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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20240304BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20240304BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20240304BHJP
   H01L 29/423 20060101ALI20240304BHJP
   H01L 29/49 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
H01L29/78 652K
H01L29/06 301F
H01L29/06 301V
H01L29/44 Y
H01L29/58 G
H01L29/78 652M
H01L29/78 653C
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021036912
(22)【出願日】2021-03-09
(65)【公開番号】P2022137413
(43)【公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】小林 勇介
(72)【発明者】
【氏名】井口 智明
(72)【発明者】
【氏名】雁木 比呂
(72)【発明者】
【氏名】根本 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】牛流 章弘
(72)【発明者】
【氏名】下條 亮平
(72)【発明者】
【氏名】可知 剛
(72)【発明者】
【氏名】西脇 達也
【審査官】田付 徳雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/078775(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0169103(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0240986(US,A1)
【文献】特開2014-078741(JP,A)
【文献】特表2010-516058(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 29/78
H01L 29/06
H01L 29/41
H01L 29/423
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
第2電極であって、前記第1電極から前記第2電極への方向は、第1方向に沿う、前記第2電極と、
第3電極と、
第1導電部材であって、前記第1導電部材は、第1導電部材端部及び第1導電部材他端部を含み、前記第1導電部材端部は、前記第1方向において前記第1電極と前記第1導電部材他端部との間にあり、前記第1導電部材端部の前記第1方向における位置は、前記第1電極の前記第1方向における位置と、前記第3電極の前記第1方向における位置との間にあり、前記第1導電部材は、前記第2電極及び前記第3電極の一方と電気的に接続された、または、前記第1導電部材は、前記一方と電気的に接続されることが可能である、前記第1導電部材と、
半導体部材であって、前記半導体部材は、第1導電形の第1半導体領域と、第2導電形の第2半導体領域と、前記第1導電形の第3半導体領域と、を含み、
前記第1半導体領域は、第1部分領域及び第2部分領域を含み、
前記第1部分領域は、前記第1方向において、前記第1電極と前記第2電極との間にあり、
前記第2半導体領域は、前記第1方向において前記第1部分領域と前記第3半導体領域との間にあり、
前記第3半導体領域は、前記第2電極と電気的に接続され、
前記第3電極の一部から前記第2半導体領域への第2方向は、前記第1方向と交差し、
前記第3電極の別の一部から前記第1部分領域の一部への方向は、前記第2方向に沿い、
前記第2部分領域から前記第1導電部材への方向は、前記第1方向に沿い、
前記第1導電部材から前記第1部分領域への方向は、前記第2方向に沿う、前記半導体部材と、
第1絶縁部材であって、前記第1絶縁部材の少なくとも一部は、前記半導体部材と前記第3電極との間、及び、前記半導体部材と前記第1導電部材との間にあり、前記第1絶縁部材の少なくとも一部は、シリコン、酸素及び第1元素を含み、前記第1元素は、水素、ヘリウム、アルゴン及びカーボンよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、前記第1絶縁部材は、第1位置、第2位置及び第3位置を含み、前記第1導電部材端部から前記第1位置への方向は、前記第2方向に沿い、前記第1位置は、前記第1方向において前記第1電極と前記第2位置との間にあり、前記第3位置は、前記第1方向において前記第1位置と前記第2位置との間にあり、前記第3位置における前記第1元素の第3濃度は、前記第1位置における前記第1元素の第1濃度よりも高く、前記第2位置における前記第1元素の第2濃度よりも高い、前記第1絶縁部材と、
を備え
前記第3濃度は、前記第1絶縁部材における前記第1元素の濃度の最高であり、
前記第1位置と前記第3位置との間の前記第1方向に沿う第1距離は、前記第2部分領域と前記第1導電部材端部との間の前記第1方向に沿う距離の0倍を超え3倍以下である、半導体装置。
【請求項2】
前記第1濃度は、前記第2濃度よりも高い、請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1位置と前記第3位置との間の前記第1方向に沿う第1距離は、0μを超え1.2μm以下である、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
第1電極と、
第2電極であって、前記第1電極から前記第2電極への方向は、第1方向に沿う、前記第2電極と、
第3電極と、
第1導電部材であって、前記第1導電部材は、第1導電部材端部及び第1導電部材他端部を含み、前記第1導電部材端部は、前記第1方向において前記第1電極と前記第1導電部材他端部との間にあり、前記第1導電部材端部の前記第1方向における位置は、前記第1電極の前記第1方向における位置と、前記第3電極の前記第1方向における位置との間にあり、前記第1導電部材は、前記第2電極及び前記第3電極の一方と電気的に接続された、または、前記第1導電部材は、前記一方と電気的に接続されることが可能である、前記第1導電部材と、
半導体部材であって、前記半導体部材は、第1導電形の第1半導体領域と、第2導電形の第2半導体領域と、前記第1導電形の第3半導体領域と、を含み、
前記第1半導体領域は、第1部分領域及び第2部分領域を含み、
前記第1部分領域は、前記第1方向において、前記第1電極と前記第2電極との間にあり、
前記第2半導体領域は、前記第1方向において前記第1部分領域と前記第3半導体領域との間にあり、
前記第3半導体領域は、前記第2電極と電気的に接続され、
前記第3電極の一部から前記第2半導体領域への第2方向は、前記第1方向と交差し、
前記第3電極の別の一部から前記第1部分領域の一部への方向は、前記第2方向に沿い、
前記第2部分領域から前記第1導電部材への方向は、前記第1方向に沿い、
前記第1導電部材から前記第1部分領域への方向は、前記第2方向に沿う、前記半導体部材と、
第1絶縁部材であって、前記第1絶縁部材の少なくとも一部は、前記半導体部材と前記第3電極との間、及び、前記半導体部材と前記第1導電部材との間にあり、前記第1絶縁部材の少なくとも一部は、シリコン、酸素及び第1元素を含み、前記第1元素は、水素、ヘリウム、アルゴン及びカーボンよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、前記第1絶縁部材は、第1位置、第2位置及び第3位置を含み、前記第1導電部材端部から前記第1位置への方向は、前記第2方向に沿い、前記第1位置は、前記第1方向において前記第1電極と前記第2位置との間にあり、前記第3位置は、前記第1方向において前記第1位置と前記第2位置との間にあり、前記第3位置における前記第1元素の第3濃度は、前記第1位置における前記第1元素の第1濃度よりも高く、前記第2位置における前記第1元素の第2濃度よりも高い、前記第1絶縁部材と、
を備え
前記第3濃度は、前記第1絶縁部材における前記第1元素の濃度の最高であり、
前記第1位置と前記第3位置との間の前記第1方向に沿う第1距離は、0μmを超え1.2μm以下である、半導体装置。
【請求項5】
前記第1濃度は、前記第2濃度よりも高い、請求項4記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2位置と前記第1導電部材他端部との間の前記第1方向に沿う第2距離は、前記第2部分領域と前記第1導電部材端部との間の前記第1方向に沿う距離と同じであり、
前記第1濃度は、前記第2濃度の2倍以上10倍以下である、請求項3記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第3濃度は、前記第1濃度の1倍を超え10倍以下である、請求項~6のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1絶縁部材は、第4位置をさらに含み、
前記第4位置は、前記第1方向において、前記第1電極と前記第1位置との間にあり、
前記第4位置における前記第1元素の第4濃度は、前記第1濃度よりも低い、請求項1~7のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第2部分領域の少なくとも一部は、前記第1元素を含み、
前記第2部分領域の前記少なくとも一部における前記第1元素の濃度は、前記第4濃度よりも低い、請求項8記載の半導体装置。
【請求項10】
第1電極と、
第2電極であって、前記第1電極から前記第2電極への方向は、第1方向に沿う、前記第2電極と、
第3電極と、
第1導電部材であって、前記第1導電部材は、第1導電部材端部及び第1導電部材他端部を含み、前記第1導電部材端部は、前記第1方向において前記第1電極と前記第1導電部材他端部との間にあり、前記第1導電部材端部の前記第1方向における位置は、前記第1電極の前記第1方向における位置と、前記第3電極の前記第1方向における位置との間にあり、前記第1導電部材は、前記第2電極及び前記第3電極の一方と電気的に接続された、または、前記第1導電部材は、前記一方と電気的に接続されることが可能である、前記第1導電部材と、
半導体部材であって、前記半導体部材は、第1導電形の第1半導体領域と、第2導電形の第2半導体領域と、前記第1導電形の第3半導体領域と、を含み、
前記第1半導体領域は、第1部分領域及び第2部分領域を含み、
前記第1部分領域は、前記第1方向において、前記第1電極と前記第2電極との間にあり、
前記第2半導体領域は、前記第1方向において前記第1部分領域と前記第3半導体領域との間にあり、
前記第3半導体領域は、前記第2電極と電気的に接続され、
前記第3電極の一部から前記第2半導体領域への第2方向は、前記第1方向と交差し、
前記第3電極の別の一部から前記第1部分領域の一部への方向は、前記第2方向に沿い、
前記第2部分領域から前記第1導電部材への方向は、前記第1方向に沿い、
前記第1導電部材から前記第1部分領域への方向は、前記第2方向に沿う、前記半導体部材と、
第1絶縁部材であって、前記第1絶縁部材は、第1位置、第2位置及び第3位置を含み、前記第1導電部材端部から前記第1位置への方向は、前記第2方向に沿い、前記第1位置は、前記第1方向において前記第1電極と前記第2位置との間にあり、前記第3位置は、前記第1方向において前記第1位置と前記第2位置との間にあり、前記第3位置における第3電位は、前記第1位置における第1電位よりも高く、前記第2位置における第2電位よりも高い、前記第1絶縁部材と、
を備えた半導体装置。
【請求項11】
前記第1電位は、前記第2電位よりも高い、請求項10記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第3電位は、前記第1絶縁部材における電位の最高である、請求項10または11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第1位置と前記第3位置との間の前記第1方向に沿う第1距離は、前記第2部分領域と前記第1導電部材端部との間の前記第1方向に沿う距離の0倍を超え3倍以下である、請求項12記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第1位置と前記第3位置との間の前記第1方向に沿う第1距離は、0μmを超え1.2μm以下である、請求項12記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第3半導体領域における前記第1導電形の不純物濃度は、前記第1半導体領域における前記第1導電形のキャリア濃度よりも高い、請求項1~14のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項16】
前記第3電極は、第3電極端部及び第3電極他端部を含み、
前記第3電極端部は、前記第1方向において前記第1電極と前記第3電極他端部との間にあり、
前記第1導電部材端部の前記第1方向における前記位置は、前記第1電極の前記第1方向における前記位置と、前記第3電極端部の前記第1方向における位置との間にある、請求項1~15のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項17】
前記第1導電部材他端部の前記第1方向における前記位置は、前記第1電極の前記第1方向における前記位置と、前記第3電極他端部の前記第1方向における位置との間にある、請求項16記載の半導体装置。
【請求項18】
前記第1導電部材他端部の前記第1方向における前記位置は、前記第3電極端部の前記第1方向における前記位置と、前記第3電極他端部の前記第1方向における位置との間にある、請求項16または17に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記半導体部材は、前記第1導電形の第4半導体領域をさらに含み、
前記第4半導体領域は、前記第1方向において前記第1電極と前記第1半導体領域との間に設けられ、
前記第4半導体領域は、前記第1電極と電気的に接続された、請求項1~18のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項20】
前記半導体部材は、前記第2導電形の第5半導体領域をさらに含み、
前記第5半導体領域は、前記第2半導体領域と前記第2電極との間に設けられ、
前記第5半導体領域における前記第2導電形のキャリア濃度は、前記第2半導体領域における前記第2導電形のキャリア濃度よりも高い、請求項1~19のいずれか1つに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、トランジスタなどの半導体装置において、特性の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-078741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、特性を向上できる半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、半導体装置は、第1電極、第2電極、第3電極、第1導電部材、半導体部材及び第1絶縁部材を含む。前記第1電極から前記第2電極への方向は、第1方向に沿う。前記第1導電部材は、第1導電部材端部及び第1導電部材他端部を含みむ。前記第1導電部材端部は、前記第1方向において前記第1電極と前記第1導電部材他端部との間にある。前記第1導電部材端部の前記第1方向における位置は、前記第1電極の前記第1方向における前記位置と、前記第3電極の前記第1方向における位置との間にある。前記第1導電部材は、前記第2電極及び前記第3電極の一方と電気的に接続される。または、前記第1導電部材は、前記一方と電気的に接続されることが可能である。前記半導体部材は、第1導電形の第1半導体領域と、第2導電形の第2半導体領域と、前記第1導電形の第3半導体領域と、を含む。前記第1半導体領域は、第1部分領域及び第2部分領域を含む。前記第1部分領域は、前記第1方向において、前記第1電極と前記第2電極との間にある。前記第2半導体領域は、前記第1方向において前記第1部分領域と前記第3半導体領域との間にある。前記第3半導体領域は、前記第2電極と電気的に接続される。前記第3電極の一部から前記第2半導体領域への第2方向は、前記第1方向と交差する。前記第3電極の別の一部から前記第1部分領域の一部への方向は、前記第2方向に沿う。前記第2部分領域から前記第1導電部材への方向は、前記第1方向に沿う。前記第1導電部材から前記第1部分領域への方向は、前記第2方向に沿う。前記第1絶縁部材の少なくとも一部は、前記半導体部材と前記第3電極との間、及び、前記半導体部材と前記第1導電部材との間にある。前記第1絶縁部材の少なくとも一部は、シリコン、酸素及び第1元素を含む。前記第1元素は、水素、ヘリウム、アルゴン及びカーボンよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。前記第1絶縁部材は、第1位置、第2位置及び第3位置を含む。前記第1導電部材端部から前記第1位置への方向は、前記第2方向に沿う。前記第1位置は、前記第1方向において前記第1電極と前記第2位置との間にある。前記第3位置は、前記第1方向において前記第1位置と前記第2位置との間にある。前記第3位置における前記第1元素の第3濃度は、前記第1位置における前記第1元素の第1濃度よりも高く、前記第2位置における前記第1元素の第2濃度よりも高い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図2図2は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図3図3は、第1実施形態に係る半導体装置を例示するグラフ図である。
図4図4(a)及び図4(b)は、半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
図5図5は、第1実施形態に係る半導体装置を例示するグラフ図である。
図6図6は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1及び図2は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図1に示すように、実施形態に係る半導体装置110は、第1電極51、第2電極52、第3電極53、第1導電部材61、半導体部材10及び第1絶縁部材41を含む。
【0009】
第1電極51から第2電極52への方向は、第1方向に沿う。第1方向をZ軸方向とする。Z軸方向に対して垂直な方向をX軸方向とする。Z軸方向及びX軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。
【0010】
1つの例において、第3電極53の第1方向(Z軸方向)における位置は、第1電極51の第1方向における位置と、第2電極52の第1方向における位置との間にある。
【0011】
第1導電部材61は、第1導電部材端部61a及び第1導電部材他端部61bを含む。第1導電部材端部61a及び第1導電部材他端部61bは、Z軸方向における端部である。第1導電部材端部61aは、第1方向において、第1電極51と第1導電部材他端部61bとの間にある。第1導電部材端部61aは、例えば、下端部である。第1導電部材端部61aの第1方向における位置は、第1電極51の第1方向における位置と、第3電極端部53aの第1方向に位置との間にある。
【0012】
この例では、第3電極53は、第3電極端部53a及び第3電極他端部53bを含む。第3電極端部53a及び第3電極他端部53bは、Z軸方向における端部である。第3電極端部53aは、第1方向(Z軸方向)において、第1電極51と第3電極他端部53bとの間にある。第3電極端部53aは、第3電極53の、第1電極51側の端部である。第3電極端部53aは、例えば、下端部である。
【0013】
この例では、第1導電部材端部61aの第1方向(Z軸方向)における位置は、第1電極51の第1方向における位置と、第3電極端部53aの第1方向における位置との間にある。この例では、第1導電部材他端部61bの第1方向における位置は、第1電極51の第1方向における位置と、第3電極他端部53bの第1方向における位置との間にある。この例では、第1導電部材他端部61bの第1方向における位置は、第3電極端部53aの第1方向における位置と、第3電極他端部53bの第1方向における位置との間にある。第1導電部材61は、Z軸方向に沿って延びる。
【0014】
第1導電部材61は、第2電極52及び第3電極53の一方と電気的に接続される。または、第1導電部材61は、第2電極52及び第3電極53の一方と電気的に接続されることが可能である。半導体装置110においては、第1導電部材61は、第2電極52と電気的に接続される。
【0015】
例えば、図1に示すように、第1導電部材61は、接続部材61C、接続部材52LL及び接続部材52Cを介して、第2電極52と電気的に接続される。これらの接続部材は、図1に例示する断面とは異なる位置に設けられて良い。例えば、端子52Tが接続部材52Cを介して、第2電極52と接続されても良い。端子61Tが、接続部材61Cを介して第1導電部材61と電気的に接続されても良い。接続部材52LLにより、端子61Tが端子52Tと電気的に接続されても良い。接続部材52LLは、半導体装置110とは別に設けられても良い。
【0016】
半導体部材10は、例えば、第1電極51と第2電極52との間にある。半導体部材10は、例えば、シリコンなどの半導体を含む。
【0017】
半導体部材10は、第1導電形の第1半導体領域11と、第2導電形の第2半導体領域12と、第1導電形の第3半導体領域13と、を含む。図1に示すように、半導体部材10は、第4半導体領域14をさらに含んでも良い。図1に示すように、半導体部材10は、第5半導体領域15をさらに含んでも良い。
【0018】
例えば、第1導電形はn形であり、第2導電形はp形である。実施形態において、第1導電形がp形で第2導電形がn形でも良い。以下の例では、第1導電形がn形であり、第2導電形がp形である。
【0019】
第1半導体領域11は、第1部分領域11a及び第2部分領域11bを含む。例えば、第1部分領域11aは、第1方向(Z軸方向)において、第1電極51と第2電極52との間にある。
【0020】
第2半導体領域12は、第1方向(Z軸方向)において、第1部分領域11aと第3半導体領域13との間にある。例えば、第1電極51と第2電極52との間に第1部分領域11a、第2半導体領域12及び第3半導体領域13がある。第3半導体領域13は、第2電極52と電気的に接続される。
【0021】
第3電極53の一部から第2半導体領域12への第2方向は、第1方向と交差する。第2方向は、例えば、X軸方向である。
【0022】
第3電極53の別の一部から第1部分領域11aの一部への方向は、第2方向(例えばX軸方向)に沿う。
【0023】
第1半導体領域11の第2部分領域11bから第1導電部材61への方向は、第1方向(Z軸方向)に沿う。第1導電部材61から第1部分領域11aへの方向は、第2方向(例えばX軸方向)に沿う。
【0024】
第4半導体領域14は、第1方向(Z軸方向)において第1電極51と第1半導体領域11との間に設けられる。第4半導体領域14は、第1導電形(例えばn形)である。第4半導体領域14は、第1電極51と電気的に接続される。第4半導体領域14は、例えば半導体基板を含んでも良い。
【0025】
第4半導体領域14における第1導電形のキャリア濃度は、第1半導体領域11における第1導電形のキャリア濃度よりも高い。第1半導体領域11は、例えばn領域またはn領域である。第4半導体領域14は、例えば、n領域である。第4半導体領域14が設けられることで、第1電極51の電気的な接続の抵抗を低くできる。例えば、低いオン抵抗が得られる。
【0026】
第3半導体領域13における第1導電形のキャリア濃度は、第1半導体領域11における第1導電形のキャリア濃度よりも高い。第3半導体領域13は、例えばn領域である。
【0027】
第5半導体領域15が設けられる場合、第5半導体領域15は、例えば、第2半導体領域12と第2電極52との間に設けられる。第5半導体領域15は、第2導電形(例えばp形)である。第5半導体領域15における第2導電形のキャリア濃度は、第2半導体領域12における第2導電形のキャリア濃度よりも高い。例えば、第2半導体領域12は、p領域である。第5半導体領域15は、p領域である。第5半導体領域15が設けられることで、第2電極52の電気的な接続の抵抗を低くできる。例えば、低いオン抵抗が得られる。
【0028】
この例では、第2電極52は、部分52a及び部分52bを含む。第5半導体領域15は、第2半導体領域12と部分52aとの間にある。第3電極53は、第1電極51と部分52bとの間にある。
【0029】
第1絶縁部材41の少なくとも一部は、半導体部材10と第3電極53との間、及び、半導体部材10と第1導電部材61との間にある。例えば、第1絶縁部材41は、第1絶縁領域41a及び第2絶縁領域41bを含む。第1絶縁領域41aは、例えば、第2方向(例えばX軸方向)において、第3電極53と第2半導体領域12との間にある。第2絶縁領域41bは、第1導電部材61と半導体部材10との間にある。この例では、第1絶縁部材41の一部が第3電極53と部分52bとの間にある。
【0030】
例えば、第1電極51と第2電極52との間に流れる電流は、第3電極53の電位により制御できる。第3電極53の電位は、例えば、第2電極52の電位を基準にした電位である。第1電極51は、例えば、ドレイン電極として機能する。第2電極52は、例えば、ソース電極として機能する。第3電極53は、例えば、ゲート電極として機能する。第1絶縁領域41aは、例えば、ゲート絶縁膜として機能する。第1導電部材61は、例えば、フィールドプレートとして機能する。半導体装置110は、例えば、トランジスタである。
【0031】
実施形態において、第1絶縁部材41の少なくとも一部は、シリコン、酸素及び第1元素を含む。第1元素は、水素、ヘリウム、アルゴン及びカーボンよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。1つの例において、第1元素は、例えば、水素またはプロトンである。
【0032】
図1に示すように、第1絶縁部材41は、第1位置p1、第2位置p2及び第3位置p3を含む。第1導電部材端部61aから第1位置p1への方向は、第2方向(例えばX軸方向)に沿う。第1位置p1のZ軸方向における位置(例えば深さ)は、第1導電部材61の下端の深さに対応する。
【0033】
第1位置p1は、第1方向(Z軸方向)において、第1電極51と第2位置p2との間にある。第2位置p2は、第1位置p1よりも上である。例えば、第2位置p2と第1導電部材他端部61bとの間のZ軸方向に沿う距離は、第2位置p2と第1導電部材端部61aとの間のZ軸方向に沿う距離よりも短い。
【0034】
第3位置p3は、第1方向(Z軸方向)において、第1位置p1と第2位置p2との間にある。実施形態において、これらの位置における第1元素の濃度が異なる。第1元素の濃度が、Z軸方向に沿って変化する。
【0035】
以下、第1元素の濃度のプロファイルの例について説明する。
図3は、第1実施形態に係る半導体装置を例示するグラフ図である。
図3は、半導体装置110における第1元素(例えばプロトン)の濃度を例示している。図3の横軸は、Z軸方向に沿う位置pZである。位置pZは、深さに対応する。縦軸は、第1元素の濃度C1(対数表示)である。
【0036】
図3に示すように、第1位置p1における第1元素の濃度(第1濃度)は、第2位置p2における第1元素の濃度(第2濃度)よりも高い。第3位置p3における第1元素の濃度(第3濃度)は、第1位置p1における第1元素の第1濃度よりも高く、第2位置p2における第1元素の第2濃度よりも高い。例えば、第3濃度は、第1絶縁部材41における第1元素の濃度の最高である。
【0037】
第1元素は、例えば、正の電荷として機能することができる。図3に例示するようなプロファイルにより、高い耐圧が得られる。例えば、浅い位置(例えば第2位置p2)における第1元素の濃度(第2濃度)が高いと、耐圧が低くなる傾向がある。浅い位置(例えば第2位置p2)における第1元素の濃度(第2濃度)を低くすることで、高い耐圧が維持できる。一方、深い位置(例えば第1位置p1)における第1元素の濃度(第1濃度)を高くすることで、第1半導体領域11における第1導電形の不純物濃度を高く設定できる。これにより、オン抵抗を低くできる。実施形態において、深い位置よりも浅い位置で第1元素の濃度を低くすることで、高い耐圧が得られる。低いオン抵抗が得られる。実施形態によれば、特性を向上できる半導体装置を提供できる。
【0038】
さらに、第1位置p1よりも上の第3位置p3で第1元素の濃度を高くすることで、より耐圧が得られることが分かった。第1元素のピークの位置と耐圧との関係の例については、後述する。
【0039】
図3に例示した第1元素のプロファイルは、例えば、半導体部材10及び第1絶縁部材41を含む加工体に第1元素をイオンインプランテーションなどの方法により導入することで得られる。この場合、半導体部材10の第1半導体領域11の一部に第1元素が導入されていても良い。
【0040】
例えば、図1に示すように、第1絶縁部材41は、第4位置p4を含んでも良い。第4位置p4は、第1方向(Z軸方向)において、第1電極51と第1位置p1との間にある。図3に示すように、第4位置p4における第1元素の濃度(第4濃度)は、第1位置p1における第1元素の濃度(第1濃度)よりも低い。第4位置p4は、例えば、第1絶縁部材41の下端(第1半導体領域11の第2部分領域11bと接する部分)である。
【0041】
図3に示すように、第1半導体領域11の第2部分領域11bの少なくとも一部は、第1元素を含んでも良い。第2部分領域11bの少なくとも一部における第1元素の濃度は、第4位置p4における第1元素の濃度(第4濃度)よりも低い。
【0042】
例えば、図2及び図3に示すように、第1位置p1と第3位置p3との間の第1方向(Z軸方向)に沿う距離を第1距離d1とする。第2部分領域11bと第1導電部材端部61aとの間の第1方向に沿う距離を距離dzとする。距離dzは、例えば、第1導電部材61の下端(第1導電部材端部61a)の位置における第1絶縁部材41の厚さに対応する。
【0043】
実施形態において、例えば、第1距離d1は、距離dzの0倍を超え3倍以下である。第3位置p3における第1元素の濃度(第3濃度)は、第1位置p1における第1元素の濃度(第1濃度)の1倍を超え10倍以下である。
【0044】
例えば、図2及び図3に示すように、第2位置p2と第1導電部材他端部61bとの間の第1方向(Z軸方向)に沿う距離を第2距離d2とする。第2距離d2を、距離dz(第2部分領域11bと第1導電部材端部61aとの間の第1方向に沿う距離)と同じとする。このような位置が第2位置p2である場合、例えば、第1位置p1における第1元素の濃度(第1濃度)は、例えば、第2位置p2における第1元素の濃度(第2濃度)の2倍以上100倍以下である。
【0045】
このような第1元素のプロファイルにより、高い耐圧が得られる。低いオン抵抗が得られる。
【0046】
以下、第1元素の濃度のピーク位置と耐圧との関係についてのシミュレーション結果の例につい説明する。
【0047】
図4(a)及び図4(b)は、半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
図4(a)の横軸は、Z軸方向における位置pZである。位置pZが小さいときが、図1において、Z軸方向における上側に対応する。
【0048】
図4(b)の横軸は、厚さ比Rt1である。厚さ比Rt1は、第1距離d1の距離dzに対する比(d1/dz)である。第1距離d1は、第1位置p1と第3位置p3との間の第1方向に沿う距離である。距離dzは、第2部分領域11bと第1導電部材端部61aとの間の第1方向に沿う距離である。厚さ比Rt1が正のときに、第3位置p3は、第1位置p1よりも、図1において上側にある。厚さ比Rt1が負のときに、第3位置p3は、第1位置p1よりも、図1において下側にある。
【0049】
図4(a)及び図4(b)の縦軸は、耐圧Vbである。図4(a)及び図4(b)には、以下の第1~第6構成CF1~CF6における特性が示されている。
第1~第3構成CF1~CF3においては、第1絶縁部材41における第1元素の濃度は、Z軸方向に沿って一定であり、1.0x1016cm-3である。第1~第3構成CF1~CF3において、第1半導体領域11における第1導電形のキャリア濃度を変更することで、オン抵抗RonAが制御できる。第1構成CF1においては、オン抵抗RonAが24mΩcmになるように、第1半導体領域11における第1導電形のキャリア濃度が設定される。第2構成CF2においては、オン抵抗RonAが25mΩcmになるように、第1半導体領域11における第1導電形のキャリア濃度が設定される。第3構成CF3においては、オン抵抗RonAが26mΩcmになるように、第1半導体領域11における第1導電形のキャリア濃度が設定される。
【0050】
第4~第6構成CF4~CF6においては、第1絶縁部材41における第1元素の濃度は、Z軸方向に沿って変化する。すなわち、第3濃度は、第1濃度よりも高く第2濃度よりも高い。第1元素の濃度のプロファイルは、図3に例示した形状を有する。第4~第6構成CF4~CF6において、第3濃度(最高の濃度)及び、第3濃度が得られる第3位置p3のZ軸方向における位置(深さ)を変更することで、オン抵抗RonAが変化する。
【0051】
第4構成CF4においては、第1構成CF1における第1半導体領域11における第1導電形のキャリア濃度が適用される。第4構成CF4において、オン抵抗RonAが24mΩcmになるように、第3濃度(最高の濃度)及び、第3濃度が得られる第3位置p3のZ軸方向における位置(深さ)が変更される。
【0052】
第5構成CF5においては、第2構成CF2における第1半導体領域11における第1導電形のキャリア濃度が適用される。第5構成CF5において、オン抵抗RonAが25mΩcmになるように、第3濃度(最高の濃度)及び、第3濃度が得られる第3位置p3のZ軸方向における位置(深さ)が変更される。
【0053】
第6構成CF6においては、第3構成CF3における第1半導体領域11における第1導電形のキャリア濃度が適用される。第6構成CF6において、オン抵抗RonAが26mΩcmになるように、第3濃度(最高の濃度)及び、第3濃度が得られる第3位置p3のZ軸方向における位置(深さ)が変更される。
【0054】
これらの図において、第1~第3構成CF1~CF3における耐圧Vbが示されている。第1構成における耐圧Vbは、約111.4Vである。第2構成CF2における耐圧Vbは、約102.5Vである。第3構成CF3における耐圧Vbは、約112.5Vである。
【0055】
図4(a)に示すように、第4~第6構成CF4~CF6において、最高の濃度(第3濃度)が得られる第3位置p3の位置pZが第4位置p4よりも小さいとき(すなわち、図1において上側のとき)に、高い耐圧Vbが得られる。最高の濃度(第3濃度)が得られる第3位置p3の位置pZが第1位置p1よりも小さいとき(すなわち、図1において上側のとき)に、高い耐圧Vbが得られる。
【0056】
図4(a)から、例えば、第1位置p1と第3位置p3と第1方向に沿う第1距離d1は、0μmを超え1.2μm以下であることが好ましい。
【0057】
図4(b)に示すように、第4~第6構成CF4~CF6において、厚さ比Rt1が、正で、0を超え3以下のときに、高い耐圧Vbが得られる。
【0058】
図5は、第1実施形態に係る半導体装置を例示するグラフ図である。
図5は、半導体装置における電位のプロファイルを例示している。図5の横軸は、Z軸方向に沿う位置pZである。縦軸は、電位PE1である。
【0059】
図5に示すように、第3位置p3における電位(第3電位)は、第1位置p1における電位(第1電位)よりも高く、第2位置p2における電位(第2電位)よりも高い。例えば、第1電位は、第2電位よりも高い。例えば、第3位置p3における電位(第3電位)は、第1絶縁部材41における電位の最高である。
【0060】
例えば、第1位置p1と第3位置p3との間の第1方向(Z軸方向)に沿う第1距離d1は、距離dz(第2部分領域11bと第1導電部材端部61aとの間の第1方向に沿う距離:図2参照)の0倍を超え3倍以下である。例えば、第1距離d1は、0μmを超え1.2μm以下である。
【0061】
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図6に示すように、実施形態に係る半導体装置111も、第1電極51、第2電極52、第3電極53、第1導電部材61、半導体部材10及び第1絶縁部材41を含む。半導体装置111においては、第1導電部材61は、第3電極53と電気的に接続される。または、第1導電部材61は、第3電極53と電気的に接続されることが可能である。半導体装置111におけるこれ以外の構成は、半導体装置110の構成と同様でよい。
【0062】
図6に示すように、例えば、第1導電部材61は、接続部材61C、接続部材52LL及び接続部材53Cを介して、第3電極53と電気的に接続される。これらの接続部材は、図6に例示する断面とは異なる位置に設けられて良い。例えば、端子53Tが接続部材53Cを介して、第3電極53と接続されても良い。端子61Tが、接続部材61Cを介して第1導電部材61と電気的に接続されても良い。接続部材52LLにより、端子61Tが端子53Tと電気的に接続されても良い。接続部材52LLは、半導体装置111とは別に設けられても良い。
【0063】
半導体装置111においても、第1絶縁部材41における第1元素の濃度は、例えば、図3に例示したようなプロファイルを有する。これにより、高い耐圧が得られる。低いオン抵抗が得られる。
【0064】
半導体装置111においても、第1絶縁部材41における電位は、例えば、図5に例示したようなプロファイルを有する。これにより、高い耐圧が得られる。低いオン抵抗が得られる。
【0065】
上記の実施形態において、第1半導体領域11における第1導電形のキャリア濃度は、例えば、1.0x1015cm-3以上1.0x1017cm-3以下であることが好ましい。第2半導体領域12における第2導電形のキャリア濃度は、例えば、1.0x1016cm-3以上1.0x1018cm-3以下であることが好ましい。第3半導体領域13における第1導電形のキャリア濃度は、例えば、3.0x1018cm-3以上3.0x1020cm-3以下であることが好ましい。第4半導体領域14における第1導電形のキャリア濃度は、例えば、1.0x1017cm-3以上3.0x1020cm-3以下であることが好ましい。第5半導体領域15における第2導電形のキャリア濃度は、例えば、1.0x1018cm-3以上3.0x1020cm-3以下であることが好ましい。
【0066】
上記の実施形態において、例えば、第3半導体領域13における第1導電形の不純物濃度は、第1半導体領域11における第1導電形の不純物濃度よりも高い。例えば、第4半導体領域14における第1導電形の不純物濃度は、第1半導体領域11における第1導電形の不純物濃度よりも高い。例えば、第5半導体領域15における第2導電形の不純物濃度は、第2半導体領域12における第2導電形の不純物濃度よりも高い。
【0067】
第1半導体領域11における第1導電形の不純物濃度は、例えば、1.0x1015cm-3以上1.0x1017cm-3以下であることが好ましい。第2半導体領域12における第2導電形の不純物濃度は、例えば、1.0x1016cm-3以上1.0x1018cm-3以下であることが好ましい。第3半導体領域13における第1導電形の不純物濃度は、例えば、3.0x1018cm-3以上3.0x1020cm-3以下であることが好ましい。第4半導体領域14における第1導電形の不純物濃度は、例えば、1.0x1017cm-3以上3.0x1020cm-3以下であることが好ましい。第5半導体領域15における第2導電形の不純物濃度は、例えば、1.0x1018cm-3以上3.0x1020cm-3以下であることが好ましい。
【0068】
実施形態において、半導体領域の形状などに関する情報は、例えば、電子顕微鏡観察などにより得られる。半導体領域における不純物の濃度に関する情報は、例えば、EDX(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)、または、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)などにより得られる。半導体領域におけるキャリア濃度に関する情報は、例えば、SCM(Scanning Capacitance Microscopy)などにより得られる。第3濃度は、例えば、第1位置p1及び第2位置p2を通る第1方向(Z軸方向)に沿う直線上における、第1絶縁部材41における第1元素の濃度の最高である。第1元素の相対的な濃度の変化に関係する情報が、例えば、フォトルミネッセンス分析などにより得られても良い。第1元素の相対的な濃度の変化に関する情報は、電子顕微鏡像により得られても良い。
【0069】
実施形態において、電位に関する情報は、例えば、SNDP(Scanning nonlinear dielectric potentiometry)、または、EFM(Electrostatic Force Microscope)などの測定より得られる。
【0070】
実施形態によれば、特性を向上できる半導体装置を提供できる。
【0071】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、半導体装置に含まれる、半導体部材、半導体領域、導電部材、電極及び絶縁部材などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0072】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0073】
その他、本発明の実施の形態として上述した半導体装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての半導体装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0074】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0075】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
10…半導体部材、 11~15…第1~第5半導体領域、 11a、11b…第1、第2部分領域、 41…第1絶縁部材、 41a、41b…第1、第2絶縁領域、 51~53…第1~第3電極、 52C…接続部材、 52LL…接続部材、 52T…端子、 53C…接続部材、 53T…端子、 53a…第3電極端部、 53b…第3電極他端部、 61…第1導電部材、 61C…接続部材、 61T…端子、 61a…第1導電部材端部、 61b…第1導電部材他端部、 110、111…半導体装置、 C1…濃度、 PE1…電位、 Rt1…厚さ比、 Vb…耐圧、 d1、d2…第1、第2距離、 dz…距離、 p1~p4…第1~第4位置、 pZ…位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6