(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】電動工具
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20240304BHJP
B25B 23/16 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
B25F5/00 Z
B25B23/16 Z
(21)【出願番号】P 2020564592
(86)(22)【出願日】2019-04-26
(86)【国際出願番号】 EP2019060782
(87)【国際公開番号】W WO2019223954
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-04-20
(32)【優先日】2018-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】502212604
【氏名又は名称】アトラス・コプコ・インダストリアル・テクニーク・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】ギッセルマン ハンス ニクラス
(72)【発明者】
【氏名】ベイファルク ソーン トーマス ロジャー
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-255987(JP,A)
【文献】特開2015-039750(JP,A)
【文献】特開2011-110668(JP,A)
【文献】特開2017-136666(JP,A)
【文献】特開2003-340621(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0036482(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 1/00 - 5/02
B25B 21/00 - 23/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1の動作モード及び第2の動作モードで動作するように構成された電動工具(10)であって、
前記電動工具(10)が前記第1の動作モードに設定される場合に加工される対象物を照らすように配置された発光素子(20)から第1の色の光信号(21)を提供し、前記電動工具(10)が前記第2の動作モードに設定される場合に第2の色の光信号(22)を提供するように動作し、
前記電動工具(10)は、脱着可能な工具ピースホルダー(14)をさらに備え、前記工具ピースホルダー(14)は、前記第1の色に一致する色を有している第1のマーキング(23)および前記第2の色に一致する色を有している第2のマーキング(24)の一方を備えている、
ことを特徴とする電動工具(10)。
【請求項2】
前記発光素子(20)は、前記電動工具(10)のハンドル(11)の下方部分に配置されている、
請求項1に記載の電動工具(10)。
【請求項3】
前記発光素子(20)は、前記第1の色及び前記第2の色の両方を放射するように構成されたLED(発光ダイオード)である、
請求項1または2に記載の電動工具(10)。
【請求項4】
前記電動工具(10)は、コードレスのドリルである、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電動工具(10)。
【請求項5】
前記第1の動作モードは第1のRPMであり、前記第2の動作モードは第2のRPMである、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電動工具(10)。
【請求項6】
少なくとも第1の動作モード及び第2の動作モードで動作するように構成された電動工具(10)のための方法であって、
前記電動工具(10)が前記第1の動作モードに設定される場合に加工される対象物を照らすように配置された発光素子(20)から第1の色の光信号(21)を提供し、前記電動工具(10)が前記第2の動作モードに設定される場合に第2の色の光信号(22)を提供するステップを含み、
前記電動工具(10)は、脱着可能な工具ピースホルダー(14)をさらに備え、前記工具ピースホルダー(14)は、前記第1の色に一致する色を有している第1のマーキング(23)および前記第2の色に一致する色を有しているマーキング(24)の一方を備えている、
ことを特徴とする方法。
【請求項7】
前記発光素子(20)は、前記電動工具(10)のハンドル(11)の下方部分に配置される、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記発光素子(20)は、前記第1の色及び前記第2の色の両方を放射するように構成されたLED(発光ダイオード)である、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記電動工具(10)は、コードレスのドリルである、
請求項6ないし8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の動作モードは第1のRPMであり、前記第2の動作モードは第2のRPMである、
請求項6ないし9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
コンピュータプログラムであって、前記電動工具(10)
内で実行されると
前記電動工具(10)に請求項6ないし10のいずれか1項による方法を実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動工具、及び電動工具のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電動工具に関する問題点は、オペレータが特定の用途に適した動作モードを誤って選択するミスを犯す場合があることである。従って、オペレータ自身は正しい動作モードを選択したと信じているが、実際には間違った動作モードを使用して作業が行われる。これは、電動工具で加工される対象物又は構造体の機能及び/又は耐久性に対してかなりの悪影響をもたらす可能性がある。
【0003】
このような問題を避けるために、従来の電動工具システムは、オペレータに指示を与える何らかの表示部を有する場合がある。もしくは、オペレータがどの動作モードを様々な用途に対して使用すべきかを学ぶためにオペレータに研修を行う。しかしながら、これらの方法は、電動工具が正しい動作モードに設定されるのを保証するに十分なほど手堅いものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、上記の問題を解決する又は少なくとも軽減することができる改善された電動工具に対するニーズがある。
【0005】
本開示の目的は、オペレータが加工される対象物のための正しい動作モードを選択することを保証することができる電動工具を提供することで、加工される対象物の高品質を保証することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、本開示の第1の態様に従って少なくとも第1の動作モード及び第2の動作モードで動作するように構成された電動工具で達成される。電動工具は、電動工具が第1の動作モードに設定される場合に加工される対象物を照らすように配置された発光素子から第1の種類の光信号を提供し、電動工具が第2の動作モードに設定される場合に第2の種類の光信号を提供するように動作する。
【0007】
従って、加工される対象物は、電動工具が第1の動作モードに設定される場合に第1の種類の光信号によって明るく照らされ、電動工具が第2の動作モードに設定される場合に第2の種類の光信号によって照らされる。電動工具が間違った動作モードに設定されている場合、加工の開始前に動作モードの修正を行うことができる。
【0008】
第2の態様によれば、本開示は、少なくとも第1の動作モード及び第2の動作モードで動作するように構成された電動工具のための方法に関する。本方法は、電動工具が第1の動作モードに設定される場合に加工される対象物を照らすように配置された発光素子から第1の種類の光信号を提供し、電動工具が第2の動作モードに設定される場合に第2の種類の光信号を提供するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の例示的な実施形態による電動工具を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本開示の例示的な実施形態による電動工具10を示す。電動工具10は管状ハウジング部12を備える。また、電動工具10はハンドル11を備える。例示的な実施形態において、ハンドル11は、管状ハウジング部12に対して実質的に垂直である。他の例示的な実施形態において、ハンドル11は、管状ハウジング部12に一直線である。出力キャビティ13は、管状ハウジング部12の内部に同軸上に配置される。出力キャビティ13は、脱着可能な工具ピースホルダー14を脱着可能に保持するよう構成される。
【0011】
この例示的な実施形態において、電動工具10は、コードレスのドリルである。従って、この例示的な実施形態において、電動工具10は、様々な対象物(図示せず)に穿孔することが意図されている。対象物は、様々な材料で作ることができる。従って、様々な種類の材料に穿孔する際に電動工具10の正しい動作モードを選択することが重要である。従って、電動工具10は、少なくとも第1の動作モード及び第2の動作モードで動作するように構成される。さらに、電動工具10は、加工される対象物を照らすように構成された発光素子20を備える。この例示的な実施形態において、発光素子20は、電動工具10のハンドルの下方部分に配置されている。発光素子20のこの位置の利点は、オペレータが管状ハウジング部12をハンドルとしても使用する場合に、発光素子20が依然として加工される対象物を照らすことができることである。
【0012】
電動工具10は、電動工具10が第1の動作モードに設定される場合に加工される対象物を照らすように構成された発光素子20から第1の種類の光信号21を提供し、電動工具10が第2の動作モードに設定される場合に第2の種類の光信号22を提供するように作動する。
【0013】
電動工具10がどの動作モードに設定されるかに基づいて第1の種類の光信号21又は第2の種類の光信号22を提供することで、オペレータは、対象物を見るだけでどの動作モードに電動工具が設定されているかを容易に知ることができる。従って、オペレータは、電動工具10が正しい動作モードに設定されているか否かを容易に特定することができる。
【0014】
電動工具10の1つの例示的な実施形態において、第1の種類の光信号21は第1の色であり、第2の種類の光信号22は第2の色である。電動工具10のさらなる例示的な実施形態において、発光素子20は、第1の色及び第2の色の両方を放射するように構成されたLED(発光ダイオード)である。電動工具10の他の例示的な実施形態において、第1の動作モードは第1のRPM(毎分回転数)であり、第2の動作モードは第2のRPMである。
【0015】
電動工具10の他の例示的な実施形態において、電動工具10は、例えば加工される対象物に対して垂直に配置されているなどの電動工具がさらにもう1つの条件を満たす場合に及び/又は電動工具10が加工される対象物上に正しい軸力を供給する場合に第3の種類の光信号を提示するようにさらに構成される。
【0016】
本開示の他の実施形態において、電動工具10は、第1又は第2の種類の光信号21、22に関連する少なくとも第1の種類のマーキング23又は第2の種類のマーキング24を含む、電動工具10から脱着可能な工具ピースホルダー14をさらに備える。
【0017】
この実施形態の利点は、オペレータが、第1又は第2の種類の光信号21、22を第1の種類のマーキング23又は第2の種類のマーキング24と比較することで、電動工具10が正しい動作モードに設定されていることを容易に知ることができることである。電動工具10の1つの例示的な実施形態において、第1の種類のマーキング23は、第1の種類の光信号21に一致する第1の色であり、第2の種類のマーキング24は、第2の種類の光信号22に一致する第2の色である。
【0018】
また、本開示は、少なくとも第1の動作モード及び第2の動作モードで作動するように構成された電動工具10で行われる方法に関する。本方法において、電動工具10は、電動工具が第1の動作モードに設定される場合に加工される対象物を照らすように配置された発光素子20からの第1の種類の光信号21を提供し、電動工具が第2の動作モードに設定される場合に第2の種類の光信号22を提供する。
【0019】
本方法の1つの例示的な実施形態において、発光素子20は、電動工具10のハンドル11の下方部分に配置される。
【0020】
本方法の他の例示的な実施形態によれば、第1の種類の光信号21は第1の色であり、第2の種類の光信号22は第2の色である。本方法のさらに他の例示的な実施形態によれば、電動工具10は、脱着可能な工具ピースホルダー14をさらに備え、工具ピースホルダー14は、第1の種類の光信号21又は第2の種類の光信号22に関連する少なくとも第1の種類のマーキング23又は第2の種類のマーキング24を備える。本方法の他の例示的な実施形態によれば、第1の色及び第2の色の両方を放射するように構成されたLED(発光ダイオード)である。本方法の他の例示的な実施形態によれば、電動工具10はコードレスのドリルである。本方法のさらに他の例示的な実施形態によれば、第1の動作モードは第1のRPMであり、第2の動作モードは第2のRPMである。
【0021】
また、本開示は、電動工具10内で実行されると電動工具10に上記の方法を実行させるコンピュータプログラムに関する。
1つの例示的な実施形態によれば、上記のコンピュータプログラムコードが電動工具10のプロセッサ(図示せず)内で実行されると、電動工具10に上記の方法を実行させる。