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特許7447027低XS/ET比及び高いMFRを有するプロピレン-エチレンランダムコポリマー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】低XS/ET比及び高いMFRを有するプロピレン-エチレンランダムコポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08F 210/16 20060101AFI20240304BHJP
   C08L 23/16 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
C08F210/16
C08L23/16
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020567987
(86)(22)【出願日】2019-06-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 US2019036053
(87)【国際公開番号】W WO2019241066
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-03-07
(31)【優先権主張番号】62/683,124
(32)【優先日】2018-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590001706
【氏名又は名称】ダブリュー・アール・グレース・アンド・カンパニー-コーン
【氏名又は名称原語表記】W R GRACE & CO-CONN
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】フェデック、マシュー、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン エグモンド、ジャン、ウィレム
(72)【発明者】
【氏名】カールト、ジョン、カレヴィ
(72)【発明者】
【氏名】モントヤゴニ、アマイア
【審査官】古妻 泰一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-155422(JP,A)
【文献】国際公開第2017/188255(WO,A1)
【文献】特表2009-512750(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0015170(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 210/16
C08L 23/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高い流動特性を有するプロピレン-エチレンコポリマーであって、
前記プロピレン-エチレンコポリマーは、90重量%を超えるプロピレン含量を含み、
前記プロピレン-エチレンコポリマーは、2.0重量%~5.0重量%の量のエチレン(ET)を含有し、
前記プロピレン-エチレンコポリマーは、前記プロピレン-エチレンコポリマーが1.2~1.5のXS/ET比を有するように、キシレン可溶画分(XS)を有し、
前記プロピレン-エチレンコポリマーは、230℃の温度かつ2.16kgの荷重で45g/10分を超えるメルトフローレートを有し、
前記プロピレン-エチレンコポリマーは、2.8を超える分子量分布(Mw/Mn)を有する、
プロピレン-エチレンコポリマー。
【請求項2】
前記エチレン含有量が、3.0重量%~5.0重量%である、請求項1に記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
【請求項3】
前記エチレン含有量が、3.1重量%~4.7重量%である、請求項1に記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
【請求項4】
前記コポリマーが、45g/10分~140g/10分のメルトフローレートを有する、請求項1~のいずれか一項に記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
【請求項5】
前記コポリマーが、4重量%~7重量%のキシレン可溶画分を有する、請求項1~のいずれか一項に記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
【請求項6】
前記コポリマーが、80g/10分~100g/10分のメルトフローレートを有する、請求項1~に記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
【請求項7】
前記コポリマーが、50g/10分~80g/10分のメルトフローレートを有する、請求項1~に記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
【請求項8】
請求項1~のいずれか一項に記載のプロピレン-エチレンコポリマーを含有するポリマー組成物であって、前記プロピレン-エチレンコポリマーは、70重量%を超える量で前記ポリマー組成物中に存在している、ポリマー組成物。
【請求項9】
前記ポリマー組成物が、酸化防止剤、酸捕捉剤、又はこれらの混合物を更に含有する、請求項に記載のポリマー組成物。
【請求項10】
清澄化剤を更に含む、請求項に記載のポリマー組成物。
【請求項11】
前記清澄化剤が、ジベンジルソルビトールを含む、請求項10に記載のポリマー組成物。
【請求項12】
前記清澄化剤が、ノニトールを含む、請求項10に記載のポリマー組成物。
【請求項13】
前記ポリマー組成物が、40ミルで15%未満のヘイズを呈し、55℃で24時間熱老化した後、前記ヘイズの増加が15%以下である、請求項11又は12に記載のポリマー組成物。
【請求項14】
請求項13のいずれか一項に記載のポリマー組成物から形成される射出成形物品。
【請求項15】
請求項13のいずれか一項に記載のポリマー組成物から形成されるフィルム。
【請求項16】
請求項13のいずれか一項に記載のポリマー組成物から製造される高温充填包装容器。
【請求項17】
前記容器が射出成形によって形成されている、請求項16に記載の高温充填包装容器。
【請求項18】
請求項13のいずれか一項に記載のポリマー組成物から形成される保存容器。
【請求項19】
請求項に記載のプロピレン-エチレンコポリマーを含有するポリマー組成物であって、前記プロピレン-エチレンコポリマーは、90重量%を超える量で前記ポリマー組成物中に存在している、ポリマー組成物。
【請求項20】
請求項に記載のプロピレン-エチレンコポリマーを含有するポリマー組成物であって、前記プロピレン-エチレンコポリマーは、95重量%を超える量で前記ポリマー組成物中に存在している、ポリマー組成物。
【請求項21】
前記ポリマー組成物が、40ミルで15%未満のヘイズを呈し、55℃で24時間熱老化した後、前記ヘイズの増加が12%以下である、請求項11又は12に記載のポリマー組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2018年6月11日の出願された米国特許仮出願第62/683,124号に基づき、その優先権を主張するものであり、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレンポリマーは、多くの異なる用途で使用できる非常に万能な熱可塑性ポリマーである。例えば、ポリプロピレンポリマーを押し出して、フィルム及び繊維を含む様々な異なる形状を形成することができ、比較的単純な、又は複雑な形状を有する物品に成形することができる。ポリプロピレンポリマーを用いて、例えば、カーペット、カーペット裏地、食品包装、剛性包装、自動車部品などの技術部品、排水管及び圧力管など、並びに家具部品、家庭用品、及び玩具を含む様々な消費者製品が製造される。ポリプロピレンポリマーは、例えば、低密度、高剛性、耐熱性、化学的不活性、良好な透明性を有し、再生利用可能である。ポリプロピレンポリマーの特性は、様々な特性を付与するために、プロピレンモノマーを他のモノマーと組み合わせることによって、特定の用途に合わせて改質し、調整することができる。
【0003】
例えば、プロピレンを少量のエチレンと共重合することにより、固有の特性を有するランダムコポリマーが生成される。得られるコポリマーは、例えば、ポリプロピレンホモポリマーよりも低い結晶化度を有し、改善された透明性、耐衝撃性、及び低いヒートシール温度をもたらすことができる。ランダムプロピレン-エチレンコポリマーはまた、一般に、高温用途での使用を制限し得る、より低い融解温度を有する。また、高温に曝されると、ポリマーの透明性が低下する傾向がある。例えば、老化中に更なる結晶化が生じ得るだけでなく、曇った表面層を生成するブルーミングも生じ得る。
【0004】
上記を考慮して、高温に耐えることができるランダムプロピレンコポリマーに対する必要性が現在存在している。特に、剛性が増加することによってより高い耐熱性を有するランダムプロピレンコポリマーが必要とされている。特に老化後の透明性が改善されたランダムプロピレンコポリマーの必要性も存在する。上記特性のうちの1つを有し、また、射出成形用途での使用に適したポリマーにする改善された流動特性を有する、改善されたプロピレンコポリマーの必要性も存在する。
【発明の概要】
【0005】
一般に、本開示は、優れたバランスの特性を有することが見出された、ランダムプロピレン-エチレンコポリマーなどのプロピレンコポリマーを対象とする。本開示によるプロピレンコポリマーは、非常に低いキシレン可溶画分又は含量を有するランダムコポリマーを生成する方法で、チーグラー・ナッタ触媒(メタロセンを使用せず)によって作製される。ランダムコポリマーはまた、比較的高い剛性特性を有し、熱老化中のブルーミングに耐性を有し、ポリマーに優れた透明性を与える。ランダムコポリマーはまた、比較的高い荷重たわみ温度を有するように作製することができ、これによりポリマーは、過去に作製された多くのコポリマーに関してより高い温度での使用に適するようになる。特定の利点のために、本開示のプロピレンランダムコポリマーは、上記特性を用いて製造することができ、依然として優れた流動特性を有することができる。例えば、コポリマーは、約45g/10分を超えるメルトフローレートを有することができ、これによりポリマーは、射出成形用途での使用に適するようになる。高メルトフロー特性は、例えば、比較的薄い壁及び/又は複雑な形状を有する物品及び製品の射出成形にポリマーが使用されることを可能にする。
【0006】
一実施形態では、例えば、本開示は、高い流動特性を有し、主要なモノマーとしてプロピレンを含み、約5重量%未満、例えば約3重量%~約5重量%、例えば3.1重量%~約4.7重量%のαオレフィンコモノマー含有量を有するプロピレンコポリマーを対象とする。一実施形態では、コモノマーは、エチレンである。キシレン可溶画分(XS)対コモノマー又はエチレン(ET)比が約1.51以下、例えば約1.2~約1.5であるように、非常に低いキシレン可溶画分を有するプロピレンコポリマーも形成される。加えて、コポリマーは、約45g/10分超、例えば約45g/10分~約140g/10分、例えば約45g/10分~約120g/10分、例えば約45g/10分~約100g/10分のメルトフローレートを有する。例えば、一実施形態では、コポリマーは、約50g/分~約80g/10分のメルトフローレートを有するように配合することができる。代替的な実施形態では、コポリマーは、約80g/10分~約100g/10分のメルトフローレートを有するように配合することができる。
【0007】
一般に、コポリマー内に含まれるキシレン可溶画分は、約7%未満、例えば約6%未満、例えば約5%未満、一般に約1%超、例えば約2%超である。プロピレンランダムコポリマーを形成するために、置換フェニレン芳香族ジエステルを含む内部電子供与体を含む、チーグラー・ナッタ触媒系を使用することができる。触媒系は、ジシクロペンチルジメトキシシラン又はn-プロピルトリメトキシシランなどの他の供与体を更に含むことができる。
【0008】
本開示のランダムプロピレンコポリマーを使用して、様々な成形物品を形成するためのポリマー組成物を形成することができる。ランダムプロピレンコポリマーは、例えば約70重量%超の量、例えば約80重量%超の量、例えば約90重量%の量、例えば約95重量%超の量、例えば約98重量%超、例えば約99重量%超で、組成物中に存在し得る。組成物は、酸化防止剤、酸捕捉剤、及び/又は帯電防止剤などの様々な他の添加剤及び成分を含有することができる。一実施形態では、ポリマー組成物は、清澄化剤を含有し得る。清澄化剤は、例えば、ジベンジルソルビトールを含み得る。
【0009】
ポリマー組成物は、優れた透明性を有するように配合することができる。例えば、組成物は、40ミルで約15%未満のヘイズを呈することができ、55℃で24時間熱老化した後、ヘイズは約15%以下、例えば約14%以下、例えば約13%以下、例えば約12%以下減少する。
【0010】
本開示はまた、上記のポリマー組成物から作製された射出成形物品を対象とする。一実施形態では、ポリマー物品は、例えばテイクアウト食品などの高温のままの食料品を入れることが意図される高温充填包装容器を含む。本開示のポリマー組成物はまた、ガレージ、屋根裏、倉庫などの非空調空間で使用されるように設計された容器又はオーガナイザートレイなどの保存容器を形成するために使用することもできる。メディアパッケージ(例えば、DVD用)などの、多種多様な実施形態が想到される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、プロピレン-αオレフィンコポリマー組成物及びプロピレンコポリマー組成物の製造方法を含む。組成物は、プロピレン-エチレンランダムコポリマーを含むことができる。プロピレン-エチレンコポリマー組成物は、食品の高温充填包装に特に好適であり得る。具体的には、本開示のプロピレンコポリマー組成物を使用して、食品及び飲料を包装し密封するための剛性高温充填容器及びフィルムを形成することができる。本開示の組成物は、包装時に低温殺菌を必要とする食品での使用に特に有益であり得る。
【0012】
高温充填包装容器に加えて、本開示は、多数の様々な他の用途で使用することができる。例えば、プロピレンランダムコポリマー及びコポリマーを含有する組成物を使用して、他の保存容器を製造することができる。例えば、本開示のポリマー組成物を使用して、屋根裏、ガレージ、倉庫などの非空調空間、又は容器が比較的高温及び比較的低温を含む温度サイクルに曝され得る他の貯蔵設備で使用されるように設計された、透明又は半透明の長期保存容器を製造することができる。
【0013】
本開示の様々なプロピレン-エチレンコポリマー組成物の利点としては、容器に使用するための剛性の増加が挙げられる。組成物はまた、高温条件下で長期間にわたっても、ブルーミングを低減し、ヘイズを低減することもできる。本開示の組成物は、抽出可能かつキシレン可溶分含量を低減することができ、ポリマー組成物を、消費者の使用に安全で、米国食品医薬品局(FDA)規格により容易に適合させることができる。本開示のプロピレン-エチレンコポリマー組成物は、保存された食品のマイクロ波再加熱のために設計された包装にも使用することができる。
【0014】
本開示のプロピレンコポリマーは、上記の利点を提供することができ、また、射出成形プロセスに十分に適したポリマーとなる優れた流動特性を引き続き保持しながら、上記用途に使用することができる。例えば、ポリマーの流動特性は、薄壁物品及び複雑な形状を有する物品の成形を容易にする。例えば、本開示のプロピレンコポリマーは、約45g/10分超、例えば約50g/10分超、例えば約55g/10分超、例えば約60g/10分超、例えば約65g/10分超、例えば約70g/10分超、例えば約75g/10分超、例えば約80g/10分超、例えば約85g/10分、かつ一般に約150g/10分未満、例えば約125g/10分未満、例えば約100g/10分未満のメルトフローレートを有し得る。
I.定義及び試験手順
【0015】
本明細書で使用される「プロピレン-エチレンコポリマー」という用語は、二次構成成分としてエチレンモノマーを有するプロピレンモノマーの大部分の重量パーセントを含有するコポリマーである。「プロピレン-エチレンコポリマー」(ポリプロピレンランダムコポリマー、PPR、PP-R、RCP、又はRACOとも呼ばれる)は、ポリマー鎖内にランダム又は統計的な分布で存在するエチレンモノマーの個々の繰り返し単位を持つポリマーである。
【0016】
ASTM D 1238試験法に従い、230℃で2.16kgの重量のプロピン系ポリマーを用いて、本明細書で使用されるメルトフローレート(MFR)を測定する。メルトフローレートは、ペレット形態又は反応体粉末において測定することができる。反応体粉末を測定するとき、2000ppmのCYANOX 2246酸化防止剤(メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2000ppmのIRGAFOS 168酸化防止剤(トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト)及び1000ppmの酸捕捉剤ZnOを含む安定化パッケージを添加することができる。
【0017】
キシレン可溶分(XS)は、ポリプロピレンランダムコポリマー樹脂のサンプルを熱いキシレンに溶解し、溶液を25℃まで冷却させた後に溶液中に残存する樹脂の重量パーセントとして定義される。これは、90分の沈殿時間を用いるASTM D5492-98による重量XS法とも呼ばれ、本明細書では「湿式法」とも呼ばれる。キシレン可溶分は、任意の他の添加剤を加えることなく、反応体粉末において測定される。
【0018】
Viscotek法は、以下のように実施されるASTMの重量測定法に対して較正される。キシレン可溶性部分は、ASTM D5492-06から適合された方法によって決定され、また本明細書において「湿式法」と呼ばれることもある。手順は、サンプルを2g秤量すること、及びそのサンプルを24/40ジョイントを備える400mLのフラスコ中のo-キシレン200mL中に溶解させることからなる。フラスコを水冷コンデンサに接続し、内容物を撹拌し、窒素(N)下で加熱還流し、次いで、更に30分間還流を維持する。次いで、溶液を温度制御された水浴内で25℃で90分間冷却して、キシレン不溶性画分を結晶化させる。溶液が冷却し、不溶画分が溶液から沈殿した時点で、キシレン可溶部分(XS)のキシレン不溶部分(XI)からの分離を、25ミクロン濾紙を通して濾過することによって達成する。100mLの濾液を予め秤量したアルミニウムパン内に収集し、o-キシレンを窒素流下でこの100mLの濾液から蒸発させる。溶媒が蒸発した時点で、アルミニウムパン及び内容物を100℃の真空オーブン内に30分間又は乾燥するまで設置する。その後、アルミニウムパンを室温に冷却させ、秤量する。キシレン可溶性部分を、XS(重量%)=[(m-m2/m100で計算し、式中、mは使用されるサンプルの初期重量であり、mは空のアルミニウムパンの重量であり、mはパン及び残渣の重量である(アスタリスク、、は、ここで及び本開示のその他の場所で、識別される用語又は値が乗算されていることを示す)。
【0019】
用語「立体規則性」は、一般に、巨大分子又はポリマー内の隣接するキラル中心の相対的立体化学性を指す。例えば、プロピレン系ポリマーでは、2つのプロピレンモノマーなどの隣接するモノマーのキラリティーは、同じ又は反対のいずれかの構成であり得る。用語「二連子」は、2つの連続するモノマーを指定するために使用され、3つの隣接するモノマーは、「三連子」と呼ばれる。隣接するモノマーのキラリティーが同じ相対構成である場合、二連子はイソタクチックであるとみなされ、構成が反対である場合、シンジオタクチックと呼ばれる。構成関係を説明する別の方法は、同じキラリティーを有する連続したモノマー対をメソ(m)、反対の構成を持つモノをラセミ(r)と命名することである。
【0020】
一般には巨大分子、具体的にはポリプロピレン又はポリプロピレンランダムコポリマーの立体規則性又は立体化学性は、三連子濃度を参照することによって記載又は定量化することができる。典型的には省略形「mm」で特定されるイソタクチック三連子は、同じ構成を有する2つの隣接するメソ二連子で構成され、そのため、この三連子の立体規則性は「mm」と特定される。3つのモノマー配列中の2つの隣接するモノマーが同じキラリティーを有し、3番目の単位の相対構成とは異なる場合、この三連子は立体規則性「mr」を有する。「rr」三連子は、中央のモノマー単位が、いずれかの隣接単位とは反対の構成を有する。ポリマー中の各タイプの三連子の割合を決定でき、100を乗じると、ポリマー中に見出されるその種類のパーセンテージが示される。mmパーセントを使用して、本明細書のポリマーを特定し、特徴付ける。
【0021】
ポリマー中のモノマーの配列分布は、13C-NMRによって決定することができ、これはまた、隣接するプロピレン残基に対してエチレン残基を位置させることもできる。13C NMRを使用して、エチレン含有量、Koenig B値、三連子分布、及び三連子の立体規則性を測定することができ、以下のように実施される。
【0022】
Norell 1001-7 10mmのNMR管中の0.20gのサンプルに、0.025M Cr(AcAc)3を含有するテトラクロロエタン-d2/オルトロクロロベンゼンの50/50混合物を約2.7g添加することによって、サンプルを調製する。加熱ブロック及びヒートガンを使用して、チューブ及びその内容物を150℃に加熱することによって、サンプルを溶解し、均質化する。各サンプルを目視で検査して、均質性を確認する。
【0023】
Bruker Dual DUL高温CryoProbeを取り付けたBruker 400MHz分光計を使用してデータを収集する。データファイル当たり320トランジェント、6秒のパルス繰り返し遅延、90度のフリップ角、及び120℃のサンプル温度での逆ゲート付きデカップリングを使用して、データを取得する。全ての測定は、非紡糸サンプルにおいてロックモードで行われる。サンプルを、データ収集前に7分間熱平衡化させる。立体規則性のmm%及びエチレンの重量%を、以下で簡潔に要約される当該技術分野において一般的に使用される方法に従って計算する。
【0024】
共鳴の化学シフトの測定に関して、ヘッドトゥテール結合からなり、同じ相対的キラリティーを有する5つの連続するプロピレン単位の配列中にある3番目の単位のメチル基は、21.83ppmに設定される。他の炭素共鳴の化学シフトは、上述の値を参照として使用することによって決定される。メチル炭素領域(17.0~23ppm)に関するスペクトルは、第1の領域(21.1~21.9ppm)、第2の領域(20.4~21.0ppm)、第3の領域(19.5~20.4ppm)及び第4の領域(17.0~17.5ppm)に分類することができる。スペクトルの各ピークは、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、例えば、Polymer,T.Tsutsui et al.,Vol.30,Issue 7,(1989)1350-1356及び/又はMacromolecules,H.N.Cheng,17(1984)1950-1955の論文などの文献を参照して割り当てられる。
【0025】
第1の領域には、PPP(mm)三連子中の中央メチル基のシグナルが位置する。第2の領域では、PPP(mr)三連子中の中央メチル基のシグナルと、隣接する単位がプロピレン単位であるプロピレン単位のメチル基(PPE-メチル基)と、エチレン単位が共鳴する。第3の領域では、PPP(rr)三連子中の中央メチル基のシグナルと、隣接する単位がエチレン単位であるプロピレン単位のメチル基(EPE-メチル基)が共鳴する。
【0026】
PPP(mm)、PPP(mr)及びPPP(rr)は、それぞれ、ヘッドトゥテール結合を有する、以下の3連プロピレン単位鎖構造を有する。これは、以下のフィッシャー投影図に示される。
【化1】
【0027】
プロピレンランダムコポリマーの三連子立体規則性(mm割合)は、以下の式を使用して、プロピレンランダムコポリマーの13C-NMRスペクトルから決定することができる。
【数1】
【0028】
上記計算に使用されるピーク面積は、13C-NMRスペクトルの三連子領域から直接測定されない。mr及びrr三連子領域の強度は、それぞれEPP及びEPE配列により、それらの面積から減算される必要がある。EPP面積は、26~27.2ppmのシグナルと30.1ppmのシグナルとの合計の面積の1/2から減算した後、30.8ppmのシグナルから決定することができる。EPEによる面積は、33.2ppmのシグナルから決定することができる。
【0029】
便宜上、エチレン含有量はまた、第1の方法として上記の13C NMRを用いて決定されたエチレン値と相関する、フーリエ変換赤外線法(FTIR)を用いて測定される。2つの方法を使用して実施される測定間の関係及び一致は、例えば、J.R.Paxson,J.C.Randall,「Quantitative Measurement of Ethylene Incorporation into Propylene Copolymers by Carbon-13 Nuclear Magnetic Resonance and Infrared Spectroscopy」,Analytical Chemistry,Vol.50,No.13,Nov.1978,1777-1780に記載されている。
【0030】
「Koenig B値」又は「B値」又はχ統計量は、プロピレンエチレンランダムコポリマーにおけるランダム性又はブロック性の1つの尺度である。Koenig B値1.0はランダムコポリマーを示し、ゼロの値はモノマーA及びB、本開示では、プロピレン及びエチレンの完全なブロックを示す。Koenig B値2は、完全に交互のコポリマー(すなわち、構造A-B-A-B-A-Bによって定義されるポリマー)を示す。Koenig B値は、B=[EP]/(2[P][E])として計算することができ、式中、[EP]は、EP二量体(EP+PE、又は(EEP+PPE+PEP+EPE))の総モル分率であり、[E]はエチレンモル分率であり、[P]=1-[E]である。Koenig B値の決定及び計算の詳細は、Koenig,Jack L.;Spectroscopy of Polymers,2nd ed.を参照されたい。
II.プロピレン-エチレンランダムコポリマー組成物
【0031】
本開示のプロピレン-エチレンコポリマー組成物は、二次構成成分としてエチレンなどのαオレフィンモノマーを有する、大部分の重量パーセントのプロピレンモノマーを含むことができる。本開示のプロピレン-エチレンコポリマー組成物のエチレン含有量(ET)は、コポリマーの約2.0~約5.0重量%、好ましくは約3.0~約5.0重量%、より好ましくは約3.1~約4.7重量%であり得る。
【0032】
本発明のコポリマーのキシレン可溶(XS)画分(湿式法による)は、コポリマーの7.0重量%以下(≦)、又は≦6.0重量%、より好ましくは≦5.0重量%、及び更により好ましくは≦4重量%、例えば、≦6.5重量%、≦5.5重量%、≦4.5重量、又は≦3.5重量%であり得る。キシレン可溶(XS)画分は、好ましくは2.0重量%~7.0%重量%、3重量%~7重量%の範囲である。
【0033】
プロピレン-エチレンコポリマーは、一般に、約45g/10分超、例えば約55g/10分超、例えば約65g/10分超、例えば約75g/10分超、例えば約85g/10分超、例えば約95g/10分超、例えば約105g/10分超、例えば約115g/10分超のメルトフローレートを有し得る。メルトフローレートは、一般に、約145g/10分未満、例えば約120g/10分未満、例えば約100g/10分未満である。
【0034】
キシレン可溶分(XS)のエチレン含有量(ET)に対する重量比は、本開示の実施形態の重要な態様であり、キシレン可溶分対エチレン比、又はXS/ET比と称され得る。本開示のプロピレン-エチレンコポリマー組成物のXS/ET比は、1.5以下(≦)、又は≦1.4、より好ましくは≦1.2、及び更により好ましくは≦1.0、例えば、≦1.8、≦1.4、≦1.1、又は≦0.95であり得る。XS/ET比はまた、0.5~1.51、1.0~1.5、又は1.2~1.5の範囲であってもよい。
【0035】
一実施形態では、ポリマー組成物は、造核剤を含有してもよい。例えば、造核剤は、α晶造核剤であってもよい。ポリマー組成物に使用され得る造核剤及び/又は清澄剤の例としては、ベンゼンアミド誘導体、ソルビトール誘導体、ノニトール誘導体、及びこれらの混合物が挙げられる。造核剤の具体例としては、2,2-メチレン-ビス-(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)リン酸ナトリウムなどのAdeka Palmarole SASから市販されているNA-11造核剤が挙げられる。使用することができる他の造核剤としては、HPN-600eiなどのMilliken and Company(Spartanburg,South Carolina)から市販されているHPN造核剤が挙げられる。Millikenの他の好適な清澄剤としては、Millad NX8000及びMillad 3988iが挙げられる。
【0036】
本開示のコポリマーは、一般に、比較的広い分子量分布を有する。例えば、分子量分布(Mw/Mn)は、一般に、約3.5超、例えば約3.8超、例えば約4超、例えば約4.3超、例えば約4.5超、例えば約4.8超、例えば約5超、例えば約5.2超、例えば約5.5超、例えば約5.7超、例えば約6超であり、一般に、約10未満、例えば約8未満、例えば約7.5未満である。重量平均分子量はGPCによって決定される。
III.プロピレン-エチレンランダムコポリマーの製造
【0037】
本発明の実施形態は、当該技術分野において既知のプロピレン系ポリマーを重合するための任意のプロセスによって作製することができる。これには、担持されたチーグラー・ナッタ触媒を使用するUNIPOL(登録商標)気相プロセスを含む。特に好ましいのは、W.R.Grace & Co.(Columbia,Maryland)から入手可能なCONSISTA(登録商標)触媒である。好適なポリプロピレンランダムコポリマーは、多峰性生成物を生成するために単一の反応器又は複数の反応器を使用して作製することができる。いくつかの実施形態では、フタル酸塩を含有しない内部電子供与体を使用することが好ましい。
【0038】
有用なPP-Rコポリマーを調製するためのプロセス及び触媒組成物は、例えば、国際公開第2011/084628号に開示されており、その他は一般に米国特許第7,381,779号、同第7,491,670号、同第7,678,868号、同第7,781,363号、及び同第7,989,383号に開示されている。高分子量及び低MFRを有するプロピレン-エチレンランダムコポリマーは、場合によっては、米国特許第8,288,585号、同第8,536,372号、同第8,778,826号、米国特許出願公開第2013/0338321号、及び/又は国際公開第2010/078494号及びその他のものに開示されているものなどの非フタル酸塩内部供与体を含有する「第6世代」チーグラー・ナッタ触媒と称される、立体特異的触媒を使用して製造される。更に好適なのは、典型的にはフタル酸塩内部供与体(例えば、フタル酸ジイソブチル、DIBP)を含有する、いわゆる「第4世代」チーグラー・ナッタ触媒である。引用した特許のそれぞれは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0039】
ポリプロピレンランダム(PP-R)コポリマーの製造に使用するのに好適なプロ触媒組成物としては、チーグラー・ナッタプロ触媒組成物が挙げられる。任意の従来のチーグラー・ナッタプロ触媒は、特許請求されるPP-Rコポリマーの製造が可能である限り、当該技術分野において一般的に知られているように、本発明の触媒組成物中で使用され得る。ある実施形態では、チーグラー・ナッタプロ触媒組成物は、塩化チタンなどのチタン部分、塩化マグネシウムなどのマグネシウム部分、及び内部電子供与体を含有する。
【0040】
ある実施形態では、内部電子供与体は、置換フェニレン芳香族ジエステルを含む。ある実施形態では、1,2-フェニレン芳香族ジエステルが提供される。置換1,2-フェニレン芳香族ジエステルは、以下の構造(I)を有し、
【化2】
【0041】
式中、R~R14は、同一又は異なる。R~R14は各々、水素、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子、及びそれらの組み合わせから選択される。R~R14のうちの少なくとも1つは、水素ではない。
【0042】
本明細書で使用される場合、「ヒドロカルビル」及び「炭化水素」という用語は、分岐状又は非分岐状、飽和又は不飽和、環状、多環状、縮合、又は非環状種、及びそれらの組み合わせを含む、水素原子及び炭素原子のみを含有する置換基を指す。ヒドロカルビル基の非限定的な例としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基、シクロアルケニル基、シクロアルカジエニル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基、及びアルキニル基が挙げられる。
【0043】
本明細書で使用される場合、「置換ヒドロカルビル」及び「置換炭化水素」という用語は、1個以上の非ヒドロカルビル置換基で置換されているヒドロカルビル基を指す。非ヒドロカルビル置換基の非限定的な例は、ヘテロ原子である。本明細書で使用される場合、「ヘテロ原子」とは、炭素又は水素以外の原子を指す。ヘテロ原子は、周期表のIV、V、VI、及びVII族に属する非炭素原子であり得る。ヘテロ原子の非限定的な例としては、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、N、O、P、B、S、及びSiが挙げられる。置換ヒドロカルビル基は、ハロヒドロカルビル基及びケイ素含有ヒドロカルビル基も含む。本明細書で使用される場合、「ハロヒドロカルビル」基という用語は、1個以上のハロゲン原子で置換されているヒドロカルビル基を指す。本明細書で使用される場合、「ケイ素含有ヒドロカルビル基」という用語は、1個以上のケイ素原子で置換されているヒドロカルビル基である。ケイ素原子(複数可)は、炭素鎖中にある場合もない場合もある。
【0044】
プロ触媒前駆体は、(i)マグネシウム、(ii)周期表IV族~VIII族の元素の遷移金属化合物、(iii)ハロゲン化物、オキシハライド、及び/又は(i)及び/又は(ii)のアルコキシド、並びに(iv)(i)、(ii)及び(iii)の組み合わせを含むことができる。好適なプロ触媒前駆体の非限定的な例としては、ハロゲン化物、オキシハライド、及びマグネシウム、マンガン、チタン、バナジウム、クロム、モリブデン、ジルコニウム、ハフニウムのアルコキシド、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0045】
ある実施形態では、プロ触媒前駆体は、マグネシウム部分化合物(MagMo)、混合マグネシウムチタン化合物(MagTi)、又は安息香酸塩含有塩化マグネシウム化合物(BenMag)である。実施形態では、プロ触媒前駆体は、マグネシウム部分(「MagMo」)前駆体である。「MagMo前駆体」は、唯一の金属成分としてマグネシウムを含有する。MagMo前駆体は、マグネシウム部分を含む。好適なマグネシウム部分の非限定的な例には、無水塩化マグネシウム及び/又はそのアルコール付加物、マグネシウムアルコキシド又はアリールオキシド、混合マグネシウムアルコキシハライド、及び/又はカルボキシル化マグネシウムジアルコキシド又はアリールオキシドが含まれる。一実施形態では、MagMo前駆体は、ジ(C1-4)アルコキシドである。更なる実施形態では、MagMo前駆体は、ジエトキシマグネシウムである。
【0046】
実施形態では、プロ触媒前駆体は、混合マグネシウム/チタン化合物(「MagTi」)である。「MagTi前駆体」は、式MgTi(ORを有し、式中、Rは、1~14個の炭素原子を有する脂肪族又は芳香族炭化水素ラジカル又はCOR’であり、式中、R’は、1~14個の炭素原子を有する脂肪族又は芳香族炭化水素ラジカルであり、各OR基は、同一であるか又は異なり、Xは独立して、塩素、臭素、又はヨウ素、好ましくは塩素であり、dは、0.5~56、又は2~4であり、fは、2~116又は5~15であり、gは、0.5~116、又は1~3である。前駆体は、調製時に使用される反応混合物からのアルコールの除去による制御沈殿によって調製される。ある実施継代では、反応混合物は、芳香族液体、具体的には、塩素化芳香族化合物、最も具体的にはクロロベンゼンと、アルカノール、特にエタノールとの混合物を含む。好適なハロゲン化剤は、四臭化チタン、四塩化チタン、又は三塩化チタン、特に四塩化チタンを含む。ハロゲン化において使用される溶液からのアルカノールの除去は、特に望ましい形態及び表面積を有する固体前駆体の沈殿をもたらす。更に、得られる前駆体は、粒径が特に均一である。
【0047】
本発明のプロ触媒組成物はまた、内部電子供与体も含み得る。本明細書で使用される場合、「内部電子供与体」は、1つの電子対を結果として生じるプロ触媒組成物中に存在する1つ以上の金属に供与する、プロ触媒組成物の形成中に添加される化合物である。任意の特定の理論に束縛されるものではないが、内部電子供与体は、活性部位の形成を調節し、したがって触媒立体選択性を強化すると考えられる。ある実施形態では、内部電子供与体は、上記で特定された構造(I)の置換フェニレン芳香族ジエステルを含む。
【0048】
ある実施形態では、マグネシウム部分、チタン部分、及び内部電子供与体の組み合わせを含むプロ触媒組成物が提供される。内部電子供与体は、置換フェニレン芳香族ジエステルを含む。プロ触媒組成物は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,536,372号に詳細に記載されるハロゲン化手順によって生成され、これは、プロ触媒前駆体及び置換フェニレン芳香族ジエステル供与体を、内部電子供与体が組み込まれるマグネシウム及びチタン部分の組み合わせに変換する。プロ触媒組成物が形成されるプロ触媒前駆体は、マグネシウム部分前駆体、混合マグネシウム/チタン前駆体、又はベンゾート含有塩化マグネシウム前駆体であり得る。
【0049】
ある実施形態では、マグネシウム部分はハロゲン化マグネシウムである。別の実施形態では、ハロゲン化マグネシウムは、塩化マグネシウム又は塩化マグネシウムアルコール付加物である。ある実施形態では、チタン部分は、塩化チタンなどのハロゲン化チタンである。別の実施形態では、チタン部分は、四塩化チタンである。別の実施形態では、プロ触媒組成物は、上部に塩化チタンが堆積され、かつ上部に内部電子供与体が組み込まれる塩化マグネシウム担体を含む。
【0050】
ある実施形態では、プロ触媒組成物の内部電子供与体は、上記の構造(I)の置換フェニレン芳香族ジエステルを含み、式中、R~R14は同じであるか又は異なっており、R~R14は各々、水素、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子、及びそれらの組み合わせから選択され、かつ、R~R14のうち少なくとも1つは水素ではない。
【0051】
実施形態では、R~Rのうちの少なくとも1つ(又は2つ、又は3つ、又は4つ)のR基(複数化)は、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0052】
実施形態では、R~R14のうちの少なくとも1つ(又はいくつか又は全て)のR基(複数化)は、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。別の実施形態では、R~Rのうちの少なくとも1つ及びR10~R14のうちの少なくとも1つは、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子及びこれらの組み合わせから選択される。
【0053】
実施形態では、R~Rのうちの少なくとも1つ及びR~R14の少なくとも1つは、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子及びこれらの組み合わせから選択される。別の実施形態では、R~Rのうちの少なくとも1つ、R~Rのうちの少なくとも1つ及びR10~R14うちの少なくとも1つは、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子及びこれらの組み合わせから選択される。
【0054】
実施形態では、R~Rの任意の連続するR基、及び/又はR~Rの任意の連続するR基、及び/又はR10~R14の任意の連続するR基は、連結されて、環状又は環状内構造体を形成してもよい。環状/環状内構造体は、芳香族であっても、又は芳香族でなくてもよい。ある実施形態では、環状間/環状内構造体は、C又はC員環である。
【0055】
実施形態では、R~Rのうちの少なくとも1つは、1~20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、及びそれらの組み合わせである。任意選択的に、R~R14のうちの少なくとも1つは、ハロゲン原子又は1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基であってもよい。任意選択的に、R~R、及び/又はR~R、及び/又はR10~R14は、連結されて、環状間構造体又は環状内構造体を形成してもよい。環状間構造体及び/又は環状内構造体は、芳香族であっても、又は芳香族でなくてもよい。
【0056】
実施形態では、R~R、及び/又はR~R、及び/又はR10~R14の任意の連続するR基は、C~C員環のメンバーであってもよい。
【0057】
ある実施形態では、構造(II)は、水素としてR、R及びRを含む。Rは、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、及びこれらの組み合わせから選択される。R~R14は、同一であるか又は異なり、R~R14の各々は、水素1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン及びこれらの組み合わせから選択される。
【0058】
ある実施形態では、Rは、C~Cアルキル基、C~Cシクロアルキル基、又は置換C~Cシクロアルキル基から選択される。Rは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基であり得る。
【0059】
ある実施形態では、構造(I)は、メチルであるRを含み、R~R14の各々は、水素である。ある実施形態では、構造(I)は、エチルであるRを含み、R~R14の各々は、水素である。ある実施形態では、構造(I)は、t-ブチルであるRを含み、R~R14の各々は、水素である。ある実施形態では、構造(I)は、エトキシカルボニルであるRを含み、R~R14の各々は、水素である。
【0060】
ある実施形態では、構造(I)は、それぞれ水素としてR、R及びRを含み、Rは、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、及びこれらの組み合わせから選択される。R~R14は、同一であるか又は異なり、各々は、水素、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン及びこれらの組み合わせから選択される。
【0061】
ある実施形態では、構造(I)は、メチルであるRを含み、R~R14の各々は、水素である。
【0062】
ある実施形態では、構造(I)は、水素であるR及びRを含み、R及びRは同じであるか又は異なる。R及びRの各々は、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、及びこれらの組み合わせから選択される。R~R14は、同一であるか又は異なり、R~R14の各々は、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン及びこれらの組み合わせから選択される。
【0063】
ある実施形態では、構造(I)は、同じであるか又は異なるR及びRを含む。R及びRの各々は、C~Cアルキル基、C~Cシクロアルキル基、又は置換C~Cシクロアルキル基から選択される。R~R14は同じであるか又は異なっており、R~R14の各々は、水素、C~Cアルキル基、及びハロゲンから選択される。好適なC~Cアルキル基の非限定的な例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、i-ペンチル、ネオペンチル、t-ペンチル、n-ヘキシル、及び2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル基が含まれる。好適なC~Cシクロアルキル基の非限定的な例としては、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基が挙げられる。更なる実施形態では、R~R14のうちの少なくとも1つは、C~Cアルキル基又はハロゲンである。
【0064】
ある実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR、及びt-ブチル基であるRを含む。R、R及びR~R14の各々は、水素である。
【0065】
ある実施形態では、構造(I)は、イソプロピル基であるR及びRを含む。R、R及びR~R14の各々は、水素である。
【0066】
ある実施形態では、構造(I)は、メチル基としてR、R、及びR10の各々を含み、Rは、t-ブチル基である。R、R、R~R及びR11~R14の各々は、水素である。
【0067】
ある実施形態では、構造(I)は、メチル基としてR、R、及びR12の各々を含み、Rは、t-ブチル基である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0068】
ある実施形態では、構造(I)は、メチル基としてRを含み、Rは、t-ブチル基である。R及びR12の各々は、エチル基である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0069】
ある実施形態では、構造(I)は、メチル基としてR、R、R、R、R10、R12、及びR14の各々を含み、Rは、t-ブチル基である。R、R、R、R8、11及びR13の各々は、水素である。
【0070】
ある実施形態では、構造(I)は、メチル基としてRを含み、Rは、t-ブチル基である。R、R、R、R10、12及びR14の各々は、i-プロピル基である。R、R、R、R8、11及びR13の各々は、水素である。
【0071】
ある実施形態では、置換フェニレン芳香族ジエステルは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,536,372号に詳細に記載されているR~R14のそれぞれの代替物を含む、構造(II)~(V)からなる群から選択される構造を有する。
【0072】
ある実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR、及びt-ブチル基であるRを含む。R及びR12の各々は、エトキシ基である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0073】
ある実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR、及びt-ブチル基であるRを含む。R及びR12の各々は、フッ素原子である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0074】
ある実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR、及びt-ブチル基であるRを含む。R及びR12の各々は、塩素原子である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0075】
ある実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR、及びt-ブチル基であるRを含む。R及びR12の各々は、臭素原子である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0076】
ある実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR、及びt-ブチル基であるRを含む。R及びR12の各々は、ヨウ素原子である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0077】
ある実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR、及びt-ブチル基であるRを含む。R、R、R11及びR12の各々は、塩素原子である。R、R、R、R、R、R10、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0078】
ある実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR、及びt-ブチル基であるRを含む。R、R、R11及びR13の各々は、塩素原子である。R、R、R、R、R、R10、R12、及びR14の各々は、水素である。
【0079】
ある実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR、及びt-ブチル基であるRを含む。R、R及びR~R14の各々は、塩素原子である。
【0080】
ある実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR、及びt-ブチル基であるRを含む。R及びR12の各々は、トリフルオロメチル基である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0081】
ある実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR、及びt-ブチル基であるRを含む。R及びR12の各々は、エトキシカルボニル基である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0082】
実施形態では、Rは、メチル基であり、Rは、t-ブチル基である。R及びR12の各々は、エトキシ基である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0083】
ある実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR、及びt-ブチル基であるRを含む。R及びR12の各々は、ジエチルアミノ基である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0084】
ある実施形態では、構造(I)は、メチル基であるRを含み、Rは、2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル基である。R、R及びR~R14の各々は、水素である。
【0085】
ある実施形態では、構造(I)は、各々がsec-ブチル基であるR及びRを含む。R、R及びR~R14の各々は、水素である。
【0086】
ある実施形態では、構造(I)は、各々メチル基であるR及びRを含む。R、R、R~R、及びR10~R14の各々は、水素である。
【0087】
ある実施形態では、構造(I)は、メチル基であるRを含む。Rは、i-プロピル基である。R、R、R~R、及びR10~R14の各々は、水素である。
【0088】
ある実施形態では、構造(I)は、R、R、及びRを含み、これらは各々、i-プロピル基である。R、R~R及びR10~R14の各々は、水素である。
【0089】
ある実施形態では、別のプロ触媒組成物が提供される。プロ触媒組成物は、マグネシウム部分、チタン部分、及び混合内部電子供与体の組み合わせを含む。本明細書で使用するとき、「混合内部電子供与体」は、(i)置換フェニレン芳香族ジエステル、(ii)1対の電子を、得られるプロ触媒組成物中に存在する1つ以上の金属に供与する電子供与体成分、及び(iii)任意選択的に他の成分である。ある実施形態では、電子供与体成分は、フタル酸塩、ジエーテル、安息香酸塩、及びこれらの組み合わせである。混合内部電子供与体を有するプロ触媒組成物は、本明細書に特定するこれまでの特許及び特許公開に開示されるような、プロ触媒生成手順によって生成することができる。
【0090】
例えば、好適な触媒組成物は、プロ触媒組成物と、共触媒と、外部電子供与体又は2つ以上の異なる成分の混合外部電子供与体(M-EED)と、を含む。好適な外部供与体としては、1種以上の活性制限剤(ALA)、1種以上の選択性制御剤(SCA)、又はALA及びSCAの両方が挙げられる。本明細書で使用するとき、「外部電子供与体」は、触媒性能を改質するプロ触媒形成とは無関係に添加される、成分、又は、成分の混合物を含む組成物である。本明細書で使用するとき、「活性制限剤」は、触媒存在下の重合温度が閾値温度を超えて上昇すると(例えば、約85℃超の温度)、触媒活性を低下させる組成物である。「選択性制御剤」は、ポリマーの立体規則性を改善する組成物であり、改善された立体規則性は、一般に、立体規則性の増加又はキシレン可溶分の減少又はその両方を意味すると理解される。上記の定義は互いに排他的ではなく、単一の化合物は、例えば、活性制限剤及び選択性制御剤の両方として分類され得ることを理解されたい。
【0091】
ある実施形態では、外部電子供与体はアルコキシシランを含む。アルコキシシランは、次の一般式を含み、
SiR(OR’)4-m (I)
式中、Rは、独立して、各出現時に、水素、又は1つ以上の14族、15族、16族若しくは17族のヘテロ原子を含有する1つ以上の置換基で任意に置換されているヒドロカルビル基若しくはアミノ基であり、当該Rは、水素及びハロゲン以外の原子を最大20個含有し、R’は、C1~4アルキル基であり、mは0、1、2又は3である。ある実施形態では、Rは、C6~12アリールアルキル若しくはアラルキル、C3~12シクロアルキル、C3~12分岐鎖アルキル、又はC3~12環式若しくは非環式アミノ基であり、R’はC1~4アルキルであり、mは1又は2である。
【0092】
好適なシラン組成物の非限定的な例としては、ジシクロペンチルジメトキシシラン;ジ-tert-ブチルジメトキシシラン;メチルシクロヘキシルジメトキシシラン;メチルシクロヘキシルジエトキシシラン;エチルシクロヘキシルジメトキシシラン;ジフェニルジメトキシシラン;ジイソプロピルジメトキシシラン;ジ-n-プロピルジメトキシシラン;ジイソブチルジメトキシシラン;ジイソブチルジエトキシシラン;イソブチルイソプロピルジメトキシシラン;ジ-n-ブチルジメトキシシラン;シクロペンチルトリメトキシシラン;イソプロピルトリメトキシシラン;n-プロピルトリメトキシシラン;n-プロピルトリエトキシシラン;エチルトリエトキシシラン;テトラメトキシシラン;テトラエトキシシラン;ジエチルアミノトリエトキシシラン;シクロペンチルピロリジノジメトキシシラン;ビス(ピロリジノ)ジメトキシシラン;ビス(ペルヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン;及びジメチルジメトキシシランが挙げられる。ある実施形態において、シラン組成物は、ジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPDMS);メチルシクロヘキシルジメトキシシラン(MChDMS);又は、n-プロピルトリメトキシシラン(NPTMS);及びこれらの任意の組み合わせである。
【0093】
ある実施形態では、選択性制御剤成分は、2つ以上のアルコキシシランの混合物であり得る。更なる実施形態では、混合物は、ジシクロペンチルジメトキシシラン及びメチルシクロヘキシルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン及びテトラエトキシシラン、又はジシクロペンチルジメトキシシラン及びn-プロピルトリエトキシシランであり得る。ある実施形態では、混合外部電子供与体は、安息香酸塩、コハク酸塩、及び/又はジオールエステルを含んでもよい。ある実施形態では、混合外部電子供与体は、SCAとして2,2,6,6-テトラメチルピペリジンを含む。別の実施形態では、混合外部電子供与体は、SCA及びALAの両方としてジエーテルを含む。
【0094】
混合外部電子供与体系はまた、活性制限剤(ALA)を含むことができる。ALAは、重合反応器の不調を抑制又はさもなければ阻止し、重合プロセスの継続を確実にする。典型的には、チーグラー・ナッタ触媒の活性は、反応器の温度が上昇するにつれて増大する。チーグラー・ナッタ触媒はまた、典型的には、生成されたポリマーの融点に近い温度で高い活性を維持する。発熱重合反応によって生じた熱は、ポリマー粒子凝集体を形成させる場合があり、最終的にはポリマー生成プロセスを中断させ得る。ALAは、高温で触媒活性を低下させ、それにより反応器の不調を阻止し、粒子の凝集を低減(又は阻止)し、重合プロセスの継続を確実にする。
【0095】
活性制限剤は、カルボン酸エステル、ジエーテル、ポリ(アルケングリコール)、ジオールエステル及びこれらの組み合わせであり得る。カルボン酸エステルは、脂肪族又は芳香族のモノ又はポリカルボン酸エステルであり得る。好適なモノカルボン酸エステルの非限定的な例としては、安息香酸エチル及びメチル;p-メトキシ安息香酸エチル;p-エトキシ安息香酸メチル;p-エトキシ安息香酸エチル;p-イソプロポキシ安息香酸エチル;アクリル酸エチル;メタクリル酸メチル;酢酸エチル;p-クロロ安息香酸エチル;p-アミノ安息香酸ヘキシル;ナフテン酸イソプロピル;トルイル酸n-アミル;シクロヘキサン酸エチル、及びピバル酸プロピルが挙げられる。
【0096】
好適なポリカルボン酸エステルの非限定的な例としては、フタル酸ジメチル;フタル酸ジエチル;フタル酸ジ-n-プロピル;フタル酸ジイソプロピル;フタル酸ジ-n-ブチル;フタル酸ジイソブチル;フタル酸ジ-tert-ブチル;フタル酸ジイソアミル;フタル酸ジ-tert-アミル;フタル酸ジネオペンチル;フタル酸ジ-2-エチルヘキシル;フタル酸ジ-2-エチルデシル;テレフタル酸ジエチル;テレフタル酸ジオクチル;及びテレフタル酸ビス[4-(ビニルオキシ)ブチル]が挙げられる。
【0097】
脂肪族カルボン酸エステルは、C脂肪族酸エステルであってもよく、モノ又はポリ(2種以上の)エステルであってもよく、直鎖又は分岐状であってもよく、飽和又は不飽和であってもよく、それらの任意の組み合わせであってもよい。C~C30脂肪族酸エステルはまた、1個以上の14、15、又は16族のヘテロ原子を含有する置換基で置換されてもよい。好適なC~C30脂肪族酸エステルの非限定的な例としては、脂肪族C6~30モノカルボン酸のCi-2Oアルキルエステル、脂肪族C8~20モノカルボン酸のC1~20アルキルエステル、脂肪族C4~20モノカルボン酸及びジカルボン酸のC1~4アリルモノ及びジエステル、脂肪族C8~20モノカルボン酸及びジカルボン酸のC1~4アルキルエステル、並びに、C2~100(ポリ)グリコール又はC2~100(ポリ)グリコールエーテルのC6~20モノ又はポリカルボキシレート誘導体が挙げられる。更なる実施形態では、C~C30脂肪族酸エステルは、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、オレイン酸塩、セバシン酸塩、モノ又はジ酢酸(ポリ)(アルキレングリコール)、モノ又はジミリスチン酸(ポリ)(アルキレングリコール)、モノ又はジラウリン酸(ポリ)(アルキレングリコール)、モノ又はジオレイン酸(ポリ)(アルキレングリコール)、トリ(酢酸)グリセリル、C2~40脂肪族カルボン酸グリセリルトリエステル、及びそれらの混合物であり得る。更なる実施形態では、C~C20脂肪族エステルは、ミリスチン酸イソプロピル又はジ-n-ブチルセバケートである。
【0098】
ある実施形態では、活性制限剤は、ジエーテルを含む。ジエーテルは、以下の構造(VI)によって表される1,3-ジエーテル化合物であり得、
【化3】
式中、R~Rは互いに独立して、最大20個の炭素原子を有するアルキル基、アリール基、又はアラルキル基であって、所望により、14族、15族、16族、又は17族のヘテロ原子を含有してもよく、R及びRは水素原子であってもよい。ジアルキルエーテルは、直鎖又は分枝鎖であってもよく、1~18個の炭素原子を有するアルキル基、脂環式基、アリール基、アルキルアリール基、又はアリールアルキル基のうち1つ以上と、水素を含んでもよい。R及びRは連結されて、シクロペンタジエン又はフルオレンなどの環状構造を形成してもよい。
【0099】
ある実施形態では、活性制限剤は、以下の構造(VII)を有するコハク酸塩組成物を含み、
【化4】
式中、R及びR’は同じであっても異なっていてもよく、R及び/又はR’は、水素、直鎖又は分枝鎖アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アリールアルキル基又はアルキルアリール基のうち1つ以上を含み、任意にヘテロ原子を含有する。1つ以上の環構造は、2位及び3位の炭素原子の一方又は両方を介して形成することができる。
【0100】
ある実施形態では、活性制限剤は、以下の構造(VIII)で表されるジオールエステルを含み、
【化5】
nは、1~5の整数である。R及びRは、同じであっても異なっていてもよく、それぞれは、水素、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、アリル基、フェニル基、又はハロフェニル基から選択されてもよい。R、R、R、R、R、及びRは、同じであっても異なっていてもよく、それぞれは、水素、ハロゲン、又は1~20個の炭素原子を有する置換若しくは非置換ヒドロカルビルから選択されてもよい。R~R基は、炭素、水素、又はその両方を置換する1つ以上のヘテロ原子を任意に含有してもよく、ヘテロ原子は、窒素、酸素、硫黄、ケイ素、リン及びハロゲンから選択される。R及びRは、同じであっても異なっていてもよく、フェニル環のいずれかの2-、3-、4-、5-及び6位の任意の炭素原子に結合してもよい。
【0101】
個々の外部電子供与体成分を、別々に反応器内に添加することができ、又は2つ以上を予め混合した後、混合物として反応器に添加することができる。混合物では、2つ以上の選択性制御剤又は2つ以上の活性制限剤を使用することができる。ある実施形態では、混合物は、ジシクロペンチルジメトキシシランとミリスチン酸イソプロピル;ジイソプロピルジメトキシシランとミリスチン酸イソプロピル;ジシクロペンチルジメトキシシランとラウリン酸ポリ(エチレングリコール);ジシクロペンチルジメトキシシランとミリスチン酸イソプロピルとジオレイン酸ポリ(エチレングリコール);メチルシクロヘキシルジメトキシシランとミリスチン酸イソプロピル;n-プロピルトリメトキシシランとミリスチン酸イソプロピル;ジメチルジメトキシシランとメチルシクロヘキシルジメトキシシランとミリスチン酸イソプロピル;ジシクロペンチルジメトキシシランとn-プロピルトリエトキシシランとミリスチン酸イソプロピル;ジイソプロピルジメトキシシランとn-プロピルトリエトキシシランとミリスチン酸イソプロピル;及びジシクロペンチルジメトキシシランとテトラエトキシシランとミリスチン酸イソプロピル;ジシクロペンチルジメトキシシランとジイソプロピルジメトキシシランとn-プロピルトリエトキシシランとミリスチン酸イソプロピル;及びこれらの組み合わせである。
【0102】
触媒組成物は、共触媒を含む。チーグラー・ナッタプロ触媒組成物と共に使用するための共触媒は、アルミニウム含有組成物であってもよい。好適なアルミニウム含有組成物の非限定的な例としては、有機アルミニウム化合物が挙げられ、例えば、トリアルキルアルミニウム;水素化ジアルキルアルミニウム;二水素化アルキルアルミニウム;ハロゲン化ジアルキルアルミニウム;ジハロゲン化アルキルアルミニウム;ジアルキルアルミニウムアルコキシド;及び、各アルキル-又はアルコキシド基中に1~10個、又は1~6個の炭素原子を含有するアルキルアルミニウムジアルコキシド化合物である。ある実施形態では、共触媒は、トリエチルアルミニウム(TEA)などのC1~4トリアルキルアルミニウム化合物である。触媒組成物は、0.5~25:1;若しくは1.0~20:1;若しくは1.5~15:1、又は約6.0未満;若しくは約5未満;若しくは4.5未満の、アルミニウム(Al)対(SCA+ALA)のモル比を含む。ある実施形態では、Al:(SCA+ALA)のモル比は、0.5~4.0:1である。総SCA対ALAモル比は、0.01~20:1;0.10~5.00:1;0.43~2.33:1;又は0.54~1.85:1;又は0.67~1.5:1である。
IV.用途
【0103】
本開示のプロピレンコポリマーは、多数かつ多様な用途で使用することができる。上記のように、プロピレンコポリマーは、比較的高い剛性、低キシレン可溶分含量、及び長期間透明性を含む優れた透明性と共に、優れた流動特性を有する。
【0104】
一実施形態では、本開示のプロピレンコポリマーは、容器などの射出成形物品を形成するための組成物に組み込むことができる。例えば、容器は、中空の内部を画定する底部と、底部を密封するフランジを含む上部とを有することができる。一実施形態では、容器は、高温充填包装容器を含んでもよい。高温充填包装容器は、例えば、より高い温度で製品を充填するのに非常に適している。本開示に従って作製された容器はまた、保存食品のマイクロ波再加熱にも適している。
【0105】
本開示のプロピレンコポリマーは、上述の成形物品を作製するためのポリマー組成物を配合する際に、様々な他の成分及び材料と組み合わせることができる。例えば、一実施形態では、ポリマー組成物は酸化防止剤及び酸捕捉剤を含有することができ、いくつかの用途では、好ましくは、造核剤、清澄剤、離型剤、帯電防止剤、スリップ剤、UV安定剤、及び着色剤(顔料)などのPPに一般的に使用される他の添加剤も含有し得る。
【0106】
一実施形態では、コポリマー組成物は、清澄化剤又は清澄剤と呼ばれるある種の造核剤を更に含有することができる。清澄化剤は、組成物の透明特性を更に改善するために添加することができる。清澄化剤は、例えば、組成物内にゲル化ネットワークを生成することができる化合物を含み得る。
【0107】
一実施形態では、清澄化剤は、ソルビトールアセタール誘導体等のソルビトール化合物を含んでもよい。一実施形態では、例えば、清澄化剤は、ベンジルソルビトールを含んでもよい。
【0108】
幾つかの実施形態で添加剤として使用することができるソルビトールアセタール誘導体に関して、ソルビトールアセタール誘導体は、式(I)に示される:
【化6】
式中、R1~R5は、水素及びC1~C3アルキルから選択される同じ又は異なる部分を含む。
【0109】
幾つかの実施形態では、ソルビトールアセタール誘導体が2,4-ジベンジリデンソルビトール(「DBS」)となるように、R1~R5は水素である。幾つかの実施形態では、ソルビトールアセタール誘導体が1,3:2,4-ジ-p-メチルジベンジリデン-D-ソルビトール(「MDBS」)となるように、R1、R4及びR5は水素であり、R2及びR3はメチル基である。幾つかの実施形態では、ソルビトールアセタール誘導体が1,3:2,4-ビス(3,4-ジメチロールベンジリデン)ソルビトール(「DMDBS」)となるように、R1~R4はメチル基であり、R5は水素である。幾つかの実施形態では、ソルビトールアセタール誘導体が1,2,3-トリデオキシ-4,6-:5,7ビス-O-(4-プロピルフェニルメチレン)ノニトール(「TBPMN」)となるように、R2、R3、及びR5はプロピル基(-CH2-CH2-CH3)であり、R1及びR4は水素である。
【0110】
使用され得る清澄化剤の他の実施形態として以下を挙げる:
1,3:2,4-ジベンジリデンソルビトール;
1,3:2,4-ビス(p-メチルベンジリデン)ソルビトール;
ジ(p-メチルベンジリデン)ソルビトール;
ジ(p-エチルベンジリデン)ソルビトール;及び
ビス(5’,6’,7’,8’-テトラヒドロ-2-ナフチリデン)ソルビトール。
【0111】
一実施形態では、清澄化剤はまた、ビスアミドを含んでもよい。上記の清澄化剤を、単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0112】
ポリマー組成物中に存在する場合、1つ以上の清澄化剤は、一般に約1,500ppm超の量、例えば約1800ppm超の量、例えば約2000ppm超の量、例えば約2200ppm超の量で添加される。1つ以上の清澄化剤は、一般に約20,000ppm未満、例えば約15,000ppm未満、例えば約10,000ppm未満、例えば約8,000ppm未満、例えば約5,000ppm未満の量で存在する。
V.実施例
【0113】
実施例1
プロピレン-エチレンランダムコポリマーサンプルを製造し、それらの特性を上記手順に従って試験した。特性及び実験結果を表1に概説する。
【0114】
プロピレン-エチレンランダムコポリマーを、立体特異的な第6世代チーグラー・ナッタマグネシウム担持/チタン系触媒を用いて生成した。触媒は、メタロセン触媒を使用して製造されたポリマーよりも広範な分子量分布を有するポリマーを生成する、非フタル酸塩内部供与体を含有していた。ポリマーを製造するために使用されるプロセスは、UNIPOL気相プロセスとして当該技術分野において説明されている。ポリマーを製造するために使用される触媒は、置換フェニレン芳香族ジエステル内部電子供与体を含んでいた。使用される触媒は、W.R.Grace and Companyから市販されており、商品名CONSISTAで販売されている。全てのコポリマーは、共触媒としてトリエチルアルミニウムを使用して作製した。
【表1】
実施例2
【0115】
別のプロピレン-エチレンランダムコポリマーを、上記と概ね同じプロセスを使用して本開示に従って作製し、全てのXS/ET比が2である対照と比較した。プロピレン-エチレンランダムコポリマーを、試験用円盤形に射出成形し、ヘイズについて試験した。最初と熱老化後にヘイズを試験した。プロピレン-エチレンランダムコポリマーは、以下の通りである。
【表2】
【0116】
ASTM試験D1003、手順Aの試験法の最新版に従って、ヘイズを測定した。BYK Gardner Haze-Gard 4725機器を使用して、55℃、24時間の熱老化の前後にヘイズを測定した。円盤サンプルをオーブンに入れることによって、熱老化を行った。熱老化中、プロピレンポリマー組成物は、ヘイズが増加する傾向を有する。ヘイズは、ポリマー内での更なる結晶化により、及び/又は、典型的にブルーミングと呼ばれる曇った表面層の形成に起因して増大する。
【0117】
試験用円盤を形成する際、プロピレン-エチレンランダムコポリマーを様々な安定剤と共に配合した。特に、ポリマー組成物は、500ppmのヒンダードフェノール酸化防止剤、すなわちペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)を含有していた。亜リン酸系安定剤は、700ppmの量で添加した。亜リン酸系安定剤は、トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスファイトであった。酸捕捉剤は、200ppmの濃度で添加した。使用した酸捕捉剤は、ヒドロタルサイトであった。帯電防止剤は、500ppmの濃度で添加した。帯電防止剤は、蒸留モノグリセリド、特にDuPontから販売されているDIMODAN HS K-A GMS90酸捕捉剤から構成されていた。清澄化剤もまた、1800ppmの濃度で組成物に添加された。使用した清澄化剤は、1,2,3-トリデソキシ-4,6:5,7-ビス-O-[(4-プロピルフェニル)メチレン]ノニトールであった。
【0118】
ポリマー組成物を、40ミル、80ミル、及び125ミルの3つの厚さを有する円盤に射出成形した。この円盤について、オーブン老化前及び後のヘイズを試験した。以下の結果を得た。
【表3】
【0119】
上記のように、本開示のプロピレン-エチレンランダムコポリマーは、類似する従来のプロピレン-エチレンランダムコポリマーと比較して予想外に良好なヘイズ特性を有した。例えば、1つの顕著な結果は、熱処理後であっても視覚的ブルーミング又はスメアがないという事実である。
【0120】
上記のように、本開示に従って作製されたポリマー組成物は、40ミルで、約15%未満、例えば約12%未満、例えば約11%未満のヘイズを示すことができる。加えて、55℃で24時間老化した後、ヘイズの増加は約15%未満、例えば約14%未満、例えば約13%未満、例えば約12%未満である。80ミルのサンプルで測定するとき、初期ヘイズは、一般に約35%未満、例えば約30%未満、例えば約25%未満である。55℃で24時間の熱老化後、ヘイズの増加%は、一般に約12%未満、例えば約11%未満、例えば約10%未満、例えば約9%未満、例えば約8%未満、例えば約7.5%未満である。125ミルのサンプルで測定するとき、初期ヘイズは、一般に約50%未満、例えば約46%未満、例えば約45%未満である。55℃で24時間の熱老化後、ヘイズの増加%は、一般に約10%未満、例えば約8%未満、例えば約6%未満、例えば約5%未満である。
【0121】
本発明に対するこれら及び他の修正及び変形は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって実施され得、これは、添付の特許請求の範囲においてより具体的に記載される。加えて、様々な実施形態の態様は、全体的に又は部分的に交換され得ることを理解されたい。更に、当業者であれば、前述の説明はあくまで例としてであり、そのような添付の特許請求の範囲に更に記載されるように本発明を限定することを意図するものではないことを理解するであろう。
本発明は以下の態様を含む。
[1]
高い流動特性を有するプロピレン-エチレンコポリマーであって、
約90重量%を超えるプロピレン含量を含み、前記コポリマーは、約2.0重量%~約5.0重量%の量のエチレン(ET)を含有し、前記コポリマーは、前記コポリマーが1.51未満のXS/ET比を有するように、キシレン可溶画分(XS)を有し、前記コポリマーは、230℃の温度かつ2.16kgの充填量で約45g/10分を超えるメルトフローレートを有し、前記コポリマーは、約2.8を超える分子量分布(Mw/Mn)を有する、プロピレン-エチレンコポリマー。
[2]
前記エチレン含有量が、3.0重量%~5.0重量%である、[1]に記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
[3]
前記エチレン含有量が、3.1重量%~4.7重量%である、[1]に記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
[4]
前記キシレン可溶分対エチレン比(XS/ET)が約1.2~約1.5である、[1]1~[3]のいずれか一項に記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
[5]
前記コポリマーが、約45g/10分~約140g/10分のメルトフローレートを有する、[1]~[4]のいずれか一項に記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
[6]
前記コポリマーが、約4重量%~約7重量%のキシレン可溶画分を有する、[1]~[5]のいずれか一項に記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
[7]
前記コポリマーが、チーグラー・ナッタ触媒系を使用して形成され、前記触媒系が、置換フェニレン芳香族ジエステルを含む内部電子供与体を含む、[1]~[6]のいずれか一項に記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
[8]
前記触媒系が、ジシクロペンチルジメトキシシラン系供与体を更に含む、[7]に記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
[9]
前記触媒系が、n-プロピルトリメトキシシラン系供与体を更に含む、[7]に記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
[10]
前記コポリマーが、約80g/10分~約100g/10分のメルトフローレートを有する、[1]~[4]に記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
[11]
前記コポリマーが、約50g/10分~約80g/10分のメルトフローレートを有する、[1]~[4]に記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
[12]
前記コポリマーが、メタロセンを使用せずに製造される、[1]~[11]のいずれか一項に記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
[13]
[1]~[12]のいずれか一項に記載のプロピレン-エチレンコポリマーを含有するポリマー組成物であって、前記プロピレン-エチレンコポリマーは、約70%重量を超える量、例えば約80重量%を超える量、例えば約90重量%を超える量、例えば約95重量%を超える量で前記ポリマー組成物中に存在している、ポリマー組成物。
[14]
前記ポリマー組成物が、酸化防止剤、酸捕捉剤、又はこれらの混合物を更に含有する、[13]に記載のポリマー組成物。
[15]
清澄化剤を更に含む、[14]に記載のポリマー組成物。
[16]
前記清澄化剤が、ジベンジルソルビトールを含む、[15]に記載のポリマー組成物。
[17]
前記清澄化剤が、ノニトールを含む、[14]に記載のポリマー組成物。
[18]
前記ポリマー組成物が、40ミルで約15%未満のヘイズを呈し、55℃で24時間熱老化した後、前記ヘイズが約15%以下、例えば約14%以下、例えば約13%以下、例えば約12%以下減少する、[15]又は[16]に記載のポリマー組成物。
[19]
[13]~[18]のいずれか一項に記載のポリマー組成物から形成される射出成形物品。
[20]
[13]~[18]のいずれか一項に記載のポリマー組成物から形成されるフィルム。
[21]
[13]~[18]のいずれか一項に記載のポリマー組成物から製造される高温充填包装容器。
[22]
前記容器が射出成形によって形成されている、[21]に記載の高温充填包装容器。
[23]
[13]~[18]のいずれか一項に記載のポリマー組成物から形成される保存容器。