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  • 特許-UHF帯RFIDタグを備える金属容器 図1
  • 特許-UHF帯RFIDタグを備える金属容器 図2
  • 特許-UHF帯RFIDタグを備える金属容器 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】UHF帯RFIDタグを備える金属容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 25/20 20060101AFI20240304BHJP
   G06K 19/077 20060101ALI20240304BHJP
   H01Q 9/26 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
B65D25/20 P
G06K19/077 220
G06K19/077 280
H01Q9/26
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020572666
(86)(22)【出願日】2019-07-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-04
(86)【国際出願番号】 IB2019055614
(87)【国際公開番号】W WO2020008342
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】1850828-3
(32)【優先日】2018-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】522261776
【氏名又は名称】ディジタル タッグス フィンランド オサケ ユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フータサロ、ラウリ
(72)【発明者】
【氏名】モラディ、エルハム
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0112192(US,A1)
【文献】特開2014-114066(JP,A)
【文献】特開2017-039511(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0007501(US,A1)
【文献】国際公開第2006/075398(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/20
G06K 19/077
H01Q 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外被表面壁(2)と、上端と、下端(3)とを備え、前記下端が円形で凹状の放物線状の底面(4)と円形の周縁(5)とによって形成された空洞を有する、略円筒形の金属容器(1)において、集積回路(7)とアンテナ(8)とを備えるUHF帯RFIDタグ(6)が前記下端に配置され、前記アンテナ(8)は、前記底面がアンテナ放射を反射し、それにより前記アンテナの読み取り範囲が延長されるように、前記底面(4)の中心から前記底面(4)に垂直な方向に所定の距離離れて配置され
前記RFIDタグが支持層(10)に取り付けられ、前記支持層(10)は、前記アンテナ(8)が前記周縁(5)に整列して配置されるように前記周縁(5)上に配置されることを特徴とする、略円筒形の金属容器(1)。
【請求項2】
前記アンテナが、平面折り返しダイポールアンテナ(8)であり、円形形態を有することを特徴とする、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記アンテナの外径が前記容器の前記周縁の直径に近いことを特徴とする、請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記アンテナが前記底面(4)の前記中心から前記底面(4)に垂直な方向に10~16mmの範囲に配置されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の容器。
【請求項5】
前記支持層(10)がPETフィルムであることを特徴とする、請求項に記載の容器。
【請求項6】
前記アンテナの外径が、36~44mmの範囲にあることを特徴とする、請求項2~のいずれか一項に記載の容器。
【請求項7】
前記円形のアンテナが、導電層で覆われた薄いキャリア基板で作られることを特徴とする、請求項2~のいずれか一項に記載の容器。
【請求項8】
前記キャリア基板が、ポリマー、紙、板、織布、または不織布材料のいずれかであることを特徴とする、請求項に記載の容器。
【請求項9】
前記導電層が、アルミニウム、銅、銀、スズ、ビスマス、またはこれらの合金のいずれかであることを特徴とする、請求項またはに記載の容器。
【請求項10】
前記キャリア基板が50μm厚のPET基板であり、前記導電層が10μmのアルミニウム層であることを特徴とする、請求項に記載の容器。
【請求項11】
前記アンテナが、前記アンテナの外縁の近くに半リング状の間隙(9)を有し、前記間隙においては、前記キャリア基板が前記導電層によって覆われていないことを特徴とする、請求項7~10のいずれか一項に記載の容器。
【請求項12】
前記容器がアルミニウムで作られることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の容器。
【請求項13】
前記容器が飲料用缶であることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
請求項1に記載の前文によれば、本発明は、外被表面壁と、上端と、下端とを備え、下端が円形で凹状の放物線状の底面と円形の周縁とによって形成された空洞を有する、略円筒形の金属容器に関する。
【0002】
本出願では、以後、RFID(無線自動識別)タグという用語が頻繁に使用される。RFIDタグは少なくとも2つの部分、すなわち、情報を格納および処理し、かつ無線周波数(RF)信号を変調および復調するIC(集積回路)と、信号を受信および送信するためのアンテナとを備える。タグ情報は不揮発性メモリに格納される。RFIDタグは、送信データおよびセンサーデータをそれぞれ処理するための固定ロジックまたはプログラマブルロジックのいずれかを備える。ここでのRFIDタグは、UHF(極超短波)帯RFIDタグである。
【背景技術】
【0003】
液体を伴う金属製の円筒形の容器、例えば飲料用アルミニウム缶などに低コストのUHF帯RFIDタグをタグ付けするのは難しいことがよく知られている。これは、金属容器がRF波を反射したり吸収したりするためにタグアンテナの邪魔になるという事実に起因する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記の課題を解決するUHF帯RFIDタグを備える金属容器を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明および請求項1に記載の特徴部分によれば、集積回路とアンテナとを備えるUHF帯RFIDタグが下端に配置され、アンテナは、底面がアンテナ放射を反射し、それによりアンテナの読み取り範囲が延長されるように、底面の中心から所定の距離上方に配置される。
【0006】
以下では、本発明を図1および図2を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明によるUHF帯RFIDタグを備える容器を示す図である。
図2】集積回路とアンテナとを備えるUHF帯RFIDタグを示す図である。
図3】本発明による容器に配置されたときのUHF帯RFIDタグの読み取り範囲を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、例えばアルミニウム製飲料用缶(例えば、コーラ飲料用缶)など、液体を収容し得る略円筒形の金属容器1を示している。このような飲料用缶は、通常、330mlまたは500mlの容量サイズを有する。容器1は、外被表面壁2と、上端と、下端3とを備える。下端3は、円形で凹状の放物線状の底面4と円形の周縁5とによって形成された空洞を有する。
【0009】
図1および図2は、集積回路7と、集積回路7に取り付けられたアンテナ8とを備えるUHF帯RFIDタグ6を示している。RFIDタグは下端3に配置され、アンテナは、底面がアンテナ放射を反射し、それによりアンテナの読み取り範囲が延長されるように、底面4の中心から所定の距離上方に配置される。
【0010】
アンテナ8は、平面折り返しダイポールアンテナであり、平面で略円形の形状を有する。
【0011】
アンテナ8の外径は、容器の周縁5の直径に近い。
【0012】
アンテナは、底面4の中心から上方に10~16mmの範囲、好ましくは12~14mmの範囲、最も好ましくは約13mmに配置される。
【0013】
UHF帯RFIDタグ6は、接着剤によって支持層10上に取り付けられ、支持層は、アンテナ8が周縁5の上端に整列して配置されるように、接着剤によって周縁5の上部に取り付けられる。支持層10はPETフィルムであることが好ましいが、当業者は、放物線状の底面4から所定の距離上方にアンテナを配置するのに他の配置または層が可能であり得ること、例えば、PETフィルムの代わりに紙を支持層として使用できることを理解している。
【0014】
アンテナ8の外径は、周縁5の内径と略同じかそれよりも小さい。容器1が飲料用缶である場合、アンテナ8の外径は、約36~44mmの範囲にあり、好ましくは約42mmである。
【0015】
円形のアンテナ8は、導電層で覆われた薄いキャリア基板で作られることが好ましい。当業者は、異なるキャリア基板、例えば、ポリマー、紙、板、織布、または不織布材料を使用できることを理解している。さらに、当業者は、異なるタイプの導電層、例えば、アルミニウム、銅、銀、スズ、ビスマス、またはこれらの合金の導電層を使用できることを理解している。導電層は、エッチング、ジェット印刷、または導電層を設けるための他の任意の適切な技法によって設けられ得る。
【0016】
好ましい実施形態では、キャリア基板は、約10μmのアルミニウム層で覆われた約50μm厚のPET基板である。PET基板の比誘電率は約3であり、誘電正接は0.002である。
【0017】
アンテナは、アンテナの外縁の近くに半リング状の間隙9を有し、間隙9においては、キャリア基板が導電層によって覆われていない。間隙は、アンテナ構造の一部であり、アンテナのインピーダンスを集積回路のインピーダンスに整合させるために使用される。
【0018】
図3は、本発明による、UHF帯RFIDタグアンテナ8を飲料用缶に配置した場合のアンテナ8の読み取り範囲の試験結果を示している。図からわかるように、アンテナの読み取り範囲は、ETSI準拠RFID帯域(865MHz~868MHz)で約3mであり、FCC準拠RFID帯域(902MHz~928MHz)で約5mである。
【0019】
本発明の利点は、アンテナ8を放物線状の底面4の上方に配置することにより、アンテナの読み取り範囲が実質的に延長されることである。金属製の底面4のおかげで、アンテナ信号は容器から反射される。特に適切なのは、缶のアルミニウム製の底面がアンテナ信号を反射する飲料用缶に本発明を適用することである。
【0020】
以上、いくつかの特定の好ましい実施形態に基づいて本発明を説明してきた。しかしながら、添付の特許請求の範囲内で他の実施形態および変形形態が可能であることが理解されよう。例えば、本開示のアンテナは、最良の読み取り範囲を有することが判明しているが、当業者は、他の形状およびタイプのアンテナが可能であり得ることを理解している。例えば、凹状の底部よりも小さいスパイラルアンテナまたはダイポールアンテナが使用されてもよい。
図1
図2
図3