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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】海藻ベースの粉末
(51)【国際特許分類】
   C08L 5/00 20060101AFI20240304BHJP
   A23L 17/60 20160101ALI20240304BHJP
   A23L 29/256 20160101ALI20240304BHJP
   A23C 13/14 20060101ALI20240304BHJP
   A61K 47/46 20060101ALI20240304BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20240304BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240304BHJP
   A61K 8/9706 20170101ALI20240304BHJP
   A61K 8/9717 20170101ALI20240304BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240304BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20240304BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20240304BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20240304BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20240304BHJP
   C08L 101/14 20060101ALI20240304BHJP
   A23K 10/30 20160101ALI20240304BHJP
【FI】
C08L5/00
A23L17/60 Z
A23L29/256
A23C13/14
A61K47/46
A61K9/14
A61K47/36
A61K8/9706
A61K8/9717
A61Q19/00
A61Q5/00
A61Q11/00
A61K47/42
A61Q19/10
C08L101/14
A23K10/30
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020545798
(86)(22)【出願日】2019-03-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-15
(86)【国際出願番号】 US2019023405
(87)【国際公開番号】W WO2019183377
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2022-03-04
(31)【優先権主張番号】18163052.6
(32)【優先日】2018-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397058666
【氏名又は名称】カーギル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】マゾイェ、ジャック、アンドレ、クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】アゴダ-タンジャワ、ゲバ
(72)【発明者】
【氏名】ルロイ、ヘレン、クリステル、オデット
(72)【発明者】
【氏名】ロアック、オーレリー
【審査官】中落 臣諭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/054812(WO,A1)
【文献】特開2006-234444(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L1/00-101/14
C08K3/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巨視的な多細胞性の海洋藻類の少なくとも80wt%の乾燥基準の粒子を含む海藻ベースの粉末であって、再構成した脱脂乳の溶液の総重量に対して前記粉末の0.3wt%を含む再構成した脱脂乳の溶液で測定して、少なくとも30Paの貯蔵弾性率(G’)を有し、G’は前記溶液を10℃で0.4Hzの周波数掃引試験に供することによって決定し、前記脱脂乳は、室温で4時間撹拌しながら、18.2MΩ.cm抵抗率を有する超純水に10%w/wで粉末脱脂乳を溶解して再構成されており、前記粉末が、最大で0.1wt%の臨界ゲル化濃度(C)を有する、海藻ベースの粉末。
【請求項2】
前記粉末の総重量に基づいて、最大で25wt%の含水量を有する、請求項1に記載の粉末。
【請求項3】
前記G’が少なくとも50Paである、請求項1又は2に記載の粉末。
【請求項4】
前記Cが、0.001~0.100wt%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の粉末。
【請求項5】
前記粉末が、少なくとも50のCIELAB L値を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の粉末。
【請求項6】
前記粉末が、前記粉末の総重量に基づいて、少なくとも1wt%の食物繊維成分を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の粉末。
【請求項7】
前記粉末が、前記粉末の総重量に基づいて、少なくとも0.1wt%のタンパク質成分を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の粉末。
【請求項8】
前記粉末が、前記粉末の重量に対して最大で20wt%のCl含有量を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の粉末。
【請求項9】
前記粉末が、前記粉末の重量に対して最大で50wt%の量の酸不溶性材料(AIM)を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の粉末。
【請求項10】
前記粉末が、前記粉末の重量に対して最大で5.0wt%の量の酸不溶性灰(AIA)を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の粉末。
【請求項11】
前記海藻が、アマノリ属の一種(Porphyra sp.)、ダルス(Palmaria Palmata)、キリンサイ属スピノサム種(Eucheuma spinosum)、キリンサイ(Eucheuma denticulatum)、キリンサイ属の一種(Eucheuma sp.)、キリンサイ属コットーニィ種(Eucheuma cottonii(カッパフィカス属アルベレッチー種(Kappaphycus alvarezii)としても知られる))、オオキリンサイ(Kappaphycus striatus)、オオキリンサイ属の一種(Kappaphycus sp.)、ツノマタ属トチヤカ種(Chondrus crispus)、アイリッシュモス(Irish moss)、Fucus crispus、ツノマタ属の一種(Chondrus sp)、Sarcothalia crispata、アカバギンナンソウ属laminaroides(Mazzaella laminaroides)、アカバギンナンソウ属の一種(Mazzaella sp.)、スギノリ属acicularis(Chondracanthus acicularis)、スギノリ属chamissoi(Chondracanthus chamissoi)、スギノリ属の一種(Chondracanthus sp.)、スギノリ属pistilla(Gigartina pistilla)、スギノリ属mammillosa(Gigartina mammillosa)、スギノリ属skottsbergii(Gigartina skottsbergii)、スギノリ属の一種(Gigartina sp.)、オゴノリ属の一種(Gracilaria sp)、テングサ属の一種(Gelidium sp.)、イボノリ属stellatus(Mastocarpus stellatus)及びこれらの混合物からなる海藻の群から選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の粉末。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の前記粉末と、追加の化合物とを含む組成物であって、前記化合物が粉末状又は非粉末状形態であり、前記製品が、グアーガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、カッシアガム、タラガム、コンニャクガム、アルギン酸、寒天、カラギーナン、β 1,3グルカン、デンプン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、組成物。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の前記粉末又は前記組成物を含む食品製品、飼料製品、パーソナルケア製品、医薬製品又は工業製品。
【請求項14】
前記製品が乳製品である、請求項13に記載の製品。
【請求項15】
請求項1~11のいずれか一項に記載の前記海藻ベースの粉末を製造する方法であって、
a.海藻及び水を含有し、少なくとも5wt%の乾燥固形分(DS)含有量を有する、バイオマスを提供するステップと、
b.前記バイオマスを浸出プロセスにかけて、前記海藻の内部に存在する前記水を浸出させるステップと、浸出された海藻を含む浸出されたバイオマスを得るステップと、
c.任意選択で、前記浸出されたバイオマスを最大で40wt%の水分レベルまで乾燥させて、乾燥した浸出されたバイオマスを得るステップと、
d.前記浸出されたバイオマスを塩水で調理して、調理されたバイオマスを得るステップと、
e.任意選択で、前記調理されたバイオマスを洗浄及び/又は乾燥させるステップと、
f.ステップd)又はe)の前記調理されたバイオマスを海藻ベースの粉末に変換するステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品、飲料、栄養製品、栄養補助食品、飼料、パーソナルケア用途、医薬用途及び工業用途において使用するための海藻ベースの粉末に関する。本発明はまた、海藻ベースの粉末の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
世界中の海藻生産量は、20,000,000t/年のオーダーであると考えられる。近年、海藻の栽培及び収穫の改善された方法が開発されて、生産量を増加させるだけでなく、より効率的な成長の制御を可能にした。欧州特許第2230895、欧州特許第3246292号及び国際公開第2017/131510号は、海藻の栽培システムの例を開示している。しかしながら、海藻の栽培及び収穫における最近の開発にもかかわらず、海藻は依然として、広範囲の用途で有効に使用されるための汎用性を欠いていると考えられる。
【0003】
海藻は、一般に、海洋環境において、岩又は他の硬い底質に付着している植物様の生物である。海藻は、微細藻類などの微視的なものであり得るが、海底にある仮根から「森」や塔のような水中森林に成長する真昆布のように巨大であることもある。海藻種の大部分は、緑(6500種を超える)、褐色(約2000種)、又は赤色(約7000種)の種類のいずれかである。
【0004】
数百年以来、海藻がヒト並びに動物の健康に有益であることが認識され、近年、様々な研究により、海藻が脂肪代替品として有効であることが実証されている。人々は、食事と健康との間の関係をより認識するようになるにつれて、海藻の消費はますます注目を集めている。今日、海藻に基づく多くの新しい食品製品が開発及び販売されており、健康効果の向上、及び疾患のリスクを低減する可能性を提供してきた。直接、又は栄養補助食品として軽微な前処理後に消費された場合に、広範な健康上の利点に加えて、海藻は、栄養、物理化学、及びテクスチャ特性などの自然の機能特性の範囲を有し、様々な製品を製造するための成分として使用される場合、海藻は、これらの製品に有利な機能特性を伝達し得る。
【0005】
例えば、海藻は、保水性及びレオロジー特性を呈し、粘度を増加させ、ゲルを形成し、及び/又は乳化剤として作用する自然の能力を有する。しかしながら、それらの優れた特性にもかかわらず、海藻は、商品と見なされるには程遠く、これは主に加工適性が低いためである。ほとんどの場合、海藻は、収穫されたまま、すなわち未加工のものとして使用され、そこから製造される製品の様々なレオロジー特性を変性又は向上させる。しかしながら、収穫直後の海藻は保存期間が短いため、保存性を伸ばすために乾燥させ、海藻をより扱いやすくする、又は包装するために、しばしば粉末と呼ばれる粉に粉砕する。米国特許第2018/0000137号は、粉砕された藻類の粉末を開示している。国際公開第2008/050945号、国際公開第2015/033331号、及び国際公開第2017/204617号は、バイオ複合体、パーソナルケア組成物、並びに粉砕された乾燥及び湿潤海藻から作製されたハードカプセルなどの製品を開示しており、いくつかの種類の海藻粉末は市販されており、更にはオンラインで注文することができる。
【0006】
このような加工の1つの欠点は、乾燥及び破砕された海藻が本来のレオロジー特性を失うことがあることである。市販の海藻粉末及び既知のプロセスに従って製造されたものは、粘度を向上させゲルを形成する能力が低下し得ることが観察された。広範囲の用途で使用するのに好適なゲルを形成するために、粉末の能力を定義する2つの主要なレオロジー要件が存在し、それらは(i)最適な強度を有するゲルを生成するための粉末の能力と、(ii)ゲルを生成するために必要な粉末の量である。
【0007】
市販の海藻ベースの粉末の一部は、比較的強いゲルを提供することができると思われる。しかしながら、ゲルを生成するためには、大量の粉末が必要である。大量の海藻ベースの粉末を使用すると、それを利用する製品の他の特性、例えば、分散性、色、臭気、味、口当たり、一貫性、外観、及び滑らかさなどに悪影響を及ぼし得る。
【0008】
一方、いくつかの市販の海藻ベースの粉末は、比較的少量であってもゲルを生成することができる。しかしながら、これらの粉末は弱いゲルのみを生成することが観察された。最適なゲル強度を有さないという欠点は、そのようなゲルが、大部分の用途で利用するには適さない特性を有することがあり、したがって粉末の有用性が低下することである。
【0009】
海藻を使用する代わりに、海藻から様々な海藻抽出物を蒸留することである。このようなプロセス、例えば、国際公開第2014/074592号に開示されているプロセスは、典型的には、特定の機能性を有する抽出物を生成するために、多少の刺激の強い化学物質を使用し、これは、長期間保存でき、比較的少量の添加剤として使用することができ、それを含む製品の特性を改善又は強化する。このような抽出物の例としては、例えばアルギン酸、寒天などの様々な粘液性物質が挙げられる。これらの抽出物は、抽出された海藻のものと比較して非常に優れたレオロジー特性を有し、様々な産業において、例えば増粘剤などの良好な用途が見出される。しかしながら、海藻抽出物の栄養的効果は海藻のものと比較して大幅に低下している。
【0010】
したがって、未処理海藻の栄養的、物理化学的及び健康上の利益を維持するだけでなく、優れたレオロジー特性も有する海藻ベースの製品が必要とされている。特に、最適な強度を有するゲルを生成する能力を有し、加えて、ゲルを含む製品の他の特性に影響を及ぼさない、又は影響が少ない量で使用できる海藻ベースの製品が必要である。また、上記の望ましい特性を有する自然の、すなわち化学的に変性されていない海藻ベースの製品も必要とされている。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、機能性が改善された、すなわち優れたレオロジー特性を有し、且つ粉末を作製するために利用される海藻の栄養的及び健康上の利点を大部分有する海藻ベースの粉末を提供する。本発明の海藻ベースの粉末は、意図される用途に最適な強度を有するゲルを生成する能力を有する。また、ゲルを生成するために、ゲルを含む製品の他の特性に影響を及ぼさない、又は影響が少ないほど十分に少ない量で使用できる海藻ベースの製品が必要である。
【0012】
特に、本発明は、当該粉末の0.3wt%の水性分散体で測定して、少なくとも30Paの貯蔵弾性率(G’)を有する海藻ベースの粉末を提供し、当該粉末は、最大で0.1wt%の臨界ゲル化濃度(C)を有する。
【0013】
本発明はまた、本発明による海藻ベースの粉末(以下、「本発明の粉末」)を生成する自然のプロセスを提供する。本発明の自然なプロセス(以下、「本発明のプロセス」)は、自然な熱処理及び機械的処理並びに無害な成分のみを利用し、アルカリ性塩基、酸化剤若しくは漂白剤、酸又はアルコールなどの刺激の強い化学物質を使用しない。使用される唯一の添加製品は、海に通常見られる水及び天然塩、したがって海藻自体(例えばKCl)である。本発明のプロセスの更なる利点は、海藻の栄養的及び健康上の利益を維持し得ることであり得る。
【0014】
したがって、様々な製品の製造における本発明の粉末の利用は、これらの製品に優れたレオロジー特性及びテクスチャを付与するだけでなく、当該製品の健康関連特性も改善し得ると考えられる。加えて、本発明の粉末は、色、味、臭い、口当たり、外観などの、粉末を含有する製品の他の特性に与える影響が小さい。
【0015】
例えば、食品製品の場合、本発明の粉末の利用は、様々な疾患(例えば、肥満、脂質異常症、高血圧、糖尿病)に対する耐性を改善することができる。
【0016】
本発明者らはまた、使用状況に応じて、本発明の粉末が、それを含む製品の特性、例えば、レオロジー特性の最適な調節、変更、及び/又は適合を可能にすることがあり、そのような製品の設計者がそのような製品中の成分の数を減らし、それによってそれらのレシピを簡略化し得ることも観察した。
【0017】
例えば、食品製品に使用される場合、本発明の分散体は、当該製品のテクスチャ、流れ、口当たり及び/又は摂取にプラスの影響を与えるだけでなく、消化の生物学的メカニズムに有利に影響し、及び/又は所望の生理学的影響をもたらし得る。
【0018】
パーソナルケア製品で使用される場合、本発明の分散体は製品の外観にプラスの影響を与え、そのような製品中に存在する活性物質を毛髪、皮膚又はその他のケアを必要とする場所に最適に伝達し得る。医薬製品についても同様である。
【0019】
本発明の分散体の他の利点は、以下に記載される本発明の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】海藻ベースの粉末試料のCを決定する方法を示す。
図2】本発明の粉末を使用して、標準的品質改良剤で製造されたクリーム状デザートのレオロジー特性の比較を示す。
図3】本発明の粉末を使用して、標準的品質改良剤で製造されたゲル状デザートのレオロジー特性の比較を示す。 発明の詳細な説明
【0021】
本発明は海藻ベースの粉末に関する。海藻の種類は、多くの種類の海藻から選択され得る。本発明の文脈において、「海藻」とは、野生で成長するか、又は養殖され得る巨視的な多細胞性の海洋藻類であると理解される。野生の海藻は、通常、ヒトによる栽培や管理なしに、海や海洋の深層水域で成長する。養殖された海藻は、通常、海や海洋の表面の下に配置されるロープ、布地、ネット、チューブネットなどの様々な支持体上で栽培される。海藻はまた、海水を含むプール、池、タンク又は反応器内で養殖されて、海岸又は内陸に置かれ得る。用語「海藻」は、赤色、褐色、及び緑色の海藻の仲間を含む。
【0022】
本文書全体を通して、海藻の科、属などの特定の分類法が使用されている。言及される分類法は、海藻の養殖及び収穫の技術において、及び/又は海藻抽出物の技術において典型的に使用されるものである。赤色の海藻の分類法は、例えば、C.W.Schneider及びM.J.Wynne によるBotanica Marina 50(2007):197-249、G.W.Sauders及びM.H.HommersandによるAmerican Journal of Botany 91(10):1494-1507,2004、及びAthanasiadis,A.によるBocconea 16(1):193-198.2003-ISSN 1120-4060に記載される。緑色の海藻の分類法は、例えば、Naselli Flores L及びBarone R.(2009)Green Algae、Gene E.Likens,(Editor)Encyclopedia of Inland Waters.volume 1,pp.166-173 Oxford:Elsevierに記載される。褐色海藻の分類法は、例えば、John D.Wehr in Freshwater Algae of North America-Ecology and Classification,Edition:1,Chapter:22,Publisher:Academic Press,Editors:John D.Wehr,Robert G.Sheath,pp.757-773に記載される。
【0023】
好ましくは、本発明に従って使用される海藻は、赤色海藻、すなわち、紅藻植物門(Rhodophyta phylum)に属する海藻、又は褐色海藻、すなわち褐藻類(Phaeophycaeae)の部類における種類、科、及び属である。赤い海藻は、海藻に存在し、フィコビリン(phycobilin)、例えばフィコエリトリン(phycoerythrin)と呼ばれる色素によって与えられる特徴的な赤又は紫がかった色を有する。
【0024】
より好ましくは、海藻は、スギノリ科(Gigartinaceae)、ウシケノリ網(Bangiophyceae)、ダルス科(Palmariaceae)、イバラノリ科(Hypneaceae)、シストクロニウム科(Cystocloniaceae)、ミリン科(Solieriaceae)、オオツキノリ科(Phyllophoraceae)、及びススカケベニ科(Furcellariaceae)、又はこれらの組み合わせの科から選択される赤色海藻である。最も好ましくは、海藻は、ウシケノリ(Bangiales)、ツノマタ(Chondrus)、イリダエア(Iridaea)、ダルス(Palmaria)、スギノリ(Gigartina)、オゴノリ(Gracilaria)、テングサ(Gelidium)、Rhodoglossum、イバラノリ(Hypnea)、キリンサイ(Eucheuma)、オオキリンサイ(Kappaphycus)、Agarchiella、オオツキノリ(Gymnogongrus)、Sarcothalia、オオツキノリ(Phyllophora)、イタニグサ(Ahnfeltia)、アカバギンナンソウ(Mazzaella)、イボノリ(Mastocarpus)、スギノリ(Chondracanthus)、ススカケベニ(Furcellaria)及びこれらの混合物の属から選択される。
【0025】
海藻が、アマノリ属の一種(Porphyra sp.)、ダルス(Palmaria Palmata)、キリンサイ属スピノサム種(Eucheuma spinosum)、キリンサイ(Eucheuma denticulatum)、キリンサイ属の一種(Eucheuma sp.)、キリンサイ属コットーニィ種(Eucheuma cottonii(カッパフィカス属アルベレッチー種(Kappaphycus alvarezii)としても知られる))、オオキリンサイ(Kappaphycus striatus)、オオキリンサイ属の一種(Kappaphycus sp.)、ツノマタ属トチヤカ種(Chondrus crispus)、アイリッシュモス(Irish moss)、Fucus crispus、ツノマタ属の一種(Chondrus sp)、Sarcothalia crispata、アカバギンナンソウ属laminaroides(Mazzaella laminaroides)、アカバギンナンソウ属の一種(Mazzaella sp.)、スギノリ属acicularis(Chondracanthus acicularis)、スギノリ属chamissoi(Chondracanthus chamissoi)、スギノリ属の一種(Chondracanthus sp.)、スギノリ属pistilla(Gigartina pistilla)、スギノリ属mammillosa(Gigartina mammillosa)、スギノリ属skottsbergii(Gigartina skottsbergii)、スギノリ属の一種(Gigartina sp.)、オゴノリ属の一種(Gracilaria sp)、テングサ属の一種(Gelidium sp.)、イボノリ属stellatus(Mastocarpus stellatus)及びこれらの混合物からなる海藻の群から選択された場合、最良の結果が得られた。
【0026】
赤色海藻の一部、例えば、カッパフィカス属アルベレッチー種(Kappaphycus alvarezii)は、緑色又は褐色の品種を有し得ることが知られている。しかしながら、例えば海藻が赤色海藻であることを言及する場合、本発明の文脈内で、それは、本明細書において門であり、品種の色ではないことを意味する。
【0027】
最も好ましい褐色海藻は、アスコフィルム(Acsophyllum)、Durvillaea、カジメ(Ecklonia)、Hyperborea、コンブ(Laminaria)、レッソニア(Lessonia)、マクロシスティス(Macrocystis)、ヒバマタ(Fucus)及びホンダワラ(Sargassum)科から選択されるものである。褐色海藻の具体例としては、ブルケルプ(Bull Kelp)(Durvillae potatorum)、Durvillae種、D.antarctica及びKnotted Kelp(アスコフィルム属nosodum(Ascophyllum nosodum)が挙げられる。
【0028】
本発明者らは、緑色(すなわち、緑色植物門(Chlorophyta)及び車軸藻植物門(Charophyta)の群に属する海藻)及び褐色海藻から得られた本発明の粉末は、飼料又は工業製品の製造において概ね有利であることを観察した。
【0029】
海藻ベースの粉末とは、本明細書では、海藻粒子の集まりであると理解され、すなわち、当該粉末は海藻粒子を含む。当該粒子は、本発明の方法に従って海藻を加工することによって得られ得る。好ましくは、海藻粒子は、好ましくは少なくとも20μm、より好ましくは少なくとも50μm、更により好ましくは少なくとも75μm、更により好ましくは少なくとも85μm、最も好ましくは少なくとも120μmのD50を有する。好ましくは、当該D50は、最大で750μm、より好ましくは最大で500μm、更により好ましくは最大で350μm、最も好ましくは最大で250μmである。好ましくは、当該D50は、20μm~750μm、より好ましくは50μm~350μm、最も好ましくは75μm~250μmである。
【0030】
好ましくは、本発明の粉末を形成する海藻粒子は、好ましくは少なくとも125μm、より好ましくは少なくとも100μm、更により好ましくは少なくとも175μm、最も好ましくは少なくとも220μmのD90を有する。好ましくは、当該D90は、最大で800μm、より好ましくは最大で600μm、最も好ましくは最大で400μmである。好ましくは、当該D90は、125μm~800μm、より好ましくは175μm~600μm、最も好ましくは220μm~400μmである。
【0031】
好ましくは、海藻粒子は、少なくとも20μmのD50、及び少なくとも125μmのD90、より好ましくは少なくとも50μmのD50、及び少なくとも175μmのD90、最も好ましくは少なくとも75μmのD50、及び少なくとも220μmのD90を有する。
【0032】
好ましくは、本発明の粉末は乾燥粉末である。乾燥粉末は、本明細書では、粉末の総重量に基づいて、最大で25wt%の含水量を有する粉末と理解される。好ましくは、含水量は、少なくとも4wt%、より好ましくは少なくとも6wt%、更により好ましくは少なくとも8wt%、最も好ましくは少なくとも10wt%である。好ましくは、当該含水量は、最大で20wt%、より好ましくは最大で15wt%、最も好ましくは最大で12wt%である。好ましくは、当該含水量は、4wt%~20wt%、より好ましくは6wt%~15wt%、最も好ましくは8wt%~12wt%である。本発明による過度に乾燥した粉末は、生成に費用がかかることがあり、一方、過度に湿潤した粉末は、保存期間がわずかに短くなることがあることが観察された。
【0033】
好ましくは、本発明の海藻ベースの粉末は、少なくとも80%の乾燥基準の海藻粒子、より好ましくは少なくとも90%の乾燥基準、更により好ましくは少なくとも92%の乾燥基準、最も好ましくは少なくとも96%のwt%の乾燥基準を含有する。残りのwt%から最大100wt%には、海藻粒子以外の異物が含まれていることがある。異物の例としては、海藻の処理後に海藻粒子間に通常残存する不純物及び/又は望ましくないミネラル(すなわち、ヒト又は動物の健康に有害なミネラル)が挙げられる。例えば、海藻を注意深く洗浄及び処理して本発明の粉末にすることによって、異物の存在を最小限に抑えることが望ましい。
【0034】
本発明者らは、本発明の粉末が水性媒体に分散した場合に機能的特性を有することを観察し、すなわち、当該粉末は、レオロジー特性を調整し、粉末を含む製品を既存の海藻粉末ではこれまで達成できなかったレベルに安定化するのに役立つ。
【0035】
本発明の粉末は、当該粉末の0.3wt%の水性分散体で測定して、少なくとも30Paの貯蔵弾性率(G’)、及び最大で0.1wt%の臨界ゲル化濃度(C)を有する。
【0036】
本発明の粉末は、少なくとも30PaのG’を有し、好ましくは、本発明の粉末は、少なくとも35Pa、より好ましくは少なくとも40Pa、より好ましくは少なくとも50Pa、より好ましくは少なくとも60Pa、より好ましくは少なくとも70Pa、より好ましくは少なくとも90Pa、更により好ましくは少なくとも110Pa、最も好ましくは少なくとも120PaのG’を有する。好ましくは、当該G’は、最大で500Pa、より好ましくは最大で400Pa、更により好ましくは最大で300Pa、最も好ましくは最大で200Paである。
【0037】
本発明はまた、当該粉末の0.3wt%の水性分散体で測定して、少なくとも50Paの貯蔵弾性率(G’)を有する海藻ベースの粉末を提供し、当該粉末は、最大で0.1wt%の臨界ゲル化濃度(C)を有する。
【0038】
本発明の粉末の機能性は、当該粉末の製造において原材料として使用される海藻の種類に応じて広範囲に変化させることができる。例えば、少なくとも30Pa、更には少なくとも50PaのG’値を有する本発明の粉末は、スピノサム(Spinosum)から得ることができ、一方、少なくとも120Pa、更には少なくとも180Paのより高いG’は、それぞれ、ツノマタ(Chondrus)又はコットーニィ(Cottonii)から得ることができる。
【0039】
貯蔵弾性率G’は、一般に、製品のレオロジー特性を分析するために使用され、ほとんどの場合、当該製品は分散体を作製するために使用される。G’は、剪断力が加えられているときに分散体に蓄積される変形エネルギーの測定値であり、分散体の粘弾性挙動に影響を与える当該製品の能力を示す優れた指標となる。本発明の目的のために、水性媒体の総重量に対して、0.3wt%の低減された量の本発明の粉末を含有する水性媒体でG’を測定した。可能な限り低い粉末濃度で、可能な限り高いG’値を有する分散体を達成することが非常に望ましい。
【0040】
本発明の粉末を含有する「水性分散体」とは、本明細書では、当該粉末が水性媒体中に分散され、当該水性媒体が好ましくは連続相を形成する組成物と理解される。好ましくは、当該粉末は、当該媒体中に均質に分散される。粉末は、水性媒体内(すなわちバルク中)に分散され得るが、当該水性媒体中に存在する任意の界面、例えば、水と粉末以外の任意の成分、例えば油との間の界面に存在し得る。分散体の例としては、懸濁液、エマルション、溶液などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
本明細書で使用する「水性媒体」という用語は、水を含有する液体媒体を意味し、その非限定的な例には、純水、水溶液及び水懸濁液が含まれるが、乳製品、例えば再構成した脱脂乳、牛乳、ヨーグルトなど、ローション、クリーム、軟膏などのパーソナルケア製品、及び医薬製品に含有される水性液体媒体もまた含まれる。本発明の文脈内で、G’の判定に最も好ましい水性媒体は、再構成した脱脂乳であり、したがって、溶液の総重量に対して、0.3wt%の本発明の粉末を含有する再構成された脱脂乳の溶液でG’を測定した。
【0042】
本発明者らは、その最適なレオロジー特性により、本発明の粉末を食品製品、特に乳製品に添加すると、優れた食感を有する製品の製造が容易になり、例えば、滑らかで及び/又は光沢のあるテクスチャと、優れた口当たり、例えば、クリーミー及び/又は濃厚な口当たりとを得ることを観察した。更に、その優れた機能特性のために、本発明の粉末は、スプーンで切ることができる、半ゲル化又はゲル化された製品の製造を容易にし得る。製品中の本発明の粉末の量を変化させる場合、そのテクスチャは、所望の一貫性、バランス及び特性を有するように調整されることがあり、したがって、最適な外観、テクスチャ及び口当たりを有する製品の製造を可能にし得る。そのような有利な特性は、海藻ベースの成分を利用する製品でこれまで達成されなかった、発明者の知識にあった。本発明の粉末はまた、それを含有する製品の粘度、凝集性及び堅さを調整及び/又は増加させるだけでなく、当該製品内部のタンパク質及び粒子状物質を安定化するのに必要な機能性を有し得る。
【0043】
多種多様な製品、特に食品製品は、本発明の粉末の有利な特性から利益を得ることができ、食品製品の非限定的な例は、例えば、フラン、クリーム状デザート、カスタードプディング、プリン、卵ベースのデザート、カスタード、Vla、ムース、ホイップクリーム、曝気処理されたトッピング、多層デザートと、コーヒークリーマと、飲料及び特に乳飲料、例えば、風味を付けた乳製品及び飲用ヨーグルト、ココアミルクと、クリーム、特に乳製品クリームと、冷凍デザートとの、ゲル化された曝気処理された又はクリーム状のテクスチャを有するチルド又は周囲安定性デザートを含み、これらの食品製品は、乳製品又は植物性脂肪/タンパク質源に基づくことができる。
【0044】
本発明の粉末の改善された機能性の別の指標は、その低下した臨界ゲル化濃度(C)、すなわち、0.1wt%未満のCである。Cは、それ以下ではゲル様挙動が観察され得ない、水性媒体中の本発明の粉末の最低濃度を表す。Cはまた、ゲル化の臨界濃度とも呼ばれ、記述の「測定方法」セクションに提示されている方法に従って測定される。
【0045】
したがって本発明の粉末は、好ましくは、少なくとも0.001wt%、より好ましくは少なくとも0.005wt%、更により好ましくは少なくとも0.010wt%、最も好ましくは少なくとも0.015wt%のCを有する。好ましくは、当該Cは、最大で0.095wt%、より好ましくは最大で0.090wt%、更により好ましくは最大で0.085wt%、最も好ましくは最大で0.080wt%である。好ましくは、Cは、0.001~0.100wt%、より好ましくは0.005~0.090wt%、最も好ましくは0.010~0.080wt%である。より好ましくは、Cは、0.001~0.080wt%、より好ましくは0.005~0.060wt%、更により好ましくは0.010~0.050wt%、最も好ましくは0.010~0.040wt%である。
【0046】
本発明者らは、本発明の粉末がG’とC、特に高いG’と低いCの組み合わせを有することに気づき、これはいずれの海藻ベースの粉末でもこれまで達成されなかった。特に、本発明の粉末をより低い濃度で使用してG’値を上げることがあり、食品製品、飼料製品、及び他の製品の製造業者に、それらの最適な粘弾性特性を維持しながら構成物質を添加又は除去することが可能であり得るという点で、彼らのそれぞれの調製の設計の自由度を高め得る。
【0047】
本発明者らはまた、本発明の粉末が、それを含有する製品のレオロジー特性を、所望の稠度、挙動、テクスチャ、安定性に調整できることを観察した。この能力は、製品が衝撃及び高重力(G力)に曝されることがあり、その結果、当該製品内の様々な成分を分離させ、更にそこから染み出すことさえある場合に、当該製品の輸送中に特に重要である。これもまた成分の分離や漏れが発生する可能性があるため、この能力は保管中、特に長期保管中にも特に重要である。そのような望ましくない影響は、製品のテクスチャ、レオロジー、及び視覚的外観に悪影響を及ぼし得るため、非常に望ましくない。
【0048】
本発明の粉末はまた、例えば、白色度の観点から表されるような優れた外観を有する。特に、本発明の粉末は、少なくとも50、好ましくは少なくとも60、好ましくは少なくとも70、好ましくは少なくとも74、より好ましくは少なくとも76、更により好ましくは少なくとも78、最も好ましくは少なくとも80のCIELAB L値を有し得る。好ましくは、本発明の粉末は、最大で5.0、より好ましくは最大で3.5、最も好ましくは最大で2.0のCIELAB a値を有する。好ましくは、本発明の粉末は、最大で20、より好ましくは最大で17、最も好ましくは最大で15のCIELAB b値を有する。
【0049】
本発明の粉末はまた、臭気を低減し、ほとんど味がない。これらは、特定のテクスチャ、口当たり、外観などを有する製品の製造に「中性」成分が必要とされる場合に、優れた属性である。
【0050】
本発明の粉末の別の利点は、海藻の粒子を形成する海藻における食物繊維の存在、特に、可溶性及び不溶性食物繊維の存在である。繊維には、可溶性及び不溶性の2つの形態があり、それらの物理的特性及び生理学的効果の両方によって特徴付けられる。可溶性繊維は、水に溶解でき、追加の健康上の利点を提供すると考えられているガムなどの成分を含み、例えば、消化路の内壁をコーティングし、胃の構成要素の排出を遅らせ、糖吸収速度を遅くする。対照的に、不溶性繊維は、グルコマンナン及びグルカンのようなセルロース及びヘミセルロースのような物質からなり、不消化性部分である。このような繊維はかさを増し、消化路を通る食物の動きを改善し得る。
【0051】
本発明の粉末は、好ましくは、粉末の総重量に基づいて少なくとも1wt%、より好ましくは少なくとも5wt%、最も好ましくは少なくとも10wt%の食物繊維成分を含む。好ましくは、繊維含有量は、最大で90wt%、より好ましくは最大で80wt%、最も好ましくは最大で70wt%である。食物繊維含有量は、例えば、所望の食物繊維含有量を有する特定の海藻を選択すること、及び/又は海藻のブレンドを利用して、これを達成することによって調整できる。
【0052】
本発明の粉末の別の利点は、海藻の粒子を形成する海藻中のタンパク質の存在である。本発明の粉末は、好ましくは、粉末の総重量に基づいて少なくとも0.1wt%、より好ましくは少なくとも0.5wt%、最も好ましくは少なくとも1.0wt%のタンパク質成分を含む。好ましくは、タンパク質含有量は、最大で70量%、より好ましくは最大60wt%、最も好ましくは最大で50wt%である。タンパク質含有量は、例えば、所望のタンパク質含有量を有する特定の海藻を選択すること、及び/又は海藻のブレンドを利用して、これを達成することによって調整できる。
【0053】
本発明の粉末を製造するために使用される海藻の種類に応じて、当該粉末は、タンパク質及び食物繊維以外の有益な栄養素、例えばβ-カロテン、ビタミン、遊離脂肪酸、アミノ酸、ミネラル、ポリフェノールのような酸化防止剤、フィトステロールなどを自然に含有し得る(すなわち、添加することなく)。
【0054】
好ましくは、本発明の粉末はグルテンを含まない。より好ましくは、本発明の粉末は、小麦、穀物、ナッツ、及びグルテンを含まない。好ましくは、本発明の粉末は、化学的に変性されていない粉末である。化学的に変性されていない粉末とは、本明細書では、例えば本発明のプロセスのように、上述の刺激の強い化学物質を使用せずに、自然なプロセスによって製造された粉末と理解される。
【0055】
好ましくは、本発明の粉末は、粉末の重量に対して最大で20wt%、より好ましくは最大で15wt%、更により好ましくは最大で10wt%、最も好ましくは最大で5wt%のCl含有量を有する。好ましくは、当該Cl含有量は、少なくとも0.01wt%、より好ましくは少なくとも0.1wt%、最も好ましくは少なくとも1wt%である。本発明の粉末が好ましい範囲内のCl含有量を有する場合、その機能性が改善されることが観察された。
【0056】
好ましくは、本発明の粉末は、粉末の重量に対して最大で50wt%、より好ましくは最大で40wt%、更により好ましくは最大で30wt%、最も好ましくは最大で20wt%の酸不溶性材料(AIM)の量を含む。好ましくは、当該AIM含有量は、少なくとも1wt%、より好ましくは少なくとも5wt%、最も好ましくは少なくとも10wt%である。本発明の粉末が好ましい範囲内のAIM含有量を有する場合、その栄養特性が最適化されることが観察された。
【0057】
好ましくは、本発明の粉末は、粉末の重量に対して最大で5.0wt%、より好ましくは最大で3.0wt%、更により好ましくは最大で1.0wt%、最も好ましくは最大で0.80wt%の酸不溶性灰(AIA)の量を含む。好ましくは、当該AIA含有量は、少なくとも0.01wt%、より好ましくは少なくとも0.05wt%、最も好ましくは少なくとも0.10wt%である。好ましい範囲内のAIA含有量を有する本発明の粉末は、異物を当該製品に導入しない、又はより少ない程度で異物を当該製品に導入し、異物は次に当該製品の更なる精製ステップを必要とし得るため、食品製品、パーソナルケア製品及び医薬製品での使用により適していることが観察された。
【0058】
本発明は、当該粉末の0.3wt%の水性分散体で測定して、少なくとも30Paの貯蔵弾性率(G’)、及び最大で0.1wt%の臨界ゲル化濃度(C)を有する海藻ベースの粉末に更に関し、海藻は、赤色海藻、すなわち、紅藻植物門(Rhodophyta phylum)に属する海藻である。好ましくは、当該粉末は、少なくとも40Pa、より好ましくは少なくとも50Pa、より好ましくは少なくとも60Pa、より好ましくは少なくとも70Pa、より好ましくは少なくとも90Pa、更により好ましくは少なくとも110Pa、最も好ましくは少なくとも120PaのG’を有する。好ましくは、当該G’は、最大で500Pa、より好ましくは最大で400Pa、更により好ましくは最大で300Pa、最も好ましくは最大で200Paである。好ましくは、当該粉末のCは、0.001~0.100wt%、より好ましくは0.005~0.090wt%、最も好ましくは0.010~0.080wt%である。より好ましくは、Cは、0.001~0.080wt%、より好ましくは0.005~0.060wt%、更により好ましくは0.010~0.050wt%、最も好ましくは0.010~0.040wt%である。好ましくは、当該粉末は、少なくとも40PaのG’及び0.001~0.100wt%、より好ましくは0.005~0.090wt%、最も好ましくは0.010~0.080wt%のCを有する。好ましくは、当該粉末は、少なくとも90PaのG’及び0.001~0.100wt%、より好ましくは0.005~0.090wt%、最も好ましくは0.010~0.080wt%のCを有する。好ましくは、当該粉末は、少なくとも120PaのG’及び0.001~0.100wt%、より好ましくは0.005~0.090wt%、最も好ましくは0.010~0.080wt%のCを有する。好ましくは、当該粉末は、少なくとも50、好ましくは少なくとも60、好ましくは少なくとも70、好ましくは少なくとも74、より好ましくは少なくとも76、更により好ましくは少なくとも78、最も好ましくは少なくとも80のCIELAB L値を有し得る。好ましくは、海藻は、スギノリ科(Gigartinaceae)、ウシケノリ網(Bangiophyceae)、ダルス科(Palmariaceae)、イバラノリ科(Hypneaceae)、シストクロニウム科(Cystocloniaceae)、ミリン科(Solieriaceae)、オオツキノリ科(Phyllophoraceae)、及びススカケベニ科(Furcellariaceae)、又はこれらの組み合わせの科から選択される赤色海藻である。最も好ましくは、海藻は、ウシケノリ(Bangiales)、ツノマタ(Chondrus)、イリダエア(Iridaea)、ダルス(Palmaria)、スギノリ(Gigartina)、オゴノリ(Gracilaria)、テングサ(Gelidium)、Rhodoglossum、イバラノリ(Hypnea)、キリンサイ(Eucheuma)、オオキリンサイ(Kappaphycus)、Agarchiella、オオツキノリ(Gymnogongrus)、Sarcothalia、オオツキノリ(Phyllophora)、イタニグサ(Ahnfeltia)、アカバギンナンソウ(Mazzaella)、イボノリ(Mastocarpus)、スギノリ(Chondracanthus)、ススカケベニ(Furcellaria)及びこれらの混合物の属から選択される。
【0059】
本発明は更に、当該粉末の0.3wt%の水性分散体で測定して、少なくとも30Paの貯蔵弾性率(G’)、及び、最大で0.1wt%の臨界ゲル化濃度(C)を有する海藻ベースの粉末に関し、海藻は、アマノリ属の一種(Porphyra sp.)、ダルス(PalmariaPalmata)、キリンサイ属スピノサム種(Eucheumaspinosum)、キリンサイ(Eucheuma denticulatum)、キリンサイ属の一種(Eucheuma sp.)、キリンサイ属コットーニィ種(Eucheuma cottonii(カッパフィカス属アルベレッチー種(Kappaphycus alvarezii)としても知られる))、オオキリンサイ(Kappaphycus striatus)、オオキリンサイ属の一種(Kappaphycus sp.)、ツノマタ属トチヤカ種(Chondrus crispus)、アイリッシュモス(Irish moss)、Fucus crispus、ツノマタ属の一種(Chondrus sp)、Sarcothalia crispata、アカバギンナンソウ属laminaroides(Mazzaella laminaroides)、アカバギンナンソウ属の一種(Mazzaella sp.)、スギノリ属acicularis(Chondracanthus acicularis)、スギノリ属chamissoi(Chondracanthus chamissoi)、スギノリ属の一種(Chondracanthus sp.)、スギノリ属pistilla(Gigartina pistilla)、スギノリ属mammillosa(Gigartina mammillosa)、スギノリ属skottsbergii(Gigartina skottsbergii)、スギノリ属の一種(Gigartina sp.)、オゴノリ属の一種(Gracilaria sp)、テングサ属の一種(Gelidium sp.)、イボノリ属stellatus(Mastocarpus stellatus)及びこれらの混合物からなる海藻の群から選択された赤色海藻である。好ましくは、当該粉末は、少なくとも40Pa、より好ましくは少なくとも50Pa、より好ましくは少なくとも60Pa、より好ましくは少なくとも70Pa、より好ましくは少なくとも90Pa、更により好ましくは少なくとも110Pa、最も好ましくは少なくとも120PaのG’を有する。好ましくは、当該G’は、最大で500Pa、より好ましくは最大で400Pa、更により好ましくは最大で300Pa、最も好ましくは最大で200Paである。好ましくは、当該粉末のCは、0.001~0.100wt%、より好ましくは0.005~0.090wt%、最も好ましくは0.010~0.080wt%である。より好ましくは、Cは、0.001~0.080wt%、より好ましくは0.005~0.060wt%、更により好ましくは0.010~0.050wt%、最も好ましくは0.010~0.040wt%である。好ましくは、当該粉末は、少なくとも40PaのG’及び0.001~0.100wt%、より好ましくは0.005~0.090wt%、最も好ましくは0.010~0.080wt%のCを有する。好ましくは、当該粉末は、少なくとも90PaのG’及び0.001~0.100wt%、より好ましくは0.005~0.090wt%、最も好ましくは0.010~0.080wt%のCを有する。好ましくは、当該粉末は、少なくとも120PaのG’及び0.001~0.100wt%、より好ましくは0.005~0.090wt%、最も好ましくは0.010~0.080wt%のCを有する。好ましくは、当該粉末は、少なくとも50、好ましくは少なくとも60、好ましくは少なくとも70、好ましくは少なくとも74、より好ましくは少なくとも76、更により好ましくは少なくとも78、最も好ましくは少なくとも80のCIELAB L値を有し得る。好ましくは、海藻は、キリンサイ属スピノサム種(Eucheuma spinosum)、キリンサイ属コットーニィ種(Eucheuma cottonii)(カッパフィカス属アルベレッチー種(Kappaphycus alvarezii)としても知られる)、ツノマタ属トチヤカ種(Chondrus crispus)、アイリッシュモス(Irish moss)及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0060】
本発明は、(i)当該粉末の0.3wt%の水性分散体で測定して、少なくとも30Paの貯蔵弾性率(G’)、及び最大で0.1wt%の臨界ゲル化濃度(C)を有する海藻ベースの粉末に更に関し、海藻は、キリンサイ属スピノサム種(Eucheuma spinosum)であるか、又は、(ii)当該粉末の0.3wt%の水性分散体で測定して、少なくとも30Paの貯蔵弾性率(G’)、及び最大で0.1wt%の臨界ゲル化濃度(C)を有する海藻ベースの粉末に更に関し、海藻は、キリンサイ属コットーニィ種(Eucheuma cottonii)(カッパフィカス属アルベレッチー種(Kappaphycus alvarezii)としても知られる)であるか、又は、(iii)当該粉末の0.3wt%の水性分散体で測定して、少なくとも30Paの貯蔵弾性率(G’)、及び最大で0.1wt%の臨界ゲル化濃度(C)を有する海藻ベースの粉末に更に関し、海藻は、ツノマタ属トチヤカ種(Chondrus crispus)である。以下の好ましい範囲は、3つの所与の変異体の(i)~(iii)のそれぞれに適用できる。好ましくは、少なくとも40Pa、より好ましくは少なくとも50Pa、より好ましくは少なくとも60Pa、より好ましくは少なくとも70Pa、より好ましくは少なくとも90Pa、更により好ましくは少なくとも110Pa、最も好ましくは少なくとも120PaのG’である。好ましくは、当該G’は、最大で500Pa、より好ましくは最大で400Pa、更により好ましくは最大で300Pa、最も好ましくは最大で200Paである。好ましくは、Cは、0.001~0.100wt%、より好ましくは0.005~0.090wt%、最も好ましくは0.010~0.080wt%である。より好ましくは、Cは、0.001~0.080wt%、より好ましくは0.005~0.060wt%、更により好ましくは0.010~0.050wt%、最も好ましくは0.010~0.040wt%である。好ましくは、G’は少なくとも40Paであり、Cは、0.001~0.100wt%、より好ましくは0.005~0.090wt%、最も好ましくは0.010~0.080wt%である。好ましくは、G’は少なくとも90Paであり、Cは、0.001~0.100wt%、より好ましくは0.005~0.090wt%、最も好ましくは0.010~0.080wt%である。好ましくは、G’は少なくとも120Paであり、Cは、0.001~0.100wt%、より好ましくは0.005~0.090wt%、最も好ましくは0.010~0.080wt%である。好ましくは、粉末は、少なくとも50、好ましくは少なくとも60、好ましくは少なくとも70、好ましくは少なくとも74、より好ましくは少なくとも76、更により好ましくは少なくとも78、最も好ましくは少なくとも80のCIELAB L値を有し得る。
【0061】
本発明は更に、少なくとも30Paの貯蔵弾性率(G’)を有する海藻ベースの粉末に関する。好ましくは、海藻は、赤色海藻、すなわち、紅藻植物門(Rhodophyta phylum)に属する海藻である。好ましくは、当該粉末は、少なくとも40Pa、より好ましくは少なくとも50Pa、より好ましくは少なくとも60Pa、より好ましくは少なくとも70Pa、より好ましくは少なくとも90Pa、更により好ましくは少なくとも110Pa、最も好ましくは少なくとも120PaのG’を有する。好ましくは、当該G’は、最大で500Pa、より好ましくは最大で400Pa、更により好ましくは最大で300Pa、最も好ましくは最大で200Paである。好ましくは、当該粉末のCは、0.001~0.100wt%、より好ましくは0.005~0.090wt%、最も好ましくは0.010~0.080wt%である。より好ましくは、Cは、0.001~0.080wt%、より好ましくは0.005~0.060wt%、更により好ましくは0.010~0.050wt%、最も好ましくは0.010~0.040wt%である。好ましくは、当該粉末は、少なくとも40PaのG’及び0.001~0.100wt%、より好ましくは0.005~0.090wt%、最も好ましくは0.010~0.080wt%のCを有する。好ましくは、当該粉末は、少なくとも90PaのG’及び0.001~0.100wt%、より好ましくは0.005~0.090wt%、最も好ましくは0.010~0.080wt%のCを有する。好ましくは、当該粉末は、少なくとも120PaのG’及び0.001~0.100wt%、より好ましくは0.005~0.090wt%、最も好ましくは0.010~0.080wt%のCを有する。好ましくは、当該粉末は、少なくとも50、好ましくは少なくとも60、好ましくは少なくとも70、好ましくは少なくとも74、より好ましくは少なくとも76、更により好ましくは少なくとも78、最も好ましくは少なくとも80のCIELAB L値を有し得る。好ましくは、海藻は、スギノリ科(Gigartinaceae)、ウシケノリ網(Bangiophyceae)、ダルス科(Palmariaceae)、イバラノリ科(Hypneaceae)、シストクロニウム科(Cystocloniaceae)、ミリン科(Solieriaceae)、オオツキノリ科(Phyllophoraceae)、及びススカケベニ科(Furcellariaceae)、又はこれらの組み合わせの科から選択される赤色海藻である。最も好ましくは、海藻は、ウシケノリ(Bangiales)、ツノマタ(Chondrus)、イリダエア(Iridaea)、ダルス(Palmaria)、スギノリ(Gigartina)、オゴノリ(Gracilaria)、テングサ(Gelidium)、Rhodoglossum、イバラノリ(Hypnea)、キリンサイ(Eucheuma)、オオキリンサイ(Kappaphycus)、Agarchiella、オオツキノリ(Gymnogongrus)、Sarcothalia、オオツキノリ(Phyllophora)、イタニグサ(Ahnfeltia)、アカバギンナンソウ(Mazzaella)、イボノリ(Mastocarpus)、スギノリ(Chondracanthus)、ススカケベニ(Furcellaria)及びこれらの混合物の属から選択される。
【0062】
本発明は、最大で0.05wt%の臨界ゲル化濃度(C)を有する海藻ベースの粉末に更に関し、海藻は、赤色海藻、すなわち、紅藻植物門(Rhodophyta phylum)に属する海藻である。好ましくは、当該粉末は、少なくとも30Pa、好ましくは少なくとも40Pa、より好ましくは少なくとも50Pa、より好ましくは少なくとも60Pa、より好ましくは少なくとも70Pa、より好ましくは少なくとも90Pa、更により好ましくは少なくとも110Pa、最も好ましくは少なくとも120PaのG’を有する。好ましくは、当該G’は、最大で500Pa、より好ましくは最大で400Pa、更により好ましくは最大で300Pa、最も好ましくは最大で200Paである。好ましくは、当該粉末のCは、0.001~0.050wt%、より好ましくは0.005~0.090wt%、最も好ましくは0.010~0.045wt%である。より好ましくは、Cは、0.001~0.040wt%、より好ましくは0.005~0.035wt%である。好ましくは、当該粉末は、少なくとも40PaのG’及び0.001~0.100wt%、より好ましくは0.005~0.090wt%、最も好ましくは0.010~0.080wt%のCを有する。好ましくは、当該粉末は、少なくとも90PaのG’及び0.001~0.100wt%、より好ましくは0.005~0.090wt%、最も好ましくは0.010~0.080wt%のCを有する。好ましくは、当該粉末は、少なくとも120PaのG’及び0.001~0.100wt%、より好ましくは0.005~0.090wt%、最も好ましくは0.010~0.080wt%のCを有する。好ましくは、当該粉末は、少なくとも50、好ましくは少なくとも60、好ましくは少なくとも70、好ましくは少なくとも74、より好ましくは少なくとも76、更により好ましくは少なくとも78、最も好ましくは少なくとも80のCIELAB L値を有し得る。好ましくは、海藻は、スギノリ科(Gigartinaceae)、ウシケノリ網(Bangiophyceae)、ダルス科(Palmariaceae)、イバラノリ科(Hypneaceae)、シストクロニウム科(Cystocloniaceae)、ミリン科(Solieriaceae)、オオツキノリ科(Phyllophoraceae)、及びススカケベニ科(Furcellariaceae)、又はこれらの組み合わせの科から選択される赤色海藻である。最も好ましくは、海藻は、ウシケノリ(Bangiales)、ツノマタ(Chondrus)、イリダエア(Iridaea)、ダルス(Palmaria)、スギノリ(Gigartina)、オゴノリ(Gracilaria)、テングサ(Gelidium)、Rhodoglossum、イバラノリ(Hypnea)、キリンサイ(Eucheuma)、オオキリンサイ(Kappaphycus)、Agarchiella、オオツキノリ(Gymnogongrus)、Sarcothalia、オオツキノリ(Phyllophora)、イタニグサ(Ahnfeltia)、アカバギンナンソウ(Mazzaella)、イボノリ(Mastocarpus)、スギノリ(Chondracanthus)、ススカケベニ(Furcellaria)及びこれらの混合物の属から選択される。
【0063】
本発明は、(i)当該粉末の0.3wt%の水性分散体で測定して、少なくとも25Paの貯蔵弾性率(G’)を有する海藻ベースの粉末に更に関し、海藻は、キリンサイ属スピノサム種(Eucheuma spinosum)であるか、又は、(ii)当該粉末の0.3wt%の水性分散体で測定して、少なくとも20Paの貯蔵弾性率(G’)を有する海藻ベースの粉末に更に関し、海藻は、キリンサイ属コットーニィ種(Eucheuma cottonii)(カッパフィカス属アルベレッチー種(Kappaphycus alvarezii)としても知られる)であるか、又は、(iii)当該粉末の0.3wt%の水性分散体で測定して、少なくとも30Paの貯蔵弾性率(G’)を有する海藻ベースの粉末に更に関し、海藻は、ツノマタ属トチヤカ種(Chondrus crispus)である。以下の好ましい範囲は、3つの所与の変異体の(i)~(iii)のそれぞれに適用できる。好ましくは、G’は、少なくとも30Pa、好ましくは少なくとも40Pa、より好ましくは少なくとも50Pa、より好ましくは少なくとも60Pa、より好ましくは少なくとも70Pa、より好ましくは少なくとも90Pa、更により好ましくは少なくとも110Pa、最も好ましくは少なくとも120Paである。好ましくは、当該G’は、最大で500Pa、より好ましくは最大で400Pa、更により好ましくは最大で300Pa、最も好ましくは最大で200Paである。好ましくは、Cは、0.001~0.100wt%、より好ましくは0.005~0.090wt%、最も好ましくは0.010~0.080wt%である。より好ましくは、Cは、0.001~0.080wt%、より好ましくは0.005~0.060wt%、更により好ましくは0.010~0.050wt%、最も好ましくは0.010~0.040wt%である。好ましくは、G’は少なくとも40Paであり、Cは、0.001~0.100wt%、より好ましくは0.005~0.090wt%、最も好ましくは0.010~0.080wt%である。好ましくは、G’は少なくとも90Paであり、Cは、0.001~0.100wt%、より好ましくは0.005~0.090wt%、最も好ましくは0.010~0.080wt%である。好ましくは、G’は少なくとも120Paであり、Cは、0.001~0.100wt%、より好ましくは0.005~0.090wt%、最も好ましくは0.010~0.080wt%である。好ましくは、粉末は、少なくとも50、好ましくは少なくとも60、好ましくは少なくとも70、好ましくは少なくとも74、より好ましくは少なくとも76、更により好ましくは少なくとも78、最も好ましくは少なくとも80のCIELAB L値を有し得る。
【0064】
本発明者らはまた、驚くべきことに、本発明の粉末が、それを含有する製品が、最適な嗜好性を維持することを可能にする特性を有することを観察した。嗜好性は、味、風味、及び色などの因子を含む。既知の海藻ベースの粉末は、海水に似た味及び臭い、並びに濃い茶色がかった色をしており、中性成分を必要とする製品、例えば、乳製品において利用するのに適していない。本発明者らは、本発明の粉末が、そのような欠点を有さないか、又は既知の粉よりも少ない程度に有することを観察した。このような有利な特性は、いずれの海藻ベースの粉末によってもこれまで提供されたことのない発明者の知識にあった。
【0065】
本発明はまた、本発明の粉末及び追加の化合物を含む組成物を提供し、当該化合物は粉末状又は非粉末状の形態である。追加の化合物は、添加剤と、保存料と、ビタミン類と、フィトステロールのようなステロールと、ポリフェノールなどの酸化防止剤と、ヒトの栄養に有益なミネラルと、全野菜抽出物と、グルコマンナン、ガラクトマンナン、セルロース(ミクロフィブリル化セルロース、セルロースゲル)、アルギン酸、カラギーナンウルバン、ラミニン、及び他の1,3β-グルカンのような親水コロイド又はガムと、デンプンと、デキストリンと、スクロース、グルコースなどの糖と、マンニトール、エリスリトール、グリセロール、ソルビトール、キシリトール、マルチトールなどのポリオールと、植物又は野菜タンパク質及び乳タンパク質のようなタンパク質又はタンパク質加水分解物と、油及び脂肪と、界面活性剤、粉末レシチン及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。追加の化合物の量は、組成物の用途に応じて広く変化することができ、ほとんどの用途において、当該量は、典型的には、組成物の総重量に基づいて0.01wt%~99wt%である。
【0066】
本発明はまた、本発明の粉末及びガムを含む組成物を提供し、ガムは、好ましくはグアーガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、カッシアガム、タラガム、コンニャクガム、アルギン酸、寒天、カラギーナン、β1,3グルカン、デンプン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。好ましくは、ガムは、組成物の総重量に基づいて少なくとも5wt%、より好ましくは少なくとも20wt%、更により好ましくは少なくとも30wt%、最も好ましくは少なくとも50wt%の量で使用される。好ましくは、ガムの量は、最大で90wt%、より好ましくは最大で70wt%、更により好ましくは最大で50wt%、最も好ましくは最大で20wt%である。
【0067】
本発明はまた、本発明の粉末及びデンプンを含む組成物を提供する。好ましくは、デンプンは、組成物の総重量に基づいて少なくとも5wt%、より好ましくは少なくとも20wt%、更により好ましくは少なくとも30wt%、最も好ましくは少なくとも50wt%の量で使用される。好ましくは、デンプンの量は、最大で90wt%、より好ましくは最大で70wt%、更により好ましくは最大で50wt%、最も好ましくは最大で30wt%である。本発明で使用されるデンプンは、任意の天然源由来の任意のデンプンであってもよい。本明細書で使用される天然デンプンは、自然に見られるものである。また、任意の既知の育種技術によって得られる植物由来のデンプンも好適である。デンプンの典型的な供給源は、穀物、塊茎、及び仮根、マメ科植物及び果実である。天然源は、トウモロコシ、ジャガイモ、サツマイモ、大麦、小麦、米、サゴデンプン、アマランス、タピオカ(キャッサバ)、arrow-仮根、カンナ、エンドウ、バナナ、オート麦、ライ麦、ライ小麦、及びモロコシ、並びにこれらの低アミロース(蝋様の)及び高アミロースの種類が挙げられるが、これらに限定されない任意の種類であり得る。低アミロース又は蝋状品種は、デンプンの重量の最大で10%のアミロース、好ましくは最大で5%、より好ましくは最大で2%、最も好ましくは最大で1%のアミロースを含有するデンプンを意味することが意図される。高アミロース品種は、全てデンプンの重量の少なくとも30%のアミロース、好ましくは少なくとも50%のアミロース、より好ましくは少なくとも70%のアミロース、更により好ましくは少なくとも80%のアミロース、最も好ましくは少なくとも90%のアミロースを含有するデンプンを意味することが意図される。デンプンは、当分野で既知の任意の方法により物理的に処理して、デンプンの粒状又は結晶質の性質の剪断又は変更などにより、機械的にデンプンを変化させることがあり、本明細書で使用する場合、転換及びアルファ化を含むものとする。当技術分野において既知の物理的処理方法としては、ボールミリング、均質化、高剪断混合、ジェット加熱又はホモジナイザーなどの高剪断調理、ドラム乾燥、噴霧乾燥、噴霧調理、冷却、ロールミリング及び押出、並びに低(例えば、最大で2wt%)及び高(2wt%超)水分含有デンプンの熱処理が挙げられる。デンプンはまた、当技術分野において既知の任意の試薬又は試薬の組み合わせによる処理によって化学的に変性され得る。化学的変性は、架橋、アセチル化、有機エステル化、有機エーテル化、(ヒドロキシプロピル化及びヒドロキシエチル化を含む)ヒドロキシアルキル化、リン酸化、無機エステル化、イオン性(カチオン性、アニオン性、非イオン性、及び双性イオン性)変性、コハク化、及び多糖類の置換コハク化を含むことが意図される。酸化及び漂白も含まれる。このような変性は、当技術分野において既知であり、例えば、Modified starches:Properties and Uses.Ed.Wurzburg,CRC Press,Inc.,Florida(1986)において既知である。
【0068】
本発明者らは、本発明による組成物が、ヒト及び動物の食品の混合、薄板成形、押出、ベーキング、フライ、及びローストの特徴にプラスの影響を与え、ソース、ディップ、飲料、スープ、及び他の液体、半液体及び/又は半固体製品のレオロジーを有利に変性し、興味深いテクスチャ、良好な外観などを有する製品を提供するのに有用であり得ることを観察した。
【0069】
本発明はまた、本発明の粉末と、吸収改変剤、食欲改変剤、代謝改変剤、コレステロール改変剤又はそれらの任意の組み合わせなどの治療薬とを含む食餌組成物に関する。このような薬剤の例は、国際公開第2016/085322号に記載されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0070】
本発明はまた、本発明の粉末と、薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤及び/又は希釈液を含む医薬組成物に関する。賦形剤/希釈液/担体(複数可)は、治療薬と適合性があり、そのレシピエントに有害ではないという意味で「許容性」でなければならない。
【0071】
本発明は、海藻ベースの粉末、特に本発明の粉末を製造する方法(「本発明の方法」)に更に関し、本方法は、
a)海藻及び水を含有し、少なくとも5wt%の乾燥固形分(DS)含有量を有する、バイオマスを提供するステップと、
b)バイオマスを浸出プロセスにかけて、海藻の内部に存在する水を浸出させるステップと、浸出された海藻を含む浸出されたバイオマスを得るステップと、
c)任意選択で、浸出されたバイオマスを最大で40wt%の水分レベルまで乾燥させて、乾燥した浸出されたバイオマスを得るステップと、
d)浸出されたバイオマスを塩水で調理して、調理されたバイオマスを得るステップと、
e)任意選択で、調理されたバイオマスを洗浄及び/又は乾燥させるステップと、
f)ステップd)又はe)の調理されたバイオマスを海藻ベースの粉末に変換するステップと、
を含む。
【0072】
本明細書で使用される場合、用語「乾燥固形分」(DS)は、固形分を含有する試料の総重量と試料中の水分又は水分含有量の重量との間の差である。
【0073】
本発明の方法は、分解及び/又は発酵によって本質的に影響を受けない生海藻を使用することが好ましい。したがって、本発明の方法は海藻の発酵を伴わない、すなわち非発酵方法であることが非常に望ましい。
【0074】
本発明の方法のステップa)では、バイオマスを作製するために、海藻の全ての部分、例えば、仮根、茎及び葉を使用することができる。海藻は、全体的に、切断又は別の方法で機械的に操作して使用できる。有利には、海藻は、更に機械的操作を行うことなく、収穫されたまま使用される。有利には、海藻は切断し、仮根を無傷のまま残すことによって収穫し、その後の再成長を可能にする。このような収穫の別の利点は、海藻内の異物、特に砂、石などの不純物の存在を最小限に抑えるか、又は全く存在させないことである。最後に、このような方法は生態系(例えば海底)の再生を可能にし、したがって環境的に持続可能である。理想的には、海藻は養殖される。好ましくは、本発明の方法のステップa)において、利用される海藻は生きた新鮮な海藻である。
【0075】
バイオマスの含水量には、海藻の内部に存在し得る水(内部海藻水すなわち水和水)と、海藻に添加され得る水(例えば、その洗浄中)と、及び/又は収穫時に海藻に残った可能性のある水とが含まれる。収穫された海藻に、必要なバイオマスを提供するのに必要な量の水が含まれていない場合は、追加の真水又は海水を追加することがあり、好ましくは海水を使用し、最も好ましくは収穫場所の海水を使用する。
【0076】
好ましくは、海藻は、例えば、石、砂、貝殻、プラスチック、魚、カニ、及び収穫前又は収穫後に海藻を汚染する可能性のある不純物などの異物を取り除くために洗浄される。洗浄は、真水又は海水での洗浄、又は当該目的のために典型的に使用される任意の他の洗浄方法によって行うことができる。好ましくは、洗浄は、海藻を保存するために収穫場所からの海水を用いて行われる。最終的な金属不純物を除去するために、海藻は磁石の前を通過され得る。
【0077】
好ましくはステップa)において、バイオマスは新鮮な海藻及び水を含み、非内部水の量は、バイオマスの総重量に対して少なくとも5wt%、より好ましくは少なくとも45wt%、最も好ましくは少なくとも85wt%である。
【0078】
好ましくは、ステップa)において、バイオマスは洗浄された海藻を含み、少なくとも15wt%、より好ましくは少なくとも30wt%、最も好ましくは少なくとも55wt%のDSを有する。好ましくは、DSは、最大で95wt%、より好ましくは最大で85wt%、最も好ましくは最大で80wt%である。好ましくは、当該DSは、5~95wt%、より好ましくは30~85wt%、最も好ましくは55~80wt%である。
【0079】
好ましくは、ステップa)において、バイオマスは、少なくとも5℃、より好ましくは少なくとも10℃、最も好ましくは少なくとも20℃の温度を有する。好ましくは、当該温度は、最大で40℃、より好ましくは最大で35℃、最も好ましくは最大で30℃である。好ましくは、当該温度は、5~40℃、より好ましくは10~35℃、最も好ましくは20~30℃である。バイオマスは、好ましくは、まとめてバイオマスが上記の範囲内の温度を有することを保証する温度に維持される。
【0080】
海藻を劣化させ得る任意の化学的処理、例えば酸若しくはアルカリ処理又は漂白試薬に海藻を曝さないことが望ましい。海藻の乾燥を促進しない条件など、本発明の方法のステップb)の浸出プロセスに理想的な条件で海藻を維持することも望ましい。理想的な条件としては、海藻を積み重ねた日陰の場所に海藻を保管することが挙げられる。
【0081】
本発明の方法のステップb)を、浸出できる海藻を含むバイオマスに対して行うことが不可欠である。ステップb)のプロセスは、慎重に制御された環境で、海藻の内部、つまり、仮根、茎、葉の内部に存在する水(海藻の内部の水は海藻の水和水としても知られている)を浸出させることを目的としている。
【0082】
好ましくは、ステップb)は、生バイオマス、すなわち、海藻の収穫と浸出ステップの開始との間で乾燥されなかったバイオマスを利用する。本明細書では、「生の、収穫した」海藻は、収穫後も生きたまま維持され、呼吸などの生物活動を有し、浸出する能力を有する海藻と理解される。生の収穫された海藻を、乾燥海藻と明確に区別すると、乾燥された海藻は死んでおり、呼吸などの生物活動を有さず、もはや浸出することができない。死んだ海藻はある程度水で再水和されることがあり、この場合、その水をいくらか浸出させ得るが、本発明の方法のステップb)において、再水和された死んだ海藻を利用することはあまり好ましくない。好ましくは、バイオマスもまた新鮮である。
【0083】
本発明の方法のステップb)で利用されるバイオマスが生きて新鮮なバイオマスであることを確実にするために、好ましくはステップb)は、海藻の収穫から15日以内、より好ましくは収穫から2日以内、更により好ましくは収穫から24時間以内、最も好ましくは収穫から4時間以内に行われる。ステップb)を実行した後、浸出された海藻は、本発明の方法で使用される浸出プロセスが自然のプロセスであるため、植物学的及び分類学的に海藻として依然として認識され得る。
【0084】
好ましくは、ステップb)において、海藻は自然の浸出プロセスを受け、すなわち、海藻の浸出は、真空、圧力、又は破砕、粉砕、圧搾、濾過などのような機械的処理の適用によって影響を受けない。自然な浸出プロセスは、能動的な生理学的プロセスであり、これにより、植物細胞は成分を植物に内部で輸送する、つまり主に水を浸出液として内部から海藻の表面に輸送する。自然な浸出プロセスは温度と湿度の影響を受けることができ、これらが上昇するとより速く発生し得る。浸出液は、典型的には、水、タンパク質、海及び海藻の塩、色素、植物ホルモン、ガム、その他の成分が含まれている。自然な浸出プロセスは、典型的には、収穫されることに対応する治癒及び防御作用である。海藻からの液の浸出は、汗に匹敵し、細孔を通って道管から発生し、細胞膜を破壊する。浸出液は、ミネラル、タンパク質、ガムに富んだ、及び自然の液であるため、飼料を製造するために更に処理され得る。
【0085】
ステップb)における浸出プロセスは、好ましくは、注意深く調整された条件下で行われ、例えば、少なくとも50wt%の水分、より好ましくは少なくとも70wt%の水分、更により好ましくは少なくとも80wt%の水分、更により好ましくは少なくとも90wt%の水分、最も好ましくは少なくとも95wt%の水分を含有する環境(以下、「浸出環境」)下で行われる。浸出環境の高い含水量に達するために、水、好ましくは海水を、海藻又は浸出環境内部に添加又は散布することができる。
【0086】
好ましくは、浸出は、少なくとも20℃、より好ましくは少なくとも30℃、更により好ましくは少なくとも40℃、更により好ましくは少なくとも50℃、更により好ましくは少なくとも60℃、最も好ましくは少なくとも70℃の浸出温度で行われる。好ましくは、当該温度は、最大で150℃、より好ましくは最大で120℃、最も好ましくは最大で90℃である。好ましくは、当該温度は、40~150℃、より好ましくは50~120℃、最も好ましくは60~90℃である。このような温度を使用して、最適な浸出プロセスを保証する。
【0087】
浸出の典型的な期間は、種、収穫の季節、浸出環境に存在する水分の量、及び浸出温度によって異なる。一般に、浸出の期間は、少なくとも3時間、好ましくは少なくとも8時間、より好ましくは少なくとも12時間、最も好ましくは少なくとも24時間であろう。好ましくは、浸出期間は、3時間~10日、より好ましくは8時間~4日、最も好ましくは12時間~2日であろう。
【0088】
浸出プロセスは、浸出した海藻、すなわち、乾燥又は脱水された海藻を含有するバイオマスをもたらす。好ましくは、当該プロセスは、海藻内部に存在する水の少なくとも5wt%、より好ましくは少なくとも10wt%、最も好ましくは少なくとも15wt%を抽出するために行われる。好ましくは、抽出される水の量は、海藻の内部に存在する水の最大で50wt%、より好ましくは最大で30wt%、最も好ましくは最大で20wt%である。海藻内部の水分量は、一定時間間隔で海藻の試料を採取し、重量変化がなくなるまで120℃の温度で乾燥させる前後の海藻を計量することによって、決定することができる。
【0089】
保存料は、細菌及び微生物の含有量を減らし、それによって浸出プロセスを助けるために、浸出プロセス中に海藻及び/又は浸出液に添加することができる。添加する場合、保存料は海藻又はその汁の最大で1wt%までの量で使用することが好ましい。保存料は、抗菌剤、例えばホルムアルデヒドであり得る。
【0090】
好ましくは、浸出ステップが行われる環境は、閉鎖環境、すなわち、空気の流れが好ましくは1m/s未満である環境である。
【0091】
浸出プロセスの間、バイオマスは均一に広げられることが好ましく、海藻の高すぎる積み上げが防止されることが好ましい。浸出中のバイオマス層の面密度は、好ましくは2~50Kg/m、より好ましくは5~20Kg/m、最も好ましくは10~15Kg/mである。
【0092】
好ましくは、ステップb)において、バイオマスは固体表面上に配置され、好ましくは、浸出液が回収されることを可能にするように傾斜している。浸出環境は、好ましくは、空気流を防ぐために、当該表面上に配置されたバイオマスを、閉じた収容空間内に封入することによって形成される。収容空間は、側部及び上部を有し、バイオマスを封入するのに適した任意の形状を有することができる。好ましくは、ステップb)は、浸出環境を直射日光の当たる場所に置くことにより、収穫場所で行われる。好ましくは、収容空間は、ターポリン、プラスチックホイル、ガラス又はプラスチックシートなどを使用して形成される。好ましくは、収容空間は、太陽光がバイオマスに到達できるように十分に透明である。収容空間内の湿度及び温度を望ましい範囲内に保つことを確実にするため、冷却又は加熱装置を使用できる。本発明者らは、このような単純な構成が優れた結果をもたらすことを観察した。
【0093】
浸出されたバイオマスは、塩水で調理される前に、任意の乾燥プロセスにかけられ得る。乾燥ステップは、浸出されたバイオマスに含まれる水分の量を、バイオマスの重量に基づいて最大で40wt%まで減少させることが好ましい。好ましくは、乾燥されたバイオマスの含水量は、最大で35wt%、更により好ましくは最大で30wt%、最も好ましくは最大で25wt%である。好ましくは、当該乾燥されたバイオマスの含水量は、少なくとも5wt%、より好ましくは少なくとも10wt%、最も好ましくは少なくとも15wt%である。浸出されたバイオマスを調理前に乾燥させることにより、その操作をより容易にし得る。
【0094】
任意の乾燥後及び調理前に、浸出されたバイオマスは、好ましくは、真水又は海藻水であり得る水の添加によって再水和される。再水和は、好ましくは、少なくとも20wt%、より好ましくは少なくとも30wt%、最も好ましくは少なくとも40wt%のDSを有する再水和バイオマスをもたらす。好ましくは、DSは、最大で80wt%、より好ましくは最大で70wt%、最も好ましくは最大で60wt%である。好ましくは、当該DSは、20~80wt%、より好ましくは30~70wt%、最も好ましくは40~60wt%である。
【0095】
バイオマスの含水量を低減するために、任意の乾燥方法を使用することができる。有利な乾燥方法は、除湿空気を使用する低温乾燥である。このような乾燥方法は、タンパク質、繊維、デンプン、及び他の栄養素などの海藻の感熱性化合物を保存する能力を有し、したがって海藻の質を保持する。他の技術には、換気チャンバ乾燥、オーブン乾燥、天日乾燥、(強制流)蒸発、フラッシュ乾燥、ゼオライト乾燥、流動床乾燥などが含まれ得る。
【0096】
浸出されたバイオマス(乾燥及び再水和されているか否かに関係なく)は、続いて塩水中で調理され、調理されたバイオマスが得られる。塩水は、少なくとも1つの塩を含み、室温(20℃)で、好ましくは溶液の総重量に対して少なくとも3wt%の塩濃度を有する水溶液である。好ましくは、塩の濃度は、少なくとも5wt%、より好ましくは少なくとも7wt%、最も好ましくは少なくとも10wt%である。好ましくは、当該塩濃度は、最大で50wt%、より好ましくは最大で40wt%、最も好ましくは最大で30wt%である。
【0097】
調理は、好ましくは、少なくとも85℃、より好ましくは少なくとも86℃、更により好ましくは少なくとも88℃、最も好ましくは少なくとも90℃の調理温度で行われる。好ましくは、調理温度は、最大で100℃、より好ましくは最大で98℃、更により好ましくは最大で96℃、最も好ましくは最大で95℃である。好ましくは、調理温度は、85~100℃、より好ましくは86~96℃、更により好ましくは88~96℃、最も好ましくは90~95℃である。
【0098】
調理時間は、好ましくは少なくとも25分、より好ましくは少なくとも30分、最も好ましくは少なくとも35分である。好ましくは、調理時間は、最大で60分、より好ましくは最大で55分、更により好ましくは最大で50分、最も好ましくは最大で40分である。好ましくは、調理時間は、25~60分、より好ましくは30~55分、更により好ましくは30~50分、最も好ましくは30~40分である。
【0099】
調理ステップは、バイオマスを当該溶液の槽内又は当該溶液の連続した槽内で塩水と接触させることによって実施することができる。調理プロセス中、好ましくは十分な塩水を使用して海藻全体を被覆する。例えば、閉じた容器内で調理を行うことによって、塩水の蒸発及び塩濃度の変化を防止するために、好ましくは配慮する。或いは、海藻が空気に曝されるのを防ぐために、調理中に水を加えることができる。
【0100】
本発明の目的に非常に効果的であることが見出された塩水は、塩化ナトリウム又は塩化カリウムの溶液である。しかしながら、塩化ナトリウム又は塩化カリウム以外の任意の塩を使用できることが理解され、非限定的な例には、他の塩化物塩、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、リン酸塩、有機酸の塩及びそれらの組み合わせが挙げられる。唯一の条件は、塩が、必要な濃度の塩水の形成を可能にするのに十分に可溶性であるべきことである。塩は、その反応において過度に酸性でも塩基性でもないこと、すなわち、水溶液において、溶液のpHは、好ましくは6.0~10.0であることが好ましい。生成された海藻ベースの粉末が、食品、飼料、パーソナルケア又は医薬品に利用されることを意図している場合、好ましくは、塩は、そのような製品中に存在が許容される塩である。
【0101】
本発明者らは、このような注意深い調理プロセスが海藻の劣化を防止し、優れた特性を有する粉末の製造に役立ち得ることを観察した。更に驚くべきことに、本発明者らは、調理ステップが本発明の粉末の分散性を改善し得ることを観察した。本発明の粉末は、塊又は粒子を発生させることなく水性媒体の内部に均一に分散させることができるが、未調理の海藻は目に見える粒子を生成することが観察された。調理後、バイオマスは、次の洗浄ステップの前に水を除去するために濾過ステップにかけられ得る。濾過は、多くが既知である任意の好適な種類の装置、例えば、フィルタプレス円筒型フィルタなどによって達成することができる。必要に応じて、遠心機を使用することもできる。
【0102】
本発明者らはまた、浸出及び調理の組み合わせが、色、味及びレオロジー特性の最適な組み合わせを有する海藻ベースの粉末をもたらすことを観察した。
【0103】
本発明のプロセスのステップe)によれば、バイオマスを洗浄する。例えば流水下ですすぐこと、バイオマスを大量の水に入れること、及びそれらの組み合わせとして、任意の洗浄方法を使用することができる。洗浄は、1つ若しくはいくつかの水槽中で、適切な撹拌手段を備えたタンク中で、又は併流若しくは向流構成において、バッチ又は連続システムなどの任意の洗浄システムにおいて実施され得る。バイオマスを真水で数回すすいだときに良好な結果が得られた。
【0104】
乾燥させる前に、洗浄したバイオマスを濾過ステップにかけて水を除去し、乾燥を補助することができる。濾過は、多くが既知である任意の好適な種類の装置、例えば、フィルタプレス、円筒型フィルタ、プレス、篩いなどによって達成することができる。必要に応じて、遠心機を使用することもできる。
【0105】
洗浄したバイオマスを、当該バイオマスの機械的操作を可能にするのに好適な含水量に乾燥させる。真空乾燥機、ドラム乾燥機、空気リフト乾燥機などのような任意の種類の乾燥機を使用することができる。好ましくは、乾燥されたバイオマスの含水量は、最大で25wt%、更に好ましくは最大で20wt%、更により好ましくは最大で15wt%、最も好ましくは最大で12wt%である。好ましくは、当該バイオマスの含水量は、少なくとも4wt%、より好ましくは少なくとも6wt%、更により好ましくは少なくとも8wt%、最も好ましくは少なくとも10wt%である。好ましくは、当該含水量は、最大で20wt%、より好ましくは最大で15wt%、最も好ましくは最大で12wt%である。好ましくは、当該含水量は、4wt%~20wt%、より好ましくは6wt%~15wt%、最も好ましくは8wt%~12wt%である。
【0106】
乾燥されたバイオマスは、機械的処理を使用することによって海藻ベースの粉末に転換され得る。機械的処理としては、例えば、切断、ミリング、プレス、研削、剪断、及びチョッパが挙げられる。ミリングには、例えば、ボールミリング、ハンマーミリング、円錐又はコーンミリング、ディスクミリング、エッジミリング、ロータ/ステータ乾式若しくは湿式ミリング、又は他の種類のミリングが含まれ得る。他の機械的処理は、石の研削、亀裂、機械的リッピング又は引き裂き、ピン研削、バリ研削、又は空気摩擦粉砕を含み得る。機械的処理は、例えば、表面積、多孔度、かさ密度などの特定の形態特性を有する粉末を生成するように構成することができ、繊維状海藻の場合、長さ対幅比などの繊維特性を有する粉末を生成するように構成することができる。
【0107】
必要に応じて、得られた粉末をスクリーンに通すことができ、例えば、0.25mm以下の平均開口サイズを有することができる。
【0108】
バイオマスは、プロセス中の任意のステップで、好ましくはステップb)の後に、滅菌ステップにかけられて、微生物叢を減少させ、及び/又は有害な種を除去し得る。海藻の表面は、一般に生物膜内で多様な微生物叢(例えば、真菌、細菌、ウイルス、胞子形態など)を支持し、一部の種、例えば大腸菌及びエンテロコッカスは、ヒトに有害であることが知られている。滅菌は、熱、照射、高圧、及び濾過を適切に組み合わせて行うことで達成され得る。水の存在下又は非存在下での熱処理は、微生物レベルを低下させることが知られている。例えば、湿気の多い環境で海藻を121℃で少なくとも10分間処理すると、確実に無菌状態になることが知られている。ガンマ線又はマイクロ波による照射、オゾン処理、パルス光処理、アルコールによる消毒及びそれらの組み合わせを含む他の滅菌方法を使用し得る。
【0109】
本発明の方法により得られる/得ることができる粉末は、前述のように有利な特性を有し、それを含む様々な製品の特性を高めるために使用することができる。したがって、本発明はまた、本発明の方法によって得られる/得ることができる海藻ベースの粉末に関する。
【0110】
本発明の粉末又は本発明の任意の組成物は、食品又は飼料の成分若しくは製品の一部を形成し得る(又はそれらであり得る)。したがって、本発明の一態様は、本発明の粉末又は本発明の組成物のいずれかを含む食品又は飼料の成分に関する。本文脈において、「食品」は、ヒトの摂取に適したな食用材料を指し、一方、飼料は、動物の摂取に適した食用材料を指す。食品又は飼料の成分はまた、食品又は飼料の製品の一部を形成し得る。
【0111】
本発明は更に、本発明の粉末及び栄養素を含有する食品又は飼料の製品に関する。いかなる理論にも拘束されることなく、発明者らは、当該食品又は飼料の製品を摂取する者による栄養素摂取の動力学及び速度論は、本発明の粉末の有利な特性によってプラスの影響を受けると考える。
特に、本発明の粉末は、食品の機能性(栄養、感覚、及び物理化学)に関連する輸送、拡散、及び溶解現象の最適化を可能にし得る。更に、当該製品は、特定の流動挙動、テクスチャ、及び外観を有するように容易に設計され得る。したがって、当該食品機能性を最適化する本発明の粉末の能力は、食品構造の設計に非常に有益であることがあり、これは、古典的なニーズ(例えば、テクスチャ及び口当たり)と共に、異なる生理学的応答をトリガするために調節された消化を含むウェルネス及び健康に対する影響を強化し得る。
【0112】
本発明の粉末又は本発明の組成物のいずれかはまた、工業製品、例えば、シーラント、接着剤、紙、及び他の建築材料の製造に使用され得る。
【0113】
本発明の粉末は、多種多様な食品組成物の製造に好適に使用される。本発明が関連する、本発明の粉末を含む食品組成物の例には、コーヒー、茶、例えば紅茶又は緑茶並びに粉末緑茶又は粉末紅茶、ココア、小豆のスープ、ジュース、大豆ジュースなどの飲料及び高級飲料と、生乳、加工乳、乳酸飲料などの乳成分含有飲料と、カルシウム強化ドリンクなどの栄養富化飲料、及び食物繊維含有飲料などを含む様々な飲料と、バター、チーズ、ヨーグルト、コーヒーホワイトナー、ホイップクリーム、カスタードクリーム、カスタードプリンなどの乳製品と、アイスクリーム、ソフトクリーム、ラクトアイス、アイスミルク、シェーベート、冷凍ヨーグルトなどのアイスクリーム製品と、マヨネーズ、マーガリン、スプレッド、ショートニングなどの加工された脂肪食品製品と、スープと、シチューと、ソース、タレ、(調味料ソース)、ドレッシングなどの調味料と、練りマスタードに代表される様々なペースト調味料と、ジャムや粉末のペーストに代表される様々なフィリングと、小豆ジャム、ゼリー、及び嚥下障害者用の食品を含む、様々な又はゲル若しくはペースト状の食品製品と、パン、麺、パスタ、ピザパイ、コーンフレークなどの穀物を主成分とする食品製品と、キャンディ、クッキー、ビスケット、ホットケーキ、チョコレート、餅などの日本、アメリカ、ヨーロッパのケーキと、かまぼこ、魚肉団子等に代表される海産物の練り物と、ハム、ソーセージ、ハンバーガーステーキなどに代表される家畜及び食肉ベースの製品と、クリームコロッケ、中華ペースト、グラタン、餃子などの総菜と、塩漬けの魚の内臓、酒粕漬けなどの繊細な風味の食品と、経管栄養流動食などの流動食と、サプリメント、及びペットフードと、クリーマ(乳製品及び非乳製品)、コンデンスミルク、アルコール飲料、特に、例えば、アイリッシュクリームウイスキーなどの乳製品を含有するもの、及びスポーツドリンクと、が含まれる。これらの食品は、レトルト食品、冷凍食品、電子レンジ食品などに見られるように、製造時の形状や加工操作の違いに関係なく、全て本発明に含まれる。その自然の味及び臭いによって、このような食品製品は、海藻の自然な味や香りの影響を受けないか、又は影響が少ない。
【0114】
本発明は更に、乳製品、例えば(例えば、スプーンで食べる、飲用可能、及び冷凍)ヨーグルト、サワークリーム、チーズ製品、(チーズ及びホワイト)ソース、プリン、及び冷凍デザートにおける、本発明の粉末の使用に関する。予想外に、本発明の粉末は、結果として得られる滑らかなテクスチャを有する乳製品に使用することができ、本質的に粘度又はクリーム性の損失がないことが観察された。当該発明の粉末は、乳製品の成分又は添加物として、つまり、そのような製品に含まれる脂肪に加えて、使用することができる。或いは、当該発明の粉末を使用して、乳製品中の脂肪の一部又は全てを置換して、低脂肪又は無脂肪の製品を得ることができ、その場合、そのような使用は、最終乳製品のカロリー含有量の低下をもたらし得る(例えば、少なくとも10%、又は少なくとも50%の削減)。
【0115】
本明細書で使用される場合、添加剤は、明確な目的のために低濃度で基材に添加される任意の物質を意味する。米国では、食品医薬品局が添加物の安全性及び毒性を評価した後、食品添加物の許容レベルを設定する。マヨネーズでの乳化剤の使用やパン製品での膨張剤の使用など、添加剤は最終製品の存在に不可欠なことがある。或いは、添加剤は、二次的機能を果たしてもよく、例えば、増粘剤、風味料、又は着色剤として機能し得る。本明細書に記載される本発明の粉末は、乳製品中の添加剤としてだけでなく、成分としても使用され得る。
【0116】
本明細書で使用される乳製品は、バター、チーズ、アイスクリーム、プディング、サワークリーム、(例えば、スプーンで食べる、飲用可能、及び冷凍)ヨーグルト及びコンデンスミルクを含む、乾燥形態又は非乾燥形態であるか否かにかかわらず、ミルク又は非植物性ミルク(例えば、牛乳、羊乳、ヤギ乳など)から調製されるミルク又は任意の食品製品を意味する。また、植物性ミルク、例えば、大豆ミルク、及び植物性ミルクベースの製品で製造された製品もまた、本明細書に記載の実施例において使用することができる。
【0117】
本明細書では、チーズは、しばしば調味され熟成された、圧縮された凝乳から調製された食品と理解される。
【0118】
脂質は、脂肪及び/又は脂肪由来材料を含む製品を表す用語である。本明細書では、脂肪は、グリセロール及び3つの脂肪酸のエステルとして理解される。脂肪酸は、典型的には4~22個の炭素原子の長さの炭素鎖を有し、通常、鎖中に偶数の炭素原子を有するカルボン酸である。脂肪酸は、飽和していることができ、つまり二重結合を含まないか、又は不飽和であってもよく、つまり、1つ以上の二重結合を含有する。脂肪は、動物製品及びいくつかの植物性製品の両方において見出され得る。
【0119】
本明細書では、アイスクリームは、乳製品と風味料の凍結混合物から調製された、滑らかで甘い冷たい食品として理解される。米国では、アイスクリームには最低10%の乳脂肪と10%の無脂肪乳固形分が含まれている(2 1 C.F.R.§135.1 10を参照)。ただし、アイスクリームに含まれる乳脂肪及び無脂肪乳固形分の必要な割合は他の国や管轄区域で異なり得るため、本開示はこの特定の範囲に限定されない。
【0120】
ヨーグルトは、本明細書において、クリーム、ミルク、部分的に脱脂されたミルク、又は、脱脂乳を、ラクトバシラス・デルブリュッキイ(Lactobacillus delbrueckii ssp.)及びストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)などの乳酸産生菌を含有する特徴的な細菌培養物で培養することによって製造された乳製品として理解される。例示的なヨーグルトには、スプーンで食べるヨーグルト、ヨーグルトディップ、フローズンヨーグルト、及び飲用ヨーグルトが含まれるが、これらに限定されない。2 1 C.F.R.§13 1.200の定義により、米国の通常のヨーグルトには、少なくとも3.25%の乳脂肪が含まれている。通常のヨーグルトの脂肪含量は、典型的には3.25%~約3.8%の範囲であるが、約10%の脂肪含有量を有するヨーグルトも市場に存在する。21 C.F.R.§13 1.203に定義されているように、米国では、低脂肪ヨーグルトは、0.5%以上の乳脂肪且つ2%以下の乳脂肪である。2 1 C.F.R.§ 131.206で定義されているように、米国では無脂肪ヨーグルトの乳脂肪は0.5%未満である。しかしながら、他の国では他の範囲が観察され得る。
【0121】
乳製品は、当業者に既知の方法、例えば、国際公開第2009/079002号の方法を使用して調製することができるが、本発明の粉末は、当該製品中の脂肪の一部又は全てを置き換えるために添加又は使用される。当該発明の粉末は、乳製品の製造中にいくつかのポイントのうちの1つで添加することができ、例えば、低温殺菌の前にミルクに添加され得る。当該発明の粉末は、その乾燥形態で添加されることができるか、或いは水性分散体は、水性環境中に当該発明の粉末を分散させ、次いで、当該分散体をミルクに添加することによって調製され得る。
【0122】
本発明の粉末は、乳製品中の脂肪の一部又は全てを置き換えるために使用することができる。好ましくは、当該発明の粉末は、脂肪の少なくとも5%を置換するのに十分な量で使用され、より好ましくは、当該量は、当該脂肪の少なくとも10%、更により好ましくは少なくとも20%、更により好ましくは少なくとも50%、更により好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは実質的に全ての脂肪を、当該発明の粉末に置換するのに十分な量で使用される。
【0123】
本発明の粉末は、好ましくは、製品の重量に対して最大で10wt%、より好ましくは最大で7wt%、更により好ましくは最大で5wt%、最も好ましくは最大で3wt%の量で乳製品に添加される。好ましくは、当該量は、0.01~10wt%、より好ましくは0.03~7wt%、最も好ましくは0.05~5wt%である。
【0124】
本発明の粉末及び本発明による任意の組成物はまた、化粧品製剤に使用され得る。したがって、本発明は、当該粉末又は当該組成物を含む化粧品製剤に関する。化粧品製剤の非限定的な例としては、基本化粧品(洗顔料、ミルク、クリーム、軟膏、ローション、オイル及びパック)、洗顔剤、皮膚洗浄剤、シャンプー、リンスなどの毛髪化粧品、及び口紅、ファンデーション、頬紅、アイシャドウ、マスカラなどのメーキャップ化粧品が挙げられる。
【0125】
本発明の粉末及び本発明による任意の組成物はまた、バスソルト、練り歯磨き、脱臭剤、生理用コットン、ウェットティッシュなどに利用され得る。したがって、本発明はまた、当該粉末又は当該組成物を含有するそのような製品に関する。
【0126】
本発明の特定の実施形態の任意の特徴を、本発明の任意の他の実施形態で利用し得る。「備える(comprising)」という用語は、「含む(including)」を意味することを意図しているが、必ずしも「からなる(consisting of)」又は「から構成される(composed of)」という意味ではない。つまり、列挙されたステップ又はオプションは、網羅的である必要はない。以下の説明で与えられる実施例は、本発明を明確にすることを意図しており、本発明をそれらの実施例自体に限定することを意図するものではないことに留意されたい。同様に、全ての百分率は、別途記載のない限り重量/重量パーセントである。実施例及び比較実験を除いて、又は別様に明示的に示されている場合を除き、材料の量又は反応条件、材料の物理的特性、及び/又は使用を示すこの説明の全ての数字は、「約」という語によって修飾されるものとして理解されるべきである。別段の指定がない限り、「x~y」の形式で表される数値範囲は、x及びyを含むと理解される。特定の特徴の場合、複数の好ましい範囲が「x~y」の形式で記載される場合、異なる端点を組み合わせる全ての範囲も企図されていることが理解される。本発明の目的のために、周囲温度(又は室温)は、摂氏約20度の温度として定義される。
測定方法
・Cl量は、AgNOによる電位差滴定(Metrohm)によって測定した。200~300mgの試料(W試料)を、250mLビーカー内の150mLの浸透水に添加した。試料の均質な分散が達成されるまで、試料を撹拌した。4~5滴の発煙硝酸を試料に添加した。滴定は、ポテンショメータ(682 Titroprocessor、Metrohm)及び複合電極Ag/AgNOを用いて行った。塩化物のwt%は、式:%Cl=V×C×M[Cl]×100/W試料で直接計算することができ、式中、M[Cl]は35.5g/molであり、Vは使用されるAgNO3(mL)溶液の体積であり、はその濃度、すなわち0.1Nである。
・AIMは、250mLビーカー内の150mLの浸透水中に0.5gの試料(Wsample)を分散させることによって測定した。1.5mLの濃硫酸を加えた。ビーカーをプラスチックホイルで覆って蒸発を防止し、沸騰温度で2時間ベンマリーで加熱した。分散体を4000 rpm(3250gに相当)で10分間遠心分離した。
AP25フィルタ及び結晶皿の総質量(Wフィルタ+皿)を決定した。酸性分散液を濾過し、(pH紙で確認して)そのpHが中性を維持するまで50℃の浸透水ですすいだ。約500 mLの水を使用した。
試料を有するフィルタを室温で一晩乾燥させ、60℃のオーブン内で1日更に乾燥させ、試料、フィルタ及び皿の総重量を決定した(W最終)。AIM(%)=[(W最終-Wフィルタ+皿)/W試料]×100.
・AIAを以下のように測定し、2.000(2)グラム(W試料)の試料をシリカ又は白金るつぼ上に置き、500℃のホットプレート上で約1時間燃焼し、その後550℃の炉内に16時間置いた。得られた灰を、10mLの濃HCl及び20mLの脱塩水を含有する溶液に添加した。灰を含有する溶液を約30分間80℃に加熱し、続いてWhatman N°40(無灰フィルタ)を用いて濾過した。灰を含むフィルタを、試料中にClが検出されなくなるまで水ですすいだ。試料中のClの存在をAgNOで確認した(AgClの沈殿はClの存在を意味する)。
第2のシリカ又は白金るつぼを550℃のオーブンに10分間入れ、次いでデシケータ内で室温に冷却した。続いて、るつぼを、水を含まない環境で計量(Wるつぼ)した。灰を含むフィルタをるつぼ上に置き、室温から500℃まで、少なくとも1時間にわたって、ホットプレート上で徐々に加熱した。次に、るつぼを炉に移し、800℃で16時間加熱した。デシケータ内で室温に冷却した後、水を含まない環境でるつぼの重量を再度測定した(Wるつぼ+灰)。AIA(%)=[(Wるつぼ+灰 - Wるつぼ)/W試料]×100。
・D50,D90,D10及びD[4,3]:粒径分布を決定する方法は、米国薬局方(USP40)の方法<429>に準拠し、ISO規格13320-1に基づく。試料粉末を最初に振動ホッパー内に注ぎ、Mastersizer 3000(Malvern)を定期的に流す。空気分散装置を使用して、検出器が十分な信号対雑音比に到達し、複数の散乱を回避するために、1~15%の光を遮って粉末粒子をレーザビームによって吹きつけた。異なる角度で粒子によって散乱された光は、多素子検出器によって測定される。赤色及び青色光を使用して、Mie理論に結び付けると、体積サイズ分布の計算が可能になり、粒子は球体と見なされ、したがって同等の球サイズが決定された。得られたサイズ分布から、10、50及び90%での累積体積分率が決定され、それぞれD10、D50及びD90を得た。メジアン径D50は、粉末の粒径の考えを提供するが、D10及びD90は、より微細及びより粗い粒径を定量化することを可能にする。
・CIELAB L、a、及びbは、International Commission on Illumination(Commission Internationale d’Eclairage)によって指定される最も完全な色空間を表す。これは、人間の目に見える全ての色を記述し、参照として使用されるデバイスに依存しないモデルとして機能するように作成された。試料のL値とb値は、試料を比色計の(約半分充填された)ガラスセルに配置することによって取得される。使用した比色計は、Minolta CR400 Colorimeterであった。
・レオロジー測定
レオロジー測定のための試料調製
再構成された脱脂乳を水性媒体として使用した。粉末形態の脱脂乳は、Isigny-Ste-Mere(Isigny,フランス)によって提供された。脱脂乳は、室温で4時間撹拌しながら、粉末脱脂乳を10%w/wで超純水(18.2MΩ.cm抵抗率)に溶解して再構成された。特に、1000gの再構成脱脂乳を調製するために、108.66gの脱脂乳粉末(DS=92.03wt%)を、891.34gの超純水に溶解した。様々な海藻ベースの粉末の分散体を、再構成した脱脂乳中に様々な割合(0.1~1%w/w乾燥物基準)で調製した。海藻ベースの粉末を好適な最終比例で秤量し、5wt%スクロース(再水和を促進するため)と完全に混合し、磁気撹拌(500rpm)下で、再構成した脱脂乳中にゆっくりと分散させた。撹拌を室温で30分間維持した。続いて、試料を500rpmで撹拌しながら約30分間80℃に加熱し、この温度で更に3分間保持した。
貯蔵弾性率G’の測定
レオロジー測定は、上面と下面の両方にクロスハッチングが施された50mmのplate-and-plate形状を備えたMCR 302制御応力レオメータ(Anton Paar Physica)を使用して行われました。レオメータはまた、ペルチエ温度制御装置も備えている。間隙を1mmで固定した。試料の縁部上のパラフィン油の薄層によって試料を被覆して、測定中の蒸発を回避した。動的振動又は粘弾性測定値を選択して、各配合システムのゲル化速度及びテクスチャ化特性を評価した。これらの測定のために、試料を、80℃で予熱したMCR 302プレート上に注ぎ、80℃から10℃まで温度掃引試験(2℃/分)に供し、続いて0.4Hzの周波数で15分間の時間掃引実験に供して、再編成(構造再配置)により、システムが10℃でのこの検討された時間後に平衡状態に達することを確実にした。続いて、試料は、0.2%に固定された線形粘弾性領域(LVE)の一定の剪断歪みで100~0.01Hzの周波数掃引に供された。粘弾性測定がLVEドメインで確実に実行されるように、0.4Hzで歪み掃引実験が0.01%から100%まで実施された。
全てのこれらのレオロジー実験において、各測定は、少なくとも2回実施された。
データ処理:G’
この特許において考慮されるG’値は、10℃で0.4Hzの機械的スペクトル(周波数掃引試験)から収集された。実際に、機械的スペクトルは、得られたゲルの実際の構造的挙動を表すため、このG’値を最も適切なパラメータとして使用することが好適であるように見えた。
様々な濃度の全ての調査された試料について得られたG’値に基づいて、データを説明するために、べき法則関係(式1を参照)を使用した。Cは、それ以下ではゲル様挙動が存在しない最低濃度を表し、又は臨界ゲル化濃度を暗示的に表すことに留意されたい。Cは海藻ベースの粉末濃度(乾燥物基準)であり、nは、フィッティングモデルの指数値を表し、k及びk’は、フィッティングモデルの定数係数である。
G’=k’*(C-C 式1
試料を比較するために、式2~4を使用した。
G’=p*k*C 式2
G’試料 A=k*C 式3
G’試料 B=p*k*C 式4
式中、pは並進シフト係数である。p=1の場合、試料Aは試料Bと同様のゲル強度を示すことを意味する。p>1の場合、試料Bは試料Aよりも高いG’を表示することを意味する。p<1の場合、試料Bは試料Aよりも低いG’を表示することを意味する。
データ処理:C
の決定のために、以下のステップを考慮した。
(i)上記の機械的スペクトルから収集された貯蔵弾性率G’値を、海藻ベースの粉末濃度C(%、DS)の関数として対数スケールでプロットした(図1を参照)。
図1において、破線及び実線は、それぞれ、実験データ(生データ)及び推定データに対するべき法則の式3及び1のフィッティングを表す。図1で使用されるデータは、それぞれ、実施例1及び比較例1に属する。
(ii)文献に記載されているアプローチに従う(例えばAgoda-Tandjawa、G.、Dieude-Fauvel、E.、Girault、R.&Baudez、J.-C.(2013)。Chemical Engineering Journal,228,799-805)式G’=kCは、線形回帰を使用して、G’=k’(C-Cの形式に数学的に変換された。この第2の式では、k’は倍率を表し、Cは、それ以下ではゲル様挙動が得られない濃度を表す。G’=kC=k’(C-Cの条件に従って、全ての調査された海藻ベースの粉末について線形回帰を実施し、両方の指数(n)値は同一であり、C>Cであることに留意されたい。
上記のフィッティングモデルを使用して決定されたCの検証は、上述のものと同様の条件で全ての海藻ベースの粉末のレオロジー挙動を評価して、ゲル様挙動を証明することによって検証された。
【0127】
本発明は、以下の実施例及び比較実験を用いて説明するが、これに限定されるものではない。
実施例1:カッパフィカス属アルベレッチー種(Kappaphycus alvarezii)ベースの粉末
【0128】
新鮮な収穫された(収穫から6時間未満)カッパフィカス属アルベレッチー種(Kappaphycus alvarezii)(キリンサイ属コットーニィ種(Eucheuma cottonii))海藻を海水で洗浄し、DSが約10wt%のバイオマスを作成するために使用した。収穫場所からの海水を使用した。バイオマスを木製のテーブルの上に置いて、面密度が約10 Kg/mのバイオマスベッドを形成した。テーブルは日当たりの良い場所に置かれ、透明なターポリンで覆って完全に密閉され、空気の流れを防止した。太陽の作用により、ターポリンの下の温度は約60℃、湿度は90%を超えた。海藻は、天候に応じて24時間から72時間の間、この環境で自然に浸出させた。
【0129】
浸出後、ターポリンを取り外し、バイオマスを太陽の下で更に24時間戸外に置いて乾燥させ、約78wt%のDSに到達させた。
【0130】
続いて、乾燥したバイオマスを、海藻を完全に覆うのに十分な量の水道水に入れ、海藻を撹拌せずに室温で1時間再水和させた。次に、フィルタを使用して再水和した海藻を収集し、DSが約40wt%のバイオマスが得られた。
【0131】
再水和された海藻を含有するバイオマスを、塩水(100g/L KCl)中で90℃で30分間調理した。調理に使用した塩水の重量は、海藻の質量の約6倍であった。調理後、塩水を浸出し、回収した海藻を、室温で10分間ある容量の水道水中に置くことによって2回洗浄した。海藻を完全に覆うために十分な水を使用した。
【0132】
次いで、海藻をフィルタを使用して収集し、ベルト乾燥機を用いて60℃で30分間乾燥させ、約94.9%DSの最終製品をもたらした。乾燥した製品を、Retschミル(0.25mmの最終篩い)で粉砕して粉末にした。得られた海藻ベースの粉末の特性を表1に示す。
【表1】
実施例2:カッパフィカス属アルベレッチー種(Kappaphycus alvarezii)ベースの粉末
【0133】
実施例1を繰り返したが、調理に使用した塩水の重量は海藻の質量の10倍であり、調理後、回収した海藻は実施例1と同様に2回洗浄した。調理された海藻を、約91.5wt%の最終DSに乾燥させた。得られた海藻ベースの粉末の特性を表2に示す。
【表2】
実施例3:ツノマタ属トチヤカ種(Chondrus crispus)海藻ベースの粉末
【0134】
新鮮なツノマタ属トチヤカ種(Chondrus crispus)を野生のものから収穫した。これを実施例1と同様に処理し、ターポリン下で3~72時間維持した。場合によっては、海藻を浸出中にひっくり返して、日光に均一に曝した。次いで、海藻を、天候に応じて1~3.5日間の範囲にわたって天日乾燥させて、DSが約65wt%(約35wt%の水分)に到達するようにした。海藻を実施例1と同様に更に処理した。
【0135】
続いて、乾燥したバイオマスを、海藻を完全に覆うのに十分な量の水道水に入れ、海藻を撹拌せずに室温で1時間再水和させた。次に、再水和した海藻をフィルタを使用して収集し、約40 wt%のDSを有するバイオマスを得た。
【0136】
再水和された海藻を含有するバイオマスを、塩水(350g/L KCl)中で90℃で30分間2回調理した。調理に使用した塩水の重量は、海藻の質量の約16倍であった。調理後、塩水を浸出し、回収した海藻を、室温で10分間ある容量の水道水中に置くことによって洗浄した。海藻を完全に覆うために十分な水を使用した。
【0137】
次いで、海藻をフィルタを使用して収集し、ベルト乾燥機を用いて60℃で30分間乾燥させ、約94.3%DSの最終製品をもたらした。乾燥した製品を、Retschミル(0.25mmの最終篩い)で粉砕して粉末にし、0.25mmで篩いにかけた。得られた海藻ベースの粉末の特性を表3に示す。
【表3】
実施例4:キリンサイ属スピノサム種(Eucheuma spinosum)海藻ベースの粉末
実施例1を繰り返したが、海藻はキリンサイ属スピノサム種(Eucheuma spinosum)であり、塩水は250g/LのKClを含み、調理したバイオマスは水中で3回洗浄した。得られた海藻ベースの粉末の特性を表4に示す。
【表4】
比較実験1-3
【0138】
新鮮な収穫された(収穫から6時間未満)海藻を24時間太陽の下で戸外に置き、DSが60~95wt%になるように乾燥させた。
【0139】
次いで、海藻を60℃のオーブン内で一晩更に乾燥させた。
【0140】
乾燥した海藻を、Retschミル(0.25mmの最終篩い)で粉砕して粉末にし、0.25mmで篩いにかけた。得られた粉末の特性を表6に示す。
【表5】
結果
【0141】
本発明者らは、本発明に従って作製された調査された海藻ベースの粉末が、減量された量(約0.3wt%の乾燥物基準)の粉末を使用した場合であっても、G’>10G’’及び比較的周波数に依存しない係数を有する脱脂乳において真のゲル様挙動を示すことを観察した。調査した粉末の特性の概要を表7に示す。
【0142】
海藻ベースの粉末濃度を増加させると、G’は、式1によって示されるようなべき法則に従って増加し、式中、Cはそれ以下では各粉末が、脱脂乳中でゲル様挙動を示さなかった臨界濃度である。利用された海藻(コットーニィ(Cottonii)又はツノマタ(Chondrus))に関係なく、本発明の粉末は、粉砕された試料よりも高い機能性(又はテクスチャ加工特性)を示した。例えば、例えば、乾燥物含量に基づいて、コットーニィ(Cottonii)海藻を粉砕することにより得られた粉末のCは、コットーニィ(Cottonii)に基づく本発明の粉末より2倍高い。
本発明の粉末と市販の海藻粉末との比較
【0143】
コットーニィ(Cottonii)及びツノマタ(Chondrus)海藻に基づく市販の海藻粉末は、テクスチャ特性が低下していることが観察された。例えば、コットーニィ(Cottonii)に基づく本発明の粉末は、調査された濃度範囲の対応する市販の海藻粉末より2.5倍以上機能した。また、ツノマタ(Chondrus)海藻に基づく本発明の粉末は、調査された濃度範囲の対応する市販の海藻粉末より3倍以上機能した。
【0144】
更に、市販のコットーニィ(Cottonii)ベースの粉末のCは、対応する本発明の粉末よりも4倍高かったのに対し、市販のツノマタ(Chondrus)ベースの粉末は、対応する本発明の粉末よりも2倍高いCを有した。
【表6】
本発明の粉末を含む乳製品の例
実施例2のコットーニィ(Cottonii)粉末は、乳製品デザート(クリーミー及びゲル化テクスチャ)において試験されている。
クリーミーデザートのレシピ
以下のプロセス及びレシピを使用した。
プロセスステップ
1.全ての乾燥成分を予めブレンドし、冷たいミルク及びクリームに分散させた。
2.水和30分
3.予備加熱63℃
4.80Barでの均質化
5.95℃で2分間の低温殺菌
6.135℃で15秒間の滅菌
7.75℃で予備冷却
8.10℃で冷却
9.10℃で4時間の間、「緩衝槽」に保管する
10.ポット内の充填
成分
【表7】
粘度の測定
粘度を、Brookfield RV粘度計及びHelipath(商標)システムを用いて10℃のデザート試料に対して測定した。Brookfield Helipath(商標)は、Brookfield Viscometerをゆっくりと下げ、その結果、その回転する特殊なTバー型スピンドルがデザート試料を通る螺旋状経路を描くように設計された。回転速度を5rpmに設定し、6回の回転値の平均を計算することにより、相対センチポアズ値で7日目及び21日目に粘度を測定した。図2は、2つのクリーミーデザート試料の粘度測定値が類似していることを示し、本発明の粉末が市販の品質改良剤の機能性に匹敵する能力を有することを示した。
官能評価により、本発明の粉末を使用したクリーミーデザートは、滑らかで光沢のあるテクスチャ及びクリーミーな口当たりを有する、基準に近い非常に良好なクリーミーなテクスチャを示すことが示された。
ゲル化デザートのレシピ
ゲル化デザートは、以下のプロセスで作製され、表Bに示される成分を使用して、実施例2の粉末及び実施例1と同様のプロセスを用いてスピノサム(spinosum)から作製された粉末を使用して作製された。
プロセス
1.全ての乾燥成分を予めブレンドし、冷たいミルク及びクリームに分散させた。
2.水和30分
3.予備加熱63℃
4.80Barでの均質化
5.95℃で2分間の低温殺菌
6.135℃で15秒間の滅菌
7.75℃で予備冷却
8.70℃で4時間「緩衝槽」に充填する
9.ポット内の充填
成分
【表8】
テクスチュロメータTAXT+による硬さの測定
TA.XTplusテクスチャアナライザプラスは、ゲル化乳製品デザートのグラムにおける力、ゲル強度プロファイルを測定するために用いられている。以下の試験パラメータが使用され、直径1インチの円筒型プローブと、5℃の試験試料温度と、3つの試験試料と、1mm/秒の試験速度と、20mmの距離である。
図3は、各デザートトライアルで行われた3つの測定の平均をプロットし、本発明の粉末で作製された試料のゲル強度が、市販の品質改良剤が使用されたものとほぼ同じであることを示している。
官能評価により、本発明の粉末に基づくゲル化デザートは、市販のものと同様の滑らかな表面、クリーミーな口当たり及び中程度の硬さを有する非常に良好なテクスチャを有することが示された。
図1
図2
図3