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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240304BHJP
   B60K 35/23 20240101ALI20240304BHJP
   G06F 3/0481 20220101ALI20240304BHJP
【FI】
G08G1/16 A
B60K35/23
G06F3/0481
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021037890
(22)【出願日】2021-03-10
(65)【公開番号】P2022138172
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2022-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 明弘
(72)【発明者】
【氏名】岡本 進一
(72)【発明者】
【氏名】松尾 美治
(72)【発明者】
【氏名】山本 壮祐
【審査官】▲高▼木 真顕
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-092678(JP,A)
【文献】特開2008-070998(JP,A)
【文献】特開2015-041242(JP,A)
【文献】特開2020-201647(JP,A)
【文献】特開2006-085285(JP,A)
【文献】特開2019-174459(JP,A)
【文献】特開2019-172243(JP,A)
【文献】特開2021-020519(JP,A)
【文献】特開2006-284195(JP,A)
【文献】特開平10-247299(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
B60K 35/00 - 37/20
B60R 21/00 - 21/017
G06F 3/048 - 3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行環境を取得する取得部と、
前記走行環境に基づいて自車両の前方を走行している他車両の挙動を予測する予測部と、
前記他車両の挙動が不安定となると予測された場合に、前記自車両のドライバに対して前記他車両の予測される挙動を示すアニメーションを表示する表示器と、
を備え、
前記表示器は、前記アニメーションにおいて、前記他車両を模した虚像を前記他車両と重畳する位置から前記他車両がふらつくと予測される方向へ向けて移動させる
ことを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記走行環境は、前方の風速に関する情報を含み、
前記予測部は、前記風速に関する情報に基づいて前記他車両の挙動を予測する
請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記他車両は、前記自車両に対して隣接する車線を走行する車両であり、
前記予測部は、前記他車両が走行する車線から前記自車両が走行する車線に向かう横風が吹いている場合に前記他車両の挙動が不安定となると予測する
請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記走行環境は、前方の路面の状況に関する情報を含み、
前記予測部は、前記路面の状況に関する情報に基づいて前記他車両の挙動を予測する
請求項1から3の何れか1項に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
走行環境を取得する取得部と、
前記走行環境に基づいて自車両の挙動を予測する予測部と、
前記自車両の挙動が不安定となると予測された場合に、前記自車両のドライバに対して前記自車両の予測される挙動であって、前記走行環境の影響による挙動を示すアニメーションを表示する表示器と、
を備え、
前記表示器は、前記アニメーションにおいて、前記自車両を模した虚像を前記走行環境の影響により前記自車両がふらつくと予測される方向へ向けて移動させ、
前記自車両を模した虚像は、将来における前記自車両の予測位置に重畳して表示される
ことを特徴とする車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、風向きを表示する技術がある。特許文献1には、気象情報取得部と、気象情報取得部が取得した気象情報に基づいて、風向きを含む風情報を立体視可能に表示する制御を行う表示制御部とを備える表示制御装置が開示されている。特許文献1によれば、ドライバーが風向きを直感的に把握することが可能となる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2018/020546号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
風などの走行環境が自車両に対してどのような影響を及ぼすかについて、ドライバが直感的に把握できることが望まれている。
【0005】
本発明の目的は、走行環境が自車両に対してどのような影響を及ぼすかについてドライバに直感的に伝えることができる車両用表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両用表示装置は、走行環境を取得する取得部と、前記走行環境に基づいて自車両の前方を走行している他車両の挙動を予測する予測部と、前記他車両の挙動が不安定となると予測された場合に、前記自車両のドライバに対して前記他車両の予測される挙動を表示する表示器と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の車両用表示装置は、走行環境を取得する取得部と、前記走行環境に基づいて自車両の挙動を予測する予測部と、前記自車両の挙動が不安定となると予測された場合に、前記自車両のドライバに対して前記自車両の予測される挙動を表示する表示器と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る車両用表示装置は、走行環境に基づいて自車両の前方を走行している他車両の挙動を予測する予測部と、他車両の挙動が不安定となると予測された場合に、自車両のドライバに対して他車両の予測される挙動を表示する表示器と、を備える。本発明に係る車両用表示装置によれば、走行環境が自車両に対してどのような影響を及ぼすかについてドライバに直感的に伝えることができるという効果を奏する。
【0009】
本発明に係る車両用表示装置は、走行環境に基づいて自車両の挙動を予測する予測部と、自車両の挙動が不安定となると予測された場合に、自車両のドライバに対して自車両の予測される挙動を表示する表示器と、を備える。本発明に係る車両用表示装置によれば、走行環境が自車両に対してどのような影響を及ぼすかについてドライバに直感的に伝えることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態の車両用表示装置が搭載された車両を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る車両用表示装置のブロック図である。
図3図3は、表示領域に表示された複数の表示図形を示す図である。
図4図4は、実施形態の表示図形およびアイコンを示す図である。
図5図5は、表示図形の扁平率を説明する図である。
図6図6は、表示図形の移動方向を示す図である。
図7図7は、表示図形の移動方向を示す図である。
図8図8は、傾斜した長軸を有する表示図形を示す図である。
図9図9は、上下方向の風に対応する表示図形を示す図である。
図10図10は、向かい風の場合の表示図形を説明する図である。
図11図11は、第一アニメーションの説明図である。
図12図12は、天候に応じた第一アニメーションを示す図である。
図13図13は、第二アニメーションの説明図である。
図14図14は、天候に応じた第二アニメーションを示す図である。
図15図15は、実施形態に係るフローチャートである。
図16図16は、危険度の判定に係るマップである。
図17図17は、危険度の判定に係るマップである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施形態に係る車両用表示装置につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0012】
[実施形態]
図1から図17を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、車両用表示装置に関する。図1は、実施形態の車両用表示装置が搭載された車両を示す図、図2は、実施形態に係る車両用表示装置のブロック図、図3は、表示領域に表示された複数の表示図形を示す図、図4は、実施形態の表示図形およびアイコンを示す図、図5は、表示図形の扁平率を説明する図、図6は、表示図形の移動方向を示す図、図7は、表示図形の移動方向を示す図、図8は、傾斜した長軸を有する表示図形を示す図、図9は、上下方向の風に対応する表示図形を示す図、図10は、向かい風の場合の表示図形を説明する図である。
【0013】
図1に示すように、実施形態に係る車両用表示装置1は、車両100に搭載される。実施形態に係る車両用表示装置1は、所謂ヘッドアップディスプレイ装置である。車両用表示装置1は、車両100のアイポイント201の前方に虚像VIを表示する。アイポイント201は、運転席に着座したドライバ200の視点位置として予め定められた位置である。
【0014】
車両用表示装置1は、車両100のダッシュボード101の内側に配置されている。ダッシュボード101の上面には、開口部101aが設けられている。車両用表示装置1は、この開口部101aを介してウインドシールド102に画像の表示光を投影する。ウインドシールド102は、車両100におけるアイポイント201の前方に位置する反射部である。ウインドシールド102は、例えば、半透過性を有しており、車両用表示装置1から入射する表示光をアイポイント201に向けて反射する。ドライバ200は、ウインドシールド102によって反射された画像を虚像VIとして認識する。ドライバ200にとって、虚像VIはウインドシールド102よりも前方に存在するかのように認識される。
【0015】
なお、本明細書において、特に記載しない限り、「前後方向」は車両用表示装置1が搭載された車両100の車両前後方向を示すものとする。また、特に記載しない限り、「車幅方向」は車両100の車幅方向を示し、「上下方向」は車両100の車両上下方向を示すものとする。
【0016】
図2に示すように、車両用表示装置1は、第一取得部2、第二取得部3、走行情報取得部4、ナビ情報取得部5、予測部6、表示制御部7、生成部8、および表示器9を有する。第一取得部2、第二取得部3、走行情報取得部4、ナビ情報取得部5、予測部6、表示制御部7、および生成部8は、例えば、演算部、記憶部、通信インタフェース等を有するコンピュータである。第一取得部2、第二取得部3、走行情報取得部4、ナビ情報取得部5、予測部6、表示制御部7、および生成部8は、例えば、予め記憶されているプログラムに基づいて動作する。
【0017】
第一取得部2は、車両100の通信部110を介して気象情報、道路情報、および交通情報を取得する。第一取得部2によって取得される気象情報および道路情報は、車両100の走行や他車両の走行に影響を与える走行環境の一例である。通信部110は、V2X(Vehicle to everything)通信を行なう。通信部110は、例えば、路車間通信によってインフラシステムと無線通信することができる。通信部110は、車車間通信を介して他車両と無線通信することができる。また、通信部110は、通信基地局との無線通信によりクラウドネットワークと接続されてもよい。通信部110が無線通信を行なうときの通信規格は任意である。
【0018】
第一取得部2が取得する気象情報は、車両100の前方の所定位置における情報である。所定位置は、トンネルの出口、アンダーパス、橋梁、高架道路、海岸沿いの道路、ビル街、山道等である。気象情報は、風の風速および風の向きに関する情報、降雨の有無や降雨量に関する情報、降雪の有無や降雪量に関する情報、および気温に関する情報を含む風の風速や風の向きは、例えば、所定位置に設けられた風速計によって検出される。
【0019】
本実施形態の第一取得部2は、風速および風の向きに基づいて、三方向の風成分を算出する。三方向は、車両100の車幅方向X、車両100の進行方向Y、および車両100の上下方向Zである。車幅方向X、進行方向Y、および上下方向Zは、互いに直交する方向である。第一取得部2は、所定位置の風速および風の向きに基づいて、所定位置に吹いている風を車幅方向Xに沿った第一風成分、進行方向Yに沿った第二風成分、および上下方向Zに沿った第三風成分に分ける。
【0020】
第一取得部2が取得する道路情報は、車両100の前方の所定位置における路面の状態についての情報である。道路情報は、例えば、路面の凍結に関する情報、路面の水たまりに関する情報、路面の冠水に関する情報を含む。第一取得部2が取得する交通情報は、車両100の周辺についての交通情報である。交通情報は、例えば、車両100の周辺に存在する他車両の位置、他車両の車種、他車両の進行方向についての情報を含む。
【0021】
第二取得部3は、車両100に搭載された車載センサ120から周辺に存在する他車両の情報や道路情報を取得する。第二取得部3によって取得される道路情報は、車両100の走行や他車両の走行に影響を与える走行環境の一例である。車載センサ120は、例えば、自車両である車両100に対する他車両の相対位置や相対速度を検出するセンサを含む。こうしたセンサとしては、例えば、LIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)やレーダセンサが挙げられる。車載センサ120は、他車両の形状を検出するセンサを含んでもよい。車載センサ120は、車両100の周辺を撮像するカメラを含んでもよい。第二取得部3は、車載センサ120の検出結果に基づいて他車両の情報や道路情報を取得する。
【0022】
走行情報取得部4は、自車両である車両100の走行情報を取得する。走行情報は、例えば、車両100の車速および舵角である。走行情報取得部4は、例えば、車両100に搭載されている車速センサや舵角センサから走行情報を取得する。
【0023】
ナビ情報取得部5は、車両100の現在走行位置や地図情報、案内経路情報を取得する。ナビ情報取得部5は、例えば、車両100に搭載されたナビゲーション装置130から各種の情報を取得する。ナビ情報取得部5は、携帯式のナビゲーション装置やスマートフォンのナビゲーションアプリから情報を取得してもよい。
【0024】
予測部6は、走行ルートの予測や危険の予測を行なう。予測部6は、第一取得部2、第二取得部3、走行情報取得部4、およびナビ情報取得部5によって取得された情報に基づいて各種の予測を行なう。例えば、予測部6は、車両100の走行ルートや他車両の走行ルートを予測する。また、予測部6は、風速や風の向き等に基づいて危険予測を行なう。
【0025】
表示制御部7は、車両100のドライバ200に対して注意喚起の表示を行なうか否かを決定する。表示制御部7は、予測部6による予測結果に基づいて注意喚起の表示の要否を判断する。表示制御部7は、注意喚起の表示を行なう場合、その表示方法について決定する。表示制御部7は、注意喚起の表示を行なう場合、注意喚起の表示方法を生成部8に対して指令する。
【0026】
生成部8は、表示画像を生成し、かつ生成した表示画像を表示器9に対して出力する。本実施形態の生成部8は、気象を示す表示図形30を生成する。図3には、虚像として表示された表示図形30およびアイコン40の一例が示されている。図3の例では、表示領域102aに複数の表示図形30が分散して表示され、かつ表示領域102aに一つのアイコン40が表示されている。表示領域102aは、表示器9によって虚像VIを表示させることができる領域である。例示された表示領域102aの形状は、矩形である。所定位置における風速が大きいほど表示領域102aに表示される表示図形30の個数が多くされてもよい。表示される表示図形30の個数が多くなるに従って表示図形30の透過率が高くされてもよい。
【0027】
例示された表示図形30は、横風の存在を示す画像である。本実施形態の生成部8は、気象に応じて表示図形30の形状およびアイコン40を異ならせる。図4には、気象に応じた表示図形30の形状およびアイコン40が示されている。図4に示すように、表示図形30は、風系の表示図形31、風雨系の表示図形32、および風雪系の表示図形33を有する。
【0028】
風系の表示図形31は、所定位置に雨および雪の何れも降っていない場合、または所定位置に雨および雪の何れも降っていないと予測される場合に表示される図形である。なお、風系の表示図形31は、所定位置において強風が観測されている場合や、所定位置または所定位置の周辺において竜巻が観測されている場合に表示されてもよい。例示された風系の表示図形31の形状は、円形である。風系の表示図形31は、白色または白系の色で表示される。風系の表示図形31は、薄いグレーの色で表示されてもよい。
【0029】
風雨系の表示図形32は、所定位置に雨が降っている場合、または所定位置に雨が降っていると予測される場合に表示される図形である。なお、風雨系の表示図形32は、所定位置において大雨や局所豪雨が観測されている場合に表示されてもよい。風雨系の表示図形32は、所定位置において洪水や冠水、高潮が観測または予測されている場合に表示されてもよい。例示された風雨系の表示図形32の形状は、雨滴の形状である。風雨系の表示図形32は、水色系の色で表示される。
【0030】
風雪系の表示図形33は、所定位置に雪が降っている場合、または所定位置に雪が降っていると予測される場合に表示される図形である。なお、風雪系の表示図形33は、所定位置において雹や霰が降っている場合や、所定位置が凍結路である場合に表示されてもよい。例示された風雪系の表示図形33の形状は、六角形である。風雪系の表示図形33は、例えば、白色または白系の色で表示される。
【0031】
生成部8は、所定位置の風速および風の向きに応じて表示図形30の扁平率を調節する。より詳しくは、生成部8は、所定位置の風が横風を含む場合、表示図形30の形状を横長の扁平形状とする。横長の扁平な形状の表示図形30が表示されることで、ドライバ200は横風が吹いていることを容易に知ることができる。
【0032】
本実施形態の生成部8は、所定位置における横風が強いほど表示図形30の扁平率Fを大きくする。扁平率Fは、例えば、表示図形30の長軸の長さをL1とし、表示図形30の短軸の長さをL2とした場合、下記式(1)で表される。つまり、生成部8は、横風が強い場合、車幅方向Xに沿った細長い表示図形30を生成する。本実施形態の車両用表示装置1は、横風が強いほど表示図形30を扁平とすることで、ドライバに対して横風に対する注意を喚起することができる。
F=(L1-L2)/L1 (1)
【0033】
なお、生成部8は、横風の度合いに応じて扁平率Fを調節してもよい。生成部8は、横風の強さと上下方向の風の強さに応じて表示図形の表示角度を変えても良い。
【0034】
また、生成部8は、車両100の進行方向Yと直交する断面における風の向きに応じて表示図形30を移動させる。以下の説明では、進行方向Yと直交する断面を単に「所定断面」と称する。所定断面は、車幅方向Xおよび上下方向Zに沿った断面である。生成部8は、上下方向Zに沿った第三風成分が無く、横風が吹いている場合、図6に矢印Ar1で示すように表示図形30を車幅方向Xに沿って水平に移動させる。
【0035】
生成部8は、横風である第一風成分に加えて第三風成分がある場合、図7に矢印Ar2で示すように表示図形30を斜め方向に移動させる。矢印Ar2で示す移動方向は、例えば、第一風成分のベクトルと第二風成分のベクトルとを合成したベクトルの方向である。本実施形態の車両用表示装置1は、風の向きに応じて表示図形30を移動させることで、風の向きをドライバに直感的に理解させることができる。
【0036】
生成部8は、所定断面における風速に応じて表示図形30の移動速度を変化させる。生成部8は、例えば、所定断面における風速が大きいほど表示図形30の移動速度を速くする。本実施形態の車両用表示装置1は、風速に応じて表示図形30の移動速度を変化させることで、風の強さをドライバに直感的に理解させることができる。
【0037】
生成部8は、所定断面における風の向きに応じて表示図形30を傾斜させてもよい。例えば、図8に示す表示図形30は、車幅方向Xに対して傾斜した長軸Ax1を有している。長軸Ax1の方向は、例えば、矢印Ar2で示す移動方向と同じ方向である。
【0038】
なお、生成部8は、所定位置において上下方向Zの風が吹いており、かつ横風が存在しない場合、図9に示すように表示図形30の形状を縦長の形状としてもよい。この場合、生成部8は、矢印Ar3で示すように表示図形30を上下方向Zに沿って移動させてもよい。
【0039】
生成部8は、進行方向Yに沿った第二風成分がある場合、以下に説明するように表示図形30の大きさを変化させるアニメーションを実行する。図10には、所定位置の風が車両100に対して向かい風である場合の表示図形30の大きさの変化が示されている。生成部8は、表示図形30によって向かい風を表現する場合、時間の経過に応じて表示図形30の大きさを大きくさせる。生成部8は、例えば、表示図形30における扁平率Fを一定としつつ表示図形30の大きさを変化させていく。表示図形30の大きさが変化することにより、ドライバは進行方向Yに沿った風の向きを直感的に理解することができる。生成部8は、所定位置の風が車両100に対して追い風である場合、時間の経過に応じて表示図形30の大きさを小さくさせてもよい。
【0040】
アイコン40は、表示図形30と共に表示領域102aに表示されるものであり、気象情報を示す文字を含む。図4に示すように、アイコン40は、風系のアイコン41、風雨系のアイコン42、および風雪系のアイコン43を有する。
【0041】
風系のアイコン41は、風系の表示図形31と共に表示される。例示された風系のアイコン41は、風を示す図形および風速を示す文字を含む。なお、所定位置において竜巻が発生している場合、生成部8は、風系のアイコン41に代えて、竜巻を示すアイコン44を生成する。竜巻を示すアイコン44は、竜巻を示す図形および竜巻を示す文字を含む。風系のアイコン41および竜巻を示すアイコン44は、例えば、風系の表示図形31と同じ色で表示される。
【0042】
風雨系のアイコン42は、風雨系の表示図形32と共に表示される。例示された風雨系のアイコン42は、雨を示す図形および風速を示す文字を含む。風雨系のアイコン42は、例えば、風雨系の表示図形32と同じ色で表示される。風雪系のアイコン43は、風雪系の表示図形33と共に表示される。風雪系のアイコン43は、雪を示す文字および風速を示す文字を含む。風雪系のアイコン43は、例えば、風雪系の表示図形33と同じ色で表示される。
【0043】
本実施形態の生成部8は、車両100から所定位置までの距離に応じて表示図形30の大きさを調節する。例えば、生成部8は、車両100から所定位置までの距離が短い場合には、表示図形30の大きさを大きくする。一方、生成部8は、車両100から所定位置までの距離が長い場合には、表示図形30の大きさを小さくする。このように遠近感を表現することで、現在位置から所定位置まで遠いか近いかをドライバ200に認識させることができる。生成部8は、例えば、車両100から所定位置までの距離が短くなるに従って徐々に表示図形30の大きさを大きくする。
【0044】
なお、表示器9が虚像VIの結像位置を調節する機構を有する場合、表示器9によって遠近感を表現させることができる。この機構は、例えば、画像投影部91からウインドシールド102までの光路長を変化させる機構である。調節する機構を有する表示器9は、車両100から所定位置までの距離が短い場合、車両100から所定位置までの距離が長い場合と比較して虚像VIの結像位置をドライバ200から近い位置としてもよい。
【0045】
本実施形態の車両用表示装置1は、車両100の予測挙動を示すアニメーションを行なう機能を有する。以下の説明では、車両100の予測される挙動を示すアニメーションを単に「第一アニメーション」と称する。図11には、トンネルの出口に向かうときの第一アニメーションの一例が示されている。
【0046】
第一アニメーションは、予測部6による予測結果に基づいて実行される。例えば、トンネルの出口の横風によって車両100が矢印Ar4で示すように右側に向けてふらつくことが予測部6によって予測されたとする。この場合、生成部8は、車両100を示す虚像(以下、単に「第一虚像」と称する。)V1を左から右へと移動させるアニメーションを生成する。第一虚像V1の形状は、車両100を模した形状である。第一虚像V1は、例えば、白色または白系の色で表示される。第一アニメーションは、車両100がふらつく挙動を示すアニメーションである。
【0047】
なお、車両100が左側に向けてふらつくことが予測された場合、生成部8は、第一虚像V1を右から左へと移動させるアニメーションを生成してもよい。この場合の第一アニメーションは、車両100が左側に向けてふらつく挙動を示すアニメーションである。
【0048】
第一虚像V1は、将来における車両100の予測位置に重畳して表示される。車両100の予測位置は、車両100の車速に基づいて算出される。第一虚像V1の表示位置は、例えば、数秒後の車両100の位置であり、例えばトンネル出口の位置のように、車両100の現在位置よりも前方の位置である。
【0049】
本実施形態の車両用表示装置1は、表示図形30と第一虚像V1とを合成して表示画面を生成する。すなわち、車両用表示装置1は、表示図形30のアニメーションと、第一アニメーションとを同時に実行する。ただし、第一アニメーションは、表示図形30のアニメーションを伴わずに実行されてもよい。
【0050】
生成部8は、降雨や降雪に応じて第一虚像V1の表示態様を異ならせてもよい。図12に示すように、生成部8は、降雨時には、第一虚像V1の下部に対して波打つ形状の虚像Vrを重畳させる。虚像Vrは、所定位置の路面が濡れていることや、所定位置の路面が冠水していることを想起させる画像である。生成部8は、降雪時には、第一虚像V1の下部に対して平らな形状の虚像Vsを重畳させる。虚像Vsは、所定位置の路面が雪に覆われていることを想起させる画像である。
【0051】
車両用表示装置1は、第一アニメーションに代えて、以下に説明する第二アニメーションを実行するように構成されてもよい。第二アニメーションは、他車両の予測される挙動を示すアニメーションである。図13には、トンネルの出口に向かうときの第二アニメーションの一例が示されている。図13において、車線Ln1は、車両100が走行している車線である。他車両300は、隣接する車線Ln2を走行している二輪車である。他車両300は、車両100の斜め前方に位置しており、かつ車両100と同じ進行方向Yに沿って走行している。
【0052】
第二アニメーションは、予測部6による予測結果に基づいて実行される。例えば、トンネルの出口の横風によって他車両300が矢印Ar5で示すように左側に向けてふらつくことが予測部6によって予測されたとする。この場合、生成部8は、他車両300を示す虚像(以下、単に「第二虚像」と称する。)V2を右から左へと移動させるアニメーションを生成する。第二虚像V2の形状は、他車両300を模した形状である。第二虚像V2は、例えば、有色の枠の画像であり、枠の内部は無色である。第二アニメーションは、他車両300がふらつく挙動を示すアニメーションである。他車両300のふらつく方向は、車両100が走行している車線Ln1に近づく方向である。つまり、車両用表示装置1は、他車両300が車両100へ近づくようにふらつくことが予測される場合に第二アニメーションを実行する。
【0053】
なお、他車両300が車両100に対して左側の車線を走行している場合は、他車両300が右側に向けてふらつくと予測された場合に第二アニメーションが実行されることが好ましい。
【0054】
第二アニメーションの最初のフレームにおいて、生成部8は、他車両300と重畳する位置に第二虚像V2を表示させる。生成部8は、その後のフレームにおいて、他車両300と重畳する位置から矢印Ar5で示す方向に第二虚像V2を移動させる。このアニメーションをリピートして表示させても良い。
【0055】
車両用表示装置1は、例えば、表示図形30と第二虚像V2とを合成して表示画面を生成する。すなわち、車両用表示装置1は、表示図形30のアニメーションと、第二アニメーションとを同時に実行する。ただし、第二アニメーションは、表示図形30のアニメーションを伴わずに実行されてもよい。
【0056】
生成部8は、降雨や降雪に応じて第二虚像V2の表示態様を異ならせてもよい。図14に示すように、生成部8は、降雨時には、第二虚像V2の下部に対して波打つ形状の虚像Vrを重畳させる。生成部8は、降雪時には、第二虚像V2の下部に対して平らな形状の虚像Vsを重畳させる。
【0057】
表示器9は、車両100のドライバ200に対して前方に表示図形30の像を表示させる装置である。本実施形態の表示器9は、車両100のウインドシールド102に投影する表示光によって、車両100の前景に重ねて表示図形30の虚像を表示させる投影器である。図1に示すように、表示器9は、画像投影部91およびミラー92を有する。画像投影部91は、生成部8によって生成された画像情報に基づいて、表示図形30を含む画像の表示光を生成する。
【0058】
画像投影部91は、例えば、TFT-LCD(Thin Film Transistor-Liquid Crystal Display)等の液晶表示装置である。この場合、画像投影部91は、画像を表示する液晶表示部を有し、液晶表示部から表示光を出射する。ただし、画像投影部91は、液晶表示装置には限定されず、例えば、レーザ光によってスクリーンに画像を生成する装置であってもよい。この場合、画像投影部91は、スクリーンから画像の表示光を出射する。
【0059】
ミラー92は、画像投影部91から出射される表示光をウインドシールド102に向けて反射する反射部材である。ミラー92は、表示光を反射する反射面を有する。反射面の形状は、例えば、自由曲面である。ミラー92は、表示光を拡大しながら反射する拡大ミラーであることが好ましい。ウインドシールド102は、表示光をドライバ200のアイポイント201に向けて反射する。ミラー92は、ウインドシールド102のうち、車両100の前景と重畳する領域に向けて表示光を反射する。よって、形成される虚像VIは、車両100の前景と重畳して表示される。
【0060】
図15のフローチャートを参照して、車両用表示装置1の動作について説明する。ステップS10では、各種の情報が取得される。第一取得部2は、通信部110を介して気象情報、道路情報、および交通情報を取得する。第二取得部3は、車載センサ120から他車両の情報や道路情報を取得する。走行情報取得部4は、車速や舵角に関する走行情報を取得する。ナビ情報取得部5は、ナビゲーション装置130から現在走行位置や地図情報、経路案内情報等を取得する。ステップS10が実行されると、ステップS20に進む。
【0061】
ステップS20において、予測部6は、走行ルートの予測、危険予測、挙動の予測等を行なう。例えば、予測部6は、車両100の現在走行位置、地図情報、案内経路、車両100の車速、舵角等に基づいて車両100の走行ルートを予測する。予測部6は、他車両の走行ルートを予測してもよい。予測部6は、例えば、車載センサ120から取得した他車両の相対位置および相対速度に基づいて他車両の走行ルートや他車両の将来位置を予測することができる。また、予測部6は、ステップS10で取得した情報に基づいて危険予測や挙動予測を行なう。
【0062】
車両用表示装置1が第一アニメーションを実行可能なように構成されている場合、予測部6は、車両100の挙動を予測する。予測部6は、例えば、車両100の前方における風速に基づいて車両100の挙動を予測する。前方の風速が大きい場合には、車両100の挙動が不安定となると予測することができる。例えば、トンネルの出口、アンダーパス、橋梁、高架道路、海岸沿いの道路、ビル街、山道等の箇所においては、車両100が強い風を受けたり、車両100が受ける風圧が急変したりすることがある。以下の説明では、車両100が強い風を受けたり、車両100が受ける風圧が急変したりしやすい箇所を注意箇所と称する。予測部6は、例えば、車両100の前方に注意箇所があり、かつ注意箇所に風が吹いている場合に車両100の挙動が不安定となると予測する。予測部6は、風の向きに基づいて車両100のふらつき方向を予測することができ、風速に基づいて車両100のふらつき量を予測することができる。
【0063】
予測部6は、車両100の前方の道路情報に基づいて車両100の挙動を予測してもよい。予測部6は、例えば、車両100の前方の路面が凍結している場合、前方の路面に水たまりがある場合、または前方の路面が冠水している場合に車両100の挙動が不安定になると予測する。予測部6は、例えば、車両100の前方の路面に砂が落ちている場合や、前方の道路の舗装が荒れている場合に車両100の挙動が不安定となると予測する。予測部6は、前方の路面に障害物がある場合に車両100の挙動が不安定になると予測してもよい。車両100の挙動がどの程度不安定になるかは、例えば、後述する危険度に基づいて予測することができる。
【0064】
車両用表示装置1が第二アニメーションを実行可能なように構成されている場合、予測部6は、他車両300の挙動を予測する。予測部6は、例えば、他車両300の前方における風速に基づいて他車両300の挙動を予測する。前方の風速が大きい場合には、他車両300の挙動が不安定となると予測することができる。予測部6は、例えば、他車両300の前方に注意箇所があり、かつ注意箇所に風が吹いている場合に他車両300の挙動が不安定となると予測する。予測部6は、風の向きに基づいて他車両300のふらつき方向を予測することができ、風速に基づいて他車両300のふらつき量を予測することができる。
【0065】
予測部6は、他車両300の前方の道路情報に基づいて他車両300の挙動を予測してもよい。予測部6は、例えば、他車両300の前方の路面が凍結している場合、前方の路面に水たまりがある場合、または前方の路面が冠水している場合に他車両300の挙動が不安定になると予測する。予測部6は、例えば、他車両300の前方の路面に砂が落ちている場合や、前方の道路の舗装が荒れている場合に他車両300の挙動が不安定となると予測する。予測部6は、前方の路面に障害物がある場合に他車両300の挙動が不安定になると予測してもよい。他車両300の挙動がどの程度不安定になるかは、例えば、以下に説明する危険度に基づいて予測することができる。
【0066】
予測部6は、例えば、所定位置の風の強さによって危険度を判断することができる。この場合、予測部6は、所定位置の風速が閾値以上である場合に所定位置における危険度が大きいと判断することができる。風の強さに基づく危険度が大きい場合には、車両100の挙動や他車両300の挙動が不安定となりやすい。
【0067】
風速が同じであっても、車両100の速度が大きい場合には、車両100の挙動が不安定になりやすい。予測部6は、所定位置の風速に加えて、車両100の車速に基づいて危険度を判定してもよい。この場合、予測部6は、例えば、図16に示すマップに基づいて危険度の大きさを判定する。
【0068】
図16において、横軸は車両100の車速、縦軸は所定位置の風の強さを示す。風の強さは、所定位置における風の方向に沿った風速であってもよく、横風の風速であってもよい。境界線Th1は、表示図形30、第一アニメーション、第二アニメーション等の注意喚起を表示する必要があるかの判断基準である。車速および風の強さから決まる点が境界線Th1よりも原点O側の点である場合、表示は不要であると判断される。一方、車速および風の強さから決まる点が境界線Th1よりも原点とは反対側の点である場合、表示の必要があると判断される。なお、例示された境界線Th1は直線であるが、直線には限定されない。また、境界線Th1に基づく判断には、制御のハンチングを抑制できるようにヒステリシスが設けられる。
【0069】
なお、車両用表示装置1が第二アニメーションを実行可能なように構成されている場合、図16のマップと同様のマップに基づいて第二アニメーションの要否を判定することができる。この場合、マップの横軸は、他車両300の車速である。風の強さが同じであっても、他車両300の車速が大きくなるほど他車両300の挙動が不安定になると予測される。
【0070】
予測部6は、所定位置の風速に加えて、所定位置の風の向きに基づいて危険度を判定してもよい。この場合、予測部6は、例えば、図17に示すマップに基づいて危険度の大きさを判定する。図17に示すマップにおいて、横軸方向の値は、所定位置における横風の強さを示し、縦軸方向の値は、所定位置における進行方向Yに沿った風の強さを示す。原点Oよりも左側の領域の点は、右向きの横風を示す。原点Oよりも右側の領域の点は、左向きの横風を示す。原点Oよりも下側の領域の点は、追い風を示す。原点Oよりも上側の領域の点は、向かい風を示す。
【0071】
境界線Th2,Th3は、表示図形30、第一アニメーション、第二アニメーション等の注意喚起を表示する必要があるかの判断基準である。境界線Th2,Th3よりも横風が強い領域では、表示の必要があると判断される。一方、横軸方向における境界線Th2,Th3の間の領域では、表示が不要と判断される。
【0072】
予測部6は、所定位置の風速に加えて、所定位置の路面の状態に基づいて危険度を判定してもよい。路面の状態は、例えば、路面の滑り具合を示すものであり、路面の凍結、路面の砂、舗装状態等である。路面の滑りやすさに応じて図16の境界線Th1や図17の境界線Th2,Th3が変更されてもよい。路面が滑りやすい状態であるときは、路面が滑りやすい状態でないときに比べて、危険であると判断されやすくなるように境界線Th1や境界線Th2,Th3の値が設定される。
【0073】
例えば、路面が滑りやすい状態であるときは、路面が滑りやすい状態でないときに比べて、図16の境界線Th1が原点Oの近くに設定されてもよい。例えば、路面が滑りやすい状態であるときは、路面が滑りやすい状態でないときに比べて、横軸方向における境界線Th2,Th3の間隔が狭くされてもよい。
【0074】
ドライバ200の運転状態に応じて境界線Th1や境界線Th2,Th3が変更されてもよい。例えば、ドライバ200がステアリングを把持してないハンズオフの状態である場合には、ドライバ200がステアリングを把持している場合に比べて、危険であると判断されやすくなるように境界線Th1や境界線Th2,Th3の値が設定される。
【0075】
なお、ハンズオフである状況として、車両100が自動運転の状態である場合が考えられる。この場合、危険であると判断されやすくするか否かが自動運転のレベルに応じて設定されてもよい。例えば、ドライバに責任のある自動運転状態において、危険であると判断されやすくなるように境界線Th1や境界線Th2,Th3の値が設定される。
【0076】
他車両300の車種に応じて境界線Th1や境界線Th2,Th3が変更されてもよい。例えば、他車両300が二輪車である場合、他車両300が二輪車以外の自動車である場合と比較して危険であると判断されやすくなるように境界線Th1や境界線Th2,Th3の値が設定されてもよい。一例として、図16のマップと同様のマップに基づいて第二アニメーションの要否が判断される場合、他車両300が二輪車である場合は、他車両300が二輪車以外の自動車である場合と比較して境界線Th1が原点Oの近くに設定されてもよい。その結果、風速が同じであっても、他車両300が二輪車である場合は他車両300が二輪車以外の自動車である場合と比較して挙動が不安定になりやすいと判定される。
【0077】
ステップS20において予測部6による予測がなされると、ステップS30に進む。ステップS30では、表示制御部7によって表示の要否が判断される。表示制御部7は、例えば、ステップS10で取得された情報、およびステップS20における予測結果に基づいて表示図形30、第一アニメーション、第二アニメーション等の注意喚起を表示させるか否かを判断する。表示制御部7は、例えば、予測部6によって注意喚起の表示が必要であると判断された場合に、注意喚起を表示すると判断する。表示制御部7は、予測部6による予測結果に加えて、現在位置の風の強さや、他車両との関係に応じて表示の要否を判断してもよい。この場合、表示制御部7は、例えば、下記の第一条件、第二条件、または第三条件が成立する場合に表示の必要があると判断する。
【0078】
第一条件は、車両100の現在位置における風は安定しているが、すぐ先の所定位置の状態が危険であると予測されていることである。第二条件は、車両100の現在位置における風が危険な状態であり、かつすぐ先の地点で車両100が隣車線の車と並走すると予測されることである。第三条件は、車両100の現在位置における風が危険な状態であり、かつすぐ先の地点で車両100が隣車線の車とすれ違うことが予測されることである。なお、現在位置からすぐ先の地点までの距離は、例えば、その地点がドライバ200の視界に入る程度の距離である。言い換えると、すぐ先の地点は、ドライバ200から視認可能な範囲内の地点である。
【0079】
ステップS30において、表示が必要であると肯定判定された場合にはステップS40に進み、否定判定された場合にはフローチャートが一旦終了する。
【0080】
ステップS40において、生成部8は、表示画面を生成する。生成部8は、例えば、表示図形30およびアイコン40組み合わせて表示画面を生成する。生成部8は、第一アニメーションを実行する場合、表示図形30、アイコン40、および第一虚像V1の画像を組み合わせて表示画面を生成する。生成部8は、第二アニメーションを実行する場合、表示図形30、アイコン40、および第二虚像V2の画像を組み合わせて表示画面を生成する。生成部8は、生成した表示画面を表示器9に出力する。表示器9は、生成部8から取得した表示画面の表示光をウインドシールド102に向けて投影する。ステップS40が実行されると、フローチャートが一旦終了する。
【0081】
なお、表示器9は、車両100の前景に重ねて虚像VIを表示するものには限定されない。すなわち、虚像VIは、前景と重ならない位置に表示されてもよい。表示器9は、虚像VIを表示する装置には限定されない。表示器9は、例えば、画面に表示した実像をドライバ200に視認させる装置であってもよい。この場合、表示器9の画面がドライバ200の前方に、かつドライバ200から視認可能な箇所に配置される。表示器9は、例えば、メータ装置の一部であってもよく、メータ装置に隣接して配置されてもよい。
【0082】
以上説明したように、本実施形態に係る車両用表示装置1は、第一取得部2および第二取得部3と、予測部6と、表示器9と、を有する。第一取得部2および第二取得部3は、走行環境を取得する取得部の一例である。予測部6は、走行環境に基づいて車両100の前方を走行している他車両300の挙動を予測する。表示器9は、他車両300の挙動が不安定となると予測された場合に、車両100のドライバ200に対して他車両300の予測される挙動を表示する。本実施形態に係る車両用表示装置1は、走行環境が自車両に対してどのような影響を及ぼすかについてドライバ200に直感的に伝えることができる。
【0083】
本実施形態において、走行環境は、前方の風速に関する情報を含む。予測部6は、風速に関する情報に基づいて他車両300の挙動を予測する。本実施形態の車両用表示装置1は、風速を考慮して他車両300の挙動を予測することで、車両100に対する影響をより適切に予測することができる。
【0084】
本実施形態の他車両300は、車両100に対して隣接する車線Ln2を走行する車両である。予測部6は、他車両300が走行する車線Ln2から車両100が走行する車線Ln1に向かう横風が吹いている場合に他車両300の挙動が不安定となると予測する。よって、本実施形態の車両用表示装置1は、車両100に与える影響が大きくなりやすい場合に他車両300の挙動を表示することができる。
【0085】
本実施形態において、走行環境は、前方の路面の状況に関する情報を含む。予測部6は、路面の状況に関する情報に基づいて他車両300の挙動を予測する。よって、本実施形態の車両用表示装置1は、他車両300の挙動をより適切に予測することができる。
【0086】
本実施形態の第一取得部2は、他車両300の車種を取得する。予測部6は、他車両300が二輪車である場合に他車両300の挙動が不安定となると予測する。
【0087】
なお、車両用表示装置1が第一アニメーションを実行するように構成されている場合、予測部6は、走行環境に基づいて自車両である車両100の挙動を予測する。表示器9は、車両100の挙動が不安定となると予測された場合に、車両100のドライバ200に対して車両100の予測される挙動を表示する。よって、本実施形態に係る車両用表示装置1は、走行環境が自車両に対してどのような影響を及ぼすかについてドライバ200に直感的に伝えることができる。
【0088】
[実施形態の変形例]
第一虚像V1の形状や表示位置は、実施形態において例示された形状や表示位置には限定されない。第一アニメーションにおいて、第一虚像V1の移動方向は一方向には限定されない。例えば、前方の路面が滑りやすいことを理由に車両100の挙動が不安定になると予測された場合、生成部8は、第一アニメーションにおいて、第一虚像V1を左右に交互に移動させてもよい。
【0089】
第一アニメーションを実行するか否かの判断と、表示図形30を表示するか否かの判断とが独立していてもよい。例えば、車両用表示装置1は、所定位置における風が弱く、かつ路面が滑りやすい状態である場合、表示図形30の表示を行なわずに第一アニメーションを実行してもよい。
【0090】
第二虚像V2の形状や表示位置は、実施形態において例示された形状や表示位置には限定されない。第二アニメーションにおいて、第二虚像V2の移動方向は一方向には限定されない。例えば、前方の路面が滑りやすいことを理由に他車両300の挙動が不安定になると予測された場合、生成部8は、第二アニメーションにおいて、第二虚像V2を左右に交互に移動させてもよい。
【0091】
第二アニメーションを実行するか否かの判断と、表示図形30を表示するか否かの判断とが独立していてもよい。例えば、車両用表示装置1は、所定位置における風が弱く、かつ路面が滑りやすい状態である場合、表示図形30の表示を行なわずに第二アニメーションを実行してもよい。
【0092】
上記の実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
【符号の説明】
【0093】
1 車両用表示装置
2:第一取得部、 3:第二取得部、 4:走行情報取得部
5:ナビ情報取得部、 6:予測部、 7:表示制御部、 8:生成部
9:表示器
30 表示図形
31:風系の表示図形、 32:風雨系の表示図形、 33:風雪系の表示図形
40 アイコン
41:風系のアイコン、 42:風雨系のアイコン、 43:風雪系のアイコン
44:竜巻を示すアイコン
91:画像投影部、 92:ミラー
100:車両、 101:ダッシュボード、 102:ウインドシールド
102a:表示領域、 110:通信部、 120:車載センサ
130:ナビゲーション装置
200:ドライバ、 201:アイポイント
300 他車両
F 扁平率
L1:長軸の長さ、 L2:短軸の長さ
Ln1,Ln2 車線
VI:虚像、 V1:第一虚像、 V2:第二虚像
X:車幅方向、 Y:進行方向、 Z:上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17