表2】
【0072】
目標温度制御部350は、画像端部位置及び記録材11の連続処理枚数に基づいて、目標温度を決定する。本実施例では、記録材11の連続処理枚数に伴って「端部温度低下」が進行するのに合わせて、目標温度の下げ幅を大きくしている。目標温度制御部350は、記録材11の連続処理枚数が増加するにつれて目標温度を下げる。これにより、複数の記録材11に対して連続して画像を形成する場合において、実施例1よりも更に消費電力を低減することが可能となる。
【0073】
なお、本実施例では、連続した画像形成に伴い、「端部温度低下」が進行する場合を例に説明したが、逆に「端部温度低下」が小さくなる構成に対して本実施例を適用してもよい。この場合、記録材11の連続処理枚数の増加に伴い、目標温度の下げ幅を小さくする。目標温度制御部350は、記録材11の連続処理枚数が増加するにつれて目標温度を上げてもよい。
【0074】
以上のように本実施例では、画像端部位置情報に加えて、記録材11の連続処理枚数を基に目標温度を決定することで、より低い目標温度を用いて記録材11の定着を行うため、更なる消費電力の低減が可能となる。
【0075】
(実施例3)
実施例3について、図13を用いて説明する。本実施例は、実施例1及び実施例2とは、画像端部位置情報を基に目標温度を決定すると共に、画像形成の生産性を変えるという点で異なる。なお、本実施例に係る画像形成装置の大部分の構成と動作は前述した実施例1及び実施例2と同一であるため、ここでは前述した実施例1及び実施例2と異なる点についてのみ説明する。また、実施例1及び実施例2と同一の構成については同一の符号を用いてその説明は省略する。
【0076】
実施例1及び実施例2では、画像形成装置で使用可能な最大サイズである幅216mmの記録材11を用いた場合について説明している。本実施例では、画像形成装置で使用可能な最大サイズの記録材11よりも小さい幅210mmの記録材11を用いた場合について説明する。
【0077】
前述したように、主走査方向に幅が短い記録材11を用いた場合、定着ニップ部Nの端部で供給された熱が記録材11に奪われずにヒータ137、定着フィルム136、加圧ロ
ーラ132等の各部材に蓄積して高温になる「端部昇温」という現象が発生する。各部材の使用温度には上限があり、この使用温度を超えて各部材を使用すると各部材が破損する等の問題があるため、各部材を一定温度以下で使用する必要がある。「端部昇温」は、連続した画像形成によって進行するため、各部材の温度が一定温度以下になるように記録材11の搬送間隔を空けて生産性を低下させる等の対策が必要となる。
【0078】
主走査方向に幅が短い記録材11を用いて連続して画像形成を行うと、主走査方向における記録材11の外側(非通紙部と呼ぶ)では「端部昇温」が進行し、主走査方向における記録材11の内側(通紙部と呼ぶ)では「端部温度低下」が発生する。「端部昇温」及び「端部温度低下」のそれぞれの現象がどの程度発生するかは、ヒータ137の発熱分布、各部材の熱容量と熱伝導率等によって異なる。
【0079】
図13は、幅210mmの記録材11を用いた場合の定着フィルム136の表面温度について、長手方向(主走査方向)の温度分布を示している。本実施例の画像形成装置では、記録材11は搬送路の中央を基準として搬送される。そのため、記録材11の左端は記録材11の最大幅216mmの左端SLから3mmの位置に存在し、記録材11の右端は記録材11の最大幅216mmの右端SRから3mmの位置に存在する。記録材11の幅が画像形成装置で使用可能な最大サイズよりも小さい場合、主走査方向において記録材11よりも外側に供給された熱は、連続した画像形成に伴って各部材に蓄積する。定着フィルム136の表面温度は、最終的には放熱と均衡が取れる温度まで上昇する。
【0080】
図13は、連続した画像形成によって放熱と均衡が取れた状態の定着フィルム136の温度分布を示している。前述したように、各部材の使用温度には上限があり、本実施例では、定着フィルム136の表面温度は、230℃を上限としている。幅210mmの記録材11に形成可能な最大サイズの画像を形成した場合、最低画像端距離Emin=5mm(記録材11の左右端の余白は2mm)である。図13に示すように、左端SLからの距離5mmの位置において定着フィルム136の表面温度が160℃以上となるように目標温度を設定する必要がある。しかし、この目標温度で連続した画像形成を行うと、主走査方向における定着フィルム136の端部において定着フィルム136の表面温度が上限の230℃を超えてしまう。そのため、記録材11の搬送間隔を空けて画像形成の生産性を低下させる必要がある。
【0081】
記録材11の搬送間隔を空けることで、単位時間当たりの熱の供給量が減り、定着フィルム136の表面温度を230℃以下に抑えられる。記録材11の搬送速度が最高速度である場合の画像形成では25枚/分で記録材11の搬送が行われる。これに対し、幅210mmの記録材11を連続画像形成する場合、連続処理枚数N≦20までの画像形成では25枚/分で記録材11の搬送を行い、連続処理枚数N≧21以降の画像形成では20枚/分で記録材11の搬送を行う。このようにして、画像形成の生産性を低下させる。
【0082】
上記では、連続処理枚数N≧21までの画像形成の場合、20枚/分で記録材11の搬送を行うことで、画像形成の生産性を低下させているが、この処理に限定されない。幅210mmの記録材11に対して形成可能な最大サイズのトナー像tを形成する場合、連続処理枚数Nによらずに20枚/分で記録材11の搬送を行うことで、画像形成の生産性を低下させてもよい。
【0083】
一方、最低画像端距離Emin=13mm(記録材11上の余白は10mm)の場合、記録材11上のトナー像tに対応する範囲内で定着フィルム136の表面温度が160℃以上であればよい。そのため、実施例2の表2に示すように、目標温度を7℃下げることができる。これにより、記録材11の搬送速度が最高速度である場合の25枚/分の条件で連続画像形成しても、長手方向における定着フィルム136の端部において定着フィル
ム136の表面温度は上限温度である230℃に到達しない。従って、画像形成の生産性を落とさずに画像形成を継続することが可能となる。なお、画像端部位置情報を用いない場合、常に形成可能な最大サイズのトナー像tを記録材11に形成することを想定して目標温度を決定する必要がある。そのため、画像端部位置情報を用いず、かつ、最低画像端距離Emin=13mmの場合、最低画像端距離Emin=5mmの場合と同様に画像形成の生産性を低下させる必要がある。
【0084】
本実施例における画像解析部401及び目標温度制御部350が行う処理の一例を以下に示す。画像解析部401が行う処理の一部又は全部を目標温度制御部350が行ってもよいし、目標温度制御部350が行う処理の一部又は全部を画像解析部401が行ってもよい。
【0085】
ここでは、主走査方向において定着部50で定着可能な最大サイズ(幅216mm)の記録材11を第1の記録材とし、主走査方向において第1の記録材よりもサイズが小さいサイズ(幅210mm)の記録材11を第2の記録材とする。画像端部位置が、第2の記録材に対して形成可能な最大サイズ(最大幅)のトナー像tの端部の位置と主走査方向において同じである場合、目標温度制御部350は、複数の第2の記録材の間の搬送間隔を第1の間隔と決定する。例えば、第2の記録材にトナー像tを形成したときの最低画像端距離Eminが5mmである場合、目標温度制御部350は、複数の第2の記録材の間の搬送間隔を第1の間隔と決定する。画像端部位置が、第2の記録材に対して形成可能な最大サイズ(最大幅)のトナー像tの端部の位置よりも主走査方向において記録材11の中央側にある場合、目標温度制御部350は、複数の第2の記録材の間の搬送間隔を第2の間隔と決定する。第2の間隔は、第1の間隔よりも間隔が短い。例えば、第2の記録材にトナー像tを形成したときの最低画像端距離Eminが13mmである場合、目標温度制御部350は、複数の第2の記録材の間の搬送間隔を第2の間隔と決定する。
【0086】
画像形成装置で使用可能な最大幅よりも幅が小さい記録材11を用い、かつ、画像端部位置が記録材11に画像形成可能な最大サイズの画像の端部の位置よりも内側にある場合、前記最大サイズの画像を形成する場合よりも、画像形成の生産性を高くできる。なお、本実施例では、画像形成装置で使用可能な最大幅よりも幅が小さい記録材11として、幅210mmの記録材11を用いた例について説明しているが、本実施例は幅210mmの記録材11と異なる幅の記録材11に対して適用することも可能である。
【0087】
以上、実施例1から実施例3において、カラー画像形成装置の構成を用いて説明したが、モノクロ画像形成装置の構成を採用してもよい。セラミックヒータによって加熱する構成を用いて説明したが、ハロゲンヒータやIH(誘導加熱)等の異なる加熱方式の構成を採用してもよい。画像形成装置にホストコンピュータ300を接続して印刷を行う構成について説明したが、ホストコンピュータ300の代わりにネットワーク上で接続されたコンピュータ又はプリントサーバを画像形成装置に接続して印刷を行ってもよい。画像処理部303が、画像解析及び目標温度の補正量の算出処理を行っている。この構成に限定されず、画像解析及び目標温度の補正量の算出処理の一部又は全部をホストコンピュータ300、ネットワーク上のプリンタ及びプリントサーバが所有するプログラムで行ってもよい。
【0088】
定着モードの情報や、不図示の環境検知手段などによって検知される周辺環境情報、不図示のメディアセンサによって検知される記録材11の種類情報に基づいて、目標温度に変更を加えてもよい。定着制御では目標温度の設定又は変更を行っているが、目標温度制御に用いるPID制御のゲインやオフセット電力量を変更してもよい。また、各実施例において、基準目標温度に対する補正値を算出し、基準目標温度を補正値で補正することにより、目標温度を設定してもよい。補正値に替えて、目標温度に相関のある値を用いても
よいし、その他定着性に相関のある値を用いてもよい。
【0089】
(その他の実施例)
本発明は、各実施例の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0090】
また、コンピュータが当該プログラムを実行する方法(画像形成方法)により、各実施例における各処理を実現してもよい。上記プログラムは、例えば、ネットワークを通じて、又は、非一時的にデータを保持するコンピュータ読取可能な記録媒体等から上記コンピュータに提供されてもよい。上記プログラムをコンピュータ読取可能な記録媒体等に記録してもよい。
【符号の説明】
【0091】
11…記録材、50…定着部、401…画像解析部、350…目標温度制御部、320…定着制御部、N…定着ニップ部、t…トナー像
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