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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】操作装置及び船舶
(51)【国際特許分類】
   H01H 19/63 20060101AFI20240304BHJP
   B63H 21/22 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
H01H19/63
B63H21/22 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020192463
(22)【出願日】2020-11-19
(65)【公開番号】P2022081121
(43)【公開日】2022-05-31
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】千田 良平
(72)【発明者】
【氏名】神田 効一
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-021297(JP,A)
【文献】実公昭47-010386(JP,Y1)
【文献】特開2014-160310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/00 - 9/28
H01H 19/00 - 21/88
H01H 89/00 - 89/10
B63H 1/00 - 9/02
B63H 9/06 - 25/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器を操作する操作装置であって、
スイッチと、前記スイッチが配置されるスイッチ配置部とを含む本体と、
前記スイッチ配置部を覆う蓋部と
を備え、
前記蓋部は、前記本体に装着され前記スイッチを覆った状態で移動され
前記スイッチの状態が、複数の状態のうちの特定の状態と異なる状態であるときに、前記蓋部が移動することに応じて、前記蓋部は、前記スイッチの状態を前記異なる状態から前記特定の状態に遷移させる、操作装置。
【請求項2】
前記蓋部は、前記蓋部の裏面から突出する突出部を含み、
前記蓋部が移動することに応じて、前記突出部は、前記スイッチに接触して、前記スイッチの状態を前記異なる状態から前記特定の状態に遷移させる、請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
電気機器を操作する操作装置であって、
スイッチと、前記スイッチが配置されるスイッチ配置部とを含む本体と、
前記スイッチ配置部を覆う蓋部と
を備え、
前記蓋部は、移動されつつ前記本体に装着され、
前記スイッチの状態が、複数の状態のうちの特定の状態と異なる状態であるときに、前記蓋部が移動することに応じて、前記蓋部は、前記スイッチの状態を前記異なる状態から前記特定の状態に遷移させ、
前記本体は、
前記スイッチが実装される基板と、
筒形状を有する筒部と
をさらに含み、
前記スイッチ配置部は、前記筒部の一方端に配置され、
前記基板は、前記筒部の内部に配置される、操作装置。
【請求項4】
前記筒部の他方端の開口を覆う弾性体と、
前記筒部に係合して、前記弾性体を前記筒部に向かって押圧する押圧部と
をさらに備える、請求項3に記載の操作装置。
【請求項5】
前記筒部は、略円筒形状を有する、請求項3または請求項4に記載の操作装置。
【請求項6】
前記筒部の他方端から前記筒部に螺合する螺合部材をさらに備える、請求項5に記載の操作装置。
【請求項7】
電気機器を操作する操作装置であって、
スイッチと、前記スイッチが配置されるスイッチ配置部とを含む本体と、
前記スイッチ配置部を覆う蓋部と
を備え、
前記蓋部は、移動されつつ前記本体に装着され、
前記スイッチの状態が、複数の状態のうちの特定の状態と異なる状態であるときに、前記蓋部が移動することに応じて、前記蓋部は、前記スイッチの状態を前記異なる状態から前記特定の状態に遷移させ、
前記本体は、前記スイッチ配置部の外周縁から立設される壁部を含み、
前記壁部は、前記スイッチ配置部の前記外周縁に沿って延び、
前記蓋部が前記本体に装着された状態において、前記壁部の外周面は、前記蓋部の内周面に対向する、操作装置。
【請求項8】
前記壁部は、前記壁部の外側と内側とを連通する一対の連通部を含み、
前記一対の連通部のうち、一方の連通部は、他方の連通部の反対側に配置される、請求項7に記載の操作装置。
【請求項9】
前記スイッチは、前記スイッチ配置部から突出し、
前記壁部は、
前記スイッチ配置部から、前記スイッチが突出する側に突出する第1壁部と、
前記スイッチ配置部から、前記スイッチが突出する側に突出する第2壁部と
を含み、
前記スイッチ配置部に対する前記第1壁部の高さは、前記スイッチ配置部に対する前記第2壁部の高さより低く、
前記スイッチは、前記第2壁部に対向する、請求項7または請求項8に記載の操作装置。
【請求項10】
前記壁部は、
互いに対向する一対の前記第1壁部と、
互いに対向する一対の前記第2壁部と
を含み、
前記蓋部は、
前記蓋部が前記本体に装着された状態において、前記スイッチ配置部に対向するベース部と、
前記ベース部の周縁から立設される第3壁部と、
前記第3壁部の内面から突出する第1凸部と、
前記第3壁部の前記内面から突出する第2凸部と
を含み、
前記第3壁部の前記内面において、前記第1凸部と前記第2凸部とは異なる位置に配置され、
前記第1凸部が前記一対の第1壁部の一方に対向する状態において、前記第2凸部は、前記一対の第1壁部の他方に対向し、
前記第1凸部が前記一対の第1壁部の前記他方に対向する状態において、前記第2凸部は、前記一対の第2壁部のうちの一方に対向する、請求項9に記載の操作装置。
【請求項11】
電気機器を操作する操作装置であって、
スイッチと、前記スイッチが配置されるスイッチ配置部とを含む本体と、
前記スイッチ配置部を覆う蓋部と
を備え、
前記蓋部は、移動されつつ前記本体に装着され、前記蓋部の裏面から突出する突出部を含み、
前記突出部は、前記蓋部の内面から突出し、ガイド面と保持面とを有し、
前記スイッチの状態が、複数の状態のうちの特定の状態と異なる状態であるときに、
前記蓋部が移動することに応じて、前記突出部は、前記スイッチに接触して、前記スイッチは、前記ガイド面にガイドされて、前記スイッチの状態が前記異なる状態から前記特定の状態に遷移され、
前記ガイド面の前記内面に対する角度は、前記保持面の前記内面に対する角度よりも小さく、
前記スイッチの状態が前記特定の状態であるとき、前記スイッチは、前記保持面に対向する、操作装置。
【請求項12】
作装置と、
船体と
を備え、
前記操作装置は、
電気機器を操作する操作装置であって、
スイッチと、前記スイッチが配置されるスイッチ配置部とを含む本体と、
前記スイッチ配置部を覆う蓋部と
を備え、
前記蓋部は、移動されつつ前記本体に装着され、
前記スイッチの状態が、複数の状態のうちの特定の状態と異なる状態であるときに、前記蓋部が移動することに応じて、前記蓋部は、前記スイッチの状態を前記異なる状態から前記特定の状態に遷移させる、船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作装置及び船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のエンジン制御装置は、主操船システムと、予備操船システムとを備える。主操船システムは、通常時において船を操船するために用いられる。予備操船システムは、断線等によって主操船システムが機能しない場合に、船を操船するために用いられる。予備操船システムは、予備操作パネルを備える。予備操作パネルには、スイッチが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-229985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の予備操作パネルでは、スイッチが露出している。従って、乗船者の手が露出したスイッチに誤って触れてしまい、スイッチを誤操作する可能性がある。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、誤操作を防止できる操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面によれば、操作装置は、電気機器を操作する。操作装置は、本体と、蓋部とを備える。本体は、スイッチと、前記スイッチが配置されるスイッチ配置部とを含む。蓋部は、前記スイッチ配置部を覆う。前記蓋部は、回転されつつ前記本体に装着される。前記スイッチの状態が、複数の状態のうち特定の状態と異なる状態であるときに、前記蓋部が回転することに応じて、前記蓋部は、前記スイッチを前記異なる状態から前記特定の状態に遷移させる、操作装置。
【0007】
本発明の他の局面によれば、船舶は、本発明の一局面に係る操作装置と、船体とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、誤操作を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る船舶を示す側面図である。
図2】本実施形態に係る船舶の構成を示すブロック図である。
図3】本実施形態に係る操作装置を示す分解斜視図である。
図4】本実施形態に係る操作装置を後側から見た分解斜視図である。
図5】本実施形態に係る操作装置の本体を示す斜視図である。
図6】(a)は、本実施形態に係る操作装置の蓋部を示す平面図である。(b)は、本実施形態に係る操作装置の蓋部を示す斜視図である。
図7】回転前の蓋部と、回転後の蓋部とを示す図である。
図8図5のVIII-VIII線に沿った端面図である。
図9】(a)は、本実施形態に係る操作装置の本体200に正しい向きで装着されるときの蓋部を示す。(b)は、本実施形態に係る操作装置の本体に誤った向きで装着されるときの蓋部を示す。
図10】(a)は、本実施形態に係る操作装置の蓋部を示す斜視図である。(b)は、本実施形態に係る操作装置の蓋部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されない。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合がある。また、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。なお、本願明細書では、発明の理解を容易にするため、互いに直交するX方向、Y方向及びZ方向を参照して説明することがある。
【0011】
先ず、図1を参照して、本実施形態の船舶1について説明する。図1は、船舶1を示す側面図である。本実施形態1の船舶1は、例えば小型船舶である。小型船舶とは、総トン数20トン未満の船舶をいうが、スポーツまたはレクリエーションに供する長さ24m未満で国土交通大臣が認める20トン以上の船舶も小型船舶に含まれる。本実施形態では、船舶1が、スポーツやレクリエーションなどのレジャーに用いられるプレジャーボートである例を示すが、これに限られるものではない。
【0012】
図1に示すように、船舶1は、操作装置100、船体101、エンジン30、推進装置40、及びプロペラシャフト50を備える。すなわち、操作装置100は、船舶1に搭載される。
【0013】
操作装置100は、電気機器を操作する。具体的には、操作装置100は、船舶1に搭載される電気機器を操作する。電気機器は、例えば、後述するエンジン制御部31、後述する推進装置40のクラッチを制御するクラッチ制御機、及び、後述する予備操船システム10に電力を供給するための電源回路である。
【0014】
本実施形態の船舶1は、例えばFRP船であり、船体101は、主にFRP(Fiber Reinforced Plastics)により形成されている。船体101の素材がFRPであることで、軽量性や耐久性、防錆性など多くの利点が得られる。
【0015】
船体101には、キャビン102が設けられている。キャビン102は、例えば、船体101の中央部分に配置される。操作装置100は、例えば、キャビン102を構成する部材102a(例えば、キャビン102を構成する板)に形成された孔に装着される。操作装置100の詳細については後述する。
【0016】
エンジン30は、船舶1の内部に配置される。図1に示す船舶1は、船内機タイプ(インボードタイプ)の船舶である。インボードタイプの船舶では、船尾に向けて延びたプロペラシャフト50が船底から水中に向かって突出する。プロペラシャフト50は、エンジン30の駆動力を推進装置40に伝達する。
【0017】
推進装置40は、プロペラ41と、舵42とを含む。本実施形態において、プロペラ41の後方に舵42が配置されている。プロペラ41は、エンジン30の駆動力により回転して推進力を発生させる。舵42は、船舶1の進行方向を決定する。
【0018】
次に、図1及び図2を参照して、船舶1の構成について説明する。図2は、船舶1の構成を示すブロック図である。
【0019】
まず、エンジン30について説明する。図2に示すように、エンジン30は、エンジン制御部31を備える。また、エンジン30は、不図示のセンサ及び不図示の制御対象部品をさらに備える。
【0020】
エンジン制御部31は、例えば、ECU(Electronic Control Unit)である。具体的には、エンジン制御部31は、例えば、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサーと、記憶装置とを含む。記憶装置は、データ及びコンピュータープログラムを記憶する。具体的には、エンジン制御部31は、半導体メモリーのような主記憶装置と、半導体メモリー、ソリッドステートドライブ、及び/又は、ハードディスクドライブのような補助記憶装置とを含む。なお、エンジン制御部31は、リムーバブルメディアを含んでいてもよい。
【0021】
エンジン制御部31のCPUは、記憶装置に記憶されたコンピュータープログラムを実行して、エンジン30が備える制御対象部品を制御する。例えば、エンジン制御部31は、エンジン30が備えるセンサから得られた情報に基づいて、制御対象部品を動作させる。以下、エンジン30が備えるセンサ及び制御対象部品の一例について簡単に説明する。
【0022】
エンジン30が備えるセンサは、例えば、バッテリー電圧センサと、冷却水温度センサと、燃料温度センサと、エンジンオイル温度センサと、エンジン回転数検出センサと、レール圧センサと、吸気圧センサと、排気圧センサとを含む。
【0023】
バッテリー電圧センサは、バッテリーの電圧を検出する。冷却水温度センサは、冷却水タンク又は冷却水管の内部に配置され、冷却水の温度を検出する。燃料温度センサは、燃料管又は燃料ポンプ等に配置され、燃料の温度を検出する。エンジンオイル温度センサは、オイル管又はオイルパン等に配置され、エンジンオイルの温度を検出する。エンジン回転数検出センサは、エンジン30の回転数(回転速度)を検出する。レール圧センサは、コモンレール内の燃料の圧力を検出する。コモンレールは、不図示の燃料タンクから供給された燃料を高圧で蓄え、インジェクタへ供給する。吸気圧センサは、吸気マニホールド等に設けられ、吸気圧を検出する。吸気マニホールドは、エンジン30が備える吸気管から供給された空気をシリンダ数に応じて分配して、燃焼室へ供給する。排気圧センサは、排気マニホールド等に設けられ、排気圧を検出する。
【0024】
エンジン30が備える制御対象部品は、例えば、スターターリレーと、燃料噴射アクチュエータとを含む。
【0025】
スターターリレーは、スターターモータを駆動してエンジン30を始動させる。なお、エンジン制御部31は、エンジン30の始動指示を受けた後に、バッテリー電圧センサの検出結果に基づいてバッテリーの電圧が所定の閾値以上か否かを判定する。エンジン制御部31は、バッテリーの電圧が所定の閾値以上である場合、スターターリレーへの通電を行わない(結果としてエンジン30は始動しない)。これにより、電圧値が異なるバッテリーが誤って設置された場合であっても、高い電圧がスターターモータへ供給されないので、スターターモータの故障を防止できる。
【0026】
燃料噴射アクチュエータは、インジェクタから燃料を噴射させるための例えば電磁弁で構成される。燃料噴射アクチュエータ(電磁弁)は、エンジン制御部31の指示に応じて開閉し、燃焼室に燃料を噴射する。燃料噴射アクチュエータを制御することで、燃料の噴射量及び噴射タイミングを調整することができる。この構成により、出力の調整、排気ガスのクリーン化、及び騒音の抑制等を実現することができる。
【0027】
次に、予備操船システム10、及び主操船システム20について説明する。船舶1は、予備操船システム10と、主操船システム20とをさらに備える。主操船システム20は、通常時において船舶1を操船するために用いられる(主操船状態)。予備操船システム10は、断線等によって主操船システム20が機能しない場合に、船舶1を操船するために用いられる(予備操船状態)。
【0028】
主操船システム20は、操船系制御部21と、主操作部22と、ジョイスティックレバー23と、操舵輪24と、表示装置25とを含む。主操作部22と、ジョイスティックレバー23と、操舵輪24と、表示装置25とは、例えば、図1を参照して説明したキャビン102に配置される。
【0029】
操船系制御部21は、エンジン制御部31と同様に、プロセッサーと記憶装置とを含む。操船系制御部21は、エンジン制御部31と接続されている。操船系制御部21及びエンジン制御部31は、CAN(Controller Area Network)等の規格により互いに通信することができる。エンジン制御部31は、例えば、エンジン制御部31と操船系制御部21とが正常に通信できるか否かに基づいて、主操船システム20を用いて操船が可能か否か(異常か否か)を判定する。
【0030】
主操作部22は、ハンドルを備えており、当該ハンドルの回動角度が操船系制御部21を介してエンジン制御部31へ出力される。エンジン制御部31は、主操作部22のハンドルの回動角度に基づいて、エンジン30が備える燃料噴射アクチュエータ等を調整して、エンジン30の回転数を変化させる。
【0031】
ジョイスティックレバー23は、前後方向に操作可能に構成されている。ジョイスティックレバー23に行われた操作は、操船系制御部21へ伝達される。操船系制御部21は、操作に応じた指示をエンジン30又は推進装置40へ行う。
【0032】
ジョイスティックレバー23を前方に操作すると、操船系制御部21は、例えば、船舶1が前進する方向にプロペラ41が回転するように推進装置40へ指示を行う。一方、ジョイスティックレバー23を後方に操作すると、操船系制御部21は、例えば、船舶1が後進する方向にプロペラ41が回転するように推進装置40へ指示を行う。また、ジョイスティックレバー23を回転させると、操船系制御部21は、例えば、船舶1がその場で旋回するように推進装置40へ指示を行う。
【0033】
なお、ジョイスティックレバー23を操作する際において、操船系制御部21は、例えば、ジョイスティックレバー23の傾倒角度に応じた信号を、エンジン30のエンジン制御部31へ送信する。エンジン制御部31は、送信された傾倒角度に応じてエンジン回転数を変化させる。このように、操船者は、操船系制御部21だけでなくジョイスティックレバー23を用いてエンジン回転数を変化させることができる。
【0034】
また、ジョイスティックレバー23ではなく操舵輪24を用いても船舶1の進行方向を操作することができる。操船者が操舵輪24を左方又は右方に回転させることで、操船系制御部21は、例えば、操舵輪24の回転方向及び回転量に応じた信号を推進装置40へ送信する。推進装置40は、送信された信号に基づいて舵42の角度を変化させる。このように、操船者は、操舵輪24を用いて船舶1の進行方向を変化させることができる。
【0035】
表示装置25は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイのようなディスプレイによって構成される。表示装置25は、例えば、エンジン制御部31及び操船系制御部21から受信した信号に基づいて、船舶1の船速、エンジン回転数、走行距離、及びエラー情報等を表示する。
【0036】
予備操船システム10は、操作装置100を備える。断線等によって主操船システム20が機能しない場合、操船者は、操作装置100を操作して、船舶1を操縦する。操作装置100は、例えば、主操船システム20とは別系統の配線(アナログ線)でエンジン制御部31と接続されている。エンジン制御部31は、例えば、操作装置100と正常に通信できるか否かに基づいて、予備操船システム10を用いて操船が可能か否か(異常か否か)を判定する。以下、図3図9を参照して、操作装置100について詳細に説明する。
【0037】
まず、図3及び図4を参照して、操作装置100の概略について説明する。図3は、操作装置100を示す分解斜視図である。図4は、操作装置100を示す分解斜視図である。なお、図3は、操作装置100を前側から見た分解斜視図であり、図4は、操作装置100を後側から見た分解斜視図である。
【0038】
本実施形態において、操作装置100は、本体200と、蓋部300と、螺合部材400と、押圧部500と、弾性体600とを備える。なお、蓋部300は、図3では本体200から外されており、図4では本体200に装着されている。また、螺合部材400は、図3では本体200から外されており、図4では本体200に螺合している。
【0039】
本体200は、スイッチ配置部210と、スイッチ220と、壁部230と、筒部250とを含む。本体200の材料は、例えば、樹脂である。本実施形態において、本体200は、複数のスイッチ220を含む。具体的には、本体200は、3個のスイッチ220を含む。壁部230は、第1壁部231と第2壁部232とを含む。壁部230の詳細については後述する。
【0040】
スイッチ配置部210は、筒部250の一方端250aに配置される。スイッチ配置部210には、スイッチ220が配置される。スイッチ220は、スイッチ配置部210から突出する。具体的には、スイッチ220は、スイッチ配置部210が有する配置面210aから、筒部250から離れる側に向かって突出する。配置面210aは、スイッチ配置部210のうちのスイッチ220が配置される面のことである。なお、スイッチ配置部210と筒部250とは一体成形品であってもよいし、別体であってもよい。
【0041】
筒部250は、スイッチ配置部210の配置面210aに直交する基準線AXに沿って延びている。本実施形態において、基準線AXは、例えば、筒部250の中心軸に相当する。筒部250は、筒形状を有する。本実施形態において、筒部250は、略円筒形状を有する。本実施形態において、筒部250の内側は空洞である。また、本実施形態において、筒部250の一方端250a及び他方端250bは、開放されている。すなわち、スイッチ配置部210は、例えば、筒部250の一方端250aの開口250ah(図8参照)を覆う。
【0042】
本実施形態において、筒部250は、第1筒部251と第2筒部252とを含む。第1筒部251は、第2筒部252に連通している。第1筒部251の外径は、例えば、第2筒部252の外径より大きい。また、第1筒部251の内径は、例えば、第2筒部252の内径と略同一である(図8参照)。第1筒部251は、筒部250の一方端250a側に位置する。一方、第2筒部252は、筒部250の他方端250b側に位置する。第1筒部251の外周面には、例えば、ネジ溝が設けられている。
【0043】
筒部250は、係合部253を含む。本実施形態において、筒部250は、4個の係合部253を含む。係合部253は、第2筒部252の外周面から突出する。4個の係合部253は、基準線AXに対する周方向に沿って、第2筒部252の外周面において四方に配置されている。なお、図3及び図4では、第1筒部251によって、4個の係合部253のうち2個の係合部253が隠れている。
【0044】
弾性体600の材料は、例えば、弾性を有する樹脂(例えば、合成ゴム)である。弾性体600は、筒部250の他方端250bに接触するように配置される。基準線AXに沿った方向から見たときの弾性体600の形状は、基準線AXに沿った方向から見たときの筒部250の他方端250bの形状と略同一である。弾性体600は、筒部250の他方端250bの開口250bh(図8参照)を覆う。
【0045】
弾性体600は、保持部601を含む。本実施形態において、弾性体600は、複数の保持部601を含む。保持部601は、筒形状を有する。本実施形態において、保持部601は、略円筒形状を有する。弾性体600が筒部250の他方端250bに接触するように配置された状態において、保持部601は、基準線AXに沿う方向に延びる。
【0046】
保持部601には、電線Cd(図8参照)が挿通され、挿通された電線Cdを保持する。保持部601の内周面は、例えば、電線Cdの外周面に密着する。保持部601は、例えば、グロメットであり、保持部601の内周面を電線Cdの外周面に密着させて水密性を発揮する。
【0047】
押圧部500の材料は、例えば、樹脂である。押圧部500は、筒部250に係合する。具体的には、押圧部500は、第2筒部252に係合する。押圧部500は、筒部250に係合して、弾性体600を筒部250に向かって押圧する(図8参照)。具体的には、押圧部500は、弾性体600を第2筒部252の端面252aに向かって押圧する(図8参照)。従って、弾性体600によって、筒部250の他方端250bの開口250bh(図8参照)が安定して覆われる。その結果、水密性が向上する。
【0048】
基準線AXに沿った方向から見たときの押圧部500の形状は、基準線AXに沿った方向から見たときの筒部250の他方端250bの形状と略同一である。押圧部500は、壁部501と、ベース部502とを含む。壁部501は、ベース部502の外周縁502eから立設される。壁部501は、例えば、筒形状を有する。本実施形態において、壁部501は、略円筒形状を有する。
【0049】
壁部501は、開口501hと、溝501gとを有する。本実施形態において、壁部501は、複数の開口501hと、複数の溝501gとを有する。具体的には、壁部501は、4個の開口501hと、8個の溝501gとを有する。押圧部500が筒部250に係合する状態において、4個の開口501hは、基準線AXに対する周方向に沿って、壁部501の四方に配置される。1個の開口501hは、例えば、2個の溝501gの間に配置される。従って、壁部501のうち、2つの溝501gに挟まれ且つ開口501hを含む部分を、壁部501の外側又は内側に微小に曲げることができる。例えば、押圧部500を筒部250に係合させるとき、作業者は、壁部501のうち、2つの溝501gに挟まれ且つ開口501hを含む部分を壁部501の外側に微小に曲げる。そして、作業者は、例えば、方向Dに押圧部500を筒部250に押し込み、押圧部500を筒部250に係合させる。押圧部500が筒部250の他方端250bに係合する状態において、開口501hは、筒部250の係合部253に係合する。具体的には、4つの開口501hは、それぞれ、4つの係合部253に係合する。ここで、方向Dは、基準線AXに略平行である。
【0050】
押圧部500が筒部250に係合する状態において、ベース部502は、弾性体600に対向する。ベース部502は、開口502hを有する。本実施形態において、開口502hは、略矩形形状を有する。押圧部500が筒部250に係合する状態において、弾性体600の保持部601は、開口502hの内部を突き抜ける。すなわち、保持部602に保持される電線Cdは、押圧部500の開口502hを通る。
【0051】
蓋部300は、回転されつつ本体200に装着される。本実施形態において、蓋部300は、例えば、回転方向R1に回転されつつ本体200に装着される。蓋部300が本体200に装着されると、蓋部300は、スイッチ配置部210を覆う。従って、スイッチ220が露出されることを防止できる。その結果、誤操作を防止できる。なお、回転方向R1は、例えば、時計回りに回転する方向である。
【0052】
本実施形態において、蓋部300は、略有蓋円筒形状を有する。蓋部300は、ベース部310と、第3壁部320とを含む。蓋部300が本体200に装着された状態において、ベース部310は、スイッチ配置部210に対向する。第3壁部320は、ベース部310の周縁310eから立設される。蓋部300は、第3壁部320の外周面に位置する複数の溝321を有する。従って、蓋部300を回転させるときに、溝321が滑り止めとして機能する。その結果、蓋部300を回転させるときに、操船者の手が滑ることを抑制できる。
【0053】
螺合部材400は、例えばナットである。螺合部材400の内周面には、例えば、ネジ溝が設けられている。螺合部材400は、例えば、筒部250の他方端250bから筒部250に螺合する。具体的には、螺合部材400は、例えば、筒部250の他方端250bから第1筒部251に螺合する。螺合部材400の外周面は、例えば、凹凸を有する。従って、螺合部材400の外周面が凹凸を有しない場合と比較して、操船者は、螺合部材400を掴んで回転させ易い。
【0054】
次に、図5を参照して、操作装置100の本体200について詳細に説明する。図5は、操作装置100の本体200を示す斜視図である。
【0055】
まず、本体200の壁部230について説明する。図5に示すように、壁部230は、スイッチ配置部210の外周縁210eから立設される。具体的には、壁部230は、スイッチ配置部210の外周縁210eから、基準線AXに沿う方向に立設される。また、壁部230は、スイッチ配置部210の外周縁210eに沿って延びる。
【0056】
本実施形態において、壁部230は、一対の第1壁部231と、一対の第2壁部232とを含む。一対の第1壁部231は、互いに対向する。また、一対の第2壁部232は、互いに対向する。以下、一対の第1壁部231のうち、一方を第1壁部231aと記載し、他方を第1壁部231bと記載する場合がある。また、一対の第2壁部232のうち、一方を第2壁部232aと記載し、他方を第2壁部232bと記載する場合がある。
【0057】
第1壁部231は、スイッチ220が突出する側に、スイッチ配置部210から突出する。一対の第1壁部231は、互いに対向する。具体的には、一対の第1壁部231は、基準線AXを挟んで互いに対向する。スイッチ配置部210の外周縁210eに沿った周方向R2において、第1壁部231aは、第2壁部232aと第2壁部232bとの間に配置される。また、周方向R2において、第1壁部231bは、第2壁部232aと第2壁部232bとの間に配置される。
【0058】
第2壁部232は、スイッチ220が突出する側に、スイッチ配置部210から突出する。一対の第2壁部232は、互いに対向する。具体的には、一対の第2壁部232は、基準線AXを挟んで互いに対向する。周方向R2において、第2壁部232aは、第1壁部231aと第1壁部231bとの間に配置される。また、周方向R2において、第2壁部232bは、第1壁部231aと第1壁部231bとの間に配置される。
【0059】
本実施形態において、スイッチ配置部210に対する第1壁部231の高さL1は、例えば、スイッチ配置部210に対する第2壁部232の高さL2よりも低い。また、本実施形態において、周方向R2に沿った第1壁部231の長さは、例えば、周方向R2に沿った第2壁部232の長さよりも長い。
【0060】
本実施形態において、壁部230は、連通部230aを含む。連通部230aは、壁部230の外側と内側とを連通する。従って、蓋部300が本体200から外されている状態において、スイッチ配置部210に水がかかる場合であっても、スイッチ配置部210にかかった水は、連通部230aを介して排出される。その結果、排水性を向上できる。
【0061】
また、本実施形態において、壁部230は、一対の連通部230aを含む。一対の連通部230aのうち、一方の連通部230aは、他方の連通部230aの反対側に配置される。本実施形態において、一方の連通部230aは、基準線AXを挟んで他方の連通部230aに対向する。具体的には、一方の連通部230aは、第1壁部231aに含まれる。また、他方の連通部230aは、第1壁部231bに含まれる。従って、双方向に、スイッチ配置部210にかかった水を排出できる。その結果、操作装置100の向きを限定することなく、操作装置100を船舶1に搭載させることができる。また、船舶1が波で傾く場合であっても、スイッチ配置部210にかかった水を排出できる。
【0062】
第2壁部232は、ガイド部234を有する。本実施形態において、一対の第2壁部232の各々は、ガイド部234を有する。ガイド部234は、第2壁部232の外側面233aに位置する。本実施形態において、ガイド部234は、例えば、外側面233aに対して凹形状を有する。ガイド部234は、第1ガイド234a及び第2ガイド234bを有する。第1ガイド234aは、第2ガイド234bに連通する。本実施形態において、第1ガイド234aは、例えば、基準線AXに沿って延びる。一方、第2ガイド234bは、例えば、周方向R2に沿って延びる。
【0063】
蓋部300が有する一対の係合部350(図6参照)は、それぞれ、一対のガイド部234にガイドされる。具体的には、係合部350は、第1ガイド234aに挿入されて、第1ガイド234aにガイドされた後に、第2ガイド234bにガイドされる。その結果、蓋部300は、回転されつつ本体200に装着される。つまり、ガイド部234は、係合部350に対する被係合部である。
【0064】
第2壁部232の端面233cは、例えば、スイッチ配置部210に略平行である。蓋部300が本体200に装着される状態において、端面233cは、蓋部300のベース部310の内面に対向する。
【0065】
次に、本体200のスイッチ220について説明する。以下、本実施形態において、本体200が含む3個のスイッチ220のうち、第1壁部231bに対向するスイッチ220を、スイッチ220aと記載する場合がある。また、3個のスイッチ220のうち、第2壁部232bに対向するスイッチ220を、スイッチ220bと記載する場合がある。さらに、3個のスイッチ220のうち、第2壁部232aに対向するスイッチ220を、スイッチ220cと記載する場合がある。
【0066】
本実施形態において、スイッチ220aは、例えば、トグル式のスイッチである。また、スイッチ220aは、例えば、3ポジションスイッチである。操船者がスイッチ220aを操作すると、例えば、推進装置40のクラッチ制御機が操作される。その結果、推進装置40のクラッチが切り替えられる。具体的には、例えば、スイッチ220aが一方側に倒された状態(前進状態)であるとき、船舶1が前進するようにクラッチが切り替えられる。また、例えば、スイッチ220aが他方側に倒された状態(後進状態)であるとき、船舶1が後進するようにクラッチが切り替えられる。また、スイッチ220aを倒さない状態(ニュートラル状態)であるとき、クラッチは、プロペラシャフト50への動力の伝達を遮断する。本実施形態において、スイッチ220aは、例えば、オルタネイト方式のスイッチである。つまり、操船者がスイッチ220aを操作して、操船者がスイッチ220aから手を離したとしても、スイッチ220aの状態が維持される。
【0067】
また、本実施形態において、スイッチ220bは、例えば、トグル式のスイッチである。また、スイッチ220bは、例えば、2ポジションスイッチである。操船者がスイッチ220bを操作すると、例えば、予備操船システム10に電力を供給するための電源回路が操作される。その結果、予備操船システム10のオン/オフが切り替えられる。具体的には、例えば、スイッチ220bが一方側に倒された状態であるとき、予備操船システム10がオンに設定される。すなわち、操作装置100を用いてエンジン回転数を変更する状態(予備操船状態)に設定される。また、例えば、スイッチ220bが他方側に倒された状態であるとき、予備操船システム10がオフに設定される。予備操船システム10がオフに設定されることに応じて、例えば、主操船システム20がオンに設定されてもよい。すなわち、予備操船システム10がオフに設定されることに応じて、主操作部22を用いてエンジン回転数を変更する状態(主操船状態)に設定されてもよい。本実施形態において、スイッチ220bは、例えば、オルタネイト方式のスイッチである。つまり、操船者がスイッチ220bを操作して、操船者がスイッチ220bから手を離したとしても、スイッチ220bの状態が維持される。
【0068】
上述したように、スイッチ220bは、基準線AXに沿う方向において、第1壁部231よりも高い第2壁部232bに対向する。従って、スイッチ220bが第1壁部231に対向する場合よりも、操船者がスイッチ220bに誤って接触する可能性を低減できる。その結果、スイッチ220bの誤操作を防止できる。
【0069】
また、本実施形態において、スイッチ220cは、例えば、トグル式のスイッチである。また、スイッチ220cは、例えば、3ポジションスイッチである。操船者がスイッチ220cを操作すると、例えば、エンジン制御部31が操作される。その結果、エンジン30のオン/オフが切り替えられる。具体的には、スイッチ220cが一方側に倒された状態であるとき、エンジン30がオンに設定される。また、スイッチ220cが他方側に倒された状態であるとき、エンジン30がオフに設定される。本実施形態において、スイッチ220cは、モーメンタリ方式のスイッチである。つまり、操船者がスイッチ220cを操作してスイッチ220cから手を離した場合、スイッチ220cが倒されていない状態に復帰する。例えば、操船者がスイッチ220cを操作してエンジン30をオンに設定し、スイッチ220cから手を離すと、スイッチ220cが倒されていない状態に復帰する。なお、操船者がスイッチ220cを操作してエンジン30をオンに設定した後、スイッチ220cが他方側に倒されない限り、エンジン30は、例えばオンに設定された状態のままである。
【0070】
上述したように、スイッチ220cは、基準線AXに沿う方向において、第1壁部231よりも高い第2壁部232aに対向する。従って、スイッチ220bが第1壁部231に対向する場合よりも、操船者がスイッチ220cに誤って接触する可能性を低減できる。その結果、スイッチ220aの誤操作を防止できる。
【0071】
次に、本体200の操作部225について説明する。本体200は、操作部225をさらに含む。操作部225は、第1壁部231aに対向する。操作部225は、スイッチ配置部210の配置面210aから、基準線AXに沿った方向に突出する。操作部225は、例えば、ダイヤル式の摘みである。操作部225を回転させることで、例えば、燃料噴射アクチュエータ等を調整して、エンジン30の回転数を変更する。
【0072】
次に、本体200の報知部240について説明する。本体200は、報知部240をさらに含む。本実施形態において、報知部240は、例えば、LED(Light Emitting Diode)である。つまり、報知部240は例えば発光する。報知部240は、例えば、エンジン30の状態に応じて発光パターンが変化する。
【0073】
次に、図6を参照して、蓋部300について詳細に説明する。図6(a)は、蓋部300を示す平面図である。図6(b)は、蓋部300を示す斜視図である。図6(a)及び図6(b)に示すように、蓋部300は、突出部330と、第1凸部341と、第2凸部342と、一対の係合部350とをさらに含む。
【0074】
突出部330は、蓋部300の裏面から突出する。具体的には、蓋部300が本体200に装着された状態において、突出部330は、ベース部310から、スイッチ配置部210に向かう方向に突出する。
【0075】
本実施形態において、蓋部300は、複数の突出部330を含む。以下、2個の突出部330のうち、一方を突出部331と記載し、他方を突出部332と記載する場合がある。
【0076】
本実施形態において、突出部331は筒形状を有する。具体的には、突出部331は、略角筒形状を有する。すなわち、突出部331の中心部分は空洞である。従って、突出部331の強度を維持しつつ、突出部331の肉厚を薄くできる。ひいては、蓋部300に凹み(いわゆるヒケ)が発生することを防止できる。
【0077】
本実施形態において、突出部332は、第1突出部材332aと、第2突出部材332bとを含む。第1突出部材332aと、第2突出部材332bとは、互いに対向する。本実施形態において、第1突出部材332aと、第2突出部材332bとの各々は、凹凸を有する。従って、第1突出部材332aと、第2突出部材332bとの各々の強度を維持しつつ、第1突出部材332aと、第2突出部材332bとの各々の肉厚を薄くできる。ひいては、蓋部300に凹みが発生することを防止できる。
【0078】
第1凸部341は、第3壁部320の内面320aから突出する。また、本実施形態において、第1凸部341は、例えば、ベース部310に接続している。第1凸部341は、複数の凹部341aを有する。つまり、第1凸部341は、間隔をあけて並ぶ複数の突起341bを含む。従って、第1凸部341の肉厚を薄くできる。ひいては、蓋部300に凹みが発生することを防止できる。なお、第1凸部341と、ベース部310とは離間していてもよい。
【0079】
第2凸部342は、第3壁部320の内面320aから突出する。また、本実施形態において、第2凸部342は、例えば、ベース部310に接続している。第2凸部342は、複数の凹部342aを有する。つまり、第2凸部342は、間隔をあけて並ぶ複数の突起342bを含む。従って、第2凸部342の肉厚を薄くできる。ひいては、蓋部300に凹みが発生することを防止できる。なお、第2凸部342と、ベース部310とは離間していてもよい。
【0080】
第3壁部320の内面320aにおいて、第1凸部341と第2凸部342とは異なる位置に配置される。また、ベース部310の周縁310eに沿った周方向R3において、第1凸部341の長さは、第2凸部342の長さよりも短い。
【0081】
一対の係合部350の各々は、第3壁部320の内面320aから突出する。また、本実施形態において、一対の係合部350の各々は、ベース部310から離間している。第3壁部320の内面320aにおいて、一対の係合部350の各々と、第1凸部341と、第2凸部342と、は異なる位置に配置される。一対の係合部350は、互いに対向する。本実施形態において、係合部350は筒形状を有する。具体的には、係合部350は、略角筒形状を有する。すなわち、係合部350の中心部分は空洞である。従って、係合部350の強度を維持しつつ、係合部350の肉厚を薄くできる。ひいては、蓋部300に凹みが発生することを防止できる。
【0082】
次に、図7を参照して、蓋部300の回転に応じて状態が遷移するスイッチ220について説明する。図7は、回転前の蓋部300と、回転後の蓋部300とを示す図である。なお、図7では、本体200に装着された状態における蓋部300を示している。また、説明の便宜のため、回転前の蓋部300を蓋部300aと記載し、回転後の蓋部300を蓋部300bと記載する場合がある。また、理解の容易のため、本体200のスイッチ220a及びスイッチ220bを破線で示す。
【0083】
本実施形態において、スイッチ220bの状態が、複数の状態のうちの特定の状態と異なる状態であるときに、蓋部300が回転することに応じて、蓋部300は、スイッチ220bの状態を異なる状態から特定の状態に遷移させる。具体的には、例えば、図7に示すように、スイッチ220bが一方側に倒された状態(異なる状態)であるときに、蓋部300aが回転することに応じて、蓋部300aの突出部331は、方向A1にスイッチ220bを押して、スイッチ220bの状態を、一方側に倒された状態(異なる状態)から他方側に倒された状態(特定の状態)に遷移させる。従って、スイッチ220bが特定の状態と異なる状態に維持されたまま蓋部300が本体200に装着されることを防止できる。例えば、主操船システム20が、機能しない状態から機能できる状態に復帰した場合、スイッチ220bが一方側に倒れている状態のまま、本体200に蓋部300を装着させる場合であっても、スイッチ220bが他方側に倒される。つまり、蓋部300を本体200に装着する前に、予備操船システム10をオンからオフに設定する操作を操船者が失念する場合であっても、蓋部300を本体200に装着するだけで、予備操船システム10をオフに設定できる。その結果、安全性を向上できる。
【0084】
なお、本実施形態において、回転する前の蓋部300aの突出部331とスイッチ220bとは接触している。ただし、回転する前の蓋部300aの突出部331とスイッチ220bとは離間していてもよい。
【0085】
また、本実施形態において、スイッチ220aの状態が、複数の状態のうちの特定の状態と異なる状態であるときに、蓋部300が回転することに応じて、蓋部300は、スイッチ220aの状態を異なる状態から特定の状態に遷移させる。具体的には、例えば、図7に示すように、スイッチ220aが一方側に倒された状態(異なる状態)であるときに、蓋部300aが回転することに応じて、蓋部300aの第2突出部材332bは、方向A2にスイッチ220aを押して、スイッチ220aの状態を、一方側に倒された状態(異なる状態)から倒さない状態(特定の状態)に遷移させる。従って、スイッチ220aが特定の状態と異なる状態に維持されたまま蓋部300が本体200に装着されることを防止できる。例えば、主操船システム20が、機能しない状態から機能できる状態に復帰した場合、スイッチ220aが一方側に倒れている状態のまま、本体200に蓋部300を装着させる場合であっても、スイッチ220aが倒れている状態から倒れていない状態に遷移する。つまり、蓋部300を本体200に装着する前に、予備操船システム10をオンからオフに設定する操作を操船者が失念する場合であっても、蓋部300を本体200に装着するだけで、クラッチをニュートラルにシフトできる。その結果、安全性を向上できる。
【0086】
同様に、例えば、図7に示すように、スイッチ220aが他方側に倒された状態(異なる状態)であるときに、蓋部300aが回転することに応じて、蓋部300aの第1突出部材332aは、方向A3にスイッチ220aを押して、スイッチ220aの状態を、他方側に倒された状態(異なる状態)から倒さない状態(特定の状態)に遷移させる。従って、スイッチ220aが特定の状態と異なる状態に維持されたまま蓋部300が本体200に装着されることを防止できる。
【0087】
次に、図8を参照して、操作装置100についてさらに説明する。図8は、図5のVIII-VIII線に沿った端面図である。なお、図8では、本体200に蓋部300が装着されており、さらに、筒部250に螺合部材400が螺合している。さらに、図8では、船舶1に搭載された状態の操作装置100を示している。
【0088】
図8に示すように、操作装置100が船舶1に搭載される場合、船舶1を構成する部材102aに形成された孔102ahに筒部250が配置される。また、螺合部材400は、筒部250に螺合している。具体的には、船舶1を構成する部材102aに形成された孔102ahに筒部250が配置された状態において、螺合部材400は、部材102aに当接するまで筒部250に螺合している。従って、お操作装置100を部材102aに容易に装着できる。
【0089】
また、本実施形態において、スイッチ配置部210と螺合部材400とで部材102aを挟む。従って、操作装置100が部材102aに対して固定される。
【0090】
また、本実施形態において、上述したように筒部250は、略円筒形状を有する。従って、船舶1を構成する部材102aに形成される孔102ahは略円形形状を有してよい。部材102aに対して略円形形状を有する孔102ahを形成するための工数の方が、部材102aに対して略矩形形状を有する孔102ahを形成するための工数よりも少ない場合がある。従って、操作装置100を容易に船舶1に搭載させることができる。
【0091】
本実施形態において、本体200は、フランジ211をさらに含む。フランジ211は、スイッチ配置部210の外周縁210eから突出する。フランジ211は、外周縁210eに沿っている。すなわち、フランジ211は、環形状を有する。具体的には、フランジ211は、略円環形状を有する。フランジ211に対して、蓋部300と反対の側には、緩衝材Cuが配置されている。具体的には、緩衝材Cuは、例えば、接着剤によってフランジ211に接着されている。緩衝材Cuは、例えば、スポンジである。従って、操作装置100が船舶1に搭載される状態において、フランジ211と、船舶1を構成する部材102aとの間に緩衝材Cuが位置する。その結果、船舶1を構成する部材102aに対して、操作装置100のがたつきを防止できる。また、本実施形態において、緩衝材Cuは弾性を有する。従って、船舶1を構成する部材102aが傷つくことを防止できる。
【0092】
本体200は、基板260をさらに含む。本実施形態において、基板260は、略円板形状を有する。基板260には、例えば、スイッチ220及び操作部225が実装される。また、基板260から電線Cdが引き出されている。本実施形態において、基板260は、筒部250の内部に配置される。従って、基板を筒部の内部に配置しない場合と比較して、スイッチ220をスイッチ配置部210に容易に配置できる。
【0093】
本実施形態において、筒部250は、規制部254を有する。規制部254は、筒部250の内面から筒部250の中心に向かって突出する。具体的には、規制部254は、第1筒部251の内面から突出する。規制部254は、筒部250の内面に沿って延びる面である。すなわち、規制部254は、略円環形状を有する。本実施形態において、基板260の外縁部は、規制部254に対向する。従って、基板260を筒部250の内部に配置するときに、スイッチ配置部210に向かう方向への基板260の移動を規制できる。
【0094】
本実施形態において、本体200は、パッキンPaをさらに含む。パッキンPaは、スイッチ配置部210の外周縁210eを囲むように配置される。パッキンPaは、本実施形態において、略円環形状を有する。パッキンPaは、フランジ211に接触している。パッキンPaの材料は、例えば、合成ゴムである。蓋部300を本体200に装着させる際に、パッキンPaは、フランジ211に圧接される。その結果、蓋部300とフランジ211との間から水が浸入することを防止できる。
【0095】
本実施形態では、蓋部300が本体200に装着された状態において、壁部230の外周面は、蓋部300の内周面に対向する。例えば、図8では、第1壁部231aの外周面は、蓋部300の第3壁部320の内面に対向する。従って、スイッチ配置部210に配置されるスイッチ220まで水が浸入することを効果的に防止する。
【0096】
本実施形態において、スイッチ220には、カバー部材221が被せられている。カバー部材221は、例えばブーツである。従って、スイッチ220とスイッチ配置部210との間から水が浸入することを防止できる。
【0097】
本実施形態において、スイッチ220aは、第1突出部材332a及び第2突出部材332bによって挟持されている。つまり、蓋部300が本体200に装着されている状態において、スイッチ220aは、倒さない状態(特定の状態)に保持される。
【0098】
次に、図9を参照して、本体200に装着されるときの蓋部300の向きについて説明する。図9(a)は、本体200に正しい向きで装着されるときの蓋部300を示す。図9(b)は、本体200に誤った向きで装着されるときの蓋部300を示す。なお、図9では、紙面において、本体200に装着させるときの蓋部300について、蓋部300の左端と右端とを維持したまま、蓋部300の裏と表とを反転させた状態を示している。
【0099】
図9(a)に示すように、第1凸部341が一対の第1壁部231の一方に対向する状態において、第2凸部342は、一対の第1壁部231の他方に対向する。すなわち、第1凸部341が高さの低い第1壁部231aに対向する状態において、第2凸部342は、高さの低い第1壁部231bに対向する。従って、本体200に正しい向きで蓋部300が装着される場合、一対の係合部350をそれぞれ一対のガイド部234に挿入でき、蓋部300を本体200に装着できる。
【0100】
一方、図9(b)に示すように、第1凸部341が一対の第1壁部231の他方に対向する状態において、第2凸部342は、一対の第2壁部232のうちの一方に対向する。すなわち、第2凸部342が高さの低い第1壁部231aに対向する状態において、第1凸部341は、高さの高い第2壁部232bの一部に対向する。従って、本体200に誤った向きで蓋部300が装着される場合、第1凸部341が、高さL1の第1壁部231bよりも大きい高さL2を有する第2壁部232bに当接する。その結果、一対の係合部350をそれぞれ一対のガイド部234に挿入できず、蓋部300を本体200に装着できない。
【0101】
従って、誤った向きで蓋部300が本体200に装着されることを防止できる。その結果、スイッチ220の状態が、複数の状態のうちの特定の状態と異なる状態であるときに、蓋部300が回転することに応じて、蓋部300は、より精度よく、スイッチ220の状態を異なる状態から特定の状態に遷移させることができる。
【0102】
(変形例)
次に、図10を参照して、本実施形態の変形例に係る蓋部300zについて説明する。図10(a)は、蓋部300zを示す斜視図である。図10(b)は、蓋部300zを示す平面図である。変形例では、第1突出部材332azがガイド面S1を有し、第2突出部材332bzがガイド面S3を有する点で、変形例は実施形態と主に異なる。以下、変形例が実施形態と異なる点を主に説明する。なお、説明の便宜上、図10(b)では、スイッチ220aを破線で示している。
【0103】
図10に示すように、第1突出部材332azは、ガイド面S1と、保持面S2とを有する。ベース部310に対するガイド面S1の角度は、ベース部310に対する保持面S2の角度よりも緩やかである。すなわち、蓋部300の内面に対するガイド面S1の角度は、蓋部300の内面に対する保持面S2の角度よりも小さい。また、第2突出部材332bzは、ガイド面S3と、保持面S4とを有する。ベース部310に対するガイド面S3の角度は、ベース部310に対する保持面S4の角度よりも緩やかである。ガイド面S1とガイド面3とは対向する。また、保持面S2と保持面S4とは対向する。
【0104】
本変形例において、スイッチ220aの状態が特定の状態と異なる状態であるとき、蓋部300zが本体200に装着されると、スイッチ220aは、ガイド面S1またはガイド面S3に接触する。そして、蓋部300が回転することに応じて、ガイド面S1またはガイド面S3にガイドされて、スイッチ220aが保持面S2と保持面S4との間に配置される。従って、ガイド面S1のベース部310に対する角度及びガイド面S3のベース部310に対する角度が、それぞれ、保持面S2のベース部310に対する角度及び保持面S4のベース部310に対する角度と略同一である場合と比較して、スイッチ220の状態を、滑らかに、異なる状態から特定の状態に遷移させることができる。
【0105】
具体的には、スイッチ220aの状態が一方側に倒された状態であるとき、蓋部300zが本体200に装着されると、スイッチ220aは、ガイド面S1に接触する。そして、蓋部300が回転することに応じて、ガイド面S1にガイドされて、スイッチ220aが保持面S2と保持面S4との間に配置される。
【0106】
また、スイッチ220aの状態が他方側に倒された状態であるとき、蓋部300zが本体200に装着されると、スイッチ220aは、ガイド面S3に接触する。そして、蓋部300が回転することに応じて、ガイド面S3にガイドされて、スイッチ220aが保持面S2と保持面S4との間に配置される。
【0107】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、又は、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0108】
図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、周期等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0109】
例えば、図5を参照して説明したように、本実施形態において、スイッチ220a~スイッチ220cの各々は、例えば、トグル式のスイッチであった。ただし、スイッチ220a~スイッチ220cの各々は、トグル式以外のスイッチであってもよい。例えば、スイッチ220a~スイッチ220cの各々は、磁気式のスイッチでありうる。この場合、蓋部300は、例えば磁石を含む。例えば、蓋部300の磁石の磁界に応じて、スイッチ220aは、例えば、クラッチをニュートラル状態にする。また、例えば、蓋部300の磁石の磁界に応じて、スイッチ220bは、予備操船システム10をオフに設定する。なお、スイッチ220a~スイッチ220cの各々は、トグル式且つ磁気式のスイッチであってもよい。この場合、予備操船システム10が用いられるときには、操船者は、スイッチ220a~スイッチ220cを容易に操作できる。また、予備操船システム10から主操船システム20に切り替えられるときには、操船者は、例えば、スイッチ220bを操作して予備操船システム10をオフに設定することを失念する場合であっても蓋部300を本体200に装着させるだけで予備操船システム10をオフに設定できる。その結果、スイッチ220a~スイッチ220cを容易に操作できつつ、安全性を向上できる。
【0110】
また、例えば、図4を参照して説明したように、本実施形態において、一方の連通部230aは第1壁部231aに含まれ、他方の連通部230aは第1壁部231bに含まれた。ただし、一対の連通部230aが壁部230に含まれる限り、一方の連通部230aは第2壁部232aに含まれ、他方の連通部230aは第2壁部232bに含まれてもよい。この場合、周方向R2に沿った連通部230aの幅は、蓋部300の係合部350の周方向R2に沿った幅よりも短い。従って、係合部350がガイド部234から外れることを防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、操作装置及び船舶に関するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0112】
1 船舶
31 エンジン制御部(電気機器)
100 操作装置
200 本体
210 スイッチ配置部
220 スイッチ
230 壁部
230a 連通部
231 第1壁部
232 第2壁部
250 筒部
260 基板
300 蓋部
310 ベース部
320 第3壁部
330 突出部
341 第1凸部
342 第2凸部
400 螺合部材
500 押圧部
600 弾性体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10