(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】電力変換装置およびスイッチ装置
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20240304BHJP
H02M 3/28 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
H02M7/48 K
H02M3/28 H
(21)【出願番号】P 2020109954
(22)【出願日】2020-06-25
【審査請求日】2023-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】真木 康次
(72)【発明者】
【氏名】餅川 宏
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-230168(JP,A)
【文献】特開平05-344708(JP,A)
【文献】特開平05-153766(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電位端と低電位端との間に接続された上アームおよび下アームと、
前記高電位端に一端が電気的に接続された第1蓄電部と、
前記低電位端に一端が電気的に接続された第2蓄電部と、
前記第1蓄電部の他端に接続された第1回生整流回路と、
前記第2蓄電部の他端に接続された第2回生整流回路と、
前記第1蓄電部に蓄えられたエネルギーを放電させる第1変換回路と、
前記第2蓄電部に蓄えられたエネルギーを放電させる第2変換回路と、を備え、
前記上アームは、第1スイッチング素子と、前記第1スイッチング素子の高電位側端にアノードが接続された第1ダイオードと、前記第1ダイオードのカソードと前記第1スイッチング素子の低電位側端との間に接続された第1コンデンサと、を備えた第1スイッチ回路を
、複数直列に接続して構成され、
前記下アームは、第2スイッチング素子と、前記第2スイッチング素子の低電位側端にカソードが接続された第2ダイオードと、前記第2ダイオードのアノードと前記第2スイッチング素子の高電位側端との間に接続された第2コンデンサと、を備えた第2スイッチ回路を
、複数直列に接続して構成され、
前記第1回生整流回路は、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、前記上アームの前記第1コンデンサの高電位側端と、前記第1蓄電部の他端とを接続し、
前記第2回生整流回路は、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、前記下アームの前記第2コンデンサの低電位側端と、前記第2蓄電部の他端とを接続
し、
直列に接続された複数の前記第1スイッチ回路の前記第1スイッチング素子は、同時にスイッチングしないように所定時間置いて順次スイッチングするように制御され、
直列に接続された複数の前記第2スイッチ回路の前記第2スイッチング素子は、同時にスイッチングしないように所定時間置いて順次スイッチングするように制御される、電力変換装置。
【請求項2】
高電位端と低電位端との間に接続された上アームおよび下アームと、
前記高電位端に一端が電気的に接続された蓄電部と、
前記蓄電部の他端に接続された回生整流回路と、
前記蓄電部に蓄えられたエネルギーを放電させる変換回路と、を備え、
前記上アームおよび前記下アームの各々は、スイッチング素子と、前記スイッチング素子の高電位側端にアノードが接続されたダイオードと、前記ダイオードのカソードと前記スイッチング素子の低電位側端との間に接続されたコンデンサと、を備えたスイッチ回路を、一または複数直列に接続して構成され、
前記回生整流回路は、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、前記上アームおよび前記下アームの前記コンデンサの高電位側端と、前記蓄電部の他端とを接続する、電力変換装置。
【請求項3】
高電位端と低電位端との間に接続された上アームおよび下アームと、
前記低電位端に一端が電気的に接続された蓄電部と、
前記蓄電部の他端に接続された回生整流回路と、
前記蓄電部に蓄えられたエネルギーを放電させる変換回路と、を備え、
前記上アームおよび下アームの各々は、スイッチング素子と、前記スイッチング素子の低電位側端にカソードが接続されたダイオードと、前記ダイオードのアノードと前記スイッチング素子の高電位側端との間に接続されたコンデンサと、を備えたスイッチ回路を、一または複数直列に接続して構成され、
前記回生整流回路は、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、前記上アームおよび下アームの前記コンデンサの低電位側端と、前記蓄電部の他端とを接続する、電力変換装置。
【請求項4】
高電位端と低電位端との間に接続された上アームおよび下アームと、
前記上アームと前記下アームとの接続点に接続されたリアクトルと、
前記低電位端に一端が電気的に接続された蓄電部と、
前記蓄電部の他端に接続された回生整流回路と、
前記蓄電部に蓄えられたエネルギーを放電させる変換回路と、を備え、
前記上アームは、前記低電位端から前記高電位端に向かう方向を順方向とした第3ダイオードを備え、
前記下アームは、スイッチング素子と、前記スイッチング素子の低電位側端にカソードが接続されたダイオードと、前記ダイオードのアノードと前記スイッチング素子の高電位側端との間に接続されたコンデンサと、を備えたスイッチ回路を、一または複数直列に接続して構成され、
前記回生整流回路は、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、前記下アームの前記コンデンサの低電位側端と、前記蓄電部の他端とを接続する、電力変換装置。
【請求項5】
高電位端と低電位端との間に接続された上アームおよび下アームと、
前記上アームと前記下アームとの接続点に接続されたリアクトルと、
前記高電位端に一端が電気的に接続された蓄電部と、
前記蓄電部の他端に接続された回生整流回路と、
前記蓄電部に蓄えられたエネルギーを放電させる変換回路と、を備え、
前記上アームは、スイッチング素子と、前記スイッチング素子の高電位側端にアノードが接続されたダイオードと、前記ダイオードのカソードと前記スイッチング素子の低電位側端との間に接続されたコンデンサと、を備えたスイッチ回路を、一または複数直列に接続して構成され、
前記下アームは、前記低電位端から前記高電位端に向かう方向を順方向とした第4ダイオードを備え、
前記回生整流回路は、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、前記上アームの前記コンデンサの高電位側端と、前記蓄電部の他端とを接続する、電力変換装置。
【請求項6】
高電位端と中間電位端との間に接続された第1アームおよび第2アームと、
前記中間電位端と低電位端との間に接続された第3アームおよび第4アームと、
前記第1アームと前記第2アームとの接続点と出力電位端との間に接続された第5アームと、
前記第3アームと前記第4アームとの接続点と前記出力電位端との間に接続された第6アームと、
前記高電位端に一端が接続された第1蓄電部と、
前記低電位端に一端が接続された第2蓄電部と、
前記第1アーム、前記第2アーム、および、前記第6アームのスイッチングにより生じるエネルギーの少なくとも一部を前記第1蓄電部へ回生させる高電位側回生整流回路と、
前記第3アーム、前記第4アーム、および、前記第5アームのスイッチングにより生じるエネルギーの少なくとも一部を前記第2蓄電部へ回生させる低電位側回生整流回路と、
前記第1蓄電部および前記第2蓄電部に蓄えられたエネルギーを放電させる変換回路と、を備え、
前記第1アーム、前記第2アーム、および、前記第6アームのそれぞれは、第1スイッチング素子と、前記第1スイッチング素子の高電位側端にアノードが接続された第1ダイオードと、前記第1ダイオードのカソードと前記第1スイッチング素子の低電位側端との間に接続された第1コンデンサと、を備えた第1スイッチ回路を、一または複数直列に接続して構成され、
前記第3アーム、前記第4アーム、および、前記第5アームは、第2スイッチング素子と、前記第2スイッチング素子の低電位側端にカソードが接続された第2ダイオードと、前記第2ダイオードのアノードと前記第2スイッチング素子の高電位側端との間に接続された第2コンデンサと、を備えた第2スイッチ回路を、一または複数直列に接続して構成され、
前記高電位側回生整流回路は、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、前記第1コンデンサの高電位側端と、前記第1蓄電部の他端とを接続し、
前記低電位側回生整流回路は、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、前記第2コンデンサの低電位側端と、前記第2蓄電部の他端とを接続する、電力変換装置。
【請求項7】
インバータ回路と、
前記インバータ回路の高電位側の直流端と高電位端との間に接続されたPスイッチ回路と、
前記インバータ回路の低電位側の直流端と低電位端との間に接続されたNスイッチ回路と、
前記高電位端に一端が接続された第1蓄電部と、
前記低電位端に一端が接続された第2蓄電部と、
前記第1蓄電部の他端に接続された第1回生整流回路と、
前記第2蓄電部の他端に接続された第2回生整流回路と、
前記第1蓄電部に蓄えられたエネルギーを放電させる第1変換回路と、
前記第2蓄電部に蓄えられたエネルギーを放電させる第2変換回路と、を備え、
前記Pスイッチ回路は、第1スイッチング素子と、前記第1スイッチング素子の前記高電位端側の端にアノードが接続された第1ダイオードと、前記第1ダイオードのカソードと前記第1スイッチング素子の前記直流端側の端との間に接続された第1コンデンサと、を備えた第1スイッチ回路を、一または複数直列に接続して構成され、
前記Nスイッチ回路は、第2スイッチング素子と、前記第2スイッチング素子の前記低電位端側の端にカソードが接続された第2ダイオードと、前記第2ダイオードのアノードと前記第2スイッチング素子の前記直流端側の端との間に接続された第2コンデンサと、を備えた第2スイッチ回路を、一または複数直列に接続して構成され、
前記第1回生整流回路は、前記高電位側の直流端から前記高電位端へ向かう方向を順方向として、前記第1コンデンサの高電位側端と、前記第1蓄電部の他端とを接続し、
前記第2回生整流回路は、前記低電位側の直流端から前記低電位端へ向かう方向を順方向として、前記第2コンデンサの低電位側端と、前記第2蓄電部の他端とを接続する、電力変換装置。
【請求項8】
第1端と第2端との間において互いに逆直列された2つのスイッチ回路と、
前記第1端に一端が接続された第1蓄電部と、
前記第2端に一端が接続された第2蓄電部と、
前記第1蓄電部の他端に接続された第1回生整流回路と、
前記第2蓄電部の他端に接続された第2回生整流回路と、
前記第1蓄電部に蓄えられたエネルギーを放電させる第1変換回路と、
前記第2蓄電部に蓄えられたエネルギーを放電させる第2変換回路と、を備え、
一方の前記スイッチ回路は、第1スイッチング素子と、前記第1スイッチング素子の前記第1端側の端にアノードが接続された第1ダイオードと、前記第1ダイオードのカソードと前記第1スイッチング素子の前記第2端側の端との間に接続された第1コンデンサと、を備えた第1スイッチ回路を、一または複数直列に接続して構成され、
他方の前記スイッチ回路は、第2スイッチング素子と、前記第2スイッチング素子の前記第2端側の端にアノードが接続された第2ダイオードと、前記第2ダイオードのカソードと前記第2スイッチング素子の前記第1端側の端との間に接続された第2コンデンサと、を備えた第2スイッチ回路を、一または複数直列に接続して構成され、
前記第1回生整流回路は、前記第2端から前記第1端へ向かう方向を順方向として、前記第1コンデンサの前記第1端側の端と、前記第1蓄電部の他端とを接続し、
前記第2回生整流回路は、前記第1端から前記第2端へ向かう方向を順方向として、前記第2コンデンサの前記第2端側の端と、前記第2蓄電部の他端とを接続する、スイッチ装置。
【請求項9】
第1端と第2端との間において互いに逆直列された2つのスイッチ回路と、
2つの前記スイッチ回路の接続点に一端が接続された蓄電部と、
前記蓄電部の他端に接続された回生整流回路と、
前記蓄電部に蓄えられたエネルギーを放電させる変換回路と、を備え、
一方の前記スイッチ回路は、第1スイッチング素子と、前記第1スイッチング素子の前記第1端側の端にアノードが接続された第1ダイオードと、前記第1ダイオードのカソードと前記第1スイッチング素子の前記第2端側の端との間に接続された第1コンデンサと、を備えた第1スイッチ回路を、一または複数直列に接続して構成され、
他方の前記スイッチ回路は、第2スイッチング素子と、前記第2スイッチング素子の前記第2端側の端にアノードが接続された第2ダイオードと、前記第2ダイオードのカソードと前記第2スイッチング素子の前記第1端側の端との間に接続された第2コンデンサと、を備えた第2スイッチ回路を、一または複数直列に接続して構成され、
前記回生整流回路は、前記第2端から前記第1端へ向かう方向を順方向として、前記第1コンデンサの前記第1端側の端と、前記蓄電部の他端とを接続するとともに、前記第1端から前記第2端へ向かう方向を順方向として、前記第2コンデンサの前記第2端側の端と、前記蓄電部の他端とを接続する、スイッチ装置。
【請求項10】
請求項1記載の電力変換装置と、
請求項
9記載のスイッチ装置と、を備え、
前記スイッチ装置は、前記第2端において前記電力変換装置の前記上アームと前記下アームとの接続点と電気的に接続している、電力変換装置。
【請求項11】
三相交流電力を三相交流電力に変換する電力変換装置であって、
一方の3相交流端子と他方の3相交流端子との間に接続される請求項
8記載のスイッチ装置を9つ備え、
前記第1蓄電部は、共通の一方の交流端子に接続される3つの前記スイッチ装置に共通であり、
前記第2蓄電部は、共通の他方の交流端子に接続される3つの前記スイッチ装置に共通である、電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電力変換装置およびスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、スイッチングループに存在する寄生インダクタンスと、スイッチングにより生じるサージ電圧とを抑制するスナバ回路を備えた電力変換装置によれば、スナバ回路に吸収されたサージ電圧のエネルギーを直流電源に回生することにより、エネルギー効率を改善することが可能である。
【0003】
また、近年、複数レベルの電圧出力が可能なマルチレベル電力変換装置が提案されている。マルチレベル電力変換装置では、出力電圧を多レベル化することにより、スイッチング速度を高速にすることなく、スイッチング損失を抑制することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のスナバ回路を備えた電力変換装置は、スイッチング速度を高速にしたことにより生じるサージ電圧のエネルギーをスナバ回路に吸収させるものであって、スイッチング速度が低速であるときにスイッチングによる損失を抑制することが困難であった。
【0006】
また、ダイオードクランプ型のマルチレベル変換装置や、フライングキャパシタ型のマルチレベル変換装置においては、スイッチング素子の1素子当たりの印加電圧を下げることによりスイッチングスピードを高くせずにスイッチング損失を減らすことができる。ただし、ダイオードクランプ型およびフライングキャパシタ型のマルチレベル電力変換装置は、スイッチングループ内の寄生インダクタンスが従来の2レベルの電力変換装置よりも大きくなり、より大きなサージ電圧が発生することがある。この場合には、スイッチング速度を更に低くしてサージ電圧を抑制しなければならず、スイッチング損失の低減効果を十分に生かすことができなかった。
【0007】
また、モジュラー型のマルチレベル変換装置は2直列のスイッチングデバイスに並列接続された直流コンデンサで構成される1モジュール内でスイッチングループが閉じた構成を備える。この構成により寄生インダクタンスが大きくなることはないため、サージ電圧を抑制するためにスイッチング速度を低くする必要はない。一方で、直流コンデンサに交流周波数の1次成分(基本波成分)、または、2次成分の電流が流れるため、直流コンデンサを大きくする必要があり、電力変換装置を小型化することが困難であった。
【0008】
本発明の実施形態は、上記事情を鑑みて成されたものであって、エネルギー損失を低く抑え、かつ、大型化を回避することが可能な電力変換装置およびスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態による電力変換装置は、高電位端と低電位端との間に接続された上アームおよび下アームと、前記高電位端に一端が電気的に接続された第1蓄電部と、前記低電位端に一端が電気的に接続された第2蓄電部と、前記第1蓄電部の他端に接続された第1回生整流回路と、前記第2蓄電部の他端に接続された第2回生整流回路と、前記第1蓄電部に蓄えられたエネルギーを放電させる第1変換回路と、前記第2蓄電部に蓄えられたエネルギーを放電させる第2変換回路と、を備え、前記上アームは、第1スイッチング素子と、前記第1スイッチング素子の高電位側端にアノードが接続された第1ダイオードと、前記第1ダイオードのカソードと前記第1スイッチング素子の低電位側端との間に接続された第1コンデンサと、を備えた第1スイッチ回路を、複数直列に接続して構成され、前記下アームは、第2スイッチング素子と、前記第2スイッチング素子の低電位側端にカソードが接続された第2ダイオードと、前記第2ダイオードのアノードと前記第2スイッチング素子の高電位側端との間に接続された第2コンデンサと、を備えた第2スイッチ回路を、複数直列に接続して構成され、前記第1回生整流回路は、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、前記上アームの前記第1コンデンサの高電位側端と、前記第1蓄電部の他端とを接続し、前記第2回生整流回路は、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、前記下アームの前記第2コンデンサの低電位側端と、前記第2蓄電部の他端とを接続し、直列に接続された複数の前記第1スイッチ回路の前記第1スイッチング素子は、同時にスイッチングしないように所定時間置いて順次スイッチングするように制御され、直列に接続された複数の前記第2スイッチ回路の前記第2スイッチング素子は、同時にスイッチングしないように所定時間置いて順次スイッチングするように制御される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態の電力変換装置の一構成例を概略的に示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の電力変換装置のDC/DCコンバータおよび制御回路の一構成例を説明するための図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態の電力変換装置のDC/DCコンバータおよび制御回路の他の構成例を説明するための図である。
【
図4】
図4は、第2実施形態の電力変換装置の一構成例を概略的に示す図である。
【
図5】
図5は、第3実施形態の電力変換装置の一構成例を概略的に示す図である。
【
図6】
図6は、第4実施形態の電力変換装置の一構成例を概略的に示す図である。
【
図7】
図7は、第5実施形態の電力変換装置の一構成例を概略的に示す図である。
【
図8】
図8は、第5実施形態の電力変換装置の動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【
図9】
図9は、第6実施形態の電力変換装置の一構成例を概略的に示す図である。
【
図10】
図10は、第6実施形態の電力変換装置の動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【
図12】
図12は、第7実施形態のスイッチ装置の一構成例を概略的に示す図である。
【
図13】
図13は、第8実施形態のスイッチ装置の一構成例を概略的に示す図である。
【
図14】
図14は、第9実施形態の電力変換装置の一構成例を概略的に示す図である。
【
図15】
図15は、第10実施形態の電力変換装置の一構成例を概略的に示す図である。
【
図16】
図16は、第10実施形態の電力変換装置の一構成例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態の電力変換装置および変電所用電源装置について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、第1実施形態の電力変換装置の一構成例を概略的に示す図である。
本実施形態の電力変換装置は、例えば、直流電力と三相交流電力とを相互に変換可能な電力変換装置である。この電力変換装置は、三相レグ100U、100V、100Wと、高電位端と、低電位端と、交流端子U、V、Wと、蓄電部Crp、Crnと、DC/DCコンバータ10P、10Nと、制御回路CP、CNと、を備えている。なお、本実施形態の電力変換装置には、高電位端と低電位端との間に直流コンデンサ(図示せず)が電気的に接続され得る。直流コンデンサは、電力変換装置に含まれていてもよく、電力変換装置の外部に取り付けられても構わない。
【0012】
U相レグ100Uは、上アームと、下アームと、n個(nは2以上の整数)の第1回生整流回路(回生整流ダイオード6UNおよび第1抵抗器5UN)と、m個(mは2以上の整数)の第2回生整流回路(回生整流ダイオード6XMおよび第2抵抗器5XM)と、を備えている。
【0013】
V相レグ100Vは、上アームと、下アームと、p個(pは2以上の整数)の第3回生整流回路(回生整流ダイオード6VPおよび第1抵抗器5VP)と、o個(oは2以上の整数)の第4回生整流回路(回生整流ダイオード6YOおよび第2抵抗器5YO)と、を備えている。
【0014】
W相レグ100Wは、上アームと、下アームと、q個(qは2以上の整数)の第5回生整流回路(回生整流ダイオード6WQおよび第1抵抗器5WQ)と、r個(rは2以上の整数)の第6回生整流回路(回生整流ダイオード6ZRおよび第2抵抗器5ZR)と、を備えている。
【0015】
ここで、NとMはそれぞれN=2~n、M=2~mである。また、PとOとはそれぞれP=2~p、O=2~oである。また、QとRとはそれぞれQ=2~q、R=2~rである。以後、他の定義が示されていなければ同様とする。
【0016】
蓄電部Crp、Crnは、例えばコンデンサやバッテリーなどを用いることが出来る。本実施形態では、蓄電池Crp、Crnはコンデンサを用いた場合について説明する。
【0017】
高電位側の蓄電部Crpは、一端が高電位端と電気的に接続され、他端が第1回生整流回路、第3回生整流回路および第5回生整流回路と接続されている。低電位側の蓄電部Crnは、一端が低電位端と電気的に接続され、他端が第2回生整流回路、第4回生整流回路および第6回生整流回路と接続されている。
【0018】
DC/DCコンバータ10P、10Nは、蓄電部Crp、Crnに蓄えられたエネルギーを所定電圧に変換して放電させる。DC/DCコンバータ10P、10Nは、例えば、図示しない制御電源や、電力変換装置の直流電源や、その他の回路と接続され得る。
なお、電力変換装置は、蓄電部Crp、Crnに蓄えられたエネルギーを交流電力に変換して放電させるDC/ACコンバータを、DC/DCコンバータ10P、10Nに替えて備えていてもよい。
【0019】
制御回路CP、CNは、例えば、DC/DCコンバータ10P、10Nの動作を制御することができる。制御回路CP、CNは、例えば、蓄電部Crp、Crnの電圧が所定の値となるように制御してもよい。
DC/DCコンバータ10P、10Nおよび制御回路CP、CNの構成については、後に詳細に説明する。
【0020】
U相レグ100U、V相レグ100VおよびW相レグ100Wの構成は同じであるため、以下ではU相レグ100Uの構成について説明し、V相レグ100VおよびW相レグ100Wの構成については説明を省略する。
【0021】
U相レグ100Uの上アームは、n個のスイッチ回路(電圧型クランプ型スイッチ回路)101Nを備える。U相レグ100Uの下アームは、m個のスイッチ回路(電圧型クランプ型スイッチ回路)102Mを備える。
【0022】
U相レグ100Uのn個のスイッチ回路(第1スイッチ回路)101Nのそれぞれは、スイッチング素子(第1スイッチング素子)1UNと、ダイオード(第1ダイオード)4UNと、コンデンサ(第1コンデンサ)3UNと、スナバ端子と、正側端子と、負側端子と、を備えている。
【0023】
なお、正側端子と、負側端子と、スナバ端子とは、これらの端子の位置にて回路が電気的に接続可能な構成であればよく、端子を省略しても構わない。また、スイッチ回路101Nは、複数のスイッチング素子1UNを備えていてもよい。その場合、複数のスイッチング素子1UNは、正側端子と負側端子との間において、コンデンサ3UNおよびダイオード4UNに対して並列に接続される。複数のスイッチング素子1UNは互いに直列に接続されてもよく、互いに並列に接続されてもよい。
【0024】
スイッチング素子1UNは、例えばMOSFET(半導体電界効果トランジスタ:Metal-Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)である。スイッチング素子1UNのドレイン(高電位側端)は、正側端子と電気的に接続され、ソース(低電位側端)は負側端子と電気的に接続されている。
【0025】
ダイオード4UNは、アノードがスイッチング素子1UNのドレインおよび正側端子と電気的に接続し、カソードがスナバ端子と電気的に接続している。なお、ダイオード4UNは、リカバリ損失が低いファストリカバリ特性を備えることが望ましく、例えば、リカバリ特性のよいショットキーバリアダイオード(SBD)やワイドバンドギャップ半導体(SiC、GaNなど)を利用した素子を使用することが望ましい。
【0026】
コンデンサ3UNは、一端(低電位側端)がスイッチング素子1UNのソースおよび負側端子と電気的に接続され、他端(高電位側端)がダイオード4UNのカソードと電気的に接続されているとともにスナバ端子と電気的に接続している。
【0027】
n個のスイッチ回路101Nは、直列に接続している。すなわち、スイッチ回路101Nの正側端子は高電位側にて隣り合うスイッチ回路101Nの負側端子と電気的に接続されている。また、最も高電位側のスイッチ回路101Nの正側端子は、高電位端と電気的に接続されている。一方、スイッチ回路101Nの負側端子は低電位側にて隣り合うスイッチ回路101Nの正側端子と電気的に接続されている。また、最も低電位側のスイッチ回路101Nの負側端子(N=1)は、交流端子Uおよび下アームと電気的に接続されている。
【0028】
n個の回生整流ダイオード(第1回生整流ダイオード)6UN(N=1~n)は、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、第1スイッチ回路101Nのスナバ端子と高電位側の蓄電部Crpの他端との間にそれぞれ接続されている。換言すると、第1スイッチ回路101Nのスナバ端子は、回生整流ダイオード6UNのアノードと電気的に接続されている。蓄電部Crpの他端は、複数の回生整流ダイオード6U1~6Unのカソードと電気的に接続されている。
【0029】
抵抗器5UNは、一端において、ダイオード4UNとコンデンサ3UNとの接続点(コンデンサ3UNの他端(高電位側端)とダイオード4UNのカソードとの間を電気的に接続する構成の一部)に直列に接続されている。抵抗器5UNの他端は、スナバ端子と電気的に接続されている。
【0030】
m個のスイッチ回路(第2スイッチ回路)102Mのそれぞれは、スイッチング素子(第2スイッチング素子)1XMと、ダイオード(第2ダイオード)4XMと、コンデンサ(第2コンデンサ)3XMと、スナバ端子と、正側端子と、負側端子と、を備えている。
【0031】
なお、スナバ端子と、正側端子と、負側端子とは、これらの端子の位置において回路が電気的に接続可能な構成であればよく、端子を省略しても構わない。また、スイッチ回路102Mは、複数のスイッチング素子1XMを備えていてもよい。その場合、複数のスイッチング素子1XMは、正側端子と負側端子との間において、コンデンサ3XMおよびダイオード4XMに対して並列に接続される。複数のスイッチング素子1XMは互いに直列に接続されてもよく、互いに並列に接続されてもよい。
【0032】
スイッチング素子1XMは、例えばMOSFETである。スイッチング素子1XMのドレイン(高電位側端)は正側端子と電気的に接続され、スイッチング素子1XMのソース(低電位側端)は負側端子と電気的に接続されている。
【0033】
ダイオード4XMは、カソードがスイッチング素子1XMのソースおよび負側端子と電気的に接続され、アノードがスナバ端子と電気的に接続されている。なお、ダイオード4XMは、リカバリ損失が低いファストリカバリ特性を備えることが望ましく、例えば、リカバリ特性のよいショットキーバリアダイオード(SBD)やワイドバンドギャップ半導体(SiC、GaNなど)を利用した素子を使用することが望ましい。
【0034】
コンデンサ3XMは、一端(高電位側端)がスイッチング素子1XMのドレインおよび正側端子と電気的に接続され、他端(低電位側端)がダイオード4XMのアノードと電気的に接続するとともにスナバ端子と電気的に接続されている。
【0035】
m個のスイッチ回路102Mは、直列に接続されている。すなわち、スイッチ回路102Mの正側端子(高電位側端)は高電位側にて隣り合うスイッチ回路102Mの負側端子(低電位側端)と電気的に接続されている。また、スイッチ回路102Mの最も高電位側のスイッチ回路102Mの正側端子は、交流端子Uおよび上アームと電気的に接続されている。一方、スイッチ回路102Mの負側端子は低電位側にて隣り合うスイッチ回路102Mの正側端子と電気的に接続されている。また、最も低電位側のスイッチ回路102Mの負側端子は、低電位端と電気的に接続されている。
【0036】
m個の回生整流ダイオード6XM(M=1~m)は、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、第2スイッチ回路102Mのスナバ端子と低電位側の蓄電部Crnの他端との間にそれぞれ接続されている。換言すると、第2スイッチ回路102Mのスナバ端子は、回生整流ダイオード6XMのカソードと電気的に接続されている。蓄電部Crnの他端は、複数の回生整流ダイオード6X1~6Xmのアノードと電気的に接続されている。
【0037】
抵抗器5XMは、一端において、ダイオード4XMとコンデンサ3XMとの接続点(コンデンサ3XMの他端(低電位側端)とダイオード4XMのアノードとの間を電気的に接続する構成の一部)に直列に接続されている。抵抗器5XMの他端は、スナバ端子と電気的に接続されている。
【0038】
本実施形態の電力変換装置のU相レグ100Uは、第1スイッチ回路101Nの少なくとも1つが第1スイッチング素子1UNの高電位側端にアノードが接続された第1ダイオード4UNと、第1ダイオード4UNのカソードと第1スイッチング素子1UNの低電位側端との間に接続された第1コンデンサ3UNと、を備えるとき、第1スイッチ回路101Uから高電位側の蓄電部Crpへ向かう方向を順方向として、第1ダイオード4UNのカソードそれぞれと高電位側の蓄電部Crpの他端とを接続する第1回生整流回路を備えている。
【0039】
また、本実施形態の電力変換装置は、第2スイッチ回路102Mの少なくとも1つが第2スイッチング素子1XMの低電位側端にカソードが接続された第2ダイオード4XMと、第2ダイオード4XMのアノードと第2スイッチング素子1XMの高電位側端との間に接続された第2コンデンサ3XMと、を備えるとき、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、低電位側の蓄電部Crnから第2スイッチ回路102Mへ向かう方向を順方向として、第2ダイオード4XMのアノードそれぞれと低電位側の蓄電部Crnの他端とを接続する第2回生整流回路を備えている。
【0040】
また、本実施形態の電力変換装置において、スイッチング素子1UN、1XMは、MOSFETに限定されるものではなく、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)や接触器や、機械スイッチなどでも構わない。
【0041】
また、電圧定格や電流定格が異なる素子をスイッチング素子1UN、1XMとして用いた場合であっても本実施形態の効果を得ることができるが、電圧定格や電流定格が同一である素子をスイッチング素子1UN、1XMとして用いることが望ましい。
【0042】
本実施形態の電力変換装置では、高電位端と、低電位端と、直流コンデンサとを介して閉回路が構成される。この閉回路に寄生する寄生インダクタンス(図示せず)によりサージ電圧が発生するときがある。このとき、本実施形態の電力変換装置では、コンデンサ3UN、3XMにて発生したサージ電圧を抑制することが可能である。
【0043】
図2は、第1実施形態の電力変換装置のDC/DCコンバータおよび制御回路の一構成例を説明するための図である。
この例では、制御回路CP、CNは、蓄電部Crp、Crnの電圧値を取得し、蓄電部Crp、Crnの電圧値と指令値との差がゼロとなるように、蓄電部Crp、Crnを放電させる。
【0044】
DC/DCコンバータ10P、10Nは、スイッチング素子B4と、絶縁トランスB3と、ダイオードB2と、コンデンサB1とを備えた、絶縁型DC/DCコンバータである。
【0045】
スイッチング素子B4は、例えばMOSFETである。スイッチング素子B4のソースは蓄電部Crpの高電位側端(蓄電部Crpの一端、蓄電部Crnの他端)と電気的に接続され、スイッチング素子B4のドレインは絶縁トランスB3の一次側のコイルの一端と電気的に接続されている。スイッチング素子B4のゲート電位は、制御回路CP、CNにより制御される。
【0046】
絶縁トランスB3は、例えばフライバックトランス(2巻線リアクトル)である。絶縁トランスB3の一次側のコイルは、スイッチング素子B4のドレインと蓄電部Crp、Crnの低電位側端(蓄電部Crpの他端、蓄電部Crnの一端)との間に接続されている。絶縁トランスB3の二次側のコイルは、高電位側の出力端と低電位側の出力端との間に接続されている。
【0047】
コンデンサB1は、高電位側の出力端と低電位側の出力端との間に接続されている。
ダイオードB2は、絶縁トランスB3の二次側のコイルの高電位側端と高電位側の出力端との間に接続されている。
【0048】
上記DC/DCコンバータ10P、10Nでは、スイッチング素子B4がオン期間中に、蓄電部Crp、Crnから絶縁トランスB3にエネルギーが放電されて蓄えられる。その後、スイッチング素子B4がオフに切り替わると、絶縁トランスB3の逆起電力により、絶縁トランスB3に蓄えられたエネルギー二次側に出力される。
【0049】
制御回路CP、CNは、減算器A1と、ゲイン乗算部A2と、比較器A3と、を備えている。
減算器A1は、外部から入力された指令値から蓄電部Crp、Crnの電圧値を減算した差を演算して出力する。
【0050】
ゲイン乗算部A2は、減算器A1から出力された値に所定のゲインを乗じた積を演算して出力する。
比較器A3は、ゲイン乗算部A2から出力された積と、キャリア波とを比較して、スイッチング素子B4のゲート信号を生成して出力する。
【0051】
上記制御回路CP、CNによれば、蓄電部Crp、Crnの電圧の値が指令値に追従するように、DC/DCコンバータ10P、10Nの動作が制御される。
【0052】
図3は、第1実施形態の電力変換装置のDC/DCコンバータおよび制御回路の他の構成例を説明するための図である。
この例では、制御回路CP、CNは、DC/DCコンバータ10P、10Nから所定の電力が出力されるように蓄電部Crp、Crnを放電させる。
【0053】
DC/DCコンバータ10P、10Nは、フルブリッジ回路B9と、コンデンサB8と、絶縁トランスB7と、ダイオードブリッジ回路B6と、コンデンサB5と、否定回路B10と、を備えた絶縁型DC/DCコンバータである。
【0054】
コンデンサCrp、Crnは、フルブリッジ回路B9の直流主回路間に接続されている。
フルブリッジ回路B9は、スイッチング素子として例えばMOSFETを備えている。フルブリッジ回路B9は、例えば一方のレグの上側スイッチング素子と、他方のレグの下側スイッチング素子とを同時にオンオフし、同じレグの上側スイッチング素子と下側スイッチング素子とが同時にオンしないように制御される。フルブリッジ回路B9は、蓄電部Crp、Crnの直流電圧を単相の交流電圧に変換することができる。
【0055】
絶縁トランスB7の一次側のコイルは、コンデンサB8を介してフルブリッジ回路B9の交流端子に電気的に接続されている。絶縁トランスB7の二次側のコイルは、ダイオードブリッジ回路B6の入力端子に電気的に接続されている。
ダイオードブリッジ回路B6は、絶縁トランスB7を介してフルブリッジ回路B9から供給される交流電圧を直流電圧に変換して出力する。
【0056】
コンデンサB5は、ダイオードブリッジ回路B6の出力端子間に接続されている。ダイオードブリッジ回路B6から出力された直流電圧は、コンデンサB5により平滑化されてDC/DCコンバータ10P、10Nから出力される。
【0057】
否定回路B10は、制御回路CP、CNから出力されたゲート信号波形を反転した信号を出力する。否定回路B10から出力された信号は、フルブリッジ回路B9の一方のレグの上側スイッチング素子と、他方のレグの下側スイッチング素子とのゲート信号としてフルブリッジ回路B9に供給される。
【0058】
制御回路CP、CNは、パルス発生回路A4を備えている。
パルス発生回路A4は、例えばデューティ比50%のパルスをゲート信号として出力する。パルス発生回路A4から出力されたゲート信号は、否定回路B10と、フルブリッジ回路B9の一方のレグの下側スイッチング素子のゲートと、他方のレグの上側スイッチング素子のゲートとに供給される。
【0059】
次に、本実施形態の電力変換装置の動作の一例について説明する。
各相レグ100U、100V、100Wの上アームと下アームは通常の三相インバータ回路と同様に動作する。
【0060】
各相レグ100U、100V、100Wの上アームと下アームとのそれぞれの複数のスイッチング素子1UN、1XMは、同時にスイッチングしないように所定時間置いて順次スイッチングするように制御される。このとき、複数のスイッチング素子1UN、1XMのいずれか1つがオンしてから次の1つがオンするまでの時間(遅れ時間)にアーム内に負荷電流が流れる。負荷電流は、スイッチング素子1UN、1XMがオフしているスイッチ回路101N、102Mでは、スイッチング素子1UN、1XMに並列に接続されたダイオード(整流デバイス)4UN、4XM、もしくは、回生整流回路に流れる。回生整流回路に流れる電流は蓄電部Crp、Crnにエネルギーとして蓄えられる。
【0061】
各相レグ100U、100V、100Wにおいて、上アームのスイッチング素子1UN、1VP、1WQのそれぞれは、自素子と自素子よりも高電位側に接続されている素子との全てがターンオンすることで、自素子に並列接続されているコンデンサ3UN、3VP、3WQと蓄電部Crpとが並列に接続される。負荷電流によるエネルギーが蓄えられることによりコンデンサ3UN、3VP、3WQの電圧が高くなると、コンデンサ3UN、3VP、3WQから蓄電部Crpに対して電流が流れ、蓄電部Crpにエネルギーが放電(回生)される。このときのエネルギーの回生効率は、コンデンサ3UN、3VP、3WQと蓄電部Crpとの電圧差に依存し、電圧差が小さければ小さいほど高効率となる。
【0062】
上記のように、蓄電部Crpには、上アームの全てのコンデンサ3UN、3VP、3WQからエネルギーが集められる。蓄電部Crpに蓄えられたエネルギーは、DC/DCコンバータ10Pにより放電されて、直流電源や制御電源などに用いることが出来る。また、蓄電部Crpに蓄えられたエネルギーが、DC/DCコンバータ10Pにより放電されるため、蓄電部Crpの電圧が高くなることを回避できる。
【0063】
各相レグ100U、100V、100Wにおいて、下アームのスイッチング素子1XM、1YO、1ZRのそれぞれは、自素子と自素子よりも低電位側に接続されている素子との全てがターンオンすることで、自素子に並列接続されているコンデンサ3XM、3YO、3ZRと蓄電部Crnとが並列に接続される。負荷電流によるエネルギーが蓄えられることによりコンデンサ3XM、3YO、3ZRの電圧が高くなると、コンデンサ3XM、3YO、3ZRから蓄電部Crnに対して電流が流れ、蓄電部Crnにエネルギーが放電(回生)される。このときのエネルギーの回生効率は、コンデンサ3XM、3YO、3ZRと蓄電部Crnとの電圧差に依存し、電圧差が小さければ小さいほど高効率となる。
【0064】
上記のように、蓄電部Crnには、下アームの全てのコンデンサ3XM、3YO、3ZRからエネルギーが集められる。蓄電部Crnに蓄えられたエネルギーは、DC/DCコンバータ10Nにより放電されて、直流電源や制御電源などに用いることが出来る。また、蓄電部Crnに蓄えられたエネルギーが、DC/DCコンバータ10Nにより放電されるため、蓄電部Crnの電圧が高くなることを回避できる。
【0065】
次に、本実施形態の電力変換装置によるエネルギー損失の改善効果について説明する。
例えば、従来の2レベルインバータでは、スイッチング素子がターンオンするタイミングにて、スイッチング素子に流れる電流が上昇し、スイッチング素子に印加される電圧が降下する。スイッチング素子に流れる電流とスイッチング素子に印加される電圧によりスイッチング素子にて生じるエネルギーは他の素子にて吸収されることなく熱となり、スイッチング損失となる。
【0066】
これに対し、本実施形態の電力変換装置では、スイッチング素子毎に見ると従来と同様にターンオン時にエネルギーが発生するが、アーム全体として見ると、スイッチング時に生じるエネルギーがコンデンサ3UN、3XMを介して蓄電部Crp、Crnに吸収される。蓄電部Crp、Crnに蓄えられたエネルギーは、DC/DCコンバータ10P、10Nにより放電されて回生される。このため、スイッチング素子1UN、1XMがターンオンする際生じるエネルギーのうち、アーム全体としての損失となるのは一部であり、エネルギー効率が改善されることとなる。
【0067】
また、例えば従来の2レベルインバータでは、スイッチング素子がターンオフするタイミングにて、スイッチング素子に印加される電圧が上昇し、スイッチング素子に流れる電流が降下する。このようにスイッチング素子に流れる電流とスイッチング素子に印加される電圧によりスイッチング素子にて生じるエネルギーは他の素子に吸収されることなく熱となり、スイッチング損失となる。
【0068】
これに対し、本実施形態の電力変換装置では、スイッチング素子毎に見ると、従来と同様にターンオフ時にエネルギーが発生するが、アーム全体として見ると、スイッチング時に生じるエネルギーがコンデンサ3UN、3XMを介して蓄電部Crp、Crnに吸収される。蓄電部Crp、Crnに蓄えられたエネルギーは、DC/DCコンバータ10P、10Nにより放電されて回生される。このため、スイッチング素子1UN、1XMがターンオフする際生じるエネルギーのうち、アーム全体としての損失となるのは一部であり、エネルギー効率が改善されることとなる。
【0069】
また、例えば従来の2レベルインバータにおいて、下アームのスイッチング素子がターンオンされるとき、上アームのスイッチング素子の寄生ダイオードのリカバリ時に寄生ダイオードに流れる電流と印加される電圧とによりリカバリ損失が発生する。
【0070】
これに対し本実施形態の電力変換装置では、例えばスイッチング素子1XMのいずれかがターンオンされると、複数のスイッチ回路102Mの1つに印加されていた電圧が、複数のスイッチ回路101Nの直列数(=n)に分圧されて、複数のスイッチ回路101Nのそれぞれに印加される。このため、複数のスイッチ回路101Nのスイッチング素子1UNの寄生ダイオードのリカバリ時に印加される電圧が小さくなり、リカバリ時に発生する損失(リカバリ損失)が低減される。
【0071】
上記のように、本実施形態の電力変換装置では、従来の2レベルインバータでは損失となるエネルギーを回生して利用可能とすることで、高効率なスイッチングを実現している。また、本実施形態の電力変換装置では、スイッチング素子1UN、1VP、1WQ、1XM、1YO、1ZRのスイッチングスピードは、従来の2レベルインバータと同じであるため、スイッチングスピードを高くせずに損失を減らすことができる。
【0072】
また、蓄電部Crp、CrnおよびDC/DCコンバータ10P、10Nは各相に設ける必要がない。仮に、電力変換装置が多相(4相以上)であったとしても、高電位側と低電位側とのそれぞれに1つの蓄電部と1つのDC/DCコンバータを用いることで実現することができる。このことにより、電力変換装置の小型化および低コスト化を実現することができる。
【0073】
すなわち、本実施形態によれば、エネルギー損失を低く抑え、かつ、大型化を回避する電力変換装置およびスイッチ装置を提供することができる。
【0074】
次に、第2実施形態の電力変換装置について図面を参照して詳細に説明する。
図4は、第2実施形態の電力変換装置の一構成例を概略的に示す図である。
本実施形態の電力変換装置は、高電位側の蓄電部Crpと、DC/DCコンバータ10Pと、制御回路CPとを備えていない点が上述の第1実施形態と異なっている。このことに伴い、上アームのスイッチ回路101N、101P、101Qの構成と、回生整流回路の構成とが上述の第1実施形態の電力変換装置とは異なる。
【0075】
本実施形態の電力変換装置では、上アームのスイッチ回路101N、101P、101Qは、下アームのスイッチ回路102M、102O、102Rと同様の構成である。
以下に、U相の上アームのスイッチ回路101Nの構成について説明する。なお、V相とW相との構成はU相と同様の構成であるため、ここでは説明は省略する。
【0076】
スイッチング素子1UNは、例えばMOSFETである。スイッチング素子1UNのドレイン(高電位側端)は正側端子と電気的に接続され、スイッチング素子1UNのソース(低電位側端)は負側端子と電気的に接続されている。
【0077】
ダイオード4UNは、カソードがスイッチング素子1UNのソースおよび負側端子と電気的に接続され、アノードがスナバ端子と電気的に接続されている。なお、ダイオード4UNは、リカバリ損失が低いファストリカバリ特性を備えることが望ましく、例えば、リカバリ特性のよいショットキーバリアダイオード(SBD)やワイドバンドギャップ半導体(SiC、GaNなど)を利用した素子を使用することが望ましい。
【0078】
コンデンサ3UNは、一端(高電位側端)がスイッチング素子1UNのドレインおよび正側端子と電気的に接続され、他端(低電位側端)がダイオード4UNのアノードと電気的に接続するとともにスナバ端子と電気的に接続されている。
【0079】
n個のスイッチ回路101Nは、直列に接続されている。すなわち、スイッチ回路101Nの正側端子(高電位側端)は高電位側にて隣り合うスイッチ回路101Nの負側端子(低電位側端)と電気的に接続されている。また、スイッチ回路101Nの最も高電位側のスイッチ回路101Nの正側端子(N=n)は、高電位端と電気的に接続されている。一方、スイッチ回路101Nの負側端子は低電位側にて隣り合うスイッチ回路101Nの正側端子と電気的に接続されている。また、最も低電位側のスイッチ回路101Nの負側端子(N=1)は、交流端子Uおよび下アームと電気的に接続されている。
【0080】
n個の回生整流ダイオード6UN(N=1~n)は、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、第1スイッチ回路101Nのスナバ端子と回生整流ダイオード6X1のカソードとの間にそれぞれ接続されている。換言すると、第1スイッチ回路101Nのスナバ端子は、回生整流ダイオード6UNのカソードと電気的に接続されている。回生整流ダイオード6X1のカソードは、複数の回生整流ダイオード6U1~6Unのアノードと電気的に接続されている。
【0081】
抵抗器5UNは、一端において、ダイオード4UNとコンデンサ3UNとの接続点(コンデンサ3UNの他端(低電位側端)とダイオード4UNのアノードとの間を電気的に接続する構成の一部)に直列に接続されている。抵抗器5UNの他端は、スナバ端子と電気的に接続されている。
【0082】
本実施形態の電力変換装置では、上記のように第1回生整流回路は、第2回生整流回路の回生整流ダイオード6X1を介して蓄電部Crnと電気的に接続されている。したがって、上アームの動作により生じるエネルギーの一部は、低電位側の蓄電部Crnに集められる。
【0083】
すなわち、蓄電部Crnには、電力変換装置に含まれるスイッチ回路101N、101P、101Q、102M、102O、102Rの全てからエネルギーが集まることとなる。このため、本実施形態の電力変換装置では、第1実施形態の電力変換装置よりも蓄電部Crnの容量を増加させることが望ましい。
【0084】
上記構成によれば、上述の第1実施形態と同様に、従来の2レベルインバータでは損失となるエネルギーを回生して利用可能とすることで、高効率なスイッチングを実現している。また、本実施形態の電力変換装置では、スイッチング素子1UN、1VP、1WQ、1XM、1YO、1ZRのスイッチングスピードは、従来の2レベルインバータと同じであるため、スイッチングスピードを高くせずに損失を減らすことができる。
【0085】
また、蓄電部CrnおよびDC/DCコンバータ10Nは各相に設ける必要がない。仮に、電力変換装置が多相(4相以上)であったとしても、低電位側に1つの蓄電部と1つのDC/DCコンバータとを用いることで実現することができる。このことにより、電力変換装置の小型化および低コスト化を実現することができる。
【0086】
すなわち、本実施形態によれば、エネルギー損失を低く抑え、かつ、大型化を回避する電力変換装置およびスイッチ装置を提供することができる。
【0087】
なお、
図4に示す電力変換装置の例では高電位側の蓄電部Crpを省略し、低電位側の蓄電部Crnに全てのスイッチ回路101N、101P、101Q、102M、102O、102Rからエネルギーを集めるよう構成されていたが、低電位側の蓄電部Crnを省略して高電位側の蓄電部Crpを備えるように電力変換装置を構成しても構わない。その場合には、例えば、各相の下アームのスイッチ回路102M、102O、102Rを第1実施形態の電力変換装置の上アームのスイッチ回路101N、101P、101Qと同様の構成とし、第2回生整流回路、第4回生整流回路および第6回生整流回路を、回生整流ダイオード6U1を介して蓄電部Crpと接続するように電力変換装置を構成する。例えばU相の下アームについて説明すると、回生整流ダイオード6U1のアノードに複数の回生整流ダイオード6X1~6Xmのカソードが電気的に接続される。複数の回生整流ダイオード6X1~6Xmのアノードは、スイッチ回路102Mのスナバ端子と電気的に接続される。V相およびW相の下アームも同様の構成となる。
【0088】
上記構成によれば、蓄電部Crpには、電力変換装置に含まれるスイッチ回路101N、101P、101Q、102M、102O、102Rの全てからエネルギーが集まることとなるため、第1実施形態の電力変換装置よりも蓄電部Crpの容量を増加させることが望ましい。
【0089】
上記構成によれば、
図4に示す例と同様の効果を得ることが出来る。すなわち、エネルギー損失を低く抑え、かつ、大型化を回避する電力変換装置およびスイッチ装置を提供することができる。
【0090】
次に、第3実施形態の電力変換装置について図面を参照して詳細に説明する。
図5は、第3実施形態の電力変換装置の一構成例を概略的に示す図である。
本実施形態の電力変換装置は、昇圧型の電力変換器である。
【0091】
本実施形態の電力変換器は、リアクトルLAと、ダイオードDAと、複数のスイッチ回路SA1-SA4と、回生整流回路(複数の回生整流ダイオード6A1-6A4および複数の抵抗器5A1-5A4)、蓄電部Crnと、DC/DCコンバータ10Nと、制御回路CNとを備えている。
【0092】
本実施形態の電力変換装置では、入力端と高電位端との間に、リアクトルLAとダイオードDAとが直列に接続されている。
【0093】
蓄電部Crnは、一端が低電位端と電気的に接続され、他端が回生整流回路と電気的に接続されている。
DC/DCコンバータ10Nは、蓄電部Crnに蓄えられたエネルギーを所定電圧に変換して放電させる。DC/DCコンバータ10Nは、例えば、図示しない制御電源や、電力変換装置の直流電源や、その他の回路と接続され得る。
【0094】
制御回路CNは、例えば、DC/DCコンバータ10Nの動作を制御することができる。制御回路CNは、例えば、蓄電部Crnの電圧が所定の値となるように制御してもよい。
DC/DCコンバータ10Nおよび制御回路CNの構成は、第1実施形態の電力変換装置と同様である。
【0095】
ダイオードDAは、アノードにてリアクトルLAと電気的に接続し、カソードにて高電位端と電気的に接続している。
複数のスイッチ回路SA1-SA4は、リアクトルLAとダイオードDAとの接続点と低電位端との間に、直列に接続されている。
スイッチ回路SA1-SA4は、第1実施形態の電力変換装置の下アームのスイッチ回路102Mと同様の構成である。
【0096】
スイッチ回路SA1-SA4のそれぞれは、スイッチング素子1A1-1A4と、ダイオード4A1-4A4と、コンデンサ3A1-3A4と、を備えている。なお、ここではスナバ端子と、正側端子と、負側端子とを図示していないが、スイッチ回路SA1-SA4がこれらの端子を備えていてもよい。
【0097】
スイッチング素子1A1-1A4は、例えばMOSFETである。スイッチング素子1A1-1A4は、ドレインを高電位側としソースを低電位側として、ダイオードDAのアノードと低電位端との間に直列に接続されている。
【0098】
ダイオード4A1-4A4は、カソードがスイッチング素子1A1-1A4のソースと電気的に接続され、アノードがコンデンサ3A1-3A4の低電位側端および回生整流回路と電気的に接続されている。
【0099】
コンデンサ3A1-3A4は、一端(高電位側端)がスイッチング素子1A1-1A4のドレインと電気的に接続され、他端(低電位側端)がダイオード4A1-4A4のアノードと電気的に接続するとともに回生整流回路と電気的に接続されている。
【0100】
回生整流ダイオード6A1-6A4は、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、スイッチ回路SA1-SA4のコンデンサ3A1-3A4の低電位側端と蓄電部Crnの他端との間にそれぞれ接続されている。換言すると、コンデンサ3A1-3A4の低電位側端は、抵抗器5A1-5A4を介して、回生整流ダイオード6A1-6A4のカソードと電気的に接続されている。蓄電部Crnの他端は、回生整流ダイオード6A1-6A4のアノードと電気的に接続されている。
【0101】
抵抗器5A1-5A4は、一端において、ダイオード4A1-4A4とコンデンサ3A1-3A4との接続点(コンデンサ3A1-3A4の低電位側端とダイオード4A1-4A4のアノードとの間を電気的に接続する構成の一部)に直列に接続されている。抵抗器5A1-5A4の他端は、回生整流ダイオード6A1-6A4のカソードと電気的に接続されている。
【0102】
上記構成によれば、上述の第1実施形態と同様に、蓄電部Crnには電力変換装置に含まれるスイッチ回路SA1-SA4の動作により生じるエネルギーの一部が蓄積される。蓄電部Crnに蓄えられたエネルギーは、DC/DCコンバータ10Nにより、直流電源や制御電源として利用可能となる。
【0103】
本実施形態の電力変換装置によれば、上述の第1実施形態と同様の効果を得ることが出来る。すなわち、エネルギー損失を低く抑え、かつ、大型化を回避する電力変換装置およびスイッチ装置を提供することができる。
【0104】
なお、例えば
図5に示すダイオードDAおよびスイッチ回路SA1-SA4の構成を利用してブリッジレスPFC回路を構成することができる。その場合には、ダイオードDAおよびスイッチ回路SA1-SA4を備えたレグを高電位端と低電位端との間に2つ接続し、一方のレグの上アームと下アームとの間と、他方のレグの上アームと下アームとの間とに、リアクトルLAを介して交流電源を接続する。ブリッジレスPFC回路を構成する場合であっても、2つのレグのスイッチ回路SA1-SA4に回生整流回路を接続し、蓄電部Crnの一端を低電位端に接続し、蓄電部Crnの他端を2つの回生整流回路に接続させることにより、上述の電力変換装置と同様の効果を得ることが出来る。
なお、本実施形態において、整流デバイスはMOSFETなどに置き換えて同期整流としてもよい。
【0105】
次に、第4実施形態の電力変換装置について図面を参照して詳細に説明する。
図6は、第4実施形態の電力変換装置の一構成例を概略的に示す図である。
本実施形態の電力変換装置は、降圧型の電力変換器である。
【0106】
本実施形態の電力変換器は、リアクトルLBと、ダイオードDBと、複数のスイッチ回路SB1-SB4と、回生整流回路(複数の回生整流ダイオード6B1-6B4および複数の抵抗器5B1-5B4)、蓄電部Crpと、DC/DCコンバータ10Pと、制御回路CPとを備えている。
【0107】
本実施形態の電力変換装置では、低電位端と出力端との間に、ダイオードDBとリアクトルLBとが直列に接続されている。
【0108】
蓄電部Crpは、一端が高電位端と電気的に接続され、他端が回生整流回路と電気的に接続されている。
【0109】
DC/DCコンバータ10Pは、蓄電部Crpに蓄えられたエネルギーを所定電圧に変換して放電させる。DC/DCコンバータ10Pは、例えば、図示しない制御電源や、電力変換装置の直流電源や、その他の回路と接続され得る。
【0110】
制御回路CPは、例えば、DC/DCコンバータ10Pの動作を制御することができる。制御回路CPは、例えば、蓄電部Crpの電圧が所定の値となるように制御してもよい。
DC/DCコンバータ10Pおよび制御回路CPの構成は、第1実施形態の電力変換装置と同様である。
【0111】
ダイオードDBは、アノードにて低電位端と電気的に接続し、カソードにてリアクトルLBと電気的に接続している。
複数のスイッチ回路SB1-SB4は、リアクトルLBとダイオードDBとの接続点と高電位端との間に、直列に接続されている。
スイッチ回路SB1-SB4は、第1実施形態の電力変換装置の上アームのスイッチ回路101Nと同様の構成である。
【0112】
スイッチ回路SB1-SB4のそれぞれは、スイッチング素子1B1-1B4と、ダイオード4B1-4B4と、コンデンサ3B1-3B4と、を備えている。なお、ここではスナバ端子と、正側端子と、負側端子とを図示していないが、スイッチ回路SB1-SB4がこれらの端子を備えていてもよい。
【0113】
スイッチング素子1B1-1B4は、例えばMOSFET(半導体電界効果トランジスタ:Metal-Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)である。スイッチング素子1B1-1B4は、ドレインを高電位側としソースを低電位側として、ダイオードDBのカソードと高電位端との間に直列に接続されている。
【0114】
ダイオード4B1-4B4は、アノードがスイッチング素子1B1-1B4のドレインと電気的に接続し、カソードがコンデンサ3B1-3B4の高電位側端および回生整流回路と電気的に接続している。
【0115】
コンデンサ3B1-3B4は、一端(低電位側端)がスイッチング素子1B1-1B4のソースと電気的に接続され、他端(高電位側端)がダイオード4B1-4B4のカソードと電気的に接続されているとともに回生整流回路と電気的に接続している。
【0116】
回生整流ダイオード6B1-6B4は、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、スイッチ回路SB1-SB4のコンデンサ3B1-3B4の高電位側端と蓄電部Crpの他端との間にそれぞれ接続されている。換言すると、コンデンサ3B1-3B4の高電位側端は、抵抗器5B1-5B4を介して、回生整流ダイオード6B1-6B4のアノードと電気的に接続されている。蓄電部Crpの他端は、回生整流ダイオード6B1-6B4のカソードと電気的に接続されている。
【0117】
抵抗器5B1-5B4は、一端において、ダイオード4B1-4B4とコンデンサ3B1-3B4との接続点(コンデンサ3B1-3B4の他端(高電位側端)とダイオード4B1-4B4のカソードとの間を電気的に接続する構成の一部)に直列に接続されている。抵抗器5B1-5B4の他端は、回生整流ダイオード6B1-6B4のアノードと電気的に接続されている。
【0118】
上記構成によれば、上述の第1実施形態と同様に、蓄電部Crpには電力変換装置に含まれるスイッチ回路SB1-SB4の動作により生じるエネルギーの一部が蓄積される。蓄電部Crpに蓄えられたエネルギーは、DC/DCコンバータ10Pにより、直流電源や制御電源として利用可能となる。
【0119】
本実施形態の電力変換装置によれば、上述の第1実施形態と同様の効果を得ることが出来る。すなわち、エネルギー損失を低く抑え、かつ、大型化を回避する電力変換装置およびスイッチ装置を提供することができる。
【0120】
次に、第5実施形態の電力変換装置について図面を参照して詳細に説明する。
図7は、第5実施形態の電力変換装置の一構成例を概略的に示す図である。
本実施形態の電力変換装置は、中性点クランプ(NPC:Neutral Point Clamped)型の電力変換装置である。なお、NPC型の電力変換装置の中間電位端に接続されるデバイスは、整流デバイスであってもよい。
【0121】
本実施形態の電力変換装置は、第1乃至第6アームU1-U6と、蓄電部Crp、Crn、Crpp、Crnnと、DC/DCコンバータ10P、10Nと、制御回路CP、CNと、第1乃至第3高電位側回生整流回路と、第1乃至第3低電位側回生整流回路と、回生整流ダイオード6PP、6NNと、を備えている。
【0122】
第1アームU1と第2アームU2とは、高電位端と中間電位端との間に直列に接続されている。第1アームU1は、第2アームU2の高電位側に配置されている。
第3アームU3と第4アームU4とは、中間電位端と低電位端との間に直列に接続されている。第4アームU4は、第3アームU3の低電位側に配置されている。
【0123】
第5アームU5は、第1アームU1と第2アームU2との接続点と、出力電位端との間に接続されている。
第6アームU6は、出力電位端と、第3アームU3と第4アームU4との接続点との間に接続されている。
【0124】
第1アームU1は、複数のスイッチ回路PUI(I=1~i)を備えている。
スイッチ回路PUIの構成は、上述の第1実施形態の電力変換装置のスイッチ回路101Nと同様の構成である。複数のスイッチ回路101Nは、高電位端と第2アームU2との間において直列に接続されている。
【0125】
第2アームU1は、複数のスイッチ回路PXJ(J=1~j)を備えている。
スイッチ回路PXJの構成は、上述の第1実施形態の電力変換装置のスイッチ回路101Nと同様の構成である。複数のスイッチ回路PXJは、第1アームU1と中間電位端との間において直列に接続されている。
【0126】
第3アームU3は、複数のスイッチ回路NUK(K=1~k)を備えている。
スイッチ回路NUKの構成は、上述の第1実施形態の電力変換装置のスイッチ回路102Mと同様の構成である。複数のスイッチ回路NUKは、中間電位端と第4アームU4との間において直列に接続されている。
【0127】
第4アームU4は、複数のスイッチ回路NXH(H=1~h)を備えている。
スイッチ回路NXHの構成は、上述の第1実施形態の電力変換装置のスイッチ回路102Mと同様の構成である。複数のスイッチ回路NXHは、第3アームU3と、低電位端との間において直列に接続されている。
【0128】
第5アームU5は、複数のスイッチ回路PCE(E=1~e)を備えている。
スイッチ回路PCEの構成は、上述の第1実施形態の電力変換装置のスイッチ回路102Mと同様の構成である。複数のスイッチ回路PCEは、第1アームU1と第2アームU2との接続点と、出力電位端との間において直列に接続されている。
【0129】
第6アームU6は、複数のスイッチ回路NCF(F=1~f)を備えている。
スイッチ回路NCFの構成は、上述の第2実施形態の電力変換装置のスイッチ回路101Nと同様の構成である。複数のスイッチ回路NCFは、出力電位端と、第3アームU3と第4アームU4との接続点との間において直列に接続されている。
【0130】
第1高電位側回生整流回路は、複数の回生整流ダイオード6PUI(I=1~i)と、6PPと、複数の抵抗器5PUIと、を備えている。
【0131】
複数の回生整流ダイオード6PUIは、蓄電部Crpの他端と蓄電部Crppの他端との間において、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、互いに直列に接続されている。回生整流ダイオード6PUIそれぞれのアノードは、スイッチ回路PUIのスナバ端子および低電位側にて隣接する回生整流ダイオード6PUIのカソードと電気的に接続されている。例えば、回生整流ダイオード6PU2のアノードは、スイッチ回路PU2のスナバ端子および回生整流ダイオード6PU1のカソードと電気的に接続されている。回生整流ダイオード6PU1のアノードは、スイッチ回路PU1のスナバ端子および回生整流ダイオード6PPを介して蓄電部Crpの他端と電気的に接続されている。
【0132】
回生整流ダイオード6PPは、蓄電部Crpの他端から蓄電部Crppの他端に向かう方向を順方向として、蓄電部Crppの他端と蓄電部Crpの他端との間に接続されている。
【0133】
抵抗器5PUIは、一端において、ダイオード4PUIとコンデンサ3PUIとに直列に接続されている。抵抗器5UNの他端は、低電位側に接続されたスイッチ回路PUIのコンデンサ3PUIと抵抗器5PUIとが直列に接続された回路と、回生整流ダイオード6PUIを介して電気的に接続される。最も低電位側に配置されたスイッチ回路PUI(I=1)の抵抗器5PUIの他端は、回生整流ダイオード6PPを介して蓄電部Crpの他端と電気的に接続されている。最も高電位側に配置されたスイッチ回路PUI(I=i)の抵抗器5PUIの他端は、回生整流ダイオード6PUIを介して蓄電部Crppの他端と電気的に接続されている。
【0134】
第2高電位側回生整流回路は、複数の回生整流ダイオード6PXJ(J=1~j)と、複数の抵抗器5PXJとを備えている。
複数の回生整流ダイオード6PXJは、蓄電部Crpの他端とスイッチ回路PXjのスナバ端子との間において、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、互いに直列に接続されている。回生整流ダイオード6PXJそれぞれのアノードは、スイッチ回路PXJのスナバ端子および低電位側にて隣接する回生整流ダイオード6PXJのカソードと電気的に接続されている。例えば、回生整流ダイオード6PX2のアノードは、スイッチ回路PX2のスナバ端子および回生整流ダイオード6PX1のカソードと電気的に接続されている。回生整流ダイオード6PX1のアノードは、スイッチ回路PX1のスナバ端子と電気的に接続されている。最も高電位側に配置される回生整流ダイオード6PXJ(J=1)のカソードは、蓄電部Crpの他端と電気的に接続されている。
【0135】
抵抗器5PXJは、一端において、ダイオード4PXJとコンデンサ3PXJとに直列に接続されている。抵抗器5PXJの他端は、低電位側に接続されたスイッチ回路PXJのコンデンサ3PXJと抵抗器5PXJとが直列に接続された回路と、回生整流ダイオード6PXJを介して電気的に接続される。最も高電位側に配置されたスイッチ回路PXJ(J=j)の抵抗器5PXJの他端は、回生整流ダイオード6PXJを介して蓄電部Crpの他端と電気的に接続されている。
【0136】
第3高電位側回生整流回路は、複数の回生整流ダイオード6NCF(F=1~f)と、複数の抵抗器5NCFとを備えている。
複数の回生整流ダイオード6NCFは、蓄電部Crpの他端とスイッチ回路NCfのスナバ端子との間において、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、互いに直列に接続されている。回生整流ダイオード6NCFそれぞれのアノードは、スイッチ回路NCFのスナバ端子および低電位側にて隣接する回生整流ダイオード6NCFのカソードと電気的に接続されている。例えば、回生整流ダイオード6NC2のアノードは、スイッチ回路NC2のスナバ端子および回生整流ダイオード6NC1のカソードと電気的に接続されている。回生整流ダイオード6NC1のアノードは、スイッチ回路NC1のスナバ端子と電気的に接続されている。最も高電位側に配置される回生整流ダイオード6NCF(F=1)のカソードは、蓄電部Crpの他端と電気的に接続されている。
【0137】
抵抗器5NCFは、一端において、ダイオード4NCFとコンデンサ3NCFとに直列に接続されている。抵抗器5NCFの他端は、低電位側に接続されたスイッチ回路NCFのコンデンサ3NCFと抵抗器5NCFとが直列に接続された回路と、回生整流ダイオード6NCFを介して電気的に接続される。最も高電位側に配置されたスイッチ回路NCF(F=1)の抵抗器5NCFの他端は、回生整流ダイオード6NCFを介して蓄電部Crpの他端と電気的に接続されている。
【0138】
第1低電位側回生整流回路は、複数の回生整流ダイオード6NXH(H=1~h)と、回生整流ダイオード6NNと、複数の抵抗器5NXHと、を備えている。
【0139】
複数の回生整流ダイオード6NXHは、蓄電部Crnnの他端と蓄電部Crnの他端との間において、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、互いに直列に接続されている。回生整流ダイオード6NXHそれぞれのカソードは、スイッチ回路NXHのスナバ端子および高電位側にて隣接する回生整流ダイオード6NXHのアノードと電気的に接続されている。例えば、回生整流ダイオード6NX2のカソードは、スイッチ回路PU2のスナバ端子および回生整流ダイオード6NX1のアノードと電気的に接続されている。回生整流ダイオード6NX1のカソードは、スイッチ回路NX1のスナバ端子および回生整流ダイオード6NNを介して蓄電部Crnの他端と電気的に接続されている。
【0140】
回生整流ダイオード6NNは、蓄電部Crnnの他端から蓄電部Crnの他端へ向かう方向を順方向として、蓄電部Crnnの他端と蓄電部Crnの他端との間に接続されている。
抵抗器5NXHは、一端において、ダイオード4NXHとコンデンサ3NXHとに直列に接続されている。抵抗器5NXHの他端は、低電位側に接続されたスイッチ回路NXHのコンデンサ3NXHと抵抗器5NXHとが直列に接続された回路と、回生整流ダイオード6NXHを介して電気的に接続される。最も高電位側に配置されたスイッチ回路NXHの抵抗器5NXH(H=1)の他端は、回生整流ダイオード6NNを介して蓄電部Crnの他端と電気的に接続されている。最も低電位側に配置されたスイッチ回路NXHの抵抗器5NXH(H=h)の他端は、回生整流ダイオード6NXHを介して蓄電部Crnnの他端と電気的に接続されている。
【0141】
第2低電位側回生整流回路は、複数の回生整流ダイオード6NUK(K=1~k)と、複数の抵抗器5NUKとを備えている。
複数の回生整流ダイオード6NUKは、蓄電部Crnの他端とスイッチ回路NUkのスナバ端子との間において、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、互いに直列に接続されている。回生整流ダイオード6NUKそれぞれのカソードは、スイッチ回路NUKのスナバ端子および高電位側にて隣接する回生整流ダイオード6NUKのカソードと電気的に接続されている。例えば、回生整流ダイオード6NU1のカソードは、スイッチ回路NU1のスナバ端子および回生整流ダイオード6PX2のアノードと電気的に接続されている。回生整流ダイオード6PXhのカソードは、スイッチ回路NUhのスナバ端子と電気的に接続されている。最も低電位側に配置される回生整流ダイオード6NUK(K=1)のアノードは、蓄電部Crnの他端と電気的に接続されている。
【0142】
抵抗器5NUKは、一端において、ダイオード4NUKとコンデンサ3NUKとに直列に接続されている。抵抗器5NUKの他端は、低電位側に接続されたスイッチ回路NUKのコンデンサ3NUKと抵抗器5NUKとが直列に接続された回路と、回生整流ダイオード6NUKを介して電気的に接続される。最も低電位側に配置されたスイッチ回路NUK(K=1)の抵抗器5NUKの他端は、回生整流ダイオード6NUKを介して蓄電部Crnの他端と電気的に接続されている。
【0143】
第3低電位側回生整流回路は、複数の回生整流ダイオード6PCE(E=1~e)と、複数の抵抗器5PCEとを備えている。
複数の回生整流ダイオード6PCEは、蓄電部Crnの他端とスイッチ回路PCeのスナバ端子との間において、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、互いに直列に接続されている。回生整流ダイオード6PCEそれぞれのカソードは、スイッチ回路PCEのスナバ端子および高電位側にて隣接する回生整流ダイオード6PCEのアノードと電気的に接続されている。例えば、回生整流ダイオード6PC1のカソードは、スイッチ回路PC1のスナバ端子および回生整流ダイオード6PC2のアノードと電気的に接続されている。回生整流ダイオード6PCeのカソードは、スイッチ回路PCeのスナバ端子と電気的に接続されている。最も低電位側に配置される回生整流ダイオード6PCE(E=1)のアノードは、蓄電部Crnの他端と電気的に接続されている。
【0144】
抵抗器5PCEは、一端において、ダイオード4PCEとコンデンサ3PCEとに直列に接続されている。抵抗器5PCEの他端は、低電位側に接続されたスイッチ回路PCEのコンデンサ3PCEと抵抗器5PCEとが直列に接続された回路と、回生整流ダイオード6PCEを介して電気的に接続される。最も低電位側に配置されたスイッチ回路PCE(E=1)の抵抗器5PCEの他端は、回生整流ダイオード6PCEを介して蓄電部Crnの他端と電気的に接続されている。
【0145】
なお、本実施形態の電力変換装置では、第5アームU5と蓄電部Crnとの間に接続している第3低電位側回生整流回路に含まれる回生整流ダイオード6PCEは、第6アームU6のスイッチ回路NCFの直列数に応じた耐圧を備えることが望ましい。また、第6アームU6と蓄電部Crpとの間に接続している第3高電位側回生整流回路に含まれる回生整流ダイオード6NCFは、第5アームU5のスイッチ回路PCEの直列数に応じた耐圧を備えることが望ましい。
【0146】
蓄電部Crpの一端は、第5アームU5の高電位端と電気的に接続されている。蓄電部Crpの他端は、第3高電位側回生整流回路の高電位端と、第2高電位側回生整流回路の高電位端と、第1高電位側回生整流回路の低電位端と、に電気的に接続されている。
【0147】
蓄電部Crnの一端は、第6アームU6の低電位端と電気的に接続されている。蓄電部Crnの他端は、第3低電位側回生整流回路の低電位端と、第2低電位側回生整流回路の低電位端と、第1低電位側回生整流回路の高電位端と、に電気的に接続されている。
【0148】
蓄電部Crppの一端は、第1アームU1の高電位端と電気的に接続されている。蓄電部Crppの他端は、第1高電位側回生整流回路の高電位端と電気的に接続されている。
【0149】
蓄電部Crnnの一端は、第4アームU4の低電位端と電気的に接続されている。蓄電ツCrnnの他端は、第1低電位側回生整流回路の低電位端と電気的に接続されている。
【0150】
本実施形態の電力変換装置では、第1アームU1、第2アームU2、および、第6アームU6のスイッチング動作により生じるエネルギーの一部は蓄電部Crppに蓄積され、第3アームU3、第4アームU4、および、第5アームU5のスイッチング動作により生じるエネルギーの一部は蓄電部Crnnに蓄積される。
【0151】
第1アームU1のスイッチングにより生じるエネルギーは、蓄電部Crppに直接回生し、第2アームU2と第6アームU6とのスイッチングにより生じるエネルギーは、蓄電部Crpに蓄えられた後、第1アームU1がターンオンすることにより蓄電部Crpから蓄電部Crppへ回生する。
【0152】
第4アームU4のスイッチングにより生じるエネルギーは、蓄電部Crnnに直接回生し、第3アームU3と第5アームU5とのスイッチングにより生じるエネルギーは、蓄電部Crnに蓄えられた後、第4アームU4がターンオンすることにより蓄電部Crnから蓄電部Crnnへ回生する。
【0153】
DC/DCコンバータ10Pは、蓄電部Crppに蓄えられたエネルギーを所定電圧に変換して放電させる。DC/DCコンバータ10Pは、例えば、図示しない制御電源や、電力変換装置の直流電源や、その他の回路と接続され得る。
【0154】
制御回路CPは、例えば、DC/DCコンバータ10Pの動作を制御することができる。制御回路CPは、例えば、蓄電部Crppの電圧が所定の値となるように制御してもよい。
【0155】
DC/DCコンバータ10Nは、蓄電部Crnnに蓄えられたエネルギーを所定電圧に変換して放電させる。DC/DCコンバータ10Nは、例えば、図示しない制御電源や、電力変換装置の直流電源や、その他の回路と接続され得る。
【0156】
制御回路CNは、例えば、DC/DCコンバータ10Nの動作を制御することができる。制御回路CNは、例えば、蓄電部Crnnの電圧が所定の値となるように制御してもよい。
DC/DCコンバータ10P、10Nおよび制御回路CP、CNの構成は、第1実施形態の電力変換装置と同様である。
【0157】
上記のように、本実施形態の電力変換装置によれば、従来のNPC型電力変換装置において損失であったエネルギーの一部を高効率に回生することができ、エネルギー損失の低減を実現することができる。
【0158】
次に、本実施形態の電力変換装置の動作の一例について説明する。
図8は、第5実施形態の電力変換装置の動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
ここでは、第1乃至第6アームU1-U6のスイッチングタイミングの一例を示しているが、実際に必要なデッドタイム時間は図示していない。また、同一アームの複数のスイッチング素子は時間間隔を置いて順次オンまたはオフされるが、
図8では、個々のスイッチング素子のスイッチングタイミングを図示せずに、アームのスイッチングタイミングを示している。
【0159】
例えば、第2アームU2と第6アームU6とは、略同一のゲート信号で駆動され得るが、第6アームU6のゲート信号は、第2アームU2がオンしている間のみオンするように調整される。また、例えば、第3アームU3と第5アームU5とは、略同一のゲート信号で駆動され得るが、第5アームU5のゲート信号は、第3アームU3がオンしている間のみオンするように調整される。
【0160】
このことにより、第5アームU5および第6アームU6のスイッチング損失を低減することが出来る。この結果、第3高電位側回生整流回路および第3低電位側回生整流回路に流れる電流を小さくすることができ、回生整流ダイオード6PCE、6NCFの定格電圧を下げることができ、電力変換装置の低コスト化および小型化を実現することができる。
【0161】
第1アームU2と第4アームU4とのゲート信号、第2アームU2と第3アームU3とのゲート信号、および、第6アームU6と第5アームU5とのゲート信号を入れ替えても同様である。
【0162】
上記のように、本実施形態の電力変換装置によれば、上述の第1実施形態と同様の効果を得ることが出来る。すなわち、エネルギー損失を低く抑え、かつ、大型化を回避する電力変換装置およびスイッチ装置を提供することができる。
【0163】
次に、第6実施形態の電力変換装置について図面を参照して詳細に説明する。
図9は、第6実施形態の電力変換装置の一構成例を概略的に示す図である。
本実施形態の電力変換装置は、三相インバータ回路の高電位端および低電位端のそれぞれに、複数のスイッチ回路を直列接続して構成される。
【0164】
本実施形態の電力変換装置は、三相インバータ回路と、Pスイッチ回路と、Nスイッチ回路と、P側回生整流回路と、N側回生整流回路と、蓄電部Crp、Crnと、DC/DCコンバータ10P、10Nと、制御回路CP、CNと、を備えている。
【0165】
三相インバータ回路は、U相レグと、V相レグと、W相レグとを備えている。U相レグは、上アームのスイッチング素子SUと、下アームのスイッチング素子SXとを備えている。V相レグは、上アームのスイッチング素子SVと、下アームのスイッチング素子SYとを備えている。W相レグは、上アームのスイッチング素子SWと、下アームのスイッチング素子SZと、を備えている。
【0166】
Pスイッチ回路は、複数のスイッチ回路PUI(I=1~i)を備えている。スイッチ回路PUIの構成は、上述の第1実施形態の電力変換装置のスイッチ回路101Nと同様の構成である。複数のスイッチ回路PUIは、三相インバータ回路の高電位端と、電力変換装置の高電位端とを接続する経路において、互いに直列に接続されている。
【0167】
P側回生整流回路は、複数の回生整流ダイオード6PUIと、複数の抵抗器5PUIと、を備えている。
【0168】
複数の回生整流ダイオード6PUIは、蓄電部Crpの他端とスイッチ回路PU1のスナバ端子との間において、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、互いに直列に接続されている。回生整流ダイオード6PUIそれぞれのアノードは、スイッチ回路PUIのスナバ端子および低電位側にて隣接する回生整流ダイオード6PUIのカソードと電気的に接続されている。例えば、回生整流ダイオード6PU2のアノードは、スイッチ回路PU2のスナバ端子および回生整流ダイオード6PU1のカソードと電気的に接続されている。回生整流ダイオード6PU1のアノードは、スイッチ回路PU1のスナバ端子と電気的に接続されている。回生整流ダイオード6PUiのカソードは、蓄電部Crpの他端と電気的に接続されている。
【0169】
抵抗器5PUIは、一端において、ダイオード4PUIとコンデンサ3PUIとに直列に接続されている。抵抗器5PUIの他端は、低電位側に接続されたスイッチ回路PUIのコンデンサ3PUIと抵抗器5PUIとが直列に接続された回路と、回生整流ダイオード6PUIを介して電気的に接続される。最も高電位側に配置されたスイッチ回路PUI(I=i)の抵抗器5PUIの他端は、回生整流ダイオード6PUIを介して蓄電部Crpの他端と電気的に接続されている。
【0170】
蓄電部Crpの一端は、電力変換装置の高電位端と電気的に接続されている。蓄電部Crpの他端は、P側回生整流回路の回生整流ダイオード6PUiのカソードと電気的に接続されている。
【0171】
Nスイッチ回路は、複数のスイッチ回路NXH(H=1~h)を備えている。スイッチ回路NXHの構成は、上述の第1実施形態の電力変換装置のスイッチ回路102Mと同様の構成である。複数のスイッチ回路NXHは、三相インバータ回路の低電位端と、電力変換装置の低電位端とを接続する経路において、互いに直列に接続されている。
【0172】
N側回生整流回路は、複数の回生整流ダイオード6NXHと、複数の抵抗器5NXHと、を備えている。
【0173】
複数の回生整流ダイオード6NXHは、蓄電部Crnの他端とスイッチ回路NX1のスナバ端子との間において、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、互いに直列に接続されている。回生整流ダイオード6NXHそれぞれのカソードは、スイッチ回路NXHのスナバ端子および高電位側にて隣接する回生整流ダイオード6NXHのアノードと電気的に接続されている。例えば、回生整流ダイオード6NX2のカソードは、スイッチ回路NX2のスナバ端子および回生整流ダイオード6NX1のアノードと電気的に接続されている。回生整流ダイオード6NX1のカソードは、スイッチ回路NX1のスナバ端子と電気的に接続されている。回生整流ダイオード6NXhのアノードは、蓄電部Crnの他端と電気的に接続されている。
【0174】
抵抗器5NXHは、一端において、ダイオード4NXHとコンデンサ3NXHとに直列に接続されている。抵抗器5NXHの他端は、低電位側に接続されたスイッチ回路NXHのコンデンサ3NXHと抵抗器5NXHとが直列に接続された回路と、回生整流ダイオード6NXHを介して電気的に接続される。最も低電位側に配置されたスイッチ回路NXH(H=h)の抵抗器5NXHの他端は、回生整流ダイオード6NXhを介して蓄電部Crnの他端と電気的に接続されている。
【0175】
蓄電部Crnの一端は、電力変換装置の低電位端と電気的に接続されている。蓄電部Crnの他端は、N側回生整流回路の回生整流ダイオード6NXhのアノードと電気的に接続されている。
【0176】
本実施形態の電力変換装置では、Pスイッチ回路のスイッチング動作により生じるエネルギーの一部は蓄電部Crpに蓄積され、Nスイッチ回路のスイッチング動作により生じるエネルギーの一部は蓄電部Crnに蓄積される。
【0177】
DC/DCコンバータ10Pは、蓄電部Crpに蓄えられたエネルギーを所定電圧に変換して放電させる。DC/DCコンバータ10Pは、例えば、図示しない制御電源や、電力変換装置の直流電源や、その他の回路と接続され得る。
【0178】
制御回路CPは、例えば、DC/DCコンバータ10Pの動作を制御することができる。制御回路CPは、例えば、蓄電部Crpの電圧が所定の値となるように制御してもよい。
【0179】
DC/DCコンバータ10Nは、蓄電部Crnに蓄えられたエネルギーを所定電圧に変換して放電させる。DC/DCコンバータ10Nは、例えば、図示しない制御電源や、電力変換装置の直流電源や、その他の回路と接続され得る。
【0180】
制御回路CNは、例えば、DC/DCコンバータ10Nの動作を制御することができる。制御回路CNは、例えば、蓄電部Crnの電圧が所定の値となるように制御してもよい。
【0181】
DC/DCコンバータ10P、10Nおよび制御回路CP、CNの構成は、第1実施形態の電力変換装置と同様である。
【0182】
上記のように、本実施形態の電力変換装置によれば、従来の電力変換装置において損失であったエネルギーの一部を高効率に回生することができ、エネルギー損失の低減を実現することができる。
【0183】
なお、
図9では三相インバータ回路にPスイッチ回路およびNスイッチ回路を組み合わせる例を示しているが、インバータ回路は単相インバータ回路でもよく、多相インバータ回路でもよい。いずれの場合でも三相インバータ回路の場合と同様の効果を得ることができる。
【0184】
次に、本実施形態の電力変換装置の動作の一例について説明する。
三相インバータ回路は、4ステップのコモンモード電圧を出力することができる。直流電圧をVDCとし、直流電圧VDCの中間電位を仮想中性点とすると、三相インバータ回路の各レグの出力電圧は、+VDC/2と、-VDC/2となる。コモンモード電圧は、三相インバータ回路の各レグの出力電圧の合計の1/3となり、各レグの出力状態によって、-VDC/2、-VDC/6、+VDC/6、+VDC/2の4ステップの電圧となる。このうち、+VDC/2と-VDC/2となる場合の各レグの出力電圧は、全て+VDC/2、もしくは、-VDC/2である。このときの三相インバータ回路の出力電圧は各相打ち消しあい、出力電圧は全てゼロとなる。
【0185】
一方、本実施形態の電力変換装置は、三相インバータ回路の高電位端と電力変換装置の高電位端との間に接続されたPスイッチ回路と、三相インバータ回路の低電位端と電力変換装置の高電位端との間に接続されたNスイッチ回路と、を備えている。この構成によれば、Pスイッチ回路とNスイッチ回路とを共にオフすることで、電力変換装置の出力電圧を全てゼロにできる。すなわち、電力変換装置の出力電圧を全てゼロにするときに、Pスイッチ回路とNスイッチ回路とを共にオフすることで、直流電源と三相インバータ回路とが電気的に切り離されるため、三相インバータ回路に印加される直流電圧がゼロとなる。このことにより、三相インバータ回路のコモンモード電圧をゼロにすることができる。
【0186】
この回路動作を利用することで、本実施形態の電力変換装置のコモンモード電圧は-VDC/6、0、+VDC/6の3ステップとなり、3ステップのコモンモード電圧間の差もVDC/3となるため、三相インバータ回路のコモンモード電圧を1/3にできる。
【0187】
なお、例えば従来の2相変調においては、出力電圧を全てゼロにするとき、各レグの出力電圧を全て+VDC/2、もしくは-VDC/2のどちらか一方でのみ出力する方式によって、コモンモード電圧の差を2VDC/3にすることが可能である。本実施形態の電力変換装置によれば、2相変調を行う場合と比較してコモンモード電圧を1/2にすることができる。
【0188】
図10は、第6実施形態の電力変換装置の動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
ここでは、三相インバータ回路のスイッチング素子と、Pスイッチ回路と、Nスイッチ回路とのスイッチングタイミングの一例を示している。なお、実際に必要なデッドタイム時間は図示していない。また、
図10では、ゼロ電圧スイッチング(ZVS:Zero Voltage Switching)を行うタイミングを示している。
【0189】
信号U、V、W、X、Y、Zは、三相インバータ回路のスイッチング素子SU、SV、SW、SX、SY、SZのゲート信号の一例である。信号P、Nは、Pスイッチ回路およびNスイッチ回路のゲート信号の一例である。なお、Pスイッチ回路およびNスイッチ回路の複数のスイッチング素子は時間間隔を置いて順次オンまたはオフされるが、
図10では、個々のスイッチング素子のスイッチングタイミングを図示せずに、スイッチ回路全体のスイッチングタイミング(例えばスイッチ回路に含まれる複数のスイッチング素子全てのスイッチ状態が完了するタイミング)を示している。
【0190】
本実施形態の電力変換装置では、電力変換装置の出力電圧を全てゼロにするときに、Pスイッチ回路とNスイッチ回路とをオフにした後、三相インバータ回路のスイッチを全てオンすることで、三相インバータ回路の上アームと下アームとのスイッチング素子の両方に電流が通流し、損失および発熱を分散させることが可能である。このことにより、三相インバータ回路の小型化を実現することができる。
【0191】
図11は、
図10に示すタイミングチャートについて説明するための図である。
信号U0、V0、W0は、三相インバータ回路のスイッチング素子SU-SZのゲート信号の元となる信号である。信号X0、Y0、Z0(図示せず)は、信号U0、V0、W0を反転した信号である。
【0192】
PスイッチとNスイッチとは、スイッチング素子SUとスイッチング素子SX、スイッチング素子SVとスイッチング素子SY、および、スイッチング素子SWとスイッチング素子SZのすべての組合せが同時にオンしていない状態のときのみオンする。また、信号U0、V0、W0が変化したときに、Pスイッチ回路とNスイッチ回路とを一定時間オフする。ここでPスイッチ回路とNスイッチ回路とがオフする時間を直流電圧ゼロ時間とする。
【0193】
具体的には、Pスイッチ回路とNスイッチ回路とは、信号U0、V0、W0、もしくは、信号X0、Y0、Z0が、同時にオンすると直流電圧ゼロ時間に関係なくオフし、信号U0、V0、W0、もしくは、信号X0、Y0、Z0が変化した時に直流電圧ゼロ時間分だけオフし、それ以外の時にオンする。
【0194】
信号U0、V0、W0にディレイ時間Tdを考慮して、信号U1、V1、W1を生成する。ディレイ時間Tdは、Pスイッチ回路とNスイッチ回路とがオフしている直流電圧ゼロ時間のよりも短くする。
【0195】
信号U1、V1、W1、もしくは、これらの反転信号X1、Y1、Z1(図示せず)が、同時にオンである状態に加え、Pスイッチ回路とNスイッチ回路とがオフしている状態となったときに全てのスイッチング素子SU-SZの全てを同時にオンする。
【0196】
なお、Pスイッチ回路とNスイッチ回路とがオフしている期間分だけパルスが出力されないため、補償する必要がある。補償する量はデューティが一番長いパルスは、直流電圧ゼロ時間の5倍、次に長いパルスは3倍、最も短いパルスは1倍に相当するデューティである。
【0197】
上記で説明した通り、本実施形態の電力変換装置では、全ての出力電圧をゼロとする場合、Pスイッチ回路とNスイッチ回路とをオフし、三相インバータ回路のスイッチング素子SU-SZを全てオンしている。また、電流が三相インバータ回路の直流側から交流側に流れているとき(例えば車両などの力行時)には、三相インバータ回路のスイッチング素子SU-SZがスイッチングするタイミングで、Pスイッチ回路とNスイッチ回路とをオフすることにより、三相インバータ回路の直流電圧をゼロにでき、スイッチング素子SU-SZの全てをゼロ電圧スイッチングすることができる。このことにより、三相インバータ回路のスイッチング損失を大幅に低減できる。
【0198】
また、例えば、Pスイッチ回路およびNスイッチ回路から蓄電部Crp、Crnへエネルギーを改正する回生整流回路を設けない場合、スイッチングループに存在する寄生インダクタンスが大きくなることにより、スイッチング損失が増大する。これに対し、本実施形態の電力変換装置では、寄生インダクタンスのエネルギーを回生整流回路により蓄電部Crp、Crnに回生して蓄えることができるため、Pスイッチ回路およびNスイッチ回路のスイッチング損失を低減することができ、高効率なスイッチングを実現できる。
【0199】
上記のように、本実施形態の電力変換装置によれば、上述の第1実施形態と同様の効果を得ることが出来る。すなわち、エネルギー損失を低く抑え、かつ、大型化を回避する電力変換装置およびスイッチ装置を提供することができる。
【0200】
次に、第7実施形態のスイッチ装置について、図面を参照して詳細に説明する。
図12は、第7実施形態のスイッチ装置の一構成例を概略的に示す図である。
本実施形態のスイッチ装置は、逆直列に接続された2つのスイッチ回路を含む双方向スイッチ回路である。
【0201】
本実施形態のスイッチ装置は、複数のスイッチ回路NT(T=1~t)と、複数のスイッチ回路PS(S=1~s)と、回生整流回路と、蓄電部Cro、Crmと、DC/DCコンバータ10P、10Nと、制御回路CP、CNと、を備えている。
【0202】
複数のスイッチ回路NTと複数のスイッチ回路PSとは、スイッチ回路の第1端と第2端との間において、互いに逆直列に接続されている。
【0203】
スイッチ回路NTおよびスイッチ回路PSは、上述の第1実施形態の電力変換装置のスイッチ回路101Nと同様の構成である。
【0204】
スイッチ回路NTは、スイッチング素子1NTと、コンデンサ3NTと、ダイオード4NTと、を備えている。スイッチング素子1NTは、例えばMOSFETである。
【0205】
複数のスイッチ回路NTは、スイッチング素子1NTのドレインを第1端側とし、ソースを第2端側として、互いに直列に接続されている。最も第1端側に接続されたスイッチ回路NTのスイッチング素子1NT(T=t)は、ドレインにて蓄電部Crmの一端および第1端と電気的に接続されている。最も第2端側に接続されたスイッチ回路NTのスイッチング素子1NT(T=1)は、ソースにて、スイッチ回路PSのスイッチング素子1PS(S=1)のソースと電気的に接続されている。
【0206】
スイッチ回路PSは、スイッチング素子1PSと、コンデンサ3PSと、ダイオード4PSと、を備えている。スイッチング素子1PSは、例えばMOSFETである。
【0207】
複数のスイッチ回路PSは、スイッチング素子1PSのドレインを第2端側とし、ソースを第1端側として、互いに直列に接続されている。最も第2端側に接続されたスイッチ回路PSのスイッチング素子1PS(S=s)は、ドレインにて蓄電部Croの一端および第2端と電気的に接続されている。最も第1端側に接続されたスイッチ回路PSのスイッチング素子1PS(S=1)は、ソースにて、スイッチ回路NTのスイッチング素子1NT(T=1)のソースと電気的に接続されている。
【0208】
回生整流回路は、複数の回生整流ダイオード6NT、6PSと、複数の抵抗器5NT、5PSと、を備えている。
t個の回生整流ダイオード6NTは、第2端側から第1端側へ向かう方向を順方向として、スイッチ回路NTのスナバ端子と第1端側の蓄電部Crmの他端との間にそれぞれ接続されている。換言すると、スイッチ回路NTのスナバ端子は、回生整流ダイオード6NTのアノードと電気的に接続されている。蓄電部Crmの他端は、複数の回生整流ダイオード6NTのカソードと電気的に接続されている。
【0209】
抵抗器5NTは、一端において、ダイオード4NTとコンデンサ3NTとの接続点(コンデンサ3NTの低電位側端とダイオード4NTのカソードとの間を電気的に接続する構成の一部)に直列に接続されている。抵抗器5NTの他端は、スナバ端子を介して回生整流ダイオード6NTのアノードと電気的に接続されている。
【0210】
s個の回生整流ダイオード6PSは、第1端側から第2端側へ向かう方向を順方向として、スイッチ回路PSのスナバ端子と第2端側の蓄電部Croの他端との間にそれぞれ接続されている。換言すると、スイッチ回路PSのスナバ端子は、回生整流ダイオード6PSのアノードと電気的に接続されている。蓄電部Croの他端は、複数の回生整流ダイオード6PSのカソードと電気的に接続されている。
【0211】
抵抗器5PSは、一端において、ダイオード4PSとコンデンサ3PSとの接続点(コンデンサ3PSの高電位側端とダイオード4PSのカソードとの間を電気的に接続する構成の一部)に直列に接続されている。抵抗器5PSの他端は、スナバ端子を介して回生整流ダイオード6PSのアノードと電気的に接続されている。
【0212】
蓄電部Crmは、一端にてスイッチ回路の第1端と電気的に接続され、他端にてt個の回生整流ダイオード6NTのカソードと電気的に接続されている。
【0213】
蓄電部Croは、一端いてスイッチ回路の第2端と電気的に接続され、他端にてs個の回生整流ダイオード6PSのカソードと電気的に接続されている。
【0214】
DC/DCコンバータ10Pは、蓄電部Croに蓄えられたエネルギーを所定電圧に変換して放電させる。DC/DCコンバータ10Pは、例えば、図示しない制御電源や、電力変換装置の直流電源や、その他の回路と接続され得る。
【0215】
制御回路CPは、例えば、DC/DCコンバータ10Pの動作を制御することができる。制御回路CPは、例えば、蓄電部Croの電圧が所定の値となるように制御してもよい。
【0216】
DC/DCコンバータ10Nは、蓄電部Crmに蓄えられたエネルギーを所定電圧に変換して放電させる。DC/DCコンバータ10Nは、例えば、図示しない制御電源や、電力変換装置の直流電源や、その他の回路と接続され得る。
【0217】
制御回路CNは、例えば、DC/DCコンバータ10Nの動作を制御することができる。制御回路CNは、例えば、蓄電部Crmの電圧が所定の値となるように制御してもよい。
DC/DCコンバータ10P、10Nおよび制御回路CP、CNの構成は、第1実施形態の電力変換装置と同様である。
【0218】
上記構成によれば、複数のスイッチング素子1NTのスイッチングにより生じるエネルギーの一部は蓄電部Crmに蓄積され、複数のスイッチング素子1PSのスイッチングにより生じるエネルギーの一部は蓄電部Croに蓄積される。蓄電部Crm、Croに蓄積されたエネルギーは、DC/DCコンバータ10N、10Pにより直流電源や制御電源に回生することができる。
【0219】
上記のように、本実施形態の電力変換装置によれば、従来の電力変換装置において損失であったエネルギーの一部を高効率に回生することができ、エネルギー損失の低減を実現することができる。
【0220】
すなわち、本実施形態のスイッチ装置によれば、上述の第1実施形態と同様の効果を得ることが出来る。すなわち、本実施形態によれば、エネルギー損失を低く抑え、かつ、大型化を回避する電力変換装置およびスイッチ装置を提供することができる。
【0221】
なお、上述の実施形態では、スイッチ回路NTおよびスイッチ回路PSは、上述の第1実施形態の電力変換装置のスイッチ回路101Nと同様の構成であったが、スイッチ回路102Mと同様の構成としても構わない。すなわち、
図12に示す例では、スイッチング素子のドレイン側(高電位側)から回生整流ダイオードに電流が流れるように構成されていたが、回生整流ダイオードからスイッチング素子のソース側(低電位側)に電流が流れるように構成されても構わない。その場合であっても、スイッチ回路NTとスイッチ回路PSとを逆接続し、第1端側と第2端側とのそれぞれに設けられた蓄電部Cro、Crmにスイッチングによるエネルギーの一部を蓄積することにより、上述の実施形態と同様の効果を得ることが出来る。
【0222】
次に、第8実施形態のスイッチ装置について、図面を参照して詳細に説明する。
図13は、第8実施形態のスイッチ装置の一構成例を概略的に示す図である。
【0223】
本実施形態のスイッチ装置は、上述の第7実施形態と同様に、逆直列に接続された2つのスイッチ回路を含む双方向スイッチ回路であるが、蓄電部が2つのスイッチ回路間に配置されている点において上述の第7実施形態と相違している。
【0224】
なお、本実施形態の説明において、第7実施形態のスイッチ装置と同様の構成については同一の符号を付している。
【0225】
本実施形態のスイッチ装置は、複数のスイッチ回路NT(T=1~t)と、複数のスイッチ回路PS(S=1~s)と、回生整流回路と、蓄電部Crmと、DC/DCコンバータ10と、制御回路Cと、を備えている。
【0226】
複数のスイッチ回路NTと複数のスイッチ回路PSとは、スイッチ回路の第1端と第2端との間において、互いに逆直列に接続されている。本実施形態では、複数のスイッチ回路NTが第2端側に配置され、複数のスイッチ回路PSが第1端側に配置されている。
【0227】
スイッチ回路NTおよびスイッチ回路PSは、上述の第1実施形態の電力変換装置のスイッチ回路101Nと同様の構成である。
スイッチ回路NTは、スイッチング素子1NTと、コンデンサ3NTと、ダイオード4NTと、を備えている。スイッチング素子1NTは、例えばMOSFETである。
【0228】
複数のスイッチ回路NTは、スイッチング素子1NTのドレインを第1端側とし、ソースを第2端側として、互いに直列に接続されている。最も第1端側に接続されたスイッチ回路NTのスイッチング素子1NT(T=t)は、ドレインにて、スイッチ回路PSのスイッチング素子1PS(S=s)のドレインおよび蓄電部Crmの一端と電気的に接続されている。最も第2端側に接続されたスイッチ回路NTのスイッチング素子1NT(T=1)は、ソースにて第2端と電気的に接続されている。
【0229】
スイッチ回路PSは、スイッチング素子1PSと、コンデンサ3PSと、ダイオード4PSと、を備えている。スイッチング素子1PSは、例えばMOSFETである。
複数のスイッチ回路PSは、スイッチング素子1PSのドレインを第2端側とし、ソースを第1端側として、互いに直列に接続されている。最も第2端側に接続されたスイッチ回路PSのスイッチング素子1PS(S=s)は、ドレインにて、スイッチ回路NTのスイッチング素子1NT(T=t)のドレインおよび蓄電部Crmの一端と電気的に接続されている。最も第1端側に接続されたスイッチ回路PSのスイッチング素子1PS(S=1)は、ソースにて第1端と電気的に接続されている。
【0230】
回生整流回路は、複数の回生整流ダイオード6NT、6PSと、複数の抵抗器5NT、5PSと、を備えている。
t個の回生整流ダイオード6NTは、第2端側から第1端側へ向かう方向を順方向として、スイッチ回路NTのスナバ端子と蓄電部Crmの他端との間にそれぞれ接続されている。換言すると、スイッチ回路NTのスナバ端子は、回生整流ダイオード6NTのアノードと電気的に接続されている。蓄電部Crmの他端は、複数の回生整流ダイオード6NTのカソードと電気的に接続されている。
【0231】
抵抗器5NTは、一端において、ダイオード4NTとコンデンサ3NTとの接続点(コンデンサ3NTの低電位側端とダイオード4NTのカソードとの間を電気的に接続する構成の一部)に直列に接続されている。抵抗器5NTの他端は、スナバ端子を介して回生整流ダイオード6NTのアノードと電気的に接続されている。
【0232】
s個の回生整流ダイオード6PSは、第1端側から第2端側へ向かう方向を順方向として、スイッチ回路PSのスナバ端子と蓄電部Crmの他端との間にそれぞれ接続されている。換言すると、スイッチ回路PSのスナバ端子は、回生整流ダイオード6PSのアノードと電気的に接続されている。蓄電部Crmの他端は、複数の回生整流ダイオード6PSのカソードと電気的に接続されている。
【0233】
抵抗器5PSは、一端において、ダイオード4PSとコンデンサ3PSとの接続点(コンデンサ3PSの高電位側端とダイオード4PSのカソードとの間を電気的に接続する構成の一部)に直列に接続されている。抵抗器5PSの他端は、スナバ端子を介して回生整流ダイオード6PSのアノードと電気的に接続されている。
【0234】
蓄電部Crmは、一端にて、スイッチング素子1N1のドレインおよびスイッチング素子1Psのドレインと電気的に接続され、他端にてt個の回生整流ダイオード6NTのカソードおよびs個の回生整流ダイオード6PSのカソードと電気的に接続されている。
【0235】
DC/DCコンバータ10は、蓄電部Crmに蓄えられたエネルギーを所定電圧に変換して放電させる。DC/DCコンバータ10は、例えば、図示しない制御電源や、電力変換装置の直流電源や、その他の回路と接続され得る。
【0236】
制御回路Cは、例えば、DC/DCコンバータ10の動作を制御することができる。制御回路Cは、例えば、蓄電部Crmの電圧が所定の値となるように制御してもよい。
【0237】
DC/DCコンバータ10および制御回路Cの構成は、第1実施形態の電力変換装置と同様である。
【0238】
上記構成によれば、複数のスイッチング素子1NTおよび複数のスイッチング素子1PSのスイッチングにより生じるエネルギーの一部は蓄電部Crmに蓄積される。蓄電部Crmに蓄積されたエネルギーは、DC/DCコンバータ10により直流電源や制御電源に回生することができる。
【0239】
上記のように、本実施形態の電力変換装置によれば、従来の電力変換装置において損失であったエネルギーの一部を高効率に回生することができ、エネルギー損失の低減を実現することができる。
【0240】
本実施形態のスイッチ装置によれば、上述の第1実施形態と同様の効果を得ることが出来る。すなわち、本実施形態によれば、エネルギー損失を低く抑え、かつ、大型化を回避する電力変換装置およびスイッチ装置を提供することができる。
【0241】
なお、上述の実施形態では、スイッチ回路NTおよびスイッチ回路PSは、上述の第1実施形態の電力変換装置のスイッチ回路101Nと同様の構成であったが、スイッチ回路102Mと同様の構成としても構わない。すなわち、
図13に示す例では、スイッチング素子のドレイン側(高電位側)から回生整流ダイオードに電流が流れるように構成されていたが、回生整流ダイオードからスイッチング素子のソース側(低電位側)に電流が流れるように構成されても構わない。その場合であっても、スイッチ回路NTとスイッチ回路PSとを逆接続し、スイッチ回路NTとスイッチ回路PSとの間に配置された蓄電部Crmにスイッチングによるエネルギーの一部を蓄積することにより、上述の実施形態と同様の効果を得ることが出来る。
【0242】
次に、第9実施形態の電力変換装置について図面を参照して詳細に説明する。
図14は、第9実施形態の電力変換装置の一構成例を概略的に示す図である。
【0243】
本実施形態の電力変換装置は、上述の第1実施形態の電力変換装置の1のレグと、上述の第8実施形態のスイッチ装置と、を組み合わせたT型のNPC電力変換装置である。すなわち、本実施形態の電力変換装置は、1つのレグの上アームと下アームとの間の中性点に、第8実施形態のスイッチ装置の第2端を接続して構成されている。
【0244】
したがって、本実施形態の電力変換装置では、上述の第1実施形態および第8実施形態と同様の効果を得ることが出来る。すなわち、本実施形態によれば、エネルギー損失を低く抑え、かつ、大型化を回避する電力変換装置およびスイッチ装置を提供することができる。
【0245】
また、T型のNPC電力変換装置では、第8実施形態のスイッチ装置を双方向スイッチとして採用することにより、蓄電部Crp、Crn、CrmおよびDC/DCコンバータ10、10P、10Nを最小の構成とすることができる。例えば、三相のT型NPC電力変換装置とした場合、三相のレグに共通の高電位側の蓄電部と低電位側の蓄電部とを設け、三相レグのそれぞれに接続されるスイッチ回路のそれぞれに蓄電部を設けることとなり、電力変換装置は合計5つのDC/DCコンバータを備えていればよい。
【0246】
次に、第10実施形態の電力変換装置について図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態の電力変換装置は、例えば第7実施形態のスイッチ装置を9つ用いた交流交流変換器(マトリックスコンバータ)である。
図15および
図16は、第10実施形態の電力変換装置の一構成例を概略的に示す図である。
【0247】
図15に示す電力変換装置は、例えばR相、S相、T相の三相交流電力をU相、V相、W相の三相交流電力に変換する電力変換装置であって、9つのスイッチ回路200と、蓄電部Cr、Cs、Ct、Cu、Cv、Cwと、DC/DCコンバータ10R、10S、10T、10U、10V、10Wと、制御回路C
RST、C
UVWと、を備えている。
【0248】
9つのスイッチ回路200は、R相端子とU相端子との間の接続を切り替えるスイッチ回路と、R相端子とV相端子との間の接続を切り替えるスイッチ回路と、R相端子とW相端子との間の接続を切り替えるスイッチ回路と、S相端子とU相端子との間の接続を切り替えるスイッチ回路と、S相端子とV相端子との間の接続を切り替えるスイッチ回路と、S相端子とW相端子との間の接続を切り替えるスイッチ回路と、T相端子とU相端子との間の接続を切り替えるスイッチ回路と、T相端子とV相端子との間の接続を切り替えるスイッチ回路と、T相端子とW相端子との間の接続を切り替えるスイッチ回路と、を含む。
【0249】
スイッチ回路200は、
図16に示すように、第7実施形態のスイッチ装置の蓄電部Cro、Crm、DC/DCコンバータ10P、10N、および制御回路CP、CN以外の構成である。
【0250】
蓄電部Crは、R相端子とU相端子との間の接続を切り替えるスイッチ回路と、R相端子とV相端子との間の接続を切り替えるスイッチ回路と、R相端子とW相端子との間の接続を切り替えるスイッチ回路と、の第1端側に共通に設けられる蓄電部である。
【0251】
蓄電部Csは、S相端子とU相端子との間の接続を切り替えるスイッチ回路と、S相端子とV相端子との間の接続を切り替えるスイッチ回路と、S相端子とW相端子との間の接続を切り替えるスイッチ回路と、の第1端側に共通に設けられる蓄電部である。
【0252】
蓄電部Ctは、T相端子とU相端子との間の接続を切り替えるスイッチ回路と、T相端子とV相端子との間の接続を切り替えるスイッチ回路と、T相端子とW相端子との間の接続を切り替えるスイッチ回路と、の第1端側に共通に設けられる蓄電部である。
【0253】
蓄電部Cuは、R相端子とU相端子との間の接続を切り替えるスイッチ回路と、S相端子とU相端子との間の接続を切り替えるスイッチ回路と、T相端子とU相端子との間の接続を切り替えるスイッチ回路と、の第2端側に共通に設けられる蓄電部である。
【0254】
蓄電部Cvは、R相端子とV相端子との間の接続を切り替えるスイッチ回路と、S相端子とV相端子との間の接続を切り替えるスイッチ回路と、T相端子とV相端子との間の接続を切り替えるスイッチ回路と、の第2端側に共通に設けられる蓄電部である。
【0255】
蓄電部Cwは、R相端子とW相端子との間の接続を切り替えるスイッチ回路と、S相端子とW相端子との間の接続を切り替えるスイッチ回路と、T相端子とW相端子との間の接続を切り替えるスイッチ回路と、の第2端側に共通に設けられる蓄電部である。
【0256】
DC/DCコンバータ10Rは、蓄電部Crに蓄えられたエネルギーを所定電圧に変換して放電させる。DC/DCコンバータ10Sは、蓄電部Csに蓄えられたエネルギーを所定電圧に変換して放電させる。DC/DCコンバータ10Tは、蓄電部Ctに蓄えられたエネルギーを所定電圧に変換して放電させる。DC/DCコンバータ10R、10S、10Tは、例えば、図示しない制御電源や、電力変換装置の直流電源や、その他の回路と接続され得る。
【0257】
制御回路CRSTは、例えば、DC/DCコンバータ10R、10S、10Tの動作を制御することができる。制御回路CRSTは、例えば、蓄電部Cr、Cs、Ctの電圧が所定の値となるように制御してもよい。
【0258】
DC/DCコンバータ10Uは、蓄電部Cuに蓄えられたエネルギーを所定電圧に変換して放電させる。DC/DCコンバータ10Vは、蓄電部Cvに蓄えられたエネルギーを所定電圧に変換して放電させる。DC/DCコンバータ10Wは、蓄電部Cwに蓄えられたエネルギーを所定電圧に変換して放電させる。DC/DCコンバータ10U、10V、10Wは、例えば、図示しない制御電源や、電力変換装置の直流電源や、その他の回路と接続され得る。
【0259】
制御回路CUVWは、例えば、DC/DCコンバータ10U、10V、10Wの動作を制御することができる。制御回路CUVWは、例えば、蓄電部Cu、Cv、Cwの電圧が所定の値となるように制御してもよい。
【0260】
本実施形態の電力変換装置では、上述の第7実施形態と同様の効果を得ることが出来る。すなわち、本実施形態によれば、エネルギー損失を低く抑え、かつ、大型化を回避する電力変換装置およびスイッチ装置を提供することができる。
【0261】
また、マトリックスコンバータでは、第7実施形態のスイッチ装置の構成を採用することにより、DC/DCコンバータを最小構成とすることができる。例えば、第8実施形態のスイッチ装置を用いたマトリックスコンバータでは、蓄電部Crmを複数のスイッチ回路200で共有することが出来ず、スイッチ回路200と同数である9つのDC/DCコンバータを用意する必要がある。これに対し、
図15に示すマトリックスコンバータでは、R、S、T、U、V、Wの各相の蓄電部に対応する6つのDC/DCコンバータで足りるため、電力変化装置の大型化を回避することが可能となる。
【0262】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
[付記1]
高電位端と低電位端との間に接続された上アームおよび下アームと、
前記高電位端に一端が電気的に接続された第1蓄電部と、
前記低電位端に一端が電気的に接続された第2蓄電部と、
前記第1蓄電部の他端に接続された第1回生整流回路と、
前記第2蓄電部の他端に接続された第2回生整流回路と、
前記第1蓄電部に蓄えられたエネルギーを放電させる第1変換回路と、
前記第2蓄電部に蓄えられたエネルギーを放電させる第2変換回路と、を備え、
前記上アームは、第1スイッチング素子と、前記第1スイッチング素子の高電位側端にアノードが接続された第1ダイオードと、前記第1ダイオードのカソードと前記第1スイッチング素子の低電位側端との間に接続された第1コンデンサと、を備えた第1スイッチ回路を、一または複数直列に接続して構成され、
前記下アームは、第2スイッチング素子と、前記第2スイッチング素子の低電位側端にカソードが接続された第2ダイオードと、前記第2ダイオードのアノードと前記第2スイッチング素子の高電位側端との間に接続された第2コンデンサと、を備えた第2スイッチ回路を、一または複数直列に接続して構成され、
前記第1回生整流回路は、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、前記上アームの前記第1コンデンサの高電位側端と、前記第1蓄電部の他端とを接続し、
前記第2回生整流回路は、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、前記下アームの前記第2コンデンサの低電位側端と、前記第2蓄電部の他端とを接続する、電力変換装置。
[付記2]
高電位端と低電位端との間に接続された上アームおよび下アームと、
前記高電位端に一端が電気的に接続された蓄電部と、
前記蓄電部の他端に接続された回生整流回路と、
前記蓄電部に蓄えられたエネルギーを放電させる変換回路と、を備え、
前記上アームおよび前記下アームの各々は、スイッチング素子と、前記スイッチング素子の高電位側端にアノードが接続されたダイオードと、前記ダイオードのカソードと前記スイッチング素子の低電位側端との間に接続されたコンデンサと、を備えたスイッチ回路を、一または複数直列に接続して構成され、
前記回生整流回路は、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、前記上アームおよび前記下アームの前記コンデンサの高電位側端と、前記蓄電部の他端とを接続する、電力変換装置。
[付記3]
高電位端と低電位端との間に接続された上アームおよび下アームと、
前記低電位端に一端が電気的に接続された蓄電部と、
前記蓄電部の他端に接続された回生整流回路と、
前記蓄電部に蓄えられたエネルギーを放電させる変換回路と、を備え、
前記上アームおよび下アームの各々は、スイッチング素子と、前記スイッチング素子の低電位側端にカソードが接続されたダイオードと、前記ダイオードのアノードと前記スイッチング素子の高電位側端との間に接続されたコンデンサと、を備えたスイッチ回路を、一または複数直列に接続して構成され、
前記回生整流回路は、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、前記上アームおよび下アームの前記コンデンサの低電位側端と、前記蓄電部の他端とを接続する、電力変換装置。
[付記4]
高電位端と低電位端との間に接続された上アームおよび下アームと、
前記上アームと前記下アームとの接続点に接続されたリアクトルと、
前記低電位端に一端が電気的に接続された蓄電部と、
前記蓄電部の他端に接続された回生整流回路と、
前記蓄電部に蓄えられたエネルギーを放電させる変換回路と、を備え、
前記上アームは、前記低電位端から前記高電位端に向かう方向を順方向とした第3ダイオードを備え、
前記下アームは、スイッチング素子と、前記スイッチング素子の低電位側端にカソードが接続されたダイオードと、前記ダイオードのアノードと前記スイッチング素子の高電位側端との間に接続されたコンデンサと、を備えたスイッチ回路を、一または複数直列に接続して構成され、
前記回生整流回路は、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、前記下アームの前記コンデンサの低電位側端と、前記蓄電部の他端とを接続する、電力変換装置。
[付記5]
高電位端と低電位端との間に接続された上アームおよび下アームと、
前記上アームと前記下アームとの接続点に接続されたリアクトルと、
前記高電位端に一端が電気的に接続された蓄電部と、
前記蓄電部の他端に接続された回生整流回路と、
前記蓄電部に蓄えられたエネルギーを放電させる変換回路と、を備え、
前記上アームは、スイッチング素子と、前記スイッチング素子の高電位側端にアノードが接続されたダイオードと、前記ダイオードのカソードと前記スイッチング素子の低電位側端との間に接続されたコンデンサと、を備えたスイッチ回路を、一または複数直列に接続して構成され、
前記下アームは、前記低電位端から前記高電位端に向かう方向を順方向とした第4ダイオードを備え、
前記回生整流回路は、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、前記上アームの前記コンデンサの高電位側端と、前記蓄電部の他端とを接続する、電力変換装置。
[付記6]
高電位端と中間電位端との間に接続された第1アームおよび第2アームと、
前記中間電位端と低電位端との間に接続された第3アームおよび第4アームと、
前記第1アームと前記第2アームとの接続点と出力電位端との間に接続された第5アームと、
前記第3アームと前記第4アームとの接続点と前記出力電位端との間に接続された第6アームと、
前記高電位端に一端が接続された第1蓄電部と、
前記低電位端に一端が接続された第2蓄電部と、
前記第1アーム、前記第2アーム、および、前記第6アームのスイッチングにより生じるエネルギーの少なくとも一部を前記第1蓄電部へ回生させる高電位側回生整流回路と、
前記第3アーム、前記第4アーム、および、前記第5アームのスイッチングにより生じるエネルギーの少なくとも一部を前記第2蓄電部へ回生させる低電位側回生整流回路と、
前記第1蓄電部および前記第2蓄電部に蓄えられたエネルギーを放電させる変換回路と、を備え、
前記第1アーム、前記第2アーム、および、前記第6アームのそれぞれは、第1スイッチング素子と、前記第1スイッチング素子の高電位側端にアノードが接続された第1ダイオードと、前記第1ダイオードのカソードと前記第1スイッチング素子の低電位側端との間に接続された第1コンデンサと、を備えた第1スイッチ回路を、一または複数直列に接続して構成され、
前記第3アーム、前記第4アーム、および、前記第5アームは、第2スイッチング素子と、前記第2スイッチング素子の低電位側端にカソードが接続された第2ダイオードと、前記第2ダイオードのアノードと前記第2スイッチング素子の高電位側端との間に接続された第2コンデンサと、を備えた第2スイッチ回路を、一または複数直列に接続して構成され、
前記高電位側回生整流回路は、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、前記第1コンデンサの高電位側端と、前記第1蓄電部の他端とを接続し、
前記低電位側回生整流回路は、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、前記第2コンデンサの低電位側端と、前記第2蓄電部の他端とを接続する、電力変換装置。[付記7]
インバータ回路と、
前記インバータ回路の高電位側の直流端と高電位端との間に接続されたPスイッチ回路と、
前記インバータ回路の低電位側の直流端と低電位端との間に接続されたNスイッチ回路と、
前記高電位端に一端が接続された第1蓄電部と、
前記低電位端に一端が接続された第2蓄電部と、
前記第1蓄電部の他端に接続された第1回生整流回路と、
前記第2蓄電部の他端に接続された第2回生整流回路と、
前記第1蓄電部に蓄えられたエネルギーを放電させる第1変換回路と、
前記第2蓄電部に蓄えられたエネルギーを放電させる第2変換回路と、を備え、
前記Pスイッチ回路は、第1スイッチング素子と、前記第1スイッチング素子の前記高電位端側の端にアノードが接続された第1ダイオードと、前記第1ダイオードのカソードと前記第1スイッチング素子の前記直流端側の端との間に接続された第1コンデンサと、を備えた第1スイッチ回路を、一または複数直列に接続して構成され、
前記Nスイッチ回路は、第2スイッチング素子と、前記第2スイッチング素子の前記低電位端側の端にカソードが接続された第2ダイオードと、前記第2ダイオードのアノードと前記第2スイッチング素子の前記直流端側の端との間に接続された第2コンデンサと、を備えた第2スイッチ回路を、一または複数直列に接続して構成され、
前記第1回生整流回路は、前記高電位側の直流端から前記高電位端へ向かう方向を順方向として、前記第1コンデンサの高電位側端と、前記第1蓄電部の他端とを接続し、
前記第2回生整流回路は、前記低電位側の直流端から前記低電位端へ向かう方向を順方向として、前記第2コンデンサの低電位側端と、前記第2蓄電部の他端とを接続する、電力変換装置。
[付記8]
第1端と第2端との間において互いに逆直列された2つのスイッチ回路と、
前記第1端に一端が接続された第1蓄電部と、
前記第2端に一端が接続された第2蓄電部と、
前記第1蓄電部の他端に接続された第1回生整流回路と、
前記第2蓄電部の他端に接続された第2回生整流回路と、
前記第1蓄電部に蓄えられたエネルギーを放電させる第1変換回路と、
前記第2蓄電部に蓄えられたエネルギーを放電させる第2変換回路と、を備え、
一方の前記スイッチ回路は、第1スイッチング素子と、前記第1スイッチング素子の前記第1端側の端にアノードが接続された第1ダイオードと、前記第1ダイオードのカソードと前記第1スイッチング素子の前記第2端側の端との間に接続された第1コンデンサと、を備えた第1スイッチ回路を、一または複数直列に接続して構成され、
他方の前記スイッチ回路は、第2スイッチング素子と、前記第2スイッチング素子の前記第2端側の端にアノードが接続された第2ダイオードと、前記第2ダイオードのカソードと前記第2スイッチング素子の前記第1端側の端との間に接続された第2コンデンサと、を備えた第2スイッチ回路を、一または複数直列に接続して構成され、
前記第1回生整流回路は、前記第2端から前記第1端へ向かう方向を順方向として、前記第1コンデンサの前記第1端側の端と、前記第1蓄電部の他端とを接続し、
前記第2回生整流回路は、前記第1端から前記第2端へ向かう方向を順方向として、前記第2コンデンサの前記第2端側の端と、前記第2蓄電部の他端とを接続する、スイッチ装置。
[付記9]
第1端と第2端との間において互いに逆直列された2つのスイッチ回路と、
2つの前記スイッチ回路の接続点に一端が接続された蓄電部と、
前記蓄電部の他端に接続された回生整流回路と、
前記蓄電部に蓄えられたエネルギーを放電させる変換回路と、を備え、
一方の前記スイッチ回路は、第1スイッチング素子と、前記第1スイッチング素子の前記第1端側の端にアノードが接続された第1ダイオードと、前記第1ダイオードのカソードと前記第1スイッチング素子の前記第2端側の端との間に接続された第1コンデンサと、を備えた第1スイッチ回路を、一または複数直列に接続して構成され、
他方の前記スイッチ回路は、第2スイッチング素子と、前記第2スイッチング素子の前記第2端側の端にアノードが接続された第2ダイオードと、前記第2ダイオードのカソードと前記第2スイッチング素子の前記第1端側の端との間に接続された第2コンデンサと、を備えた第2スイッチ回路を、一または複数直列に接続して構成され、
前記回生整流回路は、前記第2端から前記第1端へ向かう方向を順方向として、前記第1コンデンサの前記第1端側の端と、前記蓄電部の他端とを接続するとともに、前記第1端から前記第2端へ向かう方向を順方向として、前記第2コンデンサの前記第2端側の端と、前記蓄電部の他端とを接続する、スイッチ装置。
[付記10]
[付記1]記載の電力変換装置と、
[付記8]記載のスイッチ装置と、を備え、
前記スイッチ装置は、前記第2端において前記電力変換装置の前記上アームと前記下アームとの接続点と電気的に接続している、電力変換装置。
[付記11]
三相交流電力を三相交流電力に変換する電力変換装置であって、
一方の3相交流端子と他方の3相交流端子との間に接続される[付記7]記載のスイッチ装置を9つ備え、
前記第1蓄電部は、共通の一方の交流端子に接続される3つの前記スイッチ装置に共通であり、
前記第2蓄電部は、共通の他方の交流端子に接続される3つの前記スイッチ装置に共通である、電力変換装置。
【符号の説明】
【0263】
1A1-1A4、1B1-1B4、1NT、1PS、1UN、1VP、1WQ、1XM、1YO、1ZR…スイッチング素子
3A1-3A4、3B1-3B4、3NCF、3NT、3NUK、3NXH、3PCE、3PS、3PUI、3PXJ、3UN、3VP、3WQ、3XM、3YO、3ZR…コンデンサ
4A1-4A4、4B1-4B4、4NCF、4NT、4NUK、4NXH、4PCE、4PS、4PUI、4PXJ、4UN、4XM…ダイオード
5A1-5A4、5B1-5B4、5NCF、5NT、5NUK、5NXH、5PCE、5PS、5PUI、5PXJ、5UN、5XM…抵抗器
6A1-6A4、6B1-6B4、6NC1、6NC2、6NCF、6NN、6NT、6NUK、6NXH、6PCE、6PP、6PS、6PUI、6PXJ、6UN、6XM…回生整流ダイオード
10、10N、10P、10R、10S、10T、10U、10V、10W…DC/DCコンバータ
100U…U相レグ、100V…V相レグ、100W…W相レグ、
101N、101P、101Q、102M、102O、102R、SA1-SA4、SB1-SB4、NCF、NT、NUK、NXH、PCE、PS、PUI、PXJ…スイッチ回路
A1…減算器、A2…ゲイン乗算部、A3…比較器、A4…パルス発生回路、B1…コンデンサ、B10…否定回路、B2…ダイオード、B3…絶縁トランス、B4…スイッチング素子、B5…コンデンサ、B6…ダイオードブリッジ回路、B7…絶縁トランス、B8…コンデンサ、B9…フルブリッジ回路、SU-SZ…スイッチング素子、U1-U6…アーム