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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】車載用チャイルドシート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/28 20060101AFI20240304BHJP
【FI】
B60N2/28
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020533195
(86)(22)【出願日】2018-12-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2018085033
(87)【国際公開番号】W WO2019121413
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-03-29
(31)【優先権主張番号】202017107887.6
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】505222381
【氏名又は名称】サイベックス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トゥルン、クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ミューラー、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】スチャーフ、フロリアン
【審査官】瀧本 絢奈
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0121400(US,A1)
【文献】国際公開第2011/054063(WO,A1)
【文献】特開2000-142194(JP,A)
【文献】国際公開第2017/029272(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0062917(US,A1)
【文献】特開2016-013831(JP,A)
【文献】特表2010-531274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00-2/90
F16F 1/00-6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャイルドシートに収容された子供用の少なくとも1つの接触面装置(10、11、17)を備え、
前記接触面装置は、少なくとも第1の部位(12)および第2の部位(13)を有し、
前記第2の部位(13)は、前記第2の部位のほうへ子供が変位した場合に、子供の減速を減衰させるために前記第2の部位に作用する少なくとも部分的に外側方向への力の作用により、前記第1の部位(12)に対して第1の位置から第2の位置に移動可能であり、
前記第1の位置から前記第2の位置への移動中において、前記第2の部位の境界の少なくとも1つの第2のボーダー部位と、第1の部位との間の距離は同じままであり、および/または、前記第1の部位(12)と前記第2の部位(13)は、前記第2の部位(13)の境界の前記第2のボーダー部位で少なくとも部分的に互いに堅固に接続され、
前記チャイルドシートの少なくとも1つの壁(10、11)は、二重壁であり、前記第2の部位は内壁の一部であることを特徴とする車載用チャイルドシート。
【請求項2】
前記第2の位置では、前記第1の位置と比べて、前記第2の部位との境界にある少なくとも第1のボーダー部位と前記第1の部位との間の距離が増加することを特徴とする請求項1に記載のチャイルドシート。
【請求項3】
前記第1の位置における距離は、2cm未満であり、および/または前記第2の位置における距離は、少なくとも部分的に1.5cmを超えることを特徴とする請求項2に記載のチャイルドシート。
【請求項4】
前記第1の位置から前記第2の位置への移動は可逆的であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のチャイルドシート。
【請求項5】
前記第2の部位は、前記第1の部位に対して旋回可能であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のチャイルドシート。
【請求項6】
前記第2の部位(13)は、少なくとも部分的に、ばねとして設計され、または、弾性的に取り付けられることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のチャイルドシート。
【請求項7】
前記第2の部位(13)は、少なくとも部分的に、板ばねとして設計されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のチャイルドシート。
【請求項8】
前記第1の部位(12)および/または第2の部位(13)は、少なくとも実質的に寸法安定性および/または非多孔質材料から形成され、および/または少なくとも100kg/m の密度を有し、および/または少なくとも1mm、および/または最大30mmの厚さを有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のチャイルドシート。
【請求項9】
前記接触面装置(10、11、17)または少なくともその前記第1の部位(12)および/または第2の部位(13)は、接触壁によって画定され、および/またはパッドまたは他の中間要素によって覆われていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のチャイルドシート。
【請求項10】
前記接触面装置(10、11、17)は、少なくとも1つの側壁および/または後壁によって画定されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のチャイルドシート。
【請求項11】
前記第1の部位(12)および前記第2の部位(13)は、少なくとも前記第1の位置において、構造的に互いに分離されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のチャイルドシート。
【請求項12】
前記第2の部位(13)の境界は、少なくとも1つの第1のストレート部分を有し、前記第1のストレート部分は、少なくとも部分的に前記第1の部位(12)に恒久的に接続され、および/または、前記第2の部位の境界は、前記第1のストレート部分から離れており、少なくとも前記第1の部位(12)に対して恒久的には接続されていないことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のチャイルドシート。
【請求項13】
前記第2の部位(13)は、チャイルドシートに収容された子供の頭部から臀部までの領域に配置されるか、または、シートシェルまたはヘッドレストのサイドウイングの領域に配置されることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載のチャイルドシート。
【請求項14】
前記第2の部位(13)と前記第1の部位(12)との間の最大オフセットは、10mm以下、または、前記第2の部位(13)は、前記第1の部位(12)と同一平面にあることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載のチャイルドシート。
【請求項15】
前記第2の部位(13)の内方への移動が阻止されるように、ブロック装置(16)が設けられることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載のチャイルドシート。
【請求項16】
接触壁は、少なくとも1つの側壁および/または後壁を備えることを特徴とする請求項9に記載のチャイルドシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に係る車載用チャイルドシートに関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術では、自動車の座席に取り付けるための車載用チャイルドシートが一般に知られている。そのような車載用チャイルドシートは、チャイルドシートに子供を収容するための接触面装置を備えている。この接触面装置は、例えば、側壁および/または後壁によって画定され得る。
【0003】
一般に、そのような接触面装置は、子供を安全に、人間工学的に、快適に保持し、かつ、例えば事故発生期間中において、子供のほうへ(相対的に)移動して、子供を傷つける可能性のある要素に対するバリアとして機能するために設けられている。
【0004】
同時に、チャイルドシートに拘束された子供(またはその身体の一部)が、例えば事故発生期間中において、接触面装置に対して移動し、次いで接触面装置によって受け止められることが起こり得る。そのような場合、けがを回避するかまたは少なくとも軽減するために、拘束によって引き起こされる子供(または子供の身体の一部)の減速を許容レベルに制限することが望ましい。この目的のために、標準的なチャイルドシートは、例えば、繊維挿入物および/または軟質フォームおよび/または硬質フォーム(EPS、EPPなど)の形態のクッション構造、例えばパッドを多くの領域に持っている。さらに、ほとんどのチャイルドシートのシェルは、特定のばね特性を有するプラスチック材料でできており、接触面装置は、チャイルドシートのシェルの一部であってもよい。
【0005】
様々な理由のために、従来技術の解決策は不利であると考えられている。例えば、チャイルドシートのシェルは外部の影響に対して同時に保護する必要があるため、シェルの弾性特性がかなり弱くなるように設計されている場合がある。一方、パッドは、チャイルドシートに保持された子供が快適に使用できるように、比較的柔らかくする必要がある。一般に、ヒステリシスフォームやスペーサーファブリックなどの有利なパッドは比較的高価である。一方、硬質フォームは、比較的大きな力が加わると損傷するおそれがあり、かつ交換する必要があるか、または低下した安全性のみがもたらされる。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、子供が接触面装置によって受け止められたときに、子供の減速を簡単な方法で制限することにある。
【0007】
本目的は、請求項1に記載のチャイルドシートによって解決される。
【0008】
特に、本目的は、自動車の座席に取り付けられる車載用チャイルドシートにより解決される。本発明のチャイルドシートは、(子供または前記子供の体の一部を収容するために)前記チャイルドシートに収容された子供用の少なくとも1つの接触面装置を有し、前記接触面装置は、少なくとも第1の部位および第2の部位(減衰部位)を有し、前記第2の部位は、少なくとも部分的に外側に向けられ、前記第2の部位に作用して、前記第2の部位のほうに子供が変位した場合に、子供の減速を減衰させる力の作用により、前記第2の部位が前記第1の部位に対して第1の位置から第2の位置へ移動可能である。
【0009】
本発明の重要な態様は、第2の部位(減衰部位)が、(例えば、衝撃の状況下で)子供の減速を制限するように設計されていることである。これにより、子供が過度の減速によってケガをすることを比較的簡単な方法で防止(または少なくとも対応するリスクを軽減)することができる。これにより全体として安全性が向上する。
【0010】
基本的に、本発明の文脈において、「チャイルドシート」という用語は、「典型的な」チャイルドシートおよび幼児用キャリアの総称として理解されるべきことに留意すべきである。この点において(特定の文脈で別段の定めがない限り)チャイルドシートは、常に「チャイルドシート、場合によっては幼児用キャリア」の省略形として理解されるか、または、本発明の範囲内で、チャイルドシートを対象とする機能は、(特に反対の記載がない限り)原則として乳幼児用キャリアにも適用することができ、その逆も適用することができる。同じことが「チャイルド」という用語に当てはまる。この「チャイルド」の用語は、子供および乳幼児(赤ちゃん)および幼児の総称としても理解されるべきである。いわゆる「幼児用キャリア」は、多くの場合、赤ちゃんや子供を収容するために一体型のワンピースシェル(のみ)を備え、これとは別のベルトシステムを含むことができ、任意にヘッドレストおよびその他の適当な付属品を含むことができる。(構造的に分離した)背もたれの代わりに、そのような「幼児用キャリア」は、子供の臀部を収容できる「座席エリア」に隣接する背部セクションを有する。他方で、より大きい子供のためのチャイルドシートは、座席エリアから構造的に分離された背もたれを通常備えている。この背もたれの角度は、必要に応じて座席エリアに対して変更することができる。構造的境界は、例えば、捩れ(キンク)または同様のものによって形成することができる。
【0011】
接触面装置は、特に接触面要素であるものと理解される。接触面装置は、(必須ではないが)(一体的な)ワンピースに設計することができる。第1の部位および/または第2の部位は、それぞれ個別に組み立てるか、および/または、全体としてワンピース(特に一体的に)、または(個別の部品として)いくつかの部品で組み立てることができる。接触面装置(接触面要素)および/または第1の部位および/または第2の部位の厚さは、好ましくは少なくとも本質的に一定であるべきである。最大厚さは、例えば、最小厚さの3倍以下、より好ましくは2倍以下、更に好ましくは1.2倍以下にすることができる。第2の部位の面(特に、内側の面またはチャイルドシートに対して内向きの面、すなわち子供に面する面)は、少なくとも5cm、好ましくは少なくとも10cm、および/または最大で500cm、好ましくは最大で200cmにすることができる。
【0012】
第2の部位は、有効面積、特に有効面積要素、および/または減衰面積、特に減衰面積要素と呼んでもよい。第1の部位は、全体の接触面装置から第2の部位を除いたもの、またはその一部であってもよい。必要に応じて、第1の部位は、(少なくとも第1の位置または休止位置で)第2の部位を完全に取り囲む。
【0013】
第1の部位の面(特に、内面または内側に向く表面)は、任意に第2の部位の(特に内側の)面よりも大きい。第1の部位の(特に内側の)面は、好ましくは少なくとも20cm、より好ましくは少なくとも40cm、および/または最大で5,000でcm、好ましくは3,000cmである。接触面装置(接触面要素)は、後壁および/または側壁を形成してもよいし、または後壁および/または側壁の一部としてもよい。
【0014】
(第1の)位置から別の(第2の)位置への移動は、特に(第1の部位に対する)第2の部位が、スペース内でその位置および/またはその向きに関して変更されることを意味する。位置の変更は、特に、それぞれの部位の重心の変位である。この意味で(純粋な)変形は、(第1の)位置から別の(第2の)位置への移動とは基本的にみなさない。「第2の」位置は、「第1の」位置とは異なる位置である。「第2の位置」は固定される必要はなく、必要に応じて最大で所定の第2の位置まで、外向きに作用する力に依存することが好ましい。「第2の位置」は、特に、第1の位置に対して少なくとも部分的に外側にシフトされた第2の部位の位置である。第2の部位が変位されるとき、第1の部位は、(チャイルドシートの重心に対して)変位されないか、または変位されるとしてもわずかに変位されることが好ましい。
【0015】
少なくとも部分的に外側に向けられた力は、(少なくともコンポーネントに関しては)チャイルドシートの内側(すなわち、子供用収容スペース)から外側に向けられた力を意味するものと理解されるべきである。
【0016】
特に、「子供の減速を減衰させるため」という目的の記載は、減衰機能を実現できるように各部位(第1の部位と第2の部位)を構成および配置する必要性があることを意味する。特に、これは、収容スペース内での子供の変位によって、第2の部位に力を加えることができることを暗に意味する。これは、特に、(変位の場合に)第2の部位と子供との間にこれを阻止する構造がまだある場合、不可能である。
【0017】
一般に、「接触面装置」(または接触表面要素)という用語は、(第1の部位に対する)第2の部位の配置形状構造によって減衰され得る子供の変位によって第2の部位に力が加えられるのを妨げない限り、子供と接触面装置(または接触表面要素)との間の他の構造、特にパッドの存在を排除するものではない。
【0018】
接触面装置(接触面要素)は、特にシートシェルおよび/またはヘッドレストにより画定することができる。
【0019】
第1および/または第2の部位は、例えば、境界および/または折り曲げ線(または他の、特に関節接合または継手接合の境界)によって、構造的に区切られるかまたは境界決定されることが好ましい。
【0020】
好ましくは、第2の位置では、第1の位置と比較して、一方では第2の部位の境界の少なくとも第1のボーダー部位と、他方では第1の部位(または第1の部位の境界に隣接する第1のボーダー部位それぞれ)との間の距離が増加する。この距離は、第1の位置において好ましくは2cm未満、より好ましくは1cm未満、特に(少なくとも本質的に)0cmに等しい。さらに、第2の位置では、この距離は、少なくとも部分的に、1.5cm超、好ましくは5.0cm超とすることができる。第2の部位の境界の第1のボーダー部位とは、特に、第1の部位に対して移動可能であるか又はそれに固定的に接続されていない第2の部位の境界の部位のことを意味している。対応するボーダー部位の幾何形状によっては、ボーダー部位上の個々のポイントで多少の距離の増加がみられる。これに関して、考慮されるボーダー部位のポイントの少なくとも50%で距離の増加が生じるように、距離の増加が達成されている。この距離の増加は、全てのポイントで同じである必要はない。この「距離」に特定の値(例えば、最小値または最大値)が指定されている限りにおいて、これは、第2の部位の境界の考慮されたボーダー部位上のすべてのポイントが第1の部位の次のポイントまでの距離に関して評価される場合に、結果として生じる距離を意味するものと理解されることが好ましい。この評価から得られる最大値は、「距離」として解釈されるべきである。例えば、第1の位置において、第2の部位の壁の第1のボーダー部位上での第1番目グループのポイントは、第1の部位の最も近いポイントまで1cmの距離を有し、第2グループのポイントは、2cmの距離を有し、2cmの値が使用されることが好ましい。
【0021】
一般に、特に第2の部位(減衰部位または減衰エリア)は境界を有し、その第2の部位の第1のボーダー部位は、周囲の(残りの)接触面装置から第2の部位(減衰または有効エリア)の区切り(デリミテーション)によって形成されている。好ましくは、ボーダーの第2の部位は、周囲の(残りの)接触面装置への移行によって形成される。
【0022】
特定の実施形態では、第1の位置から第2の位置への移動は可逆的である。好ましくは、第2の部位(減衰エリア)は、それ以上の力が加えられなくなるか、または特定の力の閾値がなくなると、すぐに第2の位置から第1の位置に戻される。一般に、復帰動作は、自己作動型(自動)であることが好ましい。ただし、そのような復帰には対応する(例えば、手動での)アクションが必要となる場合もある。
【0023】
第2の部位は、フラップ(衝撃フラップ)として設計されることが好ましい。
【0024】
特定の実施形態では、第2の部位は第1の部位に対して旋回させることができ、特に、それは旋回フラップとして設計される。代替的または追加的に、第2の部位は、第1の部位に対して並進移動することができ、任意には併進移動可能フラップとして設計することができる。特に、重畳回転並進移動も考えられ、この移動の実現のために(例えば、スライドガイド、湾曲した接触面等の)適当な手段が当業者に知られている。
【0025】
第2の部位は、少なくとも部分的に、ばね、特に板ばね(またはそのようなばね、特に板ばねを含む)として設計される。代替的または追加的に、第2の部位は、ばね、特にコイルばねによって取り付けることができる。このようにして、第1の位置への任意の自動復帰を可能にすることができる。さらに、ばねは、子供の変位による力に対抗する予張力(プリテンション)を生じさせるために(特に、後述するブロック装置との相互作用において)採用することができる。全体として、安全性が簡単な方法で改善される。
【0026】
第1の位置は、(子供の変位のために)力が全く加えられないか、または特定の力の閾値を少なくとも超えない場合に、第2の部位が採用する休止位置であると理解されることが好ましい。対応する力の適用に起因して(または対応する力の閾値を超えて)、第1の部位に対する第2の部位の変位または移動(例えば、旋回および/または並進移動)が発生した場合に、第2の位置が存在するものとみなされるべきである。力の量と方向に応じて、第2の位置は変わる場合がある。この点で、第2の位置は、特定の範囲(例えば、角度範囲および/または距離)にわたって連続的に、または必要に応じて、(例えば、ラチェット機構等によって)個別のステップにおいて様々に変化する可能性がある。
【0027】
接触面装置または第1および/または第2の部位は、(少なくとも実質的に)寸法的に安定した材料から形成されることが好ましい。寸法的に安定した材料は、特に、その材料が(少なくとも実質的に)外部の影響(圧力)に抵抗することを意味するものと理解される。代替的または追加的に、接触面装置または少なくとも第1および/または第2の部位は、それぞれ(少なくとも実質的に)非多孔性または高密度の材料から形成することができる。(実質的に)非多孔質の材料は、30%未満、好ましくは10%未満、さらに好ましくは5%未満の細孔容積を有する材料であることが好ましい。
【0028】
接触面装置の材料、または第1および/または第2の部位の材料の密度は、少なくとも200kg/m、好ましくは少なくとも500kg/m、さらにより好ましくは少なくとも800kg/mとすることができる。さらに、接触面装置(または少なくとも第1および/または第2の部位)の厚さは、少なくとも1mm、好ましくは少なくとも2.5mm、および/または最大で30mm、好ましくは最大で15mmとすることができる。密度が変動する限りにおいて、最大値を使用することができるか、または閾値を使用する場合、その閾値の上下は各ケースで対象とする体積の50体積%の密度が範囲に入る。厚さが変動する限りにおいて、最大厚さまたは閾値を使用することができ、閾値を使用する場合、その閾値の上下は対象とする表面積の50体積%の厚さの範囲を用いることが好ましい。多層、特に二重壁のシェルの場合では、上記の値は、特に内側(最も内側)の壁を適用する必要がある(すなわち、接触面装置は、特に、二重壁または多層壁構造の内壁またはその一部となる)。
【0029】
接触面装置の材料、または第1および/または第2の部位の材料は、プラスチック、好ましくは熱可塑性プラスチックおよび/または特にポリオレフィン、例えばポリプロピレンをベースとするポリマー、および/またはポリアミドとすることができる。一般に、射出成形に適した全ての材料が適する。代替的に(または追加的に)、接触面装置または第1および/または第2の部位は、(少なくとも部分的に)金属、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金または鋼で作製することもできる。
【0030】
接触面装置または少なくともその第1および/または第2の部位は、接触壁によって画定されてもよい。さらに、接触面装置、少なくともその第1および/または第2の部位は、パッドまたは(特に内側の)他の中間要素によって覆われてもよい。接触壁は、シートシェルによって画定されることが好ましい。
【0031】
接触面装置は、一般に、少なくとも1つの側壁および/または後壁によって画定されてもよい。特に、上記の接触壁は、少なくとも1つの側壁および/または後壁を含むことができる。
【0032】
第1の位置から第2の位置へ移動する際に、第2の部位の境界の少なくとも第2のボーダー部位と、第1の部位(または第1の部位の境界の隣接する第2のボーダー部位)との間の距離はそのまま同じにしていてもよい。
【0033】
第1の部位および第2の部位は、部分的に互いに(堅固に)接続することができ、特に第2の部位の境界の第2のボーダー部位で好ましくは互いに一体に形成することができる。代替的に、第1および第2の部位は、他のコンポーネント、特に、両方のコンポーネントの各点がそれぞれ他のコンポーネントから除去され得るコンポーネントによっても形成することができる。
【0034】
第2の位置では、第1の位置と比べて、第2の部位の境界全体と第1の部位(または第1の部位の壁の隣接するボーダー部位)との間の距離を大きくすることができる。
【0035】
第1および第2の部位は、特にスリットおよび/またはカットおよび/またはキンクおよび/または曲げ部位によって、(場合によっては第1の位置でも)構造的に互いに分離されてもよい。
【0036】
第2の部位の境界は、特に多角形状、好ましくは四角形状、より好ましくは台形状の少なくとも1つの第1のストレート部分を有することができる。好ましくは、第1のストレート部分は、第1の部位に対して少なくとも部分的に恒久的に接続され、特に第2の位置においても少なくとも部分的に恒久的に接続され、および/または第2の部位の境界は、第1のストレート部分から離れており、少なくとも第1の部位に対して恒久的には接続されておらず、特に、第1の部位に対して移動可能である。
【0037】
好ましくは、(第1の位置または休止位置の側面図において)第2の部位(有効エリア)は、後方に向かって先細りとなっている。すなわち、前方エリアよりも後方エリアのほうで狭くなっている。
【0038】
好ましくは、(例えば四角形状の、特に台形状の)第2の部位(有効エリア)の下部エッジ(特に、下部ストレートエッジ)は、特に(反対側の)上部(特に、ストレートな)エッジが外側に旋回できるような方法で、第1の部位に堅固に接続されている。これにより、力を効果的かつ安全に吸収できる。代替的に、また、後部または前部または下部(特にストレートな)エッジも外側向きに旋回することができる。
【0039】
第2の部位は、チャイルドシートに収容される子供の(少なくともほぼ)頭部から臀部までの領域に、特にチャイルドシートのヘッド領域に、特にチャイルドシートに収容された子供の頭を収容するために設計されている例えばシートバックおよび/またはヘッドレストの領域に、あるいはシートシェルまたはヘッドレストのサイドウイングの領域に、特に頭の高さに対応するように、配置されることが好ましい。
【0040】
(第1の位置における)第2の部位と第1の部位との間の最大オフセットは、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下、さらにより好ましくは2mm以下、さらにより好ましくは1mm以下である。特定の実施形態で、第2の部位を第1の部位と面一(同一平面)にすることができる。オフセットは、(必要ならば)第2の部位と第1の部位との並置から結果として生じる段差(ステップ)を特に意味する。ここで述べた数値は、特にこの段差(ステップ)の高さを示す。
【0041】
好ましくは、ブロック装置、特に止め具(ストップ)は、第2の部位の内側への移動が(すなわち、子供の方向に)阻止されるように設けられている。第1の位置の第2の部位は、例えば、ばねおよび/または第2の部位の弾性マウント(上記参照)として第2の部位を設計することにより特に提供できるばね力によってブロック装置に押し付けられることが好ましい。このようなブロック装置は、特に、第2の部位が第1の位置に予張力を有することを可能にし、その結果、第2の部位が第1の部位に対して移動する前に、最初に予張力を克服する必要がある。これにより、第1の部位に対して第2の部位が移動する(または移動し始める)力の閾値を容易に規定することができる。
【0042】
チャイルドシートの少なくとも1つの壁は二重壁であってもよく、第2の部位は内壁の一部であることが好ましい。
【0043】
実施形態では、第2の部位の境界の第1のボーダー部位は、第1の部位(または接触面装置の周辺部)から区切り(ギャップ、特に第2の位置で)によって画定される。好ましくは、境界の第2のボーダー部位は、第1の部位(または第接触面装置の周辺部)への移行によって形成することができる。
【0044】
境界の第1および任意に第2のボーダー部位は、それぞれ対応していることが好ましい。区切り(デリミテーション)は、例えばスリットまたはカットまたは他のギャップの形態の構造であることが好ましい。遷移(トランジション)は、例えばシームレスにすることができるが、第1の部位と第2の部位とが別々のコンポーネントを形成するか、または別々のコンポーネントの一部になるようにすることもできる。
【0045】
第2の部位の境界は、(少なくとも部分的に)湾曲し、特にアーチの形態とすることができる。接触面装置の第2の部位は、平坦であっても(または平坦でなくても)よい。
【0046】
実施形態では、第2の部位と第1の部位(または接触面装置の周辺部)との間の遷移部は、第2の部位の跳ね返りを可能にするように設計されている。これは、(特に、第2の部位が板ばねのように設計されている場合)、適した材料、例えばプラスチックを選択することによるばかりでなく、遷移領域(必要に応じて、第2の部位を含む接触面装置の全体)の適切な厚さを選択することによっても、および境界の第2のボーダー部位の適切な長さを選択することによっても達成することができる。
【0047】
好ましい実施形態では、第2の部位の壁は、厳密に1つの遷移部位と、厳密に1つの区切り部位とを有する。
【0048】
ブロック装置(ブロック手段)は、第2の部位の内側への(チャイルドシートに拘束された子供に向かう)動きを阻止することができるが、必要に応じて、いつでも第2の部位(有効エリア)を外側(チャイルドシートに拘束された子供から離れた位置)に移動させることができる。ブロック装置(ブロック手段)は、特に、必要に応じて、境界の第1の部位(全体)の領域またはその少なくとも部分的な部位で有効な止め具(ストップ)を備えることができる。これにより、外側からチャイルドシートに作用する要素が第2の部位を内側に移動させ、それによってチャイルドシートに保持された子供の頭部領域を危険にさらすことを効果的に防ぐことができる。操作のモードは、(どの位置にもロックされることがない)ドアのモードに匹敵するものである。
【0049】
好ましくは、接触面装置は、チャイルドシートの二重壁(特にシェル)によって画定される。内壁は、少なくとも部分的に、接触面装置の少なくとも一部を形成することが好ましい。第2の部位は、特にチャイルドシートの壁(シェル)の内壁の一部であることが好ましい。第2の部位(有効エリア)は、厳密に1つの遷移部位と厳密に1つの区切り部位とを有する。第2の部位(有効エリア)と対向する壁(シェル)の外壁の部位は、連続するように設計され、外部からチャイルドシートに対して作用する要素(エレメンツ)に対する保護機能を提供することが好ましい。これは、この移動のために常に所期のスペースを利用できるようにし、かつ第2の部位(有効エリア)の移動を外部から制限できないようにするために、第2の部位の移動用の保護領域(有効エリア)を特につくり出す。
【0050】
さらなる実施形態では、チャイルドシートの壁(シェル)は、二重壁で設計されてもよく、内壁は、少なくとも部分的に接触面装置の少なくとも一部を形成する。特に、第2の部位(有効エリア)は、チャイルドシートのシェルの内壁の一部であることが好ましい。第2の部位(有効エリア)は、厳密に1つの区切り部位を有し、かつ遷移部位を有さないことが好ましい。第2の部位(有効エリア)と反対側の壁(シェル)の外壁の部位とは、外側からチャイルドシートに作用する要素に対して保護機能を提供するために、連続するように設計されていることが好ましい。第2の部位(有効エリア)は、少なくとも弾性要素(例えばばね)を介して外側および/または内側の壁に取り付けられることが好ましい。これは、この移動のために提供されるスペースを常に利用できるようにし、かつ第2の部位(有効エリア)の移動が外部から制限されないようにするために、第2の部位(有効エリア)の移動用に形成されるべき保護領域を可能にする。
【0051】
原則として、第2の部位の操作(移動)を(それを超える前に移動が起こらない)閾値に結びつけることが可能である。
【0052】
第2の部位(有効エリア)の最大負荷能力(すなわち、最大たわみまたは最大変位が達成される負荷)は、最大3000ニュートン、または最大1500ニュートン、または最大700ニュートン、または最大300ニュートンの力とすることができる。最大負荷能力は、例えば、さらに対策が講じられた場合において、例えば100ニュートン、または40ニュートン、または10ニュートンの最大値に低下する場合もあり得る。そのような(更なる)対策は、例えば、側面衝撃保護要素または力制限装置であり得る。最大たわみは、最大20cm、または最大10cm、または最大5cm、または最大2cmであり得る。(最大)たわみは、第1の位置でのそのポジションと比較した最も大きな変化を受ける第2の部位のそのポジション(またはポジションのグループ)のたわみである。
【0053】
最大負荷能力と最大たわみから、必要に応じて特性評価に使用することができるばね定数が得られる。
【0054】
特に、内壁と外壁を備えた実施形態の場合、例えば、車両のシートバックに隣接するエリアにおいて外側から要素が貫通するリスクがないとき、外壁は、(例えば、軽量化により)非連続的(例えば、フレーム状)に形成されてもよい。
【0055】
本発明のさらなる実施形態は、従属請求項から生じる。
【0056】
以下において、本発明は、図面を用いてより詳細に説明される実施形態によって説明される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1図1は、本発明のチャイルドシートの概略斜視図。
図2図2は、第1の位置にある本発明のチャイルドシートの詳細を示す概略模式図。
図3図3は、第2の位置にある図2のチャイルドシートの詳細を示す概略模式図。
図4図4は、第1の位置にある他の実施形態のチャイルドシートの図2に類似する詳細を示す概略模式図。
図5図5は、第2の位置にある図4のチャイルドシートの詳細を示す概略模式図。
図6図6は、更なる他の実施形態のチャイルドシートの第1の位置の図2に類似する詳細を示す概略模式図。
図7図7は、第2の位置にある図6のチャイルドシートの詳細を示す概略模式図。
図8図8は、他の実施形態のチャイルドシートの図2に類似する詳細を示す概略模式図。
図9図9は、第2の位置にある図8のチャイルドシートの詳細を示す概略模式図。
図10図10は、第1の位置にある他の実施形態のチャイルドシートの図2に類似する詳細を示す概略模式図。
図11図11は、第2の位置にある図10のチャイルドシートの詳細を示す概略模式図。
図12図12は、内部が部分的に露出した本発明のチャイルドシートの概略側面図。
図13図13は、図2のチャイルドシートの拡大詳細図。
図14図14は、図12図13のチャイルドシートの第2の部位の内側(有効エリア)を示す断面図。
図15図15は、図14のチャイルドシートの拡大詳細図。
図16図16は、(フード付き)シートの第2の部位の内側(有効領域)を示す斜視図。
図17図17は、フード付きシートの斜視図。
図18図18は、(フード付き)シートの切欠部分図。
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下の説明において、同一および同等の部品に同じ参照番号を使用する。
【0059】
図1に、本発明のチャイルドシートの斜視図を示すが、この図では本発明の接触面装置は詳細に見ることができない。第2の部位の形成に適した領域(有効エリア)は、破線9で示されている。
【0060】
図2図3に、第1の実施形態のチャイルドシートの壁(シェル)の詳細を概略的に示す。本実施形態のチャイルドシートは、内壁10および外壁11を有する。内壁10は、順番に第2の部位13(有効エリア)および第1の部位12を有する。第2の部位13は、(外壁1の方向に)外向きの力が加えられたとき、第1の部位12に対して移動または旋回することができるようになっている(図3を参照)。第1の部位12および第2の部位13は、(固定接続を規定しない)区切り部位14および(好ましくは固定、この場合は関節式接続を規定する)遷移部位15によって互いに構造的に分離されている。図2では、第2の部位13は(力の負荷なしで)第1の位置にあり、図3では、第2の部位は(最大)たわみの状態で第2の位置にある。
【0061】
図4および図5の実施形態は、本質的に図2および図3の実施形態に対応するものであり、ブロック装置(止め具)16がさらに設けられる。ブロック装置は、例えば外部からの物体が変形するか、または外壁を突き破った場合に、第2の部位13が内側に旋回するのを防止する。必要に応じて、遮断装置は、第2の部位13が(図4の位置で)内側に予張力を有することを可能にしてもよい。
【0062】
図6図7の実施形態は、図4図5の実施形態に対応しているが、壁は部分的に二重になるだけであり、すなわち、外壁11は内壁10全体にわたって延び出していない。ただし、本実施形態では、第2の部位13は、二重壁である領域に配置されている。
【0063】
図2図7とは対照的に、図8および図9は、壁17が1つだけであるが、図4および図5のようなブロック装置16を有する単一壁の壁を示す。
【0064】
図10および図11に、基本的に図4および図5による二重壁の実施形態を再び示す。ただし、図4および図5とは対照的に、第2の部位13は、第1の部位12に対して旋回可能ではないが、並進移動可能であり、ばね要素18を介して取り付けられている。ばね要素18は、第2の部位13の外面19と外壁11の内面20との間に配置される。区切り部位14はあるが、遷移部位はない(図2の遷移部位15を参照)。
【0065】
図12は、第2の部位13(または有効エリア)を含む本発明のチャイルドシート(隠しフード付き)の側面図を示す。この第2の部位13は、台形の形状を有し、後部に向かって先細になっている。第2の部位13は、図13に再び拡大して示されている。
【0066】
図14に、第2の部位13の内側を見たときの、図12および図13のチャイルドシートの断面を示す。図15に、第2の部位13の周りの細部の対応する拡大を示す。
【0067】
図16に、第2の部位13の内側を見た、フード付きの図12の本発明のチャイルドシートの斜視図を示す。
【0068】
図17に、第2の部位13がトップ21によって(少なくとも大部分が)重ね合わされたシートの斜視図を示す。
【0069】
図18に、フード21に対する第2の部位13の位置がわかるように、(フード21を備えた)チャイルドシートの断面を示す。具体的には、図18は、第1の部位12への遷移移行として、第2の部位13が(上方、前方および後方で)区切り部位14によって境界付けられ、(下方で)遷移部位15によって境界付けられることを示している。(本質的に垂直に)上方または下方に延びるエッジ面は、チャイルドシートの残りの壁(特に第1の部位12)に対して(上部の)区切り部位14と同様に、それぞれ移動または旋回可能である。
【0070】
図12図18(例えば、図12を参照)には、側面衝撃保護要素22も示されている。この側面衝撃保護要素22は、(チャイルドシートの壁の外壁から)外側に移動(旋回)して、外部衝撃に対する側面衝撃保護を向上させることができる。第2の部位13(有効エリア)とは対照的に、側面衝撃保護要素22は、その変位または衝撃で子供が接触面(内壁側)の方向に移動することができるという事実によって、(少なくともかなりの程度まで)移動可能であるように配置および構成される。むしろ、好ましくは、側面衝撃保護具22が外側に変位するような方法で、例えば外側に旋回するような方法で、チャイルドシートを(例えば、車両シートに取り付けた後に)調整することができる別の作動手段を設けるか、またはその移動のために別の作動が必要とされる。
【0071】
側面衝撃保護具と第2の部位13(または減衰エリア要素)の配置形状構造との間の基本的な概念の違いは、側面衝撃保護具22が衝突状況(事故状況)より以前にすでに(かなり)外側に変位または旋回していることにある。第3の部位13は、この衝撃を緩和するために、チャイルドシートの内壁側に対する子供の衝撃のみによって対応して変位するようになっている。
【0072】
第2の部位13および/または側面衝撃保護要素22は、複数の、特に二重の構造(例えば、一度に片側にそれぞれ第2の部位13または側面衝撃保護要素22)で提供されてもよい。
【0073】
本願出願の時点において、単独で考慮され、および任意の組み合わせて考慮された上記の全ての部品、特に図面に示された詳細は、本質的に発明性があると主張されていることに留意すべきである。この変更は、当業者によく知られている。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
チャイルドシートに収容された子供用の少なくとも1つの接触面装置(10、11、17)を備え、
前記接触面装置は、少なくとも第1の部位(12)および第2の部位(13)を有し、
前記第2の部位(13)は、前記第2の部位のほうへ子供が変位した場合に、子供の減速を減衰させるために前記第2の部位に作用する少なくとも部分的に外側方向への力の作用により、前記第1の部位(12)に対して第1の位置から第2の位置に移動可能であることを特徴とする車載用チャイルドシート。
[2]
前記第2の位置では、前記第1の位置と比べて、前記第2の部位との境界にある少なくとも第1のボーダー部位と前記第1の部位との間の距離が増加し、
前記第1の位置における距離は、好ましくは2cm未満、より好ましくは1cm未満、特に少なくとも実質的に0に等しく、および/または、
前記第2の位置における距離は、少なくとも部分的に1.5cm超え、好ましくは5cm超えることを特徴とする[1]に記載のチャイルドシート。
[3]
前記第1の位置から前記第2の位置への移動は可逆的であることを特徴とする[1]または[2]のいずれか1つに記載のチャイルドシート。
[4]
前記第2の部位は、前記第1の部位に対して旋回可能であり、特に旋回フラップとして設計され、および/または並進移動可能であることを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか1つに記載のチャイルドシート。
[5]
前記第2の部位(13)は、少なくとも部分的に、ばね、特に板ばねとして設計され、および/または、特にコイルばね(18)を介して弾性的に取り付けられることを特徴とする[1]乃至[4]のいずれか1つに記載のチャイルドシート。
[6]
前記第1の部位(12)および/または第2の部位(13)は、少なくとも実質的に寸法安定性および/または非多孔質材料から形成され、および/または少なくとも100kg/m 、好ましくは少なくとも500kg/m 、さらに好ましくは800kg/m の密度を有し、および/または少なくとも1mm、好ましくは少なくとも2.5mm、および/または最大30mm、好ましくは最大15mmの厚さを有することを特徴とする[1]乃至[5]のいずれか1つに記載のチャイルドシート。
[7]
前記接触面装置(10、11、17)または少なくともその前記第1の部位(12)および/または第2の部位(13)は、接触壁によって画定され、および/または、特に内側でパッドまたは他の中間要素によって覆われていることを特徴とする[1]乃至[6]のいずれか1つに記載のチャイルドシート。
[8]
前記接触面装置(10、11、17)は、少なくとも1つの側壁および/または後壁によって画定され、特に先行する請求項に記載の接触壁は、少なくとも1つの側壁および/または後壁を備えることを特徴とする[1]乃至[7]のいずれか1つに記載のチャイルドシート。
[9]
前記第1の位置から前記第2の位置への移動中において、前記第2の部位と前記第1の部位の境界の少なくとも1つの第2のボーダー部位との間の距離は同じままであり、および/または、前記第1の部位(12)と前記第2の部位(13)、特に、前記第2の部位(13)の境界の前記第2のボーダー部位で少なくとも部分的に互いに堅固に接続され、好ましくは互いに一体に形成されているか、または、前記第2の位置では、前記第1の位置と比べて、前記第2の部位(13)の境界全体と前記第1の部位(12)との間の距離が増加することを特徴とする[1]乃至[8]のいずれか1つに記載のチャイルドシート。
[10]
前記第1の部位(12)および前記第2の部位(13)は、少なくとも前記第1の位置において、特にスリットまたはカットによって構造的に互いに分離されていることを特徴とする[1]乃至[9]のいずれか1つに記載のチャイルドシート。
[11]
前記第2の部位(13)の境界は、特に多角形状、好ましくは四角形状の形態の少なくとも1つの第1のストレート部分を有し、前記第1のストレート部分は、好ましくは少なくとも部分的に前記第1の部位(12)に恒久的に接続され、特に前記第2の位置においても少なくとも部分的に恒久的に接続され、および/または、
前記第2の部位の境界は、前記第1のストレート部分から離れており、少なくとも前記第1の部位に対して恒久的には接続されてなく、特に前記第1の部位に対して移動可能であることを特徴とする[1]乃至[10]のいずれか1つに記載のチャイルドシート。
[12]
前記第2の部位(13)は、チャイルドシートに収容された子供の頭部から臀部までの領域に、特にチャイルドシートのヘッド領域に、例えば、特にチャイルドシートに収容された子供の頭部を収容するために設計されているシートバックおよび/またはヘッドレストの領域に配置されるか、または、特に子供の頭部の高さに対応するように設計されているシートシェルまたはヘッドレストのサイドウイングの領域に配置されることを特徴とする[1]乃至[11]のいずれか1つに記載のチャイルドシート。
[13]
前記第2の部位(13)と前記第1の部位(12)との間の最大オフセットは、10mm以下、好ましくは5mm以下、より好ましくは2mm以下、より好ましくは1mm以下、または、前記第2の部位(13)は、前記第1の部位(12)と同一平面にあることを特徴とする[1]乃至[12]のいずれか1つに記載のチャイルドシート。
[14]
前記第2の部位(13)の内方への移動が阻止されるように、前記第1の位置の前記第2の部位(13)は、例えばばね力によって押し付けられるブロック装置(16)、特に止め具が設けられることを特徴とする[1]乃至[13]のいずれか1つに記載のチャイルドシート。
[15]
前記チャイルドシートの少なくとも1つの壁(10、11)は、二重壁であり、前記第2の部位は好ましくは内壁の一部であることを特徴とする[1]乃至[14]のいずれか1つに記載のチャイルドシート。
【符号の説明】
【0074】
9…破線、10…第1の壁、11…第2の壁、12…第1の部位、13…第2の部位、14…区切り部位、15…遷移部位、16…ブロック装置、17…壁、18…ばね要素、19…内面、20…外面、21…フード、22…側面衝撃保護要素。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
図10
図11
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