IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-画像形成装置 図1
  • 特許-画像形成装置 図2
  • 特許-画像形成装置 図3
  • 特許-画像形成装置 図4
  • 特許-画像形成装置 図5
  • 特許-画像形成装置 図6
  • 特許-画像形成装置 図7
  • 特許-画像形成装置 図8
  • 特許-画像形成装置 図9
  • 特許-画像形成装置 図10
  • 特許-画像形成装置 図11
  • 特許-画像形成装置 図12
  • 特許-画像形成装置 図13
  • 特許-画像形成装置 図14
  • 特許-画像形成装置 図15
  • 特許-画像形成装置 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/26 20060101AFI20240304BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20240304BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20240304BHJP
   B65H 31/22 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
B65H31/26
G03G21/16 109
G03G21/16 133
B41J29/00 A
B65H31/22
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021109226
(22)【出願日】2021-06-30
(65)【公開番号】P2023006561
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2022-06-28
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】横田 明典
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-196769(JP,A)
【文献】特開平10-207321(JP,A)
【文献】特開2009-214948(JP,A)
【文献】特開2008-001485(JP,A)
【文献】特開2007-217165(JP,A)
【文献】特開2020-154300(JP,A)
【文献】特開2015-205772(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/00- 31/40
G03G 21/16
B41J 29/00- 29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が形成された記録材を排出するための排出口が形成された装置本体と、
前記排出口から排出された記録材を支持する排出トレイと、
前記排出トレイに支持された記録材を鉛直方向において上方から押さえる押さえ部材と、を有し、
前記排出トレイは、前記排出口から記録材が排出される排出方向と交差する方向にのびた第1の回転軸を中心に前記装置本体に対して回転可能であり、前記排出トレイは、前記装置本体に対して閉じた閉位置と前記装置本体に対して開いた開位置の間で回転可能であり、
前記押さえ部材は、前記交差する方向にのびた第2の回転軸を中心に前記装置本体に対して回転可能であり、
前記排出トレイが前記閉位置から前記開位置に回転される途中の第一位置で、前記排出トレイと前記押さえ部材は接触を始め、前記排出トレイと前記押さえ部材が接触した時の前記押さえ部材の回転軸は前記第2の回転軸であり、前記排出トレイが前記第一位置から前記開位置まで回転されるまでの間、前記押さえ部材は前記排出トレイと接触しながら退避位置まで前記第2の回転軸を中心に回転し、
前記交差する方向において見たとき、前記第1の回転軸は前記第2の回転軸よりも前記排出方向において下流側に位置しており、前記押さえ部材が前記退避位置に位置している状態において、前記押さえ部材の重心は前記第2の回転軸よりも前記排出方向において下流側に位置することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記交差する方向において見たとき、前記押さえ部材が前記退避位置に位置している状態において、前記押さえ部材の重心は前記第1の回転軸よりも前記排出方向において上流側に位置していることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記交差する方向において見たとき、前記押さえ部材が前記退避位置に位置している状態において、前記排出トレイの重心は前記第1の回転軸よりも前記排出方向において下流側に位置していることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記交差する方向において見たとき、前記押さえ部材が前記退避位置に位置している状態において、前記排出トレイの重心は前記第1の回転軸よりも前記排出方向において上流側に位置していることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記交差する方向において見たとき、前記押さえ部材が前記退避位置に位置している状態において、前記押さえ部材の重心は前記第1の回転軸よりも前記排出方向において下流側に位置していることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記交差する方向において見たとき、前記押さえ部材が前記退避位置に位置している状態において、前記排出トレイの重心は前記第1の回転軸よりも前記排出方向において下流側に位置していることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
画像が形成された記録材を排出するための排出口が形成された装置本体と、
前記排出口から排出された記録材を支持する排出トレイと、
前記排出トレイに支持された記録材を鉛直方向において上方から押さえる押さえ部材と、を有し、
前記排出トレイは、前記排出口から記録材が排出される排出方向と交差する方向にのびた第1の回転軸を中心に前記装置本体に対して回転可能であり、前記排出トレイは、前記装置本体に対して閉じた閉位置と前記装置本体に対して開いた開位置の間で回転可能であり、
前記押さえ部材は、前記交差する方向にのびた第2の回転軸を中心に前記装置本体に対して回転可能であり、
前記排出トレイが前記閉位置から前記開位置に回転される途中の第一位置で、前記排出トレイと前記押さえ部材は接触を始め、前記排出トレイと前記押さえ部材が接触した第一位置から前記開位置まで前記排出トレイが回転するまでの間、前記押さえ部材は前記排出トレイと接触しながら退避位置まで前記第2の回転軸を中心に回転し
前記交差する方向において見たとき、前記第1の回転軸は前記第2の回転軸よりも前記排出方向において下流側に位置しており、前記排出トレイが前記開位置から前記閉位置へと回転されたことに伴って、前記押さえ部材は前記退避位置から前記排出トレイと接触しない元の位置へと自重によって回転することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記排出トレイを保持して、前記排出トレイが前記開位置に位置する状態を維持するトレイ保持手段を有し、
前記トレイ保持手段は、前記排出トレイに設けられた係合部と、前記装置本体に設けられ、前記係合部と係合する被係合部を含んでおり、前記係合部と前記被係合部が係合することによって前記排出トレイが前記開位置に位置する状態を維持することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記押さえ部材は、前記排出トレイと接触する接触部を備えており、前記排出方向と交差する記録材の幅方向において、前記接触部は記録材の搬送領域の外側に設けられていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記押さえ部材は、前記排出トレイと接触する回転可能な回転体を備えていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記押さえ部材の回転を検知する検知手段と、
前記検知手段により前記押さえ部材が回転したことを検知した場合、前記排出トレイが前記装置本体に対して開いた状態にあると判断する判断手段と、を有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記判断手段は、前記排出トレイに記録材を排出している間に、前記検知手段により前記押さえ部材が回転したことを検知した場合、前記排出トレイが満載状態であると判断することを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
現像剤が収容された補給容器が装着可能な補給口を有し、
前記排出トレイを前記装置本体に対して開くことによって、前記補給口を前記装置本体の外部に露出させることができることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記装置本体に対して着脱可能なカートリッジを有し、
前記排出トレイを前記装置本体に対して開くことによって、前記カートリッジを交換することができることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記排出トレイが前記閉位置から前記開位置に回転される途中で、前記排出トレイは最初に前記押さえ部材の先端に接触することを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材に画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタなどの画像形成装置においては、画像形成したシートを装置本体の天面部に設けられた排出トレイに排出する構成が知られている。また、シートに熱や圧力をかけてシートに画像を定着させる定着処理を行うと、排出トレイに排出されたシートがカールしてしまうことがある。カールしたシートは積載性に影響を及ぼすため、排出トレイに排出されたシートを上から押さえつける押さえ部材を備えた画像形成装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、排出トレイを開いたときに、排出トレイと押さえ部材が干渉して押さえ部材が破損することを防ぐために、押さえ部材をスライド可能にした構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-323131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、押さえ部材をスライド可能に構成すると、装置本体に押さえ部材を収容するためのスペースを確保する必要があり、装置サイズの大型化につながる。また、排出トレイを閉めたときに、退避していた押さえ部材が自動的に元の位置に戻るように、押さえ部材を付勢するコイルスプリングなど追加の部材を設ける必要がある。
【0006】
また、排出トレイの回転量を規制して、排出トレイと押さえ部材がそもそも干渉しないように構成することも可能ではあるが、ユーザが装置本体の内部にアクセスできるスペースが制限され、ユーザビリティが低下するという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、装置サイズを大きくすることなく、ユーザビリティを向上させた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本発明の画像形成装置は、画像が形成された記録材を排出するための排出口が形成された装置本体と、前記排出口から排出された記録材を支持する排出トレイと、前記排出トレイに支持された記録材を鉛直方向において上方から押さえる押さえ部材と、を有し、前記排出トレイは、前記排出口から記録材が排出される排出方向と交差する方向にのびた第1の回転軸を中心に前記装置本体に対して回転可能であり、前記排出トレイは、前記装置本体に対して閉じた閉位置と前記装置本体に対して開いた開位置の間で回転可能であり、前記押さえ部材は、前記交差する方向にのびた第2の回転軸を中心に前記装置本体に対して回転可能であり、前記排出トレイが前記閉位置から前記開位置に回転される途中で、前記排出トレイと前記押さえ部材は接触し、前記排出トレイが前記開位置まで回転されたとき、前記押さえ部材は前記排出トレイと接触しながら退避位置まで回転し、前記交差する方向において見たとき、前記第1の回転軸は前記第2の回転軸よりも前記排出方向において下流側に位置しており、前記押さえ部材が前記退避位置に位置している状態において、前記押さえ部材の重心は前記第2の回転軸よりも前記排出方向において下流側に位置しており、
前記排出トレイが前記閉位置から前記開位置に向けて移動して、前記排出トレイと前記押さえ部材が接触した時の前記押さえ部材の回転軸は前記第2の回転軸であることを特徴とする。
また、上記の目的を達成するための本発明の画像形成装置は、画像が形成された記録材を排出するための排出口が形成された装置本体と、前記排出口から排出された記録材を支持する排出トレイと、前記排出トレイに支持された記録材を鉛直方向において上方から押さえる押さえ部材と、を有し、前記排出トレイは、前記排出口から記録材が排出される排出方向と交差する方向にのびた第1の回転軸を中心に前記装置本体に対して回転可能であり、前記排出トレイは、前記装置本体に対して閉じた閉位置と前記装置本体に対して開いた開位置の間で回転可能な画像形成装置において、前記押さえ部材は、前記交差する方向にのびた第2の回転軸を中心に前記装置本体に対して回転可能であり、前記排出トレイが前記閉位置から前記開位置に回転される途中で、前記排出トレイと前記押さえ部材は接触し、前記排出トレイが前記開位置まで回転されたとき、前記押さえ部材は前記排出トレイと接触しながら退避位置まで回転し、前記交差する方向において見たとき、前記第1の回転軸は前記第2の回転軸よりも前記排出方向において下流側に位置しており、前記押さえ部材が前記退避位置に位置している状態において、前記押さえ部材の重心は前記第2の回転軸よりも前記排出方向において下流側に位置していることを特徴とする
【0009】
また、上記の目的を達成するための本発明の画像形成装置は、画像が形成された記録材を排出するための排出口が形成された装置本体と、前記排出口から排出された記録材を支持する排出トレイと、前記排出トレイに支持された記録材を鉛直方向において上方から押さえる押さえ部材と、を有し、前記排出トレイは、前記排出口から記録材が排出される排出方向と交差する方向にのびた第1の回転軸を中心に前記装置本体に対して回転可能であり、前記排出トレイは、前記装置本体に対して閉じた閉位置と前記装置本体に対して開いた開位置の間で回転可能な画像形成装置であり、前記押さえ部材は、前記交差する方向にのびた第2の回転軸を中心に前記装置本体に対して回転可能であり、前記排出トレイが前記閉位置から前記開位置に回転される途中の第一位置で、前記排出トレイと前記押さえ部材は接触を始め、前記排出トレイと前記押さえ部材が接触した第一位置から前記開位置まで前記排出トレイが回転するまでの間、前記押さえ部材は前記排出トレイと接触しながら退避位置まで前記第2の回転軸を中心に回転し前記排出トレイが前記開位置から前記閉位置へと回転されたことに伴って、前記押さえ部材は前記退避位置から前記排出トレイと接触しない元の位置へと自重によって回転することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、装置サイズを大きくすることなく、ユーザビリティを向上させた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】画像形成装置の全体構成図
図2】排出トレイの側面図
図3】排出トレイの斜視図
図4】補給パックを取り付ける手順を示す斜視図
図5】実施例1における押さえ部材の構成図
図6】実施例1における排出トレイと押さえ部材がともに回転する様子を示す図
図7】排出トレイの保持機構を示す図
図8】押さえ部材の回転範囲を示す図
図9】排出トレイ開放時にシートが排出されたときの様子を示す図
図10】実施例2における押さえ部材の構成図
図11】実施例2における排出トレイと押さえ部材がともに回転する様子を示す図
図12】実施例3における押さえ部材の回転検知機構を示す図
図13】実施例3におけるシート満載時の様子を示す図
図14】実施例3における排出トレイ開放時の様子を示す図
図15】変形例における排出トレイの開位置を示す図
図16】変形例におけるカートリッジ交換式の画像形成装置を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施例1>
(画像形成装置の全体構成)
本実施例における画像形成装置100の構成について説明する。本実施例の画像形成装置100は、電子写真プロセスを用いたモノクロレーザプリンタであり、パーソナルコンピュータなどの外部機器から送信された画像情報に応じて、記録材であるシートSにトナー(現像剤)による画像を形成するものである。
【0013】
また、以下の説明において、画像形成装置100が水平な面に設置された場合における画像形成装置100の高さ方向(鉛直方向とは反対の方向)をZ方向とする。Z方向と交差し、後述する感光ドラム101の回転軸線方向(主走査方向)と平行な方向をX方向とする。X方向及びZ方向と交差する方向をY方向とする。X方向、Y方向、Z方向は、好ましくは互いに垂直に交差する。また便宜上、X方向においてプラス側を右側、マイナス側を左側と呼び、Y方向においてプラス側を前側または正面側、マイナス側を後側または背面側と呼び、Z方向においてプラス側を上側、マイナス側を下側と呼ぶ。
【0014】
図1は本実施例における画像形成装置100の断面図である。図1に示すように、感光ドラム(像担持体)101には画像情報に応じてレーザースキャナユニット(光学走査装置)102からレーザー光102aが照射され、感光ドラム101に静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像ローラ110により収容容器114に収容されたトナーを用いてトナー像として現像される。なお、本実施例の画像形成装置100は補給式の構成を採用しており、補給口112を介して外部から収容容器114にトナーを補給できる。この構成について詳しくは後述する。
【0015】
一方、給紙トレイ109に収納されたシートSは、給紙ローラ103によって給紙され、分離部(不図示)により1枚ずつ分離されて給紙される。そして、搬送ローラ104によって、感光ドラム101と転写ローラ105によって形成された転写ニップ部へと搬送され、トナー像が転写される。トナー像が転写されたシートSは、加熱装置106と加圧ローラ107によって形成された定着ニップ部へと搬送され、加熱、加圧されてシートSにトナー像が定着される。画像が形成されたシートSは、排出ローラ108により装置本体120の天面に設けられた排出トレイ111に排出される。
【0016】
(排出トレイの構成)
図2は本実施例における排出トレイ111の拡大断面図である。排出トレイ111は、第1の排出トレイ111aと、第2の排出トレイ111bと、第3の排出トレイ111cの3つの部品から構成されている。排出トレイ111は、装置本体120(筐体ともいう)に形成された排出口121から排出されたシートSを支持する。矢印D1は排出口121からシートSが排出される排出方向である。なお、排出口121の近くにはシートSを鉛直方向の上方から押さえる押さえ部材113が設けられている。押さえ部材113について詳細は後述する。
【0017】
図2(a)はトレイを収納した状態を示しており、図2(b)はトレイを展開した状態を示している。本体梱包時や画像形成装置100を使用しない時は、図2(a)に示すように第2の排出トレイ111bと、第3の排出トレイ111cを第1の排出トレイ111aの内部に収納することができる。一方で、画像形成装置100を使用する時は、図2(b)に示すようにユーザが第2の排出トレイ111bと第3の排出トレイ111cを展開する。これにより、排出トレイ111の面積が増加し、安定してシートSを支持することができる。また、図2(b)に示すように、第3の排出トレイ111cを所定角度傾けることによって、排出されたシートSの先端(排出方向におけるシートSの下流側の端)の位置を規制することができる。そのため、積載されたシートSの位置が排出方向D1において大きくずれることを防ぐことができる。
【0018】
次に、図3を用いて第2の排出トレイ111bと第3の排出トレイ111cを展開する手順について説明する。図3は本実施例における排出トレイ111の斜視図である。図2と同様に、図3(a)はトレイを収納した状態を示しており、図3(b)はトレイを展開した状態を示している。
【0019】
図3(b)に示す通り、第1の排出トレイ111aにはその内側に第2の排出トレイ111bをスライド可能に保持するためのレール111dがある。第2の排出トレイの側端部111eがレール111dに沿って摺動することで、第2の排出トレイ111bは第1の排出トレイ111aに対しスライド可能に保持されている。第3の排出トレイ111cには、回転軸111fが設けられている。回転軸111fが第2の排出トレイ111bの回転軸支持部111nによって支持されることで、第3の排出トレイ111cは第2の排出トレイ111bに対し回転可能に保持されている。第3の排出トレイ111cには回転規制部(不図示)が設けられており、図3(b)に示す状態からさらに第3の排出トレイ111cが回転しないようになっている。
【0020】
以上より、第2の排出トレイ111bと第3の排出トレイ111cを展開する際、ユーザはまず第2の排出トレイ111bを第1の排出トレイ111aから引き出し、さらに第3の排出トレイ111cを第2の排出トレイ111bに対して回転させる。なお、第3の排出トレイ111cを回転させなくても、排出されたシートSを受け取ることはできる。
【0021】
また、図2図3それぞれに示すように、排出トレイ111は回転軸111g(第1の回転軸)を中心に装置本体120に対して回転可能な構成となっている。排出トレイ111を装置本体120に対して開くことによって、上述したトナーを補給するための補給口112を装置本体120の外部に露出させることができる。
【0022】
図4は本実施例における画像形成装置100の斜視図である。図4(a)は排出トレイ111が装置本体120に対して閉じた閉位置にある状態を示している。図4(b)は排出トレイ111を装置本体120に対して矢印D2の方向に回転させ、排出トレイ111が装置本体120に対して開いた開位置にある状態を示している。
【0023】
図4(b)に示す通り、排出トレイ111を開くことで、補給口112が外部に露出されていることがわかる。トナーの収容容器114に収容されたトナーの残量が少なくなると、ユーザはトナーの補給パック200(補給容器)を補給口112に装着することで、収容容器114にトナーを補給することができる。図4(c)は補給パック200が補給口112に装着された状態を示している。
【0024】
(押さえ部材の構成)
次に、押さえ部材113の構成について説明する。上述した通り、本実施例の画像形成装置100は加熱装置106と加圧ローラ107によってシートSを加熱、加圧することによってシートSにトナー像を定着する。この定着処理の際、シートSの端部にカールが形成されてしまうことがある。
【0025】
排出されたシートSにカールが生じると、連続でシートSを排出した場合、直前に排出されたシートSの下に後から排出されたシートSが潜り込んだり、既に排出トレイ111に積載されているシートSを押し出したりして、シートSの積載性を悪化させてしまう。そのため、本実施例においては、排出口121の近くに押さえ部材113を設けて、カールが発生したシートSをこの押さえ部材113によって上方から押さえるようにしている。
【0026】
図5は本実施例における押さえ部材113の構成を説明するための図である。図5(a)は押さえ部材113を正面から見た図、図5(b)は押さえ部材113を左側面からみた図、図5(c)は押さえ部材113の斜視図を示している。
【0027】
図5(a)に示すように、押さえ部材113は、第1の押さえ部材113aと、第2の押さえ部材113bと、第3の押さえ部材113cの3つの部品から構成されている。第2と第3の押さえ部材113b、113cには、それぞれシート押さえ面113kが設けられており、シートSの幅方向(X方向)において傾斜している。さらに、図5(c)に示すように、シート押さえ面113kの領域には、シート押さえ面113kから突出した高さ1mm程度のリブ113dが数か所に設けられている。このリブ113dが排出されたシートSと接触し、シートSを押さえるように構成されている。
【0028】
なお、リブ113dを設けて、シート押さえ面113kの全体がシートSと接触しないように構成した理由は、シート押さえ面113kにおいて結露した水滴がシートSに付着することを防ぐためである。定着処理を行うと、シートSに含まれていた水分が蒸発し、水蒸気となって上昇する。その水蒸気がシート押さえ面113kにおいて冷却されることで、シート押さえ面113kには水滴が付着する。そのため、シート押さえ面113kがシートSと接触する領域をなるべく小さくすることで、水滴がシートSに付着することを防ぐことができる。
【0029】
また、図5(b)に示すように、押さえ部材113は回転軸113e(第2の回転軸)を中心に装置本体120に対して回転可能に支持されている。第2と第3の押さえ部材113b、113cには、回転止め部113fが設けられており、図5(b)においては不図示の装置本体120の一部と突き当たることで、押さえ部材113が矢印D3の方向に回転しないように押さえ部材113の回転範囲を規制している。
【0030】
また、図5(a)乃至(c)に示すように、押さえ部材113の両端部には接触部113hが設けられている。詳しくは後述するが、排出トレイ111が回転したとき、押さえ部材113は接触部113hを介して排出トレイ111と接触する。接触部113hはシートSの幅方向(X方向)において、シートSの搬送領域の外側に設けられており、接触部113はシートSとは接触しない。図5(a)に示す通り、接触部113はシートSの搬送中心から距離L=108mm以上離れた位置に配置することが望ましい。なお、108mmというのは一例であって、画像形成装置100がサポートするシートSの最大サイズに応じて適宜変更可能である。
【0031】
(排出トレイと押さえ部材が連動して回転する構成)
次に、排出トレイ111と押さえ部材113がともに回転する様子について説明する。図6(a)は排出トレイ111を閉位置から開位置へと回転する途中で、排出トレイ111と押さえ部材113が接触した状態を示している。図6(b)は排出トレイ111を開位置まで開いた状態を示している。
【0032】
図6(a)に示すように、ユーザが排出トレイ111を回転させると、排出トレイ111はまず第1の押さえ部材113aの先端に接触し、その後すぐに第2、第3の押さえ部材113b、113cに設けられた接触部113hに接触する。排出トレイ111によって、押さえ部材113は矢印D4の方向に力を受けて、排出トレイ111とともに回転する。
【0033】
図6(b)に示すように、ユーザが排出トレイ111を開位置まで開くと、押さえ部材113は排出トレイ111と干渉することなく退避位置まで回転し、ユーザは補給口112へのアクセスが可能となる。本実施例においては、退避位置にある押さえ部材113の重心113mは、排出方向D1において押さえ部材113の回転軸113eと排出トレイ111の回転軸111gの間に位置している。このような位置関係にすることで、ユーザが排出トレイ111を閉じると、押さえ部材1113は自重で元の位置に戻ることができる。
【0034】
(排出トレイの保持構成)
図7は排出トレイ111の回転軸111g付近の拡大断面図である。ユーザが排出トレイ111を開いていくと、排出トレイ111は水平面に対して略垂直な開位置において保持される。図7(a)に示すように、第1の排出トレイ111aには凸部111h(係合部)が設けられており、装置本体120には凸部115(被係合部)が設けられている。
【0035】
ユーザが排出トレイ111を開いていくと、あるタイミングで凸部111hが凸部115を乗り越える。このとき、ユーザはクリック感を得られるとともに、排出トレイ111はその状態を維持するように保持される。図7(b)は凸部111hが凸部115を乗り越えた状態を示しており、排出トレイ111は開位置にある。すなわち、第1の排出トレイ111に設けられた凸部111hと、装置本体120に設けられた凸部115は、互いに係合することによって、排出トレイ111を開位置に保持するトレイ保持手段として機能する。
【0036】
(押さえ部材の回転範囲)
図8は、排出トレイ111が開位置にある状態において、押さえ部材113がさらに矢印D5の方向へ回転した状態を示している。押さえ部材113は、図6(b)に示した退避位置にある状態から、突き当て部113jが装置本体120の一部に突き当たるところまで、さらに回転できる構成になっている。このような構成を取ることで、排出トレイ111の開放時、凸部111hが確実に凸部115(図7に記載)を乗り越えることができるので、排出トレイ111の開放動作に不具合を与えることがなくなる。
【0037】
(排出トレイを開放した状態でのシート排出)
図9は排出トレイ111が開位置にある状態において、シートSが排出された状態を示している。本実施例の構成では、排出トレイ111を開放したとしても補給口112が露出されるだけで、シートSの搬送路や画像形成のために動作しているプロセス部材は露出しないため、排出トレイ111を開放した状態でも画像形成動作を継続することができる。
【0038】
図9(a)は排出トレイ111周辺の左側面図を示しており、図9(b)は図9(a)の矢印D6の方向から見た、排出トレイ111と押さえ部材113が接触している個所の拡大図を示している。図9(b)に示すように、排出トレイ111と押さえ部材113は接触部113hにおいて接触しており、シート押さえ面113kと排出トレイ111のシートSの積載面との間には隙間Lgが空いている。
【0039】
このように、隙間Lgを設けることによって、排出トレイ111が開放された状態で誤ってシートSが排出されてしまったとしても、シートSはジャムとなることなく図9(a)に示すように排出トレイ111に排出される。また、上述した通り、接触部113hはシートSの搬送領域外に設けられているため、シートSの排出を妨げることがない。
【0040】
以上より、本実施例によれば、排出トレイ111を開く際に、排出トレイ111と押さえ部材113が互いに干渉することがないので、排出トレイ111を十分に大きく開放することができる。そのため、ユーザが補給口112にアクセスしやすくなり、ユーザビリティが向上する。さらに、押さえ部材113は、排出トレイ111と接触して同方向に回転する簡易な構成のため、押さえ部材113を収納するスペースを装置本体120の内部に設けておく必要もなく、装置サイズの大型化を防ぐことができる。
【0041】
<実施例2>
本実施例では、排出トレイと押さえ部材の接触部に回転体を設けた構成を特徴としている。以下に説明する本実施例の特徴的な構成以外は、実施例1と同じ構成であるので説明を割愛する。
【0042】
(押さえ部材の構成)
図10は本実施例における押さえ部材213の構成を説明するための図である。図10(a)は押さえ部材213を正面から見た図、図10(b)は押さえ部材213を左側面から見た図、図10(c)は押さえ部材213の斜視図を示している。
【0043】
図10(a)に示すように、押さえ部材213は、第1の押さえ部材213aと、第2の押さえ部材213bと、第3の押さえ部材213cの3つの部品から構成されている。第2と第3の押さえ部材213b、213cには、それぞれシート押さえ面213kが設けられており、図10(c)に示すように、シート押さえ面213kから突出した高さ1mm程度のリブ213dが数か所に設けられている点は実施例1と同様である。
【0044】
また、図10(b)に示すように、押さえ部材213は回転軸213e(第2の回転軸)を中心に装置本体120(図10では不図示)に対して回転可能に支持されている。第2と第3の押さえ部材213b、213cには、回転止め部213fが設けられており、押さえ部材213の回転範囲を規制している。さらに、第2と第3の押さえ部材213b、213cには、実施例1の構成とは異なり回転体218が設けられている。回転体218は自由に回転できるようになっており、接触した部材に追従して回転する。
【0045】
(排出トレイと押さえ部材が連動して回転する構成)
次に、排出トレイ111と押さえ部材213がともに回転する様子について説明する。図11(a)は排出トレイ111を閉位置から開位置へと回転する途中で、排出トレイ111と押さえ部材213が接触した状態を示している。図11(b)は排出トレイ111を開位置まで開いた状態を示している。
【0046】
図11(a)に示すように、ユーザが排出トレイ111を回転させると、排出トレイ111は押さえ部材213の回転体218と接触する。排出トレイ111によって、押さえ部材213は矢印D4の方向に力を受けて、排出トレイ111とともに回転する。その際に、回転体218が回転することで、排出トレイ111と押さえ部材213の間の摺動抵抗を小さくすることができる。図11(b)に示す排出トレイ111を開状態に位置した状態で保持する保持機構の構成は実施例1と同様であるため説明を省略する。
【0047】
以上より、本実施例によれば、ユーザが排出トレイ111を開いて、排出トレイ111と押さえ部材213を繰り返し接触させた場合であっても、排出トレイ111に摺動傷などがついてしまう可能性を低減することができる。
【0048】
なお、本実施例においては、回転体218の位置は実施例1で説明した接触部113hと同様に、シートSの幅方向においてシートSの搬送領域の外側に配置していたが、これに限定されない。回転体218をシートSの搬送領域の内側に配置してもよい。回転体218であれば、例えば排出トレイ111を開位置まで開いた状態で誤ってシートSが排出されても、排出されたシートSに追従して回転するので、そのシートSに形成された画像の剥ぎ取りなどの画像不良を発生させてしまう可能性を低減できる。
【0049】
<実施例3>
本実施例では、押さえ部材に回転検知機構を設けて、排出トレイの回転もあわせて検知する構成を特徴としている。以下に説明する本実施例の特徴的な構成以外は、実施例1と同じ構成であるので説明を割愛する。
【0050】
(押さえ部材の回転検知機構)
図12は、本実施例における押さえ部材313の回転検知機構を示している。本実施例の押さえ部材313の端部にはフラグ313mが設けられている。一方、装置本体320には光学センサ319が設けられている。光学センサ319はフォトインタラプタであり、その光路がフラグ313mによって遮られた状態と遮られていない状態に応じて、それぞれ異なる信号を制御部330に出力する。制御部330にはCPU(不図示)が設けられており、光学センサ319から受け取った信号に基づいて、後述する各種判断処理を行う。
【0051】
図13は、排出トレイ111にシートSが大量に排出され、排出トレイ111が満載となった状態を示している。満載時には、押さえ部材313が持ち上がることでフラグ313mが動く。その結果、光学センサ319が透光状態となり、制御部330はその検知結果に基づいて排出トレイ111が満載であると判断することができる。満載時には、制御部330がさらなる画像形成を停止し、シートSを排出トレイ111に排出させないように制御する。また、制御部330はその旨を示すメッセージを不図示のオペレーションパネルや外部機器(PC)の画面上に表示させることで、ユーザに満載状態であることを通知する。これにより、さらにシートSが排出されることによるジャムの発生を未然に防いでいる。
【0052】
(排出トレイと押さえ部材が連動して回転する構成)
本実施例においても、実施例1と同様に、排出トレイ111が回転することで、押さえ部材313が連動して回転する。図14は排出トレイ111を開位置まで開いた状態を示している。排出トレイ111を開位置まで開くと、光学センサ319は透光状態となる。制御部330は光学センサ319からの信号を確認することで、排出トレイ111が開いているか、閉じているかを判断することができる。
【0053】
なお、この構成においては、光学センサ319が遮光状態から透光状態に変化した場合に、排出トレイ111が満載状態なのか、排出トレイ111が開いている状態なのか、制御部330が一意に判断することはできない。そのため、光学センサ319を複数配置し、押さえ部材313の傾き角度を細かく検知できる構成とすることで、制御部330がその2つの状態を一意に判断できるようにしてもよい。
【0054】
また、画像形成動作を行っていない状態で光学センサ319が透光状態になったことを検知した場合は、制御部330は排出トレイ111が開いている状態であると一意に判断することができる。一方、画像形成動作を行っている間に光学センサ319が透光状態になったことを検知した場合は、制御部330は排出トレイ111が満載になった可能性が高いと判断して、制御してもよい。
【0055】
以上より、本実施例によれば、押さえ部材313の回転検知機構を設け、排出トレイ111の満載状態を検知できるようにしたことで、排出トレイ111の開放状態も検知することができる。そのため、排出トレイ111が開放されたことを検知する専用のセンサを設ける必要がないため、コストを削減することができる。
【0056】
なお、上記の実施例1乃至3においては、図7に示した通り、排出トレイ111に設けられた凸部111hと装置本体120に設けられた凸部115が係合することで、排出トレイ111を開位置に保持していた。しかし、これに限定されない。
【0057】
例えば、図15(a)に示すように、排出トレイ111を図6(b)に示す状態よりもより大きく開放できるように構成してもよい。そして、開位置における排出トレイ111の重心111iが、排出方向D1において押さえ部材113の回転軸113eと排出トレイ111の回転軸111gの間に位置するように構成してもよい。これにより、図7に示した保持機構を設けなくとも、排出トレイ111は自重により図15(a)に示した開位置にある状態を維持することができる。
【0058】
なお、上記の実施例1乃至3においては、押さえ部材113の重心113が、排出方向D1において押さえ部材113の回転軸113eと排出トレイ111の回転軸111gの間(回転軸113eよりも下流側、回転軸111gよりも上流側)に位置するようにしていた。しかし、これに限定されない。
【0059】
例えば、図15(b)に示すように、排出トレイ111を開位置に保持する機構の力を大きくすることで、図6(b)に示す状態よりも排出トレイ111の開放角度を浅く構成してもよい。そして、開位置における押さえ部材113の重心113mが、排出方向D1において排出トレイ111の回転軸111gよりも下流側に位置するように構成してもよい。
【0060】
ここで、図15(b)においては押さえ部材113の重心113mの位置が、図6(b)や図15(a)と比較して排出方向D1の下流側に寄っているが、これは押さえ部材113の先端に重りをつけるなどして適宜位置を調整できる。
【0061】
なお、上記の実施例1乃至3においては、補給式の画像形成装置100を用いて説明を行ったが、これに限定されない。カートリッジ交換式の画像形成装置にも本発明を適用できる。
【0062】
図16はカートリッジ交換式の画像形成装置400の断面図である。画像形成装置400には補給口112などは設けられておらず、プロセスカートリッジ401のトナー残量が少なくなったり、ドラムなどのプロセス部材が寿命を迎えたりした場合に、ユーザがプロセスカートリッジ401を交換する。
【0063】
画像形成装置400では、排出トレイ411を開くと、ユーザがプロセスカートリッジ401を交換できるようになっている。プロセスカートリッジ401は矢印D7の方向において装置本体420に着脱可能な構成となっている。排出トレイ411をなるべく大きく開けるようにすることで、カートリッジ交換時のユーザビリティが向上する。
【符号の説明】
【0064】
100 画像形成装置
111 排出トレイ
113 押さえ部材
120 装置本体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16